JP2004152873A - ドライエッチング装置の異常検出方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工処理中のレート異常などのように、被処理物に重大な影響をもたらす虞のある(プロセスの)異常を、エッチング加工作業と併行して検出する。
【解決手段】電極12に流入する高周波の電流値の傾きとエッチングレートに関して予め相関付けをしておく相関付け手段(異常検出装置8で兼用)と、所定の被エッチング膜91をエッチングしているときの電流値の傾きを算出する電流傾き演算装置(傾き算出手段)7と、電流傾き演算装置7で算出された電流値の傾きが予め定められている所定の範囲から外れたときに異常であると判定する異常検出装置(判定手段)8とを備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】電極12に流入する高周波の電流値の傾きとエッチングレートに関して予め相関付けをしておく相関付け手段(異常検出装置8で兼用)と、所定の被エッチング膜91をエッチングしているときの電流値の傾きを算出する電流傾き演算装置(傾き算出手段)7と、電流傾き演算装置7で算出された電流値の傾きが予め定められている所定の範囲から外れたときに異常であると判定する異常検出装置(判定手段)8とを備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマを利用してエッチング処理を行うドライエッチング装置に係り、特にこのドライエッチング装置における異常を検出することができるドライエッチング装置の異常検出方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体などの製造を行うためにプラズマを利用してエッチング処理を行うドライエッチング装置が各種使用されており、このドライエッチング装置には、図6に示すように、チャンバ101と、このチャンバ101内部に設けた一対の電極102、103と、この電極102、103間でプラズマを発生させるための高周波発生器(電源)104と、マッチング部105となどとを備えている。そして、一方の電極102にはエッチング処理を行うための被処理物106を載置するとともに、この電極102に対向配置した他方の電極103はチャンバ101を介して接地されている。
【0003】
また、ドライエッチング装置には、この装置が正常に働いているか否か、例えばエッチングレート(単位時間当たりの削り量)の変動を検知して装置の異常を検出するために、チャンバ101内部でのプラズマの発光状態をモニタする発光モニタ手段111と、チャンバ101内部での圧力、チャンバ101に供給するガス流量などをモニタするモニタ手段112等とを有する異常検出装置110を備えたものが知られている。
【0004】
このような異常検出装置110を備えたドライエッチング装置では、一般に、このドライエッチング装置の制御動作を調整するパラメータである高周波電力、チャンバ圧力、ガス流量、マッチングポジション等をモニタし、各パラメータ毎に予め定められている所定の許容範囲から外れたときに、異常と判定し、異常信号をドライエッチング装置に出力する一方、この異常信号を入力したドライエッチング装置は、エッチング動作を直ちに停止させるように構成されたインターロック方式が採用されている。
【0005】
また、このような異常検出装置を用いる替わりに、エッチング処理を行う際に発生するプラズマ発光における所定波長強度の測定値に基づき、所定の演算式などからマハラノビス(P.C.Mahalanobis)距離を算出し、そのマハラノビス距離が所定値を越えたときに、異常動作が発生したと判定する異常検出方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−114130号公報 (第5頁左欄中段〜左欄前段
図4)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のようなインターロック方式のドライエッチング装置にあっては、エッチング処理中に、高周波電力、チャンバ圧力、ガス流量、マッチングポジション等の各パラメータの測定値が所定の範囲内に収まっていたとしても、チャンバ101内のプラズマ状態の変動に起因して、エッチングレートの変動などを発生する場合がある。例えば、半導体の酸化膜面に対してエッチングを行う際に、チャンバ内に配線材料である銅が放出された場合、エッチング処理は正常であっても、酸化膜のエッチングレートが変動することがある。
【0008】
一方、後者のような異常検出方法では、ドライエッチング装置が正常に動作しているのか異常なのかを判定するレベルに留まっているので、エッチングプロセスにおいて重要なエッチングレートの変動などのようなエッチングレートの異常検出は困難である。
【0009】
このように、ドライエッチング装置における異常検出装置或いは異常検出方法では、いずれも、ドライエッチング装置でのパラメータ異常やドライエッチング装置自体の異常を検出することで、必ずしもエッチング処理作業でのエッチングレートの異常を確実に検出できるというわけではなかった。
【0010】
さらに、近年、半導体製造の際の微細化プロセスの進展に伴い、STI(シャロー・トレンチ・アイソレーション)やダマシンプロセスにおけるトレンチエッチングなどのように、下地までエッチングせずに、つまり被処理物の被加工層において途中までしかエッチングしないプロセスを用いて、半導体製造を行う場合がある。
【0011】
この場合には、エッチングレートの変動がそのまま深さの変動となるため、エッチング処理後にオフラインでエッチング深さを実測し、異常の有無を判定している。従って、ロット処理途中に、異常が発生しても、ロット処理を終了してからでないと判らないため、歩留まりを低下させる一つの要因となっている。
【0012】
本発明は、上記した事情に鑑み、加工処理中のレート異常などのように、被処理物に重大な影響をもたらす虞のある(プロセスの)異常を、ドライエッチング加工作業と併行して検出することができるドライエッチング装置の異常検出方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明のドライエッチング装置の異常検出方法は、内部が真空状態に保持され対電極が配設されたチャンバと、前記チャンバ内にガスを導入するガス導入手段と、高周波電力を発生させる高周波発生源とを有し、前記チャンバ内の前記一方の電極上に載置された被エッチング物をエッチングするドライエッチング装置において異常を検出するための異常検出方法であって、
前記電極に流入する高周波の電流値の傾きとエッチングレートに関して予め相関付けをしておき、
所定の被エッチング膜をエッチングしているときの電流値の傾きを算出し、
前記算出された前記電流値の傾きが予め定められている所定の範囲から外れたときに、異常であると判定することを特徴としている。
【0014】
この構成により、予め相関付けされた関数などから理論的に想定されている電流値の傾きの上下変動幅に対して、実際に算出された電流値の傾きが収まっているか否かを判別することにより、エッチングレート異常などの被処理物に重大な影響をもたらす虞のあるプロセスの異常を、エッチング加工作業と併行して、検出することができる。
【0015】
また、この発明のドライエッチング装置の異常検出方法は、前記電流値の傾きの算出が、
前記電流値を微分し、
前記微分による微分値より所定値以上の急変値の有無を判別し、
前記所定値を越える急変が発生する場合には、その発生時刻から前後に電流値を分割し、
それぞれの傾きを算出し演算することによって求めることを特徴としている。
【0016】
この構成により、電極に流す電流値の傾きに所定値を越える急変が発生する場合には、電流値の傾きによる異常の判別を、電流値傾きの急変が発生した発生時刻を中心としてその前後に分割して行うことができる。即ち、それぞれの場合に分けて、異常の有無の判別を行うので、電流値の傾きに所定値を越える急変が発生しても、判別誤差ができるだけ少ない、精度の高いプロセスの異常検出を行うことができる。
【0017】
また、この発明のドライエッチング装置の異常検出装置は、内部が真空状態に保持され対電極が配設されたチャンバと、前記チャンバ内にガスを導入するガス導入手段と、高周波電力を発生させる高周波発生源とを有し、前記チャンバ内の前記一方の電極上に載置された被エッチング物をエッチングするドライエッチング装置において異常を検出するための異常検出装置であって、
前記電極に流入する高周波の電流値の傾きとエッチングレートに関して予め相関付けをしておく相関付け手段と、
所定の被エッチング膜をエッチングしているときの電流値の傾きを算出する傾き算出手段と、
前記傾き算出手段で算出された前記電流値の傾きが予め定められている所定の範囲から外れたときに、異常であると判定する判定手段と
を備えたことを特徴としている。
【0018】
この構成により、相関付け手段で予め相関付けされた関数などから理論的に想定されている電流値の傾きの上下変動幅に対して、傾き算出手段で実際に算出された電流値の傾きが収まっているか否かを判別をすることにより、エッチングレート異常などの被処理物に重大な影響をもたらす虞のあるプロセスの異常を、エッチング加工作業と併行して、検出することができる。
【0019】
また、この発明のドライエッチング装置の異常検出装置は、前記電流値の傾き算出手段が、
前記電流値を微分する微分手段と、
前記微分による微分値より所定値以上の急変値の有無を判別する判別手段と、
前記所定値を越える急変が発生する場合には、その発生時刻から前後に電流値を分割する分割手段と、
前記分割手段で分割された前記発生時刻から前側時刻及び後側時刻での前記電流値の傾きをそれぞれ算出し演算することによって求める演算手段と
を備えたことを特徴としている。
【0020】
この構成により、電流値の傾きに所定値を越える急変が発生する場合には、電流値の傾きの判別を急変が発生した発生時刻から前後に分割し、それぞれの場合において、異常の有無の判別を行うので、電流値の傾きに所定値を越える急変が発生しても、判別誤差ができるだけ少ない、精度の高いプロセスの異常検出を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の異常検出方法が適用されたドライエッチング装置の構成を示す概略図であり、このエッチング装置は、大略構成として、チャンバ1と、高周波電源2と、インピーダンス整合器4と、電流・電圧検出器5と、電流電圧変換器6と、電流傾き演算装置7と、異常検出装置8とを備えている。
【0022】
チャンバ1は、内部に、上部電極11及び下部電極12を設けているとともに、下部電極12上にエッチングすべき被エッチング物(被処理物)9を載置させており、図示外の真空ポンプで真空排気されて内部が高真空状態に保持されている。また、下部電極12は、インピーダンス整合器4及び電流・電圧検出器5を介して高周波電源2と接続されている。なお、上部電極11は、チャンバ1の内壁面に取付られており、チャンバ1と同電位に設定されている。
【0023】
また、このチャンバ1には、反応ガスを導入するガス導入手段1A、チャンバ1内部の圧力を調整する圧力制御手段1B、図示外の排気手段及び被エッチング物(被処理物)9を出し入れする図示外の搬出入手段が付設されている。
【0024】
高周波電源2は、インピーダンス整合器4を介して下部電極12に高周波電力を供給させ、ドライエッチング用のプラズマを発生させるものであり、図示外の制御装置によってその動作が制御されており、この実施の形態では2MHzの高周波電力を出力するようになっている。
【0025】
インピーダンス整合器4は、被エッチング物9に高周波電力を出力する際のインピーダンス整合を図るようになっている。
【0026】
電流・電圧検出器5は、エッチング処理の際に電流値の傾き、別言すればエッチング加工処理の際に毎時刻当たりの電流変化量を検出するために、下部電極12に流入する電流値又は電圧値を一定時間間隔で検出するものであり、インピーダンス整合器4と下部電極12との間に配設しており、出力が電流・電圧変換器6の入力に接続されている。
【0027】
電流・電圧変換器6は、入力が電流・電圧変換器5の出力に接続されているとともに、出力が電流傾き演算装置7の入力に接続されている。
【0028】
電流傾き演算装置7は、傾き算出手段、つまり電極に流入する高周波電流値の傾き、例えば単位時間(毎秒)当たりの電流値の変化(mA)を算出するものであり、入力が電流・電圧変換器6の出力に接続されているとともに、出力が異常検出装置8の入力に接続されている。
【0029】
異常検出装置8は、本実施の形態では、相関付け手段及び判定手段を構成している。即ち、この異常検出装置8は、所定の相関関数を記憶するとともに、電流傾き演算装置7で得られた所定の被エッチング膜91をエッチングしているときの電流値の傾きを算出し、この算出された電流値の傾きが、前述の相関関数に基づき予め定められている所定の上下変動幅(正常許容範囲)から外れたときに、異常であると判定するものであり、入力が電流傾き演算装置7の出力に接続されている。
【0030】
なお、ここで、この異常検出装置8が記憶する相関関数とは、下部電極12に流入する高周波電流値の傾き、即ち、単位時間当たりの電流値の変化(mA/sec.)と、エッチングレート、例えば単位時間(毎分)当たりの膜厚減少量(nm/min.)に関して予め算出して相関付けをしてある固有の関数関係を与えることができる固有関数である。この固有関数は、1次関数でも、また2次関数以上の高次関数であってもよく、また、特殊関数であっても構わないが、一意性を有する一価の関数であることが必要である。
【0031】
被エッチング物(被加工物)9としては、本実施の形態においてウエハを用いており、このウエハの基板面上にパターン配線を形成すべき銅箔10(図2参照)が設けられているとともに、この銅箔10上に被エッチング膜91が成膜されている。本実施の形態の被エッチング膜91は、大別すると、後述する図2に示すように、反射防止膜91Aとシリコン酸化膜(SiO2)91Bとで構成されており、シリコン酸化膜(SiO2)91B上に適宜の反射防止膜91Aが積層された構造となっている。
【0032】
次に、本発明に係る異常検出方法について、図1に示す実施の形態のドライエッチング装置を用いて詳細に説明する。なお、ここで、エッチングすべき被エッチング物(被処理物)9としては、前述したように、ウエハを用いるとともに、被エッチング膜91としては、図2に示すように、上から順に反射防止膜91Aと、シリコン酸化膜(SiO2)91Bとを積層したもので構成されており、同図において、反射防止膜91Aからシリコン酸化膜(SiO2)91Bの順でこのシリコン酸化膜(SiO2)91Bの直下の銅箔10との界面に達しない途中の深さまでエッチングするようなっている。また、ここでは、エッチングガス(PFCガス)として、CF4/CHF3ガスを用い、圧力10Pa(パスカル)の下でエッチングを行った。
【0033】
電流の傾きの算出方法については、例えば本実施の形態では、シリコン酸化膜(SiO2)91Bでのエッチング加工において、ここでの電流の傾きmを算出対象としており、予めエッチング加工開始時間と終了時間を設定し、その時間内を対象にして近似直線を引いてその傾きmを算出した。
【0034】
なお、シリコン酸化膜(SiO2)91Bの上面から所定深さまでエッチングが達するときのタイミング(終点時刻)を正確に把握しようとする場合には、シリコン酸化膜(SiO2)91Bでのエッチング処理の開始時刻から完了時刻までの時間内で、エッチングレート異常が発生しているか否かを検出することが必要、かつ、重要なことである。
つまり、その上層の反射防止膜91Aでのエッチング加工については、そのエッチングレートに異常が発生しても、シリコン酸化膜(SiO2)91Bでのエッチング処理での終点時刻(ファイナル)の正確な検出を行う上で、これにはなんら悪影響を及ぼさない。換言すれば、反射防止膜91Aでのエッチングプロセスにおいて電流の傾きmについて、特にその算出作業を行う必要はない。
【0035】
また、一般に、エッチングされる材料・材質が異なると、電流値の傾きmが大きく変化するものであるが、本実施の形態の被エッチング膜91においても、反射防止膜91Aからシリコン酸化膜(SiO2)91Bへのエッチング処理の動作移行については、電流値の傾きmが大きく(或いは劇的に)変化して容易に検出できるものとする。
【0036】
以上のような条件下で、図1に示すドライエッチング装置を用いて、エッチング処理実験を行ったところ、以下の表1に示すデータが得られた。
【0037】
【表1】
【0038】
この表1が示す実験結果から、エッチングレートが高いときには、電流値の傾きが大きくなる一方、エッチングレートが低いときには、電流値の傾きが小さくなる、つまりエッチングレートと電流値の傾きとには正の相関性がある、ことがわかる。
【0039】
ここで、エッチング処理中の電流値の大きな傾き、即ち、電流上昇部分では、被エッチング物(被処理物)9の被エッチング膜91が積層されたウエハからチャンバ1内部に銅が露出し、その銅がチャンバ1の内壁に付着し、そこにプラズマ中のCF2、CFラジカルが付着していくことにより、プラズマ密度の上昇を発生していることが予想される。従って、プラズマ密度の上昇が大きいほど、エッチングレートが増大し、電流値の上昇も大きくなっているということがいえるわけである。
【0040】
そこで、この知見に基づき、本発明のドライエッチング装置の異常検出方法では、
(1)最初に、このようなデータを蓄積するとともに、これらのエッチングレートと電流値の傾きとを相関付けを行い、具体的には、図3に示すような固有の相関関数Fを算出し、異常検出装置8に格納・記憶させておく。
【0041】
(2)そして、図3に示すように、電流値の傾きの上下限範囲、例えば電流値の下限の傾きをα、電流値の上限の傾きをβと予め設定しておき、電流傾き演算装置7で算出された電流値の傾きmがこの範囲、つまり、
α<m<β
に収まっているのか、外れているのかを比較判定する。
(3)そして、外れていると判断された場合には、エッチングレート異常であると判定するものである。
【0042】
ところで、また、本発明の異常検出方法に用いるために、多くのデータを取得して解析していく際に、例えば図4に示すように、エッチング処理の途中で電流値が急変する波形部分(図4にA、Bで示すグラフの境界部分)が存在する場合があることが判明した。そして、この時の電流値の傾きから推測したエッチングレート(理論値)と実測したエッチングレート(実測値)とには、他のエッチング処理時間での理論値と実測値とに比べて、ずれ(誤差)が大きいことも判明した。
【0043】
そこで、また、本発明のドライエッチング装置の異常検出方法では、急変するグラフ部分(図4にA、Bで示すグラフの境界部分)が存在する場合には、
(1)電流傾き演算装置7で算出された電流値を微分し、この微分値よりも所定以上に急激な変化の有無を判別し、
(2)この急激な変化があると判別した場合には、その急激変化のあった時刻を中心としてその前後で電流値を分割し、
(3)それぞれの時間領域での電流値の傾きを算出する
ように構成されている。
【0044】
また、本発明のドライエッチング装置の異常検出方法では、図5に示すように、急変する波形部分(A、B)が存在する場合、算出した電流値の傾きにそれそれの時間比率を積算させて、足し合わせることで、このようなエッチング処理途中での電流値の急変する時刻の前後に亙る時間での電流値の傾きを算出するように構成してもよい。
即ち、急変する波形部分が存在する場合、電流値の急変する時刻よりも前側の時間帯において、時間差をΔtA、電流値差をΔIA、電流値の急変する時刻よりも後側の時間帯において、時間差をΔtB、電流値差をΔIBとすると、電流値の急変する時刻の前後に亙る時間での電流値の傾きIは、次式
I=ΔIA/[tA/(tA+tB)]+ΔIB/[tB/(tA+tB)]
を用いて算出するように構成されている。
【0045】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明は、内部が真空状態に保持され対電極が配設されたチャンバと、高周波電力を発生させる高周波発生源とを有し、チャンバ内の一方の電極上に載置された被加工物をエッチングするドライエッチング装置において異常を検出するための異常検出方法及び装置であって、電極に流入する高周波の電流値の傾きと加工レートに関して予め相関付けをしておき、所定の被加工膜を加工しているときの電流値の傾きを算出し、算出された電流値の傾きが予め定められている所定の範囲から外れたときに、異常であると判定するようになっている。
【0046】
従って、本発明によれば、加工処理中のレート異常などのように、被処理物に重大な影響をもたらす虞のある(プロセスの)異常を、エッチング加工作業と併行して検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のドライエッチング装置の異常検出装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明のドライエッチング装置において、エッチング膜などに積層構造を示すものであって、(A)はエッチング前の状態を示す断面図、(B)は所望の深さまでエッチングを行ったときの状態を示す断面図である。
【図3】本発明のドライエッチング装置の異常検出方法におけるエッチング処理動作の異常又は正常を判別するためのグラフ(相関関数)を示す説明図である。
【図4】エッチング処理動作における電流値の急変現象の発生状態を示す説明図である。
【図5】本発明のドライエッチング装置の異常検出方法において、図4に示すエッチング処理動作における電流値の急変現象の発生する場合に対応する判定処理方法を示す説明図である。
【図6】従来のドライエッチング装置に設けた異常検出装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 チャンバ
1A ガス導入手段
1B 圧力制御手段
11 下部電極
12 上部電極
2 高周波電源
4 インピーダンス整合器
5 電流・電圧検出器
6 電流電圧変換器
7 電流傾き演算装置(傾き算出手段)
8 異常検出装置(相関付け手段、判定手段)
9 被エッチング物(被処理物)
91 被エッチング膜
α (電流値の傾き)正常変動幅下限
β (電流値の傾き)正常変動幅上限
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマを利用してエッチング処理を行うドライエッチング装置に係り、特にこのドライエッチング装置における異常を検出することができるドライエッチング装置の異常検出方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体などの製造を行うためにプラズマを利用してエッチング処理を行うドライエッチング装置が各種使用されており、このドライエッチング装置には、図6に示すように、チャンバ101と、このチャンバ101内部に設けた一対の電極102、103と、この電極102、103間でプラズマを発生させるための高周波発生器(電源)104と、マッチング部105となどとを備えている。そして、一方の電極102にはエッチング処理を行うための被処理物106を載置するとともに、この電極102に対向配置した他方の電極103はチャンバ101を介して接地されている。
【0003】
また、ドライエッチング装置には、この装置が正常に働いているか否か、例えばエッチングレート(単位時間当たりの削り量)の変動を検知して装置の異常を検出するために、チャンバ101内部でのプラズマの発光状態をモニタする発光モニタ手段111と、チャンバ101内部での圧力、チャンバ101に供給するガス流量などをモニタするモニタ手段112等とを有する異常検出装置110を備えたものが知られている。
【0004】
このような異常検出装置110を備えたドライエッチング装置では、一般に、このドライエッチング装置の制御動作を調整するパラメータである高周波電力、チャンバ圧力、ガス流量、マッチングポジション等をモニタし、各パラメータ毎に予め定められている所定の許容範囲から外れたときに、異常と判定し、異常信号をドライエッチング装置に出力する一方、この異常信号を入力したドライエッチング装置は、エッチング動作を直ちに停止させるように構成されたインターロック方式が採用されている。
【0005】
また、このような異常検出装置を用いる替わりに、エッチング処理を行う際に発生するプラズマ発光における所定波長強度の測定値に基づき、所定の演算式などからマハラノビス(P.C.Mahalanobis)距離を算出し、そのマハラノビス距離が所定値を越えたときに、異常動作が発生したと判定する異常検出方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−114130号公報 (第5頁左欄中段〜左欄前段
図4)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のようなインターロック方式のドライエッチング装置にあっては、エッチング処理中に、高周波電力、チャンバ圧力、ガス流量、マッチングポジション等の各パラメータの測定値が所定の範囲内に収まっていたとしても、チャンバ101内のプラズマ状態の変動に起因して、エッチングレートの変動などを発生する場合がある。例えば、半導体の酸化膜面に対してエッチングを行う際に、チャンバ内に配線材料である銅が放出された場合、エッチング処理は正常であっても、酸化膜のエッチングレートが変動することがある。
【0008】
一方、後者のような異常検出方法では、ドライエッチング装置が正常に動作しているのか異常なのかを判定するレベルに留まっているので、エッチングプロセスにおいて重要なエッチングレートの変動などのようなエッチングレートの異常検出は困難である。
【0009】
このように、ドライエッチング装置における異常検出装置或いは異常検出方法では、いずれも、ドライエッチング装置でのパラメータ異常やドライエッチング装置自体の異常を検出することで、必ずしもエッチング処理作業でのエッチングレートの異常を確実に検出できるというわけではなかった。
【0010】
さらに、近年、半導体製造の際の微細化プロセスの進展に伴い、STI(シャロー・トレンチ・アイソレーション)やダマシンプロセスにおけるトレンチエッチングなどのように、下地までエッチングせずに、つまり被処理物の被加工層において途中までしかエッチングしないプロセスを用いて、半導体製造を行う場合がある。
【0011】
この場合には、エッチングレートの変動がそのまま深さの変動となるため、エッチング処理後にオフラインでエッチング深さを実測し、異常の有無を判定している。従って、ロット処理途中に、異常が発生しても、ロット処理を終了してからでないと判らないため、歩留まりを低下させる一つの要因となっている。
【0012】
本発明は、上記した事情に鑑み、加工処理中のレート異常などのように、被処理物に重大な影響をもたらす虞のある(プロセスの)異常を、ドライエッチング加工作業と併行して検出することができるドライエッチング装置の異常検出方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明のドライエッチング装置の異常検出方法は、内部が真空状態に保持され対電極が配設されたチャンバと、前記チャンバ内にガスを導入するガス導入手段と、高周波電力を発生させる高周波発生源とを有し、前記チャンバ内の前記一方の電極上に載置された被エッチング物をエッチングするドライエッチング装置において異常を検出するための異常検出方法であって、
前記電極に流入する高周波の電流値の傾きとエッチングレートに関して予め相関付けをしておき、
所定の被エッチング膜をエッチングしているときの電流値の傾きを算出し、
前記算出された前記電流値の傾きが予め定められている所定の範囲から外れたときに、異常であると判定することを特徴としている。
【0014】
この構成により、予め相関付けされた関数などから理論的に想定されている電流値の傾きの上下変動幅に対して、実際に算出された電流値の傾きが収まっているか否かを判別することにより、エッチングレート異常などの被処理物に重大な影響をもたらす虞のあるプロセスの異常を、エッチング加工作業と併行して、検出することができる。
【0015】
また、この発明のドライエッチング装置の異常検出方法は、前記電流値の傾きの算出が、
前記電流値を微分し、
前記微分による微分値より所定値以上の急変値の有無を判別し、
前記所定値を越える急変が発生する場合には、その発生時刻から前後に電流値を分割し、
それぞれの傾きを算出し演算することによって求めることを特徴としている。
【0016】
この構成により、電極に流す電流値の傾きに所定値を越える急変が発生する場合には、電流値の傾きによる異常の判別を、電流値傾きの急変が発生した発生時刻を中心としてその前後に分割して行うことができる。即ち、それぞれの場合に分けて、異常の有無の判別を行うので、電流値の傾きに所定値を越える急変が発生しても、判別誤差ができるだけ少ない、精度の高いプロセスの異常検出を行うことができる。
【0017】
また、この発明のドライエッチング装置の異常検出装置は、内部が真空状態に保持され対電極が配設されたチャンバと、前記チャンバ内にガスを導入するガス導入手段と、高周波電力を発生させる高周波発生源とを有し、前記チャンバ内の前記一方の電極上に載置された被エッチング物をエッチングするドライエッチング装置において異常を検出するための異常検出装置であって、
前記電極に流入する高周波の電流値の傾きとエッチングレートに関して予め相関付けをしておく相関付け手段と、
所定の被エッチング膜をエッチングしているときの電流値の傾きを算出する傾き算出手段と、
前記傾き算出手段で算出された前記電流値の傾きが予め定められている所定の範囲から外れたときに、異常であると判定する判定手段と
を備えたことを特徴としている。
【0018】
この構成により、相関付け手段で予め相関付けされた関数などから理論的に想定されている電流値の傾きの上下変動幅に対して、傾き算出手段で実際に算出された電流値の傾きが収まっているか否かを判別をすることにより、エッチングレート異常などの被処理物に重大な影響をもたらす虞のあるプロセスの異常を、エッチング加工作業と併行して、検出することができる。
【0019】
また、この発明のドライエッチング装置の異常検出装置は、前記電流値の傾き算出手段が、
前記電流値を微分する微分手段と、
前記微分による微分値より所定値以上の急変値の有無を判別する判別手段と、
前記所定値を越える急変が発生する場合には、その発生時刻から前後に電流値を分割する分割手段と、
前記分割手段で分割された前記発生時刻から前側時刻及び後側時刻での前記電流値の傾きをそれぞれ算出し演算することによって求める演算手段と
を備えたことを特徴としている。
【0020】
この構成により、電流値の傾きに所定値を越える急変が発生する場合には、電流値の傾きの判別を急変が発生した発生時刻から前後に分割し、それぞれの場合において、異常の有無の判別を行うので、電流値の傾きに所定値を越える急変が発生しても、判別誤差ができるだけ少ない、精度の高いプロセスの異常検出を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の異常検出方法が適用されたドライエッチング装置の構成を示す概略図であり、このエッチング装置は、大略構成として、チャンバ1と、高周波電源2と、インピーダンス整合器4と、電流・電圧検出器5と、電流電圧変換器6と、電流傾き演算装置7と、異常検出装置8とを備えている。
【0022】
チャンバ1は、内部に、上部電極11及び下部電極12を設けているとともに、下部電極12上にエッチングすべき被エッチング物(被処理物)9を載置させており、図示外の真空ポンプで真空排気されて内部が高真空状態に保持されている。また、下部電極12は、インピーダンス整合器4及び電流・電圧検出器5を介して高周波電源2と接続されている。なお、上部電極11は、チャンバ1の内壁面に取付られており、チャンバ1と同電位に設定されている。
【0023】
また、このチャンバ1には、反応ガスを導入するガス導入手段1A、チャンバ1内部の圧力を調整する圧力制御手段1B、図示外の排気手段及び被エッチング物(被処理物)9を出し入れする図示外の搬出入手段が付設されている。
【0024】
高周波電源2は、インピーダンス整合器4を介して下部電極12に高周波電力を供給させ、ドライエッチング用のプラズマを発生させるものであり、図示外の制御装置によってその動作が制御されており、この実施の形態では2MHzの高周波電力を出力するようになっている。
【0025】
インピーダンス整合器4は、被エッチング物9に高周波電力を出力する際のインピーダンス整合を図るようになっている。
【0026】
電流・電圧検出器5は、エッチング処理の際に電流値の傾き、別言すればエッチング加工処理の際に毎時刻当たりの電流変化量を検出するために、下部電極12に流入する電流値又は電圧値を一定時間間隔で検出するものであり、インピーダンス整合器4と下部電極12との間に配設しており、出力が電流・電圧変換器6の入力に接続されている。
【0027】
電流・電圧変換器6は、入力が電流・電圧変換器5の出力に接続されているとともに、出力が電流傾き演算装置7の入力に接続されている。
【0028】
電流傾き演算装置7は、傾き算出手段、つまり電極に流入する高周波電流値の傾き、例えば単位時間(毎秒)当たりの電流値の変化(mA)を算出するものであり、入力が電流・電圧変換器6の出力に接続されているとともに、出力が異常検出装置8の入力に接続されている。
【0029】
異常検出装置8は、本実施の形態では、相関付け手段及び判定手段を構成している。即ち、この異常検出装置8は、所定の相関関数を記憶するとともに、電流傾き演算装置7で得られた所定の被エッチング膜91をエッチングしているときの電流値の傾きを算出し、この算出された電流値の傾きが、前述の相関関数に基づき予め定められている所定の上下変動幅(正常許容範囲)から外れたときに、異常であると判定するものであり、入力が電流傾き演算装置7の出力に接続されている。
【0030】
なお、ここで、この異常検出装置8が記憶する相関関数とは、下部電極12に流入する高周波電流値の傾き、即ち、単位時間当たりの電流値の変化(mA/sec.)と、エッチングレート、例えば単位時間(毎分)当たりの膜厚減少量(nm/min.)に関して予め算出して相関付けをしてある固有の関数関係を与えることができる固有関数である。この固有関数は、1次関数でも、また2次関数以上の高次関数であってもよく、また、特殊関数であっても構わないが、一意性を有する一価の関数であることが必要である。
【0031】
被エッチング物(被加工物)9としては、本実施の形態においてウエハを用いており、このウエハの基板面上にパターン配線を形成すべき銅箔10(図2参照)が設けられているとともに、この銅箔10上に被エッチング膜91が成膜されている。本実施の形態の被エッチング膜91は、大別すると、後述する図2に示すように、反射防止膜91Aとシリコン酸化膜(SiO2)91Bとで構成されており、シリコン酸化膜(SiO2)91B上に適宜の反射防止膜91Aが積層された構造となっている。
【0032】
次に、本発明に係る異常検出方法について、図1に示す実施の形態のドライエッチング装置を用いて詳細に説明する。なお、ここで、エッチングすべき被エッチング物(被処理物)9としては、前述したように、ウエハを用いるとともに、被エッチング膜91としては、図2に示すように、上から順に反射防止膜91Aと、シリコン酸化膜(SiO2)91Bとを積層したもので構成されており、同図において、反射防止膜91Aからシリコン酸化膜(SiO2)91Bの順でこのシリコン酸化膜(SiO2)91Bの直下の銅箔10との界面に達しない途中の深さまでエッチングするようなっている。また、ここでは、エッチングガス(PFCガス)として、CF4/CHF3ガスを用い、圧力10Pa(パスカル)の下でエッチングを行った。
【0033】
電流の傾きの算出方法については、例えば本実施の形態では、シリコン酸化膜(SiO2)91Bでのエッチング加工において、ここでの電流の傾きmを算出対象としており、予めエッチング加工開始時間と終了時間を設定し、その時間内を対象にして近似直線を引いてその傾きmを算出した。
【0034】
なお、シリコン酸化膜(SiO2)91Bの上面から所定深さまでエッチングが達するときのタイミング(終点時刻)を正確に把握しようとする場合には、シリコン酸化膜(SiO2)91Bでのエッチング処理の開始時刻から完了時刻までの時間内で、エッチングレート異常が発生しているか否かを検出することが必要、かつ、重要なことである。
つまり、その上層の反射防止膜91Aでのエッチング加工については、そのエッチングレートに異常が発生しても、シリコン酸化膜(SiO2)91Bでのエッチング処理での終点時刻(ファイナル)の正確な検出を行う上で、これにはなんら悪影響を及ぼさない。換言すれば、反射防止膜91Aでのエッチングプロセスにおいて電流の傾きmについて、特にその算出作業を行う必要はない。
【0035】
また、一般に、エッチングされる材料・材質が異なると、電流値の傾きmが大きく変化するものであるが、本実施の形態の被エッチング膜91においても、反射防止膜91Aからシリコン酸化膜(SiO2)91Bへのエッチング処理の動作移行については、電流値の傾きmが大きく(或いは劇的に)変化して容易に検出できるものとする。
【0036】
以上のような条件下で、図1に示すドライエッチング装置を用いて、エッチング処理実験を行ったところ、以下の表1に示すデータが得られた。
【0037】
【表1】
【0038】
この表1が示す実験結果から、エッチングレートが高いときには、電流値の傾きが大きくなる一方、エッチングレートが低いときには、電流値の傾きが小さくなる、つまりエッチングレートと電流値の傾きとには正の相関性がある、ことがわかる。
【0039】
ここで、エッチング処理中の電流値の大きな傾き、即ち、電流上昇部分では、被エッチング物(被処理物)9の被エッチング膜91が積層されたウエハからチャンバ1内部に銅が露出し、その銅がチャンバ1の内壁に付着し、そこにプラズマ中のCF2、CFラジカルが付着していくことにより、プラズマ密度の上昇を発生していることが予想される。従って、プラズマ密度の上昇が大きいほど、エッチングレートが増大し、電流値の上昇も大きくなっているということがいえるわけである。
【0040】
そこで、この知見に基づき、本発明のドライエッチング装置の異常検出方法では、
(1)最初に、このようなデータを蓄積するとともに、これらのエッチングレートと電流値の傾きとを相関付けを行い、具体的には、図3に示すような固有の相関関数Fを算出し、異常検出装置8に格納・記憶させておく。
【0041】
(2)そして、図3に示すように、電流値の傾きの上下限範囲、例えば電流値の下限の傾きをα、電流値の上限の傾きをβと予め設定しておき、電流傾き演算装置7で算出された電流値の傾きmがこの範囲、つまり、
α<m<β
に収まっているのか、外れているのかを比較判定する。
(3)そして、外れていると判断された場合には、エッチングレート異常であると判定するものである。
【0042】
ところで、また、本発明の異常検出方法に用いるために、多くのデータを取得して解析していく際に、例えば図4に示すように、エッチング処理の途中で電流値が急変する波形部分(図4にA、Bで示すグラフの境界部分)が存在する場合があることが判明した。そして、この時の電流値の傾きから推測したエッチングレート(理論値)と実測したエッチングレート(実測値)とには、他のエッチング処理時間での理論値と実測値とに比べて、ずれ(誤差)が大きいことも判明した。
【0043】
そこで、また、本発明のドライエッチング装置の異常検出方法では、急変するグラフ部分(図4にA、Bで示すグラフの境界部分)が存在する場合には、
(1)電流傾き演算装置7で算出された電流値を微分し、この微分値よりも所定以上に急激な変化の有無を判別し、
(2)この急激な変化があると判別した場合には、その急激変化のあった時刻を中心としてその前後で電流値を分割し、
(3)それぞれの時間領域での電流値の傾きを算出する
ように構成されている。
【0044】
また、本発明のドライエッチング装置の異常検出方法では、図5に示すように、急変する波形部分(A、B)が存在する場合、算出した電流値の傾きにそれそれの時間比率を積算させて、足し合わせることで、このようなエッチング処理途中での電流値の急変する時刻の前後に亙る時間での電流値の傾きを算出するように構成してもよい。
即ち、急変する波形部分が存在する場合、電流値の急変する時刻よりも前側の時間帯において、時間差をΔtA、電流値差をΔIA、電流値の急変する時刻よりも後側の時間帯において、時間差をΔtB、電流値差をΔIBとすると、電流値の急変する時刻の前後に亙る時間での電流値の傾きIは、次式
I=ΔIA/[tA/(tA+tB)]+ΔIB/[tB/(tA+tB)]
を用いて算出するように構成されている。
【0045】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明は、内部が真空状態に保持され対電極が配設されたチャンバと、高周波電力を発生させる高周波発生源とを有し、チャンバ内の一方の電極上に載置された被加工物をエッチングするドライエッチング装置において異常を検出するための異常検出方法及び装置であって、電極に流入する高周波の電流値の傾きと加工レートに関して予め相関付けをしておき、所定の被加工膜を加工しているときの電流値の傾きを算出し、算出された電流値の傾きが予め定められている所定の範囲から外れたときに、異常であると判定するようになっている。
【0046】
従って、本発明によれば、加工処理中のレート異常などのように、被処理物に重大な影響をもたらす虞のある(プロセスの)異常を、エッチング加工作業と併行して検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のドライエッチング装置の異常検出装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明のドライエッチング装置において、エッチング膜などに積層構造を示すものであって、(A)はエッチング前の状態を示す断面図、(B)は所望の深さまでエッチングを行ったときの状態を示す断面図である。
【図3】本発明のドライエッチング装置の異常検出方法におけるエッチング処理動作の異常又は正常を判別するためのグラフ(相関関数)を示す説明図である。
【図4】エッチング処理動作における電流値の急変現象の発生状態を示す説明図である。
【図5】本発明のドライエッチング装置の異常検出方法において、図4に示すエッチング処理動作における電流値の急変現象の発生する場合に対応する判定処理方法を示す説明図である。
【図6】従来のドライエッチング装置に設けた異常検出装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 チャンバ
1A ガス導入手段
1B 圧力制御手段
11 下部電極
12 上部電極
2 高周波電源
4 インピーダンス整合器
5 電流・電圧検出器
6 電流電圧変換器
7 電流傾き演算装置(傾き算出手段)
8 異常検出装置(相関付け手段、判定手段)
9 被エッチング物(被処理物)
91 被エッチング膜
α (電流値の傾き)正常変動幅下限
β (電流値の傾き)正常変動幅上限
Claims (4)
- 内部が真空状態に保持され対電極が配設されたチャンバと、前記チャンバ内にガスを導入するガス導入手段と、高周波電力を発生させる高周波発生源とを有し、前記チャンバ内の前記一方の電極上に載置された被エッチング物をエッチングするドライエッチング装置において異常を検出するための異常検出方法であって、
前記電極に流入する高周波の電流値の傾きとエッチングレートに関して予め相関付けをしておき、
所定の被エッチング膜をエッチングしているときの電流値の傾きを算出し、
前記算出された前記電流値の傾きが予め定められている所定の範囲から外れたときに、異常であると判定することを特徴とするドライエッチング装置の異常検出方法。 - 前記電流値の傾きの算出は、
前記電流値を微分し、
前記微分による微分値より所定値以上の急変値の有無を判別し、
前記所定値を越える急変が発生する場合には、その発生時刻から前後に電流値を分割し、
それぞれの傾きを算出し演算することによって求めることを特徴とする請求項1に記載のドライエッチング装置の異常検出方法。 - 内部が真空状態に保持され対電極が配設されたチャンバと、前記チャンバ内にガスを導入するガス導入手段と、高周波電力を発生させる高周波発生源とを有し、前記チャンバ内の前記一方の電極上に載置された被エッチング物をエッチングするドライエッチング装置において異常を検出するための異常検出装置であって、
前記電極に流入する高周波の電流値の傾きとエッチングレートに関して予め相関付けをしておく相関付け手段と、
所定の被エッチング膜をエッチングしているときの電流値の傾きを算出する傾き算出手段と、
前記傾き算出手段で算出された前記電流値の傾きが予め定められている所定の範囲から外れたときに、異常であると判定する判定手段と
を備えたことを特徴とするドライエッチング装置の異常検出装置。 - 前記電流値の傾き算出手段は、
前記電流値を微分する微分手段と、
前記微分による微分値より所定値以上の急変値の有無を判別する判別手段と、
前記所定値を越える急変が発生する場合には、その発生時刻から前後に電流値を分割する分割手段と、
前記分割手段で分割された前記発生時刻から前側時刻及び後側時刻での前記電流値の傾きをそれぞれ算出し演算することによって求める演算手段と
を備えたことを特徴とすることを特徴とする請求項3に記載のドライエッチング装置の異常検出装置。
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