JP2004147444A - 電動機 - Google Patents
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Abstract
【課題】防振性の高い電動機を提供すること。
【解決手段】モータ11は、略筒状のケース20と、コア巻線25が巻回された複数のティース26を有し前記ケース20内周に固定されたステータコア21を備える。ステータコア21は、当該ステータコア21の周方向に沿って不均等角度間隔に設けられた複数の固定点31a〜31cにてケース20内周に固定する。
【選択図】 図2
【解決手段】モータ11は、略筒状のケース20と、コア巻線25が巻回された複数のティース26を有し前記ケース20内周に固定されたステータコア21を備える。ステータコア21は、当該ステータコア21の周方向に沿って不均等角度間隔に設けられた複数の固定点31a〜31cにてケース20内周に固定する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境意識の高まりとともに、自動車等の車両においても、需要者の低燃費志向に応えるべく、省エネルギー効果の高い電動パワーステアリング装置(EPS)の導入が進んでいる。特に小型・中型車では、より省燃費効果が大きく、かつ、コンパクトで搭載性の高いコラム型EPSが普及しつつある。
【0003】
コラム型EPSは、駆動源であるモータが車両の車室内のステアリングコラムに搭載される型式のEPSであり、モータの作動音の他、ステアリングを通じて振動が運転者に伝わりやすい。そのため、コラム型EPS用モータには、その静粛性のみならず、極めて高い防振性が求められる。ゆえに、静粛性の高いブラシレスモータは、コラム型EPS用モータに好適であると考えられる。ところが、DCブラシレスモータやACサーボモータ等の回転界磁型電動機には、巻線を流れる電流の位相変化等に伴いステータコアに発生する振動が当該ステータコア外周に位置するケースに伝達されやすいという問題がある。
【0004】
従来、回転界磁型電動機には、ステータコア外周面又はケース内周面に等角度間隔にて複数の突部を設け、当該ステータコアをケース内に圧入する所謂外周周方向均等ピッチ圧入による固定構造を採用したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図10に示すように、従来のブラシレスモータ1は、ケース2内に固定されたステータコア3を備える。ステータコア3は、その内周にコア巻線6が巻回され中心方向に向かって延びる複数のティース7を有し、当該ステータコア3の外周には、複数(3個)の凹部8が等角度間隔で設けられている。一方、ケース2内周には、ステータコア3の前記凹部8と同数(3個)の突部9が等角度間隔にて形成されており、ステータコア3は、前記各凹部8内にこれら突部9が嵌め込まれるようケース2に圧入されることにより、当該ケース2内周に固定されている。そして、このような固定構造を採用すれば、ステータコア3とケース2との接点は、前記各凹部8及び突部9の嵌合部分のみとなるため、ケース内壁面にステータコアの外周面を密着させてステータコアを固定(所謂外周全圧入)した場合と比較してケースに伝達される振動を抑制することができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−215745号公報(第4図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、外周周方向均等ピッチ圧入による固定構造の場合には、前記各突起が等角度間隔で配置されるため、ステータコアに同一モードの振動が複数箇所で発生し、これら同一モードの振動が複数個重なることにより振幅が増幅される。そのため、コラム型EPS用モータとして十分な防振性を確保することが難しいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、防振性の高い電動機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、略筒状のケースと、巻線が巻回された複数のティースを有し前記ケース内周に固定されたステータコアと、を備えた電動機であって、前記ステータコアは、該ステータコアの周方向に沿って不均等角度間隔にて設けられた複数の固定点にて前記ケース内周に固定されること、を要旨とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記ステータコアの外周又は前記ケースの内周の少なくとも何れか一方には、不均等角度間隔にて複数の突部が設けられ、該各突部により前記各固定点が構成されること、を要旨とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記各固定点は、前記ステータコアの外周又は前記ケースの内周の何れか一方に不均等角度間隔にて形成された複数の凹部と、前記ステータコアの外周又は前記ケースの内周の何れか一方の前記各凹部に対応する位置に形成された複数の突部と、が互いに嵌合することにより形成されること、を要旨とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、前記各凹部は前記ステータコアの外周に形成され、前記各突部は前記ケースの内周に形成されること、を要旨とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記固定点は、3箇所設けられてなること、を要旨とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、隣り合う各固定点と軸中心とのなす角度は、それぞれ90°、150°及び120°であること、を要旨とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記各固定点のうちの少なくとも1箇所は、前記凹部の周方向両側壁面と前記突部の周方向両側面とが面接触していること、を要旨とする。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、前記各凹部のうちの少なくとも1箇所は、その周方向両側壁面が該凹部内側に凸となるよう湾曲して形成され、該両側壁面により前記周方向両側面が挟持されること、を要旨とする。
【0015】
また、請求項9に記載の発明は、前記各固定点のうちの少なくとも1箇所で前記面接触し、かつ、前記各固定点のうちの少なくとも2箇所で前記挟持されること、を要旨とする。
【0016】
また、請求項10に記載の発明は、ブラシレスモータであること、を要旨とする。
また、請求項11に記載の発明は、電動パワーステアリング装置用モータであること、を要旨とする。
【0017】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、ステータコアとケースとが不均等角度間隔に設けられた各固定点にて固定されることにより、前記ティースで発生した振動はステータコアの一部分に集中する。その結果、同一モードの振動の重なりによる振動の増幅が防止され、ケースに伝達される振動が抑制される。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記ステータコアの外周又は前記ケースの内周の少なくとも何れか一方に設け、ステータコアをケース内に圧入するだけで前記各固定点が構成される。従って、加工が容易となるので、生産性が向上する。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、ステータコアとケースとが確実に固定される。
また、請求項4に記載の発明によれば、ステータコアが磁性粉体を圧縮成形することにより形成される粉体コア等、比較的コアの強度が低い場合であっても、ステータコア側には応力が集中する突部が無いため、固定点の強度が低下しない。また、ケースを鉄等の磁性金属で製作した場合において、ケース側に凹部を設けた場合にはケース周方向に断面積が小さい部分ができ、ケース周方向を流れる磁束の磁気抵抗が高くなるが、ケース内周には突部を設けたことで、磁気抵抗の増加が防止される。
【0020】
また、請求項5に記載の発明によれば、ケースに伝達される振動が抑制され、かつ、ステータコアが安定してケースに固定される。
また、請求項6に記載の発明によれば、ケースへの振動伝達抑制効果が最大化される。
【0021】
また、請求項7に記載の発明によれば、ステータコアとケースとが確実に固定される。
また、請求項8に記載の発明によれば、点接触固定となるため、ステータコアからのケースへの振動の伝達がより抑制される。また、ステータコアをケースへ圧入する際の圧力が小さくなる。さらに、各固定点の間隔の精度に若干の誤差がある場合であっても圧入し易い。
【0022】
また、請求項9に記載の発明によれば、圧入時の圧力低減及び固定点の間隔精度への寛容性が向上し、かつ、ステータコアとケースとが確実に固定される。
また、請求項10,11に記載の発明によれば、防振性が高いモータが提供されるので、高い防振性能が要求される用途にも使用可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をコラム型電動パワーステアリング装置用モータに具体化した一実施形態について、図1〜図5に従って説明する。
【0024】
図1に示すように、コラム型電動パワーステアリング装置(以下、コラム型EPS)10は、車室内のステアリングコラム(図示せず)内に、電動機としてのモータ11と電子制御装置(以下、ECU)12とを備え、運転者のステアリング操作に対しその操舵トルクや車速等に応じたパワーアシストを行う。
【0025】
詳述すると、コラム型EPS10は、ステアリング13が連結されるステアリングシャフト14に固定された減速機構15を備え、当該減速機構15には、前記ECU12に駆動制御される前記モータ11が連結されている。そして、ECU12は、減速機構15に設けられた図示しないトルクセンサにより検出される操舵トルク等に応じてモータ11を駆動制御し、運転者のステアリング操作についてパワーアシストを行う。
【0026】
図2に示すように、モータ11は、ケース20内にステータコア21と、当該ステータコア21の内側に収容されるロータ24とを備える。尚、本実施形態のモータ11は、DCブラシレスモータである。
【0027】
ステータコア21は、その内周に巻線としてのコア巻線25が巻回され中心方向に向かって延びる複数のティース26を備え、ケース20内周に固定されている。
【0028】
一方、ロータ24は、回転軸27と、当該回転軸27に固定されたロータコア29と、当該ロータコア29外周に固着された複数のマグネット30と、を備える。そして、ロータ24は、回転軸27が前記ケース20に設けられた図示しない軸受けにて軸支されることにより、前記ステータコア21の各ティース26に囲まれるように、回転可能にケース20内に支持収容されている。
【0029】
次に、ステータコア21とケース20との固定構造について説明する。
ステータコア21は、当該ステータコア21外周及び前記ケース20内周に周方向に沿って不均等角度間隔に設けられた複数(本実施形態では3つ)の固定点31a〜31cにてケース20内周に固定されている。
【0030】
各固定点31a〜31cは、固定点31aと固定点31bとの中心角の角度θ1、固定点31bと固定点31cとの中心角の角度θ2、及び固定点31cと固定点31aとの中心角の角度θ3が、それぞれ異なる角度となる位置に設けられている。詳しくは、各固定点31a〜31cは、角度θ1=120°、角度θ2=150°及び角度θ3=90°となる位置に設けられている。
【0031】
各固定点31a〜31cは、それぞれステータコア21の外周に不均等角度間隔にて形成された複数(本実施形態では3つ)の凹部32と、ケース20の内周、前記各凹部32に対応する位置に形成され当該ケース20の内周から中心方向に向かって突設された複数の突部33とから構成されている。詳しくは、図3及び図4に示すように、前記各凹部32内にケース20の前記各突部33が嵌め込まれることにより、前記各固定点31a〜31cが形成され、ステータコア21は、これら固定点31a〜31cにてケース20内周に固定されている。さらに詳しくは、前記各固定点31a〜31cにおいて、それぞれ平坦面となるよう形成された前記凹部32の周方向両側壁面34及び突部33の周方向両側面35が、互いに面接触にて密着することにより、ステータコア21及びケース20が固定されている。尚、各固定点31a〜31cは、全く同一の構成であるため、図3及び図4においては、固定点31aのみを図示する。
【0032】
次に、上記のように構成されたモータ11の作用について説明する。
DCブラシレスモータやACサーボモータ等の回転界磁型電動機の作動時には、巻線を流れる電流の位相変化に伴う振動が、そのステータコアに発生する。本実施形態のモータ11を例に詳述すると、モータ11は、ステータコア21の各ティース26に巻回されたコア巻線25を流れる電流の位相が変化することにより、ステータコア21の各ティース26に囲まれるようケース20内に支持収容されたロータ24が回転する。即ち、ロータコア29外周に固着されたマグネット30が、各ティース26に巻回されたコア巻線25が作り出す磁界の変化によって、当該マグネット30と対向するティース26に吸引され又は反発することにより、ロータ24は回転する。
【0033】
このとき、ロータ24のマグネット30及びステータコア21の各ティース26の間に働く吸引力及び反発力は各ティース26にも作用し、各ティース26は、前記コア巻線25を流れる電流の位相変化に伴ってそれぞれ一定の周期(電機角180°)で振動する。そして、これら各ティース26の振動が合成されてステータコア21の振動となり、このステータコア21の振動が、固定点31a〜31cを介して当該ステータコア21が固定されたケース20に伝達される。
【0034】
本実施形態のモータ11においては、ステータコア21及びケース20が不均等角度間隔に設けられた前記各固定点31a〜31cで固定されることにより、ケース20に伝達される振動が抑制される。詳しくは、各ティース26で発生した振動がステータコア21の一部に集中するため、同一モードの振動の重なりによる振動の増幅が防止される。そして、結果的に各固定点31a〜31cからケース20に伝達される振動が抑制される。
【0035】
図5は、外周周方向均等ピッチ圧入による固定構造を有する従来のブラシレスモータ1(図10参照)及び本実施形態のモータ11の最大振幅位置におけるステータコア3,21及びケース2,20の変位特性を示すグラフである。尚、グラフA1,A2は、従来のブラシレスモータ1のステータコア3及びケース2の変位特性を、グラフB1,B2は、本実施形態のモータ11のステータコア21コア及びケース20の変位特性を示している。
【0036】
図5に示すように、従来のブラシレスモータ1のケース2の変位特性を示すグラフA2と本実施形態のモータ11のケース20の変位特性を示すグラフB2とを比較した場合、グラフB2の変位は、全域においてグラフA2の変位よりも小さくなっている。更に、変位の最小値と最大値との最大変位差についても、従来の最大変位差da2よりも本実施形態の最大変位差db2の方が小さい。即ち、本実施形態のモータ11のケース20は、従来のブラシレスモータ1のケース2と比較して、その振動が小さく抑えられている。
【0037】
一方、従来のブラシレスモータ1のステータコア3のグラフA1と本実施形態のモータ11のステータコア21のグラフB1とを比較した場合、その変位の最小値と最大値との最大変位差は、従来の最大変位差da1よりも本実施形態の最大変位差db1の方が明らかに大きい。つまり、本実施形態のモータ11のステータコア21においては、従来のブラシレスモータ1のステータコア3と比較して、最大振幅位置における振動が大きく、各ティース26で発生した振動エネルギーは、この一部分に集中している。
【0038】
即ち、本実施形態のモータ11においては、各ティース26で発生した振動エネルギーがステータコア21の一部分に集中することにより、同一モードの振動の重なりによる振動の増幅が防止され、その結果、各固定点31a〜31cからケース20に伝達される振動が抑制されている。
【0039】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)ステータコア21及びケース20は、当該ステータコア21の外周及びケース20の内周の周方向に沿って不均等角度間隔に設けられた複数の固定点31a〜31cにて固定される。このような固定構造とすることで、各ティース26で発生した振動エネルギーがステータコア21の一部分に集中するため、同一モードの振動の重なりによる振動の増幅が防止される。従って、ケース20に伝達される振動を抑制することができ、モータ11の防振性を向上させることができる。
【0040】
(2)ステータコア21の外周には、複数の凹部32を形成し、ケース20内周には、複数の突部33を設けた。そして、ステータコア21をケース20内に圧入し、各凹部32内にケース20の対応する各突部33を嵌め込むことにより、前記固定点31a〜31cを形成し、当該各固定点31a〜31cにてステータコア21とケース20とを固定した。
【0041】
従って、ステータコア21が、磁性粉体を圧縮成形することにより形成される粉体コア等、比較的コアの強度が低い場合であっても、ステータコア21側には応力が集中する突部がないので、固定点31a〜31cの強度の低下を防止することができる。その結果、ステータコア21とケース20とを確実に固定することができる。また、ケースを鉄などの磁性金属で製作した場合において、ケース側に凹部を設けた場合には、ケース周方向に断面積が小さい部分ができケース周方向を流れる磁束の磁気抵抗が高くなる。本実施形態では、ケース20内周には突部33を設けたため、磁気抵抗の増加を防止することができる。
【0042】
(3)ステータコア21は、3箇所の固定点31a〜31cにてケース20内周に固定した。これにより、ステータコア21を安定して固定することができ、かつ、ケース20に伝達される振動を抑制することができる。
【0043】
(4)各固定点31a〜31cは、隣り合う固定点31a〜31cと間の中心角の角度が120°、150°及び90°となるように配置した。このような配置とすれば、ケース20への振動伝達抑制効果を最大化することができる。
【0044】
(5)前記各凹部32の周方向両側壁面34及び各突部33の周方向両側面35は、それぞれ平坦面となるように形成した。そして、ステータコア21は、各固定点31a〜31cにおいて前記各周方向両側壁面34と前記周方向両側面35とを互いに密着させることによりケース20の内周に固定した。これにより、ステータコア21とケース20とを確実に固定することができる。
【0045】
尚、上記本実施形態は、以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、前記各凹部32の周方向両側壁面34及び各突部33の周方向両側面35は、平坦面となるように形成し、ステータコア21は、各固定点31a〜31cにおいて前記各周方向両側壁面34と各周方向両側面35とを互いに密着させることによりケース20の内周に固定した(図3参照)。しかし、これに限らず、各凹部32の周方向両側壁面34は、平坦面でなくともよい。
【0046】
例えば、図6及び図7に示すように、凹部42の周方向両側壁面については、当該周方向両側壁面が各々凹部42内側に向かって凸となるよう湾曲して形成する(以下、説明のため、当該凹部42の周方向両側壁面を湾曲面44とする)。詳しくは、湾曲面44の中心を頂点45としその端部から滑らかに凸となるよう湾曲して形成する。そして、凹部42と前記ケース20の突部33とが圧入嵌合されることにより、当該凹部42及び突部33とにより形成される固定点46において前記突部33の周方向両側面35が前記両湾曲面44の頂点45に挟持され、ステータコア21がケース20の内周に固定される構成としてもよい。
【0047】
このような構成とすれば、前記固定点46においては、前記凹部42の両湾曲面44の頂点45と前記突部33の周方向両側面35とが接触する点でのみ、ステータコア21とケース20とが固定される。即ち、ステータコア21とケース20とが点接触であるため、ステータコア21からのケース20への振動の伝達をより抑制することができる。
【0048】
さらに、ステータコア21をケース20へ圧入する際の圧力が小さくなるとともに、各固定点46の間隔の精度(ピッチ精度)に若干の誤差がある場合であっても圧入がし易い。従って、ステータコア21のケース20への圧入工程を容易化することができる。
【0049】
・また、各湾曲面44は、当該湾曲面44の軸方向又は径方向の中心線を頂点45とし軸方向両端部又は径方向両端部から滑らかに凸となるよう湾曲して形成する。そして、当該湾曲面44と突部33の両側面とが線接触することにより固定されるようにしてもよい。
【0050】
・また、各周方向両側壁面34のうちの何れか一方のみを上記湾曲面44のように湾曲させてもよい。
・ステータコア21とケース20とを固定する各固定点については、各固定点のうちの一つ以上を前記固定点31a〜31cのような前記各周方向両側壁面34と前記各周方向両側面35とを互いに密着させる面接触固定とする。そして、各固定点のうちの一つ以上を前記固定点46のような前記凹部42の両湾曲面44の頂点45と前記突部33の周方向両側面35とが接触する点でのみ固定する点接触固定としてもよい。
【0051】
例えば、ステータコア21の内周に形成される3つの凹部のうち、1箇所を凹部32のようにその周方向両側壁面34が平坦面となるように形成し、残りの2箇所を凹部42のようにその周方向両側壁面(湾曲面44)が各々凹部42内側に向かって凸となるよう湾曲して形成してもよい。
【0052】
このような構成とすれば、3つの固定点の1つが固定点31a〜31cのような面接触固定、残りの2つが固定点46のような点接触固定となる。従って、圧入時の圧力の低減及びピッチ精度の寛容性を高め、圧入工程を容易化することができるとともに、ステータコア21とケース20とを確実に固定することができる。
【0053】
・本実施形態では、ステータコア21の外周に凹部32を形成し、ケース20内周には、突部33を設けた(図2〜図4参照)。しかし、図8に示すように、ステータコア51の外周に複数(3箇所)の突部52を形成し、ケース53内周に前記各突部52と同数の凹部54を設ける。そして、図9に示すように、ステータコア51の各突部52とケース53の各凹部54とを嵌合させることにより固定点55を形成し、ステータコア51とケース53とをこれら各固定点55にて固定してもよい。このような構成とすれば、ステータコア51をケース53に圧入する際に、各突部52を各凹部54に合わせやすい。従って、圧入時の作業工程を容易にすることができる。
【0054】
・本実施形態では、ステータコア21を当該ステータコア21の外周周方向に沿って不均等角度間隔に設けられた複数の固定点31a〜31cにてケース20内周に固定した。しかし、外周周方向に沿って不均等角度間隔のみではなく、各固定点31a〜31cをステータコア21の軸方向において不等位置に設けてもよい。
【0055】
・本実施形態では、コラム型パワーステアリング装置用モータとして具体化したが、モータ11の用途は、コラム型EPSの他、その他の型式のEPSに用いてもよく、さらにEPS以外の用途に用いても良い。
【0056】
・本実施形態では、モータ11をDCブラシレスモータとして具体化が、これに限らず、ACサーボモータ等、その他の回転界磁型電動機に具体化してもよい。
【0057】
・本実施形態では、固定点を固定点31a〜31c(固定点46及び固定点55)の3箇所としたが、3箇所以上としてもよい。
・本実施形態及び別例では、ステータコア21(ステータコア5)又はケース20(ケース53)の何れか一方に凹部32(凹部54)を、何れか一方に突部33(突部52)を設けた。しかし、これに限らず、ステータコアには、少なくとも1箇所の凹部又は突部を設け、ケースには、前記凹部に対応する位置に突部を、前記突部に対応する位置に凹部を設けてもよい。
【0058】
・また、ステータコア又はケースの何れか一方のみに、他方内周又は外周に向けて突出し密着固定される複数の突部を形成し、当該各突部が固定点を構成する構成としてもよく、当該各突部をステータコア又はケースの少なくとも何れか一方に設けることとしてもよい。
【0059】
このような構成とすれば、ステータコア又はケースに突部を形成するだけで、反対側に凹部を形成する必要がないため加工が容易となり、生産性を向上させることができる。
【0060】
・別例では、凹部42の周方向側の両側壁面については、当該両側壁面が各々凹部42内側に向かって凸となるよう湾曲して形成した。しかし、これに限らず、突部33(突部52)の周方向側の両側面を外側に向かって凸となるよう湾曲して形成してもよい。
【0061】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術思想について以下に追記する。
(1)請求項1〜請求項11のうちの何れか一項に記載の電動機を備えた、コラム型電動パワーステアリング装置。
【0062】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1〜請求項11に記載の発明によれば、防振性の高い電動機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コラム型パワーステアリング装置(EPS)の概略図。
【図2】本実施形態のモータの概略図。
【図3】本実施形態の固定点の拡大断面図。
【図4】モータのA−A断面図。
【図5】従来のブラシレスモータ及び本実施形態のモータの最大振幅位置におけるステータコア及びケースの変位特性を示すグラフ。
【図6】別例の固定点の拡大断面図。
【図7】別例の固定点のB−B断面図。
【図8】別例のステータコア及びケースの固定構造を示す概略図。
【図9】別例の固定点の拡大断面図。
【図10】従来のブラシレスモータの概略図。
【符号の説明】
1…従来のブラシレスモータ、11…電動機としてのモータ、2,20,53…ケース、3,21,51…ステータコア、25…巻線としてのコア巻線、26…ティース、31a〜31c,46,55…固定点、32,42,54…凹部、33,52…突部、34…周方向側壁面、35…周方向側面、44…湾曲面(別例の周方向側壁面)、45…頂点、θ1〜θ3…角度。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境意識の高まりとともに、自動車等の車両においても、需要者の低燃費志向に応えるべく、省エネルギー効果の高い電動パワーステアリング装置(EPS)の導入が進んでいる。特に小型・中型車では、より省燃費効果が大きく、かつ、コンパクトで搭載性の高いコラム型EPSが普及しつつある。
【0003】
コラム型EPSは、駆動源であるモータが車両の車室内のステアリングコラムに搭載される型式のEPSであり、モータの作動音の他、ステアリングを通じて振動が運転者に伝わりやすい。そのため、コラム型EPS用モータには、その静粛性のみならず、極めて高い防振性が求められる。ゆえに、静粛性の高いブラシレスモータは、コラム型EPS用モータに好適であると考えられる。ところが、DCブラシレスモータやACサーボモータ等の回転界磁型電動機には、巻線を流れる電流の位相変化等に伴いステータコアに発生する振動が当該ステータコア外周に位置するケースに伝達されやすいという問題がある。
【0004】
従来、回転界磁型電動機には、ステータコア外周面又はケース内周面に等角度間隔にて複数の突部を設け、当該ステータコアをケース内に圧入する所謂外周周方向均等ピッチ圧入による固定構造を採用したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図10に示すように、従来のブラシレスモータ1は、ケース2内に固定されたステータコア3を備える。ステータコア3は、その内周にコア巻線6が巻回され中心方向に向かって延びる複数のティース7を有し、当該ステータコア3の外周には、複数(3個)の凹部8が等角度間隔で設けられている。一方、ケース2内周には、ステータコア3の前記凹部8と同数(3個)の突部9が等角度間隔にて形成されており、ステータコア3は、前記各凹部8内にこれら突部9が嵌め込まれるようケース2に圧入されることにより、当該ケース2内周に固定されている。そして、このような固定構造を採用すれば、ステータコア3とケース2との接点は、前記各凹部8及び突部9の嵌合部分のみとなるため、ケース内壁面にステータコアの外周面を密着させてステータコアを固定(所謂外周全圧入)した場合と比較してケースに伝達される振動を抑制することができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−215745号公報(第4図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、外周周方向均等ピッチ圧入による固定構造の場合には、前記各突起が等角度間隔で配置されるため、ステータコアに同一モードの振動が複数箇所で発生し、これら同一モードの振動が複数個重なることにより振幅が増幅される。そのため、コラム型EPS用モータとして十分な防振性を確保することが難しいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、防振性の高い電動機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、略筒状のケースと、巻線が巻回された複数のティースを有し前記ケース内周に固定されたステータコアと、を備えた電動機であって、前記ステータコアは、該ステータコアの周方向に沿って不均等角度間隔にて設けられた複数の固定点にて前記ケース内周に固定されること、を要旨とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記ステータコアの外周又は前記ケースの内周の少なくとも何れか一方には、不均等角度間隔にて複数の突部が設けられ、該各突部により前記各固定点が構成されること、を要旨とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記各固定点は、前記ステータコアの外周又は前記ケースの内周の何れか一方に不均等角度間隔にて形成された複数の凹部と、前記ステータコアの外周又は前記ケースの内周の何れか一方の前記各凹部に対応する位置に形成された複数の突部と、が互いに嵌合することにより形成されること、を要旨とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、前記各凹部は前記ステータコアの外周に形成され、前記各突部は前記ケースの内周に形成されること、を要旨とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記固定点は、3箇所設けられてなること、を要旨とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、隣り合う各固定点と軸中心とのなす角度は、それぞれ90°、150°及び120°であること、を要旨とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記各固定点のうちの少なくとも1箇所は、前記凹部の周方向両側壁面と前記突部の周方向両側面とが面接触していること、を要旨とする。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、前記各凹部のうちの少なくとも1箇所は、その周方向両側壁面が該凹部内側に凸となるよう湾曲して形成され、該両側壁面により前記周方向両側面が挟持されること、を要旨とする。
【0015】
また、請求項9に記載の発明は、前記各固定点のうちの少なくとも1箇所で前記面接触し、かつ、前記各固定点のうちの少なくとも2箇所で前記挟持されること、を要旨とする。
【0016】
また、請求項10に記載の発明は、ブラシレスモータであること、を要旨とする。
また、請求項11に記載の発明は、電動パワーステアリング装置用モータであること、を要旨とする。
【0017】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、ステータコアとケースとが不均等角度間隔に設けられた各固定点にて固定されることにより、前記ティースで発生した振動はステータコアの一部分に集中する。その結果、同一モードの振動の重なりによる振動の増幅が防止され、ケースに伝達される振動が抑制される。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記ステータコアの外周又は前記ケースの内周の少なくとも何れか一方に設け、ステータコアをケース内に圧入するだけで前記各固定点が構成される。従って、加工が容易となるので、生産性が向上する。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、ステータコアとケースとが確実に固定される。
また、請求項4に記載の発明によれば、ステータコアが磁性粉体を圧縮成形することにより形成される粉体コア等、比較的コアの強度が低い場合であっても、ステータコア側には応力が集中する突部が無いため、固定点の強度が低下しない。また、ケースを鉄等の磁性金属で製作した場合において、ケース側に凹部を設けた場合にはケース周方向に断面積が小さい部分ができ、ケース周方向を流れる磁束の磁気抵抗が高くなるが、ケース内周には突部を設けたことで、磁気抵抗の増加が防止される。
【0020】
また、請求項5に記載の発明によれば、ケースに伝達される振動が抑制され、かつ、ステータコアが安定してケースに固定される。
また、請求項6に記載の発明によれば、ケースへの振動伝達抑制効果が最大化される。
【0021】
また、請求項7に記載の発明によれば、ステータコアとケースとが確実に固定される。
また、請求項8に記載の発明によれば、点接触固定となるため、ステータコアからのケースへの振動の伝達がより抑制される。また、ステータコアをケースへ圧入する際の圧力が小さくなる。さらに、各固定点の間隔の精度に若干の誤差がある場合であっても圧入し易い。
【0022】
また、請求項9に記載の発明によれば、圧入時の圧力低減及び固定点の間隔精度への寛容性が向上し、かつ、ステータコアとケースとが確実に固定される。
また、請求項10,11に記載の発明によれば、防振性が高いモータが提供されるので、高い防振性能が要求される用途にも使用可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をコラム型電動パワーステアリング装置用モータに具体化した一実施形態について、図1〜図5に従って説明する。
【0024】
図1に示すように、コラム型電動パワーステアリング装置(以下、コラム型EPS)10は、車室内のステアリングコラム(図示せず)内に、電動機としてのモータ11と電子制御装置(以下、ECU)12とを備え、運転者のステアリング操作に対しその操舵トルクや車速等に応じたパワーアシストを行う。
【0025】
詳述すると、コラム型EPS10は、ステアリング13が連結されるステアリングシャフト14に固定された減速機構15を備え、当該減速機構15には、前記ECU12に駆動制御される前記モータ11が連結されている。そして、ECU12は、減速機構15に設けられた図示しないトルクセンサにより検出される操舵トルク等に応じてモータ11を駆動制御し、運転者のステアリング操作についてパワーアシストを行う。
【0026】
図2に示すように、モータ11は、ケース20内にステータコア21と、当該ステータコア21の内側に収容されるロータ24とを備える。尚、本実施形態のモータ11は、DCブラシレスモータである。
【0027】
ステータコア21は、その内周に巻線としてのコア巻線25が巻回され中心方向に向かって延びる複数のティース26を備え、ケース20内周に固定されている。
【0028】
一方、ロータ24は、回転軸27と、当該回転軸27に固定されたロータコア29と、当該ロータコア29外周に固着された複数のマグネット30と、を備える。そして、ロータ24は、回転軸27が前記ケース20に設けられた図示しない軸受けにて軸支されることにより、前記ステータコア21の各ティース26に囲まれるように、回転可能にケース20内に支持収容されている。
【0029】
次に、ステータコア21とケース20との固定構造について説明する。
ステータコア21は、当該ステータコア21外周及び前記ケース20内周に周方向に沿って不均等角度間隔に設けられた複数(本実施形態では3つ)の固定点31a〜31cにてケース20内周に固定されている。
【0030】
各固定点31a〜31cは、固定点31aと固定点31bとの中心角の角度θ1、固定点31bと固定点31cとの中心角の角度θ2、及び固定点31cと固定点31aとの中心角の角度θ3が、それぞれ異なる角度となる位置に設けられている。詳しくは、各固定点31a〜31cは、角度θ1=120°、角度θ2=150°及び角度θ3=90°となる位置に設けられている。
【0031】
各固定点31a〜31cは、それぞれステータコア21の外周に不均等角度間隔にて形成された複数(本実施形態では3つ)の凹部32と、ケース20の内周、前記各凹部32に対応する位置に形成され当該ケース20の内周から中心方向に向かって突設された複数の突部33とから構成されている。詳しくは、図3及び図4に示すように、前記各凹部32内にケース20の前記各突部33が嵌め込まれることにより、前記各固定点31a〜31cが形成され、ステータコア21は、これら固定点31a〜31cにてケース20内周に固定されている。さらに詳しくは、前記各固定点31a〜31cにおいて、それぞれ平坦面となるよう形成された前記凹部32の周方向両側壁面34及び突部33の周方向両側面35が、互いに面接触にて密着することにより、ステータコア21及びケース20が固定されている。尚、各固定点31a〜31cは、全く同一の構成であるため、図3及び図4においては、固定点31aのみを図示する。
【0032】
次に、上記のように構成されたモータ11の作用について説明する。
DCブラシレスモータやACサーボモータ等の回転界磁型電動機の作動時には、巻線を流れる電流の位相変化に伴う振動が、そのステータコアに発生する。本実施形態のモータ11を例に詳述すると、モータ11は、ステータコア21の各ティース26に巻回されたコア巻線25を流れる電流の位相が変化することにより、ステータコア21の各ティース26に囲まれるようケース20内に支持収容されたロータ24が回転する。即ち、ロータコア29外周に固着されたマグネット30が、各ティース26に巻回されたコア巻線25が作り出す磁界の変化によって、当該マグネット30と対向するティース26に吸引され又は反発することにより、ロータ24は回転する。
【0033】
このとき、ロータ24のマグネット30及びステータコア21の各ティース26の間に働く吸引力及び反発力は各ティース26にも作用し、各ティース26は、前記コア巻線25を流れる電流の位相変化に伴ってそれぞれ一定の周期(電機角180°)で振動する。そして、これら各ティース26の振動が合成されてステータコア21の振動となり、このステータコア21の振動が、固定点31a〜31cを介して当該ステータコア21が固定されたケース20に伝達される。
【0034】
本実施形態のモータ11においては、ステータコア21及びケース20が不均等角度間隔に設けられた前記各固定点31a〜31cで固定されることにより、ケース20に伝達される振動が抑制される。詳しくは、各ティース26で発生した振動がステータコア21の一部に集中するため、同一モードの振動の重なりによる振動の増幅が防止される。そして、結果的に各固定点31a〜31cからケース20に伝達される振動が抑制される。
【0035】
図5は、外周周方向均等ピッチ圧入による固定構造を有する従来のブラシレスモータ1(図10参照)及び本実施形態のモータ11の最大振幅位置におけるステータコア3,21及びケース2,20の変位特性を示すグラフである。尚、グラフA1,A2は、従来のブラシレスモータ1のステータコア3及びケース2の変位特性を、グラフB1,B2は、本実施形態のモータ11のステータコア21コア及びケース20の変位特性を示している。
【0036】
図5に示すように、従来のブラシレスモータ1のケース2の変位特性を示すグラフA2と本実施形態のモータ11のケース20の変位特性を示すグラフB2とを比較した場合、グラフB2の変位は、全域においてグラフA2の変位よりも小さくなっている。更に、変位の最小値と最大値との最大変位差についても、従来の最大変位差da2よりも本実施形態の最大変位差db2の方が小さい。即ち、本実施形態のモータ11のケース20は、従来のブラシレスモータ1のケース2と比較して、その振動が小さく抑えられている。
【0037】
一方、従来のブラシレスモータ1のステータコア3のグラフA1と本実施形態のモータ11のステータコア21のグラフB1とを比較した場合、その変位の最小値と最大値との最大変位差は、従来の最大変位差da1よりも本実施形態の最大変位差db1の方が明らかに大きい。つまり、本実施形態のモータ11のステータコア21においては、従来のブラシレスモータ1のステータコア3と比較して、最大振幅位置における振動が大きく、各ティース26で発生した振動エネルギーは、この一部分に集中している。
【0038】
即ち、本実施形態のモータ11においては、各ティース26で発生した振動エネルギーがステータコア21の一部分に集中することにより、同一モードの振動の重なりによる振動の増幅が防止され、その結果、各固定点31a〜31cからケース20に伝達される振動が抑制されている。
【0039】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)ステータコア21及びケース20は、当該ステータコア21の外周及びケース20の内周の周方向に沿って不均等角度間隔に設けられた複数の固定点31a〜31cにて固定される。このような固定構造とすることで、各ティース26で発生した振動エネルギーがステータコア21の一部分に集中するため、同一モードの振動の重なりによる振動の増幅が防止される。従って、ケース20に伝達される振動を抑制することができ、モータ11の防振性を向上させることができる。
【0040】
(2)ステータコア21の外周には、複数の凹部32を形成し、ケース20内周には、複数の突部33を設けた。そして、ステータコア21をケース20内に圧入し、各凹部32内にケース20の対応する各突部33を嵌め込むことにより、前記固定点31a〜31cを形成し、当該各固定点31a〜31cにてステータコア21とケース20とを固定した。
【0041】
従って、ステータコア21が、磁性粉体を圧縮成形することにより形成される粉体コア等、比較的コアの強度が低い場合であっても、ステータコア21側には応力が集中する突部がないので、固定点31a〜31cの強度の低下を防止することができる。その結果、ステータコア21とケース20とを確実に固定することができる。また、ケースを鉄などの磁性金属で製作した場合において、ケース側に凹部を設けた場合には、ケース周方向に断面積が小さい部分ができケース周方向を流れる磁束の磁気抵抗が高くなる。本実施形態では、ケース20内周には突部33を設けたため、磁気抵抗の増加を防止することができる。
【0042】
(3)ステータコア21は、3箇所の固定点31a〜31cにてケース20内周に固定した。これにより、ステータコア21を安定して固定することができ、かつ、ケース20に伝達される振動を抑制することができる。
【0043】
(4)各固定点31a〜31cは、隣り合う固定点31a〜31cと間の中心角の角度が120°、150°及び90°となるように配置した。このような配置とすれば、ケース20への振動伝達抑制効果を最大化することができる。
【0044】
(5)前記各凹部32の周方向両側壁面34及び各突部33の周方向両側面35は、それぞれ平坦面となるように形成した。そして、ステータコア21は、各固定点31a〜31cにおいて前記各周方向両側壁面34と前記周方向両側面35とを互いに密着させることによりケース20の内周に固定した。これにより、ステータコア21とケース20とを確実に固定することができる。
【0045】
尚、上記本実施形態は、以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、前記各凹部32の周方向両側壁面34及び各突部33の周方向両側面35は、平坦面となるように形成し、ステータコア21は、各固定点31a〜31cにおいて前記各周方向両側壁面34と各周方向両側面35とを互いに密着させることによりケース20の内周に固定した(図3参照)。しかし、これに限らず、各凹部32の周方向両側壁面34は、平坦面でなくともよい。
【0046】
例えば、図6及び図7に示すように、凹部42の周方向両側壁面については、当該周方向両側壁面が各々凹部42内側に向かって凸となるよう湾曲して形成する(以下、説明のため、当該凹部42の周方向両側壁面を湾曲面44とする)。詳しくは、湾曲面44の中心を頂点45としその端部から滑らかに凸となるよう湾曲して形成する。そして、凹部42と前記ケース20の突部33とが圧入嵌合されることにより、当該凹部42及び突部33とにより形成される固定点46において前記突部33の周方向両側面35が前記両湾曲面44の頂点45に挟持され、ステータコア21がケース20の内周に固定される構成としてもよい。
【0047】
このような構成とすれば、前記固定点46においては、前記凹部42の両湾曲面44の頂点45と前記突部33の周方向両側面35とが接触する点でのみ、ステータコア21とケース20とが固定される。即ち、ステータコア21とケース20とが点接触であるため、ステータコア21からのケース20への振動の伝達をより抑制することができる。
【0048】
さらに、ステータコア21をケース20へ圧入する際の圧力が小さくなるとともに、各固定点46の間隔の精度(ピッチ精度)に若干の誤差がある場合であっても圧入がし易い。従って、ステータコア21のケース20への圧入工程を容易化することができる。
【0049】
・また、各湾曲面44は、当該湾曲面44の軸方向又は径方向の中心線を頂点45とし軸方向両端部又は径方向両端部から滑らかに凸となるよう湾曲して形成する。そして、当該湾曲面44と突部33の両側面とが線接触することにより固定されるようにしてもよい。
【0050】
・また、各周方向両側壁面34のうちの何れか一方のみを上記湾曲面44のように湾曲させてもよい。
・ステータコア21とケース20とを固定する各固定点については、各固定点のうちの一つ以上を前記固定点31a〜31cのような前記各周方向両側壁面34と前記各周方向両側面35とを互いに密着させる面接触固定とする。そして、各固定点のうちの一つ以上を前記固定点46のような前記凹部42の両湾曲面44の頂点45と前記突部33の周方向両側面35とが接触する点でのみ固定する点接触固定としてもよい。
【0051】
例えば、ステータコア21の内周に形成される3つの凹部のうち、1箇所を凹部32のようにその周方向両側壁面34が平坦面となるように形成し、残りの2箇所を凹部42のようにその周方向両側壁面(湾曲面44)が各々凹部42内側に向かって凸となるよう湾曲して形成してもよい。
【0052】
このような構成とすれば、3つの固定点の1つが固定点31a〜31cのような面接触固定、残りの2つが固定点46のような点接触固定となる。従って、圧入時の圧力の低減及びピッチ精度の寛容性を高め、圧入工程を容易化することができるとともに、ステータコア21とケース20とを確実に固定することができる。
【0053】
・本実施形態では、ステータコア21の外周に凹部32を形成し、ケース20内周には、突部33を設けた(図2〜図4参照)。しかし、図8に示すように、ステータコア51の外周に複数(3箇所)の突部52を形成し、ケース53内周に前記各突部52と同数の凹部54を設ける。そして、図9に示すように、ステータコア51の各突部52とケース53の各凹部54とを嵌合させることにより固定点55を形成し、ステータコア51とケース53とをこれら各固定点55にて固定してもよい。このような構成とすれば、ステータコア51をケース53に圧入する際に、各突部52を各凹部54に合わせやすい。従って、圧入時の作業工程を容易にすることができる。
【0054】
・本実施形態では、ステータコア21を当該ステータコア21の外周周方向に沿って不均等角度間隔に設けられた複数の固定点31a〜31cにてケース20内周に固定した。しかし、外周周方向に沿って不均等角度間隔のみではなく、各固定点31a〜31cをステータコア21の軸方向において不等位置に設けてもよい。
【0055】
・本実施形態では、コラム型パワーステアリング装置用モータとして具体化したが、モータ11の用途は、コラム型EPSの他、その他の型式のEPSに用いてもよく、さらにEPS以外の用途に用いても良い。
【0056】
・本実施形態では、モータ11をDCブラシレスモータとして具体化が、これに限らず、ACサーボモータ等、その他の回転界磁型電動機に具体化してもよい。
【0057】
・本実施形態では、固定点を固定点31a〜31c(固定点46及び固定点55)の3箇所としたが、3箇所以上としてもよい。
・本実施形態及び別例では、ステータコア21(ステータコア5)又はケース20(ケース53)の何れか一方に凹部32(凹部54)を、何れか一方に突部33(突部52)を設けた。しかし、これに限らず、ステータコアには、少なくとも1箇所の凹部又は突部を設け、ケースには、前記凹部に対応する位置に突部を、前記突部に対応する位置に凹部を設けてもよい。
【0058】
・また、ステータコア又はケースの何れか一方のみに、他方内周又は外周に向けて突出し密着固定される複数の突部を形成し、当該各突部が固定点を構成する構成としてもよく、当該各突部をステータコア又はケースの少なくとも何れか一方に設けることとしてもよい。
【0059】
このような構成とすれば、ステータコア又はケースに突部を形成するだけで、反対側に凹部を形成する必要がないため加工が容易となり、生産性を向上させることができる。
【0060】
・別例では、凹部42の周方向側の両側壁面については、当該両側壁面が各々凹部42内側に向かって凸となるよう湾曲して形成した。しかし、これに限らず、突部33(突部52)の周方向側の両側面を外側に向かって凸となるよう湾曲して形成してもよい。
【0061】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術思想について以下に追記する。
(1)請求項1〜請求項11のうちの何れか一項に記載の電動機を備えた、コラム型電動パワーステアリング装置。
【0062】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1〜請求項11に記載の発明によれば、防振性の高い電動機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コラム型パワーステアリング装置(EPS)の概略図。
【図2】本実施形態のモータの概略図。
【図3】本実施形態の固定点の拡大断面図。
【図4】モータのA−A断面図。
【図5】従来のブラシレスモータ及び本実施形態のモータの最大振幅位置におけるステータコア及びケースの変位特性を示すグラフ。
【図6】別例の固定点の拡大断面図。
【図7】別例の固定点のB−B断面図。
【図8】別例のステータコア及びケースの固定構造を示す概略図。
【図9】別例の固定点の拡大断面図。
【図10】従来のブラシレスモータの概略図。
【符号の説明】
1…従来のブラシレスモータ、11…電動機としてのモータ、2,20,53…ケース、3,21,51…ステータコア、25…巻線としてのコア巻線、26…ティース、31a〜31c,46,55…固定点、32,42,54…凹部、33,52…突部、34…周方向側壁面、35…周方向側面、44…湾曲面(別例の周方向側壁面)、45…頂点、θ1〜θ3…角度。
Claims (11)
- 略筒状のケースと、巻線が巻回された複数のティースを有し前記ケース内周に固定されたステータコアと、を備えた電動機であって、
前記ステータコアは、該ステータコアの周方向に沿って不均等角度間隔にて設けられた複数の固定点にて前記ケース内周に固定されること、を特徴とする電動機。 - 請求項1に記載の電動機において、
前記ステータコアの外周又は前記ケースの内周の少なくとも何れか一方には、不均等角度間隔にて複数の突部が設けられ、該各突部により前記各固定点が構成されること、を特徴とする電動機。 - 請求項1に記載の電動機において、
前記各固定点は、前記ステータコアの外周又は前記ケースの内周の何れか一方に不均等角度間隔にて形成された複数の凹部と、前記ステータコアの外周又は前記ケースの内周の何れか一方の前記各凹部に対応する位置に形成された複数の突部と、が互いに嵌合することにより形成されること、を特徴とする電動機。 - 請求項3に記載の電動機において、
前記各凹部は前記ステータコアの外周に形成され、前記各突部は前記ケースの内周に形成されること、を特徴とする電動機。 - 請求項1〜請求項4のうちの何れか一項に記載の電動機において、
前記固定点は、3箇所設けられてなること、を特徴とする電動機。 - 請求項5に記載の電動機において、
隣り合う各固定点と軸中心とのなす角度は、それぞれ90°、150°及び120°であること、を特徴とする電動機。 - 請求項3〜請求項6のうちの何れか一項に記載の電動機において、
前記各固定点のうちの少なくとも1箇所は、前記凹部の周方向両側壁面と前記突部の周方向両側面とが面接触していること、を特徴とする電動機。 - 請求項3〜請求項7のうちの何れか一項に記載の電動機において、
前記各凹部のうちの少なくとも1箇所は、その周方向両側壁面が該凹部内側に凸となるよう湾曲して形成され、該両側壁面により前記周方向両側面が挟持されること、を特徴とする電動機。 - 請求項8に記載の電動機において、
前記各固定点のうちの少なくとも1箇所で前記面接触し、かつ、前記各固定点のうちの少なくとも2箇所で前記挟持されること、を特徴とする電動機。 - 請求項1〜請求項9のうちの何れか一項に記載の電動機において、
ブラシレスモータであること、を特徴とする電動機。 - 請求項1〜請求項10のうちの何れか一項に記載の電動機において、
電動パワーステアリング装置用モータであること、を特徴とする電動機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002310635A JP2004147444A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | 電動機 |
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JP (1) | JP2004147444A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002310635A patent/JP2004147444A/ja active Pending
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JP2007318876A (ja) * | 2006-05-24 | 2007-12-06 | Toyota Industries Corp | 電動モータ及び電動圧縮機 |
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