JP2004157403A - 光学部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】各界面での反射を高レベルに低減でき、広い波長範囲で低反射率である反射防止膜を持つ最適な光学部品を、設計波長の異なる複数種類のなかから使用波長に応じて選択可能にした光学部品を提供すること。
【解決手段】光ファイバ23とロッドレンズ22の間に反射防止膜25を形成した光ファイバコリメータ21であって、設計波長(例えば1.55μm)で、光ファイバ23表面の屈折率n1とこれに接する部分の反射防止膜25の屈折率が等しくなるようにし、ロッドレンズ22表面の屈折率n2とこれに接する部分の反射防止膜25の屈折率が等しくなるようにする。また、反射防止膜25内の屈折率を屈折率n1からn2まで連続的に変化させるようにする。設計波長で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、設計波長を中心とする広い波長範囲で反射が十分に低減される。
【選択図】 図1
【解決手段】光ファイバ23とロッドレンズ22の間に反射防止膜25を形成した光ファイバコリメータ21であって、設計波長(例えば1.55μm)で、光ファイバ23表面の屈折率n1とこれに接する部分の反射防止膜25の屈折率が等しくなるようにし、ロッドレンズ22表面の屈折率n2とこれに接する部分の反射防止膜25の屈折率が等しくなるようにする。また、反射防止膜25内の屈折率を屈折率n1からn2まで連続的に変化させるようにする。設計波長で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、設計波長を中心とする広い波長範囲で反射が十分に低減される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屈折率の異なる2つの光学部材間に反射防止膜を形成した光学部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、2つの光学部材を接合する技術として、例えば、次のものがある。(従来例1)2つのプリズムにそれぞれ形成された反射防止膜同士を接着剤で接合する構造のもので、反射防止膜の屈折率値をプリズムと接着剤の中間の値にした光学部品(例えば、特許文献1)。(従来例2)第1の硝子材に形成された第1層及び第2層からなる反射防止膜と第2の硝子材とを、第2の硝子材との屈折率の差が0.1以内の接着剤で接合した光学部品(例えば、特許文献2)。
【0003】
なお、現在の光通信分野では、石英系ガラスの光ファイバ(単一モード光ファイバ)で最も損失の小さい1.55μmの波長を使うのが主流であるが、1.3μmや1.2μmあるいは光増幅器の励起光(ポンプ光)に使われる0.98μmなどの波長も使用される。このように使用波長の異なる様々な用途で、各界面での反射を高レベルに低減できて、反射率を広い波長範囲で所定値以下にすることが要求されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−27301号公報。
【特許文献2】
特開平7−225301号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記各従来例では、次のような問題点がある。(1)上記従来例1では、反射防止膜の屈折率値をプリズムと接着剤の中間の値にしても、反射防止膜と接着剤或いはプリズムとの間にそれぞれ屈折率差がある程度存在するため、反射防止性能が十分ではない。すなわち、反射防止膜と接着剤或いはプリズムとの各界面での反射を十分に低減できない。(2)上記従来例2のように、第1層及び第2層からなる反射防止膜では、設計波長以外で反射が大きくなってしまい、所定値以下の反射率が得られる波長帯域が狭い。つまり、広い波長範囲で低反射率である反射防止膜が得られない。(3)上記従来例2では、一定波長、つまり設計波長の1波長では、第1の硝子材に形成された反射防止膜と第2の硝子材とを、第2の硝子材との屈折率の差が0.1以内の接着剤で接合できるが、他の波長ではその屈折率差が0.1以内にならない場合もある。これは、反射を防止したい反射防止膜の各界面の両側の硝子材(第1および第2の硝子材)の屈折率には一般に波長分散があり、これを考慮した設計指針が確立していないためである。つまり、設計波長からずれた波長で使用される場合、2つの硝子材の屈折率が設計波長での値と波長分散によりそれぞれ異なるために、各界面で屈折率段差(屈折率の不整合)が生じてしまう。なお、ここにいう「波長分散」とは、レンズや光ファイバなどの光学部材の屈折率が波長によって異なる(波長が短いほど大きい)ことをいう。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、各界面での反射を高レベルに低減でき、広い波長範囲で低反射率である反射防止膜を持つ最適な光学部品を、設計波長の異なる複数種類のなかから使用波長に応じて選択可能にした光学部品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、屈折率の異なる第1の光学部材と第2の光学部材の間に反射防止膜を形成した光学部品であって、前記反射防止膜の設計波長で、前記第1の光学部材の表面の屈折率n1とこれに接する部分の前記反射防止膜の屈折率が等しくなるようにするとともに、前記第2の光学部材の表面の屈折率n2とこれに接する部分の前記反射防止膜の屈折率が等しくなるようにし、また、前記反射防止膜内の屈折率を前記屈折率n1から前記屈折率n2まで連続的或いは段階的に変化させるようにしたことを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、(1)設計波長で、第1の光学部材の表面の屈折率n1とこれに接する部分の反射防止膜の屈折率が等しくなるようにするとともに、第2の光学部材の表面の屈折率n2とこれに接する部分の反射防止膜の屈折率が等しくなるようにしている。このため、設計波長の光に対して、第1の光学部材および第2の光学部材と反射防止膜との各界面でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面での反射の発生が十分に低減される。これにより、設計波長の異なる反射防止膜を形成した複数種類の光学部品、例えば設計波長が1.55μm用の光学部品、同波長が1.3μm用のもの、同波長が1.2μm用のものなどを用意することができる。(2)反射防止膜内の屈折率を屈折率n1から屈折率n2まで連続的或いは段階的に変化させるようにしたので、設計波長を中心とする広い波長範囲で反射が十分に低減される。つまり、波長がある範囲で変化しても、反射率をある値以下に抑えることができる。
【0009】
したがって、各界面での反射を高レベルに低減でき、広い波長範囲で低反射率である反射防止膜を持つ最適な光学部品を、設計波長の異なる複数種類のなかから使用波長に応じて選択可能になる。
【0010】
なお、ここにいう「光学部材」とは、石英ガラス、その他のガラス、樹脂、半導体、誘電体で形成されたロッドレンズ、ロッドレンズ以外の各種レンズ、プリズム等の各種光学部材の他に、液体や気体の媒質を含む概念で用いる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光学部品において、前記反射防止膜は、反射率が所定値以下になる所定の波長範囲のほぼ中央で反射率が最小になることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、所定の波長範囲のほぼ中央の波長を設計波長とすることにより、所定の波長範囲で反射率が所定値以下になる反射防止膜を第1および第2の光学部材間に形成できる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の光学部品において、前記反射防止膜は、屈折率が膜厚方向に対して単調に変化する関数で表される屈折率分布を持つことを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、屈折率分布の関数を適宜に設定することで、前記屈折率n1と屈折率n2を滑らかに結ぶような反射防止膜を形成することができるので、反射防止膜の設計の自由度が増すとともに、その設計が容易になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光学部品の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[一実施形態]
本発明に係る光学部品を具体化した光ファイバコリメータについて図1〜図3を参照して説明する。光学部品としての光ファイバコリメータ21は、図1に示すように、第1の光学部材としての屈折率分布型ロッドレンズ22と、第2の光学部材としての光ファイバ(単一モード光ファイバ)23とを、ガラスチューブ24内に配置して結合したものである。
【0016】
屈折率分布型ロッドレンズ(以下、ロッドレンズという。)22の端面には、反射防止膜25が形成されている。光ファイバ23は、それとほぼ同一径の光ファイバ挿入孔を設けたガラス製のキャピラリ26に通してある。また、光ファイバ23の端面は光ファイバ長手方向(コア中心軸)に対して垂直に研磨されている。この研磨がなされた光ファイバ23及びキャピラリ26の端面を反射防止膜25に貼り合わせ、不図示の紫外線硬化型光学接着剤に紫外線を照射して硬化させる。これにより、ロッドレンズ22の端面に形成した反射防止膜25と光ファイバ23及びキャピラリ26とが接合される。
【0017】
このようにして作製される光ファイバコリメータ21を2組使うことで、コリメータ光学装置が構成される。このコリメータ光学装置は、光ファイバ23(入射側の単一モード光ファイバ)から出射した光をロッドレンズ22により平行光にし、この平行光を別のロッドレンズにより集光して受光側の単一モード光ファイバ(図示省略)に結合するようになっている。そして、このコリメータ光学装置は、両ロッドレンズ間に光機能素子(例えば、光学フィルタ、光アイソレータ、光スイッチ、光変調器等)を挿入することにより、光ファイバ23を伝搬してきた光に所定の作用を及ぼしたのち、受光側の光ファイバに結合して伝搬させる機能を有する。
【0018】
図2は、図1のX部拡大図で、光ファイバ23及びキャピラリ26と反射防止膜25との接続部を拡大して示している。図2に示すように、反射防止膜25は、n層からなる多数の薄膜L1,L2,L3,・・・Lnを積層した多層膜である。この反射防止膜25は、設計波長(例えば1.55μm)で、光ファイバ23の端面(表面)に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面(表面)に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2と等しくなるように作製されている。また、反射防止膜25内の屈折率が、前記屈折率n1から前記屈折率n2まで連続的に変化するように、反射防止膜25は作製されている。
【0019】
つまり、反射防止膜25は、光ファイバ23との界面27で屈折率が光ファイバ23の屈折率n1にほぼ等しく、ロッドレンズ22との界面28で屈折率がロッドレンズ22の屈折率n2にほぼ等しくなるように各薄膜の屈折率を徐々に変化させて形成されている。層数を充分多くすれば、この反射防止膜25は、図3に示すように、光ファイバ23の屈折率n1にほぼ等しい値からロッドレンズ22の屈折率n2にほぼ等しい値まで、屈折率が膜厚方向に対して単調に増加する関数(本例では一次式)で表される屈折率分布を持っていると見なせる。すなわち、本例の反射防止膜25は、光ファイバ23,ロッドレンズ22の屈折率n1,n2を滑らかに結ぶように屈折率が膜厚方向に対して直線的に変化する屈折率傾斜膜である。
【0020】
(反射防止膜の作製方法)
次に、一次式で表される屈折率分布を持つ反射防止膜25の作製方法について説明する。
【0021】
反射防止膜25は、例えば、得られる膜の屈折率の異なるターゲット材料を同時放電させ、それぞれの放電出力を制御することで成膜することができる。例えば、酸素を反応ガスとする反応性スパッタリングにより、
Si+Ti+O2→SixTiyOzや、
Si+Al+O2→SixAlyOz
のような混合膜を形成できる。ここで、「SixTiyOz」は、酸化シリコンと酸化チタンとの混合物からなる薄膜である。また、「SixAlyOz」は、酸化シリコンと酸化アルミニウムとの混合物からなる薄膜である。
【0022】
以上のように構成された一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(イ)設計波長(例えば1.55μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。これにより、設計波長の異なる反射防止膜を形成した複数種類の光学部品、例えば設計波長が1.55μm用の光学部品、同波長が1.3μm用のもの、同波長が1.2μm用のものなどを用意することができる。このため、設計波長(例えば1.55μm)の光に対して、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面での反射の発生が十分に低減される。これにより、設計波長の異なる反射防止膜を形成した複数種類の光学部品、例えば設計波長が1.55μm用の光学部品、同波長が1.3μm用のもの、同波長が1.2μm用のものなどを用意することができる。つまり、様々な用途での使用波長に対応できる品揃えをすることができる。
【0023】
(ロ)反射防止膜25内の屈折率を屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化させるようにしたので(一次式で表される屈折率分布を持つので)、設計波長を中心とする広い波長範囲で反射が十分に低減される。つまり、波長がある範囲で変化しても、反射率をある値以下に抑えることができる。
【0024】
(ハ)したがって、各界面27,28での反射を高レベルに低減でき、広い波長範囲で低反射率である反射防止膜を持つ最適な光学部品を、設計波長の異なる複数種類のなかから使用波長に応じて選択することができる。
【0025】
次に、本発明に係る光学部品の各実施例を説明する。各実施例は、上記波長分散を考慮して、設計波長の異なる反射防止膜25をそれぞれ形成した光学部品である。図4はロッドレンズ22と光ファイバ23の波長分散を示すグラフで、横軸に波長を、縦軸に屈折率nをそれぞれ示してある。図4の曲線41はロッドレンズ22の波長分散を、曲線42は光ファイバ23の波長分散をそれぞれ示している。また、図5は1000〜1600nmの波長域で図4の曲線41を拡大して示したグラフであり、図6は同波長域で図4の曲線42を拡大して示したグラフである。図5のグラフから、ロッドレンズ22の屈折率が波長によって異なることが分かる。同様に、図6のグラフから、光ファイバ23の屈折率も波長によって異なることが分かる。
【0026】
[実施例1]
この実施例1では、下記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.2μmとし、その層分割数(層数)を49とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.05λに設定している。つまり、反射防止膜25は、光学膜厚が0.05λの薄膜を49層積層したものである。
【0027】
【表1】
実施例1の反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4539:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5924:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0028】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.2μm)での屈折率n1(n1=1.4539)および屈折率n2(n2=1.5924)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.2μm)での屈折率n1(n1=1.4539)から屈折率n2(n2=1.5924)まで連続的に変化する関数(5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。その5次式は、例えば、
n=6x5−14.825x4+9.6503x3+0.2069x2−0.0321xで表される。
【0029】
そして、実施例1の光学特性(戻り光反射率)のシミュレーション結果を図7の曲線11および下記表2で示してあり、また、その光学特性の測定結果を下記表3で示してある。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
図7のグラフでは、横軸は波長を、縦軸は反射率をそれぞれ示している。ここでの反射率(dB)は、反射防止膜25と光ファイバ23との界面27からの戻り光反射率(バックリフレクション)を示している。つまり、その反射率は、反射防止膜25の表面からの戻り光反射率を示しており、反射防止膜25の裏面からの戻り光反射率は考慮していない。なお、光通信分野では、所定の波長範囲(例えば、1300〜1700nm)にわたって−45〜−55dB以下の反射率が要求されている。そこで、その中央値−50dBを基準反射率レベルとし、図7にその反射率レベルと波長範囲を示すための基準線14を設けた(図8でも同様)。
【0032】
(反射防止膜の作製方法)
本例の反射防止膜25は、同一チャンバ内において2つのカソードから同時に成膜が可能なカルーセル式のスパッタ装置により成膜を行った。ターゲット材料は、アルミニウム(Al)およびボロンドープドシリコン(Si:B)を用いた。放電用ガスとして酸素およびアルゴンガスの混合ガスを使用し、2つのカソード各々への供給電力を独立に制御して上記2つのダーゲット材料を同時に放電させた。このような放電をさせることで反応性スパッタリングによる酸化アルミニウムおよび酸化シリコンの混合膜を、カルーセル(円筒状のホルダ)上に設けたロッドレンズ22の端面上に成膜した。カルーセルの回転数は200rpm、酸素ガス流量は100sccm、アルゴンガス流量は200sccm、ガス圧力は10mTorrの成膜条件で成膜を行った。また、成膜時の基板加熱は行わなかった。
【0033】
上記混合膜の屈折率の設定は、上記成膜条件において、2つのカソード各々への供給電力を調整して成膜速度をコントロールし、成膜される膜中のAl2O3成分とSiO2成分の組成比を調整することで行った。
【0034】
このような本成膜に先立ち、予備実験を以下のように行った。上記成膜条件において、両カソード各々への供給電力値を数条件設定し、カルーセルに取り付けたSi基板上に単層の混合膜を成膜した。この混合膜の屈折率を、分光エリプソメータにより測定した。これにより、2つのカソード各々への供給電力値と、形成される混合膜の屈折率の関係を把握した。
【0035】
このような予備実験により得られる、2つのカソード各々への供給電力値と形成される混合膜の屈折率の関係を元に、本成膜を実施した。
以上の方法により、中心部屈折率:n=1.590(単一モード光ファイバを用いて波長が1550nm帯の光伝送を行う光通信システム仕様のもの)で、両端面平行研磨品であるロッドレンズ22の端面上に、49層からなる反射防止膜25を成膜した。ここで、反射防止膜25の膜厚方向に対する屈折率の変化のさせ方は、上記5次式に従うものとする。
【0036】
(反射防止膜と光ファイバとの接続)
ロッドレンズ22の端面上に形成した反射防止膜25と光ファイバ23との接続は、以下のように行った。
【0037】
反射防止膜25面に単一モード光ファイバである光ファイバ23とほぼ同じ屈折率を有する紫外線硬化型光学接着剤を塗布し、光ファイバ23端面を接着した。光ファイバ23は、それとほぼ同一径の光ファイバ挿入孔を設けたガラス製のキャピラリ26に通し、光ファイバ23の端面を光ファイバ長手方向に対して垂直に研磨した。実際には、キャピラリ26を反射防止膜25面に貼り合わせ、紫外線光を照射して上記光学接着剤を硬化させることにより、ロッドレンズ22端面上に形成した反射防止膜25と光ファイバ23とを接続した。この後、光ファイバ23の他端(入射端)にコネクタ付き単一モード光ファイバコードを融着接続し、下記のバックリフレクション測定装置に接続できるようにした。
【0038】
(戻り光反射率の測定)
戻り光反射率(バックリフレクション)の測定は、バックリフレクション測定装置を使用して行った。この測定の際には、ロッドレンズ22の無コートである端面(反射防止膜25の形成されている端面とは反対側の端面)を斜め(約8°)に光学研磨し、その端面での反射を無視できるようにした。この状態で、反射防止膜25と光ファイバ23との界面27(図1参照)からの反射(戻り光)を測定した。
【0039】
上記実施例1によれば、以下の作用効果を奏する。
(ニ)図7の曲線11および表2に示す実施例1の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.2μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、反射防止膜25内の屈折率を屈折率n1から屈折率n2まで上記5次式で表される屈折率分布を持つようにようにしたので、936〜2000nmの波長範囲で、反射率を−50dB以下に抑えることができる。また、961〜1562nmの波長範囲では反射率を−55dB以下に抑えることができるとともに、1103〜1318nmの波長範囲では反射率を−60dB以下に抑えることができる。
【0040】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、961〜1562nmの波長範囲の中央(約1.2μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.2μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0041】
また、上記表3から明らかなように、反射防止膜25の反射率(戻り光反射率)を、各測定波長で−60dB〜−45dB程度に抑えることができる。表3に示す戻り光反射率の測定結果は、図7の曲線11および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、実際の光ファイバコリメータでは、界面において僅かな屈折率のずれが存在するためと考えられる。
【0042】
[実施例2]
この実施例2では、上記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.3μmとし、その層分割数を49とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.05λに設定している。
【0043】
この反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4522:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5916:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0044】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.3μm)での屈折率n1(n1=1.4522)および屈折率n2(n2=1.5916)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.3μm)での屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化する関数(上記5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。
【0045】
そして、実施例2の光学特性(戻り光反射率)のシミュレーション結果を図7の曲線12および上記表2で示してあり、また、その光学特性の測定結果を上記表3で示してある。なお、反射防止膜25の作製方法と、該反射防止膜25と光ファイバ23との接続方法は、上記実施例1と同様である。
【0046】
上記実施例2によれば、以下の作用効果を奏する。
(ホ)図7の曲線12および表2に示す実施例2の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.3μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、1002〜2000nmの波長範囲で反射率を−50dB以下に、1034〜1717nmの波長範囲で反射率を−55dB以下に、そして、1184〜1650nmの波長範囲で反射率を−60dB以下にそれぞれ抑えることができる。
【0047】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、1034〜1717nmの波長範囲の中央(約1.3μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.3μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0048】
また、上記表3から明らかなように、実施例2の反射防止膜25の反射率(戻り光反射率)を、各測定波長で−60dB〜−50dB程度に抑えることができる。表3に示す戻り光反射率の測定結果は、図7の曲線12および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、上述した理由のためと考えられる。
【0049】
[実施例3]
この実施例3では、上記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.55μmとし、その層分割数を49とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.05λに設定している。
【0050】
この反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4492:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5902:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0051】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.55μm)での屈折率n1(n1=1.4492)および屈折率n2(n2=1.5902)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.55μm)での屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化する関数(上記5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。そして、実施例3の光学特性(戻り光反射率)のシミュレーション結果を図7の曲線13および上記表2で示してあり、また、その光学特性の測定結果を上記表3で示してある。なお、実施例3の反射防止膜25の作製方法と、該反射防止膜25と光ファイバ23との接続方法は、上記実施例1と同様である。
【0052】
上記実施例3によれば、以下の作用効果を奏する。
(ヘ)図7の曲線13および表2に示す実施例3の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.55μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、1048〜2000nmの波長範囲で反射率を−50dB以下に、1212〜2000nmの波長範囲で反射率を−55dB以下に、そして、1363〜2000nmの波長範囲で反射率を−60dB以下にそれぞれ抑えることができる。
【0053】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、1212〜2000nmの波長範囲の中央(約1.55μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.55μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0054】
また、上記表3から明らかなように、実施例3の反射防止膜25の反射率(戻り光反射率)を、各測定波長で−60dB〜−50dB程度に抑えることができる。なお、表3に示す戻り光反射率の測定結果は、図7の曲線13および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、上述した理由のためと考えられる。
【0055】
[実施例4]
この実施例4では、上記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.2μmとし、その層分割数を12とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.17λに設定している。
【0056】
この反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4539:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5924:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0057】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.2μm)での屈折率n1(n1=1.4539)および屈折率n2(n2=1.5924)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.2μm)での屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化する関数(上記5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。そして、実施例4の光学特性(戻り光反射率)のシミュレーション結果を図8の曲線31および上記表2で示してあり、また、その光学特性の測定結果を下記表4で示してある。なお、実施例4の反射防止膜25の作製方法と、該反射防止膜25と光ファイバ23との接続方法は、上記実施例1と同様である。
【0058】
【表4】
上記実施例4によれば、以下の作用効果を奏する。
【0059】
(ト)図8の曲線31および上記表2に示す実施例4の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.2μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、953〜2000nmの波長範囲で反射率を−50dB以下に、982〜1603nmの波長範囲で反射率を−55dB以下に、そして、1109〜1322nmの波長範囲で反射率を−60dB以下にそれぞれ抑えることができる。
【0060】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、982〜1603nmの波長範囲の中央(約1.2μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.2μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0061】
また、上記表4から明らかなように、実施例4の反射防止膜25の反射率(戻り光反射率)を、各測定波長で−60dB〜−45dB程度に抑えることができる。なお、表4に示す戻り光反射率の測定結果は、図8の曲線31および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、上述した理由のためと考えられる。
【0062】
[実施例5]
この実施例5では、上記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.3μmとし、その層分割数を12とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.21λに設定している。
【0063】
この反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4522:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5916:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0064】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.3μm)での屈折率n1(n1=1.4522)および屈折率n2(n2=1.5916)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.3μm)での屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化する関数(上記5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。そして、実施例5の光学特性(反射特性)のシミュレーション結果を図8の曲線32および上記表2で示してあり、また、その光学特性(戻り光反射率)の測定結果を上記表4で示してある。なお、実施例5の反射防止膜25の作製方法と、該反射防止膜25と光ファイバ23との接続方法は、上記実施例1と同様である。
【0065】
上記実施例5によれば、以下の作用効果を奏する。
(チ)図8の曲線32および上記表2に示す実施例5の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.3μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、1016〜2000nmの波長範囲で反射率を−50dB以下に、1057〜1761nmの波長範囲で反射率を−55dB以下に、そして、1187〜1456nmの波長範囲で反射率を−60dB以下にそれぞれ抑えることができる。
【0066】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、1057〜1761nmの波長範囲の中央(約1.3μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.3μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0067】
また、上記表4から明らかなように、実施例5の反射防止膜25の反射率を、各測定波長で−60dB〜−50dB程度に抑えることができる。表4に示す戻り光反射率の測定結果は、図8の曲線32および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、上述した理由のためと考えられる。
【0068】
[実施例6]
この実施例6では、上記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.55μmとし、その層分割数を12とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.21λに設定している。
【0069】
この反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4492:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5902:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0070】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.55μm)での屈折率n1(n1=1.4492)および屈折率n2(n2=1.5902)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.55μm)での屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化する関数(上記5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。そして、実施例6の光学特性(戻り光反射率)のシミュレーション結果を図8の曲線33および上記表2で示してあり、また、その光学特性の測定結果を上記表4で示してある。なお、実施例6の反射防止膜25の作製方法と、該反射防止膜25と光ファイバ23との接続方法は、上記実施例1と同様である。
【0071】
上記実施例6によれば、以下の作用効果を奏する。
(ヌ)図8の曲線33および上記表2に示す実施例6の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.55μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、1020〜2000nmの波長範囲で反射率を−50dB以下に、1205〜2000nmの波長範囲で反射率を−55dB以下に、そして、1243〜2000nmの波長範囲で反射率を−60dB以下にそれぞれ抑えることができる。
【0072】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、1205〜2000nmの波長範囲の中央(約1.55μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.55μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0073】
また、上記表4で示す実施例6の光学特性についての測定結果から明らかなように、実施例6の反射防止膜25の反射率を、各測定波長で−60dB〜−50dB程度に抑えることができる。その測定結果は、図8の曲線33および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、上述した理由のためと考えられる。
【0074】
[ 変形例]
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記一実施形態および上記各実施例では、本発明に係る光学部品を光ファイバコリメータ21に具体化した例を示しているが、本発明は、屈折率が異なり、上記で定義した2つの「光学部材」の間に反射防止膜を形成した光学部品に広く適用される。
【0075】
・上記一実施形態では、光ファイバ23の屈折率n1にほぼ等しい値からロッドレンズ22の屈折率n2にほぼ等しい値まで、屈折率が膜厚方向に対して単調に増加する関数(一次式)で表される屈折率分布を有する反射防止膜25について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は、反射防止膜内の屈折率が、前記屈折率n1から前記屈折率n2まで連続的或いは段階的に変化するように作製された反射防止膜を有する光学部品に広く適用される。また、反射防止膜25は、光ファイバ23およびロッドレンズ22との各界面間で屈折率が増減しながら変化する関数で表される屈折率分布を持つものであってもよい。
【0076】
・上記各実施例では、反射防止膜25の設計波長を、「1.2μm」,「1.3μm」,「1.55μm」のいずれかにした例について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は、これら3波長以外の波長、例えば、光増幅器の励起光(ポンプ光)に使われる0.98μmなどの波長を設計波長とする場合にも適用される。
【0077】
・上記一実施形態では、各薄膜を、酸化シリコンと酸化アルミニウムとの混合物からなる薄膜としているが、本発明はこれに限定されない。必要な屈折率に応じて次に示すターゲット材料(Si,Ti,Zr,Al、Mg,Ge,Ta,Nb,Sn,Zn.Y)を用い、反応性スパッタリングにより所望の光学膜を選択することができる。また、2種以上のターゲット材料を混合したターゲット材料、例えばAlSi,AlGe,TiNbx,・・・を用いてもよい。また、これらの混合したターゲット材料は、亜酸化物ターゲット材料や、窒化させたターゲット材料であってもよい。
【0078】
・上記各実施例で示した5次式は一例であり、反射防止膜25をその5次式以外の多項式で表される屈折率分布を持つよう作製することもできる。
・上記一実施形態および各実施例では、反射防止膜25は、屈折率の異なる薄膜を多層に積層したものを示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、反射防止膜25が、各層間で相互拡散が生じ、材料組成が連続分布となっている場合でも、上記各実施形態および実施例と同様の効果を得ることができる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、各界面での反射を高レベルに低減でき、広い波長範囲で低反射率である反射防止膜を持つ最適な光学部品を、設計波長の異なる複数種類のなかから使用波長に応じて選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に係る光ファイバコリメータを示す概略構成図。
【図2】図1のX部拡大図。
【図3】一実施形態における反射防止膜の一次式に従った屈折率分布を示すグラフ。
【図4】ロッドレンズと光ファイバの波長分散を示すグラフ。
【図5】図4におけるロッドレンズの波長分散を示す拡大図。
【図6】図4における光ファイバの波長分散を示す拡大図。
【図7】実施例1〜3の各光学特性のシミュレーション結果を示すグラフ。
【図8】実施例4〜6の各光学特性のシミュレーション結果を示すグラフ。
【符号の説明】
21…光学部品としての光ファイバコリメータ、22…第1の光学部材としての屈折率分布型ロッドレンズ、23…第2の光学部材としての光ファイバ、25…反射防止膜、27,28…界面。
【発明の属する技術分野】
本発明は、屈折率の異なる2つの光学部材間に反射防止膜を形成した光学部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、2つの光学部材を接合する技術として、例えば、次のものがある。(従来例1)2つのプリズムにそれぞれ形成された反射防止膜同士を接着剤で接合する構造のもので、反射防止膜の屈折率値をプリズムと接着剤の中間の値にした光学部品(例えば、特許文献1)。(従来例2)第1の硝子材に形成された第1層及び第2層からなる反射防止膜と第2の硝子材とを、第2の硝子材との屈折率の差が0.1以内の接着剤で接合した光学部品(例えば、特許文献2)。
【0003】
なお、現在の光通信分野では、石英系ガラスの光ファイバ(単一モード光ファイバ)で最も損失の小さい1.55μmの波長を使うのが主流であるが、1.3μmや1.2μmあるいは光増幅器の励起光(ポンプ光)に使われる0.98μmなどの波長も使用される。このように使用波長の異なる様々な用途で、各界面での反射を高レベルに低減できて、反射率を広い波長範囲で所定値以下にすることが要求されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−27301号公報。
【特許文献2】
特開平7−225301号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記各従来例では、次のような問題点がある。(1)上記従来例1では、反射防止膜の屈折率値をプリズムと接着剤の中間の値にしても、反射防止膜と接着剤或いはプリズムとの間にそれぞれ屈折率差がある程度存在するため、反射防止性能が十分ではない。すなわち、反射防止膜と接着剤或いはプリズムとの各界面での反射を十分に低減できない。(2)上記従来例2のように、第1層及び第2層からなる反射防止膜では、設計波長以外で反射が大きくなってしまい、所定値以下の反射率が得られる波長帯域が狭い。つまり、広い波長範囲で低反射率である反射防止膜が得られない。(3)上記従来例2では、一定波長、つまり設計波長の1波長では、第1の硝子材に形成された反射防止膜と第2の硝子材とを、第2の硝子材との屈折率の差が0.1以内の接着剤で接合できるが、他の波長ではその屈折率差が0.1以内にならない場合もある。これは、反射を防止したい反射防止膜の各界面の両側の硝子材(第1および第2の硝子材)の屈折率には一般に波長分散があり、これを考慮した設計指針が確立していないためである。つまり、設計波長からずれた波長で使用される場合、2つの硝子材の屈折率が設計波長での値と波長分散によりそれぞれ異なるために、各界面で屈折率段差(屈折率の不整合)が生じてしまう。なお、ここにいう「波長分散」とは、レンズや光ファイバなどの光学部材の屈折率が波長によって異なる(波長が短いほど大きい)ことをいう。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、各界面での反射を高レベルに低減でき、広い波長範囲で低反射率である反射防止膜を持つ最適な光学部品を、設計波長の異なる複数種類のなかから使用波長に応じて選択可能にした光学部品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、屈折率の異なる第1の光学部材と第2の光学部材の間に反射防止膜を形成した光学部品であって、前記反射防止膜の設計波長で、前記第1の光学部材の表面の屈折率n1とこれに接する部分の前記反射防止膜の屈折率が等しくなるようにするとともに、前記第2の光学部材の表面の屈折率n2とこれに接する部分の前記反射防止膜の屈折率が等しくなるようにし、また、前記反射防止膜内の屈折率を前記屈折率n1から前記屈折率n2まで連続的或いは段階的に変化させるようにしたことを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、(1)設計波長で、第1の光学部材の表面の屈折率n1とこれに接する部分の反射防止膜の屈折率が等しくなるようにするとともに、第2の光学部材の表面の屈折率n2とこれに接する部分の反射防止膜の屈折率が等しくなるようにしている。このため、設計波長の光に対して、第1の光学部材および第2の光学部材と反射防止膜との各界面でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面での反射の発生が十分に低減される。これにより、設計波長の異なる反射防止膜を形成した複数種類の光学部品、例えば設計波長が1.55μm用の光学部品、同波長が1.3μm用のもの、同波長が1.2μm用のものなどを用意することができる。(2)反射防止膜内の屈折率を屈折率n1から屈折率n2まで連続的或いは段階的に変化させるようにしたので、設計波長を中心とする広い波長範囲で反射が十分に低減される。つまり、波長がある範囲で変化しても、反射率をある値以下に抑えることができる。
【0009】
したがって、各界面での反射を高レベルに低減でき、広い波長範囲で低反射率である反射防止膜を持つ最適な光学部品を、設計波長の異なる複数種類のなかから使用波長に応じて選択可能になる。
【0010】
なお、ここにいう「光学部材」とは、石英ガラス、その他のガラス、樹脂、半導体、誘電体で形成されたロッドレンズ、ロッドレンズ以外の各種レンズ、プリズム等の各種光学部材の他に、液体や気体の媒質を含む概念で用いる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光学部品において、前記反射防止膜は、反射率が所定値以下になる所定の波長範囲のほぼ中央で反射率が最小になることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、所定の波長範囲のほぼ中央の波長を設計波長とすることにより、所定の波長範囲で反射率が所定値以下になる反射防止膜を第1および第2の光学部材間に形成できる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の光学部品において、前記反射防止膜は、屈折率が膜厚方向に対して単調に変化する関数で表される屈折率分布を持つことを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、屈折率分布の関数を適宜に設定することで、前記屈折率n1と屈折率n2を滑らかに結ぶような反射防止膜を形成することができるので、反射防止膜の設計の自由度が増すとともに、その設計が容易になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光学部品の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[一実施形態]
本発明に係る光学部品を具体化した光ファイバコリメータについて図1〜図3を参照して説明する。光学部品としての光ファイバコリメータ21は、図1に示すように、第1の光学部材としての屈折率分布型ロッドレンズ22と、第2の光学部材としての光ファイバ(単一モード光ファイバ)23とを、ガラスチューブ24内に配置して結合したものである。
【0016】
屈折率分布型ロッドレンズ(以下、ロッドレンズという。)22の端面には、反射防止膜25が形成されている。光ファイバ23は、それとほぼ同一径の光ファイバ挿入孔を設けたガラス製のキャピラリ26に通してある。また、光ファイバ23の端面は光ファイバ長手方向(コア中心軸)に対して垂直に研磨されている。この研磨がなされた光ファイバ23及びキャピラリ26の端面を反射防止膜25に貼り合わせ、不図示の紫外線硬化型光学接着剤に紫外線を照射して硬化させる。これにより、ロッドレンズ22の端面に形成した反射防止膜25と光ファイバ23及びキャピラリ26とが接合される。
【0017】
このようにして作製される光ファイバコリメータ21を2組使うことで、コリメータ光学装置が構成される。このコリメータ光学装置は、光ファイバ23(入射側の単一モード光ファイバ)から出射した光をロッドレンズ22により平行光にし、この平行光を別のロッドレンズにより集光して受光側の単一モード光ファイバ(図示省略)に結合するようになっている。そして、このコリメータ光学装置は、両ロッドレンズ間に光機能素子(例えば、光学フィルタ、光アイソレータ、光スイッチ、光変調器等)を挿入することにより、光ファイバ23を伝搬してきた光に所定の作用を及ぼしたのち、受光側の光ファイバに結合して伝搬させる機能を有する。
【0018】
図2は、図1のX部拡大図で、光ファイバ23及びキャピラリ26と反射防止膜25との接続部を拡大して示している。図2に示すように、反射防止膜25は、n層からなる多数の薄膜L1,L2,L3,・・・Lnを積層した多層膜である。この反射防止膜25は、設計波長(例えば1.55μm)で、光ファイバ23の端面(表面)に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面(表面)に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2と等しくなるように作製されている。また、反射防止膜25内の屈折率が、前記屈折率n1から前記屈折率n2まで連続的に変化するように、反射防止膜25は作製されている。
【0019】
つまり、反射防止膜25は、光ファイバ23との界面27で屈折率が光ファイバ23の屈折率n1にほぼ等しく、ロッドレンズ22との界面28で屈折率がロッドレンズ22の屈折率n2にほぼ等しくなるように各薄膜の屈折率を徐々に変化させて形成されている。層数を充分多くすれば、この反射防止膜25は、図3に示すように、光ファイバ23の屈折率n1にほぼ等しい値からロッドレンズ22の屈折率n2にほぼ等しい値まで、屈折率が膜厚方向に対して単調に増加する関数(本例では一次式)で表される屈折率分布を持っていると見なせる。すなわち、本例の反射防止膜25は、光ファイバ23,ロッドレンズ22の屈折率n1,n2を滑らかに結ぶように屈折率が膜厚方向に対して直線的に変化する屈折率傾斜膜である。
【0020】
(反射防止膜の作製方法)
次に、一次式で表される屈折率分布を持つ反射防止膜25の作製方法について説明する。
【0021】
反射防止膜25は、例えば、得られる膜の屈折率の異なるターゲット材料を同時放電させ、それぞれの放電出力を制御することで成膜することができる。例えば、酸素を反応ガスとする反応性スパッタリングにより、
Si+Ti+O2→SixTiyOzや、
Si+Al+O2→SixAlyOz
のような混合膜を形成できる。ここで、「SixTiyOz」は、酸化シリコンと酸化チタンとの混合物からなる薄膜である。また、「SixAlyOz」は、酸化シリコンと酸化アルミニウムとの混合物からなる薄膜である。
【0022】
以上のように構成された一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(イ)設計波長(例えば1.55μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。これにより、設計波長の異なる反射防止膜を形成した複数種類の光学部品、例えば設計波長が1.55μm用の光学部品、同波長が1.3μm用のもの、同波長が1.2μm用のものなどを用意することができる。このため、設計波長(例えば1.55μm)の光に対して、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面での反射の発生が十分に低減される。これにより、設計波長の異なる反射防止膜を形成した複数種類の光学部品、例えば設計波長が1.55μm用の光学部品、同波長が1.3μm用のもの、同波長が1.2μm用のものなどを用意することができる。つまり、様々な用途での使用波長に対応できる品揃えをすることができる。
【0023】
(ロ)反射防止膜25内の屈折率を屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化させるようにしたので(一次式で表される屈折率分布を持つので)、設計波長を中心とする広い波長範囲で反射が十分に低減される。つまり、波長がある範囲で変化しても、反射率をある値以下に抑えることができる。
【0024】
(ハ)したがって、各界面27,28での反射を高レベルに低減でき、広い波長範囲で低反射率である反射防止膜を持つ最適な光学部品を、設計波長の異なる複数種類のなかから使用波長に応じて選択することができる。
【0025】
次に、本発明に係る光学部品の各実施例を説明する。各実施例は、上記波長分散を考慮して、設計波長の異なる反射防止膜25をそれぞれ形成した光学部品である。図4はロッドレンズ22と光ファイバ23の波長分散を示すグラフで、横軸に波長を、縦軸に屈折率nをそれぞれ示してある。図4の曲線41はロッドレンズ22の波長分散を、曲線42は光ファイバ23の波長分散をそれぞれ示している。また、図5は1000〜1600nmの波長域で図4の曲線41を拡大して示したグラフであり、図6は同波長域で図4の曲線42を拡大して示したグラフである。図5のグラフから、ロッドレンズ22の屈折率が波長によって異なることが分かる。同様に、図6のグラフから、光ファイバ23の屈折率も波長によって異なることが分かる。
【0026】
[実施例1]
この実施例1では、下記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.2μmとし、その層分割数(層数)を49とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.05λに設定している。つまり、反射防止膜25は、光学膜厚が0.05λの薄膜を49層積層したものである。
【0027】
【表1】
実施例1の反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4539:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5924:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0028】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.2μm)での屈折率n1(n1=1.4539)および屈折率n2(n2=1.5924)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.2μm)での屈折率n1(n1=1.4539)から屈折率n2(n2=1.5924)まで連続的に変化する関数(5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。その5次式は、例えば、
n=6x5−14.825x4+9.6503x3+0.2069x2−0.0321xで表される。
【0029】
そして、実施例1の光学特性(戻り光反射率)のシミュレーション結果を図7の曲線11および下記表2で示してあり、また、その光学特性の測定結果を下記表3で示してある。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
図7のグラフでは、横軸は波長を、縦軸は反射率をそれぞれ示している。ここでの反射率(dB)は、反射防止膜25と光ファイバ23との界面27からの戻り光反射率(バックリフレクション)を示している。つまり、その反射率は、反射防止膜25の表面からの戻り光反射率を示しており、反射防止膜25の裏面からの戻り光反射率は考慮していない。なお、光通信分野では、所定の波長範囲(例えば、1300〜1700nm)にわたって−45〜−55dB以下の反射率が要求されている。そこで、その中央値−50dBを基準反射率レベルとし、図7にその反射率レベルと波長範囲を示すための基準線14を設けた(図8でも同様)。
【0032】
(反射防止膜の作製方法)
本例の反射防止膜25は、同一チャンバ内において2つのカソードから同時に成膜が可能なカルーセル式のスパッタ装置により成膜を行った。ターゲット材料は、アルミニウム(Al)およびボロンドープドシリコン(Si:B)を用いた。放電用ガスとして酸素およびアルゴンガスの混合ガスを使用し、2つのカソード各々への供給電力を独立に制御して上記2つのダーゲット材料を同時に放電させた。このような放電をさせることで反応性スパッタリングによる酸化アルミニウムおよび酸化シリコンの混合膜を、カルーセル(円筒状のホルダ)上に設けたロッドレンズ22の端面上に成膜した。カルーセルの回転数は200rpm、酸素ガス流量は100sccm、アルゴンガス流量は200sccm、ガス圧力は10mTorrの成膜条件で成膜を行った。また、成膜時の基板加熱は行わなかった。
【0033】
上記混合膜の屈折率の設定は、上記成膜条件において、2つのカソード各々への供給電力を調整して成膜速度をコントロールし、成膜される膜中のAl2O3成分とSiO2成分の組成比を調整することで行った。
【0034】
このような本成膜に先立ち、予備実験を以下のように行った。上記成膜条件において、両カソード各々への供給電力値を数条件設定し、カルーセルに取り付けたSi基板上に単層の混合膜を成膜した。この混合膜の屈折率を、分光エリプソメータにより測定した。これにより、2つのカソード各々への供給電力値と、形成される混合膜の屈折率の関係を把握した。
【0035】
このような予備実験により得られる、2つのカソード各々への供給電力値と形成される混合膜の屈折率の関係を元に、本成膜を実施した。
以上の方法により、中心部屈折率:n=1.590(単一モード光ファイバを用いて波長が1550nm帯の光伝送を行う光通信システム仕様のもの)で、両端面平行研磨品であるロッドレンズ22の端面上に、49層からなる反射防止膜25を成膜した。ここで、反射防止膜25の膜厚方向に対する屈折率の変化のさせ方は、上記5次式に従うものとする。
【0036】
(反射防止膜と光ファイバとの接続)
ロッドレンズ22の端面上に形成した反射防止膜25と光ファイバ23との接続は、以下のように行った。
【0037】
反射防止膜25面に単一モード光ファイバである光ファイバ23とほぼ同じ屈折率を有する紫外線硬化型光学接着剤を塗布し、光ファイバ23端面を接着した。光ファイバ23は、それとほぼ同一径の光ファイバ挿入孔を設けたガラス製のキャピラリ26に通し、光ファイバ23の端面を光ファイバ長手方向に対して垂直に研磨した。実際には、キャピラリ26を反射防止膜25面に貼り合わせ、紫外線光を照射して上記光学接着剤を硬化させることにより、ロッドレンズ22端面上に形成した反射防止膜25と光ファイバ23とを接続した。この後、光ファイバ23の他端(入射端)にコネクタ付き単一モード光ファイバコードを融着接続し、下記のバックリフレクション測定装置に接続できるようにした。
【0038】
(戻り光反射率の測定)
戻り光反射率(バックリフレクション)の測定は、バックリフレクション測定装置を使用して行った。この測定の際には、ロッドレンズ22の無コートである端面(反射防止膜25の形成されている端面とは反対側の端面)を斜め(約8°)に光学研磨し、その端面での反射を無視できるようにした。この状態で、反射防止膜25と光ファイバ23との界面27(図1参照)からの反射(戻り光)を測定した。
【0039】
上記実施例1によれば、以下の作用効果を奏する。
(ニ)図7の曲線11および表2に示す実施例1の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.2μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、反射防止膜25内の屈折率を屈折率n1から屈折率n2まで上記5次式で表される屈折率分布を持つようにようにしたので、936〜2000nmの波長範囲で、反射率を−50dB以下に抑えることができる。また、961〜1562nmの波長範囲では反射率を−55dB以下に抑えることができるとともに、1103〜1318nmの波長範囲では反射率を−60dB以下に抑えることができる。
【0040】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、961〜1562nmの波長範囲の中央(約1.2μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.2μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0041】
また、上記表3から明らかなように、反射防止膜25の反射率(戻り光反射率)を、各測定波長で−60dB〜−45dB程度に抑えることができる。表3に示す戻り光反射率の測定結果は、図7の曲線11および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、実際の光ファイバコリメータでは、界面において僅かな屈折率のずれが存在するためと考えられる。
【0042】
[実施例2]
この実施例2では、上記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.3μmとし、その層分割数を49とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.05λに設定している。
【0043】
この反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4522:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5916:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0044】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.3μm)での屈折率n1(n1=1.4522)および屈折率n2(n2=1.5916)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.3μm)での屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化する関数(上記5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。
【0045】
そして、実施例2の光学特性(戻り光反射率)のシミュレーション結果を図7の曲線12および上記表2で示してあり、また、その光学特性の測定結果を上記表3で示してある。なお、反射防止膜25の作製方法と、該反射防止膜25と光ファイバ23との接続方法は、上記実施例1と同様である。
【0046】
上記実施例2によれば、以下の作用効果を奏する。
(ホ)図7の曲線12および表2に示す実施例2の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.3μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、1002〜2000nmの波長範囲で反射率を−50dB以下に、1034〜1717nmの波長範囲で反射率を−55dB以下に、そして、1184〜1650nmの波長範囲で反射率を−60dB以下にそれぞれ抑えることができる。
【0047】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、1034〜1717nmの波長範囲の中央(約1.3μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.3μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0048】
また、上記表3から明らかなように、実施例2の反射防止膜25の反射率(戻り光反射率)を、各測定波長で−60dB〜−50dB程度に抑えることができる。表3に示す戻り光反射率の測定結果は、図7の曲線12および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、上述した理由のためと考えられる。
【0049】
[実施例3]
この実施例3では、上記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.55μmとし、その層分割数を49とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.05λに設定している。
【0050】
この反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4492:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5902:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0051】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.55μm)での屈折率n1(n1=1.4492)および屈折率n2(n2=1.5902)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.55μm)での屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化する関数(上記5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。そして、実施例3の光学特性(戻り光反射率)のシミュレーション結果を図7の曲線13および上記表2で示してあり、また、その光学特性の測定結果を上記表3で示してある。なお、実施例3の反射防止膜25の作製方法と、該反射防止膜25と光ファイバ23との接続方法は、上記実施例1と同様である。
【0052】
上記実施例3によれば、以下の作用効果を奏する。
(ヘ)図7の曲線13および表2に示す実施例3の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.55μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、1048〜2000nmの波長範囲で反射率を−50dB以下に、1212〜2000nmの波長範囲で反射率を−55dB以下に、そして、1363〜2000nmの波長範囲で反射率を−60dB以下にそれぞれ抑えることができる。
【0053】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、1212〜2000nmの波長範囲の中央(約1.55μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.55μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0054】
また、上記表3から明らかなように、実施例3の反射防止膜25の反射率(戻り光反射率)を、各測定波長で−60dB〜−50dB程度に抑えることができる。なお、表3に示す戻り光反射率の測定結果は、図7の曲線13および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、上述した理由のためと考えられる。
【0055】
[実施例4]
この実施例4では、上記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.2μmとし、その層分割数を12とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.17λに設定している。
【0056】
この反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4539:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5924:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0057】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.2μm)での屈折率n1(n1=1.4539)および屈折率n2(n2=1.5924)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.2μm)での屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化する関数(上記5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。そして、実施例4の光学特性(戻り光反射率)のシミュレーション結果を図8の曲線31および上記表2で示してあり、また、その光学特性の測定結果を下記表4で示してある。なお、実施例4の反射防止膜25の作製方法と、該反射防止膜25と光ファイバ23との接続方法は、上記実施例1と同様である。
【0058】
【表4】
上記実施例4によれば、以下の作用効果を奏する。
【0059】
(ト)図8の曲線31および上記表2に示す実施例4の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.2μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、953〜2000nmの波長範囲で反射率を−50dB以下に、982〜1603nmの波長範囲で反射率を−55dB以下に、そして、1109〜1322nmの波長範囲で反射率を−60dB以下にそれぞれ抑えることができる。
【0060】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、982〜1603nmの波長範囲の中央(約1.2μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.2μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0061】
また、上記表4から明らかなように、実施例4の反射防止膜25の反射率(戻り光反射率)を、各測定波長で−60dB〜−45dB程度に抑えることができる。なお、表4に示す戻り光反射率の測定結果は、図8の曲線31および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、上述した理由のためと考えられる。
【0062】
[実施例5]
この実施例5では、上記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.3μmとし、その層分割数を12とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.21λに設定している。
【0063】
この反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4522:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5916:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0064】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.3μm)での屈折率n1(n1=1.4522)および屈折率n2(n2=1.5916)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.3μm)での屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化する関数(上記5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。そして、実施例5の光学特性(反射特性)のシミュレーション結果を図8の曲線32および上記表2で示してあり、また、その光学特性(戻り光反射率)の測定結果を上記表4で示してある。なお、実施例5の反射防止膜25の作製方法と、該反射防止膜25と光ファイバ23との接続方法は、上記実施例1と同様である。
【0065】
上記実施例5によれば、以下の作用効果を奏する。
(チ)図8の曲線32および上記表2に示す実施例5の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.3μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、1016〜2000nmの波長範囲で反射率を−50dB以下に、1057〜1761nmの波長範囲で反射率を−55dB以下に、そして、1187〜1456nmの波長範囲で反射率を−60dB以下にそれぞれ抑えることができる。
【0066】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、1057〜1761nmの波長範囲の中央(約1.3μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.3μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0067】
また、上記表4から明らかなように、実施例5の反射防止膜25の反射率を、各測定波長で−60dB〜−50dB程度に抑えることができる。表4に示す戻り光反射率の測定結果は、図8の曲線32および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、上述した理由のためと考えられる。
【0068】
[実施例6]
この実施例6では、上記表1に示すように、反射防止膜25の設計波長を1.55μmとし、その層分割数を12とし、そして、その光学膜厚が約2μmとなるように各層の光学膜厚を0.21λに設定している。
【0069】
この反射防止膜25は、光ファイバ23の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n1(n1=1.4492:図6参照)と等しくなるとともに、ロッドレンズ22の端面に接する部分の屈折率がその端面の屈折率n2(n2=1.5902:図5参照)と等しくなるように作製されている。
【0070】
また、反射防止膜25の屈折率は、設計波長(1.55μm)での屈折率n1(n1=1.4492)および屈折率n2(n2=1.5902)を滑らかに結ぶように設定されている。具体的には、反射防止膜25内の屈折率が、設計波長(1.55μm)での屈折率n1から屈折率n2まで連続的に変化する関数(上記5次式)で表される屈折率分布を持つようにように、反射防止膜25は作製されている。そして、実施例6の光学特性(戻り光反射率)のシミュレーション結果を図8の曲線33および上記表2で示してあり、また、その光学特性の測定結果を上記表4で示してある。なお、実施例6の反射防止膜25の作製方法と、該反射防止膜25と光ファイバ23との接続方法は、上記実施例1と同様である。
【0071】
上記実施例6によれば、以下の作用効果を奏する。
(ヌ)図8の曲線33および上記表2に示す実施例6の反射防止膜25の光学特性のシミュレーション結果から、次のことが言える。設計波長(1.55μm)で、光ファイバ23およびロッドレンズ22と反射防止膜25との各界面27,28でそれぞれ屈折率整合が得られ、各界面27,28での反射の発生が十分に低減される。また、1020〜2000nmの波長範囲で反射率を−50dB以下に、1205〜2000nmの波長範囲で反射率を−55dB以下に、そして、1243〜2000nmの波長範囲で反射率を−60dB以下にそれぞれ抑えることができる。
【0072】
したがって、光ファイバ23およびロッドレンズ22の屈折率に分散があっても、反射率が−55dBより小さいことが要求される用途に対し、1205〜2000nmの波長範囲の中央(約1.55μm)で反射率が最小になる、設計波長が1.55μm用の光ファイバコリメータ21を用意することができる。
【0073】
また、上記表4で示す実施例6の光学特性についての測定結果から明らかなように、実施例6の反射防止膜25の反射率を、各測定波長で−60dB〜−50dB程度に抑えることができる。その測定結果は、図8の曲線33および上記表2で示すシミュレーション結果よりもいくらか大きくなっている。これは、上述した理由のためと考えられる。
【0074】
[ 変形例]
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記一実施形態および上記各実施例では、本発明に係る光学部品を光ファイバコリメータ21に具体化した例を示しているが、本発明は、屈折率が異なり、上記で定義した2つの「光学部材」の間に反射防止膜を形成した光学部品に広く適用される。
【0075】
・上記一実施形態では、光ファイバ23の屈折率n1にほぼ等しい値からロッドレンズ22の屈折率n2にほぼ等しい値まで、屈折率が膜厚方向に対して単調に増加する関数(一次式)で表される屈折率分布を有する反射防止膜25について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は、反射防止膜内の屈折率が、前記屈折率n1から前記屈折率n2まで連続的或いは段階的に変化するように作製された反射防止膜を有する光学部品に広く適用される。また、反射防止膜25は、光ファイバ23およびロッドレンズ22との各界面間で屈折率が増減しながら変化する関数で表される屈折率分布を持つものであってもよい。
【0076】
・上記各実施例では、反射防止膜25の設計波長を、「1.2μm」,「1.3μm」,「1.55μm」のいずれかにした例について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は、これら3波長以外の波長、例えば、光増幅器の励起光(ポンプ光)に使われる0.98μmなどの波長を設計波長とする場合にも適用される。
【0077】
・上記一実施形態では、各薄膜を、酸化シリコンと酸化アルミニウムとの混合物からなる薄膜としているが、本発明はこれに限定されない。必要な屈折率に応じて次に示すターゲット材料(Si,Ti,Zr,Al、Mg,Ge,Ta,Nb,Sn,Zn.Y)を用い、反応性スパッタリングにより所望の光学膜を選択することができる。また、2種以上のターゲット材料を混合したターゲット材料、例えばAlSi,AlGe,TiNbx,・・・を用いてもよい。また、これらの混合したターゲット材料は、亜酸化物ターゲット材料や、窒化させたターゲット材料であってもよい。
【0078】
・上記各実施例で示した5次式は一例であり、反射防止膜25をその5次式以外の多項式で表される屈折率分布を持つよう作製することもできる。
・上記一実施形態および各実施例では、反射防止膜25は、屈折率の異なる薄膜を多層に積層したものを示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、反射防止膜25が、各層間で相互拡散が生じ、材料組成が連続分布となっている場合でも、上記各実施形態および実施例と同様の効果を得ることができる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、各界面での反射を高レベルに低減でき、広い波長範囲で低反射率である反射防止膜を持つ最適な光学部品を、設計波長の異なる複数種類のなかから使用波長に応じて選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に係る光ファイバコリメータを示す概略構成図。
【図2】図1のX部拡大図。
【図3】一実施形態における反射防止膜の一次式に従った屈折率分布を示すグラフ。
【図4】ロッドレンズと光ファイバの波長分散を示すグラフ。
【図5】図4におけるロッドレンズの波長分散を示す拡大図。
【図6】図4における光ファイバの波長分散を示す拡大図。
【図7】実施例1〜3の各光学特性のシミュレーション結果を示すグラフ。
【図8】実施例4〜6の各光学特性のシミュレーション結果を示すグラフ。
【符号の説明】
21…光学部品としての光ファイバコリメータ、22…第1の光学部材としての屈折率分布型ロッドレンズ、23…第2の光学部材としての光ファイバ、25…反射防止膜、27,28…界面。
Claims (3)
- 屈折率の異なる第1の光学部材と第2の光学部材の間に反射防止膜を形成した光学部品であって、
前記反射防止膜の設計波長で、前記第1の光学部材の表面の屈折率n1とこれに接する部分の前記反射防止膜の屈折率が等しくなるようにするとともに、前記第2の光学部材の表面の屈折率n2とこれに接する部分の前記反射防止膜の屈折率が等しくなるようにし、
また、前記反射防止膜内の屈折率を前記屈折率n1から前記屈折率n2まで連続的或いは段階的に変化させるようにしたことを特徴とする光学部品。 - 前記反射防止膜は、反射率が所定値以下になる所定の波長範囲のほぼ中央で反射率が最小になることを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
- 前記反射防止膜は、屈折率が膜厚方向に対して単調に変化する関数で表される屈折率分布を持つことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学部品。
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