JP2004159609A - 転写因子の解析法 - Google Patents

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文啓 藤森
Ri Jeisun
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Hisafumi Ikeda
壽文 池田
Hirotsugu Ohori
洋嗣 大堀
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渉 郡司
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Abstract

【課題】簡便な操作による、転写因子の活性化状態を効率よく、高感度かつ網羅的に検出するための方法の提供。
【解決手段】検体中の転写因子の活性化の程度を解析するための方法であって、検体ごとに異なる標識物質によって標識されたプローブを各検体に添加する工程、転写因子と結合したプローブのみを回収する工程、前記回収されたプローブを、単一のプレート上でハイブリダイゼーションした後に、前記各標識物質を検出する工程を含む、前記方法。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な転写因子解析法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年ヒトゲノムの完全解読がほぼ完了し、体系的な遺伝子機能解析が可能になった。さらに、新規遺伝子に対応したタンパク質発現ライブラリー化の試みもなされていることから、今後はタンパク質の機能解明のための材料供給の問題は次第に解決され、プロテオーム解析の重要性が一層高まるものと考えられる。
【0003】
タンパク質−タンパク質間の結合解析は各タンパク質の機能を探る上で多くの有益な情報を与えるものである一方、各タンパク質の発現制御を見る方法としては、現在はmRNAの存在を調べるDNAチップ技術があるにすぎない。また、遺伝子やタンパク質の発現を網羅的に解析することを目指したDNA−タンパク質結合解析は行われていないに等しい。したがって、実際の生体内でのタンパク質発現制御解析を進める上で、mRNAの転写の引き金となるDNAとタンパク質結合解析の技術開発が必要とされている。すなわち、転写活性を制御する転写因子の活性化状態を見る転写因子(TF)解析が考案されている。
【0004】
転写因子とは、遺伝子のプロモーター内にある、特定のDNA結合部位と相互作用することによって遺伝子の発現を制御しているタンパク質である。一般的なヒトの細胞には2000種類を超える転写因子が存在すると考えられているが、現在までに判明している転写因子は、そのうちのわずか10〜20%にすぎない。
【0005】
転写因子解析は、転写因子と結合したプローブDNAを定量することによって行われる。これらの転写因子解析に使われるプローブDNAを検出する方法として、DNA−DNAの結合を調べる種々の方法が存在するが、将来的に解析の数が増えた場合においても、最近確立されたマイクロアレイ技術(例えば非特許文献1〜3参照)を用いることで多検体解析が可能となると考えられている。
【0006】
また、転写因子解析には、転写因子とプローブとの結合量をもとに算出される数値データより、最終的には転写因子の活性化状態を解析することが必須である。この網羅的な転写因子の活性化状態の解析技術の例として、ゲルシフトアッセイとメンブレンアレイを組み合わせた方法が既に存在する(例えば非特許文献4〜6参照)。
【0007】
この方法は、ビオチンラベルを行ったプローブDNAの混合物(種々の転写因子に対する特異プローブの混合物)と検体細胞の核抽出物とをあらかじめ混合し、転写因子と結合したプローブDNAをゲルシフトアッセイにより非結合のプローブと選り分け、その後にあらかじめ各プローブDNAに対応する合成オリゴ(ターゲットという)が張り付いたメンブレンフィルターとハイブリダイズし、最終的に存在するビオチン量を化学発光体をラベルしたアビジンと結合することにより間接的に測定し定量するものである(図1)。最終的に得られたスポットのシグナル強度は、ビオチンラベルDNAプローブの存在量に比例するので、比較したい別々の検体のデータ(2枚のメンブレン)のシグナル強度を比較することによって、転写因子の活性化状態の比較が行われる。
【0008】
しかし、ビオチンを用いたこの方法は、メンブレン上のターゲットとプローブとの反応のために最低1日のハイブリダイゼーションが必要であったり、その後のプローブ末端に存在するビオチンの量を定量するためにアビジンとの反応を行い、さらに発色反応を行わなくてはならない、など煩雑な操作を経るため解析結果を得るまでに約3日を要する。
【0009】
また、当該従来法においては、一発光物質のみを用いて検出を行うため、結果のアウトプットが別々のメンブレンになされ、異種細胞からの検体などの二者を最終的に比較したい場合に誤差が生じやすいという欠点もある。
【0010】
生体内における転写因子の活性化状態を測定する上で非常に重要となる点は、微細な変化をいかにモニタリングできるかにある。したがって、誤差による影響が大きいビオチンのみを用いる方法は、かかる点において、転写因子の活性化状態を詳細にモニタリングするには、必ずしも十分な検出感度を有しているとは言い難い。
【0011】
なお、生体内における転写因子の解析のための別法として、抗体を用いる方法も考案されている(例えば非特許文献7および8参照)。しかし、この方法では、単に転写因子の量の相対的な比較が行われるのみであって、網羅的な転写因子の活性化状態の解析は不可能である。すなわち、この方法は、最終的な遺伝子発現のみの解析と軌を一にするものにすぎない。
【0012】
【非特許文献1】「マイリア(登録商標)」(”MyriaTM”)、商品カタログ、(米国)、パノミクス社(Panomics, Inc.)、2001年、p.1〜15
【非特許文献2】クルビラ・エフ・ジーら(Kuruvilla FG et al.) 「多様性を志向した合成によるグルコースシグナリングの遮断および小分子マイクロアレイ」”Dissecting glucose signalling with diversity−oriented synthesis and small−molecule microarrays.” 「ネイチャー(Nature) 2002年 4月11日;第416巻(第6881号):p.653〜7。
【非特許文献3】デボー・エフら(Devaux F et al.) 「トランスクリプトーム、転写活性化因子およびマイクロアレイ」”Transcriptomes, transcription activators and microarrays” 「エフ・イー・ビー・エス・レット(FEBS Lett)」 2001年6月8日;第498巻(第2〜3号):p.140〜4。
【0013】
【非特許文献4】「トランスシグナル(登録商標)」(”TransSignalTM Protein/DNA Array”)、商品カタログ、(米国)、パノミクス社(Panomics, Inc.)、2001年、p.1〜2
【非特許文献5】ビンギ・リン(Binghui Lin)「ヒト組み換えAP1(c−jun)を用いたゲルシフト解析:ポリd(I−C)の特異的複合体形成に対する影響」(”Gel shift analysis with human Recombinant AP1(c−jun): The effect of poly d(I−C) on specific complex formation”)[online]、プロメガ社(Promega Corporation)、[平成14年9月2日検索]、インターネット<URL:http://www.promega.com/phonotes/37/37_14/37_14.htm>
【非特許文献6】「ゲルシフトアッセイシステム」(”Gel shift assay system”)[online]、プロメガ株式会社 テクニカルサービス部、[平成14年9月2日検索]、インターネット<URL:http://www.promega.co.jp>
【0014】
【非特許文献7】「マーキュリ(登録商標)トランスファクタキット」(”MercuryTM TransFactor Kits”)、商品カタログ、(米国)、クローンテク社(CLONTECH.)、2001年4月、p.1〜2
【非特許文献8】「マーキュリ(登録商標)トランスファクタキットユーザーマニュアル」(”MercuryTM TransFactor Kits User Manual”)、商品カタログ、(米国)、クローンテク社(CLONTECH)、2002年4月、p.1〜18
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、簡便な操作によって、転写因子の活性化状態を効率よく、高感度かつ網羅的に検出するための方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねる中で、驚くべきことに、プローブの標識物質を改変することによって上記課題が解決されることを見出し、さらに研究を進めた結果本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、検体中の転写因子の活性化の程度を解析するための方法であって、検体ごとに異なる標識物質によって標識されたプローブを各検体に添加する工程、転写因子と結合したプローブのみを回収する工程、前記回収されたプローブを、単一のプレート上でハイブリダイゼーションした後に、前記各標識物質を検出する工程を含む、前記方法に関する。
【0017】
また、本発明は、プローブを標識する物質が、蛍光物質である、前記方法に関する。
さらに、本発明は、蛍光物質が、Cyanine3(Cy3)、Cyanine5(Cy5)、Cyanine5.5(Cy5.5)、Cyanine7(Cy7)およびフルオレセイン−4−イソチオシアネート(FITC)からなる群から選択される、前記方法に関する。
また、本発明は、検体が2種であり、各検体に対する標識物質の一方がCy3であり、他方がCy5である、前記方法に関する。
【0018】
また、さらに本発明は、転写因子と結合したプローブを回収する工程が、ゲルシフトアッセイを含む、前記方法に関する。
【0019】
さらにまた、本発明は、各標識物質を検出する工程が、競合的ハイブリダイゼーションである、前記方法に関する。
また、本発明は、競合的ハイブリダイゼーションが、オリゴマイクロアレイプレート上において行われる、前記方法に関する。
さらに、本発明は、オリゴマイクロアレイプレート上のオリゴマーが、DNAおよび/またはPNAを含む、前記方法に関する。
【0020】
また、本発明は、プローブが、dsDNAである、前記方法に関する。
さらに、本発明は、プローブが、DNA/PNAハイブリッドである、前記方法に関する。
そして、本発明は、2種以上の標識物質、転写因子と結合したプローブのみを回収するための手段および標識物質を検出するための手段を含む、検体中の転写因子の活性化の程度を解析するためのキットに関する。
【0021】
本発明においては、個別に検出可能な標識物質を単一のプレートにおいて検出することによって、転写因子と結合したプローブの解析を行えるため、複数検体を対象として、測定誤差が小さく、かつ検出感度が高い解析を効率的に行うことができる。
【0022】
また、本発明の方法において、標識物質として相互に異なる蛍光波長を有する蛍光物質を用いれば、転写因子と結合したプローブの解析をより高感度で行うことができる。
【0023】
また、本発明の方法においては、転写因子に結合したプローブのみの回収を、ゲルシフトアッセイのような簡便な従来法によって行うことができる。
さらに、本発明の方法においては、競合的ハイブリダイゼーションを用いることによって、転写因子の活性化状態を測定することが容易になる。
本発明においては、競合的ハイブリダイゼーションをオリゴマイクロアレイプレート上において行うことができるため、多検体の同時アッセイを容易に行うことができる。また、オリゴマイクロアレイプレートに固定化するオリゴマーとして、DNAのみならずPNAも用いることによって、より正確なアッセイを行うことができる。
【0024】
また、本発明の方法において、プローブとしてDNA/PNAハイブリッドを用いれば、転写因子と核酸オリゴマーとの特異的結合のみの検出をより高感度で行うことが容易になるため、転写因子の活性化状態の測定をより高感度で行うことが可能になる。
さらに、本発明のキットを用いれば、検体中の転写因子の活性化の程度の解析を、極めて簡便かつ効率的に、しかも高感度で行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の方法は、
a)プローブの標識物質によるラベリング、
b)前記ラベルプローブの検体への添加、
c)結合プローブの回収、および
d)転写因子の活性化の程度の測定
の各工程を含む。
【0026】
本発明において用いられる標識物質は、各検体ごとに検出可能なものであれば特に制限されない。例えば、ビオチン−アビジンに感作した化学発光体(ジゴキシゲニンDIGなど)および蛍光物質などが含まれる。Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7およびFITCなどの相互に異なる蛍光波長を有する蛍光物質を用いれば、検体中の転写因子の活性化の程度の測定を競合的ハイブリダイゼーションなどの手法を用いて、1枚のプレートによって行うことが容易になるため好適である。Cy3およびCy5は、ラベリングが容易であるため特に好適である。ラベリングの方法は特に限定されず、例えば、プライマー合成時にあらかじめ5’−端に導入する場合や、PCR反応を行う時にCy3−dNTP、Cy5−dNTPを用いて導入する場合などによって行われる。
【0027】
なお、プローブとして、従来法のようにdsDNAを用いることもできるが、DNA/PNAのハイブリッドを用いれば、細胞内タンパク質中に含まれる種々の修飾酵素による切断および熱や溶媒に対する耐性を高めることができ、安定的な転写因子の結合解析が容易になるため好適である。
【0028】
PNA(Peptide nucleic acid:ペプチド核酸)とは、アミノ酸誘導体のN‐(2−アミノエチル)グリシンがペプチド結合することにより、糖リン酸バックボーンをポリアミドに置換した核酸類似体である。すなわち、PNAは、DNAやRNAが塩基・五炭糖・リン酸という成分で構成され、五炭糖とリン酸がリン酸ジエステル結合により連結されて背骨構造(糖リン酸バックボーン)を形成するのに対して、前記N‐(2−アミノエチル)グリシン分子が、核酸と同様にらせん構造をとり、さらに塩基と骨格構造との立体的距離や結合している各塩基間の距離がDNAやRNAと同じになるように設計されている分子である。
【0029】
前記のような構造を有するため、PNAはDNAやRNAと相補的に結合することができる。また、オリゴPNAと同様に、アミノ酸がペプチド結合により連なるタンパク質を分解する生体内ヌクレアーゼに対して、PNAは完全耐性を有するという特性も併せ持っている。したがって、プローブとしてDNA/PNAのハイブリッドを用いれば、転写因子の活性化状態を、高感度で、かつ高精度で検出することが容易になる。
【0030】
ラベルプローブを検体に添加、混合し、適切な条件下にてインキュベーションすることによって、前記プローブと転写因子との結合を行わせる(工程b))。その後、前記d)転写因子の活性化の程度の測定を行うが、その前に転写因子と結合したプローブのみの回収を行うことによって、活性化された転写因子のみの定量が可能になる(工程c))。
該転写因子と結合したプローブの回収のための方法は特に限定されないが、例としてゲルシフトアッセイが挙げられる。また、スピンカラム(ゲルろ過カラム等)を用いたタンパク質、DNA/RNA分離方法などによる回収方法も可能である。
【0031】
ゲルシフトアッセイとは、転写因子の活性化状態、つまり転写因子が特定の塩基配列に結合することを見る方法として、従来から行われている方法である。具体的には、寒天ゲル内またはアクリルアミドゲル内を転写因子とプローブDNAの結合体が泳動されるときに、転写因子の結合していないDNAよりも転写因子と結合したDNA分子の泳動距離が短くなることを利用した方法で、転写因子とDNAの結合状態を観察する場合に簡易的に行える方法である。
【0032】
従来ゲルシフトが確認されていたのは、ビオチンラベルを行ったプローブDNAのみであった。しかし、本発明の方法においては、蛍光物質によってラベルしたプローブDNAにおいてもゲルシフトの確認が可能であるという新たな事実に基づき、プローブDNAの蛍光物質によるラベリングが行われる。
【0033】
転写因子の活性化の程度は、前記回収されたプローブを単一のプレートにハイブリダイゼーションした後に、転写因子に結合したプローブの量を、それに結合せしめた標識物質の量を定量することによって測定される。この目的には、従来の転写因子解析に使われるプローブDNAを検出する方法である、DNA−DNAの結合を見る種々の方法を用いることができる(例えば、ゲルシフトアッセイ、表面プラズモン共鳴を用いた分子間結合解析など)。これらの検出は、各検体ごとに非競合的に行ってもよいが、競合的ハイブリッドなどのマイクロアレイ技術は、多検体を同時にアッセイできるため好適である。オリゴマイクロアレイプレートを用いれば、競合的ハイブリッドを簡便に行うことができるため、特に好適である。
【0034】
なお、オリゴマイクロアレイプレートに用いるオリゴマーとしては、DNAが用いられるが、結合のミスマッチの低減、より高感度の解析等の観点から、PNAまたはPNAを含むもの等を適宜用いることもできる。
【0035】
本発明の一態様を、図2に模式化して示した。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明につき、実施例によってさらに詳細に説明する。ただし、これらの実施例は本発明を説明するものであって、いかなる意味においても限定するものではない。
【0037】
(実施例1)
(1)蛍光標識プローブの作製
転写因子であるNfkappaBが結合しうる蛍光標識dsDNAプローブを以下のように作製した。
Figure 2004159609
上記プライマーをCy3−NfkappaBとNfkappaB−rまたはCy5−NfkappaBとNfkappaB−rとで等量(等モル数)ずつ混合し、95℃ 10min、90℃ 5min、85℃ 5min、80℃ 5min、75℃ 5min、70℃ 5min、65℃ 5min、60℃ 5min、55℃ 5min、50℃ 5min、45℃ 5min、40℃ 5min、35℃ 5min、30℃ 5min、25℃ 5min、4℃ 30 minの反応を行うことによって、dsDNAプローブを作製した。
【0038】
(2)Cy3ラベルおよびCy5ラベルの転写因子結合プローブを用いたゲルシフトアッセイ
Cy3−NfkappaBとNfkappaB−rまたはCy5−NfkappaBとNfkappaB−rのdsDNAをNfkappaBタンパク質と結合反応を行った後、アクリルアミドゲル電気泳動を行いゲルシフトすることを確認した(図3)。この結果、Cy3またはCy5ラベルのプローブDNAであっても、従来通りゲルシフトの確認は可能であることが明らかになった。ゲルは3%アクリルアミドゲル(0.5×TBE buffer)を用いた。また泳動用bufferは0.5×TBE bufferを用いて行った。
【0039】
(3)マイクロアレイの作製
各転写因子に対応する(結合する)シスエレメントの配列は以下の通りであった。
Figure 2004159609
【0040】
Figure 2004159609
【0041】
Figure 2004159609
【0042】
Figure 2004159609
【0043】
(4)マイクロアレイによる転写因子結合性プローブの検出
各転写因子結合性配列の蛍光標識dsDNAプローブは、Cy3ラベルのプローブとその相補鎖配列を持つReverseオリゴないしは、Cy5ラベルのプローブとその相補鎖配列を持つReverseオリゴとを、前記の方法により結合することで行った。一方、オリゴアレイ(スライドガラス上へのオリゴのスポッテイング)は、各転写因子結合性配列のReverseオリゴおよび、Mutationオリゴを以下の方法でスポッテイングすることで行った。すなわち、各オリゴ溶液の濃度を60μM、70μM、80μM(3×SSC緩衝液となるようにした)となるように調整し、市販のオリゴアレイ用スライドガラス(コーニング社)にAffimetrix 417slide arrayerを用いてスポッテイングした。スポット後のスライドガラスに紫外線を当てることでオリゴの固定化を行った。Cy3ラベルのプローブとCy5ラベルのプローブは図4に示す混合比でハイブリダイゼーション溶液(3×SSC、0.6% SDS)に加え、オリゴのスポットされたスライドガラスとカバーガラスの間に流し込み、湿室状態に保ちながら、42℃にて一晩反応させた。その後スライドガラスを洗浄し、ScanArray (Affimetrix)で各スポット上の蛍光強度を読み取ることで、プローブの存在量を計測した。
【0044】
その結果、下記表1および図4に示す結果が得られた。すなわち、Cy3ラベルのEBNAプローブとCy5ラベルのEBNAプローブとを等量混合した場合のCy3とCy5の蛍光強度比を同一にした場合には、例えばCy3ラベルのp53は蛍光が確認できるが、プローブを添加していないCy5ラベルの蛍光は全く確認できなかった(Cy5/Cy3=0.0440)。逆にAP−1では、プローブを添加していないCy3ラベルの蛍光は確認できないが、Cy5ラベルの蛍光は確認できた(Cy5/Cy3=15.6)。さらに、NFkBではCy3:Cy5の比を1:3になるように混合しているので、その蛍光強度も3倍になるように検出可能であった(Cy5/Cy3=3.00)。
また、用いるプローブ量が高い濃度であるとそれぞれの蛍光強度も強まるため、Mutationオリゴとの反応も検出されるが、適宜プローブ量を減少させることによって、Mutationオリゴとの非特異的結合も除外できることが判明した(図4)。
【0045】
【表1】
Figure 2004159609
【0046】
以上の結果から、用いるプローブの存在量に依存した競合的ハイブリダイゼーションが各転写因子において確認され、よって本方法により転写因子に結合するオリゴの存在比を検出し得ることが明らかになった。
【0047】
(実施例2)マイクロアレイを用いた細胞内転写因子の活性比較
前記の方法により、実際に細胞から回収した2種類の核抽出液中に存在する転写因子の活性化状態の比較を行った。すなわち、Saos2細胞中のp53タンパク質はHL60細胞中のp53に比べて、転写因子としての活性化状態が低いことが知られている。そこでSaos2細胞およびHL60細胞よりそれぞれ核抽出物を回収し、Saos2の核抽出物はCy3ラベルのプローブ混合物と、HL60の核抽出物はCy5ラベルのプローブ混合物と混合することで反応させ、それぞれゲルシフト法によりシフトしたプローブを回収した。この時あらかじめそれぞれの核抽出物にEBNAタンパク質を同量加えコントロールとした。回収されたCy3ラベルのプローブとCy5ラベルのプローブとを混合し、前記と同様にガラススライドを用いて検出を行った(図5参照)。
【0048】
EBNAの蛍光強度を一定となるようにして解析を行った結果、予想通りSaos2細胞のp53、AP−1、NFkBの転写活性がHL60よりも低いことが判明した(図5および図6)。このことから、本方法により多検体の転写因子の活性化状態を競合的ハイブリダイゼーションによりモニタリングできることが示された。
【0049】
【発明の効果】
本発明のよれば、従来法より簡便な操作によって、転写因子の活性化状態を効率よく、高感度かつ網羅的に検出することが可能になる。したがって、本発明は、遺伝子病の診断および治療、ならびに新規医薬活性化合物の安全性評価に利用することができ、関連産業に資するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の転写因子解析法の模式図である。
【図2】本発明の転写因子解析法の一態様の模式図である。
【図3】Cy3ラベルおよびCy5ラベルの転写因子結合プローブを用いたゲルシフトアッセイの結果を示す写真図である。
【図4】マイクロアレイによる転写因子結合性プローブの検出を示す写真図である。
【図5】マイクロアレイを用いた細胞内転写因子の活性比較を示す写真図である。
【図6】マイクロアレイを用いた細胞内転写因子の活性比較を、蛍光強度の数値化によって示す図である。

Claims (11)

  1. 検体中の転写因子の活性化の程度を解析するための方法であって、検体ごとに異なる標識物質によって標識されたプローブを各検体に添加する工程、転写因子と結合したプローブのみを回収する工程、前記回収されたプローブを、単一のプレート上でハイブリダイゼーションした後に、前記各標識物質を検出する工程を含む、前記方法。
  2. プローブを標識する物質が、蛍光物質である、請求項1に記載の方法。
  3. 蛍光物質が、Cyanine3、Cyanine5、Cyanine5.5、Cyanine7およびフルオレセイン−4−イソチオシアネートからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 検体が2種であり、各検体に対する標識物質の一方がCyanine3であり、他方がCyanine5である、請求項1に記載の方法。
  5. 転写因子と結合したプローブを回収する工程が、ゲルシフトアッセイを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 各標識物質を検出する工程が、競合的ハイブリダイゼーションである、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 競合的ハイブリダイゼーションが、オリゴマイクロアレイプレート上において行われる、請求項6に記載の方法。
  8. オリゴマイクロアレイプレート上のオリゴマーが、DNAおよび/またはPNAを含む、請求項7に記載の方法。
  9. プローブが、dsDNAである、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. プローブが、DNA/PNAハイブリッドである、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  11. 2種以上の標識物質、転写因子と結合したプローブのみを回収するための手段および標識物質を検出するための手段を含む、検体中の転写因子の活性化の程度を解析するためのキット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107365854A (zh) * 2017-08-16 2017-11-21 厦门智因互联科技有限公司 一种tp53基因snp位点多重实时荧光pcr检测引物、探针及其试剂盒

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