JP2004156456A - 内燃機関の吸入空気量推定方法、推定装置、吸入空気量制御方法および制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸気管圧力の値に基づいてシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値(Gair_Pb)を求めるステップと、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に同定パラメータ(A’)を乗じた値が、スロットル通過空気量の値(Gth)に等しくなるように適応オブザーバを用いて同定パラメータを定めるステップとを含む。さらに、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に当該同定パラメータを乗じてシリンダ吸入空気量(Gcyl)の最終推定値(Gcyl_hat)を求めるステップを含む。
【選択図】図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸入空気量の推定方法および推定装置に関する。また、当該推定方法または当該推定装置による吸入空気量の推定値が目標値となるように制御する制御方法および制御装置に関する。特に、適応オブザーバを用いてパラメータを同定する吸入空気量の推定方法および推定装置、また、当該推定方法または当該推定装置による吸入空気量の推定値が目標値となるように制御する制御方法および制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、本発明の吸入空気量の推定方法および推定装置、また、当該推定方法または当該推定装置による吸入空気量の推定値が目標値となるように制御する制御方法および制御装置が適用される内燃機関の構成を示す。図1の内燃機関は、燃費向上のため、タービン2とコンプレッサ1からなる加給器と自在バルブタイミング機構8とを備える。タービン2とコンプレッサ1とは機械的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよい。自在バルブバルブタイミング機構8は、バルブを直接電気的に動作してもよく、また、機械的なカムによるバブル動作を電気的に補正するようにしてもよい。また、図1の内燃機関は、エミッション低減のため、エアフローメータ3,吸気管圧力センサ(PBセンサ)6、広域空燃比(LAF)センサ12、O2センサ15、始動時の早期活性化を目的としたプライマリ触媒コンバータ(高耐熱・低熱容量CAT)13および暖機後における高い排気浄化率を実現するメイン触媒コンバータ(高セル密度CAT)14を備える。図1において、4は加給圧センサ、5は電子制御スロットル、7は排気ガス再循環バルブ、9はインジェクタ、10は燃焼室、11は点火プラグを示す。
【0003】
図2に内燃機関の吸気部分の構成を示す。空気は、スロットル5を経てシリンダに送られる。図3に、スロットル開度を急に大きくした場合にエアフローメータ3によって計測されるスロットル通過空気量Gth、シリンダ吸入空気量Gcyl、吸気管への空気量充填量Gbおよび吸気管圧力センサ6によって計測される吸気管圧力Pbの関係を示す。図3から、スロットル通過空気量Gthは、吸気管充填効果の影響により、シリンダ吸入空気量Gcylに対してオーバーシュート特性を示すことがわかる。このため、スロットル通過空気量Gthをそのままシリンダ吸入空気量Gcylとみなして燃料噴射量を決定すると、スロットル変化速度が速い場合に、開度増大時には空燃比がリッチ化され、開度減少時には空燃比がリーン化され、結果として触媒浄化率が低下する。
【0004】
したがって、従来はシリンダ吸入空気量Gcylを以下のように推定していた。最初に、吸気管圧力Pbの変化ΔPBに基づいて、吸気管への充填量の変化ΔGbを以下の式によって算出する。
【0005】
ここで、Vbは吸気管ボリューム、Rは気体定数、Tbは吸気管内の気体温度、kは、シリンダの吸入行程(TDC)に同期した制御時刻である。Tbは、一定と仮定する。
【0006】
この吸気管への充填量の変化ΔGb(k)を使って、スロットル通過空気量Gth(k)を以下の式にしたがって補正することにより、シリンダ吸入空気量の推定値Gcyl_hat(k)を推定していた。
【0007】
【0008】
ところが、実際にはスロットル開度の増加または減少の方向およびその速度などによって、吸気管充填効果に寄与する有効吸気管ボリュームは一定ではない。
さらに、吸気管内の気体温度Tbの変化の影響によって、条件によっては図4に示すように、スロットル通過空気量Gthのオーバーシュートの補償が過剰であったり、過小である場合が生じていた。このため、吸気管ボリュームのゲインスケジューリングを行ったり、シリンダ吸入空気量の推定値Gcyl_hatにリミット処理を施したり、吸気管への充填量の変化ΔGbにフィルタ効果を付加したりして対応していた。このため、これらの設定パラメータが増大した。しかしながら、これらの手法では、エンジンやセンサ特性の固体ばらつきや経年変化には対応できなかった。
【0009】
特開平11−294231号は、ファジィニューラルネットを用いて推定吸入空気量を求める方法を開示している(同公報の図9および図10参照)。しかしながら、この方法によっても、上記の問題点を解決するには至らなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、エンジンやセンサ特性の固体ばらつきや経年変化に対応でき、設定パラメータを増大させない吸入空気量の推定方法および推定装置、また、当該推定方法または当該推定装置による吸入空気量の推定値が目標値となるように制御する制御方法および制御装置が求められていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、内燃機関のシリンダ吸入空気量を、適応オブザーバを用いて推定する。
【0012】
このように、シリンダ吸入空気量を、適応オブザーバを用いて推定することによって、スロットルの変化速度やその方向に関わりなく、シリンダ吸入空気量を精度よく推定することができ、空燃比の制御性向上による排気ガスの有害成分の排出量を低減できる。また、従来、吸入空気量推定アルゴリズムのセッティングに多大の時間と労力を要していたが、これを飛躍的に削減できる。
【0013】
本発明の1実施形態による、内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する方法は、吸気管圧力の値に基づいてシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求めるステップと、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に同定パラメータを乗じた値が、スロットル通過空気量の値に等しくなるように適応オブザーバを用いて同定パラメータを定めるステップとを含む。さらに、本実施形態による方法は、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に当該同定パラメータを乗じてシリンダ吸入空気量の最終推定値を求めるステップを含む。
【0014】
また、本実施形態による、内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する装置は、吸気管圧力に基づいて、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求め、出力として送り出すモジュールと、適応オブザーバを用いて同定パラメータを定め、出力として送り出すモジュールと、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に同定パラメータを乗じてシリンダ吸入空気量の最終推定値を求める乗算モジュールとを含む。適応オブザーバは、スロットル通過空気量の値およびシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に基づいて、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に同定パラメータを乗じた値が、スロットル通過空気量の値に等しくなるように同定パラメータを定める。
【0015】
エアフローメータによって観測されるスロットル通過空気量は、スロットルが急変する際にオーバーシュート的挙動を示し、スロットルが一定の場合には揺らぐ特性があり、このため、過渡時および定常時の空燃比の制御性を低下させていた。本発明の上記実施形態によれば、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に、適応オブザーバによって求めた同定パラメータを乗じてシリンダ吸入空気量の最終推定値を求めることにより、過渡時に正確な推定値を与え、定常時に揺らぎのない推定値を提供することができる。したがって、空燃比の制御性を飛躍的に向上できる。
【0016】
本発明の他の実施形態によれば、適応オブザーバを用いて同定パラメータを定める際に、排気ガス再循環バルブのリフト量をさらに同定に使用する。
【0017】
排気ガス再循環がON/OFFすると、スロットル通過空気量はそれに応じて急変する。このとき、適応オブザーバによって算出される同定パラメータは、スパイク的な偏差の発生により振動的な挙動を示す。このため、シリンダ吸入空気量の最終推定値が振動的になることがあった。そこで、本実施形態においては、排気ガス再循環バルブのリフト量を使用してスパイク的な偏差をキャンセルすることにより、シリンダ吸入空気量の最終推定値が振動的になることを防止する。
したがって、排気ガス再循環ON/OFF時の空燃比制御性が向上する。
【0018】
本発明の他の実施形態による、内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する方法は、 吸気管圧力の値に基づいてシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求めるステップと、吸気管圧力の値、排気管内圧力に相当する値および排気ガス再循環バルブのリフト量の値に基づいて還流排気ガス量の推定値を求めるステップとを含む。さらに、本実施形態による方法は、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に第1の同定パラメータを乗じた値から、還流排気ガス量の推定値に第2の同定パラメータを乗じた値を減じた値が、スロットル通過空気量の値に等しくなるように第1および第2の同定パラメータを定めるステップを含む。さらに、本実施形態による方法は、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に第1の同定パラメータを乗じた値から、還流排気ガス量の推定値に第2の同定パラメータを乗じた値を減じて、シリンダ吸入空気量の最終推定値を求めるステップを含む。
【0019】
また、本実施形態による、内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する装置は、吸気管圧力の値に基づいてシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求め、出力として送り出すモジュールと、吸気管圧力の値、排気管内圧力に相当する値および排気ガス再循環バルブのリフト量の値に基づいて還流排気ガス量の推定値を求め、出力して送り出すモジュールとを含む。さらに、本実施形態による装置は、適応オブザーバにより、第1および第2の同定パラメータを定め、出力として送り出すモジュールと、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に第1の同定パラメータを乗じた値から、還流排気ガス量の推定値に第2の同定パラメータを乗じた値を減じて、シリンダ吸入空気量の最終推定値を求め、出力として送り出すモジュールとを含む。適応オブザーバは、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に第1の同定パラメータを乗じた値から、還流排気ガス量の推定値に第2の同定パラメータを乗じた値を減じた値が、スロットル通過空気量の値に等しくなるように同定パラメータを定める。
【0020】
本実施形態によれば、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に第1の同定パラメータを乗じた値から、還流排気ガス量の推定値に第2の同定パラメータを乗じた値を減じて、シリンダ吸入空気量の最終推定値を求める。したがって、排気ガス再循環のON/OFFに対して遅れを発生することなく、排気ガス再循環のON/OFFによる実際のシリンダ吸入空気量の変化を推定値に反映できるため、排気ガス再循環のON/OFF時の空燃比の制御性を向上できる。
【0021】
さらに、他の実施形態によれば、第1の同定パラメータおよび第2の同定パラメータを、適応オブザーバを用いて求める際に、第2の同定パラメータに忘却係数を使用する。
【0022】
本実施形態により、スロットル通過空気量が一定の場合に、第2の同定パラメータはゼロとなる。したがって、スロットル通過空気量が一定の場合に、適応オブザーバによって算出される第1のパラメータおよび第2のパラメータの絶対値の総和が増大(ドリフト)し、シリンダ吸入空気量の最終推定値の精度が著しく低下する状況が防止できる。
【0023】
本発明の他の実施形態による、内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する方法は、吸気管圧力の値に基づいてシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求めるステップと、吸気管圧力の値の差分、吸気管圧力の値の2回差分、スロットル通過空気量の値の差分およびシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値の差分を求めるステップを含む。さらに、本実施形態による方法は、適応オブザーバを用いて同定パラメータを定めるステップと、吸気管圧力の値の差分に同定パラメータを乗じた値を、スロットル通過空気量の値から減じてシリンダ吸入空気量の最終推定値を求めるステップとを含む。適応オブザーバは、吸気管圧力の値の2回差分に同定パラメータを乗じた値が、スロットル通過空気量の値の差分からシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値の差分を減じた値に等しくなるように、同定パラメータを定める。
【0024】
本実施形態による、内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する装置は、吸気管圧力の値に基づいてシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求め、出力として送り出すモジュールと、吸気管圧力の値の差分、吸気管圧力の値の2回差分、スロットル通過空気量の値の差分およびシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値の差分を求めるモジュールとを含む。さらに、本実施形態による装置は、適応オブザーバを用いて同定パラメータを定めるモジュールと、吸気管圧力の値の差分に同定パラメータの値を乗じるモジュールと、吸気管圧力の値の差分に同定パラメータの値を乗じた値をスロットル通過空気量の値から減じてシリンダ吸入空気量の最終推定値を求め、出力として送り出すモジュールとを含む。適応オブザーバは、吸気管圧力の値の2回差分に同定パラメータを乗じた値が、スロットル通過空気量の値の差分からシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値の差分を減じた値に等しくなるように、同定パラメータを定める。
【0025】
本実施形態によれば、吸気管圧力の値の差分に同定パラメータを乗じた値を、スロットル通過空気量の値から減じてシリンダ吸入空気量の最終推定値を求める。同定パラメータは、シリンダ吸入空気量の最終推定値の変化挙動が、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値の変化挙動に一致するように、適応オブザーバによって定める。したがって、シリンダ吸入空気量の最終推定値が、過渡時に実際のシリンダ吸入空気量の挙動と一致した挙動を示す、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値と同様の挙動を示すようになるため、過渡時の空燃比制御性が向上する。
【0026】
本発明のさらに他の実施形態による、シリンダ吸入空気量制御方法は、本発明のいずれかの実施形態による吸入空気量推定方法によって求めたシリンダ吸入空気量の最終推定値が目標値となるように制御するステップをさらに含む。
【0027】
本実施形態による、シリンダ吸入空気量制御装置は、本発明のいずれかの実施形態による、シリンダ吸入空気量推定装置と、当該シリンダ吸入空気量推定装置の最終推定値および吸入空気量目標値を入力とし、当該最終推定値が目標値となるようにスロットル開度を操作するコントローラとを含む。
【0028】
本実施形態によれば、適応オブザーバを使用する本発明のいずれかの実施形態による、シリンダ吸入空気量の推定値が目標値となるように制御する。したがって、スロットルの変化速度やその方向に関わりなく、シリンダ吸入空気量を精度よく推定することができるため、急速なスロットルの変化が要求されるような場合にも、シリンダ吸入空気量を精度よく制御することができる。すなわち、エンジンの駆動トルクを制御することができる。
【0029】
他の実施形態によれば、制御に応答指定型制御アルゴリズムを使用する。
【0030】
応答指定型制御アルゴリズムを使用することにより、シリンダ吸入空気量を、目標値に対するオーバーシュートを生じることなく制御することができる。つまり、エンジンの駆動トルクを目標トルクに対してオーバーシュートを生じることなく制御することができる。これにより、ドライバビリティの向上や、HEV/GDI(GDIエンジンと電気モータの組み合わせ)システムの動作においてむだを省くことができるため、燃費の向上を図ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施形態について以下に説明する。
【0032】
まず、充填効率を考慮せずに、吸気管圧力Pbの気体がシリンダ内に100%充填されると仮定し、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbを以下の式にしたがって算出する。
【0033】
ここで、Vcylは、シリンダ容積(自在バルブタイミング機構の場合は、有効圧縮シリンダ容積)、Rは気体定数、Tcylは、シリンダの気体温度、kは、TDCに同期した制御時刻である。シリンダの気体温度Tcylは、吸気管(インテイクマニホールド)内の気体温度Tbと等しいと仮定する。上記の式5を変形し、以下の式6を得る。
【0034】
【0035】
この場合に、シリンダ吸入空気量Gcyl、スロットル通過空気量Gthおよびシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbの間の関係は図5に示すようになる。図5からわかるように、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbは、充填効率を無視しているため、シリンダ吸入空気量Gcylに対し、定常偏差を持っている。しかしながら、その挙動は、シリンダ吸入空気量Gcylの挙動と一致している。本実施形態においては、このシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbの特性に注目した。
【0036】
すなわち、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbは、シリンダ吸入空気量Gcylの挙動の情報を持っており、スロットル通過空気量Gthはシリンダの充填効率の情報を持っている。したがって、スロットル通過空気量Gthによって、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbの定常偏差を補償する方法を考案した。
【0037】
シリンダの充填効率は一定ではないため、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbとシリンダ吸入空気量Gcylの定常偏差は厳密には定常ではない。したがって、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbの、スロットル通過空気量Gthによる補正は、適応性を有する必要がある。
【0038】
そこで本発明においては、適応オブザーバを使用して適応性を有する補正を行うこととした。特に、本実施形態では、以下の式に示すように適応オブザーバとして逐次型同定アルゴリズムを用いて、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbを同定パラメータA’によって補正し、シリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatを求めるようにした。
【0039】
ここで、λ1およびλ2は重みパラメータ、LACTは排気ガス再循環(EGR)バルブリフト量、Klactはダンピング係数である。ここで、λ1=1、λ2=1の場合は最小2乗法、λ1<1、λ2=1の場合は重み付き最小2乗法、λ1=1、λ2=0の場合が固定ゲイン法、λ1=1、λ2<1の場合が漸減ゲイン法となる。同定パラメータA’は、式10の偏差を最小とするように定められる。
【0040】
なお、式8のΔLACTの項は、EGRバルブリフト量の急変時におけるシリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatの振動的な挙動を抑制するためのダンピング項である。EGRバルブリフト量の急変時には、シリンダの充填効率が急変し、スパイク的な偏差が発生する。これにより、同定パラメータA’が振動的な挙動を示す。上記のダンピング項は、このような同定パラメータの振動的な挙動を防止するためのものである。
【0041】
図6に本実施形態によるシリンダ吸入空気量推定装置のブロック図を示す。シリンダ吸入空気量推定装置は、モジュール61と、モジュール62と、乗算モジュール63とを含む。モジュール61は、吸気管圧力Pbを入力として受け取り、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbを求め、出力として送り出す(式6)。モジュール62は、スロットル通過空気量の値Gth、当該吸気管圧力による推定値Gair_Pbおよび排気ガス再循環(EGR)バルブリフト量LACTを入力として受け取り、逐次型最小2乗法を用いて同定パラメータA’を定め、出力として送り出す(式8から13)。同定パラメータA’は、式10の偏差が最小となるようになるように定める。乗算モジュール63は、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbに当該係数A’を乗じてシリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatを求める(式7)。
【0042】
図7に本実施形態によるシリンダ吸入空気量推定の結果を示す。スロットル通過空気量の値GthおよびEGRバルブリフト量LACTの変化にかかわらず、シリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatは、シリンダ吸入空気量の値Gcylに追従している。同定パラメータA’は、スロットル通過空気量の値GthおよびEGRバルブリフト量LACTの変化に適応して変化している。
【0043】
本発明の別の実施形態について以下に説明する。
【0044】
本実施形態においては、EGR通路を通じて還流される排気ガス量Gegrを以下の式によって推定する。
【0045】
ここで、Kgegrは、排気ガス還流量算出係数、LACTは排気ガス再循環(EGR)バルブリフト量、Paは、大気圧を表す。ここで大気圧は、排気ガス圧力(背圧)にほぼ等しい。
【0046】
このとき、シリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatを以下の式によって算出する。
【0047】
ここで、A’’およびB’’は、同定パラメータである。シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbには、排気ガス再循環分(EGR)の影響が反映されていないが、式15によって、排気ガス再循環分(EGR)によって増加している空気圧Pbによってシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbが余剰になっている分をキャンセルすることができる。
【0048】
逐次型最小2乗法を用いた、式15の算出手順を以下の式に示す。
【0049】
ここで、θ’’(A’’,B’’)は、同定パラメータを表し、P’’は、同定ゲインを表す。
【0050】
式17乃至式22においては、同定パラメータが複数存在するため、スロットル通過空気量の値Gthの値がほぼ一定になったときにパラメータがドリフトを生じるおそれがある。したがって、同定アルゴリズムとしてσ修正法を用いた固定ゲインアルゴリズムを採用している。
【0051】
図8に本実施形態によるシリンダ吸入空気量推定装置のブロック図を示す。シリンダ吸入空気量推定装置は、モジュール81と、モジュール82と、モジュール83と、モジュール84とを含む。モジュール81は、吸気管圧力の値Pbを入力として受け取り、シリンダ吸入量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbを求め、出力として送り出す(式6)。モジュール82は、吸気管圧力の値Pb、大気圧Paおよび排気ガス再循環バルブのリフト量の値LACTを入力として受け取り、還流排気ガス量の吸気管圧力による推定値Gegrを求め、出力して送り出す(式14)。モジュール83は、スロットル通過空気量の値Gth、還流排気ガス量の吸気管圧力による推定値Gegrおよびシリンダ吸入量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbを入力として受け取り、第1の同定パラメータA’’および第2の同定パラメータB’’を、逐次型最小2乗法を用いて定め、出力として送り出す(式17から22)。第1の同定パラメータA’’および第2の同定パラメータB’’は、式19の偏差が最小となるようになるように定める。モジュール84は、シリンダ吸入量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbに第1の同定パラメータA’’を乗じた値から、還流排気ガス量の吸気管圧力による推定値Gegrに第2の同定パラメータB’’を乗じた値を減じ、シリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatを求める(式16)。
【0052】
図9に本実施形態によるシリンダ吸入空気量推定の結果を示す。スロットル通過空気量の値GthおよびEGRバルブリフト量LACTの変化にかかわらず、シリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatは、シリンダ吸入空気量の値Gcylに追従している。第1の同定パラメータA’’は、スロットル通過空気量の値GthおよびEGRバルブリフト量LACTの変化に適応して変化している。また、第2の同定パラメータB’’は、EGRバルブリフト量LACTの変化に適応して変化するが、パラメータの忘却効果により、定常時にはゼロに戻る。このような挙動により、EGRバルブリフト量の急変時にも精度の高い推定が行われる。
【0053】
本発明のさらに、別の実施形態について以下に説明する。
【0054】
シリンダ吸入量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbは、シリンダ吸入量の変化挙動に関して高精度の情報を有している。したがって、シリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatの変化挙動をシリンダ吸入量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbの変化挙動に一致させるように吸気管充填量の変化ΔGbを適応的に算出する。
【0055】
従来の、シリンダ吸入空気量の推定値Gcyl_hatの算出は以下の式であった。
【0056】
この従来手法の問題点は、吸気管への充填量の変化ΔGbをエンジンやセンサ特性の個体ばらつきや経年変化に対して適切に設定できないことであった。
【0057】
そこで、シリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hat以下の式により定義し直す。
【0058】
【0059】
ここで、留意すべき点は、吸気管への充填量の変化ΔGbを適応的に算出するために、同定パラメータAを使用している点である。
【0060】
式23の差分を求める。
【0061】
【0062】
これに対して、シリンダ吸入量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbの差分を以下の式により定義する。
【0063】
【0064】
「シリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatの変化が、シリンダ吸入量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbの変化に等しい」との条件は、以下の式により表される。
【0065】
【0066】
式29の右辺に式24を代入して以下の式を導く。
【0067】
【0068】
したがって、式30を満たすように同定パラメータAを定め、シリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatを算出すればよい。算出の仕方を以下の式によって具体的に示す。
【0069】
ここで、λ1,λ2は、重みパラメータである。
【0070】
図10に本実施形態によるシリンダ吸入空気量推定装置のブロック図を示す。
シリンダ吸入空気量推定装置は、モジュール10から108を含む。モジュール101は、吸気管圧力の値Pbを入力として受け取り、シリンダ吸入量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbを求め、出力として送り出す(式6)。モジュール102から105は、差分器である。モジュール106は、スロットル通過空気量の差分ΔGth、吸気管圧力の2回差分ΔΔPbおよびシリンダ吸入量の吸気管圧力による推定値の差分ΔGair_Pbを入力として、シリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatの変化挙動をシリンダ吸入量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbの変化挙動に一致させるように同定パラメータAを同定するモジュールである(式32から36)。具体的に同定パラメータAは、式34の偏差を最小とするように定める。モジュール107は、Gair_Pbに同定パラメータAを乗算する。モジュール108は、スロットル通過空気量Gthからモジュール107の乗算の結果を減じてGcyl_hatを求める(式31)。
【0071】
図11に本実施形態によるシリンダ吸入空気量推定の結果を示す。スロットル通過空気量の値Gthの変化にかかわらず、シリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatは、シリンダ吸入空気量の値Gcylに追従している。同定パラメータAは、スロットル通過空気量の値Gthの変化に適応して変化している。
【0072】
なお、図6および図8に示す実施形態においては、過渡時のシリンダ吸入空気量の最終推定値Gcyl_hatの挙動を、逐次型最小2乗法の応答遅れによって維持しているため、定常時のシリンダ吸入空気量の値Gcylと最終推定値Gcyl_hatとの定常偏差の収束速度を速めると、最終推定値Gcyl_hatの挙動がスロットル通過空気量の値Gthの挙動に近くなってしまう。他方、図6および図8に示す実施形態は、定常時のスロットル通過空気量の値Gthの揺らぎをフィルタリングできるため、定常時の空燃比制御の安定性に優れる。
【0073】
図10の実施形態は、定常偏差の収束速度を速めることができるが、定常時のスロットル通過空気量の値Gthの揺らぎをフィルタリング効果はない。
【0074】
つぎに、上述の本発明の吸入空気量推定装置によって推定された吸入空気量Gcyl_hatを目標値Gcyl_cmdに制御する方法について述べる。
【0075】
電子制御スロットルの開度THとその目標値TH_comとの関係は、以下の式のように近似できる。
【0076】
ここでAthおよびBthは、和が1となる定数である。
【0077】
また、スロットル通過空気量は、以下の式によって近似できる。
【0078】
ここで、Sthは、大気圧Pa(ほぼスロットル上流圧に等しい)、吸気管圧力Pbおよびスロットル開度THに応じて決まる係数である。
【0079】
式37および式38から以下の関係式を得る。
【0080】
ここで、Bth’=Sth(pa,Pb,TH)Bthである。
【0081】
さらに、スロットル通過空気量Gthは、近似値Gth’にほぼ等しいので、Gth’とGcyl_hatとの関係は、以下の式で近似できる。
【0082】
この式40に式39を代入すると、以下の式41、式42を得る。
【0083】
ここで、式42のGth’をエアフローメータによって検出される実測値Gthに置換した式を以下に定義する。
【0084】
【0085】
上記の式43をスロットル開度目標値TH_comと吸入空気量推定値Gcyl_hatを関係付けるモデルとする。
【0086】
このとき、吸入空気量推定値Gcyl_hatと吸入空気量目標値Gcyl_cmdの偏差Geを以下の式によって定義する。
【0087】
さらに、この偏差Geの収束挙動を以下の切換関数σによって定義する。
【0088】
ここで−1<S<1である。この切換関数は、
となり、図12に示すように、入力のない1次遅れ系の収束挙動を示しながら偏差Geが収束することを定義している。
【0089】
ここで、切換関数σによって指定した収束挙動を実現する応答指定型コントローラは、以下のようになる。
【0090】
なお、フィードバックゲインKeq0,Keq1,Keq2,Keq3,Krch,Kadpは、以下の評価関数を最小にするものである。
【0091】
ここで、Qは重みパラメータであり、q1,q2,q3,q4,q5,q6,r0は、正の定数である。各重み係数を以下の式にしたがって設定することによって、各状態変数Δgcyl_hat(k)、ΔGth(k),ΔPb(k),ΔPb(k−1)のゼロへの収束よりも、Δσ、σのゼロへの収束を速く行うことができるようになる。すなわち、指定した偏差の応答の実現を速く行うことができるようになり、また、制御系のモデル化誤差や外乱に対するロバスト安定性も向上することができる。
【0092】
【0093】
さらに、アクセルペダル開度AP、車速VP、トランスミッションのシフト位置NGEAR、加給圧Pc、電気負荷のON/OFF、パワステ油圧ポンプのON/OFF等によって求まるフィードフォワード開度TH_ffを式47のTH_cmd’に加算し、スロットル開度目標値、すなわち、応答指定型コントローラのスロットル開度制御量TH_cmdとする。
【0094】
【0095】
図13は、この応答指定型コントローラによってシリンダ吸入空気量Gcylの制御を行った結果を示す。
【0096】
図14に本発明の実施形態による、吸入空気量推定装置と吸入空気量制御用の応答指定型コントローラを含んだ燃料制御系の構成を示す。
【0097】
応答指定型コントローラ1002は、シリンダ吸入空気量推定装置1001からのシリンダ吸入空気量推定値とシリンダ吸入空気量目標値算出部1003からのシリンダ吸入空気量目標値とを入力とし、推定値Gcyl_hatが目標値Gcyl_cmdとなるようにスロットル開度TH_cmdを操作する。図14において、1004は燃料変換モジュール、1005は燃料付着補正モジュール、1006および1007は燃料補正係数演算モジュールを示す。これらのモジュールによって燃料噴射量が決定される。
【0098】
なお、図14では、シリンダ吸入空気量を制御するためにスロットル開度を操作したが、自在バルブタイミング機構によってシリンダ吸入空気量を制御することもできる。さらには、電動コンプレッサを備える場合には、コンプレッサへの印可電圧を調整することによっても、ウエストゲート付きタービンを備える場合は、ウエストゲートの制御により加給圧の制御を行うことによってもシリンダ吸入空気量を制御することができる。
【0099】
図15は、本発明の実施形態によるシリンダ吸入空気量推定方法の手順を示す。この手順の演算は、吸入行程(TDC)毎に実行される。ステップS10において、TDCを6等分した角度毎に設置されたクランク角(CRK)毎にサンプルされた吸気管圧力Pb_bufを6タップ移動平均し、Pb_bufの脈動成分を除去する。たとえば、1吸入行程(TDC)のクランク角度が180度であり、クランク角(CRK)信号が、クランク回転角度30度毎に出力される。ステップS20においてエアフローメータが活性であるか判断される。活性であれば、ステップS30に進み、CRK毎にサンプルされたスロットル通過量Gth_bufを6タップ移動平均し、Gth_bufの脈動成分を除去する。ステップS40において、シリンダ吸入空気量の推定値Gcyl_hatを演算する。
ステップS50においてスロットル開度の目標値TH_cmdを演算する。ステップS20においてエアフローメータが活性でなければ、ステップS60に進み、エンジン回転数、吸気管圧力に応じてシリンダ吸入空気量の推定値Gcyl_hatを演算する。ステップS70において、スロットル開度の目標値TH_cmdをアクセルペダル開度と等しく設定する。この時、アクセルペダル全閉の場合は、エンジンがアイドル回転数を維持できる分の開度は確保される。すなわち、アクセルペダル全閉時は、図示しないアイドル回転数制御により、TH_cmdが決定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸入空気量の推定方法および推定装置、また、当該推定方法または当該推定装置による吸入空気量の推定値が目標値となるように制御する制御方法および制御装置が適用される内燃機関の構成を示す。
【図2】内燃機関の吸気部分の構成を示す。
【図3】PB、TH、ΔPB、ΔTHおよびΔFZPBの間の関係を示す。
【図4】スロットル通過空気量Gthのオーバーシュートの補償が過剰、または、過小である場合の従来のシリンダ吸入空気量推定値の挙動を示す。
【図5】シリンダ吸入空気量Gcyl、スロットル通過空気量Gthおよびシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値Gair_Pbの間の関係を示す。
【図6】本発明の1実施形態によるシリンダ吸入空気量推定装置のブロック図を示す。
【図7】本発明の1実施形態によるシリンダ吸入空気量推定の結果を示す。
【図8】本発明の他の実施形態によるシリンダ吸入空気量推定装置のブロック図を示す。
【図9】本発明の他の実施形態によるシリンダ吸入空気量推定の結果を示す。
【図10】本発明の他の実施形態によるシリンダ吸入空気量推定装置のブロック図を示す。
【図11】本発明の他の実施形態によるシリンダ吸入空気量推定装置のブロック図を示す。
【図12】偏差Geの収束挙動を示す。
【図13】応答指定型コントローラによってシリンダ吸入空気量Gcylの制御を行った結果を示す。
【図14】本発明の実施形態による、吸入空気量推定装置と吸入空気量制御用の応答指定型コントローラを含んだ燃料制御系の構成を示す。
【図15】本発明の実施形態によるシリンダ吸入空気量推定方法の手順を示す。
【符号の説明】
3 エアフローメータ
6 吸気管圧力センサ
101 シリンダ吸入空気量推定装置
102 応答指定型コントローラ
Claims (14)
- 内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する方法であって、
吸気管圧力の値に基づいてシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求めるステップと、
シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に同定パラメータを乗じた値が、スロットル通過空気量の値に等しくなるように適応オブザーバを用いて同定パラメータを定めるステップと、
シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に当該同定パラメータを乗じてシリンダ吸入空気量の最終推定値を求めるステップとを含むシリンダ吸入空気量推定方法。 - 適応オブザーバを用いて同定パラメータを定めるステップにおいて、排気ガス再循環バルブのリフト量をさらに同定に使用する請求項1に記載のシリンダ吸入空気量推定方法。
- 内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する方法であって、
吸気管圧力の値に基づいてシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求めるステップと、
吸気管圧力の値、排気管内圧力に相当する値および排気ガス再循環バルブのリフト量の値に基づいて還流排気ガス量の推定値を求めるステップと、
シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に第1の同定パラメータを乗じた値から、還流排気ガス量の推定値に第2の同定パラメータを乗じた値を減じた値が、スロットル通過空気量の値に等しくなるように適応オブザーバを用いて第1および第2の同定パラメータを定めるステップと、
シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に第1の同定パラメータを乗じた値から、還流排気ガス量の推定値に第2の同定パラメータを乗じた値を減じて、シリンダ吸入空気量の最終推定値を求めるステップとを含むシリンダ吸入空気量推定方法。 - 第1の同定パラメータおよび第2の同定パラメータを、適応オブザーバを用いて求めるステップにおいて、第2の同定パラメータに忘却係数を使用する請求項3に記載のシリンダ吸入空気量推定方法。
- 内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する方法であって、
吸気管圧力の値に基づいてシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求めるステップと、
吸気管圧力の値の差分、吸気管圧力の値の2回差分、スロットル通過空気量の値の差分およびシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値の差分を求めるステップと、
吸気管圧力の値の2回差分に同定パラメータを乗じた値が、スロットル通過空気量の値の差分からシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値の差分を減じた値に等しくなるように、適応オブザーバを用いて同定パラメータを定めるステップと、
吸気管圧力の値の差分に同定パラメータを乗じた値を、スロットル通過空気量の値から減じてシリンダ吸入空気量の最終推定値を求めるステップとを含むシリンダ吸入空気量推定方法。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のシリンダ吸入空気量推定方法によって求めたシリンダ吸入空気量の最終推定値が目標値となるように制御するステップをさらに含むシリンダ吸入空気量制御方法。
- 応答指定型制御アルゴリズムを使用する請求項6に記載のシリンダ吸入空気量制御方法。
- 内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する装置であって、
吸気管圧力に基づいて、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求め、出力として送り出すモジュールと、
スロットル通過空気量の値およびシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に基づいて、シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に同定パラメータを乗じた値が、スロットル通過空気量の値に等しくなるように適応オブザーバを用いて同定パラメータを定め、出力として送り出すモジュールと、
シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に同定パラメータを乗じてシリンダ吸入空気量の最終推定値を求める乗算モジュールとを含むシリンダ吸入空気量推定装置。 - 適応オブザーバを用いて同定パラメータを定め、出力として送り出すモジュールが、排気ガス再循環バルブのリフト量をさらに入力として同定に使用する請求項8に記載のシリンダ吸入空気量推定装置。
- 内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する装置であって、吸気管圧力の値に基づいてシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求め、出力として送り出すモジュールと、
吸気管圧力の値、排気管内圧力に相当する値および排気ガス再循環バルブのリフト量の値に基づいて還流排気ガス量の推定値を求め、出力して送り出すモジュールと、
シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に第1の同定パラメータを乗じた値から、還流排気ガス量の推定値に第2の同定パラメータを乗じた値を減じた値が、スロットル通過空気量の値に等しくなるように適応オブザーバを用いて第1および第2の同定パラメータを定め、出力として送り出すモジュールと、
シリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値に第1の同定パラメータを乗じた値から、還流排気ガス量の推定値に第2の同定パラメータを乗じた値を減じて、シリンダ吸入空気量の最終推定値を求め、出力として送り出すモジュールとを含むシリンダ吸入空気量推定装置。 - 第1および第2の同定パラメータを定め、出力として送り出すモジュールにおいて、第2の同定パラメータに忘却係数を使用する請求項10に記載のシリンダ吸入空気量推定装置。
- 内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定する装置であって、吸気管圧力の値に基づいてシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値を求め、出力として送り出すモジュールと、
吸気管圧力の値の差分、吸気管圧力の値の2回差分、スロットル通過空気量の値の差分およびシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値の差分を求めるモジュールと、
吸気管圧力の値の2回差分に同定パラメータを乗じた値が、スロットル通過空気量の値の差分からシリンダ吸入空気量の吸気管圧力による推定値の差分を減じた値に等しくなるように、適応オブザーバを用いて同定パラメータを定めるモジュールと、
吸気管圧力の値の差分に同定パラメータの値を乗じるモジュールと、
吸気管圧力の値の差分に同定パラメータの値を乗じた値をスロットル通過空気量の値から減じてシリンダ吸入空気量の最終推定値を求め、出力として送り出すモジュールとを含むシリンダ吸入空気量推定装置。 - 請求項8から12のいずれか1項に記載のシリンダ吸入空気量推定装置と、
当該シリンダ吸入空気量推定装置の最終推定値および吸入空気量目標値を入力とし、当該最終推定値が目標値となるようにスロットル開度を操作するコントローラとを含むシリンダ吸入空気量制御装置。 - 前記コントローラが応答指定型制御アルゴリズムを使用する請求項13に記載のシリンダ吸入空気量制御装置。
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