JP2004157214A - 難燃性光ファイバテープ心線及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】心線断面形状や難燃性が良好で、かつ光伝送損失の増加が無い、多心の難燃性光ファイバテープ心線5を提供する。
【解決手段】複数本の光ファイバ素線1を配列して、水酸化マグネシウム等の粉末状難燃剤を15重量%から50重量%配合した電子線硬化型樹脂を塗布し、空気に晒すことなく速やかに電子線架橋することによって、光ファイバテープ心線5としても形状特性や難燃性が良好で、かつ光伝送損失の増加の無い、難燃性光ファイバテープ心線5が得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数本の光ファイバ素線1を配列して、水酸化マグネシウム等の粉末状難燃剤を15重量%から50重量%配合した電子線硬化型樹脂を塗布し、空気に晒すことなく速やかに電子線架橋することによって、光ファイバテープ心線5としても形状特性や難燃性が良好で、かつ光伝送損失の増加の無い、難燃性光ファイバテープ心線5が得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機器内の配線等に用いられる光ファイバテープ心線に関し、特に難燃性を有する光ファイバテープ心線とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信網の需要拡大に伴い、局内、構内の配線に多心の光ファイバテープ心線が使用されると共に、火災防止の観点から難燃化が要求されるようになってきている。
【0003】
従来の光ファイバテープ心線の難燃化対策としては、光ファイバテープ心線の外側に紫外線硬化型樹脂からなる外部被覆層を設けて、該紫外線硬化型樹脂に液体状難燃剤または反応型難燃剤を配合して難燃性を持たせるものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)しかしながら、この場合は、光ファイバテープ心線の外側に難燃性樹脂の外部被覆層を形成するものであるため、心線断面積が増大するという問題があった。
【0004】
また、紫外線硬化型樹脂に液体状難燃剤を添加したものは、液体難燃化剤が徐々に揮発し易いため、長期的に難燃特性を維持することが困難であった。一方、反応型難燃剤を添加する場合には、ベース樹脂が限定され、かつ価格が高価であった。
【0005】
この外に、光ファイバテープ心線の一括被覆層に酸素指数25以上の難燃性の熱可塑性樹脂を用いたものがある。(例えば、特許文献2参照)しかしながら、熱可塑性樹脂で一括被覆する場合には、熱可塑性樹脂は紫外線硬化型樹脂に比べて硬化に時間がかかるため、光ファイバ素線の配列が乱れる欠点があった。
【0006】
また、電子線硬化型樹脂を塗布した後、電子線を照射することによって光ファイバテープ心線を製造する方法が提案されている。(例えば、特許文献3参照)しかしながら、本先行技術には光ファイバテープ心線の難燃化に関する技術は開示されていない。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−72669号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献2】
特開2002−214492号公報(第2−4頁、第1図)
【特許文献3】
特開2001−264606号公報(第3−5頁、第1図、第2図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、光ファイバテープ心線の伝送損失の増加を伴うことなく、難燃性を向上させた光ファイバテープ心線を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、
請求項1にかかる発明は、複数本の光ファイバ素線を平行に配列して、一括被覆層によりテープ化される光ファイバテープ心線において、前記一括被覆層に粉末状難燃剤入り電子線硬化型樹脂を用いたことを特徴とする難燃性光ファイバテープ心線である。
【0010】
請求項2にかかる発明は、前記一括被覆層における粉末状難燃剤の配合率が15重量%から50重量%であることを特徴とする請求項1記載の難燃性光ファイバテープ心線である。
【0011】
請求項3にかかる発明は、前記粉末状難燃剤が金属水和物であることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の難燃性光ファイバテープ心線である。
【0012】
請求項4にかかる発明は、前記金属水和物として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのいずれか1種以上を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の難燃性光ファイバテープ心線である。
【0013】
請求項5にかかる発明は、粉末状難燃剤入り樹脂に電子線を照射して硬化することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の難燃性光ファイバテープ心線の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1に基づいて詳しく説明する。
本発明で用いられる光ファイバ素線1は、特に限定されないが、外径125μmの光ファイバ2に紫外線硬化型樹脂3で被覆されて外径250μmとしたものが一般に用いられる。光ファイバテープ心線6を構成する光ファイバ素線1の数は用途に応じて2以上の任意の数とすることができる。
【0015】
まず、光ファイバ素線1を図1のような配列状態として電子線硬化型樹脂塗布装置に導入して難燃剤入り電子線硬化型樹脂4を塗布した後、空気に晒されないように、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させて光ファイバテープ心線5の配列を固定させる。難燃剤入り電子線硬化型樹脂4塗布後電子線を照射するまでの間、空気に晒されないようにするのは、ラジカル重合系では酸素が重合を阻害するためである。
【0016】
電子線硬化型樹脂として、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等がある。これに添加される難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、水酸化マグネシウムや水酸化アルミウム等の水和系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、窒素含有化合物難燃剤、その他、無機難燃剤があるが、対環境性や難燃性の観点から水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムが用いられる。これらのうち吸熱量の点で水酸化マグネシウムが好ましい。
【0017】
本願の難燃性光ファイバテープ心線5の難燃性の評価は、JIS C 3005の水平試験で行った。すなわち、長さ約300mmの試料を、水平に支持し、還元炎の先端を、試料の中央部の下側に、30秒以内で燃焼するまで当て、炎を静かに取り去った後、燃焼部分の長さが10cm以内で自己消火したものを合格とし、15cm以上燃焼したものを不合格とした。
【0018】
また、光ファイバテープ心線5の伝送損失の評価として、半径30mmのマンドルに10ターン巻き付けた時の伝送損失の増加量で評価した。難燃剤の割合が多くなると樹脂が脆くなり、曲げ試験時にテープ表面に亀裂が生じ、この亀裂により光ファイバ2に不均一な曲がりが生じるため伝送損失が増大する。本願の伝送損失評価では0.10dB以上の損失増加が見られたものは不合格とした。
【0019】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
【実施例1】
光ファイバ2のガラス径が125μm、紫外線硬化型樹脂被覆後の外径が250μmの光ファイバ素線1を4本整列させ、その外周に一括層として、粉末状の水酸化マグネシウム(協和化学製キスマ5A)を50重量%配合したウレタンアクリレートを塗布後、窒素ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させた。電子線の加速電圧は、樹脂の硬化性と光ファイバ2の伝送損失抑制の観点から100kVとした。作製された光ファイバテープ心線5の寸法は厚さ0.31mm、幅1.10mmであった。この光ファイバテープ心線5の難燃性を評価したところ、10cm以内で自己消火し、難燃性は合格であった。また、半径30mmのマンドレルに10ターン巻き付けて、テープ表面の亀裂発生有無を調べたところ、亀裂は見られず、また光伝送損失の増加量をしらべたところ、損失増加も見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【実施例2】
実施例1と同じ光ファイバ素線1を4本整列させ、その外周に一括層として、粉末状の水酸化マグネシウム(協和化学製キスマ5A)を15重量%配合したウレタンアクリレートを塗布後、窒素ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させた。作製された光ファイバテープ心線5の寸法は厚さ0.31mm、幅1.10mmであった。この光ファイバテープ心線5について、実施例1と同様に難燃性と光伝送損失の評価を行ったところ、難燃性は合格で、伝送損失の増加も見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0023】
【実施例3】
実施例1と同じ光ファイバ素線1を4本整列させ、その外周に一括層として、粉末状の水酸化アルミニウム(昭和電工製ハイジライトH−42)を15重量%配合したウレタンアクリレートを塗布後、窒素ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させた。作製された光ファイバテープ心線5の寸法は厚さ0.31mm、幅1.10mmであった。この光ファイバテープ心線5について、実施例1と同様に難燃性と光伝送損失の評価を行ったところ、燃焼長さは実施例1よりも長いものの10cm以内で自己消火し、難燃性は合格であった。また、伝送損失の増加も見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0024】
【比較例1】
実施例1と同じ光ファイバ素線1を4本整列させ、その外周に一括層として、粉末状の水酸化マグネシウム(協和化学製キスマ5A)を10重量%配合したウレタンアクリレートを塗布後、窒素ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させた。作製された光ファイバテープ心線5の寸法は厚さ0.31mm、幅1.1mmであった。この光ファイバテープ心線5について、実施例1と同様に難燃性と光伝送損失の評価を行ったところ、テープ表面に亀裂は見られず、伝送損失の増加も認められなかったが、15cm以上燃焼し、難燃性は不合格であった。以上の結果を表1に示す。
【0025】
【比較例2】
実施例1と同じ光ファイバ素線1を4本整列させ、その外周に一括層として、粉末状の水酸化マグネシウム(協和化学製キスマ5A)を55重量%配合したウレタンアクリレートを塗布後、窒素ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させた。作製された光ファイバテープ心線5の寸法は厚さ0.31mm、幅1.1mmであった。この光ファイバテープ心線5について、実施例1と同様に難燃性と光伝送損失の評価を行ったところ、10cm以内で自己消火し、難燃性は合格であったが、テープ表面に亀裂が発生し、伝送損失が1.4dB増加した。以上の結果を表1に示す。
【0026】
このように、難燃剤としての水酸化マグネシウムの配合量が10重量%の場合には難燃性が不充分であり、55重量%の場合には難燃性は十分であるが光ファイバテープ心線5の一括被覆層の表面に亀裂が発生した。以上より、水酸化マグネシウムの配合には適正範囲があり、15重量%から50重量%の範囲において、テープ表面に亀裂が発生せず、光伝送損失も無く、難燃性も良好であることが判る。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバテープ心線及びその製造方法は、粉末状難燃剤を適量配合した電子線硬化型樹脂を塗布後、空気に晒すことなく速やかに電子線を照射することにより、テープ心線としての形状を確保するとともに、難燃性が良好で、かつ光伝送損失の増加のない光ファイバテープ心線を提供することができる。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す光ファイバテープ心線の断面図である。
【符号の説明】
1・・・光ファイバ素線、2・・・光ファイバ、3・・・紫外線硬化型樹脂、
4・・・難燃剤入り電子線硬化型樹脂、5・・・光ファイバテープ心線
【発明の属する技術分野】
本発明は、機器内の配線等に用いられる光ファイバテープ心線に関し、特に難燃性を有する光ファイバテープ心線とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信網の需要拡大に伴い、局内、構内の配線に多心の光ファイバテープ心線が使用されると共に、火災防止の観点から難燃化が要求されるようになってきている。
【0003】
従来の光ファイバテープ心線の難燃化対策としては、光ファイバテープ心線の外側に紫外線硬化型樹脂からなる外部被覆層を設けて、該紫外線硬化型樹脂に液体状難燃剤または反応型難燃剤を配合して難燃性を持たせるものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)しかしながら、この場合は、光ファイバテープ心線の外側に難燃性樹脂の外部被覆層を形成するものであるため、心線断面積が増大するという問題があった。
【0004】
また、紫外線硬化型樹脂に液体状難燃剤を添加したものは、液体難燃化剤が徐々に揮発し易いため、長期的に難燃特性を維持することが困難であった。一方、反応型難燃剤を添加する場合には、ベース樹脂が限定され、かつ価格が高価であった。
【0005】
この外に、光ファイバテープ心線の一括被覆層に酸素指数25以上の難燃性の熱可塑性樹脂を用いたものがある。(例えば、特許文献2参照)しかしながら、熱可塑性樹脂で一括被覆する場合には、熱可塑性樹脂は紫外線硬化型樹脂に比べて硬化に時間がかかるため、光ファイバ素線の配列が乱れる欠点があった。
【0006】
また、電子線硬化型樹脂を塗布した後、電子線を照射することによって光ファイバテープ心線を製造する方法が提案されている。(例えば、特許文献3参照)しかしながら、本先行技術には光ファイバテープ心線の難燃化に関する技術は開示されていない。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−72669号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献2】
特開2002−214492号公報(第2−4頁、第1図)
【特許文献3】
特開2001−264606号公報(第3−5頁、第1図、第2図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、光ファイバテープ心線の伝送損失の増加を伴うことなく、難燃性を向上させた光ファイバテープ心線を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、
請求項1にかかる発明は、複数本の光ファイバ素線を平行に配列して、一括被覆層によりテープ化される光ファイバテープ心線において、前記一括被覆層に粉末状難燃剤入り電子線硬化型樹脂を用いたことを特徴とする難燃性光ファイバテープ心線である。
【0010】
請求項2にかかる発明は、前記一括被覆層における粉末状難燃剤の配合率が15重量%から50重量%であることを特徴とする請求項1記載の難燃性光ファイバテープ心線である。
【0011】
請求項3にかかる発明は、前記粉末状難燃剤が金属水和物であることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の難燃性光ファイバテープ心線である。
【0012】
請求項4にかかる発明は、前記金属水和物として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのいずれか1種以上を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の難燃性光ファイバテープ心線である。
【0013】
請求項5にかかる発明は、粉末状難燃剤入り樹脂に電子線を照射して硬化することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の難燃性光ファイバテープ心線の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1に基づいて詳しく説明する。
本発明で用いられる光ファイバ素線1は、特に限定されないが、外径125μmの光ファイバ2に紫外線硬化型樹脂3で被覆されて外径250μmとしたものが一般に用いられる。光ファイバテープ心線6を構成する光ファイバ素線1の数は用途に応じて2以上の任意の数とすることができる。
【0015】
まず、光ファイバ素線1を図1のような配列状態として電子線硬化型樹脂塗布装置に導入して難燃剤入り電子線硬化型樹脂4を塗布した後、空気に晒されないように、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させて光ファイバテープ心線5の配列を固定させる。難燃剤入り電子線硬化型樹脂4塗布後電子線を照射するまでの間、空気に晒されないようにするのは、ラジカル重合系では酸素が重合を阻害するためである。
【0016】
電子線硬化型樹脂として、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等がある。これに添加される難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、水酸化マグネシウムや水酸化アルミウム等の水和系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、窒素含有化合物難燃剤、その他、無機難燃剤があるが、対環境性や難燃性の観点から水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムが用いられる。これらのうち吸熱量の点で水酸化マグネシウムが好ましい。
【0017】
本願の難燃性光ファイバテープ心線5の難燃性の評価は、JIS C 3005の水平試験で行った。すなわち、長さ約300mmの試料を、水平に支持し、還元炎の先端を、試料の中央部の下側に、30秒以内で燃焼するまで当て、炎を静かに取り去った後、燃焼部分の長さが10cm以内で自己消火したものを合格とし、15cm以上燃焼したものを不合格とした。
【0018】
また、光ファイバテープ心線5の伝送損失の評価として、半径30mmのマンドルに10ターン巻き付けた時の伝送損失の増加量で評価した。難燃剤の割合が多くなると樹脂が脆くなり、曲げ試験時にテープ表面に亀裂が生じ、この亀裂により光ファイバ2に不均一な曲がりが生じるため伝送損失が増大する。本願の伝送損失評価では0.10dB以上の損失増加が見られたものは不合格とした。
【0019】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
【実施例1】
光ファイバ2のガラス径が125μm、紫外線硬化型樹脂被覆後の外径が250μmの光ファイバ素線1を4本整列させ、その外周に一括層として、粉末状の水酸化マグネシウム(協和化学製キスマ5A)を50重量%配合したウレタンアクリレートを塗布後、窒素ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させた。電子線の加速電圧は、樹脂の硬化性と光ファイバ2の伝送損失抑制の観点から100kVとした。作製された光ファイバテープ心線5の寸法は厚さ0.31mm、幅1.10mmであった。この光ファイバテープ心線5の難燃性を評価したところ、10cm以内で自己消火し、難燃性は合格であった。また、半径30mmのマンドレルに10ターン巻き付けて、テープ表面の亀裂発生有無を調べたところ、亀裂は見られず、また光伝送損失の増加量をしらべたところ、損失増加も見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【実施例2】
実施例1と同じ光ファイバ素線1を4本整列させ、その外周に一括層として、粉末状の水酸化マグネシウム(協和化学製キスマ5A)を15重量%配合したウレタンアクリレートを塗布後、窒素ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させた。作製された光ファイバテープ心線5の寸法は厚さ0.31mm、幅1.10mmであった。この光ファイバテープ心線5について、実施例1と同様に難燃性と光伝送損失の評価を行ったところ、難燃性は合格で、伝送損失の増加も見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0023】
【実施例3】
実施例1と同じ光ファイバ素線1を4本整列させ、その外周に一括層として、粉末状の水酸化アルミニウム(昭和電工製ハイジライトH−42)を15重量%配合したウレタンアクリレートを塗布後、窒素ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させた。作製された光ファイバテープ心線5の寸法は厚さ0.31mm、幅1.10mmであった。この光ファイバテープ心線5について、実施例1と同様に難燃性と光伝送損失の評価を行ったところ、燃焼長さは実施例1よりも長いものの10cm以内で自己消火し、難燃性は合格であった。また、伝送損失の増加も見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0024】
【比較例1】
実施例1と同じ光ファイバ素線1を4本整列させ、その外周に一括層として、粉末状の水酸化マグネシウム(協和化学製キスマ5A)を10重量%配合したウレタンアクリレートを塗布後、窒素ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させた。作製された光ファイバテープ心線5の寸法は厚さ0.31mm、幅1.1mmであった。この光ファイバテープ心線5について、実施例1と同様に難燃性と光伝送損失の評価を行ったところ、テープ表面に亀裂は見られず、伝送損失の増加も認められなかったが、15cm以上燃焼し、難燃性は不合格であった。以上の結果を表1に示す。
【0025】
【比較例2】
実施例1と同じ光ファイバ素線1を4本整列させ、その外周に一括層として、粉末状の水酸化マグネシウム(協和化学製キスマ5A)を55重量%配合したウレタンアクリレートを塗布後、窒素ガス雰囲気の連結筒内を通過させて電子線照射装置へ導き、電子線を照射して樹脂を硬化させた。作製された光ファイバテープ心線5の寸法は厚さ0.31mm、幅1.1mmであった。この光ファイバテープ心線5について、実施例1と同様に難燃性と光伝送損失の評価を行ったところ、10cm以内で自己消火し、難燃性は合格であったが、テープ表面に亀裂が発生し、伝送損失が1.4dB増加した。以上の結果を表1に示す。
【0026】
このように、難燃剤としての水酸化マグネシウムの配合量が10重量%の場合には難燃性が不充分であり、55重量%の場合には難燃性は十分であるが光ファイバテープ心線5の一括被覆層の表面に亀裂が発生した。以上より、水酸化マグネシウムの配合には適正範囲があり、15重量%から50重量%の範囲において、テープ表面に亀裂が発生せず、光伝送損失も無く、難燃性も良好であることが判る。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバテープ心線及びその製造方法は、粉末状難燃剤を適量配合した電子線硬化型樹脂を塗布後、空気に晒すことなく速やかに電子線を照射することにより、テープ心線としての形状を確保するとともに、難燃性が良好で、かつ光伝送損失の増加のない光ファイバテープ心線を提供することができる。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す光ファイバテープ心線の断面図である。
【符号の説明】
1・・・光ファイバ素線、2・・・光ファイバ、3・・・紫外線硬化型樹脂、
4・・・難燃剤入り電子線硬化型樹脂、5・・・光ファイバテープ心線
Claims (5)
- 複数本の光ファイバ素線を平行に配列して、一括被覆層によりテープ化される光ファイバテープ心線において、前記一括被覆層に粉末状難燃剤入り電子線硬化型樹脂を用いたことを特徴とする難燃性光ファイバテープ心線。
- 前記一括被覆層における粉末状難燃剤の配合率が15重量%から50重量%であることを特徴とする請求項1記載の難燃性光ファイバテープ心線。
- 前記粉末状難燃剤が金属水和物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の難燃性光ファイバテープ心線。
- 前記金属水和物として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのいずれか1種以上を含むものであることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の難燃性光ファイバテープ心線。
- 粉末状難燃剤入り樹脂に電子線を照射して硬化することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の難燃性光ファイバテープ心線の製造方法。
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