JP2004163236A - 断面観察用試料の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】繊細で脆弱な試料の断面を高解像度で観察できる断面観察用試料の作製方法を提供する。
【解決手段】シリコンウェハ1表面の酸化膜2上にシランカップリング剤層3を介してナノパーティクル等の試料4を載せ、接着剤層5を介してキャッピングシリコンウェハ6で被覆して積層体を形成する工程と、積層体を裁断して積層構造を含む小片8を得る工程と、小片8の断面をワックス11、アルミ箔10を介してホルダー9上に仮固定し(e)、小片8を研磨する工程(g)と、小片8をグリッド14とホルダー9で挟んだ状態でワックス11、12を溶解させ、小片8をホルダー9から分離する工程と、グリッド14上の小片8にイオンミリングを行う工程とを有する断面観察用試料の作製方法。
【選択図】 図2
【解決手段】シリコンウェハ1表面の酸化膜2上にシランカップリング剤層3を介してナノパーティクル等の試料4を載せ、接着剤層5を介してキャッピングシリコンウェハ6で被覆して積層体を形成する工程と、積層体を裁断して積層構造を含む小片8を得る工程と、小片8の断面をワックス11、アルミ箔10を介してホルダー9上に仮固定し(e)、小片8を研磨する工程(g)と、小片8をグリッド14とホルダー9で挟んだ状態でワックス11、12を溶解させ、小片8をホルダー9から分離する工程と、グリッド14上の小片8にイオンミリングを行う工程とを有する断面観察用試料の作製方法。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、断面TEM(透過型電子顕微鏡)観察用試料の新規な作製方法と、それにより作製される試料に関する。
【0002】
【従来の技術】
断面観察用のTEM試料は数々の方法によって作製することができる。シリコンウェハのような硬い基板上に堆積された、厚さ1〜10nm程度の非常に薄い断面観察用TEM試料に関しては、試料作製の最終段階のエッチングがイオンミリングによって行われることが多い。
【0003】
イオンミリング工程を含む従来の断面観察用TEM試料の作製方法は、シリコンウェハ上に堆積された多層構造の断面が比較的強固である場合に適用できる。これは、試料にイオンミリングを行う前に、機械的研磨を行う必要があることによる。断面が強固でない場合、機械的研磨の間に断面観察用試料が崩壊する。
【0004】
以下、図6〜図8を参照して従来の断面観察用TEM試料の作製方法を説明する。図6〜図8は特に示さない限り断面図とする。まず、図6(a)に示すように、試料を堆積させる基板として、例えば数mm角のシリコンウェハ101を用意する。シリコンウェハ101の表面は、厚さ2〜300nm程度の酸化膜102によって酸化等から保護されている。
【0005】
次に、図6(b)に示すように、酸化膜102上にシランカップリング剤として例えば3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(APTS;3−(2−aminoethylaminopropyl)trimethoxysilane)を用い、APTS層103を形成する。
【0006】
続いて、APTS層103上に試料104を堆積させる。例えばナノパーティクル等の粒子状試料は、有機溶剤等に分散させた状態でAPTS層103上に滴下した後、有機溶剤等を揮発させることにより成膜できる。また、APTS層103上に真空蒸着、スパッタリング、化学気相成長(CVD)等の方法によって、厚さ1〜10nm程度の試料薄膜を形成してもよい。
【0007】
次に、図6(c)に示すように、試料104上に例えばエポキシ系接着剤を滴下して接着剤層105を形成する。接着剤層105は可能な限り薄く形成される。接着剤層105上にキャッピングシリコンウェハ106として、他のシリコンウェハを固定する。これにより、試料104が2枚のシリコンウェハ101、106で挟まれる。
【0008】
次に、図6(d−1)に示すように、2枚のシリコンウェハ101、106で挟まれた積層体を、積層方向に垂直な方向での厚さTが2〜3mm程度となるように切断する。以下、積層体を切断して得られた小片を、断面試料107とする。図6(d−1)の断面試料107は、図6(d−2)の斜視図において点線で挟まれた箇所を切り出したものである。
【0009】
次に、図7(e)に示すように、保持用基板(試料ホルダー)108上に断面試料107を載せる。このとき、図6(d−2)に点線で示す断面(断面試料107で積層構造が現れる面であり、これを断面試料の表面とする。)と試料ホルダー108を接触させる。断面試料107は周囲のワックス109によって試料ホルダー108上に固定される。試料ホルダー108としてはガラス板や石英板などが用いられる。
【0010】
次に、図7(f)に示すように、試料ホルダー108を上側として、断面試料107を下面側から機械的に研磨する。この研磨には、例えばシリコンカーバイドペーパー110などを用いる。研磨は断面試料107の厚さが例えば20μm程度に薄くなるまで行う。
【0011】
次に、図7(g)に示すように、試料ホルダー108を下側として、断面試料107上にTEM用グリッド111を載せる。このとき、TEM用グリッド111は上下を反転させ、試料を載せる側が下側となるようにする。試料ホルダー108上に断面試料107を介してTEM用グリッド111が載せられた状態で、加熱またはエタノール等によりワックス109を溶解させる。
【0012】
これにより、図8(h−1)に示すように、試料ホルダー108上から断面試料107とTEM用グリッド111が外され、断面試料107をTEM用グリッド111上に移動させることができる。図8(h−2)はTEM用グリッド111上に断面試料107が載せられた状態を示す上面図である。
【0013】
TEM用グリッド111はリング状のリム部分112と、そのリング(リム部分112)の一方の端面であって試料が載せられる上面側に形成された支持膜113を含む。支持膜113は電子線が透過する開口部を有し、支持膜113としてはメッシュ等が用いられる。
【0014】
その後、図8(i)に示すように、断面試料107をイオンミリングにより厚さ1〜10nm程度に薄膜化する。イオンミリングでは加速されたアルゴンイオン等の不活性ガスイオンを断面試料107に照射して、断面試料107をエッチングする。装置にもよるが、イオンの加速電圧は通常3〜6kV程度とし、イオンビームの進行方向と断面試料107の表面とがなす角を15〜25°程度とする。以上の工程により、断面TEM観察用試料が作製される。
【0015】
【特許文献1】
特開昭60−21435号公報
【特許文献2】
特開平9−189649号公報
【特許文献3】
特開平10−19751号公報
【特許文献4】
特開平10−318892号公報
【特許文献5】
特開平11−183410号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法によって作製される断面試料は、有機膜と無機膜が積層された多層構造を有し、精巧で脆弱な表面を有する。したがって、断面が比較的強固となる試料には上記の方法を適用できるが、ナノパーティクルのような試料の場合には、断面試料の作製の過程で断面試料の崩壊等が起こり、断面TEM観察を行うことができない。
【0017】
例えば、鉄−白金(FePt)ナノパーティクルの場合に、上記の従来の方法により図6〜図8に示すようなシリコンウェハ101、酸化膜102、APTS層103、試料104、薄い接着剤層105およびキャッピングシリコンウェハ106が積層された多層構造の断面試料107を作製しようとすると、以下のような問題が起こる。
【0018】
第一に、図7(f)に示す機械的研磨の間または後に、シリコンウェハ101とキャッピングシリコンウェハ106が分離しやすい。機械的研磨で発生する応力によって、薄い接着剤層105と試料104の界面、試料104とAPTS層103の界面、あるいはAPTS層103と酸化膜102の界面が破断されることがある。
【0019】
第二に、最終工程のイオンミリングにおいて、薄い接着剤層105のエポキシ系接着剤がエッチングされやすい。エポキシ系接着剤が完全にエッチングされると、FePtナノパーティクルの試料104の一部または全部が、有機膜であるAPTS層103から分離してしまう。
【0020】
第三に、接着剤層105の接着力を高くするため、機械的研磨後の断面試料107の厚さを厚くすると、イオンミリングを長時間行っても高解像度のTEM像が得られなくなる。例えば、機械的研磨により断面試料107の厚さを100μmとした場合、イオンミリングを30時間行っても、試料の微細構造の観察に十分な解像度のTEM像が得られない。
【0021】
これは、断面試料107の厚さだけの問題ではなく、長時間のイオンミリングによって断面試料107、特に有機膜のAPTS層103が損傷するためと考えられる。また、エッチング時間が長くなると、断面試料107を構成する各層のエッチング速度のばらつきが問題となる。APTS層103や接着剤層105のような有機膜と、シリコンウェハ101、106ではエッチング速度が異なり、断面試料107の表面を所望の形状に制御するのが困難となる。
【0022】
試料の損傷を少なくするため、イオンミリングを短時間で行うには、機械的研磨で断面試料をより薄くする必要がある。しかしながら、従来の方法で作製される断面試料の構造では、機械的研磨で生じる応力により断面試料が崩壊しやすいため、断面試料をより薄くすることができない。
【0023】
第四に、試料ホルダー108と断面試料107を直接接触させるため、試料ホルダー108として例えばガラス板を用いた場合、ガラス板表面の粗さによって断面試料107の表面が損傷することがある。
【0024】
以上のように、従来の断面試料の作製方法によれば、機械的研磨で断面試料を薄くすると、多層構造の断面試料の層間が分離しやすく、一方、長時間のイオンミリングで断面試料を薄くすると、高解像度のTEM像が得られない。TEM観察用試料の作製方法は、例えば特許文献1〜5に開示されているが、これらの方法によっても上記の問題を解決することはできない。
【0025】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、繊細で脆弱な試料の断面を高解像度で観察できる断面観察用試料の作製方法を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の断面観察用試料の作製方法は、第1の基板上に試料を載せる工程と、前記試料上に接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層上に第2の基板を載せて接着し、積層体を形成する工程と、前記積層体を前記第1の基板、試料および第2の基板の積層方向に平行な第1の断面で裁断する工程と、前記積層体を前記積層方向に平行でかつ前記第1の断面に平行な第2の断面で裁断し、前記積層体から小片を切り出す工程と、保持用基板上にベースシートを固定する工程と、前記ベースシート上に仮固定剤を介して前記小片の前記第1の断面を仮固定する工程と、前記保持用基板を保持して前記小片の前記第2の断面を研磨する工程と、研磨された前記第2の断面と透過型電子顕微鏡用グリッドの試料保持面とを合わせた状態で前記仮固定剤を除去することにより、前記第1の断面から前記ベースシートを剥離し、前記小片を前記透過型電子顕微鏡用グリッド上に移動させる工程と、前記小片の前記第1の断面にエッチングを行い、前記小片を薄くする工程とを有することを特徴とする。
【0027】
これにより、小片の断面に機械的研磨を行っても、機械的研磨で生じる応力によって小片内の層間が分離するのを防止することが可能となる。また、保持用基板と小片が直接接触せず、小片がベースシートによって保護される。したがって、小片の積層構造を崩壊させずに研磨を行い、小片を薄くできるため、小片の断面の電子顕微鏡観察を高解像度で行うことが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の断面観察用試料の作製方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の断面観察用試料の作製方法は、精巧で脆弱な界面を有する多層構造の試料作製に特に有用である。ナノパーティクル等の試料表面はエポキシ系接着剤の比較的厚い層と、その表面を被覆するシリコンウェハ(キャッピングシリコンウェハ)によって、断面観察用試料作製の全工程にわたって保護される。
【0029】
試料、接着剤層、キャッピングシリコンウェハを含む積層体の断面は、仮固定剤およびベースシートを介して保持用基板と接合される。以下、本実施形態の断面観察用試料の作製方法を、ベースイン法(ベースシート挿入法,Basin method;base sheet insertion method)とする。
【0030】
ベースイン法によれば、断面に研磨を行う際に生じる応力がベースシートと仮固定剤で吸収されるため、研磨による積層体の崩壊を防止できる。また、積層体の断面がベースシートによって保護されることから、断面が保持用基板に直接接触した場合に生じるような断面の損傷が避けられる。
【0031】
以下、ベースイン法をFePtナノパーティクルに適用した例を説明する。図1〜図3は特に示さない限り断面図とする。まず、図1(a)に示すように、試料を堆積させる第1の基板として、数mm角のシリコンウェハ1を用意する。すなわち、図1(a)に示す一辺の長さLを数mm、例えば8mmとする。
【0032】
シリコンウェハ1としては、表面に厚さ2〜300nm程度の酸化膜2が形成されたものを用いる。酸化膜2は厚さ数nmの自然酸化膜であっても、熱酸化などによって形成された数10nm以上の厚さの酸化膜であってもよい。酸化膜2によってシリコンウェハ1が酸化等から保護される。
【0033】
シリコンウェハ1自体の厚さや、表面の酸化膜2の厚さの異なる多様なシリコンウェハが市販されており、これらの中から第1の基板として用いるシリコンウェハを任意に選択できる。本実施形態では、例えば厚さ0.65mmのシリコンウェハ1を用いるが、シリコンウェハ1の厚さは特に限定されない。
【0034】
なお、第1の基板および後述する第2の基板として、シリコンウェハ以外を用いることも可能である。しかしながら、シリコンウェハを用いた場合、断面TEM観察においてシリコンウェハの電子線回折像の単結晶パターン(二次元点配列)を利用して、アライメントを行うことができる。また、シリコンウェハは不純物の少ない高純度の市販品を容易に入手できる。したがって、第1および/または第2の基板としてはシリコンウェハを用いることが特に好ましい。
【0035】
次に、図1(b)に示すように、酸化膜2上にシランカップリング剤として例えば3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(APTS)NH2(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3を用い、APTS層3を形成する。APTS層3は、APTSの溶液を滴下して乾燥させることにより形成できる。
【0036】
シランカップリング剤としては、APTS以外に例えば[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン(C2H5)2N(CH2)3Si(OCH3)3、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン(C6H5)NH(CH2)3Si(OCH3)3、3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル−トリエトキシシラン(HOCH2CH2)2N(CH2)3Si(OCH2CH3)3等のシランカップリング剤を用いることができ、特に限定されない。
【0037】
また、試料によっては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤などの他のカップリング剤を用いることもできる。
【0038】
続いて、APTS層3上に試料4を堆積させる。FePtナノパーティクル等の粒子状試料は、例えばヘキサン等の有機溶剤に分散させた状態でAPTS層3上に滴下した後、有機溶剤を揮発させることにより成膜できる。このように成膜した状態のナノパーティクルは、APTS層3上で多層に堆積している。
【0039】
試料4をナノパーティクルの単層膜とするには、例えばヘキサンを試料4の表面に流したり、超音波洗浄を行ったりすればよい。シランカップリング剤であるAPTSと結合したナノパーティクルは、洗浄後もAPTS層3上に保持されるため、単層のナノパーティクルが得られる。
【0040】
また、試料4の形状・形態は粒子または粉末であっても、1層または多層の薄膜状であっても、あるいは粒子と膜を組み合わせた構造であってもよく、特に限定されない。例えば、APTS層3上に真空蒸着、スパッタリング、化学気相成長(CVD)等の方法によって、厚さ1〜10nm程度の試料薄膜を形成してもよい。
【0041】
次に、図1(c)に示すように、試料4上に例えばエポキシ系接着剤を滴下して接着剤層5を形成する。接着剤層5上に第2の基板としてキャッピングシリコンウェハ6を固定することにより、試料4が2枚のシリコンウェハ1、6で挟まれて保護される。キュア(硬化)温度の異なる様々なエポキシ系接着剤が市販されており、試料4とキャッピングシリコンウェハ6を接合させるエポキシ系接着剤は、十分な接着力が得られるものを試料に応じて選択できる。
【0042】
従来の観察用試料の作製方法によれば、図6(c)に示すように、接着剤層105を可能な限り薄く形成するのに対して、ベースイン法では試料表面の微細構造を保護するため、接着剤層5の厚さを約1μm以下の範囲で比較的厚くして、接着剤層5の柔軟性も高くすることが好ましい。
【0043】
接着剤層5を柔軟にするには、エポキシ系接着剤中の硬化剤の比率を通常よりも低くして、硬化させる前のエポキシ系接着剤の流動性を高くする。エポキシ系接着剤として例えばG−2 Epoxy(G−2 Epoxyはgatan社の商品名)を用いる場合、樹脂:硬化剤の混合比は通常10:1とするが、ベースイン法では樹脂:硬化剤の混合比を12:1として、硬化剤の比率を低くする。これにより、後述する機械的研磨などにおいても、試料4が接着剤層5によって保護されるようになる。なお、エポキシ系以外の接着剤を用いてもよい。
【0044】
接着剤層5を介して試料4上にキャッピングシリコンウェハ6を載せた後、2枚のシリコンウェハ1、6で挟まれた積層体7にクランプで加圧しながら、例えば60℃で3時間加熱して、接着剤層5を硬化させる(キュア)。その後、積層体を室温まで冷却し、12時間放置する。
【0045】
次に、図1(d−1)に示すように、2枚のシリコンウェハ1、6で挟まれた積層体を、積層方向に垂直な方向での厚さTが2〜3mm程度となるように、ダイヤモンドソーを用いて切断する。以下、図1(c)の積層体7を切断して得られた小片を、断面試料8とする。図1(d−1)の断面試料8は、図1(d−2)の斜視図において点線で挟まれた箇所を切り出したものである。
【0046】
次に、図2(e)に示すように、保持用基板(試料ホルダー)9上に極めて微量のワックス(不図示)を介して、ベースシート10を載せる。試料ホルダー9としてはガラス板や石英板などが用いられる。ベースシート10としては例えばアルミ箔を用いるが、表面が平滑な薄膜であれば、アルミ箔以外の例えば油紙などを用いることもできる。ベースシートは断面試料8の表面(図1(d−2)に点線で示す断面であり、断面試料で積層構造が現れる面)と同程度の大きさとすることが好ましい。
【0047】
ベースシート10上に微量のワックス11を介して、断面試料8を載せる。このとき、断面試料8の表面をワックス11上に載せる。ワックス11は仮固定剤として用いられ、他の有機化合物等を仮固定剤として用いることもできる。その後、断面試料8の周囲に融解したワックス12を滴下してから、ワックス12を固化させる。
【0048】
これにより、断面試料8が周囲のワックス12によって試料ホルダー9上に固定される。ベースシート10とワックス11は、機械的研磨が行われる間に発生する応力を吸収することにより、試料4、接着剤層5およびキャッピングシリコンウェハ6の間の結合を安定化する。
【0049】
また、試料ホルダー9の表面はベースシート10の表面より粗く、汚染されている。従来の方法によれば、断面試料と試料ホルダーが直接接触するため、試料ホルダー表面の平滑性が特に要求される場合、ガラス板でなく石英板を用いることがあった。
【0050】
それに対し、ベースイン法によれば、ベースシート10を挿入することにより、断面試料8と試料ホルダー9が直接接触しなくなる。したがって、試料ホルダー9の材質によらず、断面試料8の表面が傷や汚染から保護される。試料ホルダー9はベースシート10が仮固定される限り、表面粗さ等を特に考慮する必要はない。
【0051】
次に、図2(f)に示すように、試料ホルダー9を上側として、断面試料8を下面側から機械的に研磨する。この研磨には、例えばシリコンカーバイドペーパー13などを用いる。研磨は断面試料8の厚さが例えば20μm程度に薄くなるまで行う。断面試料8の中央が薄くなるように(ディンプリング)、機械的研磨を行ってもよい。
【0052】
次に、図2(g)に示すように、試料ホルダー9を下側として、断面試料8上にTEM用グリッド14を載せる。このとき、TEM用グリッド14は上下を反転させ、TEM観察を行うときに試料を載せる上面側が下側となるようにする。TEM用グリッド14は直径3mmのものが多く、材質あるいはメッシュのサイズ等が異なる様々なものが市販されている。これらの中から、試料に応じたTEM用グリッドを適宜選択することができる。
【0053】
試料ホルダー9上にベースシート10、ワックス11および断面試料8を介してTEM用グリッド14が載せられた状態で、エタノール等の溶剤によりワックス11、12を溶解させる。試料の性質によっては加熱によりワックス11、12を融解させることも可能であるが、試料4がFePtナノパーティクルの場合には、試料4の損傷を抑えるため、加熱よりもエタノールでワックス11、12を溶解させる方が好ましい。
【0054】
これにより、図3(h−1)に示すように、試料ホルダー9上のベースシート10から断面試料8とTEM用グリッド14が外され、断面試料8をTEM用グリッド14上に移動させることができる。ワックス11、12を溶解させ、断面試料8とベースシート10を分離させるとき、断面試料8の表面を摩擦しないようにする。
【0055】
図3(h−2)はTEM用グリッド14上に断面試料8が載せられた状態を示す上面図である。TEM用グリッド14はリング状のリム部分15と、そのリング(リム部分15)の一方の端面であって試料が載せられる上面側に形成された支持膜16を含む。支持膜16は電子線が透過する開口部を有し、支持膜16としてはメッシュ等が用いられる。
【0056】
その後、図3(i)に示すように、断面試料8をイオンミリングにより厚さ約10nm以下に薄膜化する。試料によっては、断面試料8の中央が薄くなるようにイオンミリングを行ってもよく(ディンプリング)、この場合には断面試料8の中央部分のみ完全に消失して厚さ0nmとなってもよい。
【0057】
イオンミリングでは加速された不活性ガスイオンを断面試料8に照射して、断面試料8をエッチングする。不活性ガスイオンとしては例えばアルゴンガスを用いる。アルゴンは不活性でかつ比較的重く、多くの試料中に天然では存在しないため、断面試料作製用のイオンミリングに適している。さらに、アルゴンは重いため、エッチングの対象物である断面試料中に侵入しにくく、高いエッチング速度が得られるという利点もある。
【0058】
装置にもよるが、ベースイン法ではイオンの加速電圧を3〜4kVとし、従来の断面試料の作製の場合よりも低くする。また、イオンビーム電流はイオンミリング装置の特性にもよるが、可能な限り低くする。イオンビームの進行方向と断面試料8の表面とがなす角θは10°程度とし、従来の断面試料の作製方法の場合よりも、イオンビームをさらに傾斜させる。図3(i)の角度θが垂直に近いほど、イオンの衝撃により断面試料8が損傷しやすく、角度θが小さいほど、イオンの衝撃を小さくできる。
【0059】
イオンミリングが行われる間、イオンの加速電圧やイオンビームの電流によっては、断面試料8が150℃程度に加熱される可能性もある。したがって、試料4の性質に応じて、TEM用グリッド14を冷却できるステージを設け、断面試料8を冷却しながらイオンミリングを行ってもよい。以上の工程により、断面TEM観察用試料が作製される。
【0060】
上記の本実施形態のベースイン法によって作製された断面試料8のTEM像を図4および図5に示す。図4は、酸化膜(SiO2)/APTS層/FePtナノパーティクル/接着剤(G−2 Epoxy)層/キャッピングシリコンウェハ(Si)の多層構造のTEM像を示す。図5は、図4の酸化膜/APTS層/FePtナノパーティクル/接着剤(G−2 Epoxy)層の界面をさらに拡大したTEM像である。図4および図5に示すFePtナノパーティクルの単層膜の厚さは約3nmである。
【0061】
図4および図5のいずれにも、FePtナノパーティクルのTEM像が明瞭に現れている。また、図4に示すように、酸化膜/APTS層/FePtナノパーティクル/接着剤層/キャッピングシリコンウェハの多層構造が明瞭に観察されることから、ベースイン法によれば、機械的研磨による断面試料の損傷を効果的に防止できることがわかる。
【0062】
また、従来の作製方法よりも接着剤層5を意図的に厚く形成することにより、FePtナノパーティクルの表面状態が良好に保存されることがわかる。拡大倍率を大きくした図5では、各層の界面や、APTS層上に分散されたFePtナノパーティクルの形態がより明瞭に観察できる。
【0063】
以上のようにベースイン法は、FePtナノパーティクルを分散させて形成された厚さ3nm程度の単層膜の断面TEM観察に有用であることが確認された。図4および図5に示す断面TEM像から、ベースイン法は例えば表面の不連続性や粗さ等といった、試料の局所的な表面状態を保存するのに有用であることがわかる。したがって、ベースイン法は精巧で脆弱な断面を有する試料、例えば観察対象となる領域の厚さが1nm以下となるような試料の断面観察に特に有用といえる。
【0064】
本発明の断面観察用試料の作製方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、異種試料の積層膜について上記の実施形態と同様の観察用断面試料を作製し、断面TEM観察を行うことも可能である。また、上記の方法によって作製され、断面TEM観察が行われた断面試料に、他の電子顕微鏡などの分析機器を用いた解析を行うこともできる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0065】
【発明の効果】
本発明の断面観察用試料の作製方法によれば、繊細で脆弱な試料断面の電子顕微鏡観察を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(d−1、2)は本発明の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図または斜視図である。
【図2】図2(e)〜(g)は本発明の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図であり、図1(d−1、2)に続く工程を示す。
【図3】図3(h−1、2)および(i)は本発明の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図または上面図であり、図2(g)に続く工程を示す。
【図4】図4は本発明の実施形態に係る断面観察用試料の作製方法により作製された試料の断面TEM像である。
【図5】図5は本発明の実施形態に係る断面観察用試料の作製方法により作製された試料の断面TEM像である。
【図6】図6(a)〜(d−1、2)は従来の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図または斜視図である。
【図7】図7(e)〜(g)は従来の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図であり、図6(d−1、2)に続く工程を示す。
【図8】図8(h−1、2)および(i)は従来の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図または上面図であり、図7(g)に続く工程を示す。
【符号の説明】
1…シリコンウェハ、2…酸化膜、3…APTS層、4…試料、5…接着剤層、6…キャッピングシリコンウェハ、7…積層体、8…断面試料、9…試料ホルダー、10…ベースシート、11、12…ワックス、13…シリコンカーバイドペーパー、14…TEM用グリッド、15…リム部分、16…支持膜、101…シリコンウェハ、102…酸化膜、103…APTS層、104…試料、105…接着剤層、106…キャッピングシリコンウェハ、107…断面試料、108…試料ホルダー、109…ワックス、110…シリコンカーバイドペーパー、111…TEM用グリッド、112…リム部分、113…支持膜。
【発明の属する技術分野】
本発明は、断面TEM(透過型電子顕微鏡)観察用試料の新規な作製方法と、それにより作製される試料に関する。
【0002】
【従来の技術】
断面観察用のTEM試料は数々の方法によって作製することができる。シリコンウェハのような硬い基板上に堆積された、厚さ1〜10nm程度の非常に薄い断面観察用TEM試料に関しては、試料作製の最終段階のエッチングがイオンミリングによって行われることが多い。
【0003】
イオンミリング工程を含む従来の断面観察用TEM試料の作製方法は、シリコンウェハ上に堆積された多層構造の断面が比較的強固である場合に適用できる。これは、試料にイオンミリングを行う前に、機械的研磨を行う必要があることによる。断面が強固でない場合、機械的研磨の間に断面観察用試料が崩壊する。
【0004】
以下、図6〜図8を参照して従来の断面観察用TEM試料の作製方法を説明する。図6〜図8は特に示さない限り断面図とする。まず、図6(a)に示すように、試料を堆積させる基板として、例えば数mm角のシリコンウェハ101を用意する。シリコンウェハ101の表面は、厚さ2〜300nm程度の酸化膜102によって酸化等から保護されている。
【0005】
次に、図6(b)に示すように、酸化膜102上にシランカップリング剤として例えば3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(APTS;3−(2−aminoethylaminopropyl)trimethoxysilane)を用い、APTS層103を形成する。
【0006】
続いて、APTS層103上に試料104を堆積させる。例えばナノパーティクル等の粒子状試料は、有機溶剤等に分散させた状態でAPTS層103上に滴下した後、有機溶剤等を揮発させることにより成膜できる。また、APTS層103上に真空蒸着、スパッタリング、化学気相成長(CVD)等の方法によって、厚さ1〜10nm程度の試料薄膜を形成してもよい。
【0007】
次に、図6(c)に示すように、試料104上に例えばエポキシ系接着剤を滴下して接着剤層105を形成する。接着剤層105は可能な限り薄く形成される。接着剤層105上にキャッピングシリコンウェハ106として、他のシリコンウェハを固定する。これにより、試料104が2枚のシリコンウェハ101、106で挟まれる。
【0008】
次に、図6(d−1)に示すように、2枚のシリコンウェハ101、106で挟まれた積層体を、積層方向に垂直な方向での厚さTが2〜3mm程度となるように切断する。以下、積層体を切断して得られた小片を、断面試料107とする。図6(d−1)の断面試料107は、図6(d−2)の斜視図において点線で挟まれた箇所を切り出したものである。
【0009】
次に、図7(e)に示すように、保持用基板(試料ホルダー)108上に断面試料107を載せる。このとき、図6(d−2)に点線で示す断面(断面試料107で積層構造が現れる面であり、これを断面試料の表面とする。)と試料ホルダー108を接触させる。断面試料107は周囲のワックス109によって試料ホルダー108上に固定される。試料ホルダー108としてはガラス板や石英板などが用いられる。
【0010】
次に、図7(f)に示すように、試料ホルダー108を上側として、断面試料107を下面側から機械的に研磨する。この研磨には、例えばシリコンカーバイドペーパー110などを用いる。研磨は断面試料107の厚さが例えば20μm程度に薄くなるまで行う。
【0011】
次に、図7(g)に示すように、試料ホルダー108を下側として、断面試料107上にTEM用グリッド111を載せる。このとき、TEM用グリッド111は上下を反転させ、試料を載せる側が下側となるようにする。試料ホルダー108上に断面試料107を介してTEM用グリッド111が載せられた状態で、加熱またはエタノール等によりワックス109を溶解させる。
【0012】
これにより、図8(h−1)に示すように、試料ホルダー108上から断面試料107とTEM用グリッド111が外され、断面試料107をTEM用グリッド111上に移動させることができる。図8(h−2)はTEM用グリッド111上に断面試料107が載せられた状態を示す上面図である。
【0013】
TEM用グリッド111はリング状のリム部分112と、そのリング(リム部分112)の一方の端面であって試料が載せられる上面側に形成された支持膜113を含む。支持膜113は電子線が透過する開口部を有し、支持膜113としてはメッシュ等が用いられる。
【0014】
その後、図8(i)に示すように、断面試料107をイオンミリングにより厚さ1〜10nm程度に薄膜化する。イオンミリングでは加速されたアルゴンイオン等の不活性ガスイオンを断面試料107に照射して、断面試料107をエッチングする。装置にもよるが、イオンの加速電圧は通常3〜6kV程度とし、イオンビームの進行方向と断面試料107の表面とがなす角を15〜25°程度とする。以上の工程により、断面TEM観察用試料が作製される。
【0015】
【特許文献1】
特開昭60−21435号公報
【特許文献2】
特開平9−189649号公報
【特許文献3】
特開平10−19751号公報
【特許文献4】
特開平10−318892号公報
【特許文献5】
特開平11−183410号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法によって作製される断面試料は、有機膜と無機膜が積層された多層構造を有し、精巧で脆弱な表面を有する。したがって、断面が比較的強固となる試料には上記の方法を適用できるが、ナノパーティクルのような試料の場合には、断面試料の作製の過程で断面試料の崩壊等が起こり、断面TEM観察を行うことができない。
【0017】
例えば、鉄−白金(FePt)ナノパーティクルの場合に、上記の従来の方法により図6〜図8に示すようなシリコンウェハ101、酸化膜102、APTS層103、試料104、薄い接着剤層105およびキャッピングシリコンウェハ106が積層された多層構造の断面試料107を作製しようとすると、以下のような問題が起こる。
【0018】
第一に、図7(f)に示す機械的研磨の間または後に、シリコンウェハ101とキャッピングシリコンウェハ106が分離しやすい。機械的研磨で発生する応力によって、薄い接着剤層105と試料104の界面、試料104とAPTS層103の界面、あるいはAPTS層103と酸化膜102の界面が破断されることがある。
【0019】
第二に、最終工程のイオンミリングにおいて、薄い接着剤層105のエポキシ系接着剤がエッチングされやすい。エポキシ系接着剤が完全にエッチングされると、FePtナノパーティクルの試料104の一部または全部が、有機膜であるAPTS層103から分離してしまう。
【0020】
第三に、接着剤層105の接着力を高くするため、機械的研磨後の断面試料107の厚さを厚くすると、イオンミリングを長時間行っても高解像度のTEM像が得られなくなる。例えば、機械的研磨により断面試料107の厚さを100μmとした場合、イオンミリングを30時間行っても、試料の微細構造の観察に十分な解像度のTEM像が得られない。
【0021】
これは、断面試料107の厚さだけの問題ではなく、長時間のイオンミリングによって断面試料107、特に有機膜のAPTS層103が損傷するためと考えられる。また、エッチング時間が長くなると、断面試料107を構成する各層のエッチング速度のばらつきが問題となる。APTS層103や接着剤層105のような有機膜と、シリコンウェハ101、106ではエッチング速度が異なり、断面試料107の表面を所望の形状に制御するのが困難となる。
【0022】
試料の損傷を少なくするため、イオンミリングを短時間で行うには、機械的研磨で断面試料をより薄くする必要がある。しかしながら、従来の方法で作製される断面試料の構造では、機械的研磨で生じる応力により断面試料が崩壊しやすいため、断面試料をより薄くすることができない。
【0023】
第四に、試料ホルダー108と断面試料107を直接接触させるため、試料ホルダー108として例えばガラス板を用いた場合、ガラス板表面の粗さによって断面試料107の表面が損傷することがある。
【0024】
以上のように、従来の断面試料の作製方法によれば、機械的研磨で断面試料を薄くすると、多層構造の断面試料の層間が分離しやすく、一方、長時間のイオンミリングで断面試料を薄くすると、高解像度のTEM像が得られない。TEM観察用試料の作製方法は、例えば特許文献1〜5に開示されているが、これらの方法によっても上記の問題を解決することはできない。
【0025】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、繊細で脆弱な試料の断面を高解像度で観察できる断面観察用試料の作製方法を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の断面観察用試料の作製方法は、第1の基板上に試料を載せる工程と、前記試料上に接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層上に第2の基板を載せて接着し、積層体を形成する工程と、前記積層体を前記第1の基板、試料および第2の基板の積層方向に平行な第1の断面で裁断する工程と、前記積層体を前記積層方向に平行でかつ前記第1の断面に平行な第2の断面で裁断し、前記積層体から小片を切り出す工程と、保持用基板上にベースシートを固定する工程と、前記ベースシート上に仮固定剤を介して前記小片の前記第1の断面を仮固定する工程と、前記保持用基板を保持して前記小片の前記第2の断面を研磨する工程と、研磨された前記第2の断面と透過型電子顕微鏡用グリッドの試料保持面とを合わせた状態で前記仮固定剤を除去することにより、前記第1の断面から前記ベースシートを剥離し、前記小片を前記透過型電子顕微鏡用グリッド上に移動させる工程と、前記小片の前記第1の断面にエッチングを行い、前記小片を薄くする工程とを有することを特徴とする。
【0027】
これにより、小片の断面に機械的研磨を行っても、機械的研磨で生じる応力によって小片内の層間が分離するのを防止することが可能となる。また、保持用基板と小片が直接接触せず、小片がベースシートによって保護される。したがって、小片の積層構造を崩壊させずに研磨を行い、小片を薄くできるため、小片の断面の電子顕微鏡観察を高解像度で行うことが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の断面観察用試料の作製方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の断面観察用試料の作製方法は、精巧で脆弱な界面を有する多層構造の試料作製に特に有用である。ナノパーティクル等の試料表面はエポキシ系接着剤の比較的厚い層と、その表面を被覆するシリコンウェハ(キャッピングシリコンウェハ)によって、断面観察用試料作製の全工程にわたって保護される。
【0029】
試料、接着剤層、キャッピングシリコンウェハを含む積層体の断面は、仮固定剤およびベースシートを介して保持用基板と接合される。以下、本実施形態の断面観察用試料の作製方法を、ベースイン法(ベースシート挿入法,Basin method;base sheet insertion method)とする。
【0030】
ベースイン法によれば、断面に研磨を行う際に生じる応力がベースシートと仮固定剤で吸収されるため、研磨による積層体の崩壊を防止できる。また、積層体の断面がベースシートによって保護されることから、断面が保持用基板に直接接触した場合に生じるような断面の損傷が避けられる。
【0031】
以下、ベースイン法をFePtナノパーティクルに適用した例を説明する。図1〜図3は特に示さない限り断面図とする。まず、図1(a)に示すように、試料を堆積させる第1の基板として、数mm角のシリコンウェハ1を用意する。すなわち、図1(a)に示す一辺の長さLを数mm、例えば8mmとする。
【0032】
シリコンウェハ1としては、表面に厚さ2〜300nm程度の酸化膜2が形成されたものを用いる。酸化膜2は厚さ数nmの自然酸化膜であっても、熱酸化などによって形成された数10nm以上の厚さの酸化膜であってもよい。酸化膜2によってシリコンウェハ1が酸化等から保護される。
【0033】
シリコンウェハ1自体の厚さや、表面の酸化膜2の厚さの異なる多様なシリコンウェハが市販されており、これらの中から第1の基板として用いるシリコンウェハを任意に選択できる。本実施形態では、例えば厚さ0.65mmのシリコンウェハ1を用いるが、シリコンウェハ1の厚さは特に限定されない。
【0034】
なお、第1の基板および後述する第2の基板として、シリコンウェハ以外を用いることも可能である。しかしながら、シリコンウェハを用いた場合、断面TEM観察においてシリコンウェハの電子線回折像の単結晶パターン(二次元点配列)を利用して、アライメントを行うことができる。また、シリコンウェハは不純物の少ない高純度の市販品を容易に入手できる。したがって、第1および/または第2の基板としてはシリコンウェハを用いることが特に好ましい。
【0035】
次に、図1(b)に示すように、酸化膜2上にシランカップリング剤として例えば3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(APTS)NH2(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3を用い、APTS層3を形成する。APTS層3は、APTSの溶液を滴下して乾燥させることにより形成できる。
【0036】
シランカップリング剤としては、APTS以外に例えば[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン(C2H5)2N(CH2)3Si(OCH3)3、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン(C6H5)NH(CH2)3Si(OCH3)3、3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル−トリエトキシシラン(HOCH2CH2)2N(CH2)3Si(OCH2CH3)3等のシランカップリング剤を用いることができ、特に限定されない。
【0037】
また、試料によっては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤などの他のカップリング剤を用いることもできる。
【0038】
続いて、APTS層3上に試料4を堆積させる。FePtナノパーティクル等の粒子状試料は、例えばヘキサン等の有機溶剤に分散させた状態でAPTS層3上に滴下した後、有機溶剤を揮発させることにより成膜できる。このように成膜した状態のナノパーティクルは、APTS層3上で多層に堆積している。
【0039】
試料4をナノパーティクルの単層膜とするには、例えばヘキサンを試料4の表面に流したり、超音波洗浄を行ったりすればよい。シランカップリング剤であるAPTSと結合したナノパーティクルは、洗浄後もAPTS層3上に保持されるため、単層のナノパーティクルが得られる。
【0040】
また、試料4の形状・形態は粒子または粉末であっても、1層または多層の薄膜状であっても、あるいは粒子と膜を組み合わせた構造であってもよく、特に限定されない。例えば、APTS層3上に真空蒸着、スパッタリング、化学気相成長(CVD)等の方法によって、厚さ1〜10nm程度の試料薄膜を形成してもよい。
【0041】
次に、図1(c)に示すように、試料4上に例えばエポキシ系接着剤を滴下して接着剤層5を形成する。接着剤層5上に第2の基板としてキャッピングシリコンウェハ6を固定することにより、試料4が2枚のシリコンウェハ1、6で挟まれて保護される。キュア(硬化)温度の異なる様々なエポキシ系接着剤が市販されており、試料4とキャッピングシリコンウェハ6を接合させるエポキシ系接着剤は、十分な接着力が得られるものを試料に応じて選択できる。
【0042】
従来の観察用試料の作製方法によれば、図6(c)に示すように、接着剤層105を可能な限り薄く形成するのに対して、ベースイン法では試料表面の微細構造を保護するため、接着剤層5の厚さを約1μm以下の範囲で比較的厚くして、接着剤層5の柔軟性も高くすることが好ましい。
【0043】
接着剤層5を柔軟にするには、エポキシ系接着剤中の硬化剤の比率を通常よりも低くして、硬化させる前のエポキシ系接着剤の流動性を高くする。エポキシ系接着剤として例えばG−2 Epoxy(G−2 Epoxyはgatan社の商品名)を用いる場合、樹脂:硬化剤の混合比は通常10:1とするが、ベースイン法では樹脂:硬化剤の混合比を12:1として、硬化剤の比率を低くする。これにより、後述する機械的研磨などにおいても、試料4が接着剤層5によって保護されるようになる。なお、エポキシ系以外の接着剤を用いてもよい。
【0044】
接着剤層5を介して試料4上にキャッピングシリコンウェハ6を載せた後、2枚のシリコンウェハ1、6で挟まれた積層体7にクランプで加圧しながら、例えば60℃で3時間加熱して、接着剤層5を硬化させる(キュア)。その後、積層体を室温まで冷却し、12時間放置する。
【0045】
次に、図1(d−1)に示すように、2枚のシリコンウェハ1、6で挟まれた積層体を、積層方向に垂直な方向での厚さTが2〜3mm程度となるように、ダイヤモンドソーを用いて切断する。以下、図1(c)の積層体7を切断して得られた小片を、断面試料8とする。図1(d−1)の断面試料8は、図1(d−2)の斜視図において点線で挟まれた箇所を切り出したものである。
【0046】
次に、図2(e)に示すように、保持用基板(試料ホルダー)9上に極めて微量のワックス(不図示)を介して、ベースシート10を載せる。試料ホルダー9としてはガラス板や石英板などが用いられる。ベースシート10としては例えばアルミ箔を用いるが、表面が平滑な薄膜であれば、アルミ箔以外の例えば油紙などを用いることもできる。ベースシートは断面試料8の表面(図1(d−2)に点線で示す断面であり、断面試料で積層構造が現れる面)と同程度の大きさとすることが好ましい。
【0047】
ベースシート10上に微量のワックス11を介して、断面試料8を載せる。このとき、断面試料8の表面をワックス11上に載せる。ワックス11は仮固定剤として用いられ、他の有機化合物等を仮固定剤として用いることもできる。その後、断面試料8の周囲に融解したワックス12を滴下してから、ワックス12を固化させる。
【0048】
これにより、断面試料8が周囲のワックス12によって試料ホルダー9上に固定される。ベースシート10とワックス11は、機械的研磨が行われる間に発生する応力を吸収することにより、試料4、接着剤層5およびキャッピングシリコンウェハ6の間の結合を安定化する。
【0049】
また、試料ホルダー9の表面はベースシート10の表面より粗く、汚染されている。従来の方法によれば、断面試料と試料ホルダーが直接接触するため、試料ホルダー表面の平滑性が特に要求される場合、ガラス板でなく石英板を用いることがあった。
【0050】
それに対し、ベースイン法によれば、ベースシート10を挿入することにより、断面試料8と試料ホルダー9が直接接触しなくなる。したがって、試料ホルダー9の材質によらず、断面試料8の表面が傷や汚染から保護される。試料ホルダー9はベースシート10が仮固定される限り、表面粗さ等を特に考慮する必要はない。
【0051】
次に、図2(f)に示すように、試料ホルダー9を上側として、断面試料8を下面側から機械的に研磨する。この研磨には、例えばシリコンカーバイドペーパー13などを用いる。研磨は断面試料8の厚さが例えば20μm程度に薄くなるまで行う。断面試料8の中央が薄くなるように(ディンプリング)、機械的研磨を行ってもよい。
【0052】
次に、図2(g)に示すように、試料ホルダー9を下側として、断面試料8上にTEM用グリッド14を載せる。このとき、TEM用グリッド14は上下を反転させ、TEM観察を行うときに試料を載せる上面側が下側となるようにする。TEM用グリッド14は直径3mmのものが多く、材質あるいはメッシュのサイズ等が異なる様々なものが市販されている。これらの中から、試料に応じたTEM用グリッドを適宜選択することができる。
【0053】
試料ホルダー9上にベースシート10、ワックス11および断面試料8を介してTEM用グリッド14が載せられた状態で、エタノール等の溶剤によりワックス11、12を溶解させる。試料の性質によっては加熱によりワックス11、12を融解させることも可能であるが、試料4がFePtナノパーティクルの場合には、試料4の損傷を抑えるため、加熱よりもエタノールでワックス11、12を溶解させる方が好ましい。
【0054】
これにより、図3(h−1)に示すように、試料ホルダー9上のベースシート10から断面試料8とTEM用グリッド14が外され、断面試料8をTEM用グリッド14上に移動させることができる。ワックス11、12を溶解させ、断面試料8とベースシート10を分離させるとき、断面試料8の表面を摩擦しないようにする。
【0055】
図3(h−2)はTEM用グリッド14上に断面試料8が載せられた状態を示す上面図である。TEM用グリッド14はリング状のリム部分15と、そのリング(リム部分15)の一方の端面であって試料が載せられる上面側に形成された支持膜16を含む。支持膜16は電子線が透過する開口部を有し、支持膜16としてはメッシュ等が用いられる。
【0056】
その後、図3(i)に示すように、断面試料8をイオンミリングにより厚さ約10nm以下に薄膜化する。試料によっては、断面試料8の中央が薄くなるようにイオンミリングを行ってもよく(ディンプリング)、この場合には断面試料8の中央部分のみ完全に消失して厚さ0nmとなってもよい。
【0057】
イオンミリングでは加速された不活性ガスイオンを断面試料8に照射して、断面試料8をエッチングする。不活性ガスイオンとしては例えばアルゴンガスを用いる。アルゴンは不活性でかつ比較的重く、多くの試料中に天然では存在しないため、断面試料作製用のイオンミリングに適している。さらに、アルゴンは重いため、エッチングの対象物である断面試料中に侵入しにくく、高いエッチング速度が得られるという利点もある。
【0058】
装置にもよるが、ベースイン法ではイオンの加速電圧を3〜4kVとし、従来の断面試料の作製の場合よりも低くする。また、イオンビーム電流はイオンミリング装置の特性にもよるが、可能な限り低くする。イオンビームの進行方向と断面試料8の表面とがなす角θは10°程度とし、従来の断面試料の作製方法の場合よりも、イオンビームをさらに傾斜させる。図3(i)の角度θが垂直に近いほど、イオンの衝撃により断面試料8が損傷しやすく、角度θが小さいほど、イオンの衝撃を小さくできる。
【0059】
イオンミリングが行われる間、イオンの加速電圧やイオンビームの電流によっては、断面試料8が150℃程度に加熱される可能性もある。したがって、試料4の性質に応じて、TEM用グリッド14を冷却できるステージを設け、断面試料8を冷却しながらイオンミリングを行ってもよい。以上の工程により、断面TEM観察用試料が作製される。
【0060】
上記の本実施形態のベースイン法によって作製された断面試料8のTEM像を図4および図5に示す。図4は、酸化膜(SiO2)/APTS層/FePtナノパーティクル/接着剤(G−2 Epoxy)層/キャッピングシリコンウェハ(Si)の多層構造のTEM像を示す。図5は、図4の酸化膜/APTS層/FePtナノパーティクル/接着剤(G−2 Epoxy)層の界面をさらに拡大したTEM像である。図4および図5に示すFePtナノパーティクルの単層膜の厚さは約3nmである。
【0061】
図4および図5のいずれにも、FePtナノパーティクルのTEM像が明瞭に現れている。また、図4に示すように、酸化膜/APTS層/FePtナノパーティクル/接着剤層/キャッピングシリコンウェハの多層構造が明瞭に観察されることから、ベースイン法によれば、機械的研磨による断面試料の損傷を効果的に防止できることがわかる。
【0062】
また、従来の作製方法よりも接着剤層5を意図的に厚く形成することにより、FePtナノパーティクルの表面状態が良好に保存されることがわかる。拡大倍率を大きくした図5では、各層の界面や、APTS層上に分散されたFePtナノパーティクルの形態がより明瞭に観察できる。
【0063】
以上のようにベースイン法は、FePtナノパーティクルを分散させて形成された厚さ3nm程度の単層膜の断面TEM観察に有用であることが確認された。図4および図5に示す断面TEM像から、ベースイン法は例えば表面の不連続性や粗さ等といった、試料の局所的な表面状態を保存するのに有用であることがわかる。したがって、ベースイン法は精巧で脆弱な断面を有する試料、例えば観察対象となる領域の厚さが1nm以下となるような試料の断面観察に特に有用といえる。
【0064】
本発明の断面観察用試料の作製方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、異種試料の積層膜について上記の実施形態と同様の観察用断面試料を作製し、断面TEM観察を行うことも可能である。また、上記の方法によって作製され、断面TEM観察が行われた断面試料に、他の電子顕微鏡などの分析機器を用いた解析を行うこともできる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0065】
【発明の効果】
本発明の断面観察用試料の作製方法によれば、繊細で脆弱な試料断面の電子顕微鏡観察を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(d−1、2)は本発明の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図または斜視図である。
【図2】図2(e)〜(g)は本発明の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図であり、図1(d−1、2)に続く工程を示す。
【図3】図3(h−1、2)および(i)は本発明の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図または上面図であり、図2(g)に続く工程を示す。
【図4】図4は本発明の実施形態に係る断面観察用試料の作製方法により作製された試料の断面TEM像である。
【図5】図5は本発明の実施形態に係る断面観察用試料の作製方法により作製された試料の断面TEM像である。
【図6】図6(a)〜(d−1、2)は従来の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図または斜視図である。
【図7】図7(e)〜(g)は従来の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図であり、図6(d−1、2)に続く工程を示す。
【図8】図8(h−1、2)および(i)は従来の断面観察用試料の作製方法の工程を示す断面図または上面図であり、図7(g)に続く工程を示す。
【符号の説明】
1…シリコンウェハ、2…酸化膜、3…APTS層、4…試料、5…接着剤層、6…キャッピングシリコンウェハ、7…積層体、8…断面試料、9…試料ホルダー、10…ベースシート、11、12…ワックス、13…シリコンカーバイドペーパー、14…TEM用グリッド、15…リム部分、16…支持膜、101…シリコンウェハ、102…酸化膜、103…APTS層、104…試料、105…接着剤層、106…キャッピングシリコンウェハ、107…断面試料、108…試料ホルダー、109…ワックス、110…シリコンカーバイドペーパー、111…TEM用グリッド、112…リム部分、113…支持膜。
Claims (6)
- 第1の基板上に試料を載せる工程と、
前記試料上に接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層上に第2の基板を載せて接着し、積層体を形成する工程と、
前記積層体を前記第1の基板、試料および第2の基板の積層方向に平行な第1の断面で裁断する工程と、
前記積層体を前記積層方向に平行でかつ前記第1の断面に平行な第2の断面で裁断し、前記積層体から小片を切り出す工程と、
保持用基板上にベースシートを固定する工程と、
前記ベースシート上に仮固定剤を介して前記小片の前記第1の断面を仮固定する工程と、
前記保持用基板を保持して前記小片の前記第2の断面を研磨する工程と、
研磨された前記第2の断面と透過型電子顕微鏡用グリッドの試料保持面とを合わせた状態で前記仮固定剤を除去することにより、前記第1の断面から前記ベースシートを剥離し、前記小片を前記透過型電子顕微鏡用グリッド上に移動させる工程と、
前記小片の前記第1の断面にエッチングを行い、前記小片を薄くする工程とを有する
断面観察用試料の作製方法。 - 前記試料はナノパーティクルを含む
請求項1記載の断面観察用試料の作製方法。 - 前記第1の基板上にカップリング剤を介して前記試料を載せる
請求項1記載の断面観察用試料の作製方法。 - 前記カップリング剤としてシランカップリング剤を用いる
請求項3記載の断面観察用試料の作製方法。 - 前記仮固定剤としてワックスを用いる
請求項1記載の断面観察用試料の作製方法。 - 前記エッチング工程はイオンミリング工程を含む
請求項1記載の断面観察用試料の作製方法。
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-
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- 2002-11-12 JP JP2002328848A patent/JP2004163236A/ja active Pending
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