JP2004161810A - ポリアセチレン系ポリマー、その製造方法、及びそれを有する導電用材料及び感圧材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記ポリマーを、一般式
【化1】
〔式中、R1は水素、炭化水素基、又はヘテロ原子を含む置換基、R2は水素、炭化水素基、ヘテロ原子を含む置換基、又は一般式
【化2】
(式中、R3は水素、炭化水素基、又はヘテロ原子を含む置換基、Z7、Z8、Z9、Z10、Z11、Z12及びZ13はそれぞれ独立して水素、アルキル基、又はヘテロ原子を含む置換基を示す)
で表わされる基、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6はそれぞれ独立して水素、アルキル基、又はヘテロ原子を含む置換基、nは10以上の整数を示す〕
で表わされるものとする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリアセチレン系ポリマーに関するものである。
このポリアセチレン系ポリマーは、導電性に優れるとともに、加圧によりシス体からトランス体への変換及び/又は擬ヘキサゴナル構造(これをカラムナー構造とも言う)の崩壊による構造異性化を生じて色が変わり、導電用材料や、感圧材、例えば圧力センサ等として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、フェニルアセチレン誘導体などのモノ置換アセチレンは、立体規則的に重合され、シス‐トランソイド構造をもつ、相当するポリアセチレン系ポリマーが温和な条件下高収率で選択的に得られることが知られている(非特許文献1参照)。
近年、このポリアセチレン系ポリマーを含め種々の導電性ポリマーが研究され、中には、製造しやすい、低コストである、操作電圧が低い、色調を合わせることができる、可撓性であるなどの多くの利点を示すものもあるが、導電性と共に他の作用・機能を示す機能性材料は開発途上である。
【0003】
【非特許文献1】
Macromol. Chem. Phys. 1999、200,265
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、導電性や電磁遮蔽性に優れると共に、加圧により構造異性化を生じて色が変わり、導電度、エレクトロルミネッセンス性、屈折率、反射率、誘電率等を大きく変化させ、導電用材料や、感圧材、例えば圧力センサ等として有用である新規なポリアセチレン系ポリマーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、導電性をもつポリアセチレン系ポリマーについて種々研究を重ねた結果、塩基性の強い含窒素複素環部分をもつアセチレンモノマーでも特定触媒を用いて溶液重合することにより、側鎖に塩基性の強い含窒素複素環部分をもつポリアセチレンが得られ、このものやそのドーピング物が上記の良好な特性を有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)一般式(I)
【化6】
〔式中、R1は水素、炭化水素基、又はヘテロ原子を含む置換基、R2は水素、炭化水素基、ヘテロ原子を含む置換基、又は一般式
【化7】
(式中、R3は水素、炭化水素基、又はヘテロ原子を含む置換基、Z7、Z8、Z9、Z10、Z11、Z12及びZ13はそれぞれ独立して水素、アルキル基、又はヘテロ原子を含む置換基を示す)
で表わされる基、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6はそれぞれ独立して水素、アルキル基、又はヘテロ原子を含む置換基、nは10以上の整数を示す〕
で表わされるポリアセチレン系ポリマー、
及び
(2)一般式(III)
【化8】
〔式中、R1は水素、炭化水素基、又はヘテロ原子を含む置換基、R2は水素、炭化水素基、ヘテロ原子を含む置換基、又は一般式
【化9】
(式中、R3は水素、炭化水素基、又はヘテロ原子を含む置換基、Z7、Z8、Z9、Z10、Z11、Z12及びZ13はそれぞれ独立して水素、アルキル基、又はヘテロ原子を含む置換基を示す)
で表わされる基、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6はそれぞれ独立して水素、アルキル基、又はヘテロ原子を含む置換基を示す〕
で表わされるエチニルカルバゾール類を、貴金属錯体触媒の存在下で溶液重合により重合することを特徴とする前記(1)記載のポリアセチレン系ポリマーの製造方法、
を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい態様としては、以下のとおりのものが挙げられる。
(3)R1がアルキル基、R2が水素である前記(1)記載のポリアセチレン系ポリマー。
(4)R1がアルキル基、R2が一般式
【化10】
(式中、R3はアルキル基を示す)
で表わされる基である前記(1)記載のポリアセチレン系ポリマー。
(5)前記(1)、(3)又は(4)記載のポリアセチレン系ポリマーのドーピング物。
(6)貴金属錯体触媒における貴金属錯体がロジウム錯体である前記(2)記載の製造方法。
(7)ロジウム錯体がロジウムノルボルナジエンハライド又はロジウムシクロオクタジエンハライドである前記(6)記載の製造方法。
(8)溶液重合に用いられる溶媒がアルコール、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド及びクロロホルムの中から選ばれた少なくとも1種である前記(2)、(6)又は(7)記載の製造方法。
(9)前記(1)、(3)、(4)又は(5)記載のポリアセチレン系ポリマー又はそのドーピング物を有する導電用材料。
(10)前記(1)、(3)、(4)又は(5)記載のポリアセチレン系ポリマー又はそのドーピング物を有する感圧材。
【0008】
本発明のポリアセチレン系ポリマーについては、その繰り返し単位において、R1の炭化水素基や、R2が一般式(II)で表わされる場合の該式中におけるR3の炭化水素基や、R2が炭化水素基である場合、炭化水素基としては、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基などが挙げられ、またヘテロ原子を含む置換基としては、脂肪族、中でも飽和脂肪族系のものが好ましく、このようなものとしては、例えばアルコキシ基、第1級ないし第3級のアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アシロキシ基、アルカンカルボン酸アミド基、N‐アルキルカルバモイル基、N,N‐ジアルキルカルバモイル基、アルキルスルホニル基などが挙げられるが、好ましくはZ1〜Z13が水素であって、かつR1がアルキル基、R2が水素であるか或いはR1がアルキル基、R2が一般式
【化11】
(式中、R3はアルキル基を示す)
で表わされる基であるものがよい。
また、本発明のポリアセチレン系ポリマーは、重合度nが10以上であり、好ましくは100〜10×107の範囲内で選ばれる。
【0009】
このポリアセチレン系ポリマーは、さらにそれにドーパントをドーピングし、そのドーピング物として導電性をさらに向上させることができる。ドーパントとしては、例えばHCl、HBr、HI、過塩素酸、硫酸等のプロトン酸、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、五フッ化アンチモン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、塩化第二鉄等のルイス酸、及びテトラシアノエチレンやテトラシアノキノジメタンなどの有機電子受容体などが挙げられ、好適にはドーピングに上記プロトン酸の溶液、例えば低級アルコール溶液が用いられる。
なお、ポリアセチレン系ポリマー又はそのドーピング物を便宜上ポリアセチレン系ポリマー等とも言う。
【0010】
本発明方法において原料モノマーとして用いられるエチニルカルバゾール類は、既知の方法で得られ、例えば、R1がアルキル基で、R2及びZ1ないしZ6のいずれもがHである場合は、次のチャート
【化12】
に示されるようにして調製される。
【0011】
本発明方法においては、この原料モノマーを溶液重合させることにより、所望のポリアセチレン系ポリマーが得られる。
溶液重合は、水及び/又は有機溶媒に原料モノマーを溶解させた溶液について、該溶液中の原料モノマーの濃度を0.00001〜10M、好ましくは 0.01〜0.1Mに調製し、貴金属錯体触媒の存在下に、−50℃〜+90℃、好ましくは0〜70℃の範囲の温度で、適当な時間、例えば0.5分間〜48時間行われる。
【0012】
この重合反応に用いられる貴金属錯体触媒としては特に制限されず、例えば白金錯体、パラジウム錯体、イリジウム錯体等でもよいが、好ましくはロジウム錯体、中でも[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2のようなロジウムノルボルナジエンハライド、[Rh(シクロオクタジエン)Cl]2のようなロジウムシクロオクタジエンハライド、[Rh(ビス‐シクロオクタジエン)Cl]2などが挙げられ、特に[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2が好ましく用いられ、その用量は、原料モノマーに対し通常モル比で0.00001〜1、好ましくは0.005〜0.5の範囲で選ばれる。
【0013】
また、有機溶媒としては特に制限されず、例えば炭化水素(ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンのような脂環式炭化水素等)、ハロゲン化炭化水素(クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン等)、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、窒素化合物(アセトニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン、トリエチルアミン、アセトアミド、ジメチルホルムアミド)、エーテル(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、セロソルブ等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン等)、脂肪酸(酢酸、無水酢酸等)、ジメチルスルホキシド等の有機スルホキシドやスルホン、エステル(酢酸エチル、乳酸エチル等)などが挙げられるが、好ましくはアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、トリエチルアミン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムなどが挙げられ、中でもトリエチルアミンや、それと他の溶媒との混合溶媒、中でもアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムとの混合溶媒がよい。
【0014】
本発明のポリアセチレン系ポリマーは、高導電性材料として知られるポリ(ジアルキルフルオレン)(これをPDAFとも言う)やポリ(p‐フェニレンビニレン)(これをPPVとも言う)と比較して、同程度の優れた導電性を示すとともに、橙色や黄色等に着色しており、それ自体、又は好ましくはそのドーピング物としてそれを有する導電用材料とすることができる。
例えば、このポリアセチレン系ポリマー等は、適当な溶媒、例えばクロロホルム、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ジエチルエーテルなどに溶解することができ、この溶液を基材にコーティングするなどして、施用することができ、具体的には導電用塗料や電磁波遮蔽材などとして用いられる。
【0015】
【発明の効果】
本発明のポリアセチレン系ポリマー等は、導電性に優れ、また加圧により色が変化するなどの特性を有する。
従って、このポリアセチレン系ポリマー等は、エレクトロルミネッセンス材料、導電用材料、電磁波遮蔽材、圧力センサ等の感圧材などに用いて好適である。
【0016】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、NBDはノルボルナジエンを意味する。
【0017】
合成例1 モノマーのN‐オクチル‐3‐エチニルカルバゾール(これを3OCzとも言う)の合成
N‐オクチルカルバゾールとN‐ブロモコハク酸イミドを等モル量で、ジメチルホルムアミド中で反応させ、N‐オクチル‐3‐ブロモカルバゾールを得た。これとトリメチルシリルアセチレンをパラジウムジクロライドのトリフェニルホスフィン錯体、トリフェニルホスフィン、ヨウ化銅触媒の存在下で反応させ、N‐オクチル‐3‐トリメチルシリルカルバゾールを得た。このカルバゾール誘導体をトルエン中で水素化ナトリウムで処理して目的のN‐オクチル‐3‐エチニルカルバゾール(3OCz)を得た。
なお、各工程はできるだけ反応が進行するように適宜反応温度を調整した。
得られた3OCzは、その1HNMRスペクトル(室温、重クロロホルム溶媒)により同定された。すなわち、0.8〜1.4ppmの多重線、3.1ppm、3.5ppmの単一線及び6.5〜7.6ppmの多重線は、それぞれ、カルバゾールNに結合した側鎖におけるCH3(3H)とCH2(12H)のアルキルプロトン、アセチレンプロトン(≡C−H)、カルバゾール骨格のNに置換するオクチル基の1位のCH2プロトン及びカルバゾール骨格プロトンに帰する。
【0018】
合成例2 モノマーのN‐(2‐エチルヘキシル)‐3‐エチニルカルバゾール(これを3ECzとも言う)の合成
2‐エチルヘキシルブロマイドとカルバゾールをジメチルスルホキシドに溶解させ、これに苛性ソーダを加えて反応させると、2‐エチルヘキシルブロマイド‐カルバゾールが得られた。以降、N‐オクチル‐3‐エチニルカルバゾールの合成例1と同様にして3ECzを得た。なお、各工程はできるだけ反応が進行するように適宜反応温度を調整した。
得られた3ECzは、可溶性であり、分子構造は3OCzと同様であると予測され、その1HNMRスペクトル(室温、重クロロホルム溶媒)により同定された。すなわち、0.8〜1.5ppm、3.0ppm及び3.5ppmでの単一ピークはそれぞれCH3(6H)、CH2(8)、CH(1H)、アセチレン部分のプロトン及びカルバゾール骨格のNに置換する2‐エチルヘキシル基の1位のCHプロトンに帰し、6.4〜7.5ppmでの多重線ピークはカルバゾール環プロトンに帰する。
【0019】
合成例3 モノマーのN,N′‐ジ(2‐エチルヘキシル)‐3‐エチニル‐3′,6‐ビカルバゾール(これを3EbiCzとも言う)の合成
原料の3′,6‐ビカルバゾールを出発物質として、合成例2の場合と同様にして、N,N′‐ジ(2‐エチルヘキシル)‐3‐エチニル‐3′,6‐ビカルバゾール(3EbiCz)を得た。なお、各工程はできるだけ反応が進行するように適宜反応温度を調整した。
得られた3EbiCzは、図6に示すとおりの、IRスペクトルの吸収ピークにより同定された。すなわち、2100cm−1、3280cm−1での吸収ピークはそれぞれC≡C、C≡C−Hに帰し、また1480cm−1、1600cm−1、2920〜2970cm−1での吸収ピークはそれぞれ、カルバゾール環、カルバゾール環水素及び/又はカルバゾール側鎖のアルキル基の吸収ピークに帰する。
【0020】
実施例1
合成例1で得たモノマーの3OCzを、隔膜ラバーのキャップをした二つの注入口を備えたU型ガラスアンプルを用いて以下のとおり重合させた。
すなわち、アンプルの各側に、[Rh(NBD)Cl]2:3.3mg(7.2ミリモル)とモノマー218mg(7.2ミリモル)をそれぞれに入れ、また重合溶媒としてトリエチルアミン20mlをアンプルの両側に注入し、溶液を10分間静置したのち、モノマー溶液と触媒溶液とを混合して重合温度20〜30℃で重合を開始させてから2時間後に生成ポリマー溶液を大量のメタノールに注いで橙色の繊維状ポリマーを析出させ、ろ過し、室温で24時間10−3トル(Torr)で真空乾燥して、ポリ(N‐オクチル‐3‐エチニルカルバゾール)(これをP3OCzとも言う)を得た。
このポリマーについて、収率、Mn、Mw/Mn、色を表1に示す。
【0021】
実施例2〜4
溶媒と重合温度を表1に示すとおり種々変えた以外は実施例1と同様にしてP3OCzを得た。
これらのポリマーについて、収率、Mn、Mw/Mn、色を表1にそれぞれ示す。
【0022】
実施例5〜7
モノマーの3OCzを3ECzに変えた以外は実施例1〜3とそれぞれ同様にしてポリ〔N‐(2‐エチルヘキシル)‐3‐エチニルカルバゾール〕(これをP3ECzとも言う)を得た。
これらのポリマーについて、収率、Mn、Mw/Mn、色を表1にそれぞれ示す。
【0023】
実施例8〜10
モノマーの3OCzを3EbiCzに、重合温度を20℃にそれぞれ変えた以外は実施例1〜3とそれぞれ同様にしてポリ〔N,N′‐ジ(2‐エチルヘキシル)‐3‐エチニル‐3′,6‐ビカルバゾール〕(これをP3EbiCzとも言う)を得た。
これらのポリマーについて、収率、Mn、Mw/Mn、色を表1にそれぞれ示す。
【0024】
【表1】
ここで、数平均分子量Mn、分子量分散Mw/Mnは、Shodex KF−806Lカラムで1.0ml/分の流速で溶離剤としてクロロホルムを用いる、屈折率検出器を備えた、JASCO900ゲル浸透クロマトグラフィーで概算され、ポリスチレン標準で校正されたものである。
【0025】
実施例3のポリマーは、図1に実線で示すとおりの、その1HNMRスペクトル(室温、重クロロホルム溶媒)により同定された。すなわち、図中、0.8〜1.4ppm、3.5ppm及び6.0ppmでの単一ピークは、それぞれ、CH3(3H)とCH2(12H)のアルキルプロトン、カルバゾール骨格のNに置換するオクチル基の1位のCH2プロトン及び=CH(1H)に帰し、6.4〜7.4ppmの多重線ピークはカルバゾール環プロトンに帰する。
また、このポリマーは、ドープ前後で、ドーピングの程度を加減、調節するなどして、電気伝導度を約10?6〜104S/cmの範囲で変動させることができる。
【0026】
実施例3のポリマーについて、加圧しない場合と、200kg/cm2(19.6MPa)の加圧下の場合とで、加圧前後のX線回折チャート、レーザラマンスペクトルチャート及び拡散反射UVスペクトルチャートをそれぞれ図2〜4に示す。
図2のX線回折チャートより、加圧により擬ヘキサゴナル構造(カラムナー構造)の(100)面の存在を示すd=17.7Åにおけるピークの面積値が、加圧しない場合に比し半減近く低下することが分かり、そして各チャートから結晶化度が加圧の場合で53%、加圧しない場合で25%と算出され、加圧により擬ヘキサゴナル構造が相当瓦解することが分かる。
図3のレーザラマンスペクトルは、所定ポリマーへの照射波長の波数と光学密度(O.D.)との関係を示し、これから加圧によりトランスシス構造に帰せられる1475cm−1及び1330cm−1のピークが相当増加すること、そしてそれから加圧により擬ヘキサゴナル構造が相当瓦解することが分かる。
図4の拡散反射UVスペクトルは、所定ポリマーの拡散反射の吸収スペクトル波長と光学密度(O.D.)との関係を示し、これから加圧により吸収ピーク強度が低くなるとともに、全体的に曲線がブロードになり、高波長側へシフトすることが分かり、それに応じて色が変わるのを視認しうる。
【0027】
また、実施例8のポリマーは、図5に示すとおりの、IRスペクトルの吸収ピークにより同定された。すなわち、2100cm−1、3280cm−1での吸収ピークはそれぞれC≡C、C≡C−Hに帰し、また1480cm−1、1600cm−1、2920〜2970cm−1での吸収ピークは、それぞれカルバゾール環、主鎖のビニール基(=C−H)、カルバゾール環及び/又はその側鎖アルキル基の吸収に帰する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3のポリマーの1H NMRスペクトルチャート。
【図2】実施例3のポリマーの、加圧前後のX線回折チャート。
【図3】実施例3のポリマーの、加圧前後のレーザラマンスペクトルチャート。
【図4】実施例3のポリマーの、加圧前後の拡散反射UVスペクトルチャート。
【図5】実施例8のポリマーのIRスペクトルチャート。
Claims (10)
- R1がアルキル基、R2が水素である請求項1記載のポリアセチレン系ポリマー。
- 請求項1、2又は3記載のポリアセチレン系ポリマーのドーピング物。
- 貴金属錯体触媒における貴金属錯体がロジウム錯体である請求項5記載の製造方法。
- ロジウム錯体がロジウムノルボルナジエンハライド又はロジウムシクロオクタジエンハライドである請求項6記載の製造方法。
- 溶液重合に用いられる溶媒がアルコール、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド及びクロロホルムの中から選ばれた少なくとも1種である請求項5、6又は7記載の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載のポリアセチレン系ポリマー又はそのドーピング物を有する導電用材料。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載のポリアセチレン系ポリマー又はそのドーピング物を有する感圧材。
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