JP2004153960A - 電力変換装置 - Google Patents

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昌彦 塚越
Kentaro Suzuki
健太郎 鈴木
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Abstract

【課題】コンバータとインバータの有効電流または有効電力を比較し、当該装置の健全性確認や制御異常を検出できる電力変換装置を提供する。
【解決手段】交流電源に接続され,交流電力を直流電力に変換して直流回路に電力を供給する順変換器と、直流回路に接続され,直流電力を交流電力に変換して交流負荷に電力を供給する逆変換器を備えた電力変換装置において、順変換器の制御回路が出力する有効分電流推定値と、逆変換器の制御回路が出力する有効分電流推定値との偏差を求め、その偏差が判定値を超えたか否かを判定する判定回路を備え、コンバータとインバータとで個別に有効電流を推定し、これらを比較することで健全性確認や制御異常などを検出する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動機または他の負荷に必要な電力を供給する電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電動機などを負荷として駆動する半導体電力変換装置としてコンバータ/インバータ・システム構成の電力変換装置が採用されている。このような電力変換装置を図7を参照して説明する。
【0003】
図において、交流電圧源1からコンバータ3、インバータ4を介してインバータ負荷2に電力を供給している。コンバータ3の出力である直流電圧を一定に制御するためにコンバータ制御回路6が設けられている。コンバータ3の出力側にはコンデンサ8が設けられており、電圧検出器17によって測定された直流電圧はコンバータ制御回路6に入力され、基準値からの増減に応じて必要な有効電流を得るように制御される。コンバータ3の入力側に設けた電流検出器5からフィードバックされる三相電源電流21をコンバータ制御回路6に入力して前記有効電流と比較し、所要の電流となるようコンバータ電圧指令値22をコンバータ3に出力する。
【0004】
インバータ4は負荷であるインバータ負荷2の状態を制御する。負荷が仮にモータである場合は、速度検出器18から現在の速度をフィードバックし、インバータ制御回路7に入力し、基準値からの増減に応じて必要な有効電流を制御する。またインバータ4の出力側に設けた電流検出器5からフィードバックされる三相負荷電流31をインバータ制御回路7に入力し、前記有効電流と比較し、所要の電流となるようインバータ電圧指令値32をインバータ4に出力する。
これらのコンバータとインバータは上述したように個別に制御され、主回路直流母線を通じてリンクされている。
【0005】
また、特開平10−42590号公報には、一定周波数の交流電圧をコンバータにより直流電圧に変換した後、平滑コンデンサで平滑し、さらにインバータで所望の交流電圧に変換して交流電動機を駆動する電力変換装置において、電圧基準とコンデンサの電圧検出値とを比較してコンバータを制御する電圧制御手段と、周波数基準に基づいた位相基準を交流電動機の電圧位相に同期させる位相同期制御手段と、電圧基準を交流電動機の電圧に追従させる電圧基準制御手段と、再始動制御手段を備えることにより、運転中にコンデンサ電圧が過電圧状態となってコンバータとインバータが停止した場合には、インバータの出力電流を所定電流に制限する電流制限制御を一定時間行った後短時間だけコンバータとインバータを停止させて位相基準を交流電動機の電圧位相に同期させる制御を行う電力変換装置が開示されており、コンバータとインバータはいずれも個別に制御されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のコンバータ/インバータ・システムでは、個別に制御されるのが一般的である。しかし、交流電圧電源1から供給される有効電力は、損失以外は全てインバータ負荷2に出力される。つまり、コンバータ3の有効電力制御出力とインバータの有効電力制御出力は定常状態においては同一となるべきものである。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その課題は、同一となるべきコンバータとインバータの有効電力を比較し、変換装置の健全性確認や制御異常を検出できる確度の高い電力変換装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、交流電源に接続され,交流電力を直流電力に変換して直流回路に電力を供給する順変換器と、前記直流回路に接続され,直流電力を交流電力に変換して交流負荷に電力を供給する逆変換器を備えた電力変換装置において、前記順変換器の制御回路が出力する有効分電流推定値と前記逆変換器の制御回路が出力する有効分電流推定値との偏差を求め、その偏差が判定値を超えたか否かを判定する判定回路を備えたことを特徴とする。
請求項1によると、コンバータとインバータとで個別に有効電流値を推定し、これらを突合して制御異常などを検出するものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、交流電源に接続され,交流電力を直流電力に変換して直流回路に電力を供給する順変換器と、前記直流回路に接続され,直流電力を交流電力に変換して交流負荷に電力を供給する逆変換器を備えた電力変換装置において、前記順変換器の制御回路が出力する電圧指令値と電流指令値とから有効分電力推定値を求め、前記逆変換器の制御回路が出力する電圧指令値と電流指令値とから有効分電力推定値を求め、前記順変換器と逆変換器が出力する有効分電力推定値を比較して偏差を求め、その偏差が判定値を超えたか否かを判定する判定回路を備えたことを特徴とする。
請求項2によると、コンバータとインバータとで個別に有効電流と有効電圧から有効電力を推定し、これらを突合して制御異常などを検出するものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の電力変換装置において、逆変換器の交流負荷が交流電動機である場合に、逆変換器の制御回路が出力する有効分電流推定値を、トルク指令値と電動機回転速度とから演算する演算回路を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3によると、電動機回転速度とトルク指令値とからインバータ側の有効電力値を求め、コンバータ側の有効電力値と比較することで、制御異常などを検出するものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電力変換装置において、判定回路によって偏差が判定値を超えたと判定された場合に、逆変換器の負荷状態によって電力変換装置の運転を継続するか否かを判断する運転継続判断手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項4によると、コンバータとインバータとで個別に有効電力を推定し、これらを突合して保護動作として使用して電力変換装置の運転継続の可否を判定するものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電力変換装置において、判定回路による偏差の値によって逆変換器の負荷を制限する負荷制限手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項5によると、コンバータとインバータとで個別に有効電力を推定し、これらを突合して、運転継続が可能なレベルまで負荷制限を実施するなど運転継続を優先させる方式に適用するものである。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1、請求項4及び請求項5のいずれかに記載の電力変換装置において、複数台の順変換器と、複数台の逆変換器を接続する場合に、全順変換器の有効電流指令値を加算する電流加算手段と、全逆変換器の有効電流指令値を加算する電流加算手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項6によると、コンバータとインバータとで個別に有効電力を推定し、これらを突合して、制御異常などを検出する方式を複数のコンバータ/インバータシステムに適用するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態の回路図である。
図において、主回路は、交流電圧電源1と、交流電力を直流電力に順変換するコンバータ3と、直流電圧の脈流を抑制するために直流回路に並列に接続された平滑コンデンサ8と、直流電力を交流電力に逆変換するインバータ4と、インバータ4に接続されたインバータ負荷2とから構成されている。
【0019】
コンバータ制御回路6は、電流検出器5から検出された三相電源電流21からコンバータ3のPWM(パルス幅変調)制御の電圧指令値22を出力し、直流回路に出力する電圧を制御するとともに、コンバータ3の有効分電流推定値23(Ipc*)を有効電流比較回路9に出力する。インバータ制御回路7は、電流検出器5から検出された三相負荷電流31からインバータ4のPWM制御の電圧指令値32を出力するとともに、インバータにおける有効分電流推定値33(Ipi*)を有効電流比較回路9に出力する。有効電流比較回路9は、コンバータ側の有効分電流推定値23とインバータ側の有効分電流推定値33を比較し両者の差を出力する比較回路である。
【0020】
インバータの有効電流推定値33はインバータ負荷2に応じて変化するが、コンバータの有効電流推定値23も負荷2に応じて変化するため、電力系統が正常な状態であるときには両者の値は概ね一致している(Ipc*≒Ipi*)。しかしながら、例えば瞬停などで電力系統に異常が生じた場合には、インバータ負荷2に対して電源電圧が変動するため、コンバータ側の指令値電流とインバータ側の指令値電流は一致しなくなり、その結果、有効電流比較回路9から指令値電流偏差が出力される。つまり、両制御回路から出力される有効分電流指令値を監視することで、電力系統の異常を早期に察知することが可能となる。
【0021】
図2は本発明の第2の実施形態の回路図である。
図において、主回路は、交流電圧電源1と、交流電力を直流電力に順変換するコンバータ3と、直流電圧の脈流を抑制するために直流回路に並列に接続された平滑コンデンサ8と、直流電力を交流電力に逆変換するインバータ4と、それに接続されたインバータ負荷2から構成されている。
【0022】
コンバータ制御回路6は、電流検出器5から検出された三相電源電流21からコンバータ3のPWM(パルス幅変調)制御の有効分電圧指令値22を出力し、直流回路に出力する電圧を制御するとともに、コンバータの有効分電流指令値24を演算回路11に出力する。インバータ制御回路7は、電流検出器5から検出された三相負荷電流31からインバータ4の電圧指令値32を出力するとともに、インバータにおける有効分電流指令値34を演算回路12へ出力する。演算回路11は、コンバータの有効分電流指令値24(Ipc*)とコンバータの有効分電圧指令値22(Vdc)を掛算することで、コンバータ側の有効分電力推定値(Ppc*=Vdc*Ipc*)25を有効電力比較回路10に出力する。また演算回路12は、インバータ制御回路7からの電流指令値(Iui*、Ivi*、Iwi*)34と電圧指令値(Vui*、Vvi*、Vwi*)32を掛算することで、インバータ側の有効分電力推定値(Ppi*= Vui** Iui*+Vvi**Ivi*+Vwi**Iwi*)35を有効電力比較回路10に出力する。有効電力比較回路10は、コンバータ側の有効分電力推定値25とインバータ側の有効分電力推定値35を比較し、両者の差を出力する比較回路である。
【0023】
図3は本発明の第3の実施形態の回路図である。
図において、主回路は、交流電圧電源1と、交流電力を直流電力に順変換するコンバータ3と、直流電圧の脈流を抑制するために直流回路に並列に接続された平滑コンデンサ8と、直流電力を交流電力に逆変換するインバータ4と、それに接続されたインバータ負荷2から構成されている。
【0024】
コンバータ制御回路6は、電流検出器5から検出された三相電源電流21からコンバータ3のPWM(パルス幅変調)制御の電圧指令値22をコンバータ3に出力し、直流回路に出力する電圧を制御するとともに、コンバータの有効分電流推定値24を演算回路11に出力する。インバータ制御回路7は、電流検出器5から検出された三相負荷電流31からインバータ4の電圧指令値32をインバータ4に出力する。演算回路11は、コンバータの有効分電流推定値24(Ipc*)とコンバータの有効分電圧指令値22(Vdc)を掛算することで、コンバータ側の有効分電力推定値(Ppc*=Vdc*Ipc*)25を有効電力比較回路10に出力する。演算回路12は、負荷である電動機の速度指令値(SP*)36とトルク指令値(TR*)37からインバータ側の有効分電力推定値(Ppi*= SP**TR*)35を有効電力比較回路10に出力する。有効電力比較回路10は、コンバータ側の有効分電力推定値25とインバータ側の有効分電力推定値35を比較し、両者の差を出力する回路である。
【0025】
図4は本発明の第4の実施形態の回路図である。
図に示すように、本実施形態は上記第1実施形態に運転継続判断回路13をインバータ制御回路7と有効電流比較回路9との間に設けたものである。
【0026】
本実施形態では、電源系統に異常が生じた時に、運転継続判断回路13が有効電流比較回路9から出力される有効分電流比較偏差38とその時のインバータ負荷の状態値39をインバータ制御回路7から検出し、予め設定した値と比較することで運転を継続するかどうか判断できるようにしている。
【0027】
図5は本発明の第5の実施形態の回路図である。
図に示すように、本実施形態は上記第1実施形態に負荷制限回路14をインバータ制御回路7と有効電流比較回路9との間に設けたものである。
【0028】
本実施形態では、電源系統に異常が生じた時に、負荷制限回路14が有効電流比較回路9から出力される有効分電流比較偏差38を検出し、予め設定した値と比較することでインバータの負荷の最適状態を判断し、それに応じた負荷制限指令40をインバータ制御回路7に出力することで、安定した制御ができるようにしている。
【0029】
図6は本発明の第6の実施形態の回路図である。
図に示すように、本実施形態は上記第1,第4及び第5実施形態において、複数台のコンバータ3と複数台のインバータ4が一つの交流電圧電源1を共有した形態となるように構成している。電流加算器15は、各コンバータ制御回路6から出力されるコンバータ有効電流推定値23を加算して得られた有効分電流推定値24を有効電流比較回路9に出力する。電流加算器16は、各インバータ制御回路7から出力されるインバータ有効分電流推定値33を加算して得られた有効分電流推定値34を有効電流比較回路9に出力する。
有効電流比較回路9は、コンバータ側の有効分電流推定値24とインバータ側の有効分電流推定値34を比較し、両者の差を出力する比較回路である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コンバータとインバータのそれぞれの有効分電力/電流を比較することで保護動作/負荷制限などを有効に実施することができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の回路図。
【図2】本発明の第2の実施形態の回路図。
【図3】本発明の第3の実施形態の回路図。
【図4】本発明の第4の実施形態の回路図。
【図5】本発明の第5の実施形態の回路図。
【図6】本発明の第6の実施形態の回路図。
【図7】従来の電力変換装置の回路図。
【符号の説明】
1…交流電圧電源、2…インバータ負荷、3…コンバータ、4…インバータ、5…電流検出器、6…コンバータ制御回路、7…インバータ制御回路、8…平滑用コンデンサ、9…有効電流比較回路、10…有効分電力指令値比較回路、11…コンバータ有効電力指令演算回路、12…インバータ有効電力指令演算回路、13…運転継続判断回路、14…インバータ負荷制限指令回路、15…有効分電流加算器、16…有効分電流加算器、17…電圧検出器、18…速度検出器、21…三相電源電流、22…コンバータ電圧指令値、23…コンバータ有効分電流推定値、24…コンバータ有効分電流推定値、25…コンバータ有効分電力推定値、31…三相負荷電流、32…インバータ電圧指令値、33…インバータ有効分電流推定値、34…インバータ有効分電流指令値、35…インバータ有効分電力推定値、36…速度指令値、37…トルク指令値、38…有効分電流比較偏差、39…インバータ負荷状態値、40…インバータ負荷制限指令。

Claims (6)

  1. 交流電源に接続され,交流電力を直流電力に変換して直流回路に電力を供給する順変換器と、前記直流回路に接続され,直流電力を交流電力に変換して交流負荷に電力を供給する逆変換器を備えた電力変換装置において、前記順変換器の制御回路が出力する有効分電流推定値と前記逆変換器の制御回路が出力する有効分電流推定値との偏差を求め、その偏差が判定値を超えたか否かを判定する判定回路を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  2. 交流電源に接続され,交流電力を直流電力に変換して直流回路に電力を供給する順変換器と、前記直流回路に接続され,直流電力を交流電力に変換して交流負荷に電力を供給する逆変換器を備えた電力変換装置において、前記順変換器の制御回路が出力する電圧指令値と電流指令値とから有効分電力推定値を求め、前記逆変換器の制御回路が出力する電圧指令値と電流指令値とから有効分電力推定値を求め、前記順変換器と逆変換器が出力する有効分電力推定値を比較して偏差を求め、その偏差が判定値を超えたか否かを判定する判定回路を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項2記載の電力変換装置において、逆変換器の交流負荷が交流電動機である場合に、逆変換器の制御回路が出力する有効分電力推定値を、トルク指令値と電動機回転速度とから演算する演算回路を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電力変換装置において、判定回路によって偏差が判定値を超えたと判定された場合に、逆変換器の負荷状態によって電力変換装置の運転を継続するか否かを判断する運転継続判断手段を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電力変換装置において、判定回路による偏差の値によって逆変換器の負荷を制限する負荷制限手段を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  6. 請求項1、請求項4及び請求項5のいずれかに記載の電力変換装置において、複数台の順変換器と、複数台の逆変換器を接続する場合に、全順変換器の有効電流推定値を加算する電流加算手段と、全逆変換器の有効電流推定値を加算する電流加算手段とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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