JP2004158325A - 有機elパネル - Google Patents

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Kazunori Sakai
一則 坂井
Hiroshi Okawa
洋 大川
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Abstract

【課題】表示パネルにおける発光領域の輝度ムラの発生を抑制することが可能な有機ELパネルを提供する。
【解決手段】有機ELパネル1は、透光性のガラス基板(支持基板)2と、ガラス基板3上の複数個所に所定形状にて形成される透明電極(第1電極)3と、透明電極3の一部分に重なるようにガラス基板2上に配設される絶縁層4と、各透明電極2上に形成される少なくとも発光層を有する有機層5と、共通電極として形成されガラス基板2に当接しない状態にて有機層5及び絶縁層4上に形成される背面電極(第2電極)6とを備えてなる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも発光層を有する有機層を少なくとも一方が透光性の一対の電極によって挟持した積層体を透光性の支持基板上に配設してなる有機EL(electro luminescence)パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機ELパネルとしては、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されるものがある。かかる有機ELパネルは、ガラス材料からなるガラス基板(透光性の支持基板)上に、ITO(indium tin oxide)等によって陽極となる透明電極(第1電極)と、正孔注入層,正孔輸送層,発光層及び電子輸送層からなる有機層と、陰極となるアルミニウム(Al)等の非透光性の背面電極(第2電極)とを順次積層して積層体である有機EL素子を形成し、この有機EL素子を覆うガラス材料からなる封止部材を前記ガラス基板上に紫外線硬化性接着剤を介して気密的に配設してなるものが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−8855号公報
【特許文献2】
特開2002−25769号公報
【0004】
このような有機ELパネルとしては、共通電極(コモン電極)となる単一の背面電極を備え、定電流を各発光領域毎に形成された透明電極(例えば、日の字型セグメントに対応した透明電極)に選択的に与える、所謂スタテック駆動方式を用いるものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような有機ELパネルにおける前記背面電極は、給電回路との接続を図るために前記ガラス基板の端部に形成される電極端子部(前記透明電極と同材料によって形成される端子)と電気的に接続するため、前記各透明電極と電気的に分断された状態にて前記ガラス基板上に引き出し形成される。このような背面電極の構成を有する有機ELパネルは、パネルサイズが大きくなるに従って前記背面電極における前記電極端子部及び前記ガラス基板との接触部も大きくなり、前記背面電極、特に前記接触部においては、高温時あるいは低温時において、前記ガラス基板及び前記電極端子部(主に前記ガラス基板)との熱膨張差により前記ガラス基板に対して変位することになるが、前記接触部が前記ガラス基板に対して固定されているため、前記背面電極における前記変位が前記有機層の発光領域に強制変位となって応力を発生させることになり、この応力によって特に高温環境下で前記発光領域の輝度ムラの原因となるといった問題点を有していた。
【0006】
そこで、本発明は、前述した問題点に着目し、表示パネルにおける発光領域の輝度ムラの発生を抑制することが可能な有機ELパネルを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、請求項1に記載の有機ELパネルにおいて、透光性の支持基板と、前記支持基板上の複数個所に所定形状にて形成される透光性の第1電極と、前記第1電極の一部分に重なるように前記支持基板上に配設される絶縁層と、前記各第1電極上に形成される少なくとも発光層を有する有機層と、共通電極として形成され前記支持基板に当接しない状態にて前記有機層及び絶縁層上に形成される第2電極と、を備えてなるものである。
【0008】
また、請求項2に記載の有機ELパネルにおいて、前記支持基板上に形成される電極端子部と、前記絶縁層に形成され前記電極端子部に達するコンタクトホールとを備え、前記第2電極は前記コンタクトホールを介して前記電極端子部と電気的に接触してなるものである。
【0009】
また、請求項3に記載の有機ELパネルにおいて、前記支持基板の少なくとも一辺に、前記各第1電極へ駆動電流もしくは駆動電圧を選択的に供給可能とする前記電極端子部と電気的に分断された他の電極端子部を列状に配設し、前記他の電極端子部に倣う状態にて前記電極端子部を配設してなるものである。
【0010】
また、請求項4に記載の有機ELパネルにおいて、前記絶縁層は、前記電極端子部の配設位置に対応する個所に前記コンタクトホールを形成してなるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づき説明する。
【0012】
図1から図3を用いて本発明の実施の形態について説明する。有機ELパネル1は、ガラス基板(支持基板)2と、透明電極(第1電極)3と、絶縁層4と、有機層5と、背面電極(第2電極)6と、封止部材7とから主に構成されている。
【0013】
ガラス基板2は、長方形形状からなる透光性の支持基板である。
【0014】
透明電極3は、ガラス基板2上にITO等の導電性材料を蒸着法やスパッタリング法等の手段によって形成されるもので、日の字型の表示セグメント部3aと、個々の表示セグメント部3aからそれぞれ引き出し形成されたリード部3bと、リード部3bの終端部に設けられる電極端子部(他の電極端子部)3cとを備えており、表示セグメント部3a単位毎に図示しない給電回路からの定電流を選択的に与えることが可能な構造を得ている。尚、電極端子部3cは、ガラス基板2の一辺に集中的に配設されるように各表示セグメント部3aからそれぞれのリード部3bが引き出し形成される。
【0015】
絶縁層4は、例えばポリイミド系やフェノール系等の絶縁材料からなり、例えばフォトリソグラフィー法等の手段によって形成される。絶縁層4は、表示セグメント部3aに対応した窓部4aを有し、発光領域の輪郭を鮮明に表示するため、透明電極3の表示セグメント部3aの周縁部と若干重なるように窓部4aが形成され、また、透明電極3と背面電極6との絶縁を確保するためにリード部3b上を覆うように形成される。また絶縁層4は、背面電極6を後述する電極端子部(背面電極6への給電用)を電気的に接触させるためのコンタクトホール4bが、略長方形形状の絶縁層の少なくとも一つの角部の近傍に位置し、各表示セグメント部3aに対応する列状に配設される各電極端子部3cに倣う状態にて形成される背面電極6の後述する電極端子部の形成位置に対応するように形成される。尚、コンタクトホール4bは、例えば0.8mm×1.0mmの矩形形状の孔部からなるものである。
【0016】
有機層5は、少なくとも発光層を有するものであれば良いが、本発明の実施の形態においては正孔注入層,正孔輸送層,発光層及び電子輸送層を蒸着法等の手段によって順次積層形成してなるものであり、各表示セグメント部4aにより構成される日の字型セグメントに対応するように2分割された四角形状にて形成されている。
【0017】
背面電極6は、アルミ(Al)やアルミリチウム(Al:Li),マグネシウム銀(Mg:Ag)等の金属性の導電性材料を蒸着法やスパッタリング法等の手段によって、150nm以下の膜厚で有機層6上に形成してなるもので、長方形形状をなす単一の金属電極であり、有機層5における発光部(表示セグメント部3a)の共通電極となる。
【0018】
背面電極6は、図3に示すように、透明電極3の各電極端子部3cに隣接するようにガラス基板2の一辺に設けられる陰極用の電極端子部6aと絶縁層4に形成されるコンタクトホール4bを介して電気的に接触する。尚、電極端子部6aは、前述の電極端子部3cと同等の材料によって形成されている。また背面電極6は、ガラス基板2に当接しない状態にて有機層5及び絶縁層4上に形成される。
【0019】
以上のように、ガラス基板2上に透明電極3と絶縁層4と有機層5と背面電極6とを順次積層し積層体を形成することで有機EL素子8が得られる。
【0020】
封止部材7は、例えばガラス材料からなる平板部材に収納部である凹部7aを形成してなるものである。封止部材7は、凹部7aを取り囲むように形成される支持部7bを、例えば紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤9を介しガラス基板2上に気密的に配設することで、封止部材7とガラス基板2とで有機EL素子8を収納する気密空間10を構成する。封止部材7は、透明電極3の電極端子部3c及び背面電極6の電極端子部6aが外部に露出するようにガラス基板2よりも若干小さ目に構成されている。
【0021】
以上の各部によって有機ELパネル1が構成される。前述した実施の形態の有機ELパネル1において特徴となる点は、共通電極となる背面電極6をガラス基板2に当接させない状態にて有機層5及び絶縁層4上に配設する点にある。従って、有機ELパネル1は、背面電極6がガラス基板2に対して浮遊している状態となり、背面電極6に熱膨張が生じたばあいであってもガラス基板2に対して変位することが可能となるため、従来のように変位によって生じる応力を緩和することが可能となることから、有機層5の発光領域である表示セグメント部3cにおいて輝度ムラの発生を抑制することができる。従って、特に高温環境下での前記発光領域における輝度ムラの発生を抑制することが可能となることから、過酷な環境下で用いられる車両用表示装置の表示パネルとしても使用可能となる。
【0022】
また、背面電極6は、絶縁層4に形成されるコンタクトホール4bを介して電極端子部6bと接触することから、背面電極6をガラス基板2に当接させない状態でも給電回路(図示しない)との接続を可能とする。
【0023】
また、絶縁層4の角部の近傍、即ち列状に形成される各電極端子部3cに倣うように設けられる背面電極6の電極端子部6aの配設位置に対応する絶縁層4の所定位置に、コンタクトホール4bを形成することで、背面電極6の電極端子部6aの形状を最小限にすることが可能であることから、電極端子部6aにおける配線抵抗を小さく保つことができる。
【0024】
尚、前述した実施の形態では、絶縁層4のコンタクトホール4bの形成個所は一個所であったが、本発明におけるコンタクトホールにあっては、背面電極6への給電個所に対応して形成される電極端子部6aに合わせて形成されるものであっても良い。
【0025】
また、前述した実施の形態では、背面電極6がコンタクトホール4bを介してITOからなる電極端子部6aと接触するものであったが、本発明における第2電極である背面電極と電気的に接触する電極端子部にあっては、ITO,フッ化リチウム(LiF)及びアルミの積層構造を持つ電極端子部であったり、あるいはITO,クロム(Cr)及びアルミの積層構造を持つ電極端子部であっても良い。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、少なくとも発光層を有する有機層を一方が透光性の一対の電極によって挟持した積層体を透光性の支持基板上に配設してなる有機ELパネルに関し、表示パネルにおける発光領域の輝度ムラの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の有機ELパネルを示す斜視図。
【図2】同上実施の形態の有機ELパネルの平面図。
【図3】同上実施の形態の有機ELパネルの要部断面図。
【符号の説明】
1 有機ELパネル
2 ガラス基板(支持部材)
3 透明電極(第1電極)
4 絶縁層
4a コンタクトホール
3a 表示セグメント部
3c 電極端子部(他の電極端子部)
5 有機層
6 背面電極(第2電極)
6a 電極端子部
8 有機EL素子

Claims (4)

  1. 透光性の支持基板と、前記支持基板上の複数個所に所定形状にて形成される透光性の第1電極と、前記第1電極の一部分に重なるように前記支持基板上に配設される絶縁層と、前記各第1電極上に形成される少なくとも発光層を有する有機層と、共通電極として形成され前記支持基板に当接しない状態にて前記有機層及び絶縁層上に形成される第2電極と、を備えてなることを特徴とする有機ELパネル。
  2. 前記支持基板上に形成される電極端子部と、前記絶縁層に形成され前記電極端子部に達するコンタクトホールとを備え、前記第2電極は前記コンタクトホールを介して前記電極端子部と電気的に接触してなることを特徴とする請求項1に記載の有機ELパネル。
  3. 前記支持基板の少なくとも一辺に、前記各第1電極へ駆動電流もしくは駆動電圧を選択的に供給可能とする前記電極端子部と電気的に分断された他の電極端子部を列状に配設し、前記他の電極端子部に倣う状態にて前記電極端子部を配設してなることを特徴とする請求項2に記載の有機ELパネル。
  4. 前記絶縁層は、前記電極端子部の配設位置に対応する個所に前記コンタクトホールを形成してなることを特徴とする請求項2もしくは請求項3に記載の有機ELパネル。
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