JP2004166829A - 弱視用眼内レンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】中心視だけでなく、周辺視を考慮した弱視者用眼内レンズを提供する。
【解決手段】屈折力を有する光学部1と、光学部を眼内にて保持するための保持手段2とを有する眼内レンズであって、光学部は光学中心から所定の範囲に渡って形成される第1光学領域10と,その外側に同心円状に形成される第2光学領域20とを有し、第1光学領域の光学特性は第2光学領域を介して網膜上に形成される像の大きさより拡大された像が網膜上に得られるように形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】屈折力を有する光学部1と、光学部を眼内にて保持するための保持手段2とを有する眼内レンズであって、光学部は光学中心から所定の範囲に渡って形成される第1光学領域10と,その外側に同心円状に形成される第2光学領域20とを有し、第1光学領域の光学特性は第2光学領域を介して網膜上に形成される像の大きさより拡大された像が網膜上に得られるように形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は弱視用の眼内レンズに関する。
【0002】
【従来技術】
従来、弱視者用の視力補助手段として弱視者が見る対象物を大きく拡大させるために望遠機能を持たせた弱視用眼内レンズが知られている。このような弱視用眼内レンズにおいては、長い焦点距離を有する折り返し望遠鏡の効果を生じる反射面体を内蔵した単一の眼内レンズが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、小型の望遠鏡を取り付けることができるような機構を眼内レンズに持たせ、予めこの眼内レンズを挿入した患者が、その後中心視野の欠陥等により弱視状態となった際に小型の望遠鏡を眼内レンズに設置することにより視力を得るような弱視用眼内レンズが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開昭62−221345号公報
【特許文献2】
特表2002−508995号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者に示した弱視用眼内レンズにおいては、中心視は網膜上に拡大像を結像することができるが中心視のみしか結像されず、周辺から眼内に入射する光束は、けられてしまう。従って周辺の情報(周辺視)が得られず、装用者にとって不都合である場合が多い。
【0004】
また、後者の弱視者用眼内レンズにおいては、後付けで装着する望遠鏡の光学系は、眼内レンズの光学パワーを考慮しつつ、拡大光学系を構成させる必要があるが、装着する望遠鏡にこのような光学系を構成させることは光学設計上、非常に困難である。また、後者においても周辺視を考慮した記載は開示されていない。
【0005】
以上のような従来技術の問題点に鑑み、中心視だけでなく周辺視を考慮した弱視者用眼内レンズを提供することを技術課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 屈折力を有する光学部と、該光学部を眼内にて保持するための保持手段とを有する眼内レンズであって、前記光学部は光学中心から所定の範囲に渡って形成される第1光学領域と,その外側に同心円状に形成される第2光学領域とを有し、前記第1光学領域の光学特性は前記第2光学領域を介して網膜上に形成される像の大きさより拡大された像が網膜上に得られるように形成されていることを特徴とする。
(2) (1)の弱視用眼内レンズにおいて、前記第1光学領域における前面の屈折面と後面の屈折面との間隔は、前記第2光学領域における前面の屈折面と後面の屈折面との間隔より広くなるように形成されていることを特徴とする。
(3) (2)の弱視用眼内レンズにおいて、前記第1光学領域における後面の屈折面は凹面形状となっていることを特徴とする。
(4) (3)の弱視用眼内レンズにおいて、前記第1光学領域における後面の屈折面は透明部材にて外部から隔離されているとともに該透明部材と前記後面の屈折面との間には空隙が介在していることを特徴とする。
(5) (4)の弱視用眼内レンズにおいて、前記透明部材は所定の屈折力を有するための形状が施されていることを特徴とする。
(6) (1)〜(5)の弱視用眼内レンズにおいて、前記光学部は前記第1光学領域と第2光学領域とが不可分一体的に形成されていることにより構成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態で用いる弱視用眼内レンズの平面及び側面からみた状態を示している。
【0009】
1は眼内レンズ光学部、2は光学部1を眼内にて支持させるための支持部である。光学部1及び支持部2は眼内レンズの材料として用いられるものが使用できる。例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート)等の硬い材料や、シリコーンやHEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)等の単体や、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの複合材料からなる折り曲げ可能な材料等が挙げられる。なお、このような眼内レンズ材料に紫外線吸収剤や青視症防止のための着色剤等を適宜添加しておいても良い。なお、本実施形態では支持部2はループ形状を有しているが、これに限るものではなく、光学部1を眼内で固定保持できるような形状であればよい。
【0010】
光学部1は図1に示すように、光学部1の光学中心から所定領域に形成される第1の光学領域を有する第1光学部10と、第1光学領域の外側に同心円状に形成される第2の光学領域を有する第2光学部20とから構成されている。
【0011】
第1光学部10の前面は凸形状の凸面10aが、後面は凹形状の凹面10bが形成されている。なお、光学部1の後面(凹面10b)の曲率は、凸面10aにて形成される曲率よりも大きな曲率を有している。第1光学部10は、このような形状によって望遠光学系を形成しており、図に示すように第2光学部20に対して突き出た形状となっている。また、凸面10a及び凹面10bの曲率は、所望する倍率,患者眼の角膜の曲率,眼軸長,凸面10aと凹面10bとの間隔、眼内における光学部1の設置位置等によって適宜決定される。
【0012】
第2光学部20は、白内障等により水晶体を除去した際に水晶体の代替として眼内に挿入される通常の眼内レンズの光学特性が得られるような形状となっている。図1に示す第2光学部20は、前面が凸、後面が平坦の平凸状の形状となっているが、これに限るものではない。従来、眼内レンズに用いられている両凸形状やメニスカス形状であってもよい。
【0013】
また、このような第1光学部10と第2光学部20とを形成させる場合には、眼内レンズ材料を板状に形成した後、切削加工により第1光学部10と第2光学部20とを切り出し、所望する形状を形成させればよい。また、第1光学部10と第2光学部との形状を有するモールド型を用意し、このモールド型内に眼内レンズ材料を流し込み、重合、硬化させることにより、所望する形状を得るようにすることもできる。さらに、第1光学部10と第2光学部20とを各々個別に形成させておき、接着剤等を用いることにより第1光学部10と第2光学部とを接合させて光学部1を得ることもできる。このような場合には、第1光学部10及び第2光学部20に対して各々異なる眼内レンズ材料を用いることもできる。
【0014】
以上のような構成を有する弱視用眼内レンズを眼内に設置した状態を図2に示し、以下にその作用を説明する。
【0015】
図2において弱視眼内レンズの光学部1は、眼内の水晶体嚢或いは後房付近に設置される。なお、支持部2の先端を水晶体嚢内或いは毛様体溝等に当接させることにより、光学部1を眼内の所定の位置に固定保持することができる。。
【0016】
図に示すように、例えば、第1光学部10を通過する光束(ここでは中心軸Lと平行な光束)は、第1光学部10の望遠光学系を通過することにより、網膜の黄斑部中心付近に拡大倍率にて画像を結像する。これにより、患者の中心視は像が拡大された状態で見えることとなる。一方、周辺から眼内に入射する光束(中心軸Lと平行でない光束)のうち、第2光学部20を通過する光束は網膜の黄斑部中心付近以外に結像する。これにより周辺視は、通常の眼内レンズを挿入した状態で見えるような周辺視の状態が得られることとなる。
【0017】
従来の弱視用眼内レンズにおいては、中心視にて拡大像のみが得られるような構成となっていたが、このような弱視用眼内レンズでは周辺の情報が得られないため不都合が多い。本実施の形態に示すような弱視用眼内レンズにおいては、中心視にて拡大像が得られるとともに、周辺の情報も得られるため、従来に比べ好適な視覚情報が得られることとなる。
【0018】
以上のような実施形態では、第1光学部10の凸面10a及び凹面10bは、眼内の体液と直接接触するような構成としているが、これに限るものではない。例えば図3(a)に示すように、第1光学部10の後面側(凹面10b′)に光学的なパワーを持たない透明部材11を接合させることもできる。なお、この透明部材11は第1光学部と同じ材料でも異なった材料でも良い。また、透明部材11と第1光学部10との接合は接着剤等により行うことができる。接着剤としては第1光学部に用いる眼内レンズ材料のプレポリマー等を用いればよい。
【0019】
第1光学部10の後面側にこのような透明部材11を接合させることにより、透明部材11の前面と凹面10b′との間に密閉された空間(空隙100a)が形成されることとなる。この空隙100aには例えば空気が満たされており、体液に比べ屈折率が1に近いものとなっている。このように凹面10b′を空気と接触させるようにすることにより、図1で示した構成に比べ屈折率の差が大きくなる。その結果、形成する凹面10b′の曲率は、図1で示した構成に比べ小さくすることでき、加工性向上や第1光学系における有効径の拡大が期待できる。
【0020】
また、図3(b)に示すように、第1光学部10の後面側のみならず、第1光学部10の前面側(凸面10a′)においても同様に透明部材12を接合させることもできる。このように透明部材12を前面に接合させることにより、透明部材12の後面と凸面10a′との間に空隙100bを形成させ、屈折率の差を大きくさせることもできる。その結果、第1光学部10の前面においても図1で示した構成に比べ小さくすることでき、加工性向上や第1光学系における有効径の拡大が期待できる。
【0021】
また、上述した実施形態では、各患者における患者眼の条件(例えば角膜形状、眼軸長等)によって、第1光学部10の凸面及び凹面の曲率を各々変え、中心視において所望する倍率が得られるようにするものとしているが、これに限るものではない。例えば図4に示すように、個々の患者眼の条件の違いによる第1光学部10の光学特性の補正を図3に示した透明部材11(透明部材12)にて対応することもできる。このように、透明部材11(透明部材12)にて第1光学部10の光学特性の補正を行うことにより、個々の患者眼の条件に対応した弱視用レンズを簡単に提供することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば周辺視を考慮した弱視者用眼内レンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の弱視用眼内レンズを示した図である。
【図2】本実施形態の弱視用眼内レンズの光学的作用を示した図である。
【図3】本実施形態における弱視用眼内レンズの変容例を示した図である。
【図4】本実施形態における弱視用眼内レンズの変容例を示した図である。
【符号の説明】
1 光学部
2 支持部
10 第1光学部
20 第2光学部
【発明の属する技術分野】
本発明は弱視用の眼内レンズに関する。
【0002】
【従来技術】
従来、弱視者用の視力補助手段として弱視者が見る対象物を大きく拡大させるために望遠機能を持たせた弱視用眼内レンズが知られている。このような弱視用眼内レンズにおいては、長い焦点距離を有する折り返し望遠鏡の効果を生じる反射面体を内蔵した単一の眼内レンズが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、小型の望遠鏡を取り付けることができるような機構を眼内レンズに持たせ、予めこの眼内レンズを挿入した患者が、その後中心視野の欠陥等により弱視状態となった際に小型の望遠鏡を眼内レンズに設置することにより視力を得るような弱視用眼内レンズが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開昭62−221345号公報
【特許文献2】
特表2002−508995号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者に示した弱視用眼内レンズにおいては、中心視は網膜上に拡大像を結像することができるが中心視のみしか結像されず、周辺から眼内に入射する光束は、けられてしまう。従って周辺の情報(周辺視)が得られず、装用者にとって不都合である場合が多い。
【0004】
また、後者の弱視者用眼内レンズにおいては、後付けで装着する望遠鏡の光学系は、眼内レンズの光学パワーを考慮しつつ、拡大光学系を構成させる必要があるが、装着する望遠鏡にこのような光学系を構成させることは光学設計上、非常に困難である。また、後者においても周辺視を考慮した記載は開示されていない。
【0005】
以上のような従来技術の問題点に鑑み、中心視だけでなく周辺視を考慮した弱視者用眼内レンズを提供することを技術課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 屈折力を有する光学部と、該光学部を眼内にて保持するための保持手段とを有する眼内レンズであって、前記光学部は光学中心から所定の範囲に渡って形成される第1光学領域と,その外側に同心円状に形成される第2光学領域とを有し、前記第1光学領域の光学特性は前記第2光学領域を介して網膜上に形成される像の大きさより拡大された像が網膜上に得られるように形成されていることを特徴とする。
(2) (1)の弱視用眼内レンズにおいて、前記第1光学領域における前面の屈折面と後面の屈折面との間隔は、前記第2光学領域における前面の屈折面と後面の屈折面との間隔より広くなるように形成されていることを特徴とする。
(3) (2)の弱視用眼内レンズにおいて、前記第1光学領域における後面の屈折面は凹面形状となっていることを特徴とする。
(4) (3)の弱視用眼内レンズにおいて、前記第1光学領域における後面の屈折面は透明部材にて外部から隔離されているとともに該透明部材と前記後面の屈折面との間には空隙が介在していることを特徴とする。
(5) (4)の弱視用眼内レンズにおいて、前記透明部材は所定の屈折力を有するための形状が施されていることを特徴とする。
(6) (1)〜(5)の弱視用眼内レンズにおいて、前記光学部は前記第1光学領域と第2光学領域とが不可分一体的に形成されていることにより構成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態で用いる弱視用眼内レンズの平面及び側面からみた状態を示している。
【0009】
1は眼内レンズ光学部、2は光学部1を眼内にて支持させるための支持部である。光学部1及び支持部2は眼内レンズの材料として用いられるものが使用できる。例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート)等の硬い材料や、シリコーンやHEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)等の単体や、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの複合材料からなる折り曲げ可能な材料等が挙げられる。なお、このような眼内レンズ材料に紫外線吸収剤や青視症防止のための着色剤等を適宜添加しておいても良い。なお、本実施形態では支持部2はループ形状を有しているが、これに限るものではなく、光学部1を眼内で固定保持できるような形状であればよい。
【0010】
光学部1は図1に示すように、光学部1の光学中心から所定領域に形成される第1の光学領域を有する第1光学部10と、第1光学領域の外側に同心円状に形成される第2の光学領域を有する第2光学部20とから構成されている。
【0011】
第1光学部10の前面は凸形状の凸面10aが、後面は凹形状の凹面10bが形成されている。なお、光学部1の後面(凹面10b)の曲率は、凸面10aにて形成される曲率よりも大きな曲率を有している。第1光学部10は、このような形状によって望遠光学系を形成しており、図に示すように第2光学部20に対して突き出た形状となっている。また、凸面10a及び凹面10bの曲率は、所望する倍率,患者眼の角膜の曲率,眼軸長,凸面10aと凹面10bとの間隔、眼内における光学部1の設置位置等によって適宜決定される。
【0012】
第2光学部20は、白内障等により水晶体を除去した際に水晶体の代替として眼内に挿入される通常の眼内レンズの光学特性が得られるような形状となっている。図1に示す第2光学部20は、前面が凸、後面が平坦の平凸状の形状となっているが、これに限るものではない。従来、眼内レンズに用いられている両凸形状やメニスカス形状であってもよい。
【0013】
また、このような第1光学部10と第2光学部20とを形成させる場合には、眼内レンズ材料を板状に形成した後、切削加工により第1光学部10と第2光学部20とを切り出し、所望する形状を形成させればよい。また、第1光学部10と第2光学部との形状を有するモールド型を用意し、このモールド型内に眼内レンズ材料を流し込み、重合、硬化させることにより、所望する形状を得るようにすることもできる。さらに、第1光学部10と第2光学部20とを各々個別に形成させておき、接着剤等を用いることにより第1光学部10と第2光学部とを接合させて光学部1を得ることもできる。このような場合には、第1光学部10及び第2光学部20に対して各々異なる眼内レンズ材料を用いることもできる。
【0014】
以上のような構成を有する弱視用眼内レンズを眼内に設置した状態を図2に示し、以下にその作用を説明する。
【0015】
図2において弱視眼内レンズの光学部1は、眼内の水晶体嚢或いは後房付近に設置される。なお、支持部2の先端を水晶体嚢内或いは毛様体溝等に当接させることにより、光学部1を眼内の所定の位置に固定保持することができる。。
【0016】
図に示すように、例えば、第1光学部10を通過する光束(ここでは中心軸Lと平行な光束)は、第1光学部10の望遠光学系を通過することにより、網膜の黄斑部中心付近に拡大倍率にて画像を結像する。これにより、患者の中心視は像が拡大された状態で見えることとなる。一方、周辺から眼内に入射する光束(中心軸Lと平行でない光束)のうち、第2光学部20を通過する光束は網膜の黄斑部中心付近以外に結像する。これにより周辺視は、通常の眼内レンズを挿入した状態で見えるような周辺視の状態が得られることとなる。
【0017】
従来の弱視用眼内レンズにおいては、中心視にて拡大像のみが得られるような構成となっていたが、このような弱視用眼内レンズでは周辺の情報が得られないため不都合が多い。本実施の形態に示すような弱視用眼内レンズにおいては、中心視にて拡大像が得られるとともに、周辺の情報も得られるため、従来に比べ好適な視覚情報が得られることとなる。
【0018】
以上のような実施形態では、第1光学部10の凸面10a及び凹面10bは、眼内の体液と直接接触するような構成としているが、これに限るものではない。例えば図3(a)に示すように、第1光学部10の後面側(凹面10b′)に光学的なパワーを持たない透明部材11を接合させることもできる。なお、この透明部材11は第1光学部と同じ材料でも異なった材料でも良い。また、透明部材11と第1光学部10との接合は接着剤等により行うことができる。接着剤としては第1光学部に用いる眼内レンズ材料のプレポリマー等を用いればよい。
【0019】
第1光学部10の後面側にこのような透明部材11を接合させることにより、透明部材11の前面と凹面10b′との間に密閉された空間(空隙100a)が形成されることとなる。この空隙100aには例えば空気が満たされており、体液に比べ屈折率が1に近いものとなっている。このように凹面10b′を空気と接触させるようにすることにより、図1で示した構成に比べ屈折率の差が大きくなる。その結果、形成する凹面10b′の曲率は、図1で示した構成に比べ小さくすることでき、加工性向上や第1光学系における有効径の拡大が期待できる。
【0020】
また、図3(b)に示すように、第1光学部10の後面側のみならず、第1光学部10の前面側(凸面10a′)においても同様に透明部材12を接合させることもできる。このように透明部材12を前面に接合させることにより、透明部材12の後面と凸面10a′との間に空隙100bを形成させ、屈折率の差を大きくさせることもできる。その結果、第1光学部10の前面においても図1で示した構成に比べ小さくすることでき、加工性向上や第1光学系における有効径の拡大が期待できる。
【0021】
また、上述した実施形態では、各患者における患者眼の条件(例えば角膜形状、眼軸長等)によって、第1光学部10の凸面及び凹面の曲率を各々変え、中心視において所望する倍率が得られるようにするものとしているが、これに限るものではない。例えば図4に示すように、個々の患者眼の条件の違いによる第1光学部10の光学特性の補正を図3に示した透明部材11(透明部材12)にて対応することもできる。このように、透明部材11(透明部材12)にて第1光学部10の光学特性の補正を行うことにより、個々の患者眼の条件に対応した弱視用レンズを簡単に提供することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば周辺視を考慮した弱視者用眼内レンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の弱視用眼内レンズを示した図である。
【図2】本実施形態の弱視用眼内レンズの光学的作用を示した図である。
【図3】本実施形態における弱視用眼内レンズの変容例を示した図である。
【図4】本実施形態における弱視用眼内レンズの変容例を示した図である。
【符号の説明】
1 光学部
2 支持部
10 第1光学部
20 第2光学部
Claims (6)
- 屈折力を有する光学部と、該光学部を眼内にて保持するための保持手段とを有する眼内レンズであって、前記光学部は光学中心から所定の範囲に渡って形成される第1光学領域と,その外側に同心円状に形成される第2光学領域とを有し、前記第1光学領域の光学特性は前記第2光学領域を介して網膜上に形成される像の大きさより拡大された像が網膜上に得られるように形成されていることを特徴とする弱視用眼内レンズ。
- 請求項1の弱視用眼内レンズにおいて、前記第1光学領域における前面の屈折面と後面の屈折面との間隔は、前記第2光学領域における前面の屈折面と後面の屈折面との間隔より広くなるように形成されていることを特徴とする弱視用眼内レンズ。
- 請求項2の弱視用眼内レンズにおいて、前記第1光学領域における後面の屈折面は凹面形状となっていることを特徴とする弱視用眼内レンズ。
- 請求項3の弱視用眼内レンズにおいて、前記第1光学領域における後面の屈折面は透明部材にて外部から隔離されているとともに該透明部材と前記後面の屈折面との間には空隙が介在していることを特徴とする弱視用眼内レンズ。
- 請求項4の弱視用眼内レンズにおいて、前記透明部材は所定の屈折力を有するための形状が施されていることを特徴とする弱視用眼内レンズ。
- 請求項1〜請求項5の弱視用眼内レンズにおいて、前記光学部は前記第1光学領域と第2光学領域とが不可分一体的に形成されていることにより構成されていることを特徴とする弱視用眼内レンズ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002334181A JP2004166829A (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 弱視用眼内レンズ |
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JP2002334181A JP2004166829A (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 弱視用眼内レンズ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006065094A (ja) * | 2004-08-27 | 2006-03-09 | Giyourin Cho | 眼球運動模擬システム、眼球運動模擬用ロボット及びバーチャルリアリティーを用いた眼球運動模擬システム |
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2002
- 2002-11-18 JP JP2002334181A patent/JP2004166829A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006065094A (ja) * | 2004-08-27 | 2006-03-09 | Giyourin Cho | 眼球運動模擬システム、眼球運動模擬用ロボット及びバーチャルリアリティーを用いた眼球運動模擬システム |
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