JP2004157775A - 電磁アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒステリシス特性が小さく、速い制御が可能な電磁アクチュエータを提供すること。
【解決手段】電磁アクチュエータ(弁)10は、可動磁芯40、固定磁芯60と、可動磁芯40、固定磁芯60を取囲むコイル50、及び可動磁芯40、固定磁芯60とコイル50を収納する磁気コア61からなる。磁気コア61に設けられた切込み部100には、ギャップ部80の磁束を間接的に測定する磁力検知手段70が取付けられている。電磁アクチュエータ(弁)10と外部で接続しているアクチュエータ制御回路が、磁力検知手段70からの信号を受け、コイル50によって生じる磁気回路の磁気(磁束)を制御する。磁気回路の磁気を制御することにより、ギャップ部80の吸着力が安定し、電磁アクチュエータ(弁)10のヒステリシスの発生を抑え、速い制御が可能になる。
【選択図】 図2
【解決手段】電磁アクチュエータ(弁)10は、可動磁芯40、固定磁芯60と、可動磁芯40、固定磁芯60を取囲むコイル50、及び可動磁芯40、固定磁芯60とコイル50を収納する磁気コア61からなる。磁気コア61に設けられた切込み部100には、ギャップ部80の磁束を間接的に測定する磁力検知手段70が取付けられている。電磁アクチュエータ(弁)10と外部で接続しているアクチュエータ制御回路が、磁力検知手段70からの信号を受け、コイル50によって生じる磁気回路の磁気(磁束)を制御する。磁気回路の磁気を制御することにより、ギャップ部80の吸着力が安定し、電磁アクチュエータ(弁)10のヒステリシスの発生を抑え、速い制御が可能になる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁アクチュエータの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
電磁アクチュエータの代表的利用分野は弁(バルブ)であり、その一例として、マスフローコントローラに組込まれる電磁弁がよく知られている。
従来より、このような電磁弁として、図7に示す電磁弁10Aが知られている。この電磁弁10Aは、可動磁芯40、固定磁芯60、前記可動磁芯40と固定磁芯60を取囲むコイル50、及びコイル50を収納する磁気コア61で構成されている。電磁弁10Aは、コイル50に電圧を印加することで、可動磁芯40を動かし、弁(図示せず。)の開閉の制御がなされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の電磁弁10Aにおいては、可動磁芯40、固定磁芯60間のギャップ部80の間隔を小さくするように作動するときと、ギャップ部80の間隔を大きくするように作動するときとでは、電圧とストロークの関係に、いわゆる、ヒステリシスが発生するという問題があった。
このヒステリシスにより、電磁石に同じ駆動信号電圧を印加しているにも拘らず、ギャップ部80の磁力及びギャップの間隔はそのときの条件により一定しないので、印加電圧のみで、出力ストローク、すなわち、バルブ開度を正確に制御することは困難であった。
【0004】
そこで、このような電磁石で構成された電磁弁を制御するときに起きる電磁石のヒステリシス特性を避ける為に、永久磁石を付加して、アクチュエータの位置を測定したり、又、電磁石に流れる電流で間接的に電磁石の吸着力を測定することで電磁石の制御を行うようにしたものがある。
【0005】
しかし、このような永久磁石を付加してアクチュエータの位置を測定する方式では、位置測定という意味では優位性があるが、永久磁石を追加する為の構造が複雑になるという問題がある。また、このような電磁石の電流を測定する方式のみでは、電磁石のヒステリシスそのものは全く取れないという問題がある。
【0006】
また、電磁弁として用いた場合のヒステリシスの問題を回避するための別の手段として、図8に示すような流量制御回路が用いられてきた。この構成では、流量センサ30で検知された流量の信号がセンサアンプ34で増幅され、PID演算部20に伝えられる。PID演算部20では、流量の信号だけでなく、電磁弁10Aの持つ大きなヒステリシス特性も含んだ制御演算を行い、電磁弁10Aを動かす速度を電気回路によって制限することで、電磁弁10Aのヒステリシスから起こる弊害を回避している。
しかし、この構成においても、電磁弁をゆっくり動かすことにより、一定流量での制御は可能であるが、流量の設定値が大きく変化した時には、高速に電磁弁の制御をすることは困難であった。
【0007】
この大きなヒステリシスの影響を避けるため、より応答速度が速く、力が大きく、ヒステリシス特性の優れた、圧電セラミック・積層セラミック素子を用いたアクチュエータが図8の回路に使用される。しかし、電磁アクチュエータに比較して、そのストロークが小さいという問題や、間接的にアクチュエータの位置が測定できないので、アクチュエータの衝突によるパーティクル・衝突音の発生を防ぐことが困難である等の問題を有している。
本発明は、上述した問題点に鑑み、ヒステリシス特性が小さく、速い制御が可能な電磁アクチュエータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、可動磁芯、固定磁芯、前記可動磁芯と固定磁芯を取囲むコイル、及び前記コイルを収納する磁気コアからなる電磁アクチュエータにおいて、
前記コイルによって磁気回路に発生する磁力の検知手段と、
該磁力検知手段からの信号によって前記磁力を制御するアクチュエータ制御回路を具えた電磁アクチュエータによって、前記の課題を解決した。
【0009】
【作用】
本発明の電磁アクチュエータによると、磁力検知手段により直接的又は間接的に、ギャップ部の磁力を検知し、アクチュエータ制御回路が磁力を制御することにより、電磁アクチュエータのヒステリシス特性を飛躍的に小さくでき、より速い制御が可能になる。また、このようにしてヒステリシスの発生を抑えることにより、コイルにかける駆動信号電圧から間接的にアクチュエータの位置が測定できるので、その値からアクチュエータの駆動回路にフィードバックをかけることで、アクチュエータの衝突を防ぎ、衝突によるパーティクル・衝突音の発生を防ぐことや、電磁アクチュエータの力を大きく取ることが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の電磁アクチュエータの実施形態を、電磁弁10を例として、図1、図2に基づいて説明する。なお、従来と同一の構成については同一の符号を使用し、説明は省略する。
図1は、本発明の電磁アクチュエータである電磁弁10を用いた流量制御回路の回路図である。
この回路では、流量センサ30で検知された流量の信号がセンサアンプ34で増幅され、PID演算部20に伝えられ、アクチュエータ制御回路90に制御結果出力(駆動信号電圧)として出力される。
アクチュエータ制御回路90は、磁力検知手段70で検知し磁力検知出力として出力される電磁弁10のギャップ部の磁力を制御しながら、制御結果出力に基づいて電磁弁10の開閉を行う。
【0011】
アクチュエータ制御回路90での制御は、具体的には、以下のように行なわれる。
電磁弁のギャップ部の磁力は磁力検知手段によって検知され、アクチュエータ制御回路に伝えられる。アクチュエータ制御回路は、コイルに印加する駆動信号電圧を、この磁力と常に比例関係を保つように制御しながら、制御結果出力(駆動信号電圧)に基づいて変化させていく。このようにして、制御結果出力が、アクチュエータ制御回路において、駆動信号電圧に変換される。
例えば、ホール素子を用いた磁力検知手段によると、磁力はホール素子の電圧によって測定されるが、制御結果出力(駆動信号電圧)が13Vのとき、ホール素子の電圧が7.2Vとすると、制御結果出力(駆動信号電圧)6.5Vのとき、ホール素子電圧が3.6Vとなるように制御する。
このように制御することで、ホール素子の電圧≒コアの磁力∝制御結果出力(駆動信号電圧)の関係が成立ち、駆動信号電圧はギャップの間隔に比例することになるので、流量制御回路の制御性能の向上が可能となる。
【0012】
図2は、本発明の実施形態としての電磁弁の断面図である。
電磁弁10は、可動磁芯40、固定磁芯60と、可動磁芯40、固定磁芯60を取囲むコイル50、及び可動磁芯40、固定磁芯60とコイル50を収納する磁気コア61からなる。磁気コア61に設けられた切込み部100には、ギャップ部80の磁束を間接的に測定する磁力検知手段70が取付けられている。
電磁弁10と外部で接続しているアクチュエータ制御回路(図示せず。)が、磁力検知手段70からの信号を受け、コイル50によって生じる磁気回路の磁気(磁束)を制御する。このように磁気回路の磁気を制御することにより、ギャップ部80の吸着力が安定し、電磁弁(アクチュエータ)10のヒステリシスの発生を抑えることが可能になる。
【0013】
この磁力検知手段70は、本来、ギャップ部80の磁気(磁束)密度を測定する目的で設けられるので、図3(a)のように、本来、ギャップ部80に埋込んで測定すべきであるが、構造上、磁力検知手段70のギャップ部80への埋込みが難しいため、図2では、磁気コア61の下部の切込み部100に埋込んでいる。このように、磁力検知手段70を切込み部に埋込んでも、磁気回路を構成する磁気コア61が透磁性の高い材質で作られているために、磁気回路を流れる磁束は、その殆どが磁気コア61の中を流れ、磁場がハウジング全体を回るので、ギャップ部80の磁場を測定したのと同様の効果が得られるものである。
【0014】
このように、本発明は、直接又は間接にギャップ部の磁束を測定しその磁束の強度を制御することにより、電磁アクチュエータの精度、特性の向上を目指すものであるが、必ずしも、磁力検知手段をギャップ部に設ける必要はなく、図3(b)に示すように、矢印で指されたいずれの切込み部100でもギャップ部80の磁力を測定した場合と同様の効果が得られる。
【0015】
また、極端な例として、磁気コア61の外部110に磁力検知手段を取付けても、同様の制御が可能である。
このように外部110に取付けた磁力検知手段でも同様に制御が可能であるのは、ギャップ部の磁気強度と、磁気コア外部110への漏れ磁気量が比例関係にあり、「漏れ磁気強度の制御≒ギャップ部の磁気強度の制御≒吸着力の制御」の関係が成立つからである。
また、特別に電磁石を改造することなく、外部110に磁力検知手段を貼付けただけでも、ギャップ部80の磁力(磁束)を制御できることも確認された。
【0016】
このように、本発明によると、複雑な構成を用いることなく、磁力検知手段と僅かな補助的制御回路のみで電磁アクチュエータのヒステリシスを抑えることができるので、電磁アクチュエータのリニアな制御が可能になる。
なお、本発明では、説明の中で、可動磁芯と固定磁芯を持つ場合の説明を行なったが、動作においてこの可動磁芯と固定磁芯が逆の構成でも同様の制御動作が可能である。
また、本発明は、このようにヒステリシスの発生を抑えることにより、コイルにかける駆動信号電圧から間接的にアクチュエータの位置が測定できるので、その値からアクチュエータの駆動回路にフィードバックをかけると、アクチュエータの衝突を防ぎ、衝突によるパーティクル・衝突音の発生等も防ぐことができる。
【0017】
この構成によると、従来の比較的ヒステリシスが小さい積層セラミックを用いたアクチュエータと同等以上の性能を示すことが確認された。また、電磁アクチュエータ単体が積層セラミックを用いたアクチュエータのヒステリシス特性を上回っていることも確認された。
なお、図1において、本発明の電磁アクチュエータをマスフロー用電磁弁として用いた実施形態を説明したが、この例に限らず、本発明の電磁アクチュエータは、例えば、エンジン用の燃料噴射バルブ等としても利用することが可能である。
【0018】
次に、電磁アクチュエータの具体例を、1乃至5の実施例によって説明する。実施例1乃至5は、図1で説明した構成に、図4のアクチュエータ制御回路90を用いたものである。この図4のアクチュエータ制御回路90では、ホール素子からなる磁力検知手段70で検知された磁力の信号が、アンプで増幅されて送られ、これと駆動信号電圧に基づいて、バルブ電圧を制御することで、ギャップ部の磁力を制御している。ちなみに、ホール素子にはホール電圧5VのTHS126(160mv/0.1T)が使用され、アンプの増幅率は約165倍である。ここで、実施例1の磁力検知手段は、切込み部に取付けられ、実施例2乃至5の磁力検知手段は、磁気コアの外部(上部)の様々な場所に取付けられている。
【0019】
この1乃至5の実施例の電磁アクチュエータについて、電磁アクチュエータのヒステリシス特性及び制御特性を評価するテストを行った。
比較例として、図7の電磁アクチュエータを図8の制御装置に取付けたものを用いた。
このテストにおいて、実施例及び比較例を用いて、それぞれの電磁アクチュエータの磁気コイル電圧(駆動信号電圧)とアクチュエータストロークの関係を調べた。その結果を図5に示す。この結果を見ると、比較例と比べ、本発明の実施例がヒステリシス特性において著しく向上していることが分かる。
【0020】
また、実施例を用いて駆動信号電圧を増加・減少させたときの磁力検知手段のホール素子電圧を測定し、制御回路の制御特性を調べた。その結果を図6に示す。
この結果より、若干の制御のズレは認められるが、ほぼ磁力の制御は完璧に出来ており、回路を節約する為に積分器を削除して制御しているがオフセットの問題も殆どないことが確認された。
その他に、実施例では、以下のことが実験により確認され、電磁アクチュエータとして優れた性能を有していることが判明した。
・0−13V(100%)矩形波駆動の場合で約30m秒でアクチュエータは定常状態に達する。
・0−5V(40%)矩形波駆動の場合で約15m秒でアクチュエータは定常状態に達する。
・正弦波駆動の場合5Hz程度までは、駆動信号電圧で見ると正しく応答する。・10Hz程度までは、アクチュエータはフルストロークまで動くが、駆動信号電圧の波形は正弦波からずれた波形となる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電磁アクチュエータによると、磁力検知手段により、直接又は間接に、ギャップ部の磁力を検知し、アクチュエータ制御回路がギャップ部の磁力を制御することにより、電磁アクチュエータのヒステリシス特性を飛躍的に小さくできるので、より速い制御が可能になる。
また、このようにヒステリシスの発生を抑えることにより、コイルにかける駆動信号電圧から間接的にアクチュエータの位置が測定できるので、その値からアクチュエータの駆動回路にフィードバックをかけることで、アクチュエータの衝突を防ぎ、衝突によるパーティクル・衝突音の発生を防ぐことや、吸着直前の状態で使用することができるので、電磁アクチュエータの力を大きく取ることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁アクチュエータ(弁)を用いた流量制御回路の概要図。
【図2】本発明の電磁アクチュエータの断面図。
【図3】図3(a)は、磁力検知手段の理想的な設置位置を示す説明図。図3(b)は、磁力検知手段の設置可能位置を示す説明図。
【図4】本発明の電磁アクチュエータが具えているアクチュエータ制御回路の回路図。
【図5】実施例と比較例のヒステリシス特性をテストした結果を示す図。
【図6】実施例の制御特性をテストした結果を示す図。
【図7】従来の電磁アクチュエータの断面図。
【図8】従来の電磁アクチュエータ(弁)を用いた流量制御回路の概要図。
【符号の説明】
10:電磁アクチュエータ(電磁弁)
40:可動磁芯
50:コイル
60:固定磁芯
61:磁気コア
70:磁力検知手段
80:ギャップ部
90:アクチュエータ制御回路
100:磁気コアの切込み部
110:磁気コアの外部
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁アクチュエータの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
電磁アクチュエータの代表的利用分野は弁(バルブ)であり、その一例として、マスフローコントローラに組込まれる電磁弁がよく知られている。
従来より、このような電磁弁として、図7に示す電磁弁10Aが知られている。この電磁弁10Aは、可動磁芯40、固定磁芯60、前記可動磁芯40と固定磁芯60を取囲むコイル50、及びコイル50を収納する磁気コア61で構成されている。電磁弁10Aは、コイル50に電圧を印加することで、可動磁芯40を動かし、弁(図示せず。)の開閉の制御がなされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の電磁弁10Aにおいては、可動磁芯40、固定磁芯60間のギャップ部80の間隔を小さくするように作動するときと、ギャップ部80の間隔を大きくするように作動するときとでは、電圧とストロークの関係に、いわゆる、ヒステリシスが発生するという問題があった。
このヒステリシスにより、電磁石に同じ駆動信号電圧を印加しているにも拘らず、ギャップ部80の磁力及びギャップの間隔はそのときの条件により一定しないので、印加電圧のみで、出力ストローク、すなわち、バルブ開度を正確に制御することは困難であった。
【0004】
そこで、このような電磁石で構成された電磁弁を制御するときに起きる電磁石のヒステリシス特性を避ける為に、永久磁石を付加して、アクチュエータの位置を測定したり、又、電磁石に流れる電流で間接的に電磁石の吸着力を測定することで電磁石の制御を行うようにしたものがある。
【0005】
しかし、このような永久磁石を付加してアクチュエータの位置を測定する方式では、位置測定という意味では優位性があるが、永久磁石を追加する為の構造が複雑になるという問題がある。また、このような電磁石の電流を測定する方式のみでは、電磁石のヒステリシスそのものは全く取れないという問題がある。
【0006】
また、電磁弁として用いた場合のヒステリシスの問題を回避するための別の手段として、図8に示すような流量制御回路が用いられてきた。この構成では、流量センサ30で検知された流量の信号がセンサアンプ34で増幅され、PID演算部20に伝えられる。PID演算部20では、流量の信号だけでなく、電磁弁10Aの持つ大きなヒステリシス特性も含んだ制御演算を行い、電磁弁10Aを動かす速度を電気回路によって制限することで、電磁弁10Aのヒステリシスから起こる弊害を回避している。
しかし、この構成においても、電磁弁をゆっくり動かすことにより、一定流量での制御は可能であるが、流量の設定値が大きく変化した時には、高速に電磁弁の制御をすることは困難であった。
【0007】
この大きなヒステリシスの影響を避けるため、より応答速度が速く、力が大きく、ヒステリシス特性の優れた、圧電セラミック・積層セラミック素子を用いたアクチュエータが図8の回路に使用される。しかし、電磁アクチュエータに比較して、そのストロークが小さいという問題や、間接的にアクチュエータの位置が測定できないので、アクチュエータの衝突によるパーティクル・衝突音の発生を防ぐことが困難である等の問題を有している。
本発明は、上述した問題点に鑑み、ヒステリシス特性が小さく、速い制御が可能な電磁アクチュエータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、可動磁芯、固定磁芯、前記可動磁芯と固定磁芯を取囲むコイル、及び前記コイルを収納する磁気コアからなる電磁アクチュエータにおいて、
前記コイルによって磁気回路に発生する磁力の検知手段と、
該磁力検知手段からの信号によって前記磁力を制御するアクチュエータ制御回路を具えた電磁アクチュエータによって、前記の課題を解決した。
【0009】
【作用】
本発明の電磁アクチュエータによると、磁力検知手段により直接的又は間接的に、ギャップ部の磁力を検知し、アクチュエータ制御回路が磁力を制御することにより、電磁アクチュエータのヒステリシス特性を飛躍的に小さくでき、より速い制御が可能になる。また、このようにしてヒステリシスの発生を抑えることにより、コイルにかける駆動信号電圧から間接的にアクチュエータの位置が測定できるので、その値からアクチュエータの駆動回路にフィードバックをかけることで、アクチュエータの衝突を防ぎ、衝突によるパーティクル・衝突音の発生を防ぐことや、電磁アクチュエータの力を大きく取ることが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の電磁アクチュエータの実施形態を、電磁弁10を例として、図1、図2に基づいて説明する。なお、従来と同一の構成については同一の符号を使用し、説明は省略する。
図1は、本発明の電磁アクチュエータである電磁弁10を用いた流量制御回路の回路図である。
この回路では、流量センサ30で検知された流量の信号がセンサアンプ34で増幅され、PID演算部20に伝えられ、アクチュエータ制御回路90に制御結果出力(駆動信号電圧)として出力される。
アクチュエータ制御回路90は、磁力検知手段70で検知し磁力検知出力として出力される電磁弁10のギャップ部の磁力を制御しながら、制御結果出力に基づいて電磁弁10の開閉を行う。
【0011】
アクチュエータ制御回路90での制御は、具体的には、以下のように行なわれる。
電磁弁のギャップ部の磁力は磁力検知手段によって検知され、アクチュエータ制御回路に伝えられる。アクチュエータ制御回路は、コイルに印加する駆動信号電圧を、この磁力と常に比例関係を保つように制御しながら、制御結果出力(駆動信号電圧)に基づいて変化させていく。このようにして、制御結果出力が、アクチュエータ制御回路において、駆動信号電圧に変換される。
例えば、ホール素子を用いた磁力検知手段によると、磁力はホール素子の電圧によって測定されるが、制御結果出力(駆動信号電圧)が13Vのとき、ホール素子の電圧が7.2Vとすると、制御結果出力(駆動信号電圧)6.5Vのとき、ホール素子電圧が3.6Vとなるように制御する。
このように制御することで、ホール素子の電圧≒コアの磁力∝制御結果出力(駆動信号電圧)の関係が成立ち、駆動信号電圧はギャップの間隔に比例することになるので、流量制御回路の制御性能の向上が可能となる。
【0012】
図2は、本発明の実施形態としての電磁弁の断面図である。
電磁弁10は、可動磁芯40、固定磁芯60と、可動磁芯40、固定磁芯60を取囲むコイル50、及び可動磁芯40、固定磁芯60とコイル50を収納する磁気コア61からなる。磁気コア61に設けられた切込み部100には、ギャップ部80の磁束を間接的に測定する磁力検知手段70が取付けられている。
電磁弁10と外部で接続しているアクチュエータ制御回路(図示せず。)が、磁力検知手段70からの信号を受け、コイル50によって生じる磁気回路の磁気(磁束)を制御する。このように磁気回路の磁気を制御することにより、ギャップ部80の吸着力が安定し、電磁弁(アクチュエータ)10のヒステリシスの発生を抑えることが可能になる。
【0013】
この磁力検知手段70は、本来、ギャップ部80の磁気(磁束)密度を測定する目的で設けられるので、図3(a)のように、本来、ギャップ部80に埋込んで測定すべきであるが、構造上、磁力検知手段70のギャップ部80への埋込みが難しいため、図2では、磁気コア61の下部の切込み部100に埋込んでいる。このように、磁力検知手段70を切込み部に埋込んでも、磁気回路を構成する磁気コア61が透磁性の高い材質で作られているために、磁気回路を流れる磁束は、その殆どが磁気コア61の中を流れ、磁場がハウジング全体を回るので、ギャップ部80の磁場を測定したのと同様の効果が得られるものである。
【0014】
このように、本発明は、直接又は間接にギャップ部の磁束を測定しその磁束の強度を制御することにより、電磁アクチュエータの精度、特性の向上を目指すものであるが、必ずしも、磁力検知手段をギャップ部に設ける必要はなく、図3(b)に示すように、矢印で指されたいずれの切込み部100でもギャップ部80の磁力を測定した場合と同様の効果が得られる。
【0015】
また、極端な例として、磁気コア61の外部110に磁力検知手段を取付けても、同様の制御が可能である。
このように外部110に取付けた磁力検知手段でも同様に制御が可能であるのは、ギャップ部の磁気強度と、磁気コア外部110への漏れ磁気量が比例関係にあり、「漏れ磁気強度の制御≒ギャップ部の磁気強度の制御≒吸着力の制御」の関係が成立つからである。
また、特別に電磁石を改造することなく、外部110に磁力検知手段を貼付けただけでも、ギャップ部80の磁力(磁束)を制御できることも確認された。
【0016】
このように、本発明によると、複雑な構成を用いることなく、磁力検知手段と僅かな補助的制御回路のみで電磁アクチュエータのヒステリシスを抑えることができるので、電磁アクチュエータのリニアな制御が可能になる。
なお、本発明では、説明の中で、可動磁芯と固定磁芯を持つ場合の説明を行なったが、動作においてこの可動磁芯と固定磁芯が逆の構成でも同様の制御動作が可能である。
また、本発明は、このようにヒステリシスの発生を抑えることにより、コイルにかける駆動信号電圧から間接的にアクチュエータの位置が測定できるので、その値からアクチュエータの駆動回路にフィードバックをかけると、アクチュエータの衝突を防ぎ、衝突によるパーティクル・衝突音の発生等も防ぐことができる。
【0017】
この構成によると、従来の比較的ヒステリシスが小さい積層セラミックを用いたアクチュエータと同等以上の性能を示すことが確認された。また、電磁アクチュエータ単体が積層セラミックを用いたアクチュエータのヒステリシス特性を上回っていることも確認された。
なお、図1において、本発明の電磁アクチュエータをマスフロー用電磁弁として用いた実施形態を説明したが、この例に限らず、本発明の電磁アクチュエータは、例えば、エンジン用の燃料噴射バルブ等としても利用することが可能である。
【0018】
次に、電磁アクチュエータの具体例を、1乃至5の実施例によって説明する。実施例1乃至5は、図1で説明した構成に、図4のアクチュエータ制御回路90を用いたものである。この図4のアクチュエータ制御回路90では、ホール素子からなる磁力検知手段70で検知された磁力の信号が、アンプで増幅されて送られ、これと駆動信号電圧に基づいて、バルブ電圧を制御することで、ギャップ部の磁力を制御している。ちなみに、ホール素子にはホール電圧5VのTHS126(160mv/0.1T)が使用され、アンプの増幅率は約165倍である。ここで、実施例1の磁力検知手段は、切込み部に取付けられ、実施例2乃至5の磁力検知手段は、磁気コアの外部(上部)の様々な場所に取付けられている。
【0019】
この1乃至5の実施例の電磁アクチュエータについて、電磁アクチュエータのヒステリシス特性及び制御特性を評価するテストを行った。
比較例として、図7の電磁アクチュエータを図8の制御装置に取付けたものを用いた。
このテストにおいて、実施例及び比較例を用いて、それぞれの電磁アクチュエータの磁気コイル電圧(駆動信号電圧)とアクチュエータストロークの関係を調べた。その結果を図5に示す。この結果を見ると、比較例と比べ、本発明の実施例がヒステリシス特性において著しく向上していることが分かる。
【0020】
また、実施例を用いて駆動信号電圧を増加・減少させたときの磁力検知手段のホール素子電圧を測定し、制御回路の制御特性を調べた。その結果を図6に示す。
この結果より、若干の制御のズレは認められるが、ほぼ磁力の制御は完璧に出来ており、回路を節約する為に積分器を削除して制御しているがオフセットの問題も殆どないことが確認された。
その他に、実施例では、以下のことが実験により確認され、電磁アクチュエータとして優れた性能を有していることが判明した。
・0−13V(100%)矩形波駆動の場合で約30m秒でアクチュエータは定常状態に達する。
・0−5V(40%)矩形波駆動の場合で約15m秒でアクチュエータは定常状態に達する。
・正弦波駆動の場合5Hz程度までは、駆動信号電圧で見ると正しく応答する。・10Hz程度までは、アクチュエータはフルストロークまで動くが、駆動信号電圧の波形は正弦波からずれた波形となる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電磁アクチュエータによると、磁力検知手段により、直接又は間接に、ギャップ部の磁力を検知し、アクチュエータ制御回路がギャップ部の磁力を制御することにより、電磁アクチュエータのヒステリシス特性を飛躍的に小さくできるので、より速い制御が可能になる。
また、このようにヒステリシスの発生を抑えることにより、コイルにかける駆動信号電圧から間接的にアクチュエータの位置が測定できるので、その値からアクチュエータの駆動回路にフィードバックをかけることで、アクチュエータの衝突を防ぎ、衝突によるパーティクル・衝突音の発生を防ぐことや、吸着直前の状態で使用することができるので、電磁アクチュエータの力を大きく取ることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁アクチュエータ(弁)を用いた流量制御回路の概要図。
【図2】本発明の電磁アクチュエータの断面図。
【図3】図3(a)は、磁力検知手段の理想的な設置位置を示す説明図。図3(b)は、磁力検知手段の設置可能位置を示す説明図。
【図4】本発明の電磁アクチュエータが具えているアクチュエータ制御回路の回路図。
【図5】実施例と比較例のヒステリシス特性をテストした結果を示す図。
【図6】実施例の制御特性をテストした結果を示す図。
【図7】従来の電磁アクチュエータの断面図。
【図8】従来の電磁アクチュエータ(弁)を用いた流量制御回路の概要図。
【符号の説明】
10:電磁アクチュエータ(電磁弁)
40:可動磁芯
50:コイル
60:固定磁芯
61:磁気コア
70:磁力検知手段
80:ギャップ部
90:アクチュエータ制御回路
100:磁気コアの切込み部
110:磁気コアの外部
Claims (4)
- 可動磁芯、固定磁芯、前記可動磁芯と固定磁芯を取囲むコイル、及び前記コイルを収納する磁気コアからなる電磁アクチュエータにおいて、
前記コイルによって磁気回路に発生する磁力の検知手段と、
該磁力検知手段からの信号によって前記磁力を制御するアクチュエータ制御回路を具えたことを特徴とする、
電磁アクチュエータ。 - 前記磁力検知手段が前記磁気コアの切込み部に取付けられている、請求項1の電磁アクチュエータ。
- 前記磁力検知手段が前記磁気コアの外部に取付けられている、請求項1の電磁アクチュエータ。
- 前記磁力検知手段がホール素子からなる、請求項1から3のいずれかの電磁アクチュエータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002322914A JP2004157775A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 電磁アクチュエータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002322914A JP2004157775A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 電磁アクチュエータ |
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JP2004157775A true JP2004157775A (ja) | 2004-06-03 |
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ID=32802968
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004157775A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112068049A (zh) * | 2020-08-28 | 2020-12-11 | 清华大学 | 组合阀电磁阀头磁力测量方法以及压力测量设备 |
-
2002
- 2002-11-06 JP JP2002322914A patent/JP2004157775A/ja active Pending
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