JP2004146251A - メタルマスク蒸着方法、配線パターンおよび有機エレクトロルミネッセンス表示素子 - Google Patents

メタルマスク蒸着方法、配線パターンおよび有機エレクトロルミネッセンス表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】良好なパターニング精度の蒸着パターンを形成することができる新規なメタルマスク蒸着方法、良好なパターニング精度の配線パターンおよび、良好なパターニング精度の蒸着パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス表示素子を提供する。
【解決手段】メタルマスク、被蒸着基板、磁石をこの順に重ね、磁石の磁力により、メタルマスクと被蒸着基板とを密着させた状態で被蒸着基板に蒸着を行うマスク蒸着法において、メタルマスクとして、矩形状の開口部パターンを有するメタルマスクを使用し、磁石として、長辺同士が向かい合う帯状のN極とS極との組が、N極とS極とが並ぶ方向について、10mm当たり2個以上ある磁石を使用し、帯状のN極とS極との組の長辺方向を、メタルマスクの矩形状の開口部パターンの長手方向と交差するように配する。直交するように交差することが好ましい。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁力によってメタルマスクを被蒸着基板に密着保持して、被蒸着基板上に蒸着するメタルマスク蒸着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、本明細書では有機ELと略称する。)ディスプレイやIC等の分野においても、部品の小型化、細密表示化のニーズに対応するため、配線パターンやその他のパターンのピッチの微細化や、パターン幅、パターン間隔の狭細化が必要とされている。
【0003】
微細なパターンを形成する方法は、フォトリソグラフィ法、スクリーン印刷法およびマスク蒸着法の三つに大別されるが、中でもマスク蒸着法は、必要な精度のマスクが得られれば、微細なパターンを精度良く形成することができ、高精度、低価格および信頼性の面から最も優れており、広く実用に供されている。特に有機エレクトロルミネッセンスディスプレイにおいては、発光層に用いられる有機材料が水分や有機溶剤に対して耐性が乏しく、ウェットプロセスによるパターニングが困難であるため、マスク蒸着法によるパターニングが主流となっている。
【0004】
メタルマスク蒸着方法では、被蒸着基板とメタルマスクとの間に隙間があると、その隙間を通して材料が不要な部位にまで回り込んで、蒸着パターンが変形したり、歪んだり、平行性が崩れてしまうといったパターニング精度の低下が生じるという問題が存在する。このため、従来のメタルマスク蒸着方法において、メタルマスクと被蒸着基板との密着性向上や蒸着膜の回り込みによるパターニング精度の低下を抑制するために、被蒸着基板上に磁石を配置し、磁石の磁力によってメタルマスクと被蒸着基板とを密着保持し、蒸着を行う方法がよく知られている。
【0005】
しかしながら、長尺状即ち長辺の長い矩形状の開口部パターンを有するメタルマスクは、磁石により吸着保持をするとメタルマスクのパターンが変形し、この結果、蒸着のパターニング精度も低下してしまうことがある。これは、メタルマスクに面する側の磁石端面を同一磁極で保持した場合、隣り合う開口部(スリット)間のメタル部分が同一方向に分極するよう磁化される結果、各メタル部分間に斥力が生じ、反発しあうことで、開口部パターンの平行性が崩れてしまうのが原因と考えられる。
【0006】
この現象は、開口部長が長くなるほど、または開口部間隔が狭くなるほど起こりやすくなる。典型的な場合を図1,2を例示する。図1の矩形状の開口部パターンは磁力による影響を受けていない状態である。これに対し、図2の矩形状の開口部パターンは磁力による影響を受けている状態である。図1と図2との比較からわかるように、図1のきれいな矩形状の開口部パターンであっても、磁力により、図2のように開口部パターンの形状が歪んでしまうことがある。図1,2において、斜線を施した部分が開口部1、斜線のない部分がメタル部2である。従って、図2の領域Eでは、蒸着パターンが断線を起こし易くなる。また、領域A〜D,F〜Iでは蒸着パターンの幅が広くなったり、歪んだりしている。
【0007】
この問題を解決する方法として、メタルマスクに面する側の磁石の端面に少なくとも1つのN極とS極の境界が存在する磁石を配置し、金属メタルマスクの隣り合うメタル部分間の斥力と引力とを相殺させて、メタルマスクパターンの平行性を維持する方法や、磁石によりメタルマスクを被蒸着基板に対して所定の吸着力で保持する方法が知られている(例えば特許文献1,2参照。)が、未だ十分信頼性のある技術とはいえない状態にある。
【0008】
【特許文献1】
特公平6−51905号公報(実施例、図1,2,3)
【0009】
【特許文献2】
特開2002−075638号公報(段落番号0023,0024)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、磁力によってメタルマスクを被蒸着基板に密着保持して、被蒸着基板上に蒸着するメタルマスク蒸着方法において、上記問題を解決し、良好なパターニング精度の蒸着パターンを形成することができる新規なメタルマスク蒸着技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の態様1は、メタルマスク、被蒸着基板、磁石をこの順に重ね、磁石の磁力により、メタルマスクと被蒸着基板とを密着させた状態で被蒸着基板に蒸着を行うマスク蒸着法において、メタルマスクとして、矩形状の開口部パターンを有するメタルマスクを使用し、磁石として、長辺同士が向かい合う帯状のN極とS極との組が、N極とS極とが並ぶ方向について、10mm当たり2個以上ある磁石を使用し、帯状のN極とS極との組の長辺方向を、メタルマスクの矩形状の開口部パターンの長手方向と交差するように配するメタルマスク蒸着方法を提供する。
【0012】
本発明の態様2は、メタルマスク、被蒸着基板、磁石をこの順に重ね、磁石の磁力により、メタルマスクと被蒸着基板とを密着させた状態で被蒸着基板に蒸着を行うマスク蒸着法において、メタルマスクとして、開口部長さA、開口部幅B、開口部間隔Cについて、
A≧15mm、
(B+C)≦1000μm、
−250μm≦(B−C)≦+500μm
の関係を満足する矩形状の開口部パターンを有するメタルマスクを使用し、磁石として、長辺同士が向かい合う帯状のN極とS極との組が、N極とS極とが並ぶ方向について、10mm当たり2個以上ある磁石を使用し、帯状のN極とS極との組の長辺方向を、メタルマスクの矩形状の開口部パターンの長手方向と交差するように配するメタルマスク蒸着方法を提供する。
【0013】
本発明の態様3は、メタルマスク、被蒸着基板、磁石をこの順に重ね、磁石の磁力により、メタルマスクと被蒸着基板とを密着させた状態で被蒸着基板に蒸着を行うマスク蒸着法において、メタルマスクとして、矩形状の開口部パターンを有するメタルマスクを使用し、磁石として、長辺同士が向かい合う帯状のN極とS極との組が、N極とS極とが並ぶ方向について、10mm当たり2個以上ある磁石を使用し、帯状のN極とS極との組の長辺方向を、メタルマスクの矩形状の開口部パターンの長手方向と交差するように配し、有機エレクトロルミネッセンス表示素子の電極配線パターンと有機エレクトロルミネッセンス層を構成する層パターンとの群から選ばれた少なくとも一つのパターンを蒸着により作製する、メタルマスク蒸着方法を提供する。
【0014】
本発明の態様4は、前記交差の角度が75〜90゜の間にある、上記態様1,2または3に記載のメタルマスク蒸着方法を提供する。
【0015】
本発明の態様5は、
長さX、幅Y、間隔Zが、
X≧15mm、
(Y+Z)≦750μm、
+200μm≦(Y−Z)≦+500μm
の関係を満足する蒸着配線パターンを提供する。
【0016】
本発明の態様6は、陽極、有機エレクトロルミネッセンス層および陰極を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示素子において、電極配線パターンと有機エレクトロルミネッセンス層を構成する層パターンとの群から選ばれた少なくとも一つのパターンを、上記態様1,2,3または4に記載のメタルマスク蒸着方法で作製した有機エレクトロルミネッセンス表示素子を提供する。
【0017】
本発明の態様7は、陽極、有機エレクトロルミネッセンス層および陰極を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示素子において、上記態様5に記載の蒸着配線パターンを電極配線パターンとして使用した有機エレクトロルミネッセンス表示素子を提供する。
【0018】
本発明の態様8は、陽極、有機エレクトロルミネッセンス層および陰極を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示素子において、電極配線パターンと有機エレクトロルミネッセンス層を構成する層パターンとの群から選ばれた少なくとも一つのパターンの線幅のバラツキが平均線幅±5%以内にある有機エレクトロルミネッセンス表示素子を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0020】
本発明は、メタルマスク、被蒸着基板、磁石をこの順に重ね、磁石の磁力により、メタルマスクと被蒸着基板とを密着させた状態で被蒸着基板に蒸着を行う場合に、メタルマスクとして、長辺の長い矩形状の開口部パターンを有するメタルマスクを使用する場合に適用される。
【0021】
本発明に係る磁石としては、永久磁石、電磁石のいずれであってもよく、異方性多極または等方性多極のいずれの着磁形態を有していてもよい。
【0022】
磁石の大きさとしては、少なくともメタルマスクパターンを覆うことのできるものが好ましい。磁石の吸着力としては、積層蒸着時に起こり得る膜ダメージの点からも被蒸着基板を介して、メタルマスクが吸着できるだけの吸着力があればよい。また、吸着力が強すぎるとメタルマスクと被蒸着基板との位置合わせの時に膜ダメージが発生してしまう恐れがあるので、メタルマスクと被蒸着基板との位置合わせ後に磁石を配置する形式をとってもよい。また、被蒸着基板と磁石との間に、通磁性であり剛性の高い中間基板を配することで、被蒸着基板のたわみを防止したり、メタルマスクと被蒸着基板との吸着力を調整したりしてもよい。
【0023】
本発明に係る磁石は、長辺同士が向かい合う帯状のN極とS極とを有し、N極とS極との組が、N極とS極とが並ぶ方向について、10mm当たり2個以上ある磁石(以下、本明細書では多極磁石と呼称する場合がある。)である。具体的には、図3のように長辺の長い矩形状のN極3とS極4とを上下に有する直方体状の磁石を、図4のように交互に並べたものを例示することができる。図4には、長辺同士が向かい合う帯状のN極とS極との組5が四つ示されている。また、図3の直方体状の磁石を横倒しした図5の状態で並べたものを例示することもできる。この場合には、長辺同士が向かい合う帯状のN極とS極とは図4のように平面状に並ぶのではなく、この平面に垂直な方向に並ぶことになる。直方体状の磁石同士は直接接触していてもよく、間に隙間があっても、他の物質が介在していてもよい。本発明に係る磁石にはこのような場合も含められる。なお、磁石を並べるのではなく、金属体を直接磁化して、上記の磁石の配置と同様の磁化パターンを与えて多極磁石としてもよい。これらの多極磁石は、取り扱いの点から板状であることが好ましい。
【0024】
なお、N極とS極とについて「帯状」というのは典型的には長方形のことを意味する。しかしながら磁極の形状は明確に示すことが困難である一方、N極とS極とは長方形に形状から変形していても本発明の目的に適い得る。たとえば鉄粉を上に散布した場合に楕円形が描かれる場合でも本発明の目的に適する。本発明において、帯状のN極とS極とは、このような意味を有する。この場合、N極とS極との長辺方向とは、上記のように鉄粉を散布したときの形状に外接する長方形についての長辺を意味する。図3のような直方体の磁石を使用する場合には、鉄粉を散布することなく、符号Lが長辺に該当すると考えれば十分である。N極とS極との組の長辺方向についても同様に考えることができる。
【0025】
メタルマスクの材質としては、通常、ステンレス鋼(SUS材)、42合金(42質量%Ni−Fe合金)、36Aインバー(36質量%Ni−Fe合金)などの磁性材料が用いられるが、磁石により吸着可能であれば、これらに限定されるものではない。
【0026】
メタルマスクの板厚は、蒸着陰発生防止の観点から、できるだけ薄い方が好ましいが、薄いと強度が不足し、たわみやすくなるため、通常30〜100μm程度の範囲で設定することが好ましい。
【0027】
被蒸着基板としては、特に制限はなく、目的に応じて、ガラス、金属、セラミックス等の無機物や、プラスチック等の有機物、それらの複合体を使用できる。被蒸着基板のサイズについても特に限定されないが、小さい方では100×100mmから大きい方では500×500mm以上のサイズでも使用可能である。
【0028】
また、被蒸着基板に蒸着される材料についても、蒸着できるものであれば特に制限はなく、無機物、有機物に拘わらず、導電性物質、絶縁性物質等各種の材料を使用できる。CVD、PVD等どのような蒸着方法を使用してもよい。
【0029】
磁石について、N極とS極との組が、N極とS極とが並ぶ方向について、10mm当たり2個以上ある多極磁石を使用し、帯状のN極とS極との組の長辺方向を、メタルマスクの矩形状の開口部パターンの長手方向と交差するように配することが好ましい。このようにすると、メタルマスクの隣り合う開口部間のメタル部分が同一方向に分極するよう磁化されることが少なくなり、その結果、メタルマスクの開口部パターンの形状の歪みを防止できるようになるからである。
【0030】
なお、この矩形状の開口部パターンを有するメタルマスクには、その端部が他の形状を有しているものも含まれる。たとえば端部が丸みを帯びている開口部パターンを例示できる。
【0031】
N極とS極との組は、N極とS極とが並ぶ方向について、10mm当たり4個以上あることがより好ましい場合が多い。また、交差の角度は75〜90゜の間にあることが好ましく、85〜90゜であることがより好ましい。実質的に90°であることが更に好ましい。図6には、交差の角度が90゜である例を示している。簡略化のため、板状の磁石は面として示してある。図6において、多極磁石6の帯状のN極3とS極4との組5の長辺方向VVは、メタルマスク7の矩形状の開口部パターン8の長手方向LLと90゜で交差している。なお、直交する場合が90°、平行する場合が0(ゼロ)°である。
【0032】
矩形状の開口部パターンの寸法については、開口部長さA、開口部幅B、開口部間隔Cについて、
A≧15mm、
(B+C)≦1000μm、
−250μm≦(B−C)≦+500μm
の関係を満足することが好ましい。このような長尺の開口部パターンを有するメタルマスクを使用して蒸着する場合に、一般的には開口部パターンの平行性が崩れ易いが、本発明によれば、精度の高い平行性が確保できるからである。図6には、開口部長さA、開口部幅B、開口部間隔Cも示してある。(B−C)の値は、C>Bの場合にはマイナスになり、B>Cの場合にはプラスになる。
【0033】
蒸着で得られる配線パターンとしては、本発明に係るメタルマスク蒸着方法に制限されることなく、長さX、幅Y、間隔Zが、
X≧15mm、
(Y+Z)≦750μm、
+200μm≦(Y−Z)≦+500μm
の関係を満足することが好ましい。たとえば有機EL表示素子の蒸着電極配線パターンとして使用すると、絶縁膜や隔壁等の電極分離層が不要になるため、製造工程を簡略化できるからである。図7には、有機EL表示素子の蒸着陰極配線パターン9の長さX、幅Y、間隔Zが示されている。番号10は有機EL層パターンを、番号11は陽極配線パターンを示している。+250μm≦(Y−Z)≦+500μmがより好ましい。なお、蒸着配線パターンを本発明に係るメタルマスク蒸着方法により作製すれば、パターニング精度にすぐれた長尺のパターンとなり、さらに好ましい。(Y−Z)の値は、Z>Yの場合にはマイナスになり、Y>Zの場合にはプラスになる。
【0034】
本発明に係るメタルマスク蒸着方法で得られる蒸着パターンを詳細に検討した結果、線幅のバラツキを平均線幅±5%以内に収めることができ、この優れた蒸着パターンの幅の均一性により、有機EL表示素子の画素サイズのバラツキの減少や輝度のバラツキの減少に寄与できることが判明した。線幅のバラツキを平均線幅±3%以内に収めるとより効果が大きい。
【0035】
平均線幅と線幅のバラツキとは、次のようにして求めたものである。すなわち、メタルマスクの開口部に対応する蒸着パターンの長尺状部分の1本1本について、長手方向の任意の1mmの両端部およびその中間点の合計3点で線幅を測定する。このようにすると、長尺状部分の本数をnとした場合、3×nの数の測定値が得られる。この3×nの数の測定値の平均値を平均線幅とする。「線幅のバラツキを平均線幅±5%以内に収める」とは、3×nの数の測定値のいずれもがこの平均線幅の±5%以内に入ることを意味する。
【0036】
このように、本発明に係るメタルマスク蒸着方法で得られる蒸着パターンは、長尺でパターニング精度にすぐれたものとなる。また微細なパターニングが得られる。このような蒸着パターンは、有機EL表示素子のパターンに特に有用である。具体的には、有機EL表示素子の電極配線パターンと有機EL層を構成する層パターンとして使用することができる。ここで、有機EL層は、界面層,正孔輸送層,発光層,電子注入層等を構成要素とすることが多い。また、これとは異なる層構成を有する場合もあり得る。上記でいう「有機EL層を構成する層」とはこのような各種の層を意味する。本発明に係るメタルマスク蒸着方法は、この各種の層のどれに適用してもよい。
【0037】
【実施例】
以下に本発明を、実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明する。例1,4,5〜8は実施例、例2,3は比較例である。なお、結果を表1に纏めた。
【0038】
[例1]
図6のように、多極磁石の帯状のN極とS極との組の長辺方向を、長尺のメタルマスクの矩形状の開口部パターンの長手方向と直交するように配し、その間にガラス製被蒸着基板を置き、ガラス製被蒸着基板上にAlを真空蒸着し、配線パターンを成膜した。
【0039】
磁石としては、等方性片面多極着磁のラバー磁石(厚さ1.0mm、縦110mm、横110mmの板状、3mmピッチの着磁、即ち、N極とS極との組の幅が3mm)を使用した。メタルマスクパターンの寸法は、開口部長50mm、開口部幅100μm、開口部間隔250μm、開口部数100本、板厚100μmであり、材質としては36Aインバーを用いた。
【0040】
蒸着後の蒸着配線パターンを顕微鏡で観察した結果、図8の幅Yと間隔Zとは均一で、開口部幅100μm、開口部間隔250μmに正確に対応しており、メタルマスクパターンに対応した良好なパターニング精度のパターンを得ることができた。図8中、格子模様の部分が蒸着配線パターンである。
【0041】
なお、メタルマスクの100本の開口部に対応する蒸着パターンのそれぞれの長尺状部分について、長手方向の任意の1mmの両端部およびその中間点で線幅を測定した。この測定を全ての長尺状部分について一回ずつ実施した。この3×100点の値の平均値は100μmであった。3×100点の全ての値がこの平均線幅の±3%以内に収まっていた。
【0042】
[例2]
蒸着の際に磁石を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、ガラス被蒸着基板上にAlを真空蒸着で成膜した。
【0043】
蒸着後のパターンを顕微鏡で観察した結果、図9に示すように、格子模様の部分で示される蒸着配線パターンの幅Yが平均250μmとなり、大きな回り込みが確認された。また、場所によっては、間隔Zがゼロとなり、短絡が生じる状態となっていた。
【0044】
[例3]
図10のように、帯状のN極とS極との組の長辺方向を、メタルマスクの矩形状の開口部パターンの長手方向とほぼ平行するように配した以外は、実施例1と同様に、ガラス被蒸着基板上にAlを真空蒸着で成膜した。
【0045】
蒸着後のパターンを顕微鏡で観察した結果、場所によっては、隣り合うメタル部分同士が引き合い、結果、図11に示すように、メタルマスクパターンに対応したパターンを得ることができなかった。図11中、格子模様の部分が蒸着部分である。
【0046】
[例4]
開口部長35mm、開口部幅305μm、開口部間隔45μm、開口部数70本、板厚50μmとした以外は、例1と同様にして、配線パターンを成膜した。
【0047】
蒸着後の蒸着配線パターンを顕微鏡で観察した結果、メタルマスクパターンに対応した良好なパターニング精度のパターンを得ることができた。このサイズの配線パターンは有機EL表示素子の電極配線パターンとして有用である。
【0048】
なお、メタルマスクの70本の開口部に対応する蒸着パターンのそれぞれの長尺状部分について、例1と同様にして線幅を測定した。この結果、3×70点の値の平均値は305μmであり、3×70点の全ての値がこの平均線幅の±3%以内に収まっていた。
【0049】
[例5]
開口部長25mm、開口部幅100μm、開口部間隔250μm、開口部数100本、板厚50μmとし、Alに代えて有機EL素子の発光層に使用するトリス(8−キノリノラト)アルミニウムを真空蒸着した以外は、例1と同様にして、蒸着パターンを成膜した。
【0050】
蒸着後の蒸着パターンを顕微鏡で観察した結果、メタルマスクパターンに対応した良好なパターニング精度のパターンを得ることができた。このサイズの蒸着パターンは有機EL表示素子の有機EL層を構成する発光層パターンとして有用である。
【0051】
なお、メタルマスクの100本の開口部に対応する蒸着パターンのそれぞれの長尺状部分について、例1と同様にして線幅を測定した。この結果、3×100点の値の平均値は100μmであり、3×100点の全ての値がこの平均線幅の±3%以内に収まっていた。
【0052】
[例6,7,8]
開口部長、開口部幅、開口部間隔を表1の如く選択した以外は例1と同様にして、配線パターンを成膜した。
【0053】
蒸着後の蒸着配線パターンを顕微鏡で観察した結果、メタルマスクパターンに対応した良好なパターニング精度のパターンを得ることができた。
【0054】
なお、メタルマスクの開口部に対応する蒸着パターンのそれぞれの長尺状部分について、例1と同様にして線幅を測定した。平均値は開口部幅の値と一致し、全ての測定値がこれらの平均線幅の±3%以内に収まっていた。
【0055】
【表1】
Figure 2004146251
【0056】
【発明の効果】
本発明により、良好なパターニング精度の蒸着パターンを形成することができる新規なメタルマスク蒸着方法、良好なパターニング精度の配線パターンおよび、良好なパターニング精度の蒸着パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス表示素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁力による影響を受けていないメタルマスクの開口部パターンを示す模式図。
【図2】磁力による影響を受けているメタルマスクの開口部パターンを示す模式図。
【図3】長辺の長い矩形状のN極とS極とを上下に有する直方体状の磁石を示す斜視図。
【図4】図3の磁石を上下交互にして並べた板状の多極磁石の斜視図。
【図5】図3の磁石を横倒しした状態を示す斜視図。
【図6】例1の時の磁石の磁極パターンとメタルマスクパターンとの相対位置関係を説明する斜視図。
【図7】有機EL表示素子の陰極配線パターンを示す模式図。
【図8】例1の蒸着パターンの顕微鏡観察図。
【図9】例2の蒸着パターンの顕微鏡観察図。
【図10】例3の磁石の磁極パターンとメタルマスクパターンとの相対位置関係を説明する斜視図。
【図11】例3の蒸着パターンの顕微鏡観察図。
【符号の説明】
1  開口部
2  メタル部
3  N極
4  S極
5  N極とS極との組
6  磁石(多極磁石)
7  メタルマスク
8  開口部パターン
9  陰極配線パターン
10 有機EL層パターン
11 陽極配線パターン

Claims (8)

  1. メタルマスク、被蒸着基板、磁石をこの順に重ね、磁石の磁力により、メタルマスクと被蒸着基板とを密着させた状態で被蒸着基板に蒸着を行うマスク蒸着法において、
    メタルマスクとして、矩形状の開口部パターンを有するメタルマスクを使用し、
    磁石として、長辺同士が向かい合う帯状のN極とS極との組が、N極とS極とが並ぶ方向について、10mm当たり2個以上ある磁石を使用し、
    帯状のN極とS極との組の長辺方向を、メタルマスクの矩形状の開口部パターンの長手方向と交差するように配する
    メタルマスク蒸着方法。
  2. メタルマスク、被蒸着基板、磁石をこの順に重ね、磁石の磁力により、メタルマスクと被蒸着基板とを密着させた状態で被蒸着基板に蒸着を行うマスク蒸着法において、
    メタルマスクとして、開口部長さA、開口部幅B、開口部間隔Cについて、
    A≧15mm、
    (B+C)≦1000μm、
    −250μm≦(B−C)≦+500μm
    の関係を満足する矩形状の開口部パターンを有するメタルマスクを使用し、
    磁石として、長辺同士が向かい合う帯状のN極とS極との組が、N極とS極とが並ぶ方向について、10mm当たり2個以上ある磁石を使用し、
    帯状のN極とS極との組の長辺方向を、メタルマスクの矩形状の開口部パターンの長手方向と交差するように配する
    メタルマスク蒸着方法。
  3. メタルマスク、被蒸着基板、磁石をこの順に重ね、磁石の磁力により、メタルマスクと被蒸着基板とを密着させた状態で被蒸着基板に蒸着を行うマスク蒸着法において、
    メタルマスクとして、矩形状の開口部パターンを有するメタルマスクを使用し、
    磁石として、長辺同士が向かい合う帯状のN極とS極との組が、N極とS極とが並ぶ方向について、10mm当たり2個以上ある磁石を使用し、
    帯状のN極とS極との組の長辺方向を、メタルマスクの矩形状の開口部パターンの長手方向と交差するように配し、
    有機エレクトロルミネッセンス表示素子の電極配線パターンと有機エレクトロルミネッセンス層を構成する層パターンとの群から選ばれた少なくとも一つのパターンを蒸着により作製する、
    メタルマスク蒸着方法。
  4. 前記交差の角度が75〜90゜の間にある、請求項1,2または3に記載のメタルマスク蒸着方法。
  5. 長さX、幅Y、間隔Zが、
    X≧15mm、
    (Y+Z)≦750μm、
    +200μm≦(Y−Z)≦+500μm
    の関係を満足する蒸着配線パターン。
  6. 陽極、有機エレクトロルミネッセンス層および陰極を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示素子において、
    電極配線パターンと有機エレクトロルミネッセンス層を構成する層パターンとの群から選ばれた少なくとも一つのパターンを、請求項1,2,3または4に記載のメタルマスク蒸着方法で作製した有機エレクトロルミネッセンス表示素子。
  7. 陽極、有機エレクトロルミネッセンス層および陰極を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示素子において、
    請求項5に記載の蒸着配線パターンを電極配線パターンとして使用した有機エレクトロルミネッセンス表示素子。
  8. 陽極、有機エレクトロルミネッセンス層および陰極を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示素子において、
    電極配線パターンと有機エレクトロルミネッセンス層を構成する層パターンとの群から選ばれた少なくとも一つのパターンの線幅のバラツキが平均線幅±5%以内にある有機エレクトロルミネッセンス表示素子。
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