JP2004155480A - 開口容易缶蓋 - Google Patents
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Abstract
【課題】開口片を切り離さない開口容易缶蓋について、ハーフオープンタイプにすることで、固形分が入った液体を内容物とする缶詰への使用に適したものにすると共に、開口片の破断端により消費者が口や手を負傷することなく、また、開口片によって開口部を好適に蓋することができるようにする。
【解決手段】パネル部2の外縁に沿ったスコア部14を、パネル部2外縁に非スコア部を残すように環状のパネル部2外縁の略半周に形成し、パネル部2の略中央を横切って両端がスコア部14の端部付近に至るように折曲誘導部15を形成し、スコア部14と折曲誘導部15とで囲まれた開口片2aの領域で、折曲誘導部15から離れてスコア部14に近接した位置に開蓋操作用のタブ6を固着すると共に、少なくとも開口片2aのスコア部14に沿った部分を、パネル部2の金属板を多重に折り畳んだ重層部13に形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】パネル部2の外縁に沿ったスコア部14を、パネル部2外縁に非スコア部を残すように環状のパネル部2外縁の略半周に形成し、パネル部2の略中央を横切って両端がスコア部14の端部付近に至るように折曲誘導部15を形成し、スコア部14と折曲誘導部15とで囲まれた開口片2aの領域で、折曲誘導部15から離れてスコア部14に近接した位置に開蓋操作用のタブ6を固着すると共に、少なくとも開口片2aのスコア部14に沿った部分を、パネル部2の金属板を多重に折り畳んだ重層部13に形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶容器の天板側の端壁として缶胴に巻締固着される開口容易缶蓋(イージーオープンエンド)に関し、特に、缶蓋のパネル部の略半分の面積を開口片として、タブの引き上げ操作により開口片をパネル部と繋がった状態のまま開口するようにした開口容易缶蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶容器の天板側の端壁として缶胴に巻締固着される缶蓋であって、別途に缶切り等の用具を必要とすることなく、タブによる操作でスコア部を破断することにより容易に開口できるようにした、所謂開口容易缶蓋(イージーオープンエンド)については、従来から様々なものが提案され実施されているが、各種の飲料のような液体を内容物とする缶詰の場合には、缶蓋のパネル部の一部分を飲み口として部分的に開口するパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋が採用されており、そのような飲料缶用のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋として、以前は、タブの引き上げ操作によりタブと開口片を缶蓋のパネル部から完全に切り離すようにしたプルトップタブ方式の缶蓋が多く使用されていたが、タブと開口片が缶から切り離されて捨てられることで資源回収の問題や環境美化の問題が起きることから、現在では、タブの操作によりパネル部と繋がった状態のまま開口片を缶内に押し下げて、タブや開口片を缶から切り離すことなく開口するステイオンタブ方式の缶蓋が多く使用されている。
【0003】
一方、果実,野菜,魚,肉,ゼリー,水羊羹,プリン等のような固形物(ゲル状のものを含む)を内容物とする缶詰の場合には、内容物を完全に取り出すために開口部を広くする必要があることから、缶蓋のパネル部を全面的に開口するフルオープンタイプの開口容易缶蓋が採用されており、そのようなフルオープンタイプの開口容易缶蓋としては、パネル部の外縁全周にスコア部を形成して、タブによる引き上げ操作でタブと共にパネル部を完全に缶(缶蓋)から切り離すようなものが従来から一般的に使用されている。そのようなフルオープンタイプの開口容易缶蓋においても、パネル部が缶から切り離されて捨てられると資源回収や環境美化の上で問題となることから、そのような問題に対処するために、フルオープンタイプの開口容易缶蓋において、パネル部外縁の一部に非スコア部を残すようにパネル部外縁にスコア部を形成して、パネル部の一部を缶(缶蓋)に繋げた状態でパネル部の部分を全面的に開口するということが従来公知(実開平6−47128号公報参照)となっている。
【0004】
なお、パネル部を完全に缶(缶蓋)から切り離すようなフルオープンタイプの開口容易缶蓋(及び、缶切り具を使用してパネル部を完全に切除するような缶蓋)について、缶(缶蓋)から切り離した後の蓋(パネル部)を簡単に折り曲げて安全に処理できるように、蓋(パネル部)の中央付近に折曲力の集中する折曲誘導部を形成するということが従来公知(特開平9−193931号公報参照)となっている。
【0005】
また、タブによる操作によりスコア部を破断するようにした開口容易缶蓋について、開口時にスコア部に沿って破断される部分の鋭い破断端に触れて消費者が負傷しないように、スコア部に沿った部分を金属板を多重に折り畳んだ重層部に形成するということが、パネル部を全面的に開口して除去するようなフルオープンタイプの開口容易缶蓋と、パネル部の一部分を部分的に開口するパーシャルオープンタイプでステイオンタブ方式の開口容易缶蓋との何れにおいても、従来公知(前者については、例えば、特開昭48−98989号公報,特開昭49−73285号公報,特開昭49−118589号公報,特開平2−180148号公報等参照、後者については、特開2002−145263号公報参照)となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、例えば、果実片入りジュースの缶詰のような、大部分は液体であるが小さな固形分(ゲル状のものを含む)が少し混入された食品を内容物とする缶詰が何種類か販売されており、そのような缶詰の場合には、缶蓋がフルオープンタイプの開口容易缶蓋であると開口操作時に内容物の液体がこぼれ易いことから、従来は、通常の飲料缶詰(内容物が液体のみ)の場合と同様に、パネル部の一部分を開口するパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋が採用されているが、そのような従来のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋では、開口部の面積が小さいために内容物の固形分を取り出し難く、特に、ステイオンタブ方式の場合には、開口片が缶内の開口部付近に留まっていることから、この開口片が障害物となって固形分の取り出しが一層難しくなっている。
【0007】
そのような問題に対して、例えば、実開平6−47128号公報に示されているようなフルオープンタイプの開口容易缶蓋において、そのパネル部の中央付近に、特開平9−193931号公報に示されているような折曲誘導部を形成した場合には、タブの引き上げ操作によりスコア部を破断してパネル部を引き上げながら、折曲誘導部が折り曲げられた時にタブの引き上げを中止することで、パネル部の半分側(折曲誘導部を境としてタブが設けられた一方の側)を開口片として開口させることができるように思われる。そして、そのように缶蓋のパネル部の半分の領域を開口させるようにした場合には、フルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、開口時に内容物の液体がこぼれ難くなり、しかも、従来のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、開口後に内容物の固形分を取り出し易くなる。
【0008】
なお、上記の点に関して、特開平9−193931号公報中に記載されている折曲誘導部は、缶(缶蓋)から完全に切り離した後の蓋(パネル部)を簡単に折り曲げて(二つ折りに折り畳んで)安全に処理するためのものであって、そのような折曲誘導部を、実開平6−47128号公報に記載されているような缶蓋からパネル部を切り離さない開口容易缶蓋に対して形成するということ自体が、必ずしも容易に想到し得るものとは言えず、更には、そのような折曲誘導部を折り曲げることでパネル部を半分側だけ開口片として開口させるということについても、必ずしも容易に想到し得るものとは言えないが、仮にそのようにした場合にはということである。
【0009】
しかしながら、仮にそのように缶蓋のパネル部の半分の領域だけを開口片として開口した場合には、缶外の開口部近傍に開口片が缶蓋と繋がったまま残っているために、缶から直接に内容物を飲む時や、飲んだ後の空缶を処理する時に、スコア部の破断により開口片の縁部に形成される鋭い破断端に触れることで、消費者が口や手を負傷するような虞がある。また、従来のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、開口部が大きくなる分だけ内容物の固形分が取り出し易くなるものの、その反面、内容物を一度で飲み切ることなく残して冷蔵庫等で冷やすような際に、開口部からゴミ等が入り易くなる。
【0010】
そこで、パネル部の半分まで開いた開口部を簡易的に仮蓋するために、折曲誘導部での折り曲げを元に戻して、開口片により開口部を覆うようにした場合に、上記の各公報に記載されている構成を組み合わせたようなものでは、折曲誘導部の位置でスコア部の破断を中止して、パネル部の略半分の領域だけを開口片として開口するようにしたとしても、図6(A)に示すように、開口片2aの部分が上側に反り返り癖がついたようなものになってしまい、そのように変形した開口片では、図6(B)に示すように、開口片2aの部分によって開口部を好適に蓋することが難しいものとなる。
【0011】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、開口片を切り離さない開口容易缶蓋について、ハーフオープンタイプにすることで、固形分が入った液体を内容物とする缶詰への使用に適したものにすると共に、開口後には、開口片の破断端により消費者が口や手を負傷することなく、また、開口片によって開口部を好適に蓋することができるようにすることを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、パネル部の外縁に沿ったスコア部を、パネル部外縁に非スコア部を残すように環状のパネル部外縁の略半周に形成し、パネル部の略中央を横切って両端がスコア部の端部付近に至るように折曲誘導部を形成し、スコア部と折曲誘導部とで囲まれた開口片の領域で、折曲誘導部から離れてスコア部に近接した位置に開蓋操作用のタブを固着すると共に、少なくとも開口片のスコア部に沿った部分を、パネル部の金属板を多重に折り畳んだ重層部として形成したことを特徴とするものである。
【0013】
上記のような構成によれば、タブの引き上げ操作によりパネル部の略半分の領域だけを容易に開口させることができて、その結果、フルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、開口時に内容物の液体がこぼれ難くなり、また、従来のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、開口後に内容物の固形分が取り出し易くなる。また、開口片の縁部(スコア部に沿った部分)に重層部が形成されていることで、スコア部の破断により開口片の縁部に形成される鋭い破断端に消費者の口や手が触れるのを防ぐことができると共に、重層部が剛性の高い補強部分となることで、開口時に開口片が上側に反り返ることがなく、その結果、開口後に折曲誘導部での折り曲げを元に戻した時に、開口片によって開口部を好適に蓋することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の開口容易缶蓋の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の開口容易缶蓋の一実施形態について、図1は、缶蓋(缶胴に巻締め固着される前)の全体を上方から見た状態で示し、図2は、缶蓋の全体の断面形状(タブの先端部から缶蓋の中心を通る断面)を示し、図3は、図2に示した断面形状の一部分を拡大して示し、図4は、缶蓋を開口する時の状態を示し、図5は、開口された缶蓋の開口部を開口片によって仮蓋する時の状態を示すものである。また、本発明に対する比較例について、図6は、開口された缶蓋の開口部を開口片によって仮蓋する時の状態を示すものである。
【0015】
本実施形態の缶蓋1は、アルミニウム合金の薄板からプレス成形されるものであって、図1および図2に示すように、パネル部2と環状縁部3とカウンターシンク部4とフランジ部5とが一体的に形成された本体部分に対して、それとは別体に形成された開口操作用のタブ6が、略円板状のパネル部2の周辺付近に形成されたリベット部7によって固着されている。また、缶胴との巻締固着部分となるフランジ部5の裏面側には、図示していないが、有機高分子製のシール剤が塗布されて付着される。
【0016】
そのような缶蓋1の中央部分である略円板状のパネル部2には、パネル部2に剛性を付与すると共にタブ6を摘み易くするように、広い面積の凹部8が形成され、パネル部2に剛性を付与するためのリブ状の凹部9,10が形成され、タブ6の下面に当接する一対の半球状の凸部11が形成されていると共に、タブ6を起こすときにパネル部2のタブ先端部6aに近接した部分を下方に折り曲げ易くするために、破断可能な主スコア線12aと破断しない副スコア線12bとからなるベントスコア部12が、リベット部7を挟んでタブ先端部6aとは反対側でリベット部7の近傍に形成されている。
【0017】
また、略円板状のパネル部2の外縁と、その外側を囲む環状縁部3の内縁とにわたって、金属板を多重に折り畳んだ重層部13が形成されている。すなわち、パネル部2と環状縁部3との間では、その円周方向の全周にわたって環状に、図3に示すように、パネル部2の外端で金属板が上面側に断面S字状に折り畳まれた重層部13aに形成され、また、環状縁部3の内端で金属板が下面側に断面S字状に折り畳まれた重層部13bに形成され、両方の重層部13a,13bの折り畳み部分の端部同士が連続した状態となっていて、パネル部2の外縁と環状縁部3の内縁とは、それぞれ金属板が断面S字状に三重に重なった環状の重層部13a,13bとなっている。
【0018】
また、パネル部2の外縁と環状縁部3の内縁との境界部分(即ち、両方の重層部13a,13bの連続部分)には、図1に示すように、破断可能なスコア線によるスコア部14(図面では見分け易いように破線で示しているが、実際には連続した刻線である)が、パネル部3の外縁に沿って、その円周方向の略半周で非スコア部を残すように、円周方向の略半周にわたって円弧状に形成されており、さらに、そのようなスコア部14に対して、パネル部2の略中央を横切って両端がスコア部14の端部に至るように、破断されない折曲誘導部15が直線状に形成されている。
【0019】
そして、そのようなスコア部14と折曲誘導部15とで囲まれた半円形の領域(開口片2aとなる部分)において、折曲誘導部15から離れてスコア部14に近い位置で、リベット部7によりタブ6がパネル部2に固着されていて、タブ6の先端部6aがスコア部14の一部分に近接した状態となっており、また、リベット部7を挟んでタブ先端部6aの側とは反対側で、リベット部7に沿った状態から両側に延びるように、主スコア線12aと副スコア線12bとからなるベントスコア部12が形成されている。
【0020】
上記のような構造を備えた本実施形態の缶蓋1は、内容物が充填された後の上端が開口された缶体(缶本体)に対して、フランジ部5を缶体の上端開口縁に巻締め固着することで、缶容器の上端壁となるものであって、缶容器の上端壁となった缶蓋1の使用状態については、以下に説明する通りである。
【0021】
未開口の缶蓋1を開口する場合には、先ず、タブ6の把持部(後端部)6bに指を掛けた状態で、タブ6を持ち上げることにより、ベントスコア部12の主スコア線12aが破断されて、ベントスコア部12の両端付近でパネル部2が容易に折れ曲がることから、図4(A)に示すように、リベット部7の近傍(ベントスコア部12の両側方)を支点として、リベット部7が立つように略90°回動し、リベット部7で固着されたタブ6の先端部6aが下方に押し下げられて、その結果、タブ6の先端部6aでスコア部14を初期破断しながら、タブ6が起こされる。そのようにタブ6が起こされることによって、タブ6の把持部6bを力点とし、タブ6の先端部6aを作用点として、パネル部2の外縁に沿って形成されたスコア部14の折曲誘導部15から最も離れた部分が、タブ6の先端部6aによって初期破断される。
【0022】
次いで、そのような状態から、タブ6を引き上げることで、パネル部2の外縁に沿って形成されたスコア部14が、その両端の折曲誘導部15と繋がる位置まで破断されてから、折曲誘導部15の部分でパネル部2が折り曲げられて、スコア部14と折曲誘導部15とで囲まれた部分を開口片2aとして、図4(B)に示すように、パネル部2の略半分の領域が半円形に開口される。そのような状態から、更に、タブ6を指で押し付けることにより、残りのパネル部2の上方で折り曲げられた状態(残りのパネル部2の部分も含めた全体として断面Z字状に折り曲げられた状態)となっている開口片2aは、図4(C)に示すように、開口部の側方でパネル部2の上方に低く折り畳まれて、缶蓋1の開口が完了された状態となる。
【0023】
上記のように開口された缶蓋1では、開口片2aの部分が開口部の側方に低く折り畳まれた状態となっていることから、消費者が缶内の内容物を開口部から直接に飲むときに、開口片2aが邪魔になることはなく、消費者の口や手が開口片2aに触れるようなことは殆どないし、また、仮に、消費者の口や手が開口片2aに触れたとしても、開口片2aの縁部(スコア部14が破断されたパネル部2の縁部)に断面S字状の重層部13aが形成されていることから、この断面S字状の重層部13aの外側の屈曲部分に邪魔されることで、スコア部14の破断による鋭い破断端によって消費者の口や手を損傷するのが防止される。
【0024】
一方、上記のように開口された缶蓋1の開口部を開口片の部分によって簡易的に仮蓋する場合には、図4(C)に示すような開口が完了された状態から、タブ6を指で摘んで略平行に持ち上げることにより、先ず、図4(B)に示すような状態に戻してから、更に、図5(A),(B)に示すように、タブ6の姿勢を略そのまま保った状態で、タブ6を指で前方に押して、タブ6を斜め前方下方に略平行移動させることにより、パネル部2の上方に折り曲げられていた開口片2aの部分は、開口部を上方から覆うように、パネル部2の残りの部分と略同じ平面となるように前方に引き伸ばされて、開口部は開口片2aの部分によって略完全に覆われることとなる。
【0025】
上記のような本実施形態の開口容易缶蓋によれば、タブ6の引き上げ操作により、スコア部14を破断して折曲誘導部15の部分でパネル部2を折り曲げることで、スコア部14と折曲誘導部15とで囲まれた部分を開口片2aとして、パネル部2の半分の領域だけを容易に開口させることができることから、小さな固形分が混入された内容物による缶詰に使用した場合に、開口時には、フルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、内容物の液体がこぼれるのを防止することができ、また、開口後には、従来のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、内容物の固形分を缶内に残すことなく容易に取り出すことができる。
【0026】
また、スコア部14と折曲誘導部15とで囲まれた部分を開口片2aの部分を、開口部の側方に低く折り畳むことができて、缶内の内容物を開口部から直接に飲むようなときに、開口片2aの部分に口を触れることなく容易に飲むことができると共に、仮に、消費者の口や手が開口片2aや開口部の縁部に触れたとしても、開口片2aの縁部(スコア部14が破断されたパネル部2の外縁部)に重層部13aが形成され、また、開口部の縁部(スコア部14が破断された環状縁部3の内縁部)に重層部13bが形成されていることから、それらの部分でスコア部14の破断による鋭い破断端によって口や手などを損傷するのを防止することができる。
【0027】
さらに、パネル部2の開口片2aとなる部分の縁部(スコア部14が破断されたパネル部2の縁部)に重層部13aが形成されていることで,当該部分が重層部13aにより補強されて剛性の高いものとなり、その結果、開口時に開口片2aの部分が上側に反り返らないことから、開口後に開口片2aによって開口部を覆うように仮蓋する際に、折曲誘導部15での折り曲げを元に戻すことで、開口片2aによって開口部を良好に蓋することができる。
【0028】
以上、本発明の開口容易缶蓋の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に示したような具体的な構造にのみ限定されるものではなく、例えば、スコア部14と折曲誘導部15とで囲まれる開口片2aの部分の大きさについては、ハーフオープンタイプであるとは言っても、厳密にパネル部2の半分の領域だけというのではなく、それよりも多少は大きくても小さくても良いものであり、従って、スコア部14については、環状の略半周であれば、半周よりも多少は長くても短くても良く、また、折曲誘導部15についても、必ずしもパネル部2の中心を通らなくても良いものであり、さらに、スコア部14の端部と折曲誘導部15の端部との位置関係については、必ずしも端部同士を合わせる必要はなく、折曲誘導部15の端部がスコア部14にまで到達していなくても良く、折曲誘導部15の端部を越える位置までスコア部14が延ばされていても良い等、適宜に設計変更可能なものであることは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の開口容易缶蓋によれば、ハーフオープンタイプとすることにより、固形分が入った液体を内容物とする缶詰に使用した際に、開口時には液体をこぼすことなく、しかも、開口後には固形分を残さず取り出すことができる。また、開口片の部分に邪魔されることなく、缶から直接的に内容物を容易に飲むことができ、開口片の破断端により口や手を負傷するのを防止することができて、さらには、開口片の部分によって開口部を好適に仮蓋することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の開口容易缶蓋の一実施形態について、缶胴に巻締め固着される前の缶蓋を示す上面図。
【図2】図1に示した缶蓋について、タブの先端部から缶蓋の中央を通る缶蓋全体の断面形状を示す断面図。
【図3】図2に示した缶蓋の一部分を拡大して示す部分拡大断面図。
【図4】図1に示した缶蓋について、缶蓋を開口する時の各段階での状態(A),(B),(C)をそれぞれ示す断面説明図。
【図5】図1に示した缶蓋について、開口された缶蓋の開口部を開口片によって仮蓋する時の各段階での状態(A),(B)をそれぞれ示す断面説明図。
【図6】比較例の缶蓋について、開口された缶蓋の開口部を開口片によって仮蓋する時の各段階での状態(A),(B)をそれぞれ示す断面説明図。
【符号の説明】
1 缶蓋
2 パネル部
2a 開口片
3 環状縁部
6 タブ
6a (タブの)先端部
6b (タブの)把持部
13 重層部
13a (パネル部の外縁側の)重層部
13b (環状縁部の内縁側の)重層部
14 スコア部
15 折曲誘導部
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶容器の天板側の端壁として缶胴に巻締固着される開口容易缶蓋(イージーオープンエンド)に関し、特に、缶蓋のパネル部の略半分の面積を開口片として、タブの引き上げ操作により開口片をパネル部と繋がった状態のまま開口するようにした開口容易缶蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶容器の天板側の端壁として缶胴に巻締固着される缶蓋であって、別途に缶切り等の用具を必要とすることなく、タブによる操作でスコア部を破断することにより容易に開口できるようにした、所謂開口容易缶蓋(イージーオープンエンド)については、従来から様々なものが提案され実施されているが、各種の飲料のような液体を内容物とする缶詰の場合には、缶蓋のパネル部の一部分を飲み口として部分的に開口するパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋が採用されており、そのような飲料缶用のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋として、以前は、タブの引き上げ操作によりタブと開口片を缶蓋のパネル部から完全に切り離すようにしたプルトップタブ方式の缶蓋が多く使用されていたが、タブと開口片が缶から切り離されて捨てられることで資源回収の問題や環境美化の問題が起きることから、現在では、タブの操作によりパネル部と繋がった状態のまま開口片を缶内に押し下げて、タブや開口片を缶から切り離すことなく開口するステイオンタブ方式の缶蓋が多く使用されている。
【0003】
一方、果実,野菜,魚,肉,ゼリー,水羊羹,プリン等のような固形物(ゲル状のものを含む)を内容物とする缶詰の場合には、内容物を完全に取り出すために開口部を広くする必要があることから、缶蓋のパネル部を全面的に開口するフルオープンタイプの開口容易缶蓋が採用されており、そのようなフルオープンタイプの開口容易缶蓋としては、パネル部の外縁全周にスコア部を形成して、タブによる引き上げ操作でタブと共にパネル部を完全に缶(缶蓋)から切り離すようなものが従来から一般的に使用されている。そのようなフルオープンタイプの開口容易缶蓋においても、パネル部が缶から切り離されて捨てられると資源回収や環境美化の上で問題となることから、そのような問題に対処するために、フルオープンタイプの開口容易缶蓋において、パネル部外縁の一部に非スコア部を残すようにパネル部外縁にスコア部を形成して、パネル部の一部を缶(缶蓋)に繋げた状態でパネル部の部分を全面的に開口するということが従来公知(実開平6−47128号公報参照)となっている。
【0004】
なお、パネル部を完全に缶(缶蓋)から切り離すようなフルオープンタイプの開口容易缶蓋(及び、缶切り具を使用してパネル部を完全に切除するような缶蓋)について、缶(缶蓋)から切り離した後の蓋(パネル部)を簡単に折り曲げて安全に処理できるように、蓋(パネル部)の中央付近に折曲力の集中する折曲誘導部を形成するということが従来公知(特開平9−193931号公報参照)となっている。
【0005】
また、タブによる操作によりスコア部を破断するようにした開口容易缶蓋について、開口時にスコア部に沿って破断される部分の鋭い破断端に触れて消費者が負傷しないように、スコア部に沿った部分を金属板を多重に折り畳んだ重層部に形成するということが、パネル部を全面的に開口して除去するようなフルオープンタイプの開口容易缶蓋と、パネル部の一部分を部分的に開口するパーシャルオープンタイプでステイオンタブ方式の開口容易缶蓋との何れにおいても、従来公知(前者については、例えば、特開昭48−98989号公報,特開昭49−73285号公報,特開昭49−118589号公報,特開平2−180148号公報等参照、後者については、特開2002−145263号公報参照)となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、例えば、果実片入りジュースの缶詰のような、大部分は液体であるが小さな固形分(ゲル状のものを含む)が少し混入された食品を内容物とする缶詰が何種類か販売されており、そのような缶詰の場合には、缶蓋がフルオープンタイプの開口容易缶蓋であると開口操作時に内容物の液体がこぼれ易いことから、従来は、通常の飲料缶詰(内容物が液体のみ)の場合と同様に、パネル部の一部分を開口するパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋が採用されているが、そのような従来のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋では、開口部の面積が小さいために内容物の固形分を取り出し難く、特に、ステイオンタブ方式の場合には、開口片が缶内の開口部付近に留まっていることから、この開口片が障害物となって固形分の取り出しが一層難しくなっている。
【0007】
そのような問題に対して、例えば、実開平6−47128号公報に示されているようなフルオープンタイプの開口容易缶蓋において、そのパネル部の中央付近に、特開平9−193931号公報に示されているような折曲誘導部を形成した場合には、タブの引き上げ操作によりスコア部を破断してパネル部を引き上げながら、折曲誘導部が折り曲げられた時にタブの引き上げを中止することで、パネル部の半分側(折曲誘導部を境としてタブが設けられた一方の側)を開口片として開口させることができるように思われる。そして、そのように缶蓋のパネル部の半分の領域を開口させるようにした場合には、フルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、開口時に内容物の液体がこぼれ難くなり、しかも、従来のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、開口後に内容物の固形分を取り出し易くなる。
【0008】
なお、上記の点に関して、特開平9−193931号公報中に記載されている折曲誘導部は、缶(缶蓋)から完全に切り離した後の蓋(パネル部)を簡単に折り曲げて(二つ折りに折り畳んで)安全に処理するためのものであって、そのような折曲誘導部を、実開平6−47128号公報に記載されているような缶蓋からパネル部を切り離さない開口容易缶蓋に対して形成するということ自体が、必ずしも容易に想到し得るものとは言えず、更には、そのような折曲誘導部を折り曲げることでパネル部を半分側だけ開口片として開口させるということについても、必ずしも容易に想到し得るものとは言えないが、仮にそのようにした場合にはということである。
【0009】
しかしながら、仮にそのように缶蓋のパネル部の半分の領域だけを開口片として開口した場合には、缶外の開口部近傍に開口片が缶蓋と繋がったまま残っているために、缶から直接に内容物を飲む時や、飲んだ後の空缶を処理する時に、スコア部の破断により開口片の縁部に形成される鋭い破断端に触れることで、消費者が口や手を負傷するような虞がある。また、従来のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、開口部が大きくなる分だけ内容物の固形分が取り出し易くなるものの、その反面、内容物を一度で飲み切ることなく残して冷蔵庫等で冷やすような際に、開口部からゴミ等が入り易くなる。
【0010】
そこで、パネル部の半分まで開いた開口部を簡易的に仮蓋するために、折曲誘導部での折り曲げを元に戻して、開口片により開口部を覆うようにした場合に、上記の各公報に記載されている構成を組み合わせたようなものでは、折曲誘導部の位置でスコア部の破断を中止して、パネル部の略半分の領域だけを開口片として開口するようにしたとしても、図6(A)に示すように、開口片2aの部分が上側に反り返り癖がついたようなものになってしまい、そのように変形した開口片では、図6(B)に示すように、開口片2aの部分によって開口部を好適に蓋することが難しいものとなる。
【0011】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、開口片を切り離さない開口容易缶蓋について、ハーフオープンタイプにすることで、固形分が入った液体を内容物とする缶詰への使用に適したものにすると共に、開口後には、開口片の破断端により消費者が口や手を負傷することなく、また、開口片によって開口部を好適に蓋することができるようにすることを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、パネル部の外縁に沿ったスコア部を、パネル部外縁に非スコア部を残すように環状のパネル部外縁の略半周に形成し、パネル部の略中央を横切って両端がスコア部の端部付近に至るように折曲誘導部を形成し、スコア部と折曲誘導部とで囲まれた開口片の領域で、折曲誘導部から離れてスコア部に近接した位置に開蓋操作用のタブを固着すると共に、少なくとも開口片のスコア部に沿った部分を、パネル部の金属板を多重に折り畳んだ重層部として形成したことを特徴とするものである。
【0013】
上記のような構成によれば、タブの引き上げ操作によりパネル部の略半分の領域だけを容易に開口させることができて、その結果、フルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、開口時に内容物の液体がこぼれ難くなり、また、従来のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、開口後に内容物の固形分が取り出し易くなる。また、開口片の縁部(スコア部に沿った部分)に重層部が形成されていることで、スコア部の破断により開口片の縁部に形成される鋭い破断端に消費者の口や手が触れるのを防ぐことができると共に、重層部が剛性の高い補強部分となることで、開口時に開口片が上側に反り返ることがなく、その結果、開口後に折曲誘導部での折り曲げを元に戻した時に、開口片によって開口部を好適に蓋することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の開口容易缶蓋の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の開口容易缶蓋の一実施形態について、図1は、缶蓋(缶胴に巻締め固着される前)の全体を上方から見た状態で示し、図2は、缶蓋の全体の断面形状(タブの先端部から缶蓋の中心を通る断面)を示し、図3は、図2に示した断面形状の一部分を拡大して示し、図4は、缶蓋を開口する時の状態を示し、図5は、開口された缶蓋の開口部を開口片によって仮蓋する時の状態を示すものである。また、本発明に対する比較例について、図6は、開口された缶蓋の開口部を開口片によって仮蓋する時の状態を示すものである。
【0015】
本実施形態の缶蓋1は、アルミニウム合金の薄板からプレス成形されるものであって、図1および図2に示すように、パネル部2と環状縁部3とカウンターシンク部4とフランジ部5とが一体的に形成された本体部分に対して、それとは別体に形成された開口操作用のタブ6が、略円板状のパネル部2の周辺付近に形成されたリベット部7によって固着されている。また、缶胴との巻締固着部分となるフランジ部5の裏面側には、図示していないが、有機高分子製のシール剤が塗布されて付着される。
【0016】
そのような缶蓋1の中央部分である略円板状のパネル部2には、パネル部2に剛性を付与すると共にタブ6を摘み易くするように、広い面積の凹部8が形成され、パネル部2に剛性を付与するためのリブ状の凹部9,10が形成され、タブ6の下面に当接する一対の半球状の凸部11が形成されていると共に、タブ6を起こすときにパネル部2のタブ先端部6aに近接した部分を下方に折り曲げ易くするために、破断可能な主スコア線12aと破断しない副スコア線12bとからなるベントスコア部12が、リベット部7を挟んでタブ先端部6aとは反対側でリベット部7の近傍に形成されている。
【0017】
また、略円板状のパネル部2の外縁と、その外側を囲む環状縁部3の内縁とにわたって、金属板を多重に折り畳んだ重層部13が形成されている。すなわち、パネル部2と環状縁部3との間では、その円周方向の全周にわたって環状に、図3に示すように、パネル部2の外端で金属板が上面側に断面S字状に折り畳まれた重層部13aに形成され、また、環状縁部3の内端で金属板が下面側に断面S字状に折り畳まれた重層部13bに形成され、両方の重層部13a,13bの折り畳み部分の端部同士が連続した状態となっていて、パネル部2の外縁と環状縁部3の内縁とは、それぞれ金属板が断面S字状に三重に重なった環状の重層部13a,13bとなっている。
【0018】
また、パネル部2の外縁と環状縁部3の内縁との境界部分(即ち、両方の重層部13a,13bの連続部分)には、図1に示すように、破断可能なスコア線によるスコア部14(図面では見分け易いように破線で示しているが、実際には連続した刻線である)が、パネル部3の外縁に沿って、その円周方向の略半周で非スコア部を残すように、円周方向の略半周にわたって円弧状に形成されており、さらに、そのようなスコア部14に対して、パネル部2の略中央を横切って両端がスコア部14の端部に至るように、破断されない折曲誘導部15が直線状に形成されている。
【0019】
そして、そのようなスコア部14と折曲誘導部15とで囲まれた半円形の領域(開口片2aとなる部分)において、折曲誘導部15から離れてスコア部14に近い位置で、リベット部7によりタブ6がパネル部2に固着されていて、タブ6の先端部6aがスコア部14の一部分に近接した状態となっており、また、リベット部7を挟んでタブ先端部6aの側とは反対側で、リベット部7に沿った状態から両側に延びるように、主スコア線12aと副スコア線12bとからなるベントスコア部12が形成されている。
【0020】
上記のような構造を備えた本実施形態の缶蓋1は、内容物が充填された後の上端が開口された缶体(缶本体)に対して、フランジ部5を缶体の上端開口縁に巻締め固着することで、缶容器の上端壁となるものであって、缶容器の上端壁となった缶蓋1の使用状態については、以下に説明する通りである。
【0021】
未開口の缶蓋1を開口する場合には、先ず、タブ6の把持部(後端部)6bに指を掛けた状態で、タブ6を持ち上げることにより、ベントスコア部12の主スコア線12aが破断されて、ベントスコア部12の両端付近でパネル部2が容易に折れ曲がることから、図4(A)に示すように、リベット部7の近傍(ベントスコア部12の両側方)を支点として、リベット部7が立つように略90°回動し、リベット部7で固着されたタブ6の先端部6aが下方に押し下げられて、その結果、タブ6の先端部6aでスコア部14を初期破断しながら、タブ6が起こされる。そのようにタブ6が起こされることによって、タブ6の把持部6bを力点とし、タブ6の先端部6aを作用点として、パネル部2の外縁に沿って形成されたスコア部14の折曲誘導部15から最も離れた部分が、タブ6の先端部6aによって初期破断される。
【0022】
次いで、そのような状態から、タブ6を引き上げることで、パネル部2の外縁に沿って形成されたスコア部14が、その両端の折曲誘導部15と繋がる位置まで破断されてから、折曲誘導部15の部分でパネル部2が折り曲げられて、スコア部14と折曲誘導部15とで囲まれた部分を開口片2aとして、図4(B)に示すように、パネル部2の略半分の領域が半円形に開口される。そのような状態から、更に、タブ6を指で押し付けることにより、残りのパネル部2の上方で折り曲げられた状態(残りのパネル部2の部分も含めた全体として断面Z字状に折り曲げられた状態)となっている開口片2aは、図4(C)に示すように、開口部の側方でパネル部2の上方に低く折り畳まれて、缶蓋1の開口が完了された状態となる。
【0023】
上記のように開口された缶蓋1では、開口片2aの部分が開口部の側方に低く折り畳まれた状態となっていることから、消費者が缶内の内容物を開口部から直接に飲むときに、開口片2aが邪魔になることはなく、消費者の口や手が開口片2aに触れるようなことは殆どないし、また、仮に、消費者の口や手が開口片2aに触れたとしても、開口片2aの縁部(スコア部14が破断されたパネル部2の縁部)に断面S字状の重層部13aが形成されていることから、この断面S字状の重層部13aの外側の屈曲部分に邪魔されることで、スコア部14の破断による鋭い破断端によって消費者の口や手を損傷するのが防止される。
【0024】
一方、上記のように開口された缶蓋1の開口部を開口片の部分によって簡易的に仮蓋する場合には、図4(C)に示すような開口が完了された状態から、タブ6を指で摘んで略平行に持ち上げることにより、先ず、図4(B)に示すような状態に戻してから、更に、図5(A),(B)に示すように、タブ6の姿勢を略そのまま保った状態で、タブ6を指で前方に押して、タブ6を斜め前方下方に略平行移動させることにより、パネル部2の上方に折り曲げられていた開口片2aの部分は、開口部を上方から覆うように、パネル部2の残りの部分と略同じ平面となるように前方に引き伸ばされて、開口部は開口片2aの部分によって略完全に覆われることとなる。
【0025】
上記のような本実施形態の開口容易缶蓋によれば、タブ6の引き上げ操作により、スコア部14を破断して折曲誘導部15の部分でパネル部2を折り曲げることで、スコア部14と折曲誘導部15とで囲まれた部分を開口片2aとして、パネル部2の半分の領域だけを容易に開口させることができることから、小さな固形分が混入された内容物による缶詰に使用した場合に、開口時には、フルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、内容物の液体がこぼれるのを防止することができ、また、開口後には、従来のパーシャルオープンタイプの開口容易缶蓋と比べて、内容物の固形分を缶内に残すことなく容易に取り出すことができる。
【0026】
また、スコア部14と折曲誘導部15とで囲まれた部分を開口片2aの部分を、開口部の側方に低く折り畳むことができて、缶内の内容物を開口部から直接に飲むようなときに、開口片2aの部分に口を触れることなく容易に飲むことができると共に、仮に、消費者の口や手が開口片2aや開口部の縁部に触れたとしても、開口片2aの縁部(スコア部14が破断されたパネル部2の外縁部)に重層部13aが形成され、また、開口部の縁部(スコア部14が破断された環状縁部3の内縁部)に重層部13bが形成されていることから、それらの部分でスコア部14の破断による鋭い破断端によって口や手などを損傷するのを防止することができる。
【0027】
さらに、パネル部2の開口片2aとなる部分の縁部(スコア部14が破断されたパネル部2の縁部)に重層部13aが形成されていることで,当該部分が重層部13aにより補強されて剛性の高いものとなり、その結果、開口時に開口片2aの部分が上側に反り返らないことから、開口後に開口片2aによって開口部を覆うように仮蓋する際に、折曲誘導部15での折り曲げを元に戻すことで、開口片2aによって開口部を良好に蓋することができる。
【0028】
以上、本発明の開口容易缶蓋の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に示したような具体的な構造にのみ限定されるものではなく、例えば、スコア部14と折曲誘導部15とで囲まれる開口片2aの部分の大きさについては、ハーフオープンタイプであるとは言っても、厳密にパネル部2の半分の領域だけというのではなく、それよりも多少は大きくても小さくても良いものであり、従って、スコア部14については、環状の略半周であれば、半周よりも多少は長くても短くても良く、また、折曲誘導部15についても、必ずしもパネル部2の中心を通らなくても良いものであり、さらに、スコア部14の端部と折曲誘導部15の端部との位置関係については、必ずしも端部同士を合わせる必要はなく、折曲誘導部15の端部がスコア部14にまで到達していなくても良く、折曲誘導部15の端部を越える位置までスコア部14が延ばされていても良い等、適宜に設計変更可能なものであることは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の開口容易缶蓋によれば、ハーフオープンタイプとすることにより、固形分が入った液体を内容物とする缶詰に使用した際に、開口時には液体をこぼすことなく、しかも、開口後には固形分を残さず取り出すことができる。また、開口片の部分に邪魔されることなく、缶から直接的に内容物を容易に飲むことができ、開口片の破断端により口や手を負傷するのを防止することができて、さらには、開口片の部分によって開口部を好適に仮蓋することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の開口容易缶蓋の一実施形態について、缶胴に巻締め固着される前の缶蓋を示す上面図。
【図2】図1に示した缶蓋について、タブの先端部から缶蓋の中央を通る缶蓋全体の断面形状を示す断面図。
【図3】図2に示した缶蓋の一部分を拡大して示す部分拡大断面図。
【図4】図1に示した缶蓋について、缶蓋を開口する時の各段階での状態(A),(B),(C)をそれぞれ示す断面説明図。
【図5】図1に示した缶蓋について、開口された缶蓋の開口部を開口片によって仮蓋する時の各段階での状態(A),(B)をそれぞれ示す断面説明図。
【図6】比較例の缶蓋について、開口された缶蓋の開口部を開口片によって仮蓋する時の各段階での状態(A),(B)をそれぞれ示す断面説明図。
【符号の説明】
1 缶蓋
2 パネル部
2a 開口片
3 環状縁部
6 タブ
6a (タブの)先端部
6b (タブの)把持部
13 重層部
13a (パネル部の外縁側の)重層部
13b (環状縁部の内縁側の)重層部
14 スコア部
15 折曲誘導部
Claims (2)
- パネル部の外縁に沿ったスコア部が、パネル部外縁に非スコア部を残すように環状のパネル部外縁の略半周に形成され、パネル部の略中央を横切って両端がスコア部の端部付近に至るように折曲誘導部が形成され、スコア部と折曲誘導部とで囲まれた開口片の領域で、折曲誘導部から離れてスコア部に近い位置に開蓋操作用のタブが固着されていると共に、少なくとも開口片のスコア部に沿った部分が、パネル部の金属板を多重に折り畳んだ重層部として形成されていることを特徴とする開口容易缶蓋。
- 環状縁部によって囲まれたパネル部の全周で、環状縁部の内縁側とパネル部の外縁側とのそれぞれに、金属板を多重に折り畳んだ重層部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の開口容易缶蓋。
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