JP2004161230A - 制動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】運転者の制動操作に基づいて目標制動トルクTdcomを算出し(ステップS7又はS8)、その目標制動トルクTdcomを目標制動トルクの低周波成分TdcomLと目標制動トルクの高周波成分TdcomHとに分割すると共に(ステップS10)、それらのうち目標制動トルクの高周波成分TdcomHを回生制動に分配し(ステップS12)、目標制動トルクの低周波成分TdcomLを回生制動と液圧制動との少なくとも一方に分配するようにした(ステップS11)。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、走行用モータによる回生制動トルクやエンジンブレーキといった駆動源による制動トルクと液圧制動トルクとを制御する制動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、従来の制動制御装置としては、駆動源によって制動トルクとして回生制動トルクを発生する回生制動装置と液圧制動装置とを備え、ブレーキペダル踏込量に基づいて運転者の要求制動力を算出し、その要求制動力に応じて前記回生制動装置と液圧制動装置とを制御するものがある。(例えば、特許文献1参照。)。
また、液圧制動装置のみを備え、実際の減速度と運転者の要求減速度との差をフィードバックし、その差に応じて前記液圧制動装置を制御するものもある。(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−223532号公報
【特許文献2】
特公昭56−33254号公報〔0005〕
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の技術を組み合わせて、実際の減速度と運転者の要求減速度とによるフィードバック補償値を当該要求減速度に加算して目標減速度を算出し、その目標減速度が得られるように液圧制動装置と回生制動装置とを制御するようにしたとき、燃費向上を考慮すると回生制動を液圧制動よりも優先して行うことになる。しかしながら、前記減速度のフィードバック補償値は、運転者が要求する減速度よりも周波数が大きいので、当該運転者が要求する大きな減速度に合わせて前記回生制動装置で最大制動トルクが発生され、その結果、前記回生制動装置に比べて応答性や分解能が低い液圧制動装置に前記フィードバック補償値が分配されたときには充分な応答を得ることができず、運転者が要求する減速度への追従性が悪化する恐れがあった。
そこで本発明は、上記従来の技術の未解決の問題点に着目してなされたものであって、運転者が要求する減速度への追従性等の制御性能を向上できる制動制御装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る制動制御装置は、目標制動トルクを低周波成分と高周波成分とに分割して、駆動源によって制動トルクを発生する駆動源制動手段に当該高周波成分を分配すると共に、液圧装置を作動させて制動トルクを発生する液圧制動手段と前記駆動源制動手段との少なくとも一方に当該低周波成分を分配することを特徴とするものである。ここで、目標制動トルクを低周波成分と高周波成分とに分割する方法としては、例えばハイパスフィルタを用いる方法が挙げられる。ハイパスフィルタとは、入力信号の高周波数成分のみを通過させるフィルタである。そのため、例えば、図40(a)に示すように、目標制動トルクとしてステップ状の信号がハイパスフィルタに入力されると、図40(b)に示すように、目標制動トルクの高周波成分としてインパルス状の信号のみが通過される。また、目標制動トルクの低周波成分は、図40(c)に示すように、目標制動トルクから目標制動トルクの高周波成分を減じて算出できる。
【0006】
【発明の効果】
したがって、本発明に係る制動制御装置にあっては、目標制動トルクを低周波成分と高周波成分とに分割し、それらのうち高周波成分を駆動源制動手段に分配する構成としたため、当該高周波成分が液圧制動に比べて応答性や分解能が高い駆動力制動手段で発生され、運転者が要求する減速度への追従性等といった制御性能を向上することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態を示すシステム概略構成図であり、交流同期モータにより回生制動トルクを制御する間、制動流体圧を減圧制御することにより、回生エネルギを効率的に回収する回生協調ブレーキ制御システムに、本発明の制動制御装置を適用したものである。
【0008】
図1において、運転者によって制動操作されるブレーキペダル1は、ブースタ2を介してマスタシリンダ3に連結されている。前記ブースタ2は、ポンプ21によって昇圧され、アキュームレータ22に蓄圧された高圧の制動流体圧を用いて、ペダル踏力を倍力してマスタシリンダ3に供給する。なお、前記ポンプ21は、圧力スイッチ23によってシーケンス制御されている。また、図中の符号4は制動流体のリザーバであり、12はブレーキペダルスイッチである。
【0009】
前記マスタシリンダ3は、各車輪10のホイルシリンダ5に接続されているが、その制動流体路の途中には、各ホイルシリンダ5の制動流体圧を個別に制御するための制動流体圧回路6が介装されている。この制動流体圧回路6は、制動流体圧コントロールユニット7からの制動流体圧指令値に従って、前記マスタシリンダ3を、各ホイルシリンダ5と同等の流体負荷を備えたストロークシミュレータに接続し、代わりに前記ポンプ21の出力圧若しくはアキュームレータ22の蓄圧を各ホイルシリンダ5に供給して増圧したり、各ホイルシリンダ5の制動流体圧をリザーバ4に還元して減圧したりすることにより、各ホイルシリンダ5の制動流体圧を個別に制御することを可能とする。また、この制動流体圧回路6には、マスタシリンダ3の出力圧を検出するマスタシリンダ圧センサやマスタシリンダ3から切り離された状態の各ホイルシリンダ5の制動流体圧を検出するホイルシリンダ圧センサが設けられ、それらの検出信号が制動流体圧コントロールユニット7に出力される。
【0010】
一方、この車両の前輪10は、交流同期モータ、いわゆるモータジェネレータ8によって駆動される。モータジェネレータ8は、バッテリからの供給電力によって電動機として車輪10を駆動すると共に、車輪10からの路面駆動トルクによって発電機としてバッテリに蓄電することができる。このバッテリへの電力の回収時には、モータジェネレータ8を回転するために路面駆動トルクが消費され、結果的に駆動輪に制動トルクが付与される。この制動が回生制動であり、この実施形態では、非駆動輪である後輪との理想制動トルク配分相当の制動トルク以上の制動トルクを回生制動トルクとして駆動輪である前輪に付与できるように構成されている。
【0011】
前記モータジェネレータ8は、モータコントロールユニット9からの指令によって制御される。具体的には、モータジェネレータ8の駆動状態や回生制動状態を制御する。例えば車両の発進時にはモータジェネレータ8を電動機として作動して駆動輪である前輪を駆動する。また、車両の惰性走行時や減速時には、モータジェネレータ8を発電機として作動して回生制動トルクを付与する。そのため、このモータコントロールユニット9には、モータジェネレータ8の運転状態やバッテリ状態が入力される。
【0012】
前記制動流体圧コントロールユニット7及びモータコントロールユニット9は、通信回線を介して回生協調制御コントロールユニット11に接続している。前記制動流体圧コントロールユニット7やモータコントロールユニット9は、勿論、夫々、単体でホイルシリンダ5の制動流体圧やモータジェネレータ8の運転状態を制御することが可能であるが、回生協調制御コントロールユニット11からの指令に応じて、それらを制御することにより、より効率よく、車両運動エネルギ回収を行って燃費を向上することが可能となる。
【0013】
具体的には、モータコントロールユニット9は、回生協調制御コントロールユニット11から受信した回生制動トルク指令値に基づいて回生制動トルクを制御すると共に、バッテリの充電状態や温度等で求められる最大回生制動トルクを算出し、それを回生協調制御コントロールユニット11に送信する。また、制動流体圧コントロールユニット7は、回生協調制御コントロールユニット11から受信した制動流体圧制動トルク指令値に応じて各ホイルシリンダ5の制動流体圧を制御すると共に、前記マスタシリンダ圧センサ、ホイルシリンダ圧センサで検出したマスタシリンダ圧及びホイルシリンダ圧を回生協調制御コントロールユニット11に送信する。
【0014】
前記回生協調制御コントロールユニット11を始めとする、制動流体圧コントロールユニット7やモータコントロールユニット9等の各コントロールユニットは、マイクロコンピュータ等の演算処理装置を備え、そのうち、制動流体圧コントロールユニット7やモータコントロールユニット9は、制動流体圧制動トルク指令値や回生制動トルク指令値に応じた制御信号や駆動信号を創成し、前述した各アクチュエータに向けて出力する。これに対し、前記回生協調制御コントロールユニット11は、運転者の意図に合致した減速度が得られると共に、車両運動エネルギの回収効率のよい制動流体圧制動トルク指令値及び回生制動トルク指令値を算出し、夫々、制動流体圧コントロールユニット7及びモータコントロールユニット9に出力する。
【0015】
次に、前記回生協調制御コントロールユニット11内で行われる制動流体圧制動トルク指令値及び回生制動トルク指令値算出のための演算処理を図2のフローチャートに従って説明する。
この演算処理は、所定時間ΔT(例えば10msec.)毎のタイマ割込処理として実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算によって得られた情報は随時記憶され、記憶されている情報は、必要に応じて随時読み込まれる。
【0016】
この演算処理は、まずステップS1で、前記制動流体圧コントロールユニット7から入力したマスタシリンダ圧Pmc及びホイルシリンダ圧Pwcを読み込む。
次にステップS2に移行して、前記制動流体圧コントロールユニット7から各車輪の車輪速度を読み込み、それらのうちで最大のものに、下記(1)式で表されるバンドパスフィルタを用いて推定減速度αvを算出する。
【0017】
Fbpf(s)=s/(s2/ω2+2ζs/ω+1)………(1)
次にステップS3に移行して、前記モータコントロールユニット9から最大回生制動トルクTmmaxを読み込む。
次にステップS4に移行して、前記ステップS1で読み込まれたマスタシリンダ圧Pmcに、車両諸元から定まる定数Ka(<0)を乗じて目標減速度αdemを算出する。
【0018】
次にステップS5に移行して、図3に示すように、前記ステップS4で算出された目標減速度αdemに、下記(2)式で表されるフィードフォワード補償器CFF(s)を用いてフィードフォワード指令値TdFFを算出する。
CFF(s)=Kb・Fref(s)/Pm(s)
=Kb・(Tp・s+1)/(Tr・s+1)………(2)
但し、Kbは車両諸元から定まる定数であり、Fref(s)=1/(Tr・s+1)は規範モデルであり、Pm(s)=1/(Tp・s+1)はホイルシリンダ5等の制御対象モデルである。
【0019】
次にステップS6に移行して、前記ステップS1で読み込まれたマスタシリンダ圧Pmcが所定値ε以上であるか否か判定し、所定値ε以上であるときには(Yes)ステップS7に移行し、そうでないときには(No)ステップS8に移行する。
前記ステップS7では、図3に示すように、まず前記ステップS4で算出された目標減速度αdemに規範モデルFref(s)を用いて規範減速度αrefを算出し、その規範減速度αrefから前記ステップS2で算出された推定減速度αvを減じてフィードバック偏差Δαを算出すると共に、そのフィードバック偏差Δαに下記(3)式で表されるフィードバック補償器CFB(s)を用いてフィードバック補償値TdFBを算出する。
【0020】
CFB(s)=(Kp・s+Ki)/s………(3)
但し、Kp、Kiは、ゲイン余裕や位相余裕から定まる定数である。
そして、そのフィードバック補償値TdFBに、前記ステップS5で算出されたフィードフォワード指令値TdFFを加算して、車両に発生させる制動トルクを表す目標制動トルクTdcomを算出し、ステップS9に移行する。
【0021】
一方、前記ステップS8では、前記ステップS5で算出されたフィードフォワード指令値TdFFを目標制動トルクTdcomとすると共に、前記ステップS7でフィードバック補償値TdFBの演算に用いられる変数を初期化してから、前記ステップS9に移行する。
前記ステップS9では、図4に示すように、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxを、下記(4)式に従って、前記ステップS7又はS8で算出された目標制動トルクTdcomの低周波成分を発生するための低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと、当該目標制動トルクTdcomの高周波成分を発生するための高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分ける。
【0022】
TmmaxL=Tmmax×Kkato
TmmaxH=Tmmax×(1−Kkato)………(4)
但し、分割比率Kkatoは0〜1の範囲の定数である。
次にステップS10に移行して、前記ステップS7又はS8で算出された目標制動トルクTdcomを目標制動トルクの低周波成分TdcomLと目標制動トルクの高周波成分TdcomHとに分割する。具体的には、目標制動トルクTdcomに下記(5)式で表されるハイパスフィルタFhpf(s)を用いて目標制動トルクの高周波成分TdcomHを算出すると共に、その目標制動トルクの高周波成分TdcomHを前記目標制動トルクTdcomから減じて目標制動トルクの低周波成分TdcomLを算出する。
【0023】
Fhpf(s)=Thp・s/(Thp・s+1)………(5)
ここで、このハイパスフィルタFhpf(s)の折点周波数1/Thp、つまり目標制動トルクの高周波成分TdcomHとして通過させる周波数領域は、モータジェネレータ8に比べて応答性が低い液圧制動では追従困難な周波数領域に設定する。言いかえると、液圧制動で追従できる周波数領域を目標制動トルクの低周波成分TdcomLとして通過を拒否するように設定する。
【0024】
次にステップS11では、前記ステップS10で算出された目標制動トルクの低周波成分TdcomLを前輪のモータジェネレータ8で優先して発生するようにし、その目標制動トルクの低周波成分TdcomLのうち、前記ステップS9で算出された低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを越える分を、前後輪の制動トルクが理想制動トルク配分に近づくように後輪のホイルシリンダ5で発生する。具体的には、前記ステップS10で算出された目標制動トルクの低周波成分TdcomLに基づき、図5に示すようなマップデータを参照して、前後輪の理想制動トルク配分TdcomLF及びTdcomLRを算出すると共に、それらと低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLとの大小関係に基づき、下記(6)式に従って、前記目標制動トルクの低周波成分TdcomLを発生するために前輪の目標回生制動トルクTmcomと、前後輪の目標液圧制動トルクTbcomF及びTbcomRとを算出する。
【0025】
・TmmaxL≦TdcomLF+TdcomLR≦0
Tmcom =TdcomLF+TdcomLR
TbcomF=0
TbcomR=0
・TdcomLF+TdcomLR<TmmaxL≦TdcomLF≦0
Tmcom =TmmaxL
TbcomF=0
TbcomR=TdcomL―TmmaxL
・TdcomLF<TmmaxL≦0
Tmcom =TmmaxL
TbcomF=TdcomLF―TmmaxL
TbcomR=TdcomLR ………(6)
但し、前後輪の理想制動トルク配分TdcomLF及びTdcomLRの加算値は目標制動トルクの低周波成分TdcomLである(TdcomLF+TdcomLR=TdcomL)。
【0026】
次にステップS12に移行して、前記ステップS11で算出された目標回生制動トルクTmcomに、前記ステップS10で算出された目標制動トルクの高周波成分TdcomHを加算して、モータコントロールユニット9に送信する回生制動トルク指令値Tmcom2を算出し、ステップS13に移行する。
次にステップS13に移行して、前記ステップS11で算出された目標液圧制動トルクTbcomF及びTbcomRに定数Kcを乗じて、制動流体圧コントロールユニット7に送信する前後輪の制動流体圧制動トルク指令値PbcomF及びPbcomRを算出する。
【0027】
次にステップS14に移行して、前記ステップS12で算出された回生制動トルク指令値Tmcom2をモータコントロールユニット9に送信し、且つ、前記ステップS13で算出された前後輪の制動流体圧制動トルク指令値PbcomF及びPbcomRを制動流体圧コントロールユニット7に送信する。
次に、本実施形態の動作を具体的な状況に基づいて詳細に説明する。
【0028】
まず、図6(a)の時刻t1のところに示すように、走行中の車両を信号等で停止させようとして運転者がブレーキペダル1をステップ状に踏み込んだときに、回生協調制御コントロールユニット11で演算処理が実行されたとする。すると、図2に示すように、まずステップS1で、制動流体圧コントロールユニット7からマスタシリンダ圧Pmc及びホイルシリンダ圧Pwcが読み込まれ、ステップS2で、制動流体圧コントロールユニット7から各車輪の車輪速度が読み込まれて推定減速度αvが算出され、またステップS3で、モータコントロールユニット9から最大回生制動トルクTmmaxが読み込まれる。
【0029】
次にステップS4で、前記ステップS1で読み込まれたマスタシリンダ圧Pmcに基づいて目標減速度αdemが算出され、ステップS5で、図3に示すように、前記ステップS4で算出された目標減速度αdemに基づいて比較的周波数が小さいフィードフォワード指令値TdFFが算出される。またブレーキペダル1が踏み込まれているため、ステップS6の判定が「Yes」となり、ステップS7で、図3に示すように、前記ステップS4で算出された目標減速度αdemに基づいて規範減速度αrefが算出されると共に、その規範減速度αrefから前記ステップS2で算出された推定減速度αvが減じられてフィードバック偏差Δαが算出され、そのフィードバック偏差Δαに基づいて比較的周波数が大きいフィードバック補償値TdFBが算出される。そして、そのフィードバック補償値TdFBに前記ステップS5で算出されたフィードフォワード指令値TdFFが加算されて目標制動トルクTdcomが算出される。
【0030】
次にステップS9で、図4に示すように、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられ、ステップS10で、前記ステップS7で算出された目標制動トルクTdcomが低周波成分TdcomLと高周波成分TdcomHとに分割され、ステップS11で、前記ステップS10で算出された目標制動トルクの低周波成分TdcomLが、前記低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを超えない範囲内で前輪のモータジェネレータ8によって優先的に発生されるように目標回生制動トルクTmcomと前後輪の目標液圧制動トルクTbcomF及びTbcomRとが算出される。そして、ステップS12で、前記ステップS11で算出された目標回生制動トルクTmcomに、前記ステップS10で算出された目標制動トルクの高周波成分TdcomHが加算されて回生制動トルク指令値Tmcom2が算出され、ステップS13で、前記ステップS11で算出された目標液圧制動トルクTbcomF及びTbcomRに基づいて前後輪の制動流体圧制動トルク指令値PbcomF及びPbcomRが算出され、ステップS14で、前記ステップS12で算出された回生制動トルク指令値Tmcom2がモータコントロールユニット9に送信されると共に、前記ステップS13で算出された前後輪の制動流体圧制動トルク指令値PbcomF及びPbcomRが制動流体圧コントロールユニット7に送信される。
【0031】
このように、本実施形態では、目標制動トルクTdcomから高周波成分TdcomHを分割し、その高周波成分TdcomHをモータジェネレータ8に分配するため、当該高周波成分TdcomHが液圧制動に比べて応答性や分解能が高いモータジェネレータ8で発生され、図6(b)に示すように、乗員が要求する減速度への追従性が向上される。ちなみに、図32は、燃費向上を考慮して回生制動を常に優先して行う従来例であり、図32(a)、(f)に示すように、運転者が要求する大きな減速度に応じてモータジェネレータ8で最大回生制動トルクTmmaxが発生され、その結果、図32(d)、(e)に示すように、前記フィードバック補償値TdFBが液圧制動装置に分配されて充分な応答を得ることができず、図32(b)に示すように、運転者が要求する減速度への追従性が悪化している。
【0032】
次に、本発明の車両挙動制御装置の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、運転者によるブレーキペダルの踏込状態が過渡状態であるときには低周波成分回生トルク制限値TmmaxLを大きく(絶対値としては小さく)設定し、定常状態であるときには低周波成分回生トルク制限値TmmaxLを小さく(絶対値としては大きく)設定することで、乗員が要求する減速度への追従性向上と燃費向上とが両立するようにしたものである。なお、ブレーキペダル1の踏み込み状態が定常状態であるとは、ブレーキペダルストロークが変化していない状態であり、目標減速度αdemが変化していないので、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が小さく算出される状態である。また、過渡状態であるとは、ブレーキペダルストロークの変化率が大きく、目標制動トルクの高周波成分TdcomHが多い状態であって、目標減速度αdemが変化しているので、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が大きく算出される状態である。
【0033】
具体的には、前記図2に示すフローチャートのステップS9に代えて、図7の最大回生トルク分割処理のフローチャートが用いられ、まずそのステップS101で、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が過渡状態であるか定常状態であるかを判定し、過渡状態である場合には定常状態フラグFを“0”のリセット状態とし、定常状態である場合には定常状態フラグFを“1”のセット状態とする。具体的には、ブレーキペダルスイッチ12によってブレーキペダル1の踏み込みが検出されてから所定時間Tconv1(例えば、5秒)が経過するまでは過渡状態であると判定し、当該所定時間Tconv1が経過してからは定常状態であると判定する。
【0034】
次にステップS102に移行して、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が過渡状態であるか否か、つまり定常状態フラグFが“0”のリセット状態であるか否かを判定し、“0”のリセット状態である場合にはステップS103に移行し、そうでない場合にはステップS104に移行する。
前記ステップS103では、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が比較的大きくても当該高周波成分TdcomHをモータジェネレータ8で確実に発生できるように、つまり目標制動トルクの低周波成分TdcomLのモータジェネレータ8への分配量の比率が小さくなるように比較的小さい過渡状態用分割比率K1を分割用比率Kkatoとしてから、ステップS107に移行する。
【0035】
一方、前記ステップS104では、運転者によるブレーキペダル1の踏み込み状態が定常状態となってから、つまり定常状態フラグFが“1”のセット状態となってからの経過時間Tcが所定時間Tconv2以上であるか否かを判定し、所定時間Tconv2以上である場合にはステップS105に移行し、そうでない場合にはステップS106に移行する。
【0036】
前記ステップS105では、モータジェネレータ8で回生エネルギをより多く回収できるように、つまり目標制動トルクの低周波成分TdcomLのモータジェネレータ8への分配量の比率が大きくなるように比較的大きい定常状態用分割比率K2を分割用比率Kkatoとしてから、前記ステップS107に移行する。
一方、前記ステップS106では、運転者によるブレーキペダル1の踏み込み状態が定常状態となってからの経過時間Tcが“0”のときに比較的小さい過渡状態用分割比率K1となり、所定時間Tconv2のときに比較的大きい定常状態用分割比率K2となる一次関数に基づいて、現在の経過時間Tcに応じた分割用比率Kkatoを算出してから、前記ステップS107に移行する。
【0037】
前記ステップS107では、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxを、前記ステップS103、S105又はS106で設定された分割比率Kkatoにより前記(4)式に従って、前記ステップS7又はS8で算出された目標制動トルクTdcomの低周波成分を発生するための低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと、当該目標制動トルクTdcomの高周波成分を発生するための高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けてから、もとの演算処理に復帰する。
【0038】
次に、本実施形態の動作を具体的な状況に基づいて詳細に説明する。
まず、図8、図9(a)の時刻t11のところに示すように、走行中の車両を信号等で停止させようとして運転者がブレーキペダル1をステップ状に踏み込んだときに、回生協調制御コントロールユニット11で演算処理が実行されたとする。すると、図2に示すように、まず前記ステップS1〜S8を経て、ステップS9で最大回生トルク分割処理が実行され、そのステップS101で、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が過渡状態であると判定され、ステップS102の判定が「Yes」となり、ステップS103で、比較的小さい過渡状態用分割比率K1が分割用比率Kkatoとされ、ステップS107で、前記ステップS103で設定された分割比率Kkatoに従って、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが比較的大きい(絶対値としては小さい)低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと比較的小さい(絶対値としては大きい)高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられる。
【0039】
このように、本実施形態では、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が過渡状態であるとき、つまり目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が大きいときには、目標制動トルクの低周波成分TdcomLのモータジェネレータ8への分配量の比率が小さくなるように、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを比較的大きく(絶対値としては小さく)するため、高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHが比較的小さく(絶対値としては大きく)なり、前記高周波成分TdcomHが液圧制動に比べて応答性や分解能が高いモータジェネレータ8で発生され、図9(b)の時刻t11〜t12の範囲に示すように、乗員が要求する減速度への追従性が向上される。
【0040】
また、図8、図9(a)の時刻t12のところに示すように、上記フローが繰り返されるうちに、ブレーキペダル1の踏み込みが検出されてから所定時間Tconv1が経過したとする。すると、前記ステップS101で、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が定常状態であると判定され、ステップS102及びS104の判定が「No」となり、ステップS106で、定常状態用分割比率K2に徐々に近づくように分割用比率Kkatoが算出され、ステップS107で、図8の時刻t12のところに示すように、前記ステップS106で設定された分割比率Kkatoに従って、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが比較的小さい(絶対値としては大きい)低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと比較的大きい(絶対値としては小さい)高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられていく。
【0041】
さらに、図8、図9(a)の時刻t14のところに示すように、上記フローが繰り返されるうちに、ステップS101にてブレーキペダル1の踏み込み状態が定常状態と判断されてから所定時間Tconv2が経過したとする。すると、ステップS104の判定が「Yes」となり、ステップS105で、比較的大きい定常状態用分割比率K2が分割用比率Kkatoとされ、ステップS107で、前記ステップS105で設定された分割比率Kkatoに従って、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが比較的小さい(絶対値としては大きい)低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと比較的大きい(絶対値としては小さい)高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられる。
【0042】
このように、本実施形態では、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が定常状態であるとき、つまり目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が小さいときには、目標制動トルクの低周波成分TdcomLのモータジェネレータ8への分配量の絶対値の比率が大きくなるように、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを比較的小さく(絶対値としては大きく)するため、モータジェネレータ8でほぼ最大回生制動トルクTmmaxが発生され、図9(c)の時刻t12〜t13の範囲に示すように、回生エネルギの回収量が大きくなって燃費が向上される。ちなみに、図33は、制御性能の向上を考慮して常に過渡状態用分割比率K1を分割用比率Kkatoとした場合であり、図33(c)、(f)の時刻t12〜t13の範囲に示すように、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が定常状態であるとき、つまり目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が小さいときにも低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLが比較的大きく(絶対値としては小さく)されるため、図33(f)に示すように、モータジェネレータ8で最大回生制動トルクTmmaxが発生されず、その結果、図33(c)に示すように、回生エネルギの回収量が小さくなって燃費の向上効果が抑制される。
【0043】
また、本実施形態では、ブレーキペダルスイッチ12によってブレーキペダル1の踏み込みが検出されてから所定時間Tconv1が経過するまでは過渡状態であると判定し、当該所定時間Tconv1が経過してからは定常状態であると判定するため、運転者の制動操作のパターンから判定する方法等に比べ、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態を安価な構成で容易に判定することができる。
【0044】
次に、本発明の車両挙動制御装置の第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値の大きさが所定値以下の状態で所定時間が経過したときには、運転者によるブレーキペダルの踏込状態が定常状態、つまり目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が小さい状態であると判定することで、運転者による制動操作が緩やかなときの回生制動によるエネルギ回収効率を向上させるものである。具体的には、前記図7に示すフローチャートのステップS101に代えて、図10のブレーキ踏込状態判定処理のフローチャートが用いられる。
【0045】
このフローチャートでは、まずそのステップS201で、前記ステップS7又はS8で算出された目標制動トルクTdcomをハイパスフィルタに通して高周波成分TdcomHを算出すると共に、その高周波成分TdcomHの大きさ|TdcomH|が比較的小さい所定値α以下であるか否かを判定し、所定値α以下である場合にはステップS202に移行し、そうでない場合にはステップS204に移行する。
【0046】
前記ステップS202では、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの大きさ|TdcomH|が所定値α以下となってからの経過時間Tc1が予め設計的または実験的に定めた所定時間Tstatic以上であるか否かを判定し、所定時間Tstatic以上である場合にはステップS203に移行し、そうでない場合には前記ステップS204に移行する。
【0047】
前記ステップS203では、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が定常状態であると判定し、定常状態フラグFを“1”のセット状態としてから、もとの演算処理に復帰する。
一方、前記ステップS204では、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が過渡状態であると判定し、定常状態フラグFを“0”のリセット状態としてから、もとの演算処理に復帰する。
【0048】
次に、本実施形態の動作を具体的な状況に基づいて詳細に説明する。
まず、図11(a)の時刻t21のところに示すように、走行中の車両を信号等で停止させようとして運転者がブレーキペダル1をステップ状に踏み込んだときに、回生協調制御コントロールユニット11で演算処理が実行されたとする。すると、図2に示すように、まず前記ステップS1で〜S8を経て、ステップS9で最大回生トルク分割処理が実行され、またそのステップS101でブレーキ踏込状態判定処理が実行され、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値の大きさが所定値αより大きいとすると、そのステップS201の判定が「No」となり、ステップS204で、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が過渡状態であると判定される。
【0049】
このように、本実施形態では、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値の大きさが所定値αより大きいときに、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が過渡状態であると判定するため、比較的小さい過渡状態用分割比率K1が分割比率Kkatoとされて、当該高周波成分TdcomHが液圧制動に比べて応答性や分解能が高いモータジェネレータ8で発生され、図11(b)の時刻t21〜t22の範囲に示すように、乗員が要求する減速度への追従性が向上される。また、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値の大きさに基づいて、運転者によるブレーキペダル1の操作状態を判定するため、車重やパッドミュー等の車両状態を当該判定に反映できる。
【0050】
また、図11(b)の時刻t21〜t23秒の範囲に示すように、上記フローが繰り返されるうちに、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値の大きさが比較的小さい所定値α以下の状態で所定時間Tstatic以上経過したとする。すると、前記ステップS201及びS202の判定が「Yes」となり、ステップS203で、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が定常状態であると判定される。
【0051】
このように、本実施形態では、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値の大きさが所定値α以下の状態で所定時間Tstaticが経過したときに、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が定常状態であると判定するため、目標制動トルクの高周波成分の絶対値が小さい状態となったときには、すぐに定常状態用分割比率K2が分割比率Kkatoとされ、前記低周波成分TdcomLの一部又は全部がモータジェネレータ8で発生されて、図11(c)の時刻t21〜t23の範囲に示すように、回生エネルギの回収量が大きくなって燃費が向上される。ちなみに、図34は、運転者によるブレーキペダル1の踏み込みが検出されてから所定時間が経過するまでは過渡状態であると判定し、当該所定時間が経過してからは定常状態であると判定する場合であり、図34(b)、(f)の時刻t21〜t23の範囲に示すように、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が小さくなってからも低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLが比較的大きく(絶対値としては小さく)されるため、所定時間が経過するまではモータジェネレータ8で最大回生制動トルクTmmaxが発生されることなく、その結果、図34(c)に示すように、回生エネルギの回収量が小さくなる。
【0052】
さらに、上記フローが繰り返されるうちに、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が所定値α以下となる範囲で、運転者によって緩やかな制動操作がされて時間が経つと、前記ステップS201及びS202の判定が「Yes」となり、ステップS203で、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が定常状態であると判定される。
【0053】
このように、本実施形態にあっては、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値の大きさが所定値α以下の状態で所定時間Tstaticが経過したときには、運転者によるブレーキペダル1の操作状態が定常状態であると判定するため、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が小さい状態であるときには、定常状態用分割比率K2が分割比率Kkatoとされ、前記低周波成分TdcomLの一部又は全部がモータジェネレータ8で発生されて、回生エネルギの回収量が大きくなる。
【0054】
次に、本発明の車両挙動制御装置の第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が過渡状態であると判定された場合、そのブレーキペダル1の操作速度が大きいときには低周波成分回生トルク制限値TmmaxLを大きく(絶対値としては小さく)設定し、操作速度が小さいときには低周波成分回生トルク制限値TmmaxLを小さく(絶対値としては大きく)設定することで、乗員が要求する減速度への追従性向上とさらなる燃費向上とが両立するようにしたものである。
【0055】
具体的には、前記図7に示すフローチャートのステップS103に代えて、図12の過渡状態用分割比率設定処理のフローチャートが用いられ、まずそのステップS301で、前記ステップS1で読み込まれたマスタシリンダ圧Pmcの変化状態から運転者によるブレーキペダル1の操作速度VBPを算出する。
次にステップS302に移行して、図13の制御マップに従い、前記ステップS301で算出したブレーキペダルの操作速度VBPに基づいて、ブレーキペダルの操作速度VBPが大きいときには低周波成分回生トルク制限値TmmaxLが大きく(絶対値としては小さく)なるように、ブレーキペダルの操作速度VBPが小さいときには低周波成分回生トルク制限値TmmaxLが小さく(絶対値としては大きく)なるように過渡状態用分割比率候補K1’を算出する。この図13の制御マップでは、ブレーキペダルの操作速度VBPが小さな領域では過渡状態用分割比率候補K1’は比較的大きな一定値となり、ブレーキペダルの操作速度VBPが大きな領域では過渡状態用分割比率候補K1’は比較的小さな一定値となり、二つの領域の間では、ブレーキペダルの操作速度VBPの増加に伴って過渡状態用分割比率候補K1’がリニアに減少するように設定されている。
【0056】
次にステップS303に移行して、前記ステップS302で算出した過渡状態用分割比率候補K1’が、この演算処理が前回実行されたときに算出された過渡状態用分割比率K1以下であるか否かを判定し、前回の過渡状態用分割比率K1以下である場合にはステップS304に移行し、そうでない場合にはステップS305に移行する。
【0057】
前記ステップS304では、前記ステップS302で算出した過渡状態用分割比率候補K1’を新たな過渡状態用分割比率K1としてから、もとの演算処理に復帰する。
一方、前記ステップS305では、この演算処理が前回実行されたときに算出された過渡状態用分割比率K1を新たな過渡状態用分割比率K1としてから、もとの演算処理に復帰する。
【0058】
次に、本実施形態の動作を具体的な状況に基づいて詳細に説明する。
まず、図14の時刻t31のところに示すように、走行中の車両を信号等で停止させようとして運転者が緩やかにブレーキペダル1を踏み込んだときに、回生協調制御コントロールユニット11で演算処理が実行されたとする。すると、図2に示すように、ステップS1〜S8を経て、ステップS9で最大回生トルク分割処理が実行され、またステップS101、S102を経て、ステップS103で過渡状態用分割比率設定処理の演算処理がされ、そのステップS301で、前記ステップS1で読み込まれたマスタシリンダ圧Pmcの変化状態から運転者によるブレーキペダル1の操作速度VBPが小さく算出され、ステップS302で、図13の制御マップに従い、前記ステップS301で算出されたブレーキペダルの操作速度VBPに基づいて過渡状態用分割比率候補K1’が大きく算出され、ステップS303の判定が「Yes」となる。但しここで、ステップS303にて制動開始後初めて比較を行う際の前回算出した過渡状態用分割比率K1は、踏み込み速度が“0”のときの値、つまり定常状態用比率K2とする。その後、ステップS304で、前記ステップS302で算出した過渡状態用分割比率候補K1’が新たな過渡状態用分割比率K1とされる。
【0059】
このように、本実施形態では、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が過渡状態であっても、ブレーキペダル1の操作速度VBPが小さいとき、つまり目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が小さいときには、目標制動トルクの低周波成分TdcomLのモータジェネレータ8への分配量の比率が大きくなるように、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを比較的小さく(絶対値としては大きく)するため、前記低周波成分TdcomLの一部又は全部がモータジェネレータ8で発生され、図14(c)の時刻t31〜t32の範囲に示すように、回生エネルギの回収量が大きくなって燃費が向上される。ちなみに、図35は、運転者によるブレーキペダル1の操作状態が過渡状態であると判定されたときに、一定値である過渡状態用分割比率K1を分割用比率Kkatoとする場合であり、図35(f)の時刻t31〜t32の範囲に示すように、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が小さいときにも、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLが比較的大きく(絶対値としては小さく)されるため、モータジェネレータ8で最大回生制動トルクTmmaxが発生されることなく、その結果、図35(c)に示すように、回生エネルギの回収量が小さくなる。
【0060】
また、運転者がステップ状にブレーキペダル1を踏み込んだときに、回生協調制御コントロールユニット11で演算処理が実行されたとする。すると、前記ステップS301で、前記ステップS1で読み込まれたマスタシリンダ圧Pmcの変化状態から運転者によるブレーキペダル1の操作速度VBPが大きく算出され、ステップS302で、図13の制御マップに従い、前記ステップS301で算出したブレーキペダルの操作速度VBPに基づいて過渡状態用分割比率候補K1’が小さく算出され、ステップS303の判定が「Yes」となり、ステップS304で、前記ステップS302で算出した過渡状態用分割比率候補K1’が新たな過渡状態用分割比率K1とされる。
【0061】
このように、本実施形態では、運転者によるブレーキペダル1の踏込状態が過渡状態であって、ブレーキペダル1の操作速度VBPが大きいとき、つまり目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が大きいときには、目標制動トルクの低周波成分TdcomLのモータジェネレータ8への分配量の比率が小さくなるように、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを比較的大きく(絶対値としては小さく)するため、高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHが比較的小さく(絶対値としては大きく)なり、前記高周波成分TdcomHが液圧制動に比べて応答性や分解能が高いモータジェネレータ8により発生され、乗員が要求する減速度への追従性がより向上される。
【0062】
次に、本発明の車両挙動制御装置の第5実施形態について説明する。この第5実施形態は、いずれかの車輪のスリップ率SiがABS開始閾値Vabs以上となったときには、回生協調制御コントロールユニット11で当該駆動輪のアンチスキッド制御を開始するように構成されている。なお、このアンチスキッド制御処理では、回生協調制御コントロールユニット11の演算処理で算出される駆動輪の回生制動トルク指令値Tmcom2及び制動流体圧制動トルク指令値PbcomFの絶対値の大きさを小さく補正する。また、本実施形態では、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vslipon以上であるとき(以下、スリップ状態とも呼ぶ。)には、低周波成分回生トルク制限値TmmaxLを大きく(絶対値としては小さく)設定することで、駆動輪のスリップを抑制するフィードバック補償値TdFBへの応答性向上と燃費向上とが両立するようにしたものである。
【0063】
具体的には、前記図2に示すフローチャートのステップS2及びS9に代えて、同図のステップS2’及び図15の目標制動トルク分割処理のフローチャートが用いられ、まず図2のステップS2’では、前記制動流体圧コントロールユニット7から駆動輪の車輪速度を読み込み、それらのうちで最大のものに、上記(1)式で表されるバンドパスフィルタを用いて推定減速度αvを算出する。
【0064】
また、図15のステップS401では、非スリップ用分割比率Knoslipを算出する後述の非スリップ用分割比率算出処理を実行する。なお、非スリップ用分割比率Knoslipとは、駆動輪がスリップ状態でないとき、つまり非スリップ状態であるときに、分割比率Kkatoとして設定するためのものである。
次にステップS402に移行して、前記制動流体圧コントロールユニット7から各車輪の車輪速度を読み込み、それらのうちで最大のものを推定車体速度Vrとし、その推定車体速度Vrから駆動輪の車輪速度を減算し、その減算結果を当該推定車体速度Vrで除して駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrを算出する。
【0065】
次にステップS403に移行して、前記ステップS401で算出された非スリップ用分割比率Knoslipと前記ステップS402で算出された駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrとに基づいて、最大回生制動トルクTmmaxを分割するための分割比率Kkatoを設定する後述の分割比率設定処理を実行する。
次にステップS404に移行して、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxを、上記(4)式に従って、前記ステップS7又はS8で算出された目標制動トルクTdcomの低周波成分を発生するための低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと、当該目標制動トルクTdcomの高周波成分を発生するための高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分ける。
【0066】
次に、前記目標制動トルク分割処理のステップS401で実行される非スリップ用分割比率算出処理を説明する。この非スリップ用分割比率算出処理は、非スリップ用分割比率Knoslipを設定するためのものであって、具体的には、前記第2実施形態の目標制動トルク分割処理(図7参照。)からステップS107を除いたフロー、つまり当該目標制動トルク分割処理のステップS101〜S106からなるフローを実行し、そのフローのステップS105又はS106で算出される分割用比率Kkatoを非スリップ用分割比率Knoslipとする。なお、非スリップ用分割比率算出処理は、これに限られるものではなく、例えば、前記フローのステップS101に代えて前記第3実施形態のブレーキ踏込状態判断処理(図10参照。)を用いてもよく、また前記フローのステップS103に代えて前記第4実施形態の過渡状態用分割比率設定処理(図12参照。)を用いてもよい。
【0067】
次に、前記目標制動トルク分割処理のステップS403で実行される分割比率設定処理を図16のフローチャートに従って説明する。
この分割比率設定処理は、まずステップS501で、前記ステップS402で算出された駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vslipon以上であるか否か、つまり駆動輪がスリップ状態であるか否かを判定し、駆動輪がスリップ状態である場合にはステップS502に移行し、そうでない場合にはステップS503に移行する。なお、スリップ判断閾値Vsliponは、アンチスキッド制御の開始しきい値であるABS開始閾値Vabsより小さく設定する。
【0068】
前記ステップS502では、スリップ用分割比率Kslipstを分割比率Kkatoとしてから、この演算処理を終了する。なお、スリップ用分割比率Kslipstとしては、前記ステップS401で算出される非スリップ用分割比率Knoslipよりも小さくなるように予め設定しておく。
前記ステップS503では、前記ステップS401で算出された非スリップ用分割比率Knoslipを分割比率Kkatoとしてから、この演算処理を終了する。
【0069】
次に、本実施形態の動作を具体的な状況に基づいて詳細に説明する。
まず、図17の時刻t31のところに示すように、走行中の車両を信号等で停止させようとして運転者がブレーキペダル1を踏み込んでから所定時間Tconv2が経過したのち、車両が路面μの小さい領域に進入し、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが大きくなったときに、回生協調制御コントロールユニット11で演算処理が実行されたとする。すると、図2に示すように、まずステップS1で、制動流体圧コントロールユニット7からマスタシリンダ圧Pmc及びホイルシリンダ圧Pwcが読み込まれ、また駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが大きくなったため、つまり駆動輪のロック傾向が大きくなって、駆動輪の車輪速度が小さくなったため、ステップS2’で、制動流体圧コントロールユニット7で読み込んだ駆動輪の車輪速度から推定減速度αvが大きく算出され、またステップS3で、モータコントロールユニット9から最大回生制動トルクTmmaxが読み込まれる。
【0070】
次にステップS4で、前記ステップS1で読み込まれたマスタシリンダ圧Pmcに基づいて目標減速度αdemが大きく算出され、ステップS5で、図3に示すように、前記ステップS4で算出された目標減速度αdemに基づいて比較的周波数が小さいフィードフォワード指令値TdFFが大きく算出される。またブレーキペダル1が踏み込まれているため、ステップS6の判定が「Yes」となり、ステップS7で、図3に示すように、前記ステップS4で大きく算出された目標減速度αdemに基づいて規範減速度αrefが算出されると共に、その規範減速度αrefから前記ステップS2’で大きく算出された推定減速度αvが減じられて、駆動輪のスリップ傾向を抑制するようにフィードバック偏差Δαが大きく算出され、そのフィードバック偏差Δαに基づいて比較的周波数が大きいフィードバック補償値TdFBが大きく算出される。そして、そのフィードバック補償値TdFBに前記ステップS5で算出されたフィードフォワード指令値TdFFが加算されて目標制動トルクTdcomが算出される。
【0071】
次にステップS9で、図15に示すように、目標制動トルク分割処理が実行され、そのステップS401で、比較的小さい非スリップ用分割比率Knoslipが算出され、ステップS402で、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vsliponより大きく算出され、ステップS403で、分割比率設定処理が実行される。この分割比率設定処理が実行されると、図16に示すように、ステップS501の判定が「Yes」となり、ステップS502で、比較的小さいスリップ用分割比率Kslipstが分割比率Kkatoとされ、この分割比率設定処理が終了する。分割比率設定処理が終了されると、もとの目標制動トルク分割処理のステップS404で、前記ステップS502で設定された分割比率Kkatoに従って、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが比較的大きい(絶対値としては小さい)低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと比較的小さい(絶対値としては大きい)高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられ、この目標制動トルク分割処理が終了する。
【0072】
目標制動トルク分割処理が終了されると、もとの演算処理のステップS10で、前記ステップS7で算出された目標制動トルクTdcomが低周波成分TdcomLと高周波成分TdcomHとに分割され、ステップS11で、前記ステップS10で算出された目標制動トルクの低周波成分TdcomLが、前記低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを超えない範囲内で前輪のモータジェネレータ8によって優先的に発生されるように目標回生制動トルクTmcomと前後輪の目標液圧制動トルクTbcomF及びTbcomRとが算出される。そして、ステップS12で、前記ステップS11で算出された目標回生制動トルクTmcomに、前記ステップS10で算出された目標制動トルクの高周波成分TdcomHが加算されて回生制動トルク指令値Tmcom2が算出され、ステップS13で、前記ステップS11で算出された目標液圧制動トルクTbcomF及びTbcomRに基づいて前後輪の制動流体圧制動トルク指令値PbcomF及びPbcomRが算出され、ステップS14で、前記ステップS12で算出された回生制動トルク指令値Tmcom2がモータコントロールユニット9に送信されると共に、前記ステップS13で算出された前後輪の制動流体圧制動トルク指令値PbcomF及びPbcomRが制動流体圧コントロールユニット7に送信される。
【0073】
このように、本実施形態では、駆動輪がスリップ状態であるとき、つまり推定減速度αvが大きく算出され、駆動輪のスリップを抑制するフィードバック補償値TdFBの絶対値が大きく算出され、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が大きく算出されるときには、目標制動トルクの低周波成分TdcomLのモータジェネレータ8への分配量の比率が小さくなるように、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを比較的大きく(絶対値としては小さく)するため、高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHが比較的小さく(絶対値としては大きく)なり、前記高周波成分TdcomHが液圧制動に比べて応答性や分解能が高いモータジェネレータ8で発生され、目標制動トルクTdcomの高周波成分がより確実に実現される。これにより、目標制動トルクTdcomへの応答性や精度といった制御性能が向上するため、図17(f)の時刻t31〜t32の範囲に示すように、減速度フィードバック制御によって駆動輪のスリップが抑制される。また、スリップ判断閾値VsliponをABS開始閾値Vabsより小さく設定したため、図17(f)の時刻t31〜t32に示すように、駆動輪のスリップ率Sfl,SfrがABS作動開始閾値Vabsより小さいうちに駆動輪のスリップが抑制され、例えば回生制動トルクが最大限に利用され、制動トルクの前後理想配分が崩れた状況、つまり駆動輪の制動トルクのみが大きい状況においてもアンチスキッド制御の早期作動を抑制することができる。
【0074】
ちなみに、図37は、燃費向上を考慮して回生制動を常に優先して行う従来例であり、この従来例では、図37(d)の時刻t1に示すように、走行中の車両を信号等で停止させようとして運転者がブレーキペダル1を踏み込んでいる状態で、車両が路面μの小さい領域に進入したときにも、運転者が要求する大きな減速度に応じてモータジェネレータ8で最大回生制動トルクTmmaxが発生され、その結果、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが増大する。その際、駆動輪のスリップを抑制しようとするフィードバック補償値TdFBは、液圧制動装置に分配されてしまい、充分な応答を得ることができず、図37(e)の時刻t1〜t2に示すように、駆動輪のスリップ率がABS作動開始閾値Vabsより速やかに大きくなって、アンチスキッド制御が直ぐに開始されてしまう。
【0075】
また、図17の時刻t32のところに示すように、上記フローが繰り返されるうちに、前記ステップS402で、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vsliponより小さくなったとする。すると、前記ステップS501の判定が「No」となり、ステップS503で、比較的大きい非スリップ用分割比率Knoslipが分割比率Kkatoとされ、前記ステップS404で、図17(d)の時刻t32のところに示すように、前記ステップS503で設定された分割比率Kkatoに従って、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが比較的小さい(絶対値としては大きい)低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと比較的大きい(絶対値としては小さい)高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられる。
【0076】
このように、本実施形態では、駆動輪が非スリップ状態であるとき、つまり推定減速度αvが大きく算出され、フィードバック補償値TdFBが小さく算出され、目標制動トルクの高周波成分TdcomHの絶対値が小さく算出されるときには、目標制動トルクの低周波成分TdcomLのモータジェネレータ8への分配量の比率が大きくなるように、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを比較的小さく(絶対値としては大きく)するため、モータジェネレータ8でほぼ最大回生制動トルクTmmaxが発生され、回生エネルギの回収量を無駄に減少させることがない。
【0077】
次に、本発明の車両挙動制御装置の第6実施形態について説明する。この第6実施形態では、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoff(<Vslipon)以下となったとき(以下、非スリップ状態とも呼ぶ。)に、低周波成分回生トルク制限値TmmaxLを小さく(絶対値としては大きく)設定するようにしたものである。
【0078】
具体的には、前記図16に示すフローチャートに代えて、図18の分割比率設定処理のフローチャートが用いられ、まずそのステップS601では、この演算処理が前回行われたときに格納しておいた旧スリップフラグFslipzを所定の記憶領域から読み出すと共に、その旧スリップフラグFslipzが“0”のリセット状態であるか否かを判定し、リセット状態である場合にはステップS602に移行し、そうでない場合にはステップS605に移行する。
【0079】
前記ステップS602では、前記ステップS402で算出された駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vslipon以上であるか否か、つまり駆動輪がスリップ状態であるか否かを判定し、駆動輪がスリップ状態である場合にはステップS603に移行し、そうでない場合にはステップS606に移行する。
前記ステップS603では、駆動輪がスリップ状態であることを示す新スリップフラグFslipを“1”のセット状態とする。
【0080】
次にステップS604に移行して、スリップ用分割比率Kslipstを分割比率Kkatoとしてから、ステップS608に移行する。なお、スリップ用分割比率Kslipstとしては、前記ステップS401で算出される非スリップ用分割比率Knoslipよりも小さくなるように予め設定しておく。
一方、前記ステップS605では、前記ステップS402で算出されたスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoff以下であるか否かを判定し、非スリップ判断閾値Vslipoff以下である場合にはステップS606に移行し、そうでない場合には前記ステップS603に移行する。
【0081】
前記ステップS606では、新スリップフラグFslipを“0”のリセット状態とする。
次にステップS607に移行して、前記ステップS401で算出された非スリップ用分割比率Knoslipを分割比率Kkatoとしてから、前記ステップS608に移行する。
【0082】
前記ステップS608では、前記ステップS603又はステップS606で設定された新スリップフラグFslipを旧スリップフラグFslipzとすると共に、その旧スリップフラグFslipzを所定の記憶領域に格納してから、この分割比率設定処理を終了する。
次に、本実施形態の動作を具体的な状況に基づいて詳細に説明する。
【0083】
まず、図19の時刻t41のところに示すように、走行中の車両を信号等で停止させようとして運転者がブレーキペダル1を踏み込んでから所定時間Tconv2が経過したのち、車両が路面μの小さい領域に進入し、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが大きくなったときに、回生協調制御コントロールユニット11で演算処理が実行されたとする。すると、図2に示すように、まずステップS1〜S8を経て、ステップS9で、図15に示すように、目標制動トルク分割処理が実行され、ステップS401を経て、ステップS402で、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vsliponより大きく算出され、ステップS403で、分割比率設定処理が実行される。この分割比率設定処理が実行されると、図18に示すように、ステップS601及びS602の判定が「Yes」となり、ステップS603で、新スリップフラグFslipが“1”のセット状態とされ、ステップS604で、比較的小さいスリップ用分割比率Kslipstが分割比率Kkatoとされ、ステップS608で、前記ステップS603で設定された新スリップフラグFslipが旧スリップフラグFslipzとされ、その旧スリップフラグFslipzが所定の記憶領域に格納され、この分割比率設定処理が終了する。分割比率設定処理が終了されると、もとの目標制動トルク分割処理のステップS404で、前記ステップS604で設定された分割比率Kkatoに従って、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが比較的大きい(絶対値としては小さい)低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと比較的小さい(絶対値としては大きい)高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられる。
【0084】
また、図19の時刻t42のところに示すように、上記フローが繰り返されるうちに、前記ステップS402で、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vsliponより小さく、且つ、スリップ判断閾値Vsliponより大きく算出されたとする。すると、前記ステップS601及びS605の判定が「No」となり、前記ステップS603を経て、前記ステップS604で、スリップ用分割比率Kslipstが分割比率Kkatoとされる。分割比率設定処理が終了されると、もとの目標制動トルク分割処理のステップS404で、前記ステップS604で設定された分割比率Kkatoに従って、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが比較的大きい(絶対値としては小さい)低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと比較的小さい(絶対値としては大きい)高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられる。
【0085】
また、図19の時刻t43のところに示すように、上記フローが繰り返されるうちに、前記ステップS402で、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vsliponより小さく算出されたとする。すると、前記ステップS601の判定が「No」となり、また前記ステップS605の判定が「Yes」となり、前記ステップS606で、新スリップフラグFslipが“0”のリセット状態とされ、ステップS607で、前記ステップS401で算出された非スリップ用分割比率Kslipstが分割比率Kkatoとされ、ステップS608で、前記ステップS606で設定された新スリップフラグFslipが旧スリップフラグFslipzとされ、その旧スリップフラグFslipzが所定の記憶領域に格納され、この分割比率設定処理が終了する。分割比率設定処理が終了されると、もとの目標制動トルク分割処理のステップS404で、前記ステップS607で設定された分割比率Kkatoに従って、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが比較的小さい(絶対値としては大きい)低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと比較的大きい(絶対値としては小さい)高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられる。
【0086】
このように、本実施形態では、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vsliponより小さい非スリップ判断閾値Vslipoff以下となったときに、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを小さく(絶対値としては大きく)するため、図19(b)の時刻t41〜t43に示すように、駆動輪の車輪速が増減し、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vslipon周辺で増減しても、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLは大きい(絶対値としては小さい)状態で保持される。つまり、非スリップ状態判断を行うための非スリップ判断閾値Vslipoffをスリップ判断閾値Vsliponに比べ十分小さくすることにより、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrの増減がスリップ判断閾値Vslipon近辺で繰り返されても、スリップ/非スリップ判断、つまり低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLの増減が無駄に繰り返すことを防止できる。ちなみに、図38は、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vslipon以下となったときに、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを小さく(絶対値としては大きく)する例である。この例では、図38(b)の時刻t1〜t3に示すように、駆動輪の車輪速が増減し、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vslipon周辺で頻繁に増減すると、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLが増減され、その結果、制動流体圧制動トルク指令値PbcomFが頻繁に増減されるが、モータジェネレータ8に比べて応答性や分解能が低い液圧制動は充分な応答をすることができず、乗員に違和感を与えてしまう。
【0087】
次に、本発明の車両挙動制御装置の第7実施形態について説明する。この第7実施形態は、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoffより小さい領域にある状態で、所定時間Tslipoffが経過したときに、低周波成分回生トルク制限値TmmaxLを小さく(絶対値としては大きく)設定するようにしたものである。
【0088】
具体的には、前記図18に示すフローチャートに代えて、図20の分割比率設定処理のフローチャートが用いられ、まずそのステップS701では、この演算処理が前回行われたときに格納しておいた旧スリップフラグFslipzを所定の記憶領域から読み出すと共に、その旧スリップフラグFslipzが“0”のリセット状態であるか否かを判定し、リセット状態である場合にはステップS702に移行し、そうでない場合にはステップS706に移行する。
【0089】
前記ステップS702では、前記ステップS402で算出された駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vslipon以上であるか否か、つまり駆動輪がスリップ状態であるか否かを判定し、駆動輪がスリップ状態である場合にはステップS703に移行し、そうでない場合にはステップS709に移行する。
前記ステップS703では、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoffより小さくなってからの経過時間を計数するための新カウンタTcountを“0”に初期化する。
【0090】
前記ステップS704では、駆動輪がスリップ状態であることを示す新スリップフラグFslipを“1”のセット状態とする。
次にステップS705に移行して、スリップ用分割比率Kslipstを分割比率Kkatoとしてから、ステップS711に移行する。なお、スリップ用分割比率Kslipstとしては、前記ステップS401で算出される非スリップ用分割比率Knoslipよりも小さくなるように予め設定しておく。
【0091】
一方、前記ステップS706では、前記ステップS402で算出されたスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoff以下であるか否かを判定し、非スリップ判断閾値Vslipoff以下である場合にはステップS709に移行し、そうでない場合には前記ステップS703に移行する。
前記ステップS707では、この演算処理が前回行われたときに格納しておいた旧カウンタTcoutzを所定の記憶領域から読み出すと共に、その旧カウンタTcountzに、この演算処理が前回行われたときからの経過時間ΔTを加えて新カウンタTcountを算出する。
【0092】
次にステップS708に移行して、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoffよりも小さい状態で所定時間Tslipoff経過しているか、つまりカウンタTcountが所定時間Tslipoff以上であるか否かを判定し、カウンタTcountが所定時間Tslipoff以上である場合にはステップS708に移行し、そうでない場合には前記ステップS704に移行する。
【0093】
前記ステップS709では、新スリップフラグFslipを“0”のリセット状態とする。
前記ステップS710では、前記ステップS401で算出された非スリップ用分割比率Knoslipを分割比率Kkatoとしてから、前記ステップS711に移行する。
【0094】
前記ステップS711では、前記ステップS704又はS709で設定された新スリップフラグFslipを旧スリップフラグFslipzとし、前記ステップS705又はS710で設定された新カウンタTcountを旧カウンタTcountzとすると共に、それら旧スリップフラグFslipz及び旧カウンタTcountzを所定の記憶領域に格納してから、この分割比率設定処理を終了する。
【0095】
次に、本実施形態の動作を具体的な状況に基づいて詳細に説明する。
まず、図21の時刻t51のところに示すように、走行中の車両を信号等で停止させようとして運転者がブレーキペダル1を踏み込んでから所定時間Tconv2が経過したのち、車両が路面μの小さい領域に進入し、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが大きくなったときに、回生協調制御コントロールユニット11で演算処理が実行されたとする。すると、図2に示すように、まずステップS1〜S8を経て、ステップS9で、図15に示すように、目標制動トルク分割処理が実行され、ステップS401を経て、ステップS402で、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vsliponより大きく算出され、ステップS403で、分割比率設定処理が実行される。この分割比率設定処理が実行されると、図20に示すように、ステップS701及びS702の判定が「Yes」となり、ステップS703で、新カウンタTcountが“0”に初期化され、ステップS704で、新スリップフラグFslipが“1”のセット状態とされ、ステップS705で、比較的小さいスリップ用分割比率Kslipstが分割比率Kkatoとされ、ステップS711で、前記ステップS704で設定された新スリップフラグFslipが旧スリップフラグFslipzとされ、前記ステップS705で設定された新カウンタTcountが旧カウンタTcountzとされ、それら旧スリップフラグFslipz及び旧カウンタTcountzが所定の記憶領域に格納され、この分割比率設定処理が終了する。分割比率設定処理が終了されると、もとの目標制動トルク分割処理のステップS404で、前記ステップS705で設定された分割比率Kkatoに従って、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが比較的大きい(絶対値としては小さい)低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと比較的小さい(絶対値としては大きい)高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられる。
【0096】
また、図21の時刻t52のところに示すように、上記フローが繰り返されるうちに、前記ステップS402で、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoffより小さく算出されたとする。すると、前記ステップS701の判定が「No」となり、また前記ステップS706の判定が「Yes」となり、ステップS707で、旧カウンタTcountzに経過時間ΔTを加えて新カウンタTcountが算出され、ステップS708の判定が「No」となり、前記ステップS704を経て、前記ステップS705で、比較的小さいスリップ用分割比率Kslipstが分割比率Kkatoとされる。分割比率設定処理が終了されると、もとの目標制動トルク分割処理のステップS404で、前記ステップS705で設定された分割比率Kkatoに従って、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが比較的大きい(絶対値としては小さい)低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと比較的小さい(絶対値としては大きい)高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられる。
【0097】
このように、本実施形態では、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoffより小さい領域にある状態で、所定時間Tslipoffが経過したときに、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを小さく(絶対値としては大きく)するため、図21(b)の時刻t51〜t53に示すように、駆動輪の車輪速が増減し、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoffよりも小さくなってから、直ぐにスリップ判断閾値Vsliponよりも大きくなったとしても、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLは大きい(絶対値としては小さい)状態で保持される。つまり、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrの増減がスリップ判断閾値Vslipon近辺で繰り返されても、スリップ/非スリップ判断、つまり低周波成分用回生トルク制限値TmmaxL及び目標液圧制動トルクTbcomが駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrの変化に伴い頻繁に不連続に変化することを防止し、液圧系のサーボ性能がコスト上の問題等から回生系のサーボ性能に比べ大きく劣る場合においても、液圧系のサーボ性能が制動フィーリングへ及ぼす影響を抑制することができる。ちなみに、図39は、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoff以下となったときに、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLを小さく(絶対値としては大きく)する例である。この例では、図39(b)の時刻t1〜t3に示すように、駆動輪の車輪速が増減し、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoffよりも小さくなってから、直ぐにスリップ判断閾値Vsliponよりも大きくなると、低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLが増減され、その結果、制動流体圧制動トルク指令値PbcomFが増減されるが、モータジェネレータ8に比べて応答性や分解能が低い液圧制動は充分な応答をすることができず、乗員に違和感を与えてしまう。
【0098】
次に、本発明の車両挙動制御装置の第8実施形態について説明する。この第8実施形態は、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrに基づいて、低周波成分回生トルク制限値TmmaxLを徐々に変化させるようにしたものである。
具体的には、前記図20に示すフローチャートに代えて、図22の分割比率設定処理のフローチャートが用いられ、まずそのステップS801では、この演算処理が前回行われたときに格納しておいた旧スリップフラグFslipzを所定の記憶領域から読み出すと共に、その旧スリップフラグFslipzが“0”のリセット状態であるか否かを判定し、リセット状態である場合にはステップS802に移行し、そうでない場合にはステップS807に移行する。
【0099】
前記ステップS802では、前記ステップS402で算出された駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vslipon以上であるか否か、つまり駆動輪がスリップ状態であるか否かを判定し、駆動輪がスリップ状態である場合にはステップS803に移行し、そうでない場合にはステップS812に移行する。
前記ステップS803では、この演算処理が前回行われたときに格納しておいた旧スリップ用分割比率Kslipzを所定の記憶領域から読み出すと共に、その旧スリップ用分割比率Kslipzから変化量ΔKを減じた値を新スリップ用分割比率Kslipとする。なお、この変化量ΔKは、モータジェネレータ8に比べて応答性や分解能が低い液圧制動で充分に応答できる程度の大きさに設定する。
【0100】
次にステップS804に移行して、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoffより小さくなってからの経過時間を計数するための新カウンタTcountを“0”に初期化する。
次にステップS805に移行して、駆動輪がスリップ状態であることを示す新スリップフラグFslipを“1”のセット状態とする。
【0101】
次にステップS806に移行して、前記ステップS803又はステップS814で算出された新スリップ用分割比率Kslipを分割比率Kkatoとしてから、ステップS817に移行する。
一方、前記ステップS807では、この演算処理が前回行われたときに格納しておいた旧スリップ用分割比率Kslipzを所定の記憶領域から読み出すと共に、その旧スリップ用分割比率Kslipzがスリップ用分割比率Kslipststより大きいか否かを判定し、スリップ用分割比率Kslipststより大きい場合にはステップS808に移行し、そうでない場合にはステップS809に移行する。なお、スリップ用分割比率Kslipstとしては、前記ステップS401で算出される非スリップ用分割比率Knoslipよりも小さくなるように予め設定しておく。
【0102】
前記ステップS808では、この演算処理が前回行われたときに格納しておいた旧スリップ用分割比率Kslipzを所定の記憶領域から読み出すと共に、その旧スリップ用分割比率Kslipzから変化量ΔKを減じた値を新スリップ用分割比率Kslipとしてから、ステップS810に移行する。
一方、前記ステップS809では、この演算処理が前回行われたときに格納しておいた旧スリップ用分割比率Kslipzを所定の記憶領域から読み出すと共に、その旧スリップ用分割比率Kslipzを新スリップ用分割比率Kslipとしてから、前記ステップS810に移行する。
【0103】
前記ステップS810では、前記ステップS402で算出されたスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoff以下であるか否かを判定し、非スリップ判断閾値Vslipoff以下である場合にはステップS811に移行し、そうでない場合にはステップS804に移行する。
前記ステップS811では、この演算処理が前回行われたときに格納しておいた旧カウンタTcoutzを所定の記憶領域から読み出すと共に、その旧カウンタTcountzに、この演算処理が前回行われたときからの経過時間ΔTを加えて新カウンタTcountを算出する。
【0104】
次にステップS812に移行して、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが非スリップ判断閾値Vslipoffよりも小さい状態で所定時間Tslipoff経過しているか、つまりカウンタTcountが所定時間Tslipoff以上であるか否かを判定し、カウンタTcountが所定時間Tslipoff以上である場合にはステップS813に移行し、そうでない場合には前記ステップS805に移行する。
【0105】
前記ステップS813では、新スリップフラグFslipを“0”のリセット状態とする。
次にステップS814に移行して、前記ステップS808又は前記ステップS809で算出されたスリップ用分割比率Kslipstが前記ステップS401で算出された非スリップ用分割比率Knoslipより大きいか否かを判定し、非スリップ用分割比率Knoslipより大きい場合にはステップS815に移行し、そうでない場合にはステップS816に移行する。
【0106】
前記ステップS815では、前記ステップS401で算出された非スリップ用分割比率Knoslipを分割比率Kkatoとしてから、前記ステップS817に移行する。
一方、前記ステップS816では、この演算処理が前回行われたときに格納しておいた旧スリップ用分割比率Kslipzを所定の記憶領域から読み出すと共に、その旧スリップ用分割比率Kslipzから変化量ΔKを減じた値を新スリップ用分割比率Kslipとしてから、前記ステップS817に移行する。
【0107】
前記ステップS817では、前記ステップS805又はS813で設定された新スリップフラグFslipを旧スリップフラグFslipzとし、前記ステップS804又はS811で設定された新カウンタTcountを旧カウンタTcountzとし、前記ステップS803、S808、S809又はS816で設定された新スリップ用分割比率Kslipを旧スリップ用分割比率Kslipzとすると共に、それら旧スリップフラグFslipz、旧カウンタTcountz及び旧スリップ用分割比率Kslipzを所定の記憶領域に格納してから、この分割比率設定処理を終了する。
【0108】
次に、本実施形態の動作を具体的な状況に基づいて詳細に説明する。
まず、図23の時刻t61のところに示すように、走行中の車両を信号等で停止させようとして運転者がブレーキペダル1を踏み込んでから所定時間Tconv2が経過したのち、車両が路面μの小さい領域に進入し、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrが大きくなったときに、回生協調制御コントロールユニット11で演算処理が実行されたとする。すると、図2に示すように、まずステップS1〜S8を経て、ステップS9で、図15に示すように、目標制動トルク分割処理が実行され、ステップS401を経て、ステップS402で、駆動輪のスリップ率Sfl,Sfrがスリップ判断閾値Vsliponより大きく算出され、ステップS403で、分割比率設定処理が実行される。この分割比率設定処理が実行されると、図22に示すように、ステップS801及びS802の判定が「Yes」となり、ステップS803で、この演算処理が前回行われたときに格納しておいた旧スリップ用分割比率Kslipzが所定の記憶領域から読み出され、その旧スリップ用分割比率Kslipzから変化量ΔKを減じた値が新スリップ用分割比率Kslipとされ、ステップS804で、新カウンタTcountが“0”に初期化され、ステップS805で、新スリップフラグFslipが“1”のセット状態とされ、ステップS806で、前記ステップS803で小さく算出されたスリップ用分割比率Kslipstが分割比率Kkatoとされ、ステップS817で、前記ステップS805で設定された新スリップフラグFslipが旧スリップフラグFslipzとされ、前記ステップS804で設定された新カウンタTcountが旧カウンタTcountzとされ、前記ステップS803で設定された新スリップ用分割比率Kslipが旧スリップ用分割比率Kslipzとされ、それら旧スリップフラグFslipz、旧カウンタTcountz及び旧スリップ用分割比率Kslipzが所定の記憶領域に格納され、この分割比率設定処理を終了する。この分割比率設定処理が終了する。分割比率設定処理が終了されると、もとの目標制動トルク分割処理のステップS404で、前記ステップS705で設定された分割比率Kkatoに従って、前記ステップS3で読み込まれた最大回生制動トルクTmmaxが比較的大きい(絶対値としては小さい)低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLと比較的小さい(絶対値としては大きい)高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHとに分けられる。
【0109】
このように、本実施形態では、新スリップ用分割比率Kslipを変化量ΔKずつ増減し、低周波成分回生トルク制限値TmmaxLを徐々に変化させるため、図23(e)の時刻t61〜t62に示すように、目標液圧制動トルクTbcomFが徐々に変化し、モータジェネレータ8に比べて応答性や分解能が低い液圧制動の目標液圧制動トルクTbcomFへの追従性が向上する。つまり、液圧系のサーボ性能がコスト上の問題等から回生系(モータジェネレータ8)のサーボ性能に比べ大きく劣る場合においても、液圧系のサーボ性能が制動性能に対して及ぼす影響を抑制することができる。
【0110】
次に、本発明の第9実施形態について図面に基づいて説明する。
図24は本発明の第9実施形態を示す概略構成図であり、ポンプアップ式のブレーキアクチュエータとエンジンブレーキとで制動力を制御することにより、自車両を先行車両に追従走行させる追従制御システムに、本発明の制動制御装置を適用したものである。
【0111】
図24において、101FL、101FRは従動輪としての前輪、101RL、101RRは駆動輪としての後輪であって、その後輪101RL、101RRは、エンジン102の駆動力が自動変速機103、プロペラシャフト104、最終減速装置105及び車軸106を介して伝達されて回転駆動される。
前輪101FL、101FR及び後輪101RL、101RRには、夫々制動力を発生するディスクブレーキ107が設けられていると共に、これらディスクブレーキ107の制動油圧がブレーキコントローラ108によって制御される。
【0112】
ここで、ブレーキコントローラ108は、図示しないブレーキペダルの踏み込みに応じて制動油圧を発生すると共に、追従制御用コントローラ115から供給されるブレーキ指令値PBの大きさに応じた制動油圧をポンプアップ式のブレーキアクチュエータ109に発生させてディスクブレーキ107に供給する。このブレーキアクチュエータ109は、図25に示すように、電流比例弁110とモータ式ポンプ111とを有し、それらをブレーキコントローラ108から出力される制御信号に応じて制御し、ディスクブレーキ107に供給する制動油圧を制御するように構成されている。
【0113】
さらに、エンジン102には、その出力を制御するスロットルアクチュエータ112が設けられている。このスロットルアクチュエータ112は、負圧ポンプと大気開放用ソレノイドとを有し、それらを追従制御用コントローラ115から出力されるスロットル指令値θに応じて制御し、スロットルバルブの開度を調整してエンジン回転数を制御するように構成されている。
【0114】
一方、車両の前方側の車体下部には、先行車両と自車両との間の車間距離LTを検出するレーダ装置で構成される車間距離センサ113が設けられている。この車間距離センサ113としては、例えばレーザ光を前方に掃射して先行車両からの反射光を受光することにより、その先行車両との車間距離LTを計測するレーダ装置や、電波や超音波を利用する距離センサを適用することができる。また、自動変速機103の出力側には、出力軸の回転数を検出することにより、自車速VTを検出する車速センサ114が設けられている。
【0115】
そして、前記車間距離センサ113及び車速センサ114の各出力信号が追従制御用コントローラ115に入力され、この追従制御用コントローラ115によって、車間距離センサ113で検出された車間距離LT及び車速センサ114で検出された自車速VTに基づいて、ブレーキコントローラ108、スロットルアクチュエータ112を制御することにより、先行車両との間に適正な車間距離を維持しながら追従走行させる追従走行制御を行うように構成されている。
【0116】
この追従制御用コントローラ115は、マイクロコンピュータとその周辺機器を備え、そのマイクロコンピュータのソフトウェア形態により、図26に示す制御ブロックを構成している。
この制御ブロックは、前記車間距離センサ113でレーザ光を掃射してから先行車の反射光を受光するまでの時間を計測して車間距離LTを出力する測距信号処理部120と、前記車速センサ114から出力される車速パルスの周期を計測して自車速VTを出力する車速信号処理部130と、その自車速VTと前記車間距離LTとに基づいて目標車間距離LT*を算出すると共に、その目標車間距離LT*に車間距離LTを一致させる目標車速VT*を出力する車間距離制御部140と、その目標車速VT*に自車速VTを一致させる最終駆動力指令値y1を出力する車速制御部150と、その最終駆動力指令値y1に基づいて目標スロットル開度Tvorと減速度指令値VdecelcomECDとを出力する駆動力分配制御部160と、その目標スロットル開度Tvorに基づいて前記スロットル指令値θを出力するスロットル制御部170と、前記減速度指令値VdecelcomECDに基づいて前記ブレーキ指令値PBを出力するブレーキ制御部180とを備えている。
【0117】
また、前記車間距離制御部140は、前記測距信号処理部120から出力される車間距離LTに基づいて先行車との相対速度ΔVを出力する相対速度演算部141と、その相対速度ΔVと前記車速信号処理部130から出力される自車速VTとに基づいて先行車との目標車間距離LT*を出力する目標車間距離設定部142と、その目標車間距離LT*と前記相対速度ΔVと前記自車速VTとに基づいて当該目標車間距離LT*に車間距離LTを一致させる目標車速VT*を出力する車間距離制御部143とを備えている。この相対速度演算部141は、前記測距信号処理部120から出力される車間距離LTをフィルタ処理するバンドパスフィルタで構成されている。このバンドパスフィルタは、その伝達関数を下記(7)式で表すことができ、分子にラプラス演算子sの微分項を有するので、実質的に車間距離LTを微分して相対速度ΔVを近似的に演算することになる。
【0118】
F(s)=ωn2s/(s2+2ζωns+ωn2)…………(7)
但し、ωn=2πfn、sはラプラス演算子、ζは減衰係数である。
なお、上記(7)式におけるカットオフ周波数fnは、車間距離LTに含まれるノイズ成分の大きさと、短周期の車体前後の加速度変動の許容値とから定まる。また、相対速度ΔVの算出には、バンドパスフィルタに代えて、車間距離LTにハイパスフィルタ処理を行うハイパスフィルタを用いてもよい。
【0119】
また、前記目標車間距離設定部142は、前記測距信号処理部120から出力される自車速VTに前記相対速度演算部141から出力される相対速度ΔVを加算して算出される先行車車速Vtと、自車が先行車の後方L0[m]の位置に到達するまでの時間T0(車間時間)とに基づき、下記(8)式に従って目標車間距離LT*を算出する。
【0120】
LT*=Vt×T0+Ls…………(8)
但し、Lsは停止時の車間距離である。
次に、前記車間距離制御部143について、図27のブロック図に基づいて説明する。この車間距離制御部143は、いわゆる状態フィードバック手法によって構築された状態フィードバック補償器を有する。この状態フィードバック補償器では、まず前記目標車間距離設定部142から出力される目標車間距離LT*から前記測距信号処理部120から出力される車間距離LTを加減算器144で減算して状態変数x2を出力する。次いで、この状態変数x2に乗算器145でゲインfdを乗じた値と前記相対速度演算部141から出力される相対速度ΔV(以下、状態変数x1ともいう。)に乗算器146でゲインfvを乗じた値とを加減算器147で加算して目標相対速度ΔV*を出力する。そして、この目標相対速度ΔV*を前記車速信号処理部130から出力される自車速VTから加減算器148で減算して目標車速VT*を出力する。
【0121】
ここで、前記状態フィードバック補償器を含めたシステムの状態方程式は、下記(9)式のように記述でき、その特性方程式は下記(10)式のように記述できる。
【0122】
【数1】
【0123】
したがって、前記車間距離LTが目標車間距離LT*に追従するときの特性と、前記相対速度ΔVが“0”に収束するときの特性とを適切なものとできる所定の特性方程式(s2+2ζωns+ωn2=0)に基づいて、下記(11)式に従って前記ゲインfd、fvを設定することができる。
fv=1−2ζωn・τv
fd=ωn2τv………(11)
次に、前記車速制御部150について、図28のブロック図に基づいて説明する。この車速制御部150は、いわゆるモデルマッチング制御手法と近似ゼロイング制御手法とによって構築されたものである。
【0124】
この車速制御部150のモデルマッチング補償器151では、前記車間距離制御部143から出力される目標車速VT*から自車速VTを加減算器152で減じて速度差を算出し、その速度差を予め設定された過渡特性の規範モデル化する補償器153(伝達関数C3(z-1)=(1−exp(―T/Ta))・M/T、Mは平均車重、Tはサンプル周期)で駆動力指令値y4を出力する。この駆動力指令値y4から外乱推定器155から出力される外乱を加減算器154で減算して最終駆動力指令値y1を出力する。
【0125】
一方、前記外乱推定器155では、前記最終駆動力指令値y1を時定数Tbのローパスフィルタ156(伝達関数C1(z-1)=(1−γ)・z-1/(1−γ・z-1)、γ=exp(―T/Tb))に通し、さらに無駄時間加算部157(伝達関数z-2)で無駄時間を加算して出力y5を出力する。また、位相補償部158では、前記自車速VTに位相合わせを行って出力y3を出力する。この出力y3から前記出力y5を加減算器159で減算して前記外乱を出力する。なお、前記位相補償部168の伝達関数C2(z-1)(=M・(1−γ)・(1−z-1)/(T・(1−γ・z-1)))は、前記ローパスフィルタ167の伝達関数C1(z-1)を制御対象の伝達関数P1で除したものとする。
【0126】
次に、前記駆動力分配制御部160について、図29のブロック図に基づいて説明する。この駆動力分配制御部160では、まず目標減速度算出器161で、前記車速制御部150から出力される最終駆動力指令値y1を平均車重Mで除算し、その除算結果の正負の符号を反転して目標減速度AccCOMを算出する。
次に周波数成分分離手段162で、前記目標減速度AccCOMを前記車速制御部150のフィードバック補償による微小変動成分からなる高周波成分AccCOMHと、それ以外の成分からなる低周波成分AccCOMLとに分割する。具体的には、前記目標減速度AccCOMに下記(12)式で表されるハイパスフィルタFhpf(s)を用いて高周波成分AccCOMHを算出すると共に、その高周波成分AccCOMHを前記目標減速度AccCOMから減じて低周波成分AccCOMLを算出する。
【0127】
Fhpf(s)=Thp・s/(Thp・s+1)………(12)
次にブレーキ配分手段163で、前記目標減速度AccCOMの低周波成分AccCOMLを、ブレーキアクチュエータ109に分配する低周波ブレーキ減速度指令値BrakecomLと、当該ブレーキアクチュエータ109の分解能DIVでは出力できない微小成分をエンジンブレーキに分配する低周波エンジンブレーキ減速度指令値ENGINEcomLとに分割する。具体的には、前記目標減速度AccCOMの低周波成分AccCOMLを前記ブレーキコントローラ108の分解能DIVで除して商Nを算出し、その商Nに前記分解能DIVを乗じて低周波ブレーキ減速度指令値BrakecomLを算出すると共に、その低周波ブレーキ減速度指令値BrakecomLを前記低周波成分AccCOMLから減じて低周波エンジンブレーキ減速度指令値ENGINEcomLを算出する。
【0128】
次に加算手段164で、前記周波数成分分離手段162から出力される高周波成分AccCOMHに前記低周波エンジンブレーキ減速度指令値ENGINEcomLを加算して、エンジンブレーキによって制動トルクを発生させるエンジンブレーキ減速度指令値VdecelcomENGを出力する。
次にエンジンブレーキ算出器165で、前記加算手段164から出力されるエンジンブレーキ減速度指令値VdecelcomENGに応じたエンジントルクTeとエンジン回転数Neとに基づいて、図30に示すように、マップ検索により目標スロットル開度Tvorを出力する。
【0129】
また同時に、減速度算出器166で、前記ブレーキ配分手段163から出力される低周波ブレーキ減速度指令値BrakecomLを、ブレーキアクチュエータ109を作動させる減速度指令値VdeclcomECDとして出力する。ここで、前記ブレーキコントローラ108は、要求される制動トルクに応じてブレーキアクチュエータ109を制御するように構成されているものとする。なお、当該ブレーキコントローラ108としては、要求される減速度に応じてブレーキアクチュエータ109を制御するように構成してもよく、そのようにしたときには、前記目標減速度算出器161から出力される目標減速度AccCOMを減速度指令値VdeclcomECDとしたり、エンジンブレーキによる制動力を考慮して、下記(13)式から算出される値を減速度指令値VdeclECDとしてもよい。
【0130】
VdecelcomECD=AccCOM―(1−Ge(s))VdecelcomENG………(13)
但し、Ge(s)はエンジンブレーキの応答を示す伝達関数である。
次に、本実施形態の動作を具体的な状況に基づいて詳細に説明する。
まず、追従走行中に先行車が僅かに減速し、前記車速制御部150から出力される最終駆動力指令値y1がフィードバック補償によって僅かに小さく変動したとする。すると、前記駆動力分配制御部160では、図29に示すように、まず目標減速度算出器161で、図31(a)に示すように、前記最終駆動力指令値y1に基づいて目標減速度AccCOMが大きく算出され、周波数成分分離手段162で、前記目標減速度AccCOMのうち小さく変動した分が高周波成分AccCOMHとして分割されると共に、それ以外が低周波成分AccCOMLとして分割され、ブレーキ配分手段163で、その低周波成分AccCOMLがブレーキアクチュエータ109に分配する低周波ブレーキ減速度指令値BrakecomLと、当該ブレーキアクチュエータ109の分解能DIVでは出力できない微小成分をエンジンブレーキに分配する低周波エンジンブレーキ減速度指令値ENGINEcomLとに分割される。そして加算手段164で、前記周波数成分分離手段162から出力される高周波成分AccCOMHに前記低周波エンジンブレーキ減速度指令値ENGINEcomLが加算されてエンジンブレーキ減速度指令値VdecelcomENGが出力され、エンジンブレーキ算出器165で、図31(c)に示すように、前記エンジンブレーキ減速度指令値VdecelcomENGに応じたエンジントルクTeとエンジン回転数Neとに基づいて目標スロットル開度Tvorが出力され、スロットル制御部170で、その目標スロットル開度Tvorに基づいてスロットル指令値θが出力される。
【0131】
また同時に、減速度算出器166で、図31(d)に示すように、前記ブレーキ配分手段163から出力される低周波ブレーキ減速度指令値BrakecomLが減速度指令値VdeclcomECDとして出力され、ブレーキ制御部180で、その減速度指令値VdecelcomECDに基づいて前記ブレーキ指令値PBが出力される。
このように、本実施形態では、目標減速度AccCOMを高周波成分AccCOMHと低周波成分AccCOMLとに分割して、その高周波成分AccCOMHと低周波成分AccCOMLの微小成分とをエンジンブレーキによる制動力に分配するため、図31(a)、(b)に示すように、それらがブレーキアクチュエータ109に比べて分解能が高いエンジンブレーキで発生され、前記目標減速度AccCOMへの追従性等といった制御性能が向上される。ちなみに、図36は、エンジンブレーキによる制動を常に優先して行う従来例であり、図36(a)、(c)に示すように、目標減速度AccCOMが要求する大きな減速度に応じてエンジンブレーキで最大制動トルクが発生され、その結果、図36(b)、(d)に示すように、フィードバック補償による目標減速度AccCOMの変動が、エンジンブレーキに比べて分解能が低いブレーキアクチュエータ109に分配されて、充分な応答を得ることができず、図36(b)、(e)に示すように、ブレーキハンチングを生じている。
【0132】
なお、モータコントロールユニット9及びスロットルアクチュエータ112は駆動源制動手段に対応し、制動流体圧コントロールユニット7及びブレーキアクチュエータ109は液圧制動手段に対応し、ステップS2及びS4〜S8、目標減速度算出器161は目標制動トルク算出手段に対応し、ステップS10及び周波数成分分離手段162は目標制動トルク分割手段に対応し、ステップS9〜S13、周波数成分分離手段162及びブレーキ配分手段163は目標制動トルク分配手段に対応し、ステップS4は目標減速度算出手段に対応し、ステップS2は減速度検出手段に対応し、前記ステップS5〜S7は目標制動トルク設定手段に対応し、マスタシリンダ圧センサは制動操作検出手段に対応し、ステップS3は最大制動トルク検出手段に対応し、モータコントロールユニット9は回生制動手段に対応し、ステップS101及びS201〜S204は判定手段に対応し、ステップS301は制動操作速度検出手段に対応し、ステップS402はスリップ率検出手段に対応し、回生協調制御コントロールユニット11はアンチスキッド手段に対応する。
【0133】
また、上記実施の形態は本発明の制動制御装置の一例を示したものであり、装置の構成等を限定するものではない。
例えば、上記第1実施形態では、最大回生制動トルクTmmaxを高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHと低周波成分用回生トルク制限値TmmaxLとに一定の比率で分ける例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば最大回生制動トルクTmmaxが小さくなるにつれて、高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHの比率を大きくするようにしてもよく、そのようにすれば制動装置の応答性を容易に確保することができる。
【0134】
また、最大回生制動トルクTmmaxに応じて高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHの比率を変えるときには、車速が大きいほど最大回生制動トルクTmmaxの絶対値が小さくなることに鑑みて、当該車速が大きいほど高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHの絶対値の比率を大きくするようにしてもよい。さらに、特開2001−268719号公報に記載のようにバッテリの充電状態(SOC:StateofCharge)を管理するシステムを備えているときには、そのSOCが大きいと回生制動を実行できないことに鑑みて、当該SOCが大きいときには最大回生制動トルクTmmaxの絶対値を小さく検出して、高周波成分用回生トルク制限値TmmaxHの比率を大きくするようにしてもよい。
【0135】
さらに、上記第2実施形態では、ブレーキペダルスイッチ12によってブレーキペダル1の踏み込みが検出されてから所定時間Tconv1が経過するまでは過渡状態であると判定する例を示したが、これに限られるものではなく、例えばブレーキペダルストロークの変化が検出されてから所定時間Tconv1が経過するまでを過渡状態であると判定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動制御装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の回生協調制御コントロールユニット内で実行される演算処理を示すフローチャートである。
【図3】図1の回生協調制御ユニット内で生成されるフィードフォワード指令値とフィードバック補償値とを説明するためのブロック図である。
【図4】低周波成分用回生トルク制限値と高周波成分用回生トルク制限値との関係を説明するためのグラフである。
【図5】前後輪の制動トルクの理想配分を示すマップである。
【図6】本発明の第1実施形態の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図7】本発明の第2実施形態の回生協調制御コントロールユニット内で実行される最大回生トルク分割処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図9】本発明の第2実施形態の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図10】本発明の第3実施形態の回生協調制御コントロールユニット内で実行されるブレーキ踏込状態判定処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3実施形態の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図12】本発明の第4実施形態の回生協調制御コントロールユニット内で実行される過渡状態用分割比率設定処理を示すフローチャートである。
【図13】運転者によるブレーキペダルの操作速度と過渡状態用分割比率との関係を示すマップである。
【図14】本発明の第4実施形態の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図15】本発明の第5実施形態の回生協調制御コントロールユニット内で実行される目標制動トルク分割処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第5実施形態の回生協調制御コントロールユニット内で実行される分割比率設定処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第5実施形態の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図18】本発明の第6実施形態の回生協調制御コントロールユニット内で実行される分割比率設定処理を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第6実施形態の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図20】本発明の第7実施形態の回生協調制御コントロールユニット内で実行される分割比率設定処理を示すフローチャートである。
【図21】本発明の第7実施形態の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図22】本発明の第8実施形態の回生協調制御コントロールユニット内で実行される分割比率設定処理を示すフローチャートである。
【図23】本発明の第8実施形態の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図24】本発明の制動制御装置の第9実施形態を示す概略構成図である。
【図25】図24のポンプアップ式のブレーキアクチュエータを拡大して示す要部拡大図である。
【図26】図24の追従制御用コントローラ内で実行される演算処理を示すブロック図である。
【図27】図26の車間距離制御部内で実行される演算処理を示すブロック図である。
【図28】図26の車速制御部内で実行される演算処理を示すブロック図である。
【図29】図26の駆動力分配制御部で実行される演算処理を示すブロック図である。
【図30】エンジン回転速度とエンジントルクとスロットル開度との関係を示すマップである。
【図31】本発明の第9実施形態の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図32】従来の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図33】分割比率を一定値とする制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図34】ブレーキペダルが踏み込まれてから所定時間が経過したときに定常状態であると判定する制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図35】過渡状態用分割比率を一定値とする制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図36】従来の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図37】従来の制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図38】駆動輪のスリップ率がスリップ判断閾値以下となったときに、低周波成分用回生トルク制限値を大きくする制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図39】駆動輪のスリップ率が非スリップ判断閾値以下となったときに、低周波成分用回生トルク制限値を大きくする制動制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【図40】目標制動トルクを低周波成分と高周波成分とに分割する方法を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
1はブレーキペダル
2はブースタ
3はマスタシリンダ
4はリザーバ
5はホイルシリンダ
6は制動流体圧回路
7は制動流体圧コントロールユニット
8はモータジェネレータ
9はモータコントロールユニット
10及び101FL〜101RRは車輪
11は回生協調制御コントロールユニット
12はブレーキペダルスイッチ
102はエンジン
103は自動変速機
104はプロペラシャフト
105は最終減速装置
106は車軸
107はディスクブレーキ
108はブレーキコントローラ
109はブレーキアクチュエータ
112はスロットルアクチュエータ
113は車間距離センサ
114は車速センサ
115は追従制御用コントローラ
Claims (19)
- 目標制動トルクを低周波成分と高周波成分とに分割して、駆動源によって制動トルクを発生する駆動源制動手段に当該高周波成分を分配すると共に、液圧装置を作動させて制動トルクを発生する液圧制動手段に当該低周波成分を分配することを特徴とする制動制御装置。
- 駆動源によって制動トルクを発生する駆動源制動手段と、液圧装置を作動させて制動トルクを発生する液圧制動手段と、目標制動トルクを算出する目標制動トルク算出手段と、前記目標制動トルク算出手段で算出された目標制動トルクを低周波成分と高周波成分とに分割する目標制動トルク分割手段と、その目標制動トルク分割手段で分割された高周波成分を前記駆動源制動手段に分配し、低周波成分を少なくとも前記液圧制動手段に分配する目標制動トルク分配手段とを備えたことを特徴とする制動制御装置。
- 前記目標制動トルク分配手段は、前記目標制動トルク分割手段で分割された低周波成分を前記駆動源制動手段と前記液圧制動手段との両方に分配することを特徴とする請求項2に記載の制動制御装置。
- 前記目標制動トルク算出手段は、車両の状態に応じて目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、車両の減速度を検出する減速度検出手段と、前記目標減速度算出手段で算出される目標減速度に前記減速度検出手段で検出される減速度を一致させる制動トルクを算出して目標制動トルクを設定する目標制動トルク設定手段とを有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の制動制御装置。
- 運転者の制動操作を検出する制動操作検出手段を備え、前記目標減速度算出手段は、前記制動操作検出手段で検出された制動操作に基づいて目標減速度を算出することを特徴とする請求項4に記載の制動制御装置。
- 前記駆動源制動手段で発生可能な最大制動トルクを検出する最大制動トルク検出手段を備え、前記目標制動トルク分配手段は、前記最大制動トルク検出手段で検出される最大制動トルクの絶対値が小さくなるにつれて、当該最大制動トルクに対する、前記目標制動トルク分割手段で分割された低周波成分の前記駆動源制動手段への分配量の比率が小さくなるように当該駆動源制動手段への分配量を設定することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の制動制御装置。
- 車速を検出する車速検出手段を備え、前記最大制動トルク検出手段は、前記車速検出手段で検出される車速に基づいて最大制動トルクを検出することを特徴とする請求項6に記載の制動制御装置。
- 走行用モータに接続されているバッテリの充電可能量を検出する充電可能量検出手段を備え、前記駆動源制動手段は、走行用モータを発電機として作動させて制動トルクを発生する回生制動手段であり、前記最大制動トルク検出手段は、前記充電可能量検出手段で検出される充電可能量に基づいて最大制動トルクを検出することを特徴とする請求項6に記載の制動制御装置。
- 前記駆動源制動手段は、エンジンブレーキを生じさせて制動トルクを発生する手段であることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれかに記載の制動制御装置。
- 前記駆動源制動手段は、走行用モータを発電機として作動させて制動トルクを発生する回生制動手段であることを特徴とする請求項2乃至請求項8のいずれかに記載の制動制御装置。
- 前記制動操作検出手段で検出された制動操作の状態が過渡状態であるか定常状態であるかを判定する判定手段を備え、前記駆動源制動手段は、走行用モータを発電機として作動させて制動トルクを発生する回生制動手段であり、前記目標制動トルク分配手段は、前記判定手段で制動操作の状態が過渡状態であると判定されたときには、前記目標制動トルク分割手段で分割された低周波成分の前記回生制動手段への分配量の比率を小さくし、且つ、前記判定手段で制動操作の状態が定常状態であると判定されたときには、前記目標制動トルク分割手段で分割された低周波成分の前記回生制動手段への分配量の比率を大きくすることを特徴とする請求項5に記載の制動制御装置。
- 前記判定手段は、前記制動操作検出手段で所定の制動操作が検出されてから所定時間が経過するまでは過渡状態であると判定し、当該所定時間が経過してからは定常状態であると判定することを特徴とする請求項11に記載の制動制御装置。
- 前記判定手段は、前記目標制動トルク分割手段で分割された高周波成分の絶対値の大きさが所定値以下の領域にある状態で、所定時間が経過したときには、前記制動操作の状態が定常状態であると判定することを特徴とする請求項11に記載の制動制御装置。
- 運転者の制動操作速度を検出する制動操作速度検出手段を備え、前記駆動源制動手段は、走行用モータを発電機として作動させて制動トルクを発生する回生制動手段であり、前記目標制動トルク分配手段は、前記制動操作速度検出手段で検出された制動操作速度の絶対値が大きいときには、前記目標制動トルク分割手段で分割された低周波成分の前記回生制動手段への分配量の比率を小さくし、且つ、前記制動操作速度検出手段で検出された制動操作速度の絶対値が小さいときには、前記目標制動トルク分割手段で分割された低周波成分の前記回生制動手段への分配量の比率を大きくすることを特徴とする請求項2乃至請求項13のいずれかに記載の制動制御装置。
- 駆動輪のスリップ率を検出するスリップ率検出手段を備え、前記駆動源制動手段は、走行用モータを発電機として作動させて制動トルクを発生する回生制動手段であり、前記目標制動トルク分配手段は、前記スリップ率検出手段で検出されたスリップ率が第1しきい値以上であるときには、前記目標制動トルク分割手段で分割された低周波成分の前記回生制動手段への分配量の比率を小さくすることを特徴とする請求項2乃至請求項14のいずれかに記載の制動制御装置。
- 駆動輪のスリップ率の大きさが第2しきい値以上となったときに当該駆動輪の制動力制御を開始するアンチスキッド制御手段を備え、前記第1しきい値を前記第2しきい値よりも小さく設定したことを特徴とする請求項15に記載の制動制御装置。
- 前記目標制動トルク分配手段は、前記目標制動トルク分割手段で分割された低周波成分の前記回生制動手段への分配量の比率を小さくしているときには、前記第1しきい値を小さく設定することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の制動制御装置。
- 前記目標制動トルク分配手段は、前記スリップ率検出手段で検出されたスリップ率が前記第1しきい値より小さい領域にある状態で、所定時間が経過したときには、前記目標制動トルク分割手段で分割された低周波成分の前記回生制動手段への分配量の比率を大きくすることを特徴とする請求項15乃至請求項17のいずれかに記載の制動制御装置。
- 前記目標制動トルク分配手段は、前記目標制動トルク分割手段で分割された低周波成分の前記回生制動手段への分配量の比率を徐々に大きくし、且つ、前記目標制動トルク分割手段で分割された低周波成分の前記回生制動手段への分配量の比率を徐々に小さくすることを特徴とする請求項15乃至請求項17のいずれかに記載の制動制御装置。
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