JP2004168571A - 光ファイバ線引方法及び光ファイバ線引装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】外径の非円率及びコアの偏心を低減できる光ファイバを製造可能な光ファイバ線引方法及び光ファイバ線引装置を提供する。
【解決手段】加熱炉3内の光ファイバ母材10の縮径部10bの位置の変位又は形状の変化を検出手段4によって検出し、縮径部10bの位置又は形状が、所定の位置又は所定の形状となるように、光ファイバ母材10を加熱炉3内で光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向に移動させる。
【選択図】 図1
【解決手段】加熱炉3内の光ファイバ母材10の縮径部10bの位置の変位又は形状の変化を検出手段4によって検出し、縮径部10bの位置又は形状が、所定の位置又は所定の形状となるように、光ファイバ母材10を加熱炉3内で光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向に移動させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ線引方法及び光ファイバ線引装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光ファイバ線引装置としては、例えば、光ファイバ母材を加熱軟化させて線引きする線引き炉であって、線引き炉の炉心管延長部を光ファイバの温度が軟化点以下の温度に冷却されるのに充分な長さとなるように設定したものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2787983号公報(第2−3頁、第1図)
【0004】
特許文献1には、光ファイバへのダストの付着及び外径の変動を低減させて、強度の大きな光ファイバを製造する線引き炉及び線引き方法について記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ファイバは、接続時の軸ずれや接続損失を低減させるために、光ファイバ外径の非円率や光ファイバコアの偏心を極力小さくすることが要求されている。非円率及びコアの偏心をできるだけ少なくするためには、線引中において、所望の温度分布状態が経時的に安定するように、光ファイバ母材を加熱することが重要であると考えられる。
【0006】
しかし、光ファイバ母材は実際には少々曲がっている等、完全に真直ぐな棒ではない。したがって光ファイバの線引き中に、光ファイバ母材が線引き炉の中心を外れてしまうことがある。その場合、線引きが行われている時間の全てにわたって、光ファイバ母材の温度分布状態を均一にすることは困難であり、光ファイバの非円率及びコアの偏心を低減させるためには、更に改善の余地があった。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外径の非円率及びコアの偏心を低減できる光ファイバを製造可能な光ファイバ線引方法及び光ファイバ線引装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光ファイバ線引方法は、光ファイバ母材を加熱軟化させて線引きする光ファイバ線引方法であって、光ファイバ母材の縮径部の位置の変位又は形状の変化を検出し、縮径部の位置又は形状が所定の位置又は所定の形状となるように光ファイバ母材を光ファイバ母材の軸方向に対して直交する方向に移動させる。
【0009】
好ましくは、光ファイバ母材の縮径部の位置又は形状の検出は、加熱炉の下方に配置された反射鏡に写された縮径部の像により行う。
【0010】
また好ましくは、光ファイバ母材の前記縮径部の位置又は形状の検出は、加熱炉の直下における光ファイバの位置を検出することにより行う。
【0011】
本発明に係る光ファイバ線引装置は、光ファイバ母材を加熱軟化させて線引きする光ファイバ線引装置であって、光ファイバ母材を移動可能に把持する把持機構と、把持機構によって把持された光ファイバ母材を加熱して軟化させる加熱炉と、加熱炉内の前記光ファイバ母材の縮径部の位置又は形状を検出する検出手段と、検出手段によって検出された縮径部の位置又は形状に基づいて光ファイバ母材を光ファイバ母材の軸方向に対して直交する方向で移動させるように把持機構に指令する制御手段とを備える。
【0012】
好ましくは、検出手段は、加熱炉の下方に配置された反射鏡と、反射鏡に写された縮径部の像を観察する観察装置とを有する。
【0013】
また好ましくは、検出手段は、加熱炉の直下における前記光ファイバの位置を検出する光ファイバ位置検出装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
(第一実施形態)
先ず、本発明の第一実施形態に係る光ファイバ線引装置について説明する。
図1の光ファイバ線引装置の要部断面斜視図、図2の把持機構によって光ファイバ母材が加熱炉内に把持された状態を示す縦断面図、及び、図3の把持機構の構成を示す平面図に示すように、本発明の第一実施形態である光ファイバ線引装置1は、把持機構2と、加熱炉3と、検出手段4と、制御手段(図示せず)とを備えている。図2及び図3に示すように、把持機構2は、把持部9に把持された光ファイバ母材10を、光ファイバ母材10の軸方向及びこの軸方向に対して直交する方向に移動させるためのものであって、基台(図示せず)に垂直に固定されたボールねじ5に螺合して、上下方向に移動可能とされたアーム6が、水平に配設されている。アーム6には、第1駆動装置(図示せず)が内蔵された移動アーム8が、このアーム6の軸方向に沿って移動可能に配設され、更に、移動アーム8には、第2駆動装置(図示せず)が内蔵された把持部9が、移動アーム8の軸方向に沿って移動可能に配設されている。把持部9は、ボールねじ5、第1駆動装置及び第2駆動装置を作動させることによって、上端部10aを把持した棒状の光ファイバ母材10を、その軸方向(図2において上下方向)及び軸線に対して直交する方向(図3において紙面と平行方向)に移動できるようになっている。
【0016】
図1及び図2に示すように、加熱炉3は、把持部9によって把持された光ファイバ母材10を加熱するためのものであって、炉体12内に、中空円筒状の発熱体であるヒータ11が配置されている。炉体12がヒータ11の下方に延設されて形成された下部煙突12aの下端には、シャッタ13が配置されている。シャッタ13の中央には、開口部13aが設けられており、この開口部13aから線引された光ファイバ14を引き出すようになっている。シャッタ13は、透明な材料によって形成されており、このシャッタ13を透過して加熱炉3内に配置された光ファイバ母材10を視認することができる。
【0017】
図1に示すように、検出手段4は、加熱炉3内に配置された光ファイバ母材10の縮径部10bを観察するためのものであって、本実施形態においては、反射鏡15と観察装置であるCCDカメラ16とから構成されている。反射鏡15は、線引された光ファイバ14に近接し、この光ファイバ14の軸線に対して所定の角度傾けられた状態で、加熱炉3の下方に配置されており、透明なシャッタ13を介して加熱炉3内の光ファイバ母材10を写すようになっている。CCDカメラ16は、反射鏡15に向けて配置され、反射鏡15に写った光ファイバ母材10の画像を観察できるように配置されている。
【0018】
制御手段は、中央演算処理装置やROM,RAM等の記憶装置等を備えたコンピュータ装置(図示せず)であって、把持機構2、加熱炉3(ヒータ11)及びCCDカメラ16等に電気的に接続され、それらの装置を所定の手順に従って制御するようになっている。
【0019】
次に、光ファイバ線引装置の変形例を、光ファイバ線引装置の要部断面斜視図である図9を参照して説明する。なお、以下の説明において、図1〜図3において既に説明した部材については、図中に同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化あるいは省略する。
【0020】
変形例の光ファイバ線引装置20は、反射鏡25の形状だけが異なり、他の部材は第一実施形態の光ファイバ線引装置1と同様に構成されている。反射鏡25は、略中央にスリット25aが形成されている。線引きされる光ファイバ14が、スリット25a中を通過して線引きされるように反射鏡25を配置することにより、反射鏡25を加熱炉3の真下に位置させることを可能としている。
【0021】
反射鏡25は、線引きされる光ファイバ14の軸線に対して45°傾斜した状態で加熱炉3の真下に配置され、また、CCDカメラ16は、反射鏡25に対向して水平方向に向けて配置されている。これによって、光ファイバ14が障害となることなく、光ファイバ母材10を加熱炉3の真下からの観察することができる。また、第一実施形態の光ファイバ線引装置1の反射鏡15によって得られる光ファイバ母材10の画像は、光ファイバ母材10を斜め下方から見た画像となるのに対して、反射鏡25によって得られる光ファイバ母材10の画像は、光ファイバ母材10を、その軸線上から見た画像となる。
【0022】
次に、本発明の実施形態に係る光ファイバ線引方法について説明する。本発明の実施形態の光ファイバ線引方法は、先ず、前記した第一実施形態の光ファイバ線引装置を使用することにより好適に実施できる。すなわち、本発明の実施形態の光ファイバ線引方法は、光ファイバ母材10を加熱軟化させて線引きする光ファイバ線引方法であって、光ファイバ母材10の縮径部10bの位置の変位又は形状の変化を検出し、縮径部10bの位置又は形状が、所定の位置又は所定の形状となるように光ファイバ母材10を光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向に移動させる方法である。
【0023】
以下、本発明の実施形態の光ファイバ線引方法の手順を詳細に説明する。
先ず、図2及び図4(線引前に観察装置で光ファイバ母材を加熱炉の真下から観察して補正画像を得る状態を示す光ファイバ線引装置の正面図)に示すように、ボールねじ5を作動して把持部9に把持させた光ファイバ母材10を加熱炉3内に挿入した後、把持機構2によって把持部9を水平面(図3参照)内で移動させて加熱炉3の中心と、光ファイバ母材10の中心とを合致させ、偏心のない状態で配置する。次いで、CCDカメラ16を加熱炉3の真下から上方に向けて設置し、透明なシャッタ13を介して加熱炉3内の光ファイバ母材10を写し、図5に示すような補正用光ファイバ母材画像を得る。この補正用光ファイバ母材画像においては、光ファイバ母材10の外径部とヒータ11の内径部は、同心円となっている。
【0024】
線引中の光ファイバ線引装置の正面図である図6に示すように、CCDカメラ16を反射鏡15に対向させ、線引きされる光ファイバ14から離間した所定の位置に設置し直し、反射鏡15に写された光ファイバ母材10の像を観察できるようにする。次いで、加熱炉3で光ファイバ母材10を加熱し延伸させて、光ファイバ14をシャッタ13の開口部13aから引き出して線引きを行う。この時、CCDカメラ16は、図7に示すように、反射鏡15に写された光ファイバ母材10の縮径部10bを映し出す。
【0025】
図8(A)に示すように、線引初期においては光ファイバ母材10の中心から光ファイバ14が線引きされるが、線引きの進行に伴って光ファイバ母材10の片減りが発生し(図8(B)参照)、光ファイバ14が光ファイバ母材10の中心から偏心した状態で線引きされるようになる。図8(C)に示すように、光ファイバ母材10の中心から偏心して線引された光ファイバ14のコア14aは、光ファイバ14の中心から偏心(コア偏心量:E)する確率が極めて高い。
【0026】
片減りとは、光ファイバ母材10の溶融部の熱的不均一により、光ファイバ母材10の周方向に溶け易い部分と溶け難い部分が発生して、光ファイバ母材10の縮径部10bの形状が変形することであり、縮径部10bの中心ずれ、即ちコア14aの偏心の一因となる。
【0027】
片減りした縮径部10bは、反射鏡15を介してCCDカメラ16によって観察されているので、コンピュータ装置(制御手段)は、線引作業に先立って得られた補正用光ファイバ母材画像(図5参照)を参照して、縮径部10bの位置の変位又は形状の変化を検出し、そのずれを補正するように把持機構2の第1駆動装置及び第2駆動装置に駆動指令信号を発する。
【0028】
ここで、反射鏡15は、光ファイバ14の走行を阻害しないように、光ファイバ14の走行路からずれて配置されているので、光ファイバ母材10の画像データは、反射鏡15のずれた角度(θ)に基づいて、反射鏡15の傾斜に沿った方向にゆがんでいる。また、光ファイバ母材10の画像データは、反射鏡15とCCDカメラ16とがなす角(φ)が90°でない場合にもゆがむ。よって、通常、光ファイバ母材10の画像データは、前記反射鏡15のずれた角度(θ)、及び、反射鏡15とCCDカメラ16とがなす角(φ)に基づいて、ゆがみ量が適宜補正されて、補正用光ファイバ母材画像と比較される。
【0029】
第1駆動装置及び第2駆動装置は、駆動指令信号に従って把持部9に把持された光ファイバ母材10を光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向に移動させる。具体的には、コンピュータ装置は、CCDカメラ16によって観察された画像(図7参照)を基に、例えば、変形した縮径部10bの中心位置を求め、縮径部10bの中心をヒータ11の中心に合致させるように光ファイバ母材10を移動させる。あるいは、縮径部10bの片減りを画像の歪みとして検出し、光ファイバ母材10を、光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向として、光ファイバ母材10の中心と縮径部10bの中心とを結んだ線方向に対して直交する面内で縮径部10bがずれた方向と逆の方向に歪んだ分だけ移動させて、ヒータ11と縮径部10bの中心を合致させるように制御する。
【0030】
コンピュータ装置(制御手段)が、常に、縮径部10bの位置の変位又は形状の変化を補正するように制御することによって、光ファイバ母材10は、所望の温度分布状態が経時的に安定するように加熱される。従って、光ファイバ母材10が片減りして光ファイバ14が、光ファイバ母材10の中心から偏心した状態で線引きされる虞れを低減でき、非円率及びコアの偏心の小さい光ファイバ14を線引きすることができる。
【0031】
また、本発明の実施形態の光ファイバ線引方法は、変形例に示す光ファイバ線引装置20を使用することによっても好適に実施できる。
図9に示すように、光ファイバ線引装置20は、反射鏡25にスリット25aが形成されているので、光ファイバ14を線引中でも反射鏡25を加熱炉3の真下に設置することが可能となる。具体的には、反射鏡25を加熱炉3の中心線上からずれた退避位置に退避させておき、ヒータ11に通電して加熱炉3内の光ファイバ母材10を加熱して軟化させる。線引開始時には、直径数mm〜20mm程度の光ファイバ母材の塊が、シャッタ13の開口部13aから出てくる。この塊が反射鏡25の設置位置より下方に落下し、線引きされた光ファイバ14の直径がスリット25aの幅より小さくなってから、スリット25aの幅内に光ファイバ14を通過させるようにして反射鏡25を移動させ、加熱炉3真下の所定位置に配置する。これによって、光ファイバ母材10の縮径部10bを加熱炉3の真下から観察することができ、縮径部10bの位置の変位及び形状の変化を精度良く検出することができる。
【0032】
なお、CCDカメラ16によって得られる縮径部10bの画像は、スリット25a部分が欠けた画像となるが、反射鏡25及びCCDカメラ16を加熱炉3の軸を中心として回動させることにより、スリット25aによる欠けのない完全な画像を得ることができ、より精度よく、縮径部10bの位置及び形状を検出することができる。その他の作用は、第一実施形態の光ファイバ線引装置1と同様であり、非円率及びコアの偏心の小さい光ファイバ14を線引きすることができる。
【0033】
また他の変形例として、観察装置としてCCDカメラの代わりにサーモトレーサ(図示せず)等の熱分布を検出可能な機器を用いることにより、縮径部10bの形状に代えて、縮径部10bの熱分布状態を検出してサーモグラフィを得るようにしてもよい。この場合、縮径部10bの熱分布状態が所望の状態(例えば、均一に加熱される状態)となるように、光ファイバ母材10を、光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向に移動させることによって、非円率及びコアの偏心の小さい光ファイバ14を線引きすることができる。なお、スリット25a付の反射鏡25を用いる場合には、反射鏡25とサーモトレーサを、加熱炉3の軸を中心として回動させることにより、スリット25aによる欠けのない完全なサーモグラフィを得ることができるのは、変形例に示した光ファイバ線引装置20と同様である。
【0034】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る光ファイバ線引装置について説明する。
図10の光ファイバ線引装置の要部断面斜視図に示すように、本発明の第二実施形態に係る光ファイバ線引装置30は、加熱炉3直下の側方に、検出手段として光ファイバ位置検出装置31が配置されている。光ファイバ位置検出装置31は、線引きされた光ファイバ14が加熱炉3の開口部13aから出た直後に、その位置(光ファイバ14の軸に直交する面内での位置)を検出するようになっている。
【0035】
光ファイバ位置検出装置31としては、光ファイバ14の位置がある程度変動しても検出できるように、例えば10mm程度の視野を有するものが望ましく、レーザビーム等を照射して測定する外径測定装置やCCDカメラ等が例示される。
その他の部分については、本発明の第一実施形態の光ファイバ線引装置1と同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
本発明の実施形態に係る光ファイバ線引方法は、本発明の第二実施形態に係る光ファイバ線引装置30を使用することによっても好適に実施できる。
すなわち、光ファイバ線引装置30において、光ファイバ位置検出装置31で線引初期における光ファイバ14の位置を検出しておき、線引中の光ファイバ14の位置と比較し、光ファイバ14の初期位置からのずれ量を求め、把持機構2を作動させて光ファイバ14の位置を初期位置に戻すよう光ファイバ母材10を移動させる。これによって、光ファイバ母材10を所望の温度分布状態が経時的に安定するように加熱できるので、非円率及びコアの偏心の小さい光ファイバ14を線引きすることができる。
【0037】
なお、光ファイバ位置検出装置31を加熱炉3の直下(約100mm)に配置し、光ファイバ14が開口部13aから出た直後に光ファイバ14の位置を検出するようにしたのは、光ファイバ14が加熱炉3から離間した位置では、横方向に振動する可能性が大きく、該振動の影響を受けて光ファイバ14の位置を精度良く検出することが困難となるからである。
【0038】
以上に説明したように、本発明の第一及び第二実施形態に係る光ファイバ線引装置によれば、線引中において、所望の温度分布状態が経時的に安定するように光ファイバ母材を加熱できるので、外径の非円率及びコアの偏心を低減できる光ファイバを製造可能な光ファイバ線引装置とすることができる。
【0039】
【実施例】
(実施例)
前記した光ファイバ線引装置1を使用して、図4に示すように、ボールねじ5を作動して把持部9に把持させた光ファイバ母材10を加熱炉3内に挿入した後、把持機構2によって把持部9を水平面(図3参照)内で移動させて加熱炉3の中心と、光ファイバ母材10の中心とを合致させ、偏心のない状態で配置する。次いで、CCDカメラ16を加熱炉3の真下から上方に向けて設置し、透明なシャッタ13を介して加熱炉3内の光ファイバ母材10を写し、図5に示すような補正用光ファイバ母材画像を得る。
【0040】
図6に示すように、CCDカメラ16を反射鏡15に対向させ、線引きされる光ファイバ14から離間した所定の位置に設置し直し、反射鏡15に写された光ファイバ母材10の像を観察できるようにする。次いで、加熱炉3で光ファイバ母材10を加熱し延伸させて、光ファイバ14をシャッタ13の開口部13aから引き出して線引きを行う。この時、CCDカメラ16は、図7に示すように、反射鏡15に写された光ファイバ母材10の縮径部10bを映し出す。
【0041】
コンピュータ装置(制御手段)は、線引作業に先立って得られた補正用光ファイバ母材画像(図5参照)を参照しながら、CCDカメラ16によって観察された画像(図7参照)を基に、変形した縮径部10bの中心位置を求め、縮径部10bの中心をヒータ11の中心に合致させるように光ファイバ母材10を移動させる(実施例1)。あるいは、CCDカメラ16によって観察された画像(図7参照)を基に、縮径部10bの片減りを画像の歪みとして検出し、光ファイバ母材10を光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向に歪んだ分だけ移動させて、ヒータ11と縮径部10bの中心を合致させるように制御する(実施例2)。
【0042】
得られた光ファイバ14に関して、光ファイバの非円率εと光ファイバ14の長さとの関係グラフを図11に、コア偏心量Eと光ファイバ14の長さとの関係グラフを図12にそれぞれ示す。
【0043】
ここで、光ファイバの非円率εとは、光ファイバ14の断面の真円からのずれを表し、D1を楕円近似により求めた長径値、D2を楕円近似により求めた短径値とすると、下記の式で定義される。
【0044】
【数1】
【0045】
(比較例)
前記した光ファイバ線引装置1の検出手段4を作動させず、線引中に光ファイバ母材をその軸と垂直な方向に移動させなかった以外は、実施例と同様に光ファイバを製造する。
得られた光ファイバに関して、光ファイバの非円率εと光ファイバの長さとの関係グラフを図11に、コア偏心量Eと光ファイバの長さとの関係グラフを図12にそれぞれ示す。
【0046】
図11に示すように、実施例1では、光ファイバの長さに関係なく、非円率εは約0.05%(標準偏差:0.02%以下)と、極めて小さな値となるのに対して、比較例では、光ファイバの非円率εは最大約0.2%となる。
また、図12に示すように、実施例2では、光ファイバの長さに関係なく、0.05μm以下(標準偏差:0.02μm以下)の極めて小さな偏心量Eに抑制されるのに対して、比較例では、コア偏心量E(図8(C)参照)は、光ファイバの長さと共に増大し、ファイバ長手方向距離1000kmにおいて最大0.28μmとなる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、外径の非円率及びコアの偏心を低減できる光ファイバを製造可能な光ファイバ線引方法及び光ファイバ線引装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る光ファイバ線引装置の要部断面斜視図である。
【図2】把持機構によって光ファイバ母材が加熱炉内に把持された状態を示す縦断面図である。
【図3】把持機構の構成を示す平面図である。
【図4】線引前に観察装置で光ファイバ母材を加熱炉の真下から観察して補正画像を得る状態を示す光ファイバ線引装置の正面図である。
【図5】図4に示す観察装置によって得られた補正用光ファイバ母材画像である。
【図6】線引中の光ファイバ線引装置の正面図である。
【図7】図6に示す観察装置によって得られた線引中の光ファイバ母材の画像である。
【図8】光ファイバ母材の片減りによって偏心したコアの状態を示し、(A)は片減りのない光ファイバ母材の正面図、(B)片減りした光ファイバ母材の正面図、(C)はコアが偏心した光ファイバの拡大横断面図である。
【図9】変形例に係る光ファイバ線引装置の要部断面斜視図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係る光ファイバ線引装置の要部断面斜視図である。
【図11】光ファイバの非円率εと光ファイバの長さとの関係グラフである。
【図12】コア偏心量Eと光ファイバの長さとの関係グラフである。
【符号の説明】
1,20,30 光ファイバ線引装置
2 把持機構
3 加熱炉
10 光ファイバ母材
10b 縮径部
14 光ファイバ
15,25 反射鏡(検出手段)
16 CCDカメラ(観察装置)
31 光ファイバ位置検出装置(検出手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ線引方法及び光ファイバ線引装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光ファイバ線引装置としては、例えば、光ファイバ母材を加熱軟化させて線引きする線引き炉であって、線引き炉の炉心管延長部を光ファイバの温度が軟化点以下の温度に冷却されるのに充分な長さとなるように設定したものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2787983号公報(第2−3頁、第1図)
【0004】
特許文献1には、光ファイバへのダストの付着及び外径の変動を低減させて、強度の大きな光ファイバを製造する線引き炉及び線引き方法について記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ファイバは、接続時の軸ずれや接続損失を低減させるために、光ファイバ外径の非円率や光ファイバコアの偏心を極力小さくすることが要求されている。非円率及びコアの偏心をできるだけ少なくするためには、線引中において、所望の温度分布状態が経時的に安定するように、光ファイバ母材を加熱することが重要であると考えられる。
【0006】
しかし、光ファイバ母材は実際には少々曲がっている等、完全に真直ぐな棒ではない。したがって光ファイバの線引き中に、光ファイバ母材が線引き炉の中心を外れてしまうことがある。その場合、線引きが行われている時間の全てにわたって、光ファイバ母材の温度分布状態を均一にすることは困難であり、光ファイバの非円率及びコアの偏心を低減させるためには、更に改善の余地があった。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外径の非円率及びコアの偏心を低減できる光ファイバを製造可能な光ファイバ線引方法及び光ファイバ線引装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光ファイバ線引方法は、光ファイバ母材を加熱軟化させて線引きする光ファイバ線引方法であって、光ファイバ母材の縮径部の位置の変位又は形状の変化を検出し、縮径部の位置又は形状が所定の位置又は所定の形状となるように光ファイバ母材を光ファイバ母材の軸方向に対して直交する方向に移動させる。
【0009】
好ましくは、光ファイバ母材の縮径部の位置又は形状の検出は、加熱炉の下方に配置された反射鏡に写された縮径部の像により行う。
【0010】
また好ましくは、光ファイバ母材の前記縮径部の位置又は形状の検出は、加熱炉の直下における光ファイバの位置を検出することにより行う。
【0011】
本発明に係る光ファイバ線引装置は、光ファイバ母材を加熱軟化させて線引きする光ファイバ線引装置であって、光ファイバ母材を移動可能に把持する把持機構と、把持機構によって把持された光ファイバ母材を加熱して軟化させる加熱炉と、加熱炉内の前記光ファイバ母材の縮径部の位置又は形状を検出する検出手段と、検出手段によって検出された縮径部の位置又は形状に基づいて光ファイバ母材を光ファイバ母材の軸方向に対して直交する方向で移動させるように把持機構に指令する制御手段とを備える。
【0012】
好ましくは、検出手段は、加熱炉の下方に配置された反射鏡と、反射鏡に写された縮径部の像を観察する観察装置とを有する。
【0013】
また好ましくは、検出手段は、加熱炉の直下における前記光ファイバの位置を検出する光ファイバ位置検出装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
(第一実施形態)
先ず、本発明の第一実施形態に係る光ファイバ線引装置について説明する。
図1の光ファイバ線引装置の要部断面斜視図、図2の把持機構によって光ファイバ母材が加熱炉内に把持された状態を示す縦断面図、及び、図3の把持機構の構成を示す平面図に示すように、本発明の第一実施形態である光ファイバ線引装置1は、把持機構2と、加熱炉3と、検出手段4と、制御手段(図示せず)とを備えている。図2及び図3に示すように、把持機構2は、把持部9に把持された光ファイバ母材10を、光ファイバ母材10の軸方向及びこの軸方向に対して直交する方向に移動させるためのものであって、基台(図示せず)に垂直に固定されたボールねじ5に螺合して、上下方向に移動可能とされたアーム6が、水平に配設されている。アーム6には、第1駆動装置(図示せず)が内蔵された移動アーム8が、このアーム6の軸方向に沿って移動可能に配設され、更に、移動アーム8には、第2駆動装置(図示せず)が内蔵された把持部9が、移動アーム8の軸方向に沿って移動可能に配設されている。把持部9は、ボールねじ5、第1駆動装置及び第2駆動装置を作動させることによって、上端部10aを把持した棒状の光ファイバ母材10を、その軸方向(図2において上下方向)及び軸線に対して直交する方向(図3において紙面と平行方向)に移動できるようになっている。
【0016】
図1及び図2に示すように、加熱炉3は、把持部9によって把持された光ファイバ母材10を加熱するためのものであって、炉体12内に、中空円筒状の発熱体であるヒータ11が配置されている。炉体12がヒータ11の下方に延設されて形成された下部煙突12aの下端には、シャッタ13が配置されている。シャッタ13の中央には、開口部13aが設けられており、この開口部13aから線引された光ファイバ14を引き出すようになっている。シャッタ13は、透明な材料によって形成されており、このシャッタ13を透過して加熱炉3内に配置された光ファイバ母材10を視認することができる。
【0017】
図1に示すように、検出手段4は、加熱炉3内に配置された光ファイバ母材10の縮径部10bを観察するためのものであって、本実施形態においては、反射鏡15と観察装置であるCCDカメラ16とから構成されている。反射鏡15は、線引された光ファイバ14に近接し、この光ファイバ14の軸線に対して所定の角度傾けられた状態で、加熱炉3の下方に配置されており、透明なシャッタ13を介して加熱炉3内の光ファイバ母材10を写すようになっている。CCDカメラ16は、反射鏡15に向けて配置され、反射鏡15に写った光ファイバ母材10の画像を観察できるように配置されている。
【0018】
制御手段は、中央演算処理装置やROM,RAM等の記憶装置等を備えたコンピュータ装置(図示せず)であって、把持機構2、加熱炉3(ヒータ11)及びCCDカメラ16等に電気的に接続され、それらの装置を所定の手順に従って制御するようになっている。
【0019】
次に、光ファイバ線引装置の変形例を、光ファイバ線引装置の要部断面斜視図である図9を参照して説明する。なお、以下の説明において、図1〜図3において既に説明した部材については、図中に同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化あるいは省略する。
【0020】
変形例の光ファイバ線引装置20は、反射鏡25の形状だけが異なり、他の部材は第一実施形態の光ファイバ線引装置1と同様に構成されている。反射鏡25は、略中央にスリット25aが形成されている。線引きされる光ファイバ14が、スリット25a中を通過して線引きされるように反射鏡25を配置することにより、反射鏡25を加熱炉3の真下に位置させることを可能としている。
【0021】
反射鏡25は、線引きされる光ファイバ14の軸線に対して45°傾斜した状態で加熱炉3の真下に配置され、また、CCDカメラ16は、反射鏡25に対向して水平方向に向けて配置されている。これによって、光ファイバ14が障害となることなく、光ファイバ母材10を加熱炉3の真下からの観察することができる。また、第一実施形態の光ファイバ線引装置1の反射鏡15によって得られる光ファイバ母材10の画像は、光ファイバ母材10を斜め下方から見た画像となるのに対して、反射鏡25によって得られる光ファイバ母材10の画像は、光ファイバ母材10を、その軸線上から見た画像となる。
【0022】
次に、本発明の実施形態に係る光ファイバ線引方法について説明する。本発明の実施形態の光ファイバ線引方法は、先ず、前記した第一実施形態の光ファイバ線引装置を使用することにより好適に実施できる。すなわち、本発明の実施形態の光ファイバ線引方法は、光ファイバ母材10を加熱軟化させて線引きする光ファイバ線引方法であって、光ファイバ母材10の縮径部10bの位置の変位又は形状の変化を検出し、縮径部10bの位置又は形状が、所定の位置又は所定の形状となるように光ファイバ母材10を光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向に移動させる方法である。
【0023】
以下、本発明の実施形態の光ファイバ線引方法の手順を詳細に説明する。
先ず、図2及び図4(線引前に観察装置で光ファイバ母材を加熱炉の真下から観察して補正画像を得る状態を示す光ファイバ線引装置の正面図)に示すように、ボールねじ5を作動して把持部9に把持させた光ファイバ母材10を加熱炉3内に挿入した後、把持機構2によって把持部9を水平面(図3参照)内で移動させて加熱炉3の中心と、光ファイバ母材10の中心とを合致させ、偏心のない状態で配置する。次いで、CCDカメラ16を加熱炉3の真下から上方に向けて設置し、透明なシャッタ13を介して加熱炉3内の光ファイバ母材10を写し、図5に示すような補正用光ファイバ母材画像を得る。この補正用光ファイバ母材画像においては、光ファイバ母材10の外径部とヒータ11の内径部は、同心円となっている。
【0024】
線引中の光ファイバ線引装置の正面図である図6に示すように、CCDカメラ16を反射鏡15に対向させ、線引きされる光ファイバ14から離間した所定の位置に設置し直し、反射鏡15に写された光ファイバ母材10の像を観察できるようにする。次いで、加熱炉3で光ファイバ母材10を加熱し延伸させて、光ファイバ14をシャッタ13の開口部13aから引き出して線引きを行う。この時、CCDカメラ16は、図7に示すように、反射鏡15に写された光ファイバ母材10の縮径部10bを映し出す。
【0025】
図8(A)に示すように、線引初期においては光ファイバ母材10の中心から光ファイバ14が線引きされるが、線引きの進行に伴って光ファイバ母材10の片減りが発生し(図8(B)参照)、光ファイバ14が光ファイバ母材10の中心から偏心した状態で線引きされるようになる。図8(C)に示すように、光ファイバ母材10の中心から偏心して線引された光ファイバ14のコア14aは、光ファイバ14の中心から偏心(コア偏心量:E)する確率が極めて高い。
【0026】
片減りとは、光ファイバ母材10の溶融部の熱的不均一により、光ファイバ母材10の周方向に溶け易い部分と溶け難い部分が発生して、光ファイバ母材10の縮径部10bの形状が変形することであり、縮径部10bの中心ずれ、即ちコア14aの偏心の一因となる。
【0027】
片減りした縮径部10bは、反射鏡15を介してCCDカメラ16によって観察されているので、コンピュータ装置(制御手段)は、線引作業に先立って得られた補正用光ファイバ母材画像(図5参照)を参照して、縮径部10bの位置の変位又は形状の変化を検出し、そのずれを補正するように把持機構2の第1駆動装置及び第2駆動装置に駆動指令信号を発する。
【0028】
ここで、反射鏡15は、光ファイバ14の走行を阻害しないように、光ファイバ14の走行路からずれて配置されているので、光ファイバ母材10の画像データは、反射鏡15のずれた角度(θ)に基づいて、反射鏡15の傾斜に沿った方向にゆがんでいる。また、光ファイバ母材10の画像データは、反射鏡15とCCDカメラ16とがなす角(φ)が90°でない場合にもゆがむ。よって、通常、光ファイバ母材10の画像データは、前記反射鏡15のずれた角度(θ)、及び、反射鏡15とCCDカメラ16とがなす角(φ)に基づいて、ゆがみ量が適宜補正されて、補正用光ファイバ母材画像と比較される。
【0029】
第1駆動装置及び第2駆動装置は、駆動指令信号に従って把持部9に把持された光ファイバ母材10を光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向に移動させる。具体的には、コンピュータ装置は、CCDカメラ16によって観察された画像(図7参照)を基に、例えば、変形した縮径部10bの中心位置を求め、縮径部10bの中心をヒータ11の中心に合致させるように光ファイバ母材10を移動させる。あるいは、縮径部10bの片減りを画像の歪みとして検出し、光ファイバ母材10を、光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向として、光ファイバ母材10の中心と縮径部10bの中心とを結んだ線方向に対して直交する面内で縮径部10bがずれた方向と逆の方向に歪んだ分だけ移動させて、ヒータ11と縮径部10bの中心を合致させるように制御する。
【0030】
コンピュータ装置(制御手段)が、常に、縮径部10bの位置の変位又は形状の変化を補正するように制御することによって、光ファイバ母材10は、所望の温度分布状態が経時的に安定するように加熱される。従って、光ファイバ母材10が片減りして光ファイバ14が、光ファイバ母材10の中心から偏心した状態で線引きされる虞れを低減でき、非円率及びコアの偏心の小さい光ファイバ14を線引きすることができる。
【0031】
また、本発明の実施形態の光ファイバ線引方法は、変形例に示す光ファイバ線引装置20を使用することによっても好適に実施できる。
図9に示すように、光ファイバ線引装置20は、反射鏡25にスリット25aが形成されているので、光ファイバ14を線引中でも反射鏡25を加熱炉3の真下に設置することが可能となる。具体的には、反射鏡25を加熱炉3の中心線上からずれた退避位置に退避させておき、ヒータ11に通電して加熱炉3内の光ファイバ母材10を加熱して軟化させる。線引開始時には、直径数mm〜20mm程度の光ファイバ母材の塊が、シャッタ13の開口部13aから出てくる。この塊が反射鏡25の設置位置より下方に落下し、線引きされた光ファイバ14の直径がスリット25aの幅より小さくなってから、スリット25aの幅内に光ファイバ14を通過させるようにして反射鏡25を移動させ、加熱炉3真下の所定位置に配置する。これによって、光ファイバ母材10の縮径部10bを加熱炉3の真下から観察することができ、縮径部10bの位置の変位及び形状の変化を精度良く検出することができる。
【0032】
なお、CCDカメラ16によって得られる縮径部10bの画像は、スリット25a部分が欠けた画像となるが、反射鏡25及びCCDカメラ16を加熱炉3の軸を中心として回動させることにより、スリット25aによる欠けのない完全な画像を得ることができ、より精度よく、縮径部10bの位置及び形状を検出することができる。その他の作用は、第一実施形態の光ファイバ線引装置1と同様であり、非円率及びコアの偏心の小さい光ファイバ14を線引きすることができる。
【0033】
また他の変形例として、観察装置としてCCDカメラの代わりにサーモトレーサ(図示せず)等の熱分布を検出可能な機器を用いることにより、縮径部10bの形状に代えて、縮径部10bの熱分布状態を検出してサーモグラフィを得るようにしてもよい。この場合、縮径部10bの熱分布状態が所望の状態(例えば、均一に加熱される状態)となるように、光ファイバ母材10を、光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向に移動させることによって、非円率及びコアの偏心の小さい光ファイバ14を線引きすることができる。なお、スリット25a付の反射鏡25を用いる場合には、反射鏡25とサーモトレーサを、加熱炉3の軸を中心として回動させることにより、スリット25aによる欠けのない完全なサーモグラフィを得ることができるのは、変形例に示した光ファイバ線引装置20と同様である。
【0034】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る光ファイバ線引装置について説明する。
図10の光ファイバ線引装置の要部断面斜視図に示すように、本発明の第二実施形態に係る光ファイバ線引装置30は、加熱炉3直下の側方に、検出手段として光ファイバ位置検出装置31が配置されている。光ファイバ位置検出装置31は、線引きされた光ファイバ14が加熱炉3の開口部13aから出た直後に、その位置(光ファイバ14の軸に直交する面内での位置)を検出するようになっている。
【0035】
光ファイバ位置検出装置31としては、光ファイバ14の位置がある程度変動しても検出できるように、例えば10mm程度の視野を有するものが望ましく、レーザビーム等を照射して測定する外径測定装置やCCDカメラ等が例示される。
その他の部分については、本発明の第一実施形態の光ファイバ線引装置1と同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
本発明の実施形態に係る光ファイバ線引方法は、本発明の第二実施形態に係る光ファイバ線引装置30を使用することによっても好適に実施できる。
すなわち、光ファイバ線引装置30において、光ファイバ位置検出装置31で線引初期における光ファイバ14の位置を検出しておき、線引中の光ファイバ14の位置と比較し、光ファイバ14の初期位置からのずれ量を求め、把持機構2を作動させて光ファイバ14の位置を初期位置に戻すよう光ファイバ母材10を移動させる。これによって、光ファイバ母材10を所望の温度分布状態が経時的に安定するように加熱できるので、非円率及びコアの偏心の小さい光ファイバ14を線引きすることができる。
【0037】
なお、光ファイバ位置検出装置31を加熱炉3の直下(約100mm)に配置し、光ファイバ14が開口部13aから出た直後に光ファイバ14の位置を検出するようにしたのは、光ファイバ14が加熱炉3から離間した位置では、横方向に振動する可能性が大きく、該振動の影響を受けて光ファイバ14の位置を精度良く検出することが困難となるからである。
【0038】
以上に説明したように、本発明の第一及び第二実施形態に係る光ファイバ線引装置によれば、線引中において、所望の温度分布状態が経時的に安定するように光ファイバ母材を加熱できるので、外径の非円率及びコアの偏心を低減できる光ファイバを製造可能な光ファイバ線引装置とすることができる。
【0039】
【実施例】
(実施例)
前記した光ファイバ線引装置1を使用して、図4に示すように、ボールねじ5を作動して把持部9に把持させた光ファイバ母材10を加熱炉3内に挿入した後、把持機構2によって把持部9を水平面(図3参照)内で移動させて加熱炉3の中心と、光ファイバ母材10の中心とを合致させ、偏心のない状態で配置する。次いで、CCDカメラ16を加熱炉3の真下から上方に向けて設置し、透明なシャッタ13を介して加熱炉3内の光ファイバ母材10を写し、図5に示すような補正用光ファイバ母材画像を得る。
【0040】
図6に示すように、CCDカメラ16を反射鏡15に対向させ、線引きされる光ファイバ14から離間した所定の位置に設置し直し、反射鏡15に写された光ファイバ母材10の像を観察できるようにする。次いで、加熱炉3で光ファイバ母材10を加熱し延伸させて、光ファイバ14をシャッタ13の開口部13aから引き出して線引きを行う。この時、CCDカメラ16は、図7に示すように、反射鏡15に写された光ファイバ母材10の縮径部10bを映し出す。
【0041】
コンピュータ装置(制御手段)は、線引作業に先立って得られた補正用光ファイバ母材画像(図5参照)を参照しながら、CCDカメラ16によって観察された画像(図7参照)を基に、変形した縮径部10bの中心位置を求め、縮径部10bの中心をヒータ11の中心に合致させるように光ファイバ母材10を移動させる(実施例1)。あるいは、CCDカメラ16によって観察された画像(図7参照)を基に、縮径部10bの片減りを画像の歪みとして検出し、光ファイバ母材10を光ファイバ母材10の軸方向に対して直交する方向に歪んだ分だけ移動させて、ヒータ11と縮径部10bの中心を合致させるように制御する(実施例2)。
【0042】
得られた光ファイバ14に関して、光ファイバの非円率εと光ファイバ14の長さとの関係グラフを図11に、コア偏心量Eと光ファイバ14の長さとの関係グラフを図12にそれぞれ示す。
【0043】
ここで、光ファイバの非円率εとは、光ファイバ14の断面の真円からのずれを表し、D1を楕円近似により求めた長径値、D2を楕円近似により求めた短径値とすると、下記の式で定義される。
【0044】
【数1】
【0045】
(比較例)
前記した光ファイバ線引装置1の検出手段4を作動させず、線引中に光ファイバ母材をその軸と垂直な方向に移動させなかった以外は、実施例と同様に光ファイバを製造する。
得られた光ファイバに関して、光ファイバの非円率εと光ファイバの長さとの関係グラフを図11に、コア偏心量Eと光ファイバの長さとの関係グラフを図12にそれぞれ示す。
【0046】
図11に示すように、実施例1では、光ファイバの長さに関係なく、非円率εは約0.05%(標準偏差:0.02%以下)と、極めて小さな値となるのに対して、比較例では、光ファイバの非円率εは最大約0.2%となる。
また、図12に示すように、実施例2では、光ファイバの長さに関係なく、0.05μm以下(標準偏差:0.02μm以下)の極めて小さな偏心量Eに抑制されるのに対して、比較例では、コア偏心量E(図8(C)参照)は、光ファイバの長さと共に増大し、ファイバ長手方向距離1000kmにおいて最大0.28μmとなる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、外径の非円率及びコアの偏心を低減できる光ファイバを製造可能な光ファイバ線引方法及び光ファイバ線引装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る光ファイバ線引装置の要部断面斜視図である。
【図2】把持機構によって光ファイバ母材が加熱炉内に把持された状態を示す縦断面図である。
【図3】把持機構の構成を示す平面図である。
【図4】線引前に観察装置で光ファイバ母材を加熱炉の真下から観察して補正画像を得る状態を示す光ファイバ線引装置の正面図である。
【図5】図4に示す観察装置によって得られた補正用光ファイバ母材画像である。
【図6】線引中の光ファイバ線引装置の正面図である。
【図7】図6に示す観察装置によって得られた線引中の光ファイバ母材の画像である。
【図8】光ファイバ母材の片減りによって偏心したコアの状態を示し、(A)は片減りのない光ファイバ母材の正面図、(B)片減りした光ファイバ母材の正面図、(C)はコアが偏心した光ファイバの拡大横断面図である。
【図9】変形例に係る光ファイバ線引装置の要部断面斜視図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係る光ファイバ線引装置の要部断面斜視図である。
【図11】光ファイバの非円率εと光ファイバの長さとの関係グラフである。
【図12】コア偏心量Eと光ファイバの長さとの関係グラフである。
【符号の説明】
1,20,30 光ファイバ線引装置
2 把持機構
3 加熱炉
10 光ファイバ母材
10b 縮径部
14 光ファイバ
15,25 反射鏡(検出手段)
16 CCDカメラ(観察装置)
31 光ファイバ位置検出装置(検出手段)
Claims (6)
- 光ファイバ母材を加熱軟化させて線引きする光ファイバ線引方法であって、
前記光ファイバ母材の縮径部の位置の変位又は形状の変化を検出し、前記縮径部の位置又は形状が所定の位置又は所定の形状となるように前記光ファイバ母材を前記光ファイバ母材の軸方向に対して直交する方向に移動させる光ファイバ線引方法。 - 前記光ファイバ母材の前記縮径部の位置又は形状の検出は、前記加熱炉の下方に配置された反射鏡に写された前記縮径部の像により行うことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ線引方法。
- 前記光ファイバ母材の前記縮径部の位置又は形状の検出は、前記加熱炉の直下における前記光ファイバの位置を検出することにより行うことを特徴とする請求項1に記載した光ファイバ線引方法。
- 光ファイバ母材を加熱軟化させて線引きする光ファイバ線引装置であって、
前記光ファイバ母材を移動可能に把持する把持機構と、前記把持機構によって把持された前記光ファイバ母材を加熱して軟化させる加熱炉と、前記加熱炉内の前記光ファイバ母材の縮径部の位置又は形状を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記縮径部の位置又は形状に基づいて前記光ファイバ母材を前記光ファイバ母材の軸方向に対して直交する方向で移動させるように前記把持機構に指令する制御手段とを備える光ファイバ線引装置。 - 前記検出手段は、前記加熱炉の下方に配置された反射鏡と、前記反射鏡に写された前記縮径部の像を観察する観察装置とを有する請求項4に記載の光ファイバ線引装置。
- 前記検出手段は、前記加熱炉の直下における前記光ファイバの位置を検出する光ファイバ位置検出装置である請求項4に記載の光ファイバ線引装置。
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Cited By (2)
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-
2002
- 2002-11-18 JP JP2002333980A patent/JP2004168571A/ja active Pending
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