JP2004152246A - 地吹雪多発道路の車両走行支援システム - Google Patents
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Abstract
【課題】道路の地表近傍に地吹雪等の視程障害現象が発生のとき、または冠雪によって路面に描かれた表示が見えない道路を走行する車両のために、進路を誘導し、道路レーンの中央走行を支援し、逸脱を防止するシステムを提供する。
【解決手段】走行車線1の上空の既設の物体もしくは反射体とするために架設した架空標識3と、それらの視認を支援するための車載光学機器6の組み合わせにより、通行レーン中心線2の上空にコントラストの高い進路誘導標識を構築することにより運転者または自動操舵機器に進路情報を与えるものである。
架空標識物体4としては光反射の高い線材または反射マーカーのトレイン、もしくは浮遊粒子と固定光源による映像光芒等を用い、上空の標識が視認困難のときは、走行車両3に搭載の光学機器6の投光部により架空標識4を照射して運転者の標識の被照射部分8の視認を助け、又ビデオカメラとモニター表示画面による暗視機能やポジションセンサーによる偏位修正機能を用いる実施例により、地吹雪等の発生している道路の安全走行問題を解決するものである。
【選択図】 図2
【解決手段】走行車線1の上空の既設の物体もしくは反射体とするために架設した架空標識3と、それらの視認を支援するための車載光学機器6の組み合わせにより、通行レーン中心線2の上空にコントラストの高い進路誘導標識を構築することにより運転者または自動操舵機器に進路情報を与えるものである。
架空標識物体4としては光反射の高い線材または反射マーカーのトレイン、もしくは浮遊粒子と固定光源による映像光芒等を用い、上空の標識が視認困難のときは、走行車両3に搭載の光学機器6の投光部により架空標識4を照射して運転者の標識の被照射部分8の視認を助け、又ビデオカメラとモニター表示画面による暗視機能やポジションセンサーによる偏位修正機能を用いる実施例により、地吹雪等の発生している道路の安全走行問題を解決するものである。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、地表近傍に地吹雪・飛雪・放射霧等の視程障害現象が発生のとき、または冠雪・吹き溜まりによって、路面に描かれた表示または路側設置の標識が見えない道路を走行する車両のための、進路を誘導し、道路レーンからの逸脱を防止し、レーンの中央走行を支援するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、地吹雪または放射霧発生時の運転対策として、まず前照灯を下向き横広がりのロービームに切り替えるかフォッグランプのような黄色光線の下向きライトを点灯して、進行方向前方のホワイトアウトを防止しつつ地上のレーン中心表示線を視認しながら通行レーンの中央走行を維持するのに懸命であった。さらに冠雪や地表ブリザード等で中心線が見えなくなると路側の標識を頼りに走行を続けるか、前を走る車両が大型であればその車体上部の輪郭または上部の尾灯を見ながら後続走行するか、視線を上にあげて路側の樹木の上部あるいは周辺の地形または建造物を視認し、道路レーンの存在を推測しながら低速走行し、最小限、路面からの逸脱を防止する方法で対応しているのが実情である。
【0003】路側に配置された道路標識が識別可能であるうちは路側に寄ってでも走行持続が可能であることから、誘導標識に照明を当てて少しでも視認可能距離を延ばそうとの努力もなされているが、進路表示標識が路側に設置されているだけでは地吹雪または放射霧発生時のように地表の水平視程が悪い状態では車高の低い小型車の運転者などがしばしば立ち往生してしまうことになる。
【0004】路面埋設の発光式表示灯や自発光デリニエーターを利用した視線誘導標識も用いられている。これらは道路の誘導標識を発光体により構成したもので、照明式道路標識よりは更に視認距離を延ばすことが可能であるが、先述のとおり路面冠雪時や地表面視程が低下した状況では限度のあること同様である。
【0005】また一部の自動走行システムにおいて、路面にマーカーを埋め込む電磁誘導方式が採用されているが、車載機器費、道路施設費ともにかなりの費用を要するため、一般道路で一般車両への応用は実現が困難である。またGPSによる誘導も、道路幅の狭い国情ではレーンの逸脱防止に必要とされる精細な情報を与えるのは現状では困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】目視視程は、対象物体が自発光体においてはアラードの計算式で、非発光体のときはコシュミーダーの法則式に示されるようにそれぞれ光源光度と面照度、大気透過率と消散係数、目の光度視認能力とコントラスト判別能力によってほぼ決定されることが明らかにされている。端的に言えば、より明るく、より大きな道路標識を運転者に近づけて多数配備すれば良いことになるが、交通の妨げになり、コストも膨大な額となってしまうため実現困難である。しかしながら北国の冬期道路などにおいては部分的な視程障害の頻発する道路も多く、このような低視程時の車両走行には、動体視力・ダイナミックレンジ・形状認識能力など個人的な身体能力が複雑に関与しているため、運転者に過酷な精神的・肉体的緊張が要求され、結果的に多重追突事故多発の問題が避けられず、道路閉鎖など道路交通上大きな課題となっている。
【0007】本発明は上記の課題を解決するために、走行車線の上空の既設の架空電線や構築物、または反射体とするために架設した架空標識、もしくは上空に浮遊する粒子と固定光源によって作りだすイマジナリーな光芒等を進路誘導の標識として運転者に視認させ、さらにそれらの視認援助のための投光部および受光部にて構成される車載光学機器による安全走行システムを提案するもので、冠雪または着雪により路面または路側の標識が視認困難のとき、地吹雪等の発生している道路の走行や、先行車両の雪煙巻き上げによる路上の前方視程の障害多発時の走行の安全性を大幅に向上させることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、通常、路面に描かれている通行レーン区画線・中心表示線や、路側に多数配置されている進路誘導標識等とは別に、本発明においては、道路の通行レーンの上空の高い位置に光反射率の高いハードワイヤー等の架空線材、または多数の反射マーカーをライン状に連ねた誘導マーカートレインをトロリーの架空線のように張って進路標識とすることを第一の手段とする。長距離の道路であっても例えば飛雪防止シェルターの開口部のように地吹雪多発、吹き溜まり多発のエリアは限定的であり、誘導用架空線は光反射の良い目立つ色彩の標識線を用いても電力線と違って絶縁の必要もなく銅線の必要もないためその線材コストおよび設置費用は極めて安価である。
【0009】また短距離の多発区間にあっては、上空に可視光のイマジナリーな高光度の光ビームをワイヤーの代わりに配置し、雪粒・霧粒等による反射が進路誘導標識光芒線を形成する方法も有効である。進行方向に向かって広がりの小さな光輝度ビームを投射するにはレーザー光が最適であり、走行レーンの上空に光源機器を配置し、鏡・プリズムによって道路の屈折に対応させて区間をカバーすることも可能で、比較的ローコストにイマジナリーな架空誘導標識線を架設することができる。この手段は走行車両には機器を新設することなく、運転者の直接視認で効果が得られることから汎用性のある実施例である。この場合、運転者の視線を斜め上方に釘付けすることが危険であれば、運転席の前方に斜め上方を写すことのできる鏡を置くことにより解決することができる。
【0010】一方、地上を走行する車両に、可視から赤外にまたがる光ビームを投射する投光部(上照灯)、例えば狭ビームのフォッグランプを備え、そのビーム方向を前方斜め上方に向けて置く。一般に用いられている前照灯に対し、このような上向きの投光器は上照灯とでも呼ぶと理解が容易である。運転者は、レーンの中央の上方を示す架空マーカーの被照射部分を直接または鏡の反射像として視認しながら、又は搭載光学機器の受光部としてのビデオカメラとモニター表示画面によって、あるいはポジションセンサーを用いて中心線からのオフセンターを信号として出力し、左右に進行方向を修正しつつ正しく通行レーンの中央を走行することが可能となる。既に、路面に描かれた中心線を捕らえながら自車の進行方向を自動修正する方式は公知であって、本発明によって受光部から出力されるオフセンター信号を自動走行の入力信号に用いることも可能である。
【0011】路面の表示や前方の標識とは別に上方の進路標識線やマーカーが効果的である第一の理由は、垂直視程と水平視程に大きな差がある気象現象の積極的利用にある。この視程の鉛直プロファイルについては後述するとして、一般的な視程の定義について述べておく。
米国気象局の観測指針によれば視程の値は下記の2式で与えられている。
まず昼間など、視認対象物のコントラストを判別する能力(識別限界値ε)を基準にして視程を定義するときはコシュミーダーの法則式(1)が用いられる。
ここに ε:識別能力限界値(統計的に0.055)
T:大気空間の透過率
R:Tを計測した基底距離
V:視程
一方、夜間など、対象物の明るさを認知する能力(認知限界値 Ev)を基準として視距離を算定するときはアラードの計算式(2)が用いられる。
ここに Ev:認知能力(統計的に0.81m/km2)
T :大気空間の透過率
I :光源光度
R :Tを計測した基底距離
V :視距離
この両式から、大気空間の透過率が一定である以上、昼間はコントラストの大きな標識を、夜間にはより明るい標識を必要とするとの結論が得られる。そこで本発明にては、大気空間の透過率の良いスパンを積極的に活用する新規の車両誘導標識の構成を実現せんとするものである。
【0012】路面または路側に設置した標識類が冠雪または飛雪により見えにくくなる問題は、まず、路面の表示を用いず、次に標識類を地吹雪や巻き上げ飛雪の少ない上空に設置することで根本的に解決することができる。前掲のコシュミーダーの法則式(1)は、昼間の視程障害に際して従来方式の路面または路側の標識の見えにくさを解決するためには、標識自体の形状コントラストまたは色彩明度を高めることが必要であることを示している。ところが標識を明るくしてコントラストを高めようと自車からの前照灯ビームをアップにしても、水平視程が悪くては光が到達せず、いわゆるホワイトアウトを発生し前方が真っ白になり、目標物の視認のためには逆効果となってしまう。
【0013】夜間の運転においてはアラードの式に示されるように標識の光源光度が重要なファクターである。自発光式デリニエーターのように十分な発光強度を持つ標識が有効であるが、コスト上の問題があり、高光度の発光体を正面に配置することになり、場合によっては眩しすぎて運転者の識別限界能力を低下させ逆効果であり、対向車に与える眩しさからも高輝度の投光光度は許されない。
【0014】以上、前方標識を改良したとしても大気空間の透過率が低く、極めて低視程のときには標識の視認には限界があることを述べた。そこで本発明にては、地吹雪のときは水平視程と垂直視程の違いが極めて大きいという事実に着眼した。すなわち、上方は見えるが前方は見えないという現象である。経験的にはよく知られていることであるが、大型車では運転者の視線位置が地上から高いので前方が良く見え、小型車では殆ど前方が見えないという事例がこれを裏付けている。
また有視界飛行による航空機が着陸目的の空港の上空に至り、滑走路がよく見えるのに着陸進入が許可されない事がままある。すなわち垂直視程は良いのに管制官のいる地上での滑走路水平視程が悪いためであって、このような鉛直プロファイルの不均質な気象現象は地吹雪・地あらし・地表霧・移流霧などとして、しばしば発生することが知られている。
【0015】先述のコシュミーダーおよびアラードの両式から判るように、大気の透過率と消散係数が距離のファクターとして積算されるため、低視程領域の光線の通過スパンが短いほど減衰が少なく、標識までの距離が同じとすれば地表の水平視程が悪いときは水平方向前方の標識よりも、斜め上方に標識を設けた方が良く見えること明らかである。本発明にては前方至近距離に進路誘導標識の設置が困難な地形においても、上方の標識を視認するだけで進路を定めることが可能で、車高のクリアランスが得られる程度の上方近距離に架空標識を配置することができるため、一方向スパンによる直接視認の場合は勿論のこと、自車両から上照灯ビームを投射し架空標識からの反射光を受信する往復スパンの光線通過においても減衰の少ない投光・受光パスを用いることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、道路走行レーン1の中心線2の上方に懸架式誘導標識線4を中心線に沿って架設し、道路走行中の車両3の運転者が進行方向の上空を視認しながら走行する状況の位置関係を示す本発明の実施の形態を説明するための構成図である。以下、図面により発明の実施の形態を説明するが、これらは実施例として示しているものであって、本願請求の範囲を限定するものではなく、以下の記述全てにおいても同様である。また、本明細書においては対向車線との通行分離区分を示すラインを中央線と呼び、走行レーンの中心を示すラインを中心線と呼称し、それぞれこの意味合いを示すものとして使い分けることし、さらに説明文および図面においては対向車線および並行する走行レーンについての記述を省いて行なうものとする。
図中の構成品それぞれについて実施の形態について説明する。1は道路の車両走行レーン、2は走行レーンの中心を示す中心線である。3は走行する車両で、その上空に道路空間の最大高さ(クリアランス)を超える高さに4で示す架空標識線を中心線2に沿って懸架し、これを進路誘導標識としている。この架空標識線4を中心線2に沿った配置とせず、路側に寄せて路端9の上空に配置することによりレーン逸脱の警報標識線とすることも可能である。この場合中心線に沿った進路誘導標識線とは色または形状によって明確に区分すると良い。
【0017】図1に於いては架空標識線4としてトロリー架線のような金属ワイヤーを、懸架支線および支柱5によって中心線2の真上に、中心線に沿って配置している例を示しているが、片支柱とアームによる片釣り式、既設構築物利用のつり下げ式などいくつもの方法があり、とくに架線の材料に非金属のロープ等を用いた場合は軽量化できるため、支柱の構造・強度も大幅に簡略化が可能である。また架空標識としては太い線材に限ることなく、小型の光反射体とか着雪しにくいようにクルクルまわる風車の連続トレイン配置や、更に細い線材と反射物体との組み合わせもよく目立ち、強度上もコスト面でも効果的である。
【0018】道路の上空にハードワイヤーや反射物体のトレインを実装する代わりに、走行レーンの上方に中心線に沿って鋭いビーム光芒を配置し、大気浮遊物を反射体とすることにより架空誘導標識光芒線を作り、道路走行中の車両の運転者がそのイマジナリー進路誘導標識線を視認しながら走行する本発明の実施の形態も短い区間の進路誘導には効果的である。ビームの広がりの小さい可視光レーザーを光源とし、進行方向前方に向けて投射すれば運転者の目に障害を与える恐れもない。また実存物体による標識を、路側の高い位置に配備した照明機器によってライトアップし明度の高い誘導標識を得ることもできる。
【0019】図2は走行車両3に光学機器6を搭載した本発明の実施の形態を説明するための構成図である。搭載する光学機器としては単に運転者の視認を補助するための上方照射用投光部(上照灯)の搭載の例から、走行レーンの中心からの逸脱を検知しステアリング修正信号を送出する受光部を備えた自動操舵システムのセンサーとしての搭載例まで色々な実施例が挙げられる。すなわち、路面前方に地吹雪や先行車による巻き上げ等の視程障害事由が発生のとき、また夜間走行のときヘッドライトだけでは上方に懸架されている進路誘導標識の視認が困難の場合は、車両の前方斜め上に向かってビームを発するフオッグランプのような投光器(上照灯)を備えて架空標識を照射し視認を助ける例、また夜間でも撮像能力の高いビデオカメラを搭載し進行方向の斜め上方をモニターし、カーナビのディスプレイに表示させる例、さらには路面の中心をトレースして自動操縦する公知の技術を利用して架空標識線あるいは標識トレインからの偏位を受光部にて検出しその信号出力を自動運転システムに応用することも本発明の実施の形態の例である。ポジションセンサーは受光素子のアレイで例えばX軸上の受光結焦像の偏位の度合いを電気信号レベルにて出力する電気回路とともに受光部を構成する。この場合投光ビームを変調し、受光部回路に同期検波方式を用いることにより、背景光が明るいときや複数の投光ビームが同時に照射する場合等に特定信号のみの選別に効果的である。
【0020】図3は走行車両3に複数の投光ビームを発する投光部を光学機器6の構成品として搭載した本発明の実施の形態を説明するための俯瞰図である。投光部からの第一のビーム7は車両の進行方向の上方に向けて走行レーンの中心線に沿った架空標識4を照射し、第二のビーム7sは路側上空に張られた路端限界を示す架空標識4sを照射することによって、走行車線からの逸脱の検知をより一層確実に行なうことが可能となり、複数の架空標識の検知により本発明の安全走行を支援する効果をさらに高める実施形態である。
【0021】ここに本発明の実施例の幾つかを列挙して、それぞれの場合の発明の効果を説明しておく。
【実施例1】架空誘導標識を道路の上空に装備し、走行車両には特別な光学機器の搭載を要しない本発明の実施の実施例を列挙する。
1)既存の送電線、通信線等の支柱または支線もしくは架線を進路誘導標識の支柱・支線・架線の一部として利用した本発明の請求項1に記載の走行支援システム。新規に誘導標識架線を布設する場合に比し大幅なコスト削減が期待できる。
2)形状・色彩・反射率等、反射標識に適したワイヤーロープ、または物体を連結したトレインによって進路誘導表示ラインを構成した本発明の請求項1に記載の走行支援システム。蛍光塗料によって目立つ彩色を施したターゲットや、着雪を防ぐため「かざぐるま」のように風でくるくる回る小物体の連鎖などは注目を得やすい標識の例として好適である。
3)レーザービーム等、イマジナリーな光芒を進路誘導表示ラインとして利用した本発明の請求項1に記載の走行支援システム。ヘリウムネオンレーザーのような可視光の鋭いビーム光源機器を上空に配置し、空間浮遊粒子による散乱光が形成する光芒を進路標識とする例であるが、ハードワイヤーの場合のような着氷落下のトラブルがなく、地表視程が悪化したときのみ点灯すれば良く、また、視程良好のときは光芒の存在が気にならないメリットがある。
【実施例2】車両に搭載する光学機器の形態につき実施例を挙げる。
1)車両搭載の光学機器として前方上方を照射する投光部(上照灯)を搭載した本発明の請求項1に記載の走行支援システム。上空の架空誘導標識を道路走行中の車両が車載の上照灯により照射し、その被照射部分を運転者が視認しながら走行する本発明の基本的な実施例。
2)上空の誘導標識をを目視で視認するための鏡を運転席の近くに置き、運転者は前方を見ながらでも架空標識の像を視野の中に捕らえて走行することができる本発明の実施の形態を示す例。運転席の前のダッシュボードの上に鏡を置くだけで運転者は進路方向に視線を保持したまま上方を併せて監視することができる。
3)架空標識の映像と周囲の映像を同時に画像としてモニターするためにビデオカメラとモニターディスプレーを備えた本発明の実施例。夜間など目視では視認が困難なときでも、夜間でも撮影が可能と言われる暗視機能のあるビデオカメラの使用により一層確実に進路標識の被照射部分の像を得ることが可能となり、その画像をカーナビと同様に運転席に表示させることが可能である。
4)変調式投光器と、同期検波回路を備えた受光器を搭載し、架空標識像の捕捉度を向上させた本発明における光学機器受光部の実施例。
5)受光素子にポジションセンサーを用いて、走行レーンの中心線からの逸脱の度合いを電気信号として出力する本発明における光学機器受光部の実施例。
【実施例3】架空の進路誘導標識を中心線の上方と、走行レーンの路端上方などに複数の標識ラインを配置し、一方、車両に搭載する光学機器投光部も前方斜め上方を照射するビーム「前向き上照灯」と、路端上方の逸脱警告標識に向けて斜め横方向の上方を照射するためのビーム「斜め横向き上照灯」のように複数本組み合わせた本発明の請求項1に記載の走行支援システムの実施例。
1)標識の反射色・形状と、投光ビームの光波長をそれぞれ異なるように組み合わせることにより、特定目的の標識の効果を高めた本発明の実施例。例えば路端を示す危険標識を照射するための「斜め横向き上照灯」に赤色ビーム光を用い、進路中心標識のために前方斜め上方を照射する「前向き上照灯」には白色を用いることにより一層の安全走行支援効果を得ることができる。
2)投光部の照射方向を可動式とした本発明の請求項1に記載の走行支援システム。走行レーンの上空に中心線に沿って張られた進路誘導架空標識を捕捉するための上方のみを照射する鋭いビームの「前向き上照灯」と、路側の上方に路端に沿って懸架したレーン逸脱警告架空標識に対応する「斜め横向き上照灯」をそれぞれ個別に搭載することなく、一本の投光ビームを回転式または可動式として自車両を中心に複数の架空標識を順次認識することにより、自車両の位置を把握し道路の余裕幅を常時確認しながら走行する本発明の実施例。この場合それぞれの架空標識の形状・色彩を違えておくと更に明確に認知することができる。
3)異なる目的の誘導標識それぞれから、異なる周波数・方式による変調光を自発光または誘導標識に併設した投光装置の反射光として下方を通過する車両に与えることにより、異なる目的の誘導を行なえるようにした本発明の実施例。例えば、分岐路の上空に進行方向別の架空進路標識を設け、運転者が予めセットしておいた復調周波数・方式と合致した方向への進路誘導や自動走行が行なわれる。この方式は前方に危険な状況が有る場合の運転者に対する徐行・停止などの事前警告にも適している。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、地表近傍に放射霧・地吹雪・先行車両の巻き上げ・シェルター開口部の飛雪等の視程障害現象が発生のとき、または冠雪による路面掩蔽や吹き溜まりの積雪によって路面に描かれた表示または路側設置の標識が見えない道路を走行する車両のための、道路レーンからの逸脱を防止し、レーンの中央走行を支援するシステムに関するものであって、冬期には通行が困難とされていた道路、しばしば閉鎖せざるを得なかった道路においても必要最小限の安全通行を確保するための手段として極めて有効なシステムを提供するものである。
【0023】
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の実施の形態を説明するための、道路およびその走行中心線と、その上空に懸架した架空標識線およびその支柱と支線、ならびに走行車両の位置関係を示す構成図。
【図2】は本発明の実施の形態を説明するための、走行車両に前方上空に向けた投光部「前向き上照灯」を光学機器の構成品として搭載し、上空に架設した通行レーンの中心表示標識線を照射し進路を誘導している状況を示す本発明の実施の形態の説明図。
【図3】は前図2に示した車載光学機器として、走行レーン中心表示架線を照射する投光部「前向き上照灯」と、路側に沿ってその上空に架設した路端表示架線を照射するための投光部「斜め横向き上照灯」を搭載し、常に自車両の進行方向と通行レーン内の位置を把握することのできる本発明の実施形態を説明する俯瞰図。
【符号の説明】
1・・・道路の車両走行レーン
2・・・走行レーンの中心線
3・・・走行車両
4・・・走行レーンの中心線の上空に懸架した進路誘導のための架空標識線
4s・・・路側の上空に懸架した路端表示のための架空標識線
5・・・架空標識線を懸架するための支柱および支線
6・・・走行車両に搭載した光学機器
7・・・光学機器の投光部「前向き上照灯」から投射されたビーム光線
7s・・・光学機器の投光部「斜め横向き上照灯」から投射されたビーム光線
8・・・進路を誘導する架空標識線のうち投光ビームにより照射された部分
8s・・・路端を表示する架空標識線のうち投光ビームにより照射された部分
9・・・走行レーンの路端
【発明の属する分野】本発明は、地表近傍に地吹雪・飛雪・放射霧等の視程障害現象が発生のとき、または冠雪・吹き溜まりによって、路面に描かれた表示または路側設置の標識が見えない道路を走行する車両のための、進路を誘導し、道路レーンからの逸脱を防止し、レーンの中央走行を支援するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、地吹雪または放射霧発生時の運転対策として、まず前照灯を下向き横広がりのロービームに切り替えるかフォッグランプのような黄色光線の下向きライトを点灯して、進行方向前方のホワイトアウトを防止しつつ地上のレーン中心表示線を視認しながら通行レーンの中央走行を維持するのに懸命であった。さらに冠雪や地表ブリザード等で中心線が見えなくなると路側の標識を頼りに走行を続けるか、前を走る車両が大型であればその車体上部の輪郭または上部の尾灯を見ながら後続走行するか、視線を上にあげて路側の樹木の上部あるいは周辺の地形または建造物を視認し、道路レーンの存在を推測しながら低速走行し、最小限、路面からの逸脱を防止する方法で対応しているのが実情である。
【0003】路側に配置された道路標識が識別可能であるうちは路側に寄ってでも走行持続が可能であることから、誘導標識に照明を当てて少しでも視認可能距離を延ばそうとの努力もなされているが、進路表示標識が路側に設置されているだけでは地吹雪または放射霧発生時のように地表の水平視程が悪い状態では車高の低い小型車の運転者などがしばしば立ち往生してしまうことになる。
【0004】路面埋設の発光式表示灯や自発光デリニエーターを利用した視線誘導標識も用いられている。これらは道路の誘導標識を発光体により構成したもので、照明式道路標識よりは更に視認距離を延ばすことが可能であるが、先述のとおり路面冠雪時や地表面視程が低下した状況では限度のあること同様である。
【0005】また一部の自動走行システムにおいて、路面にマーカーを埋め込む電磁誘導方式が採用されているが、車載機器費、道路施設費ともにかなりの費用を要するため、一般道路で一般車両への応用は実現が困難である。またGPSによる誘導も、道路幅の狭い国情ではレーンの逸脱防止に必要とされる精細な情報を与えるのは現状では困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】目視視程は、対象物体が自発光体においてはアラードの計算式で、非発光体のときはコシュミーダーの法則式に示されるようにそれぞれ光源光度と面照度、大気透過率と消散係数、目の光度視認能力とコントラスト判別能力によってほぼ決定されることが明らかにされている。端的に言えば、より明るく、より大きな道路標識を運転者に近づけて多数配備すれば良いことになるが、交通の妨げになり、コストも膨大な額となってしまうため実現困難である。しかしながら北国の冬期道路などにおいては部分的な視程障害の頻発する道路も多く、このような低視程時の車両走行には、動体視力・ダイナミックレンジ・形状認識能力など個人的な身体能力が複雑に関与しているため、運転者に過酷な精神的・肉体的緊張が要求され、結果的に多重追突事故多発の問題が避けられず、道路閉鎖など道路交通上大きな課題となっている。
【0007】本発明は上記の課題を解決するために、走行車線の上空の既設の架空電線や構築物、または反射体とするために架設した架空標識、もしくは上空に浮遊する粒子と固定光源によって作りだすイマジナリーな光芒等を進路誘導の標識として運転者に視認させ、さらにそれらの視認援助のための投光部および受光部にて構成される車載光学機器による安全走行システムを提案するもので、冠雪または着雪により路面または路側の標識が視認困難のとき、地吹雪等の発生している道路の走行や、先行車両の雪煙巻き上げによる路上の前方視程の障害多発時の走行の安全性を大幅に向上させることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、通常、路面に描かれている通行レーン区画線・中心表示線や、路側に多数配置されている進路誘導標識等とは別に、本発明においては、道路の通行レーンの上空の高い位置に光反射率の高いハードワイヤー等の架空線材、または多数の反射マーカーをライン状に連ねた誘導マーカートレインをトロリーの架空線のように張って進路標識とすることを第一の手段とする。長距離の道路であっても例えば飛雪防止シェルターの開口部のように地吹雪多発、吹き溜まり多発のエリアは限定的であり、誘導用架空線は光反射の良い目立つ色彩の標識線を用いても電力線と違って絶縁の必要もなく銅線の必要もないためその線材コストおよび設置費用は極めて安価である。
【0009】また短距離の多発区間にあっては、上空に可視光のイマジナリーな高光度の光ビームをワイヤーの代わりに配置し、雪粒・霧粒等による反射が進路誘導標識光芒線を形成する方法も有効である。進行方向に向かって広がりの小さな光輝度ビームを投射するにはレーザー光が最適であり、走行レーンの上空に光源機器を配置し、鏡・プリズムによって道路の屈折に対応させて区間をカバーすることも可能で、比較的ローコストにイマジナリーな架空誘導標識線を架設することができる。この手段は走行車両には機器を新設することなく、運転者の直接視認で効果が得られることから汎用性のある実施例である。この場合、運転者の視線を斜め上方に釘付けすることが危険であれば、運転席の前方に斜め上方を写すことのできる鏡を置くことにより解決することができる。
【0010】一方、地上を走行する車両に、可視から赤外にまたがる光ビームを投射する投光部(上照灯)、例えば狭ビームのフォッグランプを備え、そのビーム方向を前方斜め上方に向けて置く。一般に用いられている前照灯に対し、このような上向きの投光器は上照灯とでも呼ぶと理解が容易である。運転者は、レーンの中央の上方を示す架空マーカーの被照射部分を直接または鏡の反射像として視認しながら、又は搭載光学機器の受光部としてのビデオカメラとモニター表示画面によって、あるいはポジションセンサーを用いて中心線からのオフセンターを信号として出力し、左右に進行方向を修正しつつ正しく通行レーンの中央を走行することが可能となる。既に、路面に描かれた中心線を捕らえながら自車の進行方向を自動修正する方式は公知であって、本発明によって受光部から出力されるオフセンター信号を自動走行の入力信号に用いることも可能である。
【0011】路面の表示や前方の標識とは別に上方の進路標識線やマーカーが効果的である第一の理由は、垂直視程と水平視程に大きな差がある気象現象の積極的利用にある。この視程の鉛直プロファイルについては後述するとして、一般的な視程の定義について述べておく。
米国気象局の観測指針によれば視程の値は下記の2式で与えられている。
まず昼間など、視認対象物のコントラストを判別する能力(識別限界値ε)を基準にして視程を定義するときはコシュミーダーの法則式(1)が用いられる。
ここに ε:識別能力限界値(統計的に0.055)
T:大気空間の透過率
R:Tを計測した基底距離
V:視程
一方、夜間など、対象物の明るさを認知する能力(認知限界値 Ev)を基準として視距離を算定するときはアラードの計算式(2)が用いられる。
ここに Ev:認知能力(統計的に0.81m/km2)
T :大気空間の透過率
I :光源光度
R :Tを計測した基底距離
V :視距離
この両式から、大気空間の透過率が一定である以上、昼間はコントラストの大きな標識を、夜間にはより明るい標識を必要とするとの結論が得られる。そこで本発明にては、大気空間の透過率の良いスパンを積極的に活用する新規の車両誘導標識の構成を実現せんとするものである。
【0012】路面または路側に設置した標識類が冠雪または飛雪により見えにくくなる問題は、まず、路面の表示を用いず、次に標識類を地吹雪や巻き上げ飛雪の少ない上空に設置することで根本的に解決することができる。前掲のコシュミーダーの法則式(1)は、昼間の視程障害に際して従来方式の路面または路側の標識の見えにくさを解決するためには、標識自体の形状コントラストまたは色彩明度を高めることが必要であることを示している。ところが標識を明るくしてコントラストを高めようと自車からの前照灯ビームをアップにしても、水平視程が悪くては光が到達せず、いわゆるホワイトアウトを発生し前方が真っ白になり、目標物の視認のためには逆効果となってしまう。
【0013】夜間の運転においてはアラードの式に示されるように標識の光源光度が重要なファクターである。自発光式デリニエーターのように十分な発光強度を持つ標識が有効であるが、コスト上の問題があり、高光度の発光体を正面に配置することになり、場合によっては眩しすぎて運転者の識別限界能力を低下させ逆効果であり、対向車に与える眩しさからも高輝度の投光光度は許されない。
【0014】以上、前方標識を改良したとしても大気空間の透過率が低く、極めて低視程のときには標識の視認には限界があることを述べた。そこで本発明にては、地吹雪のときは水平視程と垂直視程の違いが極めて大きいという事実に着眼した。すなわち、上方は見えるが前方は見えないという現象である。経験的にはよく知られていることであるが、大型車では運転者の視線位置が地上から高いので前方が良く見え、小型車では殆ど前方が見えないという事例がこれを裏付けている。
また有視界飛行による航空機が着陸目的の空港の上空に至り、滑走路がよく見えるのに着陸進入が許可されない事がままある。すなわち垂直視程は良いのに管制官のいる地上での滑走路水平視程が悪いためであって、このような鉛直プロファイルの不均質な気象現象は地吹雪・地あらし・地表霧・移流霧などとして、しばしば発生することが知られている。
【0015】先述のコシュミーダーおよびアラードの両式から判るように、大気の透過率と消散係数が距離のファクターとして積算されるため、低視程領域の光線の通過スパンが短いほど減衰が少なく、標識までの距離が同じとすれば地表の水平視程が悪いときは水平方向前方の標識よりも、斜め上方に標識を設けた方が良く見えること明らかである。本発明にては前方至近距離に進路誘導標識の設置が困難な地形においても、上方の標識を視認するだけで進路を定めることが可能で、車高のクリアランスが得られる程度の上方近距離に架空標識を配置することができるため、一方向スパンによる直接視認の場合は勿論のこと、自車両から上照灯ビームを投射し架空標識からの反射光を受信する往復スパンの光線通過においても減衰の少ない投光・受光パスを用いることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、道路走行レーン1の中心線2の上方に懸架式誘導標識線4を中心線に沿って架設し、道路走行中の車両3の運転者が進行方向の上空を視認しながら走行する状況の位置関係を示す本発明の実施の形態を説明するための構成図である。以下、図面により発明の実施の形態を説明するが、これらは実施例として示しているものであって、本願請求の範囲を限定するものではなく、以下の記述全てにおいても同様である。また、本明細書においては対向車線との通行分離区分を示すラインを中央線と呼び、走行レーンの中心を示すラインを中心線と呼称し、それぞれこの意味合いを示すものとして使い分けることし、さらに説明文および図面においては対向車線および並行する走行レーンについての記述を省いて行なうものとする。
図中の構成品それぞれについて実施の形態について説明する。1は道路の車両走行レーン、2は走行レーンの中心を示す中心線である。3は走行する車両で、その上空に道路空間の最大高さ(クリアランス)を超える高さに4で示す架空標識線を中心線2に沿って懸架し、これを進路誘導標識としている。この架空標識線4を中心線2に沿った配置とせず、路側に寄せて路端9の上空に配置することによりレーン逸脱の警報標識線とすることも可能である。この場合中心線に沿った進路誘導標識線とは色または形状によって明確に区分すると良い。
【0017】図1に於いては架空標識線4としてトロリー架線のような金属ワイヤーを、懸架支線および支柱5によって中心線2の真上に、中心線に沿って配置している例を示しているが、片支柱とアームによる片釣り式、既設構築物利用のつり下げ式などいくつもの方法があり、とくに架線の材料に非金属のロープ等を用いた場合は軽量化できるため、支柱の構造・強度も大幅に簡略化が可能である。また架空標識としては太い線材に限ることなく、小型の光反射体とか着雪しにくいようにクルクルまわる風車の連続トレイン配置や、更に細い線材と反射物体との組み合わせもよく目立ち、強度上もコスト面でも効果的である。
【0018】道路の上空にハードワイヤーや反射物体のトレインを実装する代わりに、走行レーンの上方に中心線に沿って鋭いビーム光芒を配置し、大気浮遊物を反射体とすることにより架空誘導標識光芒線を作り、道路走行中の車両の運転者がそのイマジナリー進路誘導標識線を視認しながら走行する本発明の実施の形態も短い区間の進路誘導には効果的である。ビームの広がりの小さい可視光レーザーを光源とし、進行方向前方に向けて投射すれば運転者の目に障害を与える恐れもない。また実存物体による標識を、路側の高い位置に配備した照明機器によってライトアップし明度の高い誘導標識を得ることもできる。
【0019】図2は走行車両3に光学機器6を搭載した本発明の実施の形態を説明するための構成図である。搭載する光学機器としては単に運転者の視認を補助するための上方照射用投光部(上照灯)の搭載の例から、走行レーンの中心からの逸脱を検知しステアリング修正信号を送出する受光部を備えた自動操舵システムのセンサーとしての搭載例まで色々な実施例が挙げられる。すなわち、路面前方に地吹雪や先行車による巻き上げ等の視程障害事由が発生のとき、また夜間走行のときヘッドライトだけでは上方に懸架されている進路誘導標識の視認が困難の場合は、車両の前方斜め上に向かってビームを発するフオッグランプのような投光器(上照灯)を備えて架空標識を照射し視認を助ける例、また夜間でも撮像能力の高いビデオカメラを搭載し進行方向の斜め上方をモニターし、カーナビのディスプレイに表示させる例、さらには路面の中心をトレースして自動操縦する公知の技術を利用して架空標識線あるいは標識トレインからの偏位を受光部にて検出しその信号出力を自動運転システムに応用することも本発明の実施の形態の例である。ポジションセンサーは受光素子のアレイで例えばX軸上の受光結焦像の偏位の度合いを電気信号レベルにて出力する電気回路とともに受光部を構成する。この場合投光ビームを変調し、受光部回路に同期検波方式を用いることにより、背景光が明るいときや複数の投光ビームが同時に照射する場合等に特定信号のみの選別に効果的である。
【0020】図3は走行車両3に複数の投光ビームを発する投光部を光学機器6の構成品として搭載した本発明の実施の形態を説明するための俯瞰図である。投光部からの第一のビーム7は車両の進行方向の上方に向けて走行レーンの中心線に沿った架空標識4を照射し、第二のビーム7sは路側上空に張られた路端限界を示す架空標識4sを照射することによって、走行車線からの逸脱の検知をより一層確実に行なうことが可能となり、複数の架空標識の検知により本発明の安全走行を支援する効果をさらに高める実施形態である。
【0021】ここに本発明の実施例の幾つかを列挙して、それぞれの場合の発明の効果を説明しておく。
【実施例1】架空誘導標識を道路の上空に装備し、走行車両には特別な光学機器の搭載を要しない本発明の実施の実施例を列挙する。
1)既存の送電線、通信線等の支柱または支線もしくは架線を進路誘導標識の支柱・支線・架線の一部として利用した本発明の請求項1に記載の走行支援システム。新規に誘導標識架線を布設する場合に比し大幅なコスト削減が期待できる。
2)形状・色彩・反射率等、反射標識に適したワイヤーロープ、または物体を連結したトレインによって進路誘導表示ラインを構成した本発明の請求項1に記載の走行支援システム。蛍光塗料によって目立つ彩色を施したターゲットや、着雪を防ぐため「かざぐるま」のように風でくるくる回る小物体の連鎖などは注目を得やすい標識の例として好適である。
3)レーザービーム等、イマジナリーな光芒を進路誘導表示ラインとして利用した本発明の請求項1に記載の走行支援システム。ヘリウムネオンレーザーのような可視光の鋭いビーム光源機器を上空に配置し、空間浮遊粒子による散乱光が形成する光芒を進路標識とする例であるが、ハードワイヤーの場合のような着氷落下のトラブルがなく、地表視程が悪化したときのみ点灯すれば良く、また、視程良好のときは光芒の存在が気にならないメリットがある。
【実施例2】車両に搭載する光学機器の形態につき実施例を挙げる。
1)車両搭載の光学機器として前方上方を照射する投光部(上照灯)を搭載した本発明の請求項1に記載の走行支援システム。上空の架空誘導標識を道路走行中の車両が車載の上照灯により照射し、その被照射部分を運転者が視認しながら走行する本発明の基本的な実施例。
2)上空の誘導標識をを目視で視認するための鏡を運転席の近くに置き、運転者は前方を見ながらでも架空標識の像を視野の中に捕らえて走行することができる本発明の実施の形態を示す例。運転席の前のダッシュボードの上に鏡を置くだけで運転者は進路方向に視線を保持したまま上方を併せて監視することができる。
3)架空標識の映像と周囲の映像を同時に画像としてモニターするためにビデオカメラとモニターディスプレーを備えた本発明の実施例。夜間など目視では視認が困難なときでも、夜間でも撮影が可能と言われる暗視機能のあるビデオカメラの使用により一層確実に進路標識の被照射部分の像を得ることが可能となり、その画像をカーナビと同様に運転席に表示させることが可能である。
4)変調式投光器と、同期検波回路を備えた受光器を搭載し、架空標識像の捕捉度を向上させた本発明における光学機器受光部の実施例。
5)受光素子にポジションセンサーを用いて、走行レーンの中心線からの逸脱の度合いを電気信号として出力する本発明における光学機器受光部の実施例。
【実施例3】架空の進路誘導標識を中心線の上方と、走行レーンの路端上方などに複数の標識ラインを配置し、一方、車両に搭載する光学機器投光部も前方斜め上方を照射するビーム「前向き上照灯」と、路端上方の逸脱警告標識に向けて斜め横方向の上方を照射するためのビーム「斜め横向き上照灯」のように複数本組み合わせた本発明の請求項1に記載の走行支援システムの実施例。
1)標識の反射色・形状と、投光ビームの光波長をそれぞれ異なるように組み合わせることにより、特定目的の標識の効果を高めた本発明の実施例。例えば路端を示す危険標識を照射するための「斜め横向き上照灯」に赤色ビーム光を用い、進路中心標識のために前方斜め上方を照射する「前向き上照灯」には白色を用いることにより一層の安全走行支援効果を得ることができる。
2)投光部の照射方向を可動式とした本発明の請求項1に記載の走行支援システム。走行レーンの上空に中心線に沿って張られた進路誘導架空標識を捕捉するための上方のみを照射する鋭いビームの「前向き上照灯」と、路側の上方に路端に沿って懸架したレーン逸脱警告架空標識に対応する「斜め横向き上照灯」をそれぞれ個別に搭載することなく、一本の投光ビームを回転式または可動式として自車両を中心に複数の架空標識を順次認識することにより、自車両の位置を把握し道路の余裕幅を常時確認しながら走行する本発明の実施例。この場合それぞれの架空標識の形状・色彩を違えておくと更に明確に認知することができる。
3)異なる目的の誘導標識それぞれから、異なる周波数・方式による変調光を自発光または誘導標識に併設した投光装置の反射光として下方を通過する車両に与えることにより、異なる目的の誘導を行なえるようにした本発明の実施例。例えば、分岐路の上空に進行方向別の架空進路標識を設け、運転者が予めセットしておいた復調周波数・方式と合致した方向への進路誘導や自動走行が行なわれる。この方式は前方に危険な状況が有る場合の運転者に対する徐行・停止などの事前警告にも適している。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、地表近傍に放射霧・地吹雪・先行車両の巻き上げ・シェルター開口部の飛雪等の視程障害現象が発生のとき、または冠雪による路面掩蔽や吹き溜まりの積雪によって路面に描かれた表示または路側設置の標識が見えない道路を走行する車両のための、道路レーンからの逸脱を防止し、レーンの中央走行を支援するシステムに関するものであって、冬期には通行が困難とされていた道路、しばしば閉鎖せざるを得なかった道路においても必要最小限の安全通行を確保するための手段として極めて有効なシステムを提供するものである。
【0023】
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の実施の形態を説明するための、道路およびその走行中心線と、その上空に懸架した架空標識線およびその支柱と支線、ならびに走行車両の位置関係を示す構成図。
【図2】は本発明の実施の形態を説明するための、走行車両に前方上空に向けた投光部「前向き上照灯」を光学機器の構成品として搭載し、上空に架設した通行レーンの中心表示標識線を照射し進路を誘導している状況を示す本発明の実施の形態の説明図。
【図3】は前図2に示した車載光学機器として、走行レーン中心表示架線を照射する投光部「前向き上照灯」と、路側に沿ってその上空に架設した路端表示架線を照射するための投光部「斜め横向き上照灯」を搭載し、常に自車両の進行方向と通行レーン内の位置を把握することのできる本発明の実施形態を説明する俯瞰図。
【符号の説明】
1・・・道路の車両走行レーン
2・・・走行レーンの中心線
3・・・走行車両
4・・・走行レーンの中心線の上空に懸架した進路誘導のための架空標識線
4s・・・路側の上空に懸架した路端表示のための架空標識線
5・・・架空標識線を懸架するための支柱および支線
6・・・走行車両に搭載した光学機器
7・・・光学機器の投光部「前向き上照灯」から投射されたビーム光線
7s・・・光学機器の投光部「斜め横向き上照灯」から投射されたビーム光線
8・・・進路を誘導する架空標識線のうち投光ビームにより照射された部分
8s・・・路端を表示する架空標識線のうち投光ビームにより照射された部分
9・・・走行レーンの路端
Claims (1)
- 道路の走行レーンの上空の反射物体に、走行中の自車両に搭載した光学機器または道路上空に設置した固定光源からビームを照射し、その反射物体の存在または形状もしくは光信号を、運転者の視認または車両搭載の光学機器を用いて受信することにより、車両の走行に必要な情報を入手する車両走行支援システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002354394A JP2004152246A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 地吹雪多発道路の車両走行支援システム |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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---|---|
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ID=32463351
Family Applications (1)
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JP2002354394A Pending JP2004152246A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 地吹雪多発道路の車両走行支援システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004152246A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013108860A (ja) * | 2011-11-22 | 2013-06-06 | Aisin Aw Co Ltd | 経路探索装置、経路探索方法及びプログラム |
JP2013154710A (ja) * | 2012-01-27 | 2013-08-15 | Nippon Soken Inc | 車両制御装置 |
CN106057099A (zh) * | 2016-07-15 | 2016-10-26 | 长安大学 | 一种雾霾天气公路安全警示指引系统及其方法 |
JP2017004210A (ja) * | 2015-06-09 | 2017-01-05 | 株式会社デンソー | 経路設定装置及び自動走行制御システム |
CN109360433A (zh) * | 2018-11-30 | 2019-02-19 | 山东交通学院 | 适用于雾天的道路预警系统及方法 |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002354394A patent/JP2004152246A/ja active Pending
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