本発明の実施の一形態について図面に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
まず最初に、本実施形態に係る画像出力システムの概要について説明する。本画像出力システムは、デジタル画像出力装置としてのプリンタと、パーソナルコンピュータ(以降、PCと略称する)とを備えた画像出力システムとして構成されている。これらのプリンタ−PC間でやりとりされる動作データには、少なくともプリントジョブのためのプリントデータが含まれている。この動作データは、PCによって生成されるとともに、この動作データに基づいて、上記プリンタが動作する。さらに、本実施形態においては、ある一定のデータを記憶可能とする携帯電話が利用されるシステムとなっている。この携帯電話に記憶されるデータとしては、詳細は後述するが、プリントデータを識別するための識別データなどが挙げられる。
上記プリンタは、該プリンタ近傍に位置する携帯電話から、該携帯電話に記憶されている識別データを読み取ることが可能となっている。この読み取りは、無線などの非接触手段によって行われる。また、PCは、プリントデータとともに識別データを生成した上で、少なくとも該識別データを携帯電話に記憶させるようになっている。
上記のような画像出力システムにおいて、プリントデータをPCからプリンタに送信する手法として、ネットワーク介在手法と、携帯電話介在手法とが挙げられる。ネットワーク介在手法は、プリントデータを、識別データとともにネットワークを介してプリンタに送信する手法である。また、携帯電話介在手法は、プリントデータを、識別データとともに携帯電話に記憶させ、この携帯電話を介してプリンタに送信する手法である。これらの各手法については、以下に詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像出力システム(電子機器制御システム)の概略を示す説明図である。同図に示すように、該画像出力システムは、携帯電話(携帯型データ記憶手段)1、PC(パーソナルコンピュータ)2、およびプリンタ(画像出力装置)3を有したシステムとなっている。また、PC2とプリンタ3とは、例えばLANなどで構成されるコンピュータネットワーク4(以降、ネットワーク4と称する)を介して接続されている。
携帯電話1は、表示部5、通信部6、CPU(Central Processing Unit)7、ICカード8、メモリ9、およびデータ送受信部10を備えている。本携帯電話1は、基本的には、現在市販されているPDC(日本仕様のパーソナル・デジタル・セルラーフォン)とほぼ同様の構成となっているが、データ送受信部10が追加されているとともに、このデータ送受信部10の動作に関連して、CPU7、ICカード8、およびメモリ9における処理内容が変更されている。
表示部5は、例えばダイヤルしている番号や、着信先の電話番号、また、メール機能やインターネット機能などを有している場合には、これらの内容を表示する表示手段であり、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や、EL(Electroluminescence)パネルなどによって構成されるものである。また、この表示部6では、その他、携帯電話1の各種処理動作に伴う表示が行われる。
通信部6は、通常の携帯電話における通信動作、すなわち、通話信号やデータ信号の送受信を行うブロックであり、例えば、アンテナ部、RF(Radio Frequency)部、ベースバンド部、通信制御部などによって構成されている。
CPU7は、携帯電話1において行われる各種処理に伴う演算を行う中枢部である。また、ICカード8は、例えばASIC(Application Specify Integrated Circuit)などによって構成されるものであり、例えばDSP(Digital Signal Processor)、ROM(Read Only Memory)/RAM(Random Access Memory)、PLL(Phase Locked Loop)&CLK(Clock)、LCDコントローラ、システムタイマー、外部モデムI/F、およびGPIOI/Fなどの構成を含んでいる。
メモリ9は、データ送受信部10によって受信される各種データ(詳細は後述する)を一時記憶するメモリ手段であり、例えば、RAMやEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)などによって構成される。
データ送受信部10は、PC2およびプリンタ3と無線によりデータの送受信を行うブロックである。このデータの送受信の方式としては、例えばBluetoothやIrDAなどの方式が挙げられるが、無線通信を行うことができる方式であればどのような通信方式を用いてもよい。また、データ送受信部10を別に設けることなしに、PC2およびプリンタ3との通信を、通常の携帯電話における通信を行う上記通信部6による通信によって行う構成としても構わない。
PC2は、一般的に広く用いられているパーソナルコンピュータによって構成されており、PC本体、CRT(Cathode Ray Tube)やLCDなどのモニター手段、キーボードやマウスなどの入力手段を備えている。PC2の通信機能としては、LANなどのネットワーク4に接続できるように、イーサネット(登録商標)接続用のインターフェース(例えばPCIバス対応のLANカードなど)を備えているとともに、上記携帯電話1とのデータ通信を行うためのデータ送受信部11を備えている。このデータ送受信部11における通信方式としては、携帯電話1におけるデータ送受信部10の通信方式に準拠することになる。
また、このPC2は、例えば文書作成ソフトや、画像編集ソフトなどのソフトウェアがインストールされており、これらのソフトによって、各種文書や画像を作成することが可能となっている。また、これらのソフトは、プリントアウト機能も有しており、指定の文書や画像をプリントアウトすることが可能となっている。ここで、プリントアウトを行うプリンタは、PC2上で動作するOS(Operating System)において登録されているプリンタが用いられることになる。このOSに登録されているプリンタは、該PC2に直接接続されているプリンタでもよいし、ネットワーク4を介して接続されているプリンタでも構わない。
また、このPC2は、ハードディスクを備えており、各種プログラムデータや、文書や画像などのデータが記憶されている。さらに、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、MOドライブ、CD−Rドライブなどを備えていてもよく、これらの記録媒体に各種データを保存したり、読み出しを行ったりしても構わない。
プリンタ3は、プリントエンジン部12、制御部13、プリントデータセレクタ14、メモリ15、ネットワークI/F16、およびデータ送受信部17を備えている。このプリンタ3は、基本的には、現在広く用いられているネットワーク対応プリンタと同様の構成となっており、異なる点としては、携帯電話1とのデータ通信を行うためのデータ送受信部17を備えている点である。
ネットワーク4からネットワークI/F16を介して入力されたプリントジョブとしてのプリントデータは、プリントデータセレクタ14を介してメモリ15に格納される。そして、実際にプリントアウトが行われる際には、プリントデータセレクタ14によって、メモリ15から該当データが取り出され、制御部13による制御のもとに、プリントエンジン部12によってプリントが行われる。また、データ送受信部11における通信方式としては、携帯電話1におけるデータ送受信部10の通信方式に準拠することになる。
なお、プリントエンジン部12によるプリントの方式としては、特に限定するものではなく、レーザプリント方式、インクジェット方式、熱転写方式など、任意のプリント方式を利用してかまわない。
次に、上記のような構成の画像出力システムにおける具体的な動作について説明する。まず、上記画像出力システムにおいて、PC2からプリンタ3に対してプリントジョブの実行が指示されると、図2に示すように、PC2側のデータ送受信部11から、ユーザが保持している携帯電話1側のデータ送受信部10に向けて、無線通信によって識別データが送信される。そして、PC2から携帯電話1に送信された識別データは、携帯電話1のメモリ9に記憶される。また、PC2からプリンタ3に対してプリントジョブの実行が指示されると、PC2からプリンタ3に対して、該当プリントジョブに対応するプリントデータと、該プリントデータに対応する識別データとが送信され、プリンタ3のメモリ15に格納される。なお、図2中において、プリント3の内部に示したPDは、プリントジョブに対応するプリントデータを示している。
この識別データに含まれるデータとしては、プリントデータを的確に識別できるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、該当プリントデータが作成された時間、プリントジョブの優先度、該当プリントデータが作成されたPCの名前(ID)などが挙げられる。なお、この識別データは、規格化しておくことが好ましい。これは、規格化することによって、常に所定のデータサイズの識別データが生成されて送受信されることになるので、携帯電話1に蓄積可能な識別データの数などを把握することが可能となるからである。また、識別データのデータ量はあまり大きくないことが好ましい。これは、携帯電話1のメモリ9に必要とされる記憶容量を必要以上に大きくしないことにより、携帯電話1自体のコストの上昇、および携帯電話1のサイズや重量の上昇を抑制するためである。
上記識別データを記憶した携帯電話1を保持した状態で、ユーザがプリンタ3近傍に移動すると、図3に示すように、自動的に携帯電話1からプリンタ3に対して識別データが送信される。この識別データの送受信は、携帯電話1におけるデータ送受信部10と、プリンタ3におけるデータ送受信部17との間で行われる。
プリンタ3では、プリントデータセレクタ14によって、データ送受信部17において受信した識別データと、プリンタ3におけるメモリ15に蓄積(記憶)して管理しているプリントデータに付随している識別データとを照合して、どのプリントジョブを指示したユーザが接近したのかが判定される。
この際に、接近したユーザによって生成され、プリントジョブとしてプリンタ3が受信したプリントデータが、プリンタ3内に複数記憶されている場合には、たとえば各プリントデータの生成時間やプリントジョブの優先度などに基づいて、最も先に生成されたプリントデータや優先度の高いプリントデータなどが選択され、該プリントデータに基づいてプリントジョブが実行されることになる。したがって、ユーザがプリンタ3に近づいたときのみ、該当ユーザが指示したプリントジョブが行われることになるので、ネットワーク4を介してのプリンタ3の動作をより一層効率よく制御することができる。
また、上記プリンタ3には、図示はしないが、液晶パネルなどの表示部が備えられており、プリンタ3における制御部13が、ユーザが接近した状態であると認知し、かつ、該ユーザが送信したプリントデータがメモリ15に複数記憶されていると判断した場合には、該ユーザのプリントジョブがどれだけ蓄積されているかを表示部に表示する構成としてもよい。これによって、プリントジョブの自動的な実施はなされないが、ユーザがその時点で必要としているプリントジョブを選択することが可能となる。
さらに、詳細は後述するが、上記プリントデータ毎に生成される識別データだけでなく、たとえば、PC2を利用するユーザ個別に設定されているユーザ識別データや、携帯電話毎に設定されている携帯電話識別データなどが含まれていてもよい。これによって、個人の認証とプリントデータの認証とをそれぞれより確実に実施することができる。
さらに上記した例では、携帯電話1からプリンタ3に対して識別データが送信されるとともに、プリンタ3における表示部に、プリンタ3に蓄積されている該ユーザのプリントジョブが表示される構成となっているが、これに限定するものではない。たとえばプリンタ3に十分な表示能力を有する表示部が設けられていない一方、携帯電話1に十分な表示能力を有する表示部が設けられているような場合には、プリンタ3から携帯電話1に対して、プリンタ3に蓄積されているプリントジョブの識別データを送信して、携帯電話1の表示部5に該ユーザのプリントジョブを表示させるとともに、携帯電話1を利用して、希望するプリントデータのプリントジョブを選択するような構成とすることも可能である。
次に、図2および図3に示す画像出力システムとは異なる形態について説明する。この画像出力システムは、図4に示すように、プリンタ3とPC2とがネットワーク4を介して接続されており、PC2で生成されたプリントデータは、ネットワーク4を介してプリンタ3に出力されるようになっている点に関しては、図2および図3に示した形態と同様である。特有の構成としては、プリンタ3が複数設けられているとともに、各プリンタ3には、ハードディスクなどのプリントデータを記憶するメモリ15が備えられておらず、代わりに、PC2とプリンタ3…との間に、プリントデータを記憶するためのプリントサーバ(動作データ管理手段)21が設けられている点である。このプリントサーバ21は、プリントデータ、およびこれに付随する識別データを一旦記憶することが可能となっており、PC2で生成されたプリントデータをプリンタ3へ出力するデータ出力プロセスを管理するプリントデータ管理手段として機能する。
このように、本実施形態では、プリントサーバ21において一旦プリントデータが記憶されることになる。そして、図5に示すように、複数あるプリンタ3…のうち、特定のプリンタ3に特定のユーザが接近することによって、該プリンタ3がユーザが所有する携帯電話1から識別データを受信すると、その旨が、該プリンタ3からプリントサーバ21に伝えられ、プリントサーバ21は、該プリンタ3に向けて、該当するプリントデータの送信を行う。その結果、プリンタ3にプリントデータを記憶するためのメモリを設ける必要がなくなるとともに、複数のプリンタ3…を、プリントサーバ21によって一括して管理制御することが可能となる。よって、各プリンタ3に対する負担が軽減されるので、各プリンタ3に要求される機能レベルが低くなり、各プリンタ3のコストを低減することができる。
このように、本実施形態における画像出力システムは、ネットワーク4に接続されるプリンタ3およびPC2の少なくとも一方が複数となっている場合に効果を発揮することになる。すなわち、このようにプリンタ3およびPC2の少なくとも一方が複数となっている場合には、通常ではプリンタ3の動作制御が煩雑になるが、本実施形態では、プリンタ3が携帯電話1から識別データを読み取るとともに、この識別データをプリントサーバ21に伝送し、実際のプリントジョブの制御はプリントサーバ21によって行われるので、複雑なネットワーク4でも確実に各プリンタ3の動作を制御することができる。
ここで、本実施形態においては、図4および図5に示すように、少なくともプリンタ3が複数ネットワーク4に接続されている構成となっているが、これらプリンタ3…は、全て同じ機能のものではなく、それぞれ固有の機能を有するプリンタであってもよい。
たとえば、図4および図5における最も上に示したプリンタ3は、オプションとしてスキャナを備えており、さらにオプションとして給紙カセットも複数備えているフル装備のプリンタを示している。次に、その下(上から2番目)に示すプリンタ3は、スキャナは備えられていないが、複数の給紙カセットが備えられている構成となっている。さらにその下(上から3番目)に示すプリンタ3は、スキャナも備えられていない上に、給紙カセットも一つのみ備えた標準タイプのプリンタである。これら3つのプリンタ3は全てプリントエンジン部分は同型のモノクロプリンタであるとする。そして一番下(上から4番目)に示すプリンタ3は、カラー画像形成が可能であるとともに高速画像形成も可能であるプリンタを示している。
たとえば、ユーザがPC2でカラーのプリントデータを生成してプリントサーバ21に出力した場合には、上から3つのプリンタ3では、ユーザが希望するカラーのプリントジョブが実施できないことになる。そこで、上記プリンタ3に液晶パネルなどの表示部を備えておくとともに、プリントサーバ21は、プリントデータの内容を確認した上で、該プリントデータに基づくプリントジョブに必要な選択機能(この場合、カラープリント)と、該当するプリンタ3が備えている機能とが合致しているか否かを判定し、この判定結果を該プリンタ3の表示部に表示させる。これによって、ユーザは、所望とするプリントジョブが、目の前のプリンタ3によって的確にプリントすることができるか否かを正確に把握することが可能となり、プリンタ3の動作制御をより一層確実なものとすることができる。
例えば、ユーザが所望とするプリントジョブがカラープリントである場合に、該ユーザがプリントを行おうとして近づいていったプリンタ3がモノクロプリンタであれば、該プリンタ3の表示部に、カラープリントが行えない旨の表示がなされることになる。また、ここで、ユーザが所望とするプリントジョブを的確に行うことができるプリンタ3を提示する内容を表示部に表示するように設定されていてもよい。これにより、ユーザは、所望とするプリントジョブを行うことができるプリンタ3を的確に把握することができる。
プリンタ3の選択機能としては、特に限定されるものではなく、上記のように、カラープリント機能、高速プリント機能、振り分け機能などが挙げられる。また、プリンタ3が複合機である場合には、FAX機能などが挙げられる。さらに、ステープラーや製本装置などの後処理に関する機能なども挙げられる。
なお、上記では、プリンタ3の選択機能とプリントジョブ実行に必要な機能との対応の判定を、プリントサーバ21が行う構成について説明したが、これに限定されるものではなく、この判定をプリンタ3において行ってもよい。すなわち、ユーザが特定のプリンタ3に近づいたことによってプリントジョブが該プリンタ3に送信された際に、上記の判定をプリンタ3内の制御部13によって行う構成としても構わない。
ここで、プリンタ3の選択機能とプリントジョブ実行に必要な機能とが対応しているか否かを判定する制御を含んだプリント処理の流れについて、図6(a)および(b)に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、ここでの説明では、上記の判定に関する制御をプリンタ3側で行う構成についてのものとなっており、プリントサーバ21を介さずに、直接PC2からプリンタ3にプリントジョブが送信される構成に関する説明となっている。
まず、PC2における処理について図6(a)に示すフローチャートに基づいて説明する。ステップ1(以降、S1のように称する)において、ユーザがプリントジョブをPC2に対して指示すると、プリント指示情報が携帯電話1へ送信され、該内容が携帯電話1に記憶される(S2)。また、これと同時に、プリントジョブにおけるプリントデータおよび識別データがプリンタ3に向けて送信される(S3)。以上で、PC2における処理は終了する。
次に、プリンタ3における処理について図6(b)に示すフローチャートに基づいて説明する。S11において、該プリンタ3に携帯電話1を保持しているユーザが近づいてくると、携帯電話1のデータ送受信部10と、プリンタ3のデータ送受信部17との間で通信が行われることにより、プリンタ3が携帯電話1を認識して所定のユーザが接近していることを確認する。そして、プリンタ3に蓄積されているプリントデータおよび識別データを検索して(S12)、接近しているユーザが送信したプリントジョブがあるか否かを確認する(S13)。S13において、プリンタ3内にプリントジョブが格納されていないと判断された場合(S13においてNO)、プリントジョブがない旨をプリンタ3の表示部に表示し(S14)、処理を終了する。
一方、プリンタ3内にプリントジョブが格納されていると判断された場合(S13においてYES)、該プリンタ3が有する選択機能と、該プリントジョブを実行する上で必要とされる機能とが合致しているか、すなわちプリンタ3が該プリントジョブの出力に適しているか否かが、プリンタ3の制御部13において判定される(S15)。適していると判断された場合(S15においてYES)、該プリンタ3においてプリントジョブが出力処理され(S16)、処理が終了する。
S15においてNO、すなわちプリンタ3が該プリントジョブの出力に適していないと判断された場合には、プリンタ3の表示部に、該プリンタ3がプリントジョブに適していない旨が表示される(S17)。その後、プリンタ3がプリントジョブに適していないことがユーザによって確認された状態で、それでも出力を行うか否かが判定される(S18)。ここで、ユーザによって出力が指示された場合(S18においてYES)には、S16に進んでプリントジョブの出力処理が行われる。一方、ユーザによって出力がキャンセルされた場合(S18においてNO)には、処理を終了する。
なお、S17において、プリンタ3がプリントジョブに適していない旨を表示部に表示する際に、上記したように、該当プリントジョブに適したプリンタ3に関する情報を同時に表示するようになっていてもよい。また、図6(b)のフローチャートにおいては、プリンタ3において、該プリンタ3の選択機能とプリントジョブ実行に必要な機能とが対応しているか否かが判定されていたが、図4および図5に示す構成のように、プリントサーバ21が設けられている構成の場合には、この判定処理を、プリントサーバ21において行っても構わない。
上記では、プリントデータが作成された時間、プリントジョブの優先度、該当プリントデータが作成されたPCの名前(ID)などを含んだ識別データが、プリントジョブの実行の管理データとして使われる例を示したが、さらに次のような内容のユーザ管理識別データを用いることによって、ユーザによるプリンタ3の使用を制限する構成とすることも可能である。このユーザ管理識別データとしては、PC2が設置されている企業内の部署についての部署識別データ、PC2を利用するユーザ個別に設けられているユーザ識別データ、該識別データを記憶する携帯電話1に設定されている携帯電話識別データなどが挙げられる。
たとえば、図4および図5において複数接続されているプリンタ3は、それぞれ企業内で違う部署に設置されている場合がある。近年、企業では社内分社制度などが広く実施されており、各部署毎で独立採算するような例も多い。このような企業においては、プリンタ3の動作管理や保守管理なども各部署毎で実施される場合がある。
そこで、携帯電話1に所定の部署に所属することを示す部署識別データを予め登録しておけば、部署Aのユーザが、部署Bに設置されているプリンタ3を使用することを制限することができる。また、部署別ではなく、個人別に使用を制限するように、プリンタ3がユーザ識別データを認識し、使用を制限するようにすることも可能である。この場合には、ユーザ識別データを携帯電話1に登録しておき、プリント指示時の識別データの送受信の際に、該ユーザ識別データをプリンタ3に送信する構成とすればよい。さらに、携帯電話1そのものの固有データを携帯電話識別データとして登録しておいて、この携帯電話識別データをプリンタ3の動作の制限に利用する構成としてもよい。
ここで、識別データは、プリントデータとともにPC2において生成されるが、ユーザ管理識別データとしての部署識別データ、ユーザ識別データ、および携帯電話識別データは、プリントデータの生成とは別に生成され、予め別途携帯電話に登録されるようになっていることが好ましい。つまり、部署識別データ、ユーザ識別データ、および携帯電話識別データは、プリントデータとともに生成する必要はなく、またプリントデータに関係なくプリンタ3の動作制御に利用することができるので、これら各データを予め別途携帯電話に登録しておくことで、電子機器の動作制御をより効率化することができる。
以上のようなユーザ管理識別データを用いてプリンタ3の動作を制限する制御について、図7のフローチャートに基づいて説明する。まず、PC2における処理は、前記した図6(a)に示すフローチャートの説明と同様の処理となる。すなわち、ユーザがプリントジョブをPC2に対して指示すると、プリント指示情報が携帯電話1へ送信され、該内容が携帯電話1に記憶されると同時に、プリントジョブにおけるプリントデータおよび識別データがプリンタ3に向けて送信される。
次に、プリンタ3における処理について説明する。まず、S21において、該プリンタ3に携帯電話1を保持しているユーザが近づいてくると、携帯電話1のデータ送受信部10と、プリンタ3のデータ送受信部17との間で通信が行われることにより、プリンタ3が携帯電話1を認識して所定のユーザが接近していることを確認する。
その後、携帯電話1から、部署識別データ、ユーザ識別データ、および携帯電話識別データの少なくとも1つのユーザ管理識別データをプリンタ3が受信する(S22)。そして、該プリンタ3で、そのユーザの希望するプリントジョブが許可されているか、それとも制限されているかが判定される(S23)。
ここで、例えば図8に示すような出力許可コードリストをプリンタ3内に記憶しておき、受信したユーザ管理識別データが、この出力許可コードリストに含まれているか否かによって、該当するユーザが出力許可されているか否かが判定される。
S23において、該当ユーザが出力許可されている、すなわち処理がOKとなっていれば(S23においてYES)、以降のS24からの処理を行う。一方、処理がOKでなければ(S23においてNO)、このプリンタ3からは出力できない旨を表示部に表示させ(S25)て、処理を終了する。
処理がOKであれば、S24において、プリンタ3に蓄積されているプリントデータおよび識別データを検索して、接近しているユーザが送信したプリントジョブがあるか否かを確認する(S25)。S25において、プリンタ3内にプリントジョブが格納されていないと判断された場合(S25においてNO)、プリントジョブがない旨をプリンタ3の表示部に表示し(S26)、処理を終了する。
一方、プリンタ3内にプリントジョブが格納されていると判断された場合(S25においてYES)、該プリンタ3が有する選択機能と、該プリントジョブを実行する上で必要とされる機能とが合致しているか、すなわちプリンタ3が該プリントジョブの出力に適しているか否かが、プリンタ3の制御部13において判定される(S27)。適していると判断された場合(S27においてYES)、該プリンタ3においてプリントジョブが出力処理され(S28)、処理が終了する。
S27においてNO、すなわちプリンタ3が該プリントジョブの出力に適していないと判断された場合には、プリンタ3の表示部に、該プリンタ3がプリントジョブに適していない旨が表示される(S29)。その後、プリンタ3がプリントジョブに適していないことがユーザによって確認された状態で、それでも出力を行うか否かが判定される(S30)。ここで、ユーザによって出力が指示された場合(S30においてYES)には、S28に進んでプリントジョブの出力処理が行われる。一方、ユーザによって出力がキャンセルされた場合(S30においてNO)には、処理を終了する。
なお、S29において、プリンタ3がプリントジョブに適していない旨を表示部に表示する際に、上記したように、該当プリントジョブに適したプリンタ3に関する情報を同時に表示するようになっていてもよい。また、図7のフローチャートにおいては、プリンタ3において、ユーザの処理制限の判定、および、該プリンタ3の選択機能とプリントジョブ実行に必要な機能とが対応しているか否かの判定が行われていたが、図4および図5に示す構成のように、プリントサーバ21が設けられている構成の場合には、これらの判定処理を、プリントサーバ21において行っても構わない。
このように、上記の構成によれば、ユーザ管理識別データに基づいてプリンタ3の動作が制限されることになるので、ある特定のユーザに対して、ある特定のプリンタ3のみでしか動作が実行できないようにしたり、逆に、ある特定のプリンタ3だけで動作が実行できないようにすることができる。したがって、たとえばPC2とプリンタ3とがネットワーク4に接続されている場合に、特定のユーザに対して特定の部署のプリンタ3のみで動作が許可されるようにすることができる。
さらに、本画像出力システムは、たとえばコンビニエンスストアなどで展開されているコピーサービスのような課金システムに対しても適用することが可能である。たとえば、コンビニエンスストアなどの複写機を設置している店舗において、店員は、課金することなしに複写機を利用することができるように設定する一方、一般の客は、課金を行わないと複写機を利用できないように設定することができる。
このような課金システムに適用した場合の制御について、図9のフローチャートに基づいて説明する。まず、PC2における処理は、前記した図6(a)に示すフローチャートの説明と同様の処理となる。すなわち、ユーザがプリントジョブをPC2に対して指示すると、プリント指示情報が携帯電話1へ送信され、該内容が携帯電話1に記憶されると同時に、プリントジョブにおけるプリントデータおよび識別データがプリンタ3に向けて送信される。
次に、プリンタ3における処理について説明する。まず、S31において、該プリンタ3に携帯電話1を保持しているユーザが近づいてくると、携帯電話1のデータ送受信部10と、プリンタ3のデータ送受信部17との間で通信が行われることにより、プリンタ3が携帯電話1を認識して所定のユーザが接近していることを確認する。
そして、S32において、プリンタ3に蓄積されているプリントデータおよび識別データを検索して、接近しているユーザが送信したプリントジョブがあるか否かを確認する(S33)。S33において、プリンタ3内にプリントジョブが格納されていないと判断された場合(S33においてNO)、プリントジョブがない旨をプリンタ3の表示部に表示し(S34)、処理を終了する。
一方、プリンタ3内にプリントジョブが格納されていると判断された場合(S33においてYES)、該プリンタ3が有する選択機能と、該プリントジョブを実行する上で必要とされる機能とが合致しているか、すなわちプリンタ3が該プリントジョブの出力に適しているか否かが、プリンタ3の制御部13において判定される(S35)。適していると判断された場合(S35においてYES)、以降のS36からの処理が行われる。
S35においてNO、すなわちプリンタ3が該プリントジョブの出力に適していないと判断された場合には、プリンタ3の表示部に、該プリンタ3がプリントジョブに適していない旨が表示される(S37)。その後、プリンタ3がプリントジョブに適していないことがユーザによって確認された状態で、それでも出力を行うか否かが判定される(S38)。ここで、ユーザによって出力が指示された場合(S38においてYES)には、S36からの処理が行われる。一方、ユーザによって出力がキャンセルされた場合(S38においてNO)には、処理を終了する。
一方、S35においてYES、およびS38においてYESと判断されると、プリンタ3に接近しているユーザに対して課金すべきか否かが判定される(S36)。ここでの判定は、図7に示すフローチャートにおいて、S22およびS23における処理と同等の処理を行うことによって判定されることになる。すなわち、例えば店員などの課金対象とならないユーザに対しては、課金対象とならないユーザ管理識別データを発信する携帯電話1を保持させておくことによって、店員と一般の客とを区別することが可能となる。
S36において課金すべきであると判定された場合には(S36においてYES)、課金処理を実施して、課金処理が終了したかを判定した上で(S39)、プリントジョブを実行する。一方、課金する必要がなければ(S36においてNO)、下記処理を実施せずにプリントジョブの出力処理を行う(S40)。
なお、S37において、プリンタ3がプリントジョブに適していない旨を表示部に表示する際に、上記したように、該当プリントジョブに適したプリンタ3に関する情報を同時に表示するようになっていてもよい。また、図9のフローチャートにおいては、プリンタ3において、該プリンタ3の選択機能とプリントジョブ実行に必要な機能とが対応しているか否かの判定が行われていたが、図4および図5に示す構成のように、プリントサーバ21が設けられている構成の場合には、この判定処理を、プリントサーバ21において行っても構わない。
なお、上記で示した何れのフローチャートの例においては、原則として自由にプリントジョブを指示できるようになっているが、逆に、最初からある程度の制限を設けて、特定のユーザやプリントデータを識別した場合にのみ、制限を解除するような制御としてもよい。たとえば、図9に示すようなフローチャートのような課金制御を実施する制御においては、携帯電話1を確認したすぐ後に、該携帯電話1を保有するユーザに対して課金処理を解除すべきか否かを判定するような制御を行ってもよい。このような制御であれば、特に上述したコンビニエンスストアなどでのコピーサービスにおいて、まず最初に店員か一般の客であるか否かが判定されることになり、店員が利用する際には以降の様々な判定を省略するような処理の流れにすることも可能となる。
次に、図10に示すように、プリンタ3とPC2とがネットワーク4にて接続されていない構成の画像出力システムにおける出力処理について説明する。このような画像出力システムでは、PC2で生成されたプリントデータを一時的に携帯電話1に記憶(格納)した上で、該携帯電話1からプリンタ3に対してプリントデータを送信するようになっている。
このように、図10に示す構成においては、携帯電話1がプリントデータの搬送手段となっている。したがって、PC2においてプリントジョブの指示が行われた際には、PC2から携帯電話1に識別データが送信されるとともに、図11に示すように、携帯電話1に対してプリントデータPDも送信されることになる。
一方、プリンタ3側では、携帯電話1を保持したユーザが該プリンタ3に近づいた際に、携帯電話1とプリンタ3との間で通信が行われることにより、識別データとともに、図12に示すように、携帯電話1に記憶されているプリントデータPDが、携帯電話1からプリンタ3に向けて送信される。この際に、携帯電話1に予め登録されているユーザ管理識別データがプリンタ3に送信され、このユーザ管理識別データに基づいてプリントジョブの実施の制限が制御されるように設定されていてもよい。
図1に示すような構成では、プリントデータがPC2からネットワーク4を介してプリンタ3に送信され、該プリントデータに付随されている識別データと携帯電話1から読み取った識別データとが照会されるようになっていた。したがって、例えば、PC2から特定のプリンタ3に対してプリントデータを送信した後、ユーザが間違えて異なるプリンタ3に近づいていった場合には、勿論そのプリンタ3においては出力処理を行うことができないことになり、ユーザは改めてプリントデータを送信したプリンタ3を確認する、などの手間が発生することになる。
これに対して、図10に示す構成によれば、PC2から携帯電話1に、識別データとともにプリントデータが送信され、これらのデータが携帯電話1内に一時的に記憶される。つまり、携帯電話1がプリントデータまでも記憶することになるので、携帯電話1がデータ搬送手段として機能することになり、PC2とプリンタ3とを接続するネットワーク4を必要としないで、ネットワーク4に類似するシステム、すなわち、任意のPC2で作成したプリントジョブを任意のプリンタ3で出力することが可能となる。また、PC2とプリンタ3とがネットワーク4に接続されているシステムが構築されている環境であっても、携帯電話1でプリントデータを一時的に記憶することができるために、ネットワーク4に接続されていないプリンタ3に対しても識別データやプリントデータを出力して所定の動作の実行させることができる。よって、画像出力システムとしての汎用性をより一層向上することができる。
以上のように、本実施形態に係る画像出力システムは、携帯電話1がPC2で生成された識別データを一時記憶できる構成となっている。従来では、例えば、個人情報などの識別データが記録された磁気カードを、ユーザがそれぞれ所有するとともに、該磁気カードをプリンタに読み取らせることによって、該ユーザが指示したプリンタジョブを行うように、プリンタにおける動作制御がなされていた。すなわち、この場合には、プリンタが、ユーザの識別を行うことはできるが、どのプリンタジョブを行うべきかを判断することはできなかった。
これに対して、本画像出力システムによれば、上記のように、携帯電話1がPC2で生成された識別データを一時記憶できるとともに、ユーザが携帯電話1を保持した状態でプリンタ3に近づくと、この識別データがプリンタ3に送信されることになる。すなわち、従来のようにユーザの認識のみではなく、ユーザが指示した各プリントジョブをも認識した上で、プリント動作の制御が行われる。よって、プリンタ3の動作制御に関わるユーザの手間を大幅に削減することが可能となる。
また、上記構成では、ネットワーク介在手法や携帯電話介在手法の何れであっても、プリントデータ毎に識別データが生成され、少なくとも識別データは携帯電話1に記憶されることになる。したがって、所定の識別データを記憶している携帯電話1を有するユーザに対してのみ、該識別データに対応したプリントデータに基づいてプリントジョブが実施されることになるので、プリントジョブの制御をより一層確実なものとすることができる。
なお、上記の例では、携帯電話1を用いて各種データのやりとりを行う構成の例を挙げているが、PC2などで生成された識別データを少なくとも非接触で記憶可能になっていれば、携帯情報処理端末や、カード式情報記録媒体などであってもよい。これらは、何れもユーザが常時携帯できるとともに、本システムにおける用途向けの機能以外にも有益な機能を有しているので、本システムのためだけに別途携帯端末などを準備するというようなものではない。つまり、現状において広く用いられている携帯端末などを利用することになるので、上記のような画像出力システムの導入に要するコストや手間が比較的少なく、容易に実現することが可能である。
以上のように、本発明に係る電子機器制御システムは、動作データを生成するとともに、該動作データに対応した識別データを生成するデータ生成手段と、上記データ生成手段によって生成された上記動作データに基づいて処理を行う電子機器と、上記データ生成手段によって生成された上記識別データを受信するとともに、該識別データを記憶する識別データ記憶手段を備えた携帯型データ記憶手段とを備え、上記携帯型データ記憶手段が、上記電子機器に対して上記識別データ記憶手段に記憶されている上記識別データを送信するとともに、上記電子機器が、上記携帯型データ記憶手段から上記識別データを受信した際に、該識別データに対応する動作データに基づいて処理を行うことを特徴としている。
上記の構成によれば、まず、データ生成手段によって生成された識別データが、携帯型データ記憶手段に送信され、識別データ記憶手段に記憶される。そして、この記憶された識別データが携帯型データ記憶手段から電子機器に送信された時点で、電子機器が、該識別データに対応する動作データに基づいて処理を行うことになる。
従来では、例えば磁気カードなどに識別データとしての個人情報などを予め記憶させ、それを電子機器が読み取ることによって、該電子機器の動作制御がなされていた。これに対して、上記の構成によれば、携帯型データ記憶手段は、従来のようにある決まった識別データを固定的に記憶するのではなく、動作データとともに生成された、該動作データに対応した識別データが記憶されることになる。したがって、従来では、固定された情報としての個人情報などに基づいてのみ、電子機器の処理の制御が行われていたが、上記の構成によれば、動作データに対応して変化する多様な識別データに応じて電子機器の処理の制御が行われるので、より的確な制御を行うことができるとともに、例えば動作データの選択などをユーザが行うなどの手間を省くことができる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記データ生成手段によって生成された動作データを、上記電子機器に送信する送信手段をさらに備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、データ生成手段によって生成された動作データは、送信手段を介して電子機器に送信される一方、データ生成手段によって生成された識別データは、携帯型データ記憶手段を介して電子機器に送信されることになる。動作データは、電子機器の処理を指示するデータであるので、データのサイズとしては、識別データよりも大きいものである場合が多いと考えられる。すなわち、データサイズの大きい動作データを送信手段によって電子機器に送信するとともに、実際の電子機器での処理をトリガーするための、データサイズの小さい識別データは、携帯型データ記憶手段を介して電子機器に送信することになる。よって、携帯型データ記憶手段における記憶手段の記憶容量は比較的小さくすることが可能となり、携帯型データ記憶手段のコストの低減、および装置自体のサイズの縮小化を図ることができる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記送信手段が、少なくとも1つのデータ生成手段および少なくとも1つの電子機器同士を接続するネットワークである構成としてもよい。
上記の構成によれば、ネットワークを介して、少なくとも1つのデータ生成手段および少なくとも1つの電子機器同士を接続されているので、任意のデータ生成手段から任意の電子機器に対して、動作データを送信し、処理を行わせることが可能となる。したがって、汎用性の高い電子機器制御システムを構築することができる。
また、上記ネットワークに電子機器やデータ生成手段が複数接続されている場合には、従来では、所定の電子機器で所定の動作データに基づいた動作をさせることが煩雑になるが、上記の構成によれば、電子機器が携帯型データ記憶手段から識別データを読み取って動作可能となるので、複雑なネットワークでも確実に電子機器の動作を制御することができる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記携帯型データ記憶手段が、上記データ生成手段および上記電子機器と識別データの送受信を行う際に、無線を利用する構成としてもよい。
上記の構成によれば、携帯型データ記憶手段が、無線という非接触な手段によって識別データの送受信を行うことになる。よって、例えば、ユーザが自分のポケットなどに携帯型データ記憶手段を入れた状態のままで、データ生成手段から識別データを受信したり、電子機器に識別データを送信したりすることが可能となり、ユーザの操作上の手間を大幅に削減することができる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記電子機器が、上記データ生成手段から送信された動作データを記憶する動作データ記憶手段を備えており、該電子機器が、上記携帯型データ記憶手段から上記識別データを受信した際に、該動作データ記憶手段に記憶されている動作データと、受信した識別データとの照会を行うことによって、受信した識別データに対応する動作データを検出し、該動作データに基づいて処理を行う構成としてもよい。
上記の構成によれば、たとえば、複数のデータ生成手段を1つの電子機器に接続して、各データ生成手段により生成された動作データを電子機器に出力するような構成とした場合、次のような効果を奏することになる。すなわち、1つの電子機器に対して、複数のデータ生成手段からそれぞれ動作データが送信された場合に、各動作データは、該電子機器の動作データ記憶手段に記憶されることになる。そして、該電子機器が、携帯型データ記憶手段から識別データを受信した際に、該識別データと、動作データ記憶手段に記憶されている動作データとを照会することによって、適切な動作データが検出され、該動作データに基づく処理が行われることになる。したがって、複数のデータ生成手段から動作データを受信した場合にも、これを電子機器内の動作データ記憶手段に記憶することができるともに、実際に識別データを受信することによって処理を行う際には、該当する識別データに対応した動作データに基づいて処理を行うことができる。すなわち、ネットワークを介しての電子機器の動作をより一層効率よく制御することが可能となる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記ネットワークに接続され、上記データ生成手段で生成された動作データを記憶するとともに、該動作データを上記電子機器へ出力するデータ出力プロセスを管理する動作データ管理手段がさらに設けられている構成としてもよい。
上記構成では、たとえば、複数のデータ生成手段を複数の電子機器に接続して、各データ生成手段により生成された動作データを特定の電子機器に選択して出力するようなネットワークシステムを形成することができる。しかも、このネットワークには、動作データ管理手段が含まれているので、個々の電子機器に動作データ記憶手段を設ける必要がなく、複数の動作データの出力を一括して管理することができるため、電子機器に対する負担を軽減することができる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、動作データを生成するデータ生成手段と、上記データ生成手段によって生成された上記動作データに基づいて処理を行う電子機器と、上記データ生成手段によって生成された上記動作データを受信するとともに、該動作データを記憶する動作データ記憶手段を備えた携帯型データ記憶手段とを備え、上記携帯型データ記憶手段が、上記電子機器に対して上記動作データ記憶手段に記憶されている上記動作データを送信するとともに、上記電子機器が、上記携帯型データ記憶手段から上記動作データを受信した際に、該動作データに基づいて処理を行うことを特徴としている。
上記の構成によれば、まず、データ生成手段によって生成された動作データが、携帯型データ記憶手段に送信され、動作データ記憶手段に記憶される。そして、この記憶された動作データが携帯型データ記憶手段から電子機器に送信されると、該電子機器が、該動作データに基づいて処理を行うことになる。
このように、携帯型データ記憶手段が動作データを記憶することになるので、電子機器を動作させる動作データを別途記憶媒体に記憶してユーザが持ち運ぶような必要が無くなる。すなわち携帯型データ記憶手段がフロッピー(登録商標)ディスクや光磁気ディスクのような記憶媒体を兼ねることになる。それゆえ、データ生成手段と電子機器とを接続するネットワークを必要としないで、ネットワークに類似するシステムを形成することができる。
しかも、データ生成手段と電子機器とがネットワークに接続されている場合であっても、携帯型データ記憶手段が動作データを記憶するために、ネットワーク外の電子機器に対しても動作データを出力して所定の動作を実行させることもできる。したがって、電子機器の動作制御の汎用性をより一層向上することができる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記電子機器が、表示手段を備えているとともに、上記電子機器の制御手段は、動作データの内容を確認した上で、該動作データに基づく動作に必要な選択機能と、該電子機器が備える選択機能を実施するための機能手段とが合致しているか否かを判定した上で、判定結果を表示手段に表示させる制御を行う構成としてもよい。
たとえば、ユーザが所定のデータ生成手段で生成した動作データを任意の電子機器に出力した場合、その電子機器が上記動作データに基づいて動作できる各種機能を備えていない可能性がある。そこで、上記構成では、電子機器の制御手段が、入力された動作データに基づいて動作できる機能を自機が有しているか否かを判定して表示手段で表示することになるので、ユーザは、電子機器の動作状態を正確に把握することが可能になり、電子機器の動作制御をより一層確実なものとすることができる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記携帯型データ記憶手段が、ユーザ管理識別データをさらに記憶しているとともに、該ユーザ管理識別データを上記電子機器に送信し、上記電子機器が、携帯型データ記憶手段から受信した上記ユーザ管理識別データに基づいて、該電子機器の動作の実施を制限する制御を行う構成としてもよい。
上記構成では、ユーザ管理識別データに基づいて、電子機器の動作が制限されることになるので、ある特定の携帯型データ記憶手段を用いた場合に、ある特定の電子機器のみでしか動作が実行できないようにしたり、逆に、ある特定の電子機器だけで動作が実行できないようにすることができる。したがって、例えば、データ生成手段と電子機器とがネットワークに接続されている場合に、携帯型データ記憶手段に記憶されているユーザ管理識別データに応じて、特定の部署の電子機器のみで動作が許可されるようにすることができる。また、電子機器が、動作の実施に課金するようなサービスに利用されている場合に応用することもできる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記ユーザ管理識別データが、動作データの生成を行う上記データ生成手段が設置される部署を識別する部署識別データ、ユーザに個別に設定されているユーザ識別データ、携帯型データ記憶手段に個別に設定されている記憶手段識別データの少なくともいずれか1つを含んでいる構成としてもよい。
上記の構成において、ユーザ管理識別データとして、動作データの生成を行う上記データ生成手段が設置される部署を識別する部署識別データを利用すれば、特定部署のデータ生成手段で生成された動作データは、特定部署の電子機器の動作にしか利用できないようにするなどの動作制御を行うことが可能となる。したがって、企業などにおいて、各部署毎に電子機器の利用状況を把握するとともに、消耗品など電子機器の保守管理を部署毎で確実に掌握することができる。
また、ユーザ管理識別データとして、ユーザに個別に設定されているユーザ識別データを利用すれば、特定のユーザを選別することが可能となる。よって、たとえば店舗などにおいて、電子機器を動作させる際に課金するようなサービスを行っている場合に、店員などの登録済みのユーザ識別データを有するユーザに対して、電子機器の利用を無償で許可するとともに、一般の客などの非登録ユーザに対しては、ユーザ識別データに基づいて、該非登録ユーザに対して課金処理を行う、というような利用制限の切換を容易に行うことができる。
さらに、ユーザ管理識別データとして、携帯型データ記憶手段に個別に設定されている記憶手段識別データを利用すれば、特定の携帯型データ記憶手段を有するユーザに対してのみ電子機器の利用を許可するというような利用制限を行うことができる。よって、たとえば、特定の携帯型データ記憶手段を貸与して、所定の電子機器を利用可能とするようなサービスに利用することができる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記ユーザ管理識別データが、予め携帯型データ記憶手段に登録されている構成としてもよい。
上記ユーザ管理識別データは、動作データとともに生成する必要はなく、また動作データに関係なく電子機器の動作制御に利用することができるので、これら各データを予め別途携帯型データ記憶手段に登録しておくことで、電子機器の動作制御をより効率化することができる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記電子機器が画像出力装置であり、上記動作データがプリントデータである構成としてもよい。
上記の構成によれば、携帯型データ記憶手段によって画像出力装置の動作を制御することになる。よって、ユーザがデータ生成手段でプリントデータを作成し、該プリントデータを実際に出力する際には、携帯型データ記憶手段を持って画像出力装置に近づくだけで、出力したいプリントデータを選択するなどの手間をかけることなしに、所望のプリントを行うことが可能となる。また、プリントアウトを必要とするユーザが画像出力装置に近づいているときにのみ、プリントアウトが行われるので、所望のプリントが他のプリントに紛れてしまうようなことを防止することができる。
また、上記のように、ユーザ管理識別データを利用して、画像出力装置の利用を制限するような場合には、例えば企業内において画像出力装置がネットワークに接続されているような場合に、特定の部署毎に画像出力装置の利用状況を管理することができる。あるいは、画像出力装置がコピーサービスに利用されている場合には、所定の携帯型データ記憶手段を有している客に対して、コピーサービスの利用許可と課金との双方を制御することができる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記データ生成手段は、パーソナルコンピュータである構成としてもよい。
上記の構成によれば、各種のデータを生成することができるパソコンを利用することになるので、電子機器の動作に供される動作データが広範囲なものとなり、電子機器の動作制御の汎用性が拡大する。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、上記の構成において、上記携帯型データ記憶手段は、携帯電話、携帯情報処理端末、カード式情報記録媒体の少なくとも何れかである構成としてもよい。
上記の構成のように、携帯型データ記憶手段が、上記携帯電話、携帯情報処理端末、カード式情報記録媒体であれば、ユーザが常時携帯できるとともに、それぞれが本システムにおける携帯型データ記憶手段とは異なる用途を有しているので、本システムのために別途携帯型データ記憶手段を準備する必要がなく、電子機器制御システムの汎用性・利便性をより向上することができる。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、動作データを生成するとともに、該動作データに対応した識別データを生成するデータ生成手段と、上記データ生成手段によって生成され、送信された動作データを記憶する動作データ記憶手段を備えており、該記憶した動作データに基づいて処理を行う電子機器と、上記データ生成手段によって生成された上記識別データを受信するとともに、該識別データを記憶する識別データ記憶手段を備えた携帯型データ記憶手段とを備え、上記携帯型データ記憶手段が、上記電子機器に対して上記識別データ記憶手段に記憶されている上記識別データを送信するとともに、該電子機器は、上記携帯型データ記憶手段から上記識別データを受信した際に、該動作データ記憶手段に記憶されている動作データと、受信した識別データとの照会を行うことによって、受信した識別データに対応する動作データを検出し、動作データが複数検出された場合には、該複数の動作データに対応する識別データを上記携帯型データ記憶手段に対して送信して実行する動作データを選択させ、該選択された動作データに基づいて処理を行うことを特徴としている。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、動作データを生成するとともに、該動作データに対応した識別データを生成するデータ生成手段と、上記データ生成手段によって生成された上記動作データに基づいて処理を行う複数の電子機器と、上記データ生成手段および上記複数の電子機器同士を接続し、上記データ生成手段によって生成された動作データを、上記電子機器に送信するネットワークと、上記ネットワークに接続され、上記データ生成手段で生成された動作データを記憶するとともに、該動作データを上記電子機器へ出力するデータ出力プロセスを管理する動作データ管理手段と、上記データ生成手段によって生成された上記識別データを受信するとともに、該識別データを記憶する識別データ記憶手段を備えた携帯型データ記憶手段とを備え、上記携帯型データ記憶手段は、上記複数の電子機器のうち、接近した電子機器に対して上記識別データ記憶手段に記憶されている上記識別データを送信するとともに、上記電子機器は、上記携帯型データ記憶手段から上記識別データを受信した際に、その識別データを上記動作データ管理手段に伝送し、上記動作データ管理手段から送信された対応する動作データに基づいて処理を行うことを特徴としている。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、動作データを生成するとともに、該動作データに対応した識別データを生成するデータ生成手段と、表示手段および制御手段を備えているとともに、上記データ生成手段によって生成された上記動作データに基づいて処理を行う電子機器と、上記データ生成手段によって生成された上記識別データを受信するとともに、該識別データを記憶する識別データ記憶手段を備えた携帯型データ記憶手段とを備え、上記携帯型データ記憶手段が、上記電子機器に対して上記識別データ記憶手段に記憶されている上記識別データを送信するとともに、上記電子機器が、上記携帯型データ記憶手段から上記識別データを受信した際に、上記電子機器の制御手段は、動作データの内容を確認し、該動作データに基づく動作に必要な選択機能と、該電子機器が備える選択機能を実施するための機能手段とが合致しているか否かを判定した上で、合致していないと判定した場合に、該動作データに適した電子機器に関する情報を判定結果とともに上記表示手段に表示させる制御を行うことを特徴としている。
また、本発明に係る電子機器制御システムは、動作データを生成するとともに、該動作データに対応した識別データを生成するデータ生成手段と、表示手段および制御手段を備えているとともに、上記データ生成手段によって生成された上記動作データに基づいて処理を行う電子機器と、上記データ生成手段によって生成された上記識別データを受信するとともに、該識別データを記憶する識別データ記憶手段を備えた携帯型データ記憶手段とを備え、上記携帯型データ記憶手段が、上記電子機器に対して上記識別データ記憶手段に記憶されている上記識別データを送信するとともに、上記電子機器が、上記携帯型データ記憶手段から上記識別データを受信した際に、上記電子機器の制御手段は、動作データの内容を確認し、該動作データに基づく動作に必要な選択機能と、該電子機器が備える選択機能を実施するための機能手段とが合致しているか否かを判定した上で、合致していないと判定した場合に、判定結果を上記表示手段に表示させ、それでも該動作データに基づく処理を実行する指示がなされたときには該動作データに基づいて処理を行うように制御することを特徴としている。