JP2004144883A - 投影用スクリーンおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】映写環境に影響されず、鮮明な画像を得ることが可能となる投影用スクリーンおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】スクリーン表面の光拡散層13の上に反射防止層14を設ける。反射防止層14は、プロジェクタ装置の光源から投影光として出射される各色のレーザ光の波長を含む、450nm以上650nm以下の範囲内の波長領域の光に対しては反射率が0.5%以下という低反射特性を有する。スクリーンの表面に投影光以外の余分な光が入射しても反射防止層14によって反射が抑制されるので、画像のコントラストが高められる。
【選択図】 図1
【解決手段】スクリーン表面の光拡散層13の上に反射防止層14を設ける。反射防止層14は、プロジェクタ装置の光源から投影光として出射される各色のレーザ光の波長を含む、450nm以上650nm以下の範囲内の波長領域の光に対しては反射率が0.5%以下という低反射特性を有する。スクリーンの表面に投影光以外の余分な光が入射しても反射防止層14によって反射が抑制されるので、画像のコントラストが高められる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばプロジェクタ装置から入射される三原色の光を含む投影光を利用して画像が投影される投影用スクリーンおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、会議等では発表者が資料を提示する手段としてオーバーヘッドプロジェクタやスライドプロジェクタが広く用いられ、一般家庭ではビデオプロジェクタや動画フィルムプロジェクタが普及しつつある。これらプロジェクタ装置では、光源から出力された光がライトバルブ(Light Valve )により空間的に変調されて画像光とされ、この画像光がレンズ等の照明光学系を通じて投影用スクリーン上に投影される。
【0003】
この種のプロジェクタ装置にはカラー画像を表示させることができるものがあり、光源として光の三原色である赤色(Red =R),緑色(Green =G),青色(Blue=B)を含んだ白色光を発するランプが用いられ、ライトバルブとしては透過型の液晶パネルが用いられている。このプロジェクタ装置では、光源から出射された白色光が、照明光学系によって赤色光、緑色光および青色光の各色の光線に分離され、これら光線が所定の光路に収束される。これらの光束が液晶パネルにより画像信号に応じて空間的に変調される。変調された光束が光合成部によってカラー画像光として合成され、この合成されたカラー画像光が投影レンズにより投影用スクリーンに拡大投射される。
【0004】
また、最近、カラー画像を表示させることができるプロジェクタ装置として、光源に狭帯域三原色光源、例えば三原色の各色の狭帯域光を発するレーザ発振器を用い、ライトバルブに回折格子型のライトバルブ(GLV:Grating Light Valve )を用いた装置が開発されている。このプロジェクタ装置では、レーザ発振器により出射された各色の光束が画像信号に応じてGLVにより空間的に変調される。このように変調された光束は前述したプロジェクタ装置と同様に、光合成部によってカラー画像光として合成され、この合成されたカラー画像光が投影レンズにより投影用スクリーンに拡大投射される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プロジェクタ装置に用いられる投影用スクリーンは、その裏面側から投影光を照射して表面側から見る透過方式と、表面側から投影光を照射しその反射した光を表面側から見る反射方式とに分けられる。これら方式の投影用スクリーンはその表面に拡散板を備えており、この拡散板によって投影光を散乱させることにより画像が形成され、広い視野角が得られている。
【0006】
しかしながら、このような投影用スクリーンでは、投影光以外の余分な光、例えば照明器具の光や室外の光(外光)が表面側に入射したときに、表面に拡散板が設けられていることに起因して、これら余分な光が拡散板により反射され、画像に混入してしまうことから、コントラストが低下し、鮮明な画像を得ることができないという問題があった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、投影光以外の余分な光の画像への混入を防止することにより画像のコントラストを高めて、映写環境に影響されず、鮮明な画像を得ることが可能となる投影用スクリーンおよびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の投影用スクリーンは、反射方式の投影用スクリーンであって、三原色の光を反射する三原色光反射層と、この三原色光反射層で反射された光を拡散させる拡散層と、この拡散層の表面に設けられた反射防止層とを備えたものである。
【0009】
本発明による第2の投影用スクリーンは、透過方式の投影用スクリーンであって、三原色の光を透過する三原色光透過層と、この三原色光透過層で透過された光を拡散させる拡散層と、この拡散層の表面に設けられた反射防止層とを備えたものである。
【0010】
本発明による投影用スクリーンの製造方法は、基板の表面に、三原色の光を反射または透過する三原色光選別層を形成する工程と、三原色光選別層の上に光拡散層を形成する工程と、拡散層の上に反射防止層を形成する工程とを含むものである。
【0011】
本発明による投影用スクリーンまたはその製造方法では、拡散層の表面に反射防止層を設けるようにしたので、投影光以外の余分な光が入射したときに、この反射防止層によって余分な光の反射が抑制され、画像への影響がなくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る投影用スクリーン10の一部の断面構成を表すものである。この投影用スクリーン10はいわゆる反射方式のスクリーンであり、基板として黒色基板11を備えている。黒色基板11の上には、帯域フィルタとしての機能を有する三原色光選別層として三原色光反射層12が形成されている。この三原色光反射層12の上には光拡散層13が形成されている。この光拡散層13の上には、投影光以外の光に対して反射特性を有する反射防止層14が形成されている。
【0014】
黒色基板11は、例えば黒色塗料等を含んだ高分子材料から構成されている。高分子材料としては、例えばポリカーボネイト(PC),ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリエーテルサルフォン(PES),ポリオレフィン(PO)が挙げられる。この黒色基板11は、三原色光反射層12を透過した光を吸収する光吸収層としての機能を有しており、これによってスクリーンの黒レベルが高められ明暗のコントラストが向上する。
【0015】
三原色光反射層12は、例えば赤色、緑色および青色の各色の波長領域の光からなる三原色波長域光に対して高反射特性を有すると共に、この三原色波長域光の波長領域以外の少なくとも可視波長域の光に対して高透過特性を有する。具体的には、三原色光反射層12は、波長が642nm程度である赤色光、波長が532nm程度である緑色光、および波長が457nm程度である青色光のそれぞれに対して高反射特性を有する(図2)。なお、三原色波長域光の各色光の波長は、本実施の形態に適用されるプロジェクタ装置20(図4)の光源(レーザ発振器21)から投影光として出射される各色のレーザ光の波長である。
【0016】
この三原色光反射層12は、例えば、高い屈折率を有する誘電体材料からなる高屈折率膜12Hp と、この高屈折率膜12Hp よりも低い屈折率を有する誘電体材料からなる低屈折率膜12Lq とが交互に積層された誘電体多層膜であり(但し、pは1〜m+1の正数、qは1〜mの正数)、この誘電体多層膜の各膜の厚さは例えば80nm以上200nm以下である。高屈折率膜12Hp の誘電体材料としては例えば五酸化ニオブ(Nb2 O5 )、二酸化チタン(TiO2 )あるいは五酸化タンタル(Ta2 O5 )、低屈折率膜12Lq の誘電体材料としては例えば二酸化シリコン(SiO2 )あるいはフッ化マグネシウム(MgF2 )が挙げられる。
【0017】
光拡散層13は、三原色光反射層12で反射された三原色波長域光を散乱させるものであり、例えばマイクロレンズアレー(MLA)が形成されたフィルムである。このような光拡散層13によって、視野角が大きくなり良い視野特性が得られる。なお、光拡散層13の材料として、上記フィルムに加えて、例えば直径が数μm〜数mm程度の球状の複数のビーズが等間隔に配列されたものや、所定の媒質中に例えば銀(Ag)や銅(Cu)等の金属微粒子が分散されたものでもよい。上記ビーズは例えばガラスや高分子材料等の透明な材料からなる。
【0018】
反射防止層14は、外光の反射を防止するものであり、三原色の波長領域を含む特定波長域の光に対して低反射特性を有する。具体的には、図3に示したように、レーザ発振器21から投影光として出射される各色のレーザ光の波長を含む、450nm以上650nm以下の範囲内の波長領域の光に対して反射率が0.5%以下である。
【0019】
このような特性を有する反射防止層14は、例えば、高い屈折率を有する無機材料からなる高屈折率膜14Hr と、この高屈折率膜14Hr よりも低い屈折率を有する無機材料からなる低屈折率膜14Lr とが交互に積層された多層膜である(但し、rは1〜nの正数)。すなわち、高屈折率膜14H1 , 低屈折率膜14L1 , 高屈折率膜14H2 , 低屈折率膜14L2,・・・・, 高屈折率膜14Hn , 低屈折率膜14Ln が順次積層されたものである。高屈折率膜14Hr の無機材料としては例えば五酸化ニオブ(Nb2 O5 )、二酸化チタン(TiO2 )あるいは五酸化タンタル(Ta2 O5 )、低屈折率膜14Lr の無機材料としては例えば二酸化シリコン(SiO2 )あるいはフッ化マグネシウム(MgF2 )が挙げられる。
【0020】
ここで、反射防止層14の各膜厚は、その各膜の厚さをd、その各膜の屈折率をn、この光学多層膜に入射する入射光の波長をλとすると、各膜の光学的厚さndが入射光の波長λに対して数1に示した式を満足するように設計されている。
【0021】
【数1】
nd=λ(α±1/4)(但し、αは自然数である)
【0022】
例えば、高屈折率膜膜14H1 にはNb2 O5 、低屈折率膜14L1 にはSiO2 、高屈折率膜14H2 にはNb2 O5 、低屈折率膜14L2 にはSiO2 が用いられ、合計層数が計4層とされ、赤色光の波長が642nm、緑色光の波長が532nm、および青色光の波長が457nmである三原色波長域光を含む、450nm以上650nm以下の範囲内の波長領域において、反射率が0.5%以下という低反射特性を有するように設計されている。このように設計したことにより、各層の厚さは、高屈折率膜膜14H1 が14nm、低屈折率膜14L1 が23nm、高屈折率膜14Hが123nm、低屈折率膜14L2 が90nmとなっている。
【0023】
このように構成される反射防止層14により、この反射防止層14の表面に投影光以外の余分な光(例えば照明器具の光や外光)が入射したときに、これら余分な光の反射が抑制される。
【0024】
次に、このような構成を有する投影用スクリーン10の製造方法について説明する。まず、黒色塗料を含ませた高分子材料からなる黒色基板11を用意する。次に、例えばスパッタリング法によって、黒色基板11の上に三原色光反射層12を形成する。この三原色光反射層12は誘電体多層膜とし、この誘電体多層膜を高屈折率膜12Hp と、この高屈折率膜12Hp より低い屈折率を有する低屈折率膜12Lq とを交互に積層したものとする。このような三原色光反射層12の各膜厚は、この三原色光反射層12が三原色波長域光に対して高反射特性を有すると共に、この三原色波長域光の波長領域以外の少なくとも可視波長域の光に対して高透過特性を有するように設計する。
【0025】
続いて、三原色光反射層12の上に、MLAが形成されたフィルムを貼り合わせることにより光拡散層13を形成する。最後に、例えばスパッタリング法または蒸着法によって、光拡散層13の上に、高屈折率膜14Hr と低屈折率膜14Hr とを交互に積層して反射防止層14を形成する。この反射防止層14の各膜厚は、前述のように赤色、緑色および青色の各色の波長領域の光からなる三原色波長域光を含む、450nm以上650nm以下の範囲内の波長領域において、反射率が0.5%以下という低反射特性を有するように設計する。
【0026】
反射防止層14は、具体的には、Nb2 O5 からなる高屈折率膜14H1 、SiO2 からなる低屈折率膜14L1 、Nb2 O5 からなる高屈折率膜14H2 、SiO2 からなる低屈折率膜14L2 の4層構造とし、各層の厚さを、高屈折率膜14H1 を14nm、低屈折率膜14L1 を23nm、高屈折率膜14H2 を123nm、低屈折率膜14L2 を90nmとする。これにより、赤色光の波長が642nm、緑色光の波長が532nm、および青色光の波長が457nmである三原色波長域を含む、450nm以上650nm以下の範囲内の波長領域において、反射率が0.5%以下という低反射特性を有するようになる(図3)。以上により図1に示した投影用スクリーン10が完成する。
【0027】
このような構成を有する投影用スクリーン10は、例えばフロント式のプロジェクタ装置20のスクリーンとして用いられる。図4は、このプロジェクタ装置20の概略構成を表すものである。プロジェクタ装置20は、光源として三原色の各色の波長領域からなる三原色狭帯域光を出射するレーザ発振器21を備えている。レーザ発振器21は、例えば波長が642nmである赤色光を出射するレーザ発振器21R、波長が532nmである緑色光を出射するレーザ発振器21G、波長が457nmである青色光を出射するレーザ発振器21Bから構成されている。
【0028】
また、プロジェクタ装置20は、レーザ発振器21から出射された光を画像光として投影用スクリーン10に導くための照明光学系として、コリメータレンズ22、シリンドリカルレンズ23、GLV24、体積型ホログラム素子25、ガルバノミラー26および投影レンズ27を備えている。コリメータレンズ22は、赤色光用のコリメータレンズ22R、緑色光用のコリメータレンズ22G、および、青色光用のコリメータレンズ22Bから構成される。GLV24は、赤色光用のリボン列24R、緑色光用のリボン列24G、および青色光用のリボン列24Bを備えている。体積型ホログラム素子25は、第1体積型ホログラム素子25aおよび第2体積型ホログラム素子25bから構成されている。
【0029】
なお、プロジェクタ装置20では、レーザ発振器21Rから出射された赤色光、レーザ発振器21Gから出射された緑色光、レーザ発振器21Bから出射された青色光のそれぞれが、コリメータレンズ22では各色用のコリメータレンズ22R,22G,22Bに入射するように、GLV24では各色用のリボン列24R,24G,24Bに入射するようにこれらの構成要素が配置されている。
【0030】
このような構成を有するプロジェクタ装置20では、レーザ発振器21から出射された赤色光、緑色光および青色光の各光は、コリメータレンズ22を透過することにより平行光となる。このコリメータレンズ22により平行光となった三原色波長域光は、シリンドリカルレンズ23の作用によりGLV24に集光される。これら集光した三原色波長域光は、GLV24の各リボン列が画像信号に応じて独立に駆動されることによって空間的に変調される。
【0031】
GLV24の作用により変調された三原色波長域光は、シリンドリカルレンズ23の作用により体積型ホログラム素子25に集光される。この体積型ホログラム素子25では、第1体積型ホログラム素子25aにより赤色光が回折され、第2体積型ホログラム素子25bにより青色光および赤色光が同じ方向に回折される。また、第1体積型ホログラム素子25aおよび第2体積型ホログラム素子25bでは、緑色光が回折されずに直進して透過し、赤色光と同じ方向に出射される。このようにして体積型ホログラム素子25の作用により、赤色光、緑色光および青色光の各色の光が合成されて、同じ方向に出射される。同じ方向に合波された三原色波長域光は、ガルバノミラー26により所定の方向に走査され、投影レンズ27を介して投影用スクリーン10の表面に投射される。
【0032】
投影用スクリーン10では、例えば外光により映写環境が明るい場合、プロジェクタ装置20から投射された三原色波長域光とともに外光が、スクリーンの表面に設けられた反射防止層14に入射する。この反射防止層14は、図3に示したような反射特性を有するので、この反射防止層13により三原色波長域光以外の外光の反射が抑制されると共に、三原色波長域光が透過する。
【0033】
このように反射防止層14を透過した三原色波長域光は、光拡散層13を透過し、三原色光反射層12に入射する。この三原色光反射層12では、図2に示したような反射特性を有するので、三原色波長域光のみが反射し、その他の光は黒色基板11に吸収される。このように三原色光反射層12で反射した三原色波長域光は、光拡散層13に再び入射する。この光拡散層13では、三原色光反射層12で反射された三原色波長域光が散乱され、スクリーンの前面に画像が形成される。このとき、上述したように反射防止層14によりスクリーンの表面に入射した外光の反射を抑制されていることから、スクリーンの前面に形成された画像には、外光が混入することが殆どなくなる。
【0034】
このように本実施の形態では、スクリーンの表面に反射防止層14を設けるようにしたので、投影光以外の余分な光が入射したときに、この反射防止層14によって反射が抑制され、これにより余分な光が画像に混入しなくなる。よって、画像のコントラストが高められ、映写環境に影響されず、鮮明な画像を得ることが可能となる。また、プロジェクタ装置20のレーザ発振器21から出射される各色のレーザ光の輝度を抑えても、鮮明な画像を得ることが可能になり、これにより省電力化を図ることが可能となる。
【0035】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、本発明を反射式の投影用スクリーン10に適用するようにしたが、透過方式の投影用スクリーン30(図5)に適用するようにしてもよい。すなわち、黒色基板11の代わりに透明基板31を用い、三原色光選別層として三原色光反射層12の代わりに三原色光透過層32を用いるようにする。この三原色光透過層32は、例えば図6に示したように、三原色波長域光に対して高透過特性を有すると共に、この三原色波長域光の波長領域以外の少なくとも可視波長域の光に対して高反射特性を有する。具体的には、波長が642nm程度である赤色光、波長が532nm程度である緑色光、および波長が457nm程度である青色光のそれぞれに対して高透過特性を有する。このような構成を有する投影用スクリーン30は透明基板31の裏面側から投影光を入射させる、リア式のプロジェクタ装置のスクリーンとして用いられる。
【0036】
また、上記実施の形態では、スパッタリング法または蒸着法により反射防止層14を形成するようにしたが、図7に示した投影用スクリーン40のように、反射防止層14を予め例えば、反射防止層14を支持するための支持基材41の上に形成し、この支持基材41を接着剤を介して貼り付けることにより反射防止層14を形成するようにしてもよい。
【0037】
更に、上記実施の形態では、反射防止層14の材料として無機材料を用いるようにしたが、有機材料を用いるようにしてもよい。この場合、グラビアコーティング法等の塗布法を用いて反射防止層14を形成する。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の投影用スクリーンおよびその製造方法によれば、拡散層の表面に反射防止層を設けるようにしたので、投影光以外の余分な光が入射してもその反射が抑制され、余分な光の画像への混入を防止できる。これにより画像のコントラストが高められ、映写環境に影響されず、鮮明な画像を得ることが可能となる。また、プロジェクタ装置の光源から出射される投影光の輝度を抑えても、鮮明な画像を得ることが可能になり、これによって省電力化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る投影用スクリーンの概略構成図である。
【図2】図1に示した投影用スクリーンを構成する三原色光反射層の反射特性を表すものである。
【図3】図1に示した投影用スクリーンを構成する反射防止層の反射特性を表すものである。
【図4】図1に示した投影用スクリーンを用いたプロジェクタ装置の概略構成図である。
【図5】投影用スクリーン変形例の概略構成図である。
【図6】図1に示した投影用スクリーンを構成する三原色透過層の反射特性を表すものである。
【図7】投影用スクリーンの変形例の概略構成図である。
【符号の説明】
10,30, 40・・・ 投影用スクリーン、11・・・ 黒色基板、12・・・ 三原色光反射層、12Hp ,14Hr ・・・ 高屈折率膜、12Lq ,14Lr ・・・ 低屈折率膜、13・・・ 光拡散層、14・・・ 反射防止層、20・・・ プロジェクタ装置、21,21R,21G,21B・・・ レーザ発振器、22,22R,22G,22B・・・ コリメータレンズ、23・・・ シリンドリカルレンズ、24・・・ GLV、24R,24G,24B・・・ リボン列、25・・・ 体積型ホログラム素子、25a・・・ 第1体積型ホログラム素子、25b・・・ 第2体積型ホログラム素子、26・・・ ガルバノミラー、27・・・ 投影レンズ、31・・・ 透明基板、32・・・ 三原色光透過層、41・・・ 支持基材
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばプロジェクタ装置から入射される三原色の光を含む投影光を利用して画像が投影される投影用スクリーンおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、会議等では発表者が資料を提示する手段としてオーバーヘッドプロジェクタやスライドプロジェクタが広く用いられ、一般家庭ではビデオプロジェクタや動画フィルムプロジェクタが普及しつつある。これらプロジェクタ装置では、光源から出力された光がライトバルブ(Light Valve )により空間的に変調されて画像光とされ、この画像光がレンズ等の照明光学系を通じて投影用スクリーン上に投影される。
【0003】
この種のプロジェクタ装置にはカラー画像を表示させることができるものがあり、光源として光の三原色である赤色(Red =R),緑色(Green =G),青色(Blue=B)を含んだ白色光を発するランプが用いられ、ライトバルブとしては透過型の液晶パネルが用いられている。このプロジェクタ装置では、光源から出射された白色光が、照明光学系によって赤色光、緑色光および青色光の各色の光線に分離され、これら光線が所定の光路に収束される。これらの光束が液晶パネルにより画像信号に応じて空間的に変調される。変調された光束が光合成部によってカラー画像光として合成され、この合成されたカラー画像光が投影レンズにより投影用スクリーンに拡大投射される。
【0004】
また、最近、カラー画像を表示させることができるプロジェクタ装置として、光源に狭帯域三原色光源、例えば三原色の各色の狭帯域光を発するレーザ発振器を用い、ライトバルブに回折格子型のライトバルブ(GLV:Grating Light Valve )を用いた装置が開発されている。このプロジェクタ装置では、レーザ発振器により出射された各色の光束が画像信号に応じてGLVにより空間的に変調される。このように変調された光束は前述したプロジェクタ装置と同様に、光合成部によってカラー画像光として合成され、この合成されたカラー画像光が投影レンズにより投影用スクリーンに拡大投射される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プロジェクタ装置に用いられる投影用スクリーンは、その裏面側から投影光を照射して表面側から見る透過方式と、表面側から投影光を照射しその反射した光を表面側から見る反射方式とに分けられる。これら方式の投影用スクリーンはその表面に拡散板を備えており、この拡散板によって投影光を散乱させることにより画像が形成され、広い視野角が得られている。
【0006】
しかしながら、このような投影用スクリーンでは、投影光以外の余分な光、例えば照明器具の光や室外の光(外光)が表面側に入射したときに、表面に拡散板が設けられていることに起因して、これら余分な光が拡散板により反射され、画像に混入してしまうことから、コントラストが低下し、鮮明な画像を得ることができないという問題があった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、投影光以外の余分な光の画像への混入を防止することにより画像のコントラストを高めて、映写環境に影響されず、鮮明な画像を得ることが可能となる投影用スクリーンおよびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の投影用スクリーンは、反射方式の投影用スクリーンであって、三原色の光を反射する三原色光反射層と、この三原色光反射層で反射された光を拡散させる拡散層と、この拡散層の表面に設けられた反射防止層とを備えたものである。
【0009】
本発明による第2の投影用スクリーンは、透過方式の投影用スクリーンであって、三原色の光を透過する三原色光透過層と、この三原色光透過層で透過された光を拡散させる拡散層と、この拡散層の表面に設けられた反射防止層とを備えたものである。
【0010】
本発明による投影用スクリーンの製造方法は、基板の表面に、三原色の光を反射または透過する三原色光選別層を形成する工程と、三原色光選別層の上に光拡散層を形成する工程と、拡散層の上に反射防止層を形成する工程とを含むものである。
【0011】
本発明による投影用スクリーンまたはその製造方法では、拡散層の表面に反射防止層を設けるようにしたので、投影光以外の余分な光が入射したときに、この反射防止層によって余分な光の反射が抑制され、画像への影響がなくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る投影用スクリーン10の一部の断面構成を表すものである。この投影用スクリーン10はいわゆる反射方式のスクリーンであり、基板として黒色基板11を備えている。黒色基板11の上には、帯域フィルタとしての機能を有する三原色光選別層として三原色光反射層12が形成されている。この三原色光反射層12の上には光拡散層13が形成されている。この光拡散層13の上には、投影光以外の光に対して反射特性を有する反射防止層14が形成されている。
【0014】
黒色基板11は、例えば黒色塗料等を含んだ高分子材料から構成されている。高分子材料としては、例えばポリカーボネイト(PC),ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリエーテルサルフォン(PES),ポリオレフィン(PO)が挙げられる。この黒色基板11は、三原色光反射層12を透過した光を吸収する光吸収層としての機能を有しており、これによってスクリーンの黒レベルが高められ明暗のコントラストが向上する。
【0015】
三原色光反射層12は、例えば赤色、緑色および青色の各色の波長領域の光からなる三原色波長域光に対して高反射特性を有すると共に、この三原色波長域光の波長領域以外の少なくとも可視波長域の光に対して高透過特性を有する。具体的には、三原色光反射層12は、波長が642nm程度である赤色光、波長が532nm程度である緑色光、および波長が457nm程度である青色光のそれぞれに対して高反射特性を有する(図2)。なお、三原色波長域光の各色光の波長は、本実施の形態に適用されるプロジェクタ装置20(図4)の光源(レーザ発振器21)から投影光として出射される各色のレーザ光の波長である。
【0016】
この三原色光反射層12は、例えば、高い屈折率を有する誘電体材料からなる高屈折率膜12Hp と、この高屈折率膜12Hp よりも低い屈折率を有する誘電体材料からなる低屈折率膜12Lq とが交互に積層された誘電体多層膜であり(但し、pは1〜m+1の正数、qは1〜mの正数)、この誘電体多層膜の各膜の厚さは例えば80nm以上200nm以下である。高屈折率膜12Hp の誘電体材料としては例えば五酸化ニオブ(Nb2 O5 )、二酸化チタン(TiO2 )あるいは五酸化タンタル(Ta2 O5 )、低屈折率膜12Lq の誘電体材料としては例えば二酸化シリコン(SiO2 )あるいはフッ化マグネシウム(MgF2 )が挙げられる。
【0017】
光拡散層13は、三原色光反射層12で反射された三原色波長域光を散乱させるものであり、例えばマイクロレンズアレー(MLA)が形成されたフィルムである。このような光拡散層13によって、視野角が大きくなり良い視野特性が得られる。なお、光拡散層13の材料として、上記フィルムに加えて、例えば直径が数μm〜数mm程度の球状の複数のビーズが等間隔に配列されたものや、所定の媒質中に例えば銀(Ag)や銅(Cu)等の金属微粒子が分散されたものでもよい。上記ビーズは例えばガラスや高分子材料等の透明な材料からなる。
【0018】
反射防止層14は、外光の反射を防止するものであり、三原色の波長領域を含む特定波長域の光に対して低反射特性を有する。具体的には、図3に示したように、レーザ発振器21から投影光として出射される各色のレーザ光の波長を含む、450nm以上650nm以下の範囲内の波長領域の光に対して反射率が0.5%以下である。
【0019】
このような特性を有する反射防止層14は、例えば、高い屈折率を有する無機材料からなる高屈折率膜14Hr と、この高屈折率膜14Hr よりも低い屈折率を有する無機材料からなる低屈折率膜14Lr とが交互に積層された多層膜である(但し、rは1〜nの正数)。すなわち、高屈折率膜14H1 , 低屈折率膜14L1 , 高屈折率膜14H2 , 低屈折率膜14L2,・・・・, 高屈折率膜14Hn , 低屈折率膜14Ln が順次積層されたものである。高屈折率膜14Hr の無機材料としては例えば五酸化ニオブ(Nb2 O5 )、二酸化チタン(TiO2 )あるいは五酸化タンタル(Ta2 O5 )、低屈折率膜14Lr の無機材料としては例えば二酸化シリコン(SiO2 )あるいはフッ化マグネシウム(MgF2 )が挙げられる。
【0020】
ここで、反射防止層14の各膜厚は、その各膜の厚さをd、その各膜の屈折率をn、この光学多層膜に入射する入射光の波長をλとすると、各膜の光学的厚さndが入射光の波長λに対して数1に示した式を満足するように設計されている。
【0021】
【数1】
nd=λ(α±1/4)(但し、αは自然数である)
【0022】
例えば、高屈折率膜膜14H1 にはNb2 O5 、低屈折率膜14L1 にはSiO2 、高屈折率膜14H2 にはNb2 O5 、低屈折率膜14L2 にはSiO2 が用いられ、合計層数が計4層とされ、赤色光の波長が642nm、緑色光の波長が532nm、および青色光の波長が457nmである三原色波長域光を含む、450nm以上650nm以下の範囲内の波長領域において、反射率が0.5%以下という低反射特性を有するように設計されている。このように設計したことにより、各層の厚さは、高屈折率膜膜14H1 が14nm、低屈折率膜14L1 が23nm、高屈折率膜14Hが123nm、低屈折率膜14L2 が90nmとなっている。
【0023】
このように構成される反射防止層14により、この反射防止層14の表面に投影光以外の余分な光(例えば照明器具の光や外光)が入射したときに、これら余分な光の反射が抑制される。
【0024】
次に、このような構成を有する投影用スクリーン10の製造方法について説明する。まず、黒色塗料を含ませた高分子材料からなる黒色基板11を用意する。次に、例えばスパッタリング法によって、黒色基板11の上に三原色光反射層12を形成する。この三原色光反射層12は誘電体多層膜とし、この誘電体多層膜を高屈折率膜12Hp と、この高屈折率膜12Hp より低い屈折率を有する低屈折率膜12Lq とを交互に積層したものとする。このような三原色光反射層12の各膜厚は、この三原色光反射層12が三原色波長域光に対して高反射特性を有すると共に、この三原色波長域光の波長領域以外の少なくとも可視波長域の光に対して高透過特性を有するように設計する。
【0025】
続いて、三原色光反射層12の上に、MLAが形成されたフィルムを貼り合わせることにより光拡散層13を形成する。最後に、例えばスパッタリング法または蒸着法によって、光拡散層13の上に、高屈折率膜14Hr と低屈折率膜14Hr とを交互に積層して反射防止層14を形成する。この反射防止層14の各膜厚は、前述のように赤色、緑色および青色の各色の波長領域の光からなる三原色波長域光を含む、450nm以上650nm以下の範囲内の波長領域において、反射率が0.5%以下という低反射特性を有するように設計する。
【0026】
反射防止層14は、具体的には、Nb2 O5 からなる高屈折率膜14H1 、SiO2 からなる低屈折率膜14L1 、Nb2 O5 からなる高屈折率膜14H2 、SiO2 からなる低屈折率膜14L2 の4層構造とし、各層の厚さを、高屈折率膜14H1 を14nm、低屈折率膜14L1 を23nm、高屈折率膜14H2 を123nm、低屈折率膜14L2 を90nmとする。これにより、赤色光の波長が642nm、緑色光の波長が532nm、および青色光の波長が457nmである三原色波長域を含む、450nm以上650nm以下の範囲内の波長領域において、反射率が0.5%以下という低反射特性を有するようになる(図3)。以上により図1に示した投影用スクリーン10が完成する。
【0027】
このような構成を有する投影用スクリーン10は、例えばフロント式のプロジェクタ装置20のスクリーンとして用いられる。図4は、このプロジェクタ装置20の概略構成を表すものである。プロジェクタ装置20は、光源として三原色の各色の波長領域からなる三原色狭帯域光を出射するレーザ発振器21を備えている。レーザ発振器21は、例えば波長が642nmである赤色光を出射するレーザ発振器21R、波長が532nmである緑色光を出射するレーザ発振器21G、波長が457nmである青色光を出射するレーザ発振器21Bから構成されている。
【0028】
また、プロジェクタ装置20は、レーザ発振器21から出射された光を画像光として投影用スクリーン10に導くための照明光学系として、コリメータレンズ22、シリンドリカルレンズ23、GLV24、体積型ホログラム素子25、ガルバノミラー26および投影レンズ27を備えている。コリメータレンズ22は、赤色光用のコリメータレンズ22R、緑色光用のコリメータレンズ22G、および、青色光用のコリメータレンズ22Bから構成される。GLV24は、赤色光用のリボン列24R、緑色光用のリボン列24G、および青色光用のリボン列24Bを備えている。体積型ホログラム素子25は、第1体積型ホログラム素子25aおよび第2体積型ホログラム素子25bから構成されている。
【0029】
なお、プロジェクタ装置20では、レーザ発振器21Rから出射された赤色光、レーザ発振器21Gから出射された緑色光、レーザ発振器21Bから出射された青色光のそれぞれが、コリメータレンズ22では各色用のコリメータレンズ22R,22G,22Bに入射するように、GLV24では各色用のリボン列24R,24G,24Bに入射するようにこれらの構成要素が配置されている。
【0030】
このような構成を有するプロジェクタ装置20では、レーザ発振器21から出射された赤色光、緑色光および青色光の各光は、コリメータレンズ22を透過することにより平行光となる。このコリメータレンズ22により平行光となった三原色波長域光は、シリンドリカルレンズ23の作用によりGLV24に集光される。これら集光した三原色波長域光は、GLV24の各リボン列が画像信号に応じて独立に駆動されることによって空間的に変調される。
【0031】
GLV24の作用により変調された三原色波長域光は、シリンドリカルレンズ23の作用により体積型ホログラム素子25に集光される。この体積型ホログラム素子25では、第1体積型ホログラム素子25aにより赤色光が回折され、第2体積型ホログラム素子25bにより青色光および赤色光が同じ方向に回折される。また、第1体積型ホログラム素子25aおよび第2体積型ホログラム素子25bでは、緑色光が回折されずに直進して透過し、赤色光と同じ方向に出射される。このようにして体積型ホログラム素子25の作用により、赤色光、緑色光および青色光の各色の光が合成されて、同じ方向に出射される。同じ方向に合波された三原色波長域光は、ガルバノミラー26により所定の方向に走査され、投影レンズ27を介して投影用スクリーン10の表面に投射される。
【0032】
投影用スクリーン10では、例えば外光により映写環境が明るい場合、プロジェクタ装置20から投射された三原色波長域光とともに外光が、スクリーンの表面に設けられた反射防止層14に入射する。この反射防止層14は、図3に示したような反射特性を有するので、この反射防止層13により三原色波長域光以外の外光の反射が抑制されると共に、三原色波長域光が透過する。
【0033】
このように反射防止層14を透過した三原色波長域光は、光拡散層13を透過し、三原色光反射層12に入射する。この三原色光反射層12では、図2に示したような反射特性を有するので、三原色波長域光のみが反射し、その他の光は黒色基板11に吸収される。このように三原色光反射層12で反射した三原色波長域光は、光拡散層13に再び入射する。この光拡散層13では、三原色光反射層12で反射された三原色波長域光が散乱され、スクリーンの前面に画像が形成される。このとき、上述したように反射防止層14によりスクリーンの表面に入射した外光の反射を抑制されていることから、スクリーンの前面に形成された画像には、外光が混入することが殆どなくなる。
【0034】
このように本実施の形態では、スクリーンの表面に反射防止層14を設けるようにしたので、投影光以外の余分な光が入射したときに、この反射防止層14によって反射が抑制され、これにより余分な光が画像に混入しなくなる。よって、画像のコントラストが高められ、映写環境に影響されず、鮮明な画像を得ることが可能となる。また、プロジェクタ装置20のレーザ発振器21から出射される各色のレーザ光の輝度を抑えても、鮮明な画像を得ることが可能になり、これにより省電力化を図ることが可能となる。
【0035】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、本発明を反射式の投影用スクリーン10に適用するようにしたが、透過方式の投影用スクリーン30(図5)に適用するようにしてもよい。すなわち、黒色基板11の代わりに透明基板31を用い、三原色光選別層として三原色光反射層12の代わりに三原色光透過層32を用いるようにする。この三原色光透過層32は、例えば図6に示したように、三原色波長域光に対して高透過特性を有すると共に、この三原色波長域光の波長領域以外の少なくとも可視波長域の光に対して高反射特性を有する。具体的には、波長が642nm程度である赤色光、波長が532nm程度である緑色光、および波長が457nm程度である青色光のそれぞれに対して高透過特性を有する。このような構成を有する投影用スクリーン30は透明基板31の裏面側から投影光を入射させる、リア式のプロジェクタ装置のスクリーンとして用いられる。
【0036】
また、上記実施の形態では、スパッタリング法または蒸着法により反射防止層14を形成するようにしたが、図7に示した投影用スクリーン40のように、反射防止層14を予め例えば、反射防止層14を支持するための支持基材41の上に形成し、この支持基材41を接着剤を介して貼り付けることにより反射防止層14を形成するようにしてもよい。
【0037】
更に、上記実施の形態では、反射防止層14の材料として無機材料を用いるようにしたが、有機材料を用いるようにしてもよい。この場合、グラビアコーティング法等の塗布法を用いて反射防止層14を形成する。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の投影用スクリーンおよびその製造方法によれば、拡散層の表面に反射防止層を設けるようにしたので、投影光以外の余分な光が入射してもその反射が抑制され、余分な光の画像への混入を防止できる。これにより画像のコントラストが高められ、映写環境に影響されず、鮮明な画像を得ることが可能となる。また、プロジェクタ装置の光源から出射される投影光の輝度を抑えても、鮮明な画像を得ることが可能になり、これによって省電力化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る投影用スクリーンの概略構成図である。
【図2】図1に示した投影用スクリーンを構成する三原色光反射層の反射特性を表すものである。
【図3】図1に示した投影用スクリーンを構成する反射防止層の反射特性を表すものである。
【図4】図1に示した投影用スクリーンを用いたプロジェクタ装置の概略構成図である。
【図5】投影用スクリーン変形例の概略構成図である。
【図6】図1に示した投影用スクリーンを構成する三原色透過層の反射特性を表すものである。
【図7】投影用スクリーンの変形例の概略構成図である。
【符号の説明】
10,30, 40・・・ 投影用スクリーン、11・・・ 黒色基板、12・・・ 三原色光反射層、12Hp ,14Hr ・・・ 高屈折率膜、12Lq ,14Lr ・・・ 低屈折率膜、13・・・ 光拡散層、14・・・ 反射防止層、20・・・ プロジェクタ装置、21,21R,21G,21B・・・ レーザ発振器、22,22R,22G,22B・・・ コリメータレンズ、23・・・ シリンドリカルレンズ、24・・・ GLV、24R,24G,24B・・・ リボン列、25・・・ 体積型ホログラム素子、25a・・・ 第1体積型ホログラム素子、25b・・・ 第2体積型ホログラム素子、26・・・ ガルバノミラー、27・・・ 投影レンズ、31・・・ 透明基板、32・・・ 三原色光透過層、41・・・ 支持基材
Claims (20)
- 三原色の光を含む投影光を受けて画像が投影される投影用スクリーンであって、
三原色の光を反射する三原色光反射層と、
この三原色光反射層で反射された光を拡散させる拡散層と、
この拡散層の表面に設けられた反射防止層と
を備えたことを特徴とする投影用スクリーン。 - 前記三原色光反射層は黒色基板の上に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の投影用スクリーン。 - 前記反射防止層は、三原色の光の波長を含む波長領域においては反射率が0.5%以下である
ことを特徴とする請求項1記載の投影用スクリーン。 - 前記反射防止層は、高屈折率膜と、前記高屈折率膜より低い屈折率を有する低屈折率膜とが交互に積層された多層膜である
ことを特徴とする請求項1記載の投影用スクリーン。 - 前記高屈折率膜は、Nb2 O5 、TiO2 またはTa2 O5 からなる
ことを特徴とする請求項4記載の投影用スクリーン。 - 前記低屈折率膜は、SiO2 またはMgF2 からなる
ことを特徴とする請求項4記載の投影用スクリーン。 - 前記反射防止層は、Nb2 O5 からなる第1高屈折率膜、SiO2 からなる第1低屈折率膜、Nb2 O5 からなる第2高屈折率膜、および、SiO2 からなる第2低屈折率膜がこの順に積層された構成を有する
ことを特徴とする請求項4記載の投影用スクリーン。 - 三原色の光を含む投影光を受けて画像が投影される投影用スクリーンであって、
三原色の光を透過する三原色光透過層と、
この三原色光透過層を透過した光を拡散させる拡散層と、
この拡散層の表面に設けられた反射防止層と
を備えたことを特徴とする投影用スクリーン。 - 前記三原色光透過層は透明基板の上に形成されている
ことを特徴とする請求項8記載の投影用スクリーン。 - 前記反射防止層は、前記三原色の光の波長を含む波長領域においては反射率が0.5%以下である
ことを特徴とする請求項8記載の投影用スクリーン。 - 前記反射防止層は、高屈折率膜と、前記高屈折率膜より低い屈折率を有する低屈折率膜とが交互に積層された多層膜である
ことを特徴とする請求項8記載の投影用スクリーン。 - 前記高屈折率膜は、Nb2 O5 、TiO2 またはTa2 O5 からなる
ことを特徴とする請求項11記載の投影用スクリーン。 - 前記低屈折率膜は、SiO2 またはMgF2 からなる
ことを特徴とする請求項11記載の投影用スクリーン。 - 前記反射防止層は、Nb2 O5 からなる第1高屈折率膜、SiO2 からなる第1低屈折率膜、Nb2 O5 からなる第2高屈折率膜、および、SiO2 からなる第2低屈折率膜がこの順に積層された構成を有する
ことを特徴とする請求項11記載の投影用スクリーン。 - 三原色の光を含む投影光を受けて画像が投影される投影用スクリーンの製造方法であって、
基板の表面に、三原色の光を反射または透過する三原色光選別層を形成する工程と、
前記三原色光選別層の上に光拡散層を形成する工程と、
前記拡散層の上に反射防止層を形成する工程と
を含むことを特徴とする投影用スクリーンの製造方法。 - 前記反射防止層をスパッタリング法によって形成する
ことを特徴とする請求項15記載の投影用スクリーンの製造方法。 - 前記反射防止層を蒸着法によって形成する
ことを特徴とする請求項15記載の投影用スクリーンの製造方法。 - 前記反射防止層を塗布法によって形成する
ことを特徴とする請求項15記載の投影用スクリーンの製造方法。 - 前記反射防止層を支持基材の上に形成し、前記支持基材を接着剤を介して前記基板に貼り付ける
ことを特徴とする請求項15記載の投影用スクリーンの製造方法。 - 前記反射防止層は、三原色の光の波長を含む波長領域においては反射率が0.5%以下である
ことを特徴とする請求項15記載の投影用スクリーンの製造方法。
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Cited By (2)
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US7710645B2 (en) | 2007-06-29 | 2010-05-04 | Bose Corporation | Selective reflecting for laser projector |
US8081368B2 (en) | 2007-03-29 | 2011-12-20 | Bose Corporation | Selective absorbing |
-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002308065A patent/JP2004144883A/ja not_active Withdrawn
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