JP2007255999A - マイクロアレイ作製方法、転写フィルム作製方法および転写フィルム - Google Patents

マイクロアレイ作製方法、転写フィルム作製方法および転写フィルム Download PDF

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正人 三宅
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Abstract

【課題】マイクロアレイ間のスポットの品質偏差(反応性物質量やスポット形状等)を小さくして高密度で反応性物質を基板上に固定することが可能であり、さらに様々な種類の反応性物質を配置固定したマイクロアレイを簡便且つ短時間で作製するようにする。
【解決手段】反応性物質を基板7の表面に固定してマイクロアレイを作製する方法であって、前記反応性物質4aが存在するプローブ定着層を有する転写フィルム1から、前記基板7の表面に前記プローブ定着層4を転写して作製するマイクロアレイ作製方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、反応性物質を基板の表面に固定してマイクロアレイを作製する方法に関する。
マイクロアレイは、反応性物質(例えば、DNA分子(遺伝子)やタンパク質分子等)を、基板(例えば、ガラス板等)上に高密度に配置固定したものであり、創薬研究、疾病の診断法や予防法の研究、遺伝子の発現や変異、多型性などの同時解析に非常に有用な技術として多くの研究機関・医療機関・製薬企業等で利用されている。
反応性物質の配置に関しては、その用途に対応して様々な形態のものが存在する。また固定に関しても、同様に様々のものが存在する。例えば、遺伝子検出用アレイでは、反応性物質は、共有結合、イオン結合などによりアレイ基板に結合され、遺伝子導入細胞アレイでは、反応性物質は効果的に細胞に導入されるように放出される設定がなされる。
図8は、マイクロアレイ12の一例を示したものであり、反応性物質が存在するプローブスポット13が、基板7(例えば、スライドグラス等)の表面に多数形成されている。
マイクロアレイの作製に用いられる従来技術としては、基板上のスポット位置で反応性物質を重合して合成する方法(例えば、特許文献1参照)、反応性物質を含有する溶液(以下、反応性物質溶液と記す)を基板上の所定位置に微量射出してスポット形成(スポッティング)するインクジェット技術(例えば、特許文献2参照)、あるいは微量の反応性物質溶液を載せた微細なペン先を基板上の所定位置に接触させてスポッティングするメカニカルスポット技術等(例えば、特許文献3参照)が挙げられる。
特開2003−61657号公報 特表平11−99000号公報 特表平10−503841号公報
しかしながら、上述の従来技術においては、微量の反応性物質溶液を基板上にスポッティングするため、その採取量やスポット形状を一定にするためには、反応性物質溶液の化学的性質、粘度、表面張力等の種々の物理的特性について相当の注意を払う必要があった。例えば、同じ濃度の反応性物質溶液であっても、その粘度を一定にしておかなければ、採取される液量が異なってしまう虞があり、その結果、基板上のスポットに固定される反応性物質量やそのスポット形状がマイクロアレイ毎に異なってしまうという問題が生じていた。
さらに、反応性物質の種類が多くなればなるほど、上述のインクジェット技術の場合には、インク溜めの交換回数が増加し、またメカニカルスポット技術の場合には、ペン先の洗浄回数が増加するため、非常に時間と手間を要するものであった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、マイクロアレイ間のスポットの品質偏差(反応性物質量やスポット形状等)を小さくして高密度で反応性物質を基板上に固定することが可能であり、さらに様々な種類の反応性物質を配置固定したマイクロアレイを簡便且つ短時間で作製することのできるマイクロアレイ作製方法を提供するものである。
本発明の第1特徴構成は、反応性物質を基板の表面に固定してマイクロアレイを作製する方法であって、前記反応性物質が存在するプローブ定着層を有する転写フィルムから、前記基板の表面に前記プローブ定着層を転写して作製する点にある。
〔作用及び効果〕
本発明のマイクロアレイ作製方法によれば、反応性物質が存在するプローブ定着層を有する転写フィルムから、基板の表面に前記プローブ定着層を転写するというドライプロセス方式で行われるので、従来のインクジェット技術やメカニカルスポット技術といった液滴でスポッティングするウェットプロセス方式の場合と異なり、微量の反応性物質溶液を扱う必要はなく、マイクロアレイ間における基盤上に配置固定されるスポットの品質偏差を小さくすること(スポット中の反応性物質量やスポット形状を一定にすること)ができる。
すなわち、本発明のマイクロアレイ作製方法にて使用される転写フィルムの製作では、そのプローブ定着層を形成する際、印刷技術における一般的な方法によって大面積で塗工して形成し得るため、反応性物質が均一に存在し得、且つ非常に良好な厚さ精度を有するプローブ定着層を形成することができる。従って、その転写フィルムを基板表面上に配置し、公知の転写装置(感圧転写装置又は感熱転写装置等)を用いて転写すれば、その印字ヘッドにより常に一定の厚さと形状とを有するプローブ定着層のスポットを基板表面に転写することができる(尚、プローブ定着層の厚さや印字ヘッドの形状を変更することによって、スポット中の反応性物質量やスポット形状を必要に応じて適宜、調整・変更することも可能である)。
さらに、本発明においては、転写装置の印字ヘッドを洗浄する必要もない。そして、例えば、プローブ定着層を転写フィルムの長手方向に区分けして、その区域毎に異なる種類の反応性物質が存在するようなプローブ定着層を有する転写フィルムを使用すれば、一つの転写フィルムで、様々な種類の反応性物質を基板上に迅速に配置固定することが可能である。従って、本発明によれば、様々な種類の反応性物質を配置固定したマイクロアレイを簡便且つ短時間で作製することができる。
本発明の第2特徴構成は、前記プローブ定着層が、前記反応性物質や前記反応性物質を担持させた担持体を粘着層中に混入させた反応性物質混入粘着層から構成される点にある。
〔作用及び効果〕
プローブ定着層が、反応性物質や反応性物質を担持させた担持体(以下、反応性物質類と称する)を粘着層中に混入させた反応性物質混入粘着層から構成されるので、反応性物質混入粘着層の持つ粘着力によって、基板表面への反応性物質混入粘着層の転写がより確実に実施され得、反応性物質類をより確実に基板上に配置固定することができる。
その上、反応性物質が粘着層中に混入した状態であるため、反応性物質は、外的因子(光、温度、酸素等)の影響を受け難く、変性し難くい。
従って本発明によれば、品質の安定なマイクロアレイを作製することができる。
本発明の第3特徴構成は、前記プローブ定着層が、前記転写フィルムの転写基材層において、互いに所定の間隔で離間させた多数箇所に配置したスポットに配設したものである点にある。
〔作用及び効果〕
プローブ定着層が、転写フィルムの転写基材層において、互いに所定の間隔で離間させた多数箇所に配置したスポットに配設したものであるため、容易に基板上に多数のスポットが形成されたマイクロアレイを作製することができる。
本発明の第4特徴構成は、前記転写フィルムが、転写基材層、弱粘着層、前記プローブ定着層、強粘着層、離型紙の順に積層されており、転写する際、前記離型紙を剥がして前記強粘着層を露出させて、前記基板の表面に前記強粘着層を接着し、前記転写基材層及び前記弱粘着層を剥がして前記プローブ定着層を前記基板上に露出させる点にある。
〔作用及び効果〕
転写フィルムが、転写基材層、弱粘着層、プローブ定着層、強粘着層、離型紙の順に積層されているので、プローブ定着層が複数の層によって挟み込まれるので、プローブ定着層中の反応性物質が、外的因子(光、温度、酸素等)の影響を受け難く、その変性を防止することができる。
さらに、転写する際は、離型紙を剥がして強粘着層を露出させて、基板の表面に強粘着層を接着し、転写基材層及び弱粘着層を剥がしてプローブ定着層を基板上に露出させるという簡単なプロセスで行われ得るので、より簡便且つ迅速にマイクロアレイを作製することができる。
本発明の第5特徴構成は、前記転写フィルムが、第1離型紙、前記反応性物質混入粘着層、第2離型紙の順に積層されており、前記第1離型紙と前記反応性物質混入粘着層との間の粘着力が、前記第2離型紙と前記反応性物質混入粘着層との間の粘着力よりも大きく、転写する際は、前記第2離型紙を剥がして、前記基板の表面に前記反応性物質混入粘着層を接着し、前記第1離型紙を剥がして前記反応性物質混入粘着層を露出させる点にある。
〔作用及び効果〕
反応性物質が、粘着層中に存在し、且つ、その反応性物質混入粘着層が複数の層によって挟み込まれるので、反応性物質類が、外的因子(光、温度、酸素等)の影響をより一層受け難く、その変性をさらに効果的に防止することができる。
さらに、第1離型紙と反応性物質混入粘着層との間の粘着力が、第2離型紙と反応性物質混入粘着層との間の粘着力よりも大きいので、第1離型紙の方が第2離型紙よりも剥がれ難い。そのため、第2離型紙を剥がす際、同時に第1離型紙も剥がれてしまうこともなく転写の際に扱い易く、簡便且つ迅速にマイクロアレイを作製することができる。
本発明の第6特徴構成は、前記転写フィルムが、耐熱性転写基材層及び反応性物質を混入した熱可塑性樹脂から成るプローブ定着層で構成されており、転写する際、前記プローブ定着層を前記基板の表面上に配置し、前記耐熱性転写基材層の上方から局部的に押圧及び加熱して前記プローブ定着層の一部をせん断して前記転写フィルムより分離すると共に、前記せん断された一部のプローブ定着層を前記基板の表面に接着させる点にある。
〔作用及び効果〕
転写フィルムが、耐熱性転写基材層及び反応性物質を混入した熱可塑性樹脂から成るプローブ定着層で構成されているので、耐熱性転写基材層の上方から局部的に押圧及び加熱すると、押圧及び加熱された部分のプローブ定着層がせん断されて、そのせん断された一部のプローブ定着層が、基板の表面に接着する。従って、本発明によれば、適当な感熱転写装置を使用することによって、簡便かつ迅速に、基板上に多数のスポットが形成されたマイクロアレイを作製することができる。
本発明の第7特徴構成は、前記転写フィルムが、転写基材層、せん断可能な反応性物質混入粘着層並びに離型紙とから構成されており、転写する際、前記離型紙を剥がして前記反応性物質混入粘着層を前記基板の表面上に配置し、前記転写基材層の上方から局部的に押圧して前記反応性物質混入粘着層の一部をせん断して前記転写フィルムより分離し、前記せん断された一部の反応性物質混入粘着層を前記基板の表面に接着させる点にある。
〔作用及び効果〕
反応性物質が、粘着層中に存在し、且つ、その反応性物質混入粘着層が複数の層によって挟み込まれるので、反応性物質類が、外的因子(光、温度、酸素等)の影響をより一層受け難く、その変性をさらに効果的に防止することができる。
さらに、せん断可能な反応性物質混入粘着層から構成されているので、転写基材層の上方から局部的に押圧すると、押圧された部分の反応性物質混入粘着層がせん断されて、そのせん断された一部の反応性物質混入粘着層が、基板の表面に接着する。従って、本発明によれば、適当な感圧転写装置を使用することによって、簡便かつ迅速に、基板上に多数のスポットが形成されたマイクロアレイを作製することができる。
本発明の第8特徴構成は、前記転写フィルムが、転写基材層、弱粘着層、プローブ定着層、強粘着層、離型紙の順に積層されており、前記プローブ定着層が、前記反応性物質又は前記反応性物質を担持させた担持体から構成されており、前記弱粘着層のせん断力強度が前記強粘着層のせん断力強度よりも高く、転写する際、前記離型紙を剥がして前記強粘着層を露出させ、前記強粘着層を前記基板の表面上に配置し、前記転写基材層の上方から局部的に押圧して前記プローブ定着層と前記強粘着層との一部をせん断して前記転写フィルムより分離し、前記せん断された一部の強粘着層を前記基板の表面に接着させて、前記せん断された一部のプローブ定着層を前記基板上に露出させる点にある。
〔作用及び効果〕
弱粘着層のせん断力強度が強粘着層のせん断力強度よりも高いので、転写基材層の上方から局部的に押圧すると、押圧された部分の強粘着層が優先的にせん断され得る。さらに、プローブ定着層は、弱粘着層よりも強粘着層に対する接着が強いので、弱粘着層から剥離し易く、その結果、プローブ定着層の一部は、せん断された一部の強粘着層と共に転写フィルムより分離し、基板上に露出した状態で転写される。
従って、本発明によれば、適当な感圧転写装置を使用することによって、簡便かつ迅速に、基板上に多数のスポットが形成されたマイクロアレイを作製することができる。
本発明の第9特徴構成は、請求項1〜8のいずれか1項に記載されるマイクロアレイ作製方法において使用される転写フィルムである点にある。
〔作用及び効果〕
本発明の転写フィルムを使用すれば、請求項1〜8のいずれか1項に記載されるマイクロアレイの作製方法を実施することができる。
本発明の第10特徴構成は、請求項4に記載される転写フィルムの作製方法であって、以下の工程:1.離型紙上に強粘着層を設ける工程;2.前記強粘着層上に、反応性物質又は反応性物質を担持させた担持体を塗布してプローブ定着層を形成する工程;3.前記プローブ定着層に、弱粘着層を有する転写基材を接着する工程;を包含する転写フィルム作製方法である点にある。
〔作用及び効果〕
本発明によれば、請求項4に記載される転写フィルムを、一般的な塗工方法(流延等)を用いて、容易に作製することができる。
本発明の第11特徴構成は、請求項4に記載される転写フィルムの作製方法であって、以下の工程:1.離型紙上に強粘着層を設ける工程;2.前記強粘着層を乾燥する工程;3.予め弱粘着層を備えた転写基材において、前記弱粘着層上に反応性物質又は反応性物質を担持させた担持体を塗布してプローブ定着層を形成する工程;4.前記強粘着層に、前記プローブ定着層を形成した転写基材を接着する工程;を包含する転写フィルム作製方法である点にある。
〔作用及び効果〕
本発明によれば、請求項4に記載される転写フィルムを、一般的な塗工方法(流延等)を用いて、容易に作製することができる。
本発明の第12特徴構成は、請求項10又は請求項11のいずれか1項に記載の転写フィルム作製方法によって作製された転写フィルムである点にある。
〔作用及び効果〕
本発明の転写フィルムを使用すれば、請求項4に記載されるマイクロアレイの作製方法を実施することができる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
尚、本発明のマイクロアレイ作製方法は、主として、転写フィルム1の作製工程と、作製された転写フィルム1から、反応性物質4aが存在するプローブ定着層4を基板7の表面に転写すると転写工程とから構成される。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明のマイクロアレイ作製方法の第1実施形態を概略的に示したものである。
1.転写フィルム作製工程(イ)〜(ニ)
(イ)シリコーン加工した離型紙6の表面に、公知のスクリーン印刷技術によって、互いに所定の間隔で離間させた強粘着層3(例えば、酢酸エチル及びトルエンから構成される溶剤にアクリル系粘着剤及びイソシアネート系架橋剤を溶かしたものを含有する)のスポットを形成する。
(ロ)次いで、形成された強粘着層3を所定の加熱条件(例えば、100℃、2分間)で乾燥させた後、所定の温度条件下で数日間架橋を進行させる(例えば、20℃、7日間)。
(ハ)次に、公知の塗工方法によって、反応性物質(例えば、各種核酸分子やタンパク質分子等)を担持させた担持体(若しくは、反応性物質そのもの)4aを強粘着層3の表面に塗布してプローブ定着層4を形成する(このとき離型紙6上にある前記担持体(若しくは反応性物質)4aを除去する)。
(ニ)また別個に、公知の塗工方法によって転写基材2に弱粘着層5(例えば、アクリル系粘着剤等)を形成させたものを用意し、適当なローラー装置9等を用いて、プローブ定着層4に、弱粘着層5を接着させる。
尚、本発明に適用可能な転写基材2としては、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
2.転写工程(ホ)
離型紙6を剥離し、図1(ホ)に示されるように、適当な感圧転写装置を用いて、転写基材2側からスポットの大きさに対応する印字ヘッド10で押圧して、プローブ定着層4及び強粘着層3を弱粘着層5から剥がして分離させ、強粘着層3側を基板7に接着させてプローブ定着層4を基板上に露出させて、プローブスポット13を形成する。
プローブスポット13は、印字ヘッド10の形状と同じ形状で転写され得る。また、転写フィルム1のプローブ定着層4を予めスポット形状に切り込み加工しておくと、転写されるプローブスポット13の形状は直接この形状に制御され得る。スポット以外の部分(本実施形態における強粘着層3以外の部分)を隠蔽しておく構成をとると、転写時の交差汚染の可能性が低く抑えられる。プローブスポット13の大きさは、マイクロアレイが目的とする集積度と検出反応とに対応するものであることが必要であり、通常の反応性物質を用いるマイクロアレイでは、スポット面積の対応直径換算で1000μm以下、好ましくは、100〜400μmである。直径換算値が1000μm以上では、プローブスポットの集積度が低くなり、マイクロアレイの実用性を損なう虞がある。また、直径換算値で100μm以下の場合には、プローブスポットの形状を一定に維持したまま印字ヘッドによる転写を続けることは困難である。しかし、目的とするマイクロアレイの要件に合致する場合には、直径換算で示されるプローブスポットの大きさは必ずしもこの範囲にあることを必要とするものではない。
〔第2実施形態〕
図2は、本発明のマイクロアレイ作製方法の第2実施形態を概略的に示したものである。
1.転写フィルム作製工程(イ)〜(ニ)
(イ)シリコーン加工した離型紙6の表面に、公知の定量吐出機11によって、互いに所定の間隔で離間させた強粘着層3のスポットを形成する。強粘着層3としては、例えば、酢酸エチル及びトルエンから構成される溶剤にアクリル系粘着剤及びイソシアネート系架橋剤を溶かしたものを使用する。
(ロ)次いで、形成された強粘着層3を所定の加熱条件(例えば、100℃、2分間)で乾燥させた後、所定の温度条件下で数日間架橋を進行させる(例えば、20℃、7日間)。
(ハ)また別個に、公知の塗工方法によって転写基材2に弱粘着層5を形成させたものを用意し、さらにその弱粘着層5の表面に、反応性物質を担持させた担持体(若しくは、反応性物質そのもの)4aを塗布してプローブ定着層4を形成する(このとき粘着しなかった前記担持体(若しくは反応性物質)4aは除去する)。
(ニ)そして、適当なローラー装置9等を用いて、プローブ定着層4に強粘着層3を接着させる。
2.転写工程(ホ)
上述の第1実施形態と同様に、離型紙6を剥離し、適当な感圧転写装置を用いて、転写基材2側からスポットの大きさに対応する印字ヘッド10で押圧して、スポット状のプローブ定着層4及び強粘着層3(プローブスポット13)を弱粘着層5から剥がして分離させ、強粘着層3側を基板7に接着させてプローブ定着層4を基板7上に露出させる。尚、プローブスポット13の形状や大きさについては、上述の第1実施形態と同様である。
〔第3実施形態〕
図3は、本発明のマイクロアレイ作製方法の第3実施形態を概略的に示したものである。尚、図3においては、作製された転写フィルム1の断面構造(イ)と、その転写工程(ロ)のみを記載している。
1.転写フィルム作製工程(図示せず)
シリコーン加工した離型紙6の表面に、公知の印刷技術あるいは定量吐出機によって、互いに所定の間隔で離間させた強粘着層3のスポットを形成する。強粘着層3としては、例えば、酢酸エチル及びトルエンから構成される溶剤にアクリル系粘着剤及びイソシアネート系架橋剤を溶かしたものを使用する。
次いで、形成された強粘着層3を所定の加熱条件(例えば、100℃、2分間)で乾燥させた後、所定の温度条件下で数日間架橋を進行させる(例えば、20℃、7日間)。
別個に、公知の塗工方法によって転写基材2に弱粘着層5を形成させたものを用意する。そして、公知の塗工方法によって、その弱粘着層5の表面に、反応性物質を担持させた担持体(若しくは、反応性物質)4aを含有する反応性物質混入粘着層8(この粘着層形成に使用可能な粘着剤としては、例えば、ポリビニルピロリドングリセロール可塑系が挙げられる)を形成する。
そして、適当なローラー装置等を用いて、反応性物質混入粘着層8に強粘着層3を接着させる。
2.転写工程
図3(ロ)に示されるように、上述の第1実施形態(又は第2実施形態)と同様に離型紙6を剥離し、適当な感圧転写装置を用いて、転写基材2側からスポットの大きさに対応する印字ヘッド10で押圧して、スポット状の反応性物質混入粘着層8及び強粘着層3(プローブスポット)を弱粘着層5から剥がして分離させ、強粘着層3側を基板7に接着させて反応性物質混入粘着層8を基板上に露出させる。尚、プローブスポットの形状や大きさについては、上述の第1実施形態と同様である。
〔第4実施形態〕
図4は、本発明のマイクロアレイ作製方法の第4実施形態を概略的に示したものである。尚、図4においては、作製された転写フィルムの断面構造(イ)と、その転写工程(ロ)のみを記載している。
1.転写フィルム作製工程(図示せず)
第1離型紙6aの表面に、公知のスクリーン印刷技術あるいは定量吐出機によって、互いに所定の間隔で離間させた反応性物質混入粘着層8のスポットを形成する。
そして、適当なローラー装置等を用いて、反応性物質混入粘着層8に、第2離型紙6bを接着させる。尚、第1離型紙6aと反応性物質混入粘着層8との間の粘着力は、第2離型紙6bと反応性物質混入粘着層8との間の粘着力よりも大きく、第1離型紙6aの方が第2離型紙6bよりも剥がれ難い構成としてある。
2.転写工程
図4(ロ)に示されるように、第2離型紙6bを剥離し、適当な感圧転写装置を用いて、第1離型紙6a側からスポットの大きさに対応する印字ヘッド10で押圧して、スポット状の反応性物質混入粘着層8(プローブスポット)を第1離型紙6aから剥がして分離させ、反応性物質混入粘着層8を基板7上に接着して露出させる。尚、プローブスポットの形状や大きさについては、上述の第1実施形態と同様である。
〔第5実施形態〕
図5は、本発明のマイクロアレイ作製方法の第5実施形態を概略的に示したものである。尚、図5においては、作製された転写フィルムの断面構造(イ)と、その転写工程(ロ)のみを記載している。
1.転写フィルム作製工程(図示せず)
公知の塗工方法によって耐熱性転写基材2aの表面に、反応性物質を担持させた担持体(若しくは反応性物質)及び適当な熱可塑性樹脂を含有するプローブ定着層4を形成する。
2.転写工程
図5(ロ)に示されるように、適当な感熱転写装置を用いて、耐熱性転写基材2a側からサーマルヘッド10aで局部的に押圧加熱して、プローブ定着層4中の熱可塑性樹脂を溶融させて、基板上にスポット状のプローブ定着層4(プローブスポット)を転写する。
〔第6実施形態〕
図6は、本発明のマイクロアレイ作製方法の第6実施形態を概略的に示したものである。尚、図6においては、作製された転写フィルムの断面構造(イ)と、その転写工程(ロ)のみを記載している。
1.転写フィルム作製工程(図示せず)
公知の塗工方法によって転写基材2の表面に、せん断可能な反応性物質混入粘着層8(この粘着層形成に使用可能な粘着剤としては、例えば、無水マレイン酸メチルビニルエステル共重合体グリセロール可塑系が挙げられる)を形成する。そして、適当なローラー装置等を用いて、前記反応性物質混入粘着層8に、離型紙6を接着させる。
2.転写工程(ロ)
離型紙6を剥離し、図6(ロ)に示されるように、適当な感圧転写装置を用いて、転写基材2側から印字ヘッド10で局部的に押圧して、反応性物質混入粘着層8をせん断し、基板7上にスポット状の反応性物質混入粘着層8(プローブスポット)を転写する(このとき、予め転写基材2にスポットの形状で離形性を与えておくことで、転写はさらに容易になり得る)。尚、プローブスポットの形状や大きさについては、上述の第1実施形態と同様である。
〔第7実施形態〕
図7は、本発明のマイクロアレイ作製方法の第7実施形態を概略的に示したものである。尚、図7においては、作製された転写フィルムの断面構造(イ)と、その転写工程(ロ)のみを記載している。
1.転写フィルム作製工程(図示せず)
シリコーン加工した離型紙6の表面に、公知の塗工方法によって強粘着層3を形成する。また別個に、公知の塗工方法によって転写基材2に弱粘着層5を形成させたものを用意し、さらに弱粘着層5の表面に、反応性物質を担持させた担持体(若しくは反応性物質)4aを塗布してプローブ定着層4を形成する。そして、適当なローラー装置等を用いて、プローブ定着層4と強粘着層3とを接着させる。
尚、弱粘着層5のせん断力強度は、強粘着層3のせん断力強度よりも高い。
2.転写工程(ロ)
離型紙6を剥離し、図7(ロ)に示されるように、適当な感圧転写装置を用いて、転写基材2側から印字ヘッド10で局部的に押圧して、スポット状にプローブ定着層4及び強粘着層3をせん断し(プローブスポットの形成)、強粘着層3側を基板7に接着させてプローブ定着層4を基板7上に露出させる。尚、プローブスポットの形状や大きさについては、上述の第1実施形態と同様である。
〔その他の実施形態〕
本発明の実施形態は上記実施形態に限定されるものでなく、基板7には、必要に応じて、転写を確実にするための機能(例えば、弾性、粘着性、接着性等)を有する機能層を設けることができる。機能層は、層に由来する反応や蛍光が検知反応を阻害しないことは無論のこと、マイクロアレイ上のプローブスポット位置が正しく検知されるようにマイクロアレイ平面の寸法が安定していることが必要である。
以下に記載される実施例は、小規模にマイクロアレイを作製する例を示しているものであり、その用途、転写方法、反応性物質、転写フィルムの各層を構成する順序、さらに大規模な製作方法などに関しても本発明の趣意を制約するものではない。
(実施例1)
(1)アレイ用スポット反応性物質(プローブ物質)として、DMDE培地(無血清)14.5μL、pEGFP(GFP発現ベクター、濃度1mg/mL)を1.5μL、リポフェクタミン2000(インビトロジェン社製)4.0μL、フィブロネクチン(4mg/mL)を5.0μL混合し、さらに全量が25μLになるようにDMDE培地(無血清)で希釈調製する。得られた組成物をプローブ定着層塗工液とする。
(2)転写基材として100×100mm、公称厚さ75μmのポリエステルフィルムを用意して、フィルムの片面上にアクリル系粘着剤(商品名コーポニール5740、日本合成化学工業株式会社製)をバーコード塗布して乾燥、架橋する。乾燥後の粘着剤の塗布厚は、17μmであった。
(3)(2)項のポリエステルフィルムのアクリル系粘着剤塗布面を上に向けて水平台の上に置き、この上に縦横70×70mm、厚さ2mmのシリコーンシートに縦横10×25mmの空所を設けた治具を密着する。
(4)(1)項のプローブ定着層塗工液をマイクロピペットで25μL採取して、シリコーンシートの空所に注ぎ、ポリエステルフィルムを均等に覆うようにする。次いで、ポリエステルフィルム及びプローブ定着層塗工液と水平に保ったまま乾燥し、シリコーン製治具を取り除き、流延法プローブ定着層を作成する。
(5)別途、シリコーン系剥離紙にアクリル系粘着剤(商品名コーポニール5706A、日本合成化学工業株式会社製)をスクリーン印刷で直径およそ450μmのスポット状に印字して乾燥する。スポットの配置は、(4)項におけるプローブ定着層面に対応する面形状の上に5mm間隔の格子点を打つ形態で配置した。乾燥後の平均直径は、410μmであった。
(6)(5)項のシリコーン系剥離紙/スポット状アクリル系粘着剤構成のアクリル系粘着剤面を、(4)項のポリエステルフィルム/アクリル系粘着剤/プローブ定着層構成のプローブ定着層面に合わせるように接着して、転写フィルムを完成する。
(7)(6)項の転写フィルムからシリコーン系剥離紙を分離して、スライドグラス(商品名SD90011、松浪硝子工業社製)に対向して保持し、直径500μmの平坦な先端部を有するピンを用いて、ポリエステルフィルムの上面からスライドグラスにプローブ定着層を転写してマイクロアレイを作製する。転写されたスポットの10点の直径は385μm±10μmであった。作製されたスポットは、遺伝子導入細胞アレイの試薬スポットとして使用可能であった。
第1実施形態のマイクロアレイの作製方法を示す概略図 第2実施形態のマイクロアレイの作製方法を示す概略図 第3実施形態のマイクロアレイの作製方法を示す概略図 第4実施形態のマイクロアレイの作製方法を示す概略図 第5実施形態のマイクロアレイの作製方法を示す概略図 第6実施形態のマイクロアレイの作製方法を示す概略図 第7実施形態のマイクロアレイの作製方法を示す概略図 マイクロアレイの模式図
符号の説明
1 転写フィルム
2 転写基材
2a 耐熱性転写基材
3 強粘着層
4 プローブ定着層
4a 反応性物質(又は反応性物質の担持体)
5 弱粘着層
6 離型紙
6a 第1離型紙
6b 第2離型紙
7 基板
8 反応性物質混入粘着層
9 ローラー装置
10 印字ヘッド
10a サーマルヘッド
11 定量吐出機
12 マイクロアレイ
13 プローブスポット

Claims (12)

  1. 反応性物質を基板の表面に固定してマイクロアレイを作製する方法であって、
    前記反応性物質が存在するプローブ定着層を有する転写フィルムから、前記基板の表面に前記プローブ定着層を転写して作製するマイクロアレイ作製方法。
  2. 前記プローブ定着層が、前記反応性物質や前記反応性物質を担持させた担持体を粘着層中に混入させた反応性物質混入粘着層から構成されるものである請求項1に記載のマイクロアレイ作製方法。
  3. 前記プローブ定着層が、互いに所定の間隔で離間させた多数箇所に配置したスポットに配設したものである請求項1又は2のいずれか1項に記載のマイクロアレイ作製方法。
  4. 前記転写フィルムが、転写基材層、弱粘着層、前記プローブ定着層、強粘着層、離型紙の順に積層されており、転写する際、前記離型紙を剥がして前記強粘着層を露出させて、前記基板の表面に前記強粘着層を接着し、前記転写基材層及び前記弱粘着層を剥がして前記プローブ定着層を前記基板上に露出させる請求項3に記載のマイクロアレイ作製方法。
  5. 前記転写フィルムが、第1離型紙、前記反応性物質混入粘着層、第2離型紙の順に積層されており、前記第1離型紙と前記反応性物質混入粘着層との間の粘着力が、前記第2離型紙と前記反応性物質混入粘着層との間の粘着力よりも大きく、転写する際は、前記第2離型紙を剥がして、前記基板の表面に前記反応性物質混入粘着層を接着し、前記第1離型紙を剥がして前記反応性物質混入粘着層を露出させる請求項3に記載のマイクロアレイ作製方法。
  6. 前記転写フィルムが、耐熱性転写基材層及び反応性物質を混入した熱可塑性樹脂から成るプローブ定着層で構成されており、転写する際、前記プローブ定着層を前記基板の表面上に配置し、前記耐熱性転写基材層の上方から局部的に押圧及び加熱して前記プローブ定着層の一部をせん断して前記転写フィルムより分離すると共に、前記せん断された一部のプローブ定着層を前記基板の表面に接着させる請求項1に記載のマイクロアレイ作製方法。
  7. 前記転写フィルムが、転写基材層、せん断可能な反応性物質混入粘着層並びに離型紙とから構成されており、転写する際、前記離型紙を剥がして前記反応性物質混入粘着層を前記基板の表面上に配置し、前記転写基材層の上方から局部的に押圧して前記反応性物質混入粘着層の一部をせん断して前記転写フィルムより分離し、前記せん断された一部の反応性物質混入粘着層を前記基板の表面に接着させる請求項2に記載のマイクロアレイ作製方法。
  8. 前記転写フィルムが、転写基材層、弱粘着層、プローブ定着層、強粘着層、離型紙の順に積層されており、
    前記プローブ定着層が、前記反応性物質又は前記反応性物質を担持させた担持体から構成されており、前記弱粘着層のせん断力強度が前記強粘着層のせん断力強度よりも高く、転写する際、前記離型紙を剥がして前記強粘着層を露出させ、前記強粘着層を前記基板の表面上に配置し、前記転写基材層の上方から局部的に押圧して前記プローブ定着層と前記強粘着層との一部をせん断して前記転写フィルムより分離し、前記せん断された一部の強粘着層を前記基板の表面に接着させて、前記せん断された一部のプローブ定着層を前記基板上に露出させる請求項1に記載のマイクロアレイ作製方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載されるマイクロアレイ作製方法において使用される転写フィルム。
  10. 請求項4に記載される転写フィルムの作製方法であって、以下の工程:
    1.離型紙上に強粘着層を設ける工程;
    2.前記強粘着層上に、反応性物質又は反応性物質を担持させた担持体を塗布してプローブ定着層を形成する工程;
    3.前記プローブ定着層に、弱粘着層を有する転写基材を接着する工程;
    を包含する転写フィルム作製方法。
  11. 請求項4に記載される転写フィルムの作製方法であって、以下の工程:
    1.離型紙上に強粘着層を設ける工程;
    2.予め弱粘着層を備えた転写基材において、前記弱粘着層上に反応性物質又は反応性物質を担持させた担持体を塗布してプローブ定着層を形成する工程;
    3.前記強粘着層に、前記プローブ定着層を形成した転写基材を接着する工程;
    を包含する転写フィルム作製方法。
  12. 請求項10又は請求項11のいずれか1項に記載の転写フィルム作製方法によって作製された転写フィルム。
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