JP2004149766A - フッ素分子が配向された被膜及びその形成法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被膜の表面にフッ素原子を選択的に配向させ、被覆対象となじみを向上させたコポリマーの被膜形成法及び該形成法により形成されたコポリマー被膜を提供する。
【解決手段】フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とを同一コポリマー中に配するコポリマーの被膜形成法であって、該コポリマーの性状を水溶性とし、該水溶性コポリマーの水性担体溶液を被塗工物上に塗工し、前記水性担体内の揮発成分を除去することにより、被膜の被塗工物との非接触面側にフッ素原子を配向させることを特徴とするコポリマーの被膜形成法。
【選択図】 なし
【解決手段】フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とを同一コポリマー中に配するコポリマーの被膜形成法であって、該コポリマーの性状を水溶性とし、該水溶性コポリマーの水性担体溶液を被塗工物上に塗工し、前記水性担体内の揮発成分を除去することにより、被膜の被塗工物との非接触面側にフッ素原子を配向させることを特徴とするコポリマーの被膜形成法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コポリマーの形成する被膜及び該被膜の形成法に関し、更に詳細には、被膜の被塗工物との非接触面にフッ素原子が配向したコポリマーの被膜及びその形成法に好適な、コポリマーの形成する被膜及び該被膜の形成法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素原子は、撥水性、溌油性を有する基であり、被膜形成剤に於いて、できた被膜に撥水性、溌油性を付与する目的で、フッ素原子を有するモノマーに誘導された構成単位を被膜形成剤に含有させる技術が既に知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−59227号公報
【特許文献2】
特開昭58−118883号公報
【特許文献3】
特公平3−46444号公報
しかしながら、この様な従来の被膜に於いては、前記フッ素原子は被膜に一様に存在するため、被覆される対象と接する面にも存在し、被覆対象との反発力を形成し、被膜と被覆対象とのなじみを損ない、被膜の定着性が低い欠点があった。この様な欠点を克服し、被覆対象となじみが良く、且つ、被膜表面は優れた撥水性、溌油性を有する被膜の形成技術の開発が求められていた。
【0004】
又、撥水性、溌油性発現に必要なフッ素原子の量も多く必要であり、コストの面でも有効にフッ素原子を有するモノマーに誘導された構成単位を利用する技術の開発が望まれていた。
【0005】
一方、フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とを同一コポリマー中に配し、該コポリマーの性状を水溶性とし、該水溶性コポリマーを含有する水性担体溶液を被塗工物上に塗工し、前記水性担体を除去することを特徴とする、被膜の被塗工物との非接触面にフッ素原子が配向した前記コポリマー被膜の形成法は全く知られていないし、この様な被膜の形成法で形成された被膜が、その表面に於いて、選択的にフッ素原子が配向した被膜であることも全く知られていなかった。 更に、水溶性コポリマーが形成する被膜に於いて、前記被膜の表面のフッ素原子の存在率が6重量%以上である様な被膜も全く知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、被膜の表面にフッ素原子を選択的に配向させ、被覆対象となじみを向上させたコポリマーの被膜形成法及び該形成法により形成されたコポリマー被膜を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この様な実情に鑑みて、本発明者らは被膜の表面にフッ素原子を選択的に配向させ、被覆対象となじみを向上させる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とを同一コポリマー中に配するコポリマーを使用し、該コポリマーの性状を水溶性とし、該水溶性コポリマーを含有する水性担体溶液(以下、水溶性コポリマーの水性担体溶液ともいう)を被塗工物上に塗工し、前記水性担体内の揮発成分を除去することを特徴とするコポリマーの被膜形成法、及びその形成法により形成された被膜を提供することによって、上記課題を解決できることを見出し、発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下のとおりである。
(1)フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とを同一コポリマー中に配するコポリマーの被膜形成法であって、該コポリマーの性状を水溶性とし、該水溶性コポリマーを含有する水性担体溶液を被塗工物上に塗工し、前記水性担体内の揮発成分を除去することにより、被膜の被塗工物との非接触面側にフッ素原子を配向させることを特徴とする、コポリマーの被膜形成法。
(2)前記コポリマーは、前記フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とに分類されない構成単位を更に同一コポリマー中に配していることを特徴とする、(1)に記載のコポリマーの被膜形成法。
(3)前記フッ化炭化水素基を有する構成単位が一般式(I)で表されるモノマーから誘導されるものであり、前記親水性基を有する構成単位が一般式(II)で表されるモノマーから誘導されるものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のコポリマーの被膜形成法。
【0009】
【化7】
(式(I)中、R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は8〜21個の置換フッ素原子を有する炭素数5〜12のアルキル基を表す。)
【0010】
【化8】
(式(II)中、R3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R5は水素原子、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜20のアシル基を表す。nは4〜50の数値を表す。)
(4)前記フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とに分類されない構成単位が、一般式(III)で表されるモノマーから誘導されるものであることを特徴とする、(2)又は(3)に記載のコポリマーの被膜形成法。
【0011】
【化9】
(式(III)中、R6は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R7は水素原子が水酸基で置換されていても良い、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。)
(5)前記コポリマーが、一般式(I)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上と、一般式(II)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上と、一般式(III)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上とを含み、且つ前記一般式(I)で表されるモノマーから誘導される構成単位の含有量が全構成単位の5〜25重量%であることを特徴とする、(3)又は(4)に記載のコポリマーの被膜形成法。
【0012】
【化10】
(式(I)中、R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は8〜21個の置換フッ素原子を有する炭素数5〜12のアルキル基を表す。)
【0013】
【化11】
(式(II)中、R3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R5は水素原子、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜20のアシル基を表す。nは4〜50の数値を表す。)
【0014】
【化12】
(式(III)中、R6は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R7は水素原子が水酸基で置換されていても良い、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。)
(6)(1)〜(5)の何れかに記載のコポリマーの被膜形成法により形成されたコポリマー被膜。
(7)前記コポリマー被膜の蛍光X線解析による、コポリマー被膜表面のフッ素原子の存在率が、6重量%以上であることを特徴とする、(6)に記載のコポリマー被膜。
(8)フッ素原子を含む水溶性のコポリマーを用いて形成されたコポリマー被膜であって、該コポリマー被膜の蛍光X線解析による、コポリマー被膜表面のフッ素原子の存在率が、6重量%以上であることを特徴とする、コポリマーの被膜。
(9)前記コポリマー被膜の形成対象が人体であることを特徴とする、(6)〜(8)の何れかに記載のコポリマーの被膜。
(10)前記コポリマー被膜には、化粧料に使用するための任意の成分が含有されていることを特徴とする、(9)に記載のコポリマー被膜。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<1>本発明のコポリマー被膜形成法
本発明のコポリマーの被膜形成法は、フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とを同一コポリマー中に配するコポリマーの被膜形成法であって、該コポリマーの性状を水溶性とし、該水溶性コポリマーを含有する水性担体溶液を被塗工物上に塗工し、前記水性担体内の揮発成分を除去することを特徴とする。
【0016】
更に好ましい態様は、上記コポリマーが、上記フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とに分類されない構成単位を更に同一コポリマー中に配していることである。
【0017】
(1)フッ化炭化水素基を有する構成単位
上記フッ化炭化水素基を有する構成単位としては、フッ化炭化水素基を有するモノマーによってコポリマーに導入される。
【0018】
フッ化炭化水素基を有するモノマーとしては、具体的には、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、フルオロアルキルカルボン酸のビニルエステル及びアリルエステル、フルオロアルキル基で置換されたアミンと(メタ)アクリル酸との酸アミド等が例示できる。中でも、好ましくは、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、フルオロアルキルカルボン酸のビニルエステル及びアリルエステルであり、さらに好ましくは、フルオロアルキル(メタ)アクリレートである。
【0019】
このうち、下記一般式(I)で表されるモノマーより誘導される構成単位が好適に例示できる。
【0020】
【化13】
ここで、一般式(I)中、R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は8〜21個の置換フッ素原子を有する炭素数5〜12のアルキル基を表す。R1のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基等が例示できる。R1として好ましいものは、水素原子又はメチル基である。
【0021】
R2で表される8〜21個の置換フッ素原子を有する炭素数5〜12のアルキル基としては、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル基、1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル基、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル基、1H,1H−トリデカフルオロヘプチル基、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル基、1H、1H、11H−エイコサフルオロウンデシル基等が好ましく例示できる。
【0022】
このような一般式(I)で表される化合物は、例えばアクリル酸又はα−アルキルアクリル酸から誘導される酸クロリドと、フッ素原子を含むアルコールとをアルカリ存在下縮合することにより得ることができる。また、このような一般式(I)で表される化合物の中には既に市販されているものがあり、それを利用することもできる。このような市販品の例としては、商品名「ビスコート8F」、「ビスコート8FM」、「ビスコート17M」、「ビスコート17FM」(いずれも大阪有機化学製)等が挙げられる。
【0023】
本発明のコポリマーの被膜形成法に用いるコポリマーにおいて、上記構成単位(I)は1種のみでもよいが、該一般式(I)を満たすものであれば2種以上を組み合わせて構成単位とすることもできる。
【0024】
本発明で使用するコポリマーにおいては、前記構成単位(I)の1種以上を、該コポリマーを構成する全構成単位に対して、総量で5〜25重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは5〜9.8重量%、更に好ましくは7〜9.8重量%含有させるとよい。
【0025】
これは、被膜表面にフッ素原子を(選択的に)配向させるためには、コポリマーの親水性と疎水性が適度にバランスがとれていることが必要であり、疎水性の性質を有する一般式(I)で表されるモノマーから誘導される構成単位(I)は、上記範囲内の含有量とするのが好ましいからである。すなわち、構成単位(I)の割合が少なすぎても、多くても被膜表面にフッ素原子を(選択的に)配向しくくなる。
【0026】
(2)親水性基を有する構成単位
上記親水性基を有する構成単位としては、親水性基を有するモノマーによってコポリマーに導入される。
【0027】
親水性基を有するモノマーとしては、具体的には、オキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート、重合性カルボン酸及びその塩、ピロリドン類、(メタ)アクリルアミド類等が例示できる。中でも、好ましくは、オキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド類であり、さらに好ましくは、オキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレートである。
【0028】
このうち、下記一般式(II)で表されるモノマーより誘導される構成単位が好適に例示できる。
【0029】
【化14】
ここで、一般式(II)中、R3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R5は水素原子、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜20のアシル基を表す。nは4〜50の数値を表す。
【0030】
R3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基が例示できる。R3として好ましくは、水素原子又はメチル基である。R4のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、2−ヒドロキシプロピレン基、1−ヒドロキシ−2−メチルエチレン基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチレン基などが好ましく例示できる。これらのうち、好ましいものはエチレン基又は2−ヒドロキシプロピレン基である。
【0031】
R5の基のうち、炭素数6〜20の芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基等が例示できる。炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基などが好適に例示できる。炭素数1〜20のアシル基としては、アセチル基、ブテノイル基、カプリロイル基、カプリノイル基、ベンゾイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基などが好適に例示できる。これらのうち、R5の基として特に好ましいものは、炭素数1〜12のアルキル基(脂肪族炭化水素基)である。
【0032】
nは4〜50の数値であり、好ましくは8〜40である。
【0033】
このような一般式(II)で表されるモノマーのうち特に好ましいものとして、下記に示す一般式(IV)で表されるものが挙げられる。
【0034】
【化15】
(一般式(IV)中、R8は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R9は水素原子、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜20のアシル基を表す。qは8〜40の数値を表す。)
このような一般式(IV)で表されるモノマーを具体的に例示すれば、ポリエチレングリコール(9)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(9)モノメタクリレート、メチルポリオキシエチレン(9)アクリレート、メチルポリオキシエチレン(9)メタクリレート、オクチルフェニルポリオキシエチレン(10)アクリレート、オクチルフェニルポリオキシエチレン(10)メタクリレート、ノニルフェニルポリオキシエチレン(15)アクリレート、ノニルフェニルポリオキシエチレン(15)メタクリレート、オレイルポリオキシエチレン(18)アクリレート、オレイルポリオキシエチレン(18)メタクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノメタクリレート、メチルポリオキシエチレン(23)アクリレート、メチルポリオキシエチレン(23)メタクリレート、セチルポリオキシエチレン(23)アクリレート、セチルポリオキシエチレン(23)メタクリレート、ドデシルポリオキシエチレン(23)アクリレート、ドデシルポリオキシエチレン(23)メタクリレート、ラウロイルポリオキシエチレン(10)アクリレート、ラウロイルポリオキシエチレン(10)メタクリレート、ステアロイルポリオキシエチレン(40)アクリレート、ステアロイルポリオキシエチレン(40)メタクリレート等があげられる。なお、カッコ内の数字はnの値を示す。
【0035】
これらのモノマーは、対応するポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリエチレングリコールモノエステルとアクリル酸又はメタクリル酸のクロライド、無水物とのエステル化反応により高収率で得ることができるが、これに限らず種々の方法で製造することができる。既に市販品も多数存在するので、かかる市販品を利用することも可能である。
【0036】
本発明のコポリマーの被膜形成法に用いるコポリマーにおいて、上記構成単位(II)は1種のみでもよいが、該一般式(II)を満たすものであれば2種以上を組み合わせることもできる。
【0037】
本発明で使用するコポリマーにおいては、前記構成単位(II)の割合は、該コポリマーを構成する全構成単位に対して、総量で20〜80重量%(平均重量百分率)とするのが好ましく、より好ましくは25%〜70重量%、更に好ましくは30〜60重量%である。
【0038】
これは前述の如く、被膜表面にフッ素原子を(選択的に)配向させるためには、コポリマーの親水性と疎水性が適度にバランスがとれていることが必要であり、一般式(II)で表されるモノマーから誘導される構成単位(II)は親水性を担うもので、親水性と疎水性の適度にバランスさせるためには、前記の含有量の範囲とするのが好ましいからである。
【0039】
(3)その他の構成単位
本発明のコポリマーの被膜形成法に用いるコポリマーは、上記フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とに分類されない構成単位を更に有していてもよい。
【0040】
該フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とに分類されない構成単位としては、上記フッ化炭化水素基を有するモノマーと上記親水性基を有するモノマーに分類されるモノマー以外のモノマーによってコポリマーに導入される。
【0041】
このようなモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、(メタ)アクリル酸アリール等の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、αメチルスチレン等が例示できる。中でも、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸アリールであり、さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルである。
【0042】
このうち、下記一般式(III)で表されるモノマーより誘導される構成単位が好適に例示できる。
【0043】
【化16】
ここで、一般式(III)中、R6は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R7は水素原子が水酸基で置換されていても良い、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
【0044】
R6で表される基のうち、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基が例示できる。R6の好ましいものとしては、水素原子又はメチル基が挙げられる。R7で表される炭素数1〜8の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基、nブチル基、isoブチル基、tert−ブチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、nオクチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が例示できる。水素原子が水酸基で置換されている炭素数1〜8の炭化水素基としては、ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基等が例示できる。
【0045】
一般式(III)で表されるモノマーを具体的に例示すれば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸nブチル、メタクリル酸nブチル、アクリル酸isoブチル、メタクリル酸isoブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸nヘキシル、メタクリル酸nヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸nオクチル、メタクリル酸nオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられ、ほとんどが市販品として入手可能である。
【0046】
本発明のコポリマーの被膜形成法に用いるコポリマーにおいて、上記構成単位(III)は1種のみでもよいが、該一般式(III)を満たすものであれば2種以上を組み合わせることもできる。
【0047】
本発明で使用するコポリマーにおいては、前記構成単位(III)の割合は、該コポリマーを構成する全構成単位に対して、総量で20〜70重量%(平均重量百分率)とするのが好ましく、より好ましくは25%〜65重量%、更に好ましくは30〜60重量%である。
【0048】
これは前述の如く、被膜表面にフッ素原子を(選択的に)配向させるためには、コポリマーの親水性と疎水性が適度にバランスがとれていることが必要であり、一般式(III)で表されるモノマーから誘導される構成単位(III)は、コポリマー被膜の強度を左右する要素となり、少なすぎると強い被膜が形成されず保護膜としての機能が不足する場合があり、多すぎると被膜が強固すぎて、被膜表面にフッ素原子が(選択的に)配向しないことがあるからである。
【0049】
(4)コポリマー
本発明で使用するコポリマーの製造方法は、特に限定されないが、各構成単位を誘導するモノマーを溶媒中で混合し、アクリル系モノマーの重合で通常用いられる方法にしたがって、重合反応を行うことにより得ることができる。
【0050】
尚、後述するように、コポリマーの水性担体溶液を製造する際、予めコポリマーを水に溶解した水溶液を作っておき、これに他の成分を混合させるのが好ましいが、このように予めコポリマーを水に溶解した状態にしておくためには、コポリマーの重合を、水親和性の溶媒と水との混合溶媒中で行うとよい。ここで、水親和性の溶媒としては、アルコール類が好ましく例示でき、中でもエタノールやイソプロパノールなどの低級アルコールが好ましく例示できる。そして、この様な溶媒中で重合させた後、減圧濃縮などして、溶媒を除去し、水分含有量を調整することが好ましい。
【0051】
通常、重合反応は、ベンゼン或いはトルエンなどの有機溶剤中で行うが、前記コポリマーの製造をこの様な条件で行うと、親水性基が内側に配向したブロック状の形態でコポリマーが生成されることがあり、このコポリマーを水性担体に溶解させるのは容易ではないからである。
【0052】
(5)コポリマーの水性担体溶液
本発明のコポリマーの被膜形成法では、上記のようにして得られた水溶性のコポリマーを含有する、水溶性コポリマーの水性担体溶液を使用する。
【0053】
ここで、水性担体とは、水に混合もしくは一様に分散する程度に親水性を有する担体、又は水を50重量%以上を含有する担体をいうことができる。
【0054】
また、水性担体の形態としては、一様な溶液の形態であっても、ゲル形態であっても、多層分散系の形態であっても、乳化形態であっても構わない。このうち特に好ましいのは、一様な溶液の形態である。
【0055】
また、水性担体には、さらに各種任意成分を含有させることができる。この任意成分の種類は、本発明で得られるコポリマー被膜の使用形態に応じ異なるが、例えば、以下でも記載するように、ペイント類、繊維などのコート剤類、化粧料等に使用する場合には、含有させる任意成分としては、メタノール、エタノール、nプロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド等の水性溶媒を挙げることができる。これら水性溶媒は、唯一種を含有させることもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。
【0056】
また、本発明のコポリマーの被膜形成法で使用するコポリマーの水性担体溶液には、上記した、コポリマー、水性担体及び水性溶媒以外にも他の任意成分をさらに含有させることができる。例えば、他の任意成分として、染料、顔料等の着色剤、乳化剤、分散剤、可溶化剤、増粘剤、ゲル化剤、pH調整剤、抗酸化剤、防腐剤、UVカット剤、緩衝剤、被膜剤等が挙げられる。
【0057】
本発明のコポリマーの被膜形成法で使用するコポリマーの水性担体溶液は、上記のような必須成分及び任意成分を常法に従って処理することにより製造することができる。ここで、コポリマーの水性担体溶液を得る方法としては、予めコポリマーを水に溶解した水溶液を作成しておき、これにコポリマーの水性担体溶液に含有させる他の成分を混合させるのが好ましい。
【0058】
本発明で使用するコポリマーの水性担体溶液において、該溶液に含有されている上記コポリマーは、親水性の基を水性担体側に配向させていると考えられる。その結果、このコポリマーの水性担体溶液を塗工すると、被塗工対象側に親水基が配向し、一方、被塗工対象とは反対側(被塗工物との非接触面側、つまり解放側)にフッ素原子が配向すると考えられる。
【0059】
(6)コポリマーの被膜形成法
本発明のコポリマーの被膜形成法において、塗工方法としては、特にその種類に制限はなく、既に知られている塗工方法に従って行えば良い。例えば、本発明で得られるコポリマー被膜をペイント類、繊維などのコート剤類、化粧料等に使用する場合には、ペイント類であれば、刷毛で塗工したり、噴霧によって塗工したり、溶液に塗工対象を浸漬することにより塗工したりすることができるし、繊維コート剤であれば、噴霧によることが好ましく、化粧料であれば手指或いはパフなどの小道具を用いて塗工することができる。
【0060】
本発明のコポリマーの被膜形成法において、かかる塗工物からの水性担体内の揮発成分の除去は、室温で自然揮散させることにより為される。ここで揮発成分とは、室温において、揮散する成分を意味し、例えば、水、エタノールなどの低沸点溶剤、沸点200℃以下の炭化水素もしくはシリコーンなどが好ましく例示できる。
【0061】
(7)用途
上記のようにして、本発明のコポリマーの被膜形成法により形成されたコポリマー被膜は、被塗工物との非接触面側(解放側)にフッ素原子が選択的に配向している。
【0062】
ここで選択的に配向とは、例えば、蛍光X線解析によってコポリマー被膜の表面(被塗工物との非接触面側の被膜表面)のフッ素原子の存在率を測定した場合、フッ素原子の存在率が6重量%以上となっている膜をいう。又は、被膜全体に於けるフッ素原子の存在確率の3倍以上の存在確率でコポリマー被膜の表面にフッ素原子が存在している膜をいう。
【0063】
このように、本発明のコポリマーの被膜形成法により形成されたコポリマー被膜は、被塗工物との非接触面側にフッ素原子が選択的に配向しているため、優れた撥水性と溌油性を有している。特に、コポリマー被膜の表面に於けるフッ素原子の存在率が、6重量%以上であるため、撥水性、及び溌油性が優れている。
【0064】
このようにして得られた本発明のコポリマー被膜は、撥水性と溌油性が優れているため、ペイント類、繊維などのコート剤類、化粧料等の各分野において使用することができる。
【0065】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明がこれら実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0066】
(1)以下、構成単位(I)を誘導する一般式(I)で表されるモノマーの製造例を示す。
【0067】
製造例1
フルオロアルコールとしての1H,1H,2H,2H−ノナフルオロ−1−ヘキサノール52.8g、トリエチルアミン50gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。氷冷、攪拌を行いながら、この溶液に、酸クロライドとしてのアクリル酸クロライド18.1gをテトラヒドロフラン100mlに溶解した溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後生成した白色沈澱を濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濾液からテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去した。NMR測定により得られた化合物が1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシルアクリレートであることが確認された。
【0068】
製造例2〜5
製造例1に準じて原料を変え、一般式(I)で表されるモノマーを製造した。結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
(2)構成単位(II)のうち特に好ましい構成単位として構成単位(IV)で表されるものが挙げられる。以下に、構成単位(II)を誘導する一般式(II)で表されるモノマーの製造例を以下に示す。
【0070】
製造例6
ポリエチレングリコール化合物としてのポリエチレングリコール#400 80g、トリエチルアミン50gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。氷冷、攪拌を行いながら、この溶液に、酸クロライドとしてのメタクリル酸クロライド10.5gをテトラヒドロフラン100mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後生成した白色沈澱を濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濾液からテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去した。NMR測定により得られた化合物がポリエチレングリコール(9)モノメタクリレートであることが確認された。
【0071】
製造例7〜11
製造例6に準じて、原料を変えて一般式(II)で表されるモノマーを製造した。結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
(3)本発明のコポリマーの被膜形成に用いるコポリマーの製造例を以下に示す。
【0073】
製造例12
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(大阪有機化学製、商品名「ビスコート17F」)12.7g、メチルポリオキシエチレン(23)メタクリレート(新中村化学製、商品名「NKエステルM−230G」)52.7g、メチルメタクリレート(東京化成製)69.7g、及びイソプロピルアルコール300ml、水200mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸アンモニウム2.3gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、65℃で16時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去して本発明のコポリマー1の水溶液を得た。
【0074】
製造例13
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート(製造例2の化合物)1.2g、1H、1H、11H−エイコサフルオロウンデシルアクリレート(製造例5の化合物)3.0g、ステアロイルポリオキシエチレン(40)アクリレート(製造例11)22.8g、2−エチルヘキシルアクリレート(東京化成製)33.0g、及びエチルアルコール200ml、水100mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸アンモニウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で12時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去して本発明のコポリマー2の水溶液を得た。
【0075】
製造例14
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H−トリデカフルオロヘプチルアクリレート(製造例3の化合物)3.1g、メチルポリオキシエチレン(9)アクリレート(新中村化学製、商品名「NKエステルAM−90G」)9.5g、オレイルポリオキシエチレン(18)メタクリレート(製造例8の化合物)12.0g、メタクリル酸イソプロピル(東京化成製)35.4g、及び酢酸エチル300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過酸化ベンゾイル0.5gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行った。反応終了後、水をこの溶液に添加し、フラッシングを行って本発明のコポリマー3の水溶液を得た。
【0076】
製造例15
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H、1H、11H−エイコサフルオロウンデシルアクリレート(製造例5の化合物)4.8g、ステアロイルポリオキシエチレン(40)アクリレート(製造例11の化合物)22.2g、4−ヒドロキシブチルアクリレート(東京化成製)24.0g、tert−ブチルメタクリレート(東京化成製)9.0g、酢酸ビニル3.0g及びイソプロピルアルコール200ml、水100mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸アンモニウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で18時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去して本発明のコポリマー4の水溶液を得た。
【0077】
製造例16
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H−ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート(製造例4の化合物)8.0g、ラウロイルポリオキシエチレン(10)アクリレート(製造例10の化合物)32.0g及びイソプロピルアルコール200mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過酸化ベンゾイル0.5gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、80℃で8時間反応を行った。反応終了後、大量のn−へキサンにこの溶液に添加し、生成した沈殿を乾燥した後水に溶解して本発明のコポリマー5の水溶液を得た。
【0078】
製造例17
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H−トリデカフルオロヘプチルアクリレート(製造例3の化合物)9.0g、ポリエチレングリコール(9)モノメタクリレート(製造例6の化合物)42.0g、アクリル酸ドデシル(東京化成製)3.0g、メタクリル酸アミド(東京化成製)3.0g及び酢酸エチル300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過酸化ベンゾイル0.5gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行った。反応終了後、水をこの溶液に添加し、フラッシングを行って本発明のコポリマー6の水溶液を得た。
【0079】
製造例18
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(大阪有機化学製、商品名「ビスコート17F」)6.0g、1H,1H−トリフルオロエチルメタクリレート(大阪有機化学製、商品名「ビスコート3FM」)18.0g、メチルポリオキシエチレン(23)メタクリレート(新中村化学製、商品名「NKエステルM−230G」)24.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成製)12.0g及びイソプロピルアルコール180ml、水120mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸アンモニウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で12時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去して本発明のコポリマー7の水溶液を得た。
【0080】
製造例19
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,11H−エイコサフルオロウンデシルアクリレート(製造例5の化合物)1.2g、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート(大阪有機化学製、商品名「ビスコート8FM」)1.6g、オレイルポリオキシエチレン(18)メタクリレート(製造例8の化合物)26.0g、スチレン(東京化成製)11.2g及びトルエン250mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。アゾビスイソブチロニトリル0.5gをトルエン10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で8時間反応を行った。反応終了後、反応終了後、水をこの溶液に添加し、フラッシングを行って本発明のコポリマー8の水溶液を得た。
【0081】
製造例20
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシルアクリレート(製造例1の化合物)3.6g、ノニルフェニルポリオキシエチレン(15)アクリレート(製造例7の化合物)18.0g、ポリオキシエチレン(23)モノメタクリレート(製造例9の化合物)27.0g、メタクリル酸ベンジル(東京化成製)11.4g及びエチルアルコール150ml、水150mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸カリウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、80℃で12時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでエチルアルコールを除去して本発明のコポリマー9の水溶液を得た。
【0082】
製造例21
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(大阪有機化学製「ビスコート17F」)5.6g、メチルポリオキシエチレン(23)メタクリレート(新中村化学製「NKエステルM−230G」)24.0g、メチルメタクリレート(東京化成製)18.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成製)12.0g及びイソプロピルアルコール180ml、水120mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸アンモニウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で12時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去して本発明のコポリマー10水溶液を得た。
【0083】
製造例22(比較例;本発明のコポリマーの被膜形成に用いるコポリマーに属さないコポリマー)
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(大阪有機化学製「ビスコート17F」)6.0g、ベンジルメタクリレート(東京化成製)54.0g及び酢酸エチル300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過酸化ベンゾイル0.5gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行った。反応後、濃縮を行って目的のコポリマー11の酢酸エチル溶液を得た。
【0084】
<実施例1〜3>
下記表3に示す処方に従って、成分1〜7を良く撹拌混合しコーティング組成物を作成した。
【0085】
市販のアクリル板上にこの組成物をスプレーし、真空下60℃で24時間乾燥し、本発明のコポリマー被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す。
【0086】
【表3】
<実施例4〜7>
下記表4に示す成分1〜10を良く撹拌混合しコーティング組成物を作成した。
【0087】
市販のアルミ板をこの組成物に浸漬し、80℃で24時間乾燥し、本発明のコポリマー被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す。
【0088】
【表4】
<実施例8〜11>
下記表5に示す処方に従って、ファンデーションを作成した。即ち、表5の成分1〜3の混合物(イ)、成分4(ロ)、成分5〜8の混合物(ハ)、及び成分9〜13の混合物(ニ)をそれぞれ80℃に加熱し、(イ)と(ロ)を良く混練りしこれに(ハ)を加えて希釈し、成分14〜17の混合物(ホ)を分散させて、これに徐々に(ニ)を加えて乳化し、、攪拌冷却してファンデーションを得た。
【0089】
このファンデーションを乾燥豚皮上に指で塗布し、40℃で1時間乾燥し本発明のコポリマー被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す。
【0090】
【表5】
<実施例12〜15>
下記表6に示す処方に従って、水性ゲルを作成した。即ち、表6の成分1〜9の混合物(イ)、及び成分10〜11の混合物(ロ)をそれぞれ攪拌混合し均一溶液とした。(イ)を攪拌しながら徐々に(ロ)を加えた後、静置し水性ゲルを得た。
【0091】
このゲルを市販スライドガラス上に指で塗布し、80℃で12時間乾燥し、本発明のコポリマー被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す
【0092】
【表6】
<実施例16〜18>
下記表7に示す成分1〜7を良く攪拌混合しコーティング組成物を作成した。この組成物をスポイトで市販ろ紙上に滴下し、60℃で16時間乾燥して本発明のコポリマー被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す
【0093】
【表7】
<比較例1〜5>
下記表8に示す成分1〜5を良く攪拌混合しコーティング組成物を作成した。この組成物を下記表9に示す条件で各被塗布工物上に塗工処理して被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す。
【0094】
【表8】
【0095】
【表9】
<試験例1;表面組成の分析>
実施例1〜18及び比較例1〜5で得られた被膜の表面(被塗工物との非接触面側の被膜表面)でのフッ素原子の存在率をXPS(蛍光X線分析)により測定した。被膜表面におけるフッ素原子の存在率を測定値として示した。また、被膜の組成から計算されるフッ素原子の存在率を計算値として示した。測定値、計算値とも重量%で示す。また、被膜全体におけるフッ素原子の存在確率に対する被膜表面におけるフッ素原子の存在確率の割合を、測定値を計算値で除することにより求めた。
【0096】
結果を表10に示す。
【0097】
【表10】
これより、本発明のコポリマー被膜の表面におけるフッ素原子の存在率(測定値)は、何れも被膜の組成から計算される理論上のフッ素原子の存在率(計算値)に比較して著しく高い値を示した。つまり、本発明のコポリマー被膜は、フッ素原子が選択的に表面に配向していることが確認できた。
【0098】
尚、表10の結果より、本発明により形成されたコポリマー被膜は、被膜の表面のフッ素原子の存在率が6重量%以上の膜となっており、あるいは、被膜全体に於けるフッ素原子の存在確率の3倍以上の存在確率でコポリマー被膜の表面にフッ素原子が存在する膜となっている。
【0099】
【発明の効果】
本発明により、被膜の表面にフッ素原子を選択的に配向させ、被覆対象となじみを向上させたコポリマーの被膜形成法及び該形成法により形成されたコポリマー被膜を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、コポリマーの形成する被膜及び該被膜の形成法に関し、更に詳細には、被膜の被塗工物との非接触面にフッ素原子が配向したコポリマーの被膜及びその形成法に好適な、コポリマーの形成する被膜及び該被膜の形成法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素原子は、撥水性、溌油性を有する基であり、被膜形成剤に於いて、できた被膜に撥水性、溌油性を付与する目的で、フッ素原子を有するモノマーに誘導された構成単位を被膜形成剤に含有させる技術が既に知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−59227号公報
【特許文献2】
特開昭58−118883号公報
【特許文献3】
特公平3−46444号公報
しかしながら、この様な従来の被膜に於いては、前記フッ素原子は被膜に一様に存在するため、被覆される対象と接する面にも存在し、被覆対象との反発力を形成し、被膜と被覆対象とのなじみを損ない、被膜の定着性が低い欠点があった。この様な欠点を克服し、被覆対象となじみが良く、且つ、被膜表面は優れた撥水性、溌油性を有する被膜の形成技術の開発が求められていた。
【0004】
又、撥水性、溌油性発現に必要なフッ素原子の量も多く必要であり、コストの面でも有効にフッ素原子を有するモノマーに誘導された構成単位を利用する技術の開発が望まれていた。
【0005】
一方、フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とを同一コポリマー中に配し、該コポリマーの性状を水溶性とし、該水溶性コポリマーを含有する水性担体溶液を被塗工物上に塗工し、前記水性担体を除去することを特徴とする、被膜の被塗工物との非接触面にフッ素原子が配向した前記コポリマー被膜の形成法は全く知られていないし、この様な被膜の形成法で形成された被膜が、その表面に於いて、選択的にフッ素原子が配向した被膜であることも全く知られていなかった。 更に、水溶性コポリマーが形成する被膜に於いて、前記被膜の表面のフッ素原子の存在率が6重量%以上である様な被膜も全く知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、被膜の表面にフッ素原子を選択的に配向させ、被覆対象となじみを向上させたコポリマーの被膜形成法及び該形成法により形成されたコポリマー被膜を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この様な実情に鑑みて、本発明者らは被膜の表面にフッ素原子を選択的に配向させ、被覆対象となじみを向上させる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とを同一コポリマー中に配するコポリマーを使用し、該コポリマーの性状を水溶性とし、該水溶性コポリマーを含有する水性担体溶液(以下、水溶性コポリマーの水性担体溶液ともいう)を被塗工物上に塗工し、前記水性担体内の揮発成分を除去することを特徴とするコポリマーの被膜形成法、及びその形成法により形成された被膜を提供することによって、上記課題を解決できることを見出し、発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下のとおりである。
(1)フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とを同一コポリマー中に配するコポリマーの被膜形成法であって、該コポリマーの性状を水溶性とし、該水溶性コポリマーを含有する水性担体溶液を被塗工物上に塗工し、前記水性担体内の揮発成分を除去することにより、被膜の被塗工物との非接触面側にフッ素原子を配向させることを特徴とする、コポリマーの被膜形成法。
(2)前記コポリマーは、前記フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とに分類されない構成単位を更に同一コポリマー中に配していることを特徴とする、(1)に記載のコポリマーの被膜形成法。
(3)前記フッ化炭化水素基を有する構成単位が一般式(I)で表されるモノマーから誘導されるものであり、前記親水性基を有する構成単位が一般式(II)で表されるモノマーから誘導されるものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のコポリマーの被膜形成法。
【0009】
【化7】
(式(I)中、R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は8〜21個の置換フッ素原子を有する炭素数5〜12のアルキル基を表す。)
【0010】
【化8】
(式(II)中、R3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R5は水素原子、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜20のアシル基を表す。nは4〜50の数値を表す。)
(4)前記フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とに分類されない構成単位が、一般式(III)で表されるモノマーから誘導されるものであることを特徴とする、(2)又は(3)に記載のコポリマーの被膜形成法。
【0011】
【化9】
(式(III)中、R6は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R7は水素原子が水酸基で置換されていても良い、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。)
(5)前記コポリマーが、一般式(I)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上と、一般式(II)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上と、一般式(III)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上とを含み、且つ前記一般式(I)で表されるモノマーから誘導される構成単位の含有量が全構成単位の5〜25重量%であることを特徴とする、(3)又は(4)に記載のコポリマーの被膜形成法。
【0012】
【化10】
(式(I)中、R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は8〜21個の置換フッ素原子を有する炭素数5〜12のアルキル基を表す。)
【0013】
【化11】
(式(II)中、R3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R5は水素原子、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜20のアシル基を表す。nは4〜50の数値を表す。)
【0014】
【化12】
(式(III)中、R6は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R7は水素原子が水酸基で置換されていても良い、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。)
(6)(1)〜(5)の何れかに記載のコポリマーの被膜形成法により形成されたコポリマー被膜。
(7)前記コポリマー被膜の蛍光X線解析による、コポリマー被膜表面のフッ素原子の存在率が、6重量%以上であることを特徴とする、(6)に記載のコポリマー被膜。
(8)フッ素原子を含む水溶性のコポリマーを用いて形成されたコポリマー被膜であって、該コポリマー被膜の蛍光X線解析による、コポリマー被膜表面のフッ素原子の存在率が、6重量%以上であることを特徴とする、コポリマーの被膜。
(9)前記コポリマー被膜の形成対象が人体であることを特徴とする、(6)〜(8)の何れかに記載のコポリマーの被膜。
(10)前記コポリマー被膜には、化粧料に使用するための任意の成分が含有されていることを特徴とする、(9)に記載のコポリマー被膜。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<1>本発明のコポリマー被膜形成法
本発明のコポリマーの被膜形成法は、フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とを同一コポリマー中に配するコポリマーの被膜形成法であって、該コポリマーの性状を水溶性とし、該水溶性コポリマーを含有する水性担体溶液を被塗工物上に塗工し、前記水性担体内の揮発成分を除去することを特徴とする。
【0016】
更に好ましい態様は、上記コポリマーが、上記フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とに分類されない構成単位を更に同一コポリマー中に配していることである。
【0017】
(1)フッ化炭化水素基を有する構成単位
上記フッ化炭化水素基を有する構成単位としては、フッ化炭化水素基を有するモノマーによってコポリマーに導入される。
【0018】
フッ化炭化水素基を有するモノマーとしては、具体的には、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、フルオロアルキルカルボン酸のビニルエステル及びアリルエステル、フルオロアルキル基で置換されたアミンと(メタ)アクリル酸との酸アミド等が例示できる。中でも、好ましくは、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、フルオロアルキルカルボン酸のビニルエステル及びアリルエステルであり、さらに好ましくは、フルオロアルキル(メタ)アクリレートである。
【0019】
このうち、下記一般式(I)で表されるモノマーより誘導される構成単位が好適に例示できる。
【0020】
【化13】
ここで、一般式(I)中、R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は8〜21個の置換フッ素原子を有する炭素数5〜12のアルキル基を表す。R1のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基等が例示できる。R1として好ましいものは、水素原子又はメチル基である。
【0021】
R2で表される8〜21個の置換フッ素原子を有する炭素数5〜12のアルキル基としては、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル基、1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル基、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル基、1H,1H−トリデカフルオロヘプチル基、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル基、1H、1H、11H−エイコサフルオロウンデシル基等が好ましく例示できる。
【0022】
このような一般式(I)で表される化合物は、例えばアクリル酸又はα−アルキルアクリル酸から誘導される酸クロリドと、フッ素原子を含むアルコールとをアルカリ存在下縮合することにより得ることができる。また、このような一般式(I)で表される化合物の中には既に市販されているものがあり、それを利用することもできる。このような市販品の例としては、商品名「ビスコート8F」、「ビスコート8FM」、「ビスコート17M」、「ビスコート17FM」(いずれも大阪有機化学製)等が挙げられる。
【0023】
本発明のコポリマーの被膜形成法に用いるコポリマーにおいて、上記構成単位(I)は1種のみでもよいが、該一般式(I)を満たすものであれば2種以上を組み合わせて構成単位とすることもできる。
【0024】
本発明で使用するコポリマーにおいては、前記構成単位(I)の1種以上を、該コポリマーを構成する全構成単位に対して、総量で5〜25重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは5〜9.8重量%、更に好ましくは7〜9.8重量%含有させるとよい。
【0025】
これは、被膜表面にフッ素原子を(選択的に)配向させるためには、コポリマーの親水性と疎水性が適度にバランスがとれていることが必要であり、疎水性の性質を有する一般式(I)で表されるモノマーから誘導される構成単位(I)は、上記範囲内の含有量とするのが好ましいからである。すなわち、構成単位(I)の割合が少なすぎても、多くても被膜表面にフッ素原子を(選択的に)配向しくくなる。
【0026】
(2)親水性基を有する構成単位
上記親水性基を有する構成単位としては、親水性基を有するモノマーによってコポリマーに導入される。
【0027】
親水性基を有するモノマーとしては、具体的には、オキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート、重合性カルボン酸及びその塩、ピロリドン類、(メタ)アクリルアミド類等が例示できる。中でも、好ましくは、オキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド類であり、さらに好ましくは、オキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレートである。
【0028】
このうち、下記一般式(II)で表されるモノマーより誘導される構成単位が好適に例示できる。
【0029】
【化14】
ここで、一般式(II)中、R3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R5は水素原子、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜20のアシル基を表す。nは4〜50の数値を表す。
【0030】
R3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基が例示できる。R3として好ましくは、水素原子又はメチル基である。R4のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、2−ヒドロキシプロピレン基、1−ヒドロキシ−2−メチルエチレン基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチレン基などが好ましく例示できる。これらのうち、好ましいものはエチレン基又は2−ヒドロキシプロピレン基である。
【0031】
R5の基のうち、炭素数6〜20の芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基等が例示できる。炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基などが好適に例示できる。炭素数1〜20のアシル基としては、アセチル基、ブテノイル基、カプリロイル基、カプリノイル基、ベンゾイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基などが好適に例示できる。これらのうち、R5の基として特に好ましいものは、炭素数1〜12のアルキル基(脂肪族炭化水素基)である。
【0032】
nは4〜50の数値であり、好ましくは8〜40である。
【0033】
このような一般式(II)で表されるモノマーのうち特に好ましいものとして、下記に示す一般式(IV)で表されるものが挙げられる。
【0034】
【化15】
(一般式(IV)中、R8は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R9は水素原子、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜20のアシル基を表す。qは8〜40の数値を表す。)
このような一般式(IV)で表されるモノマーを具体的に例示すれば、ポリエチレングリコール(9)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(9)モノメタクリレート、メチルポリオキシエチレン(9)アクリレート、メチルポリオキシエチレン(9)メタクリレート、オクチルフェニルポリオキシエチレン(10)アクリレート、オクチルフェニルポリオキシエチレン(10)メタクリレート、ノニルフェニルポリオキシエチレン(15)アクリレート、ノニルフェニルポリオキシエチレン(15)メタクリレート、オレイルポリオキシエチレン(18)アクリレート、オレイルポリオキシエチレン(18)メタクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノメタクリレート、メチルポリオキシエチレン(23)アクリレート、メチルポリオキシエチレン(23)メタクリレート、セチルポリオキシエチレン(23)アクリレート、セチルポリオキシエチレン(23)メタクリレート、ドデシルポリオキシエチレン(23)アクリレート、ドデシルポリオキシエチレン(23)メタクリレート、ラウロイルポリオキシエチレン(10)アクリレート、ラウロイルポリオキシエチレン(10)メタクリレート、ステアロイルポリオキシエチレン(40)アクリレート、ステアロイルポリオキシエチレン(40)メタクリレート等があげられる。なお、カッコ内の数字はnの値を示す。
【0035】
これらのモノマーは、対応するポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリエチレングリコールモノエステルとアクリル酸又はメタクリル酸のクロライド、無水物とのエステル化反応により高収率で得ることができるが、これに限らず種々の方法で製造することができる。既に市販品も多数存在するので、かかる市販品を利用することも可能である。
【0036】
本発明のコポリマーの被膜形成法に用いるコポリマーにおいて、上記構成単位(II)は1種のみでもよいが、該一般式(II)を満たすものであれば2種以上を組み合わせることもできる。
【0037】
本発明で使用するコポリマーにおいては、前記構成単位(II)の割合は、該コポリマーを構成する全構成単位に対して、総量で20〜80重量%(平均重量百分率)とするのが好ましく、より好ましくは25%〜70重量%、更に好ましくは30〜60重量%である。
【0038】
これは前述の如く、被膜表面にフッ素原子を(選択的に)配向させるためには、コポリマーの親水性と疎水性が適度にバランスがとれていることが必要であり、一般式(II)で表されるモノマーから誘導される構成単位(II)は親水性を担うもので、親水性と疎水性の適度にバランスさせるためには、前記の含有量の範囲とするのが好ましいからである。
【0039】
(3)その他の構成単位
本発明のコポリマーの被膜形成法に用いるコポリマーは、上記フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とに分類されない構成単位を更に有していてもよい。
【0040】
該フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とに分類されない構成単位としては、上記フッ化炭化水素基を有するモノマーと上記親水性基を有するモノマーに分類されるモノマー以外のモノマーによってコポリマーに導入される。
【0041】
このようなモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、(メタ)アクリル酸アリール等の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、αメチルスチレン等が例示できる。中でも、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸アリールであり、さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルである。
【0042】
このうち、下記一般式(III)で表されるモノマーより誘導される構成単位が好適に例示できる。
【0043】
【化16】
ここで、一般式(III)中、R6は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R7は水素原子が水酸基で置換されていても良い、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
【0044】
R6で表される基のうち、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基が例示できる。R6の好ましいものとしては、水素原子又はメチル基が挙げられる。R7で表される炭素数1〜8の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基、nブチル基、isoブチル基、tert−ブチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、nオクチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が例示できる。水素原子が水酸基で置換されている炭素数1〜8の炭化水素基としては、ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基等が例示できる。
【0045】
一般式(III)で表されるモノマーを具体的に例示すれば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸nブチル、メタクリル酸nブチル、アクリル酸isoブチル、メタクリル酸isoブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸nヘキシル、メタクリル酸nヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸nオクチル、メタクリル酸nオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられ、ほとんどが市販品として入手可能である。
【0046】
本発明のコポリマーの被膜形成法に用いるコポリマーにおいて、上記構成単位(III)は1種のみでもよいが、該一般式(III)を満たすものであれば2種以上を組み合わせることもできる。
【0047】
本発明で使用するコポリマーにおいては、前記構成単位(III)の割合は、該コポリマーを構成する全構成単位に対して、総量で20〜70重量%(平均重量百分率)とするのが好ましく、より好ましくは25%〜65重量%、更に好ましくは30〜60重量%である。
【0048】
これは前述の如く、被膜表面にフッ素原子を(選択的に)配向させるためには、コポリマーの親水性と疎水性が適度にバランスがとれていることが必要であり、一般式(III)で表されるモノマーから誘導される構成単位(III)は、コポリマー被膜の強度を左右する要素となり、少なすぎると強い被膜が形成されず保護膜としての機能が不足する場合があり、多すぎると被膜が強固すぎて、被膜表面にフッ素原子が(選択的に)配向しないことがあるからである。
【0049】
(4)コポリマー
本発明で使用するコポリマーの製造方法は、特に限定されないが、各構成単位を誘導するモノマーを溶媒中で混合し、アクリル系モノマーの重合で通常用いられる方法にしたがって、重合反応を行うことにより得ることができる。
【0050】
尚、後述するように、コポリマーの水性担体溶液を製造する際、予めコポリマーを水に溶解した水溶液を作っておき、これに他の成分を混合させるのが好ましいが、このように予めコポリマーを水に溶解した状態にしておくためには、コポリマーの重合を、水親和性の溶媒と水との混合溶媒中で行うとよい。ここで、水親和性の溶媒としては、アルコール類が好ましく例示でき、中でもエタノールやイソプロパノールなどの低級アルコールが好ましく例示できる。そして、この様な溶媒中で重合させた後、減圧濃縮などして、溶媒を除去し、水分含有量を調整することが好ましい。
【0051】
通常、重合反応は、ベンゼン或いはトルエンなどの有機溶剤中で行うが、前記コポリマーの製造をこの様な条件で行うと、親水性基が内側に配向したブロック状の形態でコポリマーが生成されることがあり、このコポリマーを水性担体に溶解させるのは容易ではないからである。
【0052】
(5)コポリマーの水性担体溶液
本発明のコポリマーの被膜形成法では、上記のようにして得られた水溶性のコポリマーを含有する、水溶性コポリマーの水性担体溶液を使用する。
【0053】
ここで、水性担体とは、水に混合もしくは一様に分散する程度に親水性を有する担体、又は水を50重量%以上を含有する担体をいうことができる。
【0054】
また、水性担体の形態としては、一様な溶液の形態であっても、ゲル形態であっても、多層分散系の形態であっても、乳化形態であっても構わない。このうち特に好ましいのは、一様な溶液の形態である。
【0055】
また、水性担体には、さらに各種任意成分を含有させることができる。この任意成分の種類は、本発明で得られるコポリマー被膜の使用形態に応じ異なるが、例えば、以下でも記載するように、ペイント類、繊維などのコート剤類、化粧料等に使用する場合には、含有させる任意成分としては、メタノール、エタノール、nプロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド等の水性溶媒を挙げることができる。これら水性溶媒は、唯一種を含有させることもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。
【0056】
また、本発明のコポリマーの被膜形成法で使用するコポリマーの水性担体溶液には、上記した、コポリマー、水性担体及び水性溶媒以外にも他の任意成分をさらに含有させることができる。例えば、他の任意成分として、染料、顔料等の着色剤、乳化剤、分散剤、可溶化剤、増粘剤、ゲル化剤、pH調整剤、抗酸化剤、防腐剤、UVカット剤、緩衝剤、被膜剤等が挙げられる。
【0057】
本発明のコポリマーの被膜形成法で使用するコポリマーの水性担体溶液は、上記のような必須成分及び任意成分を常法に従って処理することにより製造することができる。ここで、コポリマーの水性担体溶液を得る方法としては、予めコポリマーを水に溶解した水溶液を作成しておき、これにコポリマーの水性担体溶液に含有させる他の成分を混合させるのが好ましい。
【0058】
本発明で使用するコポリマーの水性担体溶液において、該溶液に含有されている上記コポリマーは、親水性の基を水性担体側に配向させていると考えられる。その結果、このコポリマーの水性担体溶液を塗工すると、被塗工対象側に親水基が配向し、一方、被塗工対象とは反対側(被塗工物との非接触面側、つまり解放側)にフッ素原子が配向すると考えられる。
【0059】
(6)コポリマーの被膜形成法
本発明のコポリマーの被膜形成法において、塗工方法としては、特にその種類に制限はなく、既に知られている塗工方法に従って行えば良い。例えば、本発明で得られるコポリマー被膜をペイント類、繊維などのコート剤類、化粧料等に使用する場合には、ペイント類であれば、刷毛で塗工したり、噴霧によって塗工したり、溶液に塗工対象を浸漬することにより塗工したりすることができるし、繊維コート剤であれば、噴霧によることが好ましく、化粧料であれば手指或いはパフなどの小道具を用いて塗工することができる。
【0060】
本発明のコポリマーの被膜形成法において、かかる塗工物からの水性担体内の揮発成分の除去は、室温で自然揮散させることにより為される。ここで揮発成分とは、室温において、揮散する成分を意味し、例えば、水、エタノールなどの低沸点溶剤、沸点200℃以下の炭化水素もしくはシリコーンなどが好ましく例示できる。
【0061】
(7)用途
上記のようにして、本発明のコポリマーの被膜形成法により形成されたコポリマー被膜は、被塗工物との非接触面側(解放側)にフッ素原子が選択的に配向している。
【0062】
ここで選択的に配向とは、例えば、蛍光X線解析によってコポリマー被膜の表面(被塗工物との非接触面側の被膜表面)のフッ素原子の存在率を測定した場合、フッ素原子の存在率が6重量%以上となっている膜をいう。又は、被膜全体に於けるフッ素原子の存在確率の3倍以上の存在確率でコポリマー被膜の表面にフッ素原子が存在している膜をいう。
【0063】
このように、本発明のコポリマーの被膜形成法により形成されたコポリマー被膜は、被塗工物との非接触面側にフッ素原子が選択的に配向しているため、優れた撥水性と溌油性を有している。特に、コポリマー被膜の表面に於けるフッ素原子の存在率が、6重量%以上であるため、撥水性、及び溌油性が優れている。
【0064】
このようにして得られた本発明のコポリマー被膜は、撥水性と溌油性が優れているため、ペイント類、繊維などのコート剤類、化粧料等の各分野において使用することができる。
【0065】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明がこれら実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0066】
(1)以下、構成単位(I)を誘導する一般式(I)で表されるモノマーの製造例を示す。
【0067】
製造例1
フルオロアルコールとしての1H,1H,2H,2H−ノナフルオロ−1−ヘキサノール52.8g、トリエチルアミン50gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。氷冷、攪拌を行いながら、この溶液に、酸クロライドとしてのアクリル酸クロライド18.1gをテトラヒドロフラン100mlに溶解した溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後生成した白色沈澱を濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濾液からテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去した。NMR測定により得られた化合物が1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシルアクリレートであることが確認された。
【0068】
製造例2〜5
製造例1に準じて原料を変え、一般式(I)で表されるモノマーを製造した。結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
(2)構成単位(II)のうち特に好ましい構成単位として構成単位(IV)で表されるものが挙げられる。以下に、構成単位(II)を誘導する一般式(II)で表されるモノマーの製造例を以下に示す。
【0070】
製造例6
ポリエチレングリコール化合物としてのポリエチレングリコール#400 80g、トリエチルアミン50gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。氷冷、攪拌を行いながら、この溶液に、酸クロライドとしてのメタクリル酸クロライド10.5gをテトラヒドロフラン100mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後生成した白色沈澱を濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濾液からテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去した。NMR測定により得られた化合物がポリエチレングリコール(9)モノメタクリレートであることが確認された。
【0071】
製造例7〜11
製造例6に準じて、原料を変えて一般式(II)で表されるモノマーを製造した。結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
(3)本発明のコポリマーの被膜形成に用いるコポリマーの製造例を以下に示す。
【0073】
製造例12
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(大阪有機化学製、商品名「ビスコート17F」)12.7g、メチルポリオキシエチレン(23)メタクリレート(新中村化学製、商品名「NKエステルM−230G」)52.7g、メチルメタクリレート(東京化成製)69.7g、及びイソプロピルアルコール300ml、水200mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸アンモニウム2.3gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、65℃で16時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去して本発明のコポリマー1の水溶液を得た。
【0074】
製造例13
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート(製造例2の化合物)1.2g、1H、1H、11H−エイコサフルオロウンデシルアクリレート(製造例5の化合物)3.0g、ステアロイルポリオキシエチレン(40)アクリレート(製造例11)22.8g、2−エチルヘキシルアクリレート(東京化成製)33.0g、及びエチルアルコール200ml、水100mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸アンモニウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で12時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去して本発明のコポリマー2の水溶液を得た。
【0075】
製造例14
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H−トリデカフルオロヘプチルアクリレート(製造例3の化合物)3.1g、メチルポリオキシエチレン(9)アクリレート(新中村化学製、商品名「NKエステルAM−90G」)9.5g、オレイルポリオキシエチレン(18)メタクリレート(製造例8の化合物)12.0g、メタクリル酸イソプロピル(東京化成製)35.4g、及び酢酸エチル300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過酸化ベンゾイル0.5gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行った。反応終了後、水をこの溶液に添加し、フラッシングを行って本発明のコポリマー3の水溶液を得た。
【0076】
製造例15
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H、1H、11H−エイコサフルオロウンデシルアクリレート(製造例5の化合物)4.8g、ステアロイルポリオキシエチレン(40)アクリレート(製造例11の化合物)22.2g、4−ヒドロキシブチルアクリレート(東京化成製)24.0g、tert−ブチルメタクリレート(東京化成製)9.0g、酢酸ビニル3.0g及びイソプロピルアルコール200ml、水100mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸アンモニウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で18時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去して本発明のコポリマー4の水溶液を得た。
【0077】
製造例16
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H−ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート(製造例4の化合物)8.0g、ラウロイルポリオキシエチレン(10)アクリレート(製造例10の化合物)32.0g及びイソプロピルアルコール200mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過酸化ベンゾイル0.5gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、80℃で8時間反応を行った。反応終了後、大量のn−へキサンにこの溶液に添加し、生成した沈殿を乾燥した後水に溶解して本発明のコポリマー5の水溶液を得た。
【0078】
製造例17
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H−トリデカフルオロヘプチルアクリレート(製造例3の化合物)9.0g、ポリエチレングリコール(9)モノメタクリレート(製造例6の化合物)42.0g、アクリル酸ドデシル(東京化成製)3.0g、メタクリル酸アミド(東京化成製)3.0g及び酢酸エチル300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過酸化ベンゾイル0.5gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行った。反応終了後、水をこの溶液に添加し、フラッシングを行って本発明のコポリマー6の水溶液を得た。
【0079】
製造例18
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(大阪有機化学製、商品名「ビスコート17F」)6.0g、1H,1H−トリフルオロエチルメタクリレート(大阪有機化学製、商品名「ビスコート3FM」)18.0g、メチルポリオキシエチレン(23)メタクリレート(新中村化学製、商品名「NKエステルM−230G」)24.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成製)12.0g及びイソプロピルアルコール180ml、水120mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸アンモニウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で12時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去して本発明のコポリマー7の水溶液を得た。
【0080】
製造例19
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,11H−エイコサフルオロウンデシルアクリレート(製造例5の化合物)1.2g、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート(大阪有機化学製、商品名「ビスコート8FM」)1.6g、オレイルポリオキシエチレン(18)メタクリレート(製造例8の化合物)26.0g、スチレン(東京化成製)11.2g及びトルエン250mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。アゾビスイソブチロニトリル0.5gをトルエン10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で8時間反応を行った。反応終了後、反応終了後、水をこの溶液に添加し、フラッシングを行って本発明のコポリマー8の水溶液を得た。
【0081】
製造例20
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシルアクリレート(製造例1の化合物)3.6g、ノニルフェニルポリオキシエチレン(15)アクリレート(製造例7の化合物)18.0g、ポリオキシエチレン(23)モノメタクリレート(製造例9の化合物)27.0g、メタクリル酸ベンジル(東京化成製)11.4g及びエチルアルコール150ml、水150mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸カリウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、80℃で12時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでエチルアルコールを除去して本発明のコポリマー9の水溶液を得た。
【0082】
製造例21
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(大阪有機化学製「ビスコート17F」)5.6g、メチルポリオキシエチレン(23)メタクリレート(新中村化学製「NKエステルM−230G」)24.0g、メチルメタクリレート(東京化成製)18.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成製)12.0g及びイソプロピルアルコール180ml、水120mlからなる混合溶媒を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過硫酸アンモニウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で12時間反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去して本発明のコポリマー10水溶液を得た。
【0083】
製造例22(比較例;本発明のコポリマーの被膜形成に用いるコポリマーに属さないコポリマー)
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(大阪有機化学製「ビスコート17F」)6.0g、ベンジルメタクリレート(東京化成製)54.0g及び酢酸エチル300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。過酸化ベンゾイル0.5gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行った。反応後、濃縮を行って目的のコポリマー11の酢酸エチル溶液を得た。
【0084】
<実施例1〜3>
下記表3に示す処方に従って、成分1〜7を良く撹拌混合しコーティング組成物を作成した。
【0085】
市販のアクリル板上にこの組成物をスプレーし、真空下60℃で24時間乾燥し、本発明のコポリマー被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す。
【0086】
【表3】
<実施例4〜7>
下記表4に示す成分1〜10を良く撹拌混合しコーティング組成物を作成した。
【0087】
市販のアルミ板をこの組成物に浸漬し、80℃で24時間乾燥し、本発明のコポリマー被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す。
【0088】
【表4】
<実施例8〜11>
下記表5に示す処方に従って、ファンデーションを作成した。即ち、表5の成分1〜3の混合物(イ)、成分4(ロ)、成分5〜8の混合物(ハ)、及び成分9〜13の混合物(ニ)をそれぞれ80℃に加熱し、(イ)と(ロ)を良く混練りしこれに(ハ)を加えて希釈し、成分14〜17の混合物(ホ)を分散させて、これに徐々に(ニ)を加えて乳化し、、攪拌冷却してファンデーションを得た。
【0089】
このファンデーションを乾燥豚皮上に指で塗布し、40℃で1時間乾燥し本発明のコポリマー被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す。
【0090】
【表5】
<実施例12〜15>
下記表6に示す処方に従って、水性ゲルを作成した。即ち、表6の成分1〜9の混合物(イ)、及び成分10〜11の混合物(ロ)をそれぞれ攪拌混合し均一溶液とした。(イ)を攪拌しながら徐々に(ロ)を加えた後、静置し水性ゲルを得た。
【0091】
このゲルを市販スライドガラス上に指で塗布し、80℃で12時間乾燥し、本発明のコポリマー被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す
【0092】
【表6】
<実施例16〜18>
下記表7に示す成分1〜7を良く攪拌混合しコーティング組成物を作成した。この組成物をスポイトで市販ろ紙上に滴下し、60℃で16時間乾燥して本発明のコポリマー被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す
【0093】
【表7】
<比較例1〜5>
下記表8に示す成分1〜5を良く攪拌混合しコーティング組成物を作成した。この組成物を下記表9に示す条件で各被塗布工物上に塗工処理して被膜を得た。なお表中の数字は重量%を表す。
【0094】
【表8】
【0095】
【表9】
<試験例1;表面組成の分析>
実施例1〜18及び比較例1〜5で得られた被膜の表面(被塗工物との非接触面側の被膜表面)でのフッ素原子の存在率をXPS(蛍光X線分析)により測定した。被膜表面におけるフッ素原子の存在率を測定値として示した。また、被膜の組成から計算されるフッ素原子の存在率を計算値として示した。測定値、計算値とも重量%で示す。また、被膜全体におけるフッ素原子の存在確率に対する被膜表面におけるフッ素原子の存在確率の割合を、測定値を計算値で除することにより求めた。
【0096】
結果を表10に示す。
【0097】
【表10】
これより、本発明のコポリマー被膜の表面におけるフッ素原子の存在率(測定値)は、何れも被膜の組成から計算される理論上のフッ素原子の存在率(計算値)に比較して著しく高い値を示した。つまり、本発明のコポリマー被膜は、フッ素原子が選択的に表面に配向していることが確認できた。
【0098】
尚、表10の結果より、本発明により形成されたコポリマー被膜は、被膜の表面のフッ素原子の存在率が6重量%以上の膜となっており、あるいは、被膜全体に於けるフッ素原子の存在確率の3倍以上の存在確率でコポリマー被膜の表面にフッ素原子が存在する膜となっている。
【0099】
【発明の効果】
本発明により、被膜の表面にフッ素原子を選択的に配向させ、被覆対象となじみを向上させたコポリマーの被膜形成法及び該形成法により形成されたコポリマー被膜を提供することができた。
Claims (10)
- フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とを同一コポリマー中に配するコポリマーの被膜形成法であって、該コポリマーの性状を水溶性とし、該水溶性コポリマーを含有する水性担体溶液を被塗工物上に塗工し、前記水性担体内の揮発成分を除去することにより、被膜の被塗工物との非接触面側にフッ素原子を配向させることを特徴とする、コポリマーの被膜形成法。
- 前記コポリマーは、前記フッ化炭化水素基を有する構成単位と親水性基を有する構成単位とに分類されない構成単位を更に同一コポリマー中に配していることを特徴とする、請求項1に記載のコポリマーの被膜形成法。
- 前記フッ化炭化水素基を有する構成単位が一般式(I)で表されるモノマーから誘導されるものであり、前記親水性基を有する構成単位が一般式(II)で表されるモノマーから誘導されるものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコポリマーの被膜形成法。
- 前記コポリマーが、一般式(I)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上と、一般式(II)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上と、一般式(III)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上とを含み、且つ前記一般式(I)で表されるモノマーから誘導される構成単位の含有量が全構成単位の5〜25重量%であることを特徴とする、請求項3又は4に記載のコポリマーの被膜形成法。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載のコポリマーの被膜形成法により形成されたコポリマー被膜。
- 前記コポリマー被膜の蛍光X線解析による、コポリマー被膜表面のフッ素原子の存在率が、6重量%以上であることを特徴とする、請求項6に記載のコポリマー被膜。
- フッ素原子を含む水溶性のコポリマーを用いて形成されたコポリマー被膜であって、該コポリマー被膜の蛍光X線解析による、コポリマー被膜表面のフッ素原子の存在率が、6重量%以上であることを特徴とする、コポリマーの被膜。
- 前記コポリマー被膜の形成対象が人体であることを特徴とする、請求項6〜8の何れか1項に記載のコポリマーの被膜。
- 前記コポリマー被膜には、化粧料に使用するための任意の成分が含有されていることを特徴とする、請求項9に記載のコポリマー被膜。
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JP2003209249A JP2004149766A (ja) | 2002-09-02 | 2003-08-28 | フッ素分子が配向された被膜及びその形成法 |
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JP2007269642A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Daikin Ind Ltd | フルオロアクリレート重合体を含有する化粧料 |
WO2011013293A1 (ja) * | 2009-07-31 | 2011-02-03 | 三好化成株式会社 | 含フッ素共重合体を配合した化粧料 |
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- 2003-08-28 JP JP2003209249A patent/JP2004149766A/ja active Pending
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