JP2004163115A - 電子回路用部品の外観検査方法及び電子回路用部品の製造方法 - Google Patents

電子回路用部品の外観検査方法及び電子回路用部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子回路用部品に対してカラー画像処理を用いて外観検査する際、その処理精度を高める。
【解決手段】検査面内の各位置におけるカラー画像情報を表す検知出力の信号を基に、検査面内の各位置における3次元色空間座標系の3つの座標成分よりなる検査面色情報を画像処理装置11にて生成する。その後、検査面色情報を表す第一検査面データおよび該第一検査面データとは異なる3次元色空間座標系に座標変換された第二検査面データにおける少なくとも1つの座標成分からなる第一画像処理データと、予め設定された良品基準色情報を基にフィルタ処理がなされた最大値良品基準データおよび最小値良品基準データのうち少なくともいずれかのデータとを、画像処理装置11を用いて減算処理するとともに、検査面の第一不良候補領域を選定し、該第一不良候補領域に基づいて検査面の不良領域の特定を行なう。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路用部品の外観検査方法及び電子回路用部品の製造方法に関し、より詳細には、外観検査の高精度化に適した電子回路用部品の外観検査方法及び、該外観検査方法にて外観検査が行なわれる工程を有する電子回路用部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ(PC)やワークステーション(WS)等のコンピュータの劇的な進歩は勿論のことであるが、カメラやスキャナ等の画像入出力機器、CDやMO等の画像記録装置の進歩に伴い画像処理における処理速度・処理精度といった処理技術は、目覚しく発展するに至っている。
そのような中、従来、目視検査に頼っていたパッケージ基板や半導体部品等の電子回路用部品の外観検査は、画像処理を用いた自動化へと技術転換がなされようとしている。尚、本明細書における電子回路用部品は、セラミックパッケージ基板やプラスチックパッケージ基板といった周知のパッケージ基板および、LSIやICチップといった半導体部品、チップキャパシタ、アンテナスイッチモジュール等を含む周知の電子部品を概念として含有する。
【0003】
上記外観検査に用いられる画像処理の方法としては、モノクロ処理による白黒2値化処理の方法と、カラー画像処理による方法とが種々検討されている。
また、カラー画像処理を用いた外観検査においては、白黒2値化処理を用いた場合に比べて外観上の微妙な色差の識別能力を高めることができる。そのため、構成原料による微妙な色差が表面に発生しやすい電子回路用部品の外観検査においては、カラー画像処理による方法が、特に有用な方法であることが認識されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−046651号公報
【特許文献2】特開平10−311713号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、カラー画像処理を用いて電子回路用部品の外観検査を行なった場合、白黒2値化処理を用いた場合に比べて、処理精度に関して次のような問題が特に顕在化してしまう。カラー画像は、3次元色空間座標系の独立した3つの座標成分のそれぞれ座標値にて表される。そのため、白黒2値化にて表される白黒の濃淡度に比べて、外観上の微妙な色差の識別能力が高まる訳である。しかしながら、この識別能力の向上により、検査画像と基準画像とを位置合わせした際の位置精度に起因した位置のズレ領域が、例えば差分処理やパターンマッチングなどにてカラー画像処理した際に、不良領域として過剰抽出されてしまう場合がある。図5の模式図を用いて具体的に説明すると、まず、電子回路用部品の所定の検査領域に対応する検査画像50を取得する。この検査画像50は、3次元色空間座標系をなす3つの独立した座標成分のうちの1座標成分を表すものである。また、検査画像50には、基板上の表面(以下、単に基板表面ともいう)60に形成された配線パターン61と、抽出すべき不良領域62が存在するものとする。そして、検査画像50を表す座標成分に対応する予め設定された基準画像51と、該検査画像50とを位置合わせした後、差分処理やパターンマッチングなどを用いてカラー画像処理が行なわれる。この際、位置合わせ精度に起因したズレ領域63は、カラー画像表示することにより、白黒2値化表示に比べて基板表面60や不良領域62に対して色差が明確化されたものとなる。そして、例えば、ズレ領域63と基板表面60との色差が、不良領域62と基板表面60との色差に近い場合、差分処理において、基板表面60とズレ領域63との色差を表す差分値が、基板表面60と不良領域62との色差を表す差分値に対して差が縮小化されるとともに、設定するしきい値の範囲外と判定されやすくなり、ひいては、ズレ領域が不良領域として過剰抽出される確率が増大してしまう。勿論、不良領域自体を抽出する処理精度は、カラー画像処理を行なうことで向上するが、さらに処理精度を高めるためには、このような過剰抽出を抑制させることが必須とされる。
【0006】
また、上記したズレ領域63が基板表面60に対して色差がより明確化されることで、該ズレ領域63が、パターンマッチングにおいても、白黒2値化処理では精度上見逃していた範囲またそれ以上に不良領域として過剰抽出されてしまうことになる。このように、位置あわせによる精度上のズレ領域が、白黒2値化表示に比べて、3次元色空間座標系によるカラー画像表示した場合、その識別能力が高められることにより、不良領域として過剰抽出される場合が高められてしまう。
【0007】
上述のごとくカラー画像処理を用いた外観検査のほうが、白黒2値化処理を用いた場合に比べてその処理精度は高いが、昨今の電子回路用部品の高密度化・高集積化に対応する形で、さらなる高精度化を図るためには、上記したズレ領域に起因する不領領域の過剰抽出を低減化させることは重要な課題とされる。本発明は、まさにこの課題を鑑みてなされたものであって、即ち本発明は、電子回路用部品の外観をカラー画像処理を用いて外観検査する際に、その処理精度の向上を可能とする電子回路部品の外観検査方法及び、該外観検査方法にて外観検査を行なう工程を有する電子回路用部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記課題を解決するための本発明の電子回路用部品の外観検査方法は、
電子回路用部品の検査面からの検査光をカラー受光部にて受光し、該カラー受光部の検知出力に基づいて前記検査面内の各位置における3次元色空間座標系の3つの座標成分よりなる検査面色情報を生成し、
該検査面色情報の3つの座標成分を表す第一検査面データおよび該第一検査面データを自身の3次元色空間座標系とは異なる3次元色空間座標系に座標変換させた第二検査面データにおける少なくとも1つの座標成分からなる第一画像処理データの各座標成分を表すデータと、
予め設定された良品基準色情報のうち前記第一画像処理データの各座標成分にそれぞれ対応するデータに対して最大値フィルタ処理を施した最大値良品基準データおよび最小値フィルタ処理を施した最小値良品基準データのうち少なくともいずれかの前記第一画像処理データの各座標成分に対応するデータと、
をそれぞれ減算処理することにより選定される第一不良候補領域に基づいて前記検査面における不良領域を特定することを特徴とする。
【0009】
上記本発明の電子回路用部品の外観検査方法は、その外観検査対象である、電子回路用部品の検査面の外観のカラー画像に対して、画像処理を施すことにより行なうものである。まず、検査面の外観のカラー画像を、検査面からの検査光をカラー受光部で受光することにより得るとともに、該カラー受光部より、そのカラー画像の入力信号に対する検知出力を出力させる。そして、該検知出力に基づいて、検査面内の各位置における3次元色空間座標系の3つの座標成分よりなる検査面色情報を生成させる。該検査面色情報は、検査面内の各位置、つまりは、検査面の外観のカラー画像を区画化した各画素の位置における、3次元色空間座標系をなす独立した3つの座標成分のそれぞれ座標値から構成されるものである。このように、検査面色情報は、検査面内の各位置の位置情報と、その位置におけるカラー画像情報とを含むものである。
【0010】
上記検査面色情報を生成させた後、該検査面色情報の3つの座標成分を表す第一検査面データおよび該第一検査面データを自身の3次元色空間座標系とは異なる3次元色空間座標系に座標変換させた第二検査面データにおける、少なくとも1つの座標成分からなる第一画像処理データを用意する。この第一検査面データは、検査面色情報と同じ3次元色空間座標系からなり、他方、第二検査面データは、第一検査面データとは異なる3次元色空間座標系からなるものである。電子回路用部品の外観を検査する際、検査対象によって有用とされる3次元色空間座標系の座標成分は変化する。そこで、その有用な座標成分に適宜対応する形で、第一検査面データおよび第二検査面データのうち少なくとも1つの座標成分から第一画像処理データは構成される。この第一画像処理データが、画像処理する際の検査画像をなす画像データとされるものである。そして、該検査画像に対して基準画像となるデータとしては、次のような形成のものを用いる。予め設定された良品基準色情報のうち第一画像処理データの各座標成分にそれぞれ対応するデータに対して最大フィルタ処理を施した最大値良品基準データおよび最小値フィルタ処理を施した最小値良品基準データのうち少なくともいずれかのデータを基準画像となるデータとして用いる。まず、良品基準色情報は、検査面内の各位置におけるカラー画像情報の各座標成分に対して、予め設定される良品基準値からなるものである。つまり、外観検査として画像処理する際に適宜選択される3次元色空間座標系のそれぞれ座標成分に対して、良品許容範囲内における所定の基準値を座標値として予め設定させたものである。
【0011】
そして、良品基準色情報における第一画像処理データの各座標成分に対応するデータに対して、最大値フィルタ処理を施した最大値良品基準データおよび最小値フィルタ処理を施した最小値良品基準データを用意する。このデータは良品基準色情報とともに予め作成しておくの処理時間の観点からもよい。ここで、最大値フィルタ処理および最小値フィルタ処理を図4の模式図を用いて具体的に説明する。良品基準色情報における第一画像処理データの1座標成分に対応した座標成分を表す基準画像51に対して、それぞれの画素70を走査する形で、例えば、自身を取り囲む最小の単位となる8画素を含めた9画素中における最大または最小の座標値の値に走査対象である画素(図4斜線部の画素)値を書き換える。この際に最大の座標値に書き換える処理が最大値フィルタ処理であり、最小の座標値に書き換える処理が最小値フィルタ処理である。この際、最大値、最小値を探索する画素の領域は、図4(b)に示すように、自身に最隣接する4画素を含めた5画素でもよいし、図4(c)に示すように、図4(a)に示すものの次に最隣接する4画素を含めた13画素の領域としてもよい。このように最大値、最小値を探索する画素の領域は、特に限定されるものではなく、基準画像51のより狭い領域に対して精緻にフィルタ処理する必要がある場合は、最大値、最小値を探索する画素の領域を小さくするといった具合に、必要に応じて適宜選択されるものである。また、これらフィルタ処理をする際に設定される、最大値、最小値を探索する画素の領域は、それぞれの画素を走査する時点での基準をなすものであって、例えば、図4(a)に示すように自身を取り囲む最小の単位となる8画素を含めた9画素を領域と設定した場合、基準画像上において頂点をなす画素においては、自身を取り囲む最小の単位の領域は4画素とされるといったものである。
【0012】
上記のようにして、良品基準色情報における第一画像処理データのそれぞれ座標成分に対応する基準画像をなすデータに対して、最大値フィルタ処理が施された最大値良品基準データおよび最小値フィルタ処理が施された最小値良品基準データが作成される。この最大値良品基準データおよび最小値良品基準データそれぞれがなすフィルタ基準画像は、例えば図6の模式図のようになる。ここでは、基板表面60に比べて配線パターン61の色度が小さい、つまりはそれぞれの画像領域における平均的な座標値を比べたとき、配線パターン61の方が小さい場合の模式図とされる。このように基準画像51に対して最大値フィルタ処理を施すことで、配線パターン61の画像領域は小さくなり、他方、最小値フィルタ処理が施すことで配線パターン61の画像領域は大きくなる。勿論、基板表面に比べて配線パターンの色度が大きい場合に、最小値フィルタ処理を施したものは、図6に示す最大値フィルタ処理を施したフィルタ基準画像と同様なものとなり、他方、最大値フィルタ処理を施したものは、図6に示す最小値フィルタ処理を施したフィルタ基準画像と同様なものとなる。
【0013】
そして、第一画像処理データの各座標成分を表すデータと、最大値良品基準データおよび最小値良品基準データのうち少なくともいずれかの第一画像処理データの各座標成分に対応するデータとをそれぞれ減算処理する。この際、例えば、第一画像データから、最大値良品基準データや最小値良品基準データを減算する場合は、最大値良品基準データを減算したものの値が正となるものを、最小値良品基準データを減算したものの値が負となるものを抽出する。勿論、最大値良品基準データや最小値良品基準データから、第一画像処理データを減算させる場合は、抽出すべき値の正負を逆にすればよい。そして、このように抽出されたデータに対応する検査面内の各位置の集合を、検査面における第一不良候補領域とする。ここで、最大値良品基準データや、最小値良品基準データを用いることによる効果について図7の模式図を用いて説明する。
図7は、それぞれ基板表面60および配線パターン61の画像領域における平均的な座標値を比べたとき、基板表面60の方が大きい場合のものである。また、ここでは、減算処理は、第一画像データから、最大値良品基準データや最小値良品基準データを減算する場合のみを考える。なお、図7は、第一画像データにおける1座標成分がなす検査画像(図中破線)と、該検査画像の座標成分に対応するフィルタ基準画像(図中実線)とを、重ねあわせたものである。そこで、図7上図の最大値良品基準データを用いた場合、抽出すべき不良領域62の平均的な座標値が配線パターン61や基板表面60よりも大きく、たとえ不良領域62と基板表面60との平均的な座標値の差分値が、配線パターン61と基板表面60との平均的な座標値の差分値に近い場合においても、第一画像処理データがなす検査画面と、最大値良品基準データがなすフィルタ基準画像との位置合わせ精度に起因したズレ領域は、減算処理にて少なくともゼロまたは負となるので、不良領域62のみが減算処理にて正の値として抽出されることなる。また、抽出すべき不良領域62の平均的な座標値が配線パターン61よりも小さく、たとえ不良領域62と基板表面60との平均的な座標値の差分値が、配線パターン61と基板表面60との平均的な座標値の差分値に近い場合においても、図7下図の最小値良品基準データを用いることで、検査画面とフィルタ基準画像との位置合わせ精度に起因したズレ領域は、減算処理にてゼロとなるので、不良領域62のみが減算処理にて負の値として抽出されることになる。
【0014】
また、例えば、それぞれ基板表面および配線パターンの画像領域における平均的な座標値を比べたとき、配線パターンの方が大きい場合は、図7上図の最大値良品基準データを最小値良品基準データとするとともに、抽出すべき不良領域62の平均的な座標値が配線パターン61や基板表面60よりも小さい場合を考えれば、同様の理由にて不良領域62のみが減算処理にて負の値として抽出されることになる。他方、図7下図の最小値良品基準データを最大値良品基準データとするとともに、抽出すべき不良領域62の平均的な座標値が配線パターン61や基板表面60よりも小さい場合を考えれば、同様の理由にて不良領域62のみが減算処理にて正の値として抽出されることになる。
【0015】
上述のように、最大値良品基準データや最小値良品基準データを用いた減算処理による画像処理を行なうことで、従来、問題であった検査画像と基準画像との位置合わせ精度に起因して配線パターンの周辺部に発生するズレ領域が、不良領域として過剰抽出されることを効果的に抑制することができる。そして、この減算処理により抽出されたデータに対応する検査面内の各位置の集合を、検査面における第一不良候補領域とするとともに、この選定された第一不良候補領域に基づいて検査面における不良領域を特定することになる。その結果、特定される不良領域は、上記減算処理を用いて選定した第一不良候補領域に基づくものであるので、その特定精度が効果的に高められたものとなる。
【0016】
上記のように、本発明においては、カラー画像処理を用いて行なわれる電子回路用部品の外観検査の処理精度を、効果的に高めることが可能とされる。カラー画像処理を用いた場合、当然、検査対象として抽出すべき不良領域が他の領域に比べて画像上、色差が大きい程よく、そのような3次元色空間座標系の座標成分が有用なものとして適宜選択されるとともに、該座標成分から本発明の第一画像処理データは構成される。しかしながら、検査画像と基準画像との位置合わせ精度に起因する不良領域の過剰抽出の兼ね合いより、実際問題として、検査対象として抽出すべき不良領域が他の領域に比べて画像上、色差が大きい程いいとは言えない側面もあったが、本発明に示す減算処理による画像処理を用いることにより、カラー画像の有用性を一段と高めることが可能となる。また、図7に示すように、減算処理の際に用いられるフィルタ基準画像の配線パターンと、検査画面の配線パターンとは、重なる領域が大きいほど、減算処理の効果が高められるので、位置合わせ精度によるズレ量を加味して、フィルタ処理するときの最大値、最小値を探索する画素の領域を適宜調整することが望ましい。
【0017】
次に本発明の電子回路用部品の外観検査方法における減算処理は、第一画像処理データの各座標成分において、最大値良品基準データを用いて処理される座標成分と、最小値良品基準データを用いて処理される座標成分とが含まれる処理であることを特徴とする。
【0018】
電子回路用部品の外観検査の対象となる不良領域としては、例えば、配線パターンが形成された基板表面上に発生する異物の付着、変色、クラック、表面の剥がれなど多くの検査項目からなるものであるので、不良領域と他の良品領域との色度の大小関係や色差を一義的に限定するのは困難な場合が多い。勿論、種々の予備実験やそれから得られる実験データなどから、ある程度、不良領域として発生しやすい項目および該不領領域と他の良品領域との色度の大小関係などを限定することは可能である。そのため、減算処理を、第一画像処理データの各座標成分において、最大値良品基準データを用いて処理される座標成分のみ、または、最小値良品基準データを用いて処理される座標成分のみとする処理としても、その減算処理による効果を得ることはできる。しかしながら、特には、減算処理を、最大値良品基準データおよび最小値良品基準データの両者を用いて処理されるものとすることで、さらに、その効果を高めることが可能となる。つまり、不良領域と他の良品領域との色度の大小関係により大別される両者の不良領域を、偏りなく精度よく特定することが可能となるとともに、その特定精度をさらに高めることが可能となる。
【0019】
次に、本発明の電子回路用部品の外観検査方法における減算処理は、1つの座標成分に対して行なう前記最大値良品基準データまたは前記最小値良品基準データを用いた処理を処理数の単位としたとき、その処理数が2つとされることを特徴とする。なお、ここでいう減算処理の処理数とは、例えば、第一画像処理データにおける1つの座標成分のデータと、該座標成分に対応する最大値良品基準データにおけるデータとを減算処理した場合に、その処理数を1とするといったものである。
【0020】
上記したように、減算処理は、第一画像処理データにおける各座標成分と、最大値良品基準データおよび最小値良品基準データのうちの少なくともいずれかの第一画像処理データの各座標成分に対応するデータとをそれぞれ減算する処理である。その場合、第一画像処理データを構成する座標成分としては、その成分が多いほど、減算処理の効果ひいては特定すべき不良領域の特定精度は上がる。しかしながら、電子回路用部品の外観検査は、大量の電子回路用部品に対して順次処理していかなければならず、その処理時間の短縮化は、処理精度とともに重要な問題とされる。そこで、減算処理は、1つの座標成分に対して行う最大値良品基準データまたは最小値良品基準データを用いた処理を処理数の単位としたとき、その処理数を2つとすることが望ましい。減算処理の処理数を2つとすることで、その処理による効果を十分に得ることができるとともに、処理時間の過度の増大を抑制し、その処理時間の短縮化を図ることが可能となる。ここで、減算処理の処理数を2つとした場合、例えば、第一画像処理データの2つの座標成分に対して、それぞれ最大値良品基準データを用いた減算処理とする、または、それぞれ最小値良品基準データを用いた減算処理とする、または、一方を最大値良品基準データ、他方を最小値良品基準データを用いた減算処理とするなどにて減算処理が行なわれることになる。上記のように外観検査の対象となる不良領域と他の良品領域との色度の大小関係や色差を一義的に限定することは困難な場合が多い。そこで、第一画像処理データの2つの成分に対して、それぞれ最大値良品基準データを用いた減算処理または、それぞれ最小値良品基準データを用いた減算処理とした場合は、抽出すべき不良領域が、他の良品領域との色度の大小関係において、どちらかに偏りがあるとき、減算処理の効果が十分に高められる。また、第一画像処理データの2つの成分に対して、一方を最大値良品基準データ、他方を最小値良品基準データを用いた減算処理とした場合は、抽出すべき不良領域が、他の良品領域との色度の大小関係において、どちらかに偏りがないとき、減算処理の効果が十分に高められる。このように、電子回路用部品の外観検査をする際の検査対象にあわせて、減算処理の際に使用する座標成分やデータの種類は、適宜選択されるものである。なお、第一画像処理データの1つの座標成分に対して、それぞれ最大値良品基準データおよび最小値良品基準データを用いて減算処理するという方法でも勿論よい。この場合は、1つの座標成分にて、特定すべき不良領域と、他の良品領域との色差が明確化されやすいものに有効となる。
【0021】
次に、本発明においては、最大値良品基準データまたは最小値良品基準データのそれぞれ座標成分を表すデータの大きさに合わせて、該座標成分に対応する第一画像処理データのそれぞれ座標成分を表すデータは、その大きさのレベルが補正されてなることを特徴とする。
【0022】
電子回路用部品の外観検査の対象とする検査面においては、たとえ同種の製品における同一の検査面を対象とした場合においても、基板表面に発生する色差のばらつきが発生しやすく、例えば、基板表面や配線パターンなどの良品領域と不良領域との色差のばらつきが過度に大きくなる場合がある。このこのとは、減算処理による効果が抑制されることに繋がる。そこで、最大値良品基準データまたは最小値良品基準データのそれぞれ座標成分を表すデータの大きさ、つまりは、座標値に合わせて、該座標成分に対応する第一画像処理データのそれぞれ座標成分の座標値の大きさを、レベル補正しておく。その結果、基板表面や配線パターンなどの良品領域と不良領域との色差のばらつきを効果的に抑制することが可能となるとともに、減算処理による効果をより有用にすることができる。レベル補正の処理としては、例えば、第一検査面データおよび第二検査面データのうち第一画像処理データをなす各座標成分に対応する座標成分において、検査面の所定領域を表すデータと、該領域に対応する最大値良品基準データまたは最小値基準データの各座標成分におけるデータとを、同一座標成分に対してその座標値を基に比較し、その比較結果に合わせて、第一画像処理データをなす各座標成分の座標値のレベルを補正するといった方法にて行なうことができる。ここで、レベル補正するための検査面の所定領域としては、例えば、基板表面のある領域(例えば100×100画素)と配線パターンのある領域(例えば50×50画素)との組あわせからなるといったように、個別の複数領域から構成することもできる。その場合、個別の領域に対して各自レベル補正を行なうといった方法を用いることもできる。また、レベル補正するために行なわれる、検査面の所定領域に対応するデータを用いた比較処理は、所定領域に対応するデータの座標値の平均をとったものや、所定の重みをつけて平均化したものや、フーリエ変換したものを用いて比較処理するといったように特に限定されず、公知のものを用いることができる。このように、レベル補正の処理方法や、レベル補正するための検査面の所定領域(画素領域)は特に限定されず、第一画像処理データを、基板表面や配線パターンなどの良品領域と不良領域との色差のばらつきが効果的に抑制されたものとすることが第一に重要とされる。
【0023】
次に、本発明においては、第一検査面データおよび第二検査面データのうち第一画像処理データを構成しない座標成分における少なくとも1つの座標成分を表す第二画像処理データと、
予め設定された良品基準色情報のうち第二画像処理データの座標成分に対応した良品基準データと
を差分処理またはパターンマッチング処理することにより選定される第二不良候補領域を含めて不良領域を特定することを特徴とする。
【0024】
上記の減算処理にて選定される第一不良候補領域に加えて、さらに、差分処理やパターンマッチング処理に選定される第二不良候補領域を含めて、検査面の不良領域を特定することで、さらにその特定精度を高めることができる。ここで、差分処理やパターンマッチグ処理にて用いられる検査画像データは、第一検査面データおよび第二検査面データのうち第一画像処理データを構成しない座標成分からなる第二画像処理データとすることが重要である。つまり、検査面における不良領域と良品領域との色差が大きい座標成分が、第一画像処理データの座標成分として、第一検査面データおよび第二検査面データから適宜選択される。よって、該第一画像処理データを構成する座標成分以外の座標成分から第二画像処理データを構成することで、検査画像と基準画像との位置合わせ精度に起因する、例えば配線パターンの周辺部のズレ領域が不良領域として過剰抽出されることが自然と抑制されるとともに、減算処理では選定できなかった不良個所を、差分処理やパターンマッチング処理といった別の処理手段で効果的に抽出することを可能とする。このように、差分処理やパターンマッチングによる画像処理を行なうことで、減算処理では選定できなかった、例えば配線パターン上の不良領域や基板表面上の不良領域などの不良個所を、効果的に選定できるわけだが、特には、配線パターンの周辺部のズレ領域が不良領域として過剰抽出される割合を加味して、適宜、第二画像処理データとして採用する座標成分は選択されるものである。
【0025】
ここまでに、本発明においては、少なくとも、フィルタ処理を施したデータにて減算処理を行なうことで、その不良領域を特定する特定精度が効果的に高まることについて述べてきた。そこで、次に、この減算処理や、さらには、差分処理やパターンマッチングによる画像処理にて用いられる3次元色空間座標系について述べる。第一としては、公知の3次元色空間座標系であれば、特に限定されるものではないが、その中においても、第一検査画像データつまりは、検査面色情報をなす3次元色空間座標系は、光の三原色である赤R、緑Gおよび青Bを座標成分とするRGB座標系とするのが好適である。なぜなら、外観をカラー撮像するためのカラー受光部としては、CCDカメラが多く用いられており、その検知出力の信号は、RGB座標系に対応したものとされるからである。このように、検査面色情報を、RGB座標系からなるものとすることで、カラー受光部からの検知出力データに基づいて検査面色情報を生成する際に、座標変換する必要がなく、外観検査の処理時間を短縮化することが可能となる。次に、第一検査面データを座標変換することにより作成される第二検査面データは、色相H、彩度Sおよび明度Iを座標成分とするHSI座標系とするのが好適である。なぜなら、電子回路用部品の良品基準値からなる良品基準色情報は、目視により得られた判定基準を基に設定する必要があり、HSI座標系が、人の色感覚に近いものとされるからである。つまりは、第二検査面データを、HSI座標系とすることで、その良品基準値とされる良品基準色情報の判定基準がより精度よく設定されることになり、ひいては、外観検査の処理精度を高めることが可能となる。
【0026】
勿論、第一検査面データおよび第二検査面データは、上述の3次元色空間座標系に限定されるわけではなく、例えば、RGB座標系およびHSI座標系は、それぞれ独立した3つの座標成分からなるが、該座標成分に従属する座標成分を加えた、4つ以上の座標成分よりなるものとすることも可能である。このように、第一検査面データおよび第二検査面データをなす3次元色空間座標系は、第一には、外観検査処理において、必要とされる処理精度および処理時間を考慮して、適宜公知のものから選択されればよい。
【0027】
ここまでに、本発明の電子回路用部品の外観検査方法について述べた。次に、このような外観検査方法により、電子回路用部品の外観検査を行なう外観検査工程を有する本発明の電子回路用部品の製造方法について述べる。まず、配線パターンを基板上に形成させる工程にて、電子回路用部品の素子機能に応じた配線パターンが形成される。このような配線パターンが形成された基板表面上の外観に対して、異物の付着、変色、クラック、表面の剥がれ等の不良領域を外観検査する必要がある。そこで、この配線パターンが形成された基板表面上の検査面に対する外観検査を、上記したような外観検査方法を用いた判定工程にて行なう。該判定工程においては、まず、上記した外観検査方法と同様の方法を用いて、検査面における不良領域の特定を行なう。そして、さらに、特定された不良領域に対応する配線パターンの各部位における面積、長さ等の形状をそれぞれ評価することで、最終的な良否判定を行なう。このような作業工程にて基板表面上の検査面の外観に対する判定工程を行なうことで、その外観検査の処理精度を向上させることできる。その結果、製造される電子回路用部品を製品とする際の信頼性とともにその品質を高いものとすることが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明を行なう。
図1は、本発明の電子回路用部品の外観検査方法を行う際に使用し得る外観検査装置の一例を示す概略構成図である。外観検査装置100は、電子回路用部品1を載置するステージ20を具備してなる。また、ステージ20は、移動制御装置50からの電力により、電子回路用部品1の位置決め及び搬送を、自動的に行なうことができる。外観検査装置100は、その他に、光源30からの光を電子回路用部品1の検査面上に照明させるための照明装置40、カラー受光部2および画像処理装置11などを含んだ構成とされる。カラー受光部2は、外観検査対象となる電子回路用部品1の検査面の外観のカラー画像を撮像し、その検査面の各位置それぞれに対応した各画素にてカラー画像の入力信号を検知するとともに、各画素におけるカラー画像を表す3次元色空間座標系の3つの座標成分それぞれに対応する検知出力の信号を画像処理装置11に出力する機能を持つ。次に、画像処理装置11は、図3に示すように、演算処理等の機能をなすCPU13、データを記憶する機能をなすメモリ14、データを保管および蓄積する機能をなすハードディスク15、カラー受光部2から出力される、カラー画像を表す3次元色空間座標系の3つの座標成分それぞれに対応する検知出力の信号を取り込むとともに、そのアナログ信号をデジタル信号にA/D変換させる機能を持つ画像取込ボード16、および、取込画像や処理状態等を表示するモニター12などを有してなる。このような画像処理装置11により、画像データの作成、画像処理等を行なうことができる。なお、図1および図3における画像処理装置11の形態は、パーソナルコンピューター(PC)を主体としたものとなっているが、PCの代わりにワークステーションなど汎用コンピューターを使用することもできる。また、画像取込および処理機能を特化させた画像処理装置を、コンピューターに外部接続させる形態にて機能させることもできる。さらに、ハードディスク15を、ここでは補助記憶装置として位置づけているが、この補助記憶装置としてのハードディスクをMO、CD−R、CD−RWなどのリムーバル記憶媒体、または、LANなどで接続された外部の記憶媒体に置き換えることもできる。一方、メモリ14は、画像データの記憶ならびに画像処理、演算処理等に用いられるが、これらメモリ14の機能をハードディスク15にてなすことも勿論可能である。
【0029】
次に、図1、図2および図3を併用して本発明の外観検査方法について説明を行なう。図2は、外観検査方法の一作業手順を示すものである。ステージ20に載置された電子回路用部品1の検査面に対して、光源30からの光を照明装置40を介して照射し、電子回路用部品1の検査面の外観のカラー画像をカラー受光部2にて撮像するとともに、その検査面の各位置に対応する各画素における、カラー画像を表す3次元色空間座標系の3つの座標成分それぞれに対応する検知出力の信号を画像処理装置11に出力する。そして、画像処理装置11の画像取込ボード16にて、入力された検知出力の信号を、A/D変換するとともに、デジタル信号としての検査面色情報を生成する。この検査面色情報は、検査面の各位置、つまりは、検査面の外観のカラー画像を区画化した各画素の位置における、3次元色空間座標系の独立した3つの座標成分それぞれに対応した3つの色空間座標値から構成されるものである。このように、検査面色情報は、検査面の各位置の位置情報と、その各位置におけるカラー画像情報とを含むものである。このような検査面色情報を画像取込ボード16を介して、検査面のカラー画像の情報として、画像処理装置11に取り込む。この作業がステップ1にあたる。
【0030】
ステップ1にて画像処理装置11に入力された検査面色情報を、画像処理装置11のメモリ14に第一検査画像として保管しておく。そして、予めメモリ14に読み込ませておいた基準画像と比較し、第一検査画像において位置ズレがある場合は、そのズレ量を画像処理装置11にて計算する。その後、該ズレ量を基に第一検査画像の位置補正を行い、第一検査面データとしてメモリ14に保管する。この作業がステップ2にあたる。
【0031】
ステップ2にてメモリ14に保管した第一検査面データを、自身の3次元色空間座標系とは異なる3次元色空間座標系に、CPU13およびメモリ14を用いた演算処理にて座標変換するとともに、その処理結果を第二検査面データとしてメモリ14に保管する。そして、これら第一検査面データおよび第二検査面データにおける少なくとも1つの座標成分からなる第一画像処理データを画像処理装置11を用いて作成するとともに、メモリ14に保管する。また、第一検査面データおよび第二検査面データを構成する検査面の各位置におけるカラー画像情報の各座標成分それぞれに対して、良品許容範囲内の良品基準値を予め設定させておくとともに、これら良品基準値からなる良品基準色情報を予めメモリ14に読み込ませておく。そして、さらに、この良品基準色情報における各座標成分それぞれに対して、CPU13およびメモリ14を用いた演算処理にて、それぞれ最大値フィルタ処理および最小値フィルタ処理を施すとともに、それぞれの処理結果を、最大値良品基準データおよび最小値良品基準データとしてメモリ14に予め保管しておく。そして、第一画像処理データの各座標成分を表すデータと、最大値良品基準データおよび最小値基準データのうち少なくともいずれかの第一画像処理データの各座標成分に対応するデータとを、CPU13およびメモリ14を用いて減算処理を行い、所定のしきい値を超えた値(例えば正)または未満の値(例えば負)となったデータを抽出するという画像処理を行なう。この画像処理にて抽出されたデータに対応する検査面内の各位置の集合を、第一不良候補領域とする。この作業が、ステップ3の第一不良候補領域選定にあたる。また、ここで抽出されたデータは、第一抽出データとしてメモリ14に保管しておく。
【0032】
そして、ステップ3の作業の後、選定された第一不良候補領域に基づいて、不良領域を特定する。この際、例えば、第一検査面データおよび第二検査面データのうち第一画像処理データを構成しない座標成分からなる第二画像処理データを用いて、差分処理やパターンマッチング処理することにより第二不良候補領域を選定した場合、この第二不良候補領域も含めて、不良領域を特定することになる。つまり、第一不良候補領域のみの場合は、第一不良候補領域と不良領域とは同一領域のものである。この第二不良候補領域の選定の画像処理も含めて、ステップ4にて、不良領域の特定がなされる。
【0033】
次に、ステップ4の作業の後、選定された第一不良候補領域に対応するメモリ14に保管しておいた第一抽出データを用いて、電子回路用部品1の検査面内において不良領域とされた各部位それぞれの面積、長さを画像処理11にて解析を行ない、形状評価データを作成する。該形状評価データから、電子回路用部品1の検査面内に形成された配線パターンの各部位ごとに設定されたしきい値を超えるものが抽出された場合、その電子回路用部品1を不良と判定する。この作業が、ステップ5の形状評価による良否判定にあたる。
【0034】
上記の作業手順には記載していないが、良品基準色情報を構成する各座標成分がなす良品基準画像は、予め、上述した位置補正にて用いた基準画像と比較することにより、位置補正がなされたものである。また、当然であるが、電子回路用部品1において外観検査の対象とされない領域には、予めマスク処理が施されてなる。さて、上記の作業手順により、電子回路用部品1の外観検査が行なわれるが、この作業手順は一例にすぎない。位置補正や、画像処理装置11におけるデータの作成、演算処理および解析の方法・手順は、公知のものが適用可能である。また、ステップ4の不良領域の特定の際に、差分処理やパターンマッチングによる画像処理にて選定した第二不良候補領域を用いることも可能である。
【0035】
次に、第一検査面データや第二検査面データに用いられる3次元色空間座標系の具体例および、ステップ4にて差分処理やパターンマッチングを行なう際の具体例を合わせて、以下に本発明の外観検査方法の実施例について説明を行なう。
【0036】
(実施例1) カラー受光部2として、光の三原色(赤R、緑G、青B)別に、カラー画像を取り込めるものを用いる。例えば、CCD型の3板式カラーラインセンサカメラなどを用いる。図8に示すように、このようなラインセンサカメラ2を用いて電子回路用部品1を載置したステージ20をカメラスキャン方向とは垂直方向とされるX方向に移動させることにより、電子回路用部品1の検査面の外観のカラー画像を、R、G、B別に検査面色情報として画像処理装置11に取り込む。また、R、G、B別の各取り込み画像は、図8に示すように、画素を最小単位として構成され、各画素の大きさは、使用するラインセンサカメラ2の種類やレンズの種類により決まる分解能にて規定される。一方、R、G、B別にラインセンサカメラ2より画像処理装置11に出力される検知出力の出力値を表す輝度の大きさは、画像処理装置11にて、例えば、0〜255の1バイトのデジタル値に変換される。このようにして、検査面の各位置にそれぞれが対応した各画素の位置における、R、G、B座標成分それぞれに対応した座標値から構成される検査面色情報を、画像処理装置11に取り込む。また、該検査面色情報は、検査面の各位置の位置情報と、その各位置におけるRGB座標系にて表されるカラー画像情報とを含むものとされる。
【0037】
次に、画像処理装置11に入力された検査面色情報を、画像処理装置11のメモリ14に第一検査画像として保管しておく。そして、予めメモリ14に読み込ませておいた基準画像と比較し、第一検査画像において位置ズレがある場合は、そのズレ量を画像処理装置11に計算する。その後、該ズレ量を基に第一検査画像の位置補正を行ない、第一検査面データとしてメモリ14に保管する。
【0038】
上記位置補正を行なった後、メモリ14に保管された第一検査面データを、自身のRGB座標系とは異なるHSI座標系に、CPU13およびメモリ14を用いた演算処理にて座標変換するとともに、その処理結果を第二検査面データとしてメモリ14に保管する。ここで、第一検査面データは、カラー画像情報として、R、G、B座標成分の3つの座標成分を有し、他方、第二検査面データは、H(色相)、S(彩度)、I(明度)座標成分の3つの座標成分を有するものとされる。また、色相Hは、色合いを表すものであり、図9(a)に示すように、周方向に対してR(赤)、Y(黄)、G(緑)、C(シアン)、B(青)、M(マゼンダ)が規定され、その中心に対する角度により色合いが定義されるものである。そこで、該色合いを示す0〜360度の範囲からなる角度を、0〜255(1バイト)の値に割り充てたものを、H座標成分の座標値とする。例えば、Rを0とすると、Gが85、Bが170となり、255で再びRとなる。次に、図9(b)のHSI座標系に示すように、色の鮮やかさを表す彩度Sは、中心からの長さにて定義されるものである。そこで、その長さを、0〜255(1バイト)の値に割り充てたものを、S座標成分の座標値とする。最後に、色の明るさを表す明度Iは、中心軸上の位置で定義されるものである。そこで、その位置を、0〜255(1バイト)の値に割り充てたものを、I座標成分の座標値とする。
【0039】
上記のようにそれぞれの座標成分の座標値が規定された、第一検査面データおよび第二検査面データにおける少なくとも1つの座標成分からなる第一画像処理データを画像処理装置11を用いて作成するとともに、メモリ14に保管する。また、第一検査面データおよび第二検査面データを構成する検査面の各位置におけるカラー画像情報の各座標成分それぞれに対して、良品許容範囲内の良品基準値を予め設定させておくとともに、これら良品基準値からなる良品基準色情報を予めメモリ14に読み込ませておく。そして、上記第一検査画像の位置補正に用いた基準画像を基に、良品基準色情報は位置補正がなされたものとされる。勿論、該良品基準色情報を基準画像として用いることもできる。次に、このような良品基準色情報における各座標成分に対して、CPU13およびメモリ14を用いた演算処理にて、それぞれ最大値フィルタ処理および最小値フィルタ処理を施すとともに、それぞれの処理結果を、最大値良品基準データおよび最小値良品基準データとしてメモリ14に予め保管しておく。そして、第一画像処理データの各座標成分を表すデータと、最大値良品基準データおよび最小値良品基準データのうち少なくともいずれかの第一画像処理データの各座標成分に対応するデータとを、CPU13およびメモリ14を用いて減算処理を行ない、例えば、最大値良品基準データを用いたものは正の値のものを、最小値良品基準データを用いたものは負の値のものを、データ抽出するという画像処理を行なう。この画像処理にて抽出されたデータに対応する検査面内の各位置の集合を、第一不良候補領域とする。そして、ここで抽出されたデータを、第一抽出データとしてメモリ14に保管する。
【0040】
また、上記減算処理する前に、第一画像処理データの各座標成分のデータの大きさ(座標値)を、最大値良品基準データまたは最小値良品基準画像データを用いてレベル補正しておくこともできる。このようにレベル補正することで、減算処理にて選定される第一不良候補領域の処理精度を高めることができる。ここで、レベル補正する方法としては、例えば、検査面の所定領域に対応する第一画像処理データの各座標成分のデータと、その領域に対応する最大値良品基準データまたは最小値良品基準データのデータとを、それら座標値の平均値を比較して、その差分値をもとに第一画像処理データの大きさを補正するといった方法がとられる。また、レベル補正としては、第一画像処理データと、最大値良品基準データおよび最小値良品基準データとをそれぞれ比較した後、両者の比較結果を基に行なうことも可能である。さらに、第一画像処理データと、それぞれ最大値良品基準データおよび最小値良品基準データとを個別に比較し、それぞれの比較結果を基にレベル補正した処理結果を、それぞれデータとしてメモリに保管しておいてもよい。この場合は、減算処理する際に用いられる、最大値良品基準データや最小値良品基準データにあわせてレベル補正したそれぞれのデータを使用することになる。なお、レベル補正としては、第一画像処理データと良品基準色情報とを比較して行なうこともできる。
【0041】
上記減算処理による画像処理にて選定された第一不良候補領域に基づいて、検査面の不良領域を特定する。第一不良候補領域のみを用いる場合は、この第一不良候補領域を不良領域とする。このようにして、検査面の不良領域の特定がなされる。この不良領域の特定にあたって、使用される第一画像処理データの座標成分は、対象とする電子回路用部品の種類や、不良領域の項目により有用とされるものが適宜選択される。例えば、電子回路用部品の外観が、緑(G)色に近いものである場合は、第一画像処理データを、少なくともG成分が含むようにする。または、外観が白色に近いものである場合は、少なくともI(明度)が含むようにするといった様に、第一画像データを構成する座標成分の種類や成分数は適宜決定されるものである。また、検査面における良品領域と不良領域との色度の大小関係などにより、減算処理にて最大値良品基準データおよび最小値良品基準データの少なくともいずれかが適宜選択されることになる。
【0042】
上記のような減算処理による画像処理にて外観検査を行なうことで、電子回路用部品における種々の検査項目に対しても、それら検査項目に適宜対応する形で、その処理精度を高めることが可能となる。次に、不良領域を特定する際に、第一不良候補領域以外の第二不良候補領域をも用いる場合について述べる。
【0043】
(実施例2) 第一不良候補領域を選定するまでの手順は、実施例1と同様の手順にて行なう。そして、この第一不良候補領域の選定とは別に、差分処理やパターンマッチングによる画像処理にて第二不良候補領域の選定を行なう。まず、第一検査面データおよび第二検査面データのうち第一画像処理データを構成しない少なくとも1つの座標成分からなる第二画像処理データを、画像処理装置11を用いて作成するとともにメモリ14に保管する。そして、予めメモリ14に読み込ませておいた良品基準色情報のうち第二画像処理データの座標成分に対応する良品基準データを作成するとともに、該良品基準データと第二画像処理データとをそれぞれ同じ座標成分に対して、CPU13およびメモリ14を用いて、差分処理またはパターンマッチングによる画像処理を行ない、所定のしきい値を超えたデータを抽出する。この画像処理にて抽出されたデータに対応する検査面内の各位置の集合を、第二不良候補領域とする。また、ここで抽出されたデータは、第二抽出データとしてメモリ14に保管しておく。
【0044】
上記のように第二不良候補領域を抽出した後、第一不良候補領域とあわせた領域が不良領域として特定されることになる。そして、第一不良候補領域を表す第一抽出データと、第二不良候補領域を表す第二抽出データとを用いて、上記した形状評価と同様の方法による良否判定を行なうことで、最終的な電子回路用部品の良否がなされる。
【0045】
第二不良候補領域を選定する際に用いる第二画像処理データの座標成分としては、勿論、第一不良候補領域では選定しきれない不良領域を効果的に選定できる座標成分が適宜選択されることになる。例えば、図10の模式図を参照して、検査面色情報をなす取込画像70において、基板表面60の外観が緑(G)成分で、基板表面60に赤(R)成分を主体とした不良領域62が存在する場合を考える。まず、第一画像処理データとして、少なくともR成分を選択すれば、減算処理にて領域81のような領域が第一不良候補領域として選定される。次に、第二画像処理データとして色相Hを選択して、差分処理またはパターンマッチングによる画像処理を行うことにより、領域82のような領域が第二不良候補領域として選定される。図10に示すように、第二不良候補領域では、第一不良候補領域で選定されなかった不良領域が選定される場合があり、第一不良候補領域と第二不良候補領域との論理和を求めるなどすることにより、領域83が不良領域として特定されるので、不良領域の特定精度をさらに高めることが可能となる。その結果、外観検査の処理精度をさらに高めることが可能となる。
【0046】
上述してきた本発明の外観検査方法を用いることで、電子回路用部品の検査面に対して行なわれる外観検査の検査精度を高めることが可能となる。また、電子回路用部品の素子機能に応じた配線パターンが基板上に形成された、該基板上の外観に対して、異物の付着、変色、クラック、表面の剥がれ等を外観検査する判定工程を有する電子回路用部品の製造方法においても、該判定工程を本発明の外観検査方法と同様な方法を用いて行なうことで、その外観に対する検査精度を向上させることができる。
【0047】
尚、上述した本発明に係わる実施形態および実施例は、あくまで一例であって、電子回路用部品の検査面の外観検査において、最大値フィルタ処理および最小値フィルタ処理がなされたいずれかのデータを用いた減算処理を画像処理とし行なう概念のものは、本発明の概念に内包されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の外観検査方法に使用し得る外観検査装置の一例を示す概略構成図。
【図2】本発明の外観検査方法の一作業手順を示す概略工程図。
【図3】本発明の外観検査装置の要部の概略構成図。
【図4】本発明の外観検査方法を説明するための模式図。
【図5】従来の外観検査方法による不具合を説明するための模式図。
【図6】本発明の外観検査方法を説明するための模式図
【図7】本発明の外観検査方法を説明するための模式図。
【図8】本発明の外観検査方法を説明するための模式図。
【図9】本発明の外観検査方法に用いられる3次元色空間座標系を説明するたもの模式図。
【図10】本発明の外観検査方法を説明するための模式図。
【符号の説明】
1 電子回路用部品
2 カラー受光部(ラインセンサカメラ)
11 画像処理装置
100 外観検査装置

Claims (8)

  1. 電子回路用部品の外観検査方法であって、
    電子回路用部品の検査面からの検査光をカラー受光部にて受光し、該カラー受光部の検知出力に基づいて前記検査面内の各位置における3次元色空間座標系の3つの座標成分よりなる検査面色情報を生成し、
    該検査面色情報の3つの座標成分を表す第一検査面データおよび該第一検査面データを自身の3次元色空間座標系とは異なる3次元色空間座標系に座標変換させた第二検査面データにおける少なくとも1つの座標成分からなる第一画像処理データの各座標成分を表すデータと、
    予め設定された良品基準色情報のうち前記第一画像処理データの各座標成分にそれぞれ対応するデータに対して最大値フィルタ処理を施した最大値良品基準データおよび最小値フィルタ処理を施した最小値良品基準データのうち少なくともいずれかの前記第一画像処理データの各座標成分に対応するデータと、
    をそれぞれ減算処理することにより選定される第一不良候補領域に基づいて前記検査面における不良領域を特定することを特徴とする電子回路用部品の外観検査方法。
  2. 前記減算処理は、前記第一画像処理データの各座標成分において、前記最大値良品基準データを用いて処理される座標成分と、前記最小値良品基準データを用いて処理される座標成分とが含まれる処理であることを特徴とする請求項1記載の電子回路用部品の外観検査方法。
  3. 前記減算処理は、1つの座標成分に対して行なう前記最大値良品基準データまたは前記最小値良品基準データを用いた処理を処理数の単位としたとき、その処理数が2つとされることを特徴とする請求項1または2に記載の電子回路用部品の外観検査方法。
  4. 前記最大値良品基準データまたは前記最小値良品基準データのそれぞれ座標成分を表すデータの大きさに合わせて、該座標成分に対応する前記第一画像処理データのそれぞれ座標成分を表すデータは、その大きさのレベルが補正されてなることを特徴とする前記請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子回路用部品の外観検査方法。
  5. 前記第一検査面データおよび前記第二検査面データのうち前記第一画像処理データを構成しない座標成分における少なくとも1つの座標成分を表す第二画像処理データと、
    予め設定された良品基準色情報のうち前記第二画像処理データの座標成分に対応した良品基準データと、
    を差分処理またはパターンマッチング処理することにより選定される第二不良候補領域を含めて前記不良領域を特定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子回路用部品の外観検査方法。
  6. 前記第一検査面データは、光の三原色である赤R、緑Gおよび青Bを座標成分とするRGB座標系からなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子回路用部品の外観検査方法。
  7. 前記第二検査面データは、色相H、彩度Sおよび明度Iを座標成分とするHSI座標系からなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子回路用部品の外観検査方法。
  8. 基板上に配線パターンを形成する工程と、
    該配線パターンが形成された基板上の検査面からの検査光をカラー受光部にて受光し、該カラー受光部の検知出力に基づいて前記検査面内の各位置における3次元色空間座標系の3つの座標成分よりなる検査面色情報を生成し、該検査面色情報の3つの座標成分を表す第一検査面データおよび該第一検査面データを自身の3次元色空間座標系とは異なる3次元色空間座標系に座標変換させた第二検査面データにおける少なくとも1つの座標成分からなる第一画像処理データの各座標成分を表すデータと、予め設定された良品基準色情報のうち前記画像処理データの各座標成分にそれぞれ対応するデータに対して最大値フィルタ処理を施した最大値良品基準データおよび最小値フィルタ処理を施した最小値良品基準データのうち少なくともいずれかの前記第一画像処理データの各座標成分に対応するデータとをそれぞれ減算処理することにより第一不良候補領域を選定し、この第一不良候補領域に基づいて前記検査面における不良領域を特定し、その特定された不良領域に基づいて配線パターンの良否判定を行なう判定工程と、
    を含むことを特徴とする電子回路用部品の製造方法。
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