JP2004167356A - 排ガスの処理方法および処理システム - Google Patents

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Yoshio Hirano
義男 平野
Kenji Hikino
健治 引野
Mitsugi Sumiya
貢 角谷
Yoshiyuki Takeuchi
竹内  善幸
Susumu Tsuneoka
晋 常岡
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Chugoku Electric Power Co Inc
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

【課題】排ガス中の硫黄酸化物、窒素酸化物、ハロゲン化合物の有害ガス成分を、高効率に分離・除去可能である排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】排ガスを冷却媒体中に流通させて、当該排ガス中に含まれる有害ガス成分を凝縮または固化して分離することを特徴とする排ガスの処理装置、並びに、排ガスの処理システム。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガスの処理方法およびそのシステムに関し、詳しくは、ボイラーや焼却炉等の燃焼排ガス中に含まれる硫黄酸化物、窒素酸化物、ハロゲン化合物の有害ガス成分を分離除去する方法およびそのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排ガス中に含まれる硫黄酸化物、窒素酸化物、ハロゲン化合物の有害ガス成分は、湿式脱硫処理装置や脱硝触媒による脱硝処理装置を用いて、分離・除去している(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)。
【0003】
しかし、これら各処理装置は設備費用が高価であるうえ、その処理能力に限界があり、一般に二酸化硫黄は10〜100ppm程度、一酸化窒素は50〜100ppm程度の微量の有害ガス成分が残留したまま排出されることとなる。
【0004】
一方、処理能力・処理効率がより高い分離・除去方法として、活性炭等を用いて有害ガス成分を吸着する「物理吸着法」もある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
しかし、この物理吸着法であっても、特に発電所や化学プラントなどから排出される多量の排ガスを処理する場合、当該排ガス中の有害ガス成分濃度を10ppm未満の超低濃度に処理することがほぼ不可能であるうえ、多量の活性炭を必要とし、その再生・廃棄処理に多額の費用がかかる。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−128671号公報(第3頁〜第4頁)
【特許文献2】
特開平11−267509号公報(第3頁〜第5頁)
【特許文献3】
特開平8−131750号公報(第3頁)
【非特許文献1】
公害防止の技術と法規編集委員会著「五訂・公害防止の技術と法規(大気編)」社団法人 産業環境管理協会発行、平成10年12月15日(第110頁〜第143頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、排ガスに硫黄酸化物、窒素酸化物、ハロゲン化合物の有害ガス成分が微量に残留すると、例えば、後段で当該排ガスに含まれる二酸化炭素(炭酸ガス)を分離・回収する場合には、次に示す不具合が発生する。
(1)排ガスを低温(二酸化炭素が固化する−78.5℃以下)に冷却することにより、二酸化炭素を固化・分離する「固化分離法」の場合には、固化物(ドライアイス)に前記有害ガス成分が混入することとなり、その純度が低下してしまう。
(2)排ガスを低温(二酸化炭素が固化する−78.5℃以下)に冷却することにより二酸化炭素を固化・分離する「固化分離法」において生成した固化物(ドライアイス)と水素とを合成する際に、前記有害ガス成分が混入することにより、合成触媒への被毒が発生し、その結果触媒の性能が低下する。
(3)排ガスを活性炭等の吸着剤で処理して二酸化炭素を吸着・分離する「物理吸着法(PSA、TPSA法等)」の場合には、吸着剤に前記有害ガス成分が吸着されるため、当該吸着剤の性能が低下するとともに、劣化が生じる。
(4)排ガスを化学吸収剤で処理して二酸化炭素を吸収・分離する「化学吸収法」の場合には、化学吸収剤中に前記有害ガス成分が取り込まれるため、当該化学吸収剤の性能が低下するとともに劣化が生じる。
(5)排ガスを「膜分離法」で処理して二酸化炭素を分離する場合には、分離膜に有害ガス成分が吸着されるため、当該分離膜の性能が低下するとともに劣化が生じる。
【0008】
本発明者らは、上記問題点に鑑み、排ガスに残留する硫黄酸化物、窒素酸化物、ハロゲン化合物の有害ガス成分を10ppm未満の超低濃度まで分離・除去することにより、その後段で、例えば、当該排ガス中の二酸化炭素を固化分離法、化学吸収法、物理吸着法、膜分離法のいずれの方法で分離・除去した場合であっても、その性能効率が低下・劣化しない方法を開発すべく、鋭意検討した。
その結果、本発明者らは、特定の冷却媒体を用いることにより、排ガス中に含まれる硫黄酸化物、窒素酸化物、ハロゲン化合物の有害ガス成分を10ppm未満の残留濃度に分離・除去することを見出し、その後、当該排ガス中の二酸化炭素を分離・回収すれば、かかる課題が一気に解決されることを見出した。本発明は、かかる見地より完成されたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、排ガスを冷却媒体中に流通させて、当該排ガス中に含まれる有害ガス成分を凝縮または固化して分離する排ガスの処理方法、並びに処理システムを提供するものである。このような本発明の方法によれば、排ガスを冷却媒体中に流通させて、当該排ガス中に含まれる有害ガス成分を予め低温で凝縮または固化して分離した後、その後段にて、例えば、当該排ガス中の二酸化炭素を液体又は固体状態で分離回収する二酸化炭素分離回収工程を備えることにより、より高性能な排ガス二酸化炭素回収方法をも提供することができる。
すなわち、排ガスを直接的または間接的に冷却して、排ガス中の二酸化炭素を液体又は固体状態で分離・回収するのに際し、本発明では、その前段にて、排ガス中に含まれる有害ガス成分を冷却媒体中に流通させて、当該有害ガス成分を凝縮または固化して分離する。
【0010】
ここで、前記有害ガス成分とは、例えば二酸化硫黄、一酸化窒素、フッ化水素などの、硫黄酸化物、窒素酸化物、ハロゲン化合物の少なくともいずれか一つを含む。
また、前記冷却媒体としては、無機塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、臭素化合物(臭化リチウム、臭化ブロム等)、エーテル類(ジメチルエーテル、メチルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール等)、シリコンオイル、パラフィン系炭化水素およびオレフィン系炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含む溶液が挙げられ、有害ガス成分の分離工程において、当該有害ガス成分の凝固温度以下に冷却されていることが好ましい。
【0011】
具体的には前記冷却媒体として、例えばジメチルエーテルを含む溶液が好適に挙げられ、有害ガス成分の分離工程においては、当該ジメチルエーテルをその沸点以下、凝固点以上の低温状態で用いることが好ましい。すなわち、ジメチルエーテルが液体状態にある−141.5℃〜−24.9℃の範囲で有害ガス成分を凝固させる。
特に、分離・除去対象成分が二酸化硫黄の場合、その融点が−75.5℃、沸点が−10.0℃であるため、−141.5℃〜−75.5℃の温度範囲に設定した冷却媒体(ジメチルエーテル)中で排ガスをバブリングさせることにより二酸化硫黄を凝固させることができる。生成した二酸化硫黄の凝固物と液体状冷却媒体との混合物(スラリー)を次工程(冷媒/凝固物分離工程)に供給し、ここで二酸化硫黄の凝固物と液体状冷却媒体とを物理的に分離する。そして、分離した凝固物を−24.9℃〜−10.0℃の範囲で加熱すると、凝固物に付着している液体状冷却媒体(ジメチルエーテル)は気化し、高純度の二酸化硫黄(液相)のみを分離・回収することができる。
【0012】
一方、一酸化窒素の場合、融点が−163.7℃で、沸点が−151.8℃であるが、飽和蒸気圧が二酸化硫黄に比べて約3/100程度である(後掲表1参照)ので、例えば−70℃に冷却するだけで凝縮し、排ガス中の気相成分濃度を10ppm以下にすることができる。
また、フッ化水素の場合、その融点が−92.3℃、沸点が−19.4℃であるため、−141.5℃〜−92.3℃の温度範囲に設定した冷却媒体(ジメチルエーテル)中に排ガスをバブリングさせることによりフッ化水素を凝固させることができる。生成したフッ化水素の凝固物と液体状冷却媒体との混合物(スラリー)を次工程(冷媒/凝固物分離工程)に供給し、ここでフッ化水素の凝固物と液体状冷却媒体とを物理的に分離する。そして、分離した凝固物を−24.9℃〜−19.4℃の範囲で加熱すると、凝固物に付着した液体状冷却媒体(ジメチルエーテル)は気化し、高純度のフッ化水素(液相)のみを分離・回収することができる。
【0013】
また、本発明は、排ガスを冷却媒体中に流通させて、当該排ガス中に含まれる有害ガス成分を凝縮または固化して分離する分離装置を含む排ガスの処理システムを提供するものである。排ガスを直接的または間接的に冷却して、当該排ガス中の炭酸ガスを液体又は固体状態で分離回収する二酸化炭素(炭酸ガス)固化装置を、前記分離装置の後段に含む処理システムにも適用可能である。
【0014】
また、排ガス中にはその温度に相当する飽和蒸気圧分の水蒸気も含まれている。従って、冷却媒体温度を零度以下にして排ガスを流通させることにより、前記水蒸気を氷として凝固させ、排ガスから分離することもできる。
【0015】
前記分離装置には、冷却媒体を循環させるとともに、凝固した有害ガス成分や水蒸気の凝固物と冷却媒体とを分離する、冷媒/凝固物分離装置が接続されている。
【0016】
前記冷却媒体は、排ガス中の有害ガス成分が凝固する温度においても液体状態を維持している。よって、冷却媒体が保持する冷熱を排ガスに伝達して、前記有害ガス成分を凝固温度以下に冷却させる作用を有する。
分離装置においては、前記有害ガス成分や水蒸気が凝固温度に冷却されて凝固物として変相し、排ガスから分離されて冷却媒体と混在するため、冷却媒体と前記凝固物とを分離する必要がある。そこで、前記分離装置に接続された冷媒/凝固物分離装置を用い、融点の差によって凝固物と冷却媒体とを分離する。二酸化硫黄は−75.5℃、一酸化窒素は−9.3℃、フッ化水素は−92.3℃、氷は0℃の融点を示す。従って、上述のように、有害ガス成分(例えば、二酸化硫黄、一酸化窒素、フッ化水素)や水分のみを高純度で分離することができる。
前記冷媒/有害ガス成分分離装置によって融解しなかった氷は、後段に設けた冷媒/水分離装置を用い、必要に応じて融点の差により冷却媒体から分離する。
【0017】
本発明によれば、従来の方法では処理できなかった有害ガス成分を10ppm以下の超低濃度まで分離・除去できる。その結果、後工程で二酸化炭素を分離回収する際に、化学吸収法や物理吸着法、膜分離法を用いても、吸収液や吸着剤、膜の性能低下・劣化を防止することができる。また、二酸化炭素を低温で固化・分離する固化分離法を用いても、有害ガス成分を二酸化炭素の固化物(ドライアイス)に混入させることがなく、高純度で二酸化炭素を回収することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る排ガスの処理方法及びそのシステムにおいて、二酸化炭素を低温で固化・分離して回収する方法を例として、添付図面を参照しながら、その具体的な実施形態を説明する。図1は、本発明の方法を実施するのに好適なシステムの一例を、模式的に示す図である。
【0019】
本発明は、ボイラーや焼却炉の燃焼排ガスを直接的または間接的に冷却して、当該排ガス中の二酸化炭素を液体又は固体状態で分離・回収するシステムである。本発明の回収方法では、先ず有害ガス成分・水蒸気分離工程において、排ガスを冷却媒体中に流通させて、当該排ガス中に含まれる有害ガス成分、水蒸気を凝縮または固化して分離する。次いで、二酸化炭素分離回収工程において、有害ガス成分・水蒸気分離工程を経た排ガスを直接的または間接的に冷却して、当該排ガス中の二酸化炭素を液体又は固体状態で分離回収するものである。
本実施の形態では、排ガス中に含まれる二酸化硫黄や一酸化窒素等の有害ガス成分を、当該有害ガス成分の凝縮または凝固温度以下の沸点を有する冷却媒体に流通させて、有害成分を冷却媒体中に凝縮/凝固させる。
【0020】
表1に示すように、例えば−75℃の温度において、二酸化硫黄の飽和蒸気圧は0.021kg/cm、一酸化窒素の飽和蒸気圧は0.0006kg/cmであり、一酸化窒素の飽和蒸気圧は二酸化硫黄の3/100である。なお、二酸化硫黄の融点(凝固温度)は−75.5℃であるため、当該温度以下では固体となる。
すなわち、排ガス中に含まれる二酸化硫黄、一酸化窒素などの有害ガス成分(気相)は、低温の冷却媒体中で冷却されることにより、当該冷却温度における飽和蒸気圧での飽和分が凝縮し、凝固温度以下で凝固して分離されていることとなる。
【0021】
【表1】
Figure 2004167356
【0022】
この温度まで排ガスを冷却するためには、凝固温度が−70℃以下の冷却媒体として、例えばジメチルエーテル(凝固温度−141.5℃、沸点−24.9℃)やメタノール(凝固温度−97.8℃、沸点64.7℃)等があげられる。しかし、これらの冷却媒体と、凝縮又は凝固した有害ガス成分を分離するためには、冷却媒体と当該有害ガス成分との沸点差の大きい方が有利である。
【0023】
ところで、二酸化炭素は−78.5℃以下で気相から固相に直接凝固してドライアイスとして析出する。従って、排ガス中に二酸化炭素が含まれ、当該二酸化炭素を後段で回収処理する場合、有害ガス成分の凝縮または凝固と同時に二酸化炭素を固化させないよう、冷却媒体の温度は−78.5℃以上とすることが好ましい。
しかし、二酸化炭素の回収処理を後段に伴わない場合、例えば、廃棄物処理装置等から発生する有害ガス成分含有排ガスを処理する場合には、−78.5℃以下の温度に冷却してもなんら支障はない。例えば−90℃に冷却した場合、二酸化炭素は固化するものの、これと同時に、排ガス中の二酸化硫黄、一酸化窒素の気相成分を凝縮/凝固させ、排ガスから分離除去することができる。
これらの点を全て考慮すると、例えば、利用可能な冷却媒体としてはジメチルエーテルが好適に挙げられる。以下、図1に基づいて説明する。
【0024】
図1には、排ガス中のCO分離・回収プロセスフローの一例を示す。ボイラ−1で発生した高温の排ガスは、ライン2を経て凝縮器3に導かれる。ここで海水、工業用水、水道水等により室温程度まで冷却されて、排ガス中の水蒸気の一部分が凝縮・分離される。冷却された排ガスは、さらに熱交換器4を経て、有害ガス成分・水蒸気分離装置5(分離装置)に導かれる。有害ガス成分・水蒸気分離装置5には、低温の冷却媒体Bが入っており、排ガスは約−50℃以下に冷却され、排ガス中の当該有害ガス成分および水蒸気が凝縮または凝固して分離される。分離処理された排ガスは、熱交換器6で冷却された後、CO固化装置7(二酸化炭素固化装置)に導かれる。ここでは、排ガス中のCOが固化する温度まで更に冷却され、固化したCOがドライアイスとしてライン9を経て排ガスから分離される。熱交換器4および6は、ライン22、23、24を経て循環し、冷凍機等の冷熱源8から供給される液体窒素などの冷却媒体Aや、低温の液化天然ガスLNG(図示せず)等により冷却される。
【0025】
有害ガス成分・水蒸気分離装置5において凝固した有害ガス成分、水分を含む冷却媒体Bは、ライン10を経て冷媒/凝固物分離装置11(分離装置)に排出される。冷媒/凝固物分離装置11では、冷却媒体B(液相)と有害ガス成分、水分の凝固物(固相)とが物理的に分離される。分離された凝固物は、有害ガス成分/水分離装置12へ排出される。一方、冷却媒体Bはライン14を経て熱交換器15により再度冷却され、有害ガス成分・水蒸気分離装置5に循環される。有害ガス成分/水分分離装置12では、前記凝固物を加熱することにより、融点・沸点の差によって、有害ガス成分(気相)と水分(液相)とが分離される。このとき、要すれば加熱温度を調整することにより、凝固物に付着している冷却媒体Bのみを気化して別離させることも可能である。分離された高純度の有害ガス成分(気相)は、ライン17を経て、有害ガス成分固定化装置13へ排出される。有害ガス成分固定化装置13では、例えば二酸化硫黄(硫黄酸化物)が、カルシウム化合物、マグネシウム化合物等の水溶液を用いて固定化される。一方、有害ガス成分/水分分離装置12で分離された水分(液相)は、ライン18を経て、ライン20の水分と混合された後、ライン19から排出される。
【0026】
冷却媒体Bとしては、無機塩類水溶液(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、臭素化合物水溶液(臭化リチウム、臭化ブロム等)、エーテル類(ジメチルエーテル、メチルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール等)、シリコンオイル、パラフィン系炭化水素(プロパン、正ブタン等)、または、オレフィン系炭化水素などを1種以上含む溶液が挙げられる。有害ガス成分・水蒸気分離工程においては、これら冷却媒体Bが有害ガス成分および水蒸気の凝固温度以下、かつ二酸化炭素の凝固温度(−78.5℃)以上に冷却されている。これらの冷却媒体Bと凝縮/凝固した有害ガス成分とを分離するためには、冷却媒体Bと当該有害成分の沸点差が大きい方が有利となる。これらの点を考慮して、使用する冷媒が決定される。上記冷却媒体Bの中でも、例えばエーテル類(ジメチルエーテル、メチルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール等)が好ましく用いられ、特にジメチルエーテル、正ブタン、シリコンオイル等が好ましい。
【0027】
前記冷却媒体Bの中で、本発明の有害ガス成分分離プロセスに適したものの例として、ジメチルエーテルがあげられる。ジメチルエーテルは、凝固温度−141.5℃、沸点−24.8℃である。以下、本発明の方法に適用した場合の運転条件例を説明する。
【0028】
熱交換器4において約5℃まで冷却された排ガスは、有害ガス成分・水蒸気分離装置5において約−75℃以下に冷却される。冷却された排ガス中の有害ガス成分(二酸化硫黄、一酸化窒素、フッ化水素)および水蒸気は凝固点以下となって固化し、ジメチルエーテル(冷却媒体B)とシャーベット状態(スラリー)を生成する。
【0029】
次いで、このシャーベット状態の混合物をライン10から排出して、冷媒/凝固物分離装置11に供給する。ここで、液体状態の冷却媒体と有害ガス成分、水分の凝固物とを物理的に分離する。分離された凝固物は、有害ガス成分/水分離装置12に供給し、装置内の温度を−10℃以上に加熱すると、当該有害ガス成分のみ気化し、水分または氷が残留する。生成した水分または氷はライン18を経てライン19へと排出される。一方、分離された冷却媒体(ジメチルエーテル)は、ライン14を経て熱交換器15で再度冷却されて、有害ガス成分・水蒸気分離装置5に循環される。
【0030】
本実施の形態では、冷却媒体Bは、有害ガス成分および水蒸気が凝縮または凝固する温度において、液体状態を維持している。従って、冷却媒体Bが保持する冷熱を排ガスに伝達して、有害ガス成分および水蒸気を凝縮・凝固温度以下に冷却させる作用を有する。よって、有害ガス成分・水蒸気分離装置5において、有害ガス成分および水蒸気は、凝縮・凝固温度以下に一旦冷却されて排ガスから固化・分離される。その後、冷却媒体Bと固化した有害ガス成分、氷とを分離する必要がある。そこで、各々の融点・沸点の差により、冷却媒体B、凝固した有害ガス成分、氷をそれぞれ分離することができる。
【0031】
以下、本発明に用いられる冷却媒体の効果を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものでない。また、排ガス中の二酸化炭素を低温で固化分離しない排ガス処理システムにおいても、本発明に係る有害ガス成分の分離・除去手法を適用することができる。
【0032】
【実施例】
実施例1
図2に示すような小型の有害ガス成分・水蒸気分離試験装置を使用して、排ガスに含まれる二酸化硫黄、一酸化窒素等の有害ガス成分および水蒸気の分離試験を実施し、その効果を評価した。
(1)装置仕様
1)有害ガス成分・水蒸気分離装置5
型式 : バブリング塔(排ガス供給管25からのバブリング)
寸法 : 内径100×長さ1、210mm
材質 : 透明アクリル樹脂
2)冷却媒体循環ポンプ26
平均循環流量=15(m/h)
(2)冷却媒体
ジメチルエーテル、エタノール、メタノール
(3)供給排ガス性状
水分=5〜10、CO=3〜10、N=80〜90(vol%)
SO=80(ppm)、NO=60(ppm)
(4)試験結果
試験結果を、表2に示す。−75℃の冷却媒体を通過した排ガス中の有害ガス成分は凝固・分離されるため、出口排ガス濃度が1ppm以下になることが確認された。次に冷却媒体中から凝固物を分離した後、凝固物中の有害ガス成分と水分とを分離した。凝固物はシャーベット状で、冷却媒体が表面に付着した状態であった。
【0033】
冷却媒体がジメチルエーテルの場合、凝固物を−20℃にするとジメチルエーテルは完全に気化した。冷却媒体がメタノールやエタノールの場合、有害ガス成分は−10℃以上で気化したが、冷却媒体と水分との分離は冷却媒体の沸点以上に加熱(それぞれの沸点64.7℃及び78.3℃以上)しないと分離できなかった。
すなわち、排ガス中に水分が含まれる場合、凝固した水分と冷却媒体とを分離するために必要な熱エネルギーは、ジメチルエーテルがもっとも小さく、効率的である。
【0034】
すなわち、ジメチルエーテルは、凝縮・凝固した有害ガス成分(二酸化硫黄、一酸化窒素)、水分を冷却媒体から分離することが容易であり、本発明の排ガス処理システムに用いる冷却媒体として極めて適切であることがわかった。
なお、同じ性状の排ガスを、活性炭を用いた従来の物理吸着法により処理した場合、出口排ガス中の有害ガス成分濃度はSOが24ppm、NOが19ppmと、目標の10ppm以下にすることができなかった。
【0035】
【表2】
Figure 2004167356
【0036】
実施例2
有害ガス成分の分離方式として、特定の冷却媒体を用いた本発明のバブリング法、または従来の吸着剤による物理吸着法(PSA:圧力スイング法)を用いたのち、ボイラー排ガス中に含まれる二酸化炭素の固化・分離運転を行った。本運転におけるCO固化装置7の出口排ガス中のCO分離率を比較して、表3に示す。
【0037】
その結果、従来の物理吸着法(PSA)の場合、微量(10ppm以上)の二酸化硫黄などの有害ガス成分が排ガス中に残留するため、処理時間の経過に伴って吸着剤(活性炭)の性能が低下し、CO分離率が徐々に低下した。これは、残留する二酸化硫黄が吸着剤に吸着されたため、その吸着性能が劣化したことに起因するものと考えられる。
一方、本発明によるバブリング法の場合、二酸化硫黄などの有害ガス成分を10ppm以下の超低濃度まで分離できるため、処理時間の経過後もCO分離率を高く安定して維持することができた。
【0038】
(運転条件)
1)ボイラー排ガス
排ガス量=48(Nm/h)
排ガス組成
CO濃度=4.1(%)、HO濃度=7.9(%)
濃度=74.5(%)、O濃度=13.5(%)
SO濃度=80(ppm)
NO濃度=60(ppm)
2)有害ガス成分分離方式
バブリング法(本発明) : 冷媒温度=−75℃
※その他の運転条件は、実施例1と同じ。
物理吸着法(従来方式) : 吸着剤…活性炭
【0039】
【表3】
Figure 2004167356
【0040】
【発明の効果】
本発明に係る方法によれば、従来の排ガス処理方法では分離・除去できなかった硫黄酸化物、窒素酸化物、ハロゲン化合物の有害ガス成分を、高性能で除去処理することができる。その結果、後段で固化分離法、化学吸収法、物理吸着法、膜分離法などの各種分離法を適用する際にも、長時間の連続運転を行うことが可能となった。
従って、特に、排ガスに含まれる二酸化炭素の分離・回収システムを後段に組み合わせた場合には、硫黄酸化物、窒素酸化物、ハロゲン化合物の有害成分を含まない高純度の二酸化炭素を長時間安定して回収することができる。
よって、本発明の排ガス処理方法および排ガス処理システムは、工業上極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排ガス処理方法を実施するのに好適な、二酸化炭素回収システムの一例を模式的に示す図である。
【図2】実施例1において用いた有害ガス成分・水蒸気分離試験装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ボイラー
3 凝縮器
5 有害ガス成分・水蒸気分離装置
7 CO固化装置
8 冷熱源(冷凍機など)
11 冷媒/凝固物分離装置
12 有害ガス成分/水分離装置
13 有害ガス成分固定化装置
4、6、15、21 熱交換器

Claims (12)

  1. 排ガスを冷却媒体中に流通させて、当該排ガス中に含まれる有害ガス成分を凝縮または固化して分離することを特徴とする排ガスの処理方法。
  2. 前記有害ガス成分に加え、前記排ガス中に含まれる水蒸気を凝縮または固化して分離することを特徴とする請求項1に記載の排ガスの処理方法。
  3. 前記冷却媒体が、無機塩類、臭素化合物、エーテル類、アルコール類、シリコンオイル、パラフィン系炭化水素およびオレフィン系炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含む溶液であり、かつ、前記有害ガス成分をその凝固温度以下に冷却することを特徴とする請求項1に記載の排ガスの処理方法。
  4. 前記冷却媒体がジメチルエーテルを含む溶液であり、当該ジメチルエーテルを沸点以下、凝固点以上の低温状態で用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排ガスの処理方法。
  5. 前記有害ガス成分は、硫黄酸化物、窒素酸化物、ハロゲン化合物の少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の排ガスの処理方法。
  6. 排ガスを冷却媒体中に流通させて、当該排ガス中に含まれる有害ガス成分を凝縮または固化して分離する分離装置を含むことを特徴とする排ガスの処理システム。
  7. 前記分離装置は、前記有害ガス成分に加え、前記排ガス中に含まれる水蒸気を凝縮または固化して分離することを特徴とする請求項6に記載の排ガスの処理システム。
  8. 前記冷却媒体が、無機塩類、臭素化合物、エーテル類、アルコール類、シリコンオイル、パラフィン系炭化水素およびオレフィン系炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含む溶液であり、かつ、前記有害ガス成分をその凝固温度以下に冷却することを特徴とする請求項6に記載の排ガスの処理システム。
  9. 前記冷却媒体がジメチルエーテルを含む溶液であり、当該ジメチルエーテルを沸点以下、凝固点以上の低温状態で用いることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の排ガスの処理システム。
  10. 前記有害ガス成分は、硫黄酸化物、窒素酸化物、ハロゲン化合物の少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の排ガスの処理システム。
  11. 前記分離装置に、冷却媒体を循環させるとともに、当該冷却媒体から前記有害ガス成分や前記水蒸気の凝固物を分離する冷媒/凝固物分離装置が接続されていることを特徴とする請求項6ないし請求項10のいずれかに記載の排ガスの処理システム。
  12. 前記分離装置の後段に、排ガスを直接的または間接的に冷却して、当該排ガス中の二酸化炭素を液体又は固体状態で分離回収する、二酸化炭素固化装置を含むことを特徴とする請求項6ないし請求項11のいずれかに記載の排ガスの処理システム。
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