JP2004163188A - 生体物質解析システム、及び該システムに用いる試験用チップ、転写フィルム、試験用チップ製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】試験用チップの製造、及び当該試験用チップより得られる計測データの解析を簡易に行う。
【解決手段】チップ製造データを格納するチップ製造データ格納部126と、解析用の参照データを格納する参照データ格納部124とを有する。チップ製造データ格納部から送られたチップ製造データに基づいて、試験用チップ102を製造する試験用チップ製造装置106を具えている。また、分析対象物質と反応処理済みの試験用チップにおける分析結果を分析装置104から計測データとして受け取って、この計測データと、参照データ格納部から読み出された参照データとの照合を行って、分析対象物質に関する解析結果を出力するデータ解析部120を設けてある。
【選択図】 図1
【解決手段】チップ製造データを格納するチップ製造データ格納部126と、解析用の参照データを格納する参照データ格納部124とを有する。チップ製造データ格納部から送られたチップ製造データに基づいて、試験用チップ102を製造する試験用チップ製造装置106を具えている。また、分析対象物質と反応処理済みの試験用チップにおける分析結果を分析装置104から計測データとして受け取って、この計測データと、参照データ格納部から読み出された参照データとの照合を行って、分析対象物質に関する解析結果を出力するデータ解析部120を設けてある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、生体物質解析システム、当該システムに使用される試験用チップと転写フィルム及び試験用チップ製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
2000年6月に、セレーラジェノミクス社及び日米欧の共同研究によって、ヒトゲノム情報の解読完了宣言がなされた。その後、患者の遺伝子情報を調べ、病理機構を解明することによって新薬の創出が活発に行われるようになるとともに、それぞれの患者における、SNP(一塩基変異多型)等の遺伝子情報を調べることによって、それぞれの患者に対して、治療方針や薬の処方内容を決定するテーラーメイド医療も検討されている。
【0003】
上述した新薬の創出、及びテーラーメイド医療などでは、試験用チップとして、DNAチップが用いられる。DNAチップは、一般に、ガラス基板やシリコン基板上に複数のプローブを整列させて固定化することによって構成してある。患者等の検体が有する遺伝子情報は、当該検体におけるDNAの塩基配列に基づく情報である。このDNAの塩基配列は、DNAチップを用いて調べることができる。尚、このDNAチップにおけるプローブの整列パターン、及びこのプローブを構成するポリヌクレオチドの塩基配列のパターンは、目的とする遺伝子情報の解析に併せた所望のパターンとして形成される。
【0004】
現在、検体の遺伝子情報の解析に用いるDNAチップとして、アフィメトリクス社において開発されたDNAチップ、もしくはスタンフォード大学において開発されたDNAチップが、広く知られている。ここで、アフィメトリクス社において開発されたDNAチップをアフィメトリクス型DNAチップ、また、スタンフォード大学において開発されたDNAチップをスタンフォード型DNAチップと称する。
【0005】
アフィメトリクス型DNAチップの製造は、フォトリソグラフィ技術を用いて、ヌクレオチドを1分子ずつ基板上に積み上げることによって行われる。アフィメトリクス型DNAチップの製造方法によれば、基板に対して上下方向に隣接するヌクレオチド同士を結合させることによって、ヌクレオチドを1分子ずつ積み上げることができ、その結果、基板上に、ポリヌクレオチドとしてプローブを形成するとともに、形成したプローブを当該基板上に固定化することができる(非特許文献1参照)。
【0006】
また、スタンフォード型DNAチップは、予め合成しておいたポリヌクレオチドを、ガラス基板上に滴下することによって製造される。このようにして製造されたスタンフォード型DNAチップでは、基板上に滴下されたポリヌクレオチドがプローブとして用いられるが、非特許文献1によれば、このプローブを基板上に共有結合によって固定化する方法も開発されている(非特許文献1参照)。
【0007】
【非特許文献1】
「日経バイオビジネス」、2002年2月15日、3月号、p.36−49
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、アフィメトリクス型DNAチップの製造ではフォトリソグラフィ技術を用いるため、このDNAチップを製造する装置として、一般的な半導体製造装置と同等の大規模な装置が必要となる。従って、アフィメトリクス型DNAチップは、工場等において製造され、病院等の試験現場に試験用チップとして提供されて、遺伝子情報の解析に使用される。すなわち、アフィメトリクス型DNAチップを試験用チップとして用いる場合、この試験用チップにおける、ポリヌクレオチドの塩基配列パターン、及びプローブの整列パターンを、目的とする遺伝子情報の解析に併せた所望のパターンとして、試験現場で製造することは難しい。よって、アフィメトリクス型DNAチップを試験用チップとして用いる場合、遺伝子情報の解析を個々の検体ごとにフレキシブルに行うのは困難であった。
【0009】
一方、スタンフォード型DNAチップの製造方法によれば、試験現場において、ポリヌクレオチドの塩基配列パターン、及びプローブ整列パターンを、所望のパターンとして、試験用チップを製造することができる。しかし、プローブとして用いられるポリヌクレオチドは、一般的に不安定な化合物であり、固体で、かつ空気に触れない状態で扱うのが好ましく、ポリヌクレオチドを、液体状態で、かつ空気に曝した状態で扱うスタンフォード型DNAチップの製造方法は、必ずしも好ましい試験用チップの製造方法といえるものではない。
【0010】
すなわち、試験現場において、フレキシブルな遺伝子情報の解析を実現するためには、試験用チップを簡易に製造することのできるシステムの構築が、従来より望まれていた。また、検体の遺伝子情報は、試験用チップより計測データとして得ることができるが、非特許文献1に開示されているように、この計測データを解析するためのシステムの構築も、従来より求められていた。
【0011】
従って、上述したような問題点に鑑み、この発明の目的は、試験用チップの製造、及び当該試験用チップより得られる計測データの解析を、簡易に行うことの出来るシステムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、この発明の生体物質解析システムは、チップ製造データを格納するチップ製造データ格納部と、解析用の参照データを格納する参照データ格納部と、試験用チップ製造装置と、分析装置と、データ解析部とを具えている。
【0013】
この発明の生体物質解析システムにおいて、試験用チップ製造装置は、チップ製造データ格納部から送られたチップ製造データに基づいて、検体から抽出された分析対象物質と特異的に反応する複数のプローブを有する試験用チップを製造する。
【0014】
また、分析装置は、分析対象物質と反応処理済みの試験用チップに対し、このチップのプローブの状態を分析する。データ解析部は、分析装置において、分析結果として得られた計測データと、参照データ格納部から読み出された参照データとの照合を行って、分析対象物質を解析して、解析結果を出力する。
【0015】
この発明におけるチップ製造データは、試験用チップの構成を指定する情報である。また、一般に、試験用チップは、当該試験用チップを用いて解析される分析対象物質にあわせた構成を有する。
【0016】
この発明の生体物質解析システムによれば、分析対象物質として所望の物質を選択し、かつこの物質に合わせた試験用チップの構成を指定するチップ製造データを、チップ製造データ格納部から取り出すことが可能である。従って、この発明の生体物質解析システムによれば、必要なときに適宜、試験用チップを、分析対象物質の解析に用いるのにふさわしい構成として、試験用チップ製造装置によって製造することができる。
【0017】
また、この発明の生体物質解析システムによれば、参照データ格納部から、分析対象物質の解析に必要な参照データを適宜読み出すことができる。よって、この参照データを用いることにより、データ解析部によって、分析対象物質の解析を簡易に行うことができる。その結果、この発明の生体物質解析システムでは、個々の検体ごとに、この検体から抽出された分析対象物質の解析をフレキシブルに行うことができる。
【0018】
ところで、この発明の生体物質解析システムでは、試験用チップ製造装置による試験用チップの製造において、第1転写フィルム及び第2転写フィルムのいずれか一方が用いられる。
【0019】
この発明によれば、第1転写フィルムは、転写層と、この転写層の主表面上に固定化され、かつそれぞれが同一の構成を有する複数のプローブを含むプローブ層とを含む構造体を有している。そして、この発明の転写フィルムは、構造体上に、プローブ層の主表面と物理吸着させて設けられた担体フィルム層を具えている。
【0020】
また、第2転写フィルムは、検体から抽出された分析対象物質に、標識物質として付与される第1蛍光物質とは、励起波長及び蛍光波長のいずれか一方が異なる第2蛍光物質を含有する転写層と、この転写層の主表面上に固定化され、かつそれぞれが同一の構成を有する複数のプローブを含むプローブ層とを含む構造体を有している。そして、この発明の第2転写フィルムは、第1転写フィルムと同様の構成を有する担体フィルム層とを具えている。
【0021】
上述したように、第1及び第2転写フィルムのそれぞれにおいて、プローブ層は、担体フィルム層と転写層とに挟まれて設けられている。また、担体フィルム層はプローブ層の主表面に物理吸着させて設けられているため、この担体フィルム層から構造体を、比較的容易に剥がすことができる。
【0022】
従って、これら第1及び第2転写フィルムにおいて、担体フィルム層の、プローブ層に吸着している面とは異なる主表面に対して、外部から適度な衝撃を加えた場合、構造体の断片が剥がれて落ちる。具体的には、衝撃が加えられた担体フィルム層の箇所と、対応する位置にある構造体の一部が、断片化されて担体フィルム層から剥がれ落ちる。
【0023】
ここで、この発明の第1及び第2転写フィルムのそれぞれによれば、転写層は、特定の材料に対して接着する材料を用いて構成してあるのが好ましい。従って、転写層と接着する材料によって構成された基板を用いれば、この基板上に、断片化された構造体の一部を、この構造体断片が有する転写層断片によって接着させることができる。この構造体断片におけるプローブ層断片は、構造体が有するプローブ層に含まれるプローブと同一のプローブを有しており、当該構造体断片が基板上に接着された状態で、第1及び第2転写フィルムが有するプローブ層が転写されたとみなすことができる。
【0024】
すなわち、この発明の第1及び第2転写フィルムによれば、これら転写フィルムが有するプローブ層の一部を、転写層との接着が可能な基板に対して、容易に転写することができる。
【0025】
また、この発明の生体物質解析システムにおいて、試験用チップ製造装置は、複数のフィルムカートリッジを使用して試験用チップの製造を行う。ここで複数のフィルムカートリッジの各々は、カートリッジ識別記号が割り当てられており、第1及び第2転写フィルムのいずれか一方を用いて構成されている。第1転写フィルムを用いる場合、フィルムカートリッジは、複数の第1転写フィルムと、これら第1転写フィルムを主表面上に固定配置して支持する支持部とによって構成されている。第2転写フィルムを用いる場合も、第1転写フィルムを用いる場合と同様にして、フィルムカートリッジは構成されている。尚、以下の説明において、第1及び第2転写フィルムのそれぞれを、単に転写フィルムと称することもある。
【0026】
そして、この発明の試験用チップ製造装置は、外部から試験用チップの製造に使用される基板が供給される基板供給部と、製造される試験用チップを外部へ排出するチップ排出部と、チェンジャー部と、ヘッド部と、これらチェンジャー部及びヘッド部の動作を制御する駆動制御部とを具えている。
【0027】
駆動制御部は、外部から入力されるチップ製造データに基づいて、カートリッジ識別記号の群の中からカートリッジ指定識別符号を指定するとともに、このカートリッジ指定識別符号によって指定される特定のフィルムカートリッジを構成する複数の転写フィルムの中から、特定の転写フィルムを指定するフィルム位置情報を指定して、カートリッジ指定識別符号及びフィルム位置情報を出力する。
【0028】
チェンジャー部は、カートリッジ指定識別符号に応答して特定のフィルムカートリッジを取り出す。また、ヘッド部は、フィルム位置情報に応答して、チェンジャー部が取り出した特定のフィルムカートリッジにおける、複数の転写フィルムの中から特定の転写フィルムを指定して、該指定された特定の転写フィルムが有するプローブを基板へ転写する。
【0029】
この転写は、ヘッド部が、特定した転写フィルムにおける担体フィルム層に対して、適度な衝撃を加えることによって行われる。尚、転写フィルムからのプローブの転写について、既に第1及び第2転写フィルムについて行った説明と、重複する説明は省略する。
【0030】
この発明の試験用チップ製造装置において使用されるフィルムカートリッジは、既に説明したように、フィルム支持部に固定された複数の転写フィルムを有している。この発明によれば、これら複数の転写フィルムのそれぞれにおいて、プローブ層を、互いに異なる構成としておくのが好ましい。ここで、複数の転写フィルムのそれぞれにおいて、プローブ層の構成を互いに異なる構成とするには、プローブ層のプローブの構成を、互いに異なる構成とすればよい。
【0031】
また、フィルムカートリッジにおいて、固定配置する転写フィルムの組み合わせを変えて、複数のフィルムカートリッジのそれぞれを構成するのが好適である。
【0032】
そして、試験用チップ製造装置において、駆動制御部がチップ製造データに基づいて、逐次、カートリッジ指定識別符号及びフィルム位置情報を出力することにより、上述したように構成された複数のフィルムカートリッジのうち、カートリッジ指定識別符号で指定されたフィルムカートリッジがチェンジャー部によって取り出され、このフィルムカートリッジにおいてフィルム位置情報で指定される転写フィルムのプローブが基板上に転写される。従って、この発明の試験用チップ製造装置によれば、当該装置に入力されたチップ製造データに基づく構成を有する試験用チップを、容易に製造することができる。
【0033】
また、この発明の試験用チップ製造装置では、上述したような手順によって、以下のような構成を有する試験用チップが製造される。この試験用チップは、構造体が断片化された構造体断片と、基板とを具えており、複数の構造体断片のそれぞれを、該構造体断片が有する転写層断片と基板とを接着させることによって、この基板上に設けてある。
【0034】
構造体断片は複数のプローブを含むプローブ層断片を有する。そして、この発明の試験用チップによれば、複数の構造体断片のそれぞれを、互いに異なる構成とすることも可能である。すなわち、この発明の試験用チップによれば、この試験用チップの構成を、この試験用チップを用いて解析が行われる分析対象物質にあわせた構成とすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明する。尚、以下の説明に用いる各図は、この発明を理解できる程度に概略的に示してあるに過ぎず、従って、この発明が図示例のみに限定されるものでないことは理解されたい。また、説明に用いる各図において、同様な構成要素については、同一の符号を付して示し、重複する説明を省略することもある。
【0036】
[第1の実施の形態]
この発明の生体物質解析システムの第1の実施の形態について説明する。
【0037】
(1)第1の実施の形態の生体物質解析システムの構成
図1に、この実施の形態における生体物質解析システム100の構成例を示す。この実施の形態の生体物質解析システム100は、チップ製造データを格納するチップ製造データ格納部126と、解析用の参照データを格納する参照データ格納部124と、試験用チップ製造装置106と、分析装置104と、データ解析部120とを具えている。
【0038】
試験用チップ製造装置106は、チップ製造データ格納部126から送られたチップ製造データに基づいて、検体から抽出された分析対象物質と特異的に反応する複数のプローブを有する試験用チップ102を製造する。
【0039】
また、分析装置104は、分析対象物質と反応処理済みの試験用チップ102に対し、該チップ102のプローブの状態を分析する。データ解析部120は、分析装置104において、分析結果として得られた計測データと、参照データ格納部124から読み出された参照データとの照合を行って、分析対象物質を解析して、解析結果を出力する。
【0040】
また、この実施の形態の生体物質解析システム100は、データ取得部118と、データ管理部128とを具えている。データ取得部118は、分析装置104から送られる計測データをデータ解析部120へ出力するとともに、チップ製造データ格納部126側から送られるチップ製造データを試験用チップ製造装置106へ出力する。
【0041】
また、データ管理部128は、参照データ格納部124から読み出される参照データをデータ解析部120へ出力する参照データ管理処理と、チップ製造データ格納部126から読み出されるチップ製造データをデータ取得部118へ出力するチップ製造データ管理処理とを行う。
【0042】
この実施の形態によれば、データ取得部118と、データ解析部120と、データ管理部128は、コンピュータにおける中央処理装置(CPU)が行う機能、すなわち当該コンピュータのメモリ(ROM)に格納されたプログラムが有する命令である。データ取得部118とデータ解析部120は、共通のCPUで構成してもよいし、別のCPUでそれぞれ構成してもよい。データ管理部128は、データ取得部118及びデータ解析部120とは別のCPUで構成するのがよい。
【0043】
ここで、図1に示すように、この実施の形態の生体物質解析システム100は、分析装置104と、試験用チップ製造装置106とに接続してあるデータ処理装置108と、このデータ処理装置108と通信網110を介して接続されたシステム管理装置112とを有している。そして、データ取得部118と、データ解析部120と、データ管理部128、及び参照データ格納部124とチップ製造データ格納部126は、それぞれ、データ処理装置108及びシステム管理装置112のいずれかに配置されている。
【0044】
図1に示す構成例によれば、データ処理装置108は、データ取得部118と、データ解析部120とを含む第1基本処理部114と、処理データ格納部116とを具えている。また、システム管理装置112には、データ管理部128を含む第2基本処理部122と、参照データ格納部124と、チップ製造データ格納部126とを設けてある。参照データ格納部124及びチップ製造データ格納部126は、共通のメモリを用いてもよいし、或いはそれぞれ個別のメモリを用いて構成することもできる。また、処理データ格納部116は、両データ格納部124及び126とは別のメモリで構成するのがよい。
【0045】
(2)第1の実施の形態の生体物質解析システムの動作
次に、この実施の形態の生体物質解析システム100の動作について説明する。この実施の形態の生体物質解析システム100は、主に、試験用チップ製造プロセスと、分析対象物質解析プロセスとを行う。これら試験用チップ製造プロセスと、分析対象物質解析プロセスについて、図1と、図2及び図3のそれぞれに示すフローチャートを参照して説明する。ここで、図2は、試験用チップ製造プロセスを説明するためのフローチャートであり、及び図3は、分析対象物質解析プロセスを説明するためのフローチャートである。尚、図2及び図3のそれぞれに示すフローチャートにおいて、各処理のステップを記号Sに番号を添えて示してある。
【0046】
(2−1)試験用チップ製造プロセス
まず、図1及び図2を参照して、この実施の形態の生体物質解析システム100が行う試験用チップ製造プロセスについて説明する。
【0047】
図1に示すように、データ処理装置108には入出力部130が設けられている。この実施の形態の試験用チップ製造プロセスは、データ処理装置108に入出力部130から試験用チップ製造命令が入力され、かつ入力された試験用チップ製造命令を、第1基本処理部114が受信することによって開始される。尚、前述した試験用チップ製造命令は、分析対象物質を指定し、この分析対象物質の解析に用いる試験用チップの製造を行う旨を命令する情報であるのが好ましい。
【0048】
(S201)データ処理装置108において、試験用チップ製造命令を受信した第1基本処理部114は、データ取得部118によってチップ製造データ要求信号を、当該データ処理装置108の外部に、例えばシステム管理装置112に送信する。
【0049】
(S202)その後、チップ製造データ要求信号は、通信網110を介して、システム管理装置112によって受信される。ここで、チップ製造データ要求信号は、チップ製造データを指定する情報を含む信号であるのが望ましい。尚、既に説明したように、チップ製造データは、試験用チップの構成に関する情報であり、試験用チップの構成は分析対象物質に合わせた構成を有する。従って、前述した試験用チップ製造命令において指定された分析対象物質に対応するチップ製造データが、チップ製造データ要求信号において、指定される。
【0050】
尚、この実施の形態によれば、チップ製造データ格納部126には、複数の分析対象物質のそれぞれに対応するチップ製造データが予め格納されている。図1に示すように、システム管理装置112には入力部132が接続されており、チップ製造データ格納部126の情報は、この入力部132によって、新規に及びまたは更新のために適宜入力されるのが好ましい。
【0051】
システム管理装置112において、受信したチップ製造データ要求信号が、第2基本処理部122に入力されると、第2基本処理部122は、データ管理部128によって、チップ製造データ格納部126から、チップ製造データ要求信号によって指定されるチップ製造データを取り出し、取り出したチップ製造データを通信網110へと送出する。
【0052】
(S203)続いて、チップ製造データは、通信網110を介して、データ処理装置108によって受信される。データ処理装置108において、受信されたチップ製造データは、第1基本処理部114のデータ取得部118によって取得される。データ取得部118は、取得したチップ製造データを処理データ格納部116に格納する。
【0053】
(S204)その後、データ処理装置108において、第1基本処理部114は、データ取得部118によって、処理データ格納部116からチップ製造データを取り出し、試験用チップ製造装置106に入力する。試験用チップ製造装置106は、入力されたチップ製造データに基づいて試験用チップ102の製造を行う。チップの製造が終了した後、当該試験用チップ製造装置106の外へ、製造した試験用チップ102を排出する。
【0054】
試験用チップ製造装置106から、製造された試験用チップ102が排出されて、この実施の形態の生体物質解析システムにおける試験用チップ製造プロセスが終了する。
【0055】
従って、この実施の形態の生体物質解析システム100によれば、必要なときに適宜、入出力部130からデータ処理装置108に試験用チップ製造命令を入力することによって、上述したような試験用チップ製造プロセスにより、分析対象物質の解析に用いるのにふさわしい構成として、試験用チップ102を、チップ製造装置106によって製造することができる。
【0056】
(2−2)分析対象物質解析プロセス
次に、図1及び図3を参照して、この実施の形態の生体物質解析システム100が行う分析対象物質解析プロセスについて説明する。この実施の形態によれば、分析対象物質解析プロセスは、試験用チップ製造プロセスに続いて、この試験用チップ製造プロセスで製造された試験用チップ102を用いて行われるのが好ましい。
【0057】
既に説明したように、試験用チップ製造プロセスで製造された試験用チップ102は、病院等の試験現場において、検体から抽出した分析対象物質の解析に用いられる。試験現場における分析対象物質の解析では、分析対象物質を試験用チップ102が有する複数のプローブと特異的に反応させる。その後、分析装置104において、試験用チップ102のプローブの状態を分析する。
【0058】
この分析結果が、分析装置104からデータ処理装置108に入力されると、この実施の形態の分析対象物質解析プロセスが開始される。
【0059】
(S301)まず、データ処理装置108に入力された分析結果は、計測データとして、第1基本処理部114に入力され、データ取得部118において取得される。データ取得部118は、取得した計測データを処理データ格納部116に格納する。
【0060】
(S302)続いて、第1基本処理部114は、データ解析部120によって参照データ要求信号を当該データ処理装置108の外へ送信する。
【0061】
(S303)その後、参照データ要求信号は、通信網110を介して、システム管理装置112によって受信される。
【0062】
ここで、参照データ要求信号は、参照データを指定する情報を含む信号であるのが望ましい。尚、この実施の形態によれば、参照データ格納部124の情報は、予め当該参照データ格納部124に格納されている。また、この参照データはチップ製造データ格納部126の情報と同様、入力部132によって、新規に及びまたは更新のために適宜入力されるのが好ましい。
【0063】
システム管理装置112において、受信した参照データ要求信号が、第2基本処理部122に入力されると、第2基本処理部122は、データ管理部128によって、参照データ格納部124から、参照データ要求信号によって指定される参照データを取り出し、取り出した参照データを通信網110へと送出する。
【0064】
(S304)続いて、参照データは、通信網110を介して、データ処理装置108によって受信される。データ処理装置108において、受信された参照データは、第1基本処理部114のデータ解析部120に入力される。また、第1基本処理部114において、データ取得部118は、処理データ格納部116から計測データを取り出して、データ解析部120に入力する。データ解析部120は、参照データと計測データとの照合を行い、分析対象物質について解析する。
【0065】
ここで、分析対象物質をDNAとした場合について、分析対象物質の解析を具体的に説明する。分析対象物質をDNAとした場合、この分析対象物質の解析に用いられる試験用チップ102は、分析対象物質と相補的な構成を有するcDNAもしくはオリゴDNAを、プローブとして具えている。そして、上述した非特許文献1に開示されているように、既に説明したような手順によって得られる計測データは、試験用チップ102のプローブの状態を含む情報であって、分析対象物質であるDNAの塩基配列に関する情報を含んでいる。
【0066】
データ解析部120において、計測データとの照合に使用される参照データは、この照合においてどのような解析結果を得るか、という目的によってデータの内容が異なる。例えば、検体に対して新薬の投与を行いたい場合、この新薬の薬効が高い別の検体のDNAの情報を含む参照データが、参照データ格納部124から読み出される。具体的に、この参照データは、新薬の薬効が高い別の検体から抽出したDNAとの反応処理後における、試験用チップ102の計測データである。そして、データ解析部120では、参照データにおけるプローブの状態に関する情報と、計測データにおけるプローブの状態に関する情報との同一性を判断することによって、分析対象物質に関する解析を行う。
【0067】
ところで、上述したように、データ処理装置108には入出力部130が設けられており、データ解析部120は、前述した手順によって得られた解析結果を、入出力部130に出力する。出力される解析結果を、何らかの表示手段によって表示してもよいし、或いは、他の処理目的のために利用することができる。この入出力部130から解析結果が出力されて、この実施の形態の生体物質解析システム100における分析対象物質解析プロセスが終了する。
【0068】
上述したように、この実施の形態の生体物質解析システム100によれば、参照データ格納部124から、分析対象物質の解析に必要な参照データを適宜読み出すことができる。よって、この実施の形態の生体物質解析システム100によれば、既に説明したように、適宜、所望の構成を有する試験用チップ102を容易に製造することができるほか、参照データを用いることにより、データ解析部120によって、分析対象物質の解析を簡易に行うことができる。従って、この実施の形態の生体物質解析システム100では、個々の検体ごとに、この検体から抽出された分析対象物質の解析をフレキシブルに行うことができる。
【0069】
[第2の実施の形態]
この発明の生体物質解析システムの第2の実施の形態について説明する。
【0070】
(1)第2の実施の形態の生体物質解析システムの構成
図4に、この実施の形態における生体物質解析システム400の構成例を示す。この実施の形態の生体物質解析システム400は、第1の実施の形態の生体物質解析システム100と同様の構成部分を有するのが望ましい。従って、図4において、第1の実施の形態の生体物質解析システム400と同様の構成である構成要素については、図1と同一の符号を付して示し、重複する説明は記載を省略する。
【0071】
第1の実施の形態の生体物質解析システム100と同様、この実施の形態の生体物質解析システム400も、分析装置104と、試験用チップ製造装置106とに接続してあるデータ処理装置408と、このデータ処理装置408と通信網110を介して接続されたシステム管理装置412とを有している。
【0072】
この実施の形態によれば、データ解析部120をシステム管理装置412に設けている点が、第1の実施の形態と異なる。すなわち、データ処理装置408は、データ取得部118を含む第1基本処理部414と、データ取得部118で取得する計測データ及びチップ製造データを格納する処理データ格納部416とを具えている。また、システム管理装置412は、参照データ格納部124と、チップ製造データ格納部126と、データ管理部128及びデータ解析部120を含む第2基本処理部422とを具えている。
【0073】
また、図4に示すように、生体物質解析システム400において、データ処理装置408及びシステム管理装置412のそれぞれに入出力部130が設けられるのが好適である。
【0074】
(2)第2の実施の形態の生体物質解析システムの動作
次に、この実施の形態の生体物質解析システム400の動作について説明する。この実施の生体物質解析システム400は、主に、第1の実施の形態の生体物質解析システム100と同様の動作を行うのが好ましい。すなわち、この実施の生体物質解析システム400は、主に、試験用チップ製造プロセスと、分析対象物質解析プロセスとを行う。
【0075】
この実施の形態において、生体物質解析システム400によって行われる試験用チップ製造プロセスは、第1の実施の形態において図2を参照して説明した試験用チップ製造プロセスと同様の手順によって行われるのが好ましい。従って、この実施の形態における試験用チップ製造プロセスに関する説明について、第1の実施の形態で行った説明と重複する記載は省略する。
【0076】
尚、チップ製造データ格納部126の情報は、第1の実施の形態と同様に、システム管理装置412に接続された入出力部130によって、適宜入力されるのが好ましい。
【0077】
一方、この実施の形態における、生体物質解析システム400によって行われる分析対象物質解析プロセスについて、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0078】
この実施の形態の分析対象物質解析プロセスも、第1の実施の形態と同様の手順によって行われるのが好ましい。従って、この実施の形態における分析対象物質解析プロセスに関する説明について、第1の実施の形態で行った説明と重複する記載は省略する。
【0079】
この実施の形態によれば、ステップS301において、第1基本処理部414は、取得した計測データをデータ取得部118によってデータ処理装置408の外へ出力する。この実施の形態では、ステップS301に続いてステップS303の処理が行われる。
【0080】
ステップS303において、システム管理装置412は、通信網110を介して計測データを受信する。そして、受信した計測データが第2基本処理部422に入力されると、データ管理部128によって、参照データ格納部124から参照データを取り出す。尚、この実施の形態によれば、参照データ格納部124の情報は、チップ製造データ格納部126の情報と同様、入出力部130によって適宜入力されるのが好ましい。
【0081】
その後、ステップS304において、データ解析部120は、参照データ格納部124から取り出された参照データと、データ処理装置408から受信した計測データとの照合を行って、分析対象物質について解析する。
【0082】
以上説明したこの実施の形態の生体物質解析システム400によれば、第1の実施の形態の生体物質解析システム100と同様の作用により、同様の効果が得られる。
【0083】
[第3の実施の形態]
次に、図5及び図6を参照して、この発明の生体物質解析システムの第3の実施の形態について説明する。この実施の形態の生体物質解析システムは、第1の実施の形態の生体物質解析システム100及び第2の実施の形態の生体物質解析システム400のそれぞれにおいて、第1基本処理部114及び414に装置監視部134、及びシステム管理装置112及び412に通知部136を設けるとともに、システム管理装置112及び412をシステム修理会社138に接続してある。このシステム修理会社は、好ましくは、生体物質解析システム100及び400の保守管理を一括して行う。
【0084】
尚、装置監視部134及び通知部136を上述したように設けてある構成を、図5に、生体物質解析システム100について生体物質解析システム500として示してあり、また、図6に、生体物質解析システム400について生体物質解析システム600として示してある。
【0085】
図5において、装置監視部134が設けられた第1基本処理部114を第1基本処理部514、及び通知部136が設けられたシステム管理装置112をシステム管理装置512としてそれぞれ示してある。また、同図中、装置監視部134が設けられたデータ処理装置108をデータ処理装置508として示してある。
【0086】
図6には、装置監視部134が設けられた第1基本処理部414を第1基本処理部614、及び通知部136が設けられたシステム管理装置112をシステム管理装置612としてそれぞれ示してある。また、同図中、装置監視部134が設けられたデータ処理装置408をデータ処理装置608として示してある。
【0087】
この実施の形態によれば、第1基本処理部514及び614は、装置監視部134によって分析装置104もしくは試験用チップ製造装置106の動作障害の有無を監視する。そして、これら分析装置104もしくは試験用チップ製造装置106に動作障害が発生し、かつこの障害が装置監視部134によって検出されたとき、第1基本処理部514及び614は、装置監視部134によって障害データを通信網110に送出する。
【0088】
ここで、前述した動作障害は、分析装置104もしくは試験用チップ製造装置106の装置自体の故障に関する情報であって、この情報には、これら装置で使用される備品交換もしくは部品交換が必要か否かなどの情報も含まれるのが好ましい。
【0089】
その後、障害データはシステム管理装置512及び612によって受信される。受信した障害データは、第2基本処理部122及び422によって通知部136に送信され、通知部136は、障害データに応答してシステム修理会社138に対する修理委託通知を出力する。
【0090】
従って、この実施の形態の生体物質解析システム500及び600によれば、第1及び第2の実施の形態の生体物質解析システム100及び400と同様の作用により同様の効果が得られる。
【0091】
また、この実施の形態の生体物質解析システム500及び600では、装置監視部134によって分析装置104もしくは試験用チップ製造装置106の動作障害を検出し、通知部136によってシステム修理会社138への修理委託通知を行う。従って、この実施の形態によれば、生体物質解析システム500及び600の保守管理を容易に行うことができるほか、試験現場における分析対象物質の解析を常に円滑に行うことができる。
【0092】
[第4の実施の形態]
第1〜第3の実施の形態における生体物質解析システム100、400、500、及び600では、試験用チップ製造装置106による試験用チップの製造において、この発明の第1及び第2転写フィルムのいずれか一方が用いられるのが望ましい。次に、この発明の第1及び第2転写フィルムに関する実施の形態を、第4の実施の形態として説明する。
【0093】
(1)第1転写フィルム
(1−1)第1転写フィルムの構成
まず、図7を参照して、この実施の形態における第1転写フィルムについて説明する。図7は、この実施の形態の第1転写フィルム700の構成例を示す断面図である。第1転写フィルム700は、構造体704と、該構造体704を支持する担体フィルム層702とを具えている。
【0094】
構造体704は、転写層708とプローブ層706とを有している。構造体704に用いられる転写層708は、特定の材料に対して接着する材料を用いて構成してあるのが好ましい。この実施の形態によれば、転写層708は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、 ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ニトロセルロース、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、フルオロエチレン共重合体、ポリメチルペンテン等の有機材料(有機物質ともいう)より選択される一種以上の有機材料によって構成されるのが好適である。尚、前述したような材料によって構成される転写層708が接着する材料については後述する。
【0095】
また、プローブ層706は、転写層708上に固定化された複数のプローブ710を含んでいる。これら複数のプローブ710はそれぞれ同一の構成を有するのが好ましい。この実施の形態によれば、プローブ710は、ポリヌクレオチド、ポリアミノ酸、抗体物質、抗原物質、酵素等のうちから選択された一種の物質によって構成されるのが好ましい。
【0096】
また、複数のプローブ710の転写層708への固定化は、従来公知の方法によって行われるのが望ましい。例えば、プローブ710をポリヌクレオチドによって構成した場合、このポリヌクレオチドの転写層708への固定化は、文献1(Sience 251:767−773(1991))に開示の、アフィメトリクス型DNAチップの製造方法と同様の手順によって行うことが可能である。
【0097】
さらに、担体フィルム層702は、プローブ層706の主表面と物理吸着することによって、構造体704を支持する構成としてある。この実施の形態の担体フィルム層702は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、 ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ニトロセルロース、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、フルオロエチレン共重合体、ポリメチルペンテン等の有機材料より選択される一種以上の有機材料によって構成されるのが好適である。
【0098】
(1−2)第1転写フィルムの作用及び効果
図8を参照して、この実施の形態の第1転写フィルム700の作用について説明する。図8は、担体フィルム層702に対して、外部から適度な衝撃が加えられた第1転写フィルム700の一例の様子を説明するための、第1転写フィルムの断面図である。
【0099】
図8には、第1転写フィルム700に対して、当該第1転写フィルム700の上方から、同図中の白抜き矢印の方向から衝撃が与えられるようすが示されている。図8において、白抜き矢印の方向とは、第1転写フィルム700の担体フィルム層702から構造体704に向う方向である。また、図8に示すように、第1転写フィルム700に対する衝撃は、担体フィルム層702の、プローブ層706に吸着している面とは異なる主表面の一部分802に対して与えられている。
【0100】
ここで、図7に示すように、第1転写フィルム700において、プローブ層706は、担体フィルム層702と転写層708とに挟まれて設けられている。また、担体フィルム層702はプローブ層706の主表面に物理吸着させて設けられているため、この担体フィルム層702から構造体704を、比較的容易に剥がすことができる。
【0101】
従って、第1転写フィルム700において上述したような衝撃が加えられた場合、構造体の断片704aが剥がれて落ちる。具体的には、図8に示すように、衝撃が加えられた箇所802の担体フィルム層702によって支持されている、構造体704の一部分が剥がれて落ちる。
【0102】
ここで、上述したように、転写層708は、特定の材料に対して接着する材料を用いて構成してあるのが好ましい。従って、この転写層708と接着する材料によって構成された基板800上に、断片化された構造体の一部704aは、この構造体断片704aが有する転写層断片708aによって接着する。この構造体断片704aにおけるプローブ層断片706aは、プローブ層706に含まれるプローブ710と同一のプローブを有しており、当該構造体断片704aが基板800上に接着された状態で、第1転写フィルム700が有するプローブ層706が転写されたとみなすことができる。すなわち、この発明の第1転写フィルム700によれば、当該第1転写フィルム700が有するプローブ層706の一部を、転写層708との接着が可能な基板800に対して、容易に転写することができる。
【0103】
尚、基板800は、シリコン、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイヤ、フォルスライト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素、磁性体などの無機材料より選択される一種以上の無機材料、もしくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、 ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ニトロセルロース、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、フルオロエチレン共重合体、ポリメチルペンテン等の有機材料より選択される一種以上の有機材料によって構成されるのが好適である。
【0104】
(2)第2転写フィルム
次に、この実施の形態の第2転写フィルムについて説明する。この実施の形態の第2転写フィルムは、第1転写フィルムと同様の構成を有するのが好ましい。よって、第2転写フィルムの構成について、図7を参照して説明した第1転写フィルム700と同様の構成について、重複する説明は記載を省略する。
【0105】
この実施の形態の第2転写フィルムは、第1転写フィルムの転写層708に第2蛍光物質を含有させた構成としてあるのが好ましい。ここで、転写層708に第2蛍光物質を含有させた構成とは、上述した転写層708を構成する物質と、第2蛍光物質とを混合させた材料によって当該転写層708を構成することを意味する。そして、転写層708中に第2蛍光物質は、検出することができる発光が生じる程度の量であって、かつこの発光時に自己消光が生じない程度の量として、混合されているのが望ましい。尚、第2蛍光物質は、好ましくは、検体から抽出された分析対象物質に標識物質として付与される第1蛍光物質とは、励起波長及び蛍光波長のいずれか一方が異なる物質である。
【0106】
ここで、この実施の形態の第1及び第2蛍光物質は、FITC、PE、PerCP、APC、TruLed(PerCP−Cy5.5)、PharRed(APC−Cy7)、Cy7より一種の蛍光物質を選択して構成されるのが望ましい。
【0107】
上述したように、第2転写フィルムは、好ましくは、第1転写フィルム700と同様の構成を有するため、上述した第1転写フィルム700と同様の作用によって、同様の効果を得ることができる。
【0108】
[第5の実施の形態]
次に、この発明の試験用チップ製造装置に関する実施の形態を、第5の実施の形態として説明する。この実施の形態によれば、試験用チップ製造装置106は、第1〜第3の実施の形態における生体物質解析システム100、400、500、及び600のいずれかにおいて、複数のフィルムカートリッジを使用して、試験用チップ102の製造を行うのが好ましい。
【0109】
(1)フィルムカートリッジの構成
まず、図9(A)、(B)及び(C)を参照して、試験用チップ製造装置106に使用されるフィルムカートリッジ900の構成について説明する。図9(A)は、フィルムカートリッジ900の構成を概略的に示す平面図であり、図9(B)は、図9(A)において点線枠906で囲まれたフィルムカートリッジ900の一部分の構成を示す平面図であり、及び図9(C)には、図9(B)に示すフィルムカートリッジ900の一部分を、A−A’線で切断した部分を示してある。尚、図9(A)、(B)及び(C)に示す構成は、単なる一例であって、この実施の形態のフィルムカートリッジ900の構成は、これらの構成に限定されない。
【0110】
図9(A)には、フィルムカートリッジ900の上面図を示してある。フィルムカートリッジ900は、第4の実施の形態で説明した第1及び第2転写フィルムのいずれか一方を用いて構成される。尚、以下の説明において、第1及び第2転写フィルムのそれぞれを、単に転写フィルムと称する。
【0111】
この実施の形態によれば、フィルムカートリッジ900は、複数の転写フィルムと、これら転写フィルムを主表面上に固定配置して支持するフィルム支持部904とから構成されるのが望ましい。
【0112】
図9(A)に示す構成例によれば、予めフィルム枠に固定した転写フィルムを、フィルムカートリッジ900に設けてある。図9(A)には、フィルム枠に固定した転写フィルムを、フィルム構造体902a、902b、902cとして示してある。尚、これらフィルム構造体902a、902b、902cのそれぞれは、互いに異なる構成の転写フィルムを有するのが好ましい。ここで、転写フィルムを異なる構成とするには、既に説明したように、転写フィルムにおけるプローブ層の構成を異なる構成とすればよい。
【0113】
よって、図9(A)に示す構成例によれば、フィルムカートリッジ900には、フィルム支持部904の主表面上に、複数のフィルム構造体902a、902b、902cが固定配置されている。
【0114】
次に、図9(B)及び(C)を参照して、上述したようなフィルムカートリッジ900への、フィルム構造体902cの固定配置の構成について説明する。尚、図9(B)及び(C)におけるフィルム構造体902cの構成は、フィルムカートリッジ900に配置された他のフィルム構造体902a及び902bについても同様である。
【0115】
図9(B)には、矩形のフィルム枠902cbに固定された転写フィルム902caを有するフィルム構造体902cを上面から見た構成、及び図9(C)には、フィルム支持部904に固定された状態における、このフィルム構造体902cのA−A’線における切断部分の構成を、それぞれ示してある。
【0116】
これら図9(B)及び図9(C)にそれぞれ示すように、フィルム構造体902cは、フィルム枠902cbの4辺を、フィルム支持部904が有するフィルム固定部908によって固定されているのが好ましい。このフィルム固定部908による固定の構成は、フィルム枠902cbの4辺でそれぞれ同様であるのが好ましい。
【0117】
(2)試験用チップ製造装置の構成
次に、図10を参照して、この実施の形態の試験用チップ製造装置106の構成について説明する。図10には、試験用チップ製造装置106の要部の構成を概略的に示してある。この実施の形態の試験用チップ製造装置106は、当該試験用チップ製造装置106の外部から試験用チップの製造に使用される基板800が供給される基板供給部1004と、製造された試験用チップ1012を当該試験用チップ製造装置106の外部へ排出するチップ排出部1010と、チェンジャー部1006と、ヘッド部1008と、これらチェンジャー部1006及びヘッド部1008の動作を制御する駆動制御部1002とを具えている。尚、基板供給部1004によって、試験用チップ製造装置106に供給される基板800は、第4の実施の形態で既に説明したような材料を用いて構成されるのが好適である。
【0118】
また、図10に示すように、試験用チップ製造装置106には、当該試験用チップ製造装置106の設置時に、予め複数のフィルムカートリッジ900が搭載されているのが好ましい。試験用チップ製造装置106に搭載される複数のフィルムカートリッジ900のそれぞれには、カートリッジ識別記号が割り当てられる。図10には、複数のフィルムカートリッジ900のそれぞれに、A1、A2、・・・・、Axのそれぞれをカートリッジ識別記号として割り当てた例を示してある。
【0119】
また、駆動制御部1002は、好ましくは、複数のフィルムカートリッジ900のそれぞれの構成に関する情報を、複数のカートリッジ識別記号A1、A2、・・・・、Axのそれぞれと対応づけて有している。フィルムカートリッジ900の構成に関する情報とは、当該フィルムカートリッジ900における、複数の転写フィルムの配置に係わる情報であって、フィルムカートリッジ900における、複数の転写フィルムのそれぞれの位置情報であるのが好ましい。
【0120】
ところで、この試験用チップ製造装置106には、既に説明したようなチップ製造データが入力される。駆動制御部1002は、入力されるチップ製造データに基づいて、カートリッジ識別記号A1、A2、・・・・、Axの群の中からカートリッジ指定識別符号Axを指定するとともに、このカートリッジ指定識別符号Axによって指定される特定のフィルムカートリッジ900を構成する複数の転写フィルムの中から、特定の転写フィルムを指定するフィルム位置情報を指定して、カートリッジ指定識別符号Ax及びフィルム位置情報を出力する。
【0121】
その後、カートリッジ指定識別符号Axはチェンジャー部1006によって受信され、及びフィルム位置情報はヘッド部1008によって受信される。チェンジャー部1006は、受信したカートリッジ指定識別符号Axに対応する特定のフィルムカートリッジ900を取り出し、取り出したフィルムカートリッジ900をヘッド部1008に引き渡す。尚、ヘッド部1008には、基板供給部1004から基板800も供給される。
【0122】
図10の点線矢印で示すように、ヘッド部1008は、チェンジャー部1006が取り出した特定のフィルムカートリッジ900における、複数の転写フィルムの中から受信したフィルム位置情報に対応する特定の転写フィルムを指定して、この指定された特定の転写フィルムが有するプローブを基板800へ転写する。
【0123】
この転写は、ヘッド部1008が、特定した転写フィルムにおける担体フィルム層に対して、適度な衝撃を加えることによって行われる。その結果、既に図8を参照して説明したように、転写フィルムからの基板800へのプローブの転写が行われる。
【0124】
この実施の形態によれば、既に説明したように、フィルムカートリッジ900は、プローブ層の構成が互いに異なる複数の転写フィルムを有する。また、フィルムカートリッジ900において、固定配置する転写フィルムの組み合わせを変えて、複数のフィルムカートリッジ900のそれぞれを構成するのが好適である。
【0125】
そして、試験用チップ製造装置106において、駆動制御部1002がチップ製造データに基づいて、逐次、カートリッジ指定識別符号Ax及びフィルム位置情報を出力することにより、上述したように構成された複数のフィルムカートリッジ900のうち、カートリッジ指定識別符号Axで指定されたフィルムカートリッジ900がチェンジャー部1006によって取り出され、このフィルムカートリッジ900においてフィルム位置情報で指定される転写フィルムのプローブが基板800上に転写される。従って、この実施の形態の試験用チップ製造装置106によれば、当該装置106に入力されたチップ製造データに基づく構成を有する試験用チップ1012を容易に製造することができる。
【0126】
[第6の実施の形態]
この発明の試験用チップに関する実施の形態を、第6の実施の形態として説明する。この実施の形態によれば、試験用チップは、第1〜第3の実施の形態の生体物質解析システム100、400、500及び600のいずれかにおいて、第5の実施の形態で説明した試験用チップ製造装置106によって製造されるのが好ましい。
【0127】
図11を参照して、第5の実施の形態の試験用チップ製造装置106によって製造された試験用チップ1012の構成について説明する。図11は、試験用チップ1012の構成を示す上面図である。尚、図11には、試験用チップ1012の構成を概略的に示してあるに過ぎず、この実施の形態の試験用チップ1012の構成は、同図中に示す構成に限定されない。
【0128】
第5の実施の形態において、既に説明したように、試験用チップ製造装置106では、フィルムカートリッジ900上の転写フィルムから基板800へ、プローブを転写することによって試験用チップ1012の製造が行われる。このプローブの転写は、図8を参照して説明したように、断片化された構造体の一部704aを、基板800上に、転写層断片706aによって接着させる。
【0129】
よって、試験用チップ1012は、構造体断片1102a、1102b、1102cと、基板800とを有している。図11に示すように、基板800上には、複数の構造体断片1102a、1102b、1102cが配置されている。
【0130】
これら複数の構造体断片1102a、1102b、1102cのそれぞれは、図8を参照して説明したような構成を有している。この実施の形態によれば、構造体断片1102a、1102b、1102cは、それぞれ、異なる構成とすることができる。構造体断片1102a、1102b、1102cを異なる構成とするには、既に説明した転写フィルムと同様に、プローブ層断片の構成を異なる構成とすればよい。
【0131】
従って、この実施の形態の試験用チップ1012によれば、該試験用チップ1012の構成を、該試験用チップ1012を用いて解析が行われる分析対象物質にあわせた構成とすることができる。
【0132】
ところで、この実施の形態によれば、試験用チップ製造装置106において、第4の実施の形態で既に説明した第2転写フィルムから基板800へ、当該第2転写フィルムのプローブの転写を行って、試験用チップ1012を製造した場合、複数の構造体断片1102a、1102b、1102cのそれぞれは、第2蛍光物質が含有された転写層断片を有している。
【0133】
このような構成の試験用チップ1012によれば、転写層断片に含まれる第2蛍光物質を、蛍光検出器などの所望の分析装置104を用いることにより、検出することができる。従って、このような試験用チップ1012の構成によれば、当該試験用チップ1012の製造後、構造体断片がきちんと形成されているか否かを確認することができる。
【0134】
尚、この試験用チップ1012において、標識物質として第1蛍光物質が付与された分析対象物質とプローブとのハイブリタイゼーション反応を行い、この反応においてプローブにハイブリタイズした分析対象物質を検出する。この検出及びハイブリタイゼーション反応について詳細は後述するが、蛍光検出器などの所望の分析装置104により、試験用チップ1012から標識物質の検出は行われる。
【0135】
ここで、第1蛍光物質と第2蛍光物質とは、励起波長及び蛍光波長のいずれか一方が異なる物質であるため、第2蛍光物質を、第1蛍光物質と同一の蛍光波長を有しかつ異なる励起波長を有する物質によって構成した場合は、励起波長を第2蛍光物質の励起波長とすることによって、第2蛍光物質のみを検出することができる。また、第2蛍光物質を、第1蛍光物質と同一の励起波長を有しかつ異なる蛍光波長を有する物質によって構成した場合は、第1蛍光物質の検出時に、第2蛍光物質の発光をバンドパスフィルターなどの所望の手段を用いてカットすることにより、第1蛍光物質のみを検出することができる。
【0136】
尚、この実施の形態の試験用チップ1012は、上述したように、生体物質解析システム100、400、500及び600における、試験用チップ製造装置106によって製造される場合に限定されず、所望の方法によって製造することもできる。
【0137】
(1)試験用チップを用いた実験例
次に、この実施の形態の試験用チップ1012を用いて、文献2(特開2001−333786号公報)に開示の方法に従って、検体から抽出した、同文献2と同様の分析対象物質について調べた実験例について説明する。
【0138】
この実験例において、試験用チップ1012は、プローブとして次のようなポリヌクレオチドを有する構造体断片を用いて構成されている。試験用チップ1012において、プローブは、文献2の段落140に記載されている2つのポリヌクレオチドのうちのいずれかひとつのポリヌクレオチドを用いて構成される。文献2によれば、これら2つのポリヌクレオチドのうち、一方のポリヌクレオチドは、同文献中の段落150に記載の配列表における、配列番号1のポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドの455位に存在するSNP部位がチミン(T)であるT型断片である。また、文献2によれば、前述した2つのポリヌクレオチドのうち、他方のポリヌクレオチドは、同文献中の段落150に記載の配列表における、配列番号2のポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドの455位に存在するSNP部位がグアニン(G)であるG型断片である。
【0139】
従って、上述したようなプローブを用いて構成された試験用チップ1012において、複数の構造体断片のそれぞれは、T型断片を有する構成及びG型断片を有する構成のいずれかの構成を有する。
【0140】
この実施例によれば、検体からの分析対象物質の抽出は、文献2に開示の手順に従って行い、抽出した分析対象物質について、PCR(Polymerace
Chain Reaction)による増幅操作を適宜行った。
【0141】
その後、文献2に開示された手順に従って、検体から抽出され、増幅された分析対象物質と、試験用チップ1012のプローブとのハイブリタイゼーション反応を行った。尚、プローブへハイブリタイズした分析対象物質の検出方法としては、文献2に開示されているように、標識物質を用いる方法及び電気化学的方法の2つの方法がある。この実験例における、これら2つの検出方法のそれぞれについて、以下に説明する。
【0142】
(1−1)標識物質を用いる方法
この方法によれば、前述したハイブリタイゼーション反応前に、予め、検体から抽出され、増幅された分析対象物質に対して標識物質を付与する。この標識物質は、第4の実施の形態で説明したような物質によって構成される第1蛍光物質を用いるのが好ましい。この実験例では、第1蛍光物質としてFITC(Fluorescein−4−isothiocyanate)(商品名同じ(同仁化学研究所株式会社製))を用い、フェルマシア製のECL(Electrochemiluminescene)ラベリングシステムで、分析対象物質への標識物質の付与を行った。
【0143】
そして、上述したハイブリタイゼーション反応終了後、試験用チップ1012からの、分析対象物質に付与された標識物質の検出を、分析装置104として蛍光検出器(商品名:Typhoon 9200(Amersham Biosiences株式会社製))を用いて、この蛍光検出器によって行った。その結果、当該試験用チップ1012から蛍光を検出することができた。
【0144】
(1−2)電気化学的方法
電気化学的方法により、試験用チップ1012から分析対象物質の検出を行う場合は、試験用チップ1012を以下のような構成としておくのが好ましい。すなわち、この試験用チップ1012が有する構造体断片において、転写層断片を導電性物質を用いて構成するのが好適である。この導電性物質として好ましい材料は金である。
【0145】
尚、試験用チップ製造装置106では、前述した導電性物質で構成される転写層断片を有する試験用チップ1012の製造は、次のような第1転写フィルムを用いて行われるのが好ましい。すなわち、第1転写フィルムにおいて、転写層は、好ましくは、前述した導電性物質を用いて構成される。
【0146】
この実験例で用いる試験用チップ1012の製造は、以下のような第1転写フィルムを用いて行った。この第1転写フィルムは、金を用いて構成された転写層を有し、かつこの転写層に、上述した2つのポリヌクレオチドのうちいずれか一方のポリヌクレオチドを、文献2に開示の方法によって固定化して形成してある。
【0147】
そして、この試験用チップ1012において、図11に示す、基板800上に配置された複数の構造体断片のそれぞれに、金属線などの導電体を用いて配線を行う。そして、これら複数の構造体断片のそれぞれに配線された金属線を介して、これら複数の構造体断片のそれぞれに順次電圧を印加して、これら構造体断片のそれぞれに分析対象物質がハイブリタイズしたか否かの検出を行った。その結果、ハイブリタイズした分析対象物質について検出することができた。
【0148】
【発明の効果】
この発明の生体物質解析システムによれば、必要なときに適宜、分析対象物質の解析に用いるのにふさわしい構成として、試験用チップを製造することができ、かつ分析対象物質の解析を簡易に行うことができる。その結果、この発明の生体物質解析システムでは、個々の検体ごとに、この検体から抽出された分析対象物質の解析をフレキシブルに行うことができる。
【0149】
また、この発明の生体物質解析システムでは、試験用チップの製造において、第1転写フィルム及び第2転写フィルムのいずれか一方が用いられる。この発明の第1及び第2転写フィルムによれば、これら転写フィルムが有するプローブ層の一部を、転写層との接着が可能な基板に対して、容易に転写することができる。
【0150】
また、この発明の生体物質解析システムにおいて、試験用チップ製造装置は、複数のフィルムカートリッジを使用して試験用チップの製造を行う。ここで複数のフィルムカートリッジの各々は、カートリッジ識別記号が割り当てられており、第1及び第2転写フィルムのいずれか一方を用いて構成されている。
【0151】
試験用チップ製造装置では、駆動制御部が、当該装置に入力されたチップ製造データに基づいて、逐次、カートリッジ指定識別符号及びフィルム位置情報を出力することにより、複数のフィルムカートリッジのうち、カートリッジ指定識別符号で指定されたフィルムカートリッジがチェンジャー部によって取り出され、このフィルムカートリッジにおいてフィルム位置情報で指定される転写フィルムのプローブが基板上に転写される。従って、この発明の試験用チップ製造装置によれば、当該装置に入力されたチップ製造データに基づく構成を有する試験用チップを、容易に製造することができる。
【0152】
そして、この発明の試験用チップによれば、当該試験用チップを構成する複数の構造体断片のそれぞれを、互いに異なる構成とすることも可能である。すなわち、この発明の試験用チップによれば、該試験用チップの構成を、該試験用チップを用いて解析が行われる分析対象物質にあわせた構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の生体物質解析システムの構成例を説明するための図である。
【図2】この発明の生体物質解析システムにおける、試験用チップ製造プロセスを説明するためのフローチャートである。
【図3】この発明の生体物質解析システムにおける、分析対象物質解析プロセスを説明するためのフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態の生体物質解析システムの構成例を説明するための図である。
【図5】第3の実施の形態の生体物質解析システムの一例を説明するための図である。
【図6】第3の実施の形態の生体物質解析システムの一例を説明するための図である。
【図7】この発明の転写フィルムの構成例を説明するための図である。
【図8】この発明の第1転写フィルムの作用を説明するための図である。
【図9】(A)は、この発明のフィルムカートリッジの構成例を説明するための平面図であって、(B)は、このフィルムカートリッジの一部分の構成を示す平面図であって、(C)は、(B)に示す構成を、A−A’線によって切断した部分の構成を示す図である。
【図10】この発明の試験用チップの構成及び動作を説明するための図である。
【図11】この発明の試験用チップの構成例を説明するための図である。
【符号の説明】
100、400、500、600:生体物質解析システム
102:試験用チップ
104:分析装置
106:試験用チップ製造装置
108、408、508、608:データ処理装置
110:通信網
112、412、512、612:システム管理装置
114、414、514、614:第1基本処理部
116、416:処理データ格納部
118:データ取得部
120:データ解析部
122、422:第2基本処理部
124:参照データ格納部
126:チップ製造データ格納部
128:データ管理部
130:入出力部
132:入力部
134:装置監視部
136:通知部
138:システム管理会社
700:第1転写フィルム
702:担体フィルム層
704:構造体
704a:構造体断片
706:プローブ層
706a:プローブ層断片
708:転写層
708a:転写層断片
710:プローブ
800:基板
802:担体フィルム層の衝撃が与えられた箇所
900:フィルムカートリッジ
902a、902b、902c:フィルム構造体
902ca:転写フィルム
902cb:フィルム枠
904:フィルム支持部
908:フィルム固定部
1002:駆動制御部
1004:基板供給部
1006:チェンジャー部
1008:ヘッド部
1010:チップ排出部
1012:試験用チップ
1102a、1102b、1102c:構造体断片
【発明の属する技術分野】
この発明は、生体物質解析システム、当該システムに使用される試験用チップと転写フィルム及び試験用チップ製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
2000年6月に、セレーラジェノミクス社及び日米欧の共同研究によって、ヒトゲノム情報の解読完了宣言がなされた。その後、患者の遺伝子情報を調べ、病理機構を解明することによって新薬の創出が活発に行われるようになるとともに、それぞれの患者における、SNP(一塩基変異多型)等の遺伝子情報を調べることによって、それぞれの患者に対して、治療方針や薬の処方内容を決定するテーラーメイド医療も検討されている。
【0003】
上述した新薬の創出、及びテーラーメイド医療などでは、試験用チップとして、DNAチップが用いられる。DNAチップは、一般に、ガラス基板やシリコン基板上に複数のプローブを整列させて固定化することによって構成してある。患者等の検体が有する遺伝子情報は、当該検体におけるDNAの塩基配列に基づく情報である。このDNAの塩基配列は、DNAチップを用いて調べることができる。尚、このDNAチップにおけるプローブの整列パターン、及びこのプローブを構成するポリヌクレオチドの塩基配列のパターンは、目的とする遺伝子情報の解析に併せた所望のパターンとして形成される。
【0004】
現在、検体の遺伝子情報の解析に用いるDNAチップとして、アフィメトリクス社において開発されたDNAチップ、もしくはスタンフォード大学において開発されたDNAチップが、広く知られている。ここで、アフィメトリクス社において開発されたDNAチップをアフィメトリクス型DNAチップ、また、スタンフォード大学において開発されたDNAチップをスタンフォード型DNAチップと称する。
【0005】
アフィメトリクス型DNAチップの製造は、フォトリソグラフィ技術を用いて、ヌクレオチドを1分子ずつ基板上に積み上げることによって行われる。アフィメトリクス型DNAチップの製造方法によれば、基板に対して上下方向に隣接するヌクレオチド同士を結合させることによって、ヌクレオチドを1分子ずつ積み上げることができ、その結果、基板上に、ポリヌクレオチドとしてプローブを形成するとともに、形成したプローブを当該基板上に固定化することができる(非特許文献1参照)。
【0006】
また、スタンフォード型DNAチップは、予め合成しておいたポリヌクレオチドを、ガラス基板上に滴下することによって製造される。このようにして製造されたスタンフォード型DNAチップでは、基板上に滴下されたポリヌクレオチドがプローブとして用いられるが、非特許文献1によれば、このプローブを基板上に共有結合によって固定化する方法も開発されている(非特許文献1参照)。
【0007】
【非特許文献1】
「日経バイオビジネス」、2002年2月15日、3月号、p.36−49
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、アフィメトリクス型DNAチップの製造ではフォトリソグラフィ技術を用いるため、このDNAチップを製造する装置として、一般的な半導体製造装置と同等の大規模な装置が必要となる。従って、アフィメトリクス型DNAチップは、工場等において製造され、病院等の試験現場に試験用チップとして提供されて、遺伝子情報の解析に使用される。すなわち、アフィメトリクス型DNAチップを試験用チップとして用いる場合、この試験用チップにおける、ポリヌクレオチドの塩基配列パターン、及びプローブの整列パターンを、目的とする遺伝子情報の解析に併せた所望のパターンとして、試験現場で製造することは難しい。よって、アフィメトリクス型DNAチップを試験用チップとして用いる場合、遺伝子情報の解析を個々の検体ごとにフレキシブルに行うのは困難であった。
【0009】
一方、スタンフォード型DNAチップの製造方法によれば、試験現場において、ポリヌクレオチドの塩基配列パターン、及びプローブ整列パターンを、所望のパターンとして、試験用チップを製造することができる。しかし、プローブとして用いられるポリヌクレオチドは、一般的に不安定な化合物であり、固体で、かつ空気に触れない状態で扱うのが好ましく、ポリヌクレオチドを、液体状態で、かつ空気に曝した状態で扱うスタンフォード型DNAチップの製造方法は、必ずしも好ましい試験用チップの製造方法といえるものではない。
【0010】
すなわち、試験現場において、フレキシブルな遺伝子情報の解析を実現するためには、試験用チップを簡易に製造することのできるシステムの構築が、従来より望まれていた。また、検体の遺伝子情報は、試験用チップより計測データとして得ることができるが、非特許文献1に開示されているように、この計測データを解析するためのシステムの構築も、従来より求められていた。
【0011】
従って、上述したような問題点に鑑み、この発明の目的は、試験用チップの製造、及び当該試験用チップより得られる計測データの解析を、簡易に行うことの出来るシステムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、この発明の生体物質解析システムは、チップ製造データを格納するチップ製造データ格納部と、解析用の参照データを格納する参照データ格納部と、試験用チップ製造装置と、分析装置と、データ解析部とを具えている。
【0013】
この発明の生体物質解析システムにおいて、試験用チップ製造装置は、チップ製造データ格納部から送られたチップ製造データに基づいて、検体から抽出された分析対象物質と特異的に反応する複数のプローブを有する試験用チップを製造する。
【0014】
また、分析装置は、分析対象物質と反応処理済みの試験用チップに対し、このチップのプローブの状態を分析する。データ解析部は、分析装置において、分析結果として得られた計測データと、参照データ格納部から読み出された参照データとの照合を行って、分析対象物質を解析して、解析結果を出力する。
【0015】
この発明におけるチップ製造データは、試験用チップの構成を指定する情報である。また、一般に、試験用チップは、当該試験用チップを用いて解析される分析対象物質にあわせた構成を有する。
【0016】
この発明の生体物質解析システムによれば、分析対象物質として所望の物質を選択し、かつこの物質に合わせた試験用チップの構成を指定するチップ製造データを、チップ製造データ格納部から取り出すことが可能である。従って、この発明の生体物質解析システムによれば、必要なときに適宜、試験用チップを、分析対象物質の解析に用いるのにふさわしい構成として、試験用チップ製造装置によって製造することができる。
【0017】
また、この発明の生体物質解析システムによれば、参照データ格納部から、分析対象物質の解析に必要な参照データを適宜読み出すことができる。よって、この参照データを用いることにより、データ解析部によって、分析対象物質の解析を簡易に行うことができる。その結果、この発明の生体物質解析システムでは、個々の検体ごとに、この検体から抽出された分析対象物質の解析をフレキシブルに行うことができる。
【0018】
ところで、この発明の生体物質解析システムでは、試験用チップ製造装置による試験用チップの製造において、第1転写フィルム及び第2転写フィルムのいずれか一方が用いられる。
【0019】
この発明によれば、第1転写フィルムは、転写層と、この転写層の主表面上に固定化され、かつそれぞれが同一の構成を有する複数のプローブを含むプローブ層とを含む構造体を有している。そして、この発明の転写フィルムは、構造体上に、プローブ層の主表面と物理吸着させて設けられた担体フィルム層を具えている。
【0020】
また、第2転写フィルムは、検体から抽出された分析対象物質に、標識物質として付与される第1蛍光物質とは、励起波長及び蛍光波長のいずれか一方が異なる第2蛍光物質を含有する転写層と、この転写層の主表面上に固定化され、かつそれぞれが同一の構成を有する複数のプローブを含むプローブ層とを含む構造体を有している。そして、この発明の第2転写フィルムは、第1転写フィルムと同様の構成を有する担体フィルム層とを具えている。
【0021】
上述したように、第1及び第2転写フィルムのそれぞれにおいて、プローブ層は、担体フィルム層と転写層とに挟まれて設けられている。また、担体フィルム層はプローブ層の主表面に物理吸着させて設けられているため、この担体フィルム層から構造体を、比較的容易に剥がすことができる。
【0022】
従って、これら第1及び第2転写フィルムにおいて、担体フィルム層の、プローブ層に吸着している面とは異なる主表面に対して、外部から適度な衝撃を加えた場合、構造体の断片が剥がれて落ちる。具体的には、衝撃が加えられた担体フィルム層の箇所と、対応する位置にある構造体の一部が、断片化されて担体フィルム層から剥がれ落ちる。
【0023】
ここで、この発明の第1及び第2転写フィルムのそれぞれによれば、転写層は、特定の材料に対して接着する材料を用いて構成してあるのが好ましい。従って、転写層と接着する材料によって構成された基板を用いれば、この基板上に、断片化された構造体の一部を、この構造体断片が有する転写層断片によって接着させることができる。この構造体断片におけるプローブ層断片は、構造体が有するプローブ層に含まれるプローブと同一のプローブを有しており、当該構造体断片が基板上に接着された状態で、第1及び第2転写フィルムが有するプローブ層が転写されたとみなすことができる。
【0024】
すなわち、この発明の第1及び第2転写フィルムによれば、これら転写フィルムが有するプローブ層の一部を、転写層との接着が可能な基板に対して、容易に転写することができる。
【0025】
また、この発明の生体物質解析システムにおいて、試験用チップ製造装置は、複数のフィルムカートリッジを使用して試験用チップの製造を行う。ここで複数のフィルムカートリッジの各々は、カートリッジ識別記号が割り当てられており、第1及び第2転写フィルムのいずれか一方を用いて構成されている。第1転写フィルムを用いる場合、フィルムカートリッジは、複数の第1転写フィルムと、これら第1転写フィルムを主表面上に固定配置して支持する支持部とによって構成されている。第2転写フィルムを用いる場合も、第1転写フィルムを用いる場合と同様にして、フィルムカートリッジは構成されている。尚、以下の説明において、第1及び第2転写フィルムのそれぞれを、単に転写フィルムと称することもある。
【0026】
そして、この発明の試験用チップ製造装置は、外部から試験用チップの製造に使用される基板が供給される基板供給部と、製造される試験用チップを外部へ排出するチップ排出部と、チェンジャー部と、ヘッド部と、これらチェンジャー部及びヘッド部の動作を制御する駆動制御部とを具えている。
【0027】
駆動制御部は、外部から入力されるチップ製造データに基づいて、カートリッジ識別記号の群の中からカートリッジ指定識別符号を指定するとともに、このカートリッジ指定識別符号によって指定される特定のフィルムカートリッジを構成する複数の転写フィルムの中から、特定の転写フィルムを指定するフィルム位置情報を指定して、カートリッジ指定識別符号及びフィルム位置情報を出力する。
【0028】
チェンジャー部は、カートリッジ指定識別符号に応答して特定のフィルムカートリッジを取り出す。また、ヘッド部は、フィルム位置情報に応答して、チェンジャー部が取り出した特定のフィルムカートリッジにおける、複数の転写フィルムの中から特定の転写フィルムを指定して、該指定された特定の転写フィルムが有するプローブを基板へ転写する。
【0029】
この転写は、ヘッド部が、特定した転写フィルムにおける担体フィルム層に対して、適度な衝撃を加えることによって行われる。尚、転写フィルムからのプローブの転写について、既に第1及び第2転写フィルムについて行った説明と、重複する説明は省略する。
【0030】
この発明の試験用チップ製造装置において使用されるフィルムカートリッジは、既に説明したように、フィルム支持部に固定された複数の転写フィルムを有している。この発明によれば、これら複数の転写フィルムのそれぞれにおいて、プローブ層を、互いに異なる構成としておくのが好ましい。ここで、複数の転写フィルムのそれぞれにおいて、プローブ層の構成を互いに異なる構成とするには、プローブ層のプローブの構成を、互いに異なる構成とすればよい。
【0031】
また、フィルムカートリッジにおいて、固定配置する転写フィルムの組み合わせを変えて、複数のフィルムカートリッジのそれぞれを構成するのが好適である。
【0032】
そして、試験用チップ製造装置において、駆動制御部がチップ製造データに基づいて、逐次、カートリッジ指定識別符号及びフィルム位置情報を出力することにより、上述したように構成された複数のフィルムカートリッジのうち、カートリッジ指定識別符号で指定されたフィルムカートリッジがチェンジャー部によって取り出され、このフィルムカートリッジにおいてフィルム位置情報で指定される転写フィルムのプローブが基板上に転写される。従って、この発明の試験用チップ製造装置によれば、当該装置に入力されたチップ製造データに基づく構成を有する試験用チップを、容易に製造することができる。
【0033】
また、この発明の試験用チップ製造装置では、上述したような手順によって、以下のような構成を有する試験用チップが製造される。この試験用チップは、構造体が断片化された構造体断片と、基板とを具えており、複数の構造体断片のそれぞれを、該構造体断片が有する転写層断片と基板とを接着させることによって、この基板上に設けてある。
【0034】
構造体断片は複数のプローブを含むプローブ層断片を有する。そして、この発明の試験用チップによれば、複数の構造体断片のそれぞれを、互いに異なる構成とすることも可能である。すなわち、この発明の試験用チップによれば、この試験用チップの構成を、この試験用チップを用いて解析が行われる分析対象物質にあわせた構成とすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明する。尚、以下の説明に用いる各図は、この発明を理解できる程度に概略的に示してあるに過ぎず、従って、この発明が図示例のみに限定されるものでないことは理解されたい。また、説明に用いる各図において、同様な構成要素については、同一の符号を付して示し、重複する説明を省略することもある。
【0036】
[第1の実施の形態]
この発明の生体物質解析システムの第1の実施の形態について説明する。
【0037】
(1)第1の実施の形態の生体物質解析システムの構成
図1に、この実施の形態における生体物質解析システム100の構成例を示す。この実施の形態の生体物質解析システム100は、チップ製造データを格納するチップ製造データ格納部126と、解析用の参照データを格納する参照データ格納部124と、試験用チップ製造装置106と、分析装置104と、データ解析部120とを具えている。
【0038】
試験用チップ製造装置106は、チップ製造データ格納部126から送られたチップ製造データに基づいて、検体から抽出された分析対象物質と特異的に反応する複数のプローブを有する試験用チップ102を製造する。
【0039】
また、分析装置104は、分析対象物質と反応処理済みの試験用チップ102に対し、該チップ102のプローブの状態を分析する。データ解析部120は、分析装置104において、分析結果として得られた計測データと、参照データ格納部124から読み出された参照データとの照合を行って、分析対象物質を解析して、解析結果を出力する。
【0040】
また、この実施の形態の生体物質解析システム100は、データ取得部118と、データ管理部128とを具えている。データ取得部118は、分析装置104から送られる計測データをデータ解析部120へ出力するとともに、チップ製造データ格納部126側から送られるチップ製造データを試験用チップ製造装置106へ出力する。
【0041】
また、データ管理部128は、参照データ格納部124から読み出される参照データをデータ解析部120へ出力する参照データ管理処理と、チップ製造データ格納部126から読み出されるチップ製造データをデータ取得部118へ出力するチップ製造データ管理処理とを行う。
【0042】
この実施の形態によれば、データ取得部118と、データ解析部120と、データ管理部128は、コンピュータにおける中央処理装置(CPU)が行う機能、すなわち当該コンピュータのメモリ(ROM)に格納されたプログラムが有する命令である。データ取得部118とデータ解析部120は、共通のCPUで構成してもよいし、別のCPUでそれぞれ構成してもよい。データ管理部128は、データ取得部118及びデータ解析部120とは別のCPUで構成するのがよい。
【0043】
ここで、図1に示すように、この実施の形態の生体物質解析システム100は、分析装置104と、試験用チップ製造装置106とに接続してあるデータ処理装置108と、このデータ処理装置108と通信網110を介して接続されたシステム管理装置112とを有している。そして、データ取得部118と、データ解析部120と、データ管理部128、及び参照データ格納部124とチップ製造データ格納部126は、それぞれ、データ処理装置108及びシステム管理装置112のいずれかに配置されている。
【0044】
図1に示す構成例によれば、データ処理装置108は、データ取得部118と、データ解析部120とを含む第1基本処理部114と、処理データ格納部116とを具えている。また、システム管理装置112には、データ管理部128を含む第2基本処理部122と、参照データ格納部124と、チップ製造データ格納部126とを設けてある。参照データ格納部124及びチップ製造データ格納部126は、共通のメモリを用いてもよいし、或いはそれぞれ個別のメモリを用いて構成することもできる。また、処理データ格納部116は、両データ格納部124及び126とは別のメモリで構成するのがよい。
【0045】
(2)第1の実施の形態の生体物質解析システムの動作
次に、この実施の形態の生体物質解析システム100の動作について説明する。この実施の形態の生体物質解析システム100は、主に、試験用チップ製造プロセスと、分析対象物質解析プロセスとを行う。これら試験用チップ製造プロセスと、分析対象物質解析プロセスについて、図1と、図2及び図3のそれぞれに示すフローチャートを参照して説明する。ここで、図2は、試験用チップ製造プロセスを説明するためのフローチャートであり、及び図3は、分析対象物質解析プロセスを説明するためのフローチャートである。尚、図2及び図3のそれぞれに示すフローチャートにおいて、各処理のステップを記号Sに番号を添えて示してある。
【0046】
(2−1)試験用チップ製造プロセス
まず、図1及び図2を参照して、この実施の形態の生体物質解析システム100が行う試験用チップ製造プロセスについて説明する。
【0047】
図1に示すように、データ処理装置108には入出力部130が設けられている。この実施の形態の試験用チップ製造プロセスは、データ処理装置108に入出力部130から試験用チップ製造命令が入力され、かつ入力された試験用チップ製造命令を、第1基本処理部114が受信することによって開始される。尚、前述した試験用チップ製造命令は、分析対象物質を指定し、この分析対象物質の解析に用いる試験用チップの製造を行う旨を命令する情報であるのが好ましい。
【0048】
(S201)データ処理装置108において、試験用チップ製造命令を受信した第1基本処理部114は、データ取得部118によってチップ製造データ要求信号を、当該データ処理装置108の外部に、例えばシステム管理装置112に送信する。
【0049】
(S202)その後、チップ製造データ要求信号は、通信網110を介して、システム管理装置112によって受信される。ここで、チップ製造データ要求信号は、チップ製造データを指定する情報を含む信号であるのが望ましい。尚、既に説明したように、チップ製造データは、試験用チップの構成に関する情報であり、試験用チップの構成は分析対象物質に合わせた構成を有する。従って、前述した試験用チップ製造命令において指定された分析対象物質に対応するチップ製造データが、チップ製造データ要求信号において、指定される。
【0050】
尚、この実施の形態によれば、チップ製造データ格納部126には、複数の分析対象物質のそれぞれに対応するチップ製造データが予め格納されている。図1に示すように、システム管理装置112には入力部132が接続されており、チップ製造データ格納部126の情報は、この入力部132によって、新規に及びまたは更新のために適宜入力されるのが好ましい。
【0051】
システム管理装置112において、受信したチップ製造データ要求信号が、第2基本処理部122に入力されると、第2基本処理部122は、データ管理部128によって、チップ製造データ格納部126から、チップ製造データ要求信号によって指定されるチップ製造データを取り出し、取り出したチップ製造データを通信網110へと送出する。
【0052】
(S203)続いて、チップ製造データは、通信網110を介して、データ処理装置108によって受信される。データ処理装置108において、受信されたチップ製造データは、第1基本処理部114のデータ取得部118によって取得される。データ取得部118は、取得したチップ製造データを処理データ格納部116に格納する。
【0053】
(S204)その後、データ処理装置108において、第1基本処理部114は、データ取得部118によって、処理データ格納部116からチップ製造データを取り出し、試験用チップ製造装置106に入力する。試験用チップ製造装置106は、入力されたチップ製造データに基づいて試験用チップ102の製造を行う。チップの製造が終了した後、当該試験用チップ製造装置106の外へ、製造した試験用チップ102を排出する。
【0054】
試験用チップ製造装置106から、製造された試験用チップ102が排出されて、この実施の形態の生体物質解析システムにおける試験用チップ製造プロセスが終了する。
【0055】
従って、この実施の形態の生体物質解析システム100によれば、必要なときに適宜、入出力部130からデータ処理装置108に試験用チップ製造命令を入力することによって、上述したような試験用チップ製造プロセスにより、分析対象物質の解析に用いるのにふさわしい構成として、試験用チップ102を、チップ製造装置106によって製造することができる。
【0056】
(2−2)分析対象物質解析プロセス
次に、図1及び図3を参照して、この実施の形態の生体物質解析システム100が行う分析対象物質解析プロセスについて説明する。この実施の形態によれば、分析対象物質解析プロセスは、試験用チップ製造プロセスに続いて、この試験用チップ製造プロセスで製造された試験用チップ102を用いて行われるのが好ましい。
【0057】
既に説明したように、試験用チップ製造プロセスで製造された試験用チップ102は、病院等の試験現場において、検体から抽出した分析対象物質の解析に用いられる。試験現場における分析対象物質の解析では、分析対象物質を試験用チップ102が有する複数のプローブと特異的に反応させる。その後、分析装置104において、試験用チップ102のプローブの状態を分析する。
【0058】
この分析結果が、分析装置104からデータ処理装置108に入力されると、この実施の形態の分析対象物質解析プロセスが開始される。
【0059】
(S301)まず、データ処理装置108に入力された分析結果は、計測データとして、第1基本処理部114に入力され、データ取得部118において取得される。データ取得部118は、取得した計測データを処理データ格納部116に格納する。
【0060】
(S302)続いて、第1基本処理部114は、データ解析部120によって参照データ要求信号を当該データ処理装置108の外へ送信する。
【0061】
(S303)その後、参照データ要求信号は、通信網110を介して、システム管理装置112によって受信される。
【0062】
ここで、参照データ要求信号は、参照データを指定する情報を含む信号であるのが望ましい。尚、この実施の形態によれば、参照データ格納部124の情報は、予め当該参照データ格納部124に格納されている。また、この参照データはチップ製造データ格納部126の情報と同様、入力部132によって、新規に及びまたは更新のために適宜入力されるのが好ましい。
【0063】
システム管理装置112において、受信した参照データ要求信号が、第2基本処理部122に入力されると、第2基本処理部122は、データ管理部128によって、参照データ格納部124から、参照データ要求信号によって指定される参照データを取り出し、取り出した参照データを通信網110へと送出する。
【0064】
(S304)続いて、参照データは、通信網110を介して、データ処理装置108によって受信される。データ処理装置108において、受信された参照データは、第1基本処理部114のデータ解析部120に入力される。また、第1基本処理部114において、データ取得部118は、処理データ格納部116から計測データを取り出して、データ解析部120に入力する。データ解析部120は、参照データと計測データとの照合を行い、分析対象物質について解析する。
【0065】
ここで、分析対象物質をDNAとした場合について、分析対象物質の解析を具体的に説明する。分析対象物質をDNAとした場合、この分析対象物質の解析に用いられる試験用チップ102は、分析対象物質と相補的な構成を有するcDNAもしくはオリゴDNAを、プローブとして具えている。そして、上述した非特許文献1に開示されているように、既に説明したような手順によって得られる計測データは、試験用チップ102のプローブの状態を含む情報であって、分析対象物質であるDNAの塩基配列に関する情報を含んでいる。
【0066】
データ解析部120において、計測データとの照合に使用される参照データは、この照合においてどのような解析結果を得るか、という目的によってデータの内容が異なる。例えば、検体に対して新薬の投与を行いたい場合、この新薬の薬効が高い別の検体のDNAの情報を含む参照データが、参照データ格納部124から読み出される。具体的に、この参照データは、新薬の薬効が高い別の検体から抽出したDNAとの反応処理後における、試験用チップ102の計測データである。そして、データ解析部120では、参照データにおけるプローブの状態に関する情報と、計測データにおけるプローブの状態に関する情報との同一性を判断することによって、分析対象物質に関する解析を行う。
【0067】
ところで、上述したように、データ処理装置108には入出力部130が設けられており、データ解析部120は、前述した手順によって得られた解析結果を、入出力部130に出力する。出力される解析結果を、何らかの表示手段によって表示してもよいし、或いは、他の処理目的のために利用することができる。この入出力部130から解析結果が出力されて、この実施の形態の生体物質解析システム100における分析対象物質解析プロセスが終了する。
【0068】
上述したように、この実施の形態の生体物質解析システム100によれば、参照データ格納部124から、分析対象物質の解析に必要な参照データを適宜読み出すことができる。よって、この実施の形態の生体物質解析システム100によれば、既に説明したように、適宜、所望の構成を有する試験用チップ102を容易に製造することができるほか、参照データを用いることにより、データ解析部120によって、分析対象物質の解析を簡易に行うことができる。従って、この実施の形態の生体物質解析システム100では、個々の検体ごとに、この検体から抽出された分析対象物質の解析をフレキシブルに行うことができる。
【0069】
[第2の実施の形態]
この発明の生体物質解析システムの第2の実施の形態について説明する。
【0070】
(1)第2の実施の形態の生体物質解析システムの構成
図4に、この実施の形態における生体物質解析システム400の構成例を示す。この実施の形態の生体物質解析システム400は、第1の実施の形態の生体物質解析システム100と同様の構成部分を有するのが望ましい。従って、図4において、第1の実施の形態の生体物質解析システム400と同様の構成である構成要素については、図1と同一の符号を付して示し、重複する説明は記載を省略する。
【0071】
第1の実施の形態の生体物質解析システム100と同様、この実施の形態の生体物質解析システム400も、分析装置104と、試験用チップ製造装置106とに接続してあるデータ処理装置408と、このデータ処理装置408と通信網110を介して接続されたシステム管理装置412とを有している。
【0072】
この実施の形態によれば、データ解析部120をシステム管理装置412に設けている点が、第1の実施の形態と異なる。すなわち、データ処理装置408は、データ取得部118を含む第1基本処理部414と、データ取得部118で取得する計測データ及びチップ製造データを格納する処理データ格納部416とを具えている。また、システム管理装置412は、参照データ格納部124と、チップ製造データ格納部126と、データ管理部128及びデータ解析部120を含む第2基本処理部422とを具えている。
【0073】
また、図4に示すように、生体物質解析システム400において、データ処理装置408及びシステム管理装置412のそれぞれに入出力部130が設けられるのが好適である。
【0074】
(2)第2の実施の形態の生体物質解析システムの動作
次に、この実施の形態の生体物質解析システム400の動作について説明する。この実施の生体物質解析システム400は、主に、第1の実施の形態の生体物質解析システム100と同様の動作を行うのが好ましい。すなわち、この実施の生体物質解析システム400は、主に、試験用チップ製造プロセスと、分析対象物質解析プロセスとを行う。
【0075】
この実施の形態において、生体物質解析システム400によって行われる試験用チップ製造プロセスは、第1の実施の形態において図2を参照して説明した試験用チップ製造プロセスと同様の手順によって行われるのが好ましい。従って、この実施の形態における試験用チップ製造プロセスに関する説明について、第1の実施の形態で行った説明と重複する記載は省略する。
【0076】
尚、チップ製造データ格納部126の情報は、第1の実施の形態と同様に、システム管理装置412に接続された入出力部130によって、適宜入力されるのが好ましい。
【0077】
一方、この実施の形態における、生体物質解析システム400によって行われる分析対象物質解析プロセスについて、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0078】
この実施の形態の分析対象物質解析プロセスも、第1の実施の形態と同様の手順によって行われるのが好ましい。従って、この実施の形態における分析対象物質解析プロセスに関する説明について、第1の実施の形態で行った説明と重複する記載は省略する。
【0079】
この実施の形態によれば、ステップS301において、第1基本処理部414は、取得した計測データをデータ取得部118によってデータ処理装置408の外へ出力する。この実施の形態では、ステップS301に続いてステップS303の処理が行われる。
【0080】
ステップS303において、システム管理装置412は、通信網110を介して計測データを受信する。そして、受信した計測データが第2基本処理部422に入力されると、データ管理部128によって、参照データ格納部124から参照データを取り出す。尚、この実施の形態によれば、参照データ格納部124の情報は、チップ製造データ格納部126の情報と同様、入出力部130によって適宜入力されるのが好ましい。
【0081】
その後、ステップS304において、データ解析部120は、参照データ格納部124から取り出された参照データと、データ処理装置408から受信した計測データとの照合を行って、分析対象物質について解析する。
【0082】
以上説明したこの実施の形態の生体物質解析システム400によれば、第1の実施の形態の生体物質解析システム100と同様の作用により、同様の効果が得られる。
【0083】
[第3の実施の形態]
次に、図5及び図6を参照して、この発明の生体物質解析システムの第3の実施の形態について説明する。この実施の形態の生体物質解析システムは、第1の実施の形態の生体物質解析システム100及び第2の実施の形態の生体物質解析システム400のそれぞれにおいて、第1基本処理部114及び414に装置監視部134、及びシステム管理装置112及び412に通知部136を設けるとともに、システム管理装置112及び412をシステム修理会社138に接続してある。このシステム修理会社は、好ましくは、生体物質解析システム100及び400の保守管理を一括して行う。
【0084】
尚、装置監視部134及び通知部136を上述したように設けてある構成を、図5に、生体物質解析システム100について生体物質解析システム500として示してあり、また、図6に、生体物質解析システム400について生体物質解析システム600として示してある。
【0085】
図5において、装置監視部134が設けられた第1基本処理部114を第1基本処理部514、及び通知部136が設けられたシステム管理装置112をシステム管理装置512としてそれぞれ示してある。また、同図中、装置監視部134が設けられたデータ処理装置108をデータ処理装置508として示してある。
【0086】
図6には、装置監視部134が設けられた第1基本処理部414を第1基本処理部614、及び通知部136が設けられたシステム管理装置112をシステム管理装置612としてそれぞれ示してある。また、同図中、装置監視部134が設けられたデータ処理装置408をデータ処理装置608として示してある。
【0087】
この実施の形態によれば、第1基本処理部514及び614は、装置監視部134によって分析装置104もしくは試験用チップ製造装置106の動作障害の有無を監視する。そして、これら分析装置104もしくは試験用チップ製造装置106に動作障害が発生し、かつこの障害が装置監視部134によって検出されたとき、第1基本処理部514及び614は、装置監視部134によって障害データを通信網110に送出する。
【0088】
ここで、前述した動作障害は、分析装置104もしくは試験用チップ製造装置106の装置自体の故障に関する情報であって、この情報には、これら装置で使用される備品交換もしくは部品交換が必要か否かなどの情報も含まれるのが好ましい。
【0089】
その後、障害データはシステム管理装置512及び612によって受信される。受信した障害データは、第2基本処理部122及び422によって通知部136に送信され、通知部136は、障害データに応答してシステム修理会社138に対する修理委託通知を出力する。
【0090】
従って、この実施の形態の生体物質解析システム500及び600によれば、第1及び第2の実施の形態の生体物質解析システム100及び400と同様の作用により同様の効果が得られる。
【0091】
また、この実施の形態の生体物質解析システム500及び600では、装置監視部134によって分析装置104もしくは試験用チップ製造装置106の動作障害を検出し、通知部136によってシステム修理会社138への修理委託通知を行う。従って、この実施の形態によれば、生体物質解析システム500及び600の保守管理を容易に行うことができるほか、試験現場における分析対象物質の解析を常に円滑に行うことができる。
【0092】
[第4の実施の形態]
第1〜第3の実施の形態における生体物質解析システム100、400、500、及び600では、試験用チップ製造装置106による試験用チップの製造において、この発明の第1及び第2転写フィルムのいずれか一方が用いられるのが望ましい。次に、この発明の第1及び第2転写フィルムに関する実施の形態を、第4の実施の形態として説明する。
【0093】
(1)第1転写フィルム
(1−1)第1転写フィルムの構成
まず、図7を参照して、この実施の形態における第1転写フィルムについて説明する。図7は、この実施の形態の第1転写フィルム700の構成例を示す断面図である。第1転写フィルム700は、構造体704と、該構造体704を支持する担体フィルム層702とを具えている。
【0094】
構造体704は、転写層708とプローブ層706とを有している。構造体704に用いられる転写層708は、特定の材料に対して接着する材料を用いて構成してあるのが好ましい。この実施の形態によれば、転写層708は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、 ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ニトロセルロース、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、フルオロエチレン共重合体、ポリメチルペンテン等の有機材料(有機物質ともいう)より選択される一種以上の有機材料によって構成されるのが好適である。尚、前述したような材料によって構成される転写層708が接着する材料については後述する。
【0095】
また、プローブ層706は、転写層708上に固定化された複数のプローブ710を含んでいる。これら複数のプローブ710はそれぞれ同一の構成を有するのが好ましい。この実施の形態によれば、プローブ710は、ポリヌクレオチド、ポリアミノ酸、抗体物質、抗原物質、酵素等のうちから選択された一種の物質によって構成されるのが好ましい。
【0096】
また、複数のプローブ710の転写層708への固定化は、従来公知の方法によって行われるのが望ましい。例えば、プローブ710をポリヌクレオチドによって構成した場合、このポリヌクレオチドの転写層708への固定化は、文献1(Sience 251:767−773(1991))に開示の、アフィメトリクス型DNAチップの製造方法と同様の手順によって行うことが可能である。
【0097】
さらに、担体フィルム層702は、プローブ層706の主表面と物理吸着することによって、構造体704を支持する構成としてある。この実施の形態の担体フィルム層702は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、 ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ニトロセルロース、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、フルオロエチレン共重合体、ポリメチルペンテン等の有機材料より選択される一種以上の有機材料によって構成されるのが好適である。
【0098】
(1−2)第1転写フィルムの作用及び効果
図8を参照して、この実施の形態の第1転写フィルム700の作用について説明する。図8は、担体フィルム層702に対して、外部から適度な衝撃が加えられた第1転写フィルム700の一例の様子を説明するための、第1転写フィルムの断面図である。
【0099】
図8には、第1転写フィルム700に対して、当該第1転写フィルム700の上方から、同図中の白抜き矢印の方向から衝撃が与えられるようすが示されている。図8において、白抜き矢印の方向とは、第1転写フィルム700の担体フィルム層702から構造体704に向う方向である。また、図8に示すように、第1転写フィルム700に対する衝撃は、担体フィルム層702の、プローブ層706に吸着している面とは異なる主表面の一部分802に対して与えられている。
【0100】
ここで、図7に示すように、第1転写フィルム700において、プローブ層706は、担体フィルム層702と転写層708とに挟まれて設けられている。また、担体フィルム層702はプローブ層706の主表面に物理吸着させて設けられているため、この担体フィルム層702から構造体704を、比較的容易に剥がすことができる。
【0101】
従って、第1転写フィルム700において上述したような衝撃が加えられた場合、構造体の断片704aが剥がれて落ちる。具体的には、図8に示すように、衝撃が加えられた箇所802の担体フィルム層702によって支持されている、構造体704の一部分が剥がれて落ちる。
【0102】
ここで、上述したように、転写層708は、特定の材料に対して接着する材料を用いて構成してあるのが好ましい。従って、この転写層708と接着する材料によって構成された基板800上に、断片化された構造体の一部704aは、この構造体断片704aが有する転写層断片708aによって接着する。この構造体断片704aにおけるプローブ層断片706aは、プローブ層706に含まれるプローブ710と同一のプローブを有しており、当該構造体断片704aが基板800上に接着された状態で、第1転写フィルム700が有するプローブ層706が転写されたとみなすことができる。すなわち、この発明の第1転写フィルム700によれば、当該第1転写フィルム700が有するプローブ層706の一部を、転写層708との接着が可能な基板800に対して、容易に転写することができる。
【0103】
尚、基板800は、シリコン、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイヤ、フォルスライト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素、磁性体などの無機材料より選択される一種以上の無機材料、もしくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、 ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ニトロセルロース、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、フルオロエチレン共重合体、ポリメチルペンテン等の有機材料より選択される一種以上の有機材料によって構成されるのが好適である。
【0104】
(2)第2転写フィルム
次に、この実施の形態の第2転写フィルムについて説明する。この実施の形態の第2転写フィルムは、第1転写フィルムと同様の構成を有するのが好ましい。よって、第2転写フィルムの構成について、図7を参照して説明した第1転写フィルム700と同様の構成について、重複する説明は記載を省略する。
【0105】
この実施の形態の第2転写フィルムは、第1転写フィルムの転写層708に第2蛍光物質を含有させた構成としてあるのが好ましい。ここで、転写層708に第2蛍光物質を含有させた構成とは、上述した転写層708を構成する物質と、第2蛍光物質とを混合させた材料によって当該転写層708を構成することを意味する。そして、転写層708中に第2蛍光物質は、検出することができる発光が生じる程度の量であって、かつこの発光時に自己消光が生じない程度の量として、混合されているのが望ましい。尚、第2蛍光物質は、好ましくは、検体から抽出された分析対象物質に標識物質として付与される第1蛍光物質とは、励起波長及び蛍光波長のいずれか一方が異なる物質である。
【0106】
ここで、この実施の形態の第1及び第2蛍光物質は、FITC、PE、PerCP、APC、TruLed(PerCP−Cy5.5)、PharRed(APC−Cy7)、Cy7より一種の蛍光物質を選択して構成されるのが望ましい。
【0107】
上述したように、第2転写フィルムは、好ましくは、第1転写フィルム700と同様の構成を有するため、上述した第1転写フィルム700と同様の作用によって、同様の効果を得ることができる。
【0108】
[第5の実施の形態]
次に、この発明の試験用チップ製造装置に関する実施の形態を、第5の実施の形態として説明する。この実施の形態によれば、試験用チップ製造装置106は、第1〜第3の実施の形態における生体物質解析システム100、400、500、及び600のいずれかにおいて、複数のフィルムカートリッジを使用して、試験用チップ102の製造を行うのが好ましい。
【0109】
(1)フィルムカートリッジの構成
まず、図9(A)、(B)及び(C)を参照して、試験用チップ製造装置106に使用されるフィルムカートリッジ900の構成について説明する。図9(A)は、フィルムカートリッジ900の構成を概略的に示す平面図であり、図9(B)は、図9(A)において点線枠906で囲まれたフィルムカートリッジ900の一部分の構成を示す平面図であり、及び図9(C)には、図9(B)に示すフィルムカートリッジ900の一部分を、A−A’線で切断した部分を示してある。尚、図9(A)、(B)及び(C)に示す構成は、単なる一例であって、この実施の形態のフィルムカートリッジ900の構成は、これらの構成に限定されない。
【0110】
図9(A)には、フィルムカートリッジ900の上面図を示してある。フィルムカートリッジ900は、第4の実施の形態で説明した第1及び第2転写フィルムのいずれか一方を用いて構成される。尚、以下の説明において、第1及び第2転写フィルムのそれぞれを、単に転写フィルムと称する。
【0111】
この実施の形態によれば、フィルムカートリッジ900は、複数の転写フィルムと、これら転写フィルムを主表面上に固定配置して支持するフィルム支持部904とから構成されるのが望ましい。
【0112】
図9(A)に示す構成例によれば、予めフィルム枠に固定した転写フィルムを、フィルムカートリッジ900に設けてある。図9(A)には、フィルム枠に固定した転写フィルムを、フィルム構造体902a、902b、902cとして示してある。尚、これらフィルム構造体902a、902b、902cのそれぞれは、互いに異なる構成の転写フィルムを有するのが好ましい。ここで、転写フィルムを異なる構成とするには、既に説明したように、転写フィルムにおけるプローブ層の構成を異なる構成とすればよい。
【0113】
よって、図9(A)に示す構成例によれば、フィルムカートリッジ900には、フィルム支持部904の主表面上に、複数のフィルム構造体902a、902b、902cが固定配置されている。
【0114】
次に、図9(B)及び(C)を参照して、上述したようなフィルムカートリッジ900への、フィルム構造体902cの固定配置の構成について説明する。尚、図9(B)及び(C)におけるフィルム構造体902cの構成は、フィルムカートリッジ900に配置された他のフィルム構造体902a及び902bについても同様である。
【0115】
図9(B)には、矩形のフィルム枠902cbに固定された転写フィルム902caを有するフィルム構造体902cを上面から見た構成、及び図9(C)には、フィルム支持部904に固定された状態における、このフィルム構造体902cのA−A’線における切断部分の構成を、それぞれ示してある。
【0116】
これら図9(B)及び図9(C)にそれぞれ示すように、フィルム構造体902cは、フィルム枠902cbの4辺を、フィルム支持部904が有するフィルム固定部908によって固定されているのが好ましい。このフィルム固定部908による固定の構成は、フィルム枠902cbの4辺でそれぞれ同様であるのが好ましい。
【0117】
(2)試験用チップ製造装置の構成
次に、図10を参照して、この実施の形態の試験用チップ製造装置106の構成について説明する。図10には、試験用チップ製造装置106の要部の構成を概略的に示してある。この実施の形態の試験用チップ製造装置106は、当該試験用チップ製造装置106の外部から試験用チップの製造に使用される基板800が供給される基板供給部1004と、製造された試験用チップ1012を当該試験用チップ製造装置106の外部へ排出するチップ排出部1010と、チェンジャー部1006と、ヘッド部1008と、これらチェンジャー部1006及びヘッド部1008の動作を制御する駆動制御部1002とを具えている。尚、基板供給部1004によって、試験用チップ製造装置106に供給される基板800は、第4の実施の形態で既に説明したような材料を用いて構成されるのが好適である。
【0118】
また、図10に示すように、試験用チップ製造装置106には、当該試験用チップ製造装置106の設置時に、予め複数のフィルムカートリッジ900が搭載されているのが好ましい。試験用チップ製造装置106に搭載される複数のフィルムカートリッジ900のそれぞれには、カートリッジ識別記号が割り当てられる。図10には、複数のフィルムカートリッジ900のそれぞれに、A1、A2、・・・・、Axのそれぞれをカートリッジ識別記号として割り当てた例を示してある。
【0119】
また、駆動制御部1002は、好ましくは、複数のフィルムカートリッジ900のそれぞれの構成に関する情報を、複数のカートリッジ識別記号A1、A2、・・・・、Axのそれぞれと対応づけて有している。フィルムカートリッジ900の構成に関する情報とは、当該フィルムカートリッジ900における、複数の転写フィルムの配置に係わる情報であって、フィルムカートリッジ900における、複数の転写フィルムのそれぞれの位置情報であるのが好ましい。
【0120】
ところで、この試験用チップ製造装置106には、既に説明したようなチップ製造データが入力される。駆動制御部1002は、入力されるチップ製造データに基づいて、カートリッジ識別記号A1、A2、・・・・、Axの群の中からカートリッジ指定識別符号Axを指定するとともに、このカートリッジ指定識別符号Axによって指定される特定のフィルムカートリッジ900を構成する複数の転写フィルムの中から、特定の転写フィルムを指定するフィルム位置情報を指定して、カートリッジ指定識別符号Ax及びフィルム位置情報を出力する。
【0121】
その後、カートリッジ指定識別符号Axはチェンジャー部1006によって受信され、及びフィルム位置情報はヘッド部1008によって受信される。チェンジャー部1006は、受信したカートリッジ指定識別符号Axに対応する特定のフィルムカートリッジ900を取り出し、取り出したフィルムカートリッジ900をヘッド部1008に引き渡す。尚、ヘッド部1008には、基板供給部1004から基板800も供給される。
【0122】
図10の点線矢印で示すように、ヘッド部1008は、チェンジャー部1006が取り出した特定のフィルムカートリッジ900における、複数の転写フィルムの中から受信したフィルム位置情報に対応する特定の転写フィルムを指定して、この指定された特定の転写フィルムが有するプローブを基板800へ転写する。
【0123】
この転写は、ヘッド部1008が、特定した転写フィルムにおける担体フィルム層に対して、適度な衝撃を加えることによって行われる。その結果、既に図8を参照して説明したように、転写フィルムからの基板800へのプローブの転写が行われる。
【0124】
この実施の形態によれば、既に説明したように、フィルムカートリッジ900は、プローブ層の構成が互いに異なる複数の転写フィルムを有する。また、フィルムカートリッジ900において、固定配置する転写フィルムの組み合わせを変えて、複数のフィルムカートリッジ900のそれぞれを構成するのが好適である。
【0125】
そして、試験用チップ製造装置106において、駆動制御部1002がチップ製造データに基づいて、逐次、カートリッジ指定識別符号Ax及びフィルム位置情報を出力することにより、上述したように構成された複数のフィルムカートリッジ900のうち、カートリッジ指定識別符号Axで指定されたフィルムカートリッジ900がチェンジャー部1006によって取り出され、このフィルムカートリッジ900においてフィルム位置情報で指定される転写フィルムのプローブが基板800上に転写される。従って、この実施の形態の試験用チップ製造装置106によれば、当該装置106に入力されたチップ製造データに基づく構成を有する試験用チップ1012を容易に製造することができる。
【0126】
[第6の実施の形態]
この発明の試験用チップに関する実施の形態を、第6の実施の形態として説明する。この実施の形態によれば、試験用チップは、第1〜第3の実施の形態の生体物質解析システム100、400、500及び600のいずれかにおいて、第5の実施の形態で説明した試験用チップ製造装置106によって製造されるのが好ましい。
【0127】
図11を参照して、第5の実施の形態の試験用チップ製造装置106によって製造された試験用チップ1012の構成について説明する。図11は、試験用チップ1012の構成を示す上面図である。尚、図11には、試験用チップ1012の構成を概略的に示してあるに過ぎず、この実施の形態の試験用チップ1012の構成は、同図中に示す構成に限定されない。
【0128】
第5の実施の形態において、既に説明したように、試験用チップ製造装置106では、フィルムカートリッジ900上の転写フィルムから基板800へ、プローブを転写することによって試験用チップ1012の製造が行われる。このプローブの転写は、図8を参照して説明したように、断片化された構造体の一部704aを、基板800上に、転写層断片706aによって接着させる。
【0129】
よって、試験用チップ1012は、構造体断片1102a、1102b、1102cと、基板800とを有している。図11に示すように、基板800上には、複数の構造体断片1102a、1102b、1102cが配置されている。
【0130】
これら複数の構造体断片1102a、1102b、1102cのそれぞれは、図8を参照して説明したような構成を有している。この実施の形態によれば、構造体断片1102a、1102b、1102cは、それぞれ、異なる構成とすることができる。構造体断片1102a、1102b、1102cを異なる構成とするには、既に説明した転写フィルムと同様に、プローブ層断片の構成を異なる構成とすればよい。
【0131】
従って、この実施の形態の試験用チップ1012によれば、該試験用チップ1012の構成を、該試験用チップ1012を用いて解析が行われる分析対象物質にあわせた構成とすることができる。
【0132】
ところで、この実施の形態によれば、試験用チップ製造装置106において、第4の実施の形態で既に説明した第2転写フィルムから基板800へ、当該第2転写フィルムのプローブの転写を行って、試験用チップ1012を製造した場合、複数の構造体断片1102a、1102b、1102cのそれぞれは、第2蛍光物質が含有された転写層断片を有している。
【0133】
このような構成の試験用チップ1012によれば、転写層断片に含まれる第2蛍光物質を、蛍光検出器などの所望の分析装置104を用いることにより、検出することができる。従って、このような試験用チップ1012の構成によれば、当該試験用チップ1012の製造後、構造体断片がきちんと形成されているか否かを確認することができる。
【0134】
尚、この試験用チップ1012において、標識物質として第1蛍光物質が付与された分析対象物質とプローブとのハイブリタイゼーション反応を行い、この反応においてプローブにハイブリタイズした分析対象物質を検出する。この検出及びハイブリタイゼーション反応について詳細は後述するが、蛍光検出器などの所望の分析装置104により、試験用チップ1012から標識物質の検出は行われる。
【0135】
ここで、第1蛍光物質と第2蛍光物質とは、励起波長及び蛍光波長のいずれか一方が異なる物質であるため、第2蛍光物質を、第1蛍光物質と同一の蛍光波長を有しかつ異なる励起波長を有する物質によって構成した場合は、励起波長を第2蛍光物質の励起波長とすることによって、第2蛍光物質のみを検出することができる。また、第2蛍光物質を、第1蛍光物質と同一の励起波長を有しかつ異なる蛍光波長を有する物質によって構成した場合は、第1蛍光物質の検出時に、第2蛍光物質の発光をバンドパスフィルターなどの所望の手段を用いてカットすることにより、第1蛍光物質のみを検出することができる。
【0136】
尚、この実施の形態の試験用チップ1012は、上述したように、生体物質解析システム100、400、500及び600における、試験用チップ製造装置106によって製造される場合に限定されず、所望の方法によって製造することもできる。
【0137】
(1)試験用チップを用いた実験例
次に、この実施の形態の試験用チップ1012を用いて、文献2(特開2001−333786号公報)に開示の方法に従って、検体から抽出した、同文献2と同様の分析対象物質について調べた実験例について説明する。
【0138】
この実験例において、試験用チップ1012は、プローブとして次のようなポリヌクレオチドを有する構造体断片を用いて構成されている。試験用チップ1012において、プローブは、文献2の段落140に記載されている2つのポリヌクレオチドのうちのいずれかひとつのポリヌクレオチドを用いて構成される。文献2によれば、これら2つのポリヌクレオチドのうち、一方のポリヌクレオチドは、同文献中の段落150に記載の配列表における、配列番号1のポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドの455位に存在するSNP部位がチミン(T)であるT型断片である。また、文献2によれば、前述した2つのポリヌクレオチドのうち、他方のポリヌクレオチドは、同文献中の段落150に記載の配列表における、配列番号2のポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドの455位に存在するSNP部位がグアニン(G)であるG型断片である。
【0139】
従って、上述したようなプローブを用いて構成された試験用チップ1012において、複数の構造体断片のそれぞれは、T型断片を有する構成及びG型断片を有する構成のいずれかの構成を有する。
【0140】
この実施例によれば、検体からの分析対象物質の抽出は、文献2に開示の手順に従って行い、抽出した分析対象物質について、PCR(Polymerace
Chain Reaction)による増幅操作を適宜行った。
【0141】
その後、文献2に開示された手順に従って、検体から抽出され、増幅された分析対象物質と、試験用チップ1012のプローブとのハイブリタイゼーション反応を行った。尚、プローブへハイブリタイズした分析対象物質の検出方法としては、文献2に開示されているように、標識物質を用いる方法及び電気化学的方法の2つの方法がある。この実験例における、これら2つの検出方法のそれぞれについて、以下に説明する。
【0142】
(1−1)標識物質を用いる方法
この方法によれば、前述したハイブリタイゼーション反応前に、予め、検体から抽出され、増幅された分析対象物質に対して標識物質を付与する。この標識物質は、第4の実施の形態で説明したような物質によって構成される第1蛍光物質を用いるのが好ましい。この実験例では、第1蛍光物質としてFITC(Fluorescein−4−isothiocyanate)(商品名同じ(同仁化学研究所株式会社製))を用い、フェルマシア製のECL(Electrochemiluminescene)ラベリングシステムで、分析対象物質への標識物質の付与を行った。
【0143】
そして、上述したハイブリタイゼーション反応終了後、試験用チップ1012からの、分析対象物質に付与された標識物質の検出を、分析装置104として蛍光検出器(商品名:Typhoon 9200(Amersham Biosiences株式会社製))を用いて、この蛍光検出器によって行った。その結果、当該試験用チップ1012から蛍光を検出することができた。
【0144】
(1−2)電気化学的方法
電気化学的方法により、試験用チップ1012から分析対象物質の検出を行う場合は、試験用チップ1012を以下のような構成としておくのが好ましい。すなわち、この試験用チップ1012が有する構造体断片において、転写層断片を導電性物質を用いて構成するのが好適である。この導電性物質として好ましい材料は金である。
【0145】
尚、試験用チップ製造装置106では、前述した導電性物質で構成される転写層断片を有する試験用チップ1012の製造は、次のような第1転写フィルムを用いて行われるのが好ましい。すなわち、第1転写フィルムにおいて、転写層は、好ましくは、前述した導電性物質を用いて構成される。
【0146】
この実験例で用いる試験用チップ1012の製造は、以下のような第1転写フィルムを用いて行った。この第1転写フィルムは、金を用いて構成された転写層を有し、かつこの転写層に、上述した2つのポリヌクレオチドのうちいずれか一方のポリヌクレオチドを、文献2に開示の方法によって固定化して形成してある。
【0147】
そして、この試験用チップ1012において、図11に示す、基板800上に配置された複数の構造体断片のそれぞれに、金属線などの導電体を用いて配線を行う。そして、これら複数の構造体断片のそれぞれに配線された金属線を介して、これら複数の構造体断片のそれぞれに順次電圧を印加して、これら構造体断片のそれぞれに分析対象物質がハイブリタイズしたか否かの検出を行った。その結果、ハイブリタイズした分析対象物質について検出することができた。
【0148】
【発明の効果】
この発明の生体物質解析システムによれば、必要なときに適宜、分析対象物質の解析に用いるのにふさわしい構成として、試験用チップを製造することができ、かつ分析対象物質の解析を簡易に行うことができる。その結果、この発明の生体物質解析システムでは、個々の検体ごとに、この検体から抽出された分析対象物質の解析をフレキシブルに行うことができる。
【0149】
また、この発明の生体物質解析システムでは、試験用チップの製造において、第1転写フィルム及び第2転写フィルムのいずれか一方が用いられる。この発明の第1及び第2転写フィルムによれば、これら転写フィルムが有するプローブ層の一部を、転写層との接着が可能な基板に対して、容易に転写することができる。
【0150】
また、この発明の生体物質解析システムにおいて、試験用チップ製造装置は、複数のフィルムカートリッジを使用して試験用チップの製造を行う。ここで複数のフィルムカートリッジの各々は、カートリッジ識別記号が割り当てられており、第1及び第2転写フィルムのいずれか一方を用いて構成されている。
【0151】
試験用チップ製造装置では、駆動制御部が、当該装置に入力されたチップ製造データに基づいて、逐次、カートリッジ指定識別符号及びフィルム位置情報を出力することにより、複数のフィルムカートリッジのうち、カートリッジ指定識別符号で指定されたフィルムカートリッジがチェンジャー部によって取り出され、このフィルムカートリッジにおいてフィルム位置情報で指定される転写フィルムのプローブが基板上に転写される。従って、この発明の試験用チップ製造装置によれば、当該装置に入力されたチップ製造データに基づく構成を有する試験用チップを、容易に製造することができる。
【0152】
そして、この発明の試験用チップによれば、当該試験用チップを構成する複数の構造体断片のそれぞれを、互いに異なる構成とすることも可能である。すなわち、この発明の試験用チップによれば、該試験用チップの構成を、該試験用チップを用いて解析が行われる分析対象物質にあわせた構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の生体物質解析システムの構成例を説明するための図である。
【図2】この発明の生体物質解析システムにおける、試験用チップ製造プロセスを説明するためのフローチャートである。
【図3】この発明の生体物質解析システムにおける、分析対象物質解析プロセスを説明するためのフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態の生体物質解析システムの構成例を説明するための図である。
【図5】第3の実施の形態の生体物質解析システムの一例を説明するための図である。
【図6】第3の実施の形態の生体物質解析システムの一例を説明するための図である。
【図7】この発明の転写フィルムの構成例を説明するための図である。
【図8】この発明の第1転写フィルムの作用を説明するための図である。
【図9】(A)は、この発明のフィルムカートリッジの構成例を説明するための平面図であって、(B)は、このフィルムカートリッジの一部分の構成を示す平面図であって、(C)は、(B)に示す構成を、A−A’線によって切断した部分の構成を示す図である。
【図10】この発明の試験用チップの構成及び動作を説明するための図である。
【図11】この発明の試験用チップの構成例を説明するための図である。
【符号の説明】
100、400、500、600:生体物質解析システム
102:試験用チップ
104:分析装置
106:試験用チップ製造装置
108、408、508、608:データ処理装置
110:通信網
112、412、512、612:システム管理装置
114、414、514、614:第1基本処理部
116、416:処理データ格納部
118:データ取得部
120:データ解析部
122、422:第2基本処理部
124:参照データ格納部
126:チップ製造データ格納部
128:データ管理部
130:入出力部
132:入力部
134:装置監視部
136:通知部
138:システム管理会社
700:第1転写フィルム
702:担体フィルム層
704:構造体
704a:構造体断片
706:プローブ層
706a:プローブ層断片
708:転写層
708a:転写層断片
710:プローブ
800:基板
802:担体フィルム層の衝撃が与えられた箇所
900:フィルムカートリッジ
902a、902b、902c:フィルム構造体
902ca:転写フィルム
902cb:フィルム枠
904:フィルム支持部
908:フィルム固定部
1002:駆動制御部
1004:基板供給部
1006:チェンジャー部
1008:ヘッド部
1010:チップ排出部
1012:試験用チップ
1102a、1102b、1102c:構造体断片
Claims (10)
- チップ製造データを格納するチップ製造データ格納部と、
解析用の参照データを格納する参照データ格納部と、
前記チップ製造データ格納部から送られた前記チップ製造データに基づいて、検体から抽出された分析対象物質と特異的に反応する複数のプローブを有する試験用チップを製造する試験用チップ製造装置と、
分析対象物質と反応処理済みの試験用チップに対し、該チップのプローブの状態を分析する分析装置と、
該分析装置において、分析結果として得られた計測データと、前記参照データ格納部から読み出された前記参照データとの照合を行って、前記分析対象物質を解析して、解析結果を出力するデータ解析部と
を具えていることを特徴とする生体物質解析システム。 - 請求項1に記載の生体物質解析システムにおいて、
前記分析装置から送られる計測データを前記データ解析部へ出力するとともに、前記チップ製造データ格納部側から送られるチップ製造データを前記試験用チップ製造装置へ出力するデータ取得部と、
前記参照データ格納部から読み出される参照データを前記データ解析部へ出力する参照データ管理処理と、前記チップ製造データ格納部から読み出されるチップ製造データを前記データ取得部へ出力するチップ製造データ管理処理とを行うデータ管理部とを、さらに具えていることを特徴とする生体物質解析システム。 - 請求項2に記載の生体物質解析システムにおいて、
前記試験用チップ製造装置及び前記分析装置にそれぞれ接続されるデータ処理装置と、
該データ処理装置と通信網を介して接続されるシステム管理装置とを具えており、
前記データ処理装置は、
前記データ解析部及び前記データ取得部の双方を含む第1基本処理部と、
前記データ取得部でそれぞれ取得される前記計測データ及び前記チップ製造データと、前記データ管理部から出力される参照データとを格納する処理データ格納部とを具え、
前記システム管理装置は、
前記参照データ格納部と、前記チップ製造データ格納部と、
第2基本処理部としての前記データ管理部とを具えること
を特徴とする生体物質解析システム。 - 請求項2に記載の生体物質解析システムにおいて、
前記試験用チップ製造装置及び前記分析装置にそれぞれ接続されるデータ処理装置と、
該データ処理装置と通信網を介して接続されるシステム管理装置とを具えており、
前記データ処理装置は、
第1基本処理部としての前記データ取得部と、
前記データ取得部で取得する前記計測データ及び前記チップ製造データを格納する処理データ格納部とを具え、
前記システム管理装置は、
前記参照データ格納部と、前記チップ製造データ格納部と、
前記データ管理部及び前記データ解析部を含む第2基本処理部と
を具えていることを特徴とする生体物質解析システム。 - 請求項2に記載の生体物質解析システムにおいて、
前記分析装置もしくは前記試験用チップ製造装置の動作障害の有無を監視して、動作障害が発生したとき障害データを前記データ管理部へ出力する装置監視部と、
該障害データに応答して外部のシステム修理会社に対する修理委託通知を出力する通知部と
を含んでいることを特徴とする生体物質解析システム。 - 請求項3または4に記載の生体物質解析システムにおいて、
前記第1基本処理部は、前記分析装置もしくは前記試験用チップ製造装置の動作障害の有無を監視して、動作障害が発生したとき、障害データを前記通信網に送出する装置監視部を含み、及び
前記システム管理装置は、前記障害データに応答して外部のシステム修理会社に対する修理委託通知を出力する通知部を含むこと
を特徴とする生体物質解析システム。 - 試験用チップの製造に使用される転写フィルムにおいて、
転写層と、該転写層の主表面上に固定化され、かつそれぞれが同一の構成を有する複数のプローブを含むプローブ層とを有する構造体と、
該構造体上に、前記プローブ層の主表面と物理吸着させて設けられた担体フィルム層とを具えること
を特徴とする転写フィルム。 - 試験用チップの製造に使用される転写フィルムにおいて、
検体から抽出された分析対象物質に、標識物質として付与される第1蛍光物質とは、励起波長及び蛍光波長のいずれか一方が異なる第2蛍光物質を含有する転写層と、
該転写層の主表面上に固定化され、かつそれぞれが同一の構成を有する複数のプローブを含むプローブ層とを有する構造体と、
該構造体上に、前記プローブ層の主表面と物理吸着させて設けられた担体フィルム層とを具えること
を特徴とする転写フィルム。 - 請求項7または8に記載の転写フィルムを用いて製造される試験用チップにおいて、
前記構造体が断片化された構造体断片と、基板とを具えており、
複数の前記構造体断片のそれぞれを、該構造体断片が有する転写層断片と前記基板とを接着させることによって、該基板上に設けてあること
を特徴とする試験用チップ。 - 複数のフィルムカートリッジを使用して試験用チップの製造を行う試験用チップ製造装置において、
前記フィルムカートリッジの各々は、請求項7または8に記載の複数の転写フィルムと、これら転写フィルムを主表面上に固定配置して支持するフィルム支持部とによって構成され、かつカートリッジ識別記号が割り当てられており、
前記試験用チップ製造装置は、
外部から試験用チップの製造に使用される基板が供給される基板供給部と、
製造される試験用チップを外部へ排出するチップ排出部と、
外部から入力されるチップ製造データに基づいて、前記カートリッジ識別記号の群の中からカートリッジ指定識別符号を指定するとともに、該カートリッジ指定識別符号によって指定される特定のフィルムカートリッジを構成する複数の転写フィルムの中から、特定の転写フィルムを指定するフィルム位置情報を指定して、前記カートリッジ指定識別符号及び前記フィルム位置情報を出力する駆動制御部と、
前記カートリッジ指定識別符号に応答して特定のフィルムカートリッジを取り出すチェンジャー部と、
前記フィルム位置情報に応答して前記特定のフィルムカートリッジの複数の転写フィルムの中から特定の転写フィルムを指定して、該指定された特定の転写フィルムが有するプローブを前記基板へ転写するヘッド部と
を具えることを特徴とする試験用チップ製造装置。
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2002
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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