JP2004165731A - 信号対干渉・雑音電力比予測装置および無線装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】信号対干渉・雑音電力比予測の精度を向上させ、また無線装置において信号対干渉・雑音電力比予測のために必要なメモリ量の軽減を図る。
【解決手段】信号対干渉・雑音電力比予測装置は、複数のアンテナを用いて受信した要求信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして信号対干渉・雑音電力比を算出する。
【選択図】 図1
【解決手段】信号対干渉・雑音電力比予測装置は、複数のアンテナを用いて受信した要求信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして信号対干渉・雑音電力比を算出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は無線通信において送信局から受信局へ信号伝送を行う際の通信品質を予測し、または測定を行う信号対干渉・雑音電力比を算出する信号対干渉・雑音電力比予測装置およびその結果を利用する無線装置の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の移動通信に対する需要の増加に伴い、多くのユーザの利用に適応できる無線通信システムの構築が求められている。近年商用化されているCDMA(Code Division Multiple Access )方式では、複数の拡散符号を用いて多くのユーザ端末の信号を多重することにより、1つの基地局に対して多くのユーザ端末の通信を可能にする。しかし、無線周波数事情の逼迫に伴い、拡散符号を用いたユーザ端末からの信号の多重化のみならず、空間領域を利用した多重化も検討され始めている。空間領域を利用する具体的な技術としては、アダプティブアレー、指向性ビーム等が考えられており、1つの基地局内においてユーザ端末ごとに指向性ビームを用いることによって、希望信号を強いレベルで受信すると同時に干渉信号を低いレベルに抑えることが可能となる。
【0003】
図14に基地局における受信ビーム形成の基本信号処理回路の構成例を示す。図において、複数のアンテナ71で受信された信号は、乗算器72において周知のアレー信号処理方法でウエイト乗算された後、合成部73で信号合成される。したがって、ウエイトを適切に決定することにより、良好な受信信号品質を得ることができる。
図15に多くの端末がビーム形成を用いて通信を行う場合の無線通信システムの構成例を示す。図において、基地局61は、通信中端末62の信号を受信するために、各端末に対しそれぞれのビームパターン63でビーム形成を行う。このようなビーム形成を用いた通信を行うためには、サービスエリア内で端末が通信を開始する前に、基地局は通信可能か否かを判断し、その結果を端末に通知するプロセスが必要とされる。そのような一連のプロセスをアクセス制御と呼んでいる。CDMA方式のアクセス制御に関しては、現在まで、指向性ビームを用いない場合が広く考えられている。そこでは、干渉信号レベル、収容ユーザ数をもとにアクセス制御を行っているが、指向性ビームを用いるCDMAでは、端末の存在方向によっても信号品質が異なるため、異なるアクセス制御法が必要になるものと考えられる。このようなビーム形成を行うCDMA方式におけるアクセス制御の従来の技術としては下記のような技術がある(例えば、非特許文献1参照)。この文献では、基地局がM本のアンテナ素子を備える場合について述べている。
【0004】
図16はこの従来技術によるビーム形成の影響を考慮したアクセス制御のフローチャートである。
通信を希望する新規端末は送信したいパケットが発生すると、基地局へ発呼の要求信号を送信する。新規端末からの要求信号を受信すると、基地局では要求信号の拡散符号に対応した整合フィルタを用いてアンテナごとに要求信号の検出を行う(ステップST31)。次に、受信信号データから新規端末のIDを特定した後(ステップST32)、ビーム形成時の信号対干渉・雑音電力比(Signal−to−Interference−plus−Noise power Ratio :以下、「SINR」とする。)を予測(ステップST33)する。また、この予測SINRに基づき、新規ユーザの通信開始の可否を決定することでアクセス制御を行う。一例としては、予測SINRが、予め定めた通信に必要なSINR値(以下、「必要SINR」とする。)以上の場合に、新規端末に対して通信許可を与えること(ステップST34〜36)が考えられる。このようなアクセス制御により、通信の開始に先立ってビーム形成を考慮した通信品質を予測でき、その結果に基づいて通信の可否を決定できる。
【0005】
次に、このアクセス制御において重要となるSINR予測法の詳細について示す。図17は従来のSINR予測法を示すフローチャートである。
まず、基地局では要求信号到来以前の受信信号を一端メモリに格納し、この信号を読み出して、相関行列Φを計算する(ステップST41)。具体的には、サンプルpにおけるアンテナm(=1,・・・.M)による受信信号をxm(p)、受信信号ベクトルを、
x(p)=[x1(p),・・・,xM(p)]T
とするとき、相関行列Φは、
Φ=E[x(p)x(p)H]
として計算される。ここで、x(p)は要求信号到来以前にメモリに格納された受信信号である。E[ ]は要求信号到来前の受信信号に関する平均を表し、Hは転置複素共役である。
【0006】
次に、要求信号を受信する(ステップST42)と、遅延パスに対応する応答ベクトルを計算する(ステップST43)。
【数1】
【数2】
【0007】
【数3】
【0008】
以上は、従来技術としてCDMA方式を例に説明したが、CDMA方式のみならずTDMA(Time Division Multiple Access )方式においても同様に要求信号からビーム形成時のSINRを予測する方法がある(例えば、非特許文献2)。この場合も、基本的にCDMA方式の場合と同様であり、要求信号到来前の受信信号を用いてSINR予測を行うことについて記載されている。
【0009】
【非特許文献1】
Yoshitaka Hara, “Data Access Control for CDMA Systems with Adaptive Antennas,” IEICE TRANSACTIONS on Communications, Vol.E84−B, NO.7,pp.1816−1822, July 2001.
【非特許文献2】
Yoshitaka Hara,“Time Slot Assignment Algorithms for SDMA/TDMA System based on estimated SINR,”IEICE TRANSACTIONS on Communications, Vol.E84−B, NO.2, pp. 220−227, Feb. 2001.
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来のSINR予測の方法は、以上のように構成されているので、SINR予測に要求信号を用いているが、予測にあたって、受信信号については、予測の事前に、要求信号より前に到来する受信信号をメモリに一旦格納しておく必要があった。そのため、メモリの使用量が大きくなり、予測を行う受信機の負荷が増大するという問題があった。また、CDMA方式では通信時に遅延時間の異なるマルチパスが発生し、自己のマルチパスも相互に干渉要因となるという性質を持つ。しかし、従来技術では自己のマルチパスから発生する干渉成分をSINR予測に含めることができず、SINRの予測精度の劣化につながるという問題があった。そのため、式(1)を実行するよりもさらに予測精度を改善でき、メモリの使用量が少ない予測SINR法が必要とされていた。また、従来技術では要求信号到来前の受信信号を用いるため、逐次伝搬路が変化する通信中におけるSINR測定を精度よく行うことは困難であった。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、信号対干渉・雑音電力比予測の精度を向上させ、また無線装置において信号対干渉・雑音電力比予測のために必要なメモリ量の軽減を可能にする信号対干渉・雑音電力比予測装置を得ることを目的とする。
また、この発明はビーム形成利用時に通信の途中でも精度の良い信号対干渉・雑音電力比を測定できる信号対干渉・雑音電力比予測装置を得ることを目的とする。
さらに、この発明は通信開始前に予測精度を向上させた信号対干渉・雑音電力比を算出してアクセス制御などを行うことができる無線装置の制御方法を得ることを目的とする。
さらにまた、通信の途中でも精度の良い信号対干渉・雑音電力比を算出して通信中において各種制御を行うことができる無線装置の制御方法を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る信号対干渉・雑音電力比予測装置は、複数のアンテナを用いて受信した要求信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして信号対干渉・雑音電力比を算出するようにしたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
この実施の形態1は、CDMA方式において、基地局でビーム形成を用いる場合のSINR予測に関するものである。図1はこの発明の実施の形態1によるSINR予測装置の概略構成を示すブロック図、図2はSINR予測装置の信号処理手順を示すフローチャートである。
図1において、SINR予測装置は、複数の受信アンテナ1、各A/D変換器2およびSINR予測・測定部30から構成される。各受信アンテナ1で受信された要求信号の存在する受信信信号が、A/D変換器2でそれぞれデジタル信号に変換され、ウエイト演算部3でウエイト付けされ、SINR予測・測定部30に与えられる。ウエイト付けによるアレー信号処理が行われた後、SINR予測・測定部30は、要求信号到来後の要求信号が存在する受信信号を用いて予測SINRの算出を行う。得られた予測結果に基づいてアクセス制御アルゴリズム部4はアクセス制御を行う。
【0014】
ここでは、拡散率Gを有するCDMA方式において、受信局でビーム形成を行う場合について、新規端末が要求信号を送信した際のSINR予測法について述べる。
新規端末は送信したいパケットが発生すると基地局へ要求信号を送信する。要求信号の符号
c1(p)(E[|c1(p)|2]=1)
とデータ
d1(p)(E[|d1(p)|2]=1)
は、それぞれチップ時間Tcおよびシンボル時間GTcを有する。チップ時間Tcごとにサンプリングを行うと、p番目のサンプルにおける受信信号ベクトルx(p)は次式で表される。
【数4】
また、
zIN(p)=[z1(p),…,zM(p)]T
は通信中の他ユーザ端末、他セルからの干渉、受信機雑音を含む干渉雑音成分である。干渉雑音成分zIN(p)は、次式の相関を有する。
E[zIN(p)zIN(p)H]=RIN
ここで、Hは転置複素共役である。
【0015】
逆拡散前のアレー信号処理を想定した場合のSINR予測では、逆拡散前のアレー出力におけるSINRを予測し、逆拡散処理の影響を考慮してその結果をG倍することで最終的な予測SINRとする。ロング符号利用時には、逆拡散前のSINRを単純にG倍することで逆拡散後のSINRが得られる。
【0016】
【数5】
とする。しかし、実環境では式(2)と(3)をそのまま実行することはできない。そこで、実環境では要求信号を受信し(ステップST1)、ウエイト演算部3で所定のウエイト付けによりアレー信号処理がなされる(ステップST2)。
【数6】
【0017】
【数7】
したがって、このような変形を用いて演算を行うことも有効であり、式(4)の変形には様々な方法が考えられる。
【0018】
以上のことからわかるように、要求信号到来後の受信信号のみを用いて演算を行っており、式(2)において、干渉電力と受信信号自身の信号電力が総合された受信電力の中から自己の信号に相当する電力を差し引くことにより、干渉電力の計算を算出しているので、演算上で干渉電力には受信信号の信号電力が混入せず、精度の高い予測SINRγlが得られる。また、他の信号からの干渉電力のみならず、自己の信号の遅延時間の異なるマルチパス成分から発生する干渉成分も干渉電力として計算することができる。
このようにしてSINR予測・測定部30で得られた予測SINRγlは、アクセス制御アルゴリズム部4に与えられる。ここで予め設定されている希望SINRと比較し、その値よりも大きい場合に端末側に通信を受け付ける決定を行うアクセス制御を行う。また、要求SINRよりも小さい場合には、通信不可の通知を行う。
ここで得られた予測SINRγlは、多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等を行うのに用いてもよい。
【0019】
以上のように、この実施の形態1によれば、要求信号到来後で要求信号の存在する受信信号を直接用い、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後に、受信信号自身の信号電力および干渉電力と当該信号電力とが総合された全受信電力を算出し、この全受信電力の中から当該信号電力の相当分を分離して干渉電力を算出した後、予測SINRを算出するようにしたので、従来技術のように受信信号を予め蓄積するメモリを必要としなくなり、受信装置の負荷を軽減する効果が得られる。また、他の信号からの干渉電力のみならず、自己の信号の遅延時間の異なるマルチパス成分から発生する干渉成分も干渉電力として計算することができ、その結果、正確にSINR予測を行える効果が得られる。さらに、基地局では、得られた予測SINRを用いて予め設定された必要SINRと比較することで、通信開始の可否、多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等を精度よく行うことができる。特に、CDMA方式では拡散率を適応的に変更することにより伝送速度を決定する場合が多ので、予測SINRを拡散率の決定にも用いることもできる。
【0020】
実施の形態2.
この実施の形態2は、CDMA方式において基地局でビーム形成を用いる場合のSINR予測であって、特に実施の形態1において特別の予測ウエイトを用いる場合に関するものである。図3はこの発明の実施の形態2によるMMSE(Minimum Mean Square Error :最小平均自乗誤差)合成ウエイトを用いる場合のSINR予測装置の構成を示すブロック図である。SINR予測はアンテナ1での要求信号到来後の受信信号を用いてSINR予測・測定部31で行われる。
実施の形態1における予測SINRの一例として、パスごとにMMSE規範に基づくビーム形成を行う場合について述べる。
【数8】
【0021】
図4はこの発明の実施の形態2による最大比合成ウエイトを用いる場合のSINR予測装置の構成を示すブロック図である。SINR予測はアンテナ1での要求信号到来後の受信信号を用いてSINR予測・測定部32で行われる。
【数9】
【0022】
ビーム形成法で用いる合成法に応じて予測SINRを直接求めた場合、式(5)、(6)からわかるように、干渉電力には受信信号自身の信号電力が影響しないので、要求信号受信後の受信信号を予測に用いることが可能である。このような直接の演算により、信号処理の手順を簡易にすることができる。
なお、式(5)、(6)はこの発明として受け入れられる様々な演算形式に変更可能である。例えば、式(5)における逆行列演算Φ−1は直接逆行列を行うよりも、逆行列の補助定理を用いるとΦ−1を少ない演算量で計算することができる。これらの既存の様々な演算量低減方法を用いることもできる。また、式(6)では、
【数10】
の変形を用いて右辺の演算を行うと、信号処理における乗算回数を低減できるが、このような方法を用いることも有効である。
【0023】
以上のように、この実施の形態2によれば、各パスのウエイト付けが最小平均自乗誤差規範または最大比合成ウエイトに基づいて処理された受信信号に基づいて信号対干渉・雑音電力比を算出するようにしたので、要求信号の存在する受信信号を用いても干渉電力に受信信号自身が影響しないため、実施の形態1と同様な効果が得られ、また、演算処理を簡略化できる効果が得られる。
【0024】
実施の形態3.
前述の実施の形態1では、受信信号ベクトルx(p)に対して直接相関行列演算を行っていた。これに対して、CDMA方式では逆拡散後の信号を用いてSINR予測を行うこともできる。この実施の形態3は、CDMA方式において基地局でビーム形成を用いる場合のSINR予測法であり、特に逆拡散後の信号を用いてSINR予測を行う場合に関するものである。図5はこの発明の実施の形態3によるSINR予測装置の構成を示すブロック図である。このSINR予測はアンテナ1での要求信号到来後の受信信号を用いてSINR予測・測定部33で行われるが、その受信信号は逆拡散部5で逆拡散処理されたものを使用する。
【0025】
この実施の形態3では、各パスの逆拡散信号を用いてアレー出力におけるSINRを予測する。
【数11】
【0026】
一例として、各パスの逆拡散出力に対してMMSE規範に基づくビーム形成を行う場合には、次式でウエイトを予測する。
【数12】
このように、様々なビーム形成法に対して予測SINRを計算することができるが、式(7)からわかるように、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入していないので、要求信号受信後の受信信号を用いてもSINR予測に影響を及ぼすことはない。
【0027】
逆拡散後の信号では、干渉信号との符号相関の影響も考慮されている。したがって、符号相関の影響も考慮して通信チャネルの予測SINRを計算することが可能となる。なお、実施の形態1および実施の形態2では逆拡散前でのSINR予測を扱った。実際には、逆拡散前と後の予測SINRはそれぞれが特徴を有している。通常、逆拡散前のSINR予測では多くのサンプルを用いて相関行列Φを計算でき、よい精度でSINR予測を行える場合が多い。ただし、精度の関係は条件によって異なり、符号相関が問題となる環境では、逆拡散後の予測SINRの方が精度がよくなる場合もある。したがって、この実施の形態3の方法は特に干渉信号と希望信号の符号相関が重要となる環境ではよい精度のSINR予測が可能となる。
【0028】
基地局では予測SINRを用いて、通信開始の可否、多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等の制御を行うことができる。特に、CDMA方式では拡散率を適応的に変更することにより伝送速度を決定する場合が多く、予測SINRは拡散率の決定にも用いることができる。
なお、式(7)はこの発明として受け入れられる様々な演算形式に変更可能である。例えば、
【数13】
の変形を用いて右辺の演算を行うと、信号処理における乗算回数を低減でき有効であるが、このような方法を用いても構わない。
【0029】
以上のように、この実施の形態3によれば、受信信号を逆拡散した後の信号に基づいて信号対干渉・雑音電力比を算出するようにしたので、干渉信号と希望信号の符号相関が重要となる環境では、よい精度のSINR予測を可能にする効果が得られる。
【0030】
実施の形態4.
上述の実施の形態1乃至実施の形態3では通信開始前の予測SINRを求める方法について説明したが、実際にはこの予測SINRと通信時のSINRとの間には予測誤差が生じる。この予測誤差は、主に推定伝搬ベクトルv1,lに残余する干渉雑音成分と推定相関行列Φ,Ωlの各サンプルにおける干渉雑音成分のランダム性が影響している。この実施の形態4では、CDMA方式において基地局でビーム形成を用いる場合のSINR予測法において、予測誤差を低減するために実施の形態1乃至実施の形態3で得た予測SINRの式に対して補正項を追加することにより、さらに高精度な予測SINRを得るようにする。
【0031】
【数14】
【0032】
また、異なる補正方法として次の方法を適用してもよい。
アレー信号処理とSINR測定に同一のパイロット信号を用いる場合には、SINR測定誤差が大きくなる場合がある。これは、パイロット信号と瞬時的に一致する干渉雑音成分が、アンテナおよびパス間で増幅され、SINR測定においても希望信号と誤って観測されるためである。そこでまず、希望信号がL個のマルチパスに分かれて到来した時、その各パスがPs/Lの電力を持つと仮定する。1つのアンテナで逆拡散後のNシンボルの時間系列を観測すると、希望信号s0 および干渉雑音成分nは時間系列ベクトル
s0 =[s0 (1),…,s1 (N)]T 、
n=[n(1),…,n(N)]T
を有する。干渉雑音成分nのうち、s0 と同じ方向成分に属するベクトルn’は平均電力PIN/Nを有する。ここで、PINは逆拡散後のアンテナあたりの干渉雑音電力を表す。
【0033】
アレー信号処理、RAKE合成、SINR測定を行う場合に、ベクトルn’は干渉雑音ではなく、要求信号や希望信号として扱われる。アレー信号処理とRAKE合成でそれぞれ約M倍、約L倍の信号電力の増幅を見込むと、SINR測定値は次式で与えられる。
γ=ML(PS /L+PIN/N)/{(1−1/N)PIN}
これに対して、本来測定すべきSINRは次式で表される。
SINR={(MPS /PIN)(N−1)γ−αML}/N
このようにγを求めた後、アンテナ数Mあるいはパス数Lに応じた補正を行うことで、SINR測定の高精度化が可能となる。
【0034】
以上のように、実施の形態4によれば、実施の形態1乃至実施の形態3で算出した予測SINRに対して、通信時の実際のSINRとの間にある予測誤差を取り除くよう演算行程において補正を施すようにしたので、予測SINRの精度を高める効果が得られる。また、アンテナ数およびパス数に応じた補正を行うことにより高精度な補正が可能となる。
【0035】
実施の形態5.
CDMA方式では、異なる遅延時間を有するパスを分離して受信し、その後にパスを合成するRAKE受信がよく用いられる。通常、アレー信号処理とRAKE受信の両方を用いる場合には、各パスに対してアレー信号処理と逆拡散を行った後、RAKE合成が行われる。この実施の形態5は、CDMA方式において基地局でビーム形成を用いる場合のSINR予測法であって、特にRAKE受信の影響を考慮した予測SINRを算出する方法に関するものである。
【0036】
ここでは、各パスのアレー出力を最大比合成に基づきRAKE合成する場合のSINR予測について述べる。一般に最大比合成時のSINRは各ブランチのSINRの和として与えられる。そこで、RAKE合成後のSINRを次式で予測する。
【数15】
図6はこの発明の実施の形態5によるRAKE合成出力におけるSINR予測法の構成を示すブロック図である。A/D変換された受信信号の各パスは、逆拡散部50でそれぞれ逆拡散され、SINR予測・測定部34に与えられる。SINR予測・測定部34は、内部にウエイト演算手段を含んでおり、まず各パスにウエイト付けを行い、パスごとのSINR予測γlを算出する。次に、RAKE合成後のSINR予測・測定部6でそれらの和をとることにより予測SINRγを得る。基地局では、アクセス制御アルゴリズム部4により、合成された予測SINRγを用いて、通信開始の可否の制御を行う。また、予測SINRγを用いて多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等の制御を行うことができる。特に、CDMA方式では拡散率を適応的に変更することにより伝送速度を決定する場合が多く、予測SINRγを拡散率の決定にも用いることができる。
【0037】
以上のように、この実施の形態5によれば、アンテナで受信した要求信号の存在する受信信号に基づいて、パスごとの受信信号から予測SINRγlをそれぞれ算出し、算出した各SINR予測γlをRAKE合成することにより予測SINRγを得るようにしたので、実施の形態1乃至実施の形態3と同様な効果が得られる。
【0038】
実施の形態6.
上述の実施の形態1乃至実施の形態5では、通信開始前の予測SINRを求める方法について説明したが、この実施の形態6では、これらの方法を、現在世界で標準化されているW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式の基地局への適用について述べる。
図7はこの発明の実施の形態6に係るW−CDMA方式の信号形態を示す説明図である。
W−CDMA方式では、通信を行う際に、まずランダムアクセスチャネルRACHを用いて端末が基地局へ要求信号を送信する。基地局では、このランダムアクセスチャネルを受信すると、通信希望端末のアクセスを許可するか、許可しないかの決定を行う。この一連の制御をアクセス制御と呼んでいる。この実施の形態6では、基地局が、端末からのランダムアクセスチャネルを受信した際に、
実施の形態1乃至実施の形態5で説明した方法を用いて、ランダムアクセスチャネルに対してアレー信号処理を行った場合の出力SINRを計算する。その出力SINR情報を基に、基地局はアクセス希望端末への許可または不許可を決定する。
【0039】
図8は実施の形態6に係るアクセス制御の手順を示すフローチャートである。基地局は、ランダムアクセスチャネルRACHで要求信号PRACHを受信すると(ステップST61)、アレー信号処理を考慮したSINR測定を実施の形態1乃至実施の形態5の方法で行う(ステップST62)。さらに、要求信号PRACHと通信開始時の信号DPCHとの電力オフセット分SINRの補正を行う(ステップST63)。次に、得られた予測SINRについて予め設定された要求SINRと比較し通信の許可を判定する(ステップST64)。判定において、予測SINRが要求SINR以上の値である場合、通信を許可し(ステップST65)、他方、要求SINR以下の場合には通信を不許可にする(ステップST66)。
【0040】
また、同様な方法を用いることにより、端末が通信中に伝送速度の変更を要求する場合にも適用できる。この伝送速度の変更要求は、W−CDMAの標準化規格では、DCHチャネルを通して行われる。上述のランダムアクセスチャネルRACHに対するものと同様に、DCHに対してアレー信号処理を考慮したSINR予測を行うことにより、基地局は伝送速度変更の可否の決定の評価対象とすることができる。
【0041】
図9はW−CDMA方式の伝送速度変更要求時の信号形態を示す説明図で、図10は伝送速度変更の手順を示すフローチャートである。
基地局は、要求信号DCHを受信すると(ステップST71)、アレー信号処理出力に対するSINRを測定する(ステップST72)。次に、伝送速度の変更を実施した際に発生する受信電力の差分を換算して、SINRを予測する(ステップST73)。予測SINRが算出されると、予め決められた要求SINRとの比較を行って、変更の可否を判定する(ステップST74)。判定で、条件が満たされる場合には伝送速度の変更を許可する(ステップST75)。また、条件が満たされない場合には、伝送速度の変更を不許可にする。
【0042】
以上のように、この実施の形態6によれば、W−CDMA方式の通信システムにおいて、アレー信号処理後の予測SINRを算出し、この予測SINRを用いてアクセス許可および伝送速度の変更の許可を決定する処理を行うようにしたので、SINRの予測精度を向上させて円滑な制御を行うことができ、また無線装置においてSINR予測のために必要なメモリ量の軽減を図る効果が得られる。さらに、各端末が要求する受信信号の品質を満足しつつ、多くの端末を収容可能とするので、システム構築上有意義である。
【0043】
実施の形態7.
上述の実施の形態1乃至実施の形態5ではCDMA方式の場合の予測SINR法について述べたが、これらはTDMA方式の場合にも同様に適用できる。この実施の形態7は、TDMA方式において基地局で複数アンテナを用いてビーム形成を行う場合のSINR予測法について述べるが、この場合には、信号拡散は行われないため、拡散利得は必要とされない。
図11はこの発明の実施の形態7によるTDMA系通信でのSINR予測装置の構成を示すブロック図である。この場合のSINR予測は、SINR予測・測定部35で、以下のように行われる。
【0044】
新規端末は送信したいパケットが発生すると基地局へ要求信号を送信する。この要求信号はデータ
d1(p)(E[|d1(p)|2]=1)
を有するものとする。このとき、p番目のサンプルにおける受信信号ベクトルx(p)は次式で表される。
x(p)=a1d1(p)+zIN(p)
ここで、
a1=[a1,1,…,a1,M]
は新規端末からのパスlの伝搬ベクトル、
zIN(p)=[z1(p),…,zM(p)]T
は通信中の他ユーザ、他セルからの干渉、受信機雑音を含む干渉雑音成分である。干渉雑音成分zIN(p)は相関
E[zIN(p)zIN(p)H]=RIN
を有する。ここで、Hは転置複素共役である。
【0045】
【数16】
ここで、v1は新規端末の推定伝搬ベクトル、Φは推定相関行列、Nは演算に用いる要求信号のパイロット数である。また、wは予測ウエイトであり、ビーム形成法に応じて決定されるベクトルである。
予測ウエイトの演算方法としては様々な方法が考えられるが、通信時のウエイトを予測する方法であれば、いかなるウエイトであってもかまわない。式(10)において様々な予測ウエイトを適用することにより、予測SINRを求めることができる。なお、式(10)はこの発明として受け入れられる様々な演算形式に変更可能である。
【0046】
以上のように、この実施の形態7によれば、要求信号到来後の要求信号が含まれる受信信号のみに基づいて相関行列Φを演算するようにしており、式(8)では受信信号自身に相当する電力を差し引くことにより、干渉電力の計算を行って予測SINRを算出するようにしたので、他の信号からの干渉電力のみならず、自己の信号の遅延時間の異なるマルチパス成分から発生する干渉成分も干渉電力として計算することができ、正確にSINR予測を行うことができる。また、要求信号到来後の受信信号を用いてSINR予測を行うため、受信信号を蓄積するメモリを必要とせず、その分受信機の負荷を軽減できる効果が得られる。また、基地局では、算出された予測SINRを用いて、通信開始の可否、多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等を制御することができる。
【0047】
実施の形態8.
上述の実施の形態1乃至実施の形態7では、無線通信における基地局でのSINR予測法について述べたが、複数のアンテナを用いる無線通信であれば、基地局でなくても同様な方法を適用できる。この実施の形態8は、例えば無線LAN等に見られる自律分散型の無線通信システムに適用する場合について説明する。図12は自律分散型無線通信システムにおける端末間での制御信号のやり取りを示す説明図、図13は自律分散型無線通信システムの受信局(端末)におけるアクセス制御の手順を示すフローチャートである。
【0048】
自律分散型無線通信システムでは、基地局で全てのアクセス制御を管理する方式とは異なり、図12に示すように通信を希望する端末間で個々にアクセスのセットアップを行うことになる。送信局を端末A51、受信局を端末B52とすると、まず端末Aから通信を行いたい端末Bに対し要求信号を送信すると、端末Bでこれを受信する(ステップST21)。端末Bでは、受信した要求信号を用いてビーム形成時の予測SINRを計算し(ステップST22)、算出された予測SINRに基づいて通信が可能か否かを判定する(ステップST23)。通信開始の可否を判定した端末Bはその結果を端末Aに通知し、算出した予測SINRが予め設定された要求SINR以上であれば通信開始の許可を与える(ステップST24)。通信許可を得た場合には端末A51は端末B52に対してパケット送信を開始する。この場合のアクセス制御は、CDMA方式を用いる無線LANでは実施の形態1乃至実施の形態5で述べた予測SINRを用い、また拡散符号を用いないTDMA系通信に基づく無線LANでは実施の形態6で述べた予測SINRを用いて行う。また、算出された予測SINRは、多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等の制御にも用いることができる。特に、CDMA方式では拡散率を適応的に変更することにより伝送速度を決定する場合が多く、予測SINRはその拡散率の決定にも用いることができる。
【0049】
以上のように、この実施の形態8によれば、自律分散型無線通信システムにおいて各端末に適用され、ビーム形成の影響を考慮しながらSINR予測を行うようにしたので、精度の高い予測SINRを用いて各種の制御が行うことができる効果が得られる。
【0050】
実施の形態9.
実施の形態1乃至実施の形態8で述べたSINR予測は、要求信号到来後の受信信号のみを用いて行っていることから、通信開始前だけでなく通信中においても算出できることが分る。そこで、この実施の形態9では、要求信号を用いたSINR予測のみならず、通信中の受信信号を用いて通信ビーム形成出力におけるSINRを測定するようにする。
【0051】
基地局では、通信中においてもその受信信号からSINRを測定し、予測SINRを算出する。そして、得られた予測SINRを用いることにより、通信中における多値変調方式の変更、送信電力の変更、伝送速度の変更等を行うようにする。特に、拡散率を適応的に変更することにより伝送速度を決定する場合が多いCDMA方式において、その拡散率の決定にも予測SINRを適用できる。この場合、これらの変更決定の情報は、基地局から端末へ通知されることにより変更される。
また、実施の形態8で示す無線LANに見られる自律分散型無線通信システムの端末に適用して、通信中に測定した予測SINRを用いても、同様に、通信継続の可否、多値変調方式の変更、送信電力の変更、伝送速度の変更等を行うことができる。
【0052】
以上のように、この実施の形態9によれば、無線LANに見られる自律分散型無線通信システムの各端末に適用して、通信中において、複数のアンテナを用いて受信中の希望信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして予測SINRを算出するようにしたので、従来技術のように受信信号を予め蓄積するメモリを必要としなくなり、受信装置の負荷を軽減する効果が得られる。また、他の信号からの干渉電力のみならず、自己の信号の遅延時間の異なるマルチパス成分から発生する干渉成分も干渉電力として計算することができ、その結果、正確にSINR予測を行える効果が得られる。さらに、得られた予測SINRを用いることにより、通信中における多値変調方式の変更、送信電力の変更、伝送速度の変更、CDMA方式における拡散率の決定等の各種制御を行うことができる。
【0053】
実施の形態10.
上述の実施の形態1乃至実施の形態8では、相関行列Φ,Ωlの演算を要求信号受信後の受信信号を用いて行ったが、要求信号受信後と要求信号受信前の信号を同時に利用してSINR予測を行うことも可能である。一例としては、実施の形態1乃至実施の形態7で計算した予測SINRと従来技術で説明した予測SINRの平均を取る方法がある。この方法では、2つの予測SINRの平均を取ることにより、予測SINRの変動を抑え、予測誤差を小さくすることができる。
このように、要求信号受信前と受信後の信号を用いて予測SINRを算出すれば、その精度を向上させることが可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、複数のアンテナを用いて受信した要求信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして信号対干渉・雑音電力比を算出するように構成したので、高精度な信号対干渉・雑音電力比予測を行うことを可能する効果がある。また、無線装置において信号対干渉・雑音電力比予測のために必要なメモリ量を軽減させることも可能にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態1に係るSINR予測装置の信号処理手順を示すフローチャートである。
【図3】同実施の形態2によるMMSE合成ウエイトを用いる場合のSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図4】同実施の形態2による最大比合成ウエイトを用いる場合のSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図5】同実施の形態3によるSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図6】同実施の形態5によるSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図7】同実施の形態6に係るW−CDMA方式の信号構成を示す説明図である。
【図8】同実施の形態6に係るアクセス制御の手順を示すフローチャートである。
【図9】同実施の形態6に係るW−CDMA方式の伝送速度変更要求時の信号構成を示す説明図である。
【図10】同実施の形態6に係る伝送速度変更の手順を示すフローチャートである。
【図11】同実施の形態7によるTDMA系通信でのSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図12】同実施の形態8に係る自律分散型無線通信システムについて示す説明図である。
【図13】同実施の形態8に係る自律分散型無線通信システムにおけるアクセス制御手順を示すフローチャートである。
【図14】基地局における受信ビーム形成の基本信号処理回路の構成例を示す回路図である。
【図15】ビーム形成を用いる無線通信システムの全体像の例を示す構成図である。
【図16】従来のビーム形成の影響を考慮したアクセス制御のフローチャートである。
【図17】従来技術におけるビーム形成の影響を考慮したSINR予測法のフローチャートである。
【符号の説明】
1 受信アンテナ、2 A/D変換器、3 ウエイト演算部、4 アクセス制御アルゴリズム部、5,50 逆拡散部、6 RAKE合成後のSINR予測・測定部、30〜33,35 SINR予測・測定部、34 パスごとのSINR予測・測定部、51,52 端末、61 基地局、62 通信中端末、63 ビームパターン、64 新規端末、71 アンテナ、72 乗算器、73 信号合成部。
【発明の属する技術分野】
この発明は無線通信において送信局から受信局へ信号伝送を行う際の通信品質を予測し、または測定を行う信号対干渉・雑音電力比を算出する信号対干渉・雑音電力比予測装置およびその結果を利用する無線装置の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の移動通信に対する需要の増加に伴い、多くのユーザの利用に適応できる無線通信システムの構築が求められている。近年商用化されているCDMA(Code Division Multiple Access )方式では、複数の拡散符号を用いて多くのユーザ端末の信号を多重することにより、1つの基地局に対して多くのユーザ端末の通信を可能にする。しかし、無線周波数事情の逼迫に伴い、拡散符号を用いたユーザ端末からの信号の多重化のみならず、空間領域を利用した多重化も検討され始めている。空間領域を利用する具体的な技術としては、アダプティブアレー、指向性ビーム等が考えられており、1つの基地局内においてユーザ端末ごとに指向性ビームを用いることによって、希望信号を強いレベルで受信すると同時に干渉信号を低いレベルに抑えることが可能となる。
【0003】
図14に基地局における受信ビーム形成の基本信号処理回路の構成例を示す。図において、複数のアンテナ71で受信された信号は、乗算器72において周知のアレー信号処理方法でウエイト乗算された後、合成部73で信号合成される。したがって、ウエイトを適切に決定することにより、良好な受信信号品質を得ることができる。
図15に多くの端末がビーム形成を用いて通信を行う場合の無線通信システムの構成例を示す。図において、基地局61は、通信中端末62の信号を受信するために、各端末に対しそれぞれのビームパターン63でビーム形成を行う。このようなビーム形成を用いた通信を行うためには、サービスエリア内で端末が通信を開始する前に、基地局は通信可能か否かを判断し、その結果を端末に通知するプロセスが必要とされる。そのような一連のプロセスをアクセス制御と呼んでいる。CDMA方式のアクセス制御に関しては、現在まで、指向性ビームを用いない場合が広く考えられている。そこでは、干渉信号レベル、収容ユーザ数をもとにアクセス制御を行っているが、指向性ビームを用いるCDMAでは、端末の存在方向によっても信号品質が異なるため、異なるアクセス制御法が必要になるものと考えられる。このようなビーム形成を行うCDMA方式におけるアクセス制御の従来の技術としては下記のような技術がある(例えば、非特許文献1参照)。この文献では、基地局がM本のアンテナ素子を備える場合について述べている。
【0004】
図16はこの従来技術によるビーム形成の影響を考慮したアクセス制御のフローチャートである。
通信を希望する新規端末は送信したいパケットが発生すると、基地局へ発呼の要求信号を送信する。新規端末からの要求信号を受信すると、基地局では要求信号の拡散符号に対応した整合フィルタを用いてアンテナごとに要求信号の検出を行う(ステップST31)。次に、受信信号データから新規端末のIDを特定した後(ステップST32)、ビーム形成時の信号対干渉・雑音電力比(Signal−to−Interference−plus−Noise power Ratio :以下、「SINR」とする。)を予測(ステップST33)する。また、この予測SINRに基づき、新規ユーザの通信開始の可否を決定することでアクセス制御を行う。一例としては、予測SINRが、予め定めた通信に必要なSINR値(以下、「必要SINR」とする。)以上の場合に、新規端末に対して通信許可を与えること(ステップST34〜36)が考えられる。このようなアクセス制御により、通信の開始に先立ってビーム形成を考慮した通信品質を予測でき、その結果に基づいて通信の可否を決定できる。
【0005】
次に、このアクセス制御において重要となるSINR予測法の詳細について示す。図17は従来のSINR予測法を示すフローチャートである。
まず、基地局では要求信号到来以前の受信信号を一端メモリに格納し、この信号を読み出して、相関行列Φを計算する(ステップST41)。具体的には、サンプルpにおけるアンテナm(=1,・・・.M)による受信信号をxm(p)、受信信号ベクトルを、
x(p)=[x1(p),・・・,xM(p)]T
とするとき、相関行列Φは、
Φ=E[x(p)x(p)H]
として計算される。ここで、x(p)は要求信号到来以前にメモリに格納された受信信号である。E[ ]は要求信号到来前の受信信号に関する平均を表し、Hは転置複素共役である。
【0006】
次に、要求信号を受信する(ステップST42)と、遅延パスに対応する応答ベクトルを計算する(ステップST43)。
【数1】
【数2】
【0007】
【数3】
【0008】
以上は、従来技術としてCDMA方式を例に説明したが、CDMA方式のみならずTDMA(Time Division Multiple Access )方式においても同様に要求信号からビーム形成時のSINRを予測する方法がある(例えば、非特許文献2)。この場合も、基本的にCDMA方式の場合と同様であり、要求信号到来前の受信信号を用いてSINR予測を行うことについて記載されている。
【0009】
【非特許文献1】
Yoshitaka Hara, “Data Access Control for CDMA Systems with Adaptive Antennas,” IEICE TRANSACTIONS on Communications, Vol.E84−B, NO.7,pp.1816−1822, July 2001.
【非特許文献2】
Yoshitaka Hara,“Time Slot Assignment Algorithms for SDMA/TDMA System based on estimated SINR,”IEICE TRANSACTIONS on Communications, Vol.E84−B, NO.2, pp. 220−227, Feb. 2001.
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来のSINR予測の方法は、以上のように構成されているので、SINR予測に要求信号を用いているが、予測にあたって、受信信号については、予測の事前に、要求信号より前に到来する受信信号をメモリに一旦格納しておく必要があった。そのため、メモリの使用量が大きくなり、予測を行う受信機の負荷が増大するという問題があった。また、CDMA方式では通信時に遅延時間の異なるマルチパスが発生し、自己のマルチパスも相互に干渉要因となるという性質を持つ。しかし、従来技術では自己のマルチパスから発生する干渉成分をSINR予測に含めることができず、SINRの予測精度の劣化につながるという問題があった。そのため、式(1)を実行するよりもさらに予測精度を改善でき、メモリの使用量が少ない予測SINR法が必要とされていた。また、従来技術では要求信号到来前の受信信号を用いるため、逐次伝搬路が変化する通信中におけるSINR測定を精度よく行うことは困難であった。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、信号対干渉・雑音電力比予測の精度を向上させ、また無線装置において信号対干渉・雑音電力比予測のために必要なメモリ量の軽減を可能にする信号対干渉・雑音電力比予測装置を得ることを目的とする。
また、この発明はビーム形成利用時に通信の途中でも精度の良い信号対干渉・雑音電力比を測定できる信号対干渉・雑音電力比予測装置を得ることを目的とする。
さらに、この発明は通信開始前に予測精度を向上させた信号対干渉・雑音電力比を算出してアクセス制御などを行うことができる無線装置の制御方法を得ることを目的とする。
さらにまた、通信の途中でも精度の良い信号対干渉・雑音電力比を算出して通信中において各種制御を行うことができる無線装置の制御方法を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る信号対干渉・雑音電力比予測装置は、複数のアンテナを用いて受信した要求信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして信号対干渉・雑音電力比を算出するようにしたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
この実施の形態1は、CDMA方式において、基地局でビーム形成を用いる場合のSINR予測に関するものである。図1はこの発明の実施の形態1によるSINR予測装置の概略構成を示すブロック図、図2はSINR予測装置の信号処理手順を示すフローチャートである。
図1において、SINR予測装置は、複数の受信アンテナ1、各A/D変換器2およびSINR予測・測定部30から構成される。各受信アンテナ1で受信された要求信号の存在する受信信信号が、A/D変換器2でそれぞれデジタル信号に変換され、ウエイト演算部3でウエイト付けされ、SINR予測・測定部30に与えられる。ウエイト付けによるアレー信号処理が行われた後、SINR予測・測定部30は、要求信号到来後の要求信号が存在する受信信号を用いて予測SINRの算出を行う。得られた予測結果に基づいてアクセス制御アルゴリズム部4はアクセス制御を行う。
【0014】
ここでは、拡散率Gを有するCDMA方式において、受信局でビーム形成を行う場合について、新規端末が要求信号を送信した際のSINR予測法について述べる。
新規端末は送信したいパケットが発生すると基地局へ要求信号を送信する。要求信号の符号
c1(p)(E[|c1(p)|2]=1)
とデータ
d1(p)(E[|d1(p)|2]=1)
は、それぞれチップ時間Tcおよびシンボル時間GTcを有する。チップ時間Tcごとにサンプリングを行うと、p番目のサンプルにおける受信信号ベクトルx(p)は次式で表される。
【数4】
また、
zIN(p)=[z1(p),…,zM(p)]T
は通信中の他ユーザ端末、他セルからの干渉、受信機雑音を含む干渉雑音成分である。干渉雑音成分zIN(p)は、次式の相関を有する。
E[zIN(p)zIN(p)H]=RIN
ここで、Hは転置複素共役である。
【0015】
逆拡散前のアレー信号処理を想定した場合のSINR予測では、逆拡散前のアレー出力におけるSINRを予測し、逆拡散処理の影響を考慮してその結果をG倍することで最終的な予測SINRとする。ロング符号利用時には、逆拡散前のSINRを単純にG倍することで逆拡散後のSINRが得られる。
【0016】
【数5】
とする。しかし、実環境では式(2)と(3)をそのまま実行することはできない。そこで、実環境では要求信号を受信し(ステップST1)、ウエイト演算部3で所定のウエイト付けによりアレー信号処理がなされる(ステップST2)。
【数6】
【0017】
【数7】
したがって、このような変形を用いて演算を行うことも有効であり、式(4)の変形には様々な方法が考えられる。
【0018】
以上のことからわかるように、要求信号到来後の受信信号のみを用いて演算を行っており、式(2)において、干渉電力と受信信号自身の信号電力が総合された受信電力の中から自己の信号に相当する電力を差し引くことにより、干渉電力の計算を算出しているので、演算上で干渉電力には受信信号の信号電力が混入せず、精度の高い予測SINRγlが得られる。また、他の信号からの干渉電力のみならず、自己の信号の遅延時間の異なるマルチパス成分から発生する干渉成分も干渉電力として計算することができる。
このようにしてSINR予測・測定部30で得られた予測SINRγlは、アクセス制御アルゴリズム部4に与えられる。ここで予め設定されている希望SINRと比較し、その値よりも大きい場合に端末側に通信を受け付ける決定を行うアクセス制御を行う。また、要求SINRよりも小さい場合には、通信不可の通知を行う。
ここで得られた予測SINRγlは、多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等を行うのに用いてもよい。
【0019】
以上のように、この実施の形態1によれば、要求信号到来後で要求信号の存在する受信信号を直接用い、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後に、受信信号自身の信号電力および干渉電力と当該信号電力とが総合された全受信電力を算出し、この全受信電力の中から当該信号電力の相当分を分離して干渉電力を算出した後、予測SINRを算出するようにしたので、従来技術のように受信信号を予め蓄積するメモリを必要としなくなり、受信装置の負荷を軽減する効果が得られる。また、他の信号からの干渉電力のみならず、自己の信号の遅延時間の異なるマルチパス成分から発生する干渉成分も干渉電力として計算することができ、その結果、正確にSINR予測を行える効果が得られる。さらに、基地局では、得られた予測SINRを用いて予め設定された必要SINRと比較することで、通信開始の可否、多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等を精度よく行うことができる。特に、CDMA方式では拡散率を適応的に変更することにより伝送速度を決定する場合が多ので、予測SINRを拡散率の決定にも用いることもできる。
【0020】
実施の形態2.
この実施の形態2は、CDMA方式において基地局でビーム形成を用いる場合のSINR予測であって、特に実施の形態1において特別の予測ウエイトを用いる場合に関するものである。図3はこの発明の実施の形態2によるMMSE(Minimum Mean Square Error :最小平均自乗誤差)合成ウエイトを用いる場合のSINR予測装置の構成を示すブロック図である。SINR予測はアンテナ1での要求信号到来後の受信信号を用いてSINR予測・測定部31で行われる。
実施の形態1における予測SINRの一例として、パスごとにMMSE規範に基づくビーム形成を行う場合について述べる。
【数8】
【0021】
図4はこの発明の実施の形態2による最大比合成ウエイトを用いる場合のSINR予測装置の構成を示すブロック図である。SINR予測はアンテナ1での要求信号到来後の受信信号を用いてSINR予測・測定部32で行われる。
【数9】
【0022】
ビーム形成法で用いる合成法に応じて予測SINRを直接求めた場合、式(5)、(6)からわかるように、干渉電力には受信信号自身の信号電力が影響しないので、要求信号受信後の受信信号を予測に用いることが可能である。このような直接の演算により、信号処理の手順を簡易にすることができる。
なお、式(5)、(6)はこの発明として受け入れられる様々な演算形式に変更可能である。例えば、式(5)における逆行列演算Φ−1は直接逆行列を行うよりも、逆行列の補助定理を用いるとΦ−1を少ない演算量で計算することができる。これらの既存の様々な演算量低減方法を用いることもできる。また、式(6)では、
【数10】
の変形を用いて右辺の演算を行うと、信号処理における乗算回数を低減できるが、このような方法を用いることも有効である。
【0023】
以上のように、この実施の形態2によれば、各パスのウエイト付けが最小平均自乗誤差規範または最大比合成ウエイトに基づいて処理された受信信号に基づいて信号対干渉・雑音電力比を算出するようにしたので、要求信号の存在する受信信号を用いても干渉電力に受信信号自身が影響しないため、実施の形態1と同様な効果が得られ、また、演算処理を簡略化できる効果が得られる。
【0024】
実施の形態3.
前述の実施の形態1では、受信信号ベクトルx(p)に対して直接相関行列演算を行っていた。これに対して、CDMA方式では逆拡散後の信号を用いてSINR予測を行うこともできる。この実施の形態3は、CDMA方式において基地局でビーム形成を用いる場合のSINR予測法であり、特に逆拡散後の信号を用いてSINR予測を行う場合に関するものである。図5はこの発明の実施の形態3によるSINR予測装置の構成を示すブロック図である。このSINR予測はアンテナ1での要求信号到来後の受信信号を用いてSINR予測・測定部33で行われるが、その受信信号は逆拡散部5で逆拡散処理されたものを使用する。
【0025】
この実施の形態3では、各パスの逆拡散信号を用いてアレー出力におけるSINRを予測する。
【数11】
【0026】
一例として、各パスの逆拡散出力に対してMMSE規範に基づくビーム形成を行う場合には、次式でウエイトを予測する。
【数12】
このように、様々なビーム形成法に対して予測SINRを計算することができるが、式(7)からわかるように、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入していないので、要求信号受信後の受信信号を用いてもSINR予測に影響を及ぼすことはない。
【0027】
逆拡散後の信号では、干渉信号との符号相関の影響も考慮されている。したがって、符号相関の影響も考慮して通信チャネルの予測SINRを計算することが可能となる。なお、実施の形態1および実施の形態2では逆拡散前でのSINR予測を扱った。実際には、逆拡散前と後の予測SINRはそれぞれが特徴を有している。通常、逆拡散前のSINR予測では多くのサンプルを用いて相関行列Φを計算でき、よい精度でSINR予測を行える場合が多い。ただし、精度の関係は条件によって異なり、符号相関が問題となる環境では、逆拡散後の予測SINRの方が精度がよくなる場合もある。したがって、この実施の形態3の方法は特に干渉信号と希望信号の符号相関が重要となる環境ではよい精度のSINR予測が可能となる。
【0028】
基地局では予測SINRを用いて、通信開始の可否、多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等の制御を行うことができる。特に、CDMA方式では拡散率を適応的に変更することにより伝送速度を決定する場合が多く、予測SINRは拡散率の決定にも用いることができる。
なお、式(7)はこの発明として受け入れられる様々な演算形式に変更可能である。例えば、
【数13】
の変形を用いて右辺の演算を行うと、信号処理における乗算回数を低減でき有効であるが、このような方法を用いても構わない。
【0029】
以上のように、この実施の形態3によれば、受信信号を逆拡散した後の信号に基づいて信号対干渉・雑音電力比を算出するようにしたので、干渉信号と希望信号の符号相関が重要となる環境では、よい精度のSINR予測を可能にする効果が得られる。
【0030】
実施の形態4.
上述の実施の形態1乃至実施の形態3では通信開始前の予測SINRを求める方法について説明したが、実際にはこの予測SINRと通信時のSINRとの間には予測誤差が生じる。この予測誤差は、主に推定伝搬ベクトルv1,lに残余する干渉雑音成分と推定相関行列Φ,Ωlの各サンプルにおける干渉雑音成分のランダム性が影響している。この実施の形態4では、CDMA方式において基地局でビーム形成を用いる場合のSINR予測法において、予測誤差を低減するために実施の形態1乃至実施の形態3で得た予測SINRの式に対して補正項を追加することにより、さらに高精度な予測SINRを得るようにする。
【0031】
【数14】
【0032】
また、異なる補正方法として次の方法を適用してもよい。
アレー信号処理とSINR測定に同一のパイロット信号を用いる場合には、SINR測定誤差が大きくなる場合がある。これは、パイロット信号と瞬時的に一致する干渉雑音成分が、アンテナおよびパス間で増幅され、SINR測定においても希望信号と誤って観測されるためである。そこでまず、希望信号がL個のマルチパスに分かれて到来した時、その各パスがPs/Lの電力を持つと仮定する。1つのアンテナで逆拡散後のNシンボルの時間系列を観測すると、希望信号s0 および干渉雑音成分nは時間系列ベクトル
s0 =[s0 (1),…,s1 (N)]T 、
n=[n(1),…,n(N)]T
を有する。干渉雑音成分nのうち、s0 と同じ方向成分に属するベクトルn’は平均電力PIN/Nを有する。ここで、PINは逆拡散後のアンテナあたりの干渉雑音電力を表す。
【0033】
アレー信号処理、RAKE合成、SINR測定を行う場合に、ベクトルn’は干渉雑音ではなく、要求信号や希望信号として扱われる。アレー信号処理とRAKE合成でそれぞれ約M倍、約L倍の信号電力の増幅を見込むと、SINR測定値は次式で与えられる。
γ=ML(PS /L+PIN/N)/{(1−1/N)PIN}
これに対して、本来測定すべきSINRは次式で表される。
SINR={(MPS /PIN)(N−1)γ−αML}/N
このようにγを求めた後、アンテナ数Mあるいはパス数Lに応じた補正を行うことで、SINR測定の高精度化が可能となる。
【0034】
以上のように、実施の形態4によれば、実施の形態1乃至実施の形態3で算出した予測SINRに対して、通信時の実際のSINRとの間にある予測誤差を取り除くよう演算行程において補正を施すようにしたので、予測SINRの精度を高める効果が得られる。また、アンテナ数およびパス数に応じた補正を行うことにより高精度な補正が可能となる。
【0035】
実施の形態5.
CDMA方式では、異なる遅延時間を有するパスを分離して受信し、その後にパスを合成するRAKE受信がよく用いられる。通常、アレー信号処理とRAKE受信の両方を用いる場合には、各パスに対してアレー信号処理と逆拡散を行った後、RAKE合成が行われる。この実施の形態5は、CDMA方式において基地局でビーム形成を用いる場合のSINR予測法であって、特にRAKE受信の影響を考慮した予測SINRを算出する方法に関するものである。
【0036】
ここでは、各パスのアレー出力を最大比合成に基づきRAKE合成する場合のSINR予測について述べる。一般に最大比合成時のSINRは各ブランチのSINRの和として与えられる。そこで、RAKE合成後のSINRを次式で予測する。
【数15】
図6はこの発明の実施の形態5によるRAKE合成出力におけるSINR予測法の構成を示すブロック図である。A/D変換された受信信号の各パスは、逆拡散部50でそれぞれ逆拡散され、SINR予測・測定部34に与えられる。SINR予測・測定部34は、内部にウエイト演算手段を含んでおり、まず各パスにウエイト付けを行い、パスごとのSINR予測γlを算出する。次に、RAKE合成後のSINR予測・測定部6でそれらの和をとることにより予測SINRγを得る。基地局では、アクセス制御アルゴリズム部4により、合成された予測SINRγを用いて、通信開始の可否の制御を行う。また、予測SINRγを用いて多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等の制御を行うことができる。特に、CDMA方式では拡散率を適応的に変更することにより伝送速度を決定する場合が多く、予測SINRγを拡散率の決定にも用いることができる。
【0037】
以上のように、この実施の形態5によれば、アンテナで受信した要求信号の存在する受信信号に基づいて、パスごとの受信信号から予測SINRγlをそれぞれ算出し、算出した各SINR予測γlをRAKE合成することにより予測SINRγを得るようにしたので、実施の形態1乃至実施の形態3と同様な効果が得られる。
【0038】
実施の形態6.
上述の実施の形態1乃至実施の形態5では、通信開始前の予測SINRを求める方法について説明したが、この実施の形態6では、これらの方法を、現在世界で標準化されているW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式の基地局への適用について述べる。
図7はこの発明の実施の形態6に係るW−CDMA方式の信号形態を示す説明図である。
W−CDMA方式では、通信を行う際に、まずランダムアクセスチャネルRACHを用いて端末が基地局へ要求信号を送信する。基地局では、このランダムアクセスチャネルを受信すると、通信希望端末のアクセスを許可するか、許可しないかの決定を行う。この一連の制御をアクセス制御と呼んでいる。この実施の形態6では、基地局が、端末からのランダムアクセスチャネルを受信した際に、
実施の形態1乃至実施の形態5で説明した方法を用いて、ランダムアクセスチャネルに対してアレー信号処理を行った場合の出力SINRを計算する。その出力SINR情報を基に、基地局はアクセス希望端末への許可または不許可を決定する。
【0039】
図8は実施の形態6に係るアクセス制御の手順を示すフローチャートである。基地局は、ランダムアクセスチャネルRACHで要求信号PRACHを受信すると(ステップST61)、アレー信号処理を考慮したSINR測定を実施の形態1乃至実施の形態5の方法で行う(ステップST62)。さらに、要求信号PRACHと通信開始時の信号DPCHとの電力オフセット分SINRの補正を行う(ステップST63)。次に、得られた予測SINRについて予め設定された要求SINRと比較し通信の許可を判定する(ステップST64)。判定において、予測SINRが要求SINR以上の値である場合、通信を許可し(ステップST65)、他方、要求SINR以下の場合には通信を不許可にする(ステップST66)。
【0040】
また、同様な方法を用いることにより、端末が通信中に伝送速度の変更を要求する場合にも適用できる。この伝送速度の変更要求は、W−CDMAの標準化規格では、DCHチャネルを通して行われる。上述のランダムアクセスチャネルRACHに対するものと同様に、DCHに対してアレー信号処理を考慮したSINR予測を行うことにより、基地局は伝送速度変更の可否の決定の評価対象とすることができる。
【0041】
図9はW−CDMA方式の伝送速度変更要求時の信号形態を示す説明図で、図10は伝送速度変更の手順を示すフローチャートである。
基地局は、要求信号DCHを受信すると(ステップST71)、アレー信号処理出力に対するSINRを測定する(ステップST72)。次に、伝送速度の変更を実施した際に発生する受信電力の差分を換算して、SINRを予測する(ステップST73)。予測SINRが算出されると、予め決められた要求SINRとの比較を行って、変更の可否を判定する(ステップST74)。判定で、条件が満たされる場合には伝送速度の変更を許可する(ステップST75)。また、条件が満たされない場合には、伝送速度の変更を不許可にする。
【0042】
以上のように、この実施の形態6によれば、W−CDMA方式の通信システムにおいて、アレー信号処理後の予測SINRを算出し、この予測SINRを用いてアクセス許可および伝送速度の変更の許可を決定する処理を行うようにしたので、SINRの予測精度を向上させて円滑な制御を行うことができ、また無線装置においてSINR予測のために必要なメモリ量の軽減を図る効果が得られる。さらに、各端末が要求する受信信号の品質を満足しつつ、多くの端末を収容可能とするので、システム構築上有意義である。
【0043】
実施の形態7.
上述の実施の形態1乃至実施の形態5ではCDMA方式の場合の予測SINR法について述べたが、これらはTDMA方式の場合にも同様に適用できる。この実施の形態7は、TDMA方式において基地局で複数アンテナを用いてビーム形成を行う場合のSINR予測法について述べるが、この場合には、信号拡散は行われないため、拡散利得は必要とされない。
図11はこの発明の実施の形態7によるTDMA系通信でのSINR予測装置の構成を示すブロック図である。この場合のSINR予測は、SINR予測・測定部35で、以下のように行われる。
【0044】
新規端末は送信したいパケットが発生すると基地局へ要求信号を送信する。この要求信号はデータ
d1(p)(E[|d1(p)|2]=1)
を有するものとする。このとき、p番目のサンプルにおける受信信号ベクトルx(p)は次式で表される。
x(p)=a1d1(p)+zIN(p)
ここで、
a1=[a1,1,…,a1,M]
は新規端末からのパスlの伝搬ベクトル、
zIN(p)=[z1(p),…,zM(p)]T
は通信中の他ユーザ、他セルからの干渉、受信機雑音を含む干渉雑音成分である。干渉雑音成分zIN(p)は相関
E[zIN(p)zIN(p)H]=RIN
を有する。ここで、Hは転置複素共役である。
【0045】
【数16】
ここで、v1は新規端末の推定伝搬ベクトル、Φは推定相関行列、Nは演算に用いる要求信号のパイロット数である。また、wは予測ウエイトであり、ビーム形成法に応じて決定されるベクトルである。
予測ウエイトの演算方法としては様々な方法が考えられるが、通信時のウエイトを予測する方法であれば、いかなるウエイトであってもかまわない。式(10)において様々な予測ウエイトを適用することにより、予測SINRを求めることができる。なお、式(10)はこの発明として受け入れられる様々な演算形式に変更可能である。
【0046】
以上のように、この実施の形態7によれば、要求信号到来後の要求信号が含まれる受信信号のみに基づいて相関行列Φを演算するようにしており、式(8)では受信信号自身に相当する電力を差し引くことにより、干渉電力の計算を行って予測SINRを算出するようにしたので、他の信号からの干渉電力のみならず、自己の信号の遅延時間の異なるマルチパス成分から発生する干渉成分も干渉電力として計算することができ、正確にSINR予測を行うことができる。また、要求信号到来後の受信信号を用いてSINR予測を行うため、受信信号を蓄積するメモリを必要とせず、その分受信機の負荷を軽減できる効果が得られる。また、基地局では、算出された予測SINRを用いて、通信開始の可否、多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等を制御することができる。
【0047】
実施の形態8.
上述の実施の形態1乃至実施の形態7では、無線通信における基地局でのSINR予測法について述べたが、複数のアンテナを用いる無線通信であれば、基地局でなくても同様な方法を適用できる。この実施の形態8は、例えば無線LAN等に見られる自律分散型の無線通信システムに適用する場合について説明する。図12は自律分散型無線通信システムにおける端末間での制御信号のやり取りを示す説明図、図13は自律分散型無線通信システムの受信局(端末)におけるアクセス制御の手順を示すフローチャートである。
【0048】
自律分散型無線通信システムでは、基地局で全てのアクセス制御を管理する方式とは異なり、図12に示すように通信を希望する端末間で個々にアクセスのセットアップを行うことになる。送信局を端末A51、受信局を端末B52とすると、まず端末Aから通信を行いたい端末Bに対し要求信号を送信すると、端末Bでこれを受信する(ステップST21)。端末Bでは、受信した要求信号を用いてビーム形成時の予測SINRを計算し(ステップST22)、算出された予測SINRに基づいて通信が可能か否かを判定する(ステップST23)。通信開始の可否を判定した端末Bはその結果を端末Aに通知し、算出した予測SINRが予め設定された要求SINR以上であれば通信開始の許可を与える(ステップST24)。通信許可を得た場合には端末A51は端末B52に対してパケット送信を開始する。この場合のアクセス制御は、CDMA方式を用いる無線LANでは実施の形態1乃至実施の形態5で述べた予測SINRを用い、また拡散符号を用いないTDMA系通信に基づく無線LANでは実施の形態6で述べた予測SINRを用いて行う。また、算出された予測SINRは、多値変調方式の決定、送信電力の決定、伝送速度の決定等の制御にも用いることができる。特に、CDMA方式では拡散率を適応的に変更することにより伝送速度を決定する場合が多く、予測SINRはその拡散率の決定にも用いることができる。
【0049】
以上のように、この実施の形態8によれば、自律分散型無線通信システムにおいて各端末に適用され、ビーム形成の影響を考慮しながらSINR予測を行うようにしたので、精度の高い予測SINRを用いて各種の制御が行うことができる効果が得られる。
【0050】
実施の形態9.
実施の形態1乃至実施の形態8で述べたSINR予測は、要求信号到来後の受信信号のみを用いて行っていることから、通信開始前だけでなく通信中においても算出できることが分る。そこで、この実施の形態9では、要求信号を用いたSINR予測のみならず、通信中の受信信号を用いて通信ビーム形成出力におけるSINRを測定するようにする。
【0051】
基地局では、通信中においてもその受信信号からSINRを測定し、予測SINRを算出する。そして、得られた予測SINRを用いることにより、通信中における多値変調方式の変更、送信電力の変更、伝送速度の変更等を行うようにする。特に、拡散率を適応的に変更することにより伝送速度を決定する場合が多いCDMA方式において、その拡散率の決定にも予測SINRを適用できる。この場合、これらの変更決定の情報は、基地局から端末へ通知されることにより変更される。
また、実施の形態8で示す無線LANに見られる自律分散型無線通信システムの端末に適用して、通信中に測定した予測SINRを用いても、同様に、通信継続の可否、多値変調方式の変更、送信電力の変更、伝送速度の変更等を行うことができる。
【0052】
以上のように、この実施の形態9によれば、無線LANに見られる自律分散型無線通信システムの各端末に適用して、通信中において、複数のアンテナを用いて受信中の希望信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして予測SINRを算出するようにしたので、従来技術のように受信信号を予め蓄積するメモリを必要としなくなり、受信装置の負荷を軽減する効果が得られる。また、他の信号からの干渉電力のみならず、自己の信号の遅延時間の異なるマルチパス成分から発生する干渉成分も干渉電力として計算することができ、その結果、正確にSINR予測を行える効果が得られる。さらに、得られた予測SINRを用いることにより、通信中における多値変調方式の変更、送信電力の変更、伝送速度の変更、CDMA方式における拡散率の決定等の各種制御を行うことができる。
【0053】
実施の形態10.
上述の実施の形態1乃至実施の形態8では、相関行列Φ,Ωlの演算を要求信号受信後の受信信号を用いて行ったが、要求信号受信後と要求信号受信前の信号を同時に利用してSINR予測を行うことも可能である。一例としては、実施の形態1乃至実施の形態7で計算した予測SINRと従来技術で説明した予測SINRの平均を取る方法がある。この方法では、2つの予測SINRの平均を取ることにより、予測SINRの変動を抑え、予測誤差を小さくすることができる。
このように、要求信号受信前と受信後の信号を用いて予測SINRを算出すれば、その精度を向上させることが可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、複数のアンテナを用いて受信した要求信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして信号対干渉・雑音電力比を算出するように構成したので、高精度な信号対干渉・雑音電力比予測を行うことを可能する効果がある。また、無線装置において信号対干渉・雑音電力比予測のために必要なメモリ量を軽減させることも可能にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態1に係るSINR予測装置の信号処理手順を示すフローチャートである。
【図3】同実施の形態2によるMMSE合成ウエイトを用いる場合のSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図4】同実施の形態2による最大比合成ウエイトを用いる場合のSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図5】同実施の形態3によるSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図6】同実施の形態5によるSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図7】同実施の形態6に係るW−CDMA方式の信号構成を示す説明図である。
【図8】同実施の形態6に係るアクセス制御の手順を示すフローチャートである。
【図9】同実施の形態6に係るW−CDMA方式の伝送速度変更要求時の信号構成を示す説明図である。
【図10】同実施の形態6に係る伝送速度変更の手順を示すフローチャートである。
【図11】同実施の形態7によるTDMA系通信でのSINR予測装置の構成を示すブロック図である。
【図12】同実施の形態8に係る自律分散型無線通信システムについて示す説明図である。
【図13】同実施の形態8に係る自律分散型無線通信システムにおけるアクセス制御手順を示すフローチャートである。
【図14】基地局における受信ビーム形成の基本信号処理回路の構成例を示す回路図である。
【図15】ビーム形成を用いる無線通信システムの全体像の例を示す構成図である。
【図16】従来のビーム形成の影響を考慮したアクセス制御のフローチャートである。
【図17】従来技術におけるビーム形成の影響を考慮したSINR予測法のフローチャートである。
【符号の説明】
1 受信アンテナ、2 A/D変換器、3 ウエイト演算部、4 アクセス制御アルゴリズム部、5,50 逆拡散部、6 RAKE合成後のSINR予測・測定部、30〜33,35 SINR予測・測定部、34 パスごとのSINR予測・測定部、51,52 端末、61 基地局、62 通信中端末、63 ビームパターン、64 新規端末、71 アンテナ、72 乗算器、73 信号合成部。
Claims (13)
- 複数のアンテナを用いて受信した要求信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして信号対干渉・雑音電力比を算出する信号対干渉・雑音電力比予測装置。
- アレー信号処理後に、受信信号自身の信号電力および干渉電力と前記信号電力とが総合された全受信電力を算出し、この全受信電力の中から前記信号電力の相当分を分離して干渉電力を算出した後、信号対干渉・雑音電力比を算出することを特徴とする請求項1記載の信号対干渉・雑音電力比予測装置。
- アレー信号処理で最小平均自乗誤差規範または最大比合成ウエイトに基づいて各パスのウエイト付けを行い、当該アレー信号処理後の受信信号から信号対干渉・雑音電力比を算出することを特徴とする請求項1記載の信号対干渉・雑音電力比予測装置。
- CDMA方式またはW−CDMA方式の信号の受信装置に適用され、受信信号を逆拡散処理した後の信号に基づいて信号対干渉・雑音電力比を算出することを特徴とする請求項1または請求項3記載の信号対干渉・雑音電力比予測装置。
- 通信中において、複数のアンテナを用いて受信中の希望信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして信号対干渉・雑音電力比を算出する信号対干渉・雑音電力比予測装置。
- W−CDMA方式の信号の受信装置に適用され、通信開始前の要求信号の存在する受信信号、あるいは通信中の希望信号の存在する受信信号に対して信号対干渉・雑音電力比を算出することを特徴とする請求項1から請求項3記載および請求項5のうちのいずれか1項記載の信号対干渉・雑音電力比予測装置。
- 算出された信号対干渉・雑音電力比に対してパス数またはアンテナ数に応じた補正を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の信号対干渉・雑音電力比予測装置。
- 自律分散型無線通信の各端末に適用されたことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の信号対干渉・雑音電力比予測装置。
- 複数のアンテナを用いて受信した要求信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして信号対干渉・雑音電力比を算出し、算出された信号対干渉・雑音電力比を所定値と比較し、その比較結果に基づいて通信開始の可否、多値変調方式の決定、送信電力の決定または伝送速度の決定を行う無線装置の制御方法。
- 通信中において、複数のアンテナを用いて受信中の希望信号の存在する受信信号に対して、各パスの受信信号にウエイト付けするアレー信号処理を行った後、干渉電力に受信信号自身の信号電力が混入しない演算処理をして信号対干渉・雑音電力比を算出し、算出された信号対干渉・雑音電力比を所定値と比較し、その比較結果に基づいて通信継続の可否、多値変調方式の変更、送信電力の変更または伝送速度の変更を行う無線装置の制御方法。
- 算出された信号対干渉・雑音電力比に対してパス数またはアンテナ数に応じた補正を行い、補正された信号対干渉・雑音電力比を所定値と比較することを特徴とする請求項9または請求項10記載の無線装置の制御方法。
- 自律分散型無線通信の各端末に適用されたことを特徴とする請求項9から請求項11のうちのいずれか1項記載の無線装置の制御方法。
- W−CDMA方式の受信信号に対して適用されたことを特徴とする請求項9から請求項11のうちのいずれか1項記載の無線装置の制御方法。
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JP2002325894A JP2004165731A (ja) | 2002-11-08 | 2002-11-08 | 信号対干渉・雑音電力比予測装置および無線装置の制御方法 |
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Cited By (1)
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CN103731173A (zh) * | 2012-10-15 | 2014-04-16 | 株式会社东芝 | 在无线通信网络中操作的收发机、网络传输系统和方法 |
-
2002
- 2002-11-08 JP JP2002325894A patent/JP2004165731A/ja active Pending
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