JP2004155675A - ヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体及びヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体 - Google Patents

ヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体及びヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体 Download PDF

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Abstract

【課題】医薬原料、電子材料などの用途、また種々のフラーレン金属錯体及びフラーレン誘導体を合成する際の中間原料、更にはさまざまな合成反応の触媒として有用な新規化合物を提供する。
【解決手段】下記(式1)で表される部分構造を有することを特徴とする一般式C(5−m)ML(式2)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体。下記(式5)で表される部分構造を有することを特徴とする一般式C(5−p)H(式6)で表されるヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体。
Figure 2004155675

(式1、式2及び式5、式6中、Aは水素原子またはRを表し、Cはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、mは1〜4の整数、Mは遷移金属原子を表し、Lはη又はηの配位子を表す、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。pは0〜4の整数である。)
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体及びヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体、並びにヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体を原料とするペンタアルキルフラーレン金属錯体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1990年にC60の大量合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。その結果、数多くのフラーレン誘導体が合成され、その多様な機能が明らかにされてきた。それに伴い、フラーレン誘導体を用いた電子伝導材料、半導体、生理活性物質等の各種用途開発が進められている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0003】
この様なフラーレン誘導体の具体例として、本発明者らは、フラーレン骨格に10個の有機基が結合したフラーレン化合物や、5個の有機基が結合したフラーレン化合物、及びこれらの化合物を配位子とする遷移金属錯体を種々合成し、報告してきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、非特許文献3、非特許文献4及び非特許文献5参照)。
【0004】
【非特許文献1】
日本化学会編、季刊化学総説No.43、「炭素第三の同素体フラーレンの化学」、学会出版センター(1999)
【非特許文献2】
”Fullerenes: Chemistry, Physics, and Technology”, John Wiley & Sons (2000)
【特許文献1】
特開平10−167994号公報
【特許文献2】
特開平11−255509号公報
【特許文献3】
特開2002−241323号公報
【非特許文献3】
Journal of the American Chemical Society, 1996年, 118巻, 12850ページ
【非特許文献4】
Organic Letters, 2000年, 2巻, 1919ページ
【非特許文献5】
Chemistry Letters, 2000年, 1098ページ
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、既に本発明者らが提案した5個の有機基が付加したフラーレン化合物類とは異なり、有機基のうち1個以上水素が付加した金属錯体及び誘導体に関するものであり、これらは、全ての付加基が有機基のものと比べて立体的及び電子的に異なった性質を有することが期待される。例えば、水素が付加した部分に置換反応が起こる等、種々のフラーレン誘導体の前駆体となり、また、金属錯体は、フラーレン部分が立体的に小さくなるため、種々の触媒反応が進行しやすくなるという点である。そのため、これらの新規なフラーレンの金属錯体及びフラーレンの誘導体が要望されていた。
【0006】
【発明を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る発明は、下記(式1)で表される部分構造を有する一般式C(5−m)ML(式2)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体に関するものである。
【0007】
【化4】
Figure 2004155675
【0008】
(式1及び式2中、Aは水素原子またはRを表し、Cはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、mは1〜4の整数、Mは遷移金属原子を表し、Lはη又はηの配位子を表す、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)
また、本発明の請求項2に係る発明は、下記(式3)で表される部分構造を有することを特徴とする一般式CML(式4)で表されるペンタヒドロフラーレン金属錯体に関するものである。
【0009】
【化5】
Figure 2004155675
【0010】
(式4中、Cはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Mは遷移金属原子を表し、Lはη又ははηの配位子を表し、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)
更に、請求項3に係る発明は、下記(式5)で表される部分構造を有する一般式C(5−p)H(式6)で表されるヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体に関するものである。
【0011】
【化6】
Figure 2004155675
【0012】
(式5及び式6中、Aは水素原子またはRを表す。Cはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、pは0〜4の整数である。)
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のヒドロアルキルフラーレ金属錯体は、一般式C(5−m)ML(式2)(式2中、Cはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、mは1〜4の整数、Mは遷移金属原子を表し、Lはη又はηの配位子を表す、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)で表される化合物であり、かつ、その化合物が有する水素原子及びRの相対位置が式1に示される部分構造中のAの位置に決まったものである。
【0014】
【化7】
Figure 2004155675
【0015】
式1中のAが全て水素原子、すなわち式2においてmが0の場合が、請求項2に記載の一般式CML(式4)で表されるペンタヒドロフラーレン金属錯体である。
また、本発明のヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体は、前記式2または式4で表される金属錯体中の、配位子を含む遷移金属原子部分MLが、水素原子で置換されたものである。具体的には一般式C(5−p)H(式6)(Cはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、pは0〜4の整数である。)で表される化合物であり、かつ、以下の式5に表される部分構造を有する。
【0016】
【化8】
Figure 2004155675
【0017】
これら、式2、式4及び式6で表される、ヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体及びヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体について、以下、詳細に説明する。
フラーレン骨格Cは、具体的には、C60(いわゆるバックミンスター・フラーレン)、C70、 C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びより高次の炭素クラスター骨格である。これらの内C60、C70が工業的に入手容易であるため好ましい。
【0018】
水素原子はフラーレン骨格1個に対して1〜5個、それに対応して有機基(R)はフラーレン骨格に対し、4個〜0個付加しており、それぞれ以下の式7に示された部分構造式中のAの位置に有機基(R)または水素原子が結合しているものである。
【0019】
【化9】
Figure 2004155675
【0020】
複数個の有機基(R)を有している場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。この有機基(R)は通常、炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
有機基(R)の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖又は分岐の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐の鎖状アルケニル基;エチニル基、メチルエチニル基、フェニルエチニル基などのアルキニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基;2−チエニル基、2−ピリジル基、2−フルフリル基等の複素環基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基があげられる。これらはそれぞれ、1つ以上のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子などの置換基で置換されていてもよい。
【0021】
金属錯体の構造中に含まれるMは遷移金属原子を表し、5族〜10族、より好ましくは6〜8族、さらに好ましいのは7族及び8族の金属である。この内、Re及びFeが特に好ましく、Reが最も好ましい。
Lは、Mの配位子である。配位の形態としては、η,ηの非共役型配位子である。その種類及び個数nは、Mの種類および価数により異なり、Mに応じて適切な種類、個数nが選択される。nは通常0〜5の整数である。Lの具体例としては、ηのものとしては、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミド基など、シグマ結合を形成する配位子であり、η配位のものとしては、3級ホスフィン、CO、3級アミン、オレフィン等、孤立電子対によって配位する配位子があげられる。また、1,5−シクロオクタジエンや、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンなどの、η,η型の多座配位子も好ましい。η以上の共役型配位子は、特にこの金属錯体を触媒反応などに適用する際、配位座を強く塞ぐため好ましくなく、またその安定性のため金属錯体を形成した後の配位子の交換反応が進行しにくいため、種々の金属錯体への変換が困難である。
【0022】
具体的なヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体の例を以下の式8〜式11に示す(以下の式9〜式11のPhはフェニル基を、Meはメチル基を表す。)。
【0023】
【化10】
Figure 2004155675
【0024】
一方、本発明のヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体は、錯体中のML部分がHで置換された化合物である。具体的なヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体の例を以下の式12〜式15に示す(式13〜式15中、Phはフェニル基を、Meはメチル基を表す。)。
【0025】
【化11】
Figure 2004155675
【0026】
本発明のヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体は、次のような方法により製造することができる。
原料として、フラーレン又は有機基付加フラーレンを用い、遷移金属前駆体又は遷移金属前駆体及び還元剤を溶媒中で反応させることにより得ることができる。
原料としてフラーレンを用いると、前記式4で表されるペンタヒドロフラーレン金属錯体が製造され、また原料として有機基付加フラーレンを用いると、原料中の有機基の付加位置及び付加数を保った式2で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体が製造できる。
【0027】
原料となるフラーレンの例としては、C60(いわゆるバックミンスター・フラーレン)、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びより高次の炭素クラスター骨格があげられる。この中で、C60、C70が工業的に入手容易であるため、本発明の原料として好ましく用いられる。
原料となる有機基付加フラーレンの有機基の数は1〜4である。具体的には、CH、 C 、C H及びC で表される化合物であり、かつそれぞれ、以下(式16〜式19)の部分構造を有するものである。
【0028】
【化12】
Figure 2004155675
【0029】
ここで、有機基付加フラーレンのフラーレン骨格としては、C60(いわゆるバックミンスターフラーレン)、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及び高次の炭素クラスター骨格があげられる。この中で、原料となるフラーレンとしてC60、C70が入手容易であるため、これらの骨格を有する有機基付加フラーレンが特に好ましい。
ここで、Rは、通常炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基であり、Rが複数ある場合は、それぞれのRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖又は分岐の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐の鎖状アルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基;エチニル基、メチルエチニル基、フェニルエチニル基などのアルキニル基;2−チエニル基、2−ピリジル基、フルフリル基等の複素環基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基があげられる。これらはそれぞれ、1つ以上のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子などの置換基で置換されていてもよい。
【0030】
これらの部分構造を有する有機基付加フラーレンのいくつかは、対応する骨格のフラーレンを原料として、公知の方法で製造が可能である。たとえば、C60(CHSiMe)Hは、Journal of Organic Chemistry,1994年,59巻,1246ページに、C60(CHSiMeは、Journal of Organic Chemistry,1994年,59巻,1246ページ及び特願2002−016143号に、C60(CHSiMeHは、特願2002−016143号に、C70PhHは特開平11−255508号公報及びJournal of the American Chemical Society,1998年,120巻,8285ページに、C60(CHPh)PhHは、Organic Letters,2000年,2巻,1919ページに、それぞれ製造法が開示されている。
【0031】
本発明の化合物の製造の際に用いられる遷移金属前駆体は、5族〜10族、より好ましくは6〜8族、さらに好ましくは7族及び8族の錯体である。これらの内、低原子価の遷移金属錯体が還元性を有するので好ましい。具体的には0価、1価または2価のMn, Re, Fe, Ru, Osがあげられる。0価のRe及び、0価および1価のFeがより好ましく、0価のReが最も好ましい。
【0032】
遷移金属前駆体が有する配位子は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミド基、ハロゲン原子、3級ホスフィン、CO、3級アミン、オレフィンなどがあげられる。具体的な好ましい遷移金属前駆体の例としては、Fe(CO), Fe(CO), Re(CO)10, Cr(CO)などの遷移金属カルボニル錯体等があげられる。
【0033】
遷移金属前駆体は、生成錯体中のML部位の供給源であり、この内、還元性を有する低原子価遷移金属錯体は、フラーレン又は有機基付加フラーレンの還元剤としても働く。
次に、還元剤の具体例としては、水素;1,3−ヘキサジエン、ジヒドロナフタレン、ジヒドロアントラセン、ジイミド、ヒドラジンなどの水素移動能を有する還元剤;トリフェニルホスフィンなどの3級ホスフィン類;ジメチルスルフィドなどのスルフィド類;ボラン、LiAlH, NaBHなどの金属水素化物;Na, K. Caなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属単体などがあげられる。これらの内、水素移動能を有する還元剤が特に好ましく用いられる。
【0034】
遷移金属前駆体の量は、他の還元剤を用いずに行う場合には、フラーレン又は有機基付加フラーレンに対して過剰量用いる必要がある。通常フラーレンまたは有機基付加フラーレンに対する遷移金属原子のモル比で2.0〜50等量、好ましくは2.0〜20等量である。
還元剤を用いる場合の遷移金属前駆体の量は、フラーレン又は有機基付加フラーレンに対する遷移金属原子のモル比で1.0〜10等量、好ましくは1.0〜3.0等量である。
【0035】
また、還元剤を用いる場合の還元剤の量は、反応の対象となるフラーレン又は有機基付加フラーレン、用いる還元剤や遷移金属錯体の種類や量、反応条件により異なるが、通常フラーレンまたは有機基付加フラーレンに対してモル比で1〜100等量、好ましくは1〜50等量である。
反応溶媒は、通常、ベンゼン、トルエン、キシレン類、トリメチルベンゼン類などの芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、p−トルニトリル等の芳香族ニトリルなどが用いられる。特にベンゾニトリル、o−トルニトリルなどの芳香族ニトリルが好ましい。使用量は、用いる溶媒の種類により異なるが、通常、フラーレンまたは有機基付加フラーレン濃度として、1mmol/L〜100mmol/Lとなる量で用いられる。
【0036】
反応温度は、用いる遷移金属前駆体及び還元剤の種類により異なるが、通常、高温条件が好ましく、具体的には80〜250℃、好ましくは100〜200℃の範囲で行われる。温度が低すぎると十分な反応速度が得られず、温度が高すぎると生成物の分解が起こり、いずれも好ましくない。反応時間は、通常1時間〜10日間程度である。
【0037】
また、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体は、前記したヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体を製造する際に使用するフラーレン又は有機基付加フラーレンと遷移金属前駆体又は遷移金属前駆体と還元剤を溶媒中で反応させる際に、プロトン化試薬の存在下で行うことにより製造することができる。
プロトン化試薬としては、水、メタノールやエタノールなどのアルコール類、酢酸などのカルボン酸類などが挙げられる。この内、特に水が好ましい。この場合、反応条件は、反応開始前にプロトン化試薬を反応系に加える他は、前記したヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体の製造方法と同様な方法で製造することができる。プロトン化試薬の使用量は、通常フラーレン有機基付加フラーレンに対して1〜100当量の範囲である。
【0038】
これらの生成物は、例えば結晶化やクロマトグラフィーなどの、有機化合物の一般的精製法で単離される。
本発明のヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体及びヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体は、医薬原料、電子材料などの用途が期待される。また種々のフラーレン誘導体の錯体及びフラーレン誘導体を合成する際の中間原料としても有用である。
【0039】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例により限定されるものではない。
実施例1: C60(CHPh)H−Re(CO)の合成
シュレンク管中、C60(CHPh)H(21.0 mg, 29.1 μmol)とRe(CO)10(42.2 mg, 64.7 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(455 mg, 2.52 mmol)、そしてベンゾニトリル(2 ml)の溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下で160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール = 7/3の混合溶媒(8 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いて液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」という。)により錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、 20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール = 7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約12 min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として11.4 mg(収率42%)を得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0040】
【化13】
Figure 2004155675
式20中、Bnはベンジル基を表わす。
【0041】
IR (powder, ν/cm−1) 3027 (vw), 2911 (vw), 2020 (s), 1922 (s), 1494 (w), 1456 (w), 1421 (w), 1287 (w), 1214 (w), 1179 (w), 1109 (w), 1078 (w),1031 (w), 1013 (w), 749 (w),733 (w), 698 (m), 685 (w); H NMR (CS/CDCl= 5/1, 400 MHz) δ 3.63 (s, 2H, PhCH), 5.22 (s, 2H+2H, C60H), 7.14−7.22 (m, 5H, Ph); 13C NMR (CS/CDCl= 5/1, 100 MHz) δ 44.19 (d, CH = 145 Hz, 2C), 44.56 (d, CH = 145 Hz, 2C), 51.84 (t, CH = 131 Hz, 1C), 55.77 (2C), 100.05 (2C), 105.24 (2C), 108.27 (1C), 126.97 (1C), 127.87 (2C), 130.11 (2C), 135.52 (1C), 143.00 (2C), 143.43 (2C), 143.65 (2C), 143.73 (2C), 143.76 (2C), 144.09 (2C), 144.63 (2C), 144.89 (2C), 144.90 (2C+2C), 146.31 (1C), 146.32 (2C), 146.36 (2C), 147.61 (2C), 147.68 (2C+2C), 147.79 (2C+2C), 148.08 (2C), 148.15 (2C), 148.17 (1C), 148.18 (2C), 148.95 (2C), 148.97 (2C), 149.03 (2C), 151.55 (2C) (二硫化炭素由来の強い信号との重なりのため,CO配位子由来の信号は同定できなかった.); APCI−MS (−): m/z = 1086 (M).
【0042】
実施例2: C60(CHPh)−Re(CO)の合成
シュレンク管中、C60(CHPh)(30.8 mg, 34.1μmol)とRe(CO)10(58.2 mg,89.2 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(613 mg, 3.40 mmol)、そしてベンゾニトリル(3 ml)の溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール = 7/3の混合溶媒(17 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、 20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール = 7/3、流速= 20 ml/min、滞留時間 = 約12 min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として22.2 mg(収率55%)を得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0043】
【化14】
Figure 2004155675
式21中、Bnはベンジル基を表わす。
【0044】
IR (powder, ν/cm−1) 3027 (vw), 2911 (vw), 2020 (s), 1924 (s), 1494 (w), 1454 (w), 1429 (w), 1287 (w), 1215 (w), 1179 (w), 1109 (w), 1077 (w),1029 (w), 748 (m), 738 (m), 729 (m), 698 (s), 675 (m); H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 3.70 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCH), 3.75 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCH), 5.27 (s, 2H+1H, C60H), 7.14−7.22 (m, 10H, Ph); 13C NMR (CS/CDCl= 5/1, 100 MHz) δ 44.16 (d, CH = 144 Hz, 2C), 44.47 (d, CH = 145 Hz, 1C), 51.73 (t, CH = 132 Hz, 2C), 55.90 (2C), 98.33 (1C), 102.37 (2C), 111.56 (2C), 127.05 (2C), 127.94 (4C), 130.14 (4C), 135.54 (2C), 142.67 (2C), 142.91 (2C), 143.41 (2C), 143.63 (2C), 143.76 (2C), 143.78 (2C), 144.05 (2C), 144.71 (2C), 144.90 (2C), 144.92 (2C), 146.20 (2C), 146.28 (2C), 146.33 (1C), 147.42 (2C), 147.50 (2C), 147.59 (2C), 147.62 (2C),147.63 (2C), 147.78 (2C), 148.09 (1C), 148.10 (2C), 148.13 (2C), 148.75(2C), 148.87 (2C), 150.79 (2C), 150.92 (2C)(二硫化炭素由来の強い信号との重なりのため,CO配位子由来の信号は同定できなかった.); APCI−MS (−): m/z = 1176 (M).
【0045】
実施例3: C60(CHPh)(Ph)H−Re(CO)の合成
シュレンク管中、C60(CHPh)(Ph)H(15.3 mg, 15.6 μmol)とRe(CO)10(25.2 mg, 38.6 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(29.8 mg, 165 μmol)、そしてベンゾニトリル(1.5 ml)の溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下160 ℃で1日間加熱した後,反応液をトルエン/2−プロパノール = 7/3の混合溶媒(8 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(NacalaiTesque Co.社製、 20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール = 7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約7min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として12.6mg(収率65%)を得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0046】
【化15】
Figure 2004155675
式22中、Bnはベンジル基でPhはフェニル基を表わす。
【0047】
IR (KBr disk, ν/cm−1) 3028 (w), 2918 (w), 2024 (s), 1939 (br, s), 1515 (w), 1494 (m), 1457 (m), 1419 (w), 1288 (w), 1216 (w), 1179 (w), 1079 (w), 1030 (w), 746 (w), 698 (m), 610 (w), 543 (m), 509 (w); H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 3.60 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCH), 3.62 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCH), 3.78 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCH), 3.93 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCH), 5.32 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 5.51 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 7.20−7.30 (m, 6H, Ph), 7.31−7.41 (m, 4H, Ph), 7.49 (tt, J = 1.2, 7.4 Hz, 1H, Ph), 7.62 (t, J = 7.6 Hz, 2H, Ph), 7.93 (dd, J = 1.2, 8.0 Hz, 2H, Ph); 13C NMR (CS/CDCl=3/1, 100 MHz) δ 44.35 (d, CH = 145 Hz, 1C+1C), 50.84 (t, CH=132Hz,1C),51.78(t,CH=132Hz,1C),55.92(1C),56.01 (1C), 58.29 (1C), 97.95 (1C), 102.62 (1C), 110.72 (1C), 111.52 (1C), 114.05 (1C), 126.60 (2C), 127.05 (1C), 127.16 (1C), 127.95 (2C), 127.97 (1C), 128.06 (2C), 129.03 (2C), 130.15 (2C), 130.19 (2C), 135.61 (1C), 135.76 (1C),142.69 (1C), 142.75 (1C), 142.83 (1C), 142.99 (1C), 143.05 (1C), 143.24(1C), 143.43 (1C), 143.49 (1C), 143.52 (1C), 143.53 (1C), 143.70 (1C+1C), 143.79 (1C+1C), 143.83 (1C), 143.99 (1C), 144.05 (1C), 144.17 (1C), 144.83 (1C), 144.89 (1C), 145.10 (1C), 145.11 (1C), 146.26 (1C), 146.33 (1C), 146.40 (1C), 146.41 (1C), 146.55 (1C), 147.47 (1C), 147.50 (1C+1C),147.56 (1C), 147.58 (1C), 147.61 (1C), 147.64 (1C), 147.67 1C), 147.71 (1C), 147.7 (1C), 147.80 (1C), 148.16 (1C), 148.18 (1C), 148.20 (1C), 148.23 (1C+1C), 148.42 (1C), 149.04 (1C), 149.48 (1C), 150.52 1C), 150.62 (1C), 150.88 (1C), 151.10 (1C), 151.83 (1C), 190.27 (3C); APCI−MS (+): m/z 1252 (M).
【0048】
実施例4: C60(CHPh)(Ph)Hの合成
シュレンク管中、C60(CHPh)(Ph)H(19.5 mg, 19.9 μmol)とRe(CO)10(33.0 mg, 37.1 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(37.1 mg, 206 μmol)、そしてベンゾニトリル(4 ml)の溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液に、水(35.8 μl, 199 μmol)を加え、窒素気流下160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール =6/4の混合溶媒(16 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより化合物の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、 20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール =6/4、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約10 min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物(5種の位置異性体の混合物)を橙色の固体として12.0mg(収率61%)を得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0049】
【化16】
Figure 2004155675
式23中、Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0050】
IR (powder, ν/cm−1) 3027 (w), 1602 (m), 1493 (m), 1451 (m), 1077 (w),1032 (m), 749 (m), 699 (s); APCI−MS (−): m/z = 981 [(M−1)].
実施例5: C60−Re(CO)の合成
シュレンク管中、C60(19.6 mg, 27.2 μmol)とRe(CO)10(34.0 mg, 52.1 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(51.8 mg, 287 μmol)、そしてベンゾニトリル(2 ml)の溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下で160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール = 7/3の混合溶媒(6 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、 20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール =7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約23min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を橙色の固体として2.1mg(収率8%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0051】
【化17】
Figure 2004155675
【0052】
IR (powder, ν/cm−1) 2017 (s), 1921 (s), 1901 (s), 1514 (w), 1455 (w),1419 (w), 1214 (w), 1179 (w), 1167 (w), 1058 (w), 1005 (w), 697 (m); HNMR (CDCl, 400 MHz) δ 5.23 (s, 5H, C60H); 13C NMR (CDCl, 100 MHz) δ44.73 (d, CH = 145 Hz, 5C), 102.97 (5C), 143.97 (10C), 145.25 (10C), 146.77 (5C), 148.21 (10C), 148.56 (5C), 149.57 (10C), 190.64 (3C); APCI−MS (−): m/z = 996 (M).
【0053】
実施例6: C60(CHPh)(Ph)H−Re(CO)の合成
シュレンク管中、C60(CHPh)(Ph)H(100 mg, 102 μmol)とRe(CO)10(161 mg, 246 μmol)、そしてベンゾニトリル(20 ml)の溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下150 ℃で25時間半加熱した後、反応液から溶媒を減圧下で留去した。錯体の精製はHPLCを用いて行った
(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、 20 mm ×250 mm)、トルエン/2−プロパノール =7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約7min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を橙色の固体として88.2 mg(収率69%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0054】
【化18】
Figure 2004155675
式25中、Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0055】
IR (KBr disk, ν/cm−1) 3028 (w), 2918 (w), 2024 (s), 1939 (br, s), 1515 (w), 1494 (m), 1457 (m), 1419 (w), 1288 (w), 1216 (w), 1179 (w), 1079 (w), 1030 (w), 746 (w), 698 (m), 610 (w), 543 (m), 509 (w); H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 3.60 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCH), 3.62 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCH), 3.78 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCH), 3.93 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCH), 5.32 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 5.51 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 7.20−7.30 (m, 6H, Ph), 7.31−7.41 (m, 4H, Ph), 7.49 (tt, J = 1.2, 7.4 Hz, 1H, Ph), 7.62 (t, J = 7.6 Hz, 2H, Ph), 7.93 (dd, J = 1.2, 8.0 Hz, 2H, Ph); 13C NMR (CS/CDCl=3/1, 100 MHz) δ 44.35 (d, CH = 145 Hz, 1C+1C), 50.84 (t, CH=132Hz,1C),51.78(t,CH=132Hz,1C),55.92(1C),56.01 (1C), 58.29 (1C), 97.95 (1C), 102.62 (1C), 110.72 (1C), 111.52 (1C), 114.05 (1C), 126.60 (2C), 127.05 (1C), 127.16 (1C), 127.95 (2C), 127.97 (1C), 128.06 (2C), 129.03 (2C), 130.15 (2C), 130.19 (2C), 135.61 (1C), 135.76 (1C),142.69 (1C), 142.75 (1C), 142.83 (1C), 142.99 (1C), 143.05 (1C), 143.24(1C), 143.43 (1C), 143.49 (1C), 143.52 (1C), 143.53 (1C), 143.70 1C+1C), 143.79 (1C+1C), 143.83 (1C), 143.99 (1C), 144.05 (1C), 144.17 (1C), 144.83 (1C), 144.89 (1C), 145.10 (1C), 145.11 (1C), 146.26 (1C), 146.33 1C),146.40 (1C), 146.41 (1C), 146.55 (1C), 147.47 (1C), 147.50 (1C+1C), 147.56 (1C), 147.58 (1C), 147.61 (1C), 147.64 (1C), 147.67(1C), 147.71 (1C), 147.7 (1C), 147.80 (1C), 148.16 (1C), 148.18 (1C), 148.20 (1C), 148.23 (1C+1C), 148.42 (1C), 149.04 (1C), 149.48 (1C), 150.52 1C), 150.62 (1C), 150.88 (1C), 151.10 (1C), 151.83 (1C), 190.27 (3C); APCI−MS (+): m/z 1252 (M).
【0056】
【発明の効果】
本発明のヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体及びヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体は、医薬原料、電子材料などの用途が期待でき、また種々のフラーレン金属錯体及びフラーレン誘導体を合成する際の中間原料、更にはさまざまな合成反応の触媒として有用である。

Claims (5)

  1. 下記(式1)で表される部分構造を有することを特徴とする一般式C(5−m)ML(式2)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体。
    Figure 2004155675
    (式1及び式2中、Aは水素原子またはRを表し、Cはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、mは1〜4の整数、Mは遷移金属原子を表し、Lはη又はηの配位子を表す、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)
  2. 下記(式3)で表される部分構造を有することを特徴とする一般式CML(式4)で表されるペンタヒドロフラーレン金属錯体。
    Figure 2004155675
    (式4中、Cはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Mは遷移金属原子を表し、Lはη又ははηの配位子を表し、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)
  3. 下記(式5)で表される部分構造を有することを特徴とする一般式C(5−p)H(式6)で表されるヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体。
    Figure 2004155675
    (式5及び式6中、Aは水素原子またはRを表す。Cはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、pは0〜4の整数である。)
  4. フラーレン骨格Cのxが60又は70である請求項1又は2に記載のヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体。
  5. フラーレン骨格Cのxが60又は70である請求項3記載のヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体。
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