JP2004151077A - 超音波伝播速度測定方法およびそれを用いた固体表面状態測定方法 - Google Patents

超音波伝播速度測定方法およびそれを用いた固体表面状態測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】送信センサ,受信センサ内での超音波伝播時間を含む測定条件が変動しても、超音波の伝播速度を正確に測定できる超音波伝播速度測定方法およびそれを用いた固体表面疲労度測定方法を提供する。
【解決手段】この発明の超音波伝播速度測定方法では、伝播距離を変えた2回の伝播時間t1,t2を測定し、内輪10の軌道面10Aを超音波の波動が伝播する速度Vを算出する。したがって、送信センサ1,受信センサ2と軌道面10Aとの間に介在させる接触媒体の特性(膜厚,粘度等)および軌道面10Aの粗さに起因した伝播時間の変動が相殺される。さらに、この2回の測定における送信プローブ22での伝播時間tpx1,tpx2と、受信プローブ32での伝播時間tpy1,tpy2を、上記2回の測定による伝播時間t1,t2から減算している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、超音波伝播速度測定方法およびそれを用いた固体表面状態測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被測定物としての固体表面に送信センサと受信センサを配置して、送信センサから固体表面に超音波を伝播させ、この超音波が受信センサに達するまでの伝播時間を測定して上記超音波が上記固体表面を伝播する伝播速度を測定する超音波伝播速度測定方法がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−313739号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記超音波伝播速度測定方法では、送信センサ,受信センサと固体表面との間に介在させる接触媒体の特性(膜厚,粘度等)および固体表面の粗さでもって、上記伝播時間が変動する。
【0005】
そこで、固体表面への送信センサと受信センサの配置を変更し、超音波の伝播距離が異なる複数回の測定を行う距離変化法が知られている。この距離変化法によれば、上記伝播時間の変動の補正が可能となる。
【0006】
しかし、上記距離変化法であっても、固体表面への送,受信センサの配置を変更することから、送,受信センサの構造にも起因して、送信センサ,受信センサ内での超音波伝播時間が変わる。
【0007】
そこで、この発明の目的は、送信センサ,受信センサ内での超音波伝播時間を含む測定条件が変動しても、超音波の伝播速度を正確に測定できる超音波伝播速度測定方法およびそれを用いた固体表面状態測定方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の超音波伝播速度測定方法は、固体部材の表面に超音波を送信する送信センサと、上記固体部材の表面を伝播する上記超音波を受信する受信センサとを用いて、上記超音波が上記固体部材の表面を伝播する伝播速度を測定する方法であって、
上記送信センサが有する振動の発振素子を、送信プローブを介して、上記固体部材の表面の第1箇所に接触,固定させる第1工程と、
上記受信センサが有する振動の受信素子を、受信プローブを介して、上記固体部材の表面の第2箇所に接触,固定させる第2工程と、
上記発振素子が発振した波動を上記受信素子で感知し、上記波動が上記発振素子から上記受信素子まで伝播する伝播時間を測定する第3工程を備え、
上記第1工程と第2工程と第3工程を含む1つの手順を、少なくとも上記第1工程の第1箇所または上記第2工程の第2箇所の一方の位置を変更して、2回行い、
1回目の手順における上記第1箇所と上記第2箇所との間の上記固体部材の表面における距離をL1(m)とし、上記1回目の手順で測定した伝播時間をt1(秒)とし、上記1回目の手順で上記発振素子から上記第1箇所まで上記波動が上記送信プローブを伝播する時間をtpx1(秒)とし、上記1回目の手順で上記第2箇所から上記受信素子まで上記波動が上記受信プローブを伝播する時間をtpy1(秒)とし、
2回目の手順で上記第1箇所と上記第2箇所との間の上記固体部材の表面における距離をL2(m)とし、上記2回目の手順で測定した伝播時間をt2(秒)とし、上記2回目の手順で上記発振素子から上記第1箇所まで上記波動が上記送信プローブを伝播する時間をtpx2(秒)とし、上記2回目の手順で上記第2箇所から上記受信素子まで上記波動が上記受信プローブを伝播する時間をtpy2(秒)として、
上記固体部材の表面を上記波動が伝播する速度V(m/秒)を、次式(1)で算出することを特徴としている。
【0009】
V=(L1−L2)/{(t1−t2)−(tpxy1−tpxy2)} …(1)
ただし、上記式(1)において、
tpxy1=tpx1+tpy1、tpxy2=tpx2+tpy2
とする。
【0010】
尚、この明細書では、表面とは、表面を含む表層部をさすものとする。例えば、この明細書では、固体部材の表面とは、固体部材の表面を含む固体部材の表層部をさすものとする。
【0011】
この請求項1の発明の超音波伝播速度測定方法では、上記のごとく伝播距離を変えた2回の伝播時間t1,t2を測定し、上記式(1)でもって、上記固体部材の表面を超音波の波動が伝播する速度Vを算出する。したがって、送信センサ,受信センサと固体表面との間に介在させる接触媒体の特性(膜厚,粘度等)および固体表面の粗さに起因した伝播時間の変動が相殺される。
【0012】
さらに、この2回の測定における送信プローブでの伝播時間tpx1,tpx2と、受信プローブでの伝播時間tpy1,tpy2を、上記(1)による算出で、上記2回の測定による伝播時間t1,t2から減算している。したがって、この発明によれば、送信センサ,受信センサ内での超音波伝播時間を含む測定条件が変動しても、超音波の伝播速度を正確に測定できる。
【0013】
また、請求項2の発明の超音波伝播速度測定方法は、請求項1に記載の超音波伝播速度測定方法において、
上記固体部材の上記表面が円筒面であり、
上記送信プローブの平面形状の送信平面を上記固体部材の上記円筒面の上記第1箇所に接触,固定させ、
上記送信センサは、上記送信平面と上記円筒面とが線接触している線に垂直で上記送信平面に平行な第1方向における上記送信プローブの送信平面の一端から上記第1箇所までの距離をxx(m)とし、
上記第1方向における上記発振素子の一端から上記送信平面に引いた垂線が上記送信平面と交わる点と上記送信平面の一端との間の距離をax(m)とし、
上記第1方向における上記発振素子の一端と他端との間の距離をbx(m)とし、
上記発振素子の他端と上記送信平面との間の距離をcx(m)とし、
上記送信平面に垂直な垂直方向と上記第1方向とに延在する平面において上記発振素子の発振面が上記送信平面に対して傾斜している傾斜角をβxとし、
上記送信プローブにおける上記波動の伝播速度がVpx(m/秒)である場合に、上記発振素子から上記第1箇所まで上記波動が上記送信プローブを伝播する時間tpx(秒)を、次式(2),(3)で算出することを特徴としている。
【0014】
tpx=hx/Vpx … (2)
hx={(ax+bx−xx)tanβx+cx}cosβx … (3)
この請求項2の超音波伝播速度測定方法では、上記(3)でもって、固体部材の円筒面に、送信プローブの送信平面を線接触させた場合に、超音波の波動が送信プローブを伝播する距離hxを算出し、式(2)で送信プローブでの伝播時間tpxを算出している。したがって、固体部材の円筒面に、送信プローブの平面形状の送信平面を線接触させる場合に、送信センサにおける上記寸法ax,bx,cxおよび角度βxと上記送信プローブの送信平面の一端から上記第1箇所までの距離xxと送信プローブにおける上記波動の伝播速度Vpxとから送信プローブでの伝播時間tpxを算出できる。
【0015】
また、請求項3の超音波伝播速度測定方法は、請求項1または2に記載の超音波伝播速度測定方法において、
上記固体部材の上記表面が円筒面であり、
上記受信プローブの平面形状の受信表面を上記固体部材の上記円筒面の上記第2箇所に接触,固定させ、
上記受信センサは、上記受信平面と上記円筒面とが線接触している線に垂直で上記受信平面に平行な第2方向における上記受信プローブの受信平面の一端から上記第2箇所までの距離をxy(m)とし、
上記第2方向における上記受信素子の一端から上記受信平面に引いた垂線が上記受信平面と交わる点と上記受信平面の一端との間の距離をay(m)とし、
上記第2方向における上記受信素子の一端と他端との間の距離をby(m)とし、
上記受信素子の他端と上記受信平面との間の距離をcy(m)とし、
上記受信平面に垂直な垂直方向と上記第2方向とに延在する平面において上記受信素子の受信面が上記受信平面に対して傾斜している傾斜角をβyとし、
上記受信プローブにおける上記波動の伝播速度がVpy(m/秒)である場合に、上記第2箇所から上記受信素子まで上記波動が上記受信プローブを伝播する時間tpy(秒)を、次式(4),(5)で算出することを特徴としている。
【0016】
tpy=hy/Vpy … (4)
hy={(ay+by−xy)tanβy+cy}cosβy … (5)
この請求項3の超音波伝播速度測定方法では、上記式(5)でもって、固体部材の円筒面に、受信プローブの受信平面を線接触させた場合に、超音波の波動が受信プローブを伝播する距離hyを算出し、式(4)で受信プローブでの伝播時間tpyを算出している。したがって、固体部材の円筒面に、受信プローブの平面形状の受信平面を線接触させる場合に、受信センサにおける上記寸法ay,by,cyおよび角度βyと上記受信プローブの受信平面の一端から上記第2箇所までの距離xyと受信プローブにおける上記波動の伝播速度Vpyとから受信プローブでの伝播時間tpyを算出できる。
【0017】
また、請求項4の超音波伝播速度測定方法は、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の超音波伝播速度測定方法において、
上記固体部材の上記表面が円筒面であり、
上記送信プローブの平面形状の送信表面が、上記固体部材の上記円筒面の第1箇所に線接触するように、上記送信センサを上記円筒面に固定すると共に、上記受信プローブの平面形状の受信表面が、上記固体部材の上記円筒面の第2箇所に線接触するように、上記受信センサを上記円筒面に固定する第1ステップと、
上記送信プローブの平面形状の送信表面が、上記固体部材の上記円筒面の第3箇所に線接触するように、上記送信センサを上記円筒面に固定すると共に、上記受信プローブの平面形状の受信表面が、上記固体部材の上記円筒面の第4箇所に線接触するように、上記受信センサを上記円筒面に固定する第2ステップとを行い、
第1ステップにおける、上記送信プローブと上記円筒面の接触線と、上記受信プローブと上記円筒面の接触線の両方に垂直な直交直線の垂直二等分線が、この垂直二等分線が上記円筒面の中心軸と交わる点と、上記直交直線が上記受信プローブと上記円筒面の接触線と交わる点とを結ぶ直線と成す角度をα1とし、
第1ステップにおける、上記送信プローブの円筒面側の底面と上記送信プローブの上記受信センサ側の側面との交線と、上記受信プローブの円筒面側の底面と上記受信プローブの上記送信センサ側の側面との交線との距離をW1とし、
第2ステップにおける、上記送信プローブと上記円筒面の接触線と、上記受信プローブと上記円筒面の接触線の両方に垂直な直交直線の垂直二等分線が、この垂直二等分線が上記円筒面の中心軸と交わる点と、上記直交直線が上記受信プローブと上記円筒面の接触線と交わる点とを結ぶ直線と成す角度をα2とし、
第2ステップにおける、上記送信プローブの円筒面側の底面と上記送信プローブの上記受信センサ側の側面との交線と、上記受信プローブの円筒面側の底面と上記受信プローブの上記送信センサ側の側面との交線との距離をW2とし、
上記円筒面の直径をdとしたとき、
以下の式(10)が成り立つ条件で第2ステップを行い、
上記円筒面の表面を上記波動が伝播する速度V(m/秒)を、以下の式(11)で算出することを特徴としている。
【0018】
W2=(W1−dsin(α1))(cos(α2)/cos(α1))+dsin(α2) … (10)
V=(L1−L2)/(t1−t2) … (11)
上記(10)式は、第1ステップにおける送信センサの接触線と送信プローブの受信センサ側の側面との距離と、第2ステップにおける送信センサの接触線と送信プローブの受信センサ側の側面との距離が同等で、かつ、第1ステップにおける受信センサの接触線と受信プローブの送信センサ側の側面との距離と、第2ステップにおける受信センサの接触線と受信プローブの送信センサ側の側面との距離が同等になる条件である。
【0019】
この請求項4の超音波伝播速度測定方法によれば、上記(10)が成り立つ条件で第2ステップを行うので、第1ステップにおける送信センサの接触線と送信プローブの受信センサ側の側面との距離と、第2ステップにおける送信センサの接触線と送信プローブの受信センサ側の側面との距離を同等にでき、かつ、第1ステップにおける受信センサの接触線と受信プローブの送信センサ側の側面との距離と、第2ステップにおける受信センサの接触線と受信プローブの送信センサ側の側面との距離を同等にできる。したがって、上記送信センサ内の発信素子から上記送信プローブと上記円筒面の接触線までの距離を、第1ステップと第2ステップで同じにでき、かつ、上記受信センサ内の受信素子から上記受信プローブと上記円筒面の接触線までの距離を、第1ステップと第2ステップで同じにできるので、第1ステップと第2ステップとで、超音波の上記送信センサおよび受信センサ内の伝播の寄与を相殺できる。すなわち、上記式(1)におけるtpxy1とtpxy2を等しくでき、上記式(1)におけるtpxy1−tpxy2をゼロにでき、上記式(1)を上記式(11)に書き換えることができる。したがって、上記送信センサ内の発信素子の位置がわからない場合や、上記受信センサ内の受信素子の位置がわからない場合であっても、超音波の上記送信センサおよび受信センサ内の伝播の寄与を相殺できるので、超音波の上記送信センサおよび受信センサ内の伝播の寄与を考慮せずに、超音波の円筒面の表面の伝播速度を精度良く測定できる。
【0020】
また、請求項5の固体表面状態測定方法は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の超音波伝播速度測定方法によって測定した上記固体部材に対する超音波の伝播速度を、ひずみを生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値、脱炭を生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値および研磨焼けを生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値の内の少なくとも1つと比較して、上記固体部材の表面のひずみ、脱炭、研磨焼けの内の少なくとも1つを判断することを特徴としている。
【0021】
固体部材の表面を伝播する超音波の伝播速度は、固体部材の表面の材質によって変化し、また、固体部材の表面の状態によっても変化する。詳細には、固体部材の表面を伝播する超音波の伝播速度は、固体部材の表面の材質ごとに変化し、また、固体部材の表面のひずみ、脱炭および研磨焼け等による劣化の度合によっても変化する。そして、ひずみの値が異常でなく、脱炭および研磨焼けがない正常な固体部材に対する超音波の伝播速度の範囲、ひずみの値が異常な固体部材に対する超音波の伝播速度の範囲、脱炭を生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の範囲および研磨焼けを生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の範囲は、夫々材質ごとに決まっている。
【0022】
上記請求項5の固体表面状態測定方法は、上記様々な超音波の伝播速度の範囲の上限や下限を所定値として、この所定値と、超音波の固体部材の表面の伝播速度の測定値とを比較して、上記固体部材の表面のひずみ、脱炭、研磨焼けの内の少なくとも1つを判断するものである。
【0023】
尚、上記ひずみを測定することで、固体表面の疲労度を測定することができる。疲労が進歩すると、ひずみが変化するからである。また、この明細書において、上記研磨焼とは、鋼製部品の表面を研磨する最終工程で、鋼製部品の表面の表面温度が上がって、鋼製部品がもう一度焼き入れされて鋼製部品の材質が再焼でかたくてもろくなったり、鋼製部品の焼戻しが生じて鋼製部品の材質が軟化したりして、出来上がった鋼製部品が、所定の規格に合わなくなる現象をいう。
【0024】
また、上記脱炭とは、酸化性の雰囲気下で鋼を加熱する時、鋼中酸素と反応することにより生じる現象であり、軸受鋼のような高炭素鋼の場合は、比較的容易に生じることが知られている。
【0025】
上記請求項5の固体表面状態測定方法によれば、上記超音波伝播速度測定方法によって測定した上記固体部材に対する超音波の伝播速度を、ひずみを生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値、脱炭を生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値および研磨焼けを生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値の内の少なくとも1つと比較して、上記固体部材の表面のひずみ、脱炭、研磨焼けの内の少なくとも1つを判断するので、上記固体部材の表面のひずみ、脱炭、研磨焼けの内の少なくとも1つを正確に測定できる。したがって、ひずみ、脱炭および研磨焼け等によって劣化して、規定の性能が発揮できなくなった固体部材の取り換え時期を正確に知ることが可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1を参照して、この発明の超音波伝播速度測定方法の第1実施形態を説明する。この第1実施形態では、固体部材を軸受の内輪10とした。
【0028】
まず、第1工程で、この内輪10の円筒形の軌道面10Aの第1箇所P1に送信センサ1の送信平面1Aを線接触させて固定させる。
【0029】
図2に示すように、この送信センサ1は、超音波を発振する発振素子21と、この発振素子21の外周面を覆う送信プローブ22を有する。この送信プローブ22は、送信平面1Aを有している。
【0030】
上記送信平面1Aと上記軌道面10Aとが線接触している線3に垂直で送信平面1Aに平行な第1方向D1における上記送信プローブ22の送信平面1Aの一端Laから送信平面1Aが上記第1箇所P1で線接触している線3までの距離をxx(m)とした。
【0031】
また、上記第1方向D1における発振素子21の一端21Aから送信平面1Aに引いた垂線が送信平面1Aと交わる点P22と送信平面1Aの一端Laとの間の距離をax(m)とした。また、第1方向D1における発振素子21の一端21Aと他端21Bとの間の距離をbx(m)とした。また、発振素子21の他端21Bと送信平面1Aとの間の距離をcx(m)とした。また、送信平面1Aに垂直な垂直方向と上記第1方向D1とに延在する平面において上記発振素子21の発振面21Cが送信平面1Aに対して傾斜している傾斜角をβxとした。これにより、発振素子21の発振面21Cから送信平面1Aの第1箇所P1までの伝播距離hxは、次の式(3)で算出される。
【0032】
また、送信プローブ22における上記超音波の波動の伝播速度をVpx(m/秒)とした。そして、上記発振素子21から上記第1箇所P1まで上記波動が上記送信プローブ22を伝播する時間tpx(秒)を、次式(2),(3)で算出する。
【0033】
tpx=hx/Vpx … (2)
hx={(ax+bx−xx)tanβx+cx}cosβx … (3)
次に、第2工程で、上記内輪10の円筒形の軌道面10Aの第2箇所P2に受信センサ2の受信平面2Aを線接触させて固定する。
【0034】
図3に示すように、この受信センサ2は、超音波を受信する受信素子31と、この受信素子31の外周面を覆う受信プローブ32を有する。この受信プローブ32は、受信平面2Aを有している。
【0035】
上記受信平面2Aと上記軌道面10Aとが線接触している線5に垂直で受信平面2Aに平行な第2方向D2における上記受信プローブ32の受信平面2Aの一端Lbから受信平面2Aが第2箇所P2で線接触している線5までの距離をxy(m)とした。
【0036】
また、上記第2方向D2における受信素子31の一端31Aから受信平面2Aに引いた垂線が受信平面2Aと交わる点P32と受信平面2Aの一端Lbとの間の距離をay(m)とした。また、第2方向D2における受信素子31の一端31Aと他端31Bとの間の距離をby(m)とした。また、受信素子31の他端31Bと受信平面2Aとの間の距離をcy(m)とした。また、受信平面2Aに垂直な垂直方向と上記第2方向D2とに延在する平面において上記受信素子31の受信面31Cが受信平面2Aに対して傾斜している傾斜角をβyとした。これにより、受信平面2Aの第2箇所P2から受信素子31の受信面31Cまでの伝播距離hyは、次の式(5)で算出される。
【0037】
また、受信プローブ32における上記超音波の波動の伝播速度をVpy(m/秒)とした。そして、上記第2箇所P2から上記受信素子31まで上記波動が上記受信プローブ32を伝播する時間tpy(秒)を、次式(4),(5)で算出する。
【0038】
tpy=hy/Vpy … (4)
hy={(ay+by−xy)tanβy+cy}cosβy … (5)
次に、第3工程で、上記発振素子21が発振した波動を上記受信素子31で感知し、上記波動が上記発振素子21から受信素子31まで伝播する伝播時間を測定する。なお、この第1実施形態では、上記送信センサ1から送信され、上記軌道面10Aに伝播させる超音波を、剪断水平波(SH波(Shear Horizontal Wave))とした。
【0039】
上記第1工程,第2工程,第3工程を1回目の手順とした。
【0040】
次に、上記送信センサ1の送信平面1Aが上記内輪10の軌道面10Aに線接触する第1箇所P1の周方向の位置を変更して、上記第1〜第3工程を再度行い、これを2回目の手順とする。
【0041】
そして、上記1回目の手順で上記第1箇所P1と上記第2箇所P2との間の上記内輪10の軌道面10Aにおける距離をL1(m)とし、上記1回目の手順で測定した伝播時間をt1(秒)とした。
【0042】
また、上記1回目の手順で上記発振素子21から上記第1箇所P1まで上記超音波の波動が上記送信プローブ22を伝播する時間tpx(秒)を、上記式(2),(3)で算出して、この算出した伝播時間tpx(秒)を、tpx1(秒)とした。また、上記1回目の手順で上記第2箇所P2から上記受信素子31まで上記波動が上記受信プローブ32を伝播する時間を、上記式(4),(5)で算出して、この算出した伝播時間tpy(秒)を、tpy1(秒)とした。
【0043】
また、上記2回目の手順で上記第1箇所P1と上記第2箇所P2との間の上記内輪の軌道面10Aにおける距離をL2(m)とし、上記2回目の手順で測定した伝播時間をt2(秒)とした。
【0044】
また、上記2回目の手順で上記発振素子21から上記第1箇所P1まで上記波動が上記送信プローブ22を伝播する時間tpx(秒)を、上記式(2),(3)で算出して、tpx2(秒)とした。また、上記2回目の手順で上記第2箇所P2から上記受信素子31まで上記波動が上記受信プローブ32を伝播する時間をtpy2(秒)とした。この伝播時間tpy2は、上記式(4),(5)で算出した。なお、この第1実施形態では、1回目と2回目とで、上記受信センサ2を動かしていないので、上記tpy2=tpy1となる。
【0045】
以上より、上記内輪10の軌道面10Aを上記超音波の波動が伝播する速度V(m/秒)を、次式(1)で算出する。
【0046】
V=(L1−L2)/{(t1−t2)−(tpxy1−tpxy2)} …(1)
ただし、上記式(1)において、
tpxy1=tpx1+tpy1、tpxy2=tpx2+tpy2
とする。
【0047】
この第1実施形態の超音波伝播速度測定方法では、上記のごとく伝播距離を変えた2回の伝播時間t1,t2を測定し、上記式(1)でもって、上記内輪10の軌道面10Aを超音波の波動が伝播する速度Vを算出する。したがって、送信センサ1,受信センサ2と軌道面10Aとの間に介在させる接触媒体(図示せず)の特性(膜厚,粘度等)および軌道面10Aの粗さに起因した伝播時間の変動が相殺される。
【0048】
さらに、この2回の測定における送信プローブ32での伝播時間tpx1,tpx2と、受信プローブ22での伝播時間tpy1,tpy2を、上記式(1)による算出で、上記2回の測定による伝播時間t1,t2から減算している。したがって、この第1実施形態によれば、送信センサ1,受信センサ2内での超音波伝播時間を含む測定条件が変動しても、超音波の伝播速度を正確に測定できる。
【0049】
また、この第1実施形態の超音波伝播速度測定方法では、上記式(3)でもって、内輪10の軌道面10Aに、送信プローブ22の送信平面1Aを線接触させ、超音波の波動が送信プローブ22を伝播する距離hxを算出し、上記式(2)で送信プローブ22での伝播時間tpx(tpx1,tpx2)を算出している。したがって、内輪10の軌道面10Aに、送信プローブ22の平面形状の送信平面1Aを線接触させる場合に、送信センサ1における上記寸法ax,bx,cxおよび角度βxと上記送信プローブ22の送信平面1Aの一端Laから上記第1箇所P1までの距離xxと送信プローブ22における上記波動の伝播速度Vpxとから送信プローブ22での伝播時間tpxを算出できる。
【0050】
また、この第1実施形態の超音波伝播速度測定方法では、上記式(5)でもって、内輪10の円筒面10Aに、受信プローブ32の受信平面2Aを線接触させ、超音波の波動が受信プローブ32を伝播する距離hyを算出し、上記式(4)で受信プローブ32での伝播時間tpy(tpy1,tpy2)を算出している。したがって、内輪10の円筒面10Aに、受信プローブ32の平面形状の受信平面2Aを線接触させる場合に、受信センサ2における上記寸法ay,by,cyおよび角度βyと上記受信プローブ32の受信平面2Aの一端Lbから上記第2箇所P2までの距離xyと受信プローブ32における上記波動の伝播速度Vpyとから受信プローブ32での伝播時間tpyを算出できる。
【0051】
また、この第1実施形態の超音波伝播速度測定方法を採用した固体表面状態測定方法によれば、上記によって測定した伝播速度を所定値と比較することで、送信センサ1,受信センサ2内での超音波伝播時間を含む測定条件が変動しても、上記固体部材としての内輪10の軌道面10Aのひずみを正確に測定できる。さらに、この値より、軌道面の疲労度を判定できる。また、軌道面の脱炭や研磨焼けの有無も判定できる。
【0052】
尚、上記第1実施形態では、2回目の手順で、送信センサ1と内輪10の軌道面10Aとの接触箇所(第1箇所)を変えたが、受信センサ2と軌道面10Aとの接触箇所(第2箇所)を変更してもよい。また、上記第1箇所と第2箇所の両方の位置を変更してもよい。
【0053】
また、上記第1実施形態では、送信センサ1,受信センサ2を内輪10の軌道面10Aに線接触させたが、面接触や点接触であってもよい。また、上記第1実施形態では、固体部材を軸受の内輪10としたが、この発明が適用できる固体部材は内輪10に限らないのは勿論である。すなわち、一例として、軸受の外輪,転動体、さらには、歯車やレール、無段変速機の摺動部品等にも適用できる。また、固体部材の表面形状としては、円筒面に限らないのは勿論であり、曲率が変化する湾曲面であってもよく、平面であってもよい。
【0054】
また、上記第1実施形態では、超音波として主振動方向が伝播方向に垂直でかつ材料の表面に略平行な方向で、かつ、材料の表面に沿って伝播するSH波を用いたが、超音波として主振動方向が材料の表面の法線方向で、かつ、材料の表面に沿って伝播する超音波である表面波を用いても良い。また、SH波と表面波以外の超音波を用いても良い。
【0055】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態の超音波伝播速度測定方法の第1ステップにおける、固体部材の一例としての軸受鋼製の内輪40の円筒面の一例としての軌道面40A上の受信センサ41と送信センサ42の配置を示す径方向の断面図であり、図5は、本発明の第2実施形態の超音波伝播速度測定方法の第2ステップにおける、上記軌道面40A上の受信センサ41と送信センサ42の配置を示す径方向の断面図である。
【0056】
この第2実施形態の超音波伝播速度測定方法は、送信センサ41から送信され、内輪40の軌道面40Aを伝播して受信センサ42で受信される超音波としてSH波を用いずに、表面波を用いた点が第1実施形態の超音波伝播速度測定方法と異なる。
【0057】
また、この第2実施形態の超音波伝播速度測定方法は、第1ステップにおける、送信プローブ(送信センサ41のハウジング)50と内輪40の軌道面40Aの接触線43と、受信プローブ(受信センサ42のハウジング)51と軌道面40Aの接触線45の両方に垂直な直交直線53における垂直二等分線55が、この垂直二等分線55が軌道面40Aの中心軸と交わる点P0と直交直線53が接触線43と交わる点とを結ぶ直線56と成す角度をα1とし、第1ステップにおける、送信プローブ50の軌道面40A側の底面60と送信プローブ50の受信センサ42側の側面61との交線62と、受信プローブ51の軌道面40A側の底面65と受信プローブ51の送信センサ41側の側面66との交線67との距離をW1とし、第2ステップにおける、送信プローブ50と内輪40の軌道面40Aの接触線73と、受信プローブ51と軌道面40Aの接触線75の両方に垂直な直交直線83における垂直二等分線85が、この垂直二等分線85が軌道面40Aの中心軸と交わる点(図示せず)と直交直線83が接触線73と交わる点とを結ぶ直線86と成す角度をα2とし、第2ステップにおける、送信プローブ50の軌道面40A側の底面60と送信プローブ50の受信センサ42側の側面61との交線92と、受信プローブ51の軌道面側40Aの底面65と受信プローブ51の送信センサ41側の側面66との交線97との距離をW2とし、内輪40の軌道面40Aの直径をdとしたとき、W1,W2,α1,α2およびdとの間に、上記式(10)(以下に再度記載する)で表わされる関係をかして第2ステップを行い、最終的に上記式(11) (以下に再度記載する)を用いて、表面波の伝播速度を測定したところが、上記第1実施形態の超音波伝播速度測定方法と異なる。
【0058】
W2=(W1−dsin(α1))(cos(α2)/cos(α1))+dsin(α2) … (10)
V=(L1−L2)/(t1−t2) … (11)
尚、図4および図5において、θ1およびθ2は、送信センサ41および受信センサ42が軌道面40Aに正確に設置されているか否かを判断するのに用いるセンサ角度である。上記センサ角度θ1およびθ2は、θ1=180°−2α1、θ2=180°−2α2という式で、上記α1およびα2と関係づけられている。
【0059】
この第2実施形態の超音波伝播速度測定方法においては、第1実施形態の超音波伝播速度測定と共通の構成、作用効果および変形例については、説明を省略し、異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
【0060】
尚、第2実施形態の超音波伝播速度測定方法において、図4における参照番号と、図5における参照番号とが、同じ場合、その参照番号が同じ構成部は、同一の構成部であるものとする。
【0061】
第1ステップにおいて、直交直線53の中点P11から接触線43までの距離K1は、
K1=(d/2)sin(α1)
で表わされる。このことから、交線62から直交直線53に下ろした垂線の足P13から、接触線43までの距離は、
K1−W1/2=(d/2)sin(α1)−W1/2
と表わされる。
【0062】
したがって、第1ステップにおける接触線43から送信センサ41の受信センサ42側の側面61までの距離X1は、以下の式(15)で表わされる。
Figure 2004151077
【0063】
また、同様に、第2ステップにおいて、直交直線83の中点P15から接触線73までの距離K2は、
K2=(d/2)sin(α2)
で表わされ、交線92から直交直線83に下ろした垂線の足P16から、接触線73までの距離K2−W2/2は、
K2−W2/2=(d/2)sin(α2)−W2/2
で表わされ、第2ステップにおける接触線73から送信センサ41の受信センサ42側の側面61までの距離X2は、以下の式(16)で表わされる。
【0064】
Figure 2004151077
ここで、第2実施形態の超音波伝播速度測定方法では、第2ステップにおける接触線73から側面61までの距離X2が、第1ステップにおける接触線43から側面61までの距離X1と等しくなるという条件、すなわち、式(15)と式(16)とが等しくなるという条件(式(17))をかして、第2ステップを行っている。
【0065】
((d/2)sin(α1)−W1/2)・(1/cos(α1))=((d/2)sin(α2)−W2/2)・(1/cos(α2))…(17)
ここで、式(17)は、
W2=(W1−dsin(α1))(cos(α2)/cos(α1))+dsin(α2)
と変形でき、上記式(10)が導かれる。このことから、第2ステップのW2に、上記式(10)の条件をかせば、第2ステップにおける接触線73から送信センサ41の受信センサ42側の側面61までの距離X2が、第1ステップにおける接触線43から送信センサ41の受信センサ42側の側面61までの距離X1と等しくなることになる。
【0066】
また、同様に、上記式(10)の条件をかせは、第2ステップにおける受信センサ42と軌道面40Aとの接触線75から受信センサ42の送信センサ41側の側面66までの距離と、第1ステップにおける受信センサ42と軌道面40Aとの接触線45から受信センサ42の送信センサ41側の側面66までの距離とが等しくなる。
【0067】
このことは、送信センサ41内の発信素子から接触線45までの距離(図2のhxに対応する距離)が、第1ステップと第2ステップで同じになり、かつ、受信センサ42内の受信素子から接触線45までの距離(図3のhyに対応する距離)が、第1ステップと第2ステップで同じになることを意味し、第1ステップと第2ステップで、上記送信センサおよび受信センサ内を伝播する表面波の寄与が相殺することを意味する。
【0068】
すなわち、上記式(1)におけるtpxy1がtpxy2と等しくなり、上記式(1)におけるtpxy1−tpxy2がゼロになり、上記式(1)が上記式(11)に帰着されることを意味する。
【0069】
このことから、第2実施形態の超音波伝播速度測定方法では、第2ステップと第2ステップを行った後、上記式(11)(以下に再度記載する)を用いて、
V=(L1−L2)/(t1−t2) … (11)
軸受鋼製の内輪40の軌道面40Aを伝播する表面波の伝播速度を測定している。
【0070】
更に、第2実施形態の超音波伝播速度測定方法では、測定した表面波の伝播速度を、ひずみを生じている軸受鋼の内輪の軌道面に対する表面波の伝播速度の所定値、脱炭を生じている軸受鋼の内輪の軌道面に対する表面波の伝播速度の所定値および研磨焼けを生じている軸受鋼の内輪の軌道面に対する表面波の伝播速度の所定値の夫々と比較して、軸受鋼の内輪40の軌道面40Aの状態(正常か、ひずみを生じているか、脱炭を生じているか、あるいは、研磨焼けを生じているか)を判断している。また、このひずみ値からは、軌道面の疲労度も判定可能である。
【0071】
上記第2実施形態の超音波伝播速度測定方法によれば、上記(10)が成り立つ条件で第2ステップを行うので、送信センサの側面から送信センサと軌道面40Aの接触線までの距離を、第1ステップと第2ステップで同等にできて、発信素子から上記接触線までの距離を、第1ステップと第2ステップで同等にできる。また、同様に、受信センサの側面から受信センサと軌道面40Aの接触線までの距離を、第1ステップと第2ステップで同等にできて、受信素子から上記接触線までの距離を、第1ステップと第2ステップで同等にできる。したがって、送信センサ41内の発信素子の位置がわからない場合や、受信センサ42内の受信素子の位置がわからない場合であっても、送信センサ41および受信センサ42内を伝播する表面波の寄与を相殺できて、軌道面40Aの表面を伝播する表面波の伝播速度を精度良く測定できる。
【0072】
また、上記第2実施形態の超音波伝播速度測定方法によれば、測定された表面波の伝播速度を、ひずみ、脱炭および研磨焼けのいずれも生じていない内輪の表面波の伝播速度の所定値、ひずみを生じている内輪の表面波の伝播速度、脱炭を生じている内輪の表面波の伝播速度の所定値および研磨焼けを生じている内輪の表面波の伝播速度の所定値の夫々と比較するので、内輪40の軌道面40Aの表面の状態(正常か、ひずみを生じているか、脱炭を生じているか、あるいは、研磨焼けを生じているか)を正確に判断できて、劣化によって耐久性等の性能で規定の性能が発揮できなくなった内輪を適切な時期に取り換えることができる。尚、SH波を用いた上記第1実施形態の超音波伝播速度測定方法においても、測定したSH波の伝播速度を、ひずみを生じている内輪の軌道面に対するSH波の伝播速度の所定値、脱炭を生じている内輪の軌道面に対するSH波の伝播速度の所定値および研磨焼けを生じている内輪の軌道面に対するSH波の伝播速度の所定値の夫々と比較して、内輪10の軌道面10Aの状態(正常か、ひずみを生じているか、疲労は進行しているか、脱炭を生じているか、あるいは、研磨焼けを生じているか)を判断できる。
【0073】
尚、上記第2実施形態の超音波伝播速度測定方法では、超音波の一例としての表面波を用いて内輪40の軌道面40Aの状態を判断したが、超音波の一例としてのSH波を用いて内輪の軌道面の状態を判断しても良いことは勿論である。また、表面波およびSH波以外の超音波を用いて内輪の軌道面の状態を判断しても良い。
【0074】
また、上記第2実施形態の超音波伝播速度測定方法では、固体部材として、軸受の内輪40を採用したが、固体部材として、軸受の外輪、軸受の転動体、歯車、レール、無段変速機の摺動部品等を採用しても良い。
【0075】
また、上記第2実施形態の超音波伝播速度測定方法では、固体部材として軸受鋼製の内輪40を用いたが、軸受鋼以外から成る固体部材を用いてもよい。
【0076】
尚、上記第2実施形態の超音波伝播速度測定方法では、第2ステップにおいて、式(10)を満たすように、W2およびα2を設定するようにしたが、α2を設定してから式(10)を満たすようにW2を設定すると、送信センサおよび受信センサの円筒面への設置が容易になる。しかしながら、W2を設定してから式(10)を満たすようにα2を設定するようにして、送信センサおよび受信センサを円筒面に設置しても良い。
【0077】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の超音波伝播速度測定方法では、上記のごとく伝播距離を変えた2回の伝播時間t1,t2を測定し、上記式(1)でもって、上記固体部材の表面を超音波の波動が伝播する速度Vを算出する。したがって、送信センサ,受信センサと固体表面との間に介在させる接触媒体の特性(膜厚,粘度等)および固体表面の粗さに起因した伝播時間の変動が相殺される。さらに、この2回の測定における送信プローブでの伝播時間tpx1,tpx2と、受信プローブでの伝播時間tpy1,tpy2を、上記(1)による算出で、上記2回の測定による伝播時間t1,t2から減算している。したがって、この発明によれば、送信センサ,受信センサ内での超音波伝播時間を含む測定条件が変動しても、超音波の伝播速度を正確に測定できる。
【0078】
また、上記式(10)をかして、この発明の超音波伝播速度測定方法を行えば、超音波の送信センサおよび受信センサ内部の伝播の寄与を考慮する必要がなくて、式(11)でもって、上記固体部材の表面を超音波が伝播する速度Vを簡単、かつ、精密に測定できる。
【0079】
また、この発明の超音波伝播速度速度測定方法で測定した超音波の伝播速度を、ひずみを生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値、脱炭を生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値および研磨焼けを生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値の内の少なくとも1つと比較して、上記固体部材の表面のひずみ、脱炭、研磨焼けの内の少なくとも1つを判断するので、上記固体部材の表面のひずみ、脱炭、研磨焼けの内の少なくとも1つを正確に測定できて、ひずみ、脱炭および研磨焼け等によって劣化して、規定の性能が発揮できなくなった固体部材の取り換え時期を正確に知ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の超音波伝播速度測定方法の第1実施形態を説明するための模式図である。
【図2】上記第1実施形態における送信センサの構造を示す模式図である。
【図3】上記第1実施形態における受信センサの構造を示す模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態の超音波伝播速度測定方法の第1ステップにおける、内輪の軌道面上の受信センサと送信センサの配置を示す径方向の断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の超音波伝播速度測定方法の第2ステップにおける、内輪の軌道面上の受信センサと送信センサの配置を示す径方向の断面図である。
【符号の説明】
1, 41 送信センサ
1A 送信平面
2, 42 受信センサ
2A 受信平面
3, 5 線
10, 40 内輪
10A, 40A 軌道面
21 発振素子
21C 発振面
22, 50 送信プローブ
31 受信素子
31C 受信面
32, 51 受信プローブ
P1 第1箇所
P2 第2箇所
D1 第1方向
D2 第2方向

Claims (5)

  1. 固体部材の表面に超音波を送信する送信センサと、上記固体部材の表面を伝播する上記超音波を受信する受信センサとを用いて、上記超音波が上記固体部材の表面を伝播する伝播速度を測定する方法であって、
    上記送信センサが有する振動の発振素子を、送信プローブを介して、上記固体部材の表面の第1箇所に接触,固定させる第1工程と、
    上記受信センサが有する振動の受信素子を、受信プローブを介して、上記固体部材の表面の第2箇所に接触,固定させる第2工程と、
    上記発振素子が発振した波動を上記受信素子で感知し、上記波動が上記発振素子から上記受信素子まで伝播する伝播時間を測定する第3工程を備え、
    上記第1工程と第2工程と第3工程を含む1つの手順を、少なくとも上記第1工程の第1箇所または上記第2工程の第2箇所の一方の位置を変更して、2回行い、
    1回目の手順における上記第1箇所と上記第2箇所との間の上記固体部材の表面における距離をL1(m)とし、上記1回目の手順で測定した伝播時間をt1(秒)とし、上記1回目の手順で上記発振素子から上記第1箇所まで上記波動が上記送信プローブを伝播する時間をtpx1(秒)とし、上記1回目の手順で上記第2箇所から上記受信素子まで上記波動が上記受信プローブを伝播する時間をtpy1(秒)とし、
    2回目の手順で上記第1箇所と上記第2箇所との間の上記固体部材の表面における距離をL2(m)とし、上記2回目の手順で測定した伝播時間をt2(秒)とし、上記2回目の手順で上記発振素子から上記第1箇所まで上記波動が上記送信プローブを伝播する時間をtpx2(秒)とし、上記2回目の手順で上記第2箇所から上記受信素子まで上記波動が上記受信プローブを伝播する時間をtpy2(秒)として、
    上記固体部材の表面を上記波動が伝播する速度V(m/秒)を、次式(1)で算出することを特徴とする超音波伝播速度測定方法。
    V=(L1−L2)/{(t1−t2)−(tpxy1−tpxy2)} …(1)
    ただし、上記式(1)において、
    tpxy1=tpx1+tpy1、tpxy2=tpx2+tpy2
    とする。
  2. 請求項1に記載の超音波伝播速度測定方法において、
    上記固体部材の上記表面が円筒面であり、
    上記送信プローブの平面形状の送信平面を上記固体部材の上記円筒面の上記第1箇所に接触,固定させ、
    上記送信センサは、上記送信平面と上記円筒面とが線接触している線に垂直で上記送信平面に平行な第1方向における上記送信プローブの送信平面の一端から上記第1箇所までの距離をxx(m)とし、
    上記第1方向における上記発振素子の一端から上記送信平面に引いた垂線が上記送信平面と交わる点と上記送信平面の一端との間の距離をax(m)とし、
    上記第1方向における上記発振素子の一端と他端との間の距離をbx(m)とし、
    上記発振素子の他端と上記送信平面との間の距離をcx(m)とし、
    上記送信平面に垂直な垂直方向と上記第1方向とに延在する平面において上記発振素子の発振面が上記送信平面に対して傾斜している傾斜角をβxとし、
    上記送信プローブにおける上記波動の伝播速度がVpx(m/秒)である場合に、上記発振素子から上記第1箇所まで上記波動が上記送信プローブを伝播する時間tpx(秒)を、次式(2),(3)で算出することを特徴とする超音波伝播速度測定方法。
    tpx=hx/Vpx … (2)
    hx={(ax+bx−xx)tanβx+cx}cosβx … (3)
  3. 請求項1または2に記載の超音波伝播速度測定方法において、
    上記固体部材の上記表面が円筒面であり、
    上記受信プローブの平面形状の受信表面を上記固体部材の上記円筒面の上記第2箇所に接触,固定させ、
    上記受信センサは、上記受信平面と上記円筒面とが線接触している線に垂直で上記受信平面に平行な第2方向における上記受信プローブの受信平面の一端から上記第2箇所までの距離をxy(m)とし、
    上記第2方向における上記受信素子の一端から上記受信平面に引いた垂線が上記受信平面と交わる点と上記受信平面の一端との間の距離をay(m)とし、
    上記第2方向における上記受信素子の一端と他端との間の距離をby(m)とし、
    上記受信素子の他端と上記受信平面との間の距離をcy(m)とし、
    上記受信平面に垂直な垂直方向と上記第2方向とに延在する平面において上記受信素子の受信面が上記受信平面に対して傾斜している傾斜角をβyとし、
    上記受信プローブにおける上記波動の伝播速度がVpy(m/秒)である場合に、上記第2箇所から上記受信素子まで上記波動が上記受信プローブを伝播する時間tpy(秒)を、次式(4),(5)で算出することを特徴とする超音波伝播速度測定方法。
    tpy=hy/Vpy … (4)
    hy={(ay+by−xy)tanβy+cy}cosβy … (5)
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の超音波伝播速度測定方法において、
    上記固体部材の上記表面が円筒面であり、
    上記送信プローブの平面形状の送信表面が、上記固体部材の上記円筒面の第1箇所に線接触するように、上記送信センサを上記円筒面に固定すると共に、上記受信プローブの平面形状の受信表面が、上記固体部材の上記円筒面の第2箇所に線接触するように、上記受信センサを上記円筒面に固定する第1ステップと、
    上記送信プローブの平面形状の送信表面が、上記固体部材の上記円筒面の第3箇所に線接触するように、上記送信センサを上記円筒面に固定すると共に、上記受信プローブの平面形状の受信表面が、上記固体部材の上記円筒面の第4箇所に線接触するように、上記受信センサを上記円筒面に固定する第2ステップとを行い、
    第1ステップにおける、上記送信プローブと上記円筒面の接触線と、上記受信プローブと上記円筒面の接触線の両方に垂直な直交直線の垂直二等分線が、この垂直二等分線が上記円筒面の中心軸と交わる点と、上記直交直線が上記受信プローブと上記円筒面の接触線と交わる点とを結ぶ直線と成す角度をα1とし、
    第1ステップにおける、上記送信プローブの円筒面側の底面と上記送信プローブの上記受信センサ側の側面との交線と、上記受信プローブの円筒面側の底面と上記受信プローブの上記送信センサ側の側面との交線との距離をW1とし、
    第2ステップにおける、上記送信プローブと上記円筒面の接触線と、上記受信プローブと上記円筒面の接触線の両方に垂直な直交直線の垂直二等分線が、この垂直二等分線が上記円筒面の中心軸と交わる点と、上記直交直線が上記受信プローブと上記円筒面の接触線と交わる点とを結ぶ直線と成す角度をα2とし、
    第2ステップにおける、上記送信プローブの円筒面側の底面と上記送信プローブの上記受信センサ側の側面との交線と、上記受信プローブの円筒面側の底面と上記受信プローブの上記送信センサ側の側面との交線との距離をW2とし、
    上記円筒面の直径をdとしたとき、
    以下の式(10)が成り立つ条件で第2ステップを行い、
    上記円筒面の表面を上記波動が伝播する速度V(m/秒)を、以下の式(11)で算出することを特徴とする超音波伝播速度測定方法。
    W2=(W1−dsin(α1))(cos(α2)/cos(α1))+dsin(α2) … (10)
    V=(L1−L2)/(t1−t2) … (11)
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の超音波伝播速度測定方法によって測定した上記固体部材に対する超音波の伝播速度を、ひずみを生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値、脱炭を生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値および研磨焼けを生じている固体部材に対する超音波の伝播速度の所定値の内の少なくとも1つと比較して、上記固体部材の表面のひずみ、脱炭、研磨焼けの内の少なくとも1つを判断する固体表面状態測定方法。
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JP2004184378A (ja) * 2002-12-06 2004-07-02 Koyo Seiko Co Ltd 鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査方法
JP2017032478A (ja) * 2015-08-05 2017-02-09 株式会社神戸製鋼所 残留応力評価方法

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