JP2004160421A - 排ガス処理用触媒および排ガス処理方法 - Google Patents

排ガス処理用触媒および排ガス処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒成分担持金属酸化物触媒の低濃度CO含有排ガスに対する処理効率を一層向上させ、特に、触媒成分の担持量を増やすことなく高い処理効率を達成し得るとともに長期にわたり安定して高い処理効率を維持することができ、かつ、触媒材料コストを低く抑えた排ガス処理触媒、および、該排ガス処理用触媒を用いた排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】低濃度CO含有排ガスを処理する触媒であって、チタン系酸化物を担体とし、少なくとも1種の貴金属元素からなる触媒成分Aが担持されてなり、1)〜3)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことを特徴とする。1)水銀圧入法で測定される全細孔容積が0.20〜0.80cm/g。2)BET法で測定される比表面積が20m/g以上。3)前記チタン系酸化物としてアナターゼ型結晶構造を有するチタン系酸化物を含む。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス処理用触媒および排ガス処理方法に関する。詳しくは、ボイラー、ガスタービン、ディーゼルエンジン、ガスエンジンその他の各種燃焼装置等から排出される排ガスに含まれる低濃度COを効率的に処理する排ガス処理用触媒と、この排ガス処理用触媒を用いた排ガス処理方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラー、ガスタービン、ディーゼルエンジン、ガスエンジンなど各種燃焼装置から排出される燃焼排ガス中には、燃焼装置、運転条件などによりそれぞれ異なるが、一般的に未燃燃料由来の揮発性有機化合物、COやNO、SOが有害成分として含有されている。これら燃焼装置では、燃焼効率あるいは熱効率を高めるために、また燃焼排ガス中の揮発性有機化合物、CO、NOを減じることを目的として、燃焼時における供給空気量を、燃料ガスを完全燃焼させるに必要な理論空気量より多くして燃焼をおこなうことが多い。このような燃焼状態の制御などにより燃焼排ガス中の揮発性有機化合物、CO、NOは減少されてきているが、それでもなお、揮発性有機化合物や微量のCOが残存しており、このためこれら有害成分を処理する必要があるが、これら燃焼排ガス中には、余剰空気量に対応した多量の酸素および燃焼の結果生成する水蒸気が含まれており、このためその中の揮発性有機化合物や微量COを酸化して処理するには、これらが含まれていてもなお有効に適用し得る処理触媒および処理方法の開発が必要となる。
【0003】
これまで、燃料に対して理論空気比に近い条件で燃焼を行う燃焼装置から排出される燃焼排ガスの浄化用としては、この排ガスには酸素はほとんど含まれず、NO、COおよび未燃の揮発性有機化合物が含まれているため、例えばPt,Rh/アルミナ触媒等の三元触媒が用いられ、現に実用化されている。この使用形態としては上記排ガスを約500〜700℃の条件下においてPt,Rh/アルミナ触媒(ハニカム触媒)を通すことにより実施され、これにより排ガス中のNO、COおよび未燃の揮発性有機化合物を同時に除去するものである。
しかし、この方法で対象とする被処理排ガスは、その由来からして、その中に酸素がほとんど含まれず、しかも処理温度として約500〜700℃の条件下において実施することを前提とするため、このCO酸化除去法は、多量の酸素および水蒸気が含まれ、また通常300〜500℃程度で排出され、しかも低濃度のCOを含有する排ガス中におけるCOの酸化処理方法としては直ちに有効に適応することはできない。
【0004】
一方、温度300〜500℃程度で排出され、酸素や水蒸気を多量に含有する排ガス中の低濃度COを酸化して無害化する方法としては、例えば、特開平7−241467、特開平7−241468号公報に希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の低濃度CO酸化除去方法が記載されている。特開平7−241467号公報では、希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の低濃度COを酸化して無害化する触媒および方法に係るものであるが、この触媒はハニカム担体に担持した白金/アルミナ触媒であって、かつ白金担持量を1.2〜2.5g/リットルとすることを特徴とするというものである。他方、特開平7−241468号公報は、希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の低濃度COを酸化して無害化する触媒および方法に係るものであるが、触媒としてハニカム担体に担持した白金−パラジウム/アルミナあるいは白金−ロジウム/アルミナ触媒を使用することを特徴とするというものである。
【0005】
特開平7−241467号公報記載の技術では、希薄燃焼ガスエンジンから排出される排ガス中の低濃度COを長期にわたり安定して有効に酸化、除去するためにはハニカム担体にアルミナとともに担持される白金の担持量を1.2〜2.5g/リットルの範囲とすることが必要であり、白金担持量を1g/リットル以下へと低減させた場合、排ガス中の低濃度COを長期にわたり安定して有効に酸化、除去することができなかった。また、特開平7−241468号公報記載の技術では、ハニカム担体に担持した白金/アルミナ触媒を白金−パラジウム/アルミナあるいは白金−ロジウム/アルミナ触媒とすることで特開平7−241467号公報技術にみられた問題点、すなわち、排ガス中の低濃度COを長期にわたり安定して有効に酸化、除去するために白金担持量を増加させ、ある特定範囲としなければならないという制限を受けることなく白金担持量を選択できるとしている。しかし、そのためには白金と同類の高価な貴金属であるパラジウムおよびロジウムを白金と同量程度担持させる必要があった。
【0006】
貴金属を担持した低濃度CO除去触媒では、貴金属の担持量を増やせば、触媒機能が向上することが予想されるが、担持量を増やす分だけ貴金属の材料コストが増大し、経済性の劣るものとなる。しかも、排ガス中にSOが含まれる場合には、SO→SO転化率が高くなって、SOによる配管腐食などの問題が発生する。また、排ガス中のSOは触媒性能自体へ影響を及ぼすことが考えられ、低濃度CO含有排ガスを処理する触媒には排ガス中のSOに対する耐性も有している必要がある。しかし、特開平7−241467号公報、特開平7−241468号公報では排ガス中の低濃度COを酸化・無害化する際のSOの影響に関してはまったく触れられていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前述した触媒成分担持金属酸化物触媒の低濃度CO含有排ガスに対する処理効率を一層向上させ、特に、触媒成分の担持量を増やすことなく高い処理効率を達成し得るとともに長期にわたり安定して高い処理効率を維持することができる排ガス処理触媒、および、該排ガス処理用触媒を用いた排ガス処理方法を提供することにある。かつ、触媒材料コストを低く抑えた低濃度CO除去用触媒を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者が種々の元素に関して検討した結果、排ガス中に含まれている低濃度COを処理するに際し、チタン系酸化物を担体とし、少なくとも一種の貴金属元素からなる触媒成分Aを含む触媒、または、該触媒成分Aと必要に応じてさらに周期律表第I〜III族に含まれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Bをも含む触媒に、さらに下記1)〜3)のうちの少なくとも1つの条件を満たせば、処理効率がさらに向上することが判った。また、触媒成分の担持量を増やすことなく、触媒材料コストを低く抑えたうえで、高い処理効率を達成し得るとともに、長期にわたり安定して高い処理効率を維持することができることが判った。
【0009】
1)水銀圧入法で測定される全細孔容積が0.20〜0.80cm/gである。
2)BET法で測定される比表面積が20m/g以上である。
3)前記チタン系酸化物としてアナターゼ型結晶構造を有するチタン系酸化物を含む。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明にかかる排ガス処理用触媒は、低濃度CO含有排ガスを処理する触媒であって、チタン系酸化物を担体とし、少なくとも1種の貴金属元素からなる触媒成分Aが担持されてなり、上記1)〜3)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる排ガス処理方法は、低濃度CO含有排ガスを処理する方法であって、CO濃度100ppm以下の低濃度CO含有排ガスを、前記本発明の排ガス処理用触媒と接触させる工程(a)を含む。
【0011】
【発明の実施の形態】
〔低濃度CO含有排ガス〕
通常の各種産業装置や設備から排出される低濃度CO含有排ガスに適用できる。具体的には、ボイラー、ガスタービン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン、加熱炉、その他各種工業プロセスの燃焼排ガスが挙げられる。
燃焼排ガスの場合には、燃料由来の成分であるが燃焼されなかった未燃の揮発性化合物が含まれ、環境への悪影響が問題とされている。本発明の排ガス処理触媒は、低濃度COに加え揮発性化合物を含む排ガスの処理にも有効である。
【0012】
排ガスは、本発明の排ガス処理触媒による処理工程を行なう前に、各種の排ガス処理が施されている場合がある。したがって、前記供給源から排出された段階の排ガスと、本発明の排ガス処理触媒で排ガス処理する段階の排ガスとは、その成分が異なっている場合がある。
本発明は、従来の排ガス処理触媒では効率的な処理が行ない難い低濃度CO含有排ガスに有効である。具体的にはCO濃度が100ppm以下の排ガスに適している。
排ガスは、供給源からの排出条件や排ガス処理を行うまでの履歴によって、温度条件や速度が変わる。
【0013】
〔触媒材料〕
触媒材料としては、基本的には、通常の排ガス処理触媒と共通する材料の中から選択して使用することができる。
<担体>
担体としては、チタン系酸化物を使用する。チタン系酸化物は、Tiのみからなる酸化物(酸化チタン)であってもよいし、Si、AlおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とTiとからなる複合酸化物であってもよい。また、このような複合酸化物とTiのみからなる酸化物(酸化チタン)との混合物であってもよいし、Si、AlおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素からなる酸化物とTiのみからなる酸化物(酸化チタン)との混合物であってもよい。
【0014】
上記複合酸化物や上記混合物においては、Tiの含有量は、該複合酸化物または混合物全体中のTiと他の元素との合計モル数に対して5〜95モル%であることが好ましく、より好ましくは、20〜95モル%である。
チタン系酸化物からなる担体は、単に触媒成分を担持する機能を担っているだけでなく、チタン系酸化物担体上に担持される触媒成分の担持状態を低濃度COの除去に対して好適な状態に保ち、その排ガス処理機能を高める働きに寄与している。その結果、触媒成分の担持量を増加させることなく高いCO除去性能が得られる。また、従来から使用されてきたアルミナ担体などと違い、チタン系酸化物は、排ガス中にSOが含まれている場合などにおいても、その影響を受けることがほとんどなく、SOに対する耐性が高く、硫酸塩などの形成がなく好適である。
【0015】
特に、Ti−Si複合酸化物を用いると、SO酸化率が低く、かつ、排ガス浄化性能に優れるものが得られるので好ましい。
なお、チタン系酸化物の結晶構造としては、例えば、ルチル型やアナターゼ型などがあるが、なかでもアナターゼ型の結晶構造が好ましい。アナターゼ型の結晶構造を有するチタン系酸化物であれば、触媒活性が高いうえ比表面積も大きく、排ガス処理効率や処理性能をより一層向上させることができ、かつ、SO酸化率を低く抑えることができる。
担体の製造は、通常の触媒材料となる金属酸化物からなる担体の製造技術が適用される。Ti−Si複合酸化物の調製も、通常のTi−Si複合酸化物と同様の手段が採用でき、特開昭53−146991号公報、特願2000−99593号の明細書等などに開示された技術や、硫酸チタンのような可溶性チタン化合物の溶液にシリカゾルを添加した混合溶液を80〜その沸点の温度で加熱して加水分解(熱加水分解)して得られた固体生成物を水洗、乾燥後、200〜800℃で焼成する技術などが挙げられる。特に、本願特許出願人が先に特許出願している特願2000−99593号の明細書等に開示された技術が、好ましい技術として挙げられる。
【0016】
担体となる金属酸化物を供給する原料として、予め用意された金属酸化物をそのまま使用するほかに、焼成によって酸化物を生成する材料が使用できる。具体的には、無機および有機のいずれの化合物でもよく、例えば、所定の金属を含む水酸化物、アンモニウム塩、アンミン錯体、シュウ酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、アルコキシドなどを用いることができる。
本発明の排ガス処理触媒で用いる担体は、例えば、担体材料となるチタン系酸化物粉体を押出し成形機などを用いて所望の形状にしたあと必要に応じて乾燥・焼成してなる一体成形型の形態であってもよいし、チタン系酸化物を別途所望の形状を有する骨格基材(例えば、非吸水性の耐熱基材)上に塗布して、コートした形態であってもよい。
【0017】
<触媒成分A>
触媒成分Aとして、少なくとも1種の貴金属元素が使用できる。具体的には、例えば、Pt、Pd、Rh、Ru、IrおよびAu等が使用できる。
触媒成分Aの供給原料としては通常の触媒製造などに利用されている材料が使用できる。具体的には、硝酸塩、ハロゲン化物、アンモニウム塩、アンミン錯体、水酸化物などが挙げられる。
担体への触媒成分Aの担持手段としては、基本的には通常の貴金属担持金属酸化物触媒と共通する手段が採用できる。担体に触媒成分Aを担持させる処理工程では、触媒成分Aを担体の表面から内部方向にかけて均等に担持せることもできるし、担体の外表面近傍に偏在させて担持させることもできるが、担体の外表面近傍に触媒成分Aを偏在させて担持させることが好ましい。
【0018】
高い空間速度(SV)で触媒と排ガスを接触させて排ガス中の低濃度COを除去するような場合、触媒による浄化作用はその大部分が、触媒の表層部分で起こっていると考えられる。このような場合、排ガスが接触する触媒表層部分に触媒成分Aを偏在させて担持させておくことで、触媒による排ガスの処理効率が高まるからである。
触媒成分Aの担持量は、材料の組み合わせや担持処理の条件などによっても異なるが、通常は、触媒の全体量に対して触媒成分Aを0.005〜2.0重量%の範囲、好ましくは0.01〜1.0重量%の範囲で用いる。触媒成分Aの担持量が少なすぎると触媒活性が低くなる。触媒成分Aの担持量が多すぎても、活性向上に対する効果は望めず、経済性を損なうのみであるからである。
【0019】
触媒成分Aは、通常、粒子の形態で担体に担持される。触媒成分Aの粒径としては、平均粒子径30nm以下のものが好ましく、さらに好ましくは20nm以下である。触媒成分Aの粒子径が小さく、高分散化された状態であるほど、活性が高くなる。
<触媒成分B>
触媒成分Bとして、周期律表第I〜III族に含まれる少なくとも一種の元素が使用できる。具体的には、例えば、Na、Li、Mg、Ca、Y、CeおよびLa等が挙げられる。
【0020】
触媒成分Bの供給原料としては、特に限定はされず、通常の触媒製造などに利用されている1種または2種以上の材料が使用できるが、好ましくは有機酸塩、アルコキシド、有機金属錯体など分子中に有機酸などの有機成分を含んでいるものを例示することができる。
触媒成分Bの担持方法も、特に限定はされず、通常の触媒製造に利用されている方法にて担持させることができる。
触媒成分Bの担持量は、触媒の全体量に対して0.01〜20重量%の範囲、好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。触媒成分Bの担持量が少なすぎるとその効果が得られず、上記範囲を超えて担持量を増加させても、活性向上に対する効果は望めず、逆に活性を低下させることもある。
【0021】
担持順序に関しても特に限定されない。触媒成分Aを担持した後に触媒成分Bを担持してもよいし、また、触媒成分Aを担持する前に触媒成分Bを担持してもよいし、触媒成分Aと触媒成分Bを同時に担持してよいが、触媒成分Aと触媒成分Bを同時に担持するのが好ましい。
<触媒成分C:その他触媒成分>
触媒成分A、または、触媒成分Aおよび触媒成分Bを含む触媒に、V、W、Mo、Cu、Mn、Ni、Co、CrおよびFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(触媒成分C)を、さらに含有させることができる。これら触媒成分Cが加わることで、低濃度CO排ガスに対する処理効率がさらに向上したり、脱硝機能を付与させたりすることができる。
【0022】
触媒成分Cの供給原料としては、特に限定されず、通常の触媒製造に利用されている1種または2種以上の材料を使用することができる。担持方法に関しても、特に限定されず、通常の触媒製造に利用されている方法にて触媒へ担持させることができる。担持順序に関しても、特に限定されないが、触媒成分Aを含む触媒の場合は、触媒成分Aと触媒成分Cを同時に担持する、または、触媒成分Aを担持した後に触媒成分Cを担持することが好ましい。触媒成分Aおよび触媒成分Bを含む触媒の場合は、触媒成分Aおよび触媒成分Bと触媒成分Cとを同時に担持する、または、触媒成分Aと触媒成分Bとを担持した後に触媒成分Cを担持することが好ましい。なお、触媒成分B、Cは、触媒成分Aと同様に触媒の表面に偏在させていてもよいし、偏在させなくてもよい。
【0023】
〔触媒の全細孔容積〕
本発明の触媒は、通常、微細な細孔を有する多孔質構造である。細孔の量や大きさなどによって、排ガスの流通、触媒内部への排ガスの拡散、排ガス処理効率、機械的強度、触媒成分粒子の担持、触媒活性などに影響を与える。
触媒の全細孔容積は、大きい方が触媒内部への排ガスの拡散が促進されて排ガス処理効率が向上するため好ましいが、大きすぎると機械的強度が低下する。そのため、触媒の全細孔容積は、0.20〜0.80cm/gの範囲であるのが良く、より好ましくは0.25〜0.75cm/g、さらに好ましくは0.30〜0.60cm/gの範囲である。触媒の全細孔容積が0.20cm/gより小さいと、触媒内部への排ガスの拡散が促進されず、そのため排ガス処理効率が向上しにくくなるおそれがある。また、触媒の全細孔容積が0.80cm/gより大きいと、その増加量に見合う上記排ガス処理効率向上効果が得られない上に、触媒の機械的強度が却って低下するおそれがある。
【0024】
本発明の触媒においては、触媒の平均細孔径についても、上述した触媒の全細孔容積と同様の理由で以下の範囲を満たすようにすることが好ましい。すなわち、触媒の平均細孔径は、0.010〜0.50μmの範囲であるのが良く、より好ましくは0.010〜0.030μm、さらに好ましくは0.015〜0.10μmの範囲である。触媒の平均細孔径が0.010μmより小さいと、触媒内部への排ガスの拡散が促進されず、そのため排ガス処理効率が向上しにくくなるおそれがある。また、触媒の平均細孔径が0.50μmより大きいと、その増加量に見合う上記排ガス処理効率向上効果が得られない上に、触媒の機械的強度が却って低下するおそれがある。
【0025】
本発明の触媒においては、触媒の全細孔容積と平均細孔径とが共に上記範囲を満たすようにすることが好ましい。
なお、触媒の全細孔容積および平均細孔径の値は、水銀圧入法で測定されるものである。
全細孔容積や平均細孔径が上記所望の範囲となるように、触媒を調製する方法としては、特に限定はされないが、例えば、▲1▼チタン系酸化物の粉体を用いて担体を製造する場合に、該粉体の粒径を適宜制御して調製しておく方法や、▲2▼チタン系酸化物を含む担体材料を混練する際に通常加える、澱粉等の成形助剤や、水あるいは触媒成分を含む溶液を担体材料と共に混練する場合にあっては該触媒成分を溶解させ得る溶媒などの添加物の添加量を制御する方法、▲3▼担体製造における焼成時や触媒成分担持後の焼成時に分解または揮発し得る樹脂等を、チタン系酸化物を含む担体材料の混練時に添加しておく方法などを挙げることができる。この▲1▼〜▲3▼等の方法においては、各種添加物の使用量や、粉体の粒子径、混練条件などの各種条件は、所望の全細孔容積や平均細孔径となるよう適宜設定すればよいが、好ましくは以下のとおりである。すなわち、▲1▼の方法においては、チタン系酸化物の粉体の平均粒子径を0.5〜50μmとすることが好ましく、より好ましくは1〜30μmであり、この範囲外であると所望の細孔(容積や平均細孔径など)を有する触媒が得られないおそれがある。▲2▼の方法においては、水や溶媒を用いる場合その全添加量を、チタン系酸化物を含む担体材料の重量に対して5〜200質量%とすることが好ましく、より好ましくは10〜150質量%であり、該添加量がこの範囲よりも少ないと所望の細孔(容積や平均細孔径など)を有する触媒が得られないおそれがあり、この範囲よりも多いと成形性が低下するおそれがある。▲2▼の方法における成形助剤や▲3▼の方法における樹脂を用いる場合その全添加量は、チタン系酸化物を含む担体材料の重量に対して0.5〜30質量%とすることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%であり、該添加量がこの範囲よりも少ないと所望の細孔(全細孔容積や平均細孔径など)を有する触媒が得られないおそれがあり、この範囲よりも多いと焼成時の発熱量が大きくなり、活性成分のシンタリング等の問題が起こるおそれがある。
【0026】
〔触媒の比表面積〕
触媒の比表面積も、性能に影響を与える。排ガス中にわずかしか含まれていないCOを触媒上で効率良く酸化・除去するには、担体に担持した触媒成分とCOとの接触を効率良く行わせる必要があり、そのためには、触媒成分をより高分散に担持させて触媒成分の露出面を多くすることにより、触媒成分とCOとの接触面積を増大させるのが好ましい。この点から、触媒の比表面積は、大きい方が好ましく、具体的には、20m/g以上が好ましく、30m/g以上がより好ましく、40m/g以上がさらに好ましい。触媒の比表面積が20m/g未満だと、触媒成分を分散性良く担持させることができないため、触媒成分とCOとの接触効率(排ガス処理効率)が向上しにくく、充分な触媒活性が得られないので、好ましくない。他方、比表面積が大き過ぎると、触媒成分とCOとの接触効率(排ガス処理効率)や触媒活性はそれほど向上しないのに、触媒被毒成分の蓄積が増加したり触媒寿命が低下したりするなどの弊害が生じる恐れがある。この点から、触媒の比表面積の上限は、特に限定されるわけではないが、好ましくは300m/g、より好ましくは250m/g、さらに好ましくは200m/gである。
【0027】
なお、比表面積の値は、BET法で測定されるものである。
触媒の比表面積が所望の範囲となるように調製する方法としては、特に限定はされないが、例えば、▲1▼担体製造における焼成時や触媒成分担持後の焼成時の焼成温度や焼成時間を制御する方法や、▲2▼担持する触媒成分の量を制御する方法などを挙げることができる。この▲1▼、▲2▼等の方法においては、焼成温度、焼成時間、担持量などの各種条件は、所望の比表面積となるよう適宜設定すればよいが、好ましくは以下のとおりである。すなわち、▲1▼の方法においては、焼成温度は200〜650℃とすることが好ましく、より好ましくは300〜600℃であり、焼成温度がこの範囲よりも高いと比表面積が所望の範囲より小さくなるおそれがあり、焼成温度がこの範囲よりも低いと十分な触媒活性が得られないおそれがある。また、▲1▼の方法においては、焼成時間(所定の焼成温度に達してからの保持時間)は1〜20時間とすることが好ましく、より好ましくは2〜10時間であり、焼成時間がこの範囲よりも長いと比表面積が所望の範囲より小さくなるおそれがあり、焼成時間がこの範囲よりも短いと十分な触媒活性が得られないおそれがある。
【0028】
〔触媒〕
多孔質担体へ触媒成分を担持させた触媒は、多孔質担体と同様に多孔質構造を有している。本発明の触媒は、担体と触媒成分とのみで構成され、チタン系酸化物からなる担体層を支持する金属製等の基材などを構成材料として含まないモノリス構造体であることが好ましい。
触媒の形状寸法は、基本的には、担体の形状寸法とほぼ同じである。
触媒成分の種類や担持量、担持処理条件によって、担体と触媒とで、違ってくる性状や特性もあるが、多くの性状、特性については、担体で測定された値と触媒で測定された値との間に、実質的な違いは生じない。
【0029】
例えば、前述した全細孔容積、平均細孔径、比表面積などは、触媒成分の担持量等によって担体と触媒とで異なる場合もあるが、通常、担体と触媒とでほぼ同じである。前記した触媒における数値範囲条件は、担体についても当てはまる。逆に、担体についての規定条件は、触媒についての規定条件ともなる。
〔触媒の使用形態〕
触媒形状については、特に制限はなく、ハニカム状、板状、網状、円柱状、円筒状、波状(コルゲート)状、パイプ状、ドーナツ状等多様な形状にて使用できる。なお、本発明の触媒は、チタン系酸化物からなる担体に触媒成分を担持してなる形態であるため、上記した多様な触媒形状は、予め調製したチタン系酸化物担体の形状・形態に依存する場合が多く、例えば、チタン系酸化物粉体を押出し成形機などを用いて所望の形状とした後、触媒成分を担持させたような触媒組成物のみからなる一体成形体であってもよいし、また、所望の触媒形状の骨格となる形状を有する非吸水性の耐熱基材上にチタン系酸化物を塗布して、コートし、次いで触媒成分を担持させたものであってもよいが、この場合、触媒の比表面積や全細孔容積等の測定は、上記非吸水性の耐熱基材等の骨格基材部分は除いて行う。上記非吸水性の耐熱基材としては、例えば、ステンレス鋼などの金属やコージェライト、ムライト、SiC等のセラミックス、繊維状セラミックスを紙状素材に抄造したセラミックペーパーなどを、ハニカム状、板状、網状、円柱状、円筒状、波板(コルゲート)状、パイプ状、ドーナツ状、格子状、プレート状(波状プレートを複数積み重ねて隣り合うプレート同士の間に空間を設けるようにしてなる形状)、波状等の形状に加工したものを例示することができる。
【0030】
触媒は、通常、金属などで構成された容器状の触媒反応器に収容して使用される。触媒反応器には、排ガスの導入口と排出口が設けられ、内部に収容された触媒に排ガスが効率的に接触できるような構造を備えておく。
〔排ガス処理方法〕
本発明の排ガス処理方法は、低濃度CO含有排ガスを処理する方法であって、CO濃度100ppm以下の低濃度CO含有排ガスを、前述した本発明の排ガス処理用触媒と接触させる工程(a)を含む方法である。
上記工程(a)を行うにあたっては、基本的には、通常の貴金属担持金属酸化物触媒を用いた排ガス処理技術が適用される。
【0031】
通常は、触媒が収容された触媒反応器を、排ガスなどの排出経路の途中に設置しておくことにより、排ガスが触媒反応器を通過する際に触媒の表面と接触させることができ、所定の触媒作用を受けるようにすることができる。
本発明の触媒は、排ガスに含まれる100ppm以下の低濃度COと未燃の揮発性有機化合物とを同時に処理することができる。
燃焼排ガスの温度や空間速度などの条件を適切に設定することで、触媒による排ガス処理の効率が向上する。例えば、ガス温度250℃〜500℃、空間速度30,000H−1〜1,000,000H−1の燃焼排ガスを処理することが好ましい。より好ましくは、ガス温度300℃〜450℃が採用でき、空間速度50,000H−1〜500,000H−1が採用できる。さらに、LV=0.1m/s(Normal)以上、あるいは、ダスト10mg/m(Normal)以下の処理条件が好ましい。
【0032】
本発明の排ガス処理方法でいう工程(a)の前や後に、別の排ガス処理工程を組み合わせることもできる。別の排ガス処理工程としては、本発明の触媒では処理し難い成分を効率的に処理できる工程が好ましい。例えば、脱硝触媒による排ガス処理工程を上記工程(a)の前に組み合わせれば、あらかじめ脱硝触媒で窒素酸化物を効率的に処理しておくことができる上、工程(a)において100ppm以下の低濃度COおよび未燃の揮発性有機化合物をさらにより効率的に処理することが可能になる。
上記の脱硝触媒による排ガス処理技術としては、本件特許出願人が先に特許出願している特開平10−235206号公報に開示された技術が適用できる。この技術で使用する脱硝触媒は、触媒成分a(チタン酸化物)と、触媒成分b(バナジウムまたはタングステンからなる金属の酸化物)とを組み合わせ、触媒成分aに触媒成分bを担持させた構造を有する。
【0033】
特開昭53−146991号公報、特開昭62−65721号公報、特公平6−4126号公報などに記載された公知の排ガス処理方法を、本発明の排ガス処理方法と組み合わせることもできる。
本発明では、排ガス中に含まれる低濃度COを処理する触媒として、チタン系酸化物を担体とし、少なくとも1種の貴金属元素からなる触媒成分Aが担持されてなる触媒を用いているので、非常に高い触媒活性が得られ、かつSO酸化の抑制、耐SO性および耐熱性の向上が図られ長期間にわたり安定して高い処理効率を維持できる。さらに、該触媒が、前述した1)〜3)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことによって、処理効率がさらに向上する。その結果、ガスタービンなどから排出される大風量の低濃度CO含有排ガスを処理する方法として、非常に有効な方法となる。
【0034】
次に、本発明の排ガス処理触媒を具体的に製造し、その性能を評価した結果について説明する。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
〔触媒の製造〕
<実施例1>
担体材料となるTi酸化物の調製:
11重量%アンモニア水600リットルを撹拌しながら、これに塩化チタン水溶液(TiOとして200g/リットル)48リットルを徐々に滴下した。得られた沈殿物をろ過、水洗し、続いて100℃で12時間乾燥し。これを450℃で3時間空気雰囲気下で焼成し、更にハンマーミルを用いて粉砕し、チタン酸化物からなる粉体を得た。得られた粉体は、そのX線回折チャートにおいてアナターゼ型酸化チタンの固有の回折ピークが認められ、アナターゼ型結晶構造を有するチタン酸化物であることが確認された。
【0036】
担体となるハニカム成形体の製造:
上記粉体20kgに、フェノール樹脂(カネボウ(株)製、商品名:ベルパール)1kgおよび成形助剤として澱粉400gを加えて混合し、ニーダーで混練した後、押出し成形機で、外形80mm角、目開き2.1mm、肉厚0.4mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、450℃で5時間空気雰囲気下で焼成することにより、ハニカム成形体を得た。
触媒成分の担持による触媒の製造:
ハニカム成形体を、ヘキサアンミン白金水酸塩溶液に含浸した後、乾燥させた。次いで、450℃で2時間、空気雰囲気下で焼成することにより、ハニカム成形体からなる担体に、触媒成分AとしてPtが担持された触媒Aを得た。
【0037】
得られた触媒Aの組成を分析したところ、TiO:Pt=99.85:0.15(重量比)であった。
なお、触媒組成の分析は、蛍光X線分析により行った。具体的には下記条件にて行った。以下の各実施例、比較例においても同様である。
分析装置:(株)リガク製のRIX2000
分析時の試料雰囲気:真空
試料スピン速度:60rpm
X線源:Rh管球
また、触媒Aについて、BET一点法により測定した比表面積は120m/gであり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.39cm/g、平均細孔径は0.035μmであった。
【0038】
<実施例2>
15重量%アンモニア水390リットルにスノーテックス−20(日産化学(株)製シリカゾル、約20重量%のSiO含有)35.5kgを加え、撹拌、混合した後、硫酸チタニルの硫酸溶液(TiOとして70g/リットル、硫酸濃度310g/リットル)540リットルを撹拌しながら徐々に滴下した。得られたゲルを3時間放置した後、ろ過、水洗し、続いて150℃で10時間乾燥後、500℃で3時間焼成し、更にハンマーミルを用いて粉砕し、粉体を得た。得られた粉体の組成はTiO:SiO=8:2(モル比)であった。また、得られた粉体は、そのX線回折チャートにおいてはTiOやSiOの明らかな固有の回折ピークは認められず、ブロードな回折ピークに基づく非晶質な微細構造を有するチタンとケイ素との複合酸化物(Ti−Si複合酸化物)であることが確認された。
【0039】
次いで、実施例1において、チタン酸化物からなる粉体の代わりに、上記のようにして得たTi−Si複合酸化物からなる粉体を用いた以外は、実施例1と同様にして、触媒Bを得た。
得られた触媒Bの組成を分析したところ、Ti−Si複合酸化物:Pt=99.85:0.15(重量比)であった。
また、触媒Bについて、BET一点法により測定した比表面積は130m/gであり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.53cm/g、平均細孔径は0.016μmであった。
【0040】
<実施例3>
実施例2において、ヘキサアンミン白金水酸塩溶液の代わりに、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸マグネシウムとの混合溶液を用いた以外は、実施例2と同様にして、ハニカム成形体からなる担体に、触媒成分AとしてPt、触媒成分BとしてMgが担持された触媒Cを得た。
得られた触媒Cの組成を分析したところ、Ti−Si複合酸化物:Mg:Pt=98.85:1:0.15(重量比)であった。
また、触媒Cについて、BET一点法により測定した比表面積は123m/gであり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.52cm/g、平均細孔径は0.016μmであった。
【0041】
<実施例4>
硫酸チタン水溶液(TiOとして180g/リットル)120リットルを105〜110℃で5時間煮沸し、50℃以下に冷却後、アンモニア水で中和することにより、メタチタン酸スラリーを得た。これをそのまま蒸発乾固し、800℃で焼成した後、更にハンマーミルを用いて粉砕することにより、チタン酸化物からなる粉体を得た。得られた粉体は、そのX線回折チャートにおいてアナターゼ型酸化チタンの固有の回折ピークが認められ、アナターゼ型結晶構造を有するチタン酸化物であることが確認された。
【0042】
このチタン酸化物からなる粉体を用い、実施例1と同様にしてハニカム成形体を得た。
次いで、このハニカム成形体を、ジニトロジアンミン白金酸溶液に浸漬した後、実施例1と同様の乾燥、焼成を行うことにより、触媒Dを得た。
得られた触媒Dの組成を分析したところ、TiO:Pt=99.8:0.2(重量比)であった。
また、触媒Dについて、BET一点法により測定した比表面積は25m/gであり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.34cm/g、平均細孔径は0.031μmであった。
【0043】
<実施例5>
メタタングステン酸アンモニウム水溶液(WOとして50重量%含有)3.3kgと25重量%アンモニア水110kgと水2.2kgとを混合した液に、硫酸チタニルの硫酸水溶液(TiOとして70g/リットル、硫酸濃度310g/リットル)215リットルを良く撹拌しながら徐々に滴下して、ゲル状生成物を得た。さらに、実施例1と同様の水洗、乾燥、焼成、粉砕を行うことにより、チタン−タングステン酸化物粉体(Ti−W均密混合物)を作製した。
このTi−W均密混合物からなる粉体を用い、実施例1と同様にしてハニカム成形体を得た。
【0044】
次いで、このハニカム成形体を、テトラアンミンパラジウムと酢酸カルシウムとの混合溶液に浸漬した後、実施例1と同様の乾燥、焼成を行うことにより、触媒Eを得た。
得られた触媒Eの組成を分析したところ、Ti−W均密混合物:Ca:Pd=98.8:1:0.2(重量比)であった。
また、触媒Eについて、BET一点法により測定した比表面積は83m/gであり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.30cm/g、平均細孔径は0.017μmであった。
【0045】
<実施例6>
実施例1において、調製したアナターゼ型結晶構造を有するチタン酸化物からなる粉体の代わりに、市販のチタン酸化物粉体(富士チタン工業(株)製、ルチル型酸化チタン)を用いた以外は、実施例1と同様にして、触媒Fを得た。
得られた触媒Fの組成を分析したところ、TiO:Pt=99.8:0.2(重量比)であった。
また、触媒Fについて、BET一点法により測定した比表面積は7m/gであり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.28cm/gであった。
【0046】
<比較例1>
実施例6において、市販のチタン酸化物粉体を気流粉砕機でさらに微細になるよう粉砕して用いるようにし、また、ハニカム成形体の成形時にフェノール樹脂を加えず、押出し成形機の前段に脱気槽を設置して練り物中の空気を除去した以外は、実施例6と同様にして、触媒Gを得た。
得られた触媒Gの組成を分析したところ、TiO:Pt=99.8:0.2(重量比)であった。
また、触媒Gについて、BET一点法により測定した比表面積は6m/gであり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.19cm/gであった。
【0047】
<実施例7>
実施例1において、調製したアナターゼ型結晶構造を有するチタン酸化物からなる粉体の代わりに、市販のチタン酸化物粉体(富士チタン工業(株)製、ルチル型酸化チタン)と沈殿法により調製したアルミナ粉体との混合粉体を気流粉砕機でさらに微細になるよう粉砕したものを用いるようにし、また、ハニカム成形体の成形時にフェノール樹脂を加えず、押出し成形機の前段に脱気槽を設置して練り物中の空気を除去した以外は、実施例1と同様にして、触媒Hを得た。
得られた触媒Hの組成を分析したところ、TiO:Al:Pt=57.8:42:0.2(重量比)であった。
【0048】
また、触媒Hについて、BET一点法により測定した比表面積は42m/gであり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.19cm/gであった。
<実施例8>
実施例1において、調製したチタン酸化物粉体を気流粉砕機でさらに微細になるよう粉砕して用いるようにし、また、ハニカム成形体の成形時にフェノール樹脂を加えず、押出し成形機の前段に脱気槽を設置して練り物中の空気を除去し、焼成温度を800℃、焼成時間を12時間とした以外は、実施例1と同様にして、触媒Iを得た。
【0049】
得られた触媒Iの組成を分析したところ、TiO:Pt=99.85:0.15(重量比)であった。
また、触媒Iについて、BET一点法により測定した比表面積は18m/gであり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.18cm/gであった。
〔性能評価〕
各実施例および比較例で得られた触媒を用いて、以下の性能評価試験を行った。
<CO除去試験>
試験条件:
排ガス組成=CO:20ppm、O:5%、HO:12%、N:バランス
ガス温度=340℃
空間速度(STP)=90000Hr−1
CO除去率算出式:
CO除去率(%)=〔(反応器入口CO濃度)−(反応器出口CO濃度)〕/(反応器入口CO濃度)×100
上記性能評価試験の結果を、表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 2004160421
【0051】
以上の結果、実施例1〜8で得られた排ガス処理触媒は、比較例1で得られた排ガス処理触媒に比べて、いずれもCO除去率について優れた性能が発揮できることが確認された。
【0052】
【発明の効果】
本発明の排ガス処理触媒を用いれば、多量の酸素や水蒸気の存在下でも低濃度のCOや揮発性有機化合物を効率よく除去することができる。
具体的には、本発明の排ガス処理触媒は、触媒成分として前記触媒成分Aを含有し、さらに、該触媒が前述した1)〜3)の条件うちの少なくとも1つを満たすことによって、排ガス処理性能に極めて優れたものとなる。また、触媒成分の担持量を増やすことなく高い処理効率を達成し得るとともに、長期にわたり安定して高い処理効率を維持することができ、触媒材料コストを低く抑えることができる。

Claims (7)

  1. 低濃度CO含有排ガスを処理する触媒であって、チタン系酸化物を担体とし、少なくとも1種の貴金属元素からなる触媒成分Aが担持されてなり、水銀圧入法で測定される全細孔容積が0.20〜0.80cm/gであることを特徴とする、排ガス処理用触媒。
  2. 低濃度CO含有排ガスを処理する触媒であって、チタン系酸化物を担体とし、少なくとも1種の貴金属元素からなる触媒成分Aが担持されてなり、BET法で測定される比表面積が20m/g以上であることを特徴とする、排ガス処理用触媒。
  3. 低濃度CO含有排ガスを処理する触媒であって、チタン系酸化物を担体とし、少なくとも1種の貴金属元素からなる触媒成分Aが担持されてなり、前記チタン系酸化物としてアナターゼ型結晶構造を有するチタン系酸化物を含むことを特徴とする、排ガス処理用触媒。
  4. 前記担体にさらに周期律表第I〜III族に含まれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Bが担持されてなる、請求項1から3までのいずれかに記載の排ガス処理用触媒。
  5. 前記担体にさらにV、W、Mo、Cu、Mn、Ni、Co、CrおよびFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Cが担持されてなる、請求項1から4までのいずれかに記載の排ガス処理用触媒。
  6. 前記チタン系酸化物が、酸化チタン、および/または、チタンとケイ素、アルミニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1つとからなる複合酸化物である、請求項1から5までのいずれかに記載の排ガス処理用触媒。
  7. 低濃度CO含有排ガスを処理する方法であって、CO濃度100ppm以下の低濃度CO含有排ガスを、請求項1から6までのいずれかに記載の排ガス処理用触媒と接触させる工程(a)を含む、排ガス処理方法。
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