JP2004167419A

JP2004167419A - 排水処理装置

Info

Publication number: JP2004167419A
Application number: JP2002337973A
Authority: JP
Inventors: Katsuyuki Yanone; 勝行矢ノ根; Masumi Kobayashi; 真澄小林; Kenji Honjo; 賢治本城
Original assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Current assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date: 2002-11-21
Filing date: 2002-11-21
Publication date: 2004-06-17

Abstract

【課題】効果的に夾雑物を捕捉し、膜分離装置に夾雑物が絡み付いて洗浄性不良となることを防止し、長期にわたり安定した濾過処理を行うことのできる排水処理装置を提供すること
【解決手段】膜分離槽の内部に、上下方向が開放されたケーシング内部にシート状膜モジュールが複数個配された膜分離装置が配設され、該膜分離装置の下方に散気装置が配設され、該膜分離装置の上方に繊維状夾雑物捕捉手段が配設されてなる排水処理装置は、繊維状夾雑物捕捉手段に繊維状夾雑物が絡みつく結果、膜分離装置の膜部に繊維状夾雑物が絡み付くことにより下方からの散気が膜全体に行き渡らなくなることによる洗浄不良を、簡便な構成により効果的に防止し、長期にわたり安定した濾過処理を行うことが可能となる。
【選択図】図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下排水処理や産業排水処理における固液分離など、特に汚濁性の高い液体の濾過処理に用いられる排水処理装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、膜分離の技術は、無菌水、飲料水、高度純水の製造、空気の浄化等に数多く使用されてきたが、これらの用途に加えて、近年では、下水処理場における２次処理、３次処理や、浄化槽における固液分離、産業排水中の懸濁物質の固液分離など、高汚濁性水の処理用途に用いられるようになっている。
【０００３】
排水中には毛髪類や繊維状物が含まれ、特に洗濯排水には比較的長い糸屑等が含まれている。これらの繊維状夾雑物が分離膜に絡み付くと、分離膜全体への散気による洗浄が不均一となり、濾過流量の低下や膜間差圧の上昇が生じる。このような状態を防止する手段として、膜分離装置と散気装置との間に夾雑物の捕捉手段を設けた排水処理装置が提案されている（特許文献１参照）。
【０００４】
しかしながら、上述した手段においては、時間経過にともない排水中の夾雑物が捕捉され、捕捉手段自体が目詰まりを起こす。その結果、捕捉手段によって散気が遮られ、分離膜全体への均一な散気ができなくなる。そして、濾過流量の低下や、膜間差圧の上昇という問題が生じる。
【０００５】
また、メンテナンスを行う場合、膜分離装置全体を槽外へ出す必要があり、膜分離装置休止に伴って濾過を中断することから、それに係る時間、費用が余分に発生する問題がある。
【０００６】
【特許文献１】
特開平９−４７７６２号公報
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、より効果的に夾雑物を捕捉し長期にわたり安定した濾過処理を行うことのできる排水処理装置を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、膜分離槽の内部に、上下方向が開放されたケーシング内部にシート状膜モジュールが配された膜分離装置が配設され、該膜分離装置の下方に散気装置が配設され、該膜分離装置の上方に繊維状夾雑物捕捉手段が配設されている排水処理装置、である。
【０００９】
前記繊維状夾雑物捕捉手段が、鉛直方向に配されていると、効率よく夾雑物を捕捉できるので好ましい。
【００１０】
また、前記繊維状夾雑物捕捉手段が、前記ケーシングの上端に配されていると、設置が容易となるため好ましく、さらに前記繊維状夾雑物捕捉手段の上端が、水面よりも高い位置に配されていると、メンテナンス作業が容易となるため好ましい。
【００１１】
また、前記シート状膜モジュールが中空糸膜からなると、本発明の効果、すなわち繊維状夾雑物の絡みつき防止の効果がより顕著である。
【００１２】
繊維状夾雑物捕捉手段としては、糸状体が好ましく、その密度は１〜５００本／ｃｍ^３であることが好ましい。
【００１３】
また、糸状体の例としては網目状構造体が挙げられ、その好適な形状としては平面状、山形状、波型状が挙げられる。また、網目の間隔は０．５〜１０ｍｍが好ましい。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の形態例を説明する。
【００１５】
図１は、本発明の排水処理装置の一例を示す概略図である。この排水処理装置は、膜分離槽１内に設けられた膜分離装置２と、この膜分離装置２の下方に設けられた膜洗浄エアバブリング用の散気装置４と、膜分離装置２の上端に配置された繊維状夾雑物捕捉部６と、散気装置４に接続されたブロワー５とから構成されている。膜分離装置２は、少なくとも上下方向が解放され、概略直方体形状のケーシングを有し、その内部には図示しないが、シート状膜モジュールが複数個、所定の間隔を持って並べて配設されている。
【００１６】
被処理液３は、散気装置４から散気された気泡により生起される気液混合流の流れとして膜分離装置２に達し、膜分離装置２に配設された膜モジュールの膜面を洗浄した後、膜分離装置２の上方で反転して膜分離槽１と膜分離装置２の間を下降し、再び散気装置４へ導かれる。このように膜分離槽１内には旋回する被処理液３の循環が起きている。
【００１７】
この際、繊維状夾雑物捕捉部６が存在しない場合、槽内を何度も循環する液の流れに乗って移動する繊維状夾雑物が何度も膜に衝突することから、次第に膜に繊維状夾雑物が絡みつき、成長してしまうため、膜の洗浄性が悪化する。
【００１８】
そこで、膜分離装置２の上方に、繊維状夾雑物がより絡みつきやすい繊維状夾雑物捕捉部６を配置することにより、旋回流に伴って膜分離装置２の上方へ移動した被処理液３中の繊維状夾雑物は、膜にではなく繊維状夾雑物捕捉部６に捕捉される。
【００１９】
このとき、繊維状夾雑物捕捉部６は、図１に示すように、鉛直方向に配置すると、気液混合流の流れの方向が変わる際に、繊維状夾雑物捕捉部６と効率よく接触するため、繊維状夾雑物を効果的に除去できる。
【００２０】
繊維状夾雑物捕捉部６は、ケーシングの上端に配置すると、取付け易く、かつ気液混合流と効率よく接触するため好ましい。繊維状夾雑物捕捉部６は、ケーシングと膜分離槽１の壁面との間の部分に配置することも可能であるが、気液混合流が繊維状夾雑物捕捉部６に接触し難くなるため、ケーシングと繊維状夾雑物捕捉部６との間に隙間は空けないことが好ましい。
【００２１】
繊維状夾雑物捕捉部６の形状としては、糸状体が好ましい。糸状体を使用する場合、繊維状夾雑物を捕捉することができ、且つ水中での使用において耐久性に問題のない材質であれば特に限定はされない。
【００２２】
構造の例としては、ステンレス等の金属製製または樹脂製のフレームに、ステンレス等の金属性または樹脂製の糸或いは糸束を複数固定したものを挙げることができる。好ましい密度は１〜５００本／ｃｍ^３の範囲であり、特に好ましくは１〜２００本／ｃｍ^３の範囲である。
【００２３】
糸状体は、緊張した状体で配置しても、弛緩させた状体で配置しても構わない。また、糸同士を概略平行に配置することも、交差させるように配置することもできるが、網目状に交絡させた網目状構造体を用いると、繊維状夾雑物を効率よく捕捉できるため好ましい。
【００２４】
図２〜図４は本発明の繊維状夾雑物捕捉部６に使用する網目状構造体の形態例を示す模式図である。網目状構造体の形状としては、図２のような平面状、図３のような湾曲した山形状、図４のような波型状等の任意の形状のものを使用できるが、堆積した繊維状夾雑物を簡単に掻き取れ、且つ閉塞が起きにくい波型状であることが好ましい。
【００２５】
網目の目幅としては、繊維状夾雑物を捕捉する大きさであれば特に限定はされないが、好ましい目幅は０．５〜１０ｍｍの範囲であり、特に好ましくは０．５〜２ｍｍの範囲である。
【００２６】
網目状構造体の厚みとしては、繊維状夾雑物が補足できる厚みであれば特に限定されないが、０．１〜１００ｍｍが好ましく、１ｍｍ〜１０ｍｍがさらに好ましい。
【００２７】
網目状構造体は複数積層して用いることもでき、枚数も任意に設定することができるが、捕捉部の目詰まりによる抵抗の増加と、清掃を行う際の容易性を考慮すると、１〜１００枚が好ましく、１〜１０枚がさらに好ましい。
【００２８】
網目状構造体の材質としては、ステンレス製、樹脂製、セラミック等任意のものを使用することができるが、加工性、腐食性の面から考慮するとステンレス製のものを使用することが好ましい。
【００２９】
繊維状夾雑物捕捉部６は、継続して使用していると、次第に繊維状夾雑物が絡み付いて閉塞してくるため、必要に応じて取り外して洗浄を行うメンテナンス作業を行う必要がある。このため、繊維状夾雑物捕捉部６は、ケーシングに着脱自在に配置することが好ましい。
【００３０】
このとき、図１に示すように、繊維状夾雑物捕捉部６の上端が、水面よりも高い位置となるように配置すると、メンテナンス作業が容易となるためより好ましい。
【００３１】
図５〜１０は、本発明の排水処理装置を上面方向から見た際の模式図である。本発明に使用する繊維状夾雑物捕捉部６は、図５に示すように、ケーシングの１辺に、ケーシングと同じ長さで配置してもよい。また、図６に示すように、ケーシングの長さよりも長くすることもできる。また、図７に示すようにケーシングの２辺に配置することもできるし、図８に示すように、ケーシングの４辺に配置することもできる。
【００３２】
また、図９に示すように、ケーシングの辺に対して交差するように配置することもできるし、図１０に示すように、ケーシングの角の部分に配置することもできる。
【００３３】
本発明に使用される膜モジュールとしては、平膜タイプ、中空糸膜タイプ、管状膜タイプ、袋状膜タイプ等の形状の分離膜を適用することができるが、中でも中空糸膜は膜密度が高く、被処理液中で揺動するため繊維状夾雑物が比較的絡みやすく、従って本発明の繊維状夾雑物捕捉手段６による膜への繊維状夾雑物の絡みつきの防止効果がより顕著となる。
【００３４】
本発明に使用するその膜の材質としては、セルロース系、ポリオレフィン系、ポリスルホン系、ポリビニルアルコール系、ポリメチルメタクリレート系、ポリビニリデンフルオライド、ポリ４フッ化エチレン、セラミック等を適用することができるが、加工性、散気時の揺れ対応性等の観点から強度の高いポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系素材が好ましく用いられる。
【００３５】
また、本発明に使用される膜の孔径としては、特に限定されるものではなく、０．００１〜１μｍ程度のもの、あるいはそれ以上の孔径のものを用いることが可能であり、固液分離の対象となる物質の粒径に応じて選択され、例えば活性汚泥の固液分離に用いるならば、０．５μｍ以下とするのが好ましく、また、浄水の濾過のように、除菌が必要な場合は０．１μｍ以下とするのが好ましい。
【００３６】
以下、本発明について実施例をあげて説明する。
【００３７】
＜実施例１＞
平均孔径０．１μｍの精密濾過用ポリエチレン中空糸膜をシート状に展開固定した中空糸膜モジュール（商品名：ステラポアＬ、三菱レイヨン（株）製）３本を、中空糸膜の繊維軸方向の長さが７５ｃｍとなり、シートが鉛直方向を向き、隣り合うモジュール同士の中心間隔が６ｃｍとなるように横方向に並べて、長さ８０ｃｍ、幅２０ｃｍ、高さ５０ｃｍの上下方向を解放したケーシングに納めてなる膜分離装置を活性汚泥槽に浸漬配置した。膜モジュール下方には膜モジュール下端部より４５ｃｍの距離に散気装置を設けた。
【００３８】
そして、繊維状夾雑物捕捉部として、平板状ステンレス製網目（目の大きさ１ｍｍ）を、図１に示すように、最上部が水面の上から５０ｃｍ出る位置に、鉛直方向に膜分離装置上端に４枚配置した。
【００３９】
吸引ポンプを用いて膜濾過流束ＬＶ＝０．５ｍ^３／ｍ^２／ｄ、吸引／停止間隔１３分／２分の間欠運転で、夾雑物捕捉部の洗浄は行わずに１ヶ月間吸引濾過を実施した。散気条件は、ブロワーを用いて空気をケーシングの水平方向の断面積あたり１００Ｎｍ^３／ｍ^２／ｈｒの強度で供給した。運転期間中の活性汚泥槽内のＳＳ濃度は８０００〜１２０００ｍｇ／Ｌの範囲にあった。運転期間中の濾過差圧の挙動を図１１に示した。
【００４０】
＜比較例１＞
繊維状夾雑物捕捉部を設けない以外は実施例１と同様の膜分離装置を用い、同様の条件にて３週間濾過運転を実施した。３週間後、膜分離装置下部に繊維状の夾雑物が付着し、散気装置からのエアーが均一に膜分離装置全体へ送られることを妨げていた。運転期間中の濾過差圧の挙動を図１１に示した。
【００４１】
＜比較例２＞
繊維状夾雑物捕捉部を膜分離装置と散気管との間に設けた以外は、実施例１と同様の膜分離装置を用い、同様の条件にて１ヶ月濾過運転を実施した。１ヶ月後、繊維状夾雑物捕捉部に繊維状の夾雑物が付着し、散気装置からのエアーが均一に膜分離装置全体へ送られることを妨げていた。運転期間中の濾過差圧の挙動を図１１に示した。
【００４２】
以上の実施例及び比較例の運転結果より、膜分離装置の上部に繊維状夾雑物捕捉手段を設けることにより、膜への繊維状夾雑物の絡みつきを効果的に防止できることがわかる。
【００４３】
【発明の効果】
本発明の排水処理装置によれば、膜分離装置の上部に、繊維状夾雑物が絡みやすい捕捉手段を設けているので、繊維状夾雑物が捕捉手段によって除去される結果、長期間にわたって膜分離装置の閉塞が発生せず、安定した固液分離を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の排水処理装置の一例を示す概略図である。
【図２】本発明の繊維状夾雑物捕捉手段の一例を示す模式図である。
【図３】本発明の繊維状夾雑物捕捉手段の別の一例を示す模式図である。
【図４】本発明の繊維状夾雑物捕捉手段の別の一例を示す模式図である。
【図５】本発明の繊維状夾雑物捕捉手段の配置の一例を示す概略図である。
【図６】本発明の繊維状夾雑物捕捉手段の配置の別の一例を示す概略図である。
【図７】本発明の繊維状夾雑物捕捉手段の配置の別の一例を示す概略図である。
【図８】本発明の繊維状夾雑物捕捉手段の配置の別の一例を示す概略図である。
【図９】本発明の繊維状夾雑物捕捉手段の配置の別の一例を示す概略図である。
【図１０】本発明の繊維状夾雑物捕捉手段の配置の別の一例を示す概略図である。
【図１１】本発明の実施例及び比較例における膜分離装置の差圧挙動を示すグラフである。
【符号の説明】
１膜分離槽
２膜分離装置
３被処理液
４散気装置
５ブロワー
６繊維状夾雑物捕捉手段

Claims

膜分離槽の内部に、上下方向が開放されたケーシング内部にシート状膜モジュールが配された膜分離装置が配設され、該膜分離装置の下方に散気装置が配設され、該膜分離装置の上方に繊維状夾雑物捕捉手段が配設されている排水処理装置。
前記繊維状夾雑物捕捉手段が、鉛直方向に配されている請求項１に記載の排水処理装置。
前記繊維状夾雑物捕捉手段が、前記ケーシングの上端に配されている請求項１又は２に記載の排水処理装置。
前記繊維状夾雑物捕捉手段の上端が、水面よりも高い位置に配されている請求項１〜３のいずれか一項に記載の排水処理装置。
前記シート状膜モジュールが中空糸膜からなる請求項１〜４のいずれか一項に記載の排水処理装置。
前記繊維状夾雑物捕捉手段が、糸状体からなる請求項１〜５のいずれか一項に記載の排水処理装置。
前記糸状体の密度が１〜５００本／ｃｍ^３である請求項６に記載の排水処理装置。
前記糸状体が、網目状構造体からなる請求項６又は７に記載の排水処理装置。
前記網目状構造体の形状が、平面状、山形状、又は波型状である請求項８に記載の排水処理装置。
前記網目状構造体の網目の間隔が０．５〜１０ｍｍである請求項８又は９に記載の排水処理装置。