JP2004167584A - アルミニウム製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】最終製品の平面投影形状に近似した断面形状に鋳造されたアルミニウム合金からなる連続鋳造材を、その鋳込み方向と直角に且つ所定の厚みで切断して上記断面形状を有する板状の鍛造用素材W1を得る素材工程と、加熱した前記鍛造用素材W1を凹型(下型)16における製品の上記断面形状に近似したキャビティ18に挿入し、係るキャビティ18に上型12の上記断面形状に近似した凸型14を押し込む密閉鍛造法を施すことにより、得られる中間素材W2において最終製品の厚肉部に相当する厚肉部4aの体積を上記最終製品の厚肉部の体積よりも1.1倍以上大きくする熱間密閉鍛造工程と、を含む、アルミニウム製品の製造方法。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用サスペンション部品のようなアルミニウム合金からなり且つ肉厚差の大きなアルミニウム製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の燃費向上に寄与し且つ走行性能を高めるため、バネ下荷重を軽減すべく、これまでバネ下部材である例えばサスペンション部品の軽量化が進められてきた。係る軽量化に当たっては、アルミニウムまたはアルミニウム合金(以下、単にアルミニウムと称する)が適用され、これらを熱間型鍛造したサスペンション部品(例えば、アッパアーム、ロアアーム、ナックルなど)が製造されている。
係るサスペンション部品は、例えば押出加工により最終製品の平面投影形状に近似した断面形状のアルミニウム形材を製造し、これを押出方向と直交して一定の厚みで切断した板状の鍛造用素材を熱間鍛造することにより製造されていた。係る押出形材を鍛造する方法では、押出加工を行うので、その工数、加工エネルギ、および多量に生じるバリを削除するため、コストが嵩み且つ歩留まりが低い、という問題があった。
【0003】
上記の点を解決するため、近年では半連続鋳造法により最終製品の断面に近似したアルミニウム材(以下、異形連鋳材という)を鋳造し、これを一定の厚みで切断した板状の鍛造用素材を熱間鍛造する方法が行われている。これにより、鍛造時の塑性変形量が小さくても良いため、予備的加工が不要となり、歩留まりが向上する。
ところで、上記異形連鋳材(鋳塊)の表面には、酸化物や偏析層からなり表面欠陥層(通常、黒皮と称する)が数mmの厚みで生成されている。係る表面欠陥層が中間素材や最終製品に混入した場合、鍛造時に割れの原因となったり、強度不足の原因となる。しかし、表面欠陥層を切除するため、断面形状が複雑な異形連鋳材の表面付近を切削することは、困難でコスト高になる、という問題があった。
【0004】
上記問題を解決するため、図4(A)に示すように、表面欠陥層Sを表面に有する異形連鋳材を所定の厚みで切断した鍛造用素材Wを、最初の熱間鍛造において半密閉状の開放鍛造を行って、表面欠陥層Sをバリとして排出する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
即ち、凹部44およびフラッシュランド43を有する上型42と、凹部48およびフラッシュランド47を有する下型46とからなる開放鍛造装置40を用意し、下型46の受け部49に予め加熱した上記素材Wをセットした後、図4(A)中の矢印で示すように、上型42を下型46寄りに下降させる。
その結果、図4(B)に示すように、鍛造用素材Wは、凹部44,48の形状に倣った製品W1に塑性変形すると共に、互いに接近したフラッシュランド43,47の間から表面欠陥層S1を含む薄板状のバリが放射状に突出する。
【0005】
【特許文献1】
特許第2758029号公報 (第3〜4頁、第2図,第3図)
【0006】
【発明が解決すべき課題】
上記開放鍛造方法では、鍛造用素材が鍛造金型の外側に塑性流動するため、製品の厚肉部に相当する素材の部位における厚肉部に十分な肉寄せができず欠肉部を生じ易い。そのため、肉寄せしなくて良いように、鍛造用素材の厚みを製品の厚肉部に合わせて切断している。しかしながら、サスペンション部品のような厚肉部と薄肉部との差が大きな製品を鍛造する場合には、バリが一層多くなって、鍛造用素材の歩留まりが著しく低下すると共に、係る素材の重量が増加してコスト高になる、という問題があった。
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、例えばサスペンション部品のような厚肉部と薄肉部との差が大きな製品を精度良く安価に鍛造できるアルミニウム製品の製造方法を提供する、ことを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明は、上記課題を解決するため、異形連鋳材を所定の厚みで切断した素材を最初に密閉鍛造する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明のアルミニウム製品の製造方法(請求項1)は、最終製品の平面投影形状に近似した断面形状に鋳造されたアルミニウム合金からなる連続鋳造材を、その鋳込み方向と直角に且つ所定の厚みで切断して上記断面形状を有する板状の鍛造用素材を得る素材工程と、加熱した上記鍛造用素材を凹型における上記断面形状に近似したキャビティに挿入し、係るキャビティに上記断面形状に近似した凸型を押し込む密閉鍛造法を施すことにより、得られる中間素材において最終製品の厚肉部に相当する部位の厚肉部の体積を前記最終製品の厚肉部の体積よりも大きくする熱間密閉鍛造工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0008】
これによれば、上記鍛造素材は、密閉鍛造法によって最終製品の厚肉部に相当する部位の厚肉部の体積をかかる最終製品の厚肉部の体積よりも大きくした中間素材に成形される。このため、係る工程の後で施される半密閉鍛造(開放鍛造)による荒地および仕上げ鍛造において、最終製品の厚肉部に相当する素材の部位における厚肉部に積極的に肉寄せする必要がないので、鍛造素材の表面に付着していた表面欠陥層を比較的少ないバリと共に製品部分の外側に排除することができる。従って、健全な鍛造製品が確実に得られ、且つ鍛造用素材の厚みを薄くできるため、鍛造素材の歩留まりが向上するため、低コスト化にも寄与できる。
但し、特に必要とするものではないが、荒地鍛造や仕上げ鍛造で肉寄せが可能であれば、係る肉寄せを行うことが望ましい。
尚、前記連続鋳造材には、連続鋳造法および半連続鋳造法により得られる鋳塊が含まれる。また、前記製品の平面投影形状とは、平面視における最終製品の形状を指しており、係る形状を鋳込み方向とした半連続鋳造などにより得られる異形鋳造材(鋳塊)を、その鋳込み方向と直角に所定の厚みで切断することにより、前記鍛造用素材が得られる。
【0009】
また、本発明には、前記熱間密閉鍛造工程では、前記中間素材における最終製品の厚肉部に相当する部位における厚肉部の体積が最終製品における当該部位の体積よりも1.1倍以上大きくなる、アルミニウム製品の製造方法(請求項2)も含まれる。これによれば、中間素材における最終製品の厚肉部に相当する部位の厚肉部の体積は、最終製品における当該部位の体積よりも10%以上大きくなるように鍛造成形される。このため、その後における半密閉鍛造(開放鍛造)による荒地および仕上げ鍛造において、最終製品の厚肉部に相当する鍛造用素材の部位へ積極的に肉寄せを行うことなく、欠肉部を確実に防止することができる。従って、厚肉部と薄肉部との厚み差が大きなサスペンション部品などを精度および効率良く成形することができる。
尚、上記体積の倍率が1.1倍未満になると、上記厚肉部への肉寄せが不十分となって欠肉部が生じ得るため、係る範囲を除いたものである。望ましい上記倍率の上限は1.2〜約1.3倍である。また、係る体積の倍率は、密閉鍛造工程において得られる中間素材が凹型のキャビティ内に留まって成形されるため、ほぼ厚みとして置き換えることもできる。
【0010】
更に、本発明には、前記熱間密閉鍛造工程の後に、係る工程で得られた中間素材を一対の型からなる専用の半密閉鍛造型を用いて、熱間で荒地鍛造および仕上げ鍛造する熱間半密閉鍛造工程を有する、アルミニウム製品の製造方法(請求項3)も含まれる。これによれば、中間素材などで外側寄りに位置している表面欠陥層を比較的少ないバリと共に、製品部分の外側に確実に排除することも可能となる。従って、健全な製品を確実且つ安価に成形し得る。
尚、上記半密閉鍛造型は、一対の型からなる開放型を指す。また、上記熱間半密閉鍛造工程の後に、周囲に張り出したバリを除去するトリミング工程が行われ、これによって最終製品が得られる。
【0011】
加えて、本発明には、前記熱間密閉鍛造工程および熱間半密閉鍛造工程は、前記加熱した鍛造用素材に対して連続して行われる、アルミニウム製品の製造方法(請求項4)も含まれる。これによれば、予め再結晶温度以上に加熱した鍛造用素材を、熱間密閉鍛造工程と荒地鍛造および仕上げ鍛造を行う熱間半密閉鍛造工程とに連続して用いるため、1回の加熱(1ヒート)による複数回の熱間鍛造工程を省エネルギにして且つ成形精度良く行うことが可能となる。
尚、上記1ヒートによる複数の熱間鍛造工程を連続して行うため、熱間密閉鍛造用の凹型・凸型を含む密閉鍛造装置と荒地鍛造用および仕上げ鍛造用の半密閉(開放)鍛造型とを、互いに隣接(最も近い位置)して配置することが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1(A)は、本発明における素材工程を示す。即ち、図1(A)に示すように、最終製品である例えばアッパアームの平面投影形状に近似した断面形状であるほぼ人の字形に鋳造されたアルミニウムからなる異形連鋳材(連続鋳造材)1を公知の半連続鋳造などにより得る。次いで、係る異形連鋳材1を、その鋳込み方向である図1(A)で垂直方向と直角に且つ所定の厚みで切断(スライス)することにより、上記断面形状を有する板状の鍛造用素材W1が得られる。尚、上記所定の厚みとは、最終製品であるアッパアームの厚肉部の厚みよりも僅かに薄肉である。
【0013】
図1(B)は、鍛造用素材W1の平面図を示し、先端が半円形の半島部2、その基部3で連続し且つ左右のアール辺5と直線辺6との間に位置するほぼ三角形の本体部4、および凹部9を挟んで本体部4から突出する一対の凸部7,8を備えた平面視でほぼ人の字形を呈する。
係る鍛造用素材W1は、図1(C)に拡大して示すように、鋳込み方向に沿った表面に当該アルミニウムの合金成分の酸化物や偏析層からなり且つ表面欠陥を含む表面欠陥層(黒皮)Sが約2〜3mm厚みで位置している。係る表面欠陥層Sは、最終製品に残らないようにすることが必要である。
【0014】
図2(A),(B)は、前記鍛造用素材W1を鍛造装置10により熱間密閉鍛造する工程を示す。係る鍛造装置10は、図2(A)に示すように、上型12および下型(凹型)16を含み、下型16の上面には、最終製品の前記平面投影形状に近似したキャビティ18が形成され、上型12の底面には、係るキャビティ18内に進入可能で且つ上記平面投影形状にほぼ倣った凸型14が形成されている。また、キャビティ18および凸型14には、成形すべき中間素材に厚肉部および薄肉部を形成するための凹所や凸片が形成されている。
予め、再結晶温度(例えば、約500℃)以上に加熱した鍛造用素材W1を、図2(A)に示すように、下型16のキャビティ18に挿入した後、同図中の矢印で示すように、上型12を下型16寄りに接近するよう下降させる。
【0015】
その結果、図2(B)に示すように、下型16のキャビティ18内に上型12の凸型14が押し込まれる。同時に、鍛造用素材W1は、キャビティ18および凸型14の凹所や凸片に倣って塑性変形することで、中間素材W2に成形される。
図2(C)は、係る中間素材W2の断面図、図2(D)はその斜視図、図2(E)はその平面図を示す。図2(C)〜(E)に示すように、中間素材W2は、前記本体部4が変形した厚肉部4aとその内側の薄肉部4b、前記半島部2の先端に位置する半円形の厚肉部2a、前記凸部7,8が厚肉化した厚肉部7a,8a、および凹部9に沿った厚肉部9aと薄肉部9bを一体に有する。尚、半島部2の基部3は、該半島部2と厚肉部4aとが厚み方向にずれるよう僅かに曲げられている。
上記厚肉部2a、4a、7a、8a、9aは、最終製品の厚肉部に相当する部位であり、それらの体積は、最終製品におけるそれらのと同じ部位の体積よりも1.1倍以上大きくなるように熱間鍛造される。例えば、図2(C)に示すように、厚肉部4aの厚みTは、最終製品における同じ部位の厚みよりも約10%厚くされている。その他の厚肉部2a、7a、8a、9aの厚みも同様である。
【0016】
図3(A),(B)は、前記中間素材W2を半密閉鍛造型20により荒地鍛造する熱間半密閉鍛造(開放鍛造)する工程を示す。半密閉鍛造型20は、図3(A)に示すように、上型22および下型26を含み、上型22の底面にはフラッシュランド24およびこれに囲まれ且つ傾斜した型面23が形成され、下型26の傾斜した上面には中間素材W2の平面投影形状で且つ部分的に深い凹所を含むキャビティ28が形成されている。図3(A)に示すように、下型26のキャビティ28内に加熱状態の中間素材W2を挿入した後、図3(A)中の矢印で示すように、上型22を下降させて下型26に接近させる。
【0017】
その結果、図3(B)に示すように、下型26のキャビティ28内に上型22の型面23およびフラッシュランド24が押し込まれるため、中間素材W2は、これらに囲まれた形状に塑性変形され且つ周囲にバリbを張り出した中間素材W3となる(熱間半密閉鍛造工程における荒地鍛造)。
係る中間素材W3は、図3(C)に示すように、中央部にほぼ三角形の厚肉部4a、前記半島部2の先端に形成され且つほぼ半球形の凹みdを有する垂直な円柱形の厚肉部2b、前記厚肉部9aからの肉寄せにより水平な円柱形となった厚肉部7b,8b、および周囲に張り出したバリbを有している。係るバリbは、前記表面欠陥層Sをその外側寄りに含み且つ薄板状に張り出している。
【0018】
図3(D),(E)は、前記中間素材W3を半密閉鍛造型30により仕上げ鍛造する熱間半密閉鍛造(開放鍛造)する工程を示す。半密閉鍛造型30は、図3(D)に示すように、上型32および下型36を含み、上型32の底面にはフラッシュランド34およびこれに囲まれ且つ傾斜した型面33が形成され、下型36の傾斜した上面には中間素材W3の平面投影形状で且つ部分的に深い凹所を含むキャビティ38およびこれを囲むフラッシュランド37が形成されている。
図3(D)に示すように、下型36のキャビティ38内に加熱状態に保たれている中間素材W3の厚肉部4aなどを挿入した後、同図中の矢印で示すように、上型32を下型36寄りに下降させる。その結果、図3(E)に示すように、中間素材W3は、下型36のキャビティ38、上型32の型面33、およびフラッシュランド34,37に囲まれ且つ係る囲まれた形状に塑性変形されると共に、フラッシュランド34,37間からバリbが更に張り出した中間製品W4となる(熱間半密閉鍛造工程における仕上げ鍛造)。係るバリbの外側寄りに前記表面欠陥層Sが位置している。
【0019】
上記中間製品W4は、図3(F)の斜視図で示すように、前記厚肉部4aよりも僅かに薄くなり且つ緩くカーブした厚肉部4c、更に円柱形に近付いた厚肉部2c、7c,8c、およびこれらの周囲に更に張り出しバリbを有している。
上記中間製品W4のバリbを切除するトリミング工程を行うことによって、図3(G)に示すように、所望の3次元形状を有し且つ前記表面欠陥層Sを含まない最終製品(アルミニウム製品:アッパアーム)W5が得られる。
尚、半球形の凹みdは、垂直な円柱形の厚肉部2cにおいて、そ軸方向に沿った円形断面の貫通孔を追って穿設する際の位置決めとして活用される。
【0020】
最終製品W5において、円柱形を呈する厚肉部2c、7c,8cの周面や、ほぼ三角形を呈する厚肉部4cの出隅部には、それぞれ欠肉部がなく且つ所望の3次元形状に成形されている。これは、前記中間素材W2の厚肉部2a、4a、7a,8aが、最終製品W5の厚肉部2c、4c、7c,8cよりも1.1倍以上大きな体積を有するように予め密閉鍛造されているため、その後に施した荒地鍛造や仕上げ鍛造(熱間半密閉鍛造工程)によって所要の形状に圧縮加工されても、必要な肉寄せ(アルミニウムの塑性移動)が確実に行われたことによる。
従って、以上のような本発明のアルミニウム製品の製造方法によれば、健全な最終製品W5が確実に得られ且つ鍛造用素材W1の素材歩留まりが向上するため、低コスト化にも寄与することができる。
尚、前記密閉鍛造に用いる鍛造装置10に隣接して、前記半密閉(開放)鍛造型20,30を併設することにより、予め鍛造用素材W1を1回加熱するのみで、3種類の上記熱間鍛造工程を熱効率良く連続して行うことが可能となる。
【0021】
【実施例】
以下において、本発明の具体的な実施例について比較例と共に説明する。
表1に示す組成のアルミニウム合金(JIS:A6061に近似)を半連続鋳造して、前記図1(A)に示した異形連鋳材(連続鋳造材)1を得た。係る異形連鋳材1を540℃に8時間加熱する均質化処理した後、その鋳込み方向と直角に厚み30mmで切断(スライス)して、鍛造用素材W1を複数個得た。
【0022】
【表1】
【0023】
次に、上記複数個の鍛造用素材W1を520℃に加熱した。次いで、係る鍛造用素材W1の一部を前記図2(A)に示した鍛造装置10を用い、最終製品W5の厚肉部4c(図3(G)参照)における同じ位置の体積に対して、表2に示すように、0.9倍〜1.2倍の体積となるよう熱間密閉鍛造を行った後、前記半密閉鍛造型(開放鍛造型)20,30を用いた荒地および仕上げ鍛造を行った。これにより得られた中間製品W4を実施例1〜3、比較例1,2として10個ずつ得た。
【0024】
一方、上記鍛造用素材W1のうちの残りを、上記と同じ半密閉鍛造型20を用いると共に、最終製品W5の厚肉部4cにおける同じ位置の体積に対し、表2に示すように、0.9〜1.2倍の体積となるよう熱間開放(荒地)鍛造を行った後、更に上記と同じ半密閉鍛造型30により仕上げ鍛造を行った。これにより得られた中間製品W4を、比較例3〜7として10個ずつ得た。
各例ごとの10個ずつにつき、目視で欠肉部を有する中間製品W4の発生比を調べ、健全な中間製品W4の歩留まり(健全製品W4の体積/全素材W1の体積)を算出して、それぞれ表2に示した。
【0025】
【表2】
【0026】
表2によれば、厚肉部の前記体積倍率(比)が1.05倍の実施例1は、10個のうち7個に欠肉を生じたが、健全な製品での歩留まりは75.1%と高かった。また、厚肉部の前記体積倍率(比)が1.1倍の実施例2では、欠肉部有りが2個に減った。更に、厚肉部の前記体積倍率(比)が1.2倍の実施例3では、欠肉有りが全くなくなり、10個全てが健全な製品となった。
一方、比較例1,2は、10個の全てに欠肉部を生じた。このうち比較例1は、厚肉部の前記体積倍率(比)が0.9倍であったことに起因し、比較例2は、上記体積倍率(比)が1.0倍であったことに起因している。
【0027】
また、開放鍛造型20,30のみを用いた比較例3〜7では、表2に示すように、前記体積倍率(比)が0.9倍から1.2倍に高くなるに連れて、欠肉部有りの発生個数は10個から0個に低下した。これらは、肉寄せを十分にできなかったので、予め鍛造素材W1を厚肉にしなければならず、歩留まりが低下したものである。
以上のような実施例1〜3の結果、特に実施例2,3によれば、本発明の製造方法による効果が裏付けられたことが容易に理解されよう。
【0028】
本発明は、以上に説明した実施の形態および実施例に限定されるものでない。
例えば、本発明の対象となる鍛造製品には、前記アッパアームの他、ロアアーム、ナックルなどの自動車用サスペンション部品や、厚肉部と薄肉との差が大きな機械部品、動力伝達部品、電子機器部品なども含まれる。
また、前記鍛造用素材には、前記実施例以外のJIS:6000系のアルミニウム合金を適用することも可能である。
更に、前記熱間密閉鍛造工程は、2種類の密閉鍛造型を連続して用いて施すことも可能である。
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の素材工程を示す概略図、(B)はこれにより得られた鍛造用素材の平面図、(C)は(B)中の一点鎖線部分Cの拡大図。
【図2】(A),(B)は本発明の熱間密閉鍛造工程を示す概略図、(C),(D),(E)はこれにより得られた中間素材を示す断面図、斜視図、または平面図。
【図3】(A),(B)は本発明の熱間半密閉鍛造工程の荒地鍛造を示す概略図、(C)はこれにより得られた中間素材を示す斜視図、(D),(E)は上記鍛造工程の仕上げ鍛造を示す概略図、(F)はこれにより得られた中間製品を示す斜視図、(G)はこの中間製品をトリミングした最終製品を示す斜視図。
【図4】(A),(B)は従来の熱間半密閉鍛造工程を示す概略図。
【符号の説明】
1………………………………異形連鋳材(連続鋳造材)
2a,4a,7a,8a,9a…中間製品の厚肉部
2c,4c,7c,8c……最終製品の厚肉部
14……………………………凸型
16……………………………凹型
18……………………………キャビティ
20,30……………………半密閉鍛造型
W1……………………………鍛造用素材
W2……………………………中間素材
W5……………………………最終製品
Claims (4)
- 最終製品の平面投影形状に近似した断面形状に鋳造されたアルミニウム合金からなる連続鋳造材を、その鋳込み方向と直角に且つ所定の厚みで切断して上記断面形状を有する板状の鍛造用素材を得る素材工程と、
加熱した上記鍛造用素材を凹型における上記断面形状に近似したキャビティに挿入し、係るキャビティに上記断面形状に近似した凸型を押し込む密閉鍛造法を施すことにより、得られる中間素材において最終製品の厚肉部に相当する部位の厚肉部の体積を上記最終製品の厚肉部の体積よりも大きくする熱間密閉鍛造工程と、を含む、 ことを特徴とするアルミニウム製品の製造方法。 - 前記熱間密閉鍛造工程では、前記中間素材における最終製品の厚肉部に相当する部位における厚肉部の体積が最終製品における当該部位の体積よりも1.1倍以上大きくなる、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム製品の製造方法。 - 前記熱間密閉鍛造工程の後に、係る工程で得られた中間素材を一対の型からなる専用の半密閉鍛造型を用いて、熱間で荒地鍛造および仕上げ鍛造する熱間半密閉鍛造工程を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム製品の製造方法。 - 前記熱間密閉鍛造工程および熱間半密閉鍛造工程は、前記加熱した鍛造用素材に対して連続して行われる、
ことを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム製品の製造方法。
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