JP2004144680A - 細胞増殖を制御する物質のスクリーニング方法、及びSp1分子等をヌクレオリン(nucleolin)分子から解離させる物質のスクリーニング方法 - Google Patents

細胞増殖を制御する物質のスクリーニング方法、及びSp1分子等をヌクレオリン(nucleolin)分子から解離させる物質のスクリーニング方法 Download PDF

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許 南浩
Masakiyo Sakaguchi
阪口 政清
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難波 正義
Masahiro Miyazaki
宮崎 正博
Hidekazu Makino
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Abstract

【課題】S100CがDNA合成を抑制する仕組みを詳細に解析し、医学上および産業上有用な方法・物質を提供すること。
【解決手段】本発明は、S100Cの機能解析の結果得られた知見に基づきなされたものであり、Sp1分子をヌクレオリン分子から解離させる物質のスクリーニグ方法、Sp1分子活性化方法、Sp1分子活性化剤、細胞増殖を制御する物質のスクリーニグ方法、細胞増殖促進剤、細胞増殖抑制剤、細胞増殖性疾病の治療方法およびその治療薬を含むものである。本発明のスクリーニグ方法などは、薬剤開発などに利用でき、医学上および産業上有用なものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞増殖を制御する物質のスクリーニング方法、及びSp1分子等をヌクレオリン(nucleolin)分子から解離させる物質のスクリーニング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは、以前、正常ヒト線維芽細胞とその不死化株の発現タンパク質を二次元電気泳動で比較し、発現量に差があるタンパク質の1つとしてS100Cを同定した。S100Cは、Ca結合性を有するS100タンパク質ファミリーのメンバーでその詳細な機能は不明であった。そこで、ヒト線維芽細胞を用いてS100Cの機能を検討し、以下の1)〜3)の知見を得て下記の非特許文献1に発表した。
1) 正常ヒト線維芽細胞がコンフルエントになって増殖が止まる際に、S100Cはリン酸化され核に移行する。この増殖の接触阻止が起こりにくい不死化細胞株では、S100Cのリン酸化・核移行は見られなかった。
2) 接触阻止状態にある細胞の核に抗S100C抗体を注入すると、DNA合成が誘導された。
3) S100Cを核内に導入するとDNA合成が抑制され、それはp21、p16を介すると推定された。
【0003】
【非特許文献1】
M.Sakaguchi et al., The Journal of Cell Biology, Volume 149,Number 6, June 12, 2000 1193−1206。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の研究に基づき、S100CがDNA合成を抑制する仕組みをさらに詳細に解析し、医学上および産業上有用な方法・物質を提供することをその課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に鑑み、正常ヒト表皮角化細胞(NHK)とその自然形質転換株(HaCaT)とを用いて詳細なS100Cの機能解析を行った。そして、その結果得られた知見から、医学上または産業上有用な方法・物質として、下記A)〜P)の発明を完成するに至った。
【0006】
A) Sp1分子をヌクレオリン分子から解離させる物質のスクリーニング方法。
【0007】
B) 上記A)のスクリーニング方法において、下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質を用いることを特徴とする方法。
▲1▼ ヌクレオリン分子
▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜643番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体。
【0008】
C) 上記A)のスクリーニング方法において、下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質と、下記▲5▼〜▲8▼の何れかの物質とを用いることを特徴とする方法。
▲1▼ ヌクレオリン分子
▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜707番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
▲5▼ Sp1分子
▲6▼ Sp1分子の改変体
▲7▼ Sp1の部分タンパク質であって、Sp1のアミノ酸配列中、少なくとも541〜785番目の領域を含む部分タンパク質
▲8▼ 上記▲7▼の部分タンパク質の改変体。
【0009】
D) Sp3分子をヌクレオリン分子から解離させる物質のスクリーニング方法であって、(i) Sp3分子、当該Sp3の部分タンパク質、または、当該Sp3もしくはその部分タンパク質の改変体と、(ii) ヌクレオリン分子、当該ヌクレオリンの部分タンパク質、または、当該ヌクレオリンもしくはその部分タンパク質の改変体とを用いるスクリーニング方法。
【0010】
E) 細胞内でヌクレオリン分子と結合し不活化されたSp1分子またはSp3分子の活性化方法であって、ヌクレオリン分子と結合することでSp1分子またはSp3分子を当該ヌクレオリン分子から解離させる物質を細胞内に導入することにより、Sp1分子またはSp3分子を活性化させる方法。
【0011】
F) 上記E)のSp1分子またはSp3分子の活性化方法において、Sp1分子またはSp3分子をヌクレオリン分子から解離させる物質として、下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質を細胞内に導入することを特徴とする方法。
▲1▼ S100Cタンパク質
▲2▼ S100Cタンパク質の改変体
▲3▼ S100Cの部分タンパク質であって、S100Cのアミノ酸配列中、少なくとも1〜23番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体。
【0012】
G) 上記F)に記載の▲1▼〜▲4▼の何れかの物質を含んでなるSp1分子(またはSp3分子)活性化剤。
【0013】
H) 細胞増殖を制御する物質のスクリーニング方法であって、ヌクレオリン分子とS100C分子との結合を阻害する物質、または、Sp1分子をヌクレオリン分子から解離させる物質をスクリーニングする方法。
【0014】
I) 上記H)の方法における、ヌクレオリン分子とS100C分子との結合を阻害する物質のスクリーニング方法であって、下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質と、下記▲5▼〜▲8▼の何れかの物質とを用いることを特徴とする方法。
▲1▼ ヌクレオリン分子
▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜643番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
▲5▼ S100Cタンパク質
▲6▼ S100Cタンパク質の改変体
▲7▼ S100Cの部分タンパク質であって、S100Cのアミノ酸配列中、少なくとも1〜23番目の領域を含む部分タンパク質
▲8▼ 上記▲7▼の部分タンパク質の改変体。
【0015】
J) 上記H)の方法における、Sp1分子をヌクレオリン分子から解離させる物質のスクリーニング方法であって、下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質と、下記▲5▼〜▲8▼の何れかの物質とを用いることを特徴とする方法。
▲1▼ ヌクレオリン分子
▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜707番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
▲5▼ Sp1分子
▲6▼ Sp1分子の改変体
▲7▼ Sp1の部分タンパク質であって、Sp1のアミノ酸配列中、少なくとも541〜785番目の領域を含む部分タンパク質
▲8▼ 上記▲7▼の部分タンパク質の改変体。
【0016】
K) 上記H)〜J)の何れかに記載のスクリーニング方法を用いて得られた細胞増殖促進剤。
【0017】
L) 下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質を含有する上記K)記載の細胞増殖促進剤。▲1▼ ヌクレオリン分子
▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜643番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体。
【0018】
M) 上記D)、H)〜J)の何れかに記載のスクリーニング方法を用いて得られた細胞増殖抑制剤。
【0019】
N) 下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質を含有する上記M)記載の細胞増殖抑制剤。▲1▼ S100Cタンパク質
▲2▼ S100Cタンパク質の改変体
▲3▼ S100Cの部分タンパク質であって、S100Cのアミノ酸配列中、少なくとも1〜23番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体。
【0020】
O) 上記M)またはN)に記載の細胞増殖抑制剤を細胞内に導入することによる細胞増殖性疾病の治療方法。
【0021】
P) 上記M)またはN)に記載の細胞増殖抑制剤を含んでなる細胞増殖性疾病の治療薬。
【0022】
上記A)〜P)の各発明は、後述の実施例に示される詳細な機能解析の結果から得られた知見、とりわけ、(a) S100Cが核移行するためにはヌクレオリン分子と結合することが必要である点、(b) Sp1分子は、核内でヌクレオリン分子と結合して不活化されているが、S100Cが当該ヌクレオリン分子と結合することによってヌクレオリン分子から解離し活性化される点、(c) Sp1分子の活性化によって少なくともp21の発現レベルが上がり、細胞増殖が抑制される点、および、(d) Sp3分子もヌクレオリン分子と結合し、その結合がSp1分子と同様にS100Cによって阻害される点、などの知見に基づいてなされたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的態様について説明する。
【0024】
(1)Sp1分子をヌクレオリン(nucleolin)分子から解離させる物質のスクリーニング方法
ここで、「Sp1」および「ヌクレオリン」とは、主としてヒト由来のタンパク質を意味する。それぞれの模式的構造が図11(e)に示される。Sp1は785個のアミノ酸からなり、例えば下記文献1・2に記載されるものである。ヌクレオリンは707個のアミノ酸配列からなり、例えば下記文献3・4に記載されるものである。
文献1:Black, A.R., Black, J.D., Azizkhan−Clifford, J. (2001). Sp1 and kruppel−like factor family of transcription factors in cell growth regulation and cancer. J. Cell. Physiol. 188, 143−160.
文献2:Suske G. (1999). The Sp−family of transcription factors. Gene 238, 291−300.
文献3:Srivastava, M., and Pollard, H.B. (1999). Molecular dissection of nucleolin’s role in growth and cell proliferation: new insights. FASEBJ. 13, 1911−1922.
文献4:Ginisty, H., Sicard, H., Roger, B., and Bouvet, P. (1999). Structure and functions of nucleolin. J. Cell Sci. 112, 761−772。
【0025】
後述の実施例に示すように、Sp1分子は、核内でヌクレオリン分子と結合しているが、S100Cが当該ヌクレオリン分子と結合することによってヌクレオリン分子から解離する。また、Sp1とヌクレオリンとは、Sp1のセグメント3(Seg−3)領域とヌクレオリンのセグメント4(Seg−4)領域との間で結合し、S100Cとヌクレオリンとは、S100CのN末側(pepA)領域とヌクレオリンのセグメント3(Seg−3)領域との間で結合することも明らかにした(各領域の詳細は、後述する)。
【0026】
転写因子であるSp1は、ヌクレオリンから解離(リリース)され自由になると活性化され、p21やその他の遺伝子の発現を誘導し、ひいては種々の生物活性(生物作用)を誘導する。したがって、Sp1をヌクレオリンから解離させる物質は、薬剤の候補分子(創薬ターゲット)となり、医学上および産業上有用である。本発明は、このような物質のスクリーニグ方法を提供するものである。
【0027】
本発明のスクリーニング方法としては、物質間の結合の有無や解離の有無を調べる従来公知の種々の方法を適用することができ、特に限定されるものではないが、以下では、その一例について図1〜図3に基づき説明することとする。このスクリーニング方法は、S100C様の作用を示す物質のスクリーニング方法である。上記のように、S100Cは、ヌクレオリンと結合することで、Sp1をヌクレオリンから解離させる作用を有している。以下のスクリーニング方法は、このS100Cと同様に、ヌクレオリンと結合することでSp1をヌクレオリンから解離させる作用を示す物質を2段階のスクリーニングによって選抜する方法である。
【0028】
〔第1段階のスクリーニング〕
図1は、第1段階のスクリーニング方法を概略的に示す説明図である。この第1段階のスクリーニングでは、試験管内反応系(cell−free system)にて、S100Cとヌクレオリンとの結合を阻害する物質をスクリーニングする。上述のように、S100Cとヌクレオリンとは、S100CのpepA領域とヌクレオリンのSeg−3領域との間で結合することが分かっているので、スクリーニングには、S100Cの部分タンパク質であるpepAと、ヌクレオリンの部分タンパク質であるSeg−3(図中、Nucl−3)とを使用できる。pepAは、適当なタグ(図中、丸印)でエピトープ標識しておくとよい。
【0029】
大腸菌などで発現させたヌクレオリンのSeg−3(Nucl−3)をウェル底面に固着し、タグをつけたpepAと被検物質(図中、星印)とを混ぜてウェルに入れる。もし被検物質がS100CのpepAもしくはヌクレオリンのNucl−3と相互作用し、pepAとヌクレオリン(Nucl−3)との結合を阻害するものであれば(つまり、図1の1aの場合であれば)、洗浄後、抗タグ抗体ではpepAは検出されない。一方、もし被検物質がS100CのpepAとヌクレオリン(Nucl−3)との結合に関与しないものであれば(つまり、図1の1bの場合であれば)、洗浄後、抗タグ抗体によりpepAが検出される。このように、pepAの検出の有無により、S100Cとヌクレオリンとの結合を阻害する物質を検索することができる。
【0030】
〔第2段階のスクリーニング〕
第2段階では、第1段階で陽性であった物質(即ち、結合を阻害した物質)について、S100Cに代わってヌクレオリンと結合しSp1を遊離させる物質かどうかを検索する。図2は、この第2段階のスクリーニング方法を概略的に示す説明図である。Sp1とヌクレオリンとは、Sp1のSeg−3領域とヌクレオリンのSeg−4領域との間で結合することが分かっているので、今回のスクリーニングには、▲1▼ヌクレオリンのSeg−3(図中、Nucl−3)とSeg−4(図中、Nucl−4)とからなるタンパク質、▲2▼Sp1のSeg−3領域からなるタンパク質(図中、Sp1−3)、および▲3▼S100CのpepAにタグをつけたタンパク質、を使用する。
【0031】
上記▲1▼のヌクレオリンの部分タンパク質(Seg−3とSeg−4とからなるタンパク質)を底面に固着し、これに上記▲2▼のSp1のSeg−3領域からなるタンパク質を予め結合しておく。そこに被検物質とpepAとの混合物を作用させ、洗浄後に、Sp1(Sp1−3)のヌクレオリン(Nucl−3+Nucl−4)への結合の有無を抗Sp1−3抗体によって検出する。被検物質は、第1段階で陽性であった物質であり、S100CのpepAもしくはヌクレオリンのNucl−3と相互作用すると考えられるが、相互作用しても、Sp1を遊離させる作用を持たないものであれば(つまり、図2の2aの場合であれば)、洗浄後、抗Sp1−3抗体によりSp1−3が検出される。一方、相互作用の結果、Sp1を遊離させるものであれば(つまり、図2の2bの場合であれば)、洗浄後、抗Sp1−3抗体ではSp1−3が検出されない。このようにして被検物質がSp1を遊離させる物質かどうかを検索する。
【0032】
加えるpepAの濃度を様々に変えて上記の実験を行い、各濃度において得られたSp1の結合度をプロットすると、被検物質が2aの場合であるか、2bの場合であるかに応じて、その軌跡が図3のグラフに示すように異なると考えられる。2aの場合は、被検物質はpepAが存在してもSp1を遊離させない、つまり、pepAの作用を抑制し、S100Cの機能をブロックする訳であるから、同グラフの2aに示す軌跡(カーブ)になる。一方、2bの場合は、ヌクレオリンと結合してSp1を遊離させる、つまりS100C様の作用を示す物質であるから、同グラフの2bに示す軌跡(カーブ)になる。
【0033】
このように、上記スクリーニング方法では、pepAの濃度0と適当な値(点線で示す)とでSp1の結合度を調べれば、S100C様の作用を示す物質と、S100Cの機能をブロックする物質との両方を同じ系でスクリーニングできることになる。また、第1段階で誤って陽性と判定された物質は、第2段階でコントロールと同じカーブ(図3参照)になるのでチェック可能である。
【0034】
ところで、上記スクリーニング方法は、2段階のスクリーニングによってS100C様の作用を示す物質(および、S100Cの機能をブロックする物質)を検索するものであるが、第2段階だけのスクリーニングとすることも可能である。上記のように2段階のスクリーニングとすると、多数の検体を絞り込んでいく能率はよくなる。一方、第2段階だけのスクリーニングとすると、ヌクレオリンのSeg−3領域以外の部位に結合して結果的にS100Cとヌクレオリンとの結合に影響を及ぼすような物質やSp1に直接働いて機能する物質など、創薬ターゲットとなり得る医学上および産業上有用な種々の物質が広く得られる可能性がある。
【0035】
上記スクリーニング方法では、ヌクレオリン、Sp1、S100Cの部分(断片)タンパク質を使用した。本発明のスクリーニング方法は、このように部分(断片)タンパク質を使用してもよいし、全長タンパク質を使用してもよい。具体的には、第1段階のスクリーニグでは、下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質と、下記▲5▼〜▲8▼の何れかの物質とを用いることができる。
▲1▼ ヌクレオリン分子
▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜643番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
▲5▼ S100Cタンパク質
▲6▼ S100Cタンパク質の改変体
▲7▼ S100Cの部分タンパク質であって、S100Cのアミノ酸配列中、少なくとも1〜23番目の領域を含む部分タンパク質
▲8▼ 上記▲7▼の部分タンパク質の改変体。
【0036】
上記▲3▼の「271〜643番目の領域」とは、ヌクレオリンのSeg−3領域に相当し、上記▲7▼の「1〜23番目の領域」とは、S100CのpepAの領域に相当する。
【0037】
本明細書において、「(タンパク質の)改変体」とは、当該タンパク質の1個または数個(好ましくは7個以下、より好ましくは5個以下、さらに好ましくは3個以下)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加された改変体をいい、後述のリン酸化相当体などを含む意味である。アミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加は、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異タンパク質作製法により人為的に行うことができる。また、「(タンパク質の)改変体」は、当該タンパク質がHis やMyc 等のタグによって標識される場合や、当該タンパク質を蛍光タンパク質(GFP・ルシフェラーゼ等)または他のタンパク質と融合させる場合、当該タンパク質にリン酸化や糖鎖結合等により修飾を施す場合などをも含む意味で用いている。
【0038】
第2段階のスクリーニグでは、下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質と、下記▲5▼〜▲8▼の何れかの物質とを用いることができる。
▲1▼ ヌクレオリン分子
▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜707番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
▲5▼ Sp1分子
▲6▼ Sp1分子の改変体
▲7▼ Sp1の部分タンパク質であって、Sp1のアミノ酸配列中、少なくとも541〜785番目の領域を含む部分タンパク質
▲8▼ 上記▲7▼の部分タンパク質の改変体。
【0039】
上記▲3▼の「271〜707番目の領域」とは、ヌクレオリンのSeg−3領域とSeg−4領域とを合わせた領域に相当し、上記▲7▼の「541〜785番目の領域」とは、Sp1のSeg−3領域に相当する。
【0040】
勿論、本発明のスクリーニング方法は、上記の方法に限定されるものではなく、これとは異なる種々の方法が適用可能である。例えば、上記の方法は、試験管内反応系(cell−free system)でのスクリーニング方法であったが、培養細胞等を用いて細胞内でスクリーニングを行ってもよい。一例として、Sp1が結合すると活性化するプロモーターに(ルシフェラーゼ遺伝子など)発現を容易に確認できる遺伝子をつないだものを細胞に導入し、その細胞に例えばS100C(またはpepA)をかけるとルシフェラーゼが発現して光るというアッセイ系を挙げることができる。具体的には、24ウエルのプレートに細胞をまいておいて、ルシフェラーゼ・プラスミドを導入し、24時間後にpepAまたは被検物質をかけて6時間後に細胞を溶かしてアッセイする。もし被検物質がS100C様の作用を示すものであれば、同様にルシフェラーゼの発現レベルが上がるので、容易に確認できる。この方法では、96ウエルプレートとロボット分注機を使えばかなりのハイスループット化も期待できる。
【0041】
そのほか、▲1▼ヌクレオリンのSeg−3領域をカラムに固定してこれと結合する物質を検索する方法や、▲2▼免疫沈降―免疫ブロット法を用いてヌクレオリンとS100Cとの結合を阻害する物質を検索する方法など、物質間の結合の有無や解離の有無を調べる従来公知の種々の方法を本発明のスクリーニング方法に適用可能である。
【0042】
また、Sp1をヌクレオリンから解離させる物質としては、(a) ヌクレオリンと結合することでSp1を当該ヌクレオリンから解離させる物質のほかに、(b) ヌクレオリンと結合することなくSp1をヌクレオリンから解離させる物質、も存在する可能性がある。本発明のスクリーニング方法は、何れの物質をスクリーニングする方法であってもよい。
【0043】
さらに、ヌクレオリン、Sp1、S100Cの各タンパク質について、ヒト以外のもの、例えば、マウスホモログやラットホモログ、その他の生物の各ホモログを用いてスクリーニングを行ってもよい。
【0044】
(2)Sp1分子活性化方法およびSp1分子活性化剤
上記(1)のスクリーニング方法によって得られた物質は、Sp1をヌクレオリンから解離させる作用を持つ訳であるから、Sp1分子活性化方法およびSp1分子活性化剤として利用することができる。物質の細胞への導入方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。
【0045】
また、後述の実施例に示すように、S100C(およびpepA)は、Sp1をヌクレオリンから解離させ、活性化させる作用を有することから、下記▲1▼〜▲4▼の物質はSp1分子活性化方法およびSp1分子活性化剤として利用可能である。
▲1▼ S100Cタンパク質
▲2▼ S100Cタンパク質の改変体
▲3▼ S100Cの部分タンパク質であって、S100Cのアミノ酸配列中、少なくとも1〜23番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体。
【0046】
上記▲1▼〜▲4▼の物質を細胞内に導入する方法としては、従来公知の遺伝子導入方法(エレクトロポレーション法・リポフェクション法など)やタンパク質(ペプチド)導入方法を適用することができ、特に限定されるものではない。
【0047】
(3)細胞増殖を制御する物質のスクリーニング方法
Sp1がヌクレオリンから遊離し活性化されると、p21の発現レベルが上がり、その結果、細胞増殖が抑制され、あるいは細胞死が誘導される。したがって、S100C様の作用を示し、Sp1をヌクレオリンから遊離させる物質は、細胞増殖抑制作用を有しており、一方、S100Cとヌクレオリンとの結合を阻害し、S100Cの機能をブロックする物質(換言すれば、S100Cの機能をブロックし、Sp1のヌクレオリンからの遊離を阻害する物質)は、細胞増殖促進作用を有しており、いずれも細胞増殖を制御する物質ということができる。
【0048】
このような細胞増殖を制御する物質のスクリーニング方法は、▲1▼Sp1をヌクレオリンから解離させる物質をスクリーニングする方法、または、▲2▼ヌクレオリン分子とS100C分子との結合を阻害する物質をスクリーニングする方法であるから、上記(1)で説明した方法と同様の方法を挙げることができる。例えば、上記(1)で説明した2段階スクリーニング方法により「2a」と判定されれば、その被検物質はS100Cの機能をブロックし、細胞増殖促進作用を有するものである。一方、「2b」と判定されれば、その被検物質はSp1をヌクレオリンから遊離させ、細胞増殖抑制作用を有するものである。
【0049】
(4)細胞増殖促進剤および細胞増殖抑制剤
上記(3)のスクリーニング方法によって得られた物質は、細胞増殖促進作用または細胞増殖抑制作用を持つ訳であるから、細胞増殖促進剤または細胞増殖抑制剤として利用することができる。物質の細胞への導入方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。
【0050】
また、後述の実施例に示すように、S100Cはリン酸化されると、ヌクレオリンのSeg−3領域に結合する。したがって、S100Cのリン酸化酵素の基質となり得る物質は、S100Cのリン酸化を阻害し、細胞増殖促進剤として利用できる可能性がある。また、下記▲1▼〜▲4▼の物質は、細胞内に導入することによって内在性のヌクレオリンとS100Cとの結合を阻害し、細胞増殖促進剤として利用できる可能性がある。
▲1▼ ヌクレオリン分子
▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜643番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体。
【0051】
特に、ヌクレオリンの核移行シグナルを改変した改変体は、S100Cの核移行を阻害し、細胞増殖促進剤として利用できる可能性がある。
【0052】
また、下記▲1▼〜▲4▼の物質は、細胞内に導入することによってSp1をヌクレオリンから遊離させる作用を有することから、細胞増殖抑制剤として利用可能である。
▲1▼ S100Cタンパク質
▲2▼ S100Cタンパク質の改変体
▲3▼ S100Cの部分タンパク質であって、S100Cのアミノ酸配列中、少なくとも1〜23番目の領域を含む部分タンパク質
▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体。
【0053】
(5)細胞増殖性疾病の治療方法およびその治療薬
上記(4)の細胞増殖抑制剤は、細胞増殖性疾病の治療方法およびその治療薬に利用可能である。実際、後述の実施例に示すように、pepAを様々ながん細胞株に導入したところ、大部分の細胞株で細胞死を誘導した。したがって、pepA等の細胞増殖抑制剤をドラッグデリバリーシステム(DDS)等により、体内のがん細胞に効率よく導入することによって、治療効果が期待できる。
【0054】
(6)Sp3分子をヌクレオリン分子から解離させる物質のスクリーニング方法等
上記Sp1分子の構造によく似た仲間としてSp3分子が知られている(前記文献2参照)。このSp3は、p21のプロモーター領域に結合することを含め、Sp1と非常に近い機能を示すが、異なる働きも報告されている。
【0055】
本発明者らは、このSp3について解析したところ、下記1)〜3)の実験結果を得た。
1) Sp3もヌクレオリンと結合する。
2) Sp3とヌクレオリンとの結合は、Sp1の場合と同様、S100Cによって阻害される。
3) ゲルシフトアッセイで、高Caで培養したHaCaT細胞抽出液中のSp3はSp1と同様、p21のプロモーター領域に結合する(また、Sp3がp21の転写を活性化することは既に報告がある)。
【0056】
以上の結果から、Sp3は、Sp1と同様の機構で作用し、ヌクレオリンから遊離し自由になると活性化され、p21やその他の遺伝子の発現を誘導し、ひいては種々の生物作用を誘導すると考えられる。したがって、Sp3をヌクレオリンから解離させる物質は、薬剤の候補分子となり、その物質のスクリーニング方法は上記(1)のスクリーニング方法と同様に、医学上および産業上有用である。また、そのスクリーニング方法によって得られた物質は、Sp3分子活性化方法およびSp3分子活性化剤として、細胞増殖抑制剤として、さらに、細胞増殖性疾病の治療方法およびその治療薬として利用可能である。尚、このようなSp3をヌクレオリンから解離させる物質のスクリーニング方法、Sp3分子活性化方法およびSp3分子活性化剤、細胞増殖抑制剤、細胞増殖性疾病の治療方法およびその治療薬、の各具体的態様については、上記(1)〜(5)の説明と同様であり、ここではその説明を省略する。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の基礎をなす、正常ヒト表皮角化細胞(NHK)とその自然形質転換株(HaCaT)とを用いたS100Cの機能解析の結果について、図面を参照しながら説明する。
【0058】
〔実施例1:NHK細胞およびHaCaT細胞の高Caに対する反応〕
培地中のカルシウム(Ca)濃度を高めることは角化細胞の増殖を抑制し分化を誘導する方法としてよく知られている。これはまた生体内で起こる現象に非常に近いとも考えられている。しかし、その機構はよく分かっていなかった。そこでまず、NHK細胞およびHaCaT細胞の高Caに対する反応を確認した。その結果をまとめて図4に示す。
【0059】
図4の(a)は、培地中のCaイオンの濃度に応じて、細胞増殖がどのように変化するかを調べた結果を示すグラフである。同図(b)は、Ca濃度を上げた後、時間経過に従って細胞増殖がどのように変化するかを調べた結果を示すグラフであり、図中、○はNHK細胞、□はHaCaT細胞の結果を示す。細胞増殖の変化は、H−TdRの取り込みを指標に判断した。これらのグラフに示すように、NHK細胞およびHaCaT細胞いずれも、Ca濃度の上昇につれてH−TdRの取り込みが減少しており、Ca濃度を上げると細胞の増殖は抑制された。
【0060】
同図(c)は、培地中のCa濃度を上げた後、細胞内Ca濃度がどのように変化するかを調べた結果を示すグラフ、並びに、各Ca濃度における培地中のCaイオンの濃度分布を示す画像である。グラフ中、○はNHK細胞、□はHaCaT細胞の結果を示し、グラフ縦軸は、Ca濃度を上げた時点(0分)での細胞内Ca濃度を「1.0」とし、その相対値を示すものである。これらの結果に示すように、Ca濃度を上げると、両細胞共に細胞内Ca濃度が上昇した。
【0061】
〔実施例2:S100Cの細胞増殖抑制能とその機能に必要な領域の同定〕
次に、HaCaT細胞を用いて、S100Cの細胞増殖抑制能と、その機能に必要な領域について調べた。その結果をまとめて図5に示す。
【0062】
図5の(a)は、TAT−S100Cを培地に加えた後、同タンパク質の細胞内局在をウエスタンブロット法により調べた結果、並びに、培地中のTAT−S100Cの濃度に応じて、細胞増殖がどのように変化するかを調べた結果を示すグラフである。図中、「Cytoplasmic fr.」は細胞質の画分を、「Nuclear fr.」は核内タンパク質の画分を、「end.S100C」は、内在性のS100Cをそれぞれ示す。「TAT−GST」は対照用である。また、TATは、タンパク質の細胞内導入を助けるペプチドである。
【0063】
上記実験の結果、図に示されるように、TAT−S100Cを培地に加えると、核内にも移行し、その結果DNA合成が抑制(即ち、細胞増殖が抑制)された。
【0064】
図5の(b)は、S100Cを二次構造に配慮しつつ6つの部分ペプチド(ペプチドA〜F)に分割し、何れの部分が増殖抑制作用に必要か調べた結果を示すグラフである。上記ペプチドA〜F(以下、pepA〜pepFという)の各アミノ酸配列についても合わせて同図に示される。図中、アミノ酸配列の右側の数字は、S100Cにおけるアミノ酸残基の位置(N末から数えて何番目から何番目に位置するか)を示す。*印は、後述するように、リン酸化部位と同定されたアミノ酸残基を示す。グラフに示されるように、6つのペプチドpepA〜pepFのうち、N末部分のpepAだけが増殖抑制作用を示した。
【0065】
以上のように、S100Cを導入するとHaCaT細胞の増殖は抑制され、その抑制機能はS100Cを6つの部分に分割するとN末部分のpepAに担われていた。
【0066】
〔実施例3:S100CとCaによる増殖抑制との関連性、及びS100Cのリン酸化部位の同定〕
S100CがCaによる増殖抑制と何らかの関連性があるかどうかを検討した。あわせて、S100Cのリン酸化部位を同定した。その結果を図6および図7に示す。
【0067】
図6の(a)は、NHK細胞およびHaCaT細胞において、Ca濃度に応じてS100Cのリン酸化がどのように変化するかを免疫沈降―免疫ブロット法により調べた実験結果であり、図中、矢印はリン酸化されたS100Cを示す。また、「32P−S100C」は、32Pにより標識されリン酸化されたS100Cを示し、「β−Actin」は、対照用で各レーンのタンパク質がほぼ同量であることを示し、「Low」「High」は、細胞密度を示す。同図に示すように、高Caで培養すると両細胞においてS100Cのリン酸化が亢進した。
【0068】
同図(b)は、上記各ペプチドpepA〜pepFを細胞抽出液と混合してリン酸化を調べた結果を示すグラフである。32Pにより標識された値を指標にリン酸化の有無を判断した。グラフに示すように、高Caで培養したときのみ、pepAとpepFとがリン酸化された。また、同図(c)は、pepAおよびpepFの何れのアミノ酸残基がリン酸化されるかを調べた結果であり、同図に示すように、リン酸化アミノ酸残基は、pepAではスレオニン(Thr)、pepFではセリン(Ser)であった。
【0069】
pepAには2つのスレオニン(T)が存在し、pepFにも2つのセリン(S)が存在する(図2(b)参照)。そこで、各アミノ酸をアスパラギン酸(D)に置換したペプチドを合成して何れのアミノ酸がリン酸化されるかを調べた。その結果を図7の(a)に示す。図中、上段はNHK細胞の結果を、下段はHaCaT細胞の結果を示す。左側のグラフは、pepAの8番目および10番目のスレオニン(T)について、両方ともスレオニンのままのもの(TT)、両方ともアスパラギン酸に置換したもの(DD)、一方をアスパラギン酸に置換したもの(DT,TD)、の結果であり、右側のグラフは、pepFにおける(S100CのN末から数えて)94番目および101番目のセリン(S)について、両方ともセリンのままのもの(SS)、両方ともアスパラギン酸に置換したもの(DD)、一方をアスパラギン酸に置換したもの(DS,SD)、の結果である。同図に示すように、pepAでは10番目のスレオニンが、pepFでは94番目のセリンがそれぞれリン酸化されることが分かった。
【0070】
図7の(b)(c)は、Ca濃度に応じてS100Cの核移行がどのように変化するかを調べた結果を示すものであり、同図に示すように、NHK細胞、HaCaT細胞いずれの場合も、細胞を高Caに曝すとS100Cは核に移行した。尚、図中、「Sol」「Insol」「Nuc」は、それぞれ、可溶性画分、不溶性画分、核内タンパク質画分を示し、「Cyclin D1」「β−Actin」は、対照用である。
【0071】
以上のように、高Ca条件下ではS100Cがリン酸化され、かつ核に移行することが分かった。
【0072】
〔実施例4:S100Cが核移行する機構の検討〕
次に、S100Cが核移行する機構を検討した。S100Cは核移行シグナルを持たないので、何らかのタンパク質と結合して移行するものと考え、結合タンパク質を探索した。その結果をまとめて図8に示す。
【0073】
図8の(a)は、S100CのpepA(但し、10番目のスレオニン(T)をアスパラギン酸(D)に置換したリン酸化相当体(TD))を固定したカラムにHaCaT細胞抽出液をアプライし、同pepAに結合するタンパク質を調べた結果であり、矢印で示すように、同pepAに結合したものに〜100kDaのタンパク質があった。そのバンドを切り出して部分的にアミノ酸配列を決定したところ、ヌクレオリンと一致した。逆に、ヌクレオリンタンパク質(Nucl−GST)を膜上に固定し細胞抽出液をアプライしたところ、S100Cが結合した(同図右)。
【0074】
図8の(b)には、pepAの何ら置換を施していないもの(wt)、10番目のスレオニン(T)をアスパラギン酸(D)に置換したリン酸化相当体(TD)、同スレオニン(T)をアラニン(A)に置換した非リン酸化体(TA)等のアミノ酸配列が示される。これらのペプチド及び同様の置換を施したS100Cとヌクレオリンとの結合を調べたところ、リン酸化相当体(TD)がヌクレオリンとの高い親和性を示した。
【0075】
図8の(c)に示すように、細胞を高Caに曝露し、細胞質(C)と核(N)の抽出物を用いて解析したところ、時間経過につれてS100Cがリン酸化し、ヌクレオリン(Nucl)と結合して核に移行することが明らかになった。また、同じ実験で、予めフォスファターゼにより脱リン酸化させておくと、S100Cとヌクレオリンとの結合が低下した(図8(d)の「+」レーン参照)。
【0076】
さらに、膜透過性を亢進させた細胞を用いた核移行アッセイ系において、加える細胞質からヌクレオリンを抗体(anti−Nucl)によって予め取り除いておくと、蛍光ラベルしたS100Cの核移行が妨げられた(図8(e)参照)。
【0077】
以上のように、S100Cの結合タンパク質としてヌクレオリンが同定された。ヌクレオリンの非存在下ではS100Cは核に移行できなかった。
【0078】
〔実施例5:核移行したS100Cによる増殖抑制メカニズムの検討〕
次に、核に移行したS100Cがどのようにして増殖を抑制するのかを検討した。具体的には、既に増殖に抑制的に働くことが知られているCdkインヒビターをスクリーニングしたところ、p21とp16が誘導され、そのうちp21が主要な役割を果たすことが明らかになった。結果を図9および図10に示す。
【0079】
図9の(a)(b)に示すように、NHK細胞、HaCaT細胞共に、高Ca処理、S100Cの導入によって、p21とp16が誘導された。
【0080】
図9の(c)に示すように、TAT−S100Cを細胞内に導入してp21が誘導された状態にした後、抗S100C抗体(Anti−S100C)を導入するとp21タンパク質が減少し、それに伴ってCdk2活性が回復した。この結果は、p21の誘導が確かにS100Cによるものであることを示すものである。尚、Cdk2活性の回復は、試験管内でのヒストンH1のリン酸化を指標に判断した。
【0081】
図9の(d)に示すように、S100Cのp21誘導作用は、pepAによって担われていることが明らかになった。これに対して、pepEにはp21の誘導能が認められなかった。
【0082】
図10の(a)に示すように、p21の誘導作用はpepAのリン酸化相当体(TD)で強く、非リン酸化体(TA)ではその作用はなかった。この結果は、ヌクレオリンとの親和性の結果(図8(b)参照)とよく符合するものである。
【0083】
図10の(b)に示すように、TAT−S100Cを細胞内に導入するとDNA合成が抑制される。それは抗S100C抗体を一緒に入れることによって回復する。さらに、抗p21抗体ではDNA合成は回復するが、抗p16抗体では回復しなかった。この結果は、S100CのDNA合成抑制作用にはp21が主要な役割を果たしていることを示すものである。Cdk2活性を調べても、この結論と一致する結果が得られた(図10(c)参照)。
【0084】
〔実施例6:S100Cによるp21誘導メカニズムの検討〕
次に、S100Cがどのような機構でp21を誘導するのかを検討した。抗体メンブレンを用いてスクリーニングしたところ、ヌクレオリンと結合し、その結合がS100Cによって抑制されるタンパク質としてSp1が同定された。Sp1はp21の発現を誘導する転写因子であることが分かっている。それぞれの部分タンパク質を用いて、結合領域を決定した。結局、低CaではSp1はヌクレオリンと結合して不活化状態にあり、高CaでS100Cがヌクレオリンと結合すると、Sp1がヌクレオリンから離れ、自由になったSp1がp21のプロモーターに働いてp21レベルを上げることが分かった。結果をまとめて図11に示す。
【0085】
図11の(a)は、抗体メンブレンの結果である。矢印がヌクレオリンと結合し、その結合がS100Cの同時添加によって抑制されるスポットを示す。それはSp1であった。GST−S100C、GSTはバックグラウンドのコントロールである。
【0086】
図11の(b)に示すように、メンブレン上にS100C(GST−S100C)とヌクレオリン(GST−Nucl)とを固定して細胞抽出液をかけたところ、Sp1はヌクレオリンには結合したが、S100Cには結合しなかった。
【0087】
図11の(c)に示すように、細胞抽出液を免疫沈降し、それをウエスタン法で解析したところ、抗ヌクレオリン抗体(Anti−Nucl)で免疫沈降すると低CaではSp1が検出できたが、高Caではリン酸化されたS100Cが結合していた。予め脱リン酸化しておくと、S100Cの結合能力はなくなり、再びSp1が結合した(Al−P「+」のレーン参照)。抗Sp1抗体(Anti−Sp1)で免疫沈降した場合も、このような結合の変動を支持する結果を得た。
【0088】
Sp1及びヌクレオリンの各部分タンパク質とS100Cとを用いて、各タンパク質間の結合部位を確定した。その結果を図11の(d)に示す。図中、Sp1のSeg−1、Seg−2、Seg−3の各セグメントは、同図(e)のSp1の模式的構造中の下線1,2,3に対応する。同様に、ヌクレオリンのSeg−1、Seg−2、Seg−3、Seg−4の各セグメントは、同図(e)のヌクレオリンの模式的構造中の下線1,2,3,4に対応する。S100CのpepA〜pepFの各領域も合わせて同図に示される。
【0089】
上記実験の結果、図11の(d)に示すように、Sp1のSeg−3がヌクレオリンのSeg−4に、S100CのpepAがヌクレオリンのSeg−3に結合することが分かった。
【0090】
〔実施例7:経路のまとめと生体内でのS100C作用の考察〕
図12の(a)には、これまでの実験結果から明らかにされた高Caによるヒト表皮角化細胞の増殖抑制経路の模式図を示す。
【0091】
ヒト表皮角化細胞の増殖抑制機構は他にもいろいろな経路が提唱されている。S100C経路の相対的意義を検討するため、抗S100C抗体(S100C Ab)を用いて増殖がどの程度回復するかを調べたところ、〜70%の回復が見られた(図12(b)参照)。尚、細胞増殖は、チミジン(Thymidine)の取り込みを指標に判断した。この結果は、S100Cが唯一ではないにせよ、主要な増殖抑制メディエイターであることを示すものである。
【0092】
図12の(c)は、ノーザンブロット解析によりS100Cがヒトの何れの組織・器官で発現しているかを調べた結果であり、同図に示すように、S100Cは心臓、脾臓、腎臓、肝臓などヒトの様々な組織で発現していた。
【0093】
また、生体内表皮組織におけるS100Cの役割を検討した。その結果を図13に示す。S100Cは基底層のみで核に存在せず、その上層からは核にも検出された(同図左)。この結果は、表皮では増殖細胞は基底層のみに存在することとよく符合する。p21の染色では、S100Cが核に検出される細胞においてp21が検出された(同図右)。以上の結果は、上記模式図に示す経路が生体内で働くことを支持するものである。
【0094】
〔実施例8:細胞増殖性疾病に対するpepAの治療効果の検討〕
以上の結果から、S100C、特にpepAがp21を誘導し、細胞の増殖抑制を起こすことが分かった。p21は可逆的な増殖抑制のほかに、状況によっては細胞死(アポトーシス)を起こすことが知られている。そこで、pepAをがんを含む細胞増殖性疾病の治療に応用する可能性を探るため、培養がん細胞株に対する効果を調べた。その結果を図14に示す。
【0095】
図14の(a)に示すように、TAT−pepAをヒト皮膚由来扁平上皮がん細胞株A−431に作用させたところ、時間経過に従って生細胞が減少した。他の部位のペプチドpep−Coではその作用は見られなかった。
【0096】
図14の(b)に示すように、様々ながん細胞株に対するTAT−pepAの作用を調べたところ、TAT−pepAは大部分の細胞株で細胞死を誘導することが分かった。図中、「BSCC−93」「HSC−5」「DJM−1」はヒト皮膚由来扁平上皮がん細胞株を、「MMAc」はメラノーマ細胞株を、「A−549」は肺がん細胞株を、「PK−8」は膵がん細胞株を、「MCF−7」は乳がん細胞株をそれぞれ示す。
【0097】
【発明の効果】
本発明は、以上のように、Sp1分子をヌクレオリン分子から解離させる物質のスクリーニング方法などを提供するものであり、薬剤開発などに利用でき、医学上および産業上有用なものである。
【0098】
例えば、転写因子であるSp1分子は、前述したp21以外にも、▲1▼血小板由来増殖因子PDGF、▲2▼細胞外基質fibronectin、▲3▼基質への結合タンパク質インテグリンα5、および、▲4▼ビタミンD受容体が標的分子として知られている(下記文献1〜4参照)。このように、Sp1分子をヌクレオリン分子から解離させ活性化させることは、各種の遺伝子発現を誘導し、種々の重要な生物作用を誘導すると考えられる。したがって、Sp1分子をヌクレオリン分子から解離させる物質は、薬剤の候補分子(創薬ターゲット)となり、医学上および産業上有用なものである。
[文献1:血小板由来増殖因子PDGF]
Molander, C., Hackzell, A., Ohta, M., Izumi, H., and Funa, K. (2001). Sp1 is a key regulator of the PDGF beta−receptor transcription. Mol. Biol.Rep. 28, 223−233.
[文献2:細胞外基質fibronectin]
Suzuki, M., Kuroda, C., Oda, E., Tsunoda, S., Nakamura, T., Nakajima, T., and Oda, K. (1995). G10BP, an E1A−inducible negative regulator of Sp1,repress transcription of the rat fibronectin gene. Mol. Cell. Biol. 15,5423−5433.
[文献3:基質への結合タンパク質インテグリンα5]
Larouche, K., Leclerc, S., Salesse, C., and Guerin, S.L. (2000). Expression of the alpha 5 integrin subunit gene promoter is positively regulated by the extracellular matrix component fibronectin through the transcription factor Sp1 in corneal epithelial cells in vitro. J. Biol. Chem. 275, 39182−39192.
[文献4:ビタミンD受容体]
Miyamoto, K., Kesterson, R.A., Yamamoto, H., Taketani, Y., Nishiwaki, E., Tatsumi, S., Inoue, Y., Morita, K., Takeda, E., and Pike, J.W. (1997).Structural organization of the human vitamin D receptor chromosomal gene and its promoter. Mol. Endocrinol. 11, 1165−1179。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るスクリーニング方法を説明する図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るスクリーニング方法を説明する図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係るスクリーニング方法を説明するグラフである。
【図4】(a)〜(c)は、NHK細胞およびHaCaT細胞の高Caに対する反応を調べた結果を示す図である。
【図5】(a)・(b)は、HaCaT細胞を用いて、S100Cの細胞増殖抑制能と、その機能に必要な領域について調べた結果を示す図である。
【図6】(a)〜(c)は、S100CとCaによる増殖抑制との関連性、及びS100Cのリン酸化部位について調べた結果を示す図である。
【図7】(a)〜(c)は、S100CとCaによる増殖抑制との関連性、及びS100Cのリン酸化部位について調べた結果を示す図である。
【図8】(a)〜(e)は、S100Cが他のタンパク質と結合して核移行する機構を検討した結果を示す図である。
【図9】(a)〜(d)は、核移行したS100Cによる細胞増殖抑制メカニズムの検討結果を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、核移行したS100Cによる細胞増殖抑制メカニズムの検討結果を示す図である。
【図11】(a)〜(e)は、S100Cによるp21誘導メカニズムの検討結果を示す図である。
【図12】(a)〜(c)は、高Caによるヒト表皮角化細胞の増殖抑制経路の模式図、及び、生体内でのS100Cの作用とその発現分布について調べた結果を示す図である。
【図13】生体内表皮組織におけるS100Cの役割を検討した結果を示す図である。
【図14】(a)・(b)は、培養がん細胞株に対するpepAの効果を調べた結果を示すグラフである。

Claims (16)

  1. Sp1分子をヌクレオリン分子から解離させる物質のスクリーニング方法。
  2. 下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質を用いることを特徴とする請求項1記載のスクリーニング方法。
    ▲1▼ ヌクレオリン分子
    ▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
    ▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜643番目の領域を含む部分タンパク質
    ▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
  3. 下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質と、下記▲5▼〜▲8▼の何れかの物質とを用いることを特徴とする請求項1記載のスクリーニング方法。
    ▲1▼ ヌクレオリン分子
    ▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
    ▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜707番目の領域を含む部分タンパク質
    ▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
    ▲5▼ Sp1分子
    ▲6▼ Sp1分子の改変体
    ▲7▼ Sp1の部分タンパク質であって、Sp1のアミノ酸配列中、少なくとも541〜785番目の領域を含む部分タンパク質
    ▲8▼ 上記▲7▼の部分タンパク質の改変体
  4. Sp3分子をヌクレオリン分子から解離させる物質のスクリーニング方法であって、(i) Sp3分子、当該Sp3の部分タンパク質、または、当該Sp3もしくはその部分タンパク質の改変体と、(ii) ヌクレオリン分子、当該ヌクレオリンの部分タンパク質、または、当該ヌクレオリンもしくはその部分タンパク質の改変体とを用いるスクリーニング方法。
  5. 細胞内でヌクレオリン分子と結合し不活化されたSp1分子またはSp3分子の活性化方法であって、ヌクレオリン分子と結合することでSp1分子またはSp3分子を当該ヌクレオリン分子から解離させる物質を細胞内に導入することにより、Sp1分子またはSp3分子を活性化させる方法。
  6. Sp1分子またはSp3分子をヌクレオリン分子から解離させる物質として、下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質を細胞内に導入することを特徴とする請求項5記載のSp1分子またはSp3分子の活性化方法。
    ▲1▼ S100Cタンパク質
    ▲2▼ S100Cタンパク質の改変体
    ▲3▼ S100Cの部分タンパク質であって、S100Cのアミノ酸配列中、少なくとも1〜23番目の領域を含む部分タンパク質
    ▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
  7. 請求項6記載の▲1▼〜▲4▼の何れかの物質を含んでなるSp1分子(またはSp3分子)活性化剤。
  8. 細胞増殖を制御する物質のスクリーニング方法であって、ヌクレオリン分子とS100C分子との結合を阻害する物質、または、Sp1分子をヌクレオリン分子から解離させる物質をスクリーニングする方法。
  9. ヌクレオリン分子とS100C分子との結合を阻害する物質のスクリーニング方法であって、下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質と、下記▲5▼〜▲8▼の何れかの物質とを用いることを特徴とする請求項8記載のスクリーニング方法。
    ▲1▼ ヌクレオリン分子
    ▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
    ▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜643番目の領域を含む部分タンパク質
    ▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
    ▲5▼ S100Cタンパク質
    ▲6▼ S100Cタンパク質の改変体
    ▲7▼ S100Cの部分タンパク質であって、S100Cのアミノ酸配列中、少なくとも1〜23番目の領域を含む部分タンパク質
    ▲8▼ 上記▲7▼の部分タンパク質の改変体
  10. Sp1分子をヌクレオリン分子から解離させる物質のスクリーニング方法であって、下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質と、下記▲5▼〜▲8▼の何れかの物質とを用いることを特徴とする請求項8記載のスクリーニング方法。
    ▲1▼ ヌクレオリン分子
    ▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
    ▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜707番目の領域を含む部分タンパク質
    ▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
    ▲5▼ Sp1分子
    ▲6▼ Sp1分子の改変体
    ▲7▼ Sp1の部分タンパク質であって、Sp1のアミノ酸配列中、少なくとも541〜785番目の領域を含む部分タンパク質
    ▲8▼ 上記▲7▼の部分タンパク質の改変体
  11. 請求項8〜10の何れか1項に記載のスクリーニング方法を用いて得られた細胞増殖促進剤。
  12. 下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質を含んでなる請求項11記載の細胞増殖促進剤。
    ▲1▼ ヌクレオリン分子
    ▲2▼ ヌクレオリン分子の改変体
    ▲3▼ ヌクレオリンの部分タンパク質であって、ヌクレオリンのアミノ酸配列中、少なくとも271〜643番目の領域を含む部分タンパク質
    ▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
  13. 請求項4、8〜10の何れか1項に記載のスクリーニング方法を用いて得られた細胞増殖抑制剤。
  14. 下記▲1▼〜▲4▼の何れかの物質を含んでなる請求項13記載の細胞増殖抑制剤。
    ▲1▼ S100Cタンパク質
    ▲2▼ S100Cタンパク質の改変体
    ▲3▼ S100Cの部分タンパク質であって、S100Cのアミノ酸配列中、少なくとも1〜23番目の領域を含む部分タンパク質
    ▲4▼ 上記▲3▼の部分タンパク質の改変体
  15. 請求項13または14記載の細胞増殖抑制剤を細胞内に導入することによる細胞増殖性疾病の治療方法。
  16. 請求項13または14記載の細胞増殖抑制剤を含んでなる細胞増殖性疾病の治療薬。
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JP2008501690A (ja) * 2004-06-03 2008-01-24 スミスクライン ビーチャム (コーク) リミテッド がんの治療方法

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