JP2004157763A - 制御装置及び出力軸の角度制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストかつ安定性の高い制御装置及び出力軸の角度制御装置を提供すること。
【解決手段】モータドライバ8は、ECU9から入力された指令値Voを目標値Vtに変換して出力する指令値フィルタ20と、モータ作動角制御部21と、当該モータ作動角制御部21の指示に基づきモータ14へ電力を供給するモータ駆動部22と、を備える。指令値フィルタ20は、前記指令値Voが変化した場合、当該変化後の指令値Voに前記目標値Vtを近づけるよう当該目標値Vtを予め定められた変化率にて変化させる。そして、モータ作動角制御部21は、当該指令値フィルタ20から出力された目標値Vtと角度センサによりフィードバックされたアクチュエータの出力軸の現在値Vcとが、一致するようモータ14への電力供給を制御する。
【選択図】 図3
【解決手段】モータドライバ8は、ECU9から入力された指令値Voを目標値Vtに変換して出力する指令値フィルタ20と、モータ作動角制御部21と、当該モータ作動角制御部21の指示に基づきモータ14へ電力を供給するモータ駆動部22と、を備える。指令値フィルタ20は、前記指令値Voが変化した場合、当該変化後の指令値Voに前記目標値Vtを近づけるよう当該目標値Vtを予め定められた変化率にて変化させる。そして、モータ作動角制御部21は、当該指令値フィルタ20から出力された目標値Vtと角度センサによりフィードバックされたアクチュエータの出力軸の現在値Vcとが、一致するようモータ14への電力供給を制御する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御装置及び出力軸の角度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、モータ等の出力軸角度を制御する方法としては、指令値(目標値)と制御量(操作量)及びその結果との比較により制御を行うフィードバック制御、特にPID制御が多く用いられている。
【0003】
PID制御は、目標値と現在値との差である偏差に比例した操作量を与える比例制御(Proportional制御)、偏差の時間的累積値に対応した操作量を与える積分制御(Integral制御)及び偏差の変化量に対応した操作量を与える微分制御(Deffrential制御)を組み合わせた制御方法である。
【0004】
例えば、サンプリング(離散値)方式によるPID制御の場合、その基本式は、操作量=比例項(Kp×偏差)+積分項(Ki×偏差の累積値)+微分項(Kd×偏差の変化量)で表され、各制御項の制御係数(ゲイン)であるKp,Ki及びKdを最適化することで、スムーズかつ応答性の高い制御が可能となる。
【0005】
特に、外乱要因が強い環境下においては、微分ゲインKdを高くし、目標値に対する応答性を高めることで、急激に目標値及び現在値が変化した場合であっても機敏に制御を行うことができる。
【0006】
しかし、微分項のウェイトを高くした場合には、操作後の値が目標値を超えてしまう所謂オーバーシュート現象が起こるため、このようなオーバーシュート現象が許容できない環境においては、微分ゲインKdを高くすることができない。
【0007】
さらに、一定の変化点を境として目標値が極端に変化する可能性がある場合(目標値決定の基礎となる制御マップが粗い場合等)には、目標値決定の基礎となる検出値が当該変化点近傍で上下したときに、モータ制御部へ出力される目標値(指令値)自体がハンチングすることがある。このような場合、特に、比例ゲインKpを高く設定した場合には、かかる指令値に追従すべくモータが高速応答を繰り返すことにより、過大な電流が流れ、モータ駆動部が高温となるのみならず、モータ自体が焼損する恐れがある。
【0008】
従来、上記のような外乱要因の強い環境下においてもオーバーシュート現象を回避し、かつスムーズで応答性の高い制御を実現する方法として、状況に応じてリアルタイムに前記各制御項の制御係数を自動的に最適化する制御方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【0009】
【特許文献1】
特開平06−019510号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、リアルタイムに制御係数の最適化を行うためには、複雑かつ高度な計算を高速に行うことができる高価なマイコン等を制御装置に搭載する必要があるため製造コストが高くなる。さらに、エンジンルームは、かなりの高温となるため、このような過酷な環境の下での信頼性を確保するのが困難であるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、低コストかつ安定性の高い制御装置及び出力軸の角度制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、制御対象の現在値を検出する検出手段と、指令値を目標値に変換するフィルタ部と、前記現在値を前記目標値と一致するよう前記制御対象への駆動出力を制御する駆動制御部と、を備え、前記フィルタ部は、前記指令値が変化した場合に、該指令値に前記目標値を近づけるよう該目標値を第1の変化率にて変化させること、を要旨とする。
【0013】
また、請求項2,4に記載の発明は、前記フィルタ部は、前記目標値が制御限界値からしきい値までの範囲内にある場合に、前記第1の変化率から第2の変化率へと変更し前記目標値の変化率を下げること、を要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、アクチュエータの出力軸の角度の現在値を検出する検出手段と、指令値を前記角度の目標値に変換するフィルタ部と、前記現在値を前記目標値と一致するよう前記アクチュエータのモータを駆動制御する駆動制御部と、を備え、前記フィルタ部は、前記指令値が変化した場合に、該指令値に前記目標値を近づけるよう該目標値を第1の変化率にて変化させること、を要旨とする。
【0015】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、指令値が上下にハンチングしても目標値が急激に変化することがない。従って、激しく変動する制御目標に追従すべく制御対象が高速応答を繰り返すことがなく、高い安定性が確保される。また、操作量を大きくしても安定性が確保されるので応答性が高くなる。さらに、フィルタ部の機能は、単純な回路構成で実現することができるので、製造コストが抑えられ、かつ、高温等の過酷な環境下でも高い安定性が維持される。
【0016】
請求項2,4に記載の発明によれば、目標値が制御限界値近傍にあるときは、目標値の変化を小さくする。従って、駆動制御部が微分制御を組み合わせた制御を行った場合でも、オーバーシュート現象の発生を抑えて高い安定性を維持しつつ、応答性を高めることが可能になる。更に、制御限界値を超えた作動が防止されるので、制御限界を超えることにより生ずる不具合が発生しない。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、指令値が上下にハンチングしても目標値が急激に変化することがない。従って、激しく変動する制御目標に追従すべくモータが高速応答を繰り返すことがないので、過大な作動電流の通電による駆動制御部の温度上昇及びモータの焼損等が防止され、高い安定性が確保される。また、操作量を大きくしても安定性が確保されるので応答性が高くなる。さらに、フィルタ部の機能は、単純な回路構成で実現することができるので、製造コストが抑えられ、かつ、高温等の過酷な環境下でも高い安定性が維持される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を可変ノズル式ターボチャージャ(以下、VNターボ)におけるアクチュエータの出力軸の角度制御装置に具体化した一実施形態について、図1〜図4に従って説明する。
【0019】
図1に示すように、VNターボ1は、排気タービンハウジング2内に可変ノズル3を備え、当該可変ノズル3の開閉により、エンジン4の排ガス流量及びガス速度等に応じて排気タービン5に流れる排ガスの流速を制御し、コンプレッサ6の回転数を加給有効範囲内に維持するターボ加給システムである。
【0020】
可変ノズル3は、アクチュエータ7と連結されており、当該アクチュエータ7は、モータドライバ8に駆動制御されている。モータドライバ8は、ECU(電子制御装置)9と接続されており、当該ECU9の指示に基づきアクチュエータ7の駆動制御を行う。そして、ECU9は、図示しないセンサから出力される排ガス流量及びガス速度等を検出し、モータドライバ8に対し、可変ノズル3が最適開度となるようにアクチュエータ7を駆動制御するよう指示する。
【0021】
例えば、エンジン4の排ガス流量が少ない場合には、ECU9は、モータドライバ8に対し、可変ノズル3が閉じるようにアクチュエータ7を駆動制御するよう指示する。そして、当該可変ノズル3を通過する排ガスの流量を絞ることにより排気タービン5に流れる排ガスの流速を上げることで、排気タービン5の回転数を維持し、コンプレッサ6の回転数を加給有効範囲内に維持する。
【0022】
図2に示すように、可変ノズル3は、排気タービンハウジング2に固定されたノズルリング10と、当該ノズルリング10上に設けられた複数のノズルベーン11と、ノズルリング10の外周に回動可能に配設された調整リング12と、を備える。エンジン4の排ガスは、排気タービンハウジング2の外周側に導入され、隣り合う各ノズルベーン11の間から中心部の排気タービン5へと吹き付けられる。
【0023】
各ノズルベーン11は、ノズルリング10上に等角度間隔で設けられた回動軸(図示せず)にて回動可能に軸支されている。各ノズルベーン11と前記調整リング12とは、図示しない連結機構にて連結されており、当該調整リング12が回動することにより各ノズルベーン11が回動する。このとき、各ノズルベーン11間に形成される隙間は、当該各ノズルベーン11の回動によりその距離が可変する。即ち、可変ノズル3は、調整リング12の回動に伴う各ノズルベーン11の回動より開閉し、その開度が可変する。
【0024】
本実施形態では、各ノズルベーン11は、調整リング12が図中時計回り方向に回動することにより反時計回り方向に回動し、調整リング12が反時計回り方向に回動することにより時計回り方向に回動する。そして、各ノズルベーン11間に形成される隙間は、当該各ノズルベーン11が反時計回り方向に回動することにより広くなり、時計回り方向に回動することにより狭くなる。即ち、可変ノズル3は、調整リング12が時計回り方向に回動することにより開いた状態に、調整リング12が反時計時計回り方向に回動することにより閉じた状態となる。
【0025】
調整リング12は、連結レバー13を介して前記アクチュエータ7と連結されており、可変ノズル3は、当該アクチュエータ7の作動により調整リング12が回動することによりその開度が可変する。
【0026】
アクチュエータ7は、モータ14と、出力軸16と、を備える。モータ14は、前記モータドライバ8(図1参照)から電力が供給されることにより正逆回転し、当該モータ14が発生する回転トルクは、図示しない減速機構を介して出力軸16へ伝達される。
【0027】
出力軸16には、出力アーム17が装着されており、出力アーム17の先端(図中下側)には、前記連結レバー13の一端が回動可能に連結されている。連結レバー13の他端は、可変ノズル3の調整リング12と回動可能に連結されている。そして、出力軸16が回動することにより連結レバー13が往復運動し、当該往復運動により調整リング12が回動する。
【0028】
本実施形態では、出力アーム17が図中時計回り方向に回動し、当該出力アーム17と連結された連結レバー13が図中左方向に移動することにより、前記調整リングが時計回り方向に回動する。そして、出力アーム17が反時計回り方向に回動し連結レバー13が図中右方向に移動することにより前記調整リングが反時計回り方向に回動する。
【0029】
即ち、可変ノズル3は、モータドライバ8に駆動制御されたアクチュエータ7が作動することにより開閉する。詳しくは、アクチュエータ7の出力軸16に装着された前記出力アーム17の先端が図中鉛直方向下側にある場合に全閉状態となり、出力アーム17の先端が鉛直方向下側を0°として時計回り方向に50°回動した場合が全開状態となる。
【0030】
モータドライバ8によるアクチュエータ7の駆動制御は、当該アクチュエータ7の出力軸16の角度が、ECU9から出力された指令値(目標値)と一致するようモータ14へ供給する電力を制御することにより行われる。
【0031】
図3に示すように、モータドライバ8は、フィルタ部としての指令値フィルタ20と、検出手段としてのモータ作動角制御部21と、モータ駆動部22と、を備え、モータ駆動部22は、モータ作動角制御部21の指示に基づき駆動出力としてのモータ14への電力供給を行う。
【0032】
モータ作動角制御部21には、アクチュエータ7の出力軸16に設けられた角度センサ23が接続されており、モータ作動角制御部21は、出力軸16の角度を逐時検出する。本実施形態では、角度センサ23としてホールICが用いられており、出力軸16の角度、即ち可変ノズル3が全閉〜全閉状態となる角度(0°〜50°)に対応して、その端子電圧が0V〜2Vまで変化し、モータ作動角制御部21は、当該端子電圧の変化に基づき出力軸16の角度を検出する。
【0033】
ECU9から出力された指令値Voは、指令値フィルタ20に入力され、当該指令値フィルタ20により目標値Vtに変換されてモータ作動角制御部21へと出力される。そして、モータ作動角制御部21は、当該指令値フィルタ20から出力された目標値Vtと、角度センサ23によりフィードバックされた出力軸16の現在値Vc(モータ駆動部22の電力供給によりモータ14が作動した結果)と、が一致するようモータ14への電力供給を制御する。
【0034】
指令値フィルタ20は、ECU9から入力された指令値Voが変化した場合、当該変化後の指令値Voにモータ作動角制御部21へ出力する目標値Vtを近づけるよう当該目標値Vtを予め定められた変化率(単位時間あたりの目標値の変化量ΔVt)にて変化させる。
【0035】
図4に示すように、ECU9から入力される指令値Voに変化がない場合、指令値フィルタ20は、入力値である指令値Voをそのまま目標値Vtとしてモータ作動角制御部21へ出力する。
【0036】
次に、例えば、指令値Voが全開値Vtoから全閉値Vtcに減少した場合、指令値フィルタ20は、目標値Vtを変化後の指令値Voである全閉値Vtcに近づけるよう第1の変化率としての変化率α((全開値Vto−全閉値Vtc)/時間T1)にて減少させる。
【0037】
このとき、出力値である目標値Vtが予め定められた全閉しきい値Vbcを超えた場合、指令値フィルタ20は、出力する目標値Vtの変化率をより低い変化率である変化率β(全閉しきい値Vbc/時間T2、変化率α>変化率β)に変更する。そして、目標値Vtの変化の傾きをより緩やかにしてモータ作動角制御部21へ出力する。尚、本実施形態では、全閉しきい値Vbcは、角度センサ23の端子電圧に換算して39mvとなっている。そして、出力値である目標値Vtが入力値である指令値Voと一致した場合は、当該指令値Voが変化するまで、当該指令値Voを目標値Vtとしてそのままモータ作動角制御部21へ出力する。
【0038】
同様に、指令値フィルタ20は、入力値である指令値Voが全閉値Vtcから全開値Vtoに増加した場合、目標値Vtを変化後の指令値Voである全開値Vtoに近づけるよう第1の変化率としての変化率α((全開値Vto−全閉値Vtc)/時間T1)にて増加させる。そして、出力値である目標値Vtが、予め定められた全開しきい値Vboを超えた場合、指令値フィルタ20は、出力する目標値Vtの変化率をより低い第2の変化率としての変化率βに変更し、変化の傾きをより緩やかにしモータ作動角制御部21へ出力する。尚、本実施形態では、変化率βは(全開値Vto−全開しきい値Vbo)/時間T2、変化率α>変化率βとなっており、全開値Vto−全開しきい値Vboは、全閉しきい値Vbcと同じ角度センサ23の端子電圧に換算して39mvとなっている。
【0039】
そして、モータ作動角制御部21は、上記のように指令値フィルタ20から出力された目標値Vtと、角度センサ23によりフィードバックされた出力軸16の現在値Vcと、が一致するようモータ14への電力供給を制御する。本実施形態では、モータ作動角制御部21は、前記指令値フィルタ20から出力された目標値Vtと現在値Vcとの差(偏差)及びその変化量に基づき比例制御、積分制御及び微分制御の組み合わせ、即ちPID制御により、モータ駆動部22がモータ14へ供給する電力を制御する。
【0040】
次に、上記本実施形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)モータドライバ8は、ECU9から入力された指令値Voを目標値Vtに変換して出力する指令値フィルタ20と、モータ作動角制御部21と、当該モータ作動角制御部21の指示に基づきモータ14へ電力を供給するモータ駆動部22と、を備える。指令値フィルタ20は、前記指令値Voが変化した場合、当該変化後の指令値Voに前記目標値Vtを近づけるよう当該目標値Vtを予め定められた変化率にて変化させる。そして、モータ作動角制御部21は、当該指令値フィルタ20から出力された目標値Vtと、角度センサ23によりフィードバックされた出力軸16の現在値Vcと、が一致するようモータ14への電力供給を制御する。
【0041】
このような構成とすることにより、ECU9から出力される指令値Voが上下にハンチングしても、モータ作動角制御部21が制御目標とする目標値Vtは、急激に変化することがない。従って、激しく変動する制御目標に追従すべくモータ14が高速応答を繰り返すことがないので、過大な作動電流の通電によるモータ駆動部22の温度上昇及びモータ14の焼損等を防止することができ、高い安定性を確保することができる。また、操作量を大きくしても安定性を確保することができるので、応答性を高めることができる。
【0042】
さらに、指令値フィルタ20の機能は、単純な回路構成で実現することができるので、モータドライバ8の製造コストが抑えることができるとともに、エンジンルーム内等の高温環境でも高い安定性を維持することができる。
【0043】
(2)指令値フィルタ20は、出力値である目標値Vtが、制御限界値としての全閉値Vtcと全閉しきい値Vbcとの範囲内(制御限界値としての全開値Vtoと全開しきい値Vboとの範囲内)に至った場合、出力する目標値Vtの変化率をより低い変化率である変化率β(変化率α>変化率β)に変更する。そして、出力される目標値Vtの変化の傾きをより緩やかにしてモータ作動角制御部21へ出力する。
【0044】
これにより、目標値Vtがアクチュエータ7の設計上の作動限界値である可変ノズル3が全閉又は全開となる角度に近づいた場合には、更に目標値Vtの変化を小さくする。その結果、PID制御の場合でも設計上の作動限界値を超えるオーバーシュート現象を防止することができる。従って、作動限界を超えてアクチュエータ7が動作することがないため、アクチュエータ7の設計範囲を超えた動作に伴う不具合が生じることがない。その結果、オーバーシュート現象の発生を抑えつつ、微分ゲインを高めに設定し、微分制御項の比率を高くすることができるので、高い安定性を維持しつつ、高い応答性を実現することができる。
【0045】
なお、上記本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、可変ノズル式ターボチャージャ(以下、VNターボ)におけるアクチュエータの出力軸の角度制御装置に具体化した。しかし、これに限らず、VNターボ以外の用途に用いられるアクチュエータの出力軸の角度制御装置に具体化してもよく、さらに、アクチュエータ以外の出力軸の角度制御装置に具体化しても良い。また、角度制御以外の制御に具体化してもよい。
【0046】
・本実施形態では、モータ作動角制御部21は、PID制御により、モータ駆動部22がモータ14へ供給する電力を制御したが、PI制御を用いてもよく、その他のフィードバック制御を用いてもよい。
【0047】
・本実施形態では、角度センサ23としてホールICを用いたが、その他のセンサを用いてもよい。
・本実施形態では、駆動源としてモータ14を用いたアクチュエータ7に具体化したが、エンジン制御装置の指令値入力部に指令値フィルタ20を設けて、駆動源としてエンジン等を利用するものに具体化してもよい。
【0048】
・本実施形態では、モータドライバ8は、指令値フィルタ20と、モータ作動角制御部21と、モータ駆動部22と、を備えた。しかし、これに限らず、モータ作動角制御部21とモータ駆動部22とにより構成される駆動制御部を設け、当該駆動制御部にてモータ14を駆動制御する構成としてもよく、指令値フィルタ20をモータドライバ8の外部に接続してもよい。また、これら指令値フィルタ20、モータ作動角制御部21及びモータ駆動部22と、ECU9とを任意に組み合わせた構成としてもよい。
【0049】
・本実施形態では、変化率αを(全開値Vto−全閉値Vtc)/時間T1とした。しかし、これに限らず、変化率αは、その他の値であってもよく、指令値の変化量ΔVoに応じて変更してもよい。変化率βについても同様である。
【0050】
・本実施形態では、ノズル開放側と閉鎖側の変化率を同じに設定したが、開放側と閉鎖側で異なる変化率を用いてもよい。
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術思想について以下に追記する。
【0051】
(1)請求項3又は請求項4に記載の出力軸の角度制御装置において、前記駆動制御部は、PID制御により前記電力を制御すること、を特徴とする出力軸の角度制御装置。
【0052】
(2)請求項3、請求項4又は前記(1)に記載の出力軸の角度制御装置により駆動制御されるアクチュエータ。
(3)前記(2)に記載のアクチュエータと連結され該アクチュエータの作動により開度が可変する可変ノズルを備えた可変ノズル式ターボチャージャ。
【0053】
このような構成とすれば、低コストで安定的に作動し、かつ、アクチュエータの制御限界を超えた作動により不具合が発生することがない。
(4)制御対象の現在値を検出するステップと、指令値を目標値に変換するステップと、前記現在値と前記目標値とが一致するよう前記制御対象への駆動出力を制御するステップと、を備え、前記変換するステップは、前記指令値が変化した場合に、該指令値に前記目標値を近づけるよう該目標値を第1の変化率にて変化させること、を特徴とする制御方法。
【0054】
(5)前記(4)に記載の制御方法において、前記変換するステップは、前記目標値が制御限界値からしきい値までの範囲内にある場合に、前記第1の変化率から第2の変化率へと変更し前記目標値の変化率を下げること、を特徴とする制御方法。
【0055】
(6)アクチュエータの出力軸の角度の現在値を検出するステップと、指令値を前記角度の目標値に変換して出力する変換ステップと、前記現在値と前記目標値とが一致するよう前記アクチュエータのモータを駆動制御するステップと、を備え、前記変換するステップは、前記指令値が変化した場合に、該指令値に前記目標値を近づけるよう該目標値を第1の変化率にて変化させること、を特徴とする出力軸の角度制御方法。
【0056】
(7)前記(6)に記載の出力軸の角度制御方法において、前記変換するステップは、前記目標値が制御限界値からしきい値までの範囲内にある場合に、前記第1の変化率から第2の変化率へと変更し前記目標値の変化率を下げること、を特徴とする出力軸の角度制御方法。
【0057】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、低コストかつ安定性の高い制御装置及び出力軸の角度制御装置を提供することを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可変ノズル式ターボチャージャ(VNターボ)の概略構成図。
【図2】可変ノズル及びアクチュエータの概略構成図。
【図3】アクチュエータの出力軸角度制御装置の概略構成図。
【図4】指令値フィルタへ入力値(指令値)と出力値(目標値)の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
7…アクチュエータ、8…モータドライバ、9…ECU、14…モータ、16…出力軸、20…指令値フィルタ、21…モータ作動角制御部、22…モータ駆動部、23…角度センサ、α…第1の変化率、β…第2の変化率、Vbc…全閉しきい値、Vbo…全開しきい値、Vto…全開値、Vtc…全閉値、Vc…現在値、Vo…指令値、Vt…目標値。
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御装置及び出力軸の角度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、モータ等の出力軸角度を制御する方法としては、指令値(目標値)と制御量(操作量)及びその結果との比較により制御を行うフィードバック制御、特にPID制御が多く用いられている。
【0003】
PID制御は、目標値と現在値との差である偏差に比例した操作量を与える比例制御(Proportional制御)、偏差の時間的累積値に対応した操作量を与える積分制御(Integral制御)及び偏差の変化量に対応した操作量を与える微分制御(Deffrential制御)を組み合わせた制御方法である。
【0004】
例えば、サンプリング(離散値)方式によるPID制御の場合、その基本式は、操作量=比例項(Kp×偏差)+積分項(Ki×偏差の累積値)+微分項(Kd×偏差の変化量)で表され、各制御項の制御係数(ゲイン)であるKp,Ki及びKdを最適化することで、スムーズかつ応答性の高い制御が可能となる。
【0005】
特に、外乱要因が強い環境下においては、微分ゲインKdを高くし、目標値に対する応答性を高めることで、急激に目標値及び現在値が変化した場合であっても機敏に制御を行うことができる。
【0006】
しかし、微分項のウェイトを高くした場合には、操作後の値が目標値を超えてしまう所謂オーバーシュート現象が起こるため、このようなオーバーシュート現象が許容できない環境においては、微分ゲインKdを高くすることができない。
【0007】
さらに、一定の変化点を境として目標値が極端に変化する可能性がある場合(目標値決定の基礎となる制御マップが粗い場合等)には、目標値決定の基礎となる検出値が当該変化点近傍で上下したときに、モータ制御部へ出力される目標値(指令値)自体がハンチングすることがある。このような場合、特に、比例ゲインKpを高く設定した場合には、かかる指令値に追従すべくモータが高速応答を繰り返すことにより、過大な電流が流れ、モータ駆動部が高温となるのみならず、モータ自体が焼損する恐れがある。
【0008】
従来、上記のような外乱要因の強い環境下においてもオーバーシュート現象を回避し、かつスムーズで応答性の高い制御を実現する方法として、状況に応じてリアルタイムに前記各制御項の制御係数を自動的に最適化する制御方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【0009】
【特許文献1】
特開平06−019510号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、リアルタイムに制御係数の最適化を行うためには、複雑かつ高度な計算を高速に行うことができる高価なマイコン等を制御装置に搭載する必要があるため製造コストが高くなる。さらに、エンジンルームは、かなりの高温となるため、このような過酷な環境の下での信頼性を確保するのが困難であるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、低コストかつ安定性の高い制御装置及び出力軸の角度制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、制御対象の現在値を検出する検出手段と、指令値を目標値に変換するフィルタ部と、前記現在値を前記目標値と一致するよう前記制御対象への駆動出力を制御する駆動制御部と、を備え、前記フィルタ部は、前記指令値が変化した場合に、該指令値に前記目標値を近づけるよう該目標値を第1の変化率にて変化させること、を要旨とする。
【0013】
また、請求項2,4に記載の発明は、前記フィルタ部は、前記目標値が制御限界値からしきい値までの範囲内にある場合に、前記第1の変化率から第2の変化率へと変更し前記目標値の変化率を下げること、を要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、アクチュエータの出力軸の角度の現在値を検出する検出手段と、指令値を前記角度の目標値に変換するフィルタ部と、前記現在値を前記目標値と一致するよう前記アクチュエータのモータを駆動制御する駆動制御部と、を備え、前記フィルタ部は、前記指令値が変化した場合に、該指令値に前記目標値を近づけるよう該目標値を第1の変化率にて変化させること、を要旨とする。
【0015】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、指令値が上下にハンチングしても目標値が急激に変化することがない。従って、激しく変動する制御目標に追従すべく制御対象が高速応答を繰り返すことがなく、高い安定性が確保される。また、操作量を大きくしても安定性が確保されるので応答性が高くなる。さらに、フィルタ部の機能は、単純な回路構成で実現することができるので、製造コストが抑えられ、かつ、高温等の過酷な環境下でも高い安定性が維持される。
【0016】
請求項2,4に記載の発明によれば、目標値が制御限界値近傍にあるときは、目標値の変化を小さくする。従って、駆動制御部が微分制御を組み合わせた制御を行った場合でも、オーバーシュート現象の発生を抑えて高い安定性を維持しつつ、応答性を高めることが可能になる。更に、制御限界値を超えた作動が防止されるので、制御限界を超えることにより生ずる不具合が発生しない。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、指令値が上下にハンチングしても目標値が急激に変化することがない。従って、激しく変動する制御目標に追従すべくモータが高速応答を繰り返すことがないので、過大な作動電流の通電による駆動制御部の温度上昇及びモータの焼損等が防止され、高い安定性が確保される。また、操作量を大きくしても安定性が確保されるので応答性が高くなる。さらに、フィルタ部の機能は、単純な回路構成で実現することができるので、製造コストが抑えられ、かつ、高温等の過酷な環境下でも高い安定性が維持される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を可変ノズル式ターボチャージャ(以下、VNターボ)におけるアクチュエータの出力軸の角度制御装置に具体化した一実施形態について、図1〜図4に従って説明する。
【0019】
図1に示すように、VNターボ1は、排気タービンハウジング2内に可変ノズル3を備え、当該可変ノズル3の開閉により、エンジン4の排ガス流量及びガス速度等に応じて排気タービン5に流れる排ガスの流速を制御し、コンプレッサ6の回転数を加給有効範囲内に維持するターボ加給システムである。
【0020】
可変ノズル3は、アクチュエータ7と連結されており、当該アクチュエータ7は、モータドライバ8に駆動制御されている。モータドライバ8は、ECU(電子制御装置)9と接続されており、当該ECU9の指示に基づきアクチュエータ7の駆動制御を行う。そして、ECU9は、図示しないセンサから出力される排ガス流量及びガス速度等を検出し、モータドライバ8に対し、可変ノズル3が最適開度となるようにアクチュエータ7を駆動制御するよう指示する。
【0021】
例えば、エンジン4の排ガス流量が少ない場合には、ECU9は、モータドライバ8に対し、可変ノズル3が閉じるようにアクチュエータ7を駆動制御するよう指示する。そして、当該可変ノズル3を通過する排ガスの流量を絞ることにより排気タービン5に流れる排ガスの流速を上げることで、排気タービン5の回転数を維持し、コンプレッサ6の回転数を加給有効範囲内に維持する。
【0022】
図2に示すように、可変ノズル3は、排気タービンハウジング2に固定されたノズルリング10と、当該ノズルリング10上に設けられた複数のノズルベーン11と、ノズルリング10の外周に回動可能に配設された調整リング12と、を備える。エンジン4の排ガスは、排気タービンハウジング2の外周側に導入され、隣り合う各ノズルベーン11の間から中心部の排気タービン5へと吹き付けられる。
【0023】
各ノズルベーン11は、ノズルリング10上に等角度間隔で設けられた回動軸(図示せず)にて回動可能に軸支されている。各ノズルベーン11と前記調整リング12とは、図示しない連結機構にて連結されており、当該調整リング12が回動することにより各ノズルベーン11が回動する。このとき、各ノズルベーン11間に形成される隙間は、当該各ノズルベーン11の回動によりその距離が可変する。即ち、可変ノズル3は、調整リング12の回動に伴う各ノズルベーン11の回動より開閉し、その開度が可変する。
【0024】
本実施形態では、各ノズルベーン11は、調整リング12が図中時計回り方向に回動することにより反時計回り方向に回動し、調整リング12が反時計回り方向に回動することにより時計回り方向に回動する。そして、各ノズルベーン11間に形成される隙間は、当該各ノズルベーン11が反時計回り方向に回動することにより広くなり、時計回り方向に回動することにより狭くなる。即ち、可変ノズル3は、調整リング12が時計回り方向に回動することにより開いた状態に、調整リング12が反時計時計回り方向に回動することにより閉じた状態となる。
【0025】
調整リング12は、連結レバー13を介して前記アクチュエータ7と連結されており、可変ノズル3は、当該アクチュエータ7の作動により調整リング12が回動することによりその開度が可変する。
【0026】
アクチュエータ7は、モータ14と、出力軸16と、を備える。モータ14は、前記モータドライバ8(図1参照)から電力が供給されることにより正逆回転し、当該モータ14が発生する回転トルクは、図示しない減速機構を介して出力軸16へ伝達される。
【0027】
出力軸16には、出力アーム17が装着されており、出力アーム17の先端(図中下側)には、前記連結レバー13の一端が回動可能に連結されている。連結レバー13の他端は、可変ノズル3の調整リング12と回動可能に連結されている。そして、出力軸16が回動することにより連結レバー13が往復運動し、当該往復運動により調整リング12が回動する。
【0028】
本実施形態では、出力アーム17が図中時計回り方向に回動し、当該出力アーム17と連結された連結レバー13が図中左方向に移動することにより、前記調整リングが時計回り方向に回動する。そして、出力アーム17が反時計回り方向に回動し連結レバー13が図中右方向に移動することにより前記調整リングが反時計回り方向に回動する。
【0029】
即ち、可変ノズル3は、モータドライバ8に駆動制御されたアクチュエータ7が作動することにより開閉する。詳しくは、アクチュエータ7の出力軸16に装着された前記出力アーム17の先端が図中鉛直方向下側にある場合に全閉状態となり、出力アーム17の先端が鉛直方向下側を0°として時計回り方向に50°回動した場合が全開状態となる。
【0030】
モータドライバ8によるアクチュエータ7の駆動制御は、当該アクチュエータ7の出力軸16の角度が、ECU9から出力された指令値(目標値)と一致するようモータ14へ供給する電力を制御することにより行われる。
【0031】
図3に示すように、モータドライバ8は、フィルタ部としての指令値フィルタ20と、検出手段としてのモータ作動角制御部21と、モータ駆動部22と、を備え、モータ駆動部22は、モータ作動角制御部21の指示に基づき駆動出力としてのモータ14への電力供給を行う。
【0032】
モータ作動角制御部21には、アクチュエータ7の出力軸16に設けられた角度センサ23が接続されており、モータ作動角制御部21は、出力軸16の角度を逐時検出する。本実施形態では、角度センサ23としてホールICが用いられており、出力軸16の角度、即ち可変ノズル3が全閉〜全閉状態となる角度(0°〜50°)に対応して、その端子電圧が0V〜2Vまで変化し、モータ作動角制御部21は、当該端子電圧の変化に基づき出力軸16の角度を検出する。
【0033】
ECU9から出力された指令値Voは、指令値フィルタ20に入力され、当該指令値フィルタ20により目標値Vtに変換されてモータ作動角制御部21へと出力される。そして、モータ作動角制御部21は、当該指令値フィルタ20から出力された目標値Vtと、角度センサ23によりフィードバックされた出力軸16の現在値Vc(モータ駆動部22の電力供給によりモータ14が作動した結果)と、が一致するようモータ14への電力供給を制御する。
【0034】
指令値フィルタ20は、ECU9から入力された指令値Voが変化した場合、当該変化後の指令値Voにモータ作動角制御部21へ出力する目標値Vtを近づけるよう当該目標値Vtを予め定められた変化率(単位時間あたりの目標値の変化量ΔVt)にて変化させる。
【0035】
図4に示すように、ECU9から入力される指令値Voに変化がない場合、指令値フィルタ20は、入力値である指令値Voをそのまま目標値Vtとしてモータ作動角制御部21へ出力する。
【0036】
次に、例えば、指令値Voが全開値Vtoから全閉値Vtcに減少した場合、指令値フィルタ20は、目標値Vtを変化後の指令値Voである全閉値Vtcに近づけるよう第1の変化率としての変化率α((全開値Vto−全閉値Vtc)/時間T1)にて減少させる。
【0037】
このとき、出力値である目標値Vtが予め定められた全閉しきい値Vbcを超えた場合、指令値フィルタ20は、出力する目標値Vtの変化率をより低い変化率である変化率β(全閉しきい値Vbc/時間T2、変化率α>変化率β)に変更する。そして、目標値Vtの変化の傾きをより緩やかにしてモータ作動角制御部21へ出力する。尚、本実施形態では、全閉しきい値Vbcは、角度センサ23の端子電圧に換算して39mvとなっている。そして、出力値である目標値Vtが入力値である指令値Voと一致した場合は、当該指令値Voが変化するまで、当該指令値Voを目標値Vtとしてそのままモータ作動角制御部21へ出力する。
【0038】
同様に、指令値フィルタ20は、入力値である指令値Voが全閉値Vtcから全開値Vtoに増加した場合、目標値Vtを変化後の指令値Voである全開値Vtoに近づけるよう第1の変化率としての変化率α((全開値Vto−全閉値Vtc)/時間T1)にて増加させる。そして、出力値である目標値Vtが、予め定められた全開しきい値Vboを超えた場合、指令値フィルタ20は、出力する目標値Vtの変化率をより低い第2の変化率としての変化率βに変更し、変化の傾きをより緩やかにしモータ作動角制御部21へ出力する。尚、本実施形態では、変化率βは(全開値Vto−全開しきい値Vbo)/時間T2、変化率α>変化率βとなっており、全開値Vto−全開しきい値Vboは、全閉しきい値Vbcと同じ角度センサ23の端子電圧に換算して39mvとなっている。
【0039】
そして、モータ作動角制御部21は、上記のように指令値フィルタ20から出力された目標値Vtと、角度センサ23によりフィードバックされた出力軸16の現在値Vcと、が一致するようモータ14への電力供給を制御する。本実施形態では、モータ作動角制御部21は、前記指令値フィルタ20から出力された目標値Vtと現在値Vcとの差(偏差)及びその変化量に基づき比例制御、積分制御及び微分制御の組み合わせ、即ちPID制御により、モータ駆動部22がモータ14へ供給する電力を制御する。
【0040】
次に、上記本実施形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)モータドライバ8は、ECU9から入力された指令値Voを目標値Vtに変換して出力する指令値フィルタ20と、モータ作動角制御部21と、当該モータ作動角制御部21の指示に基づきモータ14へ電力を供給するモータ駆動部22と、を備える。指令値フィルタ20は、前記指令値Voが変化した場合、当該変化後の指令値Voに前記目標値Vtを近づけるよう当該目標値Vtを予め定められた変化率にて変化させる。そして、モータ作動角制御部21は、当該指令値フィルタ20から出力された目標値Vtと、角度センサ23によりフィードバックされた出力軸16の現在値Vcと、が一致するようモータ14への電力供給を制御する。
【0041】
このような構成とすることにより、ECU9から出力される指令値Voが上下にハンチングしても、モータ作動角制御部21が制御目標とする目標値Vtは、急激に変化することがない。従って、激しく変動する制御目標に追従すべくモータ14が高速応答を繰り返すことがないので、過大な作動電流の通電によるモータ駆動部22の温度上昇及びモータ14の焼損等を防止することができ、高い安定性を確保することができる。また、操作量を大きくしても安定性を確保することができるので、応答性を高めることができる。
【0042】
さらに、指令値フィルタ20の機能は、単純な回路構成で実現することができるので、モータドライバ8の製造コストが抑えることができるとともに、エンジンルーム内等の高温環境でも高い安定性を維持することができる。
【0043】
(2)指令値フィルタ20は、出力値である目標値Vtが、制御限界値としての全閉値Vtcと全閉しきい値Vbcとの範囲内(制御限界値としての全開値Vtoと全開しきい値Vboとの範囲内)に至った場合、出力する目標値Vtの変化率をより低い変化率である変化率β(変化率α>変化率β)に変更する。そして、出力される目標値Vtの変化の傾きをより緩やかにしてモータ作動角制御部21へ出力する。
【0044】
これにより、目標値Vtがアクチュエータ7の設計上の作動限界値である可変ノズル3が全閉又は全開となる角度に近づいた場合には、更に目標値Vtの変化を小さくする。その結果、PID制御の場合でも設計上の作動限界値を超えるオーバーシュート現象を防止することができる。従って、作動限界を超えてアクチュエータ7が動作することがないため、アクチュエータ7の設計範囲を超えた動作に伴う不具合が生じることがない。その結果、オーバーシュート現象の発生を抑えつつ、微分ゲインを高めに設定し、微分制御項の比率を高くすることができるので、高い安定性を維持しつつ、高い応答性を実現することができる。
【0045】
なお、上記本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、可変ノズル式ターボチャージャ(以下、VNターボ)におけるアクチュエータの出力軸の角度制御装置に具体化した。しかし、これに限らず、VNターボ以外の用途に用いられるアクチュエータの出力軸の角度制御装置に具体化してもよく、さらに、アクチュエータ以外の出力軸の角度制御装置に具体化しても良い。また、角度制御以外の制御に具体化してもよい。
【0046】
・本実施形態では、モータ作動角制御部21は、PID制御により、モータ駆動部22がモータ14へ供給する電力を制御したが、PI制御を用いてもよく、その他のフィードバック制御を用いてもよい。
【0047】
・本実施形態では、角度センサ23としてホールICを用いたが、その他のセンサを用いてもよい。
・本実施形態では、駆動源としてモータ14を用いたアクチュエータ7に具体化したが、エンジン制御装置の指令値入力部に指令値フィルタ20を設けて、駆動源としてエンジン等を利用するものに具体化してもよい。
【0048】
・本実施形態では、モータドライバ8は、指令値フィルタ20と、モータ作動角制御部21と、モータ駆動部22と、を備えた。しかし、これに限らず、モータ作動角制御部21とモータ駆動部22とにより構成される駆動制御部を設け、当該駆動制御部にてモータ14を駆動制御する構成としてもよく、指令値フィルタ20をモータドライバ8の外部に接続してもよい。また、これら指令値フィルタ20、モータ作動角制御部21及びモータ駆動部22と、ECU9とを任意に組み合わせた構成としてもよい。
【0049】
・本実施形態では、変化率αを(全開値Vto−全閉値Vtc)/時間T1とした。しかし、これに限らず、変化率αは、その他の値であってもよく、指令値の変化量ΔVoに応じて変更してもよい。変化率βについても同様である。
【0050】
・本実施形態では、ノズル開放側と閉鎖側の変化率を同じに設定したが、開放側と閉鎖側で異なる変化率を用いてもよい。
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術思想について以下に追記する。
【0051】
(1)請求項3又は請求項4に記載の出力軸の角度制御装置において、前記駆動制御部は、PID制御により前記電力を制御すること、を特徴とする出力軸の角度制御装置。
【0052】
(2)請求項3、請求項4又は前記(1)に記載の出力軸の角度制御装置により駆動制御されるアクチュエータ。
(3)前記(2)に記載のアクチュエータと連結され該アクチュエータの作動により開度が可変する可変ノズルを備えた可変ノズル式ターボチャージャ。
【0053】
このような構成とすれば、低コストで安定的に作動し、かつ、アクチュエータの制御限界を超えた作動により不具合が発生することがない。
(4)制御対象の現在値を検出するステップと、指令値を目標値に変換するステップと、前記現在値と前記目標値とが一致するよう前記制御対象への駆動出力を制御するステップと、を備え、前記変換するステップは、前記指令値が変化した場合に、該指令値に前記目標値を近づけるよう該目標値を第1の変化率にて変化させること、を特徴とする制御方法。
【0054】
(5)前記(4)に記載の制御方法において、前記変換するステップは、前記目標値が制御限界値からしきい値までの範囲内にある場合に、前記第1の変化率から第2の変化率へと変更し前記目標値の変化率を下げること、を特徴とする制御方法。
【0055】
(6)アクチュエータの出力軸の角度の現在値を検出するステップと、指令値を前記角度の目標値に変換して出力する変換ステップと、前記現在値と前記目標値とが一致するよう前記アクチュエータのモータを駆動制御するステップと、を備え、前記変換するステップは、前記指令値が変化した場合に、該指令値に前記目標値を近づけるよう該目標値を第1の変化率にて変化させること、を特徴とする出力軸の角度制御方法。
【0056】
(7)前記(6)に記載の出力軸の角度制御方法において、前記変換するステップは、前記目標値が制御限界値からしきい値までの範囲内にある場合に、前記第1の変化率から第2の変化率へと変更し前記目標値の変化率を下げること、を特徴とする出力軸の角度制御方法。
【0057】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、低コストかつ安定性の高い制御装置及び出力軸の角度制御装置を提供することを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可変ノズル式ターボチャージャ(VNターボ)の概略構成図。
【図2】可変ノズル及びアクチュエータの概略構成図。
【図3】アクチュエータの出力軸角度制御装置の概略構成図。
【図4】指令値フィルタへ入力値(指令値)と出力値(目標値)の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
7…アクチュエータ、8…モータドライバ、9…ECU、14…モータ、16…出力軸、20…指令値フィルタ、21…モータ作動角制御部、22…モータ駆動部、23…角度センサ、α…第1の変化率、β…第2の変化率、Vbc…全閉しきい値、Vbo…全開しきい値、Vto…全開値、Vtc…全閉値、Vc…現在値、Vo…指令値、Vt…目標値。
Claims (4)
- 制御対象の現在値を検出する検出手段と、
指令値を目標値に変換するフィルタ部と、
前記現在値を前記目標値と一致するよう前記制御対象への駆動出力を制御する駆動制御部と、を備え、
前記フィルタ部は、前記指令値が変化した場合に、該指令値に前記目標値を近づけるよう該目標値を第1の変化率にて変化させること、を特徴とする制御装置。 - 請求項1に記載の制御装置において、
前記フィルタ部は、前記目標値が制御限界値からしきい値までの範囲内にある場合に、前記第1の変化率から第2の変化率へと変更し前記目標値の変化率を下げること、を特徴とする制御装置。 - アクチュエータの出力軸の角度の現在値を検出する検出手段と、
指令値を前記角度の目標値に変換するフィルタ部と、
前記現在値を前記目標値と一致するよう前記アクチュエータのモータを駆動制御する駆動制御部と、を備え、
前記フィルタ部は、前記指令値が変化した場合に、該指令値に前記目標値を近づけるよう該目標値を第1の変化率にて変化させること、を特徴とする出力軸の角度制御装置。 - 請求項3に記載の出力軸の角度制御装置において、
前記フィルタ部は、前記目標値が制御限界値からしきい値までの範囲内にある場合に、前記第1の変化率から第2の変化率へと変更し前記目標値の変化率を下げること、を特徴とする出力軸の角度制御装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014045716A (ja) * | 2012-08-31 | 2014-03-17 | Mitsubishi Agricultural Machinery Co Ltd | 作業車両の昇降制御装置 |
-
2002
- 2002-11-06 JP JP2002322780A patent/JP2004157763A/ja active Pending
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JP2014045716A (ja) * | 2012-08-31 | 2014-03-17 | Mitsubishi Agricultural Machinery Co Ltd | 作業車両の昇降制御装置 |
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