JP2004150390A - 水中ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】外径の制限を受けつつも、所定の揚程を容易に得ることができ、しかも、軸方向の寸方をより小型化する。
【解決手段】円筒状のハウジング110と、この一端側と他端側にそれぞれ内装されたモータ部200とポンプ部300とを備え、上記モータ部200は、SRモータ210を備えて構成されており、上記ポンプ部300は、上記SRモータ210の出力軸213と同一軸線をもって回転可能なポンプ軸310と、このポンプ軸310に取付けられた羽根車312と、吸い込み口125と、吐出口129とを備えて構成されており、かつ、上記モータ部200の出力軸213に取付けられた駆動側マグネット215と上記ポンプ軸310に取付けられた被動側マグネット311とを、上記ハウジング110をその一端側空間と他端側空間とに仕切る隔壁120を挟んで対向させている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、水中ポンプに関し、たとえば、家庭用井戸ポンプとして用いると好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
水中ポンプは、たとえば、井戸用ポンプとして使用され、この場合、地上から地下水脈に至るまで筒状の井戸ケーシングを埋設し、この井戸ケーシングを通してポンプ本体を地下水脈中に浸漬するようにして使用する。電源および制御部は地上に設置され、井戸ケーシングを通したケーブルを介してポンプ本体につなげられる。揚水配管もまた、ポンプ本体から井戸ケーシングを通して地上に引き出される。このような水中ポンプは、吐出側の圧力を揚程として用いることができるので、たとえば、地下30〜50mの深井戸の水さえ汲み上げることができる。
【0003】
井戸ケーシングは、最近では内径10cm程度のものが多用され、地上から地下水脈に至るまでボーリングを施した後、このボーリングによってできた穴に円筒パイプを挿入することによって形成される。水中ポンプは、モータ部と、このモータ部の出力軸に取付けた羽根車を回転させて周囲の水を吸引し、かつ吐出するポンプ部とを備えるが、上記のような円筒状の井戸ケーシング内に設置して使用する場合、たとえば特許文献1に示されているように、全体として円筒形の外形を有するように構成される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−54590号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、水中ポンプは、モータ部を水密封止する必要がある。メカニカルシールによってモータ出力軸の軸封をすることには寿命および信頼性に問題があるため、上記特許文献1に示された水中ポンプでは、モータ部として、いわゆるキャンドモータが使用されている。このキャンドモータは、ステータにのみ給電するようにするとともに、ステータとロータとの間に円筒状のキャンを配置し、ロータはキャンの内部に浸入が許容された液体中で回転するように構成されたものである。
【0006】
しかしながら、キャンドモータは、ステータとロータとの間の隙間を厳しく管理する必要があり、しかも、このような隙間にキャンを正確に配置する必要があるため、製作がきわめて困難であり、また、コストが高くつくという問題がある。
【0007】
さらに、上記キャンドモータは、基本的にACモータとして構成されているので、回転数は、高々3000rpm止まりである。そうすると、全体の外径の制限を受けつつ所定の揚程を得るためには、上記特許文献1にも示されているように、羽根車を複数段備えたポンプ部を形成せねばならず、ポンプとしての軸方向の大型化を招く。
【0008】
本願発明は、上記のような事情のもとで考え出されたものであって、外径の制限を受けつつも、所定の揚程を容易に得ることができ、しかも、軸方向の寸法をより小型化することができる水中ポンプを提供することをその課題としている。
【0009】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の各技術的手段を採用した。
【0010】
すなわち、本願発明の第1の側面によって提供される水中ポンプは、円筒状のハウジングと、このハウジングの一端側と他端側にそれぞれ内装されたモータ部とポンプ部とを備え、上記モータ部は、上記ハウジングの他端側に向けて延出する出力軸をもつSR(スイッチト・リラクタンス)モータを備えて構成されており、上記ポンプ部は、上記SRモータの出力軸と同一軸線をもって回転可能なポンプ軸と、このポンプ軸の適部に取付けられた羽根車と、この羽根車よりも上記ハウジングの一端側において上記ハウジングに形成された吸い込み口と、上記ハウジングの他端部に設けられた吐出口とを備えて構成された水中ポンプであって、
上記モータ部の出力軸と上記ポンプ部のポンプ軸とは、上記モータ部の出力軸に取付けられた駆動側マグネットと上記ポンプ軸に取付けられた被動側マグネットとを、上記ハウジングをその一端側空間と他端側空間とに仕切る隔壁を挟んで対向させることによって構成されるマグネット・カプリングにより連携させられており、
上記隔壁は、上記ハウジングの軸方向に延びる円筒状部分と、この円筒状部分の一端を閉じる底壁部と、この円筒状部分の他端と上記ハウジングの内壁とをつなぐフランジ部とを備え、上記駆動側マグネットは上記円筒状部分の外側に配置されており、上記被動側マグネットは上記円筒状部分の内側に配置されているとともに、
上記ハウジングには、上記隔壁よりもハウジング他端側において、上記ポンプ軸を水密シールしつつ挿通する壁部が形成されており、この壁部と上記隔壁とによってハウジング内を仕切って形成される空間には、所定の液体が封入されていることを特徴としている。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記所定の液体は、防錆液あるいは不凍液である。
【0012】
以上の構成において、SRモータを回転させると、その回転出力がマグネット・カプリングを介してポンプ軸に伝達され、このポンプ軸が回転させられる。そうすると、羽根車のポンピング作用により、ハウジングの吸い込み口から吸引された液体が、連続して吐出口から吐出される。
【0013】
本願発明の水中ポンプにおいては、その動力源として、とくにSRモータが用いられている。このSRモータは、10000〜14000rpmの最高回転数を達成することができるので、円筒型水中ポンプとして、その外径がたとえば10cm程度に制限され、羽根車の外径もそれに応じて比較的小径とせざるをえなくとも、しかも、羽根車を1段構成としたとしても、十分な揚程を実現することができる。しかも、モータ部とポンプ部とが隔壁によって仕切られて、モータの出力軸とポンプ軸とがマグネット・カプリングによって非接触で連携されているので、モータの出力軸、あるいはポンプ軸に軸封を施す必要がなく、信頼性が著しく向上する。さらには、羽根車を1段構成とすることができることから、水中ポンプ全体の軸方向長さを短縮して、コンパクトにすることができる。加えて、一般にSRモータは、その他のモータに比較して振動と騒音が大きくなる傾向があるが、そもそもこの水中ポンプは、水中に浸漬し、他物に固定することなく使用されるので、上記の振動や騒音が実際上の問題となることはほとんどない。
【0014】
また、上記隔壁は、上記ハウジングの軸方向に延びる円筒状部分を備えており、この円筒状部分をその半径方向に挟んで上記駆動側マグネットと上記被動側マグネットとが配置されているので、駆動側マグネットと被動側のマグネットとの対向面積を増大させることができ、その結果、このマグネット・カプリングの動力伝達効率がより向上する。
【0015】
さらに、上記隔壁は、上記円筒状部分と、この円筒状部分の一端を閉じる底壁部と、この円筒状部分の他端と上記ハウジングの内壁とをつなぐフランジ部とを備え、上記駆動側マグネットは上記円筒状部分の外側に配置されており、上記被動側マグネットは上記円筒状部分の内側に配置され、上記ハウジングには、上記隔壁よりもハウジング他端側において、上記ポンプ軸を水密シールしつつ挿通する壁部が形成されており、この壁部と上記隔壁とによってハウジング内を仕切って形成される空間には、防錆液や不凍液等の所定の液体が封入されている。
【0016】
このように構成することにより、マグネット・カプリング部分を錆から防ぐことができるし、また、寒冷地での使用にあたり、たとえば、ハウジング内に残った水が凍結してポンプの起動に支障を来たすといった事態を防止することができる。
【0017】
本願発明の第2の側面によって提供される水中ポンプは、円筒状のハウジングと、このハウジングの一端側と他端側にそれぞれ内装されたモータ部とポンプ部とを備え、上記モータ部は、上記ハウジングの他端側に向けて延出する出力軸をもつSRモータを備えて構成されており、上記ポンプ部は、上記SRモータの出力軸と同一軸線をもって回転可能なポンプ軸と、このポンプ軸の適部に取付けられた羽根車と、この羽根車よりも上記ハウジングの一端側において上記ハウジングに形成された吸い込み口と、上記ハウジングの他端部に設けられた吐出口とを備えて構成された水中ポンプであって、
上記モータ部の出力軸と上記ポンプ部のポンプ軸とは、上記モータ部の出力軸に取付けられた駆動側マグネットと上記ポンプ軸に取付けられた被動側マグネットとを、上記ハウジングをその一端側空間と他端側空間とに仕切る隔壁を挟んで対向させることによって構成されるマグネット・カプリングにより連携させられており、
上記隔壁は、上記ハウジングの軸方向に延びる円筒状部分と、この円筒状部分の一端と上記ハウジングの内壁とをつなぐフランジ部と、この円筒状部分の他端を閉じる底壁部とを備え、上記駆動側マグネットは上記円筒状部分の内側に配置されており、上記被動側マグネットは上記円筒状部分の外側に配置されているとともに、
上記円筒状部分の外側の空間は上記ポンプ部の吸い込み口と連通させられており、かつ、上記フランジ部よりもハウジング他端側におけるハウジングには、その内外を連通させる孔が形成されていることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、吸い込み口から上記孔までの循環経路が形成され、また、この循環経路内に被動側マグネットが配置されることになる。この場合被動側マグネットは、隔壁の円筒状部分の外側に配置されているから、ポンプ軸に対して大径であり、ポンプ軸の回転時、ポンピング作用を行なう。すなわち、吸い込み口からハウジング内に導入された液体の一部が、上記被動側マグネットのポンピング作用により上記孔から吐き出される。したがって、仮にポンプ作動時、吸い込み口からスケール等の異物がハウジング内に導入されたとしても、上記した液体循環により、すみやかに上記孔からハウジング外に排出され、異物がハウジング内に溜まってポンプ作動に支障を来たすといった事態が回避される。
【0019】
本願発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行なう詳細な説明から、より明らかとなろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0021】
まず、図1を参照し、本願発明の第1の側面に係る水中ポンプ100の実施形態について説明する。水中ポンプ100は、全体として円筒形をしているとともに、たとえばステンレスによって形成されたハウジング110を備えており、このハウジング110に内装されるようにして、その一端側にはモータ部200が、他端側にはポンプ部300が配置されている。図示の便宜上、水中ポンプ100は横向きに描かれているが、井戸ケーシング(図示略)内で井戸水汲み上げポンプとして用いる場合には、ハウジング110の一端側、すなわち、モータ部200の方を下にした垂直状として使用される。
【0022】
モータ部200は、その出力軸213がハウジング110の他端側に向けて延出するSRモータ210を備えて構成される。このSRモータ210は、ハウジング110の内壁に沿って配置された環状のステータ211と、このステータ211の内側において、円筒状ハウジング110の軸線と同一軸線周りに回転可能に支持されたロータ212とを備える。ロータ212は、ハウジング110の内壁に内向きフランジ状に形成された支持部115,116に対し、軸方向の2箇所においてベアリング113,114を介して回転支持された出力軸213と一体的に回転する。
【0023】
よく知られているように、SRモータ210のロータ212は、マグネットを用いず、通常は断面において放射状に延びる複数の鉄製ブロック片(図示略)を有する。ステータ211に形成される複数の電磁石の磁極を制御してロータ212の各ブロック片に周方向一方向の電磁的な引力を与え続けることにより、ロータ212を比較的高速回転させることができ、また、その起動回転力も大きく、回転数の制御も可能である。ACモータが高々3000rpmの回転数しか実現できないのに対し、SRモータ210は、10000〜14000rpmの最高回転数を容易に実現することができる。SRモータが電気自動車の駆動モータに採用されつつある所以である。
【0024】
ハウジング110の内部は、隔壁120によって、上記モータ部200が内装される一端側空間と、上記ポンプ部300が内装される他端側空間とに仕切られている。この実施形態では、この隔壁120は、円筒状部分121と、この円筒状部分121のハウジング他端側端部とハウジング110の内壁とをつなぐフランジ部123と、この円筒状部分121のハウジング一端側を塞ぐ底壁部122とを有するように形成されている。この隔壁120もまた、ステンレスによって形成される。
【0025】
上記隔壁120の上記円筒状部分121とハウジング110の内壁との間の空間には、上記SRモータ210の出力軸213と一体に回転するカップ状をしたブラケット214に支持された駆動側マグネット215が配置されている。
【0026】
ポンプ部300は、上記隔壁120よりも他端側におけるハウジング110内において、上記SRモータ210の出力軸213と同一軸線をもって回転可能に支持されたポンプ軸310と、このポンプ軸310のハウジング他端側に取付けられた羽根車312とを備えて構成されている。ポンプ軸310は、その一端側がハウジング110の内壁から内向フランジ状に延びる支持部111に対して、その他端側がハウジング110の内壁に対してステー131によって支持されたボス部130に対して、それぞれメタルベアリング132,133を介して回転可能に支持されている。
【0027】
ポンプ軸310のハウジング一端側の端部には、上記隔壁120の円筒状部分121を挟んで上記駆動側マグネット215と対向するようにして、被動側マグネット311が取付けられている。上記駆動側マグネット215と上記被動側マグネット311とにより、上記隔壁120のハウジング一端側に配置されるSRモータ210の出力軸213の回転動力を上記隔壁120のハウジング他端側に配置されるポンプ軸310に非接触状態で伝達することができるマグネット・カプリング350が構成される。
【0028】
ハウジング110内における上記隔壁120よりもハウジング他端側の領域はまた、上記ポンプ軸310を水密シールしながら挿通する壁部124によって仕切られており、このようにして上記隔壁120および上記壁部124によって仕切られる空間には、防錆液、あるいは不凍液が充填される。上記隔壁120が設けられていることにより、このような防錆液、あるいは不凍液がモータ部200に浸入するといった心配はない。また、上記領域に防錆液を充填しておくことにより、被動側マグネット311が錆びつくといった問題を防止することができるし、不凍液を充填しておくと、寒冷地での使用において、ハウジング110内に残った液体の一部が凍結し、水中ポンプ100の起動に支障をきたすといった問題も回避できる。
【0029】
上記ハウジング110にはまた、その側壁における上記壁部124よりもハウジング他端側において、吸い込み口125が開口させられている。この吸い込み口125には、好ましくはストレーナ126が取付けられる。ポンプ軸310のハウジング他端側の端部には、単一の羽根車312が取付けられている。この羽根車312は、ポンプ軸310とともに回転することにより、上記吸い込み口125からハウジング110内に導入され、ラッパ状の吸い込みガイド127に案内されてきた液体を吸引して遠心力によって半径方向外方に吐き出すというポンピング作用を行なう。
【0030】
羽根車312によってその半径方向外方に吐き出された液体は、整流板128によって整流されながらハウジング110内をさらにその他端方向に送られ、逆止弁150を介してハウジング110の他端側に設けられた吐出口129に送られる。この揚水ポンプとしての使用にあたっては、上記吐出口129に揚水配管430(図示略)が接続される。この実施形態において、上記逆止弁150は、ハウジング110の他端側の端部に形成された内向フランジ状の弁座151と、この弁座151のハウジング他端側の面に着座して閉位置をとることができる弁体152とによって形成されている。弁体152は、上記弁座151のハウジング他端側の面に着座接触しうる円板部152aと、この円板部の一側から上記弁座151の内径部に沿って延びるガイド脚152bと、円板部152aの他側の中心位置から延出するガイドピン152cとを有する。このガイドピン152cは、吐出口129の内部にステー138を介して支持されたボス部139に軸方向移動可能に挿通される。この弁体152は、水中ポンプ100の作動時にはハウジング110の内部からの液体圧を受けて図の仮想線で示すように移動して、液体の吐出方向の流出を許容するが、水中ポンプ100の非作動時においてハウジング110の内部の液体圧が消失した場合に図に実線で示すように弁座151に当接して液体のハウジング110内への逆流を防止する。したがって、水中ポンプ100の非作動時に揚水配管内の液体が逆流することはない。
【0031】
以上の構成において、SRモータ210を回転させると、その回転出力がマグネット・カプリング350を介してポンプ軸310に伝達され、このポンプ軸310が回転させられる。そうすると、羽根車312のポンピング作用により、ハウジング110の吸い込み口125から吸引された液体が、連続して吐出口129から吐出される。
【0032】
前述したように、この水中ポンプ100においては、動力源として、SRモータ210が用いられている。このSRモータ210は、10000〜14000rpmの最高回転数を達成することができるので、円筒型状水中ポンプ100として、その外径がたとえば10cm程度に制限され、羽根車312の外径もそれに応じて比較的小径とせざるをえなくとも、しかも、羽根車312を図に示す実施形態のように1段構成としたとしても、十分な揚程を実現することができる。しかも、モータ部200とポンプ部300とが隔壁120によって仕切られて、SRモータ210の出力軸213とポンプ軸310とがマグネット・カプリング350によって非接触で連携されているので、モータ210の出力軸213、あるいはポンプ軸310に軸封を施す必要がなく、信頼性が著しく向上する。さらには、羽根車312を1段構成とすることができることから、水中ポンプ100全体の軸方向長さを短縮して、コンパクトにすることができる。加えて、一般にSRモータ210は、その他のモータに比較して振動と騒音が大きくなる傾向があるが、そもそもこの水中ポンプ100は、水中に浸漬し、他物に固定することなく使用されるので、上記の振動や騒音が実際上の問題となることはほとんどない。このようなことから、SRモータ210と水中ポンプ100との組合せは、これまでにはない最良の組合せといえるのである。
【0033】
次に、図2および図3を参照し、本願発明の第2の側面に係る水中ポンプ100の実施形態について説明する。水中ポンプ100は、第1の側面に係る水中ポンプと同様、全体として円筒形をしているとともに、たとえばステンレスによって形成されたハウジング110を備えており、このハウジング110に内装されるようにして、その一端側にはモータ部200が、他端側にはポンプ部300が配置されている。
【0034】
モータ部200は、本願発明の第1の側面に係る水中ポンプと同様、その出力軸213がハウジング110の他端側に向けて延出するSRモータ210を備えて構成される。このSRモータ210は、ハウジング110の内壁に沿って配置された環状のステータ211と、このステータ211の内側において、円筒状ハウジング110の軸線と同一軸線周りに回転可能に支持されたロータ212とを備える。ロータ212は、ハウジング110の内壁に内向きフランジ状に形成された支持部115,116に対し、軸方向の2箇所においてベアリングを介して回転支持された出力軸213と一体的に回転する。
【0035】
ハウジング110の内部は、隔壁120によって、上記モータ部200が内装される一端側空間と、上記ポンプ部300が内装される他端側空間とに仕切られているが、この第2の実施形態では、この隔壁120は、円筒状部分121と、この円筒状部分121のハウジング一端側端部とハウジング110の内壁とをつなぐフランジ部123と、この円筒状部分121のハウジング他端側を塞ぐ底壁部122とを有するように形成されている。この隔壁120もまた、ステンレスによって形成される。
【0036】
上記隔壁120の上記円筒状部分121の内側には、モータの出力軸213に支持された駆動側マグネット215が配置されている。
【0037】
ポンプ部300は、上記隔壁120よりも他端側におけるハウジング110内において、上記SRモータ210の出力軸213と同一軸線をもって回転可能に支持されたポンプ軸310と、このポンプ軸310のハウジング他端側に取付けられた羽根車312とを備えて構成されている。ポンプ軸310は、その一端側がハウジング110の内壁から内向フランジ状に延びる支持部111に対して、その他端側がハウジング110の内壁に対してステー131によって支持されたボス部130に対して、それぞれメタルベアリング132,133を介して回転可能に支持されている。なお、上記支持部111には、そのハウジング一端側領域と他端側領域間を連通させる液体通路111aがハウジング110の軸方向に貫通状に形成されている。
【0038】
ポンプ軸310のハウジング一端側の端部には、カップ状をしたブラケット216が上記隔壁120の円筒状部分121の外側に延入するようにして取付けられており、このブラケット216には、上記駆動側マグネット215と上記隔壁120の円筒状部分121を挟んで対向するようにして、被動側マグネット311が支持されている。上記駆動側マグネット215と上記被動側マグネット311とにより、上記隔壁120のハウジング一端側に配置されるSRモータ210の出力軸213の回転動力を上記隔壁120のハウジング他端側に配置されるポンプ軸310に非接触状態で伝達することができるマグネット・カプリング350が構成される。
【0039】
ハウジング110内における上記隔壁120よりもハウジング他端側の領域はまた、上記ポンプ軸310をすきま124aを介して挿通する壁部124が設けられている。また、ハウジング110の側壁における上記フランジ部123よりもハウジング他端側近傍には、ハウジング110の内外を連通させる孔137が形成されている。前述したように、ポンプ軸310を支持する支持部111に液体通路111aが形成されており、上記壁部124とこれを挿通するポンプ軸310との間にはすきま124aが形成されていることから、上記壁部124よりハウジング他端側の領域、上記壁部124と上記支持部111との間の領域、および上記支持部111と上記隔壁120との間の領域は、相互に液体流通可能な状態となっており、さらには、これらの液体流通経路は、上記の孔137を介してハウジング110の外部にも連通している。なお、上記壁部124のハウジング一端側の面には、マグネット124bが取付けられている。
【0040】
上記ハウジング110にはまた、その側壁における上記壁部124よりもハウジング他端側において、吸い込み口125が開口させられている。この吸い込み口125には、好ましくはストレーナ126が取付けられる。ポンプ軸310のハウジング他端側の端部には、単一の羽根車312が取付けられている。この羽根車312は、ポンプ軸310とともに回転することにより、上記吸い込み口125からハウジング110内に導入され、ラッパ状の吸い込みガイド127に案内されてきた液体を吸引して遠心力によって半径方向外方に吐き出すというポンピング作用を行なう。
【0041】
羽根車312によってその半径方向外方に吐き出された液体は、整流ベーン128によって整流されながらハウジング110内をさらにその他端方向に送られ、逆止弁150を介してハウジング110の他端側に設けられた吐出口129に送られる。この逆止弁150は、第1の実施形態において説明したのと同様の構成を備えており、水中ポンプ100作動時にはハウジング110の内部からの液体圧を受けて液体の吐出方向の流出を許容するが、水中ポンプ100非作動時においてハウジング110の内部の液体圧が消失した場合には液体のハウジング110内への逆流を防止する。
【0042】
以上の構成においても、第1の側面に係る水中ポンプについて説明したのと同様、SRモータ210を回転させると、その回転出力がマグネット・カプリング350を介してポンプ軸310に伝達されてこのポンプ軸310が回転させられ、羽根車312のポンピング作用により、ハウジング110の吸い込み口125から吸引された液体が、連続して吐出口129から吐出される。
【0043】
そして、この第2の側面に係る水中ポンプ100は、第1の側面に係る水中ポンプと同様、円筒型水中ポンプ100として、その外径がたとえば10cm程度に制限され、羽根車312の外径もそれに応じて比較的小径とせざるをえなくとも、しかも、羽根車312を図に示す実施形態のように1段構成としたとしても、十分な揚程を実現することができ、モータの出力軸213、あるいはポンプ軸310に軸封を施す必要がなく、信頼性が著しく向上し、さらには、水中ポンプ100全体の軸方向長さを短縮して、コンパクトにすることができ、加えて、SRモータ210の欠点といわれている振動や騒音の問題が実際の使用においてほとんど問題となることがない、といった種々の利点を享受することができる。
【0044】
加えて、この実施形態においては、上記したように、上記壁部124のハウジング他端側の領域、すなわち、吸い込み口125と直接つながっている領域と、上記壁部124と上記支持部111との間の領域と、上記支持部111と上記隔壁120との間の領域が連通しており、さらには、これらの各領域は孔137を介してハウジング110の外部と連通している。上記孔137が形成されたハウジング110内領域には、ポンプ軸310と一体回転する被動側マグネット311が設けられている。したがって、水中ポンプ100作動時、被動側マグネット311の回転が、ポンピング作用を行ない、図3に矢印で示すように、吸い込み口125からハウジング110内に吸い込まれた液体の一部が上記互いに連通する各領域を介して上記孔137から排出されるという液体循環が達成される。この水中ポンプ100は、通常垂直状態で使用されるが、仮に吸い込み口125から吸い込まれる液体に混じってスケール等の異物がハウジング110内に導入されたとしても、上記の液体循環により、このような異物はすみやかにハウジング110の外部に排出される。これにより、異物が重力によってハウジング110内の被動マグネット付近に堆積してしまい、水中ポンプ100の作動に支障を来たすといった事態を効果的に回避することができる。また、上記の液体循環の経路途中に、壁部124に設けたマグネット124bが配置されているので、異物中の鉄系成分はこのマグネットによって吸着され、金属異物がハウジング110の底部に堆積するといったことを効果的に回避することができる。
【0045】
図4は、第2の側面に係る水中ポンプにおけるポンプ軸310の軸支構造の変形例を示している。この例では、ポンプ軸310のハウジング一端側の端部を、上記隔壁120の底壁部122に対し、スラスト方向とラジアル方向の双方の荷重を受けるように構成したメタルベアリング134を介して回転支持している。このようにすることにより、図2および図3に示した構造における支持部111を省略することができるので、ハウジング110の軸方向長さをさらに短縮して、水中ポンプ100をよりコンパクト化することができる。
【0046】
また、この例では、ポンプ軸310の先端に取付けた羽根車312をハウジング110の内壁に形成した内向フランジに対し、スラスト方向とラジアル方向の双方の荷重を受けるように構成したメタルベアリング135を介して回転可能に支持することにより、実質的にポンプ軸310のハウジング他端側の端部を支持している。このようにすることにより、図2に示した構造における、ステー131によって支持されたボス部130を省略することができるので、ハウジング110の軸方向長さをさらに短縮することができる。
【0047】
図5は、第2の側面に係る水中ポンプにおける逆止弁150の構造の変形例を示している。この例では、整流ベーン128のハウジング他端側の壁面を利用して逆止弁のための弁座151を形成している。弁体152は、大略上記各実施形態のものと同様、円板部152aと、ガイド脚152bと、ガイドピン152cとを備え、ガイド脚152bが上記整流ベーン128の内孔に案内され、ガイドピン152cがステー138で保持されたボス部139にガイドされるようにしている。図2と比較すれば明らかなように、この例によれば、整流ベーン128から逆止弁150までの距離が著しく短縮されるので、ハウジング110の軸長をさらに短縮して、水中ポンプ100をよりコンパクトに構成することができる。
【0048】
次に、地上に設置される制御部400について、参考的に説明する。図6および図7は、制御部400の第1の実施形態を示す。
【0049】
制御部400においては、ベース板410上に、入口ポート421と、出口ポート422と、これら各ポート421,422間をつなぐ配管430とを備えているとともに、制御基板420が設置されている。配管430には、その上流側から順に、逆止弁470、リードスイッチ440、圧力センサ450、およびアキュムレータ460が付設されている。リードスイッチ440は、逆U字状とした配管屈曲部に、液体動圧を受けて揺動するパドル441と、このパドル441に支持したマグネット442と、このマグネットの近接離間によって反応するスイッチ部443とを備える。スイッチ部443の反応しきい値を設定することにより、配管430を流れる液体の流量が所定以下となった時点を検出することができる。圧力センサ450は、配管430内の液体の静圧を検出する。アキュムレータ460は、配管430内を蓄圧する。入口ポート421には、上記した水中ポンプ100の吐出口129に一端が接続された揚水配管(図示略)が接続される。出口ポート422には、利用配管(図示略)が接続され、この利用配管には、適当数の蛇口(図示略)が取付けられる。制御基板420には、電源回路、あるいは制御回路等が搭載される。また、図7に表れているように、制御基板420と上記配管430を構成する配管ブロック433との間は、熱伝導性のよい材質で形成された放熱部材412が介装されている。
【0050】
次に、水中ポンプ100の運転制御の一例について、説明する。図9は、配管内静圧と流量との関係を示すグラフである。圧力センサ450によって検出される配管内静圧につき、OFFしきい値、およびONしきい値を設定しておく。水中ポンプ100は、配管内静圧がONしきい値を下回った時点で起動する。また、水中ポンプ100は、配管内静圧がOFFしきい値を上回り、かつ上記リードスイッチ440がOFFした時点をもって、停止する。
【0051】
配管430内は、アキュムレータ460によって蓄圧されているので、蛇口を開けると、アキュムレータ460の圧力開放によって液体が放出される。これによって配管内静圧が下がるので、やがて上記ONしきい値を下回り、その時点で水中ポンプ100が起動する。これによって継続して、水中ポンプ100によって汲み上げられた液体が蛇口から放出される。逆に、蛇口を閉めてゆくと、配管内静圧が上昇するとともに、配管内流量が減少する。やがて配管内静圧がOFFしきい値を上回る。そして、リードスイッチ440がOFFとなった時点で水中ポンプ100は停止する。逆止弁470が配管内液体の逆流を防止し、アキュムレータ460によって配管内圧力は所定の圧力に維持される。
【0052】
本願発明に係る水中ポンプ100は、回転数制御が可能なSRモータ210を用いている。したがって、上記のような基本制御に加え、上記圧力センサ450による配管430内静圧をリアルタイムで監視しながら、水中ポンプ100揚程を勘案して、配管430内が無駄に圧力上昇することがないように制御し、より高効率、省エネルギを達成することができる。
【0053】
また、制御基板420は、放熱部材412を介して配管ブロック433に接続されているので、熱源としての制御基板420の熱を効果的に配管ブロック433に逃がすことができる。したがって、たとえば、夏季における長時間連続運転によって制御基板420が異常昇温により故障するといった事態を有効に回避することができる。
【0054】
図8は、制御部400の第2の実施形態を示している。この例では、配管430に設ける逆止弁470の弁体の移動量を検知して、上記のように配管430内の液体流量が所定以下となったことを検出するリードスイッチ440を構成するとともに、圧力センサ450として、小型の半導体圧力センサを用いている。すなわち、逆止弁470の弁体472は、配管430途中に設けた弁座471に着座しうる円板部472aと、この円板部の下方に延出するガイド脚472bと、円板部の上方に延出するガイドピン472cとを備え、ガイド脚472bが弁座471の中心孔内壁に案内され、ガイドピン472cがステー431に保持されたボス部432に案内されることによって上下方向に移動する。そして、配管内液体の流量に応じて、弁体472の上昇量が異なる。この例では、上記ガイドピン472cの先端にマグネット472dを取付け、配管ブロック430の天井部に上記マグネット472dの近接離間によって反応するスイッチ部443を設けている。
【0055】
このようにすれば、図6に示した例におけるパドル441が省略されるので、構成がより簡単になる。また、圧力センサ450として半導体圧力センサを用いているので、センサ機能がより正確となり、また、制御部400の小型化にも寄与する。
【0056】
もちろん、この発明の範囲は上述した各実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本願発明の範囲に含まれる。
【0057】
また、本願発明に係る水中ポンプは、井戸水汲み上げ用の水中ポンプとして利用することができるほか、地上に設置して揚水ポンプとして利用することもできるのであり、利用分野が限定されるということもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1の側面に係る水中ポンプの一実施形態の縦断面図である。
【図2】本願発明の第2の側面に係る水中ポンプの一実施形態の縦断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図2に示した実施形態におけるポンプ軸の支持構造の変形例を示す要部縦断面図である。
【図5】図2に示した実施形態における逆止弁の構造の変形例を示す要部縦断面図である。
【図6】制御部の第1の実施形態を示す部分断面正面図である。
【図7】図6に示す制御部の部分断面側面図である。
【図8】制御部の第2の実施形態を示す部分断面正面図である。
【図9】本願発明に係る水中ポンプの制御例を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
100 水中ポンプ
110 ハウジング
111 支持部
113 ベアリング
114 ベアリング
120 隔壁
121 円筒状部分
122 底壁部
123 フランジ部
124 壁部
125 吸い込み口
126 ストレーナ
127 吸い込みガイド
128 整流板(整流ベーン)
129 吐出口
150 逆止弁
151 弁座
152 弁体
200 モータ部
210 SRモータ
211 ステータ
212 ロータ
213 出力軸
214 ブラケット
215 駆動側マグネット
216 ブラケット
300 ポンプ部
310 ポンプ軸
311 被動側マグネット
312 羽根車
350 マグネット・カプリング
400 制御部
410 ベース板
412 放熱部材
420 制御基板
421 入口ポート
422 出口ポート
430 配管(配管ブロック)
440 リードスイッチ
450 圧力センサ
460 アキュムレータ
470 逆止弁

Claims (3)

  1. 円筒状のハウジングと、このハウジングの一端側と他端側にそれぞれ内装されたモータ部とポンプ部とを備え、上記モータ部は、上記ハウジングの他端側に向けて延出する出力軸をもつSRモータを備えて構成されており、上記ポンプ部は、上記SRモータの出力軸と同一軸線をもって回転可能なポンプ軸と、このポンプ軸の適部に取付けられた羽根車と、この羽根車よりも上記ハウジングの一端側において上記ハウジングに形成された吸い込み口と、上記ハウジングの他端部に設けられた吐出口とを備えて構成された水中ポンプであって、上記モータ部の出力軸と上記ポンプ部のポンプ軸とは、上記モータ部の出力軸に取付けられた駆動側マグネットと上記ポンプ軸に取付けられた被動側マグネットとを、上記ハウジングをその一端側空間と他端側空間とに仕切る隔壁を挟んで対向させることによって構成されるマグネット・カプリングにより連携させられており、
    上記隔壁は、上記ハウジングの軸方向に延びる円筒状部分と、この円筒状部分の一端を閉じる底壁部と、この円筒状部分の他端と上記ハウジングの内壁とをつなぐフランジ部とを備え、上記駆動側マグネットは上記円筒状部分の外側に配置されており、上記被動側マグネットは上記円筒状部分の内側に配置されているとともに、
    上記ハウジングには、上記隔壁よりもハウジング他端側において、上記ポンプ軸を水密シールしつつ挿通する壁部が形成されており、この壁部と上記隔壁とによってハウジング内を仕切って形成される空間には、所定の液体が封入されていることを特徴とする、水中ポンプ。
  2. 上記所定の液体は、防錆液あるいは不凍液である、請求項1に記載の水中ポンプ。
  3. 円筒状のハウジングと、このハウジングの一端側と他端側にそれぞれ内装されたモータ部とポンプ部とを備え、上記モータ部は、上記ハウジングの他端側に向けて延出する出力軸をもつSRモータを備えて構成されており、上記ポンプ部は、上記SRモータの出力軸と同一軸線をもって回転可能なポンプ軸と、このポンプ軸の適部に取付けられた羽根車と、この羽根車よりも上記ハウジングの一端側において上記ハウジングに形成された吸い込み口と、上記ハウジングの他端部に設けられた吐出口とを備えて構成された水中ポンプであって、上記モータ部の出力軸と上記ポンプ部のポンプ軸とは、上記モータ部の出力軸に取付けられた駆動側マグネットと上記ポンプ軸に取付けられた被動側マグネットとを、上記ハウジングをその一端側空間と他端側空間とに仕切る隔壁を挟んで対向させることによって構成されるマグネット・カプリングにより連携させられており、
    上記隔壁は、上記ハウジングの軸方向に延びる円筒状部分と、この円筒状部分の一端と上記ハウジングの内壁とをつなぐフランジ部と、この円筒状部分の他端を閉じる底壁部とを備え、上記駆動側マグネットは上記円筒状部分の内側に配置されており、上記被動側マグネットは上記円筒状部分の外側に配置されているとともに、
    上記円筒状部分の外側の空間は上記ポンプ部の吸い込み口と連通させられており、かつ、上記フランジ部よりもハウジング他端側におけるハウジングには、その内外を連通させる孔が形成されていることを特徴とする、水中ポンプ。
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