JP2004165333A - 磁気センサ、この磁気センサを用いた方位検知システム及び携帯通信端末 - Google Patents

磁気センサ、この磁気センサを用いた方位検知システム及び携帯通信端末 Download PDF

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Taiko Ko
太好 高
Susumu Shirauchi
進 白内
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Abstract

【課題】小型・軽量で高感度な磁気センサを提供する。
【解決手段】少なくとも磁性体層(硬磁性体層4、磁界検知用軟磁性体層6)と非磁性体層5との積層構造を含む薄膜磁気抵抗効果素子2において、磁界検知用軟磁性体層6の低保磁力化を行っても十分な感度が得られない原因を考えたところ、磁界検知用軟磁性体層6の異方性磁界の強さに起因していることが判明したものであり、反面、磁界検知用軟磁性体層6の一部がこれに近接する硬磁性体層4からの静磁気的な結合等によって磁化固定層が存在し、この磁化固定層によって磁界検知用軟磁性体層6の磁区が比較的安定していることを見出したものであり、磁界検知用軟磁性体層の異方性磁界6の強度を3Oe以下として極力異方性をつけないことで、地磁気センサ等に用いる場合でも十分な感度を得ることができ、小型・軽量で高感度な磁気センサ1を提供できるようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁界測定用、ナビゲーション用の地磁気センサ等の磁気センサ、この磁気センサを用いた方位検知システム及び携帯通信端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の磁気センサとしては、磁気抵抗効果素子(MR素子)、磁気インピーダンス素子(MI素子)、フラックスゲートセンサ、半導体ホール効果センサ等が用いられている。このうち、近年開発されたMIセンサによれば、MI素子という磁気抵抗素子を用いることで薄膜化・小型化が容易なため、近年その改良も盛んである。また、MR素子の場合もこのMR素子に高周波電流を流した場合のその高周波インピーダンスの磁界による変化をもって磁界強度を検知することができる。
【0003】
このような磁気センサに対して、最近では、磁性薄膜層が絶縁層を介して複数層形成され、伝導に関わる電子がスピンを維持しながら絶縁層をトンネル現象によって伝導されることから、この際の磁化の状態によってトンネル透過係数が異なることを利用して磁界検知を行なう原理のトンネル型磁気抵抗効果素子(TMR素子)が提案されている。強磁性体トンネル効果は非常に高い磁場感度を有するため、超高密度磁気記録におけるHDD用磁気再生ヘッドとしての利用可能性がある。この他、モータ用磁界測定装置、ナビゲーション用地磁気センサ等の磁気センサや、いわゆるMRAMと称される磁気固体メモリデバイス等への利用も可能といえる。
【0004】
このようなTMR素子に関しては、静磁気相互作用の動作の向上を図った提案例がある(例えば、特許文献1参照)。また、従来からある巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)についても電流を膜面に垂直に流す構成が実現されており(cpp型GMR素子)、その応用面が広がってきている。
【0005】
また、MR素子一般を方位計に用いる場合、磁界感度の鋭敏さとヒステリシスのために補助磁界を与えて高感度化を図るようにした提案例がある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特許第3004005号公報
【特許文献2】
特開平5−157566号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1の場合、積層化により静磁気相互作用の動作の向上を図っているもので、本質的な解決法とはいえず、コスト高にもつながる対応策である。
【0008】
また、例えば方位センサを実現する上で、MR素子のように補助磁界を与えて高感度化を図るのもあまり得策とはいえない。
【0009】
結局、このような従来の磁気センサ類では、小型・軽量・低コスト化の点及び感度的な面でまだ十分とはいえず、改良の余地が多分にある。
【0010】
そこで、本発明は、小型・軽量で高感度な磁気センサを提供することを目的とする。
【0011】
併せて、このような磁気センサを利用することで地磁気検知等の精度を向上させることができ、ナビゲーションシステム等に有効な方位検知システム又は携帯通信端末を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の磁気センサは、少なくとも磁性体層と非磁性体層との積層構造を含み、前記磁性体層のうちで磁化反転可能な保磁力を有する磁界検知用軟磁性体層の一部がこれに近接する硬磁性体層により磁化固定層を含む薄膜磁気抵抗効果素子を備え、前記磁界検知用軟磁性体層の異方性磁界の強度が3Oe以下である。
【0013】
従って、少なくとも磁性体層と非磁性体層との積層構造を含む薄膜磁気抵抗効果素子において、磁界検知用軟磁性体層の低保磁力化を行っても十分な感度が得られない原因を考えたところ、磁界検知用軟磁性体層の異方性磁界の強さに起因していることが判明したものであり、反面、磁界検知用軟磁性体層の一部がこれに近接する硬磁性体層からの静磁気的な結合等によって磁化固定層が存在し、この磁化固定層によって磁界検知用軟磁性体層の磁区が比較的安定しているものであり、磁界検知用軟磁性体層の異方性磁界の強度を3Oe以下として極力異方性をつけないようにすることにより、地磁気センサ等に用いる場合でも十分な感度を得ることができ、小型・軽量で高感度な磁気センサを提供することができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の磁気センサにおいて、前記硬磁性体層は、反強磁性体層と強磁性体層とによるPIN層構造よりなる。
【0015】
従って、請求項1記載の磁気センサを実現する上で、硬磁性体層が単層構造の場合だけでなく、反強磁性体層と強磁性体層とによるPIN層構造よりなる場合にも同様の作用・効果が得られるものであり、構成上ないしは作製上の自由度を向上させることができる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の磁気センサにおいて、前記反強磁性体層は、人工反強磁性体層よりなる。
【0017】
従って、請求項2記載の磁気センサを実現する上で、反強磁性体層が単層構造の場合だけでなく、所定材料の積層構造からなる人工反強磁性体層構造よりなる場合にも同様の作用・効果が得られるものであり、構成上ないしは作製上の自由度を向上させることができる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一記載の磁気センサにおいて、前記磁界検知用軟磁性体層は、平面形状が円形形状又はドーナツ形状に形成されている。
【0019】
従って、磁界検知用軟磁性体層の平面形状を円形形状(真円形状、楕円形状等)又はドーナツ形状とすることで、形状異方性に伴う磁気異方性が低減する上に、磁界の角度特性も向上する。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一記載の磁気センサにおいて、前記硬磁性体層は、平面形状が円形形状又はドーナツ形状に形成されている。
【0021】
従って、硬磁性体層の平面形状を円形形状(真円形状、楕円形状等)又はドーナツ形状とすることで、磁化固定層も含めて形状異方性に伴う磁気異方性が低減する上に、磁界の角度特性も向上する。
【0022】
請求項6記載の発明は、前記薄膜磁気抵抗効果素子は、請求項1ないし5の何れか一記載の磁気センサにおいて、金属磁性体層、非磁性体絶縁層及び金属磁性体層の積層構造を含むトンネル型磁気抵抗効果素子である。
【0023】
従って、請求項1ないし5の何れか一記載の磁気センサを実現する上で、薄膜磁気抵抗効果素子がトンネル型磁気抵抗効果素子として構成されているので、高精度な磁気センサとすることができる。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一記載の磁気センサにおいて、前記薄膜磁気抵抗効果素子は、磁性体層、非磁性体絶縁層及び金属磁性体層で構成される膜面に垂直に電流を流すcpp型巨大磁気抵抗効果素子である。
【0025】
従って、請求項1ないし5の何れか一記載の磁気センサを実現する上で、薄膜磁気抵抗効果素子がcpp型巨大磁気抵抗効果素子として構成されているので、高精度な磁気センサとすることができる。
【0026】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一記載の磁気センサにおいて、前記磁界検知用軟磁性体層の両面に前記磁気固定層を持たせるように前記硬磁性体層を前記磁界検知用軟磁性体層の両面に積層配置させた。
【0027】
従って、磁界検知用軟磁性体層の両面に磁気固定層を有する構造としたので、磁界検知用軟磁性体層の保磁力を極めて小さくする場合に好適な構成を提供できる。
【0028】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の磁気センサにおいて、両面に積層配置される前記硬磁性体層は、その磁化方向が非平行状態となる角度を有する。
【0029】
従って、硬磁性体層同士の磁化方向の関係が平行状態に限られず、構成上ないしは作製上の自由度を向上させることができる。
【0030】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の磁気センサにおいて、両面に積層配置される前記硬磁性体層は、その磁化方向が直交する。
【0031】
従って、1つの磁気センサで磁界の2軸ベクトル検知が可能となる。
【0032】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし10記載の磁気センサにおいて、前記薄膜磁気抵抗効果素子の全面又はその一部が電磁シールド部材により覆われている。
【0033】
従って、当該磁気センサを直流ないしは低周波領域で使用する場合に問題となる商用電源からのノイズ等を電磁シールド部材によってカットすることができる。
【0034】
請求項12記載の発明の方位検知システムは、地磁気を検知対象とする請求項1ないし11の何れか一記載の磁気センサと、この磁気センサの検知出力に基づき磁気ベクトルを検知する検知手段と、前記磁気センサの検知出力の絶対値と予め設定されている閾値とに基づき検知結果に異常があるか否かを判断する異常検知手段と、この異常検知手段により異常が検知された場合にはその旨を報知する報知手段と、を備える。
【0035】
従って、地磁気を検知対象とする方位検知システムに適用した場合、基本的には、高感度な請求項1ないし11の何れか一記載の磁気センサの検知出力に基づき検知される磁気ベクトルが利用されるが、この際、磁気センサの検知出力の絶対値を測定済みの地磁気強度に測定マージンを加味した閾値との比較により検知結果に異常があるか否かを判断しており、異常が検知された場合にはその旨を報知させることで、誤った検知結果の利用を未然に防止できる。さらには、磁気センサによる検知結果とともに、異常検知の結果の情報も当該システムの使用者に通信により伝送するGPSシステムや携帯電話等の携帯通信端末のようなビジネス形態に利用することも可能である。
【0036】
請求項13記載の発明の方位検知システムは、3軸ベクトル以上の方向に独立して配置されて地磁気を検知対象とする請求項1ないし11の何れか一記載の複数の磁気センサと、これらの磁気センサの検知出力に基づき3軸以上のベクトルを検知する検知手段と、を備える。
【0037】
従って、3軸ベクトル以上の方向に独立して配置された高感度な請求項1ないし11の何れか一記載の磁気センサの検知出力に基づき検知される3軸以上のベクトルを利用することで、地磁気を検知対象とする方位検知システムに適用することができる。特に、加速度センサ等を併用することなく、当該センサのみで使用中の運動を検知することができる。
【0038】
請求項14記載の発明の携帯通信端末は、表示部を備える携帯通信端末であって、地磁気を検知対象として前記表示部の裏面側に埋め込まれた請求項1ないし11の何れか一記載の磁気センサを備える。
【0039】
従って、携帯電話等の実装面積が限られた携帯通信端末に関して、方位検知用の磁気センサを備えるGPS対応の機種の場合でもその実装面積の低減が見込まれる。特に、表示部の裏面側に埋め込み実装しているので、折り畳みタイプの端末の場合であっても、表示面に近接又は一体化され、検知誤差が少なくなる。また、当該磁気センサは受動的な部品であるので、他に電気・磁気的なノイズは発生せず、表示部のように外来ノイズに敏感な箇所にも適合可能となる。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1は本実施の形態の磁気センサ1の構成例を示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【0041】
本実施の形態の磁気センサ1は、TMR素子(トンネル型磁気抵抗効果素子)2を磁気検知用の薄膜磁気抵抗効果素子に用いたもので、基本的には、石英、ガラス等の絶縁性の基板3上に積層させた硬磁性体層(磁性体層の一つ)4、非磁性体絶縁層(非磁性体層)5及び磁界検知用軟磁性体層(磁性体層の一つ)6の所定パターンによる積層構造として構成されている(積層順序は逆であってもよい)。ここに、磁界感知用軟磁性体層6は硬磁性体層4に対して直交するパターンで形成され、磁化反転容易な保磁力を有する層として、他層に比べて低い保磁力を持たせてあり、フリー層とも称される。
【0042】
これらの層の具体例として、中程度の保磁力を持つ硬磁性体層4は例えばCo50Fe50,Co75Fe25等により形成され、非磁性体絶縁層5はAl−O,Al,Si−O,SiO,Si−O−N,ZnO,Si等により形成され、磁界感知用軟磁性体層6はFe20Ni80,Fe21Ni79等のパーマロイ、Mo−パーマロイ、Cu−Moパーマロイ、センダスト、CoZrNbアモルファス等により形成されている。
【0043】
本実施の形態で利用するTMR素子2は、基本的には、近年において見出された現象、即ち、強磁性体と絶縁膜と強磁性体との接合構造により形成されて、両強磁性体の磁化の相対角度に依存してトンネル効果が現れる強磁性体トンネル効果という現象を利用したもので、例えば、特開平10−91925号公報、特開平10−255231号公報中にも記載されているように、S.Maeksawa and V.Gafvert等は、IEEE Trans.Magn.,MAG−18,707(1982)において、磁性体/絶縁体/磁性体結合で両磁性層の磁化の相対角度に依存してトンネル効果が現れることが規定されることを理論的、実験的に示している。
【0044】
このような基本構成において、成膜表面の荒れ等によって磁界検知用軟磁性体層6中には非磁性体絶縁層5との界面に静電気的な固着部層7が発生する。この固着部層7は、隣接ないし近接する他層との磁気的な結合により本来の磁気特性より特性が劣化した層として発生する。
【0045】
また、硬磁性体層4は図1中に矢印aで示すようにそのパターン形状長手方向に磁化方向が設定されている。ここに、固着部層7の磁化方向は硬磁性体層4の磁化方向に倣うため、固着部層7の磁化方向も矢印aで示す方向となる。磁界検知用軟磁性体層6の異方性磁界については後述する。
【0046】
このような構成において、通常は、硬磁性体層4の保磁力以下の外部磁界によって、磁界検知用軟磁性体層6の磁化状態が変化し、その際の両者の磁化状態が平行又は反平行(磁化方向が逆向き)となるときに磁気抵抗は最小又は最大となるので、目的の磁界強度を検知するための磁気センサとして用いることができるものである。即ち、磁界検知用軟磁性体層6の磁化状態がそのまま当該磁気センサ1の特性を反映していることとなる。
【0047】
しかしながら、磁気異方性を有するように作製したこの磁界検知用軟磁性体層を、比較のために単独層で試作し測定した場合と異なり、磁界検知用軟磁性体層6の磁化を忠実に反映するMR曲線は保磁力の増大が見られたものである。これは、磁界検知用軟磁性体層6の固着部層7に起因するものと考えられ、通常は、この固着部層7を減らすことを主眼として、成膜時の平坦化及び各層膜厚等の最適化を行っているものである。
【0048】
ところが、低保磁力化を行っても、地磁気センサ等に用いるには十分な感度が得られない場合があり、その原因を追求したところ、磁界検知用軟磁性体層6の異方性磁界の大きさが原因であることが判明したものである。即ち、通常であれば、バルクハウゼンノイズ等の低減ために異方性を或る程度つけておくことが必要とされているが、これに反して、本実施の形態では、磁界検知用軟磁性体層6の形状異方性、結晶磁気異方性、その他の異方性効果を含めた全体的な異方性磁界の強度を、その成膜時、磁場中アニール後の値として、3Oe以下としても問題がないことを見出したものである。
【0049】
例えば、角度と回転磁界変化量との関係を示す図2に示すような磁界回転特性において、回転磁界変化量がある程度以上に大であればよいわけであるが、磁界検知用軟磁性体層6の異方性磁界の強度(保磁力)Hkを、1,3,5,6の如く変化させてその結果を測定したところ、表1に示すように、3Oe以下としてもよいことが判明したものである。
【0050】
【表1】
Figure 2004165333
【0051】
これは、近接する硬磁性体層4からの静磁気的な結合等によって、磁界検知用軟磁性体層6の界面の一部に磁化固定層が存在し、この磁化固定層によって、磁界検知用軟磁性体層6の磁区が比較的安定であることに起因するものである。よって、磁界検知用軟磁性体層6に関して極力異方性をつけないように条件を整えることにより本実施の形態の磁気センサ1が完成したものである。
【0052】
このような磁界検知用軟磁性体層6の成膜条件の一例について簡単に説明する。
【0053】
成膜条件1
スパッタリング時には、約100Oe程度の静磁界中でスパッタリングを行う。その後、磁場中アニールにより約1kOe、280℃で1時間アニールし(硬磁性体層4の容易軸方向)、さらに、約1kOe、200℃で1時間アニールし(硬磁性体層4の容易軸方向)、さらに、約1kOe、150℃で1時間アニールした(硬磁性体層4の困難軸方向)。なお、硬磁性体層4や非磁性体絶縁層5の成膜方法やスパッタリング成膜方法については説明を省略する。この場合の磁界検知用軟磁性体層6の異方性磁界の強度は3Oeであった。
【0054】
なお、図1等では磁界検知用軟磁性体層6の磁化方向と硬磁性体層4の磁化方向とは略直交するようにした例で示しているが、同一方向(平行)であっても特に問題はない。
【0055】
成膜条件2
この条件2では、スパッタリング時に磁界なしの状態でスパッタリングを行った。通常、スパッタリングにはマグネトロンスパッタリングが用いられるので、漏洩磁界により極わずかであって異方性がつくが、この条件2の場合には、磁界なしの状態としているので、磁界検知用軟磁性体層6として、極力異方性のついていない等方的な磁性膜とすることができ、異方性磁界の強度は1Oe以下となったものである。
【0056】
なお、本発明の磁気センサは、固着部層を有する同等の構成の磁界検知用軟磁性体層に着目してなされたものであり、磁気抵抗効果素子としては、TMR素子2に限らず、他の構成、例えば後述するようなcpp型GMR素子等であってもよい。また、素子を作製する上では、マスク成膜法やフォトリソグラフィー法などを用いてもよく、特に、成膜に関しては、スパッタリング法に限らず、真空蒸着法、CVD法、MBE法等であってもよい。また、4端子用素子構成に限らず、2端子用素子構成としてもよい。
【0057】
本発明の第二の実施の形態を図3に基づいて説明する。第一の実施の形態で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する(以降の各実施の形態でも同様とする)。
【0058】
図3は本実施の形態の磁気センサ11の構成例を示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図、(c)は硬磁性体層部分の概略縦断側面図である。本実施の形態では、硬磁性体層4を反強磁性体層4aと強磁性体層4bとによるPIN層構造としたものである。強磁性体層4bは例えばCo50Fe50,Co75Fe25、パーマロイ等により形成され、反強磁性体層4aは例えばFeMn,IrMn,PtMn等により形成される。この他の点は、第一の実施の形態の場合の磁気センサ1の場合と同様である。
【0059】
本実施の形態によれば、磁気センサを実現する上で、硬磁性体層が単層構造の場合だけでなく、反強磁性体層4aと強磁性体層4bとによるPIN層構造よりなる場合にも同様に適用でき、構成上ないしは作製上の自由度を向上させることができる。
【0060】
なお、PIN層構造をなす反磁性体層に関しては、人工反強磁性体層により構成してもよい。即ち、Fe/Cr等を15〜3Åずつ数層分積層して人工反強磁性体層とし、その上に、強磁性体層4bを積層させたPIN層構造としてもよい。さらには、Co/Cuを15〜3Åずつ数層分積層して人工反強磁性体層としてもよい。何れにしても、一般には、固溶しにくい磁性層/非磁性層のペアで実現できる。従って、反強磁性体層が単層構造の場合だけでなく、所定材料の積層構造からなる人工反強磁性体層構造よりなる場合にも同様に適用でき、構成上ないしは作製上の自由度を向上させることができる。
【0061】
本発明の第三の実施の形態を図4に基づいて説明する。図4は本実施の形態の磁気センサ21の構成例を示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【0062】
本実施の形態では、平面形状が真円形状とされた異方性磁界の強度が3Oe以下の磁界検知用軟磁性体層6を有する磁気センサ21として構成されている。この他の点は、第一の実施の形態の磁気センサ1の場合と同様である。
【0063】
本実施の形態によれば、磁界検知用軟磁性体層6の平面形状を矩形短冊状とした場合に比べ、真円形状とすることで、その形状異方性に伴う磁気異方性を低減させることができる上に、磁界の角度特性も向上させることができる。
【0064】
なお、磁界検知用軟磁性体層6の平面形状としては真円形状に限らず、楕円形状等を含む円形形状であればよく、或いは、ドーナツ形状であってもよい。
【0065】
本発明の第四の実施の形態を図5に基づいて説明する。図5は本実施の形態の磁気センサ31の構成例を示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【0066】
本実施の形態では、平面形状が真円形状とされた異方性磁界の強度が3Oe以下の磁界検知用軟磁性体層6、及び、平面形状が真円形状とされた硬磁性体層4を有する磁気センサ31として構成されている。これらの大きさ、位置関係等は適宜でよいが、例えば、大きさ的には、磁界検知用軟磁性体層6の方が硬磁性体層4よりも大きく形成されている。
【0067】
本実施の形態によれば、磁界検知用軟磁性体層6や硬磁性体層4の平面形状を矩形短冊状とした場合に比べ、真円形状とすることで、固着部層7を含めてその形状異方性に伴う磁気異方性を低減させることができる上に、磁界の角度特性も向上させることができる。
【0068】
なお、磁界検知用軟磁性体層6や硬磁性体層4の平面形状としては真円形状に限らず、楕円形状等を含む円形形状であればよく、或いは、ドーナツ形状であってもよい。また、場合によっては、硬磁性体層4側のみ円形形状又はドーナツ形状に形成する構成としてもよい。
【0069】
ところで、本実施の形態の場合、硬磁性体層4が円形形状等により非磁性体絶縁層5下に埋もれてしまうので、引出し電極を工夫する必要があるが、ここでは、半導体分野における多層配線技術が利用されている。即ち、基板3上に絶縁層32、平坦化絶縁層33を適宜パターンで形成するとともに、絶縁層32中から硬磁性体層用引出し電極34を絶縁層32外に引出し、硬磁性体層4の真下において平坦化絶縁層33を貫通するピラー部34aを介して電気的に接続させた構成とされている。
【0070】
本発明の第五の実施の形態を図6に基づいて説明する。図6は本実施の形態の磁気センサ41の構成例を示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【0071】
本実施の形態の磁気センサ41は、磁気抵抗効果素子としてcpp型GMR素子(cpp型巨大磁気抵抗効果素子)42を用いた適用例を示す。即ち、磁界検知用軟磁性体層6に隣接させてCu等による非磁性体金属層43を備え、電流を膜面に垂直に流す構成のものである。なお、非磁性体絶縁層5を設けない構成も可能である。
【0072】
作用的には、第一ないし第三の実施の形態で示した場合と同様である。従って、薄膜磁気抵抗効果素子がcpp型GMR素子42として構成されているので、高精度な磁気センサ41とすることができる。
【0073】
本発明の第六の実施の形態を図7に基づいて説明する。図7は本実施の形態の磁気センサ51の構成例を示す概略断面図である。
【0074】
本実施の形態の磁気センサ51は、硬磁性体層4A、磁界検知用軟磁性体層6、硬磁性体層4Bのサンドイッチ積層構造によりTMR素子52を構成することで、磁界検知用軟磁性体層6がその両面に磁化固定層を持つようにしたものである。7A,7Bは非磁性体絶縁層、53は熱酸化SiO等による基板、54はTa/Fe20Ni80等によるバッファ層である。なお、硬磁性体層4A,4Bは前述したようなPIN層構造であってもよい。
【0075】
ここに、本実施の形態の磁界検知用軟磁性体層6はその保磁力Hkが極めて小さいものであって、例えば、異方性磁界の強度を0.1Oeとした場合であれば保磁力Hkを0.3程度とする。本実施の形態では保磁力、Hkを3Oe以下とすることで有効である。磁界検知用軟磁性体層6の作製工程においては、無磁界(マグネトロンスパッタリング等における意図しない磁界は特に排除しない)で成膜するようにしている。
【0076】
なお、本実施の形態のような磁気センサ51を構成する場合、硬磁性体層4A,4B同士の磁化方向の関係は、図7に示すように平行として同じあってもよいが、非平行状態となるように角度を持たせてもよい。特に、図8に示すように磁化方向が直交するようにすれば(厳密に90°でなくてもよい)、1つの磁気センサ51で磁界の2軸ベクトルの検知が可能となる。即ち、図8において、硬磁性体層4A・磁界検知用軟磁性体層6間から得られる出力と硬磁性体層4B・磁界検知用軟磁性体層6間から得られる出力とは位相が90°ずれたものとなり、比較弁別回路55でそれらを弁別することにより、磁界の2軸ベクトルの検知が可能となる。なお、図面上では、2端子素子に与える電圧或いは電流に関しては省略している。
【0077】
本発明の第七の実施の形態を図9に基づいて説明する。図9は本実施の形態の磁気センサ61の構成例を示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【0078】
本実施の形態の磁気センサ61は、直流ないしは低周波領域での使用を想定したものであり、その際の商用電源からのノイズ等をカットするための電磁シールド部材で覆うようにしたものである。ここでは、一例として例えば図4に示した磁気センサ31の構成例への適用例を示し、TMR素子2の下部側、上面側が各々下部側電磁シールド部材62、上部側電磁シールド部材63で覆われている。これらの各々下部側電磁シールド部材62、上部側電磁シールド部材63としては、Ai、Cu等の非磁性金属、SiO、Si−O−N、Si等の絶縁体、誘電体、或いはこれらの複合体が用いられる。
【0079】
このように、本実施の形態によれば、下部側電磁シールド部材62、上部側電磁シールド部材63で覆うことにより、当該磁気センサ61を直流ないしは低周波領域で使用する場合に問題となる商用電源からのノイズ等を電磁シールド部材62,63によってカットすることができる。
【0080】
なお、磁界検知用軟磁性体層6の表面は非磁性体絶縁層64で覆われ、その中央部分には磁界検知用軟磁性体層6に対するワイヤボンディング用のスルーホール64aが形成され、このスルーホール64aに対応させて上部側電磁シールド部材63には開口部63aが形成されている。この開口部63aの寸法は必要とされるシールド性能等により決定される。
【0081】
なお、フリップチップ実装用の構成も可能であり、この場合には、電磁シールド部材63の開口部63aの周辺部に絶縁部を設けることもできる。
【0082】
本発明の第八の実施の形態を図10に基づいて説明する。本実施の形態は、前述した各実施の形態のような磁気センサを利用して構成した地磁気検知の方位検知システムへの適用例を示す。まず、例えば3つの磁気センサ71a,71b,71c(前述した磁気センサ1,11,21,31,41,51,61の何れの形態でもよい)をxyz3軸ベクトルの方向に独立して配置させた地磁気センサ72が設けられている。これらの磁気センサ71a,71b,71cの検知出力はデータ取り込み部73を介して検知手段としての3磁気成分検知部74に入力されている。この3磁気成分検知部74は地磁気検知に関して、磁気センサ71a,71b,71cの検知出力に基づき3軸ベクトル成分を検知する。一方、データ取り込み部73を介して取り込まれた磁気センサ71a,71b,71cの検知出力に関してその絶対値を算出する絶対値演算部75と、この絶対値演算部75により算出された絶対値の大きさを予め設定されている比較地磁気強度に測定マージンを加味した閾値と比較する比較部76とによる異常検知手段77が設けられている。比較部76では算出された絶対値の大きさが閾値を越えている場合に検知結果に異常があると判断する。この比較部76の出力側には異常検知出力に基づき動作する報知手段としての警報部78が設けられている。
【0083】
これにより、本実施の形態の方位検知システムによれば、測定済みの地磁気強度に測定マージンを加味して予め設定されている閾値を超えるような大きさの検知結果が得られた場合には、警報部78を通じて測定値に異常がある旨を報知するので、誤った検知結果の利用を未然に防止できる。なお、より実際的には、3磁気成分検知部74から得られる検知結果とともに、この警報部78の出力も通信部79を通じて当該システムの使用者に通信によって通知するシステム構成とすればよい。これにより、GPSシステムや後述の携帯電話等の通信システムのようなビジネス形態に利用することも可能となる。
【0084】
なお、本実施の形態の方位検知システムでは、3つの磁気センサ71a,71b,71cを用いたが、3つ以上の磁気センサを3軸ベクトル以上の方向に独立に配置させて地磁気の方向検知を3軸以上のベクトル検知として行なうようにしてもよい。或いは、逆に、1つの磁気センサのみを用いる一軸ベクトル検知を行なう方位検知システムとして構成してもよい。
【0085】
本発明の第九の実施の形態を図11に基づいて説明する。本実施の形態は、前述した各実施の形態のような磁気センサを利用して構成したGPS対応の携帯通信端末としての携帯電話81への適用例を示す。図11は携帯電話81の外観構成を示す概略正面図で、種々の構成例があるが、一例としてマイク部82、入力操作部83、スピーカ部84、LCD等による表示部85等を備え、ヒンジ部86により2つ折り構造とされている。
【0086】
このような基本的な構成に加え、本実施の形態では、GPS機能を発揮させるための地磁気の方位検知に利用する磁気センサ87(前述した磁気センサ1,11,21,31,41,51,61の何れの形態でもよい)が表示部85の裏面側に埋め込まれることにより搭載されている。
【0087】
従って、携帯電話81等の実装面積が限られた携帯通信端末に関して、方位検知用の磁気センサ87を備えるGPS対応の機種の場合でもその実装面積の低減が見込まれる。特に、表示部85の裏面側に埋め込み実装しているので、本実施の形態のような折り畳みタイプの携帯電話81の場合であっても、表示面に近接又は一体化されるので、誤差が少なくなる。また、磁気センサ87は受動的な部品であるので、他に電気・磁気的なノイズは発生せず、表示部85のように外来ノイズに敏感な箇所にも適合可能となる。
【0088】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の磁気センサによれば、少なくとも磁性体層と非磁性体層との積層構造を含む薄膜磁気抵抗効果素子において、磁界検知用軟磁性体層の低保磁力化を行っても十分な感度が得られない原因を考えたところ、磁界検知用軟磁性体層の異方性磁界の強さに起因していることが判明したものであり、反面、磁界検知用軟磁性体層の一部がこれに近接する硬磁性体層からの静磁気的な結合等によって磁化固定層が存在し、この磁化固定層によって磁界検知用軟磁性体層の磁区が比較的安定している点に着目し、磁界検知用軟磁性体層の異方性磁界の強度を3Oe以下として極力異方性をつけないようにしたので、地磁気センサ等に用いる場合でも十分な感度を得ることができ、小型・軽量で高感度な磁気センサを提供することができる。
【0089】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の磁気センサを実現する上で、硬磁性体層が単層構造の場合だけでなく、反強磁性体層と強磁性体層とによるPIN層構造よりなる場合にも同様の作用・効果が得られるものであり、構成上ないしは作製上の自由度を向上させることができる。
【0090】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の磁気センサを実現する上で、反強磁性体層が単層構造の場合だけでなく、所定材料の積層構造からなる人工反強磁性体層構造よりなる場合にも同様の作用・効果が得られるものであり、構成上ないしは作製上の自由度を向上させることができる。
【0091】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3の何れか一記載の磁気センサにおいて、磁界検知用軟磁性体層の平面形状を円形形状(真円形状、楕円形状等)又はドーナツ形状としたので、形状異方性に伴う磁気異方性を低減させることができる上に、磁界の角度特性も向上させることができる。
【0092】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4の何れか一記載の磁気センサにおいて、硬磁性体層の平面形状を円形形状(真円形状、楕円形状等)又はドーナツ形状としたので、磁化固定層も含めて形状異方性に伴う磁気異方性を低減させることができる上に、磁界の角度特性も向上させることができる。
【0093】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし5の何れか一記載の磁気センサを実現する上で、薄膜磁気抵抗効果素子がトンネル型磁気抵抗効果素子として構成されているので、高精度な磁気センサとすることができる。
【0094】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし5の何れか一記載の磁気センサを実現する上で、薄膜磁気抵抗効果素子がcpp型巨大磁気抵抗効果素子として構成されているので、高精度な磁気センサとすることができる。
【0095】
請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし7の何れか一記載の磁気センサにおいて、磁界検知用軟磁性体層の両面に磁気固定層を有する構造としたので、磁界検知用軟磁性体層の保磁力を極めて小さくする場合に好適な構成を提供することができる。
【0096】
請求項9記載の発明によれば、請求項8記載の磁気センサにおいて、硬磁性体層同士の磁化方向の関係が平行状態に限られず、構成上ないしは作製上の自由度を向上させることができる。
【0097】
請求項10記載の発明によれば、請求項9記載の磁気センサにおいて、1つの磁気センサで磁界の2軸ベクトル検知を行わせることができる。
【0098】
請求項11記載の発明によれば、請求項1ないし10記載の磁気センサにおいて、当該磁気センサを直流ないしは低周波領域で使用する場合に問題となる商用電源からのノイズ等を電磁シールド部材によってカットすることができる。
【0099】
請求項12記載の発明の方位検知システムによれば、地磁気を検知対象とする方位検知システムに適用した場合、基本的には、高感度な請求項1ないし11の何れか一記載の磁気センサの検知出力に基づき検知される磁気ベクトルが利用されるが、この際、磁気センサの検知出力の絶対値を測定済みの地磁気強度に測定マージンを加味した閾値との比較により検知結果に異常があるか否かを判断しており、異常が検知された場合にはその旨を報知させることで、誤った検知結果の利用を未然に防止することができ、さらには、磁気センサによる検知結果とともに、異常検知の結果の情報も当該システムの使用者に通信により伝送するGPSシステムや携帯電話等の携帯通信端末のようなビジネス形態に利用することも可能である。
【0100】
請求項13記載の発明の方位検知システムによれば、3軸ベクトル以上の方向に独立して配置された高感度な請求項1ないし11の何れか一記載の磁気センサの検知出力に基づき検知される3軸以上のベクトルを利用することで、地磁気を検知対象とする方位検知システムに適用することができ、条件によっては、特に、加速度センサ等を併用することなく、当該センサのみで使用中の運動を検知することができる。また、回転運動の検知が可能であり、さらには、加速度センサ等を併用する一般的な使用法にも適用することができる。
【0101】
請求項14記載の発明の携帯通信端末によれば、表示部を備える携帯通信端末であって、地磁気を検知対象として前記表示部の裏面側に埋め込まれた請求項1ないし11の何れか一記載の磁気センサを備えるので、携帯電話等の実装面積が限られた携帯通信端末に関して、方位検知用の磁気センサを備えるGPS対応の機種の場合でもその実装面積の低減化を図ることができ、特に、表示部の裏面側に埋め込み実装しているので、折り畳みタイプの端末の場合であっても、表示面に近接又は一体化されるので、検知誤差を少なくすることができ、また、当該磁気センサは受動的な部品であるので、他に電気・磁気的なノイズは発生せず、表示部のように外来ノイズに敏感な箇所にも適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の磁気センサを示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【図2】その角度と回転磁界変化量との関係を示す磁界回転特性図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態の磁気センサを示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図、(c)はその硬磁性体層部分の概略縦断側面図である。
【図4】本発明の第三の実施の形態の磁気センサを示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【図5】本発明の第四の実施の形態の磁気センサを示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【図6】本発明の第五の実施の形態の磁気センサを示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【図7】本発明の第六の実施の形態の磁気センサを示す概略断面図である。
【図8】その変形例の磁気センサを示す概略断面図である。
【図9】本発明の第七の実施の形態の磁気センサを示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【図10】本発明の第八の実施の形態の方位検知システムの構成例を示す模式図である。
【図11】本発明の第九の実施の形態の携帯電話の構成例を示す概略正面図である。
【符号の説明】
1 磁気センサ
2 薄膜磁気抵抗効果素子、TMR素子
4,4A,4B 硬磁性体層(磁性体層)
4a 反強磁性体層
4b 強磁性体層
5 非磁性体絶縁層(非磁性体層)
6 磁界感知用軟磁性体層(磁性体層)
11,21,31,41 磁気センサ
42 薄膜磁気抵抗効果素子、cpp型GMR素子
51,61 磁気センサ
71 磁気センサ
74 検知手段
77 異常検知手段
78 報知手段
85 表示部
87 磁気センサ

Claims (14)

  1. 少なくとも磁性体層と非磁性体層との積層構造を含み、前記磁性体層のうちで磁化反転可能な保磁力を有する磁界検知用軟磁性体層の一部がこれに近接する硬磁性体層により磁化固定層を含む薄膜磁気抵抗効果素子を備え、
    前記磁界検知用軟磁性体層の異方性磁界の強度が3Oe以下であることを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記硬磁性体層は、反強磁性体層と強磁性体層とによるPIN層構造よりなることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
  3. 前記反強磁性体層は、人工反強磁性体層よりなることを特徴とする請求項2記載の磁気センサ。
  4. 前記磁界検知用軟磁性体層は、平面形状が円形形状又はドーナツ形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一記載の磁気センサ。
  5. 前記硬磁性体層は、平面形状が円形形状又はドーナツ形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一記載の磁気センサ。
  6. 前記薄膜磁気抵抗効果素子は、金属磁性体層、非磁性体絶縁層及び金属磁性体層の積層構造を含むトンネル型磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一記載の磁気センサ。
  7. 前記薄膜磁気抵抗効果素子は、磁性体層、非磁性体絶縁層及び金属磁性体層で構成される膜面に垂直に電流を流すcpp型巨大磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一記載の磁気センサ。
  8. 前記磁界検知用軟磁性体層の両面に前記磁気固定層を持たせるように前記硬磁性体層を前記磁界検知用軟磁性体層の両面に積層配置させたことを特徴とする請求項1ないし7の何れか一記載の磁気センサ。
  9. 両面に積層配置される前記硬磁性体層は、その磁化方向が非平行状態となる角度を有することを特徴とする請求項8記載の磁気センサ。
  10. 両面に積層配置される前記硬磁性体層は、その磁化方向が直交することを特徴とする請求項9記載の磁気センサ。
  11. 前記薄膜磁気抵抗効果素子の全面又はその一部が電磁シールド部材により覆われていることを特徴とする請求項1ないし10記載の磁気センサ。
  12. 地磁気を検知対象とする請求項1ないし11の何れか一記載の磁気センサと、
    この磁気センサの検知出力に基づき磁気ベクトルを検知する検知手段と、
    前記磁気センサの検知出力の絶対値と予め設定されている閾値とに基づき検知結果に異常があるか否かを判断する異常検知手段と、
    この異常検知手段により異常が検知された場合にはその旨を報知する報知手段と、
    を備える方位検知システム。
  13. 3軸ベクトル以上の方向に独立して配置されて地磁気を検知対象とする請求項1ないし11の何れか一記載の複数の磁気センサと、
    これらの磁気センサの検知出力に基づき3軸以上のベクトルを検知する検知手段と、
    を備える方位検知システム。
  14. 表示部を備える携帯通信端末であって、地磁気を検知対象として前記表示部の裏面側に埋め込まれた請求項1ないし11の何れか一記載の磁気センサを備える携帯通信端末。
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