JP2004168563A - 廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃ガラスのみを活用し、加圧成形などの成形工程を必要としない簡便な方法により、ガラス本来のもつ透光性や風合いを活かした、建材,縁石,装飾用などに好適な高付加価値の透光性耐火タイルを製造する方法を提供する。
【解決手段】(1)廃ガラスを粉砕し、3メッシュ〜16メッシュに粒度調整する工程、(2)耐火性型枠の内側に離型材を塗布する工程、(3)前記離型材を塗布した耐火性型枠内に、前記(1)の工程で粒度調整された廃ガラスを充填する工程、(4)前記耐火性型枠内に充填された廃ガラスを750℃〜850℃の温度範囲で焼成する工程、よりなる廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】(1)廃ガラスを粉砕し、3メッシュ〜16メッシュに粒度調整する工程、(2)耐火性型枠の内側に離型材を塗布する工程、(3)前記離型材を塗布した耐火性型枠内に、前記(1)の工程で粒度調整された廃ガラスを充填する工程、(4)前記耐火性型枠内に充填された廃ガラスを750℃〜850℃の温度範囲で焼成する工程、よりなる廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物の一種である廃ガラス(使用済みのガラス瓶や板ガラスなどの廃ガラス)のみを有効に活用して、建材用,縁石用,装飾用などに供する透光性耐火タイルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
使用済みのガラス瓶や板ガラスなどの廃ガラスは、従来、一部がガラス用原料として再利用されているものの、その大部分は、廃棄物の一種として埋め立て処理されており、廃ガラスを有効に再利用することが困難であった。
【0003】
そのような状況を打開し、廃ガラスを有効活用する方法として、例えば、特許文献1(特開平9−77530号公報)には「廃ガラスと、フライアッシュ,高炉スラグ等の鉱物質微粉末とからなるガラス質硬化体の製造方法」が開示されている。
また、特許文献2(特開2000−44325号公報)には「ガラス屑粉末と、キラ及び粘土とからなる陶磁製タイルの製造方法」が、特許文献3(特開2000−256057号公報)には「ガラス瓶粉砕粒と、カオリナイト,ベントナイト,フライアッシュなどの粘土系粉体とからなるガラスタイルの製造方法」が、特許文献4(特開2001−181019号公報)には「廃ガラス、石炭灰、陶磁器屑の一種または二種以上と汚泥からなるタイルの製造方法」が、それぞれ開示されている。
【0004】
さらに、特許文献5(特開平6−9233号公報)には「ガラス粒体材料と合成樹脂とからなるガラスタイルの製造方法」が開示されており、また、特許文献6(特開2001−40103号公報)には「粒状ガラス片とPET樹脂を複合したブロックの製造方法」が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−77530号公報(請求項12〜16)
【特許文献2】
特開2000−44325号公報(請求項1)
【特許文献3】
特開2000−256057号公報(請求項1〜10)
【特許文献4】
特開2001−181019号公報(請求項6〜8)
【特許文献5】
特開平6−9233号公報(請求項1)
【特許文献6】
特開2001−40103号公報(請求項4〜5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特許文献1〜4に開示された方法は、いずれも、廃ガラスを粘土やスラグ,汚泥等と組み合わせることによってなされたものであり、ガラス以外のものと組み合わせることにより、本来ガラスが持つ透光性や風合いを活かすことができないという問題を有している。また、これらの方法はいずれも、金型による加圧成形の工程を必要とし、製造工程上も煩雑さを伴うものであった。
また、前記特許文献5,6に開示されている方法も、ガラスを合成樹脂やPET樹脂と組み合わせることにより、ガラス本来の持つ透光性や風合いを活かせないのみならず、金型成形,射出成形,研磨などの煩雑な製造工程を必要とするものであった。
【0007】
本発明は、上記のような状況を踏まえてなされたものであって、廃ガラスのみを活用し、加圧成形などの成形工程を必要としない簡便な方法により、ガラス本来のもつ透光性や風合いを活かした、建材,縁石,装飾用などに好適な高付加価値の透光性耐火タイルの製造方法を提供し、廃ガラスを有効に活用することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法は、上記目的を達成する手段として、
(1) 廃ガラスを粉砕し、3メッシュ〜16メッシュに粒度調整する工程と、
(2) 耐火性型枠の内側に離型材を塗布する工程と、
(3) 前記離型材を塗布した耐火性型枠内に、前記(1)の工程で粒度調整された廃ガラスを充填する工程と、
(4) 前記耐火性型枠内に充填された廃ガラスを、750℃〜850℃の温度範囲で焼成する工程と、
よりなることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を含めて、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明に係る廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法は、前記したとおり、第一の工程:(1)として、「廃ガラスを粉砕し、3メッシュ〜16メッシュに粒度調整する」ことを特徴とする。(なお、“3メッシュの粒度”とは、6.70mmの粒度であり、“16メッシュの粒度”とは、1.0mmの粒度である。)
ここで、廃ガラスの粒度を3メッシュ〜16メッシュに規定したのは、3メッシュ(6.70mm)を超える粗大な粒子を含む場合、型枠内へ充填したガラス粒子同士の接触点が少なくなり、焼成時の粒子間の焼結による結合が充分発達せず、出来上がった焼成体の機械的強度が充分に得られないという欠点を有すると共に、粗大な粒子を含むことにより、焼成中の焼結収縮に伴う歪が出やすくなり、亀裂発生の原因になるという欠点を有する。また、粒度が16メッシュ(1.0mm)未満の微粉を含む場合は、焼結性は良くなるものの、微粉を含むことにより、焼成体が失透状態となって充分な透光性を得られないという欠点がある。
【0011】
さらに、本発明に係る廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法は、第四の工程:(4)として、「耐火性型枠内に充填された廃ガラスを750℃〜850℃で焼成する」ことを特徴とする。
この焼成温度であるが、3メッシュ〜16メッシュに粒度調整した廃ガラスを用いる場合、750℃未満であれば、ガラス同士の焼結が充分に進行せず、焼成体の機械的強度が充分得られないか、あるいは、ほとんど強度を発現しない状況となる。また、焼結が充分に進行しない場合、焼成体が一体化しないため、透光性も不充分になるという不都合が生じる。一方、焼成温度が850℃を超えると、ガラスが溶融過多となり、完全に液相状態となり難いので、好ましくない。
充分な機械的強度とガラスの透光性,風合いを生かすための、より好ましい温度範囲としては、770℃〜830℃が好適である。
【0012】
本発明において、廃ガラス粉砕品を充填する型枠としては、“アルミナ含有量が40重量%以上のアルミナ−シリカ質耐火物”が望ましい。本耐火物には、ボーキサイト質,シリマナイト質,ムライト質,シャモット質などの定形,不定形耐火物が適用可能で、繰り返し使用することが可能である。一方、高珪酸質耐火物は、被焼成物と反応しやすく好ましくない。また、マグネシア質などの塩基性耐火物は、熱膨張が大きく、繰り返し使用には適さないので好ましくない。
【0013】
さらに、廃ガラス粉砕品を耐火性型枠に充填する際には、型枠の内面に離型材を塗布することが必須である。離型材が無い場合、ガラス粉砕物と型枠とが反応により固着して、良好な焼成体が得られないという結果となる。
離型材としては、アルミナ,ムライト,シャモット,カーボン,炭化珪素の中から選ばれた少なくとも1種以上で48メッシュ(0.3mm)以下の粉末を、水,アルコールなどの液状溶剤中に分散させたものが好適である。48メッシュ(0.3mm)を超える粉末を使用した場合、離型効果はあるものの、粒度が大きいため、焼成体裏面に凹凸ができ易く、また、溶剤中で沈降し易く分散しづらいなどの不都合があるので、好ましくない。
【0014】
溶剤中の粉末濃度は、特に規定するものではないが、重量比で溶剤100重量部に対し10〜70重量部が好ましく、そして、この粉末濃度に調整した離型材を、刷け塗り,スプレー塗布など自明の方法で、前記型枠の内側に塗布することができる。
また、離型材の塗布厚みについても特に規定するものではないが、ガラスの固着防止に充分な効果を得るためには、0.3mm以上の塗布厚みが好ましい。
【0015】
本発明において、廃ガラスの種類については、特に規定するものではなく、使用済みのガラス瓶や板ガラスなどを任意に使用することができる。
さらに、廃ガラスには、茶色,緑色,青色,無色透明など、さまざまな色目のものがあるが、本発明において、廃ガラスの色は特に規定するものではなく、単色の透光性タイル、あるいは、複数の色目の廃ガラスを任意の比率で混合した混色の透光性タイルなど、目的に応じてさまざまな意匠性を有した製品を作製することが可能である。
【0016】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例1〜6によって限定されるものではない。
【0017】
(実施例1〜6,比較例1〜5)
表1に、本発明の実施例1〜6および比較例1〜5を示す。
実施例1〜3は、緑色の廃ガラス瓶を粉砕,粒度調整し、3〜16M(Mは“メッシュ”、以下同じ),3〜4M,4〜6M,6〜16Mに各々篩い分けしたものを表1に示す配合(重量%)で混合し、同じく表1に示す型枠材料,離型材,焼成温度にて「180mm×180mm×20mm」の厚みのタイルに焼成したものである。また、実施例4〜6は、表1に示すように、緑色,青色,茶色,無色透明の混合ガラス屑を粉砕し、上記実施例1〜3と同様に、粒度調整し、篩分し、型枠内で焼成したものである。
比較例1〜5は、同じく表1に示すように、粒度調整し、篩分し、型枠内で焼成したものである。
【0018】
実施例1〜6,比較例1〜5で得られた各タイルについて、「焼成体強度」および「透光性」を測定し、その測定結果を次の基準に基づいて表1に併記した。
・「焼成体強度」の判断基準
○:タイルとして充分な強度を有する。
△:やや強度は弱いが、タイルとして使用可能。
×:全く強度を発現しないか、不充分。
・「透光性」の判断基準
○:充分な透光性を有する。
△:透光性は有するが、不充分。
×:失透状で、透光性を有しない。
【0019】
また、実施例1〜6,比較例1〜5で得られた各タイルについて、「焼成体の状況」を判断し、その結果を「良好」,「不良A(注1)」,「不良B(注2)」,「不良C(注3)」,「不良D(注4)」,「不良E(注5)」として、同じく表1に併記した。
注1:焼成体中に微細な亀裂を多数内包するため、強度不足でかつ透光性も不良。
注2:焼成体は、亀裂がなく充分な強度を有するが、透光性が不良。
注3:焼成体は、焼結不足で殆ど強度を発現せず強度不足。また、焼結不足で一体化していないため、透光性も不良。
注4:焼成体は、強度,透光性ともに充分であるが、完全溶融状態であり、不良。また、離型材層に浸透し、一部が溶融石英質型枠と反応,固着し、脱枠困難。
注5:焼成体は、強度,透光性ともに充分であるが、型枠と固着し脱枠困難で、不良。
【0020】
【表1】
【0021】
表1から、次のことが判った。
すなわち、実施例1〜6では、焼成体はいずれも、充分な強度および透光性を有し、照明によって多様な光沢を有する壁材や床材,門柱,採光窓,ランプシェードなどに好適なタイル状の焼成体を得ることができた。
【0022】
一方、比較例1では、実施例1〜3と同様に緑色の廃ガラス瓶を用いて3〜16Mの他に、2〜3Mの粒度の粉砕品を混合して同様のタイルを焼成したものであるが、得られた焼成体は、内部及び表面に多数の微細な亀裂を内包するため、透光性が不良であるとともに、衝撃に対する機械的強度も不充分なものであった。
また、比較例2は、同じく緑色の廃ガラス瓶で3〜16Mの他に、16M以下の微細粒を混合して同様のタイルを焼成したものであるが、得られた焼成体は、強度などは充分満足のいくものであったが、焼成体中に16M以下の微粉を含むため、所謂失透状態となり、透光性が不充分なものであった。
【0023】
さらに、比較例3及び4は、緑色廃ガラス瓶及び混合ガラス屑を3〜16Mに粉砕,粒度調整し、表1中の所定の型枠材料,離型材を用いて、それぞれ740℃,860℃にて焼成したものであるが、740℃焼成品(比較例3)は、焼結不足で殆ど強度が無いのみならず、焼成体が充分に一体化しておらず、透光性も不充分なものであった。また、860℃焼成品(比較例4)は、焼成体の強度,透光性は充分であるものの、ガラスが完全溶融状態となり、表面の風合いなどにおいて好ましくなく、完全に液相状となったガラスが離型材に浸透し、離型材と過度に反応すると共に、溶融石英質の型枠材とも反応して強固に固着し、脱枠不能であった。
【0024】
また、比較例5は、混合ガラス屑を3〜4M,4〜6M,6〜16Mに粉砕,篩分し、表1に示した所定の配合,型枠,焼成温度にて、型枠に離型材を塗布せずに焼成したものであるが、焼成体は、型枠と強固に固着し、脱枠困難であり、無理に脱枠しようとすると、焼成体の一部に欠けや亀裂が発生した。
【0025】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、廃ガラスのみを有効に活用して、元来ガラスが持つ透光性や風合いを活かした、建材,縁石,装飾用などに好適で、かつ高付加価値の透光性耐火タイルの製造が簡便な方法で可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物の一種である廃ガラス(使用済みのガラス瓶や板ガラスなどの廃ガラス)のみを有効に活用して、建材用,縁石用,装飾用などに供する透光性耐火タイルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
使用済みのガラス瓶や板ガラスなどの廃ガラスは、従来、一部がガラス用原料として再利用されているものの、その大部分は、廃棄物の一種として埋め立て処理されており、廃ガラスを有効に再利用することが困難であった。
【0003】
そのような状況を打開し、廃ガラスを有効活用する方法として、例えば、特許文献1(特開平9−77530号公報)には「廃ガラスと、フライアッシュ,高炉スラグ等の鉱物質微粉末とからなるガラス質硬化体の製造方法」が開示されている。
また、特許文献2(特開2000−44325号公報)には「ガラス屑粉末と、キラ及び粘土とからなる陶磁製タイルの製造方法」が、特許文献3(特開2000−256057号公報)には「ガラス瓶粉砕粒と、カオリナイト,ベントナイト,フライアッシュなどの粘土系粉体とからなるガラスタイルの製造方法」が、特許文献4(特開2001−181019号公報)には「廃ガラス、石炭灰、陶磁器屑の一種または二種以上と汚泥からなるタイルの製造方法」が、それぞれ開示されている。
【0004】
さらに、特許文献5(特開平6−9233号公報)には「ガラス粒体材料と合成樹脂とからなるガラスタイルの製造方法」が開示されており、また、特許文献6(特開2001−40103号公報)には「粒状ガラス片とPET樹脂を複合したブロックの製造方法」が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−77530号公報(請求項12〜16)
【特許文献2】
特開2000−44325号公報(請求項1)
【特許文献3】
特開2000−256057号公報(請求項1〜10)
【特許文献4】
特開2001−181019号公報(請求項6〜8)
【特許文献5】
特開平6−9233号公報(請求項1)
【特許文献6】
特開2001−40103号公報(請求項4〜5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特許文献1〜4に開示された方法は、いずれも、廃ガラスを粘土やスラグ,汚泥等と組み合わせることによってなされたものであり、ガラス以外のものと組み合わせることにより、本来ガラスが持つ透光性や風合いを活かすことができないという問題を有している。また、これらの方法はいずれも、金型による加圧成形の工程を必要とし、製造工程上も煩雑さを伴うものであった。
また、前記特許文献5,6に開示されている方法も、ガラスを合成樹脂やPET樹脂と組み合わせることにより、ガラス本来の持つ透光性や風合いを活かせないのみならず、金型成形,射出成形,研磨などの煩雑な製造工程を必要とするものであった。
【0007】
本発明は、上記のような状況を踏まえてなされたものであって、廃ガラスのみを活用し、加圧成形などの成形工程を必要としない簡便な方法により、ガラス本来のもつ透光性や風合いを活かした、建材,縁石,装飾用などに好適な高付加価値の透光性耐火タイルの製造方法を提供し、廃ガラスを有効に活用することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法は、上記目的を達成する手段として、
(1) 廃ガラスを粉砕し、3メッシュ〜16メッシュに粒度調整する工程と、
(2) 耐火性型枠の内側に離型材を塗布する工程と、
(3) 前記離型材を塗布した耐火性型枠内に、前記(1)の工程で粒度調整された廃ガラスを充填する工程と、
(4) 前記耐火性型枠内に充填された廃ガラスを、750℃〜850℃の温度範囲で焼成する工程と、
よりなることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を含めて、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明に係る廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法は、前記したとおり、第一の工程:(1)として、「廃ガラスを粉砕し、3メッシュ〜16メッシュに粒度調整する」ことを特徴とする。(なお、“3メッシュの粒度”とは、6.70mmの粒度であり、“16メッシュの粒度”とは、1.0mmの粒度である。)
ここで、廃ガラスの粒度を3メッシュ〜16メッシュに規定したのは、3メッシュ(6.70mm)を超える粗大な粒子を含む場合、型枠内へ充填したガラス粒子同士の接触点が少なくなり、焼成時の粒子間の焼結による結合が充分発達せず、出来上がった焼成体の機械的強度が充分に得られないという欠点を有すると共に、粗大な粒子を含むことにより、焼成中の焼結収縮に伴う歪が出やすくなり、亀裂発生の原因になるという欠点を有する。また、粒度が16メッシュ(1.0mm)未満の微粉を含む場合は、焼結性は良くなるものの、微粉を含むことにより、焼成体が失透状態となって充分な透光性を得られないという欠点がある。
【0011】
さらに、本発明に係る廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法は、第四の工程:(4)として、「耐火性型枠内に充填された廃ガラスを750℃〜850℃で焼成する」ことを特徴とする。
この焼成温度であるが、3メッシュ〜16メッシュに粒度調整した廃ガラスを用いる場合、750℃未満であれば、ガラス同士の焼結が充分に進行せず、焼成体の機械的強度が充分得られないか、あるいは、ほとんど強度を発現しない状況となる。また、焼結が充分に進行しない場合、焼成体が一体化しないため、透光性も不充分になるという不都合が生じる。一方、焼成温度が850℃を超えると、ガラスが溶融過多となり、完全に液相状態となり難いので、好ましくない。
充分な機械的強度とガラスの透光性,風合いを生かすための、より好ましい温度範囲としては、770℃〜830℃が好適である。
【0012】
本発明において、廃ガラス粉砕品を充填する型枠としては、“アルミナ含有量が40重量%以上のアルミナ−シリカ質耐火物”が望ましい。本耐火物には、ボーキサイト質,シリマナイト質,ムライト質,シャモット質などの定形,不定形耐火物が適用可能で、繰り返し使用することが可能である。一方、高珪酸質耐火物は、被焼成物と反応しやすく好ましくない。また、マグネシア質などの塩基性耐火物は、熱膨張が大きく、繰り返し使用には適さないので好ましくない。
【0013】
さらに、廃ガラス粉砕品を耐火性型枠に充填する際には、型枠の内面に離型材を塗布することが必須である。離型材が無い場合、ガラス粉砕物と型枠とが反応により固着して、良好な焼成体が得られないという結果となる。
離型材としては、アルミナ,ムライト,シャモット,カーボン,炭化珪素の中から選ばれた少なくとも1種以上で48メッシュ(0.3mm)以下の粉末を、水,アルコールなどの液状溶剤中に分散させたものが好適である。48メッシュ(0.3mm)を超える粉末を使用した場合、離型効果はあるものの、粒度が大きいため、焼成体裏面に凹凸ができ易く、また、溶剤中で沈降し易く分散しづらいなどの不都合があるので、好ましくない。
【0014】
溶剤中の粉末濃度は、特に規定するものではないが、重量比で溶剤100重量部に対し10〜70重量部が好ましく、そして、この粉末濃度に調整した離型材を、刷け塗り,スプレー塗布など自明の方法で、前記型枠の内側に塗布することができる。
また、離型材の塗布厚みについても特に規定するものではないが、ガラスの固着防止に充分な効果を得るためには、0.3mm以上の塗布厚みが好ましい。
【0015】
本発明において、廃ガラスの種類については、特に規定するものではなく、使用済みのガラス瓶や板ガラスなどを任意に使用することができる。
さらに、廃ガラスには、茶色,緑色,青色,無色透明など、さまざまな色目のものがあるが、本発明において、廃ガラスの色は特に規定するものではなく、単色の透光性タイル、あるいは、複数の色目の廃ガラスを任意の比率で混合した混色の透光性タイルなど、目的に応じてさまざまな意匠性を有した製品を作製することが可能である。
【0016】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例1〜6によって限定されるものではない。
【0017】
(実施例1〜6,比較例1〜5)
表1に、本発明の実施例1〜6および比較例1〜5を示す。
実施例1〜3は、緑色の廃ガラス瓶を粉砕,粒度調整し、3〜16M(Mは“メッシュ”、以下同じ),3〜4M,4〜6M,6〜16Mに各々篩い分けしたものを表1に示す配合(重量%)で混合し、同じく表1に示す型枠材料,離型材,焼成温度にて「180mm×180mm×20mm」の厚みのタイルに焼成したものである。また、実施例4〜6は、表1に示すように、緑色,青色,茶色,無色透明の混合ガラス屑を粉砕し、上記実施例1〜3と同様に、粒度調整し、篩分し、型枠内で焼成したものである。
比較例1〜5は、同じく表1に示すように、粒度調整し、篩分し、型枠内で焼成したものである。
【0018】
実施例1〜6,比較例1〜5で得られた各タイルについて、「焼成体強度」および「透光性」を測定し、その測定結果を次の基準に基づいて表1に併記した。
・「焼成体強度」の判断基準
○:タイルとして充分な強度を有する。
△:やや強度は弱いが、タイルとして使用可能。
×:全く強度を発現しないか、不充分。
・「透光性」の判断基準
○:充分な透光性を有する。
△:透光性は有するが、不充分。
×:失透状で、透光性を有しない。
【0019】
また、実施例1〜6,比較例1〜5で得られた各タイルについて、「焼成体の状況」を判断し、その結果を「良好」,「不良A(注1)」,「不良B(注2)」,「不良C(注3)」,「不良D(注4)」,「不良E(注5)」として、同じく表1に併記した。
注1:焼成体中に微細な亀裂を多数内包するため、強度不足でかつ透光性も不良。
注2:焼成体は、亀裂がなく充分な強度を有するが、透光性が不良。
注3:焼成体は、焼結不足で殆ど強度を発現せず強度不足。また、焼結不足で一体化していないため、透光性も不良。
注4:焼成体は、強度,透光性ともに充分であるが、完全溶融状態であり、不良。また、離型材層に浸透し、一部が溶融石英質型枠と反応,固着し、脱枠困難。
注5:焼成体は、強度,透光性ともに充分であるが、型枠と固着し脱枠困難で、不良。
【0020】
【表1】
【0021】
表1から、次のことが判った。
すなわち、実施例1〜6では、焼成体はいずれも、充分な強度および透光性を有し、照明によって多様な光沢を有する壁材や床材,門柱,採光窓,ランプシェードなどに好適なタイル状の焼成体を得ることができた。
【0022】
一方、比較例1では、実施例1〜3と同様に緑色の廃ガラス瓶を用いて3〜16Mの他に、2〜3Mの粒度の粉砕品を混合して同様のタイルを焼成したものであるが、得られた焼成体は、内部及び表面に多数の微細な亀裂を内包するため、透光性が不良であるとともに、衝撃に対する機械的強度も不充分なものであった。
また、比較例2は、同じく緑色の廃ガラス瓶で3〜16Mの他に、16M以下の微細粒を混合して同様のタイルを焼成したものであるが、得られた焼成体は、強度などは充分満足のいくものであったが、焼成体中に16M以下の微粉を含むため、所謂失透状態となり、透光性が不充分なものであった。
【0023】
さらに、比較例3及び4は、緑色廃ガラス瓶及び混合ガラス屑を3〜16Mに粉砕,粒度調整し、表1中の所定の型枠材料,離型材を用いて、それぞれ740℃,860℃にて焼成したものであるが、740℃焼成品(比較例3)は、焼結不足で殆ど強度が無いのみならず、焼成体が充分に一体化しておらず、透光性も不充分なものであった。また、860℃焼成品(比較例4)は、焼成体の強度,透光性は充分であるものの、ガラスが完全溶融状態となり、表面の風合いなどにおいて好ましくなく、完全に液相状となったガラスが離型材に浸透し、離型材と過度に反応すると共に、溶融石英質の型枠材とも反応して強固に固着し、脱枠不能であった。
【0024】
また、比較例5は、混合ガラス屑を3〜4M,4〜6M,6〜16Mに粉砕,篩分し、表1に示した所定の配合,型枠,焼成温度にて、型枠に離型材を塗布せずに焼成したものであるが、焼成体は、型枠と強固に固着し、脱枠困難であり、無理に脱枠しようとすると、焼成体の一部に欠けや亀裂が発生した。
【0025】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、廃ガラスのみを有効に活用して、元来ガラスが持つ透光性や風合いを活かした、建材,縁石,装飾用などに好適で、かつ高付加価値の透光性耐火タイルの製造が簡便な方法で可能となる。
Claims (3)
- (1)廃ガラスを粉砕し、3メッシュ〜16メッシュに粒度調整する工程と、
(2)耐火性型枠の内側に離型材を塗布する工程と、
(3)前記離型材を塗布した耐火性型枠内に、前記(1)の工程で粒度調整された廃ガラスを充填する工程と、
(4)前記耐火性型枠内に充填された廃ガラスを、750℃〜850℃の温度範囲で焼成する工程と、
よりなることを特徴とする廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法。 - 前記耐火性型枠が、アルミナ含有量40重量%以上のアルミナ・シリカ質耐火物からなる、請求項1に記載の廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法。
- 前記離型材が、アルミナ,ムライト,シャモット,カーボンおよび炭化珪素の中から選ばれた1種あるいは2種以上の48メッシュ以下の粉末を溶剤中に分散させたものからなる、請求項1に記載の廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2002333281A JP2004168563A (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 廃ガラスを利用した透光性耐火タイルの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006264999A (ja) * | 2005-03-22 | 2006-10-05 | Sekisui House Ltd | 装飾用ガラス焼結板及びその製造方法 |
CN106986526A (zh) * | 2017-05-23 | 2017-07-28 | 商洛学院 | 一种玻璃透水砖及其制备方法 |
-
2002
- 2002-11-18 JP JP2002333281A patent/JP2004168563A/ja active Pending
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