JP2004156155A - 使い捨て手袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用時には耐水性に優れるとともに、使用後は水洗トイレなどへ廃棄することができ、簡易に使用できる使い捨て手袋を提供する。
【解決手段】水溶性フィルムの片面に耐水層を設けた水解性防水フィルムが、前記耐水層が外側になるように2枚積層され、手形に合わせた外周部3が手の挿脱口部2を除いて互いに接着され、挿脱口部2のある裾部4における親指側4aが小指側4bに較べて深くなるように挿脱口部2が斜めに形成され、裾部4が鋭角に突出形成した摘み部Aが設けられた使い捨て手袋1は、耐水層を外側にして手袋が構成してあるので、使用時に手袋の外面に水が掛かったり水分を含む汚物などを掴んだりしても手袋が破れず、使用後は内側の水溶性ポリビニルアルコール系フィルムが外側になるように裏返して水洗トイレなどの水中に投棄すると崩壊する。
【選択図】 図1
【解決手段】水溶性フィルムの片面に耐水層を設けた水解性防水フィルムが、前記耐水層が外側になるように2枚積層され、手形に合わせた外周部3が手の挿脱口部2を除いて互いに接着され、挿脱口部2のある裾部4における親指側4aが小指側4bに較べて深くなるように挿脱口部2が斜めに形成され、裾部4が鋭角に突出形成した摘み部Aが設けられた使い捨て手袋1は、耐水層を外側にして手袋が構成してあるので、使用時に手袋の外面に水が掛かったり水分を含む汚物などを掴んだりしても手袋が破れず、使用後は内側の水溶性ポリビニルアルコール系フィルムが外側になるように裏返して水洗トイレなどの水中に投棄すると崩壊する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い捨て手袋に関するものであり、例えば、病院で医師、看護婦、検査技師などの医療従事者が疾病の感染防止のために使用したり、食品などの工場、実験室で使用されたり、あるいはペットの糞などの汚物を処理したりする場合に簡易に使用される使い捨ての手袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、抗生物質が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、更にはセラチア菌、緑のう菌などの細菌による疾病の院内感染が大きな問題になっている。このため、医療に従事する医師や看護婦、検査宜寿、更には患者の介護者などの医療従事者は、患者の血液や体液、創のある皮膚や粘膜に触れるとき、あるいは血液や体液で汚染された物品に触れるときには手袋を着用することで、医療従事者と患者の間での感染を防止することが推奨されている。このような手袋としては、再使用による疾病の感染を防止するために、使い捨て出来る簡易な手袋が多く使用されている。また、食品工場、その他の工場、企業や学校の実験室などでも、使い捨て出来る簡易な手袋が使用されている。
【0003】
従来の医療用の手袋としては、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、クロロプレン等のジエン系モノマーの重合体又は共重合体、ブチレン−エチレン−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、オルガノポリシロキサン等のシリコーンゴム、ポリウレタン、軟質ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエン共重合ゴム等の疎水性で弾性を有する高分子材料から形成された手袋が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、使い捨て出来る簡易な手袋としては、合成樹脂フィルムからなる手袋が多用されている。従来、この合成樹脂フィルム製の使い捨て手袋としては、ポリエチレンフィルム製、ポリ塩化ビニルフィルム製、ウレタンフィルム製のものなどがある。更に、超低密度エチレン−α−オレフィン共重合体、長鎖分岐型低密度エチレン系重合体及び短鎖分岐型直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体からなる樹脂組成物から製造されたプラスチックフィルムからなる手袋も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、ポリビニルアルコール、ニトロセルロースの水溶性高分子からなる医療用手袋も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。更に、ポリビニルアルコール樹脂を主原料とする水溶性のプラスチックフィルムにより形成された本体部の外側の手の平側に水溶性の紙のシート部材を設け、主にペットの糞を処理する目的で使用される水溶性の使い捨て手袋も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この水溶性の使い捨て手袋は、使用後には水洗トイレなどに流したり、埋め立て処分したりすることができる。しかし、このように水溶性材料からなる使い捨て手袋の場合には、水が掛かると強度が低下して、使用中に破れてしまうおそれがあり、病院、工場、実験室などで使用する手袋としては問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−127908号公報
【特許文献2】
特開平6−101104号公報
【特許文献3】
特開平6−154242号公報
【特許文献4】
特開平11−269709号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような状況に鑑み、使用時には耐水性に優れるとともに、使用後は水洗トイレなどへ廃棄することができ、簡易に使用できる使い捨て手袋を提供せんとするものである。更に、本発明は、土中へ埋め立て処分したり、焼却処分しても問題がなく、使用後の処分が容易な使い捨て手袋を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の使い捨て手袋は、水溶性フィルムの片面に耐水層を設けた水解性防水フィルムが、前記耐水層が外側になるように2枚積層され、手形に合わせた外周部が手の挿脱口部を除いて互いに接着されており、前記挿脱口部のある裾部における親指側又は小指側の一方に他方より突出形成した摘み部が設けられていることを特徴とし、使用後には、水洗トイレなどへ廃棄するなどして、簡易に使い捨て出来る手袋を提供するものである。
【0008】
上記のように本発明に係る使い捨て手袋は、水溶性フィルムの片面に耐水層を設けた水解性防水フィルムを用い、前記耐水層を外側にして構成してある。従って、使用時に手袋の外面に水が掛かったりしても、水分を含む汚物などを掴んだりしても、手袋が破れたりすることがない。また、使用後は、手の挿脱口部のある裾部における親指側又は小指側の一方に形成した摘み部を他方の手の指などで摘んで、内側の水溶性ポリビニルアルコール系フィルムが外側になるように挿脱口部側から指先側に向かって裏返しながら手から外す。このとき、汚物などを掴んだままで手袋を裏返しにして外せば、汚物などは裏返しになった手袋の中に包まれる。前記のように裏返しにした手袋を、水洗トイレなどの水中に投棄すると、外側になった水溶性フィルムの側から溶解が始まり、この水溶性フィルムの溶解に伴い、内側になった耐水層も水に溶解したり分散したりして崩壊する。しかも、本発明の手袋は、裾部の親指側又は小指側の一方に形成した摘み部が他方より突出していることから、前記のように手袋を裏返して手から外すときに裾部を容易に掴むことができ、かつ突出した摘み部側から手袋が裏返されるので、裏返しにする作業が容易に行われる。また、前記摘み部を摘んで手袋を裏返しに外すことで、手袋の外面が汚れていても、汚れ面に手指などが触れることなく手袋を外すことができる。
【0009】
上記のような本発明に係る使い捨て手袋の裾部の長さは特に限定されないが、裾部における摘み部が設けられていない親指側又は小指側が、少なくとも手の平を覆う程度の長さとすることが好ましい。
【0010】
また、前記裾部における親指側又は小指側の一方が他方に較べて深くなるように手の挿脱口部が斜めに形成されており、前記裾部における鋭角に突出形成された部分を摘み部としてなる使い捨て手袋は、手袋の製造時に裾部を斜めに切断するだけで前記摘み部を容易に形成することができる。また、手の挿脱口部が斜めに形成されていることから、手袋の裾部の幅に較べて挿脱口部の開口幅が大きく、手の挿脱が容易である。
【0011】
更に、裾部における親指側に前記摘み部が設けられているものは、小指側に摘み部を設けた場合に較べて、他方の手の指で摘み部を摘み易く、手袋を外す作業が容易となる。
【0012】
また、前記水解性防水フィルムとして、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に脂肪族ポリエステル樹脂とセルロース誘導体を含有する生分解性樹脂組成物からなる耐水層を設けた水解性防水フィルムを用いた使い捨て手袋は、生分解性を有し、また焼却しても有毒ガスを発生しないことから、使用後には、水洗トイレなどへ廃棄したり、埋め立て処分や焼却処分しても環境汚染のおそれがない。即ち、前記水解性防水フィルムは、内側の水溶性ポリビニルアルコール系フィルムと、外側の耐水層とが、いずれも生分解性を有することから、この手袋が溶解したトイレ排水などの排水は、活性汚泥処理などの微生物による浄化処理が可能であり、手袋は微生物により分解されて無害化される。また使用後の手袋を、そのまま土中へ埋め立て処理すれば、土壌微生物による分解されて無害化される。更に、上記水解性防水フィルムは、ポリエチレンなどに較べて焼却時の燃焼カロリーが低く、またポリ塩化ビニルやウレタンのように燃焼時に有毒ガスの反省もないことから、焼却処分も可能である。
【0013】
前記水解性防水フィルムの耐水層を構成する脂肪族ポリエステル樹脂はポリカプロラクトンであることが好ましく、また、セルロース誘導体が酢酸セルロースであることが好ましい。更に、前記脂肪族ポリエステルとセルロース誘導体が、80:20〜98:2(重量比)の割合で含有されていることが好ましい。また、前記水解性防水フィルムに使用される水溶性ポリビニルアルコール系フィルムは、4重量%での水溶液粘度が5〜40mPa・s(20℃)、平均ケン化度が65〜99モル%であるポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムであることが好ましい。前記水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの膜厚は5〜80μm、生分解性樹脂組成物からなる耐水層の膜厚は0.1〜30μmであることが好ましい。前記水解性防水フィルムは、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に、生分解性樹脂組成物からなる耐水層をラミネートまたはコートすることで製造される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る使い捨て手袋の1実施例を示すものである。この手袋1は、水溶性フィルム、例えば水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に耐水層を設けた2枚の水解性防水フィルムが、前記耐水層が外側になるようにして積層され、手の挿脱口部2を除いて手形に合わせた外周部3がヒートシール、インパルスシール、接着剤などにより互いに接着されている。更に、この手袋1には、前記挿脱口部2のある裾部4における親指側4a又は小指側4bの一方を他方より突出形成した摘み部Aが設けられており、図1の実施例では、裾部4の親指側4aが深くなるように挿脱口部2のある手首側の裾4部分をほぼ直線状に斜めに形成し、鋭角に突出形成された親指側の裾部4aを摘み部Aとしてある。
【0016】
この使い捨て手袋1は、水溶性フィルムの片面に耐水層を設けた水解性防水フィルムを用い、前記耐水層を外側にして構成してある。従って、使用時に手袋1の外面に水が掛かったりしても、また水分を含む汚物などを掴んだりしても、手袋が破れたりすることがない。また、使用後は、図2に示すように、親指側の裾部分4aの摘み部Aを他方の手の指で摘んで挿脱口部2側から指先側へ引っ張ることで、内側の水溶性フィルムが外側になるように手袋1を裏返して手から外す。このとき、裾部4の親指側4aに形成した摘み部Aが裾部4の小指側4bより突出していることから、手袋1を裏返して手から外すときに裾部4を容易に掴むことができ、かつ突出した摘み部A側から手袋1が裏返されるので、手袋1を裏返しにする作業が容易に行われる。また、摘み部Aを摘んで手袋1を裏返しに外すことで、手袋1の外面が汚れていても、汚れ面に手指などが触れることなく手袋1を外すことができる。更に、汚物などを掴んだままで手袋1を裏返しに外せば、汚物などは裏返しになった手袋1の中に包まれる。そして、前記のように裏返しにした手袋1を、水洗トイレなどの水中に投棄すると、外側になった水溶性フィルムの側から溶解が始まり、この水溶性フィルムの溶解に伴い、内側になった耐水層も水に溶解したり分散したりして手袋1が崩壊し、水に流される。
【0017】
更に、前記のように手袋1の裾部4を斜めに形成したものは、手袋1の製造時に裾部4を斜めに切断するだけで摘み部Aを容易に形成することができる。また、手の挿脱口部2が斜めに形成されていることから、手袋1の裾部4の幅に較べて挿脱口部2の開口幅が大きくなり、手の挿脱が容易である。また、図1のように、裾部4の親指側4aに摘み部Aを設ければ、小指側4bに摘み部を設けた場合に較べて、他方の手で摘み部を摘み易く、手袋1を手から外す作業が容易となるが、上記と反対に、図3に示すように、裾部4の小指側4bが親指側4aより深くなるように斜めに形成して、裾部4の小指側4bに摘み部Aを設けてもよい。なお、図3中で、図1、2と同じ部分は同じ符号を付けて説明は省略する。
【0018】
また、図例の手袋1は、5本の指に対応する指先側部分が互いに独立した形をしているが、用途によっては、例えば、ペットの糞などの汚物処理に使用される手袋の場合はミトン型としてもよい。
【0019】
次ぎに、図4〜7に示すものは、本発明の使い捨て手袋1において、裾部4に摘み部Aを形成する他の形態を示す実施例である。なお、図4〜7中でも、図1、2と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略する。
【0020】
先ず、図4に示す実施例では、手の挿脱口部2のある裾部4を指先側に凸状の円弧状に斜めに形成して、裾部4における親指側4aを小指側4bに較べて深くなるように形成して親指側4aに摘み部Aを設けてある。このように裾部4を指先側に凸状の円弧状に斜めに形成すると、図1のように直線状に斜めに形成した場合に較べて摘み部Aの突出がより鋭角になり、摘み易くなる。
【0021】
また、図5に示す実施例では、手の挿脱口部2のある裾部4を挿脱口部2側(手首側)に凸状の円弧状に斜めに形成して、裾部4における親指側4aを小指側4bに較べて深くなるように形成して親指側4aに摘み部Aを設けてある。このように裾部4を挿脱口部2側に凸状の円弧状に斜めに形成すると、図1のように直線状に斜めに形成した場合に較べて手が手袋1により覆われる面積を広く確保することができる。
【0022】
図6に示す実施例では、手の挿脱口部2のある裾部4を、小指側4bでは手の挿脱方向とほぼ直交する直線状に形成するとともに、親指側4aでは小指側4bに較べて突出するように斜めに形成して、裾部4における親指側4aを小指側4bに較べて深くなるように形成して親指側4aに摘み部Aを設けてある。このように、裾部4を、小指側4bでは手の挿脱方向とほぼ直交する直線状に形成するとともに、親指側4aでは小指側4bに較べて突出するように斜めに形成すると、図1のように親指側4aから小指側4bにかけての全長にわたって斜めに形成した場合に較べて摘み部Aの突出がより鋭角になり摘み易くなると同時に、手が手袋1により覆われる面積も広く確保することができる。
【0023】
また、図1〜6に示す実施例の手袋1は、いずれも手首が隠れる程度の長さとしているが、長さは特に限定はなく、例えば図7に示す実施例のように、肘のあたりまで隠れる長手袋の形にしてもよい。
【0024】
更に、図4〜7に示す実施例は、いずれも手袋1における裾部4の親指側4aに摘み部Aが設けられているが、裾部4における小指側4bを親指側4aに較べて突出形成して小指側4bに摘み部Aを設けてもよいことは勿論である。
【0025】
次ぎに、上記手袋を構成する水解性防水フィルムについて説明する。本発明の使い捨て手袋を構成する水解性防水フィルムとしては特に限定はなく、従来公知のフィルムを使用することができる。
【0026】
使用できる水解性防水フィルムとしては、例えば、特開平4−208162号公報や特開平4−200470号公報に開示された、ケン化度が70〜98%のポリビニルアルコールとポリビニルアルコールのゲル化促進剤とからなるフィルムの片面に撥水剤がコーティングされたフィルム、特開平6−142127号公報に開示された、脂肪族ポリエステルや天然樹脂などの耐水性で微生物分解性の樹脂層と、ポリビニルアルコールのような気密性がある水溶解性または水分散性の樹脂層との二層より構成されているフィルム、特開平7−266515号公報に開示された、水溶性のポリビニルアルコールフィルムの片面に酢酸ビニル・塩化ビニル・メチルメタクリレート共重合ポリマーが積層されたフィルムなどが挙げられる。
【0027】
本発明に係る使い捨て手袋は、2枚の水解性防水フィルムを、耐水層が外側になるように積層して自動製袋機に供給し、手の挿脱口部を除いて手形に合わせて外周部をヒートシールまたはインパルスシールにより接着した後、カッティングし、不要部を分離除去することで、製造することができる。また、前記カッティングの代わりに手袋の外周部に合わせてミシン目状の切断線を形成したシート状としておき、使用時に前記ミシン目状切断線で1枚ずつ切り離すようにしてもよい。前記ヒートシール時の加圧時間や温度等の条件は、水解性防水フィルムの厚さにより最適な条件を選択して行われるが、例えば加圧時間を1秒間程度、即ち1秒間に60ショットとすると、フィルムの厚さが20μmの場合は210〜270℃程度、25μm程度の場合は230〜280℃程度、30μmの場合は250〜300℃程度が適当である。なお、本発明の使い捨て手袋は、水溶性フィルムを原料するので、製造後の製品は、湿気の影響を受けないように、防湿包装をして低湿、室温の倉庫などに保管することが好ましい。
【0028】
更に、本発明で使用する好ましい水解性防水フィルムとしては、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に脂肪族ポリエステル樹脂とセルロース誘導体を含有する生分解性樹脂組成物からなる耐水層を設けた水解性防水フィルム(以下、「フィルムA」という。)が挙げられる。以下、この水解性防水のフィルムAについて、更に詳細に説明する。
【0029】
フィルムAに用いられる水溶性ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂より製膜されるフィルムであればよく、このポリビニルアルコール系樹脂は特に限定されるものではない。例えば、一般的な、酢酸ビニルの重合により得られるポリ酢酸ビニルを低級アルコール溶媒中でアルカリや酸などのケン化触媒によってケン化したケン化物またはその誘導体が用いられる。また、酢酸ビニルと共重合性を有する単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物などの変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。前記酢酸ビニルと共重合性を有する単量体の含有量は0.5〜10モル%が好ましく、特には1〜7モル%が好ましい。
【0030】
前記酢酸ビニルと共重合性を有する単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセンなどのオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和酸、その塩またはモノもしくはジアルキルエステルなど、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸などのオレフィンスルホン酸またはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミドなどのポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、ジアクリルアセトンアミドなどが挙げられる。
【0031】
更に、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライドなどのカチオン基含有単量体なども挙げられる。
【0032】
また、アセトアセチル基を含有させたポリビニルアルコール系樹脂など使用することができる。
【0033】
酢酸ビニルの重合または酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合を行う方法は特に制限はなく、公知の重合方法が任意に用いられる。通常はメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールを溶媒とする溶液重合が実施されるが、乳化重合、懸濁重合も可能である。また、重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行われ、反応温度は35℃〜沸点(更には50〜80℃)程度の範囲から選択される。
【0034】
得られた重合体をケン化するに当たっては、該重合体をアルコールに溶解してアルカリ触媒の存在下に行われる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノールなどが挙げられる。アルコール中の重合体の濃度は、20〜50重量%の範囲から選ばれる。ケン化触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラートなどのアルカリ金属の水酸化物やアルコラートのようなアルカリ触媒を用いることができる。触媒の使用量は、重合体に対して1〜100ミリモル当量にすればよい。なお、場合によっては、酸触媒によりケン化することも可能である。
【0035】
上記のようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は特に限定されないが、65〜99モル%であることが好ましい。前記平均ケン化度が65モル%未満では、水溶解性または水分散性が低下したり、膜強度が劣ることになり、逆に99%を超えても水溶解性または水分散性が低下することになり好ましくない。特に、常温水で廃棄する場合は、前記平均ケン化度は75〜98モル%、更には80〜95モル%が好ましく、また、温水廃棄設備を備えている場合や高湿度下で使用される場合などは75〜95モル%、更には85〜95モル%が好ましい。なお、前記平均ケン化度の測定は、JIS K 6726 3.5に準じて行われる。
【0036】
また、前記ポリビニルアルコール系樹脂の4重量%での水溶液粘度については、5〜40mPa・s(20℃)であることが好ましく、より好ましくは10〜35mPa・s(20℃)、特に好ましくは15〜30mPa・s(20℃)である。前記粘度が5mPa・s(20℃)未満では膜の水溶解性または水分散性には問題はないが、膜強度が劣ることとなり、40mPa・s(20℃)を超えると溶液粘度が高くなりすぎ生産性に劣ることとなり、いずれの場合も好ましくない。なお、前記粘度の測定は、JIS K 6726 3.11.2に準じて行われる。
【0037】
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、1種のみならず、2種以上併用して用いることも可能である。
【0038】
水溶性ポリビニルアルコール系フィルムは、上記ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をロール、ドラム、エンドレスベルトなどの平滑な金属面上(金属表面の温度は80〜130℃程度)に流延する方法や、該樹脂に適宜水または可塑剤およびフィラーを加えた組成物を押出法などの手段によって溶融成形する方法などにより得られるが、本発明では前者の流延法が好適に用いられる。
【0039】
前記流延法により水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを製造する場合、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液としては、濃度10〜50重量%の水溶液であることが好ましく、より好ましい濃度は13〜45重量%、特に好ましい濃度は15〜40重量%である。前記樹脂水溶液の濃度が10重量%未満では乾燥不良や液だれが生じて生産性が低下し、50重量%を超えると高粘度のため生産性に劣ることになり好ましくない。
【0040】
また、上記流延法においては、必要に応じて、可塑剤(グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、剥離剤(ソルビタンエステルエーテルなど)、ハジキ防止剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなど)を添加してもよく、更に、抗酸化剤(フェノール系、アミン系など)、安定剤(リン酸エステル類など)、着色料、香料、増量剤、消泡剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤などの通常の添加剤などを添加してもよい。
【0041】
更に、前記水溶性ポリビニルアルコール系フィルムには、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他の水溶性高分子(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉など)、防錆剤、着色剤などを添加することも可能である。
【0042】
上記水溶性ポリビニルアルコール系フィルムとしては、市販のものを使用することもできる。使用できる水溶性ポリビニルアルコール系フィルムとしては、例えば、日本合成化学工業株式会社のハイセロン(登録商標)M−250、S−400などが挙げられる。
【0043】
また、フィルムA片面の耐水層を形成するために使用される生分解性樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル樹脂とセルロース誘導体を含有するものであればよい。脂肪族ポリエステル樹脂としては、代表的には下記一般式(1)または(2)で示されるポリエステル、または一般式(1)と(2)の共重合体が挙げられる。これらの中でも、一般式(1)で示されるポリエステルが好ましい。
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】
上記一般式(1)または(2)において、p、qはポリエステル中に含まれるエステルブロックの平均重合度であり、特に限定されないが、通常は50〜900、好ましくは100〜800の整数である。また、n、m、l、はメチレン数であり、1〜20が好ましく、更には2〜10、特には4〜8が好ましい。更に、本発明の効果を損なわない範囲内でメチレン数の異なる脂肪族ポリエステルまたは芳香族ポリエステルをブロック状またはランダム状に共重合することもできる。
【0047】
上記一般式(1)で示されるポリエステルとしては、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトンなどが挙げられ、一般式(2)で示されるポリエステルとしては、ポリエチレンアジパミド、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンスベレート、ポリエチレンデカメチレートなどが挙げられる。中でもポリカプロラクトンが分散性の点で特に好ましい。これらは2種以上併用してもよい。
【0048】
セルロース誘導体としては、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロースなどのセルロースアセテート、メチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロースなどその他のセルロースエステル類、エチルセルロース、ベンジルセルロース、シアノエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル類などが挙げられ、中でも酢酸セルロースが特に好ましい。
【0049】
脂肪族ポリエステル樹脂とセルロース誘導体との含有割合については、特に限定されないが、80:20〜98:2(重量比)であることが好ましく、更には83:17〜95:5(重量比)、特には85:15〜93:7(重量比)であることが好ましい。この含有割合が80/20未満では耐水性に劣り、98/2を超えると水溶解性または水分散性に劣り好ましくない。
【0050】
フィルムAにおける耐水層を構成する生分解性樹脂組成物は上記のようにして得られるが、更に、この生分解性樹脂組成物100重量部に対して、フィラーを3〜40重量部、更には5〜35重量部、特には10〜30重量部配合することが、水分散時の膜崩壊性の点で好ましい。前記フィラーの配合量が3重量部未満では水分散性の向上効果が少なく、40重量部を超えると耐水性が低下したり、ヒートシール強度が低下したり、外観不良を来す恐れがあり好ましくない。前記フィラーとしては、特に限定されず、例えば、シリカ、合成雲母、酸化チタン、金雲母顔料、白雲母顔料、タルク、クレー、カオリン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、サチンホワイト、パルプ、セルロースなどが挙げられる。前記フィラーの粒径は特に限定されないが、0.10〜15μmが好ましく、より好ましくは0.15〜13μm、特に好ましくは0.20〜10μmである。フィラーの粒径が0.10μm未満では水分散性の向上効果が乏しく、15μmを超えると耐水性に劣り好ましくない。
【0051】
また、上記生分解性樹脂組成物100重量部に対して、可塑剤を1〜40重量部、更には3〜35重量部、特には5〜30重量部配合することが、水分散性向上の点で好ましい。前記可塑剤の配合量が1重量部未満では水分散性向上効果が得難く、40重量部を超えると耐水性に劣ることになり好ましくない。前記可塑剤としては、可塑効果を発現させるものであれば特に限定されず、例えばフタル酸ジエステル系、テトラヒドロフタル酸エステル系、脂肪族二塩基酸、トリメリット酸エステル系、エポキシヘキサヒドロフタル酸エステル系、エポキシ化エステル系、アジピン酸エステル系、リン酸エステル系などが挙げられる。
【0052】
上記水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に、前記生分解性樹脂組成物からなる耐水層を設けることにより、フィルムAが得られる。フィルムAを製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
【0053】
(1)水溶性ポリビニルアルコール系フィルムと生分解性樹脂組成物フィルムを、各々単独で形成し、成形後、両フィルムを積層する方法。即ち、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを上記の方法(溶液流延法、押出し法)により作製し、一方、生分解性樹脂組成物から通常の方法、例えばキャスティング、Tダイやインフレーションでの溶融押出法またはカレンダー法により生分解性樹脂組成物フィルムを作製する。次いで、前記2種のフィルムを熱圧ラミネートすることにより水解性防水フィルムが製造される。必要に応じて接着剤を用いてもよい。
【0054】
(2)予め水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを作製し、この水溶性フィルムの片面に、生分解性樹脂組成物を押出機により溶融押出して、溶融樹脂フィルムを溶融状態で水溶性ポリビニルアルコール系フィルムに圧着する、押出しラミネート法。密着性のよい押出ラミネート品を得るためには、溶融した樹脂フィルムが冷えないうちに水溶性ポリビニルアルコール系フィルムに圧着することが必要であり、Tダイのダイリップを加圧ロールにできるだけ近づけ、溶融樹脂フィルムを溶融状態で水溶性ポリビニルアルコール系フィルムに圧着できるようにする。この押出しラミネート法によれば、押出機により1度にラミネートされるので工程が簡略である。
【0055】
(3)予め水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを作製し、この水溶性フィルムの片面に、生分解性樹脂組成物に溶媒を加えて形成した塗布液を塗工する方法。このときに用いる溶媒は、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを溶解しないものまたは膨潤しにくいものを用いることが好ましく、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物が挙げられる。この方法によれば、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムに損傷を与えることなく一段で製造できる。
【0056】
(4)予め水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを作製し、この水溶性フィルムの片面に、溶剤系アンカー剤を塗工し、このアンカー剤層の上に、生分解性樹脂を主成分とするエマルジョンやラテックスのような水系塗布液を塗工する方法。前記アンカー剤としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂などの樹脂を主成分とする溶剤系のものが使用できる。また、溶媒としては上記(3)と同様のものが用いられる。この方法によれば、生分解性樹脂組成物の水系塗布液を使用しても水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを溶解することなく塗工できる。
【0057】
上記フィルムA各層の膜厚は、手袋の用途などにより適宜選択されるので一概にはいえないが、通常は、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの膜厚が5〜80μm、更には10〜70μm、特には15〜50μmであることが好ましく、また、生分解性樹脂組成物からなる耐水層の膜厚は0.1〜30μm、更には0.5〜25μm、特には1〜20μmであることが好ましい。前記水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの膜厚が5μm未満では膜強度や加工性に劣り、80μmを超えると生産性の他に水溶性の点で劣り好ましくない。また、生分解性樹脂組成物からなる耐水層の膜厚が0.1μm未満では耐水性および膜強度に劣り、30μmを超えると水分散性に劣り好ましくない。
【0058】
更に、アンカー剤層を形成する場合は、その膜厚としては、接着性と水に対する保護性を損なわない範囲から選択でき、0.01〜10μm、更には0.1〜5μmであることが好ましい。
【0059】
上記のようなフィルムAから構成した使い捨て手袋は、生分解性に優れることから、排水は活性汚泥処理方法などの微生物を用いた浄化処理方法により処理することができる。また手袋をそのまま土中に埋め立て処分することもできる。この場合には、土壌微生物により手袋は分解されて無害化される。よって、使用後の処分が極めて簡単であり、従来のポリエチレン製、ポリ塩化ビニル製、ウレタンフィルム製の使い捨て手袋のような廃棄処分時の問題がない。また、焼却した場合にも有毒ガスの発生はなく、かつポリエチレンなどに較べて燃焼カロリーも低いことから、焼却炉の傷みが少ない。従って、簡易な使い捨て手袋として使用することができる。更に、耐薬品性、耐油性、耐有機溶剤性に優れるとともに、透湿性を有することから、使用時のムレを防止できるといった特長もある。
【0060】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、水溶性フィルムの片面に耐水層を設けた水解性防水フィルムを用い、前記耐水層を外側にして手袋が構成してあるので、使用時に手袋の外面に水が掛かったりしても、また水分を含む汚物などを掴んだりしても、手袋が破れたりすることがない。また、使用後は、手の挿脱口部のある裾部における親指側又は小指側の一方に形成した摘み部を他方の手で摘んで、挿脱口部側から、内側の水溶性ポリビニルアルコール系フィルムが外側になるように裏返して手から外し、この裏返しにした手袋を、水洗トイレなどの水中に投棄すると、外側になった水溶性フィルムの側から溶解が始まり、この水溶性フィルムの溶解に伴い、内側になった耐水層も水に溶解したり分散したりして手袋は崩壊する。しかも、裾部の親指側又は小指側の一方に形成した摘み部が他方より突出していることから、手袋を裏返して手から外すときに裾部を容易に掴むことができ、かつ突出した摘み部側から手袋が裏返されるので、裏返しにする作業が容易に行われる。また、前記摘み部を摘んで手袋を裏返しに外すことで、手袋の外面が汚れていても、汚れ面に手指などが触れることなく手袋を外すことができる。従って、この使い捨て手袋は、病院、工場、実験室などで簡易に使用し、かつ廃棄することができ、また、ペットの糞などの汚物処理にも好適に使用することができる。
【0061】
また、請求項2に係る発明によれば、使い捨て手袋の裾部における親指側又は小指側の一方が他方に較べて深くなるように手の挿脱口部が斜めに形成されており、前記裾部における鋭角に突出形成された部分を摘み部としてなるので、手袋の製造時に裾部を斜めに切断するだけで前記摘み部を容易に形成することができる。また、手の挿脱口部が斜めに形成されていることから、手袋の裾部の幅に較べて挿脱口部の開口幅が大きく、手の挿脱が容易である。
【0062】
更に、請求項3に係る発明によれば、使い捨て手袋の裾部における親指側に摘み部が設けられているので、小指側に摘み部を設けた場合に較べて、他方の手で摘み部を摘み易く、手袋を外す作業が容易となる。
【0063】
また、請求項4に係る発明によれば、前記水解性防水フィルムとして、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に脂肪族ポリエステル樹脂とセルロース誘導体を含有する生分解性樹脂組成物からなる耐水層を設けた水解性防水フィルムを用いており、手袋を構成する水解性防水フィルムが生分解性を有することから、手袋を廃棄した水洗トイレの排水は、活性汚泥処理法などの微生物処理により浄化することができるし、使用後の手袋をそのまま土中へ埋め立て処分することもできる。更に、使用後の手袋を焼却処分する場合にも、有害ガスの発生はなく、またポリエチレンなどに較べて燃焼カロリーも低く、焼却炉の傷みも少ない。従って、この使い捨て手袋は、耐水性に優れるとともに、従来のポリエチレン製、ポリ塩化ビニル製、ウレタンフィルム製などの使い捨て手袋に較べて、使用後の廃棄物の処分が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】手袋の実施例を示す正面図。
【図2】図1に示す手袋を裏返す様子を示す説明図。
【図3】手袋の他実施例を示す正面図。
【図4】手袋の他実施例を示す正面図。
【図5】手袋の他実施例を示す正面図。
【図6】手袋の他実施例を示す正面図。
【図7】手袋の他実施例を示す正面図。
【符号の説明】
1:手袋、 2:手の挿脱口部、 3:外周部、 4:裾部、 4a:裾部の親指側、 4b:裾部の小指側、 A:摘み部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い捨て手袋に関するものであり、例えば、病院で医師、看護婦、検査技師などの医療従事者が疾病の感染防止のために使用したり、食品などの工場、実験室で使用されたり、あるいはペットの糞などの汚物を処理したりする場合に簡易に使用される使い捨ての手袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、抗生物質が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、更にはセラチア菌、緑のう菌などの細菌による疾病の院内感染が大きな問題になっている。このため、医療に従事する医師や看護婦、検査宜寿、更には患者の介護者などの医療従事者は、患者の血液や体液、創のある皮膚や粘膜に触れるとき、あるいは血液や体液で汚染された物品に触れるときには手袋を着用することで、医療従事者と患者の間での感染を防止することが推奨されている。このような手袋としては、再使用による疾病の感染を防止するために、使い捨て出来る簡易な手袋が多く使用されている。また、食品工場、その他の工場、企業や学校の実験室などでも、使い捨て出来る簡易な手袋が使用されている。
【0003】
従来の医療用の手袋としては、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、クロロプレン等のジエン系モノマーの重合体又は共重合体、ブチレン−エチレン−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、オルガノポリシロキサン等のシリコーンゴム、ポリウレタン、軟質ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエン共重合ゴム等の疎水性で弾性を有する高分子材料から形成された手袋が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、使い捨て出来る簡易な手袋としては、合成樹脂フィルムからなる手袋が多用されている。従来、この合成樹脂フィルム製の使い捨て手袋としては、ポリエチレンフィルム製、ポリ塩化ビニルフィルム製、ウレタンフィルム製のものなどがある。更に、超低密度エチレン−α−オレフィン共重合体、長鎖分岐型低密度エチレン系重合体及び短鎖分岐型直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体からなる樹脂組成物から製造されたプラスチックフィルムからなる手袋も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、ポリビニルアルコール、ニトロセルロースの水溶性高分子からなる医療用手袋も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。更に、ポリビニルアルコール樹脂を主原料とする水溶性のプラスチックフィルムにより形成された本体部の外側の手の平側に水溶性の紙のシート部材を設け、主にペットの糞を処理する目的で使用される水溶性の使い捨て手袋も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この水溶性の使い捨て手袋は、使用後には水洗トイレなどに流したり、埋め立て処分したりすることができる。しかし、このように水溶性材料からなる使い捨て手袋の場合には、水が掛かると強度が低下して、使用中に破れてしまうおそれがあり、病院、工場、実験室などで使用する手袋としては問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−127908号公報
【特許文献2】
特開平6−101104号公報
【特許文献3】
特開平6−154242号公報
【特許文献4】
特開平11−269709号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような状況に鑑み、使用時には耐水性に優れるとともに、使用後は水洗トイレなどへ廃棄することができ、簡易に使用できる使い捨て手袋を提供せんとするものである。更に、本発明は、土中へ埋め立て処分したり、焼却処分しても問題がなく、使用後の処分が容易な使い捨て手袋を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の使い捨て手袋は、水溶性フィルムの片面に耐水層を設けた水解性防水フィルムが、前記耐水層が外側になるように2枚積層され、手形に合わせた外周部が手の挿脱口部を除いて互いに接着されており、前記挿脱口部のある裾部における親指側又は小指側の一方に他方より突出形成した摘み部が設けられていることを特徴とし、使用後には、水洗トイレなどへ廃棄するなどして、簡易に使い捨て出来る手袋を提供するものである。
【0008】
上記のように本発明に係る使い捨て手袋は、水溶性フィルムの片面に耐水層を設けた水解性防水フィルムを用い、前記耐水層を外側にして構成してある。従って、使用時に手袋の外面に水が掛かったりしても、水分を含む汚物などを掴んだりしても、手袋が破れたりすることがない。また、使用後は、手の挿脱口部のある裾部における親指側又は小指側の一方に形成した摘み部を他方の手の指などで摘んで、内側の水溶性ポリビニルアルコール系フィルムが外側になるように挿脱口部側から指先側に向かって裏返しながら手から外す。このとき、汚物などを掴んだままで手袋を裏返しにして外せば、汚物などは裏返しになった手袋の中に包まれる。前記のように裏返しにした手袋を、水洗トイレなどの水中に投棄すると、外側になった水溶性フィルムの側から溶解が始まり、この水溶性フィルムの溶解に伴い、内側になった耐水層も水に溶解したり分散したりして崩壊する。しかも、本発明の手袋は、裾部の親指側又は小指側の一方に形成した摘み部が他方より突出していることから、前記のように手袋を裏返して手から外すときに裾部を容易に掴むことができ、かつ突出した摘み部側から手袋が裏返されるので、裏返しにする作業が容易に行われる。また、前記摘み部を摘んで手袋を裏返しに外すことで、手袋の外面が汚れていても、汚れ面に手指などが触れることなく手袋を外すことができる。
【0009】
上記のような本発明に係る使い捨て手袋の裾部の長さは特に限定されないが、裾部における摘み部が設けられていない親指側又は小指側が、少なくとも手の平を覆う程度の長さとすることが好ましい。
【0010】
また、前記裾部における親指側又は小指側の一方が他方に較べて深くなるように手の挿脱口部が斜めに形成されており、前記裾部における鋭角に突出形成された部分を摘み部としてなる使い捨て手袋は、手袋の製造時に裾部を斜めに切断するだけで前記摘み部を容易に形成することができる。また、手の挿脱口部が斜めに形成されていることから、手袋の裾部の幅に較べて挿脱口部の開口幅が大きく、手の挿脱が容易である。
【0011】
更に、裾部における親指側に前記摘み部が設けられているものは、小指側に摘み部を設けた場合に較べて、他方の手の指で摘み部を摘み易く、手袋を外す作業が容易となる。
【0012】
また、前記水解性防水フィルムとして、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に脂肪族ポリエステル樹脂とセルロース誘導体を含有する生分解性樹脂組成物からなる耐水層を設けた水解性防水フィルムを用いた使い捨て手袋は、生分解性を有し、また焼却しても有毒ガスを発生しないことから、使用後には、水洗トイレなどへ廃棄したり、埋め立て処分や焼却処分しても環境汚染のおそれがない。即ち、前記水解性防水フィルムは、内側の水溶性ポリビニルアルコール系フィルムと、外側の耐水層とが、いずれも生分解性を有することから、この手袋が溶解したトイレ排水などの排水は、活性汚泥処理などの微生物による浄化処理が可能であり、手袋は微生物により分解されて無害化される。また使用後の手袋を、そのまま土中へ埋め立て処理すれば、土壌微生物による分解されて無害化される。更に、上記水解性防水フィルムは、ポリエチレンなどに較べて焼却時の燃焼カロリーが低く、またポリ塩化ビニルやウレタンのように燃焼時に有毒ガスの反省もないことから、焼却処分も可能である。
【0013】
前記水解性防水フィルムの耐水層を構成する脂肪族ポリエステル樹脂はポリカプロラクトンであることが好ましく、また、セルロース誘導体が酢酸セルロースであることが好ましい。更に、前記脂肪族ポリエステルとセルロース誘導体が、80:20〜98:2(重量比)の割合で含有されていることが好ましい。また、前記水解性防水フィルムに使用される水溶性ポリビニルアルコール系フィルムは、4重量%での水溶液粘度が5〜40mPa・s(20℃)、平均ケン化度が65〜99モル%であるポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムであることが好ましい。前記水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの膜厚は5〜80μm、生分解性樹脂組成物からなる耐水層の膜厚は0.1〜30μmであることが好ましい。前記水解性防水フィルムは、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に、生分解性樹脂組成物からなる耐水層をラミネートまたはコートすることで製造される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る使い捨て手袋の1実施例を示すものである。この手袋1は、水溶性フィルム、例えば水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に耐水層を設けた2枚の水解性防水フィルムが、前記耐水層が外側になるようにして積層され、手の挿脱口部2を除いて手形に合わせた外周部3がヒートシール、インパルスシール、接着剤などにより互いに接着されている。更に、この手袋1には、前記挿脱口部2のある裾部4における親指側4a又は小指側4bの一方を他方より突出形成した摘み部Aが設けられており、図1の実施例では、裾部4の親指側4aが深くなるように挿脱口部2のある手首側の裾4部分をほぼ直線状に斜めに形成し、鋭角に突出形成された親指側の裾部4aを摘み部Aとしてある。
【0016】
この使い捨て手袋1は、水溶性フィルムの片面に耐水層を設けた水解性防水フィルムを用い、前記耐水層を外側にして構成してある。従って、使用時に手袋1の外面に水が掛かったりしても、また水分を含む汚物などを掴んだりしても、手袋が破れたりすることがない。また、使用後は、図2に示すように、親指側の裾部分4aの摘み部Aを他方の手の指で摘んで挿脱口部2側から指先側へ引っ張ることで、内側の水溶性フィルムが外側になるように手袋1を裏返して手から外す。このとき、裾部4の親指側4aに形成した摘み部Aが裾部4の小指側4bより突出していることから、手袋1を裏返して手から外すときに裾部4を容易に掴むことができ、かつ突出した摘み部A側から手袋1が裏返されるので、手袋1を裏返しにする作業が容易に行われる。また、摘み部Aを摘んで手袋1を裏返しに外すことで、手袋1の外面が汚れていても、汚れ面に手指などが触れることなく手袋1を外すことができる。更に、汚物などを掴んだままで手袋1を裏返しに外せば、汚物などは裏返しになった手袋1の中に包まれる。そして、前記のように裏返しにした手袋1を、水洗トイレなどの水中に投棄すると、外側になった水溶性フィルムの側から溶解が始まり、この水溶性フィルムの溶解に伴い、内側になった耐水層も水に溶解したり分散したりして手袋1が崩壊し、水に流される。
【0017】
更に、前記のように手袋1の裾部4を斜めに形成したものは、手袋1の製造時に裾部4を斜めに切断するだけで摘み部Aを容易に形成することができる。また、手の挿脱口部2が斜めに形成されていることから、手袋1の裾部4の幅に較べて挿脱口部2の開口幅が大きくなり、手の挿脱が容易である。また、図1のように、裾部4の親指側4aに摘み部Aを設ければ、小指側4bに摘み部を設けた場合に較べて、他方の手で摘み部を摘み易く、手袋1を手から外す作業が容易となるが、上記と反対に、図3に示すように、裾部4の小指側4bが親指側4aより深くなるように斜めに形成して、裾部4の小指側4bに摘み部Aを設けてもよい。なお、図3中で、図1、2と同じ部分は同じ符号を付けて説明は省略する。
【0018】
また、図例の手袋1は、5本の指に対応する指先側部分が互いに独立した形をしているが、用途によっては、例えば、ペットの糞などの汚物処理に使用される手袋の場合はミトン型としてもよい。
【0019】
次ぎに、図4〜7に示すものは、本発明の使い捨て手袋1において、裾部4に摘み部Aを形成する他の形態を示す実施例である。なお、図4〜7中でも、図1、2と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略する。
【0020】
先ず、図4に示す実施例では、手の挿脱口部2のある裾部4を指先側に凸状の円弧状に斜めに形成して、裾部4における親指側4aを小指側4bに較べて深くなるように形成して親指側4aに摘み部Aを設けてある。このように裾部4を指先側に凸状の円弧状に斜めに形成すると、図1のように直線状に斜めに形成した場合に較べて摘み部Aの突出がより鋭角になり、摘み易くなる。
【0021】
また、図5に示す実施例では、手の挿脱口部2のある裾部4を挿脱口部2側(手首側)に凸状の円弧状に斜めに形成して、裾部4における親指側4aを小指側4bに較べて深くなるように形成して親指側4aに摘み部Aを設けてある。このように裾部4を挿脱口部2側に凸状の円弧状に斜めに形成すると、図1のように直線状に斜めに形成した場合に較べて手が手袋1により覆われる面積を広く確保することができる。
【0022】
図6に示す実施例では、手の挿脱口部2のある裾部4を、小指側4bでは手の挿脱方向とほぼ直交する直線状に形成するとともに、親指側4aでは小指側4bに較べて突出するように斜めに形成して、裾部4における親指側4aを小指側4bに較べて深くなるように形成して親指側4aに摘み部Aを設けてある。このように、裾部4を、小指側4bでは手の挿脱方向とほぼ直交する直線状に形成するとともに、親指側4aでは小指側4bに較べて突出するように斜めに形成すると、図1のように親指側4aから小指側4bにかけての全長にわたって斜めに形成した場合に較べて摘み部Aの突出がより鋭角になり摘み易くなると同時に、手が手袋1により覆われる面積も広く確保することができる。
【0023】
また、図1〜6に示す実施例の手袋1は、いずれも手首が隠れる程度の長さとしているが、長さは特に限定はなく、例えば図7に示す実施例のように、肘のあたりまで隠れる長手袋の形にしてもよい。
【0024】
更に、図4〜7に示す実施例は、いずれも手袋1における裾部4の親指側4aに摘み部Aが設けられているが、裾部4における小指側4bを親指側4aに較べて突出形成して小指側4bに摘み部Aを設けてもよいことは勿論である。
【0025】
次ぎに、上記手袋を構成する水解性防水フィルムについて説明する。本発明の使い捨て手袋を構成する水解性防水フィルムとしては特に限定はなく、従来公知のフィルムを使用することができる。
【0026】
使用できる水解性防水フィルムとしては、例えば、特開平4−208162号公報や特開平4−200470号公報に開示された、ケン化度が70〜98%のポリビニルアルコールとポリビニルアルコールのゲル化促進剤とからなるフィルムの片面に撥水剤がコーティングされたフィルム、特開平6−142127号公報に開示された、脂肪族ポリエステルや天然樹脂などの耐水性で微生物分解性の樹脂層と、ポリビニルアルコールのような気密性がある水溶解性または水分散性の樹脂層との二層より構成されているフィルム、特開平7−266515号公報に開示された、水溶性のポリビニルアルコールフィルムの片面に酢酸ビニル・塩化ビニル・メチルメタクリレート共重合ポリマーが積層されたフィルムなどが挙げられる。
【0027】
本発明に係る使い捨て手袋は、2枚の水解性防水フィルムを、耐水層が外側になるように積層して自動製袋機に供給し、手の挿脱口部を除いて手形に合わせて外周部をヒートシールまたはインパルスシールにより接着した後、カッティングし、不要部を分離除去することで、製造することができる。また、前記カッティングの代わりに手袋の外周部に合わせてミシン目状の切断線を形成したシート状としておき、使用時に前記ミシン目状切断線で1枚ずつ切り離すようにしてもよい。前記ヒートシール時の加圧時間や温度等の条件は、水解性防水フィルムの厚さにより最適な条件を選択して行われるが、例えば加圧時間を1秒間程度、即ち1秒間に60ショットとすると、フィルムの厚さが20μmの場合は210〜270℃程度、25μm程度の場合は230〜280℃程度、30μmの場合は250〜300℃程度が適当である。なお、本発明の使い捨て手袋は、水溶性フィルムを原料するので、製造後の製品は、湿気の影響を受けないように、防湿包装をして低湿、室温の倉庫などに保管することが好ましい。
【0028】
更に、本発明で使用する好ましい水解性防水フィルムとしては、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に脂肪族ポリエステル樹脂とセルロース誘導体を含有する生分解性樹脂組成物からなる耐水層を設けた水解性防水フィルム(以下、「フィルムA」という。)が挙げられる。以下、この水解性防水のフィルムAについて、更に詳細に説明する。
【0029】
フィルムAに用いられる水溶性ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂より製膜されるフィルムであればよく、このポリビニルアルコール系樹脂は特に限定されるものではない。例えば、一般的な、酢酸ビニルの重合により得られるポリ酢酸ビニルを低級アルコール溶媒中でアルカリや酸などのケン化触媒によってケン化したケン化物またはその誘導体が用いられる。また、酢酸ビニルと共重合性を有する単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物などの変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。前記酢酸ビニルと共重合性を有する単量体の含有量は0.5〜10モル%が好ましく、特には1〜7モル%が好ましい。
【0030】
前記酢酸ビニルと共重合性を有する単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセンなどのオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和酸、その塩またはモノもしくはジアルキルエステルなど、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸などのオレフィンスルホン酸またはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミドなどのポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、ジアクリルアセトンアミドなどが挙げられる。
【0031】
更に、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライドなどのカチオン基含有単量体なども挙げられる。
【0032】
また、アセトアセチル基を含有させたポリビニルアルコール系樹脂など使用することができる。
【0033】
酢酸ビニルの重合または酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合を行う方法は特に制限はなく、公知の重合方法が任意に用いられる。通常はメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールを溶媒とする溶液重合が実施されるが、乳化重合、懸濁重合も可能である。また、重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行われ、反応温度は35℃〜沸点(更には50〜80℃)程度の範囲から選択される。
【0034】
得られた重合体をケン化するに当たっては、該重合体をアルコールに溶解してアルカリ触媒の存在下に行われる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノールなどが挙げられる。アルコール中の重合体の濃度は、20〜50重量%の範囲から選ばれる。ケン化触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラートなどのアルカリ金属の水酸化物やアルコラートのようなアルカリ触媒を用いることができる。触媒の使用量は、重合体に対して1〜100ミリモル当量にすればよい。なお、場合によっては、酸触媒によりケン化することも可能である。
【0035】
上記のようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は特に限定されないが、65〜99モル%であることが好ましい。前記平均ケン化度が65モル%未満では、水溶解性または水分散性が低下したり、膜強度が劣ることになり、逆に99%を超えても水溶解性または水分散性が低下することになり好ましくない。特に、常温水で廃棄する場合は、前記平均ケン化度は75〜98モル%、更には80〜95モル%が好ましく、また、温水廃棄設備を備えている場合や高湿度下で使用される場合などは75〜95モル%、更には85〜95モル%が好ましい。なお、前記平均ケン化度の測定は、JIS K 6726 3.5に準じて行われる。
【0036】
また、前記ポリビニルアルコール系樹脂の4重量%での水溶液粘度については、5〜40mPa・s(20℃)であることが好ましく、より好ましくは10〜35mPa・s(20℃)、特に好ましくは15〜30mPa・s(20℃)である。前記粘度が5mPa・s(20℃)未満では膜の水溶解性または水分散性には問題はないが、膜強度が劣ることとなり、40mPa・s(20℃)を超えると溶液粘度が高くなりすぎ生産性に劣ることとなり、いずれの場合も好ましくない。なお、前記粘度の測定は、JIS K 6726 3.11.2に準じて行われる。
【0037】
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、1種のみならず、2種以上併用して用いることも可能である。
【0038】
水溶性ポリビニルアルコール系フィルムは、上記ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をロール、ドラム、エンドレスベルトなどの平滑な金属面上(金属表面の温度は80〜130℃程度)に流延する方法や、該樹脂に適宜水または可塑剤およびフィラーを加えた組成物を押出法などの手段によって溶融成形する方法などにより得られるが、本発明では前者の流延法が好適に用いられる。
【0039】
前記流延法により水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを製造する場合、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液としては、濃度10〜50重量%の水溶液であることが好ましく、より好ましい濃度は13〜45重量%、特に好ましい濃度は15〜40重量%である。前記樹脂水溶液の濃度が10重量%未満では乾燥不良や液だれが生じて生産性が低下し、50重量%を超えると高粘度のため生産性に劣ることになり好ましくない。
【0040】
また、上記流延法においては、必要に応じて、可塑剤(グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、剥離剤(ソルビタンエステルエーテルなど)、ハジキ防止剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなど)を添加してもよく、更に、抗酸化剤(フェノール系、アミン系など)、安定剤(リン酸エステル類など)、着色料、香料、増量剤、消泡剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤などの通常の添加剤などを添加してもよい。
【0041】
更に、前記水溶性ポリビニルアルコール系フィルムには、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他の水溶性高分子(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉など)、防錆剤、着色剤などを添加することも可能である。
【0042】
上記水溶性ポリビニルアルコール系フィルムとしては、市販のものを使用することもできる。使用できる水溶性ポリビニルアルコール系フィルムとしては、例えば、日本合成化学工業株式会社のハイセロン(登録商標)M−250、S−400などが挙げられる。
【0043】
また、フィルムA片面の耐水層を形成するために使用される生分解性樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル樹脂とセルロース誘導体を含有するものであればよい。脂肪族ポリエステル樹脂としては、代表的には下記一般式(1)または(2)で示されるポリエステル、または一般式(1)と(2)の共重合体が挙げられる。これらの中でも、一般式(1)で示されるポリエステルが好ましい。
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】
上記一般式(1)または(2)において、p、qはポリエステル中に含まれるエステルブロックの平均重合度であり、特に限定されないが、通常は50〜900、好ましくは100〜800の整数である。また、n、m、l、はメチレン数であり、1〜20が好ましく、更には2〜10、特には4〜8が好ましい。更に、本発明の効果を損なわない範囲内でメチレン数の異なる脂肪族ポリエステルまたは芳香族ポリエステルをブロック状またはランダム状に共重合することもできる。
【0047】
上記一般式(1)で示されるポリエステルとしては、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトンなどが挙げられ、一般式(2)で示されるポリエステルとしては、ポリエチレンアジパミド、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンスベレート、ポリエチレンデカメチレートなどが挙げられる。中でもポリカプロラクトンが分散性の点で特に好ましい。これらは2種以上併用してもよい。
【0048】
セルロース誘導体としては、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロースなどのセルロースアセテート、メチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロースなどその他のセルロースエステル類、エチルセルロース、ベンジルセルロース、シアノエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル類などが挙げられ、中でも酢酸セルロースが特に好ましい。
【0049】
脂肪族ポリエステル樹脂とセルロース誘導体との含有割合については、特に限定されないが、80:20〜98:2(重量比)であることが好ましく、更には83:17〜95:5(重量比)、特には85:15〜93:7(重量比)であることが好ましい。この含有割合が80/20未満では耐水性に劣り、98/2を超えると水溶解性または水分散性に劣り好ましくない。
【0050】
フィルムAにおける耐水層を構成する生分解性樹脂組成物は上記のようにして得られるが、更に、この生分解性樹脂組成物100重量部に対して、フィラーを3〜40重量部、更には5〜35重量部、特には10〜30重量部配合することが、水分散時の膜崩壊性の点で好ましい。前記フィラーの配合量が3重量部未満では水分散性の向上効果が少なく、40重量部を超えると耐水性が低下したり、ヒートシール強度が低下したり、外観不良を来す恐れがあり好ましくない。前記フィラーとしては、特に限定されず、例えば、シリカ、合成雲母、酸化チタン、金雲母顔料、白雲母顔料、タルク、クレー、カオリン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、サチンホワイト、パルプ、セルロースなどが挙げられる。前記フィラーの粒径は特に限定されないが、0.10〜15μmが好ましく、より好ましくは0.15〜13μm、特に好ましくは0.20〜10μmである。フィラーの粒径が0.10μm未満では水分散性の向上効果が乏しく、15μmを超えると耐水性に劣り好ましくない。
【0051】
また、上記生分解性樹脂組成物100重量部に対して、可塑剤を1〜40重量部、更には3〜35重量部、特には5〜30重量部配合することが、水分散性向上の点で好ましい。前記可塑剤の配合量が1重量部未満では水分散性向上効果が得難く、40重量部を超えると耐水性に劣ることになり好ましくない。前記可塑剤としては、可塑効果を発現させるものであれば特に限定されず、例えばフタル酸ジエステル系、テトラヒドロフタル酸エステル系、脂肪族二塩基酸、トリメリット酸エステル系、エポキシヘキサヒドロフタル酸エステル系、エポキシ化エステル系、アジピン酸エステル系、リン酸エステル系などが挙げられる。
【0052】
上記水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に、前記生分解性樹脂組成物からなる耐水層を設けることにより、フィルムAが得られる。フィルムAを製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
【0053】
(1)水溶性ポリビニルアルコール系フィルムと生分解性樹脂組成物フィルムを、各々単独で形成し、成形後、両フィルムを積層する方法。即ち、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを上記の方法(溶液流延法、押出し法)により作製し、一方、生分解性樹脂組成物から通常の方法、例えばキャスティング、Tダイやインフレーションでの溶融押出法またはカレンダー法により生分解性樹脂組成物フィルムを作製する。次いで、前記2種のフィルムを熱圧ラミネートすることにより水解性防水フィルムが製造される。必要に応じて接着剤を用いてもよい。
【0054】
(2)予め水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを作製し、この水溶性フィルムの片面に、生分解性樹脂組成物を押出機により溶融押出して、溶融樹脂フィルムを溶融状態で水溶性ポリビニルアルコール系フィルムに圧着する、押出しラミネート法。密着性のよい押出ラミネート品を得るためには、溶融した樹脂フィルムが冷えないうちに水溶性ポリビニルアルコール系フィルムに圧着することが必要であり、Tダイのダイリップを加圧ロールにできるだけ近づけ、溶融樹脂フィルムを溶融状態で水溶性ポリビニルアルコール系フィルムに圧着できるようにする。この押出しラミネート法によれば、押出機により1度にラミネートされるので工程が簡略である。
【0055】
(3)予め水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを作製し、この水溶性フィルムの片面に、生分解性樹脂組成物に溶媒を加えて形成した塗布液を塗工する方法。このときに用いる溶媒は、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを溶解しないものまたは膨潤しにくいものを用いることが好ましく、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物が挙げられる。この方法によれば、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムに損傷を与えることなく一段で製造できる。
【0056】
(4)予め水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを作製し、この水溶性フィルムの片面に、溶剤系アンカー剤を塗工し、このアンカー剤層の上に、生分解性樹脂を主成分とするエマルジョンやラテックスのような水系塗布液を塗工する方法。前記アンカー剤としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂などの樹脂を主成分とする溶剤系のものが使用できる。また、溶媒としては上記(3)と同様のものが用いられる。この方法によれば、生分解性樹脂組成物の水系塗布液を使用しても水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを溶解することなく塗工できる。
【0057】
上記フィルムA各層の膜厚は、手袋の用途などにより適宜選択されるので一概にはいえないが、通常は、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの膜厚が5〜80μm、更には10〜70μm、特には15〜50μmであることが好ましく、また、生分解性樹脂組成物からなる耐水層の膜厚は0.1〜30μm、更には0.5〜25μm、特には1〜20μmであることが好ましい。前記水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの膜厚が5μm未満では膜強度や加工性に劣り、80μmを超えると生産性の他に水溶性の点で劣り好ましくない。また、生分解性樹脂組成物からなる耐水層の膜厚が0.1μm未満では耐水性および膜強度に劣り、30μmを超えると水分散性に劣り好ましくない。
【0058】
更に、アンカー剤層を形成する場合は、その膜厚としては、接着性と水に対する保護性を損なわない範囲から選択でき、0.01〜10μm、更には0.1〜5μmであることが好ましい。
【0059】
上記のようなフィルムAから構成した使い捨て手袋は、生分解性に優れることから、排水は活性汚泥処理方法などの微生物を用いた浄化処理方法により処理することができる。また手袋をそのまま土中に埋め立て処分することもできる。この場合には、土壌微生物により手袋は分解されて無害化される。よって、使用後の処分が極めて簡単であり、従来のポリエチレン製、ポリ塩化ビニル製、ウレタンフィルム製の使い捨て手袋のような廃棄処分時の問題がない。また、焼却した場合にも有毒ガスの発生はなく、かつポリエチレンなどに較べて燃焼カロリーも低いことから、焼却炉の傷みが少ない。従って、簡易な使い捨て手袋として使用することができる。更に、耐薬品性、耐油性、耐有機溶剤性に優れるとともに、透湿性を有することから、使用時のムレを防止できるといった特長もある。
【0060】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、水溶性フィルムの片面に耐水層を設けた水解性防水フィルムを用い、前記耐水層を外側にして手袋が構成してあるので、使用時に手袋の外面に水が掛かったりしても、また水分を含む汚物などを掴んだりしても、手袋が破れたりすることがない。また、使用後は、手の挿脱口部のある裾部における親指側又は小指側の一方に形成した摘み部を他方の手で摘んで、挿脱口部側から、内側の水溶性ポリビニルアルコール系フィルムが外側になるように裏返して手から外し、この裏返しにした手袋を、水洗トイレなどの水中に投棄すると、外側になった水溶性フィルムの側から溶解が始まり、この水溶性フィルムの溶解に伴い、内側になった耐水層も水に溶解したり分散したりして手袋は崩壊する。しかも、裾部の親指側又は小指側の一方に形成した摘み部が他方より突出していることから、手袋を裏返して手から外すときに裾部を容易に掴むことができ、かつ突出した摘み部側から手袋が裏返されるので、裏返しにする作業が容易に行われる。また、前記摘み部を摘んで手袋を裏返しに外すことで、手袋の外面が汚れていても、汚れ面に手指などが触れることなく手袋を外すことができる。従って、この使い捨て手袋は、病院、工場、実験室などで簡易に使用し、かつ廃棄することができ、また、ペットの糞などの汚物処理にも好適に使用することができる。
【0061】
また、請求項2に係る発明によれば、使い捨て手袋の裾部における親指側又は小指側の一方が他方に較べて深くなるように手の挿脱口部が斜めに形成されており、前記裾部における鋭角に突出形成された部分を摘み部としてなるので、手袋の製造時に裾部を斜めに切断するだけで前記摘み部を容易に形成することができる。また、手の挿脱口部が斜めに形成されていることから、手袋の裾部の幅に較べて挿脱口部の開口幅が大きく、手の挿脱が容易である。
【0062】
更に、請求項3に係る発明によれば、使い捨て手袋の裾部における親指側に摘み部が設けられているので、小指側に摘み部を設けた場合に較べて、他方の手で摘み部を摘み易く、手袋を外す作業が容易となる。
【0063】
また、請求項4に係る発明によれば、前記水解性防水フィルムとして、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に脂肪族ポリエステル樹脂とセルロース誘導体を含有する生分解性樹脂組成物からなる耐水層を設けた水解性防水フィルムを用いており、手袋を構成する水解性防水フィルムが生分解性を有することから、手袋を廃棄した水洗トイレの排水は、活性汚泥処理法などの微生物処理により浄化することができるし、使用後の手袋をそのまま土中へ埋め立て処分することもできる。更に、使用後の手袋を焼却処分する場合にも、有害ガスの発生はなく、またポリエチレンなどに較べて燃焼カロリーも低く、焼却炉の傷みも少ない。従って、この使い捨て手袋は、耐水性に優れるとともに、従来のポリエチレン製、ポリ塩化ビニル製、ウレタンフィルム製などの使い捨て手袋に較べて、使用後の廃棄物の処分が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】手袋の実施例を示す正面図。
【図2】図1に示す手袋を裏返す様子を示す説明図。
【図3】手袋の他実施例を示す正面図。
【図4】手袋の他実施例を示す正面図。
【図5】手袋の他実施例を示す正面図。
【図6】手袋の他実施例を示す正面図。
【図7】手袋の他実施例を示す正面図。
【符号の説明】
1:手袋、 2:手の挿脱口部、 3:外周部、 4:裾部、 4a:裾部の親指側、 4b:裾部の小指側、 A:摘み部。
Claims (4)
- 水溶性フィルムの片面に耐水層を設けた水解性防水フィルムが、前記耐水層が外側になるように2枚積層され、手形に合わせた外周部が手の挿脱口部を除いて互いに接着されており、前記挿脱口部のある裾部における親指側又は小指側の一方に他方より突出形成した摘み部が設けられていることを特徴とする使い捨て手袋。
- 前記裾部における親指側又は小指側の一方が他方に較べて深くなるように手の挿脱口部が斜めに形成されており、前記裾部における鋭角に突出形成された部分を摘み部としてなる請求項1記載の使い捨て手袋。
- 裾部における親指側に摘み部が設けられている請求項1又は2に記載の使い捨て手袋。
- 前記水解性防水フィルムが、水溶性ポリビニルアルコール系フィルムの片面に脂肪族ポリエステル樹脂とセルロース誘導体を含有する生分解性樹脂組成物からなる耐水層を設けたフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の使い捨て手袋。
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