JP2004150844A - 発電機の絶縁診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発電機の主回路絶縁の劣化状況を確認するため絶縁抵抗を測定する方法や耐圧試験装置を用い漏れ電流を測定する方法があるが、専用設備を必要とする場合もあり、実施に際し、不便なものも多く、必然的に実施回数が少なくなり絶縁劣化の前兆現象を見逃すケースが多かった。そのため、時系列的な絶縁特性の判断も行われにくいものであった。そこで、発電機の主回路に絶縁診断装置を設け容易に絶縁特性の診断が行われる装置を提供する。
【解決手段】発電主回路の変圧器の2次側に切換スイッチを介して電源部を設け、この電源部の電圧/周波数を検出する検出部と、発電機漏れ電流継電器と、この漏れ電流値と検出部の電圧/周波数とにより主回路と発電機ケース間の静電容量を演算する演算部とを備え、切換スイッチを切り換えることにより、静電容量演算部で静電容量値を演算する装置を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】発電主回路の変圧器の2次側に切換スイッチを介して電源部を設け、この電源部の電圧/周波数を検出する検出部と、発電機漏れ電流継電器と、この漏れ電流値と検出部の電圧/周波数とにより主回路と発電機ケース間の静電容量を演算する演算部とを備え、切換スイッチを切り換えることにより、静電容量演算部で静電容量値を演算する装置を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、発電機の主回路巻線の絶縁耐力を評価する絶縁診断装置に関するものであり、特に中小容量の自家用発電設備の発電機に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、発電機や電動機の主回路絶縁の経年変化に伴う劣化状況を確認し、その絶縁特性の良否を判断するためには、絶縁抵抗を測定する方法や耐圧試験装置を用い漏れ電流を測定する方法やtanφを測定する方法がある。しかしながら、これ等の方法による従来の絶縁診断装置は、耐圧試験装置等の専用設備を必要とする場合もあり、大がかりな準備作業を必要とし、実施に際して不便なものが多く、必然的に実施回数が少なくなり、絶縁劣化の前兆現象を見逃す恐れが多かった。また、上記方法は、発電機や電動機の故障発生時に、原因究明用として用いられるケースが多く、時系列的な絶縁特性の判断は行われにくいものであった。
これらの課題を解消するため、インバータ駆動の電動機において、電動機停止中にインバータから電動機に高周波パルスを印加して漏れ電流を計測し、絶縁診断を行うものがある。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】
特開2001−141795号公報(第7頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、従来の絶縁診断装置は、専用設備を要し、使用に不便なものが多く、かつ定期的な診断が実施されにくいものであった。また、前記特許文献1に示されているものは、インバータ駆動の電動機であり、インバータ装置を具備しない発電機には適用できないものであった。
この発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、発電機の主回路の変圧器の2次側に切換スイッチを介した診断装置を設けることによって、専用設備を準備する必要なく、定期的な絶縁診断が容易に実施可能となる絶縁診断装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発電機の絶縁診断装置であって、発電機の主回路に接続された変圧器と、変圧器の2次側に切換スイッチを介して設けられた電源部と、電源部の出力する電圧と周波数を検出する検出部と、発電機の接地漏れ電流を検出する漏れ電流継電器と、漏れ電流継電器で検出された電流値および検出部で検出された電源部の出力する電圧と周波数とにより、発電機主回路と発電機ケースとの間の静電容量値を演算する演算部とを備え、
切換スイッチを変圧器の2次側に切り換え、演算部で静電容量値を演算するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1〜図3に基づいて説明する。
図1は電力会社発電所や自家発電所等に設置された発電機11の絶縁特性を診断する絶縁診断装置200を示すブロック図である。図1において、発電機11とこの発電機11の固定子巻線とケース13間には静電容量12が存在し、接地線14を介し接地される。
漏れ電流継電器15は漏れ電流を電子データに変換し、送信する機能を有している。変圧器17は前記発電機11の主回路16に設けられ前記発電機11の出力は交流遮断器19を介し送電されると共にAVR121で制御されている。絶縁診断するための装置である電源部122とこの電源部122の電圧を測定するための計器用変圧器123が、前記AVR121と切換スイッチ18を介して前記変圧器17に接続されていて、発電機11の運転時にはAVR121側へ、絶縁診断時には電源部122側へと切り換えられる。交流電圧/周波数検出部111は前記計器用変圧器123からの電気信号に基づいて、電源部122の出力する電圧、周波数を検出し、電子データに変換して出力する機能を有する。静電容量演算部110は、前記漏れ電流継電器15から受信した電流値と、交流電圧/周波数検出部111から受信した電圧と周波数とにより、静電容量を検出する演算部である。静電容量比較部112は、前記演算された静電容量値と、予め設定された値を記憶した静電容量値とを比べる比較部で、比較した比率が予め定められた値以上になるとアラーム部113より警報を発する。
図2は静電容量の分布を示すものであり、図2において、静電容量12は発電機主回路端子21につながる発電機主回路とケース13間に存在するものを示し、前記ケース13にはアース端子23が設けられている。
【0007】
次に動作について、図1、図2によって説明する。
発電機を通常運用する際、発電機11にて発生した電力を交流遮断器19を閉路することにより送電する。絶縁診断は、発電機停止状態における状態、つまり発電機11には電圧が発生しておらず、交流遮断器19も開路状態である場合に行う。
発電機主回路16に接続されている変圧器17は、通常発電機運転中に発生する主回路電圧を励磁回路や計装回路に使用する電圧に降圧するもので、発電機停止中は無励磁状態である。まず切換スイッチ18を電源部122に切り替える。この実施の形態1の電源部122は商用電源とし、商用の電圧周波数を出力するものである。変圧器17は二次側より、電源部122からの印加電圧により逆励磁すると、変圧器17の一次側には変圧器17の巻数比に比例した電圧が誘起され発電機主回路16側に印加される。変圧器17を逆励磁すれば主回路16に電圧が印加され、変圧器17の1相を接地線14にて発電機ケース13に接続しておくことにより、接地線14に静電容量12に応じた漏れ電流が流れる。漏れ電流は変圧器17の1相が接地線14にて接続されていることから図1の114に示す閉回路間を流れる。これを漏れ電流継電器15にて検出・計測し、漏れ電流継電器15からの電子データに変換された電流値と、交流電圧/周波数検出部111からの電源部122の電圧/周波数とが静電容量演算部110に入力される。変圧器17の巻線比は、予め、図示しない手段により静電容量演算部110に入力されていて、その値と交流電圧/周波数検出部111の電圧及び周波数とにより発電機11の主回路16へ印加される電圧が静電容量演算部110により演算される。静電容量演算部110はこの演算された主回路16の電圧及び周波数と漏れ電流継電器15からの電流の電子データより発電機11の固定子巻線と発電機ケース13間のインピーダンスを算出し、静電容量値を導出する。通常、発電機主回路16の絶縁耐力が低下するとともに、発電機主回路16−ケース13間の静電容量が増加する。従って、上記静電容量演算部110により導出された静電容量値が大きいことは絶縁耐力が低下することを意味する。得られた静電容量は同じ発電機11でもその据付状態により異なる。しかし、据付時の静電容量値を基準値として設定し、その値と比較し、静電容量値の増加の割合で絶縁劣化の状態を評価する。ここでは1回目の絶縁診断プロセス時に得られた静電容量値を基準値として静電容量演算部110のメモリ内にストアする。2回目以降のプロセスであれば、ストアされた基準値と導出された静電容量は、静電容量比較部112に送出され予め記憶しておいた値を演算した値とを比較し、任意の既定値、例えば静電容量が2倍以上となった際には、絶縁耐力が低下している旨を知らせるアラームをアラーム部113により発報する。
【0008】
以上の動作をまとめたものが図3に示す絶縁診断フロー図であり、フロー番号31〜38にて各ステップを示す。
なお、この実施の形態1による絶縁診断装置は図1に示したように、静電容量演算部110、交流電圧/周波数検出部111、静電容量比較部112、アラーム部113、電源部122の各構成要素によって構成されているが、これらの各構成要素は従来のような特別の設備として準備されるものでなく、図示省略した発電機の制御装置内に組み込まれるものである。従って発電機の運転停止中であれば本装置を利用して任意の機会に簡便に絶縁診断を行うことができ、また据付後の経年時変化も容易に把握できるという効果を奏する。
【0009】
実施の形態2.
実施の形態1による絶縁診断装置では、電源部122が商用電源を出力するものであるので、低コストで簡便性があるが、静電容量算出の正確度がやや劣るという点を有している。この実施の形態2ではそれを改善するものである。
以下、前記した図1によって説明する。実施の形態2では図1に示した電源部122を高周波電源とするものである。すなわち、IGBTやサイリスタ等の半導体スイッチング素子と、印加する周波数を設定し出力する周波数設定部と、前記周波数設定部にて設定された周波数に応じたパルスを発生させ前記半導体スイッチング素子にパルスを出力するパルス発生器によって構成され、高周波パルスを出力するものである。
次に、動作について説明する。
前記高周波電源部122に設けられた周波数設定部にて商用電源より高い周波数、例えば1KHzの周波数を設定を行う。この設定された周波数に応じた周波数のパルスをパルス発生器が発生し、前記スイッチング素子の各制御電極に印加する。これによりスイッチング素子はこの周波数の交流電圧を生成する。この交流電圧は図1に示した変圧器17の二次側を逆励磁し、巻線比に比例した電圧を変圧器17の一次側に誘起し、発電機主回路16に印加される。以後、アラーム部113からアラームを発するまでは実施の形態1と同様であり説明を省略する。なお、この実施の形態2の絶縁診断装置の各構成要素も発電機の制御装置内に設けられている。
以上のように、この実施の形態2では、変圧器17の2次側より逆印加する際の電源として、高周波パルスを出力する電源を用いているので、発電機11の固定子巻線と発電機ケース13間の静電容量に起因するインピーダンスが低下し、漏れ電流が大きくなる。これはノイズなどに左右されない正確な漏れ電流を知り、より正確な静電容量値を把握し、その結果として信頼性の高い絶縁診断装置が得られるという効果を奏する。
【0010】
実施の形態3.
前記した実施の形態1及び実施の形態2では、それぞれ得られた静電容量値を、基準値と比較し、その値が予め定められた値となった際にアラームを発報し、ユーザに絶縁レベルの低下を知らせるものであった。しかしながら、発電所に設置された発電機の場合、その公共性からアラーム発報時に即応した措置が必ずしもとれない場合が多い。この実施の形態3ではアラーム発報の時期を予め予知可能な絶縁診断装置を提供するものである。つまり、前記した図1の静電容量比較部112内に比較値を記憶するメモリーと、前記比較値を表示する表示部とを設けている。以下、実施の形態3について図4及び図5により説明する。
図4に示すフローは実施の形態1に示した図3のフローに、絶縁診断試験毎のデータをストアするメモリ(フロー番号51)と、絶縁レベルを表示部上に視覚的に出力するディスプレイ(フロー番号52)を加えたものである。静電容量比較部112に設けられた表示部上の出力例を図5に示す。図5の出力例においては、横軸に振付からの経過年月日を、縦軸には基準値と測定した年月日の静電容量との比を取っている。
次に、動作について説明する。
前記したように静電容量演算部110で導出された静電容量値を据付直後の静電容量と比較し、その比を据付日からの日数と共にメモリにストアする。これを図5に示すように履歴表示させることにより現地据付日からの絶縁レベルの推移を視覚的に把握することが可能となる。図5では、例えばレベル2以上を絶縁特性が劣化した要観察ゾーンとしている。このゾーンに入ると発電機のオーバホールを行うと設定しておけばオーバホールが必要となる時期の予測が可能となる。従って、レベル2に達する時期と別途設定される運転スケジュールで発電機11を停止してオーバホールできる時期とを比較検討し、適切な処置をタイムリーに実施できるという効果がある。また蓄積される測定された静電容量値と基準値との比のデータと共に、測定時の気温や湿度も合わせ保存することにより絶縁レベルを低下させる要因についても評価することが出来ることは言うまでもない。
【0011】
【発明の効果】
この発明は以上述べたような構成をもつ発電機の絶縁診断装置であるので、以下のような効果を奏する。
【0012】
発電機の主回路に接続された変圧器と、変圧器の2次側に切換スイッチを介して設けられた電源部と、電源部の出力する電圧と周波数を検出する検出部と、発電機の接地漏れ電流を検出する漏れ電流継電器と、漏れ電流継電器で検出された電流値および検出部で検出された電源部の出力する電圧と周波数とにより、発電機主回路と発電機ケースとの間の静電容量値を演算する演算部とを備え、
切換スイッチを変圧器の2次側に切り換え、演算部で静電容量値を演算するものであるので、特別の専用設備の準備する必要がなく、発電機の運転停止中であれば任意の機会に簡便にかつ、特別の技術を必要とすることなく絶縁診断を行うことができるとともに、絶縁特性の経年的変化も容易に把握できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による発電機の絶縁診断装置を示すブロック図である。
【図2】発電機の静電容量の分布を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による絶縁診断を示すフロー図である。
【図4】この発明の実施の形態3による絶縁診断を示すフロー図である。
【図5】この発明の実施の形態3による表示部の出力例を示す図である。
【符号の説明】
11 発電機、12 発電機の固定子巻線と発電機ケース間の静電容量、
13 発電機ケース、15 漏れ電流継電器、16 発電機主回路、
17 変圧器、18 切換スイッチ、110 静電容量演算部、
111 電圧/周波数検出部、112 静電容量比較部、113 アラーム部、122 電源部、200 絶縁診断装置。
【発明の属する技術分野】
この発明は、発電機の主回路巻線の絶縁耐力を評価する絶縁診断装置に関するものであり、特に中小容量の自家用発電設備の発電機に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、発電機や電動機の主回路絶縁の経年変化に伴う劣化状況を確認し、その絶縁特性の良否を判断するためには、絶縁抵抗を測定する方法や耐圧試験装置を用い漏れ電流を測定する方法やtanφを測定する方法がある。しかしながら、これ等の方法による従来の絶縁診断装置は、耐圧試験装置等の専用設備を必要とする場合もあり、大がかりな準備作業を必要とし、実施に際して不便なものが多く、必然的に実施回数が少なくなり、絶縁劣化の前兆現象を見逃す恐れが多かった。また、上記方法は、発電機や電動機の故障発生時に、原因究明用として用いられるケースが多く、時系列的な絶縁特性の判断は行われにくいものであった。
これらの課題を解消するため、インバータ駆動の電動機において、電動機停止中にインバータから電動機に高周波パルスを印加して漏れ電流を計測し、絶縁診断を行うものがある。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】
特開2001−141795号公報(第7頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、従来の絶縁診断装置は、専用設備を要し、使用に不便なものが多く、かつ定期的な診断が実施されにくいものであった。また、前記特許文献1に示されているものは、インバータ駆動の電動機であり、インバータ装置を具備しない発電機には適用できないものであった。
この発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、発電機の主回路の変圧器の2次側に切換スイッチを介した診断装置を設けることによって、専用設備を準備する必要なく、定期的な絶縁診断が容易に実施可能となる絶縁診断装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発電機の絶縁診断装置であって、発電機の主回路に接続された変圧器と、変圧器の2次側に切換スイッチを介して設けられた電源部と、電源部の出力する電圧と周波数を検出する検出部と、発電機の接地漏れ電流を検出する漏れ電流継電器と、漏れ電流継電器で検出された電流値および検出部で検出された電源部の出力する電圧と周波数とにより、発電機主回路と発電機ケースとの間の静電容量値を演算する演算部とを備え、
切換スイッチを変圧器の2次側に切り換え、演算部で静電容量値を演算するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1〜図3に基づいて説明する。
図1は電力会社発電所や自家発電所等に設置された発電機11の絶縁特性を診断する絶縁診断装置200を示すブロック図である。図1において、発電機11とこの発電機11の固定子巻線とケース13間には静電容量12が存在し、接地線14を介し接地される。
漏れ電流継電器15は漏れ電流を電子データに変換し、送信する機能を有している。変圧器17は前記発電機11の主回路16に設けられ前記発電機11の出力は交流遮断器19を介し送電されると共にAVR121で制御されている。絶縁診断するための装置である電源部122とこの電源部122の電圧を測定するための計器用変圧器123が、前記AVR121と切換スイッチ18を介して前記変圧器17に接続されていて、発電機11の運転時にはAVR121側へ、絶縁診断時には電源部122側へと切り換えられる。交流電圧/周波数検出部111は前記計器用変圧器123からの電気信号に基づいて、電源部122の出力する電圧、周波数を検出し、電子データに変換して出力する機能を有する。静電容量演算部110は、前記漏れ電流継電器15から受信した電流値と、交流電圧/周波数検出部111から受信した電圧と周波数とにより、静電容量を検出する演算部である。静電容量比較部112は、前記演算された静電容量値と、予め設定された値を記憶した静電容量値とを比べる比較部で、比較した比率が予め定められた値以上になるとアラーム部113より警報を発する。
図2は静電容量の分布を示すものであり、図2において、静電容量12は発電機主回路端子21につながる発電機主回路とケース13間に存在するものを示し、前記ケース13にはアース端子23が設けられている。
【0007】
次に動作について、図1、図2によって説明する。
発電機を通常運用する際、発電機11にて発生した電力を交流遮断器19を閉路することにより送電する。絶縁診断は、発電機停止状態における状態、つまり発電機11には電圧が発生しておらず、交流遮断器19も開路状態である場合に行う。
発電機主回路16に接続されている変圧器17は、通常発電機運転中に発生する主回路電圧を励磁回路や計装回路に使用する電圧に降圧するもので、発電機停止中は無励磁状態である。まず切換スイッチ18を電源部122に切り替える。この実施の形態1の電源部122は商用電源とし、商用の電圧周波数を出力するものである。変圧器17は二次側より、電源部122からの印加電圧により逆励磁すると、変圧器17の一次側には変圧器17の巻数比に比例した電圧が誘起され発電機主回路16側に印加される。変圧器17を逆励磁すれば主回路16に電圧が印加され、変圧器17の1相を接地線14にて発電機ケース13に接続しておくことにより、接地線14に静電容量12に応じた漏れ電流が流れる。漏れ電流は変圧器17の1相が接地線14にて接続されていることから図1の114に示す閉回路間を流れる。これを漏れ電流継電器15にて検出・計測し、漏れ電流継電器15からの電子データに変換された電流値と、交流電圧/周波数検出部111からの電源部122の電圧/周波数とが静電容量演算部110に入力される。変圧器17の巻線比は、予め、図示しない手段により静電容量演算部110に入力されていて、その値と交流電圧/周波数検出部111の電圧及び周波数とにより発電機11の主回路16へ印加される電圧が静電容量演算部110により演算される。静電容量演算部110はこの演算された主回路16の電圧及び周波数と漏れ電流継電器15からの電流の電子データより発電機11の固定子巻線と発電機ケース13間のインピーダンスを算出し、静電容量値を導出する。通常、発電機主回路16の絶縁耐力が低下するとともに、発電機主回路16−ケース13間の静電容量が増加する。従って、上記静電容量演算部110により導出された静電容量値が大きいことは絶縁耐力が低下することを意味する。得られた静電容量は同じ発電機11でもその据付状態により異なる。しかし、据付時の静電容量値を基準値として設定し、その値と比較し、静電容量値の増加の割合で絶縁劣化の状態を評価する。ここでは1回目の絶縁診断プロセス時に得られた静電容量値を基準値として静電容量演算部110のメモリ内にストアする。2回目以降のプロセスであれば、ストアされた基準値と導出された静電容量は、静電容量比較部112に送出され予め記憶しておいた値を演算した値とを比較し、任意の既定値、例えば静電容量が2倍以上となった際には、絶縁耐力が低下している旨を知らせるアラームをアラーム部113により発報する。
【0008】
以上の動作をまとめたものが図3に示す絶縁診断フロー図であり、フロー番号31〜38にて各ステップを示す。
なお、この実施の形態1による絶縁診断装置は図1に示したように、静電容量演算部110、交流電圧/周波数検出部111、静電容量比較部112、アラーム部113、電源部122の各構成要素によって構成されているが、これらの各構成要素は従来のような特別の設備として準備されるものでなく、図示省略した発電機の制御装置内に組み込まれるものである。従って発電機の運転停止中であれば本装置を利用して任意の機会に簡便に絶縁診断を行うことができ、また据付後の経年時変化も容易に把握できるという効果を奏する。
【0009】
実施の形態2.
実施の形態1による絶縁診断装置では、電源部122が商用電源を出力するものであるので、低コストで簡便性があるが、静電容量算出の正確度がやや劣るという点を有している。この実施の形態2ではそれを改善するものである。
以下、前記した図1によって説明する。実施の形態2では図1に示した電源部122を高周波電源とするものである。すなわち、IGBTやサイリスタ等の半導体スイッチング素子と、印加する周波数を設定し出力する周波数設定部と、前記周波数設定部にて設定された周波数に応じたパルスを発生させ前記半導体スイッチング素子にパルスを出力するパルス発生器によって構成され、高周波パルスを出力するものである。
次に、動作について説明する。
前記高周波電源部122に設けられた周波数設定部にて商用電源より高い周波数、例えば1KHzの周波数を設定を行う。この設定された周波数に応じた周波数のパルスをパルス発生器が発生し、前記スイッチング素子の各制御電極に印加する。これによりスイッチング素子はこの周波数の交流電圧を生成する。この交流電圧は図1に示した変圧器17の二次側を逆励磁し、巻線比に比例した電圧を変圧器17の一次側に誘起し、発電機主回路16に印加される。以後、アラーム部113からアラームを発するまでは実施の形態1と同様であり説明を省略する。なお、この実施の形態2の絶縁診断装置の各構成要素も発電機の制御装置内に設けられている。
以上のように、この実施の形態2では、変圧器17の2次側より逆印加する際の電源として、高周波パルスを出力する電源を用いているので、発電機11の固定子巻線と発電機ケース13間の静電容量に起因するインピーダンスが低下し、漏れ電流が大きくなる。これはノイズなどに左右されない正確な漏れ電流を知り、より正確な静電容量値を把握し、その結果として信頼性の高い絶縁診断装置が得られるという効果を奏する。
【0010】
実施の形態3.
前記した実施の形態1及び実施の形態2では、それぞれ得られた静電容量値を、基準値と比較し、その値が予め定められた値となった際にアラームを発報し、ユーザに絶縁レベルの低下を知らせるものであった。しかしながら、発電所に設置された発電機の場合、その公共性からアラーム発報時に即応した措置が必ずしもとれない場合が多い。この実施の形態3ではアラーム発報の時期を予め予知可能な絶縁診断装置を提供するものである。つまり、前記した図1の静電容量比較部112内に比較値を記憶するメモリーと、前記比較値を表示する表示部とを設けている。以下、実施の形態3について図4及び図5により説明する。
図4に示すフローは実施の形態1に示した図3のフローに、絶縁診断試験毎のデータをストアするメモリ(フロー番号51)と、絶縁レベルを表示部上に視覚的に出力するディスプレイ(フロー番号52)を加えたものである。静電容量比較部112に設けられた表示部上の出力例を図5に示す。図5の出力例においては、横軸に振付からの経過年月日を、縦軸には基準値と測定した年月日の静電容量との比を取っている。
次に、動作について説明する。
前記したように静電容量演算部110で導出された静電容量値を据付直後の静電容量と比較し、その比を据付日からの日数と共にメモリにストアする。これを図5に示すように履歴表示させることにより現地据付日からの絶縁レベルの推移を視覚的に把握することが可能となる。図5では、例えばレベル2以上を絶縁特性が劣化した要観察ゾーンとしている。このゾーンに入ると発電機のオーバホールを行うと設定しておけばオーバホールが必要となる時期の予測が可能となる。従って、レベル2に達する時期と別途設定される運転スケジュールで発電機11を停止してオーバホールできる時期とを比較検討し、適切な処置をタイムリーに実施できるという効果がある。また蓄積される測定された静電容量値と基準値との比のデータと共に、測定時の気温や湿度も合わせ保存することにより絶縁レベルを低下させる要因についても評価することが出来ることは言うまでもない。
【0011】
【発明の効果】
この発明は以上述べたような構成をもつ発電機の絶縁診断装置であるので、以下のような効果を奏する。
【0012】
発電機の主回路に接続された変圧器と、変圧器の2次側に切換スイッチを介して設けられた電源部と、電源部の出力する電圧と周波数を検出する検出部と、発電機の接地漏れ電流を検出する漏れ電流継電器と、漏れ電流継電器で検出された電流値および検出部で検出された電源部の出力する電圧と周波数とにより、発電機主回路と発電機ケースとの間の静電容量値を演算する演算部とを備え、
切換スイッチを変圧器の2次側に切り換え、演算部で静電容量値を演算するものであるので、特別の専用設備の準備する必要がなく、発電機の運転停止中であれば任意の機会に簡便にかつ、特別の技術を必要とすることなく絶縁診断を行うことができるとともに、絶縁特性の経年的変化も容易に把握できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による発電機の絶縁診断装置を示すブロック図である。
【図2】発電機の静電容量の分布を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による絶縁診断を示すフロー図である。
【図4】この発明の実施の形態3による絶縁診断を示すフロー図である。
【図5】この発明の実施の形態3による表示部の出力例を示す図である。
【符号の説明】
11 発電機、12 発電機の固定子巻線と発電機ケース間の静電容量、
13 発電機ケース、15 漏れ電流継電器、16 発電機主回路、
17 変圧器、18 切換スイッチ、110 静電容量演算部、
111 電圧/周波数検出部、112 静電容量比較部、113 アラーム部、122 電源部、200 絶縁診断装置。
Claims (8)
- 発電機の主回路に接続された変圧器と、前記変圧器の2次側に切換スイッチを介して設けられた電源部と、前記電源部の出力する電圧と周波数を検出する検出部と、前記発電機の接地漏れ電流を検出する漏れ電流継電器と、前記漏れ電流継電器で検出された電流値および前記検出部で検出された前記電源部の出力する電圧と周波数とにより、前記発電機主回路と発電機ケースとの間の静電容量値を演算する演算部とを備え、
前記切換スイッチを前記変圧器の2次側に切り換え、前記演算部で静電容量値を演算することを特徴とする発電機の絶縁診断装置。 - 前記演算部につながり、前記発電機の据付時に演算された静電容量値と、運転経過後に演算された静電容量値を比較する静電容量比較部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の発電機の絶縁診断装置。
- 前記電源部を商用電源とし、商用の電圧と周波数を出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発電機の絶縁診断装置。
- 前記電源部を高周波電源とし、高周波パルスを出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発電機の絶縁診断装置。
- 前記静電容量比較部にアラーム部を設け、前記静電容量の比較値が予め定められた規定値に達したときに、前記静電容量比較部の出力によって前記アラーム部からアラーム信号を発することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の発電機の絶縁診断装置。
- 前記静電容量比較部には、前記演算部で演算された静電容量の比較値を記憶するメモリと、前記メモリに記憶された比較値を表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項2または請求項5に記載の発電機の絶縁診断装置。
- 前記電源部、検出部、演算部が前記発電機に備えられた制御装置内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発電機の絶縁診断装置。
- 前記電源部、検出部、演算部、静電容量比較部およびアラーム部が、前記発電機に備えられた制御装置内に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の発電機の絶縁診断装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2002
- 2002-10-29 JP JP2002313704A patent/JP2004150844A/ja active Pending
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