JP2004148007A - 架工義歯の橋体部に使用される人工歯と架工義歯の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】人工歯を使用して、簡単かつ容易に、しかも安価に能率よく架工義歯を製作する。
【解決手段】架工義歯の橋体部に使用される人工歯は、表面を歯形状に成形している表層部2と、この表層部2に分離できるように連結されると共に、加熱して消失できる消失材料で成形してなる基底部3とを備える。
架工義歯の製造方法は、表面を歯形状に成形している表層部2に、加熱して消失できる消失材料で成形してなる基底部3を分離できるように連結して架工義歯4の橋体部5となる人工歯1を製作する工程と、人工歯1の基底部3に、消失材料でもって支持台に連結される支台装置6を連結して設ける消失模型9を製作する工程と、消失模型9から表層部2を分離して、表層部2の分離された消失模型9に金属を鋳造して金属フレーム7を製作する工程と、金属フレーム7に表層部2を固定する工程とからなる。
【選択図】 図5
【解決手段】架工義歯の橋体部に使用される人工歯は、表面を歯形状に成形している表層部2と、この表層部2に分離できるように連結されると共に、加熱して消失できる消失材料で成形してなる基底部3とを備える。
架工義歯の製造方法は、表面を歯形状に成形している表層部2に、加熱して消失できる消失材料で成形してなる基底部3を分離できるように連結して架工義歯4の橋体部5となる人工歯1を製作する工程と、人工歯1の基底部3に、消失材料でもって支持台に連結される支台装置6を連結して設ける消失模型9を製作する工程と、消失模型9から表層部2を分離して、表層部2の分離された消失模型9に金属を鋳造して金属フレーム7を製作する工程と、金属フレーム7に表層部2を固定する工程とからなる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、架工義歯の橋体部に使用される人工歯と、この人工歯を使用する架工義歯の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の架工義歯は、以下の工程で製作している。
(1) 歯科医が、患者の歯形に合わせて模型を製作する。架工義歯を製作する模型10は、図1に示すように、支台歯11の間に歯のない部分があるので、ここに橋体部5の歯を製作する。
(2) 消失材料である蝋を使用して、図2に示すように、架工義歯の消失模型9を製作する。消失模型9の支台装置6は、模型10上の支台歯11に合わせて作られる。支台装置6に挟まれた欠損部分を補う橋体部5の製作は、基礎となる支台歯11がないので、製作者は独自な形態で橋体部5を製作する。このため、橋体部5の形態は、製作者の意思に左右されることになる。さらに、消失模型9は、表面に合成樹脂やセラミック等を付着するためのスペースを設けている。
(3) 消失模型9を使用して、金属の鋳造用の鋳型を製作する。鋳型は、消失模型9の周囲を未硬化の状態ではペースト状をしている耐熱成形材で被覆して製作される。製作された耐熱成形材は、これを硬化させた後、加熱して消失材料で成形している消失模型9を消失させる。この状態で鋳型の内部に、消失模型9と同じ成形室ができる。
(4) 鋳型に、加熱して溶融状態となった金属を注入して、金属フレーム7を製作する。
(5) 金属フレーム7に、スペース14として設けていた部分に、図3の鎖線で示すように、合成樹脂やセラミックを盛り付けて、架工義歯を完成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようにして製作される架工義歯は、消失模型の作成者により外観形態にばらつきが発生する。さらに、何も無い部分に橋体部の消失模型を製作するので、高度な加工技術に加えて、製作に時間がかかる欠点がある。橋体部として、既製の有床義歯用の人工陶歯を用いてシェルを作成しそれを用いた方法、あるいは既製のシェルを使った方法なども考えられる。しかしながら、人工陶歯を使用する方法では、形態の修正が極めて難しい欠点がある。また、このように既成の人工陶歯やシェルを使用するにしても、フレーム部分の製作は従来と同じように蝋などの消失材料を使用して製作する必要があって、製作に手間がかかる欠点がある。
【0004】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、簡単かつ容易に、しかも安価に能率よく架工義歯を製作できる人工歯と、この人工歯を使用する架工義歯の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の架工義歯の橋体部に使用される人工歯は、表面を歯形状に成形している表層部2と、この表層部2に分離できるように連結されると共に、加熱して消失できる消失材料で成形してなる基底部3とを備える。
【0006】
表層部2は、50重量%以上の無機充填物を含む合成樹脂の成形体とすることができる。さらに、表層部2は、セラミックの成形体とすることもできる。基底部3は、多層構造とすることができる。さらに、人工歯は、表層部2と基底部3との脱着連結面を凹凸面8とすることができる。
【0007】
さらに、本発明の請求項6の架工義歯の製造方法は、表面を歯形状に成形している表層部2に、加熱して消失できる消失材料で成形してなる基底部3を分離できるように連結して架工義歯の橋体部5となる人工歯を製作する工程と、人工歯の基底部3に、消失材料でもって支持台に連結される支台装置6を連結して設ける消失模型9を製作する工程と、消失模型9から表層部2を分離して、表層部2の分離された消失模型9に金属を鋳造して金属フレーム7を製作する工程と、金属フレーム7に表層部2を固定する工程とからなる。
【0008】
人工歯の表層部2は、50重量%以上の無機充填物を含む合成樹脂で製作することも、セラミックの成形体で製作することもできる。人工歯の表層部2と基底部3との脱着連結面を凹凸面8とすることができる。人工歯である橋体部5の両側に、消失材料でもって支台装置6を設けることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための人工歯と架工義歯の製造方法を例示するものであって、本発明は人工歯と架工義歯の製造方法を下記のものに特定しない。
【0010】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0011】
図4と図5に示す人工歯1は、図6に示す架工義歯4の橋体部5に使用されるものであって、互いに分離できるように連結している表層部2と基底部3とを備える。表層部2は、完成された架工義歯4の橋体部5の表面を構成する。したがって、表層部2は、その表面を橋体部5となる歯の表面形状に成形している。表層部2は、50重量%以上の無機充填物を含む合成樹脂を成形して製作される合成樹脂の成形体、あるいは、セラミックの成形体である。合成樹脂やセラミック製の表層部2は、天然歯の表面色に近い色に着色している。合成樹脂やセラミック製の表層部2は、完成された架工義歯4の状態で、図7に示すように、その裏面に金属フレーム7が接着される。表層部2は、裏面の金属フレーム7によって表面の色が着色されない程度に厚く成形される。表層部2が薄すぎると、裏面の金属フレーム7が透けて表面色が天然歯と異なる色となる。このため、裏面の金属フレーム7が透けて見えない厚さに成形される。ただ、表層部2に充填される無機充填材が裏面の金属フレーム7が透けて見えるのを防止するので、充填材の充填量を多くして、薄い表層部2で金属フレーム7が透けて見えるのを防止することができる。
【0012】
基底部3は、加熱して消失できる蝋等の消失材料で成形される。人工歯1は、基底部3を表層部2に連結する状態で、架工義歯4の橋体部5の形状に成形される。架工義歯4の橋体部5の形状は、歯によって異なり、また患者によっても多少は異なる。異なる患者に対応するために、基底部3を多層構造とすることができる。多層構造の基底部3は、一部の層を除去して、患者の異なる形状に対応できる。基底部3を成形する消失材料は、表層部2のように無機充填物を充填する必要はない。それは、消失材料で成形した消失模型を、鋳型の内部で完全に消失するからである。
【0013】
表層部2と基底部3とは互いに分離できるように連結される。ただ、表層部2は金属フレーム7にしっかりと強固に固定する必要がある。このことを実現するために、図に示す人工歯1は、表層部2と基底部3との脱着連結面を凹凸面8としている。この人工歯1は、表層部2を基底部3から外して消失模型として、この消失模型を使用して金属フレーム7を製作する。製作された金属フレーム7には、基底部3と同じ凹凸面8が設けられるので、表層部2はこの凹凸面8に隙間なく嵌合されて、しっかりと固定される。
【0014】
以上の人工歯1を使用して、以下の工程で架工義歯4が製作される。
(1) 患者の歯形に合わせて製作された模型10を使用して、支台歯11の間の歯のない部分に、図8と図9に示すように、表層部2と基底部3とを積層している人工歯1を橋体部5として配設し、この人工歯1の基底部3に、図10に示すように消失材料を連結して消失模型9を製作する。図10と図11の消失模型9は、人工歯1の基底部3の両側に、消失材料で製作している支台装置6を連結した形状としている。
(2) 人工歯1の表層部2を分離した消失模型9を使用して、図12に示すように、金属フレーム7を鋳造する鋳型12を製作する。鋳型12は、消失模型9の周囲を未硬化の状態でペースト状の耐熱成形材で被覆して製作される。製作された耐熱成形材は、これを硬化させた後、加熱して消失模型9を消失させる。この状態で鋳型12の内部に、図13に示すように、表層部2を除いた消失模型9と同じ成形室13ができる。
(3) 鋳型12の成形室13に、加熱して溶融状態となった金属を注入して、金属フレーム7を製作する。
(4) 金属フレーム7は、人工歯1の基底部3によって、表層部2に沿う表面形状となっているので、図14に示すように、ここに分離した人工歯1の表層部2を接着等の方法で固定する。
【0015】
架工義歯4は、以下のようにして、支台装置6の表面を、天然色の合成樹脂やセラミックで製作することができる。
(1) 人工歯1を使用して消失模型9を製作し、図15に示すように、支台装置6の表面を除去して、合成樹脂やセラミック等を付着するためのスペース14を設ける。このスペース14を設けるために、人工歯1の基底部3から分離した表層部2を使用することもできる。表層部2を使用して消失材料で支台装置6を製作する場合、表層部2を支台装置6の前面に配置して、その裏面に消失材料を付着して消失模型9を製作する。支台装置6の前面に使用される表層部2は、支台装置6の歯の形に成形している人工歯1のものを使用する。
(2) 表層部2を分離した消失模型9を使用して、図13に示すように、鋳型12を製作し、この鋳型12から金属フレーム7を製作する。
(3) 図16に示すように、金属フレーム7の橋体部5の表面に、分離した表層部2を接着等の方法で固定する。さらに、支台装置6の表面に、表層部2を接着し、あるいは合成樹脂やセラミックを盛り付けて架工義歯4とする。この場合、盛り付ける合成樹脂やセラミックを橋体表層部と同一材料とすることにより、架工義歯外観に一体感を出すことができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明の人工歯は、これを使用することにより、簡単かつ容易に、しかも安価に能率よく架工義歯を製作できる特長がある。それは、本発明の人工歯が、表面を歯形状に成形している表層部と、この表層部に分離できるように連結している基底部とで構成し、この基底部を加熱して消失できる消失材料で成形しているからである。架工義歯は、本発明の人工歯の基底部を使用して簡単に消失模型を製作できる。また、作業者の個人差によらず標準的な歯形の消失模型を作ることができる。さらに製作された消失模型で金属フレームを製作した後、これに基底部から分離された表層部を固定して、能率よく架工義歯を製作できる。
【0017】
さらに本発明の請求項6の製造方法は、簡単かつ容易に、しかも安価に能率よく標準的な形状の架工義歯を製作できる特長がある。それは、この製造方法が、歯形に成形している表層部に、消失材料で成形している基底部を分離できるように連結している人工歯を使用して、架工義歯を製作するからである。この方法は、人工歯の基底部に消失材料を連結して消失模型を製作し、この消失模型から金属フレームを製作し、この金属フレームに人工歯の表層部を固定して、架工義歯を製造する。とくに、この方法は、橋体部を作業者の個人差によらず標準的な形状として、簡単に能率よく消失模型を製作でき、しかもこの消失模型で製作される金属フレームに、基底部から分離された表層部を固定して架工義歯となる。表層部は、基底部から分離されたものであるから、金属フレームに簡単かつ容易に、しかもぴったりと隙間なくしっかりと固定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯形の模型の一例を示す正面図
【図2】従来の架工義歯の製造方法で架工義歯の消失模型を製作する工程を示す正面図
【図3】金属フレームの表面を盛り付ける状態を示す断面図
【図4】本発明の一実施例にかかる人工歯の断面図
【図5】図4に示す人工歯の分解断面図
【図6】図4に示す人工歯を使用する架工義歯の正面図
【図7】図6に示す架工義歯の平面図
【図8】消失模型を製作する工程において人工歯を支台歯の間に配設する状態を示す正面図
【図9】消失模型を製作する工程において人工歯を支台歯の間に配設した状態を示す平面図
【図10】消失模型を製作する工程において人工歯の両側に支台装置を連結する状態を示す平面図
【図11】消失模型から表層部を分離する状態を示す正面図
【図12】消失模型を使用して鋳型を製作する工程を示す断面図
【図13】図12に示す鋳型を使用して金属フレームを製作する工程を示す断面図
【図14】金属フレームの橋体部の表面に表層部を接着する工程を示す平面図
【図15】本発明の他の実施例にかかる架工義歯の製造方法において消失模型の支台装置の表面を除去した状態を示す断面図
【図16】金属フレームの橋体部と支台装置の表面に表層部を接着する工程を示す平面図
【符号の説明】
1…人工歯
2…表層部
3…基底部
4…架工義歯
5…橋体部
6…支台装置
7…金属フレーム
8…凹凸面
9…消失模型
10…模型
11…支台歯
12…鋳型
13…成形室
14…スペース
【発明の属する技術分野】
本発明は、架工義歯の橋体部に使用される人工歯と、この人工歯を使用する架工義歯の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の架工義歯は、以下の工程で製作している。
(1) 歯科医が、患者の歯形に合わせて模型を製作する。架工義歯を製作する模型10は、図1に示すように、支台歯11の間に歯のない部分があるので、ここに橋体部5の歯を製作する。
(2) 消失材料である蝋を使用して、図2に示すように、架工義歯の消失模型9を製作する。消失模型9の支台装置6は、模型10上の支台歯11に合わせて作られる。支台装置6に挟まれた欠損部分を補う橋体部5の製作は、基礎となる支台歯11がないので、製作者は独自な形態で橋体部5を製作する。このため、橋体部5の形態は、製作者の意思に左右されることになる。さらに、消失模型9は、表面に合成樹脂やセラミック等を付着するためのスペースを設けている。
(3) 消失模型9を使用して、金属の鋳造用の鋳型を製作する。鋳型は、消失模型9の周囲を未硬化の状態ではペースト状をしている耐熱成形材で被覆して製作される。製作された耐熱成形材は、これを硬化させた後、加熱して消失材料で成形している消失模型9を消失させる。この状態で鋳型の内部に、消失模型9と同じ成形室ができる。
(4) 鋳型に、加熱して溶融状態となった金属を注入して、金属フレーム7を製作する。
(5) 金属フレーム7に、スペース14として設けていた部分に、図3の鎖線で示すように、合成樹脂やセラミックを盛り付けて、架工義歯を完成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようにして製作される架工義歯は、消失模型の作成者により外観形態にばらつきが発生する。さらに、何も無い部分に橋体部の消失模型を製作するので、高度な加工技術に加えて、製作に時間がかかる欠点がある。橋体部として、既製の有床義歯用の人工陶歯を用いてシェルを作成しそれを用いた方法、あるいは既製のシェルを使った方法なども考えられる。しかしながら、人工陶歯を使用する方法では、形態の修正が極めて難しい欠点がある。また、このように既成の人工陶歯やシェルを使用するにしても、フレーム部分の製作は従来と同じように蝋などの消失材料を使用して製作する必要があって、製作に手間がかかる欠点がある。
【0004】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、簡単かつ容易に、しかも安価に能率よく架工義歯を製作できる人工歯と、この人工歯を使用する架工義歯の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の架工義歯の橋体部に使用される人工歯は、表面を歯形状に成形している表層部2と、この表層部2に分離できるように連結されると共に、加熱して消失できる消失材料で成形してなる基底部3とを備える。
【0006】
表層部2は、50重量%以上の無機充填物を含む合成樹脂の成形体とすることができる。さらに、表層部2は、セラミックの成形体とすることもできる。基底部3は、多層構造とすることができる。さらに、人工歯は、表層部2と基底部3との脱着連結面を凹凸面8とすることができる。
【0007】
さらに、本発明の請求項6の架工義歯の製造方法は、表面を歯形状に成形している表層部2に、加熱して消失できる消失材料で成形してなる基底部3を分離できるように連結して架工義歯の橋体部5となる人工歯を製作する工程と、人工歯の基底部3に、消失材料でもって支持台に連結される支台装置6を連結して設ける消失模型9を製作する工程と、消失模型9から表層部2を分離して、表層部2の分離された消失模型9に金属を鋳造して金属フレーム7を製作する工程と、金属フレーム7に表層部2を固定する工程とからなる。
【0008】
人工歯の表層部2は、50重量%以上の無機充填物を含む合成樹脂で製作することも、セラミックの成形体で製作することもできる。人工歯の表層部2と基底部3との脱着連結面を凹凸面8とすることができる。人工歯である橋体部5の両側に、消失材料でもって支台装置6を設けることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための人工歯と架工義歯の製造方法を例示するものであって、本発明は人工歯と架工義歯の製造方法を下記のものに特定しない。
【0010】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0011】
図4と図5に示す人工歯1は、図6に示す架工義歯4の橋体部5に使用されるものであって、互いに分離できるように連結している表層部2と基底部3とを備える。表層部2は、完成された架工義歯4の橋体部5の表面を構成する。したがって、表層部2は、その表面を橋体部5となる歯の表面形状に成形している。表層部2は、50重量%以上の無機充填物を含む合成樹脂を成形して製作される合成樹脂の成形体、あるいは、セラミックの成形体である。合成樹脂やセラミック製の表層部2は、天然歯の表面色に近い色に着色している。合成樹脂やセラミック製の表層部2は、完成された架工義歯4の状態で、図7に示すように、その裏面に金属フレーム7が接着される。表層部2は、裏面の金属フレーム7によって表面の色が着色されない程度に厚く成形される。表層部2が薄すぎると、裏面の金属フレーム7が透けて表面色が天然歯と異なる色となる。このため、裏面の金属フレーム7が透けて見えない厚さに成形される。ただ、表層部2に充填される無機充填材が裏面の金属フレーム7が透けて見えるのを防止するので、充填材の充填量を多くして、薄い表層部2で金属フレーム7が透けて見えるのを防止することができる。
【0012】
基底部3は、加熱して消失できる蝋等の消失材料で成形される。人工歯1は、基底部3を表層部2に連結する状態で、架工義歯4の橋体部5の形状に成形される。架工義歯4の橋体部5の形状は、歯によって異なり、また患者によっても多少は異なる。異なる患者に対応するために、基底部3を多層構造とすることができる。多層構造の基底部3は、一部の層を除去して、患者の異なる形状に対応できる。基底部3を成形する消失材料は、表層部2のように無機充填物を充填する必要はない。それは、消失材料で成形した消失模型を、鋳型の内部で完全に消失するからである。
【0013】
表層部2と基底部3とは互いに分離できるように連結される。ただ、表層部2は金属フレーム7にしっかりと強固に固定する必要がある。このことを実現するために、図に示す人工歯1は、表層部2と基底部3との脱着連結面を凹凸面8としている。この人工歯1は、表層部2を基底部3から外して消失模型として、この消失模型を使用して金属フレーム7を製作する。製作された金属フレーム7には、基底部3と同じ凹凸面8が設けられるので、表層部2はこの凹凸面8に隙間なく嵌合されて、しっかりと固定される。
【0014】
以上の人工歯1を使用して、以下の工程で架工義歯4が製作される。
(1) 患者の歯形に合わせて製作された模型10を使用して、支台歯11の間の歯のない部分に、図8と図9に示すように、表層部2と基底部3とを積層している人工歯1を橋体部5として配設し、この人工歯1の基底部3に、図10に示すように消失材料を連結して消失模型9を製作する。図10と図11の消失模型9は、人工歯1の基底部3の両側に、消失材料で製作している支台装置6を連結した形状としている。
(2) 人工歯1の表層部2を分離した消失模型9を使用して、図12に示すように、金属フレーム7を鋳造する鋳型12を製作する。鋳型12は、消失模型9の周囲を未硬化の状態でペースト状の耐熱成形材で被覆して製作される。製作された耐熱成形材は、これを硬化させた後、加熱して消失模型9を消失させる。この状態で鋳型12の内部に、図13に示すように、表層部2を除いた消失模型9と同じ成形室13ができる。
(3) 鋳型12の成形室13に、加熱して溶融状態となった金属を注入して、金属フレーム7を製作する。
(4) 金属フレーム7は、人工歯1の基底部3によって、表層部2に沿う表面形状となっているので、図14に示すように、ここに分離した人工歯1の表層部2を接着等の方法で固定する。
【0015】
架工義歯4は、以下のようにして、支台装置6の表面を、天然色の合成樹脂やセラミックで製作することができる。
(1) 人工歯1を使用して消失模型9を製作し、図15に示すように、支台装置6の表面を除去して、合成樹脂やセラミック等を付着するためのスペース14を設ける。このスペース14を設けるために、人工歯1の基底部3から分離した表層部2を使用することもできる。表層部2を使用して消失材料で支台装置6を製作する場合、表層部2を支台装置6の前面に配置して、その裏面に消失材料を付着して消失模型9を製作する。支台装置6の前面に使用される表層部2は、支台装置6の歯の形に成形している人工歯1のものを使用する。
(2) 表層部2を分離した消失模型9を使用して、図13に示すように、鋳型12を製作し、この鋳型12から金属フレーム7を製作する。
(3) 図16に示すように、金属フレーム7の橋体部5の表面に、分離した表層部2を接着等の方法で固定する。さらに、支台装置6の表面に、表層部2を接着し、あるいは合成樹脂やセラミックを盛り付けて架工義歯4とする。この場合、盛り付ける合成樹脂やセラミックを橋体表層部と同一材料とすることにより、架工義歯外観に一体感を出すことができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明の人工歯は、これを使用することにより、簡単かつ容易に、しかも安価に能率よく架工義歯を製作できる特長がある。それは、本発明の人工歯が、表面を歯形状に成形している表層部と、この表層部に分離できるように連結している基底部とで構成し、この基底部を加熱して消失できる消失材料で成形しているからである。架工義歯は、本発明の人工歯の基底部を使用して簡単に消失模型を製作できる。また、作業者の個人差によらず標準的な歯形の消失模型を作ることができる。さらに製作された消失模型で金属フレームを製作した後、これに基底部から分離された表層部を固定して、能率よく架工義歯を製作できる。
【0017】
さらに本発明の請求項6の製造方法は、簡単かつ容易に、しかも安価に能率よく標準的な形状の架工義歯を製作できる特長がある。それは、この製造方法が、歯形に成形している表層部に、消失材料で成形している基底部を分離できるように連結している人工歯を使用して、架工義歯を製作するからである。この方法は、人工歯の基底部に消失材料を連結して消失模型を製作し、この消失模型から金属フレームを製作し、この金属フレームに人工歯の表層部を固定して、架工義歯を製造する。とくに、この方法は、橋体部を作業者の個人差によらず標準的な形状として、簡単に能率よく消失模型を製作でき、しかもこの消失模型で製作される金属フレームに、基底部から分離された表層部を固定して架工義歯となる。表層部は、基底部から分離されたものであるから、金属フレームに簡単かつ容易に、しかもぴったりと隙間なくしっかりと固定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯形の模型の一例を示す正面図
【図2】従来の架工義歯の製造方法で架工義歯の消失模型を製作する工程を示す正面図
【図3】金属フレームの表面を盛り付ける状態を示す断面図
【図4】本発明の一実施例にかかる人工歯の断面図
【図5】図4に示す人工歯の分解断面図
【図6】図4に示す人工歯を使用する架工義歯の正面図
【図7】図6に示す架工義歯の平面図
【図8】消失模型を製作する工程において人工歯を支台歯の間に配設する状態を示す正面図
【図9】消失模型を製作する工程において人工歯を支台歯の間に配設した状態を示す平面図
【図10】消失模型を製作する工程において人工歯の両側に支台装置を連結する状態を示す平面図
【図11】消失模型から表層部を分離する状態を示す正面図
【図12】消失模型を使用して鋳型を製作する工程を示す断面図
【図13】図12に示す鋳型を使用して金属フレームを製作する工程を示す断面図
【図14】金属フレームの橋体部の表面に表層部を接着する工程を示す平面図
【図15】本発明の他の実施例にかかる架工義歯の製造方法において消失模型の支台装置の表面を除去した状態を示す断面図
【図16】金属フレームの橋体部と支台装置の表面に表層部を接着する工程を示す平面図
【符号の説明】
1…人工歯
2…表層部
3…基底部
4…架工義歯
5…橋体部
6…支台装置
7…金属フレーム
8…凹凸面
9…消失模型
10…模型
11…支台歯
12…鋳型
13…成形室
14…スペース
Claims (10)
- 表面を歯形状に成形している表層部(2)と、この表層部(2)に分離できるように連結されると共に、加熱して消失できる消失材料で成形してなる基底部(3)とを備える架工義歯の橋体部に使用される人工歯。
- 表層部(2)が、50重量%以上の無機充填物を含む合成樹脂の成形体である請求項1に記載される架工義歯の橋体部に使用される人工歯。
- 表層部(2)がセラミックの成形体である請求項1に記載される架工義歯の橋体部に使用される人工歯。
- 基底部(3)を多層構造としている請求項1に記載される架工義歯の橋体部に使用される人工歯。
- 表層部(2)と基底部(3)との脱着連結面を凹凸面(8)としている請求項1に記載される架工義歯の橋体部に使用される人工歯。
- 表面を歯形状に成形している表層部(2)に、加熱して消失できる消失材料で成形してなる基底部(3)と分離できるように連結して架工義歯(4)の橋体部(5)となる人工歯(1)を製作する工程と、人工歯(1)の基底部(3)に、消失材料でもって支台歯(11)に連結される支台装置(6)を連結して設ける消失模型(9)を製作する工程と、消失模型(9)から表層部(2)を分離して、表層部(2)の分離された消失模型(9)に金属を鋳造して金属フレーム(7)を製作する工程と、金属フレーム(7)に表層部(2)を固定する工程とからなる架工義歯の製造方法。
- 人工歯(1)の表層部(2)を、50重量%以上の無機充填物を含む合成樹脂で製作する請求項6に記載される架工義歯の製造方法。
- 人工歯(1)の表層部(2)を、セラミックの成形体で製作する請求項6に記載される架工義歯の製造方法。
- 人工歯(1)の表層部(2)と基底部(3)との脱着連結面を凹凸面(8)とする請求項6に記載される架工義歯の製造方法。
- 人工歯(1)である橋体部(5)の両側に、消失材料でもって支台装置(6)を設ける請求項6に記載される架工義歯の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002319010A JP2004148007A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 架工義歯の橋体部に使用される人工歯と架工義歯の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002319010A JP2004148007A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 架工義歯の橋体部に使用される人工歯と架工義歯の製造方法 |
Publications (1)
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JP2004148007A true JP2004148007A (ja) | 2004-05-27 |
Family
ID=32462000
Family Applications (1)
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JP2002319010A Pending JP2004148007A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 架工義歯の橋体部に使用される人工歯と架工義歯の製造方法 |
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JP (1) | JP2004148007A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100758783B1 (ko) * | 2005-07-26 | 2007-09-14 | 권오달 | 치과용 보철물 및 그 제조 방법 |
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2002
- 2002-10-31 JP JP2002319010A patent/JP2004148007A/ja active Pending
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KR100758783B1 (ko) * | 2005-07-26 | 2007-09-14 | 권오달 | 치과용 보철물 및 그 제조 방법 |
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