JP2004163731A - 光デバイスおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化が可能で生産性が高い光デバイスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】光デバイス1000は、同一基板10上に形成された光能動素子部100および光受動素子部200を含み、前記光能動素子部100は、前記基板10に設けられた凸部20の上に配置されるデバイス層120と、前記基板10の一方の面および前記デバイス層120の上に配置される電極層110,130と、を含み、前記光受動素子部200は、導波路層210を含み、前記導波路層210は、柱状孔220が周期的に配列された2次元フォトニック結晶構造を有し、該2次元フォトニック結晶構造内には導波路として機能する線欠陥230が形成され、前記デバイス層120の少なくとも一方の端面は、前記導波路層210の線欠陥230の一方の端部と接している。
【選択図】 図1
【解決手段】光デバイス1000は、同一基板10上に形成された光能動素子部100および光受動素子部200を含み、前記光能動素子部100は、前記基板10に設けられた凸部20の上に配置されるデバイス層120と、前記基板10の一方の面および前記デバイス層120の上に配置される電極層110,130と、を含み、前記光受動素子部200は、導波路層210を含み、前記導波路層210は、柱状孔220が周期的に配列された2次元フォトニック結晶構造を有し、該2次元フォトニック結晶構造内には導波路として機能する線欠陥230が形成され、前記デバイス層120の少なくとも一方の端面は、前記導波路層210の線欠陥230の一方の端部と接している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光デバイスおよびその製造方法に関し、特に光能動素子と光受動素子とが集積化された光デバイスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
近年のインターネットの普及に伴い、高速かつ大容量の光通信システムの需要が高まっている。かかる光通信システムの伝送方式としては、1本の光ファイバに波長の異なる複数の光信号を多重化して伝送する波長分割多重(WDM)方式が注目されている。
【0003】
WDM方式においては、大量の信号を処理するための光伝送装置が必要とされ、例えば、送信部には異なる波長の光を送信するための光源およびこれを多重化するための合波器が必要であり、受信部には多重化された信号群を波長ごとに分割するための分波器およびこれらを受信するための光検出器が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の光伝送装置においては、上記した送信部や受信部に内蔵される素子は個別に形成され、各素子について光軸調整を伴う正確な位置決めを行って基板上に実装していたため、生産性に乏しく、小型化することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、小型化が可能で生産性が高い光デバイスおよびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の光デバイスは、
同一基板上に形成された光能動素子部および光受動素子部を含み、
前記光能動素子部は、前記基板に設けられた凸部の上に配置されるデバイス層と、前記基板の一方の面および前記デバイス層の上に配置される電極層と、を含み、
前記光受動素子部は、導波路層を含み、
前記導波路層は、柱状孔が周期的に配列された2次元フォトニック結晶構造を有し、該2次元フォトニック結晶構造内には導波路として機能する線欠陥が形成され、
前記デバイス層の少なくとも一方の端面は、前記導波路層の線欠陥の一方の端部と接している。
【0007】
本発明において、光能動素子とは、例えば、光/電気変換機能、電気/光変換機能、光増幅機能、や光吸収機能など光信号に関して新たな作用を奏する素子をいい、光受動素子とは、例えば、導波機能など光信号に関して新たな作用を奏しない素子をいう。なお、光の多重分割機能を有する素子については、外的作用による制御の必要性の有無で分類し、かかる外的作用により制御されて機能を発揮する素子は、光能動素子に含まれ、外的作用を必要としない素子は、光受動素子に含まれる。
【0008】
本発明の光デバイスによれば、光能動素子と光受動素子とが同一基板上に形成されており、光受動素子として2次元フォトニック結晶構造により形成されるフォトニックバンドギャップによって光を線欠陥内に閉じ込める導波路層を用いているため、かかる各素子を高集積化して装置を小型化することができる。また、かかる光デバイスによれば、光能動素子と光受動素子を個別の部品として作成する場合に比べて部品点数を削減することができるため、生産コストを低減することができる。
【0009】
本発明の光デバイスは、以下に示す各種態様を取り得る。
【0010】
(A)前記デバイス層を、複数設けて、かつそれぞれが端面から波長の異なるレーザー光を出射可能な半導体発光素子として機能するように形成し、
前記導波路層を、前記線欠陥による光の入射口が前記デバイス層に対応するように設けて、かつ前記線欠陥によって前記デバイス層から出射されたレーザー光を合波して出射可能に形成することができる。
【0011】
かかる態様によれば、光能動素子が光送信源として形成され、光受動素子が合波器として形成されているため、多重化した光信号を送信する光送信装置を小型化することができる。
【0012】
(B)前記デバイス層を、複数設けて、かつ光を受光可能な半導体受光素子として機能するように形成し、
前記導波路層を、前記線欠陥による光の出射口が前記デバイス層に対応するように設けて、かつ前記線欠陥によって入射光を分波して前記デバイス層へ出射可能に形成することができる。
【0013】
かかる態様においては、前記導波路層を、前記線欠陥によって異なる波長の光が含まれる入射光を波長ごとに分波して前記デバイス層へ出射可能に形成することができる。
【0014】
かかる態様によれば、光能動素子が光検出器として形成され、光受動素子が分波器として形成されているため、多重化した光信号を分割して受信する光受信装置を小型化することができる。
【0015】
(C)前記デバイス層を、電極層から与えられるバイアスの方向に応じて、所定の波長の光を吸収する半導体光吸収素子として機能するように形成し、
前記導波路層は、第1の導波路層と第2の導波路層とを含み、
前記第1の導波路層の線欠陥の一方の端部と前記デバイス層の一方の端部とを接するように形成し、かつ前記第2の導波路層の線欠陥の一方の端部と前記デバイス層の他方の端部とを接するように形成することができる。
【0016】
かかる態様によれば、光能動素子が半導体光吸収素子として形成されているため、電極層から与えるバイアスの方向を制御することによって光が吸収されたときは、OFF動作を行い、光が吸収されないときは、ON動作を行う小型で光ファイバとの結合性がよい光スイッチや光変調器を実現することができる。
【0017】
(2)本発明に係る光デバイス製造方法は、
基板の一部をマスクしてパターニングすることにより基板に凸部を形成し、
前記基板の上に第1の層、第2の層、および第3の層を順次形成し、
前記第2の層をウエットエッチングにより除去することを含み、
前記基板の凸部上に形成された第1の層は、光能動素子として機能するように形成され、
前記基板の凸部と異なる領域の上に形成された前記第3の層は、前記第1の層より厚い膜厚で形成されるとともに、柱状孔が周期的にパターニングされて、2次元フォトニック結晶構造および線欠陥を含む光受動素子として機能するように形成され、
前記基板の凸部と異なる領域の上に形成された前記第2の層は、前記第3の層に前記柱状孔を形成した後に、当該柱状孔を通じてウエットエッチングすることにより除去される。
【0018】
本発明に係る光デバイスの製造方法によれば、凸部を有する基板上に第3の層を第1の層より厚い膜厚で形成することにより、基板に設けた凸部の段差によって、第1の層から形成される光能動素子と、第3の層から形成される光受動素子との光軸が自己整合的に調整される。このため、本発明の製造方法は、生産性が高く、両素子間の光の結合効率を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の製造方法によれば、第3の層の下に形成される第2の層を取り除く工程を第3の層に形成された柱状孔を通じて行うことにより、第3の層の下部がアンダーカットされて第3の層の上下が空気の層となる。これにより、第3の層から形成される導波路層内の線欠陥において、縦方向に対する光の閉じ込めを行うことができ、確実に導波路層内で光を伝搬させる構成を形成することができる。
【0020】
また、本発明の光デバイスの製造方法において、前記第2の層の膜厚を、前記基板の凸部と異なる領域に形成される前記第1の層および第2の層の総膜厚が少なくとも前記基板の凸部の段差より小さくなるように形成することができる。
【0021】
かかる態様によれば、第1の層からなるデバイス層と第3の層からなる導波路層の高さを第2の層により調整することで、両層により形成される光能動素子と光受動素子との間の個別の光軸調整が不要となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
(デバイスの構造および機能)
図1(A)〜図1(C)は、第1の実施形態に係る光デバイス1000を模式的に示す図である。なお、図1(B)は、図1(A)におけるa−a断面図を表し、図1(C)は、図1(A)におけるb−b断面図を表す。
【0024】
光デバイス1000は、図1(A)に示すように、光能動素子からなる発光素子部100と光受動素子からなる光合波部200とから形成されている。かかる光デバイス1000は、例えば、WDM方式用の光送信器として用いることができる。
【0025】
発光素子部100は、図1(B)に示すように、基板10の凸部20上にデバイス層120が配置され、かつデバイス層120の上および基板10の裏面側に電極層112、114が配置された端面出射型の半導体レーザー131〜134を複数有する。基板10としては、不純物がドーピングされた化合物半導体基板、例えば、n−GaAs基板やn−InP基板などを用いることができる。
【0026】
また、図1(C)に示すように、発光素子部100の各半導体レーザー131〜134は、絶縁層140により絶縁されており、絶縁層140に設けられたコンタクト領域を通じて電極層110と電気的に接続されている。
【0027】
図2(A)は、発光素子部100における半導体レーザー131〜134の層構造の一例を模式的に示す断面図である。
【0028】
この半導体レーザー131〜134は、n型GaAsからなる基板10上にn型GaAsバッファ層121、n型AlGaAsクラッド層122、AlGaAsバリア層123、GaAs井戸層124、AlGaAsバリア層125、p型AlGaAsクラッド層126、およびp型GaAsコンタクト層127が順次積層されて構成されている。また、基板10の裏面には、n型電極となる電極層114が設けられ、p型GaAsコンタクト層127の上部には、ポリイミド絶縁層140に設けられたコンタクト領域を通じてp型電極となる電極層112が接続されている。
【0029】
この半導体レーザーは、電極層112、114から与えられるバイアス電流によって、AlGaAsバリア層123、GaAs井戸層124、およびAlGaAsバリア層125からなる量子井戸(活性層)から誘導放出により発生する光がこの量子井戸構造を含むデバイス層120の側端面の間で共振することによりレーザー発振してレーザー光として端面から出射されるファブリー・ペロー型レーザーである。半導体レーザー131〜134の構成としては、この他に、回折格子を備えた分布ブラッグ反射型(DBR)レーザーや分布帰還型(DFB)レーザーなどを採用することができる。
【0030】
また、発光素子部100を構成する複数の半導体レーザー131〜134は、それぞれ発光波長が異なるように形成されている。このように同一基板上において波長の異なる半導体レーザーを設けるには、図1(C)に示すように、デバイス層120の膜厚を調整して形成することにより実現することができる。これは、図2(B)に示すように、半導体レーザー131〜134における量子井戸(活性層)の膜厚tが異なると半導体レーザー131〜134から出射されるレーザー光の発光波長が異なることを利用したものである。
【0031】
一方、光合波部200は、図1(A)に示すように、柱状孔220が周期的に配列された2次元フォトニック結晶構造内に導波路として機能する線欠陥230が形成されたスラブ型の導波路層210により構成される。また、導波路層210の材料は、例えば、GaAsなどを用いることができる。
【0032】
線欠陥230は、柱状孔220の周期的な配列の一部を乱すように線状に形成された欠陥であって、柱状孔220の周期的な配列により形成されるフォトニックバンドギャップによってスラブの面内に光が閉じ込められて光の導波路として機能する。この線欠陥230は、発光素子部100の各半導体レーザー131〜134に対応して複数に分岐した入射口を有し、これらが一つの出射口240に収束された平面形状を有する。また、線欠陥230は、図1(B)に示すように、端部がデバイス層120の端面と接して設けられている。このため、光デバイス1000においては、デバイス層120から出射されるレーザー光を低損失で導波路層210に入射させることができる。
【0033】
また、柱状孔220の配列は、図3(A)に示すような三角格子状の配列や、図3(B)に示すような正方格子状の配列など任意の配列を適宜選択して採用することができる。また、柱状孔220の平面形状は、図3(A)および図3(B)に示す円形に限らず、楕円形や多角形など種々の平面形状を採用することができる。
【0034】
次に、本実施の形態に係る光デバイス1000の機能について説明する。まず、発光素子部100の電極層112、114からデバイス層120に順方向バイアスが供給されると、各半導体レーザー131〜134からデバイス層120における量子井戸の膜厚に応じて波長λ1〜λ4のレーザー光が出射される。このレーザー光は、デバイス層120と導波路層210との界面から線欠陥230に入射され、線欠陥230内で合波されて出射口240から外部に出射される。
【0035】
このように、本実施形態に係る光デバイス1000によれば、発光素子部100と光合波部200とが同一の基板10の上に集積化されているため、デバイス寸法を従来に比べて大幅に小型化することができる。また、かかる光デバイス1000によれば、発光素子部100の各半導体レーザー131〜134と光合波部200の導波路層210とを個別の部品として製造し、改めて基板に実装する場合に比べて部品点数を削減することができるため、生産コストを低減することができる。
【0036】
(デバイスの製造方法)
以下に、本実施の形態に係る光デバイス1000の製造方法について図4〜図7の各図を参照しながら説明する。
【0037】
(1)まず、図4(A)に示すように、基板10の上に、例えば、SiO2などの酸化物からなるマスク300を形成する。このマスク300は、基板10上の全面にCVD法などを用いて形成した後、レジストを塗布して、これをフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングする。そして、後に凸部20を形成する領域を残すように例えば、RIE(Reactive Ion Etching)などを用いてレジストをエッチングすることによって形成することができる。
【0038】
(2)次に、図4(B)に示すように、基板10をエッチングして基板10に凸部20を形成する。かかる工程におけるエッチングには、例えば、ICP(Ion Coupled Plasma)装置を用いることができる。
【0039】
(3)次に、図4(C)に示すように、凸部20が形成された基板10上にデバイス層120、犠牲層250、および導波路層210を順次積層する。各層は、例えば、MOCVD法により成膜することができる。
【0040】
ここで、デバイス層120は、例えば、図2(A)に示す層構造により形成することができる。また、犠牲層250は、例えば、AlAsなどを材料として形成され、より具体的には、デバイス層120や導波路層210に対して、ウエットエッチングにおける選択比の高い材料を採用することができる。
【0041】
また、かかる工程においては、導波路層210の膜厚は、デバイス層120の膜厚より厚くなるように形成される。これにより、デバイス層120から出射されるレーザー光を導波路層210内に低損失で入射させることができる。また、かかる工程では、犠牲層250の膜厚を、基板10の凸部20と異なる領域に形成されるデバイス層120および犠牲層250の総膜厚が少なくとも基板10の凸部20の段差より小さくなるように形成する。このように犠牲層250の膜厚を調整して成膜することで、デバイス層120の端面と導波路層210の端面とが接するように形成することができる。すなわち、本実施の形態の製造方法では、デバイス層120と導波路層210との光軸調整を犠牲層250の膜厚調整によって再現性よく行うことができる。
【0042】
(4)次に、導波路層210をパターニングして線欠陥230からなる導波路を有する2次元フォトニック結晶構造を形成する。具体的には、図5(A)に示すように、レジスト310を塗布して、EB(Electron Beam)露光により柱状孔220となる部分の配列をパターニングする。なお、線欠陥230となる部分についてはレジスト310を残すようにパターニングが行われる。
【0043】
(5)続いて、図5(B)に示すように、導波路層210を例えば、ICPエッチングによりパターンニングして、この導波路層210内に柱状孔220ならびに線欠陥230からなる2次元フォトニック結晶構造を形成する。
【0044】
(6)次に、図5(C)に示すように、犠牲層250を例えば、塩酸(HCl)溶液や沸酸(HF)溶液などを用いてウエットエッチングすることにより除去する。このとき、エッチャントは、柱状孔220を通じて犠牲層250を除去していく。これにより、導波路層210の上下を空気の層とすることができ、導波路層210内の線欠陥230において、光の進行方向に対する縦方向においても光が閉じ込められるように形成することができ、確実に導波路層210内で光を伝搬させる構成を実現することができる。
【0045】
また、このとき基板10の凸部20上に形成された犠牲層250も除去されるので、この犠牲層250の除去に伴い、凸部20の上に形成されたデバイス層120の上層部も除去され、基板10の凸部20の上においては、デバイス層120が露出する。
【0046】
(7)最終的には、図5(D)に示すように、基板10の凸部20上において露出したデバイス層120を複数個に絶縁分離する加工をして、その上に電極層112を形成し、また、基板10の裏面に電極層114を形成して、光デバイス1000を得ることができる。
【0047】
このように、本実施の形態に係る光デバイス1000の製造方法によれば、基板10に設けた凸部20の段差を用いて、デバイス層120から形成される光能動素子と、導波路層210から形成される光受動素子との光軸が製造工程内で自己整合的に調整されるため、生産性が高い。また、かかる製造方法によれば、導波路層210の膜厚がデバイス層120の膜厚よりも厚くなるように形成されるため、デバイス層120と導波路層210との光の結合効率を向上させることができる。
【0048】
なお、光デバイス1000において、発光素子部100に複数設けられた半導体レーザー131〜134が、それぞれ波長の異なるレーザー光を出射可能に形成すべく、本実施の形態では、以下に説明する製造方法を採用することができる。
【0049】
図6(A)〜図6(E)および図7(A)〜図7(D)は、かかる発光素子部100を形成するための工程を模式的に示す断面図である。
【0050】
まず、図6(A)に示すように、上記(1)の工程に対応して、基板10の上に凸部20を形成するためのマスク300を形成する。ここで、本工程においては、デバイス層120の膜厚を調整して形成するために、基板10のデバイス層120の形成面の幅を変更するようにマスク300はパターニングされる。なお、ここでは基板10のデバイス層120の形成面の幅を変更する場合に限られず、デバイス層120の形成面の少なくとも面積が変更されるようにパターニングすればよい。
【0051】
次に、図6(B)に示すように、上記(2)の工程に対応して、例えば、ICPエッチングにより基板10がエッチングされて凸部21〜24が形成される。このとき凸部21〜24の幅は、所望の発光波長を得るために必要なデバイス層120の膜厚に対応する幅に形成される。
【0052】
次に、図6(C)に示すように、上記(3)の工程に対応して、例えば、MOCVD法を用いて、デバイス層120、犠牲層250および導波路層210を順次積層する。このとき凸部21〜24の上にはそれぞれの幅に応じた膜厚の層が成膜される。なお、かかる工程においては、デバイス層120等を成膜する前に、凸部21〜24以外の領域の上に酸化物マスクなどを設けることによって、凸部21〜24の上のみにデバイス層120等を選択的に成膜することもできる。
【0053】
次に、図6(D)に示すように、上記(6)の工程に対応して、犠牲層250のウエットエッチングによって犠牲層250が除去されるとともに、基板10の凸部上の導波路層210が除去され、続いて、図6(E)に示すように、デバイス層120をエッチングしてストライプパターニングする。
【0054】
次に、図7(A)〜(D)に示すように、デバイス層120および基板10に対して電極層112、114を形成するための工程を行う。
【0055】
具体的には、まず、図7(A)に示すように、基板10の各凸部上に形成されたデバイス層120を電気的に分離するための絶縁層140を形成する。絶縁層140は、例えば、ポリイミドなどの樹脂材料を塗布することにより形成することができる。
【0056】
次に、図7(B)に示すように、絶縁層140の上にレジスト320を塗布した後に、コンタクト領域30を形成する部分についてレジスト320をフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングする。このとき、レジスト320を、コンタクト領域30の平面形状がストライプ形状となるように、パターニングすることができる。その後、図7(C)に示すように、例えば、ICPエッチングにより絶縁層140にコンタクト領域30を形成する。
【0057】
最後に、図7(D)に示すように、例えば、真空蒸着法を用いて絶縁層140の上部からデバイス層120の上面に対して電極層112を形成し、基板10の裏面側に電極層114を形成する。これにより、同一基板上において、波長の異なる光を出射可能な半導体レーザー131〜134を有する発光素子部100を形成することができる。
【0058】
[第2の実施形態]
図8(A)〜図8(C)は、本発明の第2の実施形態に係る光デバイス2000を模式的に示す図である。なお、図8(B)は、図8(A)におけるa−a断面図を表し、図8(C)は、図8(A)におけるb−b断面図を表す。本実施の形態においては、第1の実施形態で説明したものと実質的に同様の機能を有する部材には同一符号を付して詳細な説明を省略し、主要な相違点について説明する。
【0059】
本実施の形態に係る光デバイス2000は、図8(A)に示すように、光能動素子からなる受光素子部101と光受動素子からなる光分波部201とから構成されている。かかる光デバイス2000は、例えば、WDM方式用の光受信器として用いることができる。
【0060】
受光素子部101は、図8(B)に示すように、基板11の凸部21上にデバイス層150が配置され、デバイス層150の上および基板11の裏面側に電極層112、114が配置された複数のフォトダイオード161〜164を有する。基板11としては、第1の実施形態で説明した基板10と同様のものを用いることができる。
【0061】
また、受光素子部101の各フォトダイオード161〜164は、図8(C)に示すように、それぞれ絶縁層140により絶縁されており、絶縁層140に設けられたコンタクト領域を通じて電極層112と電気的に接続されている。
【0062】
図9は、受光素子部101におけるフォトダイオード161〜164の層構造の一例を模式的に示す断面図である。
【0063】
フォトダイオード161〜164は、n型GaAsからなる基板11上にGaAs吸収層152、p型GaAs層154が順次積層されて構成されている。また、基板11の裏面には、n型電極となる電極層112が設けられ、p型GaAs層154の上部には、ポリイミド絶縁層140に設けられたコンタクト領域を通じてp型電極となる電極層114が接続されている。
【0064】
このフォトダイオードは、GaAs吸収層において、光を吸収して、電気に変換する光/電気変換機能を有する。なお、このフォトダイオードは、受光感度を高めるべく、GaAs吸収層の代わりに例えば、多重量子井戸構造の吸収層としてもよい。
【0065】
一方、光分波部201は、図8(A)に示すように、柱状孔220が周期的に配列された2次元フォトニック結晶構造内に導波路として機能する線欠陥231が形成されたスラブ型の導波路層211により構成される。また、導波路層211の材料としては、第1の実施形態で説明した導波路層210と同様のものを用いることができる。
【0066】
線欠陥230は、柱状孔220の周期的な配列により形成されるフォトニックバンドギャップによってスラブの面内に光が閉じ込められる光導波路として機能する。この線欠陥231は、一つの入射口241と、受光素子部101の各フォトダイオード161〜164に対応して複数に分岐した出射口とを有する。また、線欠陥231は、図8(B)に示すように、その端部がデバイス層150の端面と接するように設けられている。このため、光デバイス2000においては、導波路層211の線欠陥231を通過してきた光を低損失でデバイス層150へ入射させることができる。
【0067】
なお、線欠陥231において、入射口241から入射された複数の波長の光を波長ごとに分波させるためには、例えば、図10に示すように2次元フォトニック結晶構造を形成することで実現することができる。例えば、波長λ1、λ2の光を分波する場合には、線欠陥の分岐した部分において、柱状孔220の内側に柱状孔221を設けて、分岐した線欠陥の幅d1、d2を変更することにより、それぞれの線欠陥におけるフォトニックバンドギャップを調整して、所定の波長を通過させるように形成することができる。これにより、線欠陥は分岐した領域において波長選択性を有することになり、例えば、幅d1の線欠陥には、波長λ1の光が通過し、また例えば、幅d2の線欠陥には、波長λ2の光が通過すように導波路層211を形成することができる。この手法は、分波させる波長の数が多くなっても同様の手法を用いることができる。
【0068】
次に、本実施形態に係る光デバイス2000の機能について説明する。まず、導波路層211の入射口241から波長λ1〜λ4が多重化された光が入射されると、導波路層211では、これらが線欠陥231において波長ごとに分波されてフォトダイオード161〜164のデバイス層150に向けて出射される。デバイス層150では、かかる光を吸収して電気信号に変換し、かかる信号が電極層112、114を通じて出力される。
【0069】
このように、本実施形態に係る光デバイス2000によれば、受光素子部101と光分波部201とが同一基板11の上に集積化されているため、デバイス寸法を小型化することができ、かつ生産性が高い。また、かかる光デバイス2000によれば、受光素子部101の各フォトダイオード161〜164と光分波部201の導波路層211とを個別の部品として製造して別途基板に実装する場合に比べて部品点数を削減することができるため、生産コストを低減することができる。
【0070】
(デバイスの製造方法)
以下に、本実施の形態に係る光デバイス2000の製造方法について説明する。第1の実施形態における製造方法と重複する部分については詳細な説明を省略し、主要な相違点について説明する。
【0071】
本実施の形態に係る光デバイス2000は、基本的には、図4、図5で示したように、第1の実施形態に係る光デバイス1000と同様の製造工程(1)〜(7)により形成することができる。従って、本実施の形態に係る光デバイス2000の製造方法においても、基板11に設けた凸部21の段差を用いて、デバイス層150から形成される光能動素子と、導波路層211から形成される光受動素子との光軸を自己整合的に調整することができるため、生産性が高い。また、導波路層211の膜厚がデバイス層150の膜厚よりも厚くなるように形成されるため、デバイス層150と導波路層211との光の結合効率を向上させることができる。
【0072】
なお、本実施の形態に係る光デバイス2000においては、第1の実施形態に係る光デバイス1000のように、デバイス層150の膜厚を変更して形成する工程を必ずしも行う必要はないため、受光素子部101を以下のような工程で形成することができる。
【0073】
具体的には、図11(A)〜図11(E)にその製造工程が示される。まず、図11(A)に示すように、基板11上にデバイス層150を露出させた状態で、フォトダイオード161〜164を分離するために、デバイス層150の上にレジスト330を形成し、例えば、フォトリソグラフィー技術を用いてレジスト330をパターニングする。続いて、図11(B)に示すように、例えば、ICPエッチングによりデバイス層150をパターンに沿った形状にエッチングする。
【0074】
次に、図11(C)に示すように、例えば、ポリイミドを塗布して、絶縁層140を形成し、パターニングされたデバイス層150を電気的に絶縁する。そして、絶縁層140の上に、レジスト340を形成して、これを例えば、フォトリソグラフィー技術によってパターニングし、その後絶縁層140を例えば、ICPエッチングによりエッチングして、図11(D)に示すように、コンタクト領域30を形成する。
【0075】
最終的には、図11(E)に示すように、絶縁層140の上部から例えば、真空蒸着法を用いて、p型電極となる電極層112を形成して、かかる電極層112をデバイス層150とコンタクト領域30を通じて電気的に接続し、また、基板11の裏面側にn型電極となる電極層114を形成する。かかる工程により、複数のフォトダイオード161〜164を有する受光素子部101を形成することができる。
【0076】
[第3の実施形態]
図12(A)〜図12(C)は、本発明の第3の実施形態に係る光デバイス3000を模式的に示す図である。なお、図12(B)は、図12(A)におけるa−a断面図を表し、図12(C)は、図12(A)におけるb−b断面図を表す。本実施の形態においては、第1の実施形態で説明したものと実質的に同様の機能を有する部材には同一符号を付して詳細な説明を省略し、主要な相違点について説明する。
【0077】
本実施の形態に係る光デバイス3000は、図12(A)に示すように、光能動素子からなる光吸収素子部103と光受動素子からなる光導波路部203とから構成されている。かかる光デバイス3000は、例えば、光スイッチや光変調器として用いることができる。
【0078】
光吸収素子部103は、図12(B)に示すように、基板12の凸部22上にデバイス層170が配置され、デバイス層170の上および基板12の裏面側に電極層112、114が配置された半導体光吸収(SOA)デバイス181〜184を有する。かかる半導体光吸収デバイス181〜184の層構造の具体例としては、図2に示した半導体レーザー161〜164と同様の層構造に対して量子井戸となる層の少なくとも一方の端面に光の共振を防止するための光反射防止膜を設けた構造を採用することができる。かかる構造により、電極層112から電極層114にかけてバイアスを0若しくは逆方向のバイアスを印加することで、量子井戸において光を吸収してOFF動作を行い、順方向のバイアスを印加することで、量子井戸における自然放出光を利用して入射されたレーザー光を増幅してON動作を行う光スイッチを実現することができる。また、この光スイッチにおける光のON/OFF動作を利用して、本実施の形態に係る光デバイス3000は、光変調器として利用することができる。
【0079】
また、光吸収素子部103は、図12(C)に示すように、波長λ1〜λ4の光に対応して複数の半導体光吸収デバイス181〜184を並列的に設けることができ、それぞれが増幅する波長が異なるようにデバイス層170の膜厚を調整して形成することができる。かかるデバイス層170の膜厚調整手法は、第1の実施形態において説明した手法を用いることができる。
【0080】
一方、光導波路部203は、第1の導波路層212と第2の導波路層213とから構成されている。第1および第2の導波路層212、213は、上記実施形態において説明した導波路層210、211と同様に線欠陥232、233からなる導波路を有する2次元フォトニック結晶構造のスラブ型導波路である。
【0081】
また、光導波路部203は、図12(B)に示すように、第1の導波路層212の線欠陥232の一方の端部と第2の導波路層の線欠陥233の一方の端部とが光吸収素子部103のデバイス層170の端面と少なくとも接するように形成されている。また、各導波路層212、213は、デバイス層170より厚い膜厚で形成されているため、光デバイス3000では、各導波路層212、213とデバイス層170との光の結合効率がよい。
【0082】
次に、本実施形態に係る光デバイス3000の機能について説明する。まず、第1の導波路層212の端部241からそれぞれの線欠陥に波長λ1〜λ4の光が入射されると、電極層112、114から与えられる電気信号のバイアス方向に応じて光吸収素子部103の半導体光吸収デバイス181〜184で入射光のスイッチング動作が行われる。このとき、ON動作においては、入射光がデバイス層170で増幅されて第2の導波路層213の端部243から外部に出射される。一方、OFF動作においては、入射光がデバイス層170で吸収されて遮断される。
【0083】
このように、本実施形態に係る光デバイス3000によれば、光吸収素子部103と光導波路部203とが同一基板12の上に集積化されているため、デバイス寸法を小型化することができ、かつ生産性が高い。また、かかる光デバイス3000によれば、光吸収素子部103の各半導体光吸収デバイス181〜184に対して、入出力用の第1および第2の導波路層212、213が光軸の合った状態で形成されているため、光ファイバとの結合性もよい。
【0084】
なお、本実施の形態に係る光デバイス3000は、第1の実施形態に係る光デバイス1000と同様の上記(1)〜(7)の製造工程に従って形成することができる。
【0085】
また、本実施の形態に係る光デバイス3000は、図12(A)〜図12(C)に示したように第1および第2の導波路層212、213が並列的に形成された構成に限られず、例えば、図13に示す光デバイス3100のように、第1の導波路層212に分波機能を持たせ、第2の導波路層213に合波機能を持たせた構成としてもよい。
【0086】
以上、本発明に好適な実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上述したものに限られず、本発明の要旨範囲内で各種態様を取り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る光デバイスを示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る光デバイスのデバイス層を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る光デバイスの導波路層を説明するための図である。
【図4】第1の実施形態に係る光デバイスの製造工程を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る光デバイスの製造工程を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る光デバイスの製造工程を示す図である。
【図7】第1の実施形態に係る光デバイスの製造工程を示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る光デバイスを示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る光デバイスのデバイス層を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係る光デバイスの導波路層を説明するための図である。
【図11】第2の実施形態に係る光デバイスの製造工程を示す図である。
【図12】第3の実施形態に係る光デバイスを示す図である。
【図13】第3の実施形態に係る光デバイスの変形例を示す図である。
【符号の説明】
10 基板、20 凸部、100 発光素子部、112,114 電極層、120 デバイス層、200 光合波部、210 導波路層、220 柱状孔、230 線欠陥、1000 光デバイス
【発明の属する技術分野】
本発明は、光デバイスおよびその製造方法に関し、特に光能動素子と光受動素子とが集積化された光デバイスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
近年のインターネットの普及に伴い、高速かつ大容量の光通信システムの需要が高まっている。かかる光通信システムの伝送方式としては、1本の光ファイバに波長の異なる複数の光信号を多重化して伝送する波長分割多重(WDM)方式が注目されている。
【0003】
WDM方式においては、大量の信号を処理するための光伝送装置が必要とされ、例えば、送信部には異なる波長の光を送信するための光源およびこれを多重化するための合波器が必要であり、受信部には多重化された信号群を波長ごとに分割するための分波器およびこれらを受信するための光検出器が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の光伝送装置においては、上記した送信部や受信部に内蔵される素子は個別に形成され、各素子について光軸調整を伴う正確な位置決めを行って基板上に実装していたため、生産性に乏しく、小型化することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、小型化が可能で生産性が高い光デバイスおよびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の光デバイスは、
同一基板上に形成された光能動素子部および光受動素子部を含み、
前記光能動素子部は、前記基板に設けられた凸部の上に配置されるデバイス層と、前記基板の一方の面および前記デバイス層の上に配置される電極層と、を含み、
前記光受動素子部は、導波路層を含み、
前記導波路層は、柱状孔が周期的に配列された2次元フォトニック結晶構造を有し、該2次元フォトニック結晶構造内には導波路として機能する線欠陥が形成され、
前記デバイス層の少なくとも一方の端面は、前記導波路層の線欠陥の一方の端部と接している。
【0007】
本発明において、光能動素子とは、例えば、光/電気変換機能、電気/光変換機能、光増幅機能、や光吸収機能など光信号に関して新たな作用を奏する素子をいい、光受動素子とは、例えば、導波機能など光信号に関して新たな作用を奏しない素子をいう。なお、光の多重分割機能を有する素子については、外的作用による制御の必要性の有無で分類し、かかる外的作用により制御されて機能を発揮する素子は、光能動素子に含まれ、外的作用を必要としない素子は、光受動素子に含まれる。
【0008】
本発明の光デバイスによれば、光能動素子と光受動素子とが同一基板上に形成されており、光受動素子として2次元フォトニック結晶構造により形成されるフォトニックバンドギャップによって光を線欠陥内に閉じ込める導波路層を用いているため、かかる各素子を高集積化して装置を小型化することができる。また、かかる光デバイスによれば、光能動素子と光受動素子を個別の部品として作成する場合に比べて部品点数を削減することができるため、生産コストを低減することができる。
【0009】
本発明の光デバイスは、以下に示す各種態様を取り得る。
【0010】
(A)前記デバイス層を、複数設けて、かつそれぞれが端面から波長の異なるレーザー光を出射可能な半導体発光素子として機能するように形成し、
前記導波路層を、前記線欠陥による光の入射口が前記デバイス層に対応するように設けて、かつ前記線欠陥によって前記デバイス層から出射されたレーザー光を合波して出射可能に形成することができる。
【0011】
かかる態様によれば、光能動素子が光送信源として形成され、光受動素子が合波器として形成されているため、多重化した光信号を送信する光送信装置を小型化することができる。
【0012】
(B)前記デバイス層を、複数設けて、かつ光を受光可能な半導体受光素子として機能するように形成し、
前記導波路層を、前記線欠陥による光の出射口が前記デバイス層に対応するように設けて、かつ前記線欠陥によって入射光を分波して前記デバイス層へ出射可能に形成することができる。
【0013】
かかる態様においては、前記導波路層を、前記線欠陥によって異なる波長の光が含まれる入射光を波長ごとに分波して前記デバイス層へ出射可能に形成することができる。
【0014】
かかる態様によれば、光能動素子が光検出器として形成され、光受動素子が分波器として形成されているため、多重化した光信号を分割して受信する光受信装置を小型化することができる。
【0015】
(C)前記デバイス層を、電極層から与えられるバイアスの方向に応じて、所定の波長の光を吸収する半導体光吸収素子として機能するように形成し、
前記導波路層は、第1の導波路層と第2の導波路層とを含み、
前記第1の導波路層の線欠陥の一方の端部と前記デバイス層の一方の端部とを接するように形成し、かつ前記第2の導波路層の線欠陥の一方の端部と前記デバイス層の他方の端部とを接するように形成することができる。
【0016】
かかる態様によれば、光能動素子が半導体光吸収素子として形成されているため、電極層から与えるバイアスの方向を制御することによって光が吸収されたときは、OFF動作を行い、光が吸収されないときは、ON動作を行う小型で光ファイバとの結合性がよい光スイッチや光変調器を実現することができる。
【0017】
(2)本発明に係る光デバイス製造方法は、
基板の一部をマスクしてパターニングすることにより基板に凸部を形成し、
前記基板の上に第1の層、第2の層、および第3の層を順次形成し、
前記第2の層をウエットエッチングにより除去することを含み、
前記基板の凸部上に形成された第1の層は、光能動素子として機能するように形成され、
前記基板の凸部と異なる領域の上に形成された前記第3の層は、前記第1の層より厚い膜厚で形成されるとともに、柱状孔が周期的にパターニングされて、2次元フォトニック結晶構造および線欠陥を含む光受動素子として機能するように形成され、
前記基板の凸部と異なる領域の上に形成された前記第2の層は、前記第3の層に前記柱状孔を形成した後に、当該柱状孔を通じてウエットエッチングすることにより除去される。
【0018】
本発明に係る光デバイスの製造方法によれば、凸部を有する基板上に第3の層を第1の層より厚い膜厚で形成することにより、基板に設けた凸部の段差によって、第1の層から形成される光能動素子と、第3の層から形成される光受動素子との光軸が自己整合的に調整される。このため、本発明の製造方法は、生産性が高く、両素子間の光の結合効率を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の製造方法によれば、第3の層の下に形成される第2の層を取り除く工程を第3の層に形成された柱状孔を通じて行うことにより、第3の層の下部がアンダーカットされて第3の層の上下が空気の層となる。これにより、第3の層から形成される導波路層内の線欠陥において、縦方向に対する光の閉じ込めを行うことができ、確実に導波路層内で光を伝搬させる構成を形成することができる。
【0020】
また、本発明の光デバイスの製造方法において、前記第2の層の膜厚を、前記基板の凸部と異なる領域に形成される前記第1の層および第2の層の総膜厚が少なくとも前記基板の凸部の段差より小さくなるように形成することができる。
【0021】
かかる態様によれば、第1の層からなるデバイス層と第3の層からなる導波路層の高さを第2の層により調整することで、両層により形成される光能動素子と光受動素子との間の個別の光軸調整が不要となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
(デバイスの構造および機能)
図1(A)〜図1(C)は、第1の実施形態に係る光デバイス1000を模式的に示す図である。なお、図1(B)は、図1(A)におけるa−a断面図を表し、図1(C)は、図1(A)におけるb−b断面図を表す。
【0024】
光デバイス1000は、図1(A)に示すように、光能動素子からなる発光素子部100と光受動素子からなる光合波部200とから形成されている。かかる光デバイス1000は、例えば、WDM方式用の光送信器として用いることができる。
【0025】
発光素子部100は、図1(B)に示すように、基板10の凸部20上にデバイス層120が配置され、かつデバイス層120の上および基板10の裏面側に電極層112、114が配置された端面出射型の半導体レーザー131〜134を複数有する。基板10としては、不純物がドーピングされた化合物半導体基板、例えば、n−GaAs基板やn−InP基板などを用いることができる。
【0026】
また、図1(C)に示すように、発光素子部100の各半導体レーザー131〜134は、絶縁層140により絶縁されており、絶縁層140に設けられたコンタクト領域を通じて電極層110と電気的に接続されている。
【0027】
図2(A)は、発光素子部100における半導体レーザー131〜134の層構造の一例を模式的に示す断面図である。
【0028】
この半導体レーザー131〜134は、n型GaAsからなる基板10上にn型GaAsバッファ層121、n型AlGaAsクラッド層122、AlGaAsバリア層123、GaAs井戸層124、AlGaAsバリア層125、p型AlGaAsクラッド層126、およびp型GaAsコンタクト層127が順次積層されて構成されている。また、基板10の裏面には、n型電極となる電極層114が設けられ、p型GaAsコンタクト層127の上部には、ポリイミド絶縁層140に設けられたコンタクト領域を通じてp型電極となる電極層112が接続されている。
【0029】
この半導体レーザーは、電極層112、114から与えられるバイアス電流によって、AlGaAsバリア層123、GaAs井戸層124、およびAlGaAsバリア層125からなる量子井戸(活性層)から誘導放出により発生する光がこの量子井戸構造を含むデバイス層120の側端面の間で共振することによりレーザー発振してレーザー光として端面から出射されるファブリー・ペロー型レーザーである。半導体レーザー131〜134の構成としては、この他に、回折格子を備えた分布ブラッグ反射型(DBR)レーザーや分布帰還型(DFB)レーザーなどを採用することができる。
【0030】
また、発光素子部100を構成する複数の半導体レーザー131〜134は、それぞれ発光波長が異なるように形成されている。このように同一基板上において波長の異なる半導体レーザーを設けるには、図1(C)に示すように、デバイス層120の膜厚を調整して形成することにより実現することができる。これは、図2(B)に示すように、半導体レーザー131〜134における量子井戸(活性層)の膜厚tが異なると半導体レーザー131〜134から出射されるレーザー光の発光波長が異なることを利用したものである。
【0031】
一方、光合波部200は、図1(A)に示すように、柱状孔220が周期的に配列された2次元フォトニック結晶構造内に導波路として機能する線欠陥230が形成されたスラブ型の導波路層210により構成される。また、導波路層210の材料は、例えば、GaAsなどを用いることができる。
【0032】
線欠陥230は、柱状孔220の周期的な配列の一部を乱すように線状に形成された欠陥であって、柱状孔220の周期的な配列により形成されるフォトニックバンドギャップによってスラブの面内に光が閉じ込められて光の導波路として機能する。この線欠陥230は、発光素子部100の各半導体レーザー131〜134に対応して複数に分岐した入射口を有し、これらが一つの出射口240に収束された平面形状を有する。また、線欠陥230は、図1(B)に示すように、端部がデバイス層120の端面と接して設けられている。このため、光デバイス1000においては、デバイス層120から出射されるレーザー光を低損失で導波路層210に入射させることができる。
【0033】
また、柱状孔220の配列は、図3(A)に示すような三角格子状の配列や、図3(B)に示すような正方格子状の配列など任意の配列を適宜選択して採用することができる。また、柱状孔220の平面形状は、図3(A)および図3(B)に示す円形に限らず、楕円形や多角形など種々の平面形状を採用することができる。
【0034】
次に、本実施の形態に係る光デバイス1000の機能について説明する。まず、発光素子部100の電極層112、114からデバイス層120に順方向バイアスが供給されると、各半導体レーザー131〜134からデバイス層120における量子井戸の膜厚に応じて波長λ1〜λ4のレーザー光が出射される。このレーザー光は、デバイス層120と導波路層210との界面から線欠陥230に入射され、線欠陥230内で合波されて出射口240から外部に出射される。
【0035】
このように、本実施形態に係る光デバイス1000によれば、発光素子部100と光合波部200とが同一の基板10の上に集積化されているため、デバイス寸法を従来に比べて大幅に小型化することができる。また、かかる光デバイス1000によれば、発光素子部100の各半導体レーザー131〜134と光合波部200の導波路層210とを個別の部品として製造し、改めて基板に実装する場合に比べて部品点数を削減することができるため、生産コストを低減することができる。
【0036】
(デバイスの製造方法)
以下に、本実施の形態に係る光デバイス1000の製造方法について図4〜図7の各図を参照しながら説明する。
【0037】
(1)まず、図4(A)に示すように、基板10の上に、例えば、SiO2などの酸化物からなるマスク300を形成する。このマスク300は、基板10上の全面にCVD法などを用いて形成した後、レジストを塗布して、これをフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングする。そして、後に凸部20を形成する領域を残すように例えば、RIE(Reactive Ion Etching)などを用いてレジストをエッチングすることによって形成することができる。
【0038】
(2)次に、図4(B)に示すように、基板10をエッチングして基板10に凸部20を形成する。かかる工程におけるエッチングには、例えば、ICP(Ion Coupled Plasma)装置を用いることができる。
【0039】
(3)次に、図4(C)に示すように、凸部20が形成された基板10上にデバイス層120、犠牲層250、および導波路層210を順次積層する。各層は、例えば、MOCVD法により成膜することができる。
【0040】
ここで、デバイス層120は、例えば、図2(A)に示す層構造により形成することができる。また、犠牲層250は、例えば、AlAsなどを材料として形成され、より具体的には、デバイス層120や導波路層210に対して、ウエットエッチングにおける選択比の高い材料を採用することができる。
【0041】
また、かかる工程においては、導波路層210の膜厚は、デバイス層120の膜厚より厚くなるように形成される。これにより、デバイス層120から出射されるレーザー光を導波路層210内に低損失で入射させることができる。また、かかる工程では、犠牲層250の膜厚を、基板10の凸部20と異なる領域に形成されるデバイス層120および犠牲層250の総膜厚が少なくとも基板10の凸部20の段差より小さくなるように形成する。このように犠牲層250の膜厚を調整して成膜することで、デバイス層120の端面と導波路層210の端面とが接するように形成することができる。すなわち、本実施の形態の製造方法では、デバイス層120と導波路層210との光軸調整を犠牲層250の膜厚調整によって再現性よく行うことができる。
【0042】
(4)次に、導波路層210をパターニングして線欠陥230からなる導波路を有する2次元フォトニック結晶構造を形成する。具体的には、図5(A)に示すように、レジスト310を塗布して、EB(Electron Beam)露光により柱状孔220となる部分の配列をパターニングする。なお、線欠陥230となる部分についてはレジスト310を残すようにパターニングが行われる。
【0043】
(5)続いて、図5(B)に示すように、導波路層210を例えば、ICPエッチングによりパターンニングして、この導波路層210内に柱状孔220ならびに線欠陥230からなる2次元フォトニック結晶構造を形成する。
【0044】
(6)次に、図5(C)に示すように、犠牲層250を例えば、塩酸(HCl)溶液や沸酸(HF)溶液などを用いてウエットエッチングすることにより除去する。このとき、エッチャントは、柱状孔220を通じて犠牲層250を除去していく。これにより、導波路層210の上下を空気の層とすることができ、導波路層210内の線欠陥230において、光の進行方向に対する縦方向においても光が閉じ込められるように形成することができ、確実に導波路層210内で光を伝搬させる構成を実現することができる。
【0045】
また、このとき基板10の凸部20上に形成された犠牲層250も除去されるので、この犠牲層250の除去に伴い、凸部20の上に形成されたデバイス層120の上層部も除去され、基板10の凸部20の上においては、デバイス層120が露出する。
【0046】
(7)最終的には、図5(D)に示すように、基板10の凸部20上において露出したデバイス層120を複数個に絶縁分離する加工をして、その上に電極層112を形成し、また、基板10の裏面に電極層114を形成して、光デバイス1000を得ることができる。
【0047】
このように、本実施の形態に係る光デバイス1000の製造方法によれば、基板10に設けた凸部20の段差を用いて、デバイス層120から形成される光能動素子と、導波路層210から形成される光受動素子との光軸が製造工程内で自己整合的に調整されるため、生産性が高い。また、かかる製造方法によれば、導波路層210の膜厚がデバイス層120の膜厚よりも厚くなるように形成されるため、デバイス層120と導波路層210との光の結合効率を向上させることができる。
【0048】
なお、光デバイス1000において、発光素子部100に複数設けられた半導体レーザー131〜134が、それぞれ波長の異なるレーザー光を出射可能に形成すべく、本実施の形態では、以下に説明する製造方法を採用することができる。
【0049】
図6(A)〜図6(E)および図7(A)〜図7(D)は、かかる発光素子部100を形成するための工程を模式的に示す断面図である。
【0050】
まず、図6(A)に示すように、上記(1)の工程に対応して、基板10の上に凸部20を形成するためのマスク300を形成する。ここで、本工程においては、デバイス層120の膜厚を調整して形成するために、基板10のデバイス層120の形成面の幅を変更するようにマスク300はパターニングされる。なお、ここでは基板10のデバイス層120の形成面の幅を変更する場合に限られず、デバイス層120の形成面の少なくとも面積が変更されるようにパターニングすればよい。
【0051】
次に、図6(B)に示すように、上記(2)の工程に対応して、例えば、ICPエッチングにより基板10がエッチングされて凸部21〜24が形成される。このとき凸部21〜24の幅は、所望の発光波長を得るために必要なデバイス層120の膜厚に対応する幅に形成される。
【0052】
次に、図6(C)に示すように、上記(3)の工程に対応して、例えば、MOCVD法を用いて、デバイス層120、犠牲層250および導波路層210を順次積層する。このとき凸部21〜24の上にはそれぞれの幅に応じた膜厚の層が成膜される。なお、かかる工程においては、デバイス層120等を成膜する前に、凸部21〜24以外の領域の上に酸化物マスクなどを設けることによって、凸部21〜24の上のみにデバイス層120等を選択的に成膜することもできる。
【0053】
次に、図6(D)に示すように、上記(6)の工程に対応して、犠牲層250のウエットエッチングによって犠牲層250が除去されるとともに、基板10の凸部上の導波路層210が除去され、続いて、図6(E)に示すように、デバイス層120をエッチングしてストライプパターニングする。
【0054】
次に、図7(A)〜(D)に示すように、デバイス層120および基板10に対して電極層112、114を形成するための工程を行う。
【0055】
具体的には、まず、図7(A)に示すように、基板10の各凸部上に形成されたデバイス層120を電気的に分離するための絶縁層140を形成する。絶縁層140は、例えば、ポリイミドなどの樹脂材料を塗布することにより形成することができる。
【0056】
次に、図7(B)に示すように、絶縁層140の上にレジスト320を塗布した後に、コンタクト領域30を形成する部分についてレジスト320をフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングする。このとき、レジスト320を、コンタクト領域30の平面形状がストライプ形状となるように、パターニングすることができる。その後、図7(C)に示すように、例えば、ICPエッチングにより絶縁層140にコンタクト領域30を形成する。
【0057】
最後に、図7(D)に示すように、例えば、真空蒸着法を用いて絶縁層140の上部からデバイス層120の上面に対して電極層112を形成し、基板10の裏面側に電極層114を形成する。これにより、同一基板上において、波長の異なる光を出射可能な半導体レーザー131〜134を有する発光素子部100を形成することができる。
【0058】
[第2の実施形態]
図8(A)〜図8(C)は、本発明の第2の実施形態に係る光デバイス2000を模式的に示す図である。なお、図8(B)は、図8(A)におけるa−a断面図を表し、図8(C)は、図8(A)におけるb−b断面図を表す。本実施の形態においては、第1の実施形態で説明したものと実質的に同様の機能を有する部材には同一符号を付して詳細な説明を省略し、主要な相違点について説明する。
【0059】
本実施の形態に係る光デバイス2000は、図8(A)に示すように、光能動素子からなる受光素子部101と光受動素子からなる光分波部201とから構成されている。かかる光デバイス2000は、例えば、WDM方式用の光受信器として用いることができる。
【0060】
受光素子部101は、図8(B)に示すように、基板11の凸部21上にデバイス層150が配置され、デバイス層150の上および基板11の裏面側に電極層112、114が配置された複数のフォトダイオード161〜164を有する。基板11としては、第1の実施形態で説明した基板10と同様のものを用いることができる。
【0061】
また、受光素子部101の各フォトダイオード161〜164は、図8(C)に示すように、それぞれ絶縁層140により絶縁されており、絶縁層140に設けられたコンタクト領域を通じて電極層112と電気的に接続されている。
【0062】
図9は、受光素子部101におけるフォトダイオード161〜164の層構造の一例を模式的に示す断面図である。
【0063】
フォトダイオード161〜164は、n型GaAsからなる基板11上にGaAs吸収層152、p型GaAs層154が順次積層されて構成されている。また、基板11の裏面には、n型電極となる電極層112が設けられ、p型GaAs層154の上部には、ポリイミド絶縁層140に設けられたコンタクト領域を通じてp型電極となる電極層114が接続されている。
【0064】
このフォトダイオードは、GaAs吸収層において、光を吸収して、電気に変換する光/電気変換機能を有する。なお、このフォトダイオードは、受光感度を高めるべく、GaAs吸収層の代わりに例えば、多重量子井戸構造の吸収層としてもよい。
【0065】
一方、光分波部201は、図8(A)に示すように、柱状孔220が周期的に配列された2次元フォトニック結晶構造内に導波路として機能する線欠陥231が形成されたスラブ型の導波路層211により構成される。また、導波路層211の材料としては、第1の実施形態で説明した導波路層210と同様のものを用いることができる。
【0066】
線欠陥230は、柱状孔220の周期的な配列により形成されるフォトニックバンドギャップによってスラブの面内に光が閉じ込められる光導波路として機能する。この線欠陥231は、一つの入射口241と、受光素子部101の各フォトダイオード161〜164に対応して複数に分岐した出射口とを有する。また、線欠陥231は、図8(B)に示すように、その端部がデバイス層150の端面と接するように設けられている。このため、光デバイス2000においては、導波路層211の線欠陥231を通過してきた光を低損失でデバイス層150へ入射させることができる。
【0067】
なお、線欠陥231において、入射口241から入射された複数の波長の光を波長ごとに分波させるためには、例えば、図10に示すように2次元フォトニック結晶構造を形成することで実現することができる。例えば、波長λ1、λ2の光を分波する場合には、線欠陥の分岐した部分において、柱状孔220の内側に柱状孔221を設けて、分岐した線欠陥の幅d1、d2を変更することにより、それぞれの線欠陥におけるフォトニックバンドギャップを調整して、所定の波長を通過させるように形成することができる。これにより、線欠陥は分岐した領域において波長選択性を有することになり、例えば、幅d1の線欠陥には、波長λ1の光が通過し、また例えば、幅d2の線欠陥には、波長λ2の光が通過すように導波路層211を形成することができる。この手法は、分波させる波長の数が多くなっても同様の手法を用いることができる。
【0068】
次に、本実施形態に係る光デバイス2000の機能について説明する。まず、導波路層211の入射口241から波長λ1〜λ4が多重化された光が入射されると、導波路層211では、これらが線欠陥231において波長ごとに分波されてフォトダイオード161〜164のデバイス層150に向けて出射される。デバイス層150では、かかる光を吸収して電気信号に変換し、かかる信号が電極層112、114を通じて出力される。
【0069】
このように、本実施形態に係る光デバイス2000によれば、受光素子部101と光分波部201とが同一基板11の上に集積化されているため、デバイス寸法を小型化することができ、かつ生産性が高い。また、かかる光デバイス2000によれば、受光素子部101の各フォトダイオード161〜164と光分波部201の導波路層211とを個別の部品として製造して別途基板に実装する場合に比べて部品点数を削減することができるため、生産コストを低減することができる。
【0070】
(デバイスの製造方法)
以下に、本実施の形態に係る光デバイス2000の製造方法について説明する。第1の実施形態における製造方法と重複する部分については詳細な説明を省略し、主要な相違点について説明する。
【0071】
本実施の形態に係る光デバイス2000は、基本的には、図4、図5で示したように、第1の実施形態に係る光デバイス1000と同様の製造工程(1)〜(7)により形成することができる。従って、本実施の形態に係る光デバイス2000の製造方法においても、基板11に設けた凸部21の段差を用いて、デバイス層150から形成される光能動素子と、導波路層211から形成される光受動素子との光軸を自己整合的に調整することができるため、生産性が高い。また、導波路層211の膜厚がデバイス層150の膜厚よりも厚くなるように形成されるため、デバイス層150と導波路層211との光の結合効率を向上させることができる。
【0072】
なお、本実施の形態に係る光デバイス2000においては、第1の実施形態に係る光デバイス1000のように、デバイス層150の膜厚を変更して形成する工程を必ずしも行う必要はないため、受光素子部101を以下のような工程で形成することができる。
【0073】
具体的には、図11(A)〜図11(E)にその製造工程が示される。まず、図11(A)に示すように、基板11上にデバイス層150を露出させた状態で、フォトダイオード161〜164を分離するために、デバイス層150の上にレジスト330を形成し、例えば、フォトリソグラフィー技術を用いてレジスト330をパターニングする。続いて、図11(B)に示すように、例えば、ICPエッチングによりデバイス層150をパターンに沿った形状にエッチングする。
【0074】
次に、図11(C)に示すように、例えば、ポリイミドを塗布して、絶縁層140を形成し、パターニングされたデバイス層150を電気的に絶縁する。そして、絶縁層140の上に、レジスト340を形成して、これを例えば、フォトリソグラフィー技術によってパターニングし、その後絶縁層140を例えば、ICPエッチングによりエッチングして、図11(D)に示すように、コンタクト領域30を形成する。
【0075】
最終的には、図11(E)に示すように、絶縁層140の上部から例えば、真空蒸着法を用いて、p型電極となる電極層112を形成して、かかる電極層112をデバイス層150とコンタクト領域30を通じて電気的に接続し、また、基板11の裏面側にn型電極となる電極層114を形成する。かかる工程により、複数のフォトダイオード161〜164を有する受光素子部101を形成することができる。
【0076】
[第3の実施形態]
図12(A)〜図12(C)は、本発明の第3の実施形態に係る光デバイス3000を模式的に示す図である。なお、図12(B)は、図12(A)におけるa−a断面図を表し、図12(C)は、図12(A)におけるb−b断面図を表す。本実施の形態においては、第1の実施形態で説明したものと実質的に同様の機能を有する部材には同一符号を付して詳細な説明を省略し、主要な相違点について説明する。
【0077】
本実施の形態に係る光デバイス3000は、図12(A)に示すように、光能動素子からなる光吸収素子部103と光受動素子からなる光導波路部203とから構成されている。かかる光デバイス3000は、例えば、光スイッチや光変調器として用いることができる。
【0078】
光吸収素子部103は、図12(B)に示すように、基板12の凸部22上にデバイス層170が配置され、デバイス層170の上および基板12の裏面側に電極層112、114が配置された半導体光吸収(SOA)デバイス181〜184を有する。かかる半導体光吸収デバイス181〜184の層構造の具体例としては、図2に示した半導体レーザー161〜164と同様の層構造に対して量子井戸となる層の少なくとも一方の端面に光の共振を防止するための光反射防止膜を設けた構造を採用することができる。かかる構造により、電極層112から電極層114にかけてバイアスを0若しくは逆方向のバイアスを印加することで、量子井戸において光を吸収してOFF動作を行い、順方向のバイアスを印加することで、量子井戸における自然放出光を利用して入射されたレーザー光を増幅してON動作を行う光スイッチを実現することができる。また、この光スイッチにおける光のON/OFF動作を利用して、本実施の形態に係る光デバイス3000は、光変調器として利用することができる。
【0079】
また、光吸収素子部103は、図12(C)に示すように、波長λ1〜λ4の光に対応して複数の半導体光吸収デバイス181〜184を並列的に設けることができ、それぞれが増幅する波長が異なるようにデバイス層170の膜厚を調整して形成することができる。かかるデバイス層170の膜厚調整手法は、第1の実施形態において説明した手法を用いることができる。
【0080】
一方、光導波路部203は、第1の導波路層212と第2の導波路層213とから構成されている。第1および第2の導波路層212、213は、上記実施形態において説明した導波路層210、211と同様に線欠陥232、233からなる導波路を有する2次元フォトニック結晶構造のスラブ型導波路である。
【0081】
また、光導波路部203は、図12(B)に示すように、第1の導波路層212の線欠陥232の一方の端部と第2の導波路層の線欠陥233の一方の端部とが光吸収素子部103のデバイス層170の端面と少なくとも接するように形成されている。また、各導波路層212、213は、デバイス層170より厚い膜厚で形成されているため、光デバイス3000では、各導波路層212、213とデバイス層170との光の結合効率がよい。
【0082】
次に、本実施形態に係る光デバイス3000の機能について説明する。まず、第1の導波路層212の端部241からそれぞれの線欠陥に波長λ1〜λ4の光が入射されると、電極層112、114から与えられる電気信号のバイアス方向に応じて光吸収素子部103の半導体光吸収デバイス181〜184で入射光のスイッチング動作が行われる。このとき、ON動作においては、入射光がデバイス層170で増幅されて第2の導波路層213の端部243から外部に出射される。一方、OFF動作においては、入射光がデバイス層170で吸収されて遮断される。
【0083】
このように、本実施形態に係る光デバイス3000によれば、光吸収素子部103と光導波路部203とが同一基板12の上に集積化されているため、デバイス寸法を小型化することができ、かつ生産性が高い。また、かかる光デバイス3000によれば、光吸収素子部103の各半導体光吸収デバイス181〜184に対して、入出力用の第1および第2の導波路層212、213が光軸の合った状態で形成されているため、光ファイバとの結合性もよい。
【0084】
なお、本実施の形態に係る光デバイス3000は、第1の実施形態に係る光デバイス1000と同様の上記(1)〜(7)の製造工程に従って形成することができる。
【0085】
また、本実施の形態に係る光デバイス3000は、図12(A)〜図12(C)に示したように第1および第2の導波路層212、213が並列的に形成された構成に限られず、例えば、図13に示す光デバイス3100のように、第1の導波路層212に分波機能を持たせ、第2の導波路層213に合波機能を持たせた構成としてもよい。
【0086】
以上、本発明に好適な実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上述したものに限られず、本発明の要旨範囲内で各種態様を取り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る光デバイスを示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る光デバイスのデバイス層を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る光デバイスの導波路層を説明するための図である。
【図4】第1の実施形態に係る光デバイスの製造工程を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る光デバイスの製造工程を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る光デバイスの製造工程を示す図である。
【図7】第1の実施形態に係る光デバイスの製造工程を示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る光デバイスを示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る光デバイスのデバイス層を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係る光デバイスの導波路層を説明するための図である。
【図11】第2の実施形態に係る光デバイスの製造工程を示す図である。
【図12】第3の実施形態に係る光デバイスを示す図である。
【図13】第3の実施形態に係る光デバイスの変形例を示す図である。
【符号の説明】
10 基板、20 凸部、100 発光素子部、112,114 電極層、120 デバイス層、200 光合波部、210 導波路層、220 柱状孔、230 線欠陥、1000 光デバイス
Claims (7)
- 同一基板上に形成された光能動素子部および光受動素子部を含み、
前記光能動素子部は、前記基板に設けられた凸部の上に配置されるデバイス層と、前記基板の一方の面および前記デバイス層の上に配置される電極層と、を含み、
前記光受動素子部は、導波路層を含み、
前記導波路層は、柱状孔が周期的に配列された2次元フォトニック結晶構造を有し、該2次元フォトニック結晶構造内には導波路として機能する線欠陥が形成され、
前記デバイス層の少なくとも一方の端面は、前記導波路層の線欠陥の一方の端部と接している、光デバイス。 - 請求項1において、
前記デバイス層は、複数設けられ、かつそれぞれが端面から波長の異なるレーザー光を出射可能な半導体発光素子として機能するように形成され、
前記導波路層は、前記線欠陥による光の入射口が前記デバイス層に対応して設けられ、かつ前記線欠陥によって前記デバイス層から出射されたレーザー光を合波して出射可能に形成されている、光デバイス。 - 請求項1において、
前記デバイス層は、複数設けられ、かつ光を受光可能な半導体受光素子として機能するように形成され、
前記導波路層は、前記線欠陥による光の出射口が前記デバイス層に対応して設けられ、かつ前記線欠陥によって入射光を分波して前記デバイス層へ出射可能に形成されている、光デバイス。 - 請求項3において、
前記導波路層は、前記線欠陥によって、異なる波長の光が含まれる入射光を波長ごとに分波して前記デバイス層へ出射可能に形成されている、光デバイス。 - 請求項1において、
前記デバイス層は、電極層から与えられるバイアスの方向に応じて、所定の波長の光を吸収する半導体光吸収素子として機能するように形成され、
前記導波路層は、第1の導波路層と第2の導波路層とを含み、
前記第1の導波路層の線欠陥の一方の端部と前記デバイス層の一方の端部とが接するように形成され、かつ前記第2の導波路層の線欠陥の一方の端部と前記デバイス層の他方の端部とが接するように形成される、光デバイス。 - 基板の一部をマスクしてパターニングすることにより基板に凸部を形成し、
前記基板の上に第1の層、第2の層、および第3の層を順次形成し、
前記第2の層をウエットエッチングにより除去することを含み、
前記基板の凸部上に形成された第1の層は、光能動素子として機能するように形成され、
前記基板の凸部と異なる領域の上に形成された前記第3の層は、前記第1の層より厚い膜厚で形成されるとともに、柱状孔が周期的にパターニングされて、2次元フォトニック結晶構造および線欠陥を含む光受動素子として機能するように形成され、
前記基板の凸部と異なる領域の上に形成された前記第2の層は、前記第3の層に前記柱状孔を形成した後に、当該柱状孔を通じてウエットエッチングすることにより除去される、光デバイスの製造方法。 - 請求項6において、
前記第2の層の膜厚は、前記基板の凸部と異なる領域の上に形成される前記第1の層および第2の層の総膜厚が少なくとも前記基板の凸部の段差より小さくなるように形成される、光デバイスの製造方法。
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