JP2004168967A - アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を含有する着色組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2種類のアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料からなる固溶体を含有する着色組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、顔料着色組成物においては、所望の色相を得るために複数種の顔料を混合して調色が行われる。しかし、異種顔料を混合して調色した場合、ビヒクル中でしばしば凝集し、分散塗膜の彩度が低下するという問題が生じる。このような問題の解決策の一つとして、複数種の顔料を単に混合するだけではなく、固溶体を形成させることによって、凝集を起こしにくく彩度の高い顔料着色組成物を得る試みがなされている。
【0003】
従来、黄色系顔料固溶体として、高い彩度を有する黄鉛、モリブデートオレンジなどのクロム酸系顔料からなる無機顔料固溶体が広く用いられてきた。しかしながら、近年、これら重金属を含有する無機顔料が、環境汚染の原因となることから忌避される傾向にある。
【0004】
黄色系無機顔料固溶体に代わる黄色系有機顔料固溶体としては、ハロゲノイソインドリノンと、イソインドリンとからなるアゾメチン顔料固溶体の製造方法が開示され、該製造方法によって得られる顔料が黄色から橙色の色相を呈することが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。しかしながら、この製造方法によって得られる顔料は、固溶体としての性質を示さず、呈する色相の幅も狭いという問題があった。
【0005】
一方、アントラキノン系黄色顔料固溶体をカラーフィルター用顔料組成物の色材として利用した例(たとえば、特許文献2参照。)があるが、該顔料固溶体の色相は黄色のみである。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−113074号公報
【特許文献2】
特開平5−339512号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、黄色から橙色までの範囲内で、高い彩度を有する有機顔料固溶体を含有する着色組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、下記式(1)で表される顔料(a)と、下記式(2)で表される顔料(b)とからなるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体が高い彩度を有し、前記顔料(a)と顔料(b)の組成比を変えることによって、黄色から橙色までの範囲内で、任意の色相を呈する顔料固溶体が得られることを見いだし、該顔料固溶体を含有する着色組成物を提供することによって上記課題を解決した。
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の着色組成物は、上記式(1)で表される黄色の顔料(a)、および上記式(2)で表される橙色の顔料(b)からなるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を含有する。以下、「本発明のアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を含有する着色組成物」を「本発明の着色組成物」と、「式(1)で表される黄色の顔料(a)」を「顔料(a)」と、「式(2)で表される橙色の顔料(b)」を「顔料(b)」と、それぞれ略記する。
【0012】
本発明の着色組成物が含有する、顔料(a)と顔料(b)からなるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の色相は、該固溶体の構成成分比率を変えることによって、黄色から橙色まで連続的に変化するという特徴を有している。また該固溶体は、従来使用されてきた黄鉛、モリブデートオレンジなどのクロム酸系顔料、あるいはその固溶体からなる色材に匹敵する高い彩度を有するので、毒性が高くその使用が厳しく規制されている該無機顔料固溶体に代わる安全な色材として、トラフィックペイント、自動車用塗料、印刷インキ、あるいはプラスチック色材などの着色組成物の用途に広く使用することができる。
【0013】
本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体は、ホスト−ゲストタイプの置換型固溶体であり、その結晶構造は、顔料(a)または顔料(b)をホストとする結晶構造の一部が、顔料(b)または顔料(a)のゲスト分子によって置換された構造である。したがって、本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の粉末X線回折パターンは、ホスト顔料である顔料(a)または顔料(b)の粉末X線パターンに類似し、複数現れる粉末X線回折ピーク位置は、顔料(a)と、顔料(b)の比率によって連続的に変化し、顔料(a)Xmol%、および顔料(b)(100−X)mol%からなるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の粉末X線回折における最大ピークの位置(X線回折角2θ)は、{(27.4−0.013X)±0.3}°にあるという特徴を有している。
【0014】
本発明の着色組成物に用いるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体は、有機顔料固溶体の製造方法として公知の方法によって製造することができる。有機顔料固溶体の一般的な製造方法は、溶解析出法、合成法、摩砕法に大別される。本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体は、そのいずれの方法によっても製造することができる。
【0015】
上記の製造方法により作製した、本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体は、しばしば結晶性が低く、結晶構造に由来する粉末X線パターンが必ずしも明確に観察されない場合があるが、溶剤中に分散させた状態で、撹拌しながら加熱することによって結晶性を高くすることができる。溶剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチレングリコールモノブチレエーテルなどのアルコール類、トルエン、キシレン、ニトロベンゼンなどの芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−エトキシエチルアセテートなどのエステル類、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤などを使用するのが好ましく、加熱温度は50℃以上が好ましい。
【0016】
また、上記の溶剤中での加熱処理によって、あるいは、塩などの摩砕剤およびジエチレングリコールなどの摩砕助剤とともに、顔料固溶体をニーダーあるいは、ボールミル中で摩砕するなどの摩砕処理によって、顔料固溶体結晶の粒子径を制御することができる。要求される顔料の粒子径は、その用途によって異なるが、カラーフィルター、印刷インキ、塗料、プラスチックなどの色材として用いられる顔料の1次粒子径は数十から数百nmが一般的であり、特に透明性が要求されるカラーフィルター用途には、50nm以下が、隠蔽性が要求されるトラフィックペイント用途には300nm以上が好ましい。
【0017】
本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の結晶構造は、固溶体製造方法および、溶剤加熱処理などの顔料化条件の違いにより、同一の構成成分比率であっても異なる場合があり、結晶構造の違いによって色相は微妙に変化するが、顔料(a)と顔料(b)の仕込み比率を変えることで、黄色から橙色の所望の色相を得ることができる。また、1次粒子径を制御することにより、所望の透明性または、隠蔽性を得ることもできる。さらには、分散剤、界面活性剤、レベリング剤などの併用により、目的の用途に適した分散性などの性質を顔料固溶体に付与することができる。
【0018】
本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の構成成分である顔料(a)と顔料(b)の比率は、特に限定されるものではない。本発明の着色組成物は、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の構成成分比率と同一の比率で、顔料(a)と顔料(b)を単に混合した調色物を含有する着色組成物に比べて、色相が黄味であり、特に顔料(a)の成分比率が50mol%以上のアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を使用した場合には、本発明の着色組成物の色相は、黄鉛を色材とする着色物に匹敵する高彩度の色相を呈する。
【0019】
本発明の着色組成物は、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体をビヒクル中に分散することによって得られる。ビヒクル、溶剤、分散剤、界面活性剤、レベリング剤などの添加剤の種類と組成および、分散方法は目的とする用途によって異なるが、いずれも公知慣用の方法によって製造することができる。
【0020】
本発明の着色組成物を含有する塗料は、たとえばトラフィックペイントの場合、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を、無溶剤型石油系樹脂と加熱溶融状態で混練して分散させることにより、また、自動車用塗料の場合は、アルキド樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂、顔料誘導体などのシナジスト、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系などの分散剤とともに、ビーズミルなどを使用してビヒクル中に分散させた後、メラミン樹脂などの硬化剤及び、有機酸などの硬化触媒、シリコン樹脂などのレベリング剤などを配合することにより得られる。
【0021】
本発明の着色組成物を含有する印刷インキは、たとえば、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を、ロジン系樹脂などの天然樹脂または、フェノール系樹脂などの合成樹脂、乾性油、可塑剤、溶剤、ドライヤー、その他添加剤などを含有するワニスとを、ロールミルなどを使用して練肉することにより得られる。
【0022】
また、本発明の着色組成物を含有する樹脂着色コンパウンドは、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの熱可塑性プラスチックと加熱溶融状態で混練することにより得られる。
【0023】
本発明のアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を含有する着色組成物は、一般の黄色ないし橙色アゾ系顔料の調色物に比べて、彩度が高く、また、耐候性、耐熱性および耐溶剤性にも優れている。さらに、クロム酸系顔料、とりわけ黄鉛に匹敵する色相と彩度を有し、着色力が高い。本発明の着色組成物は、重金属を含有しないので、環境に与える負荷が小さく、且つ幅広い色相を有しており、トラフィックペイント、自動車用塗料、印刷インキ、あるいはプラスチック色材、カラーフィルターなどの用途に適している。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、特に断らない限り、「%」は「質量%」を表す。
【0025】
<調製例1>
顔料(a)として、大日本インキ化学工業(株)製C.I.Pigment Yellow 154「Symuler Fast Yellow 4192」9.1g、顔料(b)として、大日本インキ化学工業(株)製C.I.Pigment Orange 36「Symuler Fast Orange 4183H」3.1gを、0℃の95%濃硫酸300mlに溶解した。該溶液を、1lの氷水中に攪拌しながら滴下し、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を析出させた。析出した該顔料固溶体を吸引濾過し、洗浄液が中性になるまで水洗した。得られた含水圧搾ケーキを、3lの水に分散し、室温で2時間攪拌した。吸引濾過、水洗後、130℃で2時間加熱し乾燥させた。さらに、イソブタノール200ml中で4時間攪拌しながら還流し、結晶成長処理した。放冷後、該顔料固溶体を吸引濾過し、メタノール、水の順に洗浄し、得られた含水圧搾ケーキを、130℃で2時間加熱乾燥し、黄みの橙色を呈するアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体11.6gを得た。この場合の顔料(a)の仕込み比率(X)は75mol%であった。
【0026】
得られたアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の元素分析測定結果を以下に示す。カッコ内の数値は理論値を示す。測定値は、誤差範囲内で理論値と一致した。
C : 51.9% (52.2%)
H : 3.4% ( 3.4%)
N : 17.6% (18.0%)
得られたアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体(1)の粉末X線回折による分析の結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
また、顔料(a)(大日本インキ化学工業(株)製「Symuler Fast Yellow 4192」)の粉末X線回折による分析の結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表1および表2の結果から、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の粉末X線回折パターンは、ホスト顔料である顔料(a)の粉末X線回折パターンに類似していることが、また表1からは、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体(1)のX線回折角2θが、{(27.4−0.013X)±0.3}°=(26.26±0.3)°(X=75)に最大ピークを示す結晶構造を有することがわかる。
調製例1で調製したアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の色相は、目視検査の結果、黄鉛Gに類似の、橙みの黄色を呈していた。
【0031】
<調製例2>希釈用白色塗料の調製
石原産業(株)製酸化チタン「タイペークR−930」132g、前記アクリル樹脂「アクリディック 47−712」(固形分50%)74.8g、キシレンとn−ブタノールの混合溶剤(質量比3:1)26.4g、および直径3mmのガラスビーズ250gを、ペイントコンディショナーで1時間分散した後、前記アクリル樹脂「アクリディック 47−712」(固形分50%)174.5g、および前記メラミン樹脂「スーパーベッカミン L−117−60」(固形分60%)32.3gを加え、希釈用白色塗料を作製した。
【0032】
<比較調製例1>
大日本インキ化学工業(株)製「Symuler Fast Yellow 4192」(C.I.Pigment Yellow 154)15g、大日本インキ化学工業(株)製熱硬化性アクリル樹脂「アクリディック47−712」(不揮発分50%)30g、キシレンとn−ブタノールの混合溶剤(質量比3:1)40g、および直径3mmのガラスビーズ80gを、ペイントコンディショナーで2時間分散した後、前記アクリル樹脂「アクリディック 47−712」(不揮発分50%)90g、および大日本インキ化学工業(株)製メラミン樹脂「スーパーベッカミン L−117−60」(不揮発分60%)25gを加え、黄色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料を色材とする塗料を作製した。
【0033】
<比較調製例2>
比較調製例1における、大日本インキ化学工業(株)製「Symuler Fast Yellow 4192」(C.I.Pigment Yellow 154)15gを、大日本インキ化学工業(株)製「Symuler FastOrange 4183H」(C.I.Pigment Orange 36)15gに変更した以外は、比較調製例1と同様にして、橙色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料を色材とする塗料を作製した。
【0034】
(実施例1)
調製例1によって製造したアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体15g、大日本インキ化学工業(株)製熱硬化性アクリル樹脂「アクリディック47−712」(不揮発分50%)30g、キシレンとn−ブタノールの混合溶剤(質量比3:1)40g、および直径3mmのガラスビーズ80gを、ペイントコンディショナーで2時間分散した後、前記アクリル樹脂「アクリディック 47−712」(不揮発分50%)90g、および大日本インキ化学工業(株)製メラミン樹脂「スーパーベッカミン L−117−60」(不揮発分60%)25gを加え、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を含有する着色組成物である塗料を作製した。
【0035】
(比較例1)
比較調製例1で製造した黄色塗料74.4gと、比較調製例2で製造した橙色塗料各25.6gを混合し、黄色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料および、橙色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料を色材とする塗料を作製した。この場合、「Symuler Fast Yellow 4192」と「Symuler Fast Orange 4183H」の混合モル比は、75:25であった。
【0036】
上記実施例1および比較例1で作製したそれぞれの塗料60gに、調製例2で作製した希釈用白色塗料15g、および希釈溶剤(ソルベッソ#100:キシレン:酢酸エチル:n−ブタノール=4:3:2:1)43gを混合した後、鋼板にスプレー塗装し、140℃で20分焼付して色度評価用試料とした。
各色度評価用試料につき、(株)日立製作所製分光光度計「U−3000」を使用して色度を測定し、その結果を表3に示した。
【0037】
【表3】
【0038】
色材としてアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を使用した本発明の着色組成物である実施例1の塗料は、該アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の成分である二種の顔料を物理的に混合した比較例1の塗料に比べて彩度が高い。また、a*が小さくb*が大きく、黄鉛を色材とする塗料から得られる塗膜と同等の黄みの橙色を呈していた。
【0039】
(実施例2)
調製例1によって製造したアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体0.4g、大日本インキ化学工業(株)製平版インキ用ビヒクル「MG−63」1.6gを、フーバーマーラーで練肉し、アセトアニリドベンツイミダゾロンアゾ顔料固溶体を色材とする平版インキを調製した。得られた平版インキ0.2gに、大日本インキ化学工業(株)製白色平版インキ「ニューチャンピオン 白」2gを加え、フーバーマーラーで練肉し、展色試験用平版インキを作製した。
【0040】
(比較例2)
実施例2における、調製例1によって製造したアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体0.4gを、大日本インキ化学工業(株)製「Symuler Fast Yellow 4192」)(C.I.Pigment Yellow 154)0.3g、および大日本インキ化学工業(株)製「Symuler Fast Orange 4183H」(C.I.Pigment Orange 36)0.1gに変更した以外は、実施例2と同様にして、黄色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料及び、橙色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料を色材とする平版インキを調製した。
【0041】
この場合、「Symuler Fast Yellow 4192」と「Symuler Fast Orange 4183H」の混合モル比は、75:25であった。得られた平版インキ0.2gに、大日本インキ化学工業(株)製白色平版インキ「ニューチャンピオン 白」2gを加え、フーバーマーラーで練肉し、展色試験用インキを作製した。
実施例2および比較例2で得られた展色試験用平版インキを展色紙上に展色後、日立製作所製分光光度計U−3000により色相及び彩度を評価した。結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
実施例2の平版インキは、比較例2の平版インキインキに比べて彩度が高い。a*が小さくb*が大きく、黄鉛を色材とする平版インキから得られる塗膜と同等の黄みの橙色を呈していた。
【0044】
【発明の効果】
前記式(1)で表される顔料(a)と、前記式(2)で表される顔料(b)からなるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を含有する本発明の着色組成物は、単に顔料(a)と顔料(b)を物理的に混合しただけの着色組成物と比較して、黄色から橙色の間で高い彩度を有する。
色材として該アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を使用した塗料およびインキは、黄鉛を色材とする塗料やインキから得られる塗膜と同等の黄みの橙色を呈する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、2種類のアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料からなる固溶体を含有する着色組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、顔料着色組成物においては、所望の色相を得るために複数種の顔料を混合して調色が行われる。しかし、異種顔料を混合して調色した場合、ビヒクル中でしばしば凝集し、分散塗膜の彩度が低下するという問題が生じる。このような問題の解決策の一つとして、複数種の顔料を単に混合するだけではなく、固溶体を形成させることによって、凝集を起こしにくく彩度の高い顔料着色組成物を得る試みがなされている。
【0003】
従来、黄色系顔料固溶体として、高い彩度を有する黄鉛、モリブデートオレンジなどのクロム酸系顔料からなる無機顔料固溶体が広く用いられてきた。しかしながら、近年、これら重金属を含有する無機顔料が、環境汚染の原因となることから忌避される傾向にある。
【0004】
黄色系無機顔料固溶体に代わる黄色系有機顔料固溶体としては、ハロゲノイソインドリノンと、イソインドリンとからなるアゾメチン顔料固溶体の製造方法が開示され、該製造方法によって得られる顔料が黄色から橙色の色相を呈することが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。しかしながら、この製造方法によって得られる顔料は、固溶体としての性質を示さず、呈する色相の幅も狭いという問題があった。
【0005】
一方、アントラキノン系黄色顔料固溶体をカラーフィルター用顔料組成物の色材として利用した例(たとえば、特許文献2参照。)があるが、該顔料固溶体の色相は黄色のみである。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−113074号公報
【特許文献2】
特開平5−339512号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、黄色から橙色までの範囲内で、高い彩度を有する有機顔料固溶体を含有する着色組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、下記式(1)で表される顔料(a)と、下記式(2)で表される顔料(b)とからなるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体が高い彩度を有し、前記顔料(a)と顔料(b)の組成比を変えることによって、黄色から橙色までの範囲内で、任意の色相を呈する顔料固溶体が得られることを見いだし、該顔料固溶体を含有する着色組成物を提供することによって上記課題を解決した。
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の着色組成物は、上記式(1)で表される黄色の顔料(a)、および上記式(2)で表される橙色の顔料(b)からなるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を含有する。以下、「本発明のアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を含有する着色組成物」を「本発明の着色組成物」と、「式(1)で表される黄色の顔料(a)」を「顔料(a)」と、「式(2)で表される橙色の顔料(b)」を「顔料(b)」と、それぞれ略記する。
【0012】
本発明の着色組成物が含有する、顔料(a)と顔料(b)からなるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の色相は、該固溶体の構成成分比率を変えることによって、黄色から橙色まで連続的に変化するという特徴を有している。また該固溶体は、従来使用されてきた黄鉛、モリブデートオレンジなどのクロム酸系顔料、あるいはその固溶体からなる色材に匹敵する高い彩度を有するので、毒性が高くその使用が厳しく規制されている該無機顔料固溶体に代わる安全な色材として、トラフィックペイント、自動車用塗料、印刷インキ、あるいはプラスチック色材などの着色組成物の用途に広く使用することができる。
【0013】
本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体は、ホスト−ゲストタイプの置換型固溶体であり、その結晶構造は、顔料(a)または顔料(b)をホストとする結晶構造の一部が、顔料(b)または顔料(a)のゲスト分子によって置換された構造である。したがって、本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の粉末X線回折パターンは、ホスト顔料である顔料(a)または顔料(b)の粉末X線パターンに類似し、複数現れる粉末X線回折ピーク位置は、顔料(a)と、顔料(b)の比率によって連続的に変化し、顔料(a)Xmol%、および顔料(b)(100−X)mol%からなるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の粉末X線回折における最大ピークの位置(X線回折角2θ)は、{(27.4−0.013X)±0.3}°にあるという特徴を有している。
【0014】
本発明の着色組成物に用いるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体は、有機顔料固溶体の製造方法として公知の方法によって製造することができる。有機顔料固溶体の一般的な製造方法は、溶解析出法、合成法、摩砕法に大別される。本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体は、そのいずれの方法によっても製造することができる。
【0015】
上記の製造方法により作製した、本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体は、しばしば結晶性が低く、結晶構造に由来する粉末X線パターンが必ずしも明確に観察されない場合があるが、溶剤中に分散させた状態で、撹拌しながら加熱することによって結晶性を高くすることができる。溶剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチレングリコールモノブチレエーテルなどのアルコール類、トルエン、キシレン、ニトロベンゼンなどの芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−エトキシエチルアセテートなどのエステル類、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤などを使用するのが好ましく、加熱温度は50℃以上が好ましい。
【0016】
また、上記の溶剤中での加熱処理によって、あるいは、塩などの摩砕剤およびジエチレングリコールなどの摩砕助剤とともに、顔料固溶体をニーダーあるいは、ボールミル中で摩砕するなどの摩砕処理によって、顔料固溶体結晶の粒子径を制御することができる。要求される顔料の粒子径は、その用途によって異なるが、カラーフィルター、印刷インキ、塗料、プラスチックなどの色材として用いられる顔料の1次粒子径は数十から数百nmが一般的であり、特に透明性が要求されるカラーフィルター用途には、50nm以下が、隠蔽性が要求されるトラフィックペイント用途には300nm以上が好ましい。
【0017】
本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の結晶構造は、固溶体製造方法および、溶剤加熱処理などの顔料化条件の違いにより、同一の構成成分比率であっても異なる場合があり、結晶構造の違いによって色相は微妙に変化するが、顔料(a)と顔料(b)の仕込み比率を変えることで、黄色から橙色の所望の色相を得ることができる。また、1次粒子径を制御することにより、所望の透明性または、隠蔽性を得ることもできる。さらには、分散剤、界面活性剤、レベリング剤などの併用により、目的の用途に適した分散性などの性質を顔料固溶体に付与することができる。
【0018】
本発明の着色組成物の色材となるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の構成成分である顔料(a)と顔料(b)の比率は、特に限定されるものではない。本発明の着色組成物は、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の構成成分比率と同一の比率で、顔料(a)と顔料(b)を単に混合した調色物を含有する着色組成物に比べて、色相が黄味であり、特に顔料(a)の成分比率が50mol%以上のアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を使用した場合には、本発明の着色組成物の色相は、黄鉛を色材とする着色物に匹敵する高彩度の色相を呈する。
【0019】
本発明の着色組成物は、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体をビヒクル中に分散することによって得られる。ビヒクル、溶剤、分散剤、界面活性剤、レベリング剤などの添加剤の種類と組成および、分散方法は目的とする用途によって異なるが、いずれも公知慣用の方法によって製造することができる。
【0020】
本発明の着色組成物を含有する塗料は、たとえばトラフィックペイントの場合、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を、無溶剤型石油系樹脂と加熱溶融状態で混練して分散させることにより、また、自動車用塗料の場合は、アルキド樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂、顔料誘導体などのシナジスト、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系などの分散剤とともに、ビーズミルなどを使用してビヒクル中に分散させた後、メラミン樹脂などの硬化剤及び、有機酸などの硬化触媒、シリコン樹脂などのレベリング剤などを配合することにより得られる。
【0021】
本発明の着色組成物を含有する印刷インキは、たとえば、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を、ロジン系樹脂などの天然樹脂または、フェノール系樹脂などの合成樹脂、乾性油、可塑剤、溶剤、ドライヤー、その他添加剤などを含有するワニスとを、ロールミルなどを使用して練肉することにより得られる。
【0022】
また、本発明の着色組成物を含有する樹脂着色コンパウンドは、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの熱可塑性プラスチックと加熱溶融状態で混練することにより得られる。
【0023】
本発明のアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を含有する着色組成物は、一般の黄色ないし橙色アゾ系顔料の調色物に比べて、彩度が高く、また、耐候性、耐熱性および耐溶剤性にも優れている。さらに、クロム酸系顔料、とりわけ黄鉛に匹敵する色相と彩度を有し、着色力が高い。本発明の着色組成物は、重金属を含有しないので、環境に与える負荷が小さく、且つ幅広い色相を有しており、トラフィックペイント、自動車用塗料、印刷インキ、あるいはプラスチック色材、カラーフィルターなどの用途に適している。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、特に断らない限り、「%」は「質量%」を表す。
【0025】
<調製例1>
顔料(a)として、大日本インキ化学工業(株)製C.I.Pigment Yellow 154「Symuler Fast Yellow 4192」9.1g、顔料(b)として、大日本インキ化学工業(株)製C.I.Pigment Orange 36「Symuler Fast Orange 4183H」3.1gを、0℃の95%濃硫酸300mlに溶解した。該溶液を、1lの氷水中に攪拌しながら滴下し、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を析出させた。析出した該顔料固溶体を吸引濾過し、洗浄液が中性になるまで水洗した。得られた含水圧搾ケーキを、3lの水に分散し、室温で2時間攪拌した。吸引濾過、水洗後、130℃で2時間加熱し乾燥させた。さらに、イソブタノール200ml中で4時間攪拌しながら還流し、結晶成長処理した。放冷後、該顔料固溶体を吸引濾過し、メタノール、水の順に洗浄し、得られた含水圧搾ケーキを、130℃で2時間加熱乾燥し、黄みの橙色を呈するアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体11.6gを得た。この場合の顔料(a)の仕込み比率(X)は75mol%であった。
【0026】
得られたアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の元素分析測定結果を以下に示す。カッコ内の数値は理論値を示す。測定値は、誤差範囲内で理論値と一致した。
C : 51.9% (52.2%)
H : 3.4% ( 3.4%)
N : 17.6% (18.0%)
得られたアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体(1)の粉末X線回折による分析の結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
また、顔料(a)(大日本インキ化学工業(株)製「Symuler Fast Yellow 4192」)の粉末X線回折による分析の結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表1および表2の結果から、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の粉末X線回折パターンは、ホスト顔料である顔料(a)の粉末X線回折パターンに類似していることが、また表1からは、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体(1)のX線回折角2θが、{(27.4−0.013X)±0.3}°=(26.26±0.3)°(X=75)に最大ピークを示す結晶構造を有することがわかる。
調製例1で調製したアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の色相は、目視検査の結果、黄鉛Gに類似の、橙みの黄色を呈していた。
【0031】
<調製例2>希釈用白色塗料の調製
石原産業(株)製酸化チタン「タイペークR−930」132g、前記アクリル樹脂「アクリディック 47−712」(固形分50%)74.8g、キシレンとn−ブタノールの混合溶剤(質量比3:1)26.4g、および直径3mmのガラスビーズ250gを、ペイントコンディショナーで1時間分散した後、前記アクリル樹脂「アクリディック 47−712」(固形分50%)174.5g、および前記メラミン樹脂「スーパーベッカミン L−117−60」(固形分60%)32.3gを加え、希釈用白色塗料を作製した。
【0032】
<比較調製例1>
大日本インキ化学工業(株)製「Symuler Fast Yellow 4192」(C.I.Pigment Yellow 154)15g、大日本インキ化学工業(株)製熱硬化性アクリル樹脂「アクリディック47−712」(不揮発分50%)30g、キシレンとn−ブタノールの混合溶剤(質量比3:1)40g、および直径3mmのガラスビーズ80gを、ペイントコンディショナーで2時間分散した後、前記アクリル樹脂「アクリディック 47−712」(不揮発分50%)90g、および大日本インキ化学工業(株)製メラミン樹脂「スーパーベッカミン L−117−60」(不揮発分60%)25gを加え、黄色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料を色材とする塗料を作製した。
【0033】
<比較調製例2>
比較調製例1における、大日本インキ化学工業(株)製「Symuler Fast Yellow 4192」(C.I.Pigment Yellow 154)15gを、大日本インキ化学工業(株)製「Symuler FastOrange 4183H」(C.I.Pigment Orange 36)15gに変更した以外は、比較調製例1と同様にして、橙色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料を色材とする塗料を作製した。
【0034】
(実施例1)
調製例1によって製造したアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体15g、大日本インキ化学工業(株)製熱硬化性アクリル樹脂「アクリディック47−712」(不揮発分50%)30g、キシレンとn−ブタノールの混合溶剤(質量比3:1)40g、および直径3mmのガラスビーズ80gを、ペイントコンディショナーで2時間分散した後、前記アクリル樹脂「アクリディック 47−712」(不揮発分50%)90g、および大日本インキ化学工業(株)製メラミン樹脂「スーパーベッカミン L−117−60」(不揮発分60%)25gを加え、アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を含有する着色組成物である塗料を作製した。
【0035】
(比較例1)
比較調製例1で製造した黄色塗料74.4gと、比較調製例2で製造した橙色塗料各25.6gを混合し、黄色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料および、橙色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料を色材とする塗料を作製した。この場合、「Symuler Fast Yellow 4192」と「Symuler Fast Orange 4183H」の混合モル比は、75:25であった。
【0036】
上記実施例1および比較例1で作製したそれぞれの塗料60gに、調製例2で作製した希釈用白色塗料15g、および希釈溶剤(ソルベッソ#100:キシレン:酢酸エチル:n−ブタノール=4:3:2:1)43gを混合した後、鋼板にスプレー塗装し、140℃で20分焼付して色度評価用試料とした。
各色度評価用試料につき、(株)日立製作所製分光光度計「U−3000」を使用して色度を測定し、その結果を表3に示した。
【0037】
【表3】
【0038】
色材としてアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を使用した本発明の着色組成物である実施例1の塗料は、該アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体の成分である二種の顔料を物理的に混合した比較例1の塗料に比べて彩度が高い。また、a*が小さくb*が大きく、黄鉛を色材とする塗料から得られる塗膜と同等の黄みの橙色を呈していた。
【0039】
(実施例2)
調製例1によって製造したアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体0.4g、大日本インキ化学工業(株)製平版インキ用ビヒクル「MG−63」1.6gを、フーバーマーラーで練肉し、アセトアニリドベンツイミダゾロンアゾ顔料固溶体を色材とする平版インキを調製した。得られた平版インキ0.2gに、大日本インキ化学工業(株)製白色平版インキ「ニューチャンピオン 白」2gを加え、フーバーマーラーで練肉し、展色試験用平版インキを作製した。
【0040】
(比較例2)
実施例2における、調製例1によって製造したアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体0.4gを、大日本インキ化学工業(株)製「Symuler Fast Yellow 4192」)(C.I.Pigment Yellow 154)0.3g、および大日本インキ化学工業(株)製「Symuler Fast Orange 4183H」(C.I.Pigment Orange 36)0.1gに変更した以外は、実施例2と同様にして、黄色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料及び、橙色アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料を色材とする平版インキを調製した。
【0041】
この場合、「Symuler Fast Yellow 4192」と「Symuler Fast Orange 4183H」の混合モル比は、75:25であった。得られた平版インキ0.2gに、大日本インキ化学工業(株)製白色平版インキ「ニューチャンピオン 白」2gを加え、フーバーマーラーで練肉し、展色試験用インキを作製した。
実施例2および比較例2で得られた展色試験用平版インキを展色紙上に展色後、日立製作所製分光光度計U−3000により色相及び彩度を評価した。結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
実施例2の平版インキは、比較例2の平版インキインキに比べて彩度が高い。a*が小さくb*が大きく、黄鉛を色材とする平版インキから得られる塗膜と同等の黄みの橙色を呈していた。
【0044】
【発明の効果】
前記式(1)で表される顔料(a)と、前記式(2)で表される顔料(b)からなるアセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を含有する本発明の着色組成物は、単に顔料(a)と顔料(b)を物理的に混合しただけの着色組成物と比較して、黄色から橙色の間で高い彩度を有する。
色材として該アセトアニリドベンツイミダゾロン系アゾ顔料固溶体を使用した塗料およびインキは、黄鉛を色材とする塗料やインキから得られる塗膜と同等の黄みの橙色を呈する。
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