JP2004150331A - エンジン冷却システム - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン冷却システムにおいて電子制御サーモスタットをラジエータ側に設置した場合に生じるエンジン始動時の暖機運転に時間がかかるという不具合を解消する。
【解決手段】内燃機関の冷却水温制御に用いられ、感温部に発熱素子を設置し、実際の温度だけに依存せずにバルブ開度を任意に変化させることが可能な電子制御サーモスタット10を用いたエンジン冷却システムであって、電子制御サーモスタットを、エンジン1からラジエータ2へ冷却水を導くエンジン出口側のメインの冷却水路3であって、ラジエータ側に隣接(またはラジエータの一部に)した位置に配置する。さらに、該ラジエータとエンジンとの間を接続するメインの冷却水路3,4中に差圧弁6,7を設ける。そして、該差圧弁とエンジンとの間の冷却水を、サーモスタット感温部に導く小径なサブバイパス通路8,9を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】内燃機関の冷却水温制御に用いられ、感温部に発熱素子を設置し、実際の温度だけに依存せずにバルブ開度を任意に変化させることが可能な電子制御サーモスタット10を用いたエンジン冷却システムであって、電子制御サーモスタットを、エンジン1からラジエータ2へ冷却水を導くエンジン出口側のメインの冷却水路3であって、ラジエータ側に隣接(またはラジエータの一部に)した位置に配置する。さらに、該ラジエータとエンジンとの間を接続するメインの冷却水路3,4中に差圧弁6,7を設ける。そして、該差圧弁とエンジンとの間の冷却水を、サーモスタット感温部に導く小径なサブバイパス通路8,9を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等に使用される内燃機関(以下、エンジンという)を冷却する冷却水を、熱交換器(以下、ラジエータという)との間で循環させるエンジンの冷却システムにおいて、冷却水温度を任意に可変制御するために用いられる電子制御サーモスタットを備えているエンジン冷却システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジンにおいて、これを冷却するためには、一般にはラジエータを用いた水冷式のエンジン冷却システムが使用されている。従来からこの種のエンジン冷却システムにおいては、エンジンに導入する冷却水の温度を制御できるように、ラジエータ側に循環させる冷却水量を調節する熱膨張体を用いたサーモスタット、あるいは電気制御によるバルブユニットが使用されている。
【0003】
すなわち、上記の熱膨張体を用いたサーモスタットあるいは電気制御によるバルブユニット等による制御バルブを、冷却水通路の一部、たとえばエンジンの入口側または出口側に介装し、冷却水温度が低い場合に、前記制御バルブを閉じて、ラジエータを経由せずバイパス通路を介して冷却水を循環させ、また冷却水温度が高くなった場合は、制御バルブを開いて冷却水がラジエータを通して循環させると、冷却水の温度を所要の状態に制御することができるものである。
【0004】
ところで、エンジンが高負荷で運転されているときには、冷却水温度を低くし、低負荷であるときには冷却水温度を高くすることにより、自動車の燃費向上を図れることが一般に知られている。このような状況において、自動車の燃費向上のための最適水温を提供するために、最近では電子制御式のバルブ、すなわち電子制御サーモスタットが採用されることが多くなっている。
このような電子制御サーモスタットは、そのバルブ部の開度を任意に制御すること、およびラジエータに付設した冷却ファンを制御することで、冷却水温度を制御することによって、冷却水温度の適切な制御を行えるものである(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
このような冷却水温度の適切な制御は、上述した電子制御サーモスタットを可変制御する制御装置(エンジンコントロールモジュール)を、エンジン制御ユニットでの種々のパラメータ、たとえば冷却水温度、外気温、車速、エンジン回転数、スロットル開度等の検出情報をも加味して制御できるものである。
【0006】
また、電子制御を行わない従来の一般的なサーモスタットを備えたエンジン冷却システムにおいて、従来のサーモスタットをラジエータに一体的に設けた構造を採用したものがある。これは、前記サーモスタットの組み込み位置によってシステム全体が大型化しやすく、スペース的に制約の多い自動車への組込性の面で問題があることに鑑み、これらの不具合を解消するためである(たとえば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−317355
【特許文献2】
実開平1−94786号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したように従来から知られている電子制御サーモスタットを、エンジン冷却システムにおいてラジエータのタンク部あるいはラジエータ近傍に設置したときに、以下のような問題を生じている。
【0009】
これを詳述すると、上述したような電子制御サーモスタットを単純にラジエータに一体的に配置させると、ラジエータをバイパスさせて冷却水を循環させるバイパス回路の分岐位置がラジエータ側に寄り過ぎてバイパス回路長さが長くなる。
【0010】
その結果、前記バイパス回路で必要とする冷却水量が多くなり、前記バイパス通路を通過する流量分だけ、エンジンの暖機速度が遅くなる、すなわちエンジン始動時において暖機運転に時間がかかるといった問題があった。これは、エンジン水温をサーモスタットに感知させるためにバイパス通路をサーモスタット感温部に流す必要があるためであった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、電子制御サーモスタットを用いたエンジン冷却システムにおいて、電子制御サーモスタットをラジエータに一体化した場合に生じているエンジン始動時の暖機運転に時間がかかるという不具合を解消できるようにしたエンジン冷却システムを得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係るエンジンの冷却水温制御に用いられ、感温部に発熱素子を設置し、実際の温度だけに依存せずにバルブ開度を任意に変化させることが可能な電子制御サーモスタットを用いたエンジン冷却システムにおいて、
前記電子制御サーモスタットを、ラジエータの入口側、出口側どちらか一方に一体的に配置するとともに、
冷却水圧力の変化によって開閉する差圧弁を、前記エンジンと前記ラジエータを接続し冷却水を循環させるメイン冷却通路のエンジン出口側およびラジエータ入口側に各々配置し、
前記エンジン出口側に配置した前記差圧弁とエンジンとの間の冷却水を前記電子制御サーモスタット感温部に連通するとともに、前記電子制御サーモスタット感温部とエンジン入口側の差圧弁とエンジンの間の冷却通路に連通するサブ冷却通路を設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、電子制御サーモスタットをラジエータ側に隣接またはラジエータの一部に配置することが可能で、特にこれらのラジエータと電子制御サーモスタットとを一体的に構成することで、システム全体の小型化が図れる。
ここで、一体的とは、ラジエータに隣接、一部に設置、埋設することを言う。その他、近接する場合も含む。
また、従来一般的であるサーモスタット感温部へのバイパス通路に比べて充分に小径なサブ冷却通路(以下サブバイパス通路)を用いて、前記サーモスタット感温部にエンジン出口側の冷却水を導くように構成することにより、正確な温度情報の伝達が可能で、サーモスタットの所要の動作を確保できるとともに、前記サブバイパス通路内の冷却水の流量を少なくすることで、エンジン始動時の暖機運転を短時間にする(速暖化を図る)ことができる。
【0014】
さらに、メイン冷却通路中の差圧弁の存在によって、ラジエータから冷たい冷却水が急にエンジン側に流入するといった不具合やラジエータとエンジン間の流量がエンジン速暖への影響をなくし、システム全体での信頼性を向上させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1ないし図5は本発明に係るエンジン冷却システムの一実施の形態を示す。これらの図において、まず、電子制御サーモスタットを含む自動車用エンジンの冷却水温度制御系の全体の概要を示す図1に基づき、以下に説明する。
【0016】
図1において、1は内燃機関としての自動車用エンジンであり、このエンジン1内には、図示しないが周知の通りの冷却水通路が形成されている。
2は熱交換器、すなわちラジエータ(Rd)であり、このラジエータ2の内部にも周知の通り冷却水通路が形成されており、またラジエータ2の冷却水入口部2aおよび冷却水出口部2bは、前記エンジン1との間で冷却水を循環させるメインの冷却通路3,4に接続されている。
【0017】
このメイン冷却通路3,4は、エンジン1の上部に設けられた冷却水の出口部1bからラジエータ2の上部に設けられた冷却水の入口部2aまで連通するエンジン出口側の冷却通路3と、ラジエータ2の下部に設けられた冷却水の出口部2bからエンジン1の下部に設けられた冷却水の入口部1aまで連通するエンジン入口側の冷却通路4とから構成されている。
【0018】
これらのエンジン1、ラジエータ2、メイン冷却通路3,4等によってエンジン冷却水のメイン循環路が形成されている。なお、5はエンジン入口部1aに設けられたウォータポンプである。
【0019】
本発明によれば、上述したエンジン冷却水のメイン循環路において、冷却水温を制御する電子制御サーモスタット10を、ラジエータ2の入口部2aに一体化させて(ラジエータ2側に隣接またはラジエータ2の一部に)配置し、前記電子制御サーモスタット10のバルブユニットをラジエータ2のハウジング等に一体化できるように構成している。
このような構成を採る理由は、電子制御サーモスタット10を備えたエンジン冷却システム全体の小型化を図るとともに、組込みスペースの制約が多い自動車内への前記システムの組込性を向上させるためである。
【0020】
さらに、本発明によれば、エンジン冷却水のエンジン出口側、エンジン入口側のメイン冷却通路3,4において、エンジン1に一体化する部分に、図3および図4に示すように、上下流の圧力差で前記冷却通路3,4を開閉制御できる差圧弁6,7を設け、さらにエンジン出口側の差圧弁6とエンジン1との間のエンジン出口側冷却通路3中の冷却水を、前記電子制御サーモスタット10の感温部に小径なサブバイパス(サブ)通路8により導き、前記冷却水の戻り側として小径なサブバイパス通路9を、前記エンジン入口側の差圧弁7とエンジン1との間のエンジン入口側冷却通路4に導くように構成している。
【0021】
ここで、上述したサブバイパス通路8,9は、従来システムにおいてサーモスタットの感温部に冷却水を導いていたバイパス通路よりも充分に小さい径寸法をもつように構成している。これは、本発明では、電子制御サーモスタット10をラジエータ2に一体化させて設けていることから、前記通路8,9中を流れる冷却水量を最小限とするためである。
【0022】
また、上述した差圧弁6,7は、図5(a),(b)に示すようなバタフライ弁であって、上流側と下流側との圧力差で開閉動作するように重心をずらして軸支された構造のものを用いるとよい。勿論、このような構造には限定されず、たとえば図6に示すような単純な圧力弁であってもよく、その構造は問わない。要は、上、下流側の圧力差で前記流路を自動的に開閉できる構造のものであればよい。
【0023】
図1、図3および図4中、符号30はヒータコア、30a,30bは前記エンジン1と差圧弁6,7との間の冷却水をヒータコア30に導くことにより前記冷却水を加熱するヒータ回路となるヒータ通路である。
【0024】
このような構成によれば、電子制御サーモスタット10をラジエータ2側に隣接またはラジエータ2の一部に配置させることで、その感温部へ冷却水を導くバイパス通路の通路長さが長くなり、前記通路での冷却水量が増えることで、サーモスタット10の応答性が害され、エンジン始動時の暖機運転時にメインの冷却通路3,4中を流れる冷却水の開閉制御が遅れて、暖機運転に時間がかかるといった従来の不具合を一掃することができるのである。これは、サーモスタット10の感温部へのサブバイパス通路8,9が小径通路で構成され、サーモスタット感温部への正確な温度情報の伝達を確保できる一方、その内部の流量が少ないことで達成されるのである。
【0025】
また、上述した構成によれば、メインの冷却通路3,4においてエンジン1寄りの部分に差圧弁6,7を設けているから、ラジエータ2からの冷たい冷却水がエンジン1側に急に流入するといった不具合を防止することができる。
【0026】
さらに、電子制御サーモスタット10の感温部へのバイパス通路をなくすと、却って冷却水の流れがなくなり暖機に時間がかかってしまうが、本発明では、小径なサブバイパス通路8,9を差圧弁6,7とエンジン1との間に設けることで、冷却水の流れを常に維持することができ、差圧弁6,7が閉じても冷却水のわずかな対流を確保でき、従来のバイパス通路と同等の作用を確保することができる。
【0027】
ここで、電子制御サーモスタット10は、たとえば特開2001−317355等に開示されているような構造をもつものであって、感温部に発熱素子を設置し、実際の温度だけに依存せずバルブの開度を任意に変化させることが可能なものである。勿論、この電子制御サーモスタット10のバルブとしては、たとえばバタフライ式またはロータリ式のバルブ等によって構成され、電動モータ等による開閉動作によって、冷却通路3,4を流れる冷却水の流量を調節できるものであってもよい。この場合、サブバイパス通路8,9を直接接続させ、さらに短くすることによって速暖化が図れる。
【0028】
この電子制御サーモスタット10は、図示しない制御装置(ECU:エンジンコントロールユニット)であるコントローラにより制御され、冷却水温を適宜制御できるように構成されている。このコントローラに与えられる情報としては、エンジン冷却システムにおいて、エンジン1における冷却水出口部1b近くのエンジン出口側冷却通路3に設けられる水温センサ(図示せず)からのエンジン出口側水温情報、さらにエンジン入口側冷却通路4においてラジエータ2の出口側に設けられる水温センサ(図示せず)からの水温情報、さらにエンジン1やラジエータ2等を始めとする各部の動作状態を示す情報、たとえばNe(エンジン回転数)、θth(スロットル開度)等があり、これにより電子制御サーモスタット10は、自動車の運転状態においてエンジン1の負荷に応じて冷却水温を適宜制御している。
【0029】
図2は上述した電子制御サーモスタット10の一例を図示したものであり、耐熱プラスチック等の樹脂素材により一体的に形成された本体のハウジング11と、エレメント12に内装され冷却液の感温部である図示しないワックスの膨張によってメイン弁体13を開閉するバルブ駆動部20により構成されている。
このメイン弁体13は、上述したエンジン出口側からラジエータ入口側に至るメインのエンジン出口側冷却通路3を、上述した冷却水温によるワックスの膨張または収縮、さらにはコントローラによって制御される発熱素子21の発熱によるワックスの膨張等によって開閉制御するところである。
【0030】
ここで、電子制御サーモスタット10のハウジング11は、高温化した冷却水の温度に十分耐え得ることのできる耐熱プラスチック等の樹脂素材により射出成形加工されている。なお、用途により金属製でも可能である。
ハウジング11には、エンジン始動時にエンジン出口側の冷却水をサーモスタット10の感温部へ直接流入させる流入側サブバイパススリーブ14と、このサブバイパス側の冷却水をエンジン入口側に戻す流出側サブバイパススリーブ15とが設けられ、上記の感温部にエンジン出口側の冷却水温のみが流入し、所要の動作が得られるようになっている。
【0031】
なお、上述した発熱素子21としてはニクロムヒータ、PTC素子、ペルチェ素子等のものがあるが、用途により選択することができる。特に、ベルチェ素子を用いた場合には上述した効果とは逆の作用、すなわちエレメントを冷却することも可能となる、サーモスタットの制御の幅を広くすることが可能となる。
【0032】
このような構成では、エンジン始動時などの冷却水が冷たい場合、エンジン出口側より流出した冷却水は電子制御サーモスタット10のハウジング11においてサブバイパススリーブ14よりサーモスタット10内に流入する。サーモスタット10内に流入した冷却水は、エレメント12の感温部に接触した後、サブバイパススリーブ15を経由してエンジン出口側に直接流出する。
【0033】
一方、エンジン出口側より流出した冷却水はメイン流路(冷却通路3)を流れるが、このメイン流路3はメイン弁体13により遮断されているために、この部分の流れが阻止される。
そして、このような状態が継続されると、ラジエータを経由しない冷却水は早期に暖気される。所定の温度に冷却水が達すると、この冷却水の水温をエレメント12のワックスが感温して次第に膨張する。このワックスの膨張に伴ってピストンが伸張し、ピストンを介して前記メイン弁体13が下降し、メイン通路3を開放してエンジン1からラジエータ2への流れを確保する。
【0034】
以上の構成において、電子制御サーモスタット10のメイン弁体13、差圧弁6,7の動作状態を、低温時と高温時、さらにエンジン1の低回転時と高回転持とで整理すると、以下のようになる。
すなわち、低温時において、エンジン低回転のときは、差圧弁6,7、さらにメイン弁体13は閉じている。このとき、サブバイパス通路8,9内で冷却水は流れる。また、メイン流路3,4では冷却水は流れない。
【0035】
一方、低温時でエンジン高回転のときは、差圧弁6,7は流量の増加に伴って、差圧弁を挟んでエンジン側とラジエータ側の流量に差に伴い、圧力に差が生じるので弁が開くが、メイン弁体13は閉じている。このとき、サブバイパス通路8,9内で冷却水は流れる。また、メイン流路3,4では冷却水は流れず、通路内で対流するにとどまる。
【0036】
これに対して、高温時にエンジン低回転であるときは、差圧弁6,7は始め閉じているが、メイン弁体13が開くと前述したように差圧に伴って開き始める。このとき、サブバイパス通路8,9内で冷却水は流れる。また、メイン流路3,4でも冷却水は流れる。
【0037】
一方、高温時においてエンジン高回転であるときは、差圧弁6,7は前述したように差圧により開き、冷却水の高温化によりメイン弁体13は共に開く。このとき、サブバイパス通路8,9内で冷却水は流れる。また、メイン流路3,4でも冷却水は流れる。
【0038】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。たとえば、上述した実施の形態では、電子制御サーモスタット10を、図1に示すようにラジエータ2の入口側に隣接またはラジエータ2の一部(一体化)に配置した場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、図中10Aで示すようにラジエータ2の出口側に隣接して配置してもよい。
【0039】
また、本発明を適用する電子制御サーモスタット10としては、冷却水温を任意に温度制御できるものであればどのような構造のものでもよく、たとえばWAX+PTC式サーモスタット等は勿論、電動モータ駆動式バタフライ弁等の流量制御弁を用いたシステムによる電子制御サーモスタットであってもよい。また、発熱素子としてもPTCサーミスタに限られるものではなく、発熱体であればどのようなものでもよい。さらに、WAXではなく、バイメタルや形状記憶合金(SMA)でもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るエンジン冷却システムによれば、電子制御サーモスタットを、ラジエータ側に隣接またはラジエータの一部に配置させることで一体化させて構成したとしても、前記サーモスタット感温部へ冷却水を導く小径なサブバイパス通路の存在によって、正確な温度情報の伝達が可能で、これによりエンジン始動時における暖機運転を迅速かつ確実に行わせることができる。
【0041】
また、本発明によれば、エンジンの出、入口側の冷却通路中に差圧弁を配置しているから、ラジエータからの冷たい冷却水がエンジン内に急に入ることを防止することができ、エンジン冷却システムとしての信頼性を確保することができる。さらに、エンジン冷却装置のレイアウトの自由度が広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジン冷却システムの一実施の形態を示し、システム全体の概要を説明するための概略図である。
【図2】本発明に係るエンジン冷却システムに用いる電子制御サーモスタットの一例を示す概略断面図である。
【図3】図1のエンジン冷却システムにおける22部の拡大図である。
【図4】図1のエンジン冷却システムにおける40部の拡大図である。
【図5】(a),(b)は差圧弁の一例を示す正面図および側面図である。
【図6】差圧弁として圧力弁を用いた例を示す図である。
【符号の説明】
1…エンジン、2…ラジエータ、3,4…エンジン出口側、入口側のメイン冷却通路、6,7…差圧弁、8,9…小径なサブバイパス通路、10…電子制御サーモスタット、12…エレメント、13…メイン弁体、21…発熱素子。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等に使用される内燃機関(以下、エンジンという)を冷却する冷却水を、熱交換器(以下、ラジエータという)との間で循環させるエンジンの冷却システムにおいて、冷却水温度を任意に可変制御するために用いられる電子制御サーモスタットを備えているエンジン冷却システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジンにおいて、これを冷却するためには、一般にはラジエータを用いた水冷式のエンジン冷却システムが使用されている。従来からこの種のエンジン冷却システムにおいては、エンジンに導入する冷却水の温度を制御できるように、ラジエータ側に循環させる冷却水量を調節する熱膨張体を用いたサーモスタット、あるいは電気制御によるバルブユニットが使用されている。
【0003】
すなわち、上記の熱膨張体を用いたサーモスタットあるいは電気制御によるバルブユニット等による制御バルブを、冷却水通路の一部、たとえばエンジンの入口側または出口側に介装し、冷却水温度が低い場合に、前記制御バルブを閉じて、ラジエータを経由せずバイパス通路を介して冷却水を循環させ、また冷却水温度が高くなった場合は、制御バルブを開いて冷却水がラジエータを通して循環させると、冷却水の温度を所要の状態に制御することができるものである。
【0004】
ところで、エンジンが高負荷で運転されているときには、冷却水温度を低くし、低負荷であるときには冷却水温度を高くすることにより、自動車の燃費向上を図れることが一般に知られている。このような状況において、自動車の燃費向上のための最適水温を提供するために、最近では電子制御式のバルブ、すなわち電子制御サーモスタットが採用されることが多くなっている。
このような電子制御サーモスタットは、そのバルブ部の開度を任意に制御すること、およびラジエータに付設した冷却ファンを制御することで、冷却水温度を制御することによって、冷却水温度の適切な制御を行えるものである(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
このような冷却水温度の適切な制御は、上述した電子制御サーモスタットを可変制御する制御装置(エンジンコントロールモジュール)を、エンジン制御ユニットでの種々のパラメータ、たとえば冷却水温度、外気温、車速、エンジン回転数、スロットル開度等の検出情報をも加味して制御できるものである。
【0006】
また、電子制御を行わない従来の一般的なサーモスタットを備えたエンジン冷却システムにおいて、従来のサーモスタットをラジエータに一体的に設けた構造を採用したものがある。これは、前記サーモスタットの組み込み位置によってシステム全体が大型化しやすく、スペース的に制約の多い自動車への組込性の面で問題があることに鑑み、これらの不具合を解消するためである(たとえば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−317355
【特許文献2】
実開平1−94786号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したように従来から知られている電子制御サーモスタットを、エンジン冷却システムにおいてラジエータのタンク部あるいはラジエータ近傍に設置したときに、以下のような問題を生じている。
【0009】
これを詳述すると、上述したような電子制御サーモスタットを単純にラジエータに一体的に配置させると、ラジエータをバイパスさせて冷却水を循環させるバイパス回路の分岐位置がラジエータ側に寄り過ぎてバイパス回路長さが長くなる。
【0010】
その結果、前記バイパス回路で必要とする冷却水量が多くなり、前記バイパス通路を通過する流量分だけ、エンジンの暖機速度が遅くなる、すなわちエンジン始動時において暖機運転に時間がかかるといった問題があった。これは、エンジン水温をサーモスタットに感知させるためにバイパス通路をサーモスタット感温部に流す必要があるためであった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、電子制御サーモスタットを用いたエンジン冷却システムにおいて、電子制御サーモスタットをラジエータに一体化した場合に生じているエンジン始動時の暖機運転に時間がかかるという不具合を解消できるようにしたエンジン冷却システムを得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係るエンジンの冷却水温制御に用いられ、感温部に発熱素子を設置し、実際の温度だけに依存せずにバルブ開度を任意に変化させることが可能な電子制御サーモスタットを用いたエンジン冷却システムにおいて、
前記電子制御サーモスタットを、ラジエータの入口側、出口側どちらか一方に一体的に配置するとともに、
冷却水圧力の変化によって開閉する差圧弁を、前記エンジンと前記ラジエータを接続し冷却水を循環させるメイン冷却通路のエンジン出口側およびラジエータ入口側に各々配置し、
前記エンジン出口側に配置した前記差圧弁とエンジンとの間の冷却水を前記電子制御サーモスタット感温部に連通するとともに、前記電子制御サーモスタット感温部とエンジン入口側の差圧弁とエンジンの間の冷却通路に連通するサブ冷却通路を設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、電子制御サーモスタットをラジエータ側に隣接またはラジエータの一部に配置することが可能で、特にこれらのラジエータと電子制御サーモスタットとを一体的に構成することで、システム全体の小型化が図れる。
ここで、一体的とは、ラジエータに隣接、一部に設置、埋設することを言う。その他、近接する場合も含む。
また、従来一般的であるサーモスタット感温部へのバイパス通路に比べて充分に小径なサブ冷却通路(以下サブバイパス通路)を用いて、前記サーモスタット感温部にエンジン出口側の冷却水を導くように構成することにより、正確な温度情報の伝達が可能で、サーモスタットの所要の動作を確保できるとともに、前記サブバイパス通路内の冷却水の流量を少なくすることで、エンジン始動時の暖機運転を短時間にする(速暖化を図る)ことができる。
【0014】
さらに、メイン冷却通路中の差圧弁の存在によって、ラジエータから冷たい冷却水が急にエンジン側に流入するといった不具合やラジエータとエンジン間の流量がエンジン速暖への影響をなくし、システム全体での信頼性を向上させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1ないし図5は本発明に係るエンジン冷却システムの一実施の形態を示す。これらの図において、まず、電子制御サーモスタットを含む自動車用エンジンの冷却水温度制御系の全体の概要を示す図1に基づき、以下に説明する。
【0016】
図1において、1は内燃機関としての自動車用エンジンであり、このエンジン1内には、図示しないが周知の通りの冷却水通路が形成されている。
2は熱交換器、すなわちラジエータ(Rd)であり、このラジエータ2の内部にも周知の通り冷却水通路が形成されており、またラジエータ2の冷却水入口部2aおよび冷却水出口部2bは、前記エンジン1との間で冷却水を循環させるメインの冷却通路3,4に接続されている。
【0017】
このメイン冷却通路3,4は、エンジン1の上部に設けられた冷却水の出口部1bからラジエータ2の上部に設けられた冷却水の入口部2aまで連通するエンジン出口側の冷却通路3と、ラジエータ2の下部に設けられた冷却水の出口部2bからエンジン1の下部に設けられた冷却水の入口部1aまで連通するエンジン入口側の冷却通路4とから構成されている。
【0018】
これらのエンジン1、ラジエータ2、メイン冷却通路3,4等によってエンジン冷却水のメイン循環路が形成されている。なお、5はエンジン入口部1aに設けられたウォータポンプである。
【0019】
本発明によれば、上述したエンジン冷却水のメイン循環路において、冷却水温を制御する電子制御サーモスタット10を、ラジエータ2の入口部2aに一体化させて(ラジエータ2側に隣接またはラジエータ2の一部に)配置し、前記電子制御サーモスタット10のバルブユニットをラジエータ2のハウジング等に一体化できるように構成している。
このような構成を採る理由は、電子制御サーモスタット10を備えたエンジン冷却システム全体の小型化を図るとともに、組込みスペースの制約が多い自動車内への前記システムの組込性を向上させるためである。
【0020】
さらに、本発明によれば、エンジン冷却水のエンジン出口側、エンジン入口側のメイン冷却通路3,4において、エンジン1に一体化する部分に、図3および図4に示すように、上下流の圧力差で前記冷却通路3,4を開閉制御できる差圧弁6,7を設け、さらにエンジン出口側の差圧弁6とエンジン1との間のエンジン出口側冷却通路3中の冷却水を、前記電子制御サーモスタット10の感温部に小径なサブバイパス(サブ)通路8により導き、前記冷却水の戻り側として小径なサブバイパス通路9を、前記エンジン入口側の差圧弁7とエンジン1との間のエンジン入口側冷却通路4に導くように構成している。
【0021】
ここで、上述したサブバイパス通路8,9は、従来システムにおいてサーモスタットの感温部に冷却水を導いていたバイパス通路よりも充分に小さい径寸法をもつように構成している。これは、本発明では、電子制御サーモスタット10をラジエータ2に一体化させて設けていることから、前記通路8,9中を流れる冷却水量を最小限とするためである。
【0022】
また、上述した差圧弁6,7は、図5(a),(b)に示すようなバタフライ弁であって、上流側と下流側との圧力差で開閉動作するように重心をずらして軸支された構造のものを用いるとよい。勿論、このような構造には限定されず、たとえば図6に示すような単純な圧力弁であってもよく、その構造は問わない。要は、上、下流側の圧力差で前記流路を自動的に開閉できる構造のものであればよい。
【0023】
図1、図3および図4中、符号30はヒータコア、30a,30bは前記エンジン1と差圧弁6,7との間の冷却水をヒータコア30に導くことにより前記冷却水を加熱するヒータ回路となるヒータ通路である。
【0024】
このような構成によれば、電子制御サーモスタット10をラジエータ2側に隣接またはラジエータ2の一部に配置させることで、その感温部へ冷却水を導くバイパス通路の通路長さが長くなり、前記通路での冷却水量が増えることで、サーモスタット10の応答性が害され、エンジン始動時の暖機運転時にメインの冷却通路3,4中を流れる冷却水の開閉制御が遅れて、暖機運転に時間がかかるといった従来の不具合を一掃することができるのである。これは、サーモスタット10の感温部へのサブバイパス通路8,9が小径通路で構成され、サーモスタット感温部への正確な温度情報の伝達を確保できる一方、その内部の流量が少ないことで達成されるのである。
【0025】
また、上述した構成によれば、メインの冷却通路3,4においてエンジン1寄りの部分に差圧弁6,7を設けているから、ラジエータ2からの冷たい冷却水がエンジン1側に急に流入するといった不具合を防止することができる。
【0026】
さらに、電子制御サーモスタット10の感温部へのバイパス通路をなくすと、却って冷却水の流れがなくなり暖機に時間がかかってしまうが、本発明では、小径なサブバイパス通路8,9を差圧弁6,7とエンジン1との間に設けることで、冷却水の流れを常に維持することができ、差圧弁6,7が閉じても冷却水のわずかな対流を確保でき、従来のバイパス通路と同等の作用を確保することができる。
【0027】
ここで、電子制御サーモスタット10は、たとえば特開2001−317355等に開示されているような構造をもつものであって、感温部に発熱素子を設置し、実際の温度だけに依存せずバルブの開度を任意に変化させることが可能なものである。勿論、この電子制御サーモスタット10のバルブとしては、たとえばバタフライ式またはロータリ式のバルブ等によって構成され、電動モータ等による開閉動作によって、冷却通路3,4を流れる冷却水の流量を調節できるものであってもよい。この場合、サブバイパス通路8,9を直接接続させ、さらに短くすることによって速暖化が図れる。
【0028】
この電子制御サーモスタット10は、図示しない制御装置(ECU:エンジンコントロールユニット)であるコントローラにより制御され、冷却水温を適宜制御できるように構成されている。このコントローラに与えられる情報としては、エンジン冷却システムにおいて、エンジン1における冷却水出口部1b近くのエンジン出口側冷却通路3に設けられる水温センサ(図示せず)からのエンジン出口側水温情報、さらにエンジン入口側冷却通路4においてラジエータ2の出口側に設けられる水温センサ(図示せず)からの水温情報、さらにエンジン1やラジエータ2等を始めとする各部の動作状態を示す情報、たとえばNe(エンジン回転数)、θth(スロットル開度)等があり、これにより電子制御サーモスタット10は、自動車の運転状態においてエンジン1の負荷に応じて冷却水温を適宜制御している。
【0029】
図2は上述した電子制御サーモスタット10の一例を図示したものであり、耐熱プラスチック等の樹脂素材により一体的に形成された本体のハウジング11と、エレメント12に内装され冷却液の感温部である図示しないワックスの膨張によってメイン弁体13を開閉するバルブ駆動部20により構成されている。
このメイン弁体13は、上述したエンジン出口側からラジエータ入口側に至るメインのエンジン出口側冷却通路3を、上述した冷却水温によるワックスの膨張または収縮、さらにはコントローラによって制御される発熱素子21の発熱によるワックスの膨張等によって開閉制御するところである。
【0030】
ここで、電子制御サーモスタット10のハウジング11は、高温化した冷却水の温度に十分耐え得ることのできる耐熱プラスチック等の樹脂素材により射出成形加工されている。なお、用途により金属製でも可能である。
ハウジング11には、エンジン始動時にエンジン出口側の冷却水をサーモスタット10の感温部へ直接流入させる流入側サブバイパススリーブ14と、このサブバイパス側の冷却水をエンジン入口側に戻す流出側サブバイパススリーブ15とが設けられ、上記の感温部にエンジン出口側の冷却水温のみが流入し、所要の動作が得られるようになっている。
【0031】
なお、上述した発熱素子21としてはニクロムヒータ、PTC素子、ペルチェ素子等のものがあるが、用途により選択することができる。特に、ベルチェ素子を用いた場合には上述した効果とは逆の作用、すなわちエレメントを冷却することも可能となる、サーモスタットの制御の幅を広くすることが可能となる。
【0032】
このような構成では、エンジン始動時などの冷却水が冷たい場合、エンジン出口側より流出した冷却水は電子制御サーモスタット10のハウジング11においてサブバイパススリーブ14よりサーモスタット10内に流入する。サーモスタット10内に流入した冷却水は、エレメント12の感温部に接触した後、サブバイパススリーブ15を経由してエンジン出口側に直接流出する。
【0033】
一方、エンジン出口側より流出した冷却水はメイン流路(冷却通路3)を流れるが、このメイン流路3はメイン弁体13により遮断されているために、この部分の流れが阻止される。
そして、このような状態が継続されると、ラジエータを経由しない冷却水は早期に暖気される。所定の温度に冷却水が達すると、この冷却水の水温をエレメント12のワックスが感温して次第に膨張する。このワックスの膨張に伴ってピストンが伸張し、ピストンを介して前記メイン弁体13が下降し、メイン通路3を開放してエンジン1からラジエータ2への流れを確保する。
【0034】
以上の構成において、電子制御サーモスタット10のメイン弁体13、差圧弁6,7の動作状態を、低温時と高温時、さらにエンジン1の低回転時と高回転持とで整理すると、以下のようになる。
すなわち、低温時において、エンジン低回転のときは、差圧弁6,7、さらにメイン弁体13は閉じている。このとき、サブバイパス通路8,9内で冷却水は流れる。また、メイン流路3,4では冷却水は流れない。
【0035】
一方、低温時でエンジン高回転のときは、差圧弁6,7は流量の増加に伴って、差圧弁を挟んでエンジン側とラジエータ側の流量に差に伴い、圧力に差が生じるので弁が開くが、メイン弁体13は閉じている。このとき、サブバイパス通路8,9内で冷却水は流れる。また、メイン流路3,4では冷却水は流れず、通路内で対流するにとどまる。
【0036】
これに対して、高温時にエンジン低回転であるときは、差圧弁6,7は始め閉じているが、メイン弁体13が開くと前述したように差圧に伴って開き始める。このとき、サブバイパス通路8,9内で冷却水は流れる。また、メイン流路3,4でも冷却水は流れる。
【0037】
一方、高温時においてエンジン高回転であるときは、差圧弁6,7は前述したように差圧により開き、冷却水の高温化によりメイン弁体13は共に開く。このとき、サブバイパス通路8,9内で冷却水は流れる。また、メイン流路3,4でも冷却水は流れる。
【0038】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。たとえば、上述した実施の形態では、電子制御サーモスタット10を、図1に示すようにラジエータ2の入口側に隣接またはラジエータ2の一部(一体化)に配置した場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、図中10Aで示すようにラジエータ2の出口側に隣接して配置してもよい。
【0039】
また、本発明を適用する電子制御サーモスタット10としては、冷却水温を任意に温度制御できるものであればどのような構造のものでもよく、たとえばWAX+PTC式サーモスタット等は勿論、電動モータ駆動式バタフライ弁等の流量制御弁を用いたシステムによる電子制御サーモスタットであってもよい。また、発熱素子としてもPTCサーミスタに限られるものではなく、発熱体であればどのようなものでもよい。さらに、WAXではなく、バイメタルや形状記憶合金(SMA)でもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るエンジン冷却システムによれば、電子制御サーモスタットを、ラジエータ側に隣接またはラジエータの一部に配置させることで一体化させて構成したとしても、前記サーモスタット感温部へ冷却水を導く小径なサブバイパス通路の存在によって、正確な温度情報の伝達が可能で、これによりエンジン始動時における暖機運転を迅速かつ確実に行わせることができる。
【0041】
また、本発明によれば、エンジンの出、入口側の冷却通路中に差圧弁を配置しているから、ラジエータからの冷たい冷却水がエンジン内に急に入ることを防止することができ、エンジン冷却システムとしての信頼性を確保することができる。さらに、エンジン冷却装置のレイアウトの自由度が広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジン冷却システムの一実施の形態を示し、システム全体の概要を説明するための概略図である。
【図2】本発明に係るエンジン冷却システムに用いる電子制御サーモスタットの一例を示す概略断面図である。
【図3】図1のエンジン冷却システムにおける22部の拡大図である。
【図4】図1のエンジン冷却システムにおける40部の拡大図である。
【図5】(a),(b)は差圧弁の一例を示す正面図および側面図である。
【図6】差圧弁として圧力弁を用いた例を示す図である。
【符号の説明】
1…エンジン、2…ラジエータ、3,4…エンジン出口側、入口側のメイン冷却通路、6,7…差圧弁、8,9…小径なサブバイパス通路、10…電子制御サーモスタット、12…エレメント、13…メイン弁体、21…発熱素子。
Claims (1)
- エンジンの冷却水温制御に用いられ、感温部に発熱素子を設置し、実際の温度だけに依存せずにバルブ開度を任意に変化させることが可能な電子制御サーモスタットを用いたエンジン冷却システムにおいて、
前記電子制御サーモスタットを、ラジエータの入口側、出口側どちらか一方に一体的に配置するとともに、
冷却水圧力の変化によって開閉する差圧弁を、前記エンジンと前記ラジエータを接続し冷却水を循環させるメイン冷却通路のエンジン出口側およびラジエータ入口側に各々配置し、
前記エンジン出口側に配置した前記差圧弁とエンジンとの間の冷却水を前記電子制御サーモスタット感温部に連通するとともに、前記電子制御サーモスタット感温部とエンジン入口側の差圧弁とエンジンの間の冷却通路に連通するサブ冷却通路を設けたことを特徴とするエンジン冷却システム。
Priority Applications (1)
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JP2002315554A JP2004150331A (ja) | 2002-10-30 | 2002-10-30 | エンジン冷却システム |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2004150331A true JP2004150331A (ja) | 2004-05-27 |
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ID=32459517
Family Applications (1)
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JP2002315554A Pending JP2004150331A (ja) | 2002-10-30 | 2002-10-30 | エンジン冷却システム |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004150331A (ja) |
-
2002
- 2002-10-30 JP JP2002315554A patent/JP2004150331A/ja active Pending
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