JP2004157051A - ガスセンサ及びその制御方法並びに車両用空調制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間の使用によりガス検知素子の特性が変化したとしても、制御信号を可及的に正しく発し得るガスセンサを提供する。
【解決手段】ガスを検知可能なG素子1と、G素子1から出力される出力信号S(n)が入力され、出力信号S(n)に基づいてガス検知を判断し、制御信号LVを発する制御部4、5とを備えたガスセンサ10である。制御部4、5は、一定時間内の出力信号S(n)に基づく差分値S’を算出する算出手段と、差分値S’が予め設定した基準情報を超えなければG素子1が劣化していると判断して劣化判定を行う判断手段と、劣化判定が予め設定した基準劣化回数を超えればガス検知感度を上げる補償手段とを有する。
【選択図】 図6
【解決手段】ガスを検知可能なG素子1と、G素子1から出力される出力信号S(n)が入力され、出力信号S(n)に基づいてガス検知を判断し、制御信号LVを発する制御部4、5とを備えたガスセンサ10である。制御部4、5は、一定時間内の出力信号S(n)に基づく差分値S’を算出する算出手段と、差分値S’が予め設定した基準情報を超えなければG素子1が劣化していると判断して劣化判定を行う判断手段と、劣化判定が予め設定した基準劣化回数を超えればガス検知感度を上げる補償手段とを有する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサ及びその制御方法並びに車両用空調制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガスを検知可能なガス検知素子と、このガス検知素子から出力される出力信号が入力され、出力信号に基づいてガス検知、つまり雰囲気の汚染を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサが知られている(例えば、特許文献1参照)。ガス検知素子としては、NO2等の酸化ガスを検知可能なWO3等を主とした酸化ガス検知素子や、CO等の還元ガスを検知可能なSnO2等を主とした還元ガス検知素子が用いられている。WO3等を主とした酸化ガス検知素子は、酸化ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が大きくなる。他方、SnO2等を主とした還元ガス検知素子は、還元ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が小さくなる。このガス検知素子はヒータにより加熱されるようになっている。このガス検知素子の内部抵抗の変化に基づいて出力信号が出力される。制御部は、入力ルーチンによって出力信号の入力を待ち、制御ルーチンによってその出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する。
【0003】
これらのガスセンサは車両用空調制御装置等に用いられる。車両用空調制御装置では、制御部が発する制御信号によって内気と外気とを切換えるフラップを作動させる。こうしてこの車両用空調制御装置では、手動で内気と外気とを切換えることなく、清浄な外気を車内に取り入れるとともに汚染された外気の流入を阻止し、車内空間を快適に保つことが可能である。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−157714号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、発明者の試験結果によれば、ガスセンサは、長期間の使用により、ガス検知素子の特性が不可避的に変化してしまう。このため、従来のガスセンサでは、長期間の使用により、使用初期と比較してガスが同じ濃度変化を生じたときにガス検出素子からの出力信号の挙動が略同等の変化率(一定時間に対する変化の大きさ)を生じ難く、制御信号を正しく発し得ない事態が生じてしまう、つまりガス検知感度が一定でなく、低下してしまうことが明らかとなった。このため、このガスセンサを用いた車両用空調制御装置においては、応答性が低下し、清浄な外気のみの車内への取り入れが困難になる。こうであれば、汚染された外気が車内に流入しやすく、快適な車内空間の確保ができない事態が発生し得る。ここで、「ガス検知感度が一定」とは、ガスが同じ濃度変化を生じたとき、略同じタイミングで略同じ出力形態の制御信号を発することをいう。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、長期間の使用によりガス検知素子の特性が変化したとしても、制御信号を可及的に正しく発し得るガスセンサを提供することを解決すべき課題としている。また、そのガスセンサの制御方法及びそのガスセンサを用いた車両用空調装置を提供することも解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記課題解決のために鋭意研究を行い、一定時間内の出力信号に基づく出力情報とガス検知素子の特性の変化との関係に着目し、以下の発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のガスセンサは、特定ガスを検知可能なガス検知素子と、該ガス検知素子から出力される出力信号が入力され、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
【0009】
前記制御部は、一定時間内の前記出力信号に基づく出力情報を算出する算出手段と、
【0010】
該出力情報が予め設定した基準情報を超えなければ前記ガス検知素子が劣化していると判断して劣化判定を行う判断手段と、
【0011】
該判断手段にて劣化していないと判定された判定回数が予め設定した基準回数に達すると無劣化フラグを設定し、該判定回数が該基準回数に達しないと劣化フラグを設定するフラグ設定手段と、
【0012】
前記一定時間より長い所定時間経過時又は所定ガス検出回数時に劣化フラグが設定されていれば、ガス検知感度を上げる補償手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のガスセンサは以下の制御方法に使用可能である。すなわち、本発明のガスセンサの制御方法は、特定ガスを検知可能なガス検知素子から出力される出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
【0014】
前記制御ルーチンは、一定時間内の前記出力信号に基づく出力情報を算出する算出ステップと、
【0015】
該出力情報が予め設定した基準情報を超えなければ前記ガス検知素子が劣化していると判断して劣化判定を行う判断ステップと、
【0016】
該判断手段にて劣化していないと判定された判定回数が予め設定した基準回数に達すると無劣化フラグを設定し、該判定回数が該基準回数に達しないと劣化フラグを設定するフラグ設定ステップと、
【0017】
前記一定時間より長い所定時間経過時又は所定ガス検出回数時に劣化フラグが設定されていれば、ガス検知感度を上げる補償ステップとを有することを特徴とする。
【0018】
本発明において、ガス検知素子としては、NO2等の酸化ガスを検知可能なWO3等を主とした酸化ガス検知素子や、CO等の還元ガスを検知可能なSnO2やInO2等を主とした還元ガス検知素子を採用することができる。WO3等を主とした酸化ガス検知素子は、酸化ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が大きくなる。SnO2やInO2等を主とした還元ガス検知素子は、還元ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が小さくなる。このガス検知素子の内部抵抗の変化に基づいて出力信号が出力され得る。制御部は、入力ルーチンによってガス検知素子から出力される出力信号の入力を待ち、制御ルーチンによってその出力信号に基づいて雰囲気の汚染を判断し、制御信号を発する。
【0019】
この際、このガスセンサでは、算出手段(算出ステップ)が一定時間内の出力信号を処理し、出力情報を算出する。一定時間としては、2以上のサンプリングタイムを採用することが好ましい。そして、判断手段(判断ステップ)は、出力情報が予め設定した基準情報を超えなければガス検知素子が劣化していると判断して劣化判定を行う。なお、設定は前回の維持も含む。この判断手段(判断ステップ)は、出力情報と基準情報との比較を所定ガス検出回数又は所定時間内において行うことができる。その後、フラグ設定手段(フラグ設定ステップ)は、該判断手段にて劣化していないと判断される判定回数が予め設定した基準回数に達すると無劣化フラグを設定し、該基準回数に達しないと劣化フラグを設定し、補償手段(補償ステップ)は、前記一定時間より長い所定時間経過時又は所定ガス検出回数経過時にフラグ設定手段にて劣化フラグが設定されていれば、ガス検知感度を上げる。つまり、補償手段(補償ステップ)は、ガス検知素子が劣化してガス検知感度が低下すると、ガス検知感度を上げることになる。なお、所定ガス検出回数とは、基準回数以上に予め設定されたガス検知の回数のことである。
【0020】
したがって、第1発明のガスセンサによれば、長期間の使用によりガス検知素子の特性が変化したとしても、制御信号を可及的に正しく発することができる。
【0021】
このガスセンサでは、フラグ設定手段(フラグ設定ステップ)は、判断手段にて劣化していないと判定された判定回数が予め設定した連続した複数回の基準回数に達すると無劣化フラグを設定し、判定回数が基準回数に達しないと劣化フラグを設定することが好ましい。連続して劣化判定がなされれば、現実にガス検知感度が低下している確率が高いからである。こうして、ガス検知素子の劣化を確実に認識した後、ガス検知感度を上げることができる。
【0022】
このガスセンサでは、ガス検知は、現在の出力信号とベース値との差分値と、ガス検知を判断するために設定されたガス検知用閾値とにより行うものであり、ガス検知用閾値よりも基準情報の値が大きく設定されている。このガスセンサは、現在の出力信号とベース値との差分値がガス検知用閾値を超えた場合、ガス検知されたと判断され、ガス検知回数を1カウントする。そして、所定時間中又は所定ガス検出回数中にさらに劣化しているか否かを判断するために、ガス検知用閾値よりも基準情報の値を大きく設定しておく。
【0023】
車両用空調制御装置に使われるこの種のガスセンサでは、ガス検知用閾値は一般的に特定ガスの微小な濃度変化に対する出力信号の変化を検知できるように設定されている。また、車両用空調制御装置では、所定ガス検知回数中又は所定時間中に大きいガス濃度変化に伴う大きい出力信号の変化が生ずることが本発明者等の検討により分かっている。大きいガス濃度変化に対する大きい出力信号の変化が検知される時に、素子が劣化したガスセンサと劣化していないガスセンサとでは、出力信号の変化率の差が微小な濃度変化の時よりも大きく生じる傾向にある。そこで、ガス濃度変化に対する大きい出力信号の変化が検知される時に素子の劣化判定を行うことで、精度良く検知できる。つまり、ガス検知用閾値よりも基準値の値を大きく設定しておくことで、特定ガスの微小な濃度変化に対するガス検知精度を良好に保ちつつ、所定ガス検知回数中又は所定時間中に現れうる大きいガス濃度変化を利用して素子の劣化が精度良く判定できる。なお、ガス検知用閾値は基準情報の50%以下にしておくことがよい。
【0024】
このガスセンサでは、補償手段(補償ステップ)は、ガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することができる。ガス検知素子からの出力信号は一般的に温度に依存することから、ヒータへの供給電力を変更してヒータによる発熱量を変更することによりガス検知素子の温度が変化することになる。その結果、ガス検知素子からの出力信号を変更させることができ、ガス検知感度を変更できる。
【0025】
また、このガスセンサでは、ベース値は、出力信号の変化率が大きいほど出力信号との差が大きくなるように、出力信号の変化に対して緩慢に追従するものであり、補償手段は、ベース値の追従の変化率を変更することができる。ベース値は出力信号の変化率によって決定されるものであり、追従の変化率を変更することで、ガス検知回数を多くすることができ、ガス検知感度を上げることができる。
【0026】
さらに、このガスセンサでは、補償手段(補償ステップ)は、ガス検知用閾値の大きさを変更することができる。ガス検知用閾値を下げることによりガス検知回数を多くすることができるため、ガス検知感度を上げることができるからである。
【0027】
また、このガスセンサでは、出力情報を一定時間内の出力信号に基づく差分値とすることができる。ガス検知素子が劣化すると、ガスが同じ濃度変化を生じたときの出力信号の差分値(一定時間に対する変化の大きさ)が小さくなる。そのため、一定時間内の出力信号に基づく差分値を出力情報とすれば、ガス検知素子の劣化を判断することができる。
【0028】
このガスセンサでは、判断手段は出力情報が第2基準情報を超えれば、ガス検知素子が過敏であると判断して過敏判定を行い、フラグ設定手段は、判断手段にて過敏であると判定された判定回数が予め設定した基準回数に達すると無過敏フラグを設定し、判定回数が基準回数に達しないと過敏フラグを設定し、補償手段は、一定時間より長い所定時間経過時又は所定ガス検出回数時に過敏フラグが設定されていれば、ガス検知感度を下げることができる。なお、第2基準情報は基準情報よりも高く設定されている。
【0029】
この場合、フラグ設定手段は、判断手段にて過敏であると判定された判定回数が予め設定した連続した複数回の基準回数に達すると無過敏フラグを設定し、判定回数が基準回数に達しないと過敏フラグを設定することができる。連続して過敏判定がなされれば、現実にガス検知感度が過剰に高くなっている確率が高いからである。こうして、ガス検知素子の過敏を確実に認識した後、ガス検知感度を下げることができる。
【0030】
本発明のガスセンサは車両用空調制御装置に使用可能である。この車両用空調制御装置は、ガスセンサと接続され、ガスセンサの制御部から発せられる制御信号によって内気と外気とを切換えるフラップを作動させるものである。この車両用空調制御装置では、手動で内気と外気とを切換えることなく、より正確に清浄な外気を車内に取り入れるとともに汚染された外気の流入を阻止し、車内空間を快適に保つことが可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、試験及び本発明を具体化した実施形態1〜3を図面を参照しつつ説明する。
【0032】
(試験)
図1に示すように、試験に用いたガスセンサ10では、SnO2等を主とした還元ガス検知素子(以下、「G素子」という。)1の一端が接地され、その他端が検出抵抗器2の一端に接続されている。検出抵抗器2の他端は電源電圧Vcc(5V)に接続されている。また、G素子1と検出抵抗器2との接続点(動作点)の電位(電圧)がA/D変換回路3に入力され、所定のサイクル時間(0.4秒)毎にデジタル化された出力信号S(n)がマイコン4の入力端子に入力されるようになっている。なお、nはG素子1と検出抵抗器2との接続点の電位をA/D変換回路3においてA/D変換するサイクル時間の番号を示している。
【0033】
そして、マイコン4は、この出力信号S(n)に基づいてガス検知を判断し、ガスが検知されると制御信号LVを出力するようになっている。また、マイコン4からヒータ制御回路5にヒータ6への加熱指令が出力されると、ヒータ制御回路5は電流をヒータ6に通電するようになっている。ヒータ6はG素子1に隣接している。
【0034】
これらG素子1、検出抵抗器2、A/D変換回路3、マイコン4、ヒータ制御回路5及びヒータ6によりガスセンサ10が構成されている。G素子1としては、Figalo社製「TGS−2201」を使用している。このG素子1は還元ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が小さくなるものである。なお、ヒータ制御回路5は、ヒータ6に電力を供給する図示しない車載用バッテリ(例えば、12V)のバッテリ電圧を検出し、マイコン4にバッテリ電圧信号を出力する。そして、マイコン4は、そのバッテリ電圧信号に基づき、ヒータ6に供給する電力を制御するための指令をヒータ制御回路5に出力し、その指令に応じてヒータ制御回路5に備えられるスイッチング素子をスイッチング制御することで、ヒータ6に所望の電力が供給されるようになっている。これによりヒータ6によりG素子1が加熱される。
【0035】
以上の回路構成をしたガスセンサ10として、G素子1が劣化したガスセンサ11と、G素子1が劣化していないガスセンサ12とを用意する。シリコン一般型RTVゴム(信越化学工業株式会社)を常温で硬化させ、そのゴムをガスセンサと一緒に恒温槽に入れ、温度100°Cでセンサに通電しながら8時間経過させたG素子1を劣化したガスセンサとみなして用いたものであり、劣化していないガスセンサ12とは新品のG素子1を用いたものである。そして、これらのガスセンサ11、12について、COガス濃度を変化させた雰囲気中において、出力信号S(n)及び制御信号LVについて調べた。その結果を図2及び図3に示す。図2及び図3において、出力信号S1(n)及び制御信号LV1が劣化したガスセンサ11のものであり、出力信号S2(n)及び制御信号LV2が劣化していないガスセンサ12のものである。図2はヒータ加熱温度を一定にした場合の両ガスセンサ11、12の出力信号S1(n)、S2(n)及び制御信号LV1、LV2であり、図3は劣化したガスセンサ11のヒータ加熱温度のみを上昇させた場合の両ガスセンサ11、12の出力信号S1(n)、S2(n)及び制御信号LV1、LV2である。また、図2及び図3には、数1で求められるベース値B(n)も併せて記載している。ここで、Kは追従の変化率である。ベース値B1(n)が劣化したガスセンサ11のものであり、ベース値B2(n)が劣化していないガスセンサ12のものである。
【0036】
【数1】
B(n)=B(n−1)+K{S(n)−B(n−1)}
【0037】
このベース値B(n)は出力信号S(n)の変化率が大きいほど出力信号S(n)との差が大きくなるように、出力信号S(n)の変化に対して緩慢に追従するものであり、ベース値B(n)と出力信号S(n)との差分値がガス検知用閾値を超えた場合、COガスが検知されたと判断して、制御信号LVが出力される。なお、追従の変化率Kは、出力信号S(n)の変化に対して緩慢に追従するベース値B(n)を変更するものであり、0<K<1である。
【0038】
図2に示すCOガス濃度G1〜4は、ヒータ加熱温度を一定にした場合、ガス検知されて制御信号LVが出力されなければならないものである。これらのうち、COガス濃度G3、G4はCOガス濃度G1、G2と比べて高い濃度である。図2より、劣化していないガスセンサ12においては、COガス濃度G1〜4の全てがガス検知(制御信号LVを出力)されているのに対し、劣化したガスセンサ11においては、COガス濃度G3、4はガス検知(制御信号LVを出力)されているものの、COガス濃度G1、2がガス検知(制御信号LVを出力)されていないことがわかる。また、劣化したガスセンサ11においては、COガス濃度G3のガス検知(制御信号LVの出力)が劣化していないガスセンサ12のガス検知(制御信号LVの出力)より遅れていることがわかる。
【0039】
ここで、一定時間内の出力信号の差分値を計算すると、劣化したガスセンサ11についてのCOガス濃度G1、2とそれ以外(劣化したガスセンサ11についてのCOガス濃度G3、4及び劣化していないガスセンサ12についてのCOガス濃度G1〜4)との差分値の大きさが異なることが判明した。特に出力信号の差分値を計算する一定時間として4サンプリングタイム(A/D変換回路3による4回分のサンプリングタイムの合計)を採用すると、劣化したガスセンサ11と劣化していないガスセンサ12とを明確に区別できることが確認できた。
【0040】
一方、図3に示すCOガス濃度G5〜8は、劣化したガスセンサ11のヒータ加熱温度のみを上昇させた場合、ガス検知されて制御信号LVが出力されなければならないものである。これらのうち、COガス濃度G7、G8はCOガス濃度G5、G6と比べて高い濃度である。図3より、劣化していないガスセンサ12及び劣化したガスセンサ11ともに、COガス濃度G5〜8の全てがガス検知(制御信号LVを出力)されている。また、劣化したガスセンサ11と劣化していないガスセンサ12との両方とも、COガス濃度G5〜8の全てについてほぼ同時にガス検知(制御信号LVを出力)されている。
【0041】
以上のことから、劣化したガスセンサ11と劣化していないガスセンサ12とは、一定時間内の差分値の大きさにより、明確に区別できることがわかる。また、劣化したガスセンサ11であっても、ヒータ加熱温度を上昇させれば、劣化していないガスセンサ12と同様のガス検知感度になり得ることがわかる。
【0042】
(実施形態1)
実施形態1のガスセンサ10は、図4に示すように、車両用空調制御装置に使用されている。この車両用空調制御装置は、CO等の還元ガスを検知して制御信号を発するガスセンサ10と、車内への外気の取り入れと内気の循環とをフラップ94により切換える換気系90と、制御信号により換気系90のフラップ94を駆動するフラップ駆動アッセンブリ80とを具備している。
【0043】
ガスセンサ10の回路構成は図1に示す試験のものと同様であり、同じ構成については同じ記号を用いるものとし、その説明を省略する。また、出力信号S(n)とベース値B(n)とからガス検知を判断して、制御信号LVを出力する方法も試験のものと同様である。但し、実施形態1のガスセンサ10におけるマイコン4は、G素子1の劣化を判断してガス検知感度を変更するようになっている。マイコン4及びヒータ制御回路5が制御部である。
【0044】
フラップ駆動アッセンブリ80は、駆動回路81とアクチュエータ82とを備えている。駆動回路81は、ガスセンサ10のマイコン4から入力した制御信号LVによりアクチュエータ82を作動するようになっている。これによりアクチュエータ82により換気系90のフラップ94が駆動される。
【0045】
換気系90は、車内ダクト91、内気ダクト92、外気ダクト93、フラップ94及びファン95を備えている。外気ダクト93は外気を取り入れ、内気ダクト92は車内の内気を循環させるようになっている。フラップ94は、フラップ駆動アッセンブリ80により駆動され、外気ダクト93と内気ダクト92とを切換えて車内ダクト91に接続するようになっている。そして、車内ダクト91内に設けられたファン95により、車内に空気が強制的に送風される。
【0046】
以上の構成をした車両用空調制御装置のガスセンサ10について、マイコン4によりG素子1の劣化を判断してガス検知感度を変更する方法を説明する。まず、図5に示すように、マイコン4により処理が開始されると、ステップS1が実行される。ステップS1では、G素子1の出力信号S(n)が入力され、記憶される。ステップS1を実行後、ステップS2が実行される。
【0047】
ステップS2では、G素子1の劣化を判断する時間(4サンプリングタイム)が経過しているか否かをチェックする。時間が経過している場合(YES)、ステップS3に進む。また、時間が経過していない場合(NO)、ステップS5に進む。
【0048】
ステップS3では、G素子1の劣化の処理がすでに終了しているか否かをチェックする。処理がすでに終了している場合(YES)、ステップS5に進む。また、処理が終了していない場合(NO)、ステップS4に進む。「G素子1の劣化の処理がすでに終了している」とはヒータ6の加熱温度を上昇させた場合であり、この場合、上記試験で説明したように、劣化したガスセンサ11であっても劣化していないガスセンサ12と同様のガス検知感度になり得る。そのため、一度ヒータ6の加熱温度を上昇させた場合、再度G素子1の劣化の処理を行わないものとした。
【0049】
ステップS4では、G素子1の劣化を判断して、その結果を記憶しておく。そして、ステップS5が実行される。ここで、G素子1の劣化の判断は、4サンプリングタイムの出力信号の差分値と予め定められた値とを比較することにより行われる。具体的には、出力信号の差分値が予め定められた値を超えれば、G素子1は劣化していないと判断される。
【0050】
ステップS5では、ガス検知されているか否かをチェックする。ガス検知されている場合(YES)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されている場合、G素子1の劣化の判断は不要であるため、ステップS14に進む。ガス検知されていない場合(NO)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない場合、G素子1の劣化の判断が必要であるため、ステップS6に進む。
【0051】
ステップS6では、ガス検知回数が所定ガス検出回数になったか否かをチェックする。ガス検知回数が所定ガス検出回数になった場合(YES)、ステップS7に進む。ガス検知回数が所定ガス検出回数にならない場合(NO)、ステップS10に進む。
【0052】
ステップS7では、G素子1が劣化しているか否かをチェックする。G素子1が劣化している場合(YES)、ステップS8に進む。G素子1が劣化していない場合(NO)、ステップS9に進む。
【0053】
ステップS8では、ヒータ6の加熱温度を上昇させる。ステップS8を実行後、ステップS9に進む。このように、ガス検知回数が所定ガス検出回数になった時、G素子1の劣化を判断して処理をしているのは、車両の走行環境の違いをも考慮に入れたものである。つまり、山間部等を車両が走行している場合、ガス濃度の変化はほとんどない。このような場合、一定時間でG素子1の劣化を判断したのでは、出力信号の差分値が予め定められた値を超えることがない場合も起こり得るため、G素子1が劣化していると誤って判断されてしまうからである。
【0054】
ステップS9では、劣化判断時間終了のフラグを立てる。これにより、次回以降G素子1の劣化判断をしないことになる。ステップS9を実行後、ステップS10に進む。
【0055】
ステップS10では、前回ガス検知されていない場合、今回ガス検知されたか否かを判断する。そして、ガス検知された場合、制御信号LVを出力する。ここで、上記試験で説明したように、ベース値B(n)と出力信号S(n)との差分値がガス検知用閾値を超えた場合、ガス検知されたと判断される。ステップS10を実行後、ステップS11に進む。
【0056】
ステップS11では、ガス検知されているか否かをチェックする。ガス検知されている場合(YES)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されている場合、ステップS12に進む。ガス検知されていない場合(NO)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない場合、ステップS1に戻る。
【0057】
ステップS12では、G素子1の劣化の処理がすでに終了しているか否かをチェックする。処理がすでに終了している場合(YES)、ステップS1に戻る。また、処理が終了していない場合(NO)、ステップS13に進む。
【0058】
ステップS13では、ガス検知回数を1回増やす。そして、ステップS1に戻る。
【0059】
ステップS14では、前回ガス検知されている場合、今回ガス検知が終了したか否かを判断する。そして、ガス検知が終了した場合、制御信号LVの出力を停止する。ステップS14を実行後、ステップS1に戻る。
【0060】
次に、マイコン4によりG素子1の劣化をセンサ起動時から1回だけ判断してガス検知感度を変更する具体的な方法を詳説する。まず、図4に示すマイコン4により処理が開始されると、図6に示すステップS110が実行される。ステップS110では、車両用空調制御装置が初期設定され、フラグやカウンタの初期化が行われる。フラグやカウンタの初期値は、ガス検知フラグLVFL=0、劣化認識フラグDUFL=1、劣化処理終了フラグENFL=0、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=0、ガス検知回数カウンタGCN=0、出力信号安定タイマWT=0である。ここで、ガス検知フラグLVFLはガス検知中(制御信号出力中)であることを示す。劣化認識フラグDUFLはG素子1が劣化していることを示す。劣化処理終了フラグENFLはヒータ加熱温度を上昇させて、劣化の処理が終了していることを示す。所定ガス検出回数経過フラグTUFLはガス検知回数が劣化を判定する回数に達したことを示す。ガス検知回数カウンタGCNはガス検知の回数を示す。出力信号安定タイマWTはヒータ加熱温度を上昇させた後、出力信号が安定するまでの時間を示す。ステップS110を実行後、ステップS111が実行される。
【0061】
ステップS111では、G素子1の出力信号S(n)が入力され、記憶される。ステップS111を実行後、ステップS112が実行される。
【0062】
ステップS112では、プログラムがスタートしてから1.6秒経過したか否かをチェックする。1.6秒経過している場合(YES)、ステップS113に進む。また、1.6秒経過していない場合(NO)、ステップS117に進む。ここで、プログラムがスタートしてから1.6秒経過していない場合、ステップS117に進むとしたのは、この間は後述するステップS114で求める出力信号の1サンプリングタイムが0.4秒ということで、出力信号の差分値S’(n)が意味を持たないからである。
【0063】
ステップS113では、劣化の処理(ヒータ6の加熱温度を上昇)が終了しているか否かをチェックする。劣化処理終了フラグENFLが1の場合(YES)、劣化の処理が終了していると判断してステップS117に進む。また、劣化処理終了フラグENFLが1でない場合(NO)、劣化の処理が終了していないと判断してステップS114に進む。
【0064】
ステップS114では、出力信号の差分値S’(n)を計算する。この差分値S’(n)は数2に示す式で求められる。つまり、差分値S’(n)は最新のサンプリングの出力信号S(n)と4回前のサンプリングの出力信号S(n−4)との差である。ステップS114を実行後、ステップS115が実行される。
【0065】
【数2】
S′(n)=S(n−4)−S(n)
【0066】
ステップS115では、G素子1が劣化していないか否かをチェックする。差分値S’(n)が800を超えている場合(YES)、G素子1が劣化していないと判断してステップS116に進む。また、差分値S’(n)が800を超えていない場合(NO)、G素子1が劣化していないと判断できないためステップS117に進む。
【0067】
ステップS116では、劣化認識フラグDUFL=0とする。これにより、G素子1が劣化していないことを示す。このプログラムでは、劣化認識フラグDUFL=1として、G素子1が劣化している状態に初期化されている。そして、1回でもG素子1が劣化していないと判断されると、劣化認識フラグDUFL=0としてG素子1が劣化していないとしている。したがって、G素子1が劣化していないと判断されることが全くなければ、劣化認識フラグDUFL=1のままであり、G素子1が劣化していることを示している。ステップS116を実行後、ステップS117が実行される。
【0068】
ステップS117では、ガス検知中か否かをチェックする。ガス検知フラグLVFLが1の場合(YES)、ガス検知中である(ガスセンサ10から制御信号LVが出力されている)と判断してステップS128に進む。また、ガス検知フラグLVFLが1でない場合(NO)、ガス検知中でない(ガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない)と判断してステップS118に進む。
【0069】
ステップS118では、ガス検知回数が所定ガス検出回数(10回)になったか否かをチェックする。所定ガス検出回数経過フラグTUFLが1の場合(YES)、ガス検知回数が10回になったと判断してステップS119に進む。所定ガス検出回数経過フラグTUFLが1でない場合(NO)、ガス検知回数が10回になっていないと判断してステップS122に進む。
【0070】
ステップS119では、G素子1が劣化しているか否かをチェックする。劣化認識フラグDUFLが1の場合(YES)、ステップS115において差分値S’(n)が800を超えることがなかったため、G素子1が劣化していると判断してステップS120に進む。また、劣化認識フラグDUFLが1でない場合(NO)、ステップS115において差分値S’(n)が800を超えることがあったため、G素子1が劣化していないと判断してステップS121に進む。
【0071】
ステップS120では、ヒータ6の加熱温度を上昇させる。これにより、G素子1のガス検知感度を上げることができる。また、出力信号安定タイマWTをセットする。この出力信号安定タイマWTにセットする値は、ヒータ6の加熱温度を上昇させた後、出力信号S(n)が安定するまでの時間であり、10秒程度である。さらに、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=0、劣化処理終了フラグENFL=1にした後、ステップS122に進む。なお、劣化処理終了フラグENFLを1にすることにより、劣化の処理(ヒータ6の加熱温度を上昇)が終了していることを表す。
【0072】
ステップS121では、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=0、劣化処理終了フラグENFL=1にする。これにより、劣化の処理が終了していることを表す。そして、ステップS122に進む。
【0073】
ステップS122では、「ガス検知判断・処理サブルーチン」を実行した後、ステップS123に進む。
【0074】
ステップS123では、「ガス検知判断・処理サブルーチン」によりガス検知されたか否かをチェックする。ガス検知フラグLVFLが1の場合(YES)、ガス検知された(ガスセンサ10から制御信号LVが出力された)と判断してステップS124に進む。また、ガス検知フラグLVFLが1でない場合(NO)、ガス検知されない(ガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない)と判断してステップS129に進む。
【0075】
ステップS124では、劣化の処理(ヒータ6の加熱温度を上昇)が終了しているか否かをチェックする。劣化処理終了フラグENFLが1の場合(YES)、劣化の処理が終了していると判断してステップS129に進む。また、劣化処理終了フラグENFLが1でない場合(NO)、劣化の処理が終了していないと判断してステップS125に進む。
【0076】
ステップS125では、ガス検知の回数が劣化判定回数に達したか否かをチェックする。ガス検知回数カウンタGCNが10より小さい場合(YES)、劣化判定回数に達しないと判断してステップS126に進む。ガス検知回数カウンタGCNが10以上の場合(NO)、劣化判定回数に達したと判断してステップS127に進む。
【0077】
ステップS126では、新たにガス検知がされたと判断してガス検知回数カウンタGCNをインクリメント(+1)する。そして、ステップS129に進む。
【0078】
ステップS127では、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=1にした後、ステップS129に進む。なお、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=1とすることにより、ガス検知回数が10回になったことを表す。
【0079】
ステップS128では、「ガス検知終了判断・処理サブルーチン」を実行した後、ステップS129に進む。
【0080】
ステップS129では、A/D変換回路3によるサンプリングタイムに達するまで待機する。このサンプリングタイムは0.4秒である。サンプリングタイムに達したら、ステップS111に戻り、次の出力信号を入力する。
【0081】
次に、このプログラムで使用されるサブルーチン・プログラムについて説明する。「ガス検知判断・処理サブルーチン」がコールされると、図7に示すように、ステップS40が実行される。ステップS40では、最新のサンプリングの出力信号S(n)と1つ前のサンプリングのベース値B(n−1)との大きさをチェックする。出力信号S(n)がベース値B(n−1)以下である場合(YES)、ステップ41に進む。また、出力信号S(n)がベース値B(n−1)より大きい場合(YES)、ステップ42に進む。
【0082】
ステップS41では、数3に示す式によりベース値B(n)を求め、ステップS43に進む。また、ステップS42では、数4に示す式によりベース値B(n)を求め、ステップS43に進む。
【0083】
【数3】
B(n)=B(n−1)+K{S(n)−B(n−1)}
【0084】
【数4】
B(n)=S(n)
【0085】
ステップS43では、出力信号S(n)が安定しているが安定しているか否かをチェックする。出力信号安定タイマWTが0である場合(YES)、出力信号S(n)が安定していると判断して、ステップS45に進む。この場合は、ヒータ6の加熱温度を上昇させていないか又はヒータ6の加熱温度を上昇させた後、出力信号S(n)が安定するまでの時間(約10秒)が経過している場合である。また、。出力信号安定タイマWTが0でない場合(NO)、出力信号S(n)が安定していないと判断して、ステップS44に進む。この場合は、ヒータ6の加熱温度を上昇させた後、出力信号S(n)が安定するまでの時間(約10秒)が経過していない場合である。
【0086】
ステップS44では、数4に示す式によりベース値B(n)を求め、出力信号安定タイマWTをディクリメント(−1)する。そして、ステップS45に進む。また、ステップS45では、数5に示す式により出力信号S(n)とベース値B(n)との差分値D(n)を求め、ステップS46に進む。
【0087】
【数5】
D(n)=B(n)−S(n)
【0088】
ステップS46では、ガス検知判断をする。差分値D(n)がガス検知用閾値ST1より大きい場合(YES)、ガスが検知されたと判断して、ステップS47に進む。また、差分値D(n)がガス検知用閾値ST1以下である場合(NO)、ガスが検知されないと判断して、メインプログラムにリターンする。
【0089】
ステップS47では、ガス検知処理を行う。制御信号LVを出力し、ガス検知フラグLVFL=1として、メインプログラムにリターンする。
【0090】
次に、「ガス検知終了判断・処理サブルーチン」がコールされると、図8に示すように、ステップS50が実行される。ステップS50では、最新のサンプリングの出力信号S(n)と1つ前のサンプリングのベース値B(n−1)との大きさをチェックする。出力信号S(n)がベース値B(n−1)以下である場合(YES)、ステップ51に進む。また、出力信号S(n)がベース値B(n−1)より大きい場合(YES)、ステップ52に進む。
【0091】
ステップS51では、数3に示す式によりベース値B(n)を求め、ステップS53に進む。また、ステップS52では、数4に示す式によりベース値B(n)を求め、ステップS53に進む。
【0092】
ステップS53では、数5に示す式により差分値D(n)を求め、ステップS54に進む。
【0093】
ステップS54では、ガス検知終了判断をする。差分値D(n)がガス検知解除用閾値ST2より大きい場合(YES)、まだガスが検知されていると判断して、メインプログラムにリターンする。また、差分値D(n)がガス検知解除用閾値ST2以下である場合(NO)、ガスが検知されなくなったと判断して、ステップS55に進む。
【0094】
ステップS55では、ガス検知終了処理を行う。制御信号LVの出力を停止し、ガス検知フラグLVFL=0として、メインプログラムにリターンする。
【0095】
こうして、このガスセンサ10によれば、G素子1が劣化してガス検知感度が低下すると、ヒータ6の加熱温度を上昇させて、ガス検知感度を上げることができる。なお、ステップS14が出力情報の算出手段であり、差分値S’(n)が出力情報である。また、ステップS15が判断手段であり、ステップS15で使用される値800が基準情報である。さらに、ステップS20が補償手段である。また、10回のガス検知の間における劣化のチェック回数が基準回数である。このプログラムでは、10回のガス検知の間、1回でもG素子1が劣化していないと判断されるとG素子1が劣化していないとしている。したがって、10回のガス検知の間、全てG素子1が劣化していると判断される場合、G素子1が劣化しているとされる。つまり、基準回数は、10回のガス検知の間における劣化のチェック回数と一致する。
【0096】
したがって、このガスセンサ10によれば、長期間の使用によりG素子1の特性が変化したとしても、制御信号LVを可及的に正しく発することができる。このため、このガスセンサ10を用いた車両用空調制御装置では、手動で内気と外気とを切換えることなく、より正確に清浄な外気を車内に取り入れるとともに汚染された外気の流入を阻止できるため、車内空間を快適に保つことが可能である。
【0097】
また、実施形態1においては、補償手段としてヒータ6の加熱温度を上昇させる手法を採用したが、入力した出力信号S(n)の変化に対して緩慢に追従するベース値B(n)の追従の変化率Kを変更する手法を補償手段として採用することもできる。ベース値B(n)を算出するために設定された追従の変化率Kを変更すれば、ベース値B(n)と出力信号S(n)との差分値D(n)も変更される。これにより、ガス検知回数を多くすることができるため、ガス検知感度を上げることができる。
【0098】
さらに、ガス検知用閾値ST1の大きさを変更する手法を補償手段として採用することもできる。ガス検知用閾値ST1を下げることによりガス検知回数を多くすることができるため、ガス検知感度を上げることができるからである。
【0099】
なお、このガスセンサ10では、ガス検知回数が10回になった時、G素子1の劣化を判断して処理をしているが、一定時間になった時、G素子1の劣化を判断して処理をすることもできる。ただし、この場合、車両の走行環境の違いをも考慮に入れ、ある程度長時間とすることが望ましい。
【0100】
また、このガスセンサ10では、ソフトウェアにより出力信号の差分値S’(n)を計算しているが、この差分値S’(n)をハードウェアにより求めることもできる。
【0101】
(実施形態2)
実施形態2のガスセンサは、実施形態1と同様、車両用空調制御装置に使用されている。その構成は図4に示す実施形態1の車両用空調制御装置と同一であり、その説明を省略する。また、出力信号S(n)とベース値B(n)とからガス検知を判断して、制御信号LVを出力する方法も実施形態1と同様である。但し、実施形態2のガスセンサ10におけるマイコン4は、G素子1の劣化及び過敏を判断してガス検知感度を変更するようになっている。
【0102】
この車両用空調制御装置のガスセンサ10について、マイコン4によりG素子1の劣化及び過敏を判断してガス検知感度を変更する方法を説明する。まず、図9に示すように、マイコン4により処理が開始されると、ステップS60が実行される。ステップS60からステップS63では、G素子1の出力信号S(n)が入力され、記憶される。そして、G素子1の劣化及び過敏を判断して、その結果を記憶しておく。この際、G素子1の劣化の判断方法は実施形態1と同様である。また、G素子1の過敏の判断方法は、数2に示す式で求められる差分値S’(n)が基準情報を超えればガス検知素子が過敏であると判断する。ステップS63を実行後、ステップS64が実行される。
【0103】
ステップS64では、ガス検知されているか否かをチェックする。ガス検知されている場合(YES)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されている場合、G素子1の劣化の判断は不要であるため、ステップS75に進む。ガス検知されていない場合(NO)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない場合、G素子1の劣化の判断が必要であるため、ステップS65に進む。
【0104】
ステップS65では、ガス検知回数が所定ガス検出回数になったか否かをチェックする。ガス検知回数が所定ガス検出回数になった場合(YES)、ステップS66に進む。ガス検知回数が所定ガス検出回数にならない場合(NO)、ステップS71に進む。
【0105】
ステップS66では、G素子1が劣化しているか否かをチェックする。G素子1が劣化している場合(YES)、ステップS68に進む。G素子1が劣化していない場合(NO)、ステップS67に進む。
【0106】
ステップS67では、G素子1が過敏であるか否かをチェックする。G素子1が過敏である場合(YES)、ステップS69に進む。G素子1が過敏でない場合(NO)、ステップS70に進む。このように、ガス検知回数が所定ガス検出回数になった時、G素子1の劣化又は過敏を判断して処理をしているのは、実施形態1の場合と同様、車両の走行環境の違いをも考慮に入れたものである。
【0107】
ステップS68では、ヒータ6の加熱温度を上昇させる。ステップS68実行後、ステップS70に進む。
【0108】
ステップS69では、ヒータ6の加熱温度を下降させる。ステップS69実行後、ステップS70に進む。
【0109】
ステップS70では、劣化・過敏判断終了のフラグを立てる。これにより、次回以降G素子1の劣化・過敏判断をしないことになる。ステップS70を実行後、ステップS71に進む。
【0110】
ステップS71では、前回ガス検知されていない場合、今回ガス検知されたか否かを判断する。そして、ガス検知された場合、制御信号LVを出力する。ここで、(試験)で示したように、ベース値B(n)と出力信号S(n)との差分値D(n)がガス検知用閾値を超えた場合、今回ガス検知されたと判断される。ステップS71を実行後、ステップS72に進む。
【0111】
ステップS72では、ガス検知されているか否かをチェックする。ガス検知されている場合(YES)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されている場合、ステップS73に進む。ガス検知されていない場合(NO)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない場合、ステップS60に戻る。
【0112】
ステップS73では、G素子1の劣化の処理がすでに終了しているか否かをチェックする。処理がすでに終了している場合(YES)、ステップS60に戻る。また、処理が終了していない場合(NO)、ステップS74に進む。
【0113】
ステップS74では、ガス検知回数を1回増やす。そして、ステップS60に戻る。
【0114】
ステップS74では、前回ガス検知されている場合、今回ガス検知が終了したか否かを判断する。そして、ガス検知が終了した場合、制御信号LVの出力を停止する。ステップS75を実行後、ステップS60に戻る。
【0115】
このガスセンサ10では、G素子1が劣化している場合、ヒータ6の加熱温度を上昇させ、G素子1が過敏である場合、ヒータ6の加熱温度を下降させる。これにより、G素子1の劣化及び過敏の両方に対して、補償手段によりガス検知感度を補償することができる。その他の作用、効果は実施形態1と同様である。
【0116】
(実施形態3)
実施形態3のガスセンサは、実施形態1と同様、車両用空調制御装置に使用されている。その構成は図4に示す実施形態1の車両用空調制御装置と同一であり、その説明を省略する。また、出力信号S(n)とベース値B(n)とからガス検知を判断して、制御信号LVを出力する方法も実施形態1と同様である。
【0117】
この車両用空調制御装置のガスセンサ10について、マイコン4によりG素子1のセンサ起動時からからガス検出回数が所定ガス検出回数(10回)ごとに劣化を判断してガス検知感度を変更する具体的な方法を図10により詳説する。なお、実施形態1と同様のステップについては同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なるステップについて説明することとする。
【0118】
ステップS221では、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=0、劣化認識フラグDUFL=1とする。これにより、次にガス検出回数が所定ガス検出回数(10回)になるまでの間、G素子1の劣化の判断を行う準備が完了する。そして、ステップS122に進む。
【0119】
ステップS227では、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=1、ガス検知回数カウンタGCN=0にした後、ステップS129に進む。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験及び実施形態1、2のガスセンサの主な電気的構成を示すブロック図である。
【図2】COガス濃度を変化させた雰囲気中において、ヒータ加熱温度を一定にした場合、劣化したガスセンサと劣化していないガスセンサとにおける時間と出力信号及び制御信号との関係を示すグラフである。
【図3】COガス濃度を変化させた雰囲気中において、劣化したガスセンサのヒータ加熱温度のみを上昇させた場合、劣化したガスセンサと劣化していないガスセンサとにおける時間と出力信号及び制御信号との関係を示すグラフである。
【図4】実施形態1、2のガスセンサに係り、車両用空調制御装置の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図5】実施形態1のガスセンサに係り、プログラムの概要を示すフローチャートである。
【図6】実施形態1のガスセンサに係り、プログラムの詳細を示すフローチャートである。
【図7】実施形態1のガスセンサに係り、ガス検知判断・処理サブルーチンプログラムのフローチャートである。
【図8】実施形態1のガスセンサに係り、ガス検知終了判断・処理サブルーチンプログラムのフローチャートである。
【図9】実施形態2のガスセンサに係り、プログラムの概要を示すフローチャートである。
【図10】実施形態3のガスセンサに係り、プログラムの詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…ガス検知素子(G素子)
S(n)…出力信号
LV…制御信号
10…ガスセンサ
4、5…制御部(4…マイコン、5…ヒータ制御回路)
6…ヒータ
S’…出力情報(差分値)
B(n)…ベース値
K…追従の変化率
ST1…ガス検知用閾値
94…フラップ
S114…算出手段
S115…判断手段
S120…補償手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサ及びその制御方法並びに車両用空調制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガスを検知可能なガス検知素子と、このガス検知素子から出力される出力信号が入力され、出力信号に基づいてガス検知、つまり雰囲気の汚染を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサが知られている(例えば、特許文献1参照)。ガス検知素子としては、NO2等の酸化ガスを検知可能なWO3等を主とした酸化ガス検知素子や、CO等の還元ガスを検知可能なSnO2等を主とした還元ガス検知素子が用いられている。WO3等を主とした酸化ガス検知素子は、酸化ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が大きくなる。他方、SnO2等を主とした還元ガス検知素子は、還元ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が小さくなる。このガス検知素子はヒータにより加熱されるようになっている。このガス検知素子の内部抵抗の変化に基づいて出力信号が出力される。制御部は、入力ルーチンによって出力信号の入力を待ち、制御ルーチンによってその出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する。
【0003】
これらのガスセンサは車両用空調制御装置等に用いられる。車両用空調制御装置では、制御部が発する制御信号によって内気と外気とを切換えるフラップを作動させる。こうしてこの車両用空調制御装置では、手動で内気と外気とを切換えることなく、清浄な外気を車内に取り入れるとともに汚染された外気の流入を阻止し、車内空間を快適に保つことが可能である。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−157714号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、発明者の試験結果によれば、ガスセンサは、長期間の使用により、ガス検知素子の特性が不可避的に変化してしまう。このため、従来のガスセンサでは、長期間の使用により、使用初期と比較してガスが同じ濃度変化を生じたときにガス検出素子からの出力信号の挙動が略同等の変化率(一定時間に対する変化の大きさ)を生じ難く、制御信号を正しく発し得ない事態が生じてしまう、つまりガス検知感度が一定でなく、低下してしまうことが明らかとなった。このため、このガスセンサを用いた車両用空調制御装置においては、応答性が低下し、清浄な外気のみの車内への取り入れが困難になる。こうであれば、汚染された外気が車内に流入しやすく、快適な車内空間の確保ができない事態が発生し得る。ここで、「ガス検知感度が一定」とは、ガスが同じ濃度変化を生じたとき、略同じタイミングで略同じ出力形態の制御信号を発することをいう。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、長期間の使用によりガス検知素子の特性が変化したとしても、制御信号を可及的に正しく発し得るガスセンサを提供することを解決すべき課題としている。また、そのガスセンサの制御方法及びそのガスセンサを用いた車両用空調装置を提供することも解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記課題解決のために鋭意研究を行い、一定時間内の出力信号に基づく出力情報とガス検知素子の特性の変化との関係に着目し、以下の発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のガスセンサは、特定ガスを検知可能なガス検知素子と、該ガス検知素子から出力される出力信号が入力され、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
【0009】
前記制御部は、一定時間内の前記出力信号に基づく出力情報を算出する算出手段と、
【0010】
該出力情報が予め設定した基準情報を超えなければ前記ガス検知素子が劣化していると判断して劣化判定を行う判断手段と、
【0011】
該判断手段にて劣化していないと判定された判定回数が予め設定した基準回数に達すると無劣化フラグを設定し、該判定回数が該基準回数に達しないと劣化フラグを設定するフラグ設定手段と、
【0012】
前記一定時間より長い所定時間経過時又は所定ガス検出回数時に劣化フラグが設定されていれば、ガス検知感度を上げる補償手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のガスセンサは以下の制御方法に使用可能である。すなわち、本発明のガスセンサの制御方法は、特定ガスを検知可能なガス検知素子から出力される出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
【0014】
前記制御ルーチンは、一定時間内の前記出力信号に基づく出力情報を算出する算出ステップと、
【0015】
該出力情報が予め設定した基準情報を超えなければ前記ガス検知素子が劣化していると判断して劣化判定を行う判断ステップと、
【0016】
該判断手段にて劣化していないと判定された判定回数が予め設定した基準回数に達すると無劣化フラグを設定し、該判定回数が該基準回数に達しないと劣化フラグを設定するフラグ設定ステップと、
【0017】
前記一定時間より長い所定時間経過時又は所定ガス検出回数時に劣化フラグが設定されていれば、ガス検知感度を上げる補償ステップとを有することを特徴とする。
【0018】
本発明において、ガス検知素子としては、NO2等の酸化ガスを検知可能なWO3等を主とした酸化ガス検知素子や、CO等の還元ガスを検知可能なSnO2やInO2等を主とした還元ガス検知素子を採用することができる。WO3等を主とした酸化ガス検知素子は、酸化ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が大きくなる。SnO2やInO2等を主とした還元ガス検知素子は、還元ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が小さくなる。このガス検知素子の内部抵抗の変化に基づいて出力信号が出力され得る。制御部は、入力ルーチンによってガス検知素子から出力される出力信号の入力を待ち、制御ルーチンによってその出力信号に基づいて雰囲気の汚染を判断し、制御信号を発する。
【0019】
この際、このガスセンサでは、算出手段(算出ステップ)が一定時間内の出力信号を処理し、出力情報を算出する。一定時間としては、2以上のサンプリングタイムを採用することが好ましい。そして、判断手段(判断ステップ)は、出力情報が予め設定した基準情報を超えなければガス検知素子が劣化していると判断して劣化判定を行う。なお、設定は前回の維持も含む。この判断手段(判断ステップ)は、出力情報と基準情報との比較を所定ガス検出回数又は所定時間内において行うことができる。その後、フラグ設定手段(フラグ設定ステップ)は、該判断手段にて劣化していないと判断される判定回数が予め設定した基準回数に達すると無劣化フラグを設定し、該基準回数に達しないと劣化フラグを設定し、補償手段(補償ステップ)は、前記一定時間より長い所定時間経過時又は所定ガス検出回数経過時にフラグ設定手段にて劣化フラグが設定されていれば、ガス検知感度を上げる。つまり、補償手段(補償ステップ)は、ガス検知素子が劣化してガス検知感度が低下すると、ガス検知感度を上げることになる。なお、所定ガス検出回数とは、基準回数以上に予め設定されたガス検知の回数のことである。
【0020】
したがって、第1発明のガスセンサによれば、長期間の使用によりガス検知素子の特性が変化したとしても、制御信号を可及的に正しく発することができる。
【0021】
このガスセンサでは、フラグ設定手段(フラグ設定ステップ)は、判断手段にて劣化していないと判定された判定回数が予め設定した連続した複数回の基準回数に達すると無劣化フラグを設定し、判定回数が基準回数に達しないと劣化フラグを設定することが好ましい。連続して劣化判定がなされれば、現実にガス検知感度が低下している確率が高いからである。こうして、ガス検知素子の劣化を確実に認識した後、ガス検知感度を上げることができる。
【0022】
このガスセンサでは、ガス検知は、現在の出力信号とベース値との差分値と、ガス検知を判断するために設定されたガス検知用閾値とにより行うものであり、ガス検知用閾値よりも基準情報の値が大きく設定されている。このガスセンサは、現在の出力信号とベース値との差分値がガス検知用閾値を超えた場合、ガス検知されたと判断され、ガス検知回数を1カウントする。そして、所定時間中又は所定ガス検出回数中にさらに劣化しているか否かを判断するために、ガス検知用閾値よりも基準情報の値を大きく設定しておく。
【0023】
車両用空調制御装置に使われるこの種のガスセンサでは、ガス検知用閾値は一般的に特定ガスの微小な濃度変化に対する出力信号の変化を検知できるように設定されている。また、車両用空調制御装置では、所定ガス検知回数中又は所定時間中に大きいガス濃度変化に伴う大きい出力信号の変化が生ずることが本発明者等の検討により分かっている。大きいガス濃度変化に対する大きい出力信号の変化が検知される時に、素子が劣化したガスセンサと劣化していないガスセンサとでは、出力信号の変化率の差が微小な濃度変化の時よりも大きく生じる傾向にある。そこで、ガス濃度変化に対する大きい出力信号の変化が検知される時に素子の劣化判定を行うことで、精度良く検知できる。つまり、ガス検知用閾値よりも基準値の値を大きく設定しておくことで、特定ガスの微小な濃度変化に対するガス検知精度を良好に保ちつつ、所定ガス検知回数中又は所定時間中に現れうる大きいガス濃度変化を利用して素子の劣化が精度良く判定できる。なお、ガス検知用閾値は基準情報の50%以下にしておくことがよい。
【0024】
このガスセンサでは、補償手段(補償ステップ)は、ガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することができる。ガス検知素子からの出力信号は一般的に温度に依存することから、ヒータへの供給電力を変更してヒータによる発熱量を変更することによりガス検知素子の温度が変化することになる。その結果、ガス検知素子からの出力信号を変更させることができ、ガス検知感度を変更できる。
【0025】
また、このガスセンサでは、ベース値は、出力信号の変化率が大きいほど出力信号との差が大きくなるように、出力信号の変化に対して緩慢に追従するものであり、補償手段は、ベース値の追従の変化率を変更することができる。ベース値は出力信号の変化率によって決定されるものであり、追従の変化率を変更することで、ガス検知回数を多くすることができ、ガス検知感度を上げることができる。
【0026】
さらに、このガスセンサでは、補償手段(補償ステップ)は、ガス検知用閾値の大きさを変更することができる。ガス検知用閾値を下げることによりガス検知回数を多くすることができるため、ガス検知感度を上げることができるからである。
【0027】
また、このガスセンサでは、出力情報を一定時間内の出力信号に基づく差分値とすることができる。ガス検知素子が劣化すると、ガスが同じ濃度変化を生じたときの出力信号の差分値(一定時間に対する変化の大きさ)が小さくなる。そのため、一定時間内の出力信号に基づく差分値を出力情報とすれば、ガス検知素子の劣化を判断することができる。
【0028】
このガスセンサでは、判断手段は出力情報が第2基準情報を超えれば、ガス検知素子が過敏であると判断して過敏判定を行い、フラグ設定手段は、判断手段にて過敏であると判定された判定回数が予め設定した基準回数に達すると無過敏フラグを設定し、判定回数が基準回数に達しないと過敏フラグを設定し、補償手段は、一定時間より長い所定時間経過時又は所定ガス検出回数時に過敏フラグが設定されていれば、ガス検知感度を下げることができる。なお、第2基準情報は基準情報よりも高く設定されている。
【0029】
この場合、フラグ設定手段は、判断手段にて過敏であると判定された判定回数が予め設定した連続した複数回の基準回数に達すると無過敏フラグを設定し、判定回数が基準回数に達しないと過敏フラグを設定することができる。連続して過敏判定がなされれば、現実にガス検知感度が過剰に高くなっている確率が高いからである。こうして、ガス検知素子の過敏を確実に認識した後、ガス検知感度を下げることができる。
【0030】
本発明のガスセンサは車両用空調制御装置に使用可能である。この車両用空調制御装置は、ガスセンサと接続され、ガスセンサの制御部から発せられる制御信号によって内気と外気とを切換えるフラップを作動させるものである。この車両用空調制御装置では、手動で内気と外気とを切換えることなく、より正確に清浄な外気を車内に取り入れるとともに汚染された外気の流入を阻止し、車内空間を快適に保つことが可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、試験及び本発明を具体化した実施形態1〜3を図面を参照しつつ説明する。
【0032】
(試験)
図1に示すように、試験に用いたガスセンサ10では、SnO2等を主とした還元ガス検知素子(以下、「G素子」という。)1の一端が接地され、その他端が検出抵抗器2の一端に接続されている。検出抵抗器2の他端は電源電圧Vcc(5V)に接続されている。また、G素子1と検出抵抗器2との接続点(動作点)の電位(電圧)がA/D変換回路3に入力され、所定のサイクル時間(0.4秒)毎にデジタル化された出力信号S(n)がマイコン4の入力端子に入力されるようになっている。なお、nはG素子1と検出抵抗器2との接続点の電位をA/D変換回路3においてA/D変換するサイクル時間の番号を示している。
【0033】
そして、マイコン4は、この出力信号S(n)に基づいてガス検知を判断し、ガスが検知されると制御信号LVを出力するようになっている。また、マイコン4からヒータ制御回路5にヒータ6への加熱指令が出力されると、ヒータ制御回路5は電流をヒータ6に通電するようになっている。ヒータ6はG素子1に隣接している。
【0034】
これらG素子1、検出抵抗器2、A/D変換回路3、マイコン4、ヒータ制御回路5及びヒータ6によりガスセンサ10が構成されている。G素子1としては、Figalo社製「TGS−2201」を使用している。このG素子1は還元ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が小さくなるものである。なお、ヒータ制御回路5は、ヒータ6に電力を供給する図示しない車載用バッテリ(例えば、12V)のバッテリ電圧を検出し、マイコン4にバッテリ電圧信号を出力する。そして、マイコン4は、そのバッテリ電圧信号に基づき、ヒータ6に供給する電力を制御するための指令をヒータ制御回路5に出力し、その指令に応じてヒータ制御回路5に備えられるスイッチング素子をスイッチング制御することで、ヒータ6に所望の電力が供給されるようになっている。これによりヒータ6によりG素子1が加熱される。
【0035】
以上の回路構成をしたガスセンサ10として、G素子1が劣化したガスセンサ11と、G素子1が劣化していないガスセンサ12とを用意する。シリコン一般型RTVゴム(信越化学工業株式会社)を常温で硬化させ、そのゴムをガスセンサと一緒に恒温槽に入れ、温度100°Cでセンサに通電しながら8時間経過させたG素子1を劣化したガスセンサとみなして用いたものであり、劣化していないガスセンサ12とは新品のG素子1を用いたものである。そして、これらのガスセンサ11、12について、COガス濃度を変化させた雰囲気中において、出力信号S(n)及び制御信号LVについて調べた。その結果を図2及び図3に示す。図2及び図3において、出力信号S1(n)及び制御信号LV1が劣化したガスセンサ11のものであり、出力信号S2(n)及び制御信号LV2が劣化していないガスセンサ12のものである。図2はヒータ加熱温度を一定にした場合の両ガスセンサ11、12の出力信号S1(n)、S2(n)及び制御信号LV1、LV2であり、図3は劣化したガスセンサ11のヒータ加熱温度のみを上昇させた場合の両ガスセンサ11、12の出力信号S1(n)、S2(n)及び制御信号LV1、LV2である。また、図2及び図3には、数1で求められるベース値B(n)も併せて記載している。ここで、Kは追従の変化率である。ベース値B1(n)が劣化したガスセンサ11のものであり、ベース値B2(n)が劣化していないガスセンサ12のものである。
【0036】
【数1】
B(n)=B(n−1)+K{S(n)−B(n−1)}
【0037】
このベース値B(n)は出力信号S(n)の変化率が大きいほど出力信号S(n)との差が大きくなるように、出力信号S(n)の変化に対して緩慢に追従するものであり、ベース値B(n)と出力信号S(n)との差分値がガス検知用閾値を超えた場合、COガスが検知されたと判断して、制御信号LVが出力される。なお、追従の変化率Kは、出力信号S(n)の変化に対して緩慢に追従するベース値B(n)を変更するものであり、0<K<1である。
【0038】
図2に示すCOガス濃度G1〜4は、ヒータ加熱温度を一定にした場合、ガス検知されて制御信号LVが出力されなければならないものである。これらのうち、COガス濃度G3、G4はCOガス濃度G1、G2と比べて高い濃度である。図2より、劣化していないガスセンサ12においては、COガス濃度G1〜4の全てがガス検知(制御信号LVを出力)されているのに対し、劣化したガスセンサ11においては、COガス濃度G3、4はガス検知(制御信号LVを出力)されているものの、COガス濃度G1、2がガス検知(制御信号LVを出力)されていないことがわかる。また、劣化したガスセンサ11においては、COガス濃度G3のガス検知(制御信号LVの出力)が劣化していないガスセンサ12のガス検知(制御信号LVの出力)より遅れていることがわかる。
【0039】
ここで、一定時間内の出力信号の差分値を計算すると、劣化したガスセンサ11についてのCOガス濃度G1、2とそれ以外(劣化したガスセンサ11についてのCOガス濃度G3、4及び劣化していないガスセンサ12についてのCOガス濃度G1〜4)との差分値の大きさが異なることが判明した。特に出力信号の差分値を計算する一定時間として4サンプリングタイム(A/D変換回路3による4回分のサンプリングタイムの合計)を採用すると、劣化したガスセンサ11と劣化していないガスセンサ12とを明確に区別できることが確認できた。
【0040】
一方、図3に示すCOガス濃度G5〜8は、劣化したガスセンサ11のヒータ加熱温度のみを上昇させた場合、ガス検知されて制御信号LVが出力されなければならないものである。これらのうち、COガス濃度G7、G8はCOガス濃度G5、G6と比べて高い濃度である。図3より、劣化していないガスセンサ12及び劣化したガスセンサ11ともに、COガス濃度G5〜8の全てがガス検知(制御信号LVを出力)されている。また、劣化したガスセンサ11と劣化していないガスセンサ12との両方とも、COガス濃度G5〜8の全てについてほぼ同時にガス検知(制御信号LVを出力)されている。
【0041】
以上のことから、劣化したガスセンサ11と劣化していないガスセンサ12とは、一定時間内の差分値の大きさにより、明確に区別できることがわかる。また、劣化したガスセンサ11であっても、ヒータ加熱温度を上昇させれば、劣化していないガスセンサ12と同様のガス検知感度になり得ることがわかる。
【0042】
(実施形態1)
実施形態1のガスセンサ10は、図4に示すように、車両用空調制御装置に使用されている。この車両用空調制御装置は、CO等の還元ガスを検知して制御信号を発するガスセンサ10と、車内への外気の取り入れと内気の循環とをフラップ94により切換える換気系90と、制御信号により換気系90のフラップ94を駆動するフラップ駆動アッセンブリ80とを具備している。
【0043】
ガスセンサ10の回路構成は図1に示す試験のものと同様であり、同じ構成については同じ記号を用いるものとし、その説明を省略する。また、出力信号S(n)とベース値B(n)とからガス検知を判断して、制御信号LVを出力する方法も試験のものと同様である。但し、実施形態1のガスセンサ10におけるマイコン4は、G素子1の劣化を判断してガス検知感度を変更するようになっている。マイコン4及びヒータ制御回路5が制御部である。
【0044】
フラップ駆動アッセンブリ80は、駆動回路81とアクチュエータ82とを備えている。駆動回路81は、ガスセンサ10のマイコン4から入力した制御信号LVによりアクチュエータ82を作動するようになっている。これによりアクチュエータ82により換気系90のフラップ94が駆動される。
【0045】
換気系90は、車内ダクト91、内気ダクト92、外気ダクト93、フラップ94及びファン95を備えている。外気ダクト93は外気を取り入れ、内気ダクト92は車内の内気を循環させるようになっている。フラップ94は、フラップ駆動アッセンブリ80により駆動され、外気ダクト93と内気ダクト92とを切換えて車内ダクト91に接続するようになっている。そして、車内ダクト91内に設けられたファン95により、車内に空気が強制的に送風される。
【0046】
以上の構成をした車両用空調制御装置のガスセンサ10について、マイコン4によりG素子1の劣化を判断してガス検知感度を変更する方法を説明する。まず、図5に示すように、マイコン4により処理が開始されると、ステップS1が実行される。ステップS1では、G素子1の出力信号S(n)が入力され、記憶される。ステップS1を実行後、ステップS2が実行される。
【0047】
ステップS2では、G素子1の劣化を判断する時間(4サンプリングタイム)が経過しているか否かをチェックする。時間が経過している場合(YES)、ステップS3に進む。また、時間が経過していない場合(NO)、ステップS5に進む。
【0048】
ステップS3では、G素子1の劣化の処理がすでに終了しているか否かをチェックする。処理がすでに終了している場合(YES)、ステップS5に進む。また、処理が終了していない場合(NO)、ステップS4に進む。「G素子1の劣化の処理がすでに終了している」とはヒータ6の加熱温度を上昇させた場合であり、この場合、上記試験で説明したように、劣化したガスセンサ11であっても劣化していないガスセンサ12と同様のガス検知感度になり得る。そのため、一度ヒータ6の加熱温度を上昇させた場合、再度G素子1の劣化の処理を行わないものとした。
【0049】
ステップS4では、G素子1の劣化を判断して、その結果を記憶しておく。そして、ステップS5が実行される。ここで、G素子1の劣化の判断は、4サンプリングタイムの出力信号の差分値と予め定められた値とを比較することにより行われる。具体的には、出力信号の差分値が予め定められた値を超えれば、G素子1は劣化していないと判断される。
【0050】
ステップS5では、ガス検知されているか否かをチェックする。ガス検知されている場合(YES)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されている場合、G素子1の劣化の判断は不要であるため、ステップS14に進む。ガス検知されていない場合(NO)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない場合、G素子1の劣化の判断が必要であるため、ステップS6に進む。
【0051】
ステップS6では、ガス検知回数が所定ガス検出回数になったか否かをチェックする。ガス検知回数が所定ガス検出回数になった場合(YES)、ステップS7に進む。ガス検知回数が所定ガス検出回数にならない場合(NO)、ステップS10に進む。
【0052】
ステップS7では、G素子1が劣化しているか否かをチェックする。G素子1が劣化している場合(YES)、ステップS8に進む。G素子1が劣化していない場合(NO)、ステップS9に進む。
【0053】
ステップS8では、ヒータ6の加熱温度を上昇させる。ステップS8を実行後、ステップS9に進む。このように、ガス検知回数が所定ガス検出回数になった時、G素子1の劣化を判断して処理をしているのは、車両の走行環境の違いをも考慮に入れたものである。つまり、山間部等を車両が走行している場合、ガス濃度の変化はほとんどない。このような場合、一定時間でG素子1の劣化を判断したのでは、出力信号の差分値が予め定められた値を超えることがない場合も起こり得るため、G素子1が劣化していると誤って判断されてしまうからである。
【0054】
ステップS9では、劣化判断時間終了のフラグを立てる。これにより、次回以降G素子1の劣化判断をしないことになる。ステップS9を実行後、ステップS10に進む。
【0055】
ステップS10では、前回ガス検知されていない場合、今回ガス検知されたか否かを判断する。そして、ガス検知された場合、制御信号LVを出力する。ここで、上記試験で説明したように、ベース値B(n)と出力信号S(n)との差分値がガス検知用閾値を超えた場合、ガス検知されたと判断される。ステップS10を実行後、ステップS11に進む。
【0056】
ステップS11では、ガス検知されているか否かをチェックする。ガス検知されている場合(YES)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されている場合、ステップS12に進む。ガス検知されていない場合(NO)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない場合、ステップS1に戻る。
【0057】
ステップS12では、G素子1の劣化の処理がすでに終了しているか否かをチェックする。処理がすでに終了している場合(YES)、ステップS1に戻る。また、処理が終了していない場合(NO)、ステップS13に進む。
【0058】
ステップS13では、ガス検知回数を1回増やす。そして、ステップS1に戻る。
【0059】
ステップS14では、前回ガス検知されている場合、今回ガス検知が終了したか否かを判断する。そして、ガス検知が終了した場合、制御信号LVの出力を停止する。ステップS14を実行後、ステップS1に戻る。
【0060】
次に、マイコン4によりG素子1の劣化をセンサ起動時から1回だけ判断してガス検知感度を変更する具体的な方法を詳説する。まず、図4に示すマイコン4により処理が開始されると、図6に示すステップS110が実行される。ステップS110では、車両用空調制御装置が初期設定され、フラグやカウンタの初期化が行われる。フラグやカウンタの初期値は、ガス検知フラグLVFL=0、劣化認識フラグDUFL=1、劣化処理終了フラグENFL=0、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=0、ガス検知回数カウンタGCN=0、出力信号安定タイマWT=0である。ここで、ガス検知フラグLVFLはガス検知中(制御信号出力中)であることを示す。劣化認識フラグDUFLはG素子1が劣化していることを示す。劣化処理終了フラグENFLはヒータ加熱温度を上昇させて、劣化の処理が終了していることを示す。所定ガス検出回数経過フラグTUFLはガス検知回数が劣化を判定する回数に達したことを示す。ガス検知回数カウンタGCNはガス検知の回数を示す。出力信号安定タイマWTはヒータ加熱温度を上昇させた後、出力信号が安定するまでの時間を示す。ステップS110を実行後、ステップS111が実行される。
【0061】
ステップS111では、G素子1の出力信号S(n)が入力され、記憶される。ステップS111を実行後、ステップS112が実行される。
【0062】
ステップS112では、プログラムがスタートしてから1.6秒経過したか否かをチェックする。1.6秒経過している場合(YES)、ステップS113に進む。また、1.6秒経過していない場合(NO)、ステップS117に進む。ここで、プログラムがスタートしてから1.6秒経過していない場合、ステップS117に進むとしたのは、この間は後述するステップS114で求める出力信号の1サンプリングタイムが0.4秒ということで、出力信号の差分値S’(n)が意味を持たないからである。
【0063】
ステップS113では、劣化の処理(ヒータ6の加熱温度を上昇)が終了しているか否かをチェックする。劣化処理終了フラグENFLが1の場合(YES)、劣化の処理が終了していると判断してステップS117に進む。また、劣化処理終了フラグENFLが1でない場合(NO)、劣化の処理が終了していないと判断してステップS114に進む。
【0064】
ステップS114では、出力信号の差分値S’(n)を計算する。この差分値S’(n)は数2に示す式で求められる。つまり、差分値S’(n)は最新のサンプリングの出力信号S(n)と4回前のサンプリングの出力信号S(n−4)との差である。ステップS114を実行後、ステップS115が実行される。
【0065】
【数2】
S′(n)=S(n−4)−S(n)
【0066】
ステップS115では、G素子1が劣化していないか否かをチェックする。差分値S’(n)が800を超えている場合(YES)、G素子1が劣化していないと判断してステップS116に進む。また、差分値S’(n)が800を超えていない場合(NO)、G素子1が劣化していないと判断できないためステップS117に進む。
【0067】
ステップS116では、劣化認識フラグDUFL=0とする。これにより、G素子1が劣化していないことを示す。このプログラムでは、劣化認識フラグDUFL=1として、G素子1が劣化している状態に初期化されている。そして、1回でもG素子1が劣化していないと判断されると、劣化認識フラグDUFL=0としてG素子1が劣化していないとしている。したがって、G素子1が劣化していないと判断されることが全くなければ、劣化認識フラグDUFL=1のままであり、G素子1が劣化していることを示している。ステップS116を実行後、ステップS117が実行される。
【0068】
ステップS117では、ガス検知中か否かをチェックする。ガス検知フラグLVFLが1の場合(YES)、ガス検知中である(ガスセンサ10から制御信号LVが出力されている)と判断してステップS128に進む。また、ガス検知フラグLVFLが1でない場合(NO)、ガス検知中でない(ガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない)と判断してステップS118に進む。
【0069】
ステップS118では、ガス検知回数が所定ガス検出回数(10回)になったか否かをチェックする。所定ガス検出回数経過フラグTUFLが1の場合(YES)、ガス検知回数が10回になったと判断してステップS119に進む。所定ガス検出回数経過フラグTUFLが1でない場合(NO)、ガス検知回数が10回になっていないと判断してステップS122に進む。
【0070】
ステップS119では、G素子1が劣化しているか否かをチェックする。劣化認識フラグDUFLが1の場合(YES)、ステップS115において差分値S’(n)が800を超えることがなかったため、G素子1が劣化していると判断してステップS120に進む。また、劣化認識フラグDUFLが1でない場合(NO)、ステップS115において差分値S’(n)が800を超えることがあったため、G素子1が劣化していないと判断してステップS121に進む。
【0071】
ステップS120では、ヒータ6の加熱温度を上昇させる。これにより、G素子1のガス検知感度を上げることができる。また、出力信号安定タイマWTをセットする。この出力信号安定タイマWTにセットする値は、ヒータ6の加熱温度を上昇させた後、出力信号S(n)が安定するまでの時間であり、10秒程度である。さらに、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=0、劣化処理終了フラグENFL=1にした後、ステップS122に進む。なお、劣化処理終了フラグENFLを1にすることにより、劣化の処理(ヒータ6の加熱温度を上昇)が終了していることを表す。
【0072】
ステップS121では、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=0、劣化処理終了フラグENFL=1にする。これにより、劣化の処理が終了していることを表す。そして、ステップS122に進む。
【0073】
ステップS122では、「ガス検知判断・処理サブルーチン」を実行した後、ステップS123に進む。
【0074】
ステップS123では、「ガス検知判断・処理サブルーチン」によりガス検知されたか否かをチェックする。ガス検知フラグLVFLが1の場合(YES)、ガス検知された(ガスセンサ10から制御信号LVが出力された)と判断してステップS124に進む。また、ガス検知フラグLVFLが1でない場合(NO)、ガス検知されない(ガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない)と判断してステップS129に進む。
【0075】
ステップS124では、劣化の処理(ヒータ6の加熱温度を上昇)が終了しているか否かをチェックする。劣化処理終了フラグENFLが1の場合(YES)、劣化の処理が終了していると判断してステップS129に進む。また、劣化処理終了フラグENFLが1でない場合(NO)、劣化の処理が終了していないと判断してステップS125に進む。
【0076】
ステップS125では、ガス検知の回数が劣化判定回数に達したか否かをチェックする。ガス検知回数カウンタGCNが10より小さい場合(YES)、劣化判定回数に達しないと判断してステップS126に進む。ガス検知回数カウンタGCNが10以上の場合(NO)、劣化判定回数に達したと判断してステップS127に進む。
【0077】
ステップS126では、新たにガス検知がされたと判断してガス検知回数カウンタGCNをインクリメント(+1)する。そして、ステップS129に進む。
【0078】
ステップS127では、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=1にした後、ステップS129に進む。なお、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=1とすることにより、ガス検知回数が10回になったことを表す。
【0079】
ステップS128では、「ガス検知終了判断・処理サブルーチン」を実行した後、ステップS129に進む。
【0080】
ステップS129では、A/D変換回路3によるサンプリングタイムに達するまで待機する。このサンプリングタイムは0.4秒である。サンプリングタイムに達したら、ステップS111に戻り、次の出力信号を入力する。
【0081】
次に、このプログラムで使用されるサブルーチン・プログラムについて説明する。「ガス検知判断・処理サブルーチン」がコールされると、図7に示すように、ステップS40が実行される。ステップS40では、最新のサンプリングの出力信号S(n)と1つ前のサンプリングのベース値B(n−1)との大きさをチェックする。出力信号S(n)がベース値B(n−1)以下である場合(YES)、ステップ41に進む。また、出力信号S(n)がベース値B(n−1)より大きい場合(YES)、ステップ42に進む。
【0082】
ステップS41では、数3に示す式によりベース値B(n)を求め、ステップS43に進む。また、ステップS42では、数4に示す式によりベース値B(n)を求め、ステップS43に進む。
【0083】
【数3】
B(n)=B(n−1)+K{S(n)−B(n−1)}
【0084】
【数4】
B(n)=S(n)
【0085】
ステップS43では、出力信号S(n)が安定しているが安定しているか否かをチェックする。出力信号安定タイマWTが0である場合(YES)、出力信号S(n)が安定していると判断して、ステップS45に進む。この場合は、ヒータ6の加熱温度を上昇させていないか又はヒータ6の加熱温度を上昇させた後、出力信号S(n)が安定するまでの時間(約10秒)が経過している場合である。また、。出力信号安定タイマWTが0でない場合(NO)、出力信号S(n)が安定していないと判断して、ステップS44に進む。この場合は、ヒータ6の加熱温度を上昇させた後、出力信号S(n)が安定するまでの時間(約10秒)が経過していない場合である。
【0086】
ステップS44では、数4に示す式によりベース値B(n)を求め、出力信号安定タイマWTをディクリメント(−1)する。そして、ステップS45に進む。また、ステップS45では、数5に示す式により出力信号S(n)とベース値B(n)との差分値D(n)を求め、ステップS46に進む。
【0087】
【数5】
D(n)=B(n)−S(n)
【0088】
ステップS46では、ガス検知判断をする。差分値D(n)がガス検知用閾値ST1より大きい場合(YES)、ガスが検知されたと判断して、ステップS47に進む。また、差分値D(n)がガス検知用閾値ST1以下である場合(NO)、ガスが検知されないと判断して、メインプログラムにリターンする。
【0089】
ステップS47では、ガス検知処理を行う。制御信号LVを出力し、ガス検知フラグLVFL=1として、メインプログラムにリターンする。
【0090】
次に、「ガス検知終了判断・処理サブルーチン」がコールされると、図8に示すように、ステップS50が実行される。ステップS50では、最新のサンプリングの出力信号S(n)と1つ前のサンプリングのベース値B(n−1)との大きさをチェックする。出力信号S(n)がベース値B(n−1)以下である場合(YES)、ステップ51に進む。また、出力信号S(n)がベース値B(n−1)より大きい場合(YES)、ステップ52に進む。
【0091】
ステップS51では、数3に示す式によりベース値B(n)を求め、ステップS53に進む。また、ステップS52では、数4に示す式によりベース値B(n)を求め、ステップS53に進む。
【0092】
ステップS53では、数5に示す式により差分値D(n)を求め、ステップS54に進む。
【0093】
ステップS54では、ガス検知終了判断をする。差分値D(n)がガス検知解除用閾値ST2より大きい場合(YES)、まだガスが検知されていると判断して、メインプログラムにリターンする。また、差分値D(n)がガス検知解除用閾値ST2以下である場合(NO)、ガスが検知されなくなったと判断して、ステップS55に進む。
【0094】
ステップS55では、ガス検知終了処理を行う。制御信号LVの出力を停止し、ガス検知フラグLVFL=0として、メインプログラムにリターンする。
【0095】
こうして、このガスセンサ10によれば、G素子1が劣化してガス検知感度が低下すると、ヒータ6の加熱温度を上昇させて、ガス検知感度を上げることができる。なお、ステップS14が出力情報の算出手段であり、差分値S’(n)が出力情報である。また、ステップS15が判断手段であり、ステップS15で使用される値800が基準情報である。さらに、ステップS20が補償手段である。また、10回のガス検知の間における劣化のチェック回数が基準回数である。このプログラムでは、10回のガス検知の間、1回でもG素子1が劣化していないと判断されるとG素子1が劣化していないとしている。したがって、10回のガス検知の間、全てG素子1が劣化していると判断される場合、G素子1が劣化しているとされる。つまり、基準回数は、10回のガス検知の間における劣化のチェック回数と一致する。
【0096】
したがって、このガスセンサ10によれば、長期間の使用によりG素子1の特性が変化したとしても、制御信号LVを可及的に正しく発することができる。このため、このガスセンサ10を用いた車両用空調制御装置では、手動で内気と外気とを切換えることなく、より正確に清浄な外気を車内に取り入れるとともに汚染された外気の流入を阻止できるため、車内空間を快適に保つことが可能である。
【0097】
また、実施形態1においては、補償手段としてヒータ6の加熱温度を上昇させる手法を採用したが、入力した出力信号S(n)の変化に対して緩慢に追従するベース値B(n)の追従の変化率Kを変更する手法を補償手段として採用することもできる。ベース値B(n)を算出するために設定された追従の変化率Kを変更すれば、ベース値B(n)と出力信号S(n)との差分値D(n)も変更される。これにより、ガス検知回数を多くすることができるため、ガス検知感度を上げることができる。
【0098】
さらに、ガス検知用閾値ST1の大きさを変更する手法を補償手段として採用することもできる。ガス検知用閾値ST1を下げることによりガス検知回数を多くすることができるため、ガス検知感度を上げることができるからである。
【0099】
なお、このガスセンサ10では、ガス検知回数が10回になった時、G素子1の劣化を判断して処理をしているが、一定時間になった時、G素子1の劣化を判断して処理をすることもできる。ただし、この場合、車両の走行環境の違いをも考慮に入れ、ある程度長時間とすることが望ましい。
【0100】
また、このガスセンサ10では、ソフトウェアにより出力信号の差分値S’(n)を計算しているが、この差分値S’(n)をハードウェアにより求めることもできる。
【0101】
(実施形態2)
実施形態2のガスセンサは、実施形態1と同様、車両用空調制御装置に使用されている。その構成は図4に示す実施形態1の車両用空調制御装置と同一であり、その説明を省略する。また、出力信号S(n)とベース値B(n)とからガス検知を判断して、制御信号LVを出力する方法も実施形態1と同様である。但し、実施形態2のガスセンサ10におけるマイコン4は、G素子1の劣化及び過敏を判断してガス検知感度を変更するようになっている。
【0102】
この車両用空調制御装置のガスセンサ10について、マイコン4によりG素子1の劣化及び過敏を判断してガス検知感度を変更する方法を説明する。まず、図9に示すように、マイコン4により処理が開始されると、ステップS60が実行される。ステップS60からステップS63では、G素子1の出力信号S(n)が入力され、記憶される。そして、G素子1の劣化及び過敏を判断して、その結果を記憶しておく。この際、G素子1の劣化の判断方法は実施形態1と同様である。また、G素子1の過敏の判断方法は、数2に示す式で求められる差分値S’(n)が基準情報を超えればガス検知素子が過敏であると判断する。ステップS63を実行後、ステップS64が実行される。
【0103】
ステップS64では、ガス検知されているか否かをチェックする。ガス検知されている場合(YES)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されている場合、G素子1の劣化の判断は不要であるため、ステップS75に進む。ガス検知されていない場合(NO)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない場合、G素子1の劣化の判断が必要であるため、ステップS65に進む。
【0104】
ステップS65では、ガス検知回数が所定ガス検出回数になったか否かをチェックする。ガス検知回数が所定ガス検出回数になった場合(YES)、ステップS66に進む。ガス検知回数が所定ガス検出回数にならない場合(NO)、ステップS71に進む。
【0105】
ステップS66では、G素子1が劣化しているか否かをチェックする。G素子1が劣化している場合(YES)、ステップS68に進む。G素子1が劣化していない場合(NO)、ステップS67に進む。
【0106】
ステップS67では、G素子1が過敏であるか否かをチェックする。G素子1が過敏である場合(YES)、ステップS69に進む。G素子1が過敏でない場合(NO)、ステップS70に進む。このように、ガス検知回数が所定ガス検出回数になった時、G素子1の劣化又は過敏を判断して処理をしているのは、実施形態1の場合と同様、車両の走行環境の違いをも考慮に入れたものである。
【0107】
ステップS68では、ヒータ6の加熱温度を上昇させる。ステップS68実行後、ステップS70に進む。
【0108】
ステップS69では、ヒータ6の加熱温度を下降させる。ステップS69実行後、ステップS70に進む。
【0109】
ステップS70では、劣化・過敏判断終了のフラグを立てる。これにより、次回以降G素子1の劣化・過敏判断をしないことになる。ステップS70を実行後、ステップS71に進む。
【0110】
ステップS71では、前回ガス検知されていない場合、今回ガス検知されたか否かを判断する。そして、ガス検知された場合、制御信号LVを出力する。ここで、(試験)で示したように、ベース値B(n)と出力信号S(n)との差分値D(n)がガス検知用閾値を超えた場合、今回ガス検知されたと判断される。ステップS71を実行後、ステップS72に進む。
【0111】
ステップS72では、ガス検知されているか否かをチェックする。ガス検知されている場合(YES)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されている場合、ステップS73に進む。ガス検知されていない場合(NO)、つまりガスセンサ10から制御信号LVが出力されていない場合、ステップS60に戻る。
【0112】
ステップS73では、G素子1の劣化の処理がすでに終了しているか否かをチェックする。処理がすでに終了している場合(YES)、ステップS60に戻る。また、処理が終了していない場合(NO)、ステップS74に進む。
【0113】
ステップS74では、ガス検知回数を1回増やす。そして、ステップS60に戻る。
【0114】
ステップS74では、前回ガス検知されている場合、今回ガス検知が終了したか否かを判断する。そして、ガス検知が終了した場合、制御信号LVの出力を停止する。ステップS75を実行後、ステップS60に戻る。
【0115】
このガスセンサ10では、G素子1が劣化している場合、ヒータ6の加熱温度を上昇させ、G素子1が過敏である場合、ヒータ6の加熱温度を下降させる。これにより、G素子1の劣化及び過敏の両方に対して、補償手段によりガス検知感度を補償することができる。その他の作用、効果は実施形態1と同様である。
【0116】
(実施形態3)
実施形態3のガスセンサは、実施形態1と同様、車両用空調制御装置に使用されている。その構成は図4に示す実施形態1の車両用空調制御装置と同一であり、その説明を省略する。また、出力信号S(n)とベース値B(n)とからガス検知を判断して、制御信号LVを出力する方法も実施形態1と同様である。
【0117】
この車両用空調制御装置のガスセンサ10について、マイコン4によりG素子1のセンサ起動時からからガス検出回数が所定ガス検出回数(10回)ごとに劣化を判断してガス検知感度を変更する具体的な方法を図10により詳説する。なお、実施形態1と同様のステップについては同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なるステップについて説明することとする。
【0118】
ステップS221では、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=0、劣化認識フラグDUFL=1とする。これにより、次にガス検出回数が所定ガス検出回数(10回)になるまでの間、G素子1の劣化の判断を行う準備が完了する。そして、ステップS122に進む。
【0119】
ステップS227では、所定ガス検出回数経過フラグTUFL=1、ガス検知回数カウンタGCN=0にした後、ステップS129に進む。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験及び実施形態1、2のガスセンサの主な電気的構成を示すブロック図である。
【図2】COガス濃度を変化させた雰囲気中において、ヒータ加熱温度を一定にした場合、劣化したガスセンサと劣化していないガスセンサとにおける時間と出力信号及び制御信号との関係を示すグラフである。
【図3】COガス濃度を変化させた雰囲気中において、劣化したガスセンサのヒータ加熱温度のみを上昇させた場合、劣化したガスセンサと劣化していないガスセンサとにおける時間と出力信号及び制御信号との関係を示すグラフである。
【図4】実施形態1、2のガスセンサに係り、車両用空調制御装置の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図5】実施形態1のガスセンサに係り、プログラムの概要を示すフローチャートである。
【図6】実施形態1のガスセンサに係り、プログラムの詳細を示すフローチャートである。
【図7】実施形態1のガスセンサに係り、ガス検知判断・処理サブルーチンプログラムのフローチャートである。
【図8】実施形態1のガスセンサに係り、ガス検知終了判断・処理サブルーチンプログラムのフローチャートである。
【図9】実施形態2のガスセンサに係り、プログラムの概要を示すフローチャートである。
【図10】実施形態3のガスセンサに係り、プログラムの詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…ガス検知素子(G素子)
S(n)…出力信号
LV…制御信号
10…ガスセンサ
4、5…制御部(4…マイコン、5…ヒータ制御回路)
6…ヒータ
S’…出力情報(差分値)
B(n)…ベース値
K…追従の変化率
ST1…ガス検知用閾値
94…フラップ
S114…算出手段
S115…判断手段
S120…補償手段
Claims (11)
- 特定ガスを検知可能なガス検知素子と、該ガス検知素子から出力される出力信号が入力され、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
前記制御部は、一定時間内の前記出力信号に基づく出力情報を算出する算出手段と、
該出力情報が予め設定した基準情報を超えなければ前記ガス検知素子が劣化していると判断して劣化判定を行う判断手段と、
該判断手段にて劣化していないと判定された判定回数が予め設定した基準回数に達すると無劣化フラグを設定し、該判定回数が該基準回数に達しないと劣化フラグを設定するフラグ設定手段と、
前記一定時間より長い所定時間経過時又は所定ガス検出回数時に該劣化フラグが設定されていれば、ガス検知感度を上げる補償手段とを有することを特徴とするガスセンサ。 - 上記フラグ設定手段は、上記判断手段にて劣化していないと判定された上記判定回数が予め設定した連続した複数回の上記基準回数に達すると上記無劣化フラグを設定し、該判定回数が該基準回数に達しないと上記劣化フラグを設定することを特徴とする請求項1記載のガスセンサ。
- 上記ガス検知は、現在の上記出力信号とベース値との差分値と、ガス検知を判断するために設定されたガス検知用閾値とにより行うものであり、
該ガス検知用閾値よりも上記基準情報の値が大きく設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のガスセンサ。 - 上記補償手段は、ガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のガスセンサ。
- 上記ベース値は、上記出力信号の変化率が大きいほど該出力信号との差が大きくなるように、該出力信号の変化に対して緩慢に追従するものであり、
上記補償手段は、該ベース値の追従の変化率を変更することを特徴とする請求項3又は4記載のガスセンサ。 - 上記補償手段は、上記ガス検知用閾値の大きさを変更することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載のガスセンサ。
- 上記出力情報は上記一定時間内の上記出力信号に基づく差分値であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のガスセンサ。
- 上記判断手段は上記出力情報が第2基準情報を超えれば、上記ガス検知素子が過敏であると判断して過敏判定を行い、
上記フラグ設定手段は、該判断手段にて過敏であると判定された上記判定回数が予め設定した上記基準回数に達すると無過敏フラグを設定し、該判定回数が該基準回数に達しないと過敏フラグを設定し、
上記補償手段は、上記一定時間より長い所定時間経過時又は所定ガス検出回数時に該過敏フラグが設定されていれば、上記ガス検知感度を下げることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のガスセンサ。 - 上記フラグ設定手段は、上記判断手段にて過敏であると判定された上記判定回数が予め設定した連続した複数回の上記基準回数に達すると上記無過敏フラグを設定し、該判定回数が該基準回数に達しないと上記過敏フラグを設定することを特徴とする請求項8記載のガスセンサ。
- 特定ガスを検知可能なガス検知素子から出力される出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
前記制御ルーチンは、一定時間内の前記出力信号に基づく出力情報を算出する算出ステップと、
該出力情報が予め設定した基準情報を超えなければ前記ガス検知素子が劣化していると判断して劣化判定を行う判断ステップと、
該判断手段にて劣化していないと判定された判定回数が予め設定した基準回数に達すると無劣化フラグを設定し、該判定回数が該基準回数に達しないと劣化フラグを設定するフラグ設定ステップと、
前記一定時間より長い所定時間経過時又は所定ガス検出回数時に該劣化フラグが設定されていれば、ガス検知感度を上げる補償ステップとを有することを特徴とするガスセンサの制御方法。 - 請求項1乃至9のいずれか1項記載のガスセンサと接続され、制御信号によって内気と外気とを切換えるフラップを作動させることを特徴とする車両用空調制御装置。
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