JP2004162483A - 可撓ゴム継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属製の枠体を使用せずに連結部の組み立て、コンクリートの打設等の作業を行うことができ、かつコンクリート表面と接する部分の漏水防止効果を著しく向上させた新規な可撓ゴム継手を提供する。
【解決手段】地下空間を区画する函体の連結部に沿って配置される可撓ゴム継手10として、長手方向xに連なる湾曲部11と、湾曲部11の両側の裾部12から外方へと延びて長手方向xに連なる略板状の一対のフランジ部13とを備えるものであって、当該フランジ部13が、その湾曲部11側の表面において長手方向xに連なる凸条14を備えるものとする。
【選択図】 図1
【解決手段】地下空間を区画する函体の連結部に沿って配置される可撓ゴム継手10として、長手方向xに連なる湾曲部11と、湾曲部11の両側の裾部12から外方へと延びて長手方向xに連なる略板状の一対のフランジ部13とを備えるものであって、当該フランジ部13が、その湾曲部11側の表面において長手方向xに連なる凸条14を備えるものとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共同溝、地下鉄道、地下道路、地下駐車場等の、函体を連結して形成される地下構造物において、当該地下構造物の連結部の止水に用いられる可撓ゴム継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、開削工法によって形成される共同溝、地下鉄道、地下道路、地下駐車場等の地下構造物は、地下空間を区画する函体を連結して、その連結部にゴム製の止水部材である可撓ゴム継手が配置されている。
従来、地下構造物の連結部60は、例えば図9に示すように、一対の金属枠体61を開渠66内に配置して、当該金属枠体61に断面略Ω字状の可撓ゴム継手62を取り付けた後、金属枠体61を堰板として使用しつつコンクリートを打設することによって形成される。可撓ゴム継手62は、押え板63と、コンクリート体67中に埋設されるアンカーボルト64とによって金属枠体61に強固に固定されて、地下空間68を区画する函体69と一体化される。なお、図9(b) は図9(a) のF−F矢視図である。また、図9(b) 中の符号65は目地材を示す。
【0003】
一方、本出願人らは、先に、金属枠体を用いずに、可撓ゴム継手自体を堰板として直接コンクリートを打設する、地下構造物の連結構造の施工方法と、それに用いる可撓ゴム継手を提案している(特許文献1)。特許文献1に記載の可撓ゴム継手70は、例えば図10に示すように、連結部に沿って延びる断面略逆U字状の湾曲部71と、湾曲部の両側の裾部72から外方へと延びかつ連結部に沿って(長手方向に)延びる一対のフランジ部73と、湾曲部の両方の裾部72間に架設されて湾曲部71との間に閉じられた空間75を区画する底部74とを備えるものである。図10中、符号63,64,65および67は図9と同じである。
【0004】
この可撓ゴム継手70は、例えば図11に示すように、連結板76や間隔保持材77を取り付けることによって剛性を付与し、一対のフランジ部73を断面略V字状に固定した上で、連結部の形成作業に用いられる。従って、金属枠体を使用することなく、しかも、フランジ部73自体を堰板として兼用しつつ、コンクリートの打設作業を行うことができ、その結果、地下構造物の連結構造を形成するのにかかるコストを大幅に軽減することができる。
【0005】
しかしながら、可撓ゴム継手のフランジ部73に直接にコンクリートを打設することから、コンクリート表面の不陸が止水作用に大きな影響を及ぼすおそれがある。また、金属枠体を用いないことから、たとえアンカーボルト64を締結して可撓ゴム継手70を強固に固定したとしても、金属枠体を用いる場合と同等の支圧力は得られにくい。
【0006】
そこで特許文献1においては、フランジ部73の表面とコンクリート体67との隙間から漏水が生じるのを防止すべく、例えば図10に示すように、ブチルゴム等の未加硫ゴム78を、可撓ゴム継手63のコンクリート体71との接触面(底面)にあらかじめ取り付けておき、未加硫ゴム78の高い可塑性によってシール性を高めたり、あるいは図12に示すように、可撓ゴム継手63の底面にあらかじめリッジ(突起)79を設けておき、アンカーボルト64の支圧力によって止水効果を向上させたりする方法を検討している。
しかしながら、未加硫ゴム78を挟み込む方法では、アンカーボルトの締結時に当該ゴムに塑性変形を生じさせることで、歪みや凹凸に十分に追随させてシール性を高めることが可能になるものの、未加硫ゴム78の可塑性が極めて高いことから、圧接することによってフランジ部73の端部からはみ出てしまい、外観上汚く見えるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−167789号公報(図3〜5,図9,図10)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、金属製の枠体を使用せずに連結部の組み立て、コンクリートの打設等の作業を行うことができ、かつコンクリート表面と接する部分の漏水防止効果を著しく向上させた新規な可撓ゴム継手を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、地下空間を区画する函体の連結部に沿って配置される可撓ゴム継手として、
長手方向に連なる湾曲部と、当該湾曲部の両側の裾部から外方へと延びて長手方向に連なる略板状の一対のフランジ部と、を備え、かつ
当該フランジ部を、その湾曲部側表面において長手方向に連なる凸条を備えるものを用いたときには、
金属製の枠体を使用しなくても地下構造物の連結部を組み立てることや、コンクリートの打設等の作業を行うことができ、しかも、コンクリート表面と接する部分での密着性が極めて高く、漏水の防止効果に優れた新規な可撓ゴム継手を得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明に係る可撓ゴム継手は、その湾曲部を、函体によって区画される地下空間の内部側に突出するように、かつ隣接する函体の連結部に沿うようにして配置し、さらにその一対のフランジ部を、それぞれ相対する函体に連結させることによって、当該連結部の止水を実現することができる。しかも、本発明の可撓ゴム継手は、可撓性を備える湾曲部が連結部分に架設された状態となっていることから、地震等に起因する地盤の変形に伴って隣接する函体の位置にズレが生じたり、函体間の距離に変動が生じたりしたとしても(すなわち、函体間に剪断、伸び、圧縮等の変形が生じたとしても)、湾曲部が変形することでズレ等の変位に対して容易に追随させることができる。
【0011】
さらに、本発明に係る可撓ゴム継手においては、フランジ部のコンクリート体と接する側の表面(以下、「接地面」という。)ではなく、湾曲部側の表面(以下、「圧接面」という。)に、可撓ゴム継手の長手方向に延びる凸条が設けられている。従って、フランジ部の圧接面に押え板を配置し、ボルトを締め付けて可撓ゴム継手をコンクリート体に圧着させたときに、凸条を有する部分での圧縮の程度が凸条を有しない部分での圧縮の程度に比べて大きくなる。すなわち、ボルトの締め付け力によるフランジ部の接触圧力を、当該凸条の直下においてのみ局部的に大きくすることができる。
【0012】
フランジ部の圧接面に設けられている、上記長手方向に延びる凸条は、上記のとおり、可撓ゴム継手のフランジ部とコンクリート体との圧着性をより一層向上させる作用を示し、それゆえ、本発明の可撓ゴム継手によれば、優れた圧着性を安定して発揮することができる。
従って、本発明の可撓ゴム継手は、止水機能に優れた連結部材として、開削工法によって形成される共同溝、地下鉄道、地下道路、地下駐車場等の地下構造物における連結部の形成に好適に用いることができる。
【0013】
本発明の可撓ゴム継手において、フランジ部は、その湾曲部側の表面とは反対側の表面に、未加硫ゴムまたは低硬度ゴムを備えるものであるのが好ましい。
未加硫ゴムや低硬度のゴムは粘性を有することから、フランジ部の湾曲部側の表面(圧接面)とは反対側の表面(接地面)に未加硫ゴムや低硬度ゴムを設けることによって、コンクリート体表面の微細な凹凸に密着し、より一層完全な止水を実現することができる。
【0014】
ここで、未加硫ゴムとは、例えばブチルゴム等の、加硫がなされておらず、粘性や可塑性の高いゴムをいう。
また、低硬度のゴムとは、例えば加硫されたゴムであって、硬度が低く柔軟なゴムをいう。具体的には、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ブチル系ゴム(IIR)等のゴムであって、デュロメータ硬さ試験(タイプA,JIS K 6253)でA20以下程度のものが挙げられる。
【0015】
なお、未加硫ゴムや低硬度のゴムは接地面全体に配置する必要はなく、むしろ、フランジ部の圧接面における凸条の直下にのみ設けるのが好ましい。フランジ部の接地面全体に未加硫ゴムや低硬度ゴムを設けたときには、フランジ部をコンクリート体に圧着させることによって、未加硫ゴムや低硬度ゴムがはみ出してしまい、外観を損なうおそれがある。しかしながら、本発明においては、フランジ部の圧接面における凸条の直下にのみ局部的に接触圧力が強く加わることから、上記未加硫ゴムまたは低硬度ゴムを当該直下部分にのみ配置したとしても、十分にその効果を発揮させることができる。
【0016】
本発明の可撓ゴム継手において、フランジ部は、その湾曲部側の表面とは反対側の表面にも、長手方向に連なる第2の凸条を備えるのが好ましい。
フランジ部の湾曲部側の表面(圧接面)における凸条とは別に、その反対側の表面(接地面)にも凸条(第2の凸条)を設けることによって、圧接面側の凸条を圧縮したときの応力が接地面側の凸条に集中してかかることになる。これにより、可撓ゴム継手のフランジ部とコンクリート体との圧着性をより一層向上させることができ、止水機能をより一層優れたものとすることができる。
【0017】
コンクリートの表面には、コンクリート打設時に混入した起泡に起因する凹凸が生じるが、この気泡の大きさは通常10mm以下であることから、当該凹凸に対しても十分に密着させ得るように、上記第2の凸条の幅(すなわち、フランジ部の圧接面側に形成された凸条について、その湾曲部の裾部側からフランジ部の先端側への長さ)は10mm以上であるのが好ましい。
本発明の可撓ゴム継手のうち、フランジ部の接地面側に凸条(第2の凸条)を備える場合において、当該フランジ部の湾曲部側の表面とは反対側の表面は、第2の凸条以外の部分に発泡ゴムを備えるものであるのが好ましい。
【0018】
このように、接地面側の凸条以外の部分に変形性に優れた発泡ゴムを用いることによって、フランジ部の圧接面側の凸条を圧縮したときの応力を、接地面側での凸条部分により一層集中してかかるようにすることができ、その結果、可撓ゴム継手のフランジ部とコンクリート体との圧着性をより一層向上させて、止水機能をより一層優れたものとすることができる。
発泡ゴムには、例えばクロロプレン、天然ゴム、ポリエチレン等の発泡体が挙げられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の可撓ゴム継手について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の可撓ゴム継手10は、例えば図1に示すように、長手方向に連なる湾曲部11と、湾曲部11の両側の裾部12から外方へと延びて長手方向xに連なる略板状の一対のフランジ部13と、を備えるものである。
図1に示す可撓ゴム継手10において、フランジ部13は、その湾曲部11側の表面(圧接面)に、長手方向xに連なる凸条14を備えている。また、当該湾曲部側表面とは反対側の表面(接地面)にも、長手方向xに連なる凸条(第2の凸条)15を備えている。
【0020】
図1に示す可撓ゴム継手10では、フランジ部13の圧接面側の凸条14と、接地面側の第2の凸条15とのいずれも、長手方向xに沿って2本の凸条が並行して設けられている。凸条の数については特に限定されるものではないが、通常、一定の間隔をおいて2本の凸条を並行して配置するのが、その止水性能を高めるという観点から好ましい。
湾曲部11の形状は特に限定されるものではなく、例えば図1に示すような断面略逆U字状のほか、断面略M字(または逆W字)状、波形等の形状を種々選択することができる。しかし、湾曲部の構造を簡易なものとし、しかも水圧が負荷されたときにも、函体により区画される地下空間側に(トンネルの内部側に)湾曲部が突出するのを防止するという観点から、湾曲部の形状は断面略逆U字状であるのが好ましい。
【0021】
湾曲部11の頂部は、可撓ゴム継手10の長手方向xと直交する断面において、一対のフランジ部13における当該頂部側の先端を結ぶ位置(図1(b) 中に一点鎖線aで示す。)よりも、当該湾曲部13の裾部12側にあるのが好ましい。このように設定することによって、可撓ゴム継手10の湾曲部11が函体の内壁面側に突き出るのを防止することができ、函体の連結部において一対のフランジ部によって区画される空間内に湾曲部を収めることができる。
【0022】
一対のフランジ部13の、湾曲部11を挟んで相対する面(圧接面)間における角度θは、連結部を形成する際に十分な作業スペースを確保し得る程度に広く、かつコンクリートの打設時においてフランジ部の設置面にて生じた気泡を容易に除去し得る程度に狭く(すなわち、函体の端面に対してある程度の角度がつくように)設定する必要がある。具体的には、一対のフランジ部13のなす角度θを60〜140°の範囲に設定するのが好ましく、40〜140°の範囲に設定するのがより好ましい。
【0023】
湾曲部11の両側の裾部12間には、一体的に架設される底部(図示せず)を設けてもよい。この場合、当該底部と湾曲部11との間に閉じられた空間が区画されることから、可撓ゴム継手敷設後のコンクリートの打設時において、図2に示すようなシール材80を用いる必要がなくなる。
湾曲部11やフランジ部13を形成するゴムについては特に限定されるものではないが、可撓ゴム継手は耐候性、耐老化性、耐オゾン性、弾力性等の各特性に優れていることが求められることから、かかる特性を備えたゴムを用いるのが好ましい。具体的には、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR),エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、天然ゴム(NR)等のゴムを用いるのが好ましい。
【0024】
湾曲部11およびフランジ部13を形成するゴムの内部、特にフランジ部13を形成するゴムの内部には、耐圧性能を向上させることを目的として、補強基布13aを入れることができる。補強基布を入れた場合、アンカーボルト64近傍でフランジ部に亀裂が生じた場合であっても、亀裂の伝搬を阻止し、止水性能が低下するのを防止することができる。補強基布の配向は特に限定されるものではないが、クロス構造とするよりもラジアル構造とするのが好ましい。ラジアル構造の方が、せん断変形がかかったときにもシワ等が発生することが少なく、耐久性を優れたものとすることができる。
【0025】
図1に示す可撓ゴム継手10では、フランジ部13の接地面に水膨張ゴム16が設けられている。このように、水膨張ゴム16を設けることによって、可撓ゴム継手10とコンクリート体67との間から漏水が生じるのをより一層確実に防止できる。
【0026】
本発明の可撓ゴム継手の他の実施形態としては、例えば図2(a),(b) に示すものが挙げられる。
図2(a),(b) に示す可撓ゴム継手は、長手方向に連なる湾曲部11と、湾曲部11の両側の裾部12から外方へと延びて長手方向xに連なる略板状の一対のフランジ部130,131と、を備える点で、図1に示す可撓ゴム継手10と同様である。
しかし、図2(a) に示す可撓ゴム継手は、フランジ部130の圧接面における凸条140の直下(接地面)に窪み82を備えている点で、図2(b) に示す可撓ゴム継手は、凸条141の直下(接地面)に凸条ではなく、低硬度ゴム83または水膨張ゴムを備えている点で、それぞれ図1に示す可撓ゴム継手10とは異なっている。
【0027】
これらの可撓ゴム継手は、いずれも窪み82や低硬度ゴム83等の作用によって、コンクリート体上に圧着させたときの密着性に優れており、優れた止水性能を発揮することができる。
なお、低硬度ゴム83は、前述のように硬度が低く、柔軟性が高いゴムであることから、比較的小さな凹凸にも追随して密着することができる(変形追随性が極めて良好である)。しかも、加硫されたゴムであることから復元力が高く、例えば塑性変形を起こして永久歪みを生じるといった問題がない。この低硬度ゴム部を圧縮させることによって、フランジ部とコンクリート体との密着性を良好なものとすることができ、両者間の止水性を著しく向上させることができる。
【0028】
本発明に用いられる低硬度ゴムの硬さは、前述のように、デュロメータ硬さ試験(タイプA,JIS K 6253)でA20以下であるのが好ましく、A3〜A10であるのがより好ましい。低硬度ゴムのデュロメータ硬さがA20を超えると、その変形能力が小さくなって所望の効果が得られなくなる。
本発明に用いられる低硬度ゴムの厚みは、可撓ゴム継手10の止水機能をより一層良好なものにするという観点から、1〜10mmであるのが好ましい。低硬度ゴムの厚みが1mmを下回ると所望の効果が得られなくなる。一方、低硬度ゴムの厚みが10mmを超えると、フランジ部13の締結強度が不十分になるおそれがある。低硬度ゴムの厚みは、上記範囲の中でも特に2〜6mmであるのがより好ましい。
【0029】
可撓ゴム継手10のフランジ部13は、図3に示すように、その圧接面上に取り付けられた押え板63とアンカーボルト64とによって、コンクリート体67上に締着される。図3中、符号80は、目地材65が湾曲部11の内部に浸入するのを防止するためのシール材を示す。
本発明の可撓ゴム継手は、アンカーボルト64を用いてフランジ部13の表面に押え板63を取り付けた後、押え板63間に連結板76を取り付け、1または2以上の可撓ゴム継手10をその長手方向xの端部同士で接続することによってループ状に形成される。また、一対のフランジ部13の間隔およびそのなす角度θ(図1(b) 参照)を固定するための間隔保持材77や、可撓ゴム継手10からなるループ20全体の形状を保持するための補強材77aを押え板63または連結板76に取り付けることによって、例えば図4(a),(b) に示すように、可撓ゴム継手10からなるループ20を自立させることができる。図4中、符号84は、ループ20を開渠内に設置する際の高さ調整ジャッキを示す。
【0030】
押え板63間に連結板76を固定した状態を図5に示す。図5(a) は図4(a) のA−A断面図である。図5中、符号85は、押え板63に連結板76を固定するためのボルトを示す。なお、図5(b) は同図(a) のB矢視図であって、図5(a) は図5(b) のC−C位置から見た断面図である。
図5に示すように、押え板63間に連結板76を取り付けることによって、可撓ゴム継手10からなるループ20の外周方向の剛性が確保される。
【0031】
押え板63または連結板76に間隔保持材77を取り付けた状態を図6に示す。図6は図3(a) のD−D断面図である。図6に示すように、一対のフランジ部13間に間隔保持材77を取り付けることによって、可撓ゴム継手10の断面方向における剛性が確保される。
同様に、押え板63または連結板76に補強材77aを取り付けた状態を図7に示す。図7は図4(a) のE−E断面図である。図7ではループ20の桁となる補強材の取付構造を示しているが、ループ20の梁となる補強材を取り付ける場合も取付構造は同様である。図7に示すように、可撓ゴム継手10からなるループ20の内部に、その梁および桁となる補強材77aを取り付けることによって、当該ループ20全体の剛性が確保される。
【0032】
図5〜図7に示すように、連結板63、間隔保持材77および補強材77aを取り付けることによって、ループ20の外周方向における剛性、可撓ゴム継手10の断面方向における剛性、およびループ20全体の剛性が確保される。こうして剛性が付与されたループ20は、前述のように、連結部を形成する開渠内にて自立させて設置することができる。
本発明の可撓ゴム継手10を用いた連結部の両側にコンクリート体67を打設し終えた後には、コンクリート体67の硬化収縮によるクラックの発生を防止するために、連結板63、間隔保持材77および補強材77aが除去される。その後、好ましくは、打設されたコンクリート(コンクリート体67)に対してフランジ部13を再度圧接させるべく、いわゆる増し締めが施される。これにより、コンクリート構造物と可撓ゴム継手の底板部との密着性をより一層良好なものとすることができる。
【0033】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
〔可撓ゴム継手の製造〕
実施例1
図1に示す可撓ゴム継手10のうち、湾曲部11と一対のフランジ部13とに対応する部分を形成すべく、天然ゴムを主成分とするゴム組成物を金型内に敷き詰めて、140℃で60分間加硫した。湾曲部11およびフランジ部13内には補強基布13aを配置した。
【0034】
次いで、図1に示す可撓ゴム継手10のうち、水膨張ゴム16に対応する部分と、第2の凸条15に対応する部分とを個々に成形した後、これらを一対のフランジ部13の接地面側に加硫接着して、図1に示す可撓ゴム継手10を得た。
なお、上記実施例では、湾曲部11と一対のフランジ部13とに対応する部分と、水膨張ゴム16に対応する部分と、第2の凸条15に対応する部分とをそれぞれ別々に成形して、これらを加硫接着によって一体化したが、金型内にそれぞれの部分を形成するゴム組成物を配置した上で、一度に加硫成形することによって、可撓ゴム継手10全体を一体成形することも可能である。
【0035】
こうして得られた可撓ゴム継手10は、フランジ部13と水膨張ゴム(未膨張状態)15との厚みが合計20mm、水膨張ゴム(未膨張状態)15の厚みが4mmであった。
フランジ部13の圧接面側の凸条14は、半径30mmの半円状隆起であって、一方のフランジ部13上に70mmピッチで2本設けた。
フランジ部13の接地面側における第2の凸条15は、幅(y,y’方向の長さ)が15mmで、凸条14の直下に位置するように(同ピッチで)、一方のフランジ部13上に2本設けた。
フランジ部13の全幅は約125mm、一対のフランジ部13間の最大幅は360mm、長手方向xの長さが500mmであった。
【0036】
〔可撓ゴム継手の物性〕
上記実施例1で得た可撓ゴム継手10を図8に示す鋼製の筐体中41に配置し、コンクリート67を打設することによって、図8(a),(b) に示す止水テスト用の試験治具40を得た。なお、図6中、符号64はアンカーボルトを、符号63は押え板を、符号65は目地材を、それぞれ示す。
【0037】
次いで、可撓ゴム継手10の湾曲部11と目地材65との間の空間81内に水圧を負荷して、可撓ゴム継手10の止水性を評価するための試験を行った。
その結果、地下構造物用の可撓ゴム継手として一般的に必要とされる耐水圧0.15MPaの水圧を負荷したときにも漏水を生じることがなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は本発明に係る可撓ゴム継手の一実施形態を示す斜視図であって、(b) はその断面図である。
【図2】本発明に係る可撓ゴム継手の他の実施形態を示す断面図である。
【図3】図1に示す可撓ゴム継手10を用いた地下構造物の連結構造を示す断面図である。
【図4】(a) は図1に示す可撓ゴム継手10を用いた地下構造物の連結部を示す正面図であって、(b) はその側面図である。
【図5】(a) は図4のA−A断面図であって、(b) は(a)のB矢視図である。
【図6】図4のD−D断面図である。
【図7】図4のE−E断面図である。
【図8】(a) は実施例の止水テストに使用した試験治具を示す斜視図であって、(b) はその断面図である。
【図9】従来の地下構造物の連結構造を示す図であって、(a) は連結部を開渠内に設置した状態を示す模式図、(b) はそのF−F断面図である。
【図10】特開2002−167789号公報に記載の可撓ゴム継手を用いた連結構造の施工例を示す断面図である。
【図11】可撓ゴム継手に押え板、連結板、間隔保持材およびアンカーボルトを配置した状態を示す斜視図である。
【図12】特開2002−167789号公報に記載の可撓ゴム継手の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 可撓ゴム継手
11 湾曲部
12 フランジ部
13 凸条
14 第2の凸条
x 長手方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、共同溝、地下鉄道、地下道路、地下駐車場等の、函体を連結して形成される地下構造物において、当該地下構造物の連結部の止水に用いられる可撓ゴム継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、開削工法によって形成される共同溝、地下鉄道、地下道路、地下駐車場等の地下構造物は、地下空間を区画する函体を連結して、その連結部にゴム製の止水部材である可撓ゴム継手が配置されている。
従来、地下構造物の連結部60は、例えば図9に示すように、一対の金属枠体61を開渠66内に配置して、当該金属枠体61に断面略Ω字状の可撓ゴム継手62を取り付けた後、金属枠体61を堰板として使用しつつコンクリートを打設することによって形成される。可撓ゴム継手62は、押え板63と、コンクリート体67中に埋設されるアンカーボルト64とによって金属枠体61に強固に固定されて、地下空間68を区画する函体69と一体化される。なお、図9(b) は図9(a) のF−F矢視図である。また、図9(b) 中の符号65は目地材を示す。
【0003】
一方、本出願人らは、先に、金属枠体を用いずに、可撓ゴム継手自体を堰板として直接コンクリートを打設する、地下構造物の連結構造の施工方法と、それに用いる可撓ゴム継手を提案している(特許文献1)。特許文献1に記載の可撓ゴム継手70は、例えば図10に示すように、連結部に沿って延びる断面略逆U字状の湾曲部71と、湾曲部の両側の裾部72から外方へと延びかつ連結部に沿って(長手方向に)延びる一対のフランジ部73と、湾曲部の両方の裾部72間に架設されて湾曲部71との間に閉じられた空間75を区画する底部74とを備えるものである。図10中、符号63,64,65および67は図9と同じである。
【0004】
この可撓ゴム継手70は、例えば図11に示すように、連結板76や間隔保持材77を取り付けることによって剛性を付与し、一対のフランジ部73を断面略V字状に固定した上で、連結部の形成作業に用いられる。従って、金属枠体を使用することなく、しかも、フランジ部73自体を堰板として兼用しつつ、コンクリートの打設作業を行うことができ、その結果、地下構造物の連結構造を形成するのにかかるコストを大幅に軽減することができる。
【0005】
しかしながら、可撓ゴム継手のフランジ部73に直接にコンクリートを打設することから、コンクリート表面の不陸が止水作用に大きな影響を及ぼすおそれがある。また、金属枠体を用いないことから、たとえアンカーボルト64を締結して可撓ゴム継手70を強固に固定したとしても、金属枠体を用いる場合と同等の支圧力は得られにくい。
【0006】
そこで特許文献1においては、フランジ部73の表面とコンクリート体67との隙間から漏水が生じるのを防止すべく、例えば図10に示すように、ブチルゴム等の未加硫ゴム78を、可撓ゴム継手63のコンクリート体71との接触面(底面)にあらかじめ取り付けておき、未加硫ゴム78の高い可塑性によってシール性を高めたり、あるいは図12に示すように、可撓ゴム継手63の底面にあらかじめリッジ(突起)79を設けておき、アンカーボルト64の支圧力によって止水効果を向上させたりする方法を検討している。
しかしながら、未加硫ゴム78を挟み込む方法では、アンカーボルトの締結時に当該ゴムに塑性変形を生じさせることで、歪みや凹凸に十分に追随させてシール性を高めることが可能になるものの、未加硫ゴム78の可塑性が極めて高いことから、圧接することによってフランジ部73の端部からはみ出てしまい、外観上汚く見えるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−167789号公報(図3〜5,図9,図10)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、金属製の枠体を使用せずに連結部の組み立て、コンクリートの打設等の作業を行うことができ、かつコンクリート表面と接する部分の漏水防止効果を著しく向上させた新規な可撓ゴム継手を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、地下空間を区画する函体の連結部に沿って配置される可撓ゴム継手として、
長手方向に連なる湾曲部と、当該湾曲部の両側の裾部から外方へと延びて長手方向に連なる略板状の一対のフランジ部と、を備え、かつ
当該フランジ部を、その湾曲部側表面において長手方向に連なる凸条を備えるものを用いたときには、
金属製の枠体を使用しなくても地下構造物の連結部を組み立てることや、コンクリートの打設等の作業を行うことができ、しかも、コンクリート表面と接する部分での密着性が極めて高く、漏水の防止効果に優れた新規な可撓ゴム継手を得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明に係る可撓ゴム継手は、その湾曲部を、函体によって区画される地下空間の内部側に突出するように、かつ隣接する函体の連結部に沿うようにして配置し、さらにその一対のフランジ部を、それぞれ相対する函体に連結させることによって、当該連結部の止水を実現することができる。しかも、本発明の可撓ゴム継手は、可撓性を備える湾曲部が連結部分に架設された状態となっていることから、地震等に起因する地盤の変形に伴って隣接する函体の位置にズレが生じたり、函体間の距離に変動が生じたりしたとしても(すなわち、函体間に剪断、伸び、圧縮等の変形が生じたとしても)、湾曲部が変形することでズレ等の変位に対して容易に追随させることができる。
【0011】
さらに、本発明に係る可撓ゴム継手においては、フランジ部のコンクリート体と接する側の表面(以下、「接地面」という。)ではなく、湾曲部側の表面(以下、「圧接面」という。)に、可撓ゴム継手の長手方向に延びる凸条が設けられている。従って、フランジ部の圧接面に押え板を配置し、ボルトを締め付けて可撓ゴム継手をコンクリート体に圧着させたときに、凸条を有する部分での圧縮の程度が凸条を有しない部分での圧縮の程度に比べて大きくなる。すなわち、ボルトの締め付け力によるフランジ部の接触圧力を、当該凸条の直下においてのみ局部的に大きくすることができる。
【0012】
フランジ部の圧接面に設けられている、上記長手方向に延びる凸条は、上記のとおり、可撓ゴム継手のフランジ部とコンクリート体との圧着性をより一層向上させる作用を示し、それゆえ、本発明の可撓ゴム継手によれば、優れた圧着性を安定して発揮することができる。
従って、本発明の可撓ゴム継手は、止水機能に優れた連結部材として、開削工法によって形成される共同溝、地下鉄道、地下道路、地下駐車場等の地下構造物における連結部の形成に好適に用いることができる。
【0013】
本発明の可撓ゴム継手において、フランジ部は、その湾曲部側の表面とは反対側の表面に、未加硫ゴムまたは低硬度ゴムを備えるものであるのが好ましい。
未加硫ゴムや低硬度のゴムは粘性を有することから、フランジ部の湾曲部側の表面(圧接面)とは反対側の表面(接地面)に未加硫ゴムや低硬度ゴムを設けることによって、コンクリート体表面の微細な凹凸に密着し、より一層完全な止水を実現することができる。
【0014】
ここで、未加硫ゴムとは、例えばブチルゴム等の、加硫がなされておらず、粘性や可塑性の高いゴムをいう。
また、低硬度のゴムとは、例えば加硫されたゴムであって、硬度が低く柔軟なゴムをいう。具体的には、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ブチル系ゴム(IIR)等のゴムであって、デュロメータ硬さ試験(タイプA,JIS K 6253)でA20以下程度のものが挙げられる。
【0015】
なお、未加硫ゴムや低硬度のゴムは接地面全体に配置する必要はなく、むしろ、フランジ部の圧接面における凸条の直下にのみ設けるのが好ましい。フランジ部の接地面全体に未加硫ゴムや低硬度ゴムを設けたときには、フランジ部をコンクリート体に圧着させることによって、未加硫ゴムや低硬度ゴムがはみ出してしまい、外観を損なうおそれがある。しかしながら、本発明においては、フランジ部の圧接面における凸条の直下にのみ局部的に接触圧力が強く加わることから、上記未加硫ゴムまたは低硬度ゴムを当該直下部分にのみ配置したとしても、十分にその効果を発揮させることができる。
【0016】
本発明の可撓ゴム継手において、フランジ部は、その湾曲部側の表面とは反対側の表面にも、長手方向に連なる第2の凸条を備えるのが好ましい。
フランジ部の湾曲部側の表面(圧接面)における凸条とは別に、その反対側の表面(接地面)にも凸条(第2の凸条)を設けることによって、圧接面側の凸条を圧縮したときの応力が接地面側の凸条に集中してかかることになる。これにより、可撓ゴム継手のフランジ部とコンクリート体との圧着性をより一層向上させることができ、止水機能をより一層優れたものとすることができる。
【0017】
コンクリートの表面には、コンクリート打設時に混入した起泡に起因する凹凸が生じるが、この気泡の大きさは通常10mm以下であることから、当該凹凸に対しても十分に密着させ得るように、上記第2の凸条の幅(すなわち、フランジ部の圧接面側に形成された凸条について、その湾曲部の裾部側からフランジ部の先端側への長さ)は10mm以上であるのが好ましい。
本発明の可撓ゴム継手のうち、フランジ部の接地面側に凸条(第2の凸条)を備える場合において、当該フランジ部の湾曲部側の表面とは反対側の表面は、第2の凸条以外の部分に発泡ゴムを備えるものであるのが好ましい。
【0018】
このように、接地面側の凸条以外の部分に変形性に優れた発泡ゴムを用いることによって、フランジ部の圧接面側の凸条を圧縮したときの応力を、接地面側での凸条部分により一層集中してかかるようにすることができ、その結果、可撓ゴム継手のフランジ部とコンクリート体との圧着性をより一層向上させて、止水機能をより一層優れたものとすることができる。
発泡ゴムには、例えばクロロプレン、天然ゴム、ポリエチレン等の発泡体が挙げられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の可撓ゴム継手について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の可撓ゴム継手10は、例えば図1に示すように、長手方向に連なる湾曲部11と、湾曲部11の両側の裾部12から外方へと延びて長手方向xに連なる略板状の一対のフランジ部13と、を備えるものである。
図1に示す可撓ゴム継手10において、フランジ部13は、その湾曲部11側の表面(圧接面)に、長手方向xに連なる凸条14を備えている。また、当該湾曲部側表面とは反対側の表面(接地面)にも、長手方向xに連なる凸条(第2の凸条)15を備えている。
【0020】
図1に示す可撓ゴム継手10では、フランジ部13の圧接面側の凸条14と、接地面側の第2の凸条15とのいずれも、長手方向xに沿って2本の凸条が並行して設けられている。凸条の数については特に限定されるものではないが、通常、一定の間隔をおいて2本の凸条を並行して配置するのが、その止水性能を高めるという観点から好ましい。
湾曲部11の形状は特に限定されるものではなく、例えば図1に示すような断面略逆U字状のほか、断面略M字(または逆W字)状、波形等の形状を種々選択することができる。しかし、湾曲部の構造を簡易なものとし、しかも水圧が負荷されたときにも、函体により区画される地下空間側に(トンネルの内部側に)湾曲部が突出するのを防止するという観点から、湾曲部の形状は断面略逆U字状であるのが好ましい。
【0021】
湾曲部11の頂部は、可撓ゴム継手10の長手方向xと直交する断面において、一対のフランジ部13における当該頂部側の先端を結ぶ位置(図1(b) 中に一点鎖線aで示す。)よりも、当該湾曲部13の裾部12側にあるのが好ましい。このように設定することによって、可撓ゴム継手10の湾曲部11が函体の内壁面側に突き出るのを防止することができ、函体の連結部において一対のフランジ部によって区画される空間内に湾曲部を収めることができる。
【0022】
一対のフランジ部13の、湾曲部11を挟んで相対する面(圧接面)間における角度θは、連結部を形成する際に十分な作業スペースを確保し得る程度に広く、かつコンクリートの打設時においてフランジ部の設置面にて生じた気泡を容易に除去し得る程度に狭く(すなわち、函体の端面に対してある程度の角度がつくように)設定する必要がある。具体的には、一対のフランジ部13のなす角度θを60〜140°の範囲に設定するのが好ましく、40〜140°の範囲に設定するのがより好ましい。
【0023】
湾曲部11の両側の裾部12間には、一体的に架設される底部(図示せず)を設けてもよい。この場合、当該底部と湾曲部11との間に閉じられた空間が区画されることから、可撓ゴム継手敷設後のコンクリートの打設時において、図2に示すようなシール材80を用いる必要がなくなる。
湾曲部11やフランジ部13を形成するゴムについては特に限定されるものではないが、可撓ゴム継手は耐候性、耐老化性、耐オゾン性、弾力性等の各特性に優れていることが求められることから、かかる特性を備えたゴムを用いるのが好ましい。具体的には、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR),エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、天然ゴム(NR)等のゴムを用いるのが好ましい。
【0024】
湾曲部11およびフランジ部13を形成するゴムの内部、特にフランジ部13を形成するゴムの内部には、耐圧性能を向上させることを目的として、補強基布13aを入れることができる。補強基布を入れた場合、アンカーボルト64近傍でフランジ部に亀裂が生じた場合であっても、亀裂の伝搬を阻止し、止水性能が低下するのを防止することができる。補強基布の配向は特に限定されるものではないが、クロス構造とするよりもラジアル構造とするのが好ましい。ラジアル構造の方が、せん断変形がかかったときにもシワ等が発生することが少なく、耐久性を優れたものとすることができる。
【0025】
図1に示す可撓ゴム継手10では、フランジ部13の接地面に水膨張ゴム16が設けられている。このように、水膨張ゴム16を設けることによって、可撓ゴム継手10とコンクリート体67との間から漏水が生じるのをより一層確実に防止できる。
【0026】
本発明の可撓ゴム継手の他の実施形態としては、例えば図2(a),(b) に示すものが挙げられる。
図2(a),(b) に示す可撓ゴム継手は、長手方向に連なる湾曲部11と、湾曲部11の両側の裾部12から外方へと延びて長手方向xに連なる略板状の一対のフランジ部130,131と、を備える点で、図1に示す可撓ゴム継手10と同様である。
しかし、図2(a) に示す可撓ゴム継手は、フランジ部130の圧接面における凸条140の直下(接地面)に窪み82を備えている点で、図2(b) に示す可撓ゴム継手は、凸条141の直下(接地面)に凸条ではなく、低硬度ゴム83または水膨張ゴムを備えている点で、それぞれ図1に示す可撓ゴム継手10とは異なっている。
【0027】
これらの可撓ゴム継手は、いずれも窪み82や低硬度ゴム83等の作用によって、コンクリート体上に圧着させたときの密着性に優れており、優れた止水性能を発揮することができる。
なお、低硬度ゴム83は、前述のように硬度が低く、柔軟性が高いゴムであることから、比較的小さな凹凸にも追随して密着することができる(変形追随性が極めて良好である)。しかも、加硫されたゴムであることから復元力が高く、例えば塑性変形を起こして永久歪みを生じるといった問題がない。この低硬度ゴム部を圧縮させることによって、フランジ部とコンクリート体との密着性を良好なものとすることができ、両者間の止水性を著しく向上させることができる。
【0028】
本発明に用いられる低硬度ゴムの硬さは、前述のように、デュロメータ硬さ試験(タイプA,JIS K 6253)でA20以下であるのが好ましく、A3〜A10であるのがより好ましい。低硬度ゴムのデュロメータ硬さがA20を超えると、その変形能力が小さくなって所望の効果が得られなくなる。
本発明に用いられる低硬度ゴムの厚みは、可撓ゴム継手10の止水機能をより一層良好なものにするという観点から、1〜10mmであるのが好ましい。低硬度ゴムの厚みが1mmを下回ると所望の効果が得られなくなる。一方、低硬度ゴムの厚みが10mmを超えると、フランジ部13の締結強度が不十分になるおそれがある。低硬度ゴムの厚みは、上記範囲の中でも特に2〜6mmであるのがより好ましい。
【0029】
可撓ゴム継手10のフランジ部13は、図3に示すように、その圧接面上に取り付けられた押え板63とアンカーボルト64とによって、コンクリート体67上に締着される。図3中、符号80は、目地材65が湾曲部11の内部に浸入するのを防止するためのシール材を示す。
本発明の可撓ゴム継手は、アンカーボルト64を用いてフランジ部13の表面に押え板63を取り付けた後、押え板63間に連結板76を取り付け、1または2以上の可撓ゴム継手10をその長手方向xの端部同士で接続することによってループ状に形成される。また、一対のフランジ部13の間隔およびそのなす角度θ(図1(b) 参照)を固定するための間隔保持材77や、可撓ゴム継手10からなるループ20全体の形状を保持するための補強材77aを押え板63または連結板76に取り付けることによって、例えば図4(a),(b) に示すように、可撓ゴム継手10からなるループ20を自立させることができる。図4中、符号84は、ループ20を開渠内に設置する際の高さ調整ジャッキを示す。
【0030】
押え板63間に連結板76を固定した状態を図5に示す。図5(a) は図4(a) のA−A断面図である。図5中、符号85は、押え板63に連結板76を固定するためのボルトを示す。なお、図5(b) は同図(a) のB矢視図であって、図5(a) は図5(b) のC−C位置から見た断面図である。
図5に示すように、押え板63間に連結板76を取り付けることによって、可撓ゴム継手10からなるループ20の外周方向の剛性が確保される。
【0031】
押え板63または連結板76に間隔保持材77を取り付けた状態を図6に示す。図6は図3(a) のD−D断面図である。図6に示すように、一対のフランジ部13間に間隔保持材77を取り付けることによって、可撓ゴム継手10の断面方向における剛性が確保される。
同様に、押え板63または連結板76に補強材77aを取り付けた状態を図7に示す。図7は図4(a) のE−E断面図である。図7ではループ20の桁となる補強材の取付構造を示しているが、ループ20の梁となる補強材を取り付ける場合も取付構造は同様である。図7に示すように、可撓ゴム継手10からなるループ20の内部に、その梁および桁となる補強材77aを取り付けることによって、当該ループ20全体の剛性が確保される。
【0032】
図5〜図7に示すように、連結板63、間隔保持材77および補強材77aを取り付けることによって、ループ20の外周方向における剛性、可撓ゴム継手10の断面方向における剛性、およびループ20全体の剛性が確保される。こうして剛性が付与されたループ20は、前述のように、連結部を形成する開渠内にて自立させて設置することができる。
本発明の可撓ゴム継手10を用いた連結部の両側にコンクリート体67を打設し終えた後には、コンクリート体67の硬化収縮によるクラックの発生を防止するために、連結板63、間隔保持材77および補強材77aが除去される。その後、好ましくは、打設されたコンクリート(コンクリート体67)に対してフランジ部13を再度圧接させるべく、いわゆる増し締めが施される。これにより、コンクリート構造物と可撓ゴム継手の底板部との密着性をより一層良好なものとすることができる。
【0033】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
〔可撓ゴム継手の製造〕
実施例1
図1に示す可撓ゴム継手10のうち、湾曲部11と一対のフランジ部13とに対応する部分を形成すべく、天然ゴムを主成分とするゴム組成物を金型内に敷き詰めて、140℃で60分間加硫した。湾曲部11およびフランジ部13内には補強基布13aを配置した。
【0034】
次いで、図1に示す可撓ゴム継手10のうち、水膨張ゴム16に対応する部分と、第2の凸条15に対応する部分とを個々に成形した後、これらを一対のフランジ部13の接地面側に加硫接着して、図1に示す可撓ゴム継手10を得た。
なお、上記実施例では、湾曲部11と一対のフランジ部13とに対応する部分と、水膨張ゴム16に対応する部分と、第2の凸条15に対応する部分とをそれぞれ別々に成形して、これらを加硫接着によって一体化したが、金型内にそれぞれの部分を形成するゴム組成物を配置した上で、一度に加硫成形することによって、可撓ゴム継手10全体を一体成形することも可能である。
【0035】
こうして得られた可撓ゴム継手10は、フランジ部13と水膨張ゴム(未膨張状態)15との厚みが合計20mm、水膨張ゴム(未膨張状態)15の厚みが4mmであった。
フランジ部13の圧接面側の凸条14は、半径30mmの半円状隆起であって、一方のフランジ部13上に70mmピッチで2本設けた。
フランジ部13の接地面側における第2の凸条15は、幅(y,y’方向の長さ)が15mmで、凸条14の直下に位置するように(同ピッチで)、一方のフランジ部13上に2本設けた。
フランジ部13の全幅は約125mm、一対のフランジ部13間の最大幅は360mm、長手方向xの長さが500mmであった。
【0036】
〔可撓ゴム継手の物性〕
上記実施例1で得た可撓ゴム継手10を図8に示す鋼製の筐体中41に配置し、コンクリート67を打設することによって、図8(a),(b) に示す止水テスト用の試験治具40を得た。なお、図6中、符号64はアンカーボルトを、符号63は押え板を、符号65は目地材を、それぞれ示す。
【0037】
次いで、可撓ゴム継手10の湾曲部11と目地材65との間の空間81内に水圧を負荷して、可撓ゴム継手10の止水性を評価するための試験を行った。
その結果、地下構造物用の可撓ゴム継手として一般的に必要とされる耐水圧0.15MPaの水圧を負荷したときにも漏水を生じることがなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は本発明に係る可撓ゴム継手の一実施形態を示す斜視図であって、(b) はその断面図である。
【図2】本発明に係る可撓ゴム継手の他の実施形態を示す断面図である。
【図3】図1に示す可撓ゴム継手10を用いた地下構造物の連結構造を示す断面図である。
【図4】(a) は図1に示す可撓ゴム継手10を用いた地下構造物の連結部を示す正面図であって、(b) はその側面図である。
【図5】(a) は図4のA−A断面図であって、(b) は(a)のB矢視図である。
【図6】図4のD−D断面図である。
【図7】図4のE−E断面図である。
【図8】(a) は実施例の止水テストに使用した試験治具を示す斜視図であって、(b) はその断面図である。
【図9】従来の地下構造物の連結構造を示す図であって、(a) は連結部を開渠内に設置した状態を示す模式図、(b) はそのF−F断面図である。
【図10】特開2002−167789号公報に記載の可撓ゴム継手を用いた連結構造の施工例を示す断面図である。
【図11】可撓ゴム継手に押え板、連結板、間隔保持材およびアンカーボルトを配置した状態を示す斜視図である。
【図12】特開2002−167789号公報に記載の可撓ゴム継手の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 可撓ゴム継手
11 湾曲部
12 フランジ部
13 凸条
14 第2の凸条
x 長手方向
Claims (4)
- 地下空間を区画する函体の連結部に沿って配置される可撓ゴム継手であって、
長手方向に連なる湾曲部と、当該湾曲部の両側の裾部から外方へと延びて長手方向に連なる略板状の一対のフランジ部と、を備え、かつ
当該フランジ部が、その湾曲部側の表面において長手方向に連なる凸条を備える可撓ゴム継手。 - 上記フランジ部が、その湾曲部側の表面とは反対側の表面に、未加硫ゴムまたは低硬度ゴムを備える請求項1記載の可撓ゴム継手。
- 上記フランジ部が、その湾曲部側の表面とは反対側の表面に、長手方向に連なる第2の凸条を備える請求項1記載の可撓ゴム継手。
- 上記フランジ部の湾曲部側表面とは反対側の表面が、上記第2の凸条以外の部分に発泡ゴムを備える請求項3記載の可撓ゴム継手。
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CN108240001B (zh) * | 2018-01-29 | 2024-02-02 | 中交第一航务工程局有限公司 | 沉管隧道最终接头及其对接施工方法 |
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