JP2004160375A - 鋳鉄管の防食方法および防食処理された鋳鉄管 - Google Patents

鋳鉄管の防食方法および防食処理された鋳鉄管 Download PDF

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Abstract

【課題】亜鉛を含有する金属層が表面に形成された鋳鉄管に塗装を施したときの塗膜の耐衝撃性、耐候性を向上できるようにする。
【解決手段】亜鉛を含有する金属層が表面に形成された鋳鉄管の外面に、シクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを含むアクリル樹脂と、エポキシ化合物と、粉粒状のシリカとを含んだ粉体塗料を塗布する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鋳鉄管の防食方法および防食処理された鋳鉄管に関し、特に、亜鉛を含有する金属層が表面に形成された鋳鉄管についての、鋳鉄管の防食方法および防食処理された鋳鉄管に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋳鉄管の外面に塗装する塗料としては、たとえば、二液型のエポキシ樹脂塗料、ジンクリッチペイント、アクリルエマルション塗料、窒素系硬化剤を用いたエポキシ粉体塗料(たとえば特許文献1)などが使用されたり、提案されたりしている。しかし、アクリルエマルション塗料以外は、耐候性が劣り、屋外に放置された時に光沢が減少するなどの問題がある。その対策として、アクリル−エポキシ粉体塗料(たとえば特許文献2)が提案されているが、そのアクリル樹脂にはスチレンが含まれているため、耐衝撃性、耐候性の面で決して十分であるとはいえない。
【0003】
さらに、アクリエルエマルション塗料は鉄地に対する充分な防錆力を有していないので、これを用いる場合には、下塗りとしてジンクリッチペイント等の防錆力の優れた亜鉛系のプライマーを塗装しておかなければならないという不便さがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−370162号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平11−60999号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、特許文献2には鋳鉄管の外面にアクリル−エポキシ粉体塗料を塗装することが記載されているが、そのアクリル樹脂にはスチレンが含まれているため、耐衝撃性、耐候性の面で決して十分であるとはいえないという技術的課題がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、亜鉛を含有する金属層が表面に形成された鋳鉄管に塗装を施したときの塗膜の耐衝撃性、耐候性を向上できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明らは、亜鉛を含有する金属層が表面に形成された鋳鉄管の外面に特定のアクリル/エポキシハイブリッド粉体塗料を塗装することにより、塗装後短時間に成膜を終了し、しかも耐衝撃性、耐候性が良好な塗膜を形成して、屋外に搬出された鋳鉄管が過酷な条件に晒されても、亜鉛の溶出を抑え白錆発生を防止しながら長期にわたり初期の塗膜外観を維持できることを見出し、本発明を完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明の鋳鉄管の防食方法は、亜鉛を含有する金属層が表面に形成された鋳鉄管の外面に、シクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを含むアクリル樹脂と、エポキシ化合物と、粉粒状のシリカとを含んだ粉体塗料を塗布するものである。
【0010】
また本発明の防食処理された鋳鉄管は、亜鉛を含有する金属層が表面に形成された鋳鉄管の外面に、シクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを含むアクリル樹脂と、エポキシ化合物と、粉粒状のシリカとを含んだ粉体塗料が塗布されているものである。
【0011】
このような構成であると、鋳鉄管上に塗装された粉体塗料の硬化速度が速く、したがって発泡もなく良好な外観を呈することができる。またアクリル樹脂はシクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを含むため、従来のようなスチレンを含まなくても機能することができ、したがって、スチレンフリーの構成とすることができて耐衝撃性および耐候性を向上させることができる。鋳鉄管の表面に形成された、亜鉛を含有する金属層は、多孔質であり、したがって塗装時に塗膜に発泡が生じやすいが、粉体塗料にはシリカが含まれているために、塗膜自体も多孔質化されることで、発泡を防止することが可能となる。また本発明によると、鋳鉄管の内面に粉体塗料を焼き付けた場合は、その余熱で外面の粉体塗装をも完結させることができる。
【0012】
本発明によれば、アクリル樹脂はシクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを5−50質量%含むとともに酸価が10−150であり、エポキシ化合物は軟化点または融点が50−150℃であり、シリカは平均粒子径が1−50μmであり、粉体塗料は180℃のゲルタイムが10−200秒に調整されているのが好適である。
【0013】
また本発明によれば、粉体塗料は、アクリル樹脂80−20質量%と、エポキシ化合物20−80質量%との合計が100質量%であるとともに、このアクリル樹脂とエポキシ化合物との合計100質量%に対してシリカが10−100質量%配合されているのが好適である。
【0014】
また本発明によれば、金属層が、亜鉛と、全体を100質量%として、亜鉛70〜95質量%、アルミニウム5〜30質量%の亜鉛−アルミニウム合金または擬合金と、全体を100質量%として、亜鉛60〜94質量%、アルミニウム5〜30質量%、マグネシウム1〜10質量%の亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金または擬合金と、のいずれかにて形成された溶射金属層であるのが好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明で使用される鋳鉄管は上中下水道用として幅広く使用されており、その内面は、外面防食塗装工程の前または後に、セメントライニングや、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の粉体塗料が施されることにより保護されている。
【0016】
本発明は鋳鉄管の外面の防食方法に関するものであり、この鋳鉄管の外面には、無処理またはサンドブラストやショットブラスト等で表面処理された後、下地処理として、亜鉛、亜鉛−アルミニウム合金または擬合金、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金または擬合金の溶射皮膜層が形成される。
【0017】
亜鉛−アルミ合金または擬合金の組成は、全体を100質量%として、亜鉛70〜95質量%、アルミニウム5〜30質量%であることが好ましい。また亜鉛−アルミ−マグネシウム合金または擬合金の組成は、全体を100質量%として、亜鉛60〜94質量%、アルミニウム5〜30質量%、マグネシウム1〜10質量%であることが好ましい。
【0018】
このようにして下地処理された鋳鉄管は、電磁誘導加熱や熱風循環などの加熱方式により180−250℃に予熱された後、まず内面をエポキシ粉体塗料等で塗装され、次いで180−200℃の熱風循環炉内で後加熱される。この後加熱によって所定時間焼き付けが施された後に炉内から取り出され、その後に、本発明にもとづき、アクリル/エポキシハイブリッド粉体塗料が、厚さ80−150μm、好ましくは厚さ100−120μmになるように塗布される。そして、余熱を利用して硬化され、その後は、焼き付けられないか、必要であれば後加熱炉にて焼き付け硬化されてもよい。
【0019】
本発明に使用される粉体塗料は、シクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを含むアクリル樹脂と、エポキシ化合物と、粉粒状のシリカとを含んだアクリル/エポキシ・ハイブリッド粉体塗料である。
【0020】
アクリル樹脂はシクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを5−50質量%含むとともに酸価が10−150であり、エポキシ化合物は軟化点または融点が50−150℃であり、シリカは平均粒子径が1−50μmであり、粉体塗料は180℃のゲルタイムが10−200秒に調整されているのが好適である。
【0021】
上記アクリル−エポキシ系粉体塗料の基材樹脂となるアクリル樹脂は、シクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを含むものでなければならない。本発明によれば、アクリル樹脂が従来のようにスチレンを含むことに代えて、シクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを含むことで、塗料の耐候性と耐衝撃性とを向上させることができる。その理由は、定かではないが、一般に硬くてもろいスチレンに比べ、シクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートの方が長鎖構造であることが、塗料の耐候性と耐衝撃性に寄与しているのではないかと思われる。
【0022】
アクリル樹脂におけるシクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートの含有割合は、所要の耐候性および耐衝撃性を発現させるためには、5−50質量%の範囲であることが好ましい。含有割合が5質量%に満たない場合は、耐候性および耐衝撃性の向上が不十分となりやすく、また50質量%を超えた場合は、それに伴いガラス転移点(Tg)が低くなり過ぎて、粉体塗料に適した程度に粉体化することが困難になる。
【0023】
上記アクリル樹脂は、酸価が10−150であることが好ましく、日本水道協会規格(JWWA)で禁止されているアクリロニトリルは使用せず、使用できるモノマー類としては、たとえば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
【0024】
そして、上記アクリル樹脂において、その酸価が10−150であることが好ましいとするのは、次の理由によるものである。すなわち、酸価が10−150であると、アクリル樹脂が所要の反応性を有するとともに、塗膜に所要の柔軟性や耐衝撃性を持たせることが可能となるのみならず、塗料の貯蔵安定性を確保することが可能となるためである。反対に、アクリル樹脂の酸価が10未満の場合は、アクリル樹脂の反応性が低下してピンホールの発生を抑制する効果が低下したり、塗膜の柔軟性や耐衝撃性が低下して塗膜が鋳鉄管の変形に追随できなくなったり、塗膜にクラックが発生するようになるおそれがある。またアクリル樹脂の酸価が150を超える場合は、アクリル樹脂の分子量が小さいことから塗膜が脆くなって外面用に要求される物性を維持できなくなったり、アクリル樹脂の反応性が強すぎて塗料の調製時にゲル化を引き起こしたり、塗料のゲルタイムが極端に短くなって貯蔵安定性が悪くなるおそれがある。
【0025】
上記アクリル樹脂と組み合わせるエポキシ化合物としては、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ノボラック型エポキシ樹脂、テレフタル酸エポキシ樹脂、水添ビスフェノールエポキシ樹脂、2,5−ジターシャリーブチルハイドロキノンのジグリシジルエーテルなどが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、また2種類以上混合して用いてもよい。
【0026】
これらのエポキシ化合物においては、その軟化点または融点が50−150℃であることが好ましいが、これは次の理由によるものである。すなわち、エポキシ化合物の軟化点または融点が50−150℃であることで、エポキシ化合物の反応性を適宜のものとすることができて、そのゲルタイムを適正化することができるとともに、ピンホールの発生を抑制したり、所要の塗膜の柔軟性や耐衝撃性を確保できるためである。これに対し、エポキシ化合物の軟化点または融点が50℃未満の場合は、アクリル−エポキシ系粉体塗料の反応性が強くなるため、そのゲルタイムが経時的に速くなり、ピンホールが発生しやすくなったり、固着性が強くなるおそれがある。また、エポキシ化合物の軟化点または融点が150℃を超える場合は、エポキシ化合物の反応性が低下してピンホールの発生を抑制する効果が低下したり、塗膜の柔軟性や耐衝撃性が低下して塗膜が鋳鉄管の変形に追随できなくなったり、塗膜への衝撃によって塗膜にクラックが発生するようになるおそれがある。
【0027】
本発明の粉体塗料においては粉粒状のシリカを含有させるが、これはシリカが溶融時の粘度を上昇させることなく塗膜を適度に多孔質化して亜鉛を含有する金属の溶射面のす(巣)穴に含まれている空気や水分などの気化成分に基づくピンホールの発生を抑制する作用を有するからである。これにより、塗装時に塗膜に気泡が生じることを防止することが可能である。
【0028】
本発明で使用される粉体塗料においては、アクリル樹脂80−20質量%と、エポキシ化合物20−80質量%との合計が100質量%であるとともに、このアクリル樹脂とエポキシ化合物との合計100質量%に対してシリカが10−100質量%配合されているのが好適である。
【0029】
本発明においては、アクリル樹脂とエポキシ化合物との配合割合が上記の範囲を満足する場合には、十分な耐候性と耐衝撃性とを兼備させることができる。これに対し、アクリル樹脂が20質量%未満の場合は耐候性が不十分となりやすく、反対にアクリル樹脂が80質量%を超えると耐衝撃性が不十分となりやすくなる。またエポキシ化合物が20質量%未満の場合は耐衝撃性が不十分となりやすく、反対にエポキシ化合物が80質量%を超えると耐候性が不十分となりやすくなる。
【0030】
また上述のように、平均粒子径1〜50μmのシリカは、当該粉体塗料の基材樹脂(アクリル樹脂とエポキシ化合物との合計)100質量%に対して10−100質量%配合されていることが好ましい。この範囲であると、ピンホールの発生を良好に抑止することができる。反対にシリカの配合割合が基材樹脂100質量%に対して10質量%より少ない場合は、シリカによる脱泡効果が不十分となって、充分なピンホール発生抑制効果が得られなくなるおそれがあり、また100質量%より多い場合は、粉体塗料の溶融粘度が高くなるために、同様に充分なピンホール発生抑制効果が得られなくなるおそれがある。
【0031】
本発明の粉体塗料には、上記成分に加え、さらに着色顔料、体質顔料、レベリング剤、垂れ止め剤、触媒などを適宜添加することができる。
上記着色顔料としては、たとえば、カーボンブラックなどが挙げられ、上記体質顔料としては、たとえば、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。また、上記レベリング剤としては、たとえば、BYK360P(商品名、シリカに吸着させた粉末状レベリング剤、BYK社製)、モダフローパウダー(商品名、シリカに吸着させた粉末状レベリング剤、モンサント社製)、アクロナール(商品名、アクリルオリゴマー系レベリング剤、BASF社製)などが挙げられる。上記垂れ止め剤としては、たとえば、微粉末シリカ、アエロジル200(商品名、日本アエロジル社製)などが挙げられる。上記触媒は、アクリル−エポキシ系粉体塗料を調製する際に、必要に応じ、アクリル樹脂とエポキシ化合物との反応を促進するために使用されるものであり、たとえばイミダゾール系触媒などが挙げられる。
【0032】
また、本発明の粉体塗料は、180℃のゲルタイム(糸引き法)が10−200秒に調整されることが好適である。この範囲に規定されることによって、良好な貯蔵安定性やピンホール発生抑制効果が得られる。反対に180℃のゲルタイム(糸引き法)が10秒より短い場合は、塗料調製時にゲル化したり、貯蔵中に経時変化を起こして貯蔵安定性が悪くなり、また、180℃のゲルタイム(糸引き法)が200秒より長い場合は、鋳鉄管のす(巣)穴に含まれている空気や水分などの気化成分に基づくピンホールの発生を充分に抑制することができなくなる。
【0033】
本発明の粉体塗料の調製に際しては、たとえば、上記アクリル樹脂およびエポキシ化合物からなる基材樹脂と、硬化剤と、シリカとをヘンシェルミキサーなどでドライブレンドし、コニーダなどで溶融混練するのが好適である。そして、得られた混合物をハンマーミルなどで粉砕し、ふるいで粗粒をカットして、粉体塗料として使用に供される。
【0034】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1〜3および比較例1〜2]
表1に示す組成でアクリル樹脂A〜Dを調製した。また表2に示す組成で実施例1〜3および比較例1〜2の粉体塗料を調製した。なお、表1、2中の各成分の数値単位は、酸価と軟化点とを除いて、質量部である。また、表2中において商品名などで示したものについては、その詳細を欄外に示す。
【0035】
なお、表2において、アジピン酸ジヒドラジドはエポキシ樹脂の硬化剤としての機能を果たすものである。また沈降性硫酸バリウムは、増量剤としての機能を果たすものである。
【0036】
【表1】
Figure 2004160375
【0037】
【表2】
Figure 2004160375
【0038】
上記粉体塗料の調製は、各成分をヘンシェルミキサー(三井三池製作所社製)でドライブレンドし、コニーダー(ブッス社製)で溶融混練することによって行い、ついで、ハンマーミル(不二バウダル社製)で粉砕し、60メッシュの篩で粗粒をカットして、平均粒子径50μmの粉体塗料を得た。なお、上記実施例1〜3および比較例1はアクリル−エポキシ系粉体塗料であるが、これらの塗料におけるカルボキシル基:エポキシ基の当量比は1:1であった。
【0039】
上記のようにして調製した実施例1〜3および比較例1〜2の粉体塗料の180℃のゲルタイム(糸引き法)を測定した。測定方法は次の通りであり、測定結果は表3に示す通りであった。
【0040】
(ゲルタイムの測定方法)
180℃の高温に保ったホットプレート上に上記粉体塗料を100mgずつ置き、全体が溶融した時点を開始点として、スパチュラーで攪拌しつつ一定時間ごとに上方に引っ張って溶融塗料が糸を引かなくなるまでの時間を測定し、それをゲルタイム(秒)とした。
【0041】
【表3】
Figure 2004160375
【0042】
また、上記実施例1〜3および比較例1〜2の粉体塗料について耐候性、耐屈曲性および耐衝撃性を調べた。それらの評価方法や測定方法は次の通りであり、測定結果は表3に示す通りであった。
【0043】
耐候性:
厚さ0.8mmで70mm×150mmのブラスト鋼板の片面に平均膜厚がそれぞれ100μmとなるように各粉体塗料を塗装し、180℃で20分間焼き付けて塗板を作製した。この塗板をJIS−K−5400−9.8.1に規定の耐候性試験に準じて300時間テストした。その後、塗膜外観を観察し、表4に示す評価基準にて記号化した。その結果は表3に示す通りであった。
【0044】
【表4】
Figure 2004160375
【0045】
耐屈曲性:
JDPA(日本ダクタイル鉄管協会規格)−Z−2010に準じ、厚さ0.3mmで150mm×50mmのぶりき板の片面に焼付後の塗膜の厚さが0.1mm±0.02mmになるように各粉体塗料を塗装し、180℃で20分間焼き付けて塗板を作製した。つぎに、JIS−K−5400の8.1(耐屈曲性)に規定された屈曲試験器を用い、直径10mmの心棒に沿って上記塗板を180°折り曲げた時に、目視により塗膜に割れ・はがれが認められない場合は、「折り曲げに耐える」と評価し、合格とした。反対に塗膜に割れ・はがれが認められた場合は、「折り曲げに耐えない」と評価し、不合格とした。測定結果は表3に示す通りであった。
【0046】
耐衝撃性:
JDPA−Z−2010に準じ、厚さ4mmで200mm×100mmのブラスト鋼板の片面に焼付後の塗膜の厚さが0.1mm±0.02mmになるように塗装し、180℃で20分間焼き付けて塗膜を作製した。そして、JIS−K−5400の8.3.2(デュポン式)に規定される耐衝撃試験器を用い、500gのおもりを300mmの高さから上記塗板の塗膜上に落とした時に、目視により塗膜に割れ・はがれが認められない場合は、「衝撃による変形で割れ・はがれができない」と評価し、合格とした。反対に塗膜に割れ・はがれが認められた場合は、「衝撃による変形で割れ・はがれができる」と評価し、不合格とした。測定結果は表3に示す通りであった。
【0047】
表3に示す実施例1〜3の評価結果と比較例1〜2の評価結果との対比から明らかなように、実施例1〜3は、比較例1〜2に比べて、耐候性の評価が○または◎であって、光沢保持率が少なくとも70%以上と適正な範囲内にあり、しかも耐屈曲性、耐衝撃性のいずれも優れていて、鋳鉄管外面用粉体塗料として充分な性能を示していた。
【0048】
これに対し比較例1は、シクロヘキシルアクリレートもシクロヘキシルメタクリレートアクリルも含有しないアクリル樹脂Cによって構成した塗料を塗装したものであったため、耐候性の評価が×と悪く、また耐屈曲性、耐衝撃性も不合格であった。
【0049】
比較例2は、アクリル樹脂を含まない単なるエポキシ系粉体塗料を塗布したものであったため、耐候性の評価が×と悪かった。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、鋳鉄管外面に要求される塗膜の耐衝撃性および耐候性に優れたものとすることができる。

Claims (8)

  1. 亜鉛を含有する金属層が表面に形成された鋳鉄管の外面に、シクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを含むアクリル樹脂と、エポキシ化合物と、粉粒状のシリカとを含んだ粉体塗料を塗布することを特徴とする鋳鉄管の防食方法。
  2. アクリル樹脂はシクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを5−50質量%含むとともに酸価が10−150であり、エポキシ化合物は軟化点または融点が50−150℃であり、シリカは平均粒子径が1−50μmであり、粉体塗料は180℃のゲルタイムが10−200秒に調整されていることを特徴とする請求項1記載の鋳鉄管の防食方法。
  3. 粉体塗料は、アクリル樹脂80−20質量%と、エポキシ化合物20−80質量%との合計が100質量%であるとともに、このアクリル樹脂とエポキシ化合物との合計100質量%に対してシリカが10−100質量%配合されていることを特徴とする請求項2記載の鋳鉄管の防食方法。
  4. 金属層が、
    亜鉛と、
    全体を100質量%として、亜鉛70〜95質量%、アルミニウム5〜30質量%の亜鉛−アルミニウム合金または擬合金と、
    全体を100質量%として、亜鉛60〜94質量%、アルミニウム5〜30質量%、マグネシウム1〜10質量%の亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金または擬合金と、
    のいずれかにて形成された溶射金属層であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の鋳鉄管の防食方法。
  5. 亜鉛を含有する金属層が表面に形成された鋳鉄管の外面に、シクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを含むアクリル樹脂と、エポキシ化合物と、粉粒状のシリカとを含んだ粉体塗料が塗布されていることを特徴とする防食処理された鋳鉄管。
  6. アクリル樹脂はシクロヘキシルアクリレートまたはシクロヘキシルメタクリレートを5−50質量%含むとともに酸価が10−150であり、エポキシ化合物は軟化点または融点が50−150℃であり、シリカは平均粒子径が1−50μmであり、粉体塗料は180℃のゲルタイムが10−200秒に調整されていることを特徴とする請求項5記載の防食処理された鋳鉄管。
  7. 粉体塗料は、アクリル樹脂80−20質量%と、エポキシ化合物20−80質量%との合計が100質量%であるとともに、このアクリル樹脂とエポキシ化合物との合計100質量%に対してシリカが10−100質量%配合されていることを特徴とする請求項6記載の防食処理された鋳鉄管。
  8. 金属層が、
    亜鉛と、
    全体を100質量%として、亜鉛70〜95質量%、アルミニウム5〜30質量%の亜鉛−アルミニウム合金または擬合金と、
    全体を100質量%として、亜鉛60〜94質量%、アルミニウム5〜30質量%、マグネシウム1〜10質量%の亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金または擬合金と、
    のいずれかにて形成された溶射金属層であることを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項記載の防食処理された鋳鉄管。
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