JP2004148026A - エレクトロポレーション用電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な薬物を吸収させることができ、針状電極間で短絡が生じにくく、しかも針状電極が折れにくいエレクトロポレーション用電極を提供する。
【解決手段】本エレクトロポレーション用電極は、皮膚または粘膜の導入対象物に対してエレクトロポレーションを生じさせるためのものであって、導入対象物と接触する電極部11が複数の針状電極を備え、各針状電極の太さが皮膚適用面の最長部分で0.3mm〜1mmとされる。好適には、針状電極(陽極11a、陰極11b)は1cm2当たり51個〜121個形成され、また、隣り合う針状電極間の最短距離は0.3mm〜1.1mmとされる。
【選択図】 図1
【解決手段】本エレクトロポレーション用電極は、皮膚または粘膜の導入対象物に対してエレクトロポレーションを生じさせるためのものであって、導入対象物と接触する電極部11が複数の針状電極を備え、各針状電極の太さが皮膚適用面の最長部分で0.3mm〜1mmとされる。好適には、針状電極(陽極11a、陰極11b)は1cm2当たり51個〜121個形成され、また、隣り合う針状電極間の最短距離は0.3mm〜1.1mmとされる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気的力を利用して、薬物や生理活性物質を皮膚または粘膜から投与するためのエレクトロポレーション用電極に関するものである。
【0002】
【従来技術】
エレクトロポレーションは従来、遺伝子導入に用いられていた方法で、細胞に瞬時に高電圧を負荷し細胞内へDNA等を導入するものである。近年、この技術は経皮または経粘膜からの薬物の送達に応用されてきている(特許文献1、非特許文献1)。
【特許文献1】
特表平3−502416号公報
【非特許文献1】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 10504−10508(1993)
【0003】
エレクトロポレーションは正負の両電極間に負荷する電圧により、皮膚や粘膜に対して孔を生じさせるものである。このエレクトロポレーションにより作成された新たな可逆的なルート(孔)は物質の膜(皮膚、粘膜)透過性を増大させる。次に挙げる非特許文献2〜6も同様に皮膚に電圧を負荷し、エレクトロポレーションの効果を得ている。
【非特許文献2】
David A.Edwardsら、Journal of Controlled Release 34巻、211頁、1995年
【非特許文献3】
A. Jadoulら、Journal of Controlled Release、54巻、265頁、1998年
【非特許文献4】
Rita Vanberver、Journal of Controlled Release、54巻、243頁、1998年
【非特許文献5】
Rita Vanberver、Journal of Controlled Release、50巻、225頁1998年
【非特許文献6】
Rita Vanberver、Pharmaceutical Research、11巻、1657頁、1994年
これらは、いずれも実験室でその原理、機構、現象を調べるために皮膚の角質層側と真皮層側に電極を簡易的に配しているもので、実際にヒトへ適用できる形状とは言えない。
【0004】
次に挙げる特許文献2には、ヒトへ適用できる形状として、同一平面上に陽極および陰極の針状電極を複数有するエレクトロポレーション用電極が開示されている。
【特許文献2】
特開平10−234366号公報
このエレクトロポレーション用電極は、針状電極が1cm2当たり4〜50個形成されている。これにより、低電圧で極めて効率のよい薬物導入を可能にするというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のエレクトロポレーション用電極では、薬物の十分な吸収が得られない場合があり、また針状電極の個数を増加させると針状電極間で短絡を生じるおそれがあり、さらに針状電極が細くて折れやすいという問題があった。
従って本発明の目的は、十分な薬物を吸収させることができ、針状電極間で短絡が生じにくく、しかも針状電極が折れにくいエレクトロポレーション用電極を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねてきたが、その結果、エレクトロポレーション用電極の針状電極の太さや針状電極間の距離を調整することにより、針状電極の個数をある程度増加させても針状電極間の短絡や針状電極の折れを回避でき確実に電圧の負荷が出来ることを見出し、本発明に至ったものである。
【0007】
前記目的は、皮膚または粘膜の導入対象物に対してエレクトロポレーションを生じさせるためのエレクトロポレーション用電極であって、前記導入対象物と接触する電極部が複数の針状電極を備え、各針状電極の太さが皮膚適用面の最長部分で0.3mm〜1mmであるエレクトロポレーション用電極により、達成される。ここで、最長部分とは、1つの針状電極の皮膚または粘膜接触面の太さで、円形の場合はその直径を、長方形や正方形の場合は対角線を、他の複雑な形状の場合は2頂点間または2辺間または1頂点と1辺の最長の部分の長さを言う。針状電極の太さを上述の範囲とするのは、それが0.3mmに満たないと針状電極が折れやすくまたは曲がりやすく、一方、それが1mmを越えると、針状電極数を多くした場合に針状電極間で短絡が起こりやすくなるからである。
【0008】
針状電極は1cm2当たり51個〜121個形成することが好ましい。針状電極の個数が多いほど、投与部位全体に電流が均等に行き渡り、薬物の吸収性が高くなり効果的であるが、一方において、針状電極の個数を多くしすぎると針状電極間の短絡が生じやすくなる。この薬物吸収効率の向上および針状電極間の短絡防止の観点から、針状電極の個数は1cm2当たり51個〜121個とするのがよい。
【0009】
隣り合う針状電極間の最短距離は0.3mm〜1.1mmであることが好ましい。電極間の最短距離がこれより短いと製造が困難であり、これより長いと皮膚に適用可能な針状電極数が減少するからである。
針状電極の側面部の少なくとも一部は絶縁体で被覆されていることが好ましい。針状電極を絶縁体でコーティングすることにより短絡防止を一層確実なものとするためである。
電極−電極間面積(電極非適用面積)に対する電極面積の割合は16%〜600%であることが好ましい。この割合が16%未満になると電極が細くなり折れやすくまたは曲がりやすくなり、さらには針状電極数の減数になり多数の電極を設置することが困難になる。また、この割合が600%を越えると電極面積の占める割合が上がり、皮膚の電場が負荷される面積が減少するからである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るエレクトロポレーション用電極の一例を示す図であり、(a)は側面図、(b)は底面図である。底面は皮膚接触面である。本エレクトロポレーション用電極は、複数の針状電極(陽極、陰極)を備えた電極部11とこの電極部を保持する電極保持部12とを有する。電極部11の各針状電極は、リード線13を介して図示しない電源と接続される。本例の電極部11には、1cm2当たり121個の針状電極が配置されており、そのうち陽極11aは66個、陰極11bは55個である。陽極11aには陽極用のリード線13aが接続され、陰極11bには陰極用のリード線13bが接続されている。
【0011】
各針状電極(陽極11a、陰極11b)は、図示のように、升目状に規則正しく配置されている。エレクトロポレーション用電極の底面は10mm四方に形成されており、各針状電極の直径は0.5mm、針状電極間の最短距離は0.45mmである。
【0012】
図2は針状電極の拡大図であり、(a)は側面図、(b)は底面図である。針状電極21の側面部は絶縁体22で被覆されている。即ち、これは金属やカーボンからなる針状電極の外側を絶縁体で被覆したもので、短絡を確実に防止するものである。このように、針状電極の先端部には導電性を維持し、側面部を絶縁加工することにより、電極間の短絡を解消することができる。
【0013】
前述のとおり、電極の太さが太すぎると占有する個数が少なくなり、細すぎると電極が曲がったり、折れたりし易い。最適な針状電極の太さは皮膚適用面の最長部分で0.3mm〜1mmである。針状電極の太さが0.3mmに満たないと針状電極が折れやすくまたは曲がりやすく、一方、針状電極の太さが1mmを越えると、針状電極数がある程度多くなった場合、針状電極間の短絡が起こりやすくなるからである。ここで、上記最長部分の太さとは1つの針状電極の皮膚接触面の太さであり、図1のように円形の場合はその直径を、長方形や正方形の場合は対角線を、他の複雑な形状であっても、2頂点間または2辺間または1頂点と1辺の最長の部分の長さを言う。また、針状電極は1cm2当たり51個〜121個形成することが好ましい。針状電極の個数が多いほど、投与部位全体に電流が均等に行き渡り、薬物の吸収性が高くなり効果的であるが、針状電極の個数を多くしすぎると針状電極間の短絡が生じやすくなる。この薬物吸収効率の向上および針状電極間の短絡防止の観点から、最適な針状電極の個数は1cm2当たり51個〜121個である。
例えば、径が50μmの電極を121個有する電極構造体を特許文献2のように作製しようとした場合、電極が細すぎて折れやすくなったり、径が50μmと非常に小さいため、突起部の形が均一になりにくい。このようにペーストを小さい穴に流し込む細い電極の製造方法には限界がある。本発明では、折れにくい太さの電極を規定し、それを等間隔に固定することで、121個/cm2の電極密度でも製造することを可能とした。図11は、本発明に係るエレクトロポレーション用電極の製造方法を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の一部拡大図、(c)および(d)は斜視図である。升型をした電極固定台116の内側には導電ペースト112を2系統にわたって印刷し、そこに電極固定用の溝111を設けてある。この穴は電極113が立ったまま固定できる深さを有している。図11(b)では、分かり易くするため溝部分を白抜きに示してあるが、実際は導電ペースト112の部分と同様に導電性ペーストが連続している。2系統の導電性ペースト層のうち一方は陽極端子114と、もう一方は陰極端子115につながっている。溝111に折れにくい太さの電極113を等間隔で立て、図11(d)にしめすような電極構造体を作製する。この内側に流動性かつ絶縁性を有するプラスチックペーストを流し込み電極113を確実に固定し、エレクトロポレーション用電極を得ることができる。
【0014】
隣り合う針状電極間の最短距離は0.3mm〜1.1mmが望ましく、これより短いと製造が出来ず、これより長いと占有できる電極数が減少する。
針状電極が図1のように規則正しく並べば、効率よく均等に電場が負荷される理想的な形状といえるが、製造時や使用時のずれにより必ずしも均等になるとは限らない。このような場合を想定して、皮膚接触面での電極面積と電極−電極間面積の関係を限定することで、優れた電極を製造することができる。即ち、電極−電極間面積に対する電極面積の割合が16%〜600%であると効率よく電場を負荷できる。図1で示した電極で例示すると、直径0.5mmの電極が121個あるので、電極面積は0.237cm2である。最外核の電極間距離は10mmであるので、図3(a)の全体図および同図(b)の部分図に示すように、電極適用面積と電極非適用面積の合計31(斜線部分)は、一辺10mmの正方形から4角の90度の扇形の外側部分32〜35を差し引いた0.99946cm2となる。
【0015】
従って、電極−電極間面積は0.71cm2、電極−電極間面積に対する電極面積の割合は約31%と算出される。この割合が16%以下となると電極が細くなり曲がり易いか、電極個数の減数になり51個以上を設置できない。また、600%を越えると電極面積の占める割合が上がり、皮膚の電場が負荷される面積が減少する。さらには電極間距離が短くなり、絶縁を施さない場合は短絡などの危険性も生じる。
【0016】
図4は、図1に示すエレクトロポレーション用電極の使用形態の一例を示す図である。使用時、まず皮膚45の表面に薬物を含む投与液44または緩衝液などを投与し、そこへエレクトロポレーション用電極の電極部(針状電極)43の先端が皮膚と接するように電極保持部42により固定する。電極部43の各針状電極はリード線41にて図示しない電圧波形発生装置に接続される。これは最も単純な投与例であるが、針状電極の先端部分が皮膚に接するように構成されていれば、どのような形状の電極でも良い。
【0017】
図5は本発明に係るエレクトロポレーション用電極の他の例を示す側面図である。本エレクトロポレーション用電極は、パッチ支持体のバッキング51と、バッキングのくぼみに配置された薬物貯蔵層52と、電極部(針状電極)54をパッチ支持体に固定するための電極固定ハウジング53とを有する。針状電極で構成された電極部54は、陽極と陰極の両極を有し、1cm2当たり51個〜121個形成されており、リード線55を介して電圧を負荷するための電圧波形発生装置と接続される。
【0018】
針状電極の材料としては、例えばカーボン、白金、金、チタン、アルミニウム、ニッケル、鉄、銀、塩化銀、銅、塩化銅、およびこれらの合金を用いることができる。図5に例示したような製剤のバッキング(フィルムまたはカップ)の材料としては、例えば、加工性、柔軟性および適度な保形性に優れた材料であればよく、例えば、不織布、塩化ビニリデン、塩化ビニル等の重合体である塩素含有樹脂、オレフィン系、エステル系、スチレン系、アクリル系、アミド系、オキシメチレン系、フェニレンスルフィド系、アミドイミド系、アクリロニトリル系、エーテルケトン、エーテルスルホン、スルホン.エーテルイミド、ブタジエン、イソプレン等の高分子重合体やこれらの共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。上記材料をフィルム状にしたものや加工した成型品が用いられる。厚さには特に限定はないが、5〜250μmの厚さにすると、保形性、柔軟性に優れる。
投与液には主薬の他に電解質、吸収促進剤、安定化剤、pH調製剤、増粘剤、粘着剤、界面活性剤、乳化剤、不織布等を含んでも良い。
【0019】
エレクトロポレーションの適用電圧と電極の構造が薬物透過促進効果の指標となる電場分布に影響するので、一概に適用電圧を規定することは出来ないが10V/cm〜500V/cmの範囲が望ましい。エレクトロポレーションの電圧波形の形状としては指数対数型波や矩形型波等が挙げられるがこれらに限定されない。エレクトロポレーションは生体へ電圧を1回以上適用すればよい。
【0020】
本発明に用いられる薬物(生理活性物質)としては、限定はないが、モルヒネ、フェンタニル、ペチジン、コデイン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、エプタゾシン、ペンタゾシンなどの中枢性鎮痛薬やインスリン、カルシトニン、カルシトニン関連遺伝子ペプチド、バソプレッシン、デスモプレシン、プロチレリン(TRH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、黄体形成ホルモン放出因子(LH−RH)、成長ホルモン放出ホルモン(GRH)、神経成長因子(NGF)及びその他の放出因子、アンジオテンシン、副甲状線ホルモン(PTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH、サイロトロピン)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン、血清性性線刺激ホルモン、胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)、下垂体性性腺刺激ホルモン(HMG)、成長ホルモン、ソマトスタチン、ソマトメジン、グルカゴン、オキシトシン、ガストリン、セクレチン、エンドルフィン、エンケファリン、エンドセリン、コレストキニン、ニュウロテンシン、インターフェロン、インターロイキン、トランスフェリン、エリスロポエチン(EPO)、スーパーオキサイドデスムターゼ(SOD)、顆粒球刺激因子(G−CSF)、腸管血管拡張ペプチド(VIP)、ムラミルジペプチド、ウロガストロン、ヒト心房性利尿ペプチド(h−ANP)等のペプチド類、カルマバゼピン、クロルプロマジン、ジアゼパム、ニトラゼパム等の精神安定薬、プレオマイシン、アドレアマイシン、5−フルオロウラシル、マイトマイシン等の抗悪性腫瘍薬、ジギタリス、ジゴキシン、ジギトキシン等の強心薬、エストラジオール、テストステロン等の性ホルモン、レセルピン、クロニジン等血圧降下剤が挙げえられるがこれらに限定はされない。さらに、アンチセンスDNA、三重鎖形成性オリゴヌクレオチドに代表されるオリゴヌクレオチドも用いることできる。
【0021】
電極の一部を絶縁する材料としては、ポリジエン、ポリアクリル、ポリメタクリル、アクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリビニルエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアクリロニトリルが挙げられるが、これらに限定されない。これら絶縁体は絶縁効果の他、細い電極の折れや曲がりを防止できる効果も備えることもある。
【0022】
エレクトロポレーションと同様に電気的エネルギーを用いて皮膚や粘膜から薬物を送達するイオントフォレーシスを併用しても良い。
本発明は上記の技術により効果的に薬物(生理活性物質)を皮膚や粘膜から送達することができる。
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
(実験例1)
針状電極の個数の異なるエレクトロポレーション用電極を用いて、エレクトロポレーション電圧を負荷し、カルセインの透過を調べた。図6に示すような透過実験用フランツ型セルを用いた。図示のように、ドナー側セル61とレシーバ側セル62の間にヘアレスマウス摘出皮膚63をセットし、ドナー側セル61を介して皮膚63にエレクトロポレーション用電極64を接触させた。ドナー側セル61に等張リン酸緩衝液(pH7.4)を適用後、上記電極64を用いて、図示しない電圧波形発生装置より(BTX社製、T−820)、エレクトロポレーション電圧100V、パルス幅2ミリ秒を20回負荷した。エレクトロポレーション電圧負荷後、速やかにリン酸緩衝液を取り除き、リン酸緩衝液にカルセインナトリウムを溶解させ1ミリモルとし、これを投与薬液とした。レシーバ側セルには生理食塩水を投与し、サンプリングポート65より経時的にサンプリングし、蛍光分光光度計により定量し、累積透過量を求めた。
【0024】
実施例1
電極64として、1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を1cm2当たり59個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
実施例2
電極64として、1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を1cm2当たり75個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
実施例3
電極64として、1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を1cm2当たり85個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
実施例4
電極64として、1個の電極の太さが0.3mmの針状電極を1cm2当たり121個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
【0025】
比較例1
エレクトロポレーション電圧を負荷しない以外は、実施例1と同様に実験を行った。
比較例2
電極64として、1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を1cm2当たり27個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
比較例3
電極64として、1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を1cm2当たりの36個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
【0026】
実験例1の結果
図7は、実施例1〜4および比較例1〜3について、6時間目までのカルセインの累積透過量(ng/cm2)を示すグラフである。図7に示すように、針状電極の個数が1cm2あたり59個のエレクトロポレーション電極を用いると(実施例1)、6時間目までに200ng/cm2を越えるカルセインが透過し、さらに1cm2あたりの針状電極の個数を75個(実施例2)、85個(実施例3)、121個(実施例4)と増加させると6時間までのカルセインの累積透過量は約350、400、500ng/cm2と増加した。一方、針状電極の個数の少ない比較例2〜3では、エレクトロポレーションを適用しない比較例1に比べれば効果があったものの、その透過は低く、約100ng/cm2のカルセインしか皮膚を透過することができかなかった。即ち、エレクトロポレーションの電極の個数を増加させることで、薬物の皮膚透過量が増加することが示された。従来短絡等の問題を生じるために難しいと言われていた51個以上の針状電極でも、電極の太さや電極間距離を規定することにより、薬物投与促進効果を生じるエレクトロポレーション電極を得ることができる。
【0027】
(実験例2)
針状電極の個数の異なるエレクトロポレーション電極を用いて、エレクトロポレーションとイオントフォレーシスの併用効果を調べた。インスリンの吸収は血中グルコースレベルの低下で評価した。
実施例5
電極:1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を69個有し、その適用面の総面積(電極−電極間面積と電極面積の和)が0.81cm2のエレクトロポレーション用電極(85個/cm2の電極密度)を用いた。
実験動物:ウィスターラット8〜9週齢を実験前日より一晩絶食した。ペントバルビタールで麻酔後、腹部をバリカン、シェイバーを用いて除毛し、大腿動脈にカニューレーションを施した。ラットを37℃に保温されたウォーターベットに固定し、腹部に有効透過面積1.05cm2のセル2個(一方がドナー、他方がリファレンス)を瞬間接着剤で固定した。血糖値を安定させるために、1時間安静にした後、エレクトロポレーションを負荷した。
【0028】
エレクトロポレーション電圧の負荷、イオントフォレーシス電流の適用:等張リン酸緩衝液(pH7.4)をドナーセルに適用後、上記電極を用いて、電圧波形発生装置(BTX社製、T−820)より、電圧100V、パルス幅1ミリ秒を10回負荷した。ドナーセル中の等張リン酸緩衝液を速やかに取り除き、100ユニット/mlのインスリン溶液をドナーセルに加え、リファレンスセルには等張リン酸緩衝液を加えた。ドナーセルには銀/塩化電極を、リファレンスセルには銀電極を適用し、直流イオントフォレーシス電流発生装置より0.27mAを3時間適用した。
採血、グルコース濃度測定:経時的にカニューレーションより採血し、グルコース測定器(プレシジョンQ・I・D、ダイナボット(株))を用いて血中グルコース値を測定した。血中初期の血中グルコース値に対する比として経時的な変化を調べた。
【0029】
比較例4
実験動物は実施例5と同様に皮膚処理したラットを用い、エレクトロポレーションを負荷せず、実施例5と同様の条件でイオントフォレーシスによりインスリンを投与した。
比較例5
エレクトロポレーション用の電極に1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を21個有し、その適用面の総面積(電極−電極間面積と電極面積の和)が0.785cm2のものを用いた以外は全て実施例5と同様に行った。
【0030】
実験例2の結果
図8は、実施例5および比較例4、5について、各時間における血中グルコースレベル(対初期値比%)を示すグラフである。本グラフは、エレクトロポレーション負荷前の初期の血中グルコース濃度を100%として、この初期の血中グルコース濃度に対する各時間のグルコース濃度の比として、血中グルコースレベルを示している。69個の針状電極を有するエレクトロポレーション電極(85個/cm2)を用いてエレクトロポレーション電圧を負荷した後、イオントフォレーシスを3時間適用したとき(実施例5)の血中グルコースレベルはイオントフォレーシス終了直後の3時間目で40%まで低下し、その後イオントフォレーシスの適用を止めると徐々に初期値に近づいた。一方、イオントフォレーシスのみの負荷(比較例4)では血中グルコースレベルの低下は認められなかった。またエレクトロポレーションとイオントフォレーシスを負荷してもエレクトロポレーションの電極に21個の針状電極を有する電極(28個/cm2)を用いた場合ではエレクトロポレーションの効果は見られず、イオントフォレーシス単独の適用同様血中グルコースの低下は見られなかった。以上のことよりイオントフォレーシスと併用する場合でも電極の個数が重要な要素であることが確認された。
【0031】
(実験例3)
カーボンを主成分とする太さの異なる長さ6cmのロッドを用いて、折れやすさを調べた。また、人が電極を押しつける時の力を測定した。
実施例6
図9に示したようにレオメーターのテーブル83と感圧軸81の間に太さ1.0mm、長さ6cmのカーボンロッド82を軽く固定した。感圧軸を60mm/minの速度で矢印の方向(下方向)へ移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
【0032】
実施例7
太さ0.7mm、長さ6cmのカーボンロッドを実施例6と同様に、レオメーターに軽く固定した。感圧軸を移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
実施例8
太さ0.5mm、長さ6cmのカーボンロッドを実施例6と同様に、レオメーターに軽く固定した。感圧軸を移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
実施例9
太さ0.4mm、長さ6cmのカーボンロッドを実施例6と同様に、レオメーターに軽く固定した。感圧軸を移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
【0033】
実施例10
太さ0.3mm、長さ6cmのカーボンロッドを実施例6と同様に、レオメーターに軽く固定した。感圧軸を移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
実施例11
直径1cmのスランプ状電極が皮膚に全面接触するように皮膚接触面をゴムで覆い、これを腕に押しつけるときの力を男女5人で測定した。
比較例5
図9に示したようにレオメーターのテーブル83と感圧軸81の間に太さ0.2mm、長さ6cmのカーボンロッド82を軽く固定した。感圧軸を60mm/minの速度で矢印の方向(下方向)へ移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
【0034】
実験例3の結果
電極材料となり得るカーボンを用いて、太さの異なる6種類のカーボンロッドを作成し、太さと折れやすさの関係を調べた。その結果を図10に示す。実施例6〜10ではそれぞれ直径が1mm、0.7mm、0.5mm、0.4mm、0.3mmの太さのカーボンロッド電極を用い、この時折れるのに要する加重(g)を求めた。比較例5として太さ0.2mmのカーボンロッド電極を用いて同様の実験を行い、折れるのに要する加重を調べた。その結果、太さ1mmのカーボンロッド電極では1218±178g、太さ0.7mmでは1004±95g、太さ0.5mmでは484±57g、太さ0.4mmでは310±62g、太さ0.3mmでは138±8.7g、太さ0.2mmでは19.5±0.7gの加重でロッドは破壊された。一方、実施例11で電極を押しつけるときの力を測定したところ、個人差があるももの、584±193gであった。この時の電極面積が0.785cm2であるので、1cm2あたり51個の電極針を有すると想定した場合で、40個/0.785cm2の電極の密度となる。584gを40個の電極針で支えた場合、1個当たりに負荷される加重は14gで太さ0.2mmで支えられる加重にほぼ等しく、人が電極を押しつけるときの個人差を考慮すると必ずしも安全な太さとは言えず、最低でも約10倍の加重に耐えられる0.3mmの電極針の太さが望ましいことがわかる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、十分な薬物を吸収させることができ、針状電極間で短絡が生じにくく、しかも針状電極が折れにくいエレクトロポレーション用電極を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレクトロポレーション用電極の一例を示す図であり、(a)は側面図、(b)は底面図である。
【図2】針状電極の拡大図であり、(a)は側面図、(b)は底面図である。
【図3】(a)、(b)は電極適用面積と電極非適用面積の合計部分を説明するための図である。
【図4】図1に示すエレクトロポレーション用電極の使用形態の一例を示す図である。
【図5】本発明に係るエレクトロポレーション用電極の他の例を示す側面図である。
【図6】透過実験用フランツ型セルの一構成例を示す図である。
【図7】実施例1〜4および比較例1〜3について6時間目までのカルセインの累積透過量(ng/cm2)を示すグラフである。
【図8】実施例5および比較例4、5について各時間における血中グルコースレベル(対初期値比%)を示すグラフである。
【図9】カーボンロッドが折れるときの重さを測定する方法を示す図である。
【図10】実施例6〜10および比較例5のカーボンロッドの太さと折れやすさの関係を示すグラフである。
【図11】本発明に係るエレクトロポレーション用電極の製造方法を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の一部拡大図、(c)および(d)は斜視図である。
【符号の説明】
11 電極部(針状電極)
11a 陽極
11b 陰極
12 電極保持部
13 リード線
13a 陽極用リード線
13b 陰極用リード線
【発明の属する技術分野】
本発明は電気的力を利用して、薬物や生理活性物質を皮膚または粘膜から投与するためのエレクトロポレーション用電極に関するものである。
【0002】
【従来技術】
エレクトロポレーションは従来、遺伝子導入に用いられていた方法で、細胞に瞬時に高電圧を負荷し細胞内へDNA等を導入するものである。近年、この技術は経皮または経粘膜からの薬物の送達に応用されてきている(特許文献1、非特許文献1)。
【特許文献1】
特表平3−502416号公報
【非特許文献1】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 10504−10508(1993)
【0003】
エレクトロポレーションは正負の両電極間に負荷する電圧により、皮膚や粘膜に対して孔を生じさせるものである。このエレクトロポレーションにより作成された新たな可逆的なルート(孔)は物質の膜(皮膚、粘膜)透過性を増大させる。次に挙げる非特許文献2〜6も同様に皮膚に電圧を負荷し、エレクトロポレーションの効果を得ている。
【非特許文献2】
David A.Edwardsら、Journal of Controlled Release 34巻、211頁、1995年
【非特許文献3】
A. Jadoulら、Journal of Controlled Release、54巻、265頁、1998年
【非特許文献4】
Rita Vanberver、Journal of Controlled Release、54巻、243頁、1998年
【非特許文献5】
Rita Vanberver、Journal of Controlled Release、50巻、225頁1998年
【非特許文献6】
Rita Vanberver、Pharmaceutical Research、11巻、1657頁、1994年
これらは、いずれも実験室でその原理、機構、現象を調べるために皮膚の角質層側と真皮層側に電極を簡易的に配しているもので、実際にヒトへ適用できる形状とは言えない。
【0004】
次に挙げる特許文献2には、ヒトへ適用できる形状として、同一平面上に陽極および陰極の針状電極を複数有するエレクトロポレーション用電極が開示されている。
【特許文献2】
特開平10−234366号公報
このエレクトロポレーション用電極は、針状電極が1cm2当たり4〜50個形成されている。これにより、低電圧で極めて効率のよい薬物導入を可能にするというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のエレクトロポレーション用電極では、薬物の十分な吸収が得られない場合があり、また針状電極の個数を増加させると針状電極間で短絡を生じるおそれがあり、さらに針状電極が細くて折れやすいという問題があった。
従って本発明の目的は、十分な薬物を吸収させることができ、針状電極間で短絡が生じにくく、しかも針状電極が折れにくいエレクトロポレーション用電極を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねてきたが、その結果、エレクトロポレーション用電極の針状電極の太さや針状電極間の距離を調整することにより、針状電極の個数をある程度増加させても針状電極間の短絡や針状電極の折れを回避でき確実に電圧の負荷が出来ることを見出し、本発明に至ったものである。
【0007】
前記目的は、皮膚または粘膜の導入対象物に対してエレクトロポレーションを生じさせるためのエレクトロポレーション用電極であって、前記導入対象物と接触する電極部が複数の針状電極を備え、各針状電極の太さが皮膚適用面の最長部分で0.3mm〜1mmであるエレクトロポレーション用電極により、達成される。ここで、最長部分とは、1つの針状電極の皮膚または粘膜接触面の太さで、円形の場合はその直径を、長方形や正方形の場合は対角線を、他の複雑な形状の場合は2頂点間または2辺間または1頂点と1辺の最長の部分の長さを言う。針状電極の太さを上述の範囲とするのは、それが0.3mmに満たないと針状電極が折れやすくまたは曲がりやすく、一方、それが1mmを越えると、針状電極数を多くした場合に針状電極間で短絡が起こりやすくなるからである。
【0008】
針状電極は1cm2当たり51個〜121個形成することが好ましい。針状電極の個数が多いほど、投与部位全体に電流が均等に行き渡り、薬物の吸収性が高くなり効果的であるが、一方において、針状電極の個数を多くしすぎると針状電極間の短絡が生じやすくなる。この薬物吸収効率の向上および針状電極間の短絡防止の観点から、針状電極の個数は1cm2当たり51個〜121個とするのがよい。
【0009】
隣り合う針状電極間の最短距離は0.3mm〜1.1mmであることが好ましい。電極間の最短距離がこれより短いと製造が困難であり、これより長いと皮膚に適用可能な針状電極数が減少するからである。
針状電極の側面部の少なくとも一部は絶縁体で被覆されていることが好ましい。針状電極を絶縁体でコーティングすることにより短絡防止を一層確実なものとするためである。
電極−電極間面積(電極非適用面積)に対する電極面積の割合は16%〜600%であることが好ましい。この割合が16%未満になると電極が細くなり折れやすくまたは曲がりやすくなり、さらには針状電極数の減数になり多数の電極を設置することが困難になる。また、この割合が600%を越えると電極面積の占める割合が上がり、皮膚の電場が負荷される面積が減少するからである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るエレクトロポレーション用電極の一例を示す図であり、(a)は側面図、(b)は底面図である。底面は皮膚接触面である。本エレクトロポレーション用電極は、複数の針状電極(陽極、陰極)を備えた電極部11とこの電極部を保持する電極保持部12とを有する。電極部11の各針状電極は、リード線13を介して図示しない電源と接続される。本例の電極部11には、1cm2当たり121個の針状電極が配置されており、そのうち陽極11aは66個、陰極11bは55個である。陽極11aには陽極用のリード線13aが接続され、陰極11bには陰極用のリード線13bが接続されている。
【0011】
各針状電極(陽極11a、陰極11b)は、図示のように、升目状に規則正しく配置されている。エレクトロポレーション用電極の底面は10mm四方に形成されており、各針状電極の直径は0.5mm、針状電極間の最短距離は0.45mmである。
【0012】
図2は針状電極の拡大図であり、(a)は側面図、(b)は底面図である。針状電極21の側面部は絶縁体22で被覆されている。即ち、これは金属やカーボンからなる針状電極の外側を絶縁体で被覆したもので、短絡を確実に防止するものである。このように、針状電極の先端部には導電性を維持し、側面部を絶縁加工することにより、電極間の短絡を解消することができる。
【0013】
前述のとおり、電極の太さが太すぎると占有する個数が少なくなり、細すぎると電極が曲がったり、折れたりし易い。最適な針状電極の太さは皮膚適用面の最長部分で0.3mm〜1mmである。針状電極の太さが0.3mmに満たないと針状電極が折れやすくまたは曲がりやすく、一方、針状電極の太さが1mmを越えると、針状電極数がある程度多くなった場合、針状電極間の短絡が起こりやすくなるからである。ここで、上記最長部分の太さとは1つの針状電極の皮膚接触面の太さであり、図1のように円形の場合はその直径を、長方形や正方形の場合は対角線を、他の複雑な形状であっても、2頂点間または2辺間または1頂点と1辺の最長の部分の長さを言う。また、針状電極は1cm2当たり51個〜121個形成することが好ましい。針状電極の個数が多いほど、投与部位全体に電流が均等に行き渡り、薬物の吸収性が高くなり効果的であるが、針状電極の個数を多くしすぎると針状電極間の短絡が生じやすくなる。この薬物吸収効率の向上および針状電極間の短絡防止の観点から、最適な針状電極の個数は1cm2当たり51個〜121個である。
例えば、径が50μmの電極を121個有する電極構造体を特許文献2のように作製しようとした場合、電極が細すぎて折れやすくなったり、径が50μmと非常に小さいため、突起部の形が均一になりにくい。このようにペーストを小さい穴に流し込む細い電極の製造方法には限界がある。本発明では、折れにくい太さの電極を規定し、それを等間隔に固定することで、121個/cm2の電極密度でも製造することを可能とした。図11は、本発明に係るエレクトロポレーション用電極の製造方法を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の一部拡大図、(c)および(d)は斜視図である。升型をした電極固定台116の内側には導電ペースト112を2系統にわたって印刷し、そこに電極固定用の溝111を設けてある。この穴は電極113が立ったまま固定できる深さを有している。図11(b)では、分かり易くするため溝部分を白抜きに示してあるが、実際は導電ペースト112の部分と同様に導電性ペーストが連続している。2系統の導電性ペースト層のうち一方は陽極端子114と、もう一方は陰極端子115につながっている。溝111に折れにくい太さの電極113を等間隔で立て、図11(d)にしめすような電極構造体を作製する。この内側に流動性かつ絶縁性を有するプラスチックペーストを流し込み電極113を確実に固定し、エレクトロポレーション用電極を得ることができる。
【0014】
隣り合う針状電極間の最短距離は0.3mm〜1.1mmが望ましく、これより短いと製造が出来ず、これより長いと占有できる電極数が減少する。
針状電極が図1のように規則正しく並べば、効率よく均等に電場が負荷される理想的な形状といえるが、製造時や使用時のずれにより必ずしも均等になるとは限らない。このような場合を想定して、皮膚接触面での電極面積と電極−電極間面積の関係を限定することで、優れた電極を製造することができる。即ち、電極−電極間面積に対する電極面積の割合が16%〜600%であると効率よく電場を負荷できる。図1で示した電極で例示すると、直径0.5mmの電極が121個あるので、電極面積は0.237cm2である。最外核の電極間距離は10mmであるので、図3(a)の全体図および同図(b)の部分図に示すように、電極適用面積と電極非適用面積の合計31(斜線部分)は、一辺10mmの正方形から4角の90度の扇形の外側部分32〜35を差し引いた0.99946cm2となる。
【0015】
従って、電極−電極間面積は0.71cm2、電極−電極間面積に対する電極面積の割合は約31%と算出される。この割合が16%以下となると電極が細くなり曲がり易いか、電極個数の減数になり51個以上を設置できない。また、600%を越えると電極面積の占める割合が上がり、皮膚の電場が負荷される面積が減少する。さらには電極間距離が短くなり、絶縁を施さない場合は短絡などの危険性も生じる。
【0016】
図4は、図1に示すエレクトロポレーション用電極の使用形態の一例を示す図である。使用時、まず皮膚45の表面に薬物を含む投与液44または緩衝液などを投与し、そこへエレクトロポレーション用電極の電極部(針状電極)43の先端が皮膚と接するように電極保持部42により固定する。電極部43の各針状電極はリード線41にて図示しない電圧波形発生装置に接続される。これは最も単純な投与例であるが、針状電極の先端部分が皮膚に接するように構成されていれば、どのような形状の電極でも良い。
【0017】
図5は本発明に係るエレクトロポレーション用電極の他の例を示す側面図である。本エレクトロポレーション用電極は、パッチ支持体のバッキング51と、バッキングのくぼみに配置された薬物貯蔵層52と、電極部(針状電極)54をパッチ支持体に固定するための電極固定ハウジング53とを有する。針状電極で構成された電極部54は、陽極と陰極の両極を有し、1cm2当たり51個〜121個形成されており、リード線55を介して電圧を負荷するための電圧波形発生装置と接続される。
【0018】
針状電極の材料としては、例えばカーボン、白金、金、チタン、アルミニウム、ニッケル、鉄、銀、塩化銀、銅、塩化銅、およびこれらの合金を用いることができる。図5に例示したような製剤のバッキング(フィルムまたはカップ)の材料としては、例えば、加工性、柔軟性および適度な保形性に優れた材料であればよく、例えば、不織布、塩化ビニリデン、塩化ビニル等の重合体である塩素含有樹脂、オレフィン系、エステル系、スチレン系、アクリル系、アミド系、オキシメチレン系、フェニレンスルフィド系、アミドイミド系、アクリロニトリル系、エーテルケトン、エーテルスルホン、スルホン.エーテルイミド、ブタジエン、イソプレン等の高分子重合体やこれらの共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。上記材料をフィルム状にしたものや加工した成型品が用いられる。厚さには特に限定はないが、5〜250μmの厚さにすると、保形性、柔軟性に優れる。
投与液には主薬の他に電解質、吸収促進剤、安定化剤、pH調製剤、増粘剤、粘着剤、界面活性剤、乳化剤、不織布等を含んでも良い。
【0019】
エレクトロポレーションの適用電圧と電極の構造が薬物透過促進効果の指標となる電場分布に影響するので、一概に適用電圧を規定することは出来ないが10V/cm〜500V/cmの範囲が望ましい。エレクトロポレーションの電圧波形の形状としては指数対数型波や矩形型波等が挙げられるがこれらに限定されない。エレクトロポレーションは生体へ電圧を1回以上適用すればよい。
【0020】
本発明に用いられる薬物(生理活性物質)としては、限定はないが、モルヒネ、フェンタニル、ペチジン、コデイン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、エプタゾシン、ペンタゾシンなどの中枢性鎮痛薬やインスリン、カルシトニン、カルシトニン関連遺伝子ペプチド、バソプレッシン、デスモプレシン、プロチレリン(TRH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、黄体形成ホルモン放出因子(LH−RH)、成長ホルモン放出ホルモン(GRH)、神経成長因子(NGF)及びその他の放出因子、アンジオテンシン、副甲状線ホルモン(PTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH、サイロトロピン)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン、血清性性線刺激ホルモン、胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)、下垂体性性腺刺激ホルモン(HMG)、成長ホルモン、ソマトスタチン、ソマトメジン、グルカゴン、オキシトシン、ガストリン、セクレチン、エンドルフィン、エンケファリン、エンドセリン、コレストキニン、ニュウロテンシン、インターフェロン、インターロイキン、トランスフェリン、エリスロポエチン(EPO)、スーパーオキサイドデスムターゼ(SOD)、顆粒球刺激因子(G−CSF)、腸管血管拡張ペプチド(VIP)、ムラミルジペプチド、ウロガストロン、ヒト心房性利尿ペプチド(h−ANP)等のペプチド類、カルマバゼピン、クロルプロマジン、ジアゼパム、ニトラゼパム等の精神安定薬、プレオマイシン、アドレアマイシン、5−フルオロウラシル、マイトマイシン等の抗悪性腫瘍薬、ジギタリス、ジゴキシン、ジギトキシン等の強心薬、エストラジオール、テストステロン等の性ホルモン、レセルピン、クロニジン等血圧降下剤が挙げえられるがこれらに限定はされない。さらに、アンチセンスDNA、三重鎖形成性オリゴヌクレオチドに代表されるオリゴヌクレオチドも用いることできる。
【0021】
電極の一部を絶縁する材料としては、ポリジエン、ポリアクリル、ポリメタクリル、アクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリビニルエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアクリロニトリルが挙げられるが、これらに限定されない。これら絶縁体は絶縁効果の他、細い電極の折れや曲がりを防止できる効果も備えることもある。
【0022】
エレクトロポレーションと同様に電気的エネルギーを用いて皮膚や粘膜から薬物を送達するイオントフォレーシスを併用しても良い。
本発明は上記の技術により効果的に薬物(生理活性物質)を皮膚や粘膜から送達することができる。
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
(実験例1)
針状電極の個数の異なるエレクトロポレーション用電極を用いて、エレクトロポレーション電圧を負荷し、カルセインの透過を調べた。図6に示すような透過実験用フランツ型セルを用いた。図示のように、ドナー側セル61とレシーバ側セル62の間にヘアレスマウス摘出皮膚63をセットし、ドナー側セル61を介して皮膚63にエレクトロポレーション用電極64を接触させた。ドナー側セル61に等張リン酸緩衝液(pH7.4)を適用後、上記電極64を用いて、図示しない電圧波形発生装置より(BTX社製、T−820)、エレクトロポレーション電圧100V、パルス幅2ミリ秒を20回負荷した。エレクトロポレーション電圧負荷後、速やかにリン酸緩衝液を取り除き、リン酸緩衝液にカルセインナトリウムを溶解させ1ミリモルとし、これを投与薬液とした。レシーバ側セルには生理食塩水を投与し、サンプリングポート65より経時的にサンプリングし、蛍光分光光度計により定量し、累積透過量を求めた。
【0024】
実施例1
電極64として、1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を1cm2当たり59個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
実施例2
電極64として、1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を1cm2当たり75個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
実施例3
電極64として、1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を1cm2当たり85個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
実施例4
電極64として、1個の電極の太さが0.3mmの針状電極を1cm2当たり121個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
【0025】
比較例1
エレクトロポレーション電圧を負荷しない以外は、実施例1と同様に実験を行った。
比較例2
電極64として、1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を1cm2当たり27個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
比較例3
電極64として、1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を1cm2当たりの36個有するエレクトロポレーション用電極を用いた。
【0026】
実験例1の結果
図7は、実施例1〜4および比較例1〜3について、6時間目までのカルセインの累積透過量(ng/cm2)を示すグラフである。図7に示すように、針状電極の個数が1cm2あたり59個のエレクトロポレーション電極を用いると(実施例1)、6時間目までに200ng/cm2を越えるカルセインが透過し、さらに1cm2あたりの針状電極の個数を75個(実施例2)、85個(実施例3)、121個(実施例4)と増加させると6時間までのカルセインの累積透過量は約350、400、500ng/cm2と増加した。一方、針状電極の個数の少ない比較例2〜3では、エレクトロポレーションを適用しない比較例1に比べれば効果があったものの、その透過は低く、約100ng/cm2のカルセインしか皮膚を透過することができかなかった。即ち、エレクトロポレーションの電極の個数を増加させることで、薬物の皮膚透過量が増加することが示された。従来短絡等の問題を生じるために難しいと言われていた51個以上の針状電極でも、電極の太さや電極間距離を規定することにより、薬物投与促進効果を生じるエレクトロポレーション電極を得ることができる。
【0027】
(実験例2)
針状電極の個数の異なるエレクトロポレーション電極を用いて、エレクトロポレーションとイオントフォレーシスの併用効果を調べた。インスリンの吸収は血中グルコースレベルの低下で評価した。
実施例5
電極:1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を69個有し、その適用面の総面積(電極−電極間面積と電極面積の和)が0.81cm2のエレクトロポレーション用電極(85個/cm2の電極密度)を用いた。
実験動物:ウィスターラット8〜9週齢を実験前日より一晩絶食した。ペントバルビタールで麻酔後、腹部をバリカン、シェイバーを用いて除毛し、大腿動脈にカニューレーションを施した。ラットを37℃に保温されたウォーターベットに固定し、腹部に有効透過面積1.05cm2のセル2個(一方がドナー、他方がリファレンス)を瞬間接着剤で固定した。血糖値を安定させるために、1時間安静にした後、エレクトロポレーションを負荷した。
【0028】
エレクトロポレーション電圧の負荷、イオントフォレーシス電流の適用:等張リン酸緩衝液(pH7.4)をドナーセルに適用後、上記電極を用いて、電圧波形発生装置(BTX社製、T−820)より、電圧100V、パルス幅1ミリ秒を10回負荷した。ドナーセル中の等張リン酸緩衝液を速やかに取り除き、100ユニット/mlのインスリン溶液をドナーセルに加え、リファレンスセルには等張リン酸緩衝液を加えた。ドナーセルには銀/塩化電極を、リファレンスセルには銀電極を適用し、直流イオントフォレーシス電流発生装置より0.27mAを3時間適用した。
採血、グルコース濃度測定:経時的にカニューレーションより採血し、グルコース測定器(プレシジョンQ・I・D、ダイナボット(株))を用いて血中グルコース値を測定した。血中初期の血中グルコース値に対する比として経時的な変化を調べた。
【0029】
比較例4
実験動物は実施例5と同様に皮膚処理したラットを用い、エレクトロポレーションを負荷せず、実施例5と同様の条件でイオントフォレーシスによりインスリンを投与した。
比較例5
エレクトロポレーション用の電極に1個の電極の太さが0.5mmの針状電極を21個有し、その適用面の総面積(電極−電極間面積と電極面積の和)が0.785cm2のものを用いた以外は全て実施例5と同様に行った。
【0030】
実験例2の結果
図8は、実施例5および比較例4、5について、各時間における血中グルコースレベル(対初期値比%)を示すグラフである。本グラフは、エレクトロポレーション負荷前の初期の血中グルコース濃度を100%として、この初期の血中グルコース濃度に対する各時間のグルコース濃度の比として、血中グルコースレベルを示している。69個の針状電極を有するエレクトロポレーション電極(85個/cm2)を用いてエレクトロポレーション電圧を負荷した後、イオントフォレーシスを3時間適用したとき(実施例5)の血中グルコースレベルはイオントフォレーシス終了直後の3時間目で40%まで低下し、その後イオントフォレーシスの適用を止めると徐々に初期値に近づいた。一方、イオントフォレーシスのみの負荷(比較例4)では血中グルコースレベルの低下は認められなかった。またエレクトロポレーションとイオントフォレーシスを負荷してもエレクトロポレーションの電極に21個の針状電極を有する電極(28個/cm2)を用いた場合ではエレクトロポレーションの効果は見られず、イオントフォレーシス単独の適用同様血中グルコースの低下は見られなかった。以上のことよりイオントフォレーシスと併用する場合でも電極の個数が重要な要素であることが確認された。
【0031】
(実験例3)
カーボンを主成分とする太さの異なる長さ6cmのロッドを用いて、折れやすさを調べた。また、人が電極を押しつける時の力を測定した。
実施例6
図9に示したようにレオメーターのテーブル83と感圧軸81の間に太さ1.0mm、長さ6cmのカーボンロッド82を軽く固定した。感圧軸を60mm/minの速度で矢印の方向(下方向)へ移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
【0032】
実施例7
太さ0.7mm、長さ6cmのカーボンロッドを実施例6と同様に、レオメーターに軽く固定した。感圧軸を移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
実施例8
太さ0.5mm、長さ6cmのカーボンロッドを実施例6と同様に、レオメーターに軽く固定した。感圧軸を移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
実施例9
太さ0.4mm、長さ6cmのカーボンロッドを実施例6と同様に、レオメーターに軽く固定した。感圧軸を移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
【0033】
実施例10
太さ0.3mm、長さ6cmのカーボンロッドを実施例6と同様に、レオメーターに軽く固定した。感圧軸を移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
実施例11
直径1cmのスランプ状電極が皮膚に全面接触するように皮膚接触面をゴムで覆い、これを腕に押しつけるときの力を男女5人で測定した。
比較例5
図9に示したようにレオメーターのテーブル83と感圧軸81の間に太さ0.2mm、長さ6cmのカーボンロッド82を軽く固定した。感圧軸を60mm/minの速度で矢印の方向(下方向)へ移動させ、カーボンロッドが折れるときに負荷された重さを測定した。
【0034】
実験例3の結果
電極材料となり得るカーボンを用いて、太さの異なる6種類のカーボンロッドを作成し、太さと折れやすさの関係を調べた。その結果を図10に示す。実施例6〜10ではそれぞれ直径が1mm、0.7mm、0.5mm、0.4mm、0.3mmの太さのカーボンロッド電極を用い、この時折れるのに要する加重(g)を求めた。比較例5として太さ0.2mmのカーボンロッド電極を用いて同様の実験を行い、折れるのに要する加重を調べた。その結果、太さ1mmのカーボンロッド電極では1218±178g、太さ0.7mmでは1004±95g、太さ0.5mmでは484±57g、太さ0.4mmでは310±62g、太さ0.3mmでは138±8.7g、太さ0.2mmでは19.5±0.7gの加重でロッドは破壊された。一方、実施例11で電極を押しつけるときの力を測定したところ、個人差があるももの、584±193gであった。この時の電極面積が0.785cm2であるので、1cm2あたり51個の電極針を有すると想定した場合で、40個/0.785cm2の電極の密度となる。584gを40個の電極針で支えた場合、1個当たりに負荷される加重は14gで太さ0.2mmで支えられる加重にほぼ等しく、人が電極を押しつけるときの個人差を考慮すると必ずしも安全な太さとは言えず、最低でも約10倍の加重に耐えられる0.3mmの電極針の太さが望ましいことがわかる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、十分な薬物を吸収させることができ、針状電極間で短絡が生じにくく、しかも針状電極が折れにくいエレクトロポレーション用電極を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレクトロポレーション用電極の一例を示す図であり、(a)は側面図、(b)は底面図である。
【図2】針状電極の拡大図であり、(a)は側面図、(b)は底面図である。
【図3】(a)、(b)は電極適用面積と電極非適用面積の合計部分を説明するための図である。
【図4】図1に示すエレクトロポレーション用電極の使用形態の一例を示す図である。
【図5】本発明に係るエレクトロポレーション用電極の他の例を示す側面図である。
【図6】透過実験用フランツ型セルの一構成例を示す図である。
【図7】実施例1〜4および比較例1〜3について6時間目までのカルセインの累積透過量(ng/cm2)を示すグラフである。
【図8】実施例5および比較例4、5について各時間における血中グルコースレベル(対初期値比%)を示すグラフである。
【図9】カーボンロッドが折れるときの重さを測定する方法を示す図である。
【図10】実施例6〜10および比較例5のカーボンロッドの太さと折れやすさの関係を示すグラフである。
【図11】本発明に係るエレクトロポレーション用電極の製造方法を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の一部拡大図、(c)および(d)は斜視図である。
【符号の説明】
11 電極部(針状電極)
11a 陽極
11b 陰極
12 電極保持部
13 リード線
13a 陽極用リード線
13b 陰極用リード線
Claims (5)
- 皮膚または粘膜の導入対象物に対してエレクトロポレーションを生じさせるためのエレクトロポレーション用電極であって、前記導入対象物と接触する電極部が複数の針状電極を備え、各針状電極の太さが皮膚適用面の最長部分で0.3mm〜1mmであることを特徴とするエレクトロポレーション用電極。
- 前記針状電極が1cm2当たり51個〜121個形成されていることを特徴とする請求項1記載のエレクトロポレーション用電極。
- 隣り合う針状電極間の最短距離が0.3mm〜1.1mmであることを特徴とする請求項1または2記載のエレクトロポレーション用電極。
- 針状電極の側面部の少なくとも一部が絶縁体で被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロポレーション用電極。
- 電極−電極間面積に対する電極面積の割合が16%〜600%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトロポレーション用電極。
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