JP2004154628A - 排ガス処理用の吸着材および吸着材の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイオキシン類の吸着力を減少させず、酸性ガスによる耐久性に優れた吸着材にする。
【解決手段】人工ゼオライトをアルミナセメントで粒状に形成してなることを特徴としている。
【選択図】 なし
【解決手段】人工ゼオライトをアルミナセメントで粒状に形成してなることを特徴としている。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、排ガス処理用の吸着材および吸着材の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の排ガス処理用吸着材は、ゼオライトをセメントで造粒した吸着材である(例えば、特許文献1参照。)。セメントとは、通常、ポルトランドセメントを示し、この場合ゼオライトを結合させるものである。しかし、このポルトランドセメントは、排ガス中の酸性ガスにより侵食を受ける可能性を有している。酸性ガスによる影響に対応するために、吸着材中のポルトランドセメントの量を増加させると、ダイオキシン類の吸着力が低下する。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−75667号公報(第2頁〜第6頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、ダイオキシン類の吸着力を減少させず、酸性ガスによる耐久性に優れた吸着材にするとともに、吸着材の主成分の再利用を図ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、請求項1に記載の発明は、人工ゼオライトをアルミナセメントで形成してなることを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、さらにカルシウム化合物を混和させることを特徴としている。
【0007】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の吸着材の処理方法であって、排ガス中に含まれていたダイオキシン類を吸着した吸着材を回収し、この吸着材を加熱したアルカリ水溶液にアルコールを加えダイオキシン類を処理し、この処理により再合成された人工ゼオライトを前記吸着材の材料として再利用することを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明に係る吸着材は、人工ゼオライトをアルミナセメントで形成したものである。
【0009】
人工ゼオライトは、含水アルミのケイ酸塩であり、石炭灰などを原料として合成されるゼオライトをいい、ある程度純粋な原料(ケイ酸や水酸化アルミニウムなど)を必要とする合成ゼオライトとは区別されるものである。この人工ゼオライトは、ゼオライトになりきっていない中間生成物や活性炭のような有機物が含まれており、ゼオライト純正品の含有率と結晶度は、合成ゼオライトと天然ゼオライトの中間に位置している。しかしながら、人工ゼオライトは、合成ゼオライトより廉価である(天然ゼオライトと同等またはそれ以下)という利点だけでなく、含有する不純物(中間生成物や未燃焼炭素分)に起因して、吸着性能や表面酸性などの有用な特性を有している。また、陽イオン交換容量は、天然ゼオライトと同等ないし3倍程度である。
【0010】
人工ゼオライトは、市販のものを用いてもよいが、飛灰から製造したものを用いるのがコスト的に有利である。飛灰として、石炭やパルプなどの焼却灰は、雑多なものを含まない点で好ましいが、その他一般廃棄物や産業廃棄物の焼却灰などを用いることもできる。
【0011】
人工ゼオライトを製造する場合、まず粒径の細かいものを選んだ飛灰と水酸化ナトリウム水溶液(規定度2.5N〜3.5N)とを、85℃〜95℃程度で12時間〜28時間反応させる。その後、塩化カルシウムを2時間程度反応させて、ナトリウムをカルシウムと置換する。そして、水洗した後に粉末を乾燥させると、カルシウム型人工ゼオライトが生成される。ここにおいて、この処理により生じた生成物は、正しくはゼオライトを含んだ石炭灰のアルカリ処理産物というべきものである。
【0012】
アルミナセメントは、ボーキサイトと石灰石を電気炉で溶融し、冷却後粉砕してできたセメントのことであり、主成分はCaO・Al2O3である。このアルミナセメントは、通常セメントと呼ばれるポルトランドセメントと比べると、水和反応が早く、化学的耐久性が大で、とくに硫酸等の酸に侵食をされない特性を有している。
【0013】
カルシウム化合物は、排ガス中の酸性ガスを中和して、人工ゼオライトの破壊を抑制するために用いるものであって、たとえば水酸化カルシウム,酸化カルシウム等が挙げられる。
【0014】
この発明の吸着材は、人工ゼオライトをアルミナセメントで粒状もしくは柱状に形成したものである。このアルミナセメントは、人工ゼオライト同士を結合するバインダーの役目を果たしている。そして、このバインダーにより人工ゼオライトは、粒状もしくは柱状に形成した吸着材となる。
【0015】
この発明の吸着材において、人工ゼオライトの割合は、通常全重量の50重量%〜90重量%に設定されているのが好ましく、60重量%〜80重量%に設定されているのがより好ましい。人工ゼオライトの割合が90重量%を超える場合は、吸着材として形成しにくくなる可能性があり、逆に50重量%未満の場合は、ダイオキシン類の吸着力が低下する可能性がある。
【0016】
また、この発明の吸着材は、カルシウム化合物を適宜含んでいてもよく、吸着材中のカルシウム化合物の含有量は、排ガス中の酸性ガス量に応じて調整することが好ましく、吸着材の全重量の5重量%〜20重量%に設定されているのが好ましい。カルシウム化合物の割合が、20重量%を超える場合には、ダイオキシン類の吸着力が低下する可能性があり、逆に5重量%未満の場合は、酸性ガスを中和しきれない可能性がある。
【0017】
この発明の吸着材の粒径は、とくに限定はないが、通常2mmφ〜20mmφ程度に設定されているのが好ましい。また、圧損等で問題が生じる場合には、5mmφ〜20mmφに設定されていることがより好ましい。
【0018】
また、この吸着材は、アルミナセメントをバインダーとして形成しているため、耐熱温度が高く、通常400℃〜500℃という高温でもこの吸着材は浸食する可能性は低い。
【0019】
そして、アルミナセメントは、ダイオキシン類の吸着性能を有しているため、人工ゼオライトをアルミナセメントで形成することにより、人工ゼオライトの存在割合の低下により生じるダイオキシン吸着力の低下を防止することができる。さらに、アルミナセメントは、酸に対しても耐久性が強く、吸着材の酸による破壊を抑制することができる。
【0020】
この発明の吸着材を用いて焼却炉の排ガス中に含まれるダイオキシン類を吸着する場合は、排ガス流路内に、この発明の吸着材を配置させる。排ガス流路内に配置された吸着材は、排ガス中のダイオキシン類を吸着材中の人工ゼオライトおよびアルミナセメントで吸着する。この結果、焼却炉から排出される排ガスは、ダイオキシン類をほとんど含まないものとなる。
【0021】
また、使用により吸着材の吸着性能が低下すると、吸着材を交換する必要がある。通常、小型の焼却炉は、バッチ処理的に運転してゴミを焼却しているので、非運転時に吸着材を交換する。この際の作業性を考慮すると吸着材は、適宜なカートリッジ内へ収納した状態にしておくことが好ましい。
【0022】
そして、回収した吸着材は、ダイオキシン類等が吸着しており、そのまま廃棄すると、環境汚染の問題が生じてくる。そのため、回収した吸着材へ、85℃〜95℃程度に加熱した水酸化ナトリウム水溶液(2.5N〜3.5N)に10〜20重量%のアルコールを加えたものを添加し、3時間程度反応させて吸着材へ吸着しているダイオキシン類を分解する。この処理により吸着材は、ダイオキシン類が分解した人工ゼオライトとなり、再びダイオキシン類の吸着材の材料として再利用することができる。ここにおいて用いた水酸化ナトリウムは、水酸化カリウム,NH4OHおよびこれらの組み合わせの混合液を用いてもよい。また、アルコールとしては、メタノールまたはエタノールが好適である。
【0023】
【実施例】
実施例1
人工ゼオライトとしてのカルシウム型人工ゼオライトをアルミナセメントで形成し吸着材を得た。この吸着材中に含まれるカルシウム型人工ゼオライトの割合は90重量%であり、アルミナセメントの割合は10重量%である。
【0024】
実施例2
人工ゼオライトとしてのカルシウム型人工ゼオライトをアルミナセメントで形成し吸着材を得た。この吸着材中に含まれるカルシウム型人工ゼオライトの割合は50重量%であり、アルミナセメントの割合は50重量%である。
【0025】
実施例3
人工ゼオライトとしてのカルシウム型人工ゼオライトをアルミナセメントで形成し吸着材を得た。この吸着材中に含まれるカルシウム型人工ゼオライトの割合は70重量%であり、アルミナセメントの割合は30重量%である。
【0026】
実施例4
人工ゼオライトとしてのカルシウム型人工ゼオライトとカルシウム化合物として水酸化カルシウムとをアルミナセメントで形成し吸着材を得た。この吸着材中に含まれるカルシウム型人工ゼオライトの割合は70重量%であり、水酸化カルシウムの割合は10重量%であり、アルミナセメントの割合は20重量%である。
【0027】
比較例
人工ゼオライトとしてのカルシウム型人工ゼオライトをポルトランドセメントで形成し吸着材を得た。この吸着材中に含まれるカルシウム型人工ゼオライトの割合は70重量%であり、ポルトランドセメントの割合は30重量%である。
【0028】
評価1
実施例1〜4および比較例において、それぞれ得られた吸着材について、ダイオキシン類の吸着性を評価した。評価方法はつぎの通りである。
【0029】
SV(space velocity)=10000/hの状態において、吸着材の内部温度を180℃程度で管理した場合のダイオキシン類の除去率を計測した。その結果を表1に示す。ここにおいて、SV=10000/hとは、1時間当り吸着材容積の10000倍の排ガスを流通させることである。
【0030】
【表1】
【0031】
評価2
実施例1〜4および比較例において、それぞれ得られた吸着材について、吸着材の性能耐久性を測定した。測定方法はつぎの通りである。
【0032】
HClガスおよびダイオキシ類を含む排ガスをSV=10000/hの状態において、吸着材の内部温度が180℃程度で管理した場合の使用当初のダイオキシン類の除去率と、500時間使用した場合のダイオキシン類除去率を計測した。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2から、実施例の吸着材は、ゼオライトのみの比較例と比べて、酸性ガスが存在する排ガス中においても、ダイオキシン類の吸着力が維持される吸着性能の耐久性が優れていることがわかる。とくに、実施例4の吸着材は、水酸化カルシウムを含んでいるため、耐久性が優れている。また、実施例の吸着材は、表1に示すように、比較例の吸着材と同等のダイオキシン類の吸着性を発揮することがわかる。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ダイオキシン類の吸着力を減少させず、酸性ガスによる耐久性に優れた吸着材にすることができるとともに、吸着材の主成分の再利用を図ることができる。
【発明の属する技術分野】
この発明は、排ガス処理用の吸着材および吸着材の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の排ガス処理用吸着材は、ゼオライトをセメントで造粒した吸着材である(例えば、特許文献1参照。)。セメントとは、通常、ポルトランドセメントを示し、この場合ゼオライトを結合させるものである。しかし、このポルトランドセメントは、排ガス中の酸性ガスにより侵食を受ける可能性を有している。酸性ガスによる影響に対応するために、吸着材中のポルトランドセメントの量を増加させると、ダイオキシン類の吸着力が低下する。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−75667号公報(第2頁〜第6頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、ダイオキシン類の吸着力を減少させず、酸性ガスによる耐久性に優れた吸着材にするとともに、吸着材の主成分の再利用を図ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、請求項1に記載の発明は、人工ゼオライトをアルミナセメントで形成してなることを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、さらにカルシウム化合物を混和させることを特徴としている。
【0007】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の吸着材の処理方法であって、排ガス中に含まれていたダイオキシン類を吸着した吸着材を回収し、この吸着材を加熱したアルカリ水溶液にアルコールを加えダイオキシン類を処理し、この処理により再合成された人工ゼオライトを前記吸着材の材料として再利用することを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明に係る吸着材は、人工ゼオライトをアルミナセメントで形成したものである。
【0009】
人工ゼオライトは、含水アルミのケイ酸塩であり、石炭灰などを原料として合成されるゼオライトをいい、ある程度純粋な原料(ケイ酸や水酸化アルミニウムなど)を必要とする合成ゼオライトとは区別されるものである。この人工ゼオライトは、ゼオライトになりきっていない中間生成物や活性炭のような有機物が含まれており、ゼオライト純正品の含有率と結晶度は、合成ゼオライトと天然ゼオライトの中間に位置している。しかしながら、人工ゼオライトは、合成ゼオライトより廉価である(天然ゼオライトと同等またはそれ以下)という利点だけでなく、含有する不純物(中間生成物や未燃焼炭素分)に起因して、吸着性能や表面酸性などの有用な特性を有している。また、陽イオン交換容量は、天然ゼオライトと同等ないし3倍程度である。
【0010】
人工ゼオライトは、市販のものを用いてもよいが、飛灰から製造したものを用いるのがコスト的に有利である。飛灰として、石炭やパルプなどの焼却灰は、雑多なものを含まない点で好ましいが、その他一般廃棄物や産業廃棄物の焼却灰などを用いることもできる。
【0011】
人工ゼオライトを製造する場合、まず粒径の細かいものを選んだ飛灰と水酸化ナトリウム水溶液(規定度2.5N〜3.5N)とを、85℃〜95℃程度で12時間〜28時間反応させる。その後、塩化カルシウムを2時間程度反応させて、ナトリウムをカルシウムと置換する。そして、水洗した後に粉末を乾燥させると、カルシウム型人工ゼオライトが生成される。ここにおいて、この処理により生じた生成物は、正しくはゼオライトを含んだ石炭灰のアルカリ処理産物というべきものである。
【0012】
アルミナセメントは、ボーキサイトと石灰石を電気炉で溶融し、冷却後粉砕してできたセメントのことであり、主成分はCaO・Al2O3である。このアルミナセメントは、通常セメントと呼ばれるポルトランドセメントと比べると、水和反応が早く、化学的耐久性が大で、とくに硫酸等の酸に侵食をされない特性を有している。
【0013】
カルシウム化合物は、排ガス中の酸性ガスを中和して、人工ゼオライトの破壊を抑制するために用いるものであって、たとえば水酸化カルシウム,酸化カルシウム等が挙げられる。
【0014】
この発明の吸着材は、人工ゼオライトをアルミナセメントで粒状もしくは柱状に形成したものである。このアルミナセメントは、人工ゼオライト同士を結合するバインダーの役目を果たしている。そして、このバインダーにより人工ゼオライトは、粒状もしくは柱状に形成した吸着材となる。
【0015】
この発明の吸着材において、人工ゼオライトの割合は、通常全重量の50重量%〜90重量%に設定されているのが好ましく、60重量%〜80重量%に設定されているのがより好ましい。人工ゼオライトの割合が90重量%を超える場合は、吸着材として形成しにくくなる可能性があり、逆に50重量%未満の場合は、ダイオキシン類の吸着力が低下する可能性がある。
【0016】
また、この発明の吸着材は、カルシウム化合物を適宜含んでいてもよく、吸着材中のカルシウム化合物の含有量は、排ガス中の酸性ガス量に応じて調整することが好ましく、吸着材の全重量の5重量%〜20重量%に設定されているのが好ましい。カルシウム化合物の割合が、20重量%を超える場合には、ダイオキシン類の吸着力が低下する可能性があり、逆に5重量%未満の場合は、酸性ガスを中和しきれない可能性がある。
【0017】
この発明の吸着材の粒径は、とくに限定はないが、通常2mmφ〜20mmφ程度に設定されているのが好ましい。また、圧損等で問題が生じる場合には、5mmφ〜20mmφに設定されていることがより好ましい。
【0018】
また、この吸着材は、アルミナセメントをバインダーとして形成しているため、耐熱温度が高く、通常400℃〜500℃という高温でもこの吸着材は浸食する可能性は低い。
【0019】
そして、アルミナセメントは、ダイオキシン類の吸着性能を有しているため、人工ゼオライトをアルミナセメントで形成することにより、人工ゼオライトの存在割合の低下により生じるダイオキシン吸着力の低下を防止することができる。さらに、アルミナセメントは、酸に対しても耐久性が強く、吸着材の酸による破壊を抑制することができる。
【0020】
この発明の吸着材を用いて焼却炉の排ガス中に含まれるダイオキシン類を吸着する場合は、排ガス流路内に、この発明の吸着材を配置させる。排ガス流路内に配置された吸着材は、排ガス中のダイオキシン類を吸着材中の人工ゼオライトおよびアルミナセメントで吸着する。この結果、焼却炉から排出される排ガスは、ダイオキシン類をほとんど含まないものとなる。
【0021】
また、使用により吸着材の吸着性能が低下すると、吸着材を交換する必要がある。通常、小型の焼却炉は、バッチ処理的に運転してゴミを焼却しているので、非運転時に吸着材を交換する。この際の作業性を考慮すると吸着材は、適宜なカートリッジ内へ収納した状態にしておくことが好ましい。
【0022】
そして、回収した吸着材は、ダイオキシン類等が吸着しており、そのまま廃棄すると、環境汚染の問題が生じてくる。そのため、回収した吸着材へ、85℃〜95℃程度に加熱した水酸化ナトリウム水溶液(2.5N〜3.5N)に10〜20重量%のアルコールを加えたものを添加し、3時間程度反応させて吸着材へ吸着しているダイオキシン類を分解する。この処理により吸着材は、ダイオキシン類が分解した人工ゼオライトとなり、再びダイオキシン類の吸着材の材料として再利用することができる。ここにおいて用いた水酸化ナトリウムは、水酸化カリウム,NH4OHおよびこれらの組み合わせの混合液を用いてもよい。また、アルコールとしては、メタノールまたはエタノールが好適である。
【0023】
【実施例】
実施例1
人工ゼオライトとしてのカルシウム型人工ゼオライトをアルミナセメントで形成し吸着材を得た。この吸着材中に含まれるカルシウム型人工ゼオライトの割合は90重量%であり、アルミナセメントの割合は10重量%である。
【0024】
実施例2
人工ゼオライトとしてのカルシウム型人工ゼオライトをアルミナセメントで形成し吸着材を得た。この吸着材中に含まれるカルシウム型人工ゼオライトの割合は50重量%であり、アルミナセメントの割合は50重量%である。
【0025】
実施例3
人工ゼオライトとしてのカルシウム型人工ゼオライトをアルミナセメントで形成し吸着材を得た。この吸着材中に含まれるカルシウム型人工ゼオライトの割合は70重量%であり、アルミナセメントの割合は30重量%である。
【0026】
実施例4
人工ゼオライトとしてのカルシウム型人工ゼオライトとカルシウム化合物として水酸化カルシウムとをアルミナセメントで形成し吸着材を得た。この吸着材中に含まれるカルシウム型人工ゼオライトの割合は70重量%であり、水酸化カルシウムの割合は10重量%であり、アルミナセメントの割合は20重量%である。
【0027】
比較例
人工ゼオライトとしてのカルシウム型人工ゼオライトをポルトランドセメントで形成し吸着材を得た。この吸着材中に含まれるカルシウム型人工ゼオライトの割合は70重量%であり、ポルトランドセメントの割合は30重量%である。
【0028】
評価1
実施例1〜4および比較例において、それぞれ得られた吸着材について、ダイオキシン類の吸着性を評価した。評価方法はつぎの通りである。
【0029】
SV(space velocity)=10000/hの状態において、吸着材の内部温度を180℃程度で管理した場合のダイオキシン類の除去率を計測した。その結果を表1に示す。ここにおいて、SV=10000/hとは、1時間当り吸着材容積の10000倍の排ガスを流通させることである。
【0030】
【表1】
【0031】
評価2
実施例1〜4および比較例において、それぞれ得られた吸着材について、吸着材の性能耐久性を測定した。測定方法はつぎの通りである。
【0032】
HClガスおよびダイオキシ類を含む排ガスをSV=10000/hの状態において、吸着材の内部温度が180℃程度で管理した場合の使用当初のダイオキシン類の除去率と、500時間使用した場合のダイオキシン類除去率を計測した。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2から、実施例の吸着材は、ゼオライトのみの比較例と比べて、酸性ガスが存在する排ガス中においても、ダイオキシン類の吸着力が維持される吸着性能の耐久性が優れていることがわかる。とくに、実施例4の吸着材は、水酸化カルシウムを含んでいるため、耐久性が優れている。また、実施例の吸着材は、表1に示すように、比較例の吸着材と同等のダイオキシン類の吸着性を発揮することがわかる。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ダイオキシン類の吸着力を減少させず、酸性ガスによる耐久性に優れた吸着材にすることができるとともに、吸着材の主成分の再利用を図ることができる。
Claims (3)
- 人工ゼオライトをアルミナセメントで形成してなることを特徴とする排ガス処理用の吸着材。
- さらにカルシウム化合物を混和させることを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理用の吸着材。
- 請求項1または請求項2に記載の吸着材の処理方法であって、排ガス中に含まれていたダイオキシン類を吸着した吸着材を回収し、この吸着材を加熱したアルカリ水溶液にアルコールを加えダイオキシン類を処理し、この処理により再合成された人工ゼオライトを前記吸着材の材料として再利用することを特徴とする吸着材の処理方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002320670A JP2004154628A (ja) | 2002-11-05 | 2002-11-05 | 排ガス処理用の吸着材および吸着材の処理方法 |
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JP2002320670A JP2004154628A (ja) | 2002-11-05 | 2002-11-05 | 排ガス処理用の吸着材および吸着材の処理方法 |
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JP2004154628A true JP2004154628A (ja) | 2004-06-03 |
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JP (1) | JP2004154628A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011038459A1 (en) * | 2009-10-01 | 2011-04-07 | Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation | Remediation composition comprising alum sludge |
-
2002
- 2002-11-05 JP JP2002320670A patent/JP2004154628A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011038459A1 (en) * | 2009-10-01 | 2011-04-07 | Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation | Remediation composition comprising alum sludge |
US8940958B2 (en) | 2009-10-01 | 2015-01-27 | Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation | Remediation composition comprising alum sludge |
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