JP2004145268A - 位相差光学素子及びその製造方法、並びに位相差光学素子を備えた偏光素子及び液晶表示装置 - Google Patents

位相差光学素子及びその製造方法、並びに位相差光学素子を備えた偏光素子及び液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004145268A
JP2004145268A JP2003185406A JP2003185406A JP2004145268A JP 2004145268 A JP2004145268 A JP 2004145268A JP 2003185406 A JP2003185406 A JP 2003185406A JP 2003185406 A JP2003185406 A JP 2003185406A JP 2004145268 A JP2004145268 A JP 2004145268A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
phase difference
retardation layer
layer
optical element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003185406A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiji Kajima
鹿 島 啓 二
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2003185406A priority Critical patent/JP2004145268A/ja
Publication of JP2004145268A publication Critical patent/JP2004145268A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)

Abstract

【課題】液晶セルと偏光板との間に配置した場合でも、表示画像に明暗模様を発生させることがなく、表示品位が低下してしまうことを効果的に抑制することができる、位相差光学素子を提供する。
【解決手段】位相差光学素子10は、プレーナー配向されたコレステリック規則性の分子構造を有する位相差層12を備えている。位相差層12は、分子構造に起因した選択反射光の選択反射波長が、位相差層12に入射する入射光の波長と異なる範囲(選択反射波長が入射光の波長よりも小さくなるか又は大きくなる範囲)に存在するように分子構造の螺旋ピッチが調整されている。また、位相差層12は、厚さ方向に直交するように配置された互いに対向する2つの主たる表面(広い方の表面)12A、12Bのうち、一方の表面12Aの全範囲における液晶分子のダイレクターDaの方向が実質的に一致するとともに、他方の表面12Bの全範囲における液晶分子のダイレクターDbの方向も実質的に一致している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置等に組み込まれて用いられる位相差光学素子に係り、とりわけ、コレステリック規則性の分子構造を有する位相差層を備え、液晶セルから出射された光のうち当該液晶セルの法線から傾斜した方向に出射される光の偏光状態を補償する位相差光学素子及びその製造方法、並びに位相差光学素子を備えた偏光素子及び液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は、従来の一般的な液晶表示装置を示す概略分解斜視図である。
【0003】
図13に示すように、従来の液晶表示装置100は、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル104とを備えている。
【0004】
このうち、偏光板102A、102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル104は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102A、102Bの間に配置されている。
【0005】
ここで、このような液晶表示装置100において、液晶セル104が、負の誘電異方性を有するネマチック液晶が封止されたVA(Vertical Alignment)方式を採用している場合を例に挙げると、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光は、液晶セル104のうち非駆動状態のセルの部分を透過する際に、位相シフトされずに透過し、出射側の偏光板102Bで遮断される。これに対し、液晶セル104のうち駆動状態のセルの部分を透過する際には、直線偏光が位相シフトされ、この位相シフト量に応じた量の光が出射側の偏光板102Bを透過して出射される。これにより、液晶セル104の駆動電圧を各セル毎に適宜制御することにより、出射側の偏光板102B側に所望の画像を表示することができる。なお、液晶表示装置100としては、上述したような光の透過及び遮断の態様をとるものに限らず、液晶セル104のうち非駆動状態のセルの部分から出射された光が出射側の偏光板102Bを透過して出射される一方で、駆動状態のセルの部分から出射された光が出射側の偏光板102Bで遮断されるように構成された液晶表示装置も存在している。
【0006】
ところで、上述したようなVA方式の液晶セル104のうち非駆動状態のセルの部分を直線偏光が透過する場合を考えると、液晶セル104は複屈折性を有しており、厚さ方向の屈折率と面方向の屈折率とが異なるので、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光のうち液晶セル104の法線に沿って入射した光は位相シフトされずに透過するものの、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光のうち液晶セル104の法線から傾斜した方向に入射した光は液晶セル104を透過する際に位相差が生じて楕円偏光となる。この現象は、VA方式の液晶セル104内のあるセルが非駆動状態であるときに、液晶セル104内で垂直方向に配向した液晶分子が、正のCプレートとして作用することに起因したものである。なお、液晶セル104を透過する光(透過光)に対して生じる位相差の大きさは、液晶セル104内に封入された液晶分子の複屈折値や、液晶セル104の厚さ、透過光の波長等にも影響される。
【0007】
以上の現象により、液晶セル104内のあるセルが非駆動状態であり、本来的には直線偏光がそのまま透過され、出射側の偏光板102Bで遮断されるべき場合であっても、液晶セル104の法線から傾斜した方向に出射された光の一部が出射側の偏光板102Bから洩れてしまうことになる。
【0008】
このため、上述したような従来の液晶表示装置100においては、正面から観察される画像に比べて、液晶セル104の法線から傾斜した方向から観察される画像の表示品位が悪化しやすいという問題(視角依存性の問題)がある。
【0009】
上述したような従来の液晶表示装置100における視角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されており、その一つとして、例えば特許文献1に記載されているように、コレステリック規則性の分子構造を有する位相差層(複屈折性を示す位相差層)を備えた位相差光学素子を用い、このような位相差光学素子を液晶セルと偏光板との間に配置することにより光学補償を行うようにした液晶表示装置が知られている。
【0010】
ここで、コレステリック規則性の分子構造を有する位相差光学素子では、λ=nav・p(p:液晶分子の螺旋構造における螺旋(ヘリカル)ピッチ、nav:螺旋軸に直交する平面内での平均屈折率)で表される選択反射波長が、例えば特許文献2に記載されているように、透過光の波長よりも小さくなるか又は大きくなるように調整している。
【0011】
上述したような位相差光学素子においては、上述した液晶セルの場合と同様に、位相差層の法線から傾斜した方向に入射する直線偏光は、位相差層を透過する際に位相差が生じて楕円偏光となる。この現象は、コレステリック規則性の分子構造が、負のCプレートとして作用することに起因したものである。なお、位相差層を透過する光(透過光)に対して生じる位相差の大きさは、位相差層内の液晶分子の複屈折値や、位相差層の厚さ、透過光の波長等にも影響される。
【0012】
従って、上述したような位相差光学素子を用いれば、正のCプレートとして作用するVA方式の液晶セルで生じる位相差と、負のCプレートとして作用する位相差光学素子の位相差層で生じる位相差とが相殺するように、位相差光学素子の位相差層を適宜設計することにより、液晶表示装置の視角依存性の問題を大幅に改善することが可能である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような位相差光学素子(コレステリック規則性の分子構造を有する位相差層)を液晶セルと偏光板との間に配置場合には、視角依存性の問題を改善することはできるものの、表示画像に明暗模様が発生して、表示品位を著しく低下させることがあることが判明した。
【0014】
本発明の発明者は、このような現象の原因について実験及びコンピュータシミュレーションを用いて鋭意研究を行った結果、その原因の一つが位相差光学素子の位相差層の表面における液晶分子のダイレクターの方向にあることを突き止めた。
【0015】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、液晶セルと偏光板との間に配置した場合でも、表示画像に明暗模様を発生させることがなく、表示品位が低下してしまうことを効果的に抑制することができる、位相差光学素子及びその製造方法、並びに位相差光学素子を備えた偏光素子及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0016】
【特許文献1】
特開平3−67219号
【特許文献2】
特開平4−322223号
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の特徴に係る位相差光学素子は、プレーナー配向されたコレステリック規則性の分子構造を有する位相差層であって、前記分子構造に起因した選択反射光の選択反射波長が入射光の波長と異なる範囲に存在するように前記分子構造の螺旋ピッチが調整された位相差層を備え、前記位相差層の互いに対向する2つの主たる表面のうち、一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向が実質的に一致するとともに、他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向も実質的に一致していることを特徴とする。
【0018】
本発明の第1の特徴によれば、プレーナー配向されたコレステリック規則性の分子構造を有する位相差層において、分子構造に起因した選択反射光の選択反射波長が入射光の波長と異なる範囲に存在するように前記分子構造の螺旋ピッチを調整し、且つ、位相差層の2つの主たる表面のそれぞれにおいて、液晶分子のダイレクターの方向を実質的に一致させているので、液晶セルと偏光板との間に配置した場合でも、表示画像に明暗模様を発生させることがなく、表示品位が低下してしまうことを効果的に抑制することができる。
【0019】
ここで、本発明の第1の特徴に係る位相差光学素子において、前記位相差層の前記一方の表面及び前記他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向のばらつきの範囲は、±10°以内、好ましく±5°以内、更に好ましくは±1°以内である。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0020】
また、本発明の第1の特徴に係る位相差光学素子において、前記位相差層の前記一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向と前記他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向とが実質的に平行であることが好ましい。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0021】
なおこのとき、前記位相差層の前記一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向(平均方向)と前記他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向(平均方向)とがなす角度が±10°以内、好ましく±5°以内、更に好ましくは±1°以内であることが好ましい。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0022】
更に、本発明の第1の特徴に係る位相差光学素子において、前記位相差層は、前記一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向と前記他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向との間に、実質的に0.5×整数倍のピッチ数の螺旋構造を有することが好ましい。これにより、液晶セルと偏光板との間に配置した場合でも、表示画像に明暗模様を発生させることがなく、表示品位が低下してしまうことを効果的に抑制することができる。
【0023】
なおこのとき、前記位相差層の前記一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向と前記他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向とがなす角度が±10°以内、好ましくは±5°以内、更に好ましくは±1°度以内である。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。なお、前記位相差層の前記螺旋構造は、前記一方の表面及び前記他方の表面に沿った面方向の位置に応じて異なる螺旋ピッチ又はピッチ数を有していてもよい。
【0024】
更に、本発明の第1の特徴に係る位相差光学素子において、前記位相差層は、プレーナー配向されたコレステリック規則性の分子構造を有する層が順次直接積層されることにより構成されており、前記複数の層のうち互いに隣接する2つの層の表面における液晶分子のダイレクターの方向が実質的に平行であることが好ましい。
【0025】
更にまた、本発明の第1の特徴に係る位相差光学素子において、前記位相差層は、カイラルネマチック液晶が3次元架橋された分子構造を有することが好ましい。これにより、コレステリック規則性の分子構造を熱的に安定に保つことができる。
【0026】
本発明の第2の特徴に係る位相差光学素子の製造方法は、コレステリック規則性を有する重合性モノマー分子及び重合性オリゴマー分子のうちの少なくとも一つを含む第1の液晶を、配向規制力の方向が膜上で実質的に同一とされた配向膜上にコーティングし、前記配向膜の表面の配向規制力によって前記第1の液晶を配向させる工程と、配向された前記第1の液晶を3次元架橋して固化させ、選択反射光の選択反射波長が入射光の波長と異なる範囲に存在する第1の位相差層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0027】
本発明の第2の特徴によれば、表示画像に明暗模様を発生させることがなく、且つ、表示品位が低下してしまうことを効果的に抑制することができる位相差光学素子を製造することができる。
【0028】
ここで、本発明の第2の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面上にコーティングされる前記第1の液晶の厚さを調整することが好ましい。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0029】
また、本発明の第2の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面上にコーティングされた前記第1の液晶のうち前記配向膜の表面から離間している側の表面に他の配向膜を当接させることが好ましい。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0030】
更に、本発明の第2の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層上に、コレステリック規則性を有する他の重合性モノマー分子及び重合性オリゴマー分子のうちの少なくとも一つを含む第2の液晶を直接コーティングし、前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって前記第2の液晶を配向させる工程と、配向された前記第2の液晶を3次元架橋して固化させ、選択反射光の選択反射波長が入射光の波長と異なる範囲に存在する第2の位相差層を形成する工程とを更に含むことが好ましい。これにより、表示画像に明暗模様を発生させることがなく、且つ、表示品位が低下してしまうことを効果的に抑制することができる、複数の位相差層が積層された位相差光学素子を、第1の位相差層と第2の位相差層との間に配向膜を別途設けることなく簡易に製造することができる。
【0031】
ここで、本発明の第2の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層を形成する工程及び前記第2の位相差層を形成する工程のうちの少なくとも一方の工程において、前記第1の位相差層又は前記第2の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面上にコーティングされる前記第1の液晶又は前記第2の液晶の厚さをそれぞれ調整することが好ましい。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0032】
また、本発明の第2の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層を形成する工程及び前記第2の位相差層を形成する工程のうちの少なくとも一方の工程において、前記第1の位相差層又は前記第2の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面上にコーティングされた前記第1の液晶又は前記第2の液晶のうち前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面から離間している側の表面に他の配向膜を当接させることが好ましい。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0033】
更に、本発明の第2の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層及び前記第2の位相差層を形成するためにコーティングされる前記第1の液晶及び前記第2の液晶がいずれも、入射光の波長よりも小さくなる範囲に存在する選択反射波長を有するか、又は、前記第1の液晶及び前記第2の液晶がいずれも、入射光の波長よりも大きくなる範囲に存在する選択反射波長を有することが好ましい。これにより、前記第1の液晶及び前記第2の液晶により形成される第1の位相差層と第2の位相差層との間での物質移動を抑制することができ、より均一な位相差層の積層体としての位相差光学素子を製造することができ、また、コレステリック規則性の分子構造に起因した旋光作用をより効果的に抑制することができる。
【0034】
更にまた、本発明の第2の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層及び前記第2の位相差層を形成するためにコーティングされる前記第1の液晶及び前記第2の液晶が実質的に同一成分であることが好ましい。これにより、第1の液晶及び第2の液晶により形成される第1の位相差層と第2の位相差層との間での物質移動を殆どなくすことができ、更に均一な位相差層の積層体としての位相差光学素子を製造することができる。
【0035】
本発明の第3の特徴に係る位相差光学素子の製造方法は、コレステリック規則性を有する液晶ポリマーを含む第1の液晶を、配向規制力の方向が膜上で実質的に同一とされた配向膜上にコーティングし、前記配向膜の表面の配向規制力によって前記第1の液晶を配向させる工程と、配向された前記第1の液晶を冷却してガラス状態に固化させ、選択反射光の選択反射波長が入射光の波長と異なる範囲に存在する第1の位相差層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0036】
本発明の第3の特徴によれば、表示画像に明暗模様を発生させることがなく、且つ、表示品位が低下してしまうことを効果的に抑制することができる位相差光学素子を製造することができる。
【0037】
ここで、本発明の第3の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面上にコーティングされる前記第1の液晶の厚さを調整することが好ましい。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0038】
また、本発明の第3の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面上にコーティングされた前記第1の液晶のうち前記配向膜の表面から離間している側の表面に他の配向膜を当接させることが好ましい。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0039】
更に、本発明の第3の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層上に、コレステリック規則性を有する他の液晶ポリマーを含む第2の液晶を直接コーティングし、前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって前記第2の液晶を配向させる工程と、配向された前記第2の液晶を冷却してガラス状態に固化させ、選択反射光の選択反射波長が入射光の波長と異なる範囲に存在する第2の位相差層を形成する工程とを更に含むことを特徴とする。これにより、表示画像に明暗模様を発生させることがなく、且つ、表示品位が低下してしまうことを効果的に抑制することができる、複数の位相差層が積層された位相差光学素子を、第1の位相差層と第2の位相差層との間に配向膜を別途設けることなく簡易に製造することができる。
【0040】
ここで、本発明の第3の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層を形成する工程及び前記第2の位相差層を形成する工程のうちの少なくとも一方の工程において、前記第1の位相差層又は前記第2の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面上にコーティングされる前記第1の液晶又は前記第2の液晶の厚さをそれぞれ調整することが好ましい。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0041】
また、本発明の第3の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層を形成する工程及び前記第2の位相差層を形成する工程のうちの少なくとも一方の工程において、前記第1の位相差層又は前記第2の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面上にコーティングされた前記第1の液晶又は前記第2の液晶のうち前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面から離間している側の表面に他の配向膜を当接させることが好ましい。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制して、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0042】
更に、本発明の第3の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層及び前記第2の位相差層を形成するためにコーティングされる前記第1の液晶及び前記第2の液晶がいずれも、入射光の波長よりも小さくなる範囲に存在する選択反射波長を有するか、又は、前記第1の液晶及び前記第2の液晶がいずれも、入射光の波長よりも大きくなる範囲に存在する選択反射波長を有することが好ましい。これにより、第1の液晶及び第2の液晶により形成される第1の位相差層と第2の位相差層との間での物質移動を抑制することができ、より均一な位相差層の積層体としての位相差光学素子を製造することができ、また、コレステリック規則性の分子構造に起因した旋光作用をより効果的に抑制することができる。
【0043】
更にまた、本発明の第3の特徴に係る位相差光学素子の製造方法においては、前記第1の位相差層及び前記第2の位相差層を形成するためにコーティングされる前記第1の液晶及び前記第2の液晶が実質的に同一成分であることが好ましい。これにより、第1の液晶及び第2の液晶により形成される第1の位相差層と第2の位相差層との間での物質移動を殆どなくすことができ、更に均一な位相差層の積層体としての位相差光学素子を製造することができる。
【0044】
本発明の第4の特徴に係る偏光素子は、偏光層と、この偏光層の表面に配置された、上述した本発明の第1の特徴に係る位相差光学素子とを備えたこと特徴とする。
【0045】
本発明の第4の特徴によれば、位相差光学素子の少なくとも片面に偏光層を貼合等させているので、位相差光学素子の表面での反射が極端に少なくなり、明暗模様の発生を効果的に抑制するとともにコントラストを向上させることができ、表示品位の低下を効果的に抑制することができる。
【0046】
ここで、本発明の第4の特徴に係る偏光素子においては、前記位相差光学素子の一方の表面及び他方の表面のうちのいずれかの表面における液晶分子のダイレクターの方向が、偏光層の吸収軸と実質的に平行又は直角の関係にあることが好ましい。これにより、明暗模様の発生をより効果的に抑制するとともにコントラストを向上させることができ、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0047】
本発明の第5の特徴に係る液晶表示装置は、液晶セルと、前記液晶セルを挟むように配置された一対の偏光板と、前記液晶セルと前記一対の偏光板の少なくとも一方との間に配置された、上述した本発明の第1の特徴に係る位相差光学素子とを備え、前記位相差光学素子は、前記液晶セルから出射された所定の偏光状態の光のうち当該液晶セルの法線から傾斜した方向に出射される光の偏光状態を補償することを特徴とする。
【0048】
本発明の第5の特徴によれば、液晶表示装置の液晶セルと偏光板との間に位相差光学素子を配置し、液晶セルから出射された光のうち当該液晶セルの法線から傾斜した方向に出射される光の偏光状態を補償するので、液晶表示装置における明暗模様の発生を抑制するとともにコントラストを向上させることができ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0049】
ここで、本発明の第5の特徴に係る液晶表示装置においては、前記位相差光学素子の一方の表面及び他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向が、前記各偏光板の吸収軸と実質的に平行又は直角の関係にあることが好ましい。これにより、液晶表示装置における明暗模様の発生をより効果的に抑制するとともにコントラストを向上させることができ、表示品位の低下を更に抑制することができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0051】
まず、図1により、本実施の形態に係る位相差光学素子について説明する。
【0052】
図1に示されるように、この位相差光学素子10は、プレーナー配向されたコレステリック規則性の分子構造(螺旋構造)を有する位相差層12を備えている。
【0053】
ここで、コレステリック規則性の分子構造を有する位相差層12は、液晶分子の物理的な分子配列(プレーナ配列)に基づいて、一方向の旋光成分(円偏光成分)と、これと逆回りの旋光成分とを分離する旋光選択特性(偏光分離特性)を有している。このような現象は、円偏光二色性として知られ、液晶分子の螺旋構造における旋回方向を適宜選択すると、この旋回方向と同一の旋光方向を有する円偏光成分が選択的に反射される。
【0054】
この場合の最大旋光偏光光散乱(選択反射のピーク)は、次式(1)の波長λ0で生じる。
λ0=nav・p     … (1)
【0055】
ここで、pは液晶分子の螺旋構造における螺旋ピッチ、navは螺旋軸に直交する平面内の平均屈折率である。
【0056】
一方、このときの選択反射光の波長バンド幅Δλは、次式(2)で表される。
Δλ=Δn・p      … (2)
【0057】
ここで、Δnは常光に対する屈折率と異常光に対する屈折率との差として表される複屈折値である。
【0058】
即ち、このようなコレステリック規則性の分子構造を有する位相差層12において、入射した無偏光は、上述したような偏光分離特性に従って、選択反射波長λ0を中心とした波長バンド幅△λの範囲の光の右旋又は左旋の円偏光成分の一方が反射され、他方の円偏光成分及び選択反射波長以外の他の波長領域の光(無偏光)が透過される。なお、反射された右旋又は左旋の円偏光成分は、通常の反射とは異なり、旋回方向が反転されることなく反射される。
【0059】
ここで、位相差層12は、分子構造に起因した選択反射光の選択反射波長が、位相差層12に入射する入射光の波長と異なる範囲(選択反射波長が入射光の波長よりも小さくなるか又は大きくなる範囲)に存在するように分子構造の螺旋ピッチが調整されている。
【0060】
なお、選択反射光の選択反射波長が入射光の波長よりも小さくなるか又は大きくなるように調整したのは、コレステリック規則性の分子構造による選択反射によって入射光が反射されてしまうことを防止するためである。従って、位相差層12に入射する入射光が可視光(波長バンド幅:380nm〜780nm)である場合には、コレステリック規則性の分子構造に起因した選択反射光の選択反射波長が380nm以下か又は780nm以上であることが好ましい。これにより、位相差層12に負のCプレートとしての作用を発現させながら、可視光を反射してしまうことによる着色等の問題を防止することができる。なお、選択反射光の選択反射波長が入射光の波長よりも小さい場合には、旋光作用が小さくなるので、より好ましい。
【0061】
また、位相差層12は、図1に示されるように、厚さ方向に直交するように配置された互いに対向する2つの主たる表面(広い方の表面)12A、12Bを有する。
【0062】
これらの2つの主たる表面12A、12Bのうち、一方の表面12Aの全範囲における液晶分子のダイレクターDaの方向が実質的に一致するとともに、他方の表面12Bの全範囲における液晶分子のダイレクターDbの方向も実質的に一致している。なお、位相差層12の一方の表面12A及び他方の表面12Bにおける液晶分子のダイレクターの方向のばらつきの範囲は、±10°以内、好ましく±5°以内、更に好ましくは±1°以内である。
【0063】
なお、ここでいう「実質的に一致する」とは、液晶分子のダイレクターの方向がほぼ180°ずれている場合、即ち液晶分子の頭及び尻が同一の方向にある場合も含むものである。これは、多くの場合、液晶分子の頭と尻とを光学的に区別することができないからである。なお、この関係は、後述する場合(位相差層12の表面12A、12Bにおける液晶分子のダイレクターDa、Dbの方向が実質的に平行である場合)も同様である。
【0064】
ここで、位相差層12の表面12A、12Bにおいて、液晶分子のダイレクターDa、Dbの方向が実質的に一致しているか否かは、位相差層12の断面を透過型電子顕微鏡で観察することによって判別することができる。詳細には、透過型電子顕微鏡により、コレステリック規則性の分子構造のまま固化された位相差層12の断面を観察すると、コレステリック規則性の分子構造特有の、分子螺旋のピッチに相当する明暗模様が観察される。従って、このとき、各表面12A、12Bにおいて、面に沿って明暗の濃度がばらつきがなくほぼ同程度に見えれば、この面内の液晶分子のダイレクターの方向が実質的に一致しているものと判断することができる。
【0065】
なお、「液晶分子」という用語は、一般的には液体の流動性と結晶の異方性とを兼ね備えた分子という意味で用いられるが、本明細書においては、流動性を有する状態で有していた異方性を保持しつつ固化された分子についても便宜上、「液晶分子」という用語を用いることとする。分子が流動性を有する状態で有していた異方性を保持しつつ固化させる方法としては、例えば、重合可能な基を有する液晶性分子(重合性モノマー分子又は重合性オリゴマー分子)を架橋させる方法や、高分子液晶(液晶ポリマー)をガラス転移温度以下に冷却する方法等がある。
【0066】
ここで、上述したようなコレステリック規則性の分子構造を有する位相差層12は、異方性、即ち複屈折性を有しており、厚さ方向の屈折率と面方向の屈折率とが異なるので、負のCプレートとして作用する。
【0067】
即ち、3次元直交座標系で、位相差層12の面方向の屈折率をNx、Ny、厚さ方向の屈折率をNzとすると、Nz<Nx=Nyの関係となっている。このため、位相差層12に直線偏光が入射する場合には、位相差層12の法線12Cの方向に入射した直線偏光は位相シフトされずに透過されるものの、位相差層12の法線12Cから傾斜した方向に入射した直線偏光は位相差層12を透過する際に位相差が生じて楕円偏光となる。なお逆に、位相差層12の法線12Cから傾斜した方向に楕円偏光が入射した場合には、入射した楕円偏光を直線偏光にすることも可能である。
【0068】
なお、上述した実施の形態に係る位相差光学素子10の位相差層12においては、主たる表面12A、12Bの全範囲における液晶分子のダイレクターDa、Dbの方向が実質的に一致しているが、位相差層12が面内で複数の領域に分けられているような場合には、各領域単位で、主たる表面12A、12Bにおける液晶分子のダイレクターDa、Dbの方向が実質的に一致していればよい。
【0069】
次に、図2により、本実施の形態に係る位相差光学素子の変形例について説明する。
【0070】
図2に示されるように、この位相差光学素子20は、プレーナー配向されたコレステリック規則性の分子構造(螺旋構造)を有する位相差層22を備えている。
【0071】
ここで、位相差層12は、図2に示されるように、厚さ方向に直交するように配置された互いに対向する2つの主たる表面(広い方の表面)12A、12Bを有する。
【0072】
これらの2つの主たる表面22A、22Bのうち、一方の表面22Aの全範囲における液晶分子のダイレクターDaの方向が実質的に一致するとともに、他方の表面22Bの全範囲における液晶分子のダイレクターDbの方向も実質的に一致している。なお、位相差層22の一方の表面22A及び他方の表面22Bにおける液晶分子のダイレクターの方向のばらつきの範囲は、±10°以内、好ましく±5°以内、更に好ましくは±1°以内である。
【0073】
また、一方の表面22Aにおける液晶分子のダイレクターDaの方向と他方の表面22Bにおける液晶分子のダイレクターDbの方向とは実質的に平行であることが好ましい。なお、位相差層22の一方の表面22Aにおける液晶分子のダイレクターの方向(平均方向)と他方の表面22Bにおける液晶分子のダイレクターの方向(平均方向)とがなす角度は、±10°以内、好ましく±5°以内、更に好ましくは±1°以内である。
【0074】
なお、位相差光学素子20の位相差層22におけるその他の構成は、上述した位相差光学素子10の位相差層12の構成と基本的に同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0075】
ここで、このような位相差光学素子20では、互いに対向する2つの表面22A、22Bにおける液晶分子のダイレクターDa、Dbの方向を正確に一致させるため、位相差層22の厚さを、液晶分子の螺旋構造における螺旋ピッチpの0.5×整数倍とすることが好ましい。このようにすることにより、例えば図3(A)(B)(C)に模式的に示されるように、光学的に、液晶分子のコレステリック規則性上の螺旋ピッチpの半分の距離で厚さが割り切れることとなり、単純化された理論式である上式(1)からの光学的なズレ、特に螺旋軸に沿って入射する入射光に対する位相シフト差による偏光状態の乱れが抑制される。
【0076】
なおこの場合においても、位相差層22の一方の表面22Aにおける液晶分子のダイレクターの方向と他方の表面22Bにおける液晶分子のダイレクターDbの方向とがなす角度は、±10°以内、好ましくは±5°以内、更に好ましくは±1°度以内である。
【0077】
なお、上述した実施の形態に係る位相差光学素子20の位相差層22においては、主たる表面22A、22Bの全範囲における液晶分子のダイレクターDa、Dbの方向が実質的に一致し、且つ、主たる表面22A、22Bの全範囲において、一方の表面22Aにおける液晶分子のダイレクターDaの方向と他方の表面22Bにおける液晶分子のダイレクターDbの方向とが実質的に平行となっているが、位相差層22が面内で複数の領域に分けられているような場合には、各領域単位で、主たる表面22A、22Bにおける液晶分子のダイレクターDa、Dbの方向が実質的に一致し、且つ、一方の表面22Aにおける液晶分子のダイレクターDaの方向と他方の表面22Bにおける液晶分子のダイレクターDbの方向とが実質的に平行となっていればよい。
【0078】
ここで、位相差光学素子10、20の位相差層12、22の材料としては、3次元架橋可能な液晶性モノマー又は液晶性オリゴマー(重合性モノマー分子又は重合性オリゴマー分子)を用いることができる他、冷却によりガラス状態に固化することが可能な高分子液晶(液晶ポリマー)を用いることもできる。
【0079】
このうち、位相差層12、22の材料として、3次元架橋可能な重合性モノマー分子を用いる場合は、特開平7−258638号公報や特表平10−508882号公報に開示されているような、液晶性モノマー及びキラル化合物の混合物を用いることができる。また、3次元架橋可能な重合性オリゴマー分子を用いる場合は、特開昭57−165480号公報に開示されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物等が望ましい。なお、「3次元架橋」とは、重合性モノマー分子又は重合性オリゴマー分子を互いに3次元的に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることを意味する。このような状態にすることにより、液晶分子をコレステリック液晶の状態のままで光学的に固定化することができ、光学膜としての取り扱いが容易な、常温で安定したフィルム状の膜とすることができる。
【0080】
ここで、3次元架橋可能な重合性モノマー分子を用いる場合を例に挙げると、ネマチック液晶相を呈する液晶性モノマーにカイラル剤を添加することによりカイラルネマチック液晶(コレステリック液晶)が得られる。より具体的な例を示すと、例えば一般式(1)〜(11)に示されるような液晶性モノマーを用いることができる。なお、一般式(11)で示される液晶性モノマーの場合には、Xは2〜5(整数)であることが好ましい。
【0081】
【化1】
Figure 2004145268
【0082】
また、カイラル剤としては、例えば一般式(12)〜(14)に示されるようなカイラル剤を用いることが好ましい。なお、一般式(12)、(13)で示されるカイラル剤の場合、Xは2〜12(整数)であることが好ましく、また、一般式(14)で示されるカイラル剤の場合、Xは2〜5(整数)であることが好ましい。なお、一般化式(12)において、Rは水素又はメチル基を示す。
【0083】
【化2】
Figure 2004145268
【0084】
一方、位相差層12、22の材料として、液晶ポリマーを用いる場合には、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、あるいは主鎖及び側鎖の両方の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶、特開平9−133810号公報に開示されているような液晶性高分子、特開平11−293252号公報に開示されているような液晶性高分子等を用いることができる。
【0085】
次に、このような構成からなる本実施の形態に係る位相差光学素子10、20の製造方法について説明する。
【0086】
(第1の製造方法)
まず、図4(A)〜(C)により、位相差層の材料として、重合性モノマー分子又は重合性オリゴマー分子を用いる場合の製造方法について説明する。
【0087】
この場合には、図4(A)に示されるように、ガラス基板又はTAC(三酢酸セルロース)フィルム等の高分子フィルム14上に配向膜16を形成しておき、その上に、図4(B)に示されるように、液晶分子としての重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)18をコーティングし、配向膜16の配向規制力によって配向させる。このとき、コーティングされた重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)18は液晶層を構成している。
【0088】
次に、この配向状態のままで、図4(C)に示されるように、重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)18を、予め添加しておいた光重合開始剤と外部から照射した紫外線とによって重合を開始させるか、又は電子線で直接重合を開始させることにより、3次元架橋(ポリマー化)して固化すれば、上述したような負のCプレートとして作用する一層の位相差層12を備えた位相差光学素子10が製造される。
【0089】
ここでは、配向膜16の配向規制力の方向を配向膜16上の全範囲で実質的に一致させておけば、これと接触する液晶分子のダイレクターDaの方向を、その接触面内で実質的に一致させることができる。
【0090】
この場合、図1に示されるように、配向膜16から離間している側の表面12Bにおける液晶分子のダイレクターDbを、表面12Bの全範囲において実質的に一致させるためには、位相差層12の膜厚を均一にするとよい。また、図5(A)〜(D)に示されるように、図4(A)〜(C)に示される工程のうち、重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)18を配向膜16上にコーティングした後であって、重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)18を3次元架橋する前に、第2の配向膜16Aを、コーティングした重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)18上に重ね(図5(C))、図4(C)におけると同様に、紫外線又は電子線の照射により配向膜16と第2の配向膜16Aとの間で重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)18を3次元架橋するようにしてもよい(図5(D))。なお、第2の配向膜16Aは、紫外線又は電子線の照射の後工程で位相差層12から剥離してもよい。
【0091】
ここで、重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)18は、コーティングし易いように粘度を低下させるため、溶媒に溶かしてコーティング液としてもよく、この場合には、紫外線や電子線の照射により3次元架橋する前に溶媒を蒸発させるための乾燥工程が必要となる。好ましくは、コーティング液をコーティングするコーティング工程を行った後、溶媒を蒸発させる乾燥工程を行い、次いで、液晶を配向させる配向工程を行うようにするとよい。
【0092】
また、重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)18を所定の温度で液晶層にした場合には、これがネマチック状態になるが、ここに任意のカイラル剤を添加すれば、カイラルネマチック液晶相(コレステリック液晶相)となる。具体的には例えば、重合性モノマー分子又は重合性オリゴマー分子に、カイラル剤を数%〜10%程度入れるとよい。なお、カイラル剤の種類を変えてカイラルパワーを変えるか、あるいは、カイラル剤の濃度を変化させることにより、重合性モノマー分子又は重合性オリゴマー分子の分子構造に起因する選択反射波長を制御することができる。
【0093】
なお、配向膜16及び/又は第2の配向膜16Aは、従来から知られている方法で作製することができる。例えば、上述したようなガラス基板又はTACフィルム等の高分子フィルム14上にPI(ポリイミド)又はPVA(ポリビニルアルコール)を成膜してラビングする方法や、ガラス基板又はTACフィルム等の高分子フィルム14上に光配向膜となる高分子化合物を成膜して偏光UV(紫外線)を照射する方法を用いる他、延伸したPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等を用いることもできる。
【0094】
なお、配向膜16が形成される基材としてTACフィルム等の高分子フィルムを用いる場合には、重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)18を溶かしたコーティング液中の溶媒で基材が侵されないように、高分子フィルム上にバリア層を設けて、その上にコーティング液をコーティングするようにするとよい。
【0095】
一方、図2に示されるような位相差光学素子20を製造する場合には、位相差層22の厚さを、液晶分子の螺旋構造における螺旋ピッチpの0.5×整数倍の均一な膜厚とすればよい。この場合には、位相差層22の厚さを調整する方法の他、上述したような第2の配向膜16Aを用い、第2の配向膜16Aの配向規制力の方向が配向膜16の配向規制力の方向と一致させる方法を用いることができる。
【0096】
なお、以上のようにして製造される位相差光学素子10、20において、位相差層12、22の表面12A、12B、22A、22Bにおける液晶分子のダイレクターDb、Dbの方向を、表面12A、12B、22A、22Bの全範囲において実質的に一致させるために、配向膜16だけでなく第2の配向膜16Aを用いる場合には、位相差層12、22の表面12A、12B、22A、22Bにおける液晶分子のダイレクターDa、Dbの方向がそれぞれ、第1の配向膜16及び第2の配向膜16Aで規制されているので、位相差層12、22の膜厚の均一性は、第2の配向膜16Aを用いない場合に比べて均一でなくともよい。即ち、位相差層12、22の表面12A、12B、22A、22Bにおける液晶分子のダイレクターDb、Dbの方向が、表面12A、12B、22A、22Bの全範囲において実質的に一致していれば、位相差層12、22の螺旋構造における螺旋ピッチpは、位相差層12、22の表面12A、12B、22A、22Bに沿った面内で一定とならず、膜厚の変動に応じて変化していてもよい。また、同様に、位相差層12、22の螺旋構造のピッチ数も、表面12A、12B、22A、22Bに沿った面内で一定とならず、膜厚の変動に応じて変化していてもよい。
【0097】
(第2の製造方法)
次に、図6(A)〜(C)により、位相差層の材料として、液晶ポリマーを用いる場合の製造方法について説明する。
【0098】
この場合には、図6(A)に示されるように、上述したのと同様に、ガラス基板又はTACフィルム等の高分子フィルム14上に配向膜16を形成しておく。
【0099】
次に、図6(B)に示されるように、配向膜16上に、コレステリック規則性を有する液晶ポリマー34をコーティングし、配向膜16の配向規制力によって配向させる。このとき、コーティングされた液晶ポリマー34は液晶層を構成している。
【0100】
その後、図6(C)に示されるように、液晶ポリマー34をガラス転移温度(Tg)以下に冷却してガラス状態にすれば、一層の位相差層32を備えた位相差光学素子30が製造される。
【0101】
ここで、液晶ポリマー34は、コーティングし易いように粘度を低下させるため、溶媒に溶かしてコーティング液としてもよく、この場合には、冷却する前に溶媒を蒸発させるための乾燥工程が必要となる。好ましくは、コーティング液をコーティングするコーティング工程を行った後、溶媒を蒸発させる乾燥工程を行い、次いで、液晶を配向させる配向工程を行うようにするとよい。
【0102】
また、配向膜16が形成される基材としてTACフィルム等の高分子フィルムを用いる場合には、液晶ポリマー34を溶かしたコーティング液中の溶媒で基材が侵されないように、高分子フィルムの上にバリア層を設けて、その上に液晶をコーティングするようにするとよい。
【0103】
なお、液晶ポリマー34としては、液晶ポリマーそれ自体にカイラル能を有しているコレステリック液晶ポリマーそのものを用いてもよいし、ネマチック系液晶ポリマーとコレステリック系液晶ポリマーの混合物を用いてもよい。
【0104】
このような液晶ポリマー34は、温度によって状態が変わり、例えばガラス転移温度が90℃、アイソトロピック転移温度が200℃である場合は、90℃〜200℃の間でコレステリック液晶の状態を呈し、これを室温まで冷却すればコレステリック構造を有したままでガラス状態に固化させることができる。
【0105】
なお、液晶ポリマー34のコレステリック規則性の分子構造に起因する、入射光の選択反射波長を調整する方法としては、コレステリック液晶ポリマー分子を用いる場合には、公知の方法で液晶分子中のカイラルパワーを調整すればよい。また、ネマチック系液晶ポリマーとコレステリック系液晶ポリマーの混合物を用いる場合は、その混合比を調整すればよい。
【0106】
ここで、上述した製造方法においても、配向膜16の配向規制力の方向を配向膜16上の全範囲で実質的に一致させておけば、これと接触する位相差層12の一方の表面12Aにおける液晶分子のダイレクターの方向を、その接触面内で実質的に一致させることができる。
【0107】
また、配向膜16から離間している側の表面12Bにおける液晶分子のダイレクターDbを、表面12Bの全範囲において実質的に一致させるためには、位相差層12の膜厚を均一にしたり、液晶ポリマー34のうち第1の配向膜16から離間している側の表面にも図5(C)(D)に示されるような第2の配向膜16Aを設けるようにするとよい。
【0108】
更に、位相差層32における配向膜16と反対側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を配向膜16による配向規制力の方向(即ち、配向膜16と接触する液晶層の表面における液晶分子のダイレクターの方向)と一致させるためには、上述したのと同様に、位相差層32の厚さが、液晶分子の螺旋構造における螺旋ピッチの0.5×整数倍となるように、コーティングされる液晶の厚さを調整するか、図5(C)(D)に示されるような第2の配向膜16Aを用いるようにするとよい。なお、第2の配向膜16Aを用いる場合は、液晶ポリマー34のうち第1の配向膜16から離間している側の表面に、その配向規制の方向が配向膜16の配向規制力の方向と一致するように、第2の配向膜16Aを当接させる。
【0109】
なお、位相差層32の表面32A、32Bにおける液晶分子のダイレクターDb、Dbの方向を、表面32A、32Bの全範囲において実質的に一致させるために、配向膜16だけでなく第2の配向膜16Aを用いる場合には、位相差層32の表面32A、32Bにおける液晶分子のダイレクターDa、Dbの方向がそれぞれ、第1の配向膜16及び第2の配向膜16Aで規制されているので、位相差層32の膜厚の均一性は、第2の配向膜16Aを用いない場合に比べて均一でなくともよい。即ち、位相差層32の表面32A、32Bにおける液晶分子のダイレクターDb、Dbの方向が、表面32A、32Bの全範囲において実質的に一致していれば、位相差層32の螺旋構造における螺旋ピッチpは、位相差層32の表面32A、32Bに沿った面内で一定とならず、膜厚の変動に応じて変化していてもよい。また、同様に、位相差層32の螺旋構造のピッチ数も、表面32A、32Bに沿った面内で一定とならず、膜厚の変動に応じて変化していてもよい。
【0110】
なお、上述した実施の形態に係る位相差光学素子10、20、30はいずれも、一層の位相差層からなる単層構成としたが、本実施の形態はこれに限定されるものでなく、多層構成としてもよい。
【0111】
具体的には、図7(E)に示される位相差光学素子40のように、プレーナー配向されたコレステリック規則性の分子構造を有する複数の位相差層42、44が順次直接積層されていてもよい。なお、このような多層構成の位相差光学素子40においては、各位相差層42、44として、複屈折値や螺旋ピッチ等が異なるものを用いることにより、多様な光学補償を実現することができる。
【0112】
このような多層構成の位相差光学素子40においては、液晶層42、44の最外面に位置する互いに対向する2つの主たる表面はそれぞれ、図1に示されるように、各表面の全範囲において液晶分子のダイレクターの方向が実質的に一致している。また、液晶層42、44の最外面に位置する互いに対向する2つの主たる表面の液晶分子のダイレクターの方向が実質的に平行であることが好ましい。更に、互いに隣接する液晶層42、44の界面近傍における液晶分子のダイレクターの方向は実質的に平行であることが好ましい。
【0113】
以下、多層構成の位相差光学素子の製造方法について説明する。
【0114】
(第1の製造方法)
まず、図7(A)〜(E)により、位相差層の材料として、重合性モノマー分子又は重合性オリゴマー分子を用いる場合の製造方法について説明する。
【0115】
この場合には、図7(A)に示されるように、ガラス基板又はTACフィルム等の高分子フィルム14上に配向膜16を形成しておき、その上に、図7(B)に示されるように、液晶分子としての重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)18をコーティングし、配向膜16の配向規制力によって配向させる。
【0116】
次に、この配向状態のままで、図7(C)に示されるように、上述したのと同様に、光重合開始剤を用いての紫外線の照射又は電子線の単独照射により、重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)18を3次元架橋して固化すれば、第1の位相差層42が形成される。
【0117】
更に、3次元架橋された第1の位相差層42上に、図7(D)に示されるように、別途用意しておいた他の重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)19を直接コーティングし、図8に示されるように、3次元架橋された第1の位相差層42の表面の配向規制力によって配向させ、この状態で、図7(E)に示されるように、上述したのと同様に、光重合開始剤を用いての紫外線の照射又は電子線の単独照射により3次元架橋して固化すれば、第2の位相差層44が形成され、2層構成の位相差光学素子40が製造される。
【0118】
なお、3層以上の多層構成とする場合には、上述したのと同様の工程(図7(D)(E))を繰り返し、必要な数だけ順次位相差層を重ねていく。
【0119】
なお、重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)18、19は、コーティングし易いように粘度を低下させるため、溶媒に溶かしてコーティング液としてもよく、この場合には、紫外線や電子線の照射により3次元架橋する前に溶媒を蒸発させるための乾燥工程が必要となる。好ましくは、コーティング液をコーティングするコーティング工程を行った後、溶媒を蒸発させる乾燥工程を行い、次いで、液晶を配向させる配向工程を行うようにするとよい。
【0120】
ここで、上述した製造方法においても、配向膜16の配向規制力の方向を配向膜16上の全範囲で実質的に一致させておけば、これと接触する液晶分子のダイレクターの方向を、その接触面内で実質的に一致させることができる。
【0121】
また、配向膜16から離間している側の表面における液晶分子のダイレクターを、当該表面の全範囲において実質的に一致させるためには、位相差層42、44の膜厚を均一にしたり、第1の位相差層42を3次元架橋して固化する際に、重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)18のうち第1の配向膜16の表面から離間している側の表面にも、図5(C)(D)に示されるような第2の配向膜16Aを設けるようにするとよい。また、同様に、第1の位相差層44を3次元架橋して固化する際に、重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)19のうち第1の位相差層42の表面から離間している側の表面に第2の配向膜を設けるようにしてもよい。なお、3層以上の多層構成の場合においては、3番目以降の位相差層に対して同様の工程を行うことができる。
【0122】
更に、第1の位相差層42における配向膜16と反対側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を配向膜16による配向規制力の方向(即ち、配向膜16と接触する液晶層の表面における液晶分子のダイレクターの方向)と一致させたり、第2の位相差層44における第1の位相差層42の表面と反対側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を第1の位相差層42の表面による配向規制力の方向と一致させるためには、上述したのと同様に、第1の位相差層42、44の厚さが、液晶分子の螺旋構造における螺旋ピッチの0.5×整数倍となるように、コーティングされる液晶の厚さを調整するか、図5(C)(D)に示されるような第2の配向膜16Aを用いるようにするとよい。なお、第2の配向膜16Aを用いる場合は、第1の位相差層42における配向膜16と反対側の表面、又は第2の位相差層44における第1の位相差層42の表面に第2の配向膜16Aを当接させる。
【0123】
ここで、第1の位相差層42及び第2の位相差層44を形成するためにコーティングされる液晶はいずれも、入射光の波長よりも小さくなる範囲に存在する選択反射波長を有することが好ましい。これにより、コーティングされる液晶により形成される第1の位相差層42と第2の位相差層44との間での物質移動を抑制することができ、より均一な位相差層の積層体としての位相差光学素子40を製造することができ、また、コレステリック規則性の分子構造に起因した旋光作用をより効果的に抑制することができる。なお、場合によっては、第1の位相差層42及び第2の位相差層44を形成するためにコーティングされる液晶がいずれも、入射光の波長よりも大きくなる範囲に存在するようにしてもよい。
【0124】
また、第1の位相差層42及び第2の位相差層44を形成するためにコーティングされる液晶が実質的に同一成分であることが好ましい。これにより、コーティングされる液晶により形成される第1の位相差層42と第2の位相差層44との間での物質移動を殆どなくすことができ、更に均一な位相差層の積層体としての位相差光学素子40を製造することができる。
【0125】
(第2の製造方法)
次に、図9(A)〜(C)により、位相差層の材料として、液晶ポリマーを用いる場合の製造方法について説明する。
【0126】
この場合には、図9(A)に示されるように、上述したのと同様に、ガラス基板又はTACフィルム等の高分子フィルム14上に配向膜16を形成しておく。
【0127】
次に、図9(B)に示されるように、配向膜16上に、コレステリック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングし、配向膜16の配向規制力によって配向させた後、液晶ポリマーをガラス転移温度(Tg)以下に冷却してガラス状態にすることにより、第1の液晶層42′を形成する。
【0128】
その後、図9(C)に示されるように、第1の液晶層42′上に、別途用意しておいたコレステリック規則性を有する他の液晶ポリマーを直接コーティングし、ガラス状態にした第1の液晶層42′の表面の配向規制力によって配向させた後、上述したのと同様に、液晶ポリマーをガラス転移温度(Tg)以下に冷却してガラス状態にすることにより、第2の液晶層44′を備えた2層構成の位相差光学素子40′が製造される。
【0129】
なお、3層以上の多層構成とする場合には、上述したのと同様の工程(図9(C))を繰り返す。
【0130】
ここで、上述した製造方法においても、配向膜16の配向規制力の方向を配向膜16上の全範囲で実質的に一致させておけば、これと接触する液晶分子のダイレクターの方向を、その接触面内で実質的に一致させることができる。
【0131】
また、配向膜16から離間している側の表面における液晶分子のダイレクターを、当該表面の全範囲において実質的に一致させるためには、位相差層42′、44′の膜厚を均一にしたり、第1の位相差層42′を3次元架橋して固化する際に、重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)18のうち第1の配向膜16の表面から離間している側の表面にも、図5(C)(D)に示されるような第2の配向膜16Aを設けるようにするとよい。また、同様に、第1の位相差層44′を3次元架橋して固化する際に、重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)19のうち第1の位相差層42′の表面から離間している側の表面に第2の配向膜を設けるようにしてもよい。なお、3層以上の多層構成の場合においては、3番目以降の位相差層に対して同様の工程を行うことができる。
【0132】
更に、第1の位相差層42′における配向膜16と反対側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を配向膜16による配向規制力の方向(即ち、配向膜16と接触する液晶層の表面における液晶分子のダイレクターの方向)と一致させたり、第2の位相差層44′における第1の位相差層42′の表面と反対側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を第1の位相差層42′の表面による配向規制力の方向と一致させるためには、上述したのと同様に、第1の位相差層42′、44′の厚さが、液晶分子の螺旋構造における螺旋ピッチの0.5×整数倍となるように、コーティングされる液晶の厚さを調整するか、図5(C)(D)に示されるような第2の配向膜16Aを用いるようにするとよい。なお、第2の配向膜16Aを用いる場合は、第1の位相差層42′における配向膜16と反対側の表面、又は第2の位相差層44′における第1の位相差層42′の表面に第2の配向膜16Aを当接させる。
【0133】
次に、図10により、上述した実施の形態に係る位相差光学素子10、20、30、40を備えた偏光素子について説明する。
【0134】
図10に示されているように、偏光素子50は、偏光層51Aと、偏光層51Aの入光側の表面に配置された位相差光学素子10(20、30、40)とを備えている。なお、図10において、位相差光学素子10(20、30、40)と偏光層51Aとは互いに離間して描かれているが、これらは互いに貼り合わされた状態で構成されている。
【0135】
このようにして、位相差光学素子10(20、30、40)に偏光層51Aを貼り合わせるようにすれば、位相差光学素子10(20、30、40)の表面での反射が極端に少なくなり、明暗模様の発生を効果的に抑制すると共にコントラストを向上させることができ、表示品位の低下を効果的に抑制することができる。
【0136】
ここで、位相差光学素子10(20、30、40)の一方の表面(入射側の表面)における液晶分子のダイレクターの方向52、及び他方の表面(出光側の表面)における液晶分子のダイレクターの方向53は、偏光層51Aの吸収軸54と実質的に平行又は直角の関係にあることがことが好ましい。
【0137】
また、上述した実施の形態に係る位相差光学素子10、20、30、40は、例えば、図11に示されるような液晶表示装置60に組み込んで用いることができる。
【0138】
図11に示す液晶表示装置60は、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル104とを備えている。
【0139】
このうち、偏光板102A、102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル104は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102A、102Bの間に配置されている。
【0140】
ここで、位相差光学素子10(20、30、40)の一方の表面(入射側の表面)における液晶分子のダイレクターの方向52は、入射側の偏光板102Aの吸収軸51とは平行の関係にあり、出射側の偏光板102Bの吸収軸54とは直角の関係にあることが好ましい。また、位相差光学素子10(20、30、40)の他方の表面(出射側の表面)における液晶分子のダイレクターの方向53は、入射側の偏光板102Aの吸収軸51とは直交の関係にあり、出射側の偏光板102Bの吸収軸54とは平行の関係にあることが好ましい。
【0141】
ここで、液晶表示装置60において、液晶セル104は、負の誘電異方性を有するネマチック液晶が封止されたVA方式を採用しており、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光は、液晶セル104のうち非駆動状態のセルの部分を透過する際には、位相シフトされずに透過し、出射側の偏光板102Bで遮断される。これに対し、液晶セル104のうち駆動状態のセルの部分を透過する際には、直線偏光が位相シフトされ、この位相シフト量に応じた量の光が出射側の偏光板102Bを透過して出射される。これにより、液晶セル104の駆動電圧を各セル毎に適宜制御することにより、出射側の偏光板102B側に所望の画像を表示することができる。
【0142】
このような構成からなる液晶表示装置60において、液晶セル104と出射側の偏光板102B(液晶セル104から出射された所定の偏光状態の光を選択的に透過させる偏光板)との間に、上述した実施の形態に係る位相差光学素子10(20、30、40)が配置されており、位相差光学素子10(20、30、40)により、液晶セル104から出射された所定の偏光状態の光のうち液晶セル104の法線から傾斜した方向に出射される光の偏光状態を補償することができるようになっている。
【0143】
以上のとおり、上述した構成からなる液晶表示装置60によれば、液晶表示装置60の液晶セル104と出射側の偏光板102Bとの間に、上述した実施の形態に係る位相差光学素子10(20、30、40)を配置し、液晶セル104から出射された光のうち液晶セル104の法線から傾斜した方向に出射される光の偏光状態を補償するので、視角依存性の問題を効果的に改善しながら、液晶表示装置60における明暗模様の発生を抑制するとともにコントラストを向上させることができ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0144】
なお、図11に示す液晶表示装置60は、光が厚さ方向の一方の側から他方の側へ透過する透過型であるが、本実施の形態はこれに限定されるものではなく、上述した実施の形態に係る位相差光学素子10(20、30、40)は反射型の液晶表示装置にも同様に組み込んで用いることができる。
【0145】
また、図11に示す液晶表示装置60では、上述した実施の形態に係る位相差光学素子10(20、30、40)を液晶セル104と出射側の偏光板102Bとの間に配置しているが、光学補償の態様によっては、位相差光学素子10(20、30、40)を液晶セル104と入射側の偏光板102Aとの間に配置してもよい。また、位相差光学素子10(20、30、40)を液晶セル104の両側(液晶セル104と入射側の偏光板102Aとの間、及び液晶セル104と出射側の偏光板102Bとの間)に配置してもよい。なお、液晶セル104と入射側の偏光板102Aとの間、又は液晶セル104と出射側の偏光板102Bとの間に配置される位相差光学素子は一つに限らず、複数配置されていてもよい。
【0146】
【実施例】
次に、上述した実施の形態の実施例について、比較例を参照しながら述べる。
【0147】
(実施例1)
実施例1では、重合性モノマー分子からなる単層の位相差層の膜厚を一定として、液晶分子のダイレクターの方向を一致させた。なお、実施例1では、単層の位相差層をガラス基板上に形成した。
【0148】
両末端に重合可能なアクリレートを有するとともに中央部のメソゲンと前記アクリレートとの間にスペーサーを有する、ネマチック−アイソトロピック転移温度が110℃であるモノマー分子(上記化学式(11)で示されるような分子構造を有するもの)90部と、両末端に重合可能なアクリレートを有するカイラル剤分子(上記化学式(14)で示されるような分子構造を有するもの)10部とを溶解させたトルエン溶液を準備した。なお、前記トルエン溶液には、前記モノマー分子に対して5重量%の光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イルガキュア(登録商標)907)を添加した。(なお、このようにして得られるカイラルネマチック液晶に関しては、配向膜上の配向膜界面側で、±5度の範囲に液晶分子のダイレクターが揃うことを確認している。)
一方、透明なガラス基板上に、溶媒に溶かしたポリイミド(JSR株式会社製、オプトマー(登録商標)AL1254)をスピンコータによりスピンコーティングし、乾燥後、200℃で成膜し(膜厚0.1μm)、一定方向にラビングして配向膜として機能するようにした。
【0149】
そして、このような配向膜付きのガラス基板をスピンコーターにセットし、前記モノマー分子等を溶解させたトルエン溶液をできるだけ膜厚が一定になるような条件でスピンコーティングした。
【0150】
次に、80℃で前記トルエン溶液中のトルエンを蒸発させ、更に、配向膜上に形成された塗膜がコレステリック相を呈することを目視で選択反射により確認した。
【0151】
そして、前記塗膜に紫外線を照射し、塗膜中の光重合開始剤から発生するラジカルによってモノマー分子のアクリレートを3次元架橋してポリマー化し、単層の位相差光学素子を作製した。このときの塗膜の膜厚は2μm±1.5%であった。また、分光光度計で測定したところ、塗膜の選択反射波長の中心波長は280nmであった。
【0152】
また、このようにして作製した位相差光学素子を、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、KOBRA(商標登録)21ADH)を用いて測定したところ、面方向での位相差は数nmで測定装置の誤差範囲内となり、厚さ方向の位相差は約100nmとなり、負のCプレートとして作用していることが確認できた。
【0153】
更に、図12に示されているように、直線偏光板70A、70Bをクロスニコル状態にして、その間に、作製した位相差光学素子10を挟んで目視で観察したところ、面内に観察される明暗模様は極僅かだった。
【0154】
(実施例2)
実施例2では、重合性モノマー分子からなる単層の位相差層を高分子フィルム上に形成した。即ち、濃度が2重量%となるように純水に溶かしたPVA溶液を、バーコートによって透明なTACフィルム上にコーティングし、乾燥後、100℃で成膜し(膜厚0.2μm)、一定方向にラビングして配向膜として機能するようにした以外は、実施例1と同様にして位相差光学素子を作製した。その結果、このようにして作製された位相差光学素子では、実施例1と同様な結果が得られた。
【0155】
(比較例1)
比較例1では、重合性モノマー分子からなる単層の位相差層の膜厚を不均一にして、液晶分子のダイレクターの方向を乱した。即ち、スピンコーターの条件を変更して膜厚を2μm±5%にした以外は実施例1と同様に作製した位相差光学素子を、同様に観察したところ、面内にははっきりとした明暗模様が観察された。
【0156】
(比較例2)
比較例2では、重合性モノマー分子からなる単層の位相差層が形成される配向膜のラビング方向を不均一にして、液晶分子のダイレクターの方向を乱した。即ち、配向膜のラビング方向を面内で不均一にした以外は実施例1と同様に作製した位相差光学素子を、同様に観察したところ、面内にははっきりとした明暗模様が観察された。
【0157】
(実施例3)
実施例3では、重合性モノマー分子からなる単層の位相差層の膜厚を一定とし、かつ、ピッチを合わせることにより、位相差層の互いに対向する2つの主たる表面における液晶分子のダイレクターの方向を平行にした。即ち、位相差層の膜厚を、用いる材料の屈折率からコレステリック規則性の分子構造の始点と終点のダイレクターの方向が平行になるような膜厚にした以外は実施例1と同様に作製した位相差光学素子を、同様に観察したところ、そうしなかった場合に比較して、面内に観察される明暗模様は明らかに減少した。
【0158】
なお、作製した位相差光学素子20の両側に配置された直線偏光板70A、70B(図12参照)のそれぞれを回転させて、位相差光学素子20におけるコレステリック規則性の分子構造の始点と終点のダイレクターの方向がなす角度を目視で透過光強度で観察したところ、±5度以内に入っていた。
【0159】
(実施例4)
実施例4では、重合性モノマー分子からなる多層の位相差層の膜厚を一定として、液晶分子のダイレクターの方向を一致させた。
【0160】
実施例1で作製した位相差光学素子を第1の位相差層として、その配向膜と反対側の表面に、実施例1と同様に調整したトルエン溶液を、実施例1よりは速い回転数でスピンコーティングした。
【0161】
次に、80℃で前記トルエン溶液中のトルエンを蒸発させ、更に、第1の位相差層上に形成された塗膜がコレステリック相を呈することを目視で選択反射により確認した。
【0162】
そして、前記塗膜に紫外線を照射し、塗膜中の光重合開始剤から発生するラジカルによってモノマー分子のアクリレートを3次元架橋してポリマー化し、第2の位相差層を形成し、多層の位相差光学素子を作製した。このときの総膜厚は3.5μm±1.5%であった。また、分光光度計で測定したところ、多層構成の位相差層の塗膜の選択反射波長の中心波長は280nmだった。
【0163】
作製された複数の位相差層の断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ポリマー化した各位相差層間の明暗模様は互いに平行な状態で(このことから、螺旋軸の方向が一致していることが分かる)、位相差層間には断層が観察されなかった(このことから、近接する位相差層の表面間の、液晶分子のダイレクターの方向が一致していることが分かる)。
【0164】
更に、図12に示されているように、直線偏光板70A、70Bをクロスニコル状態にして、その間に、作製した位相差光学素子40を挟んで目視で観察したところ、面内に観察される明暗模様は極僅かだった。
【0165】
(比較例3)
比較例3では、重合性モノマー分子からなる多層の位相差層の膜厚を不均一にして、液晶分子のダイレクターの方向を乱した。即ち、スピンコーターの条件を変更して総膜厚を3.5μm±5%にした以外は実施例3と同様に作製した位相差光学素子を、同様に観察したところ、面内にははっきりとした明暗模様が観察された。
【0166】
(実施例5)
実施例5では、液晶ポリマーからなる多層の位相差層の膜厚を一定として、液晶分子のダイレクターの方向を一致させた。
【0167】
ガラス転移温度が80℃でアイソトロピック転移温度が200℃であるアクリル系の側鎖型液晶ポリマーを溶解させたトルエン溶液を準備した。(なお、このようにして得られる高分子コレステリック液晶に関しては、配向膜上の配向膜界面側で、±5度の範囲に液晶分子のダイレクターが揃うことを確認している。)
一方、透明なガラス基板上に、溶媒に溶かしたポリイミド(JSR株式会社製、オプトマー(登録商標)AL1254)をスピンコータによりスピンコーティングし、乾燥後、200℃で成膜し(膜厚0、1μm)、一定方向にラビングして配向膜として機能するようにした。
【0168】
そして、このような配向膜付きのガラス基板をスピンコーターにセットし、前記液晶ポリマーを溶解させたトルエン溶液をできるだけ膜厚が一定になるような条件でスピンコーティングした。
【0169】
次に、90℃で前記トルエン溶液中のトルエンを蒸発させ、更に、配向膜上に形成された塗膜を150℃で10分間保持し、前記塗膜がコレステリック相を呈することを目視で選択反射により確認した。更に、前記塗膜を室温まで冷却して液晶ポリマーをガラス状態にして固定化し、第1の位相差層を形成した。このときの膜厚は2μm±1.5%だった。また、分光光度計で測定したところ、第1の位相差層の選択反射波長の中心波長は370nmだった。
【0170】
更に、ガラス状態にして固定化した第1の位相差層上に、ガラス転移温度が75℃で、アイソトロピック転移温度が190℃であるアクリル系の側鎖型液晶ポリマーを溶解させたトルエン溶液を、前回よりは速い回転数でスピンコーティングした。
【0171】
次に、90℃で前記トルエン溶液中のトルエンを蒸発させ、更に、前記塗膜を150℃で10分間保持し、前記塗膜がコレステリック相を呈することを目視で選択反射により確認した。更に、前記塗膜を室温まで冷却して液晶ポリマーをガラス状態にして固定化し、第2の位相差層を形成し、多層の位相差光学素子を作製した。このときの総膜厚は3.5μm±1.5%だった。また、分光光度計で測定したところ、多層構成の位相差層の塗膜の選択反射波長の中心波長は370nmだった。
【0172】
作製された複数の位相差層の断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、固定化した各位相差層間の明暗模様は互いに平行な状態で(このことから、螺旋軸の方向が一致していることが分かる)、位相差層間には断層が観察されなかった(このことから、近接する液晶層の表面間の、液晶分子のダイレクターの方向が一致していることが分かる)。また、分光光度計で測定したところ、透過率に光学的な特異点は観察されなかった。
【0173】
更に、図12に示されているように、直線偏光板70A、70Bをクロスニコル状態にして、その間に、作製した位相差光学素子40を挟んで目視で観察したところ、面内に観察される明暗模様は極僅かだった。
【0174】
(比較例4)
比較例4では、液晶ポリマーからなる多層の液晶層の膜厚を不均一にして、液晶分子のダイレクターの方向を乱した。即ち、スピンコーターの条件を変更して総膜厚を3.5μm±5%にした以外は実施例5と同様に作製した位相差光学素子を、同様に観察したところ、面内にははっきりとした明暗模様が観察された。
【0175】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、液晶セルと偏光板との間に配置した場合でも、表示画像に明暗模様を発生させることがなく、表示品位が低下してしまうことを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る位相差光学素子の一部を拡大して模式的に示す斜視図。
【図2】本発明の一実施の形態に係る位相差光学素子の変形例の一部を拡大して模式的に示す斜視図。
【図3】コレステリック規則性を有する液晶分子の螺旋構造における螺旋ピッチと位相差層の表面の液晶分子のダイレクターとの関係を示す模式図。
【図4】本発明の一実施の形態に係る位相差光学素子の第1の製造方法を説明するための概略断面図。
【図5】本発明の一実施の形態に係る位相差光学素子の第1の製造方法の変形例を説明するための概略断面図。
【図6】本発明の一実施の形態に係る位相差光学素子の第2の製造方法を説明するための概略断面図。
【図7】本発明の一実施の形態に係る位相差光学素子のうち多層構成の位相差光学素子の第1の製造方法を説明するための概略断面図。
【図8】本発明の一実施の形態に係る位相差光学素子のうち多層構成の位相差光学素子における層間の隣接表面での液晶分子のダイレクターを示す模式図。
【図9】本発明の一実施の形態に係る位相差光学素子のうち多層構成の位相差光学素子の第2の製造方法を説明するための概略断面図。
【図10】本発明の一実施の形態に係る位相差光学素子を備えた偏光素子を示す概略分解斜視図。
【図11】本発明の一実施の形態に係る位相差光学素子を備えた液晶表示装置を示す概略分解斜視図。
【図12】位相差光学素子を偏光板により挟んで観察する場合の構成を示す概略分解斜視図。
【図13】従来の液晶表示装置を示す概略分解斜視図。
【符号の説明】
10、20、30、40 位相差光学素子
12、22、32 位相差層
12A,12B、22A、22B 表面
12C、22C 法線
14 ガラス基板又は高分子フィルム
16 配向膜
16A 第2の配向膜
18、19 重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)
34 液晶ポリマー
42、42′ 第1の位相差層
44、44′ 第2の位相差層
50 偏光素子
51A 偏光層
52、53 ダイレクターの方向
51、54 吸収軸
60、100 液晶表示装置
70A、70B、102A、102B 偏光板
104 液晶セル

Claims (29)

  1. プレーナー配向されたコレステリック規則性の分子構造を有する位相差層であって、前記分子構造に起因した選択反射光の選択反射波長が入射光の波長と異なる範囲に存在するように前記分子構造の螺旋ピッチが調整された位相差層を備え、
    前記位相差層の互いに対向する2つの主たる表面のうち、一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向が実質的に一致するとともに、他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向も実質的に一致していることを特徴とする位相差光学素子。
  2. 前記位相差層の前記一方の表面及び前記他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向のばらつきの範囲が±10°以内であることを特徴とする、請求項1に記載の位相差光学素子。
  3. 前記位相差層の前記一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向と前記他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向とが実質的に平行であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の位相差光学素子。
  4. 前記位相差層の前記一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向と前記他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向とがなす角度が±10°以内であることを特徴とする、請求項3に記載の位相差光学素子。
  5. 前記位相差層は、前記一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向と前記他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向との間に、実質的に0.5×整数倍のピッチ数の螺旋構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の位相差光学素子。
  6. 前記位相差層の前記一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向と前記他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向とがなす角度が±10°以内であることを特徴とする、請求項5に記載の位相差光学素子。
  7. 前記位相差層の前記螺旋構造は、前記一方の表面及び前記他方の表面に沿った面方向の位置に応じて異なる螺旋ピッチ又はピッチ数を有することを特徴とする、請求項5又は6に記載の位相差光学素子。
  8. 前記位相差層は、プレーナー配向されたコレステリック規則性の分子構造を有する層が順次直接積層されることにより構成されており、
    前記複数の層のうち互いに隣接する2つの層の表面における液晶分子のダイレクターの方向が実質的に平行であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の位相差光学素子。
  9. 前記位相差層は、カイラルネマチック液晶が3次元架橋された分子構造を有することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の位相差光学素子。
  10. コレステリック規則性を有する重合性モノマー分子及び重合性オリゴマー分子のうちの少なくとも一つを含む第1の液晶を、配向規制力の方向が膜上で実質的に同一とされた配向膜上にコーティングし、前記配向膜の表面の配向規制力によって前記第1の液晶を配向させる工程と、
    配向された前記第1の液晶を3次元架橋して固化させ、選択反射光の選択反射波長が入射光の波長と異なる範囲に存在する第1の位相差層を形成する工程とを含むことを特徴とする、位相差光学素子の製造方法。
  11. 前記第1の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面上にコーティングされる前記第1の液晶の厚さを調整することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 前記第1の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面上にコーティングされた前記第1の液晶のうち前記配向膜の表面から離間している側の表面に他の配向膜を当接させることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  13. 前記第1の位相差層上に、コレステリック規則性を有する他の重合性モノマー分子及び重合性オリゴマー分子のうちの少なくとも一つを含む第2の液晶を直接コーティングし、前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって前記第2の液晶を配向させる工程と、
    配向された前記第2の液晶を3次元架橋して固化させ、選択反射光の選択反射波長が入射光の波長と異なる範囲に存在する第2の位相差層を形成する工程とを更に含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  14. 前記第1の位相差層を形成する工程及び前記第2の位相差層を形成する工程のうちの少なくとも一方の工程において、前記第1の位相差層又は前記第2の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面上にコーティングされる前記第1の液晶又は前記第2の液晶の厚さをそれぞれ調整することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 前記第1の位相差層を形成する工程及び前記第2の位相差層を形成する工程のうちの少なくとも一方の工程において、前記第1の位相差層又は前記第2の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面上にコーティングされた前記第1の液晶又は前記第2の液晶のうち前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面から離間している側の表面に他の配向膜を当接させることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  16. 前記第1の位相差層及び前記第2の位相差層を形成するためにコーティングされる前記第1の液晶及び前記第2の液晶がいずれも、入射光の波長よりも小さくなる範囲に存在する選択反射波長を有するか、又は、前記第1の液晶及び前記第2の液晶がいずれも、入射光の波長よりも大きくなる範囲に存在する選択反射波長を有することを特徴とする、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記第1の位相差層及び前記第2の位相差層を形成するためにコーティングされる前記第1の液晶及び前記第2の液晶が実質的に同一成分であることを特徴とする、請求項13乃至16のいずれか一項に記載の方法。
  18. コレステリック規則性を有する液晶ポリマーを含む第1の液晶を、配向規制力の方向が膜上で実質的に同一とされた配向膜上にコーティングし、前記配向膜の表面の配向規制力によって前記第1の液晶を配向させる工程と、
    配向された前記第1の液晶を冷却してガラス状態に固化させ、選択反射光の選択反射波長が入射光の波長と異なる範囲に存在する第1の位相差層を形成する工程とを含むことを特徴とする、位相差光学素子の製造方法。
  19. 前記第1の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面上にコーティングされる前記第1の液晶の厚さを調整することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  20. 前記第1の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面上にコーティングされた前記第1の液晶のうち前記配向膜の表面から離間している側の表面に他の配向膜を当接させることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  21. 前記第1の位相差層上に、コレステリック規則性を有する他の液晶ポリマーを含む第2の液晶を直接コーティングし、前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって前記第2の液晶を配向させる工程と、
    配向された前記第2の液晶を冷却してガラス状態に固化させ、選択反射光の選択反射波長が入射光の波長と異なる範囲に存在する第2の位相差層を形成する工程とを更に含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  22. 前記第1の位相差層を形成する工程及び前記第2の位相差層を形成する工程のうちの少なくとも一方の工程において、前記第1の位相差層又は前記第2の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面上にコーティングされる前記第1の液晶又は前記第2の液晶の厚さをそれぞれ調整することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  23. 前記第1の位相差層を形成する工程及び前記第2の位相差層を形成する工程のうちの少なくとも一方の工程において、前記第1の位相差層又は前記第2の位相差層の対向する2つの主たる表面のうち、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面の配向規制力によって規制されていない側の表面における液晶分子のダイレクターの方向を規制するように、前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面上にコーティングされた前記第1の液晶又は前記第2の液晶のうち前記配向膜の表面又は前記第1の位相差層の表面から離間している側の表面に他の配向膜を当接させることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  24. 前記第1の位相差層及び前記第2の位相差層を形成するためにコーティングされる前記第1の液晶及び前記第2の液晶がいずれも、入射光の波長よりも小さくなる範囲に存在する選択反射波長を有するか、又は、前記第1の液晶及び前記第2の液晶がいずれも、入射光の波長よりも大きくなる範囲に存在する選択反射波長を有することを特徴とする、請求項21乃至23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記第1の位相差層及び前記第2の位相差層を形成するためにコーティングされる前記第1の液晶及び前記第2の液晶が実質的に同一成分であることを特徴とする、請求項21乃至24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 偏光層と、
    前記偏光層の表面に配置された、請求項1乃至9のいずれか一項に位相差光学素子とを備えたことを特徴とする偏光素子。
  27. 前記位相差光学素子の一方の表面及び他方の表面のうちのいずれかの表面における液晶分子のダイレクターの方向が、前記偏光層の吸収軸と実質的に平行又は直角の関係にあることを特徴とする、請求項26に記載の偏光素子。
  28. 液晶セルと、
    前記液晶セルを挟むように配置された一対の偏光板と、
    前記液晶セルと前記一対の偏光板の少なくとも一方との間に配置された、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の位相差光学素子とを備え、
    前記位相差光学素子は、前記液晶セルから出射された所定の偏光状態の光のうち当該液晶セルの法線から傾斜した方向に出射される光の偏光状態を補償することを特徴とする液晶表示装置。
  29. 前記位相差光学素子の一方の表面及び他方の表面における液晶分子のダイレクターの方向が、前記各偏光板の吸収軸と実質的に平行又は直角の関係にあることを特徴とする、請求項28に記載の偏光素子。
JP2003185406A 2002-08-26 2003-06-27 位相差光学素子及びその製造方法、並びに位相差光学素子を備えた偏光素子及び液晶表示装置 Pending JP2004145268A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003185406A JP2004145268A (ja) 2002-08-26 2003-06-27 位相差光学素子及びその製造方法、並びに位相差光学素子を備えた偏光素子及び液晶表示装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002245674 2002-08-26
JP2003185406A JP2004145268A (ja) 2002-08-26 2003-06-27 位相差光学素子及びその製造方法、並びに位相差光学素子を備えた偏光素子及び液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004145268A true JP2004145268A (ja) 2004-05-20

Family

ID=32472662

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003185406A Pending JP2004145268A (ja) 2002-08-26 2003-06-27 位相差光学素子及びその製造方法、並びに位相差光学素子を備えた偏光素子及び液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004145268A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007037317A1 (ja) * 2005-09-29 2007-04-05 Dai Nippon Printing Co., Ltd. 光学機能フィルム、位相差フィルム、光学機能層形成用組成物、および、光学機能フィルムの製造方法
WO2007132816A1 (ja) * 2006-05-16 2007-11-22 Dai Nippon Printing Co., Ltd. 光学機能フィルムおよびその製造方法
WO2008078766A1 (ja) 2006-12-27 2008-07-03 Fujifilm Corporation 反射型液晶表示素子及び反射型液晶プロジェクタ
US7764343B2 (en) 2005-07-05 2010-07-27 Fujifilm Corporation Retardation compensation element, liquid crystal display device, and liquid crystal projector
JP2014528597A (ja) * 2011-10-07 2014-10-27 ノース・キャロライナ・ステイト・ユニヴァーシティ 広帯域偏光変換のためのマルチツイストリターダおよび関連製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7764343B2 (en) 2005-07-05 2010-07-27 Fujifilm Corporation Retardation compensation element, liquid crystal display device, and liquid crystal projector
WO2007037317A1 (ja) * 2005-09-29 2007-04-05 Dai Nippon Printing Co., Ltd. 光学機能フィルム、位相差フィルム、光学機能層形成用組成物、および、光学機能フィルムの製造方法
US8064136B2 (en) 2005-09-29 2011-11-22 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Optical functional film, retardation film, composition for forming optical functional layer and producing method of optical functional film
US8355203B2 (en) 2005-09-29 2013-01-15 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Optical functional film, retardation film, composition for forming optical functional layer and producing method of optical functional film
KR101368114B1 (ko) 2005-09-29 2014-02-27 다이니폰 인사츠 가부시키가이샤 광학 기능 필름, 위상차 필름, 광학 기능층 형성용 조성물 및 광학 기능 필름의 제조 방법
WO2007132816A1 (ja) * 2006-05-16 2007-11-22 Dai Nippon Printing Co., Ltd. 光学機能フィルムおよびその製造方法
WO2008078766A1 (ja) 2006-12-27 2008-07-03 Fujifilm Corporation 反射型液晶表示素子及び反射型液晶プロジェクタ
JP2014528597A (ja) * 2011-10-07 2014-10-27 ノース・キャロライナ・ステイト・ユニヴァーシティ 広帯域偏光変換のためのマルチツイストリターダおよび関連製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4187616B2 (ja) 積層位相差光学素子、その製造方法及び液晶表示装置
US7405786B2 (en) Laminated retardation optical element, process of producing the same, and liquid crystal display
US7352422B2 (en) Retardation optical element and method of producing the same, and polarization element and liquid crystal display, each including retardation optical element
WO2004063779A1 (ja) 広帯域コレステリック液晶フィルム、その製造方法、円偏光板、直線偏光子、照明装置および液晶表示装置
JP2007065314A (ja) 円偏光分離シート
JP5025121B2 (ja) 円偏光分離シート及びその製法、並びにそれを用いた液晶表示装置
KR100744818B1 (ko) 위상차 광학소자와 그 제조방법 및 액정표시장치
JP2005504333A (ja) 偏光回転子および偏光回転子を含有する物品の製造方法
KR101096910B1 (ko) 위상차층, 위상차 광학 소자, 편광 소자, 액정 표시 장치 및 위상차 광학 소자의 제조 방법
WO2016031946A1 (ja) 輝度向上フィルムおよび液晶表示装置
JP2014174468A (ja) 円偏光層、円偏光層の積層体、メガネおよび3d画像鑑賞システム
JP2005049866A (ja) 位相差層およびそれを用いた液晶表示装置
US20210223581A1 (en) Optical laminate, light guide element, and ar display device
JP4377633B2 (ja) 位相差光学素子、その製造方法及び液晶表示装置
JP2006323312A (ja) 位相差光学素子およびこれを用いた液晶表示装置
JP2004109171A (ja) 光学フィルム、その製造方法及び液晶表示装置
JP2004145268A (ja) 位相差光学素子及びその製造方法、並びに位相差光学素子を備えた偏光素子及び液晶表示装置
JP2011145705A (ja) 円偏光分離シート及びその製法、並びにそれを用いた液晶表示装置
JP2006133385A (ja) 平行光化システム、集光バックライトシステム及び液晶表示装置
KR100772669B1 (ko) 원편광 추출 광학 소자의 제조 방법과, 원편광 추출 광학소자 및, 이를 구비한 편광 광원 장치 및 액정 표시 장치
JP3728212B2 (ja) 円偏光抽出光学素子、偏光光源装置及び液晶表示装置
JP2004163523A (ja) 位相差光学素子及び液晶表示装置
JP5049705B2 (ja) 透明フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP7476228B2 (ja) 光学部材および画像表示装置
WO2021132063A1 (ja) 画像表示装置およびarグラス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090306

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090630