JP2004144332A - 空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【課題】揮散性薬剤徐放部材を予め固定保持する設計になっていない既存製品に対しても有効な位置に固定保持できる方法を提供するものである。
【解決手段】少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により温度調節された風を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を前記熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記フィルターの上流方向からの部材Bとの組合せで前記フィルターに固定保持される空気調和機である。
【選択図】 図2
【解決手段】少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により温度調節された風を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を前記熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記フィルターの上流方向からの部材Bとの組合せで前記フィルターに固定保持される空気調和機である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮散性の薬剤を湿度変化によって徐放させる揮散性薬剤徐放部材を備えた空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な空気調和機は、ケーシングの前面および上面に空気の吸い込み口を、底面に空気の吹き出し口をそれぞれ形成し、このケーシングの内部に、網目状プレフィルターと熱交換器と送風ファンとを収納し、送風ファンにより吸い込み口から吸い込んだ空気を熱交換器により熱交換させた後、吹き出し口より吹き出す構成になっている。そして、吸い込み口から吹き出し口に至る空気通路にはカビが繁殖し易いので、その繁殖を抑制する防カビ処理が施される。
【0003】
従来の防カビ処理技術としては、カビが繁殖しやすい網目状プレフィルターや送風ファンに直接防カビ処理をする方法や揮散性防カビ薬剤を充填した揮散性薬剤徐放部材を配設する技術が開示されている。網目状プレフィルターや送風ファンに直接防カビ処理をしてもほこり等が堆積することによってほこりの中からカビが繁殖してしまうこともあって、利用者には揮散性薬剤徐放部材のほうが好まれる傾向にある。したがって新製品の場合には揮散性薬剤徐放部材を最適な場所に固定保持できるような設計が当然されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−248852号公報(第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、既存の製品に対して揮散性薬剤徐放部材を後付けにて固定保持して揮散性薬剤を有効に作用させられるような方法がなかった。
【0006】
本発明は、このような従来から市場に出している製品に対して、揮散性薬剤徐放部材を有効な位置に配して使用するための固定方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により温度調節された風を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を前記熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記フィルターの上流方向からの部材Bとの組合せで前記フィルターに固定保持される空気調和機である。
【0008】
上記構成により、揮散性薬剤徐放部材は部材Aで接合されるとともに、部材Bと部材Aがフィルターをサンドイッチすることで、揮散性薬剤徐放部材の位置もずれることなく固定される。さらにフィルターを掃除する頻度は揮散性薬剤徐放部材の寿命期間よりも短いので定期的に、揮散性薬剤徐放部材をフィルターから外す必要がある。それに対しても部材Bと部材Aとの組合せ構造とすることで十分な掃除繰り返し回数を保証することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により熱交換された空気を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記部材Aはベースシート上に多数の支柱を配し、前記支柱の先端に前記支柱よりも巾が大きな突起部を有し、前記フィルターの下流方向から前記部材Aの突起部から支柱部分を前記フィルターの網目部へ挿入することで固定保持される空気調和機である。
【0010】
請求項2記載の発明は、少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により熱交換された空気を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を前記熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記フィルターの上流側に部材Bを配し、前記部材Aあるいは前記部材Bはベースシート上に多数の支柱を配し、前記支柱の先端に前記支柱よりも巾が大きな突起部を有し、前記フィルターの網目部へ前記部材Aあるいは前記部材Bの突起部から支柱部分を挿入後、突起部を前記部材Bあるいは前記部材Aと嵌合させた状態で固定保持される空気調和機である。
【0011】
請求項3記載の発明は、少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により熱交換された空気を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を前記熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記フィルターの上流側に部材Bを配し、前記部材Aあるいは前記部材Bはどちらか一方が弾性を有する発泡体であり、もう一方の前記部材Bあるいは前記部材Aはベースシート上に多数の支柱を有し、前記フィルターの網目部へ前記部材Aあるいは前記部材Bの支柱部を挿入後、前記弾性を有する発泡体に支柱部が圧入された状態で固定保持される空気調和機である。
【0012】
請求項4記載の発明は、突起部がきのこ状あるいはボール状である空気調和機である。
【0013】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施例1)
図1は、本実施例を示す空気調和機の室内機断面構成図である。吸い込みグリル1、2を通じて室内空気を吸い込み、吸い込んだ空気は網目状プレフィルター3を通過し、熱交換器4、5によって冷却、除湿された後、クロスフローファン6によって吸い込み送風されながら、最終吹出し口7から室内空間に冷風を提供する。吹出し口7には上下偏向羽根8が配設され、室内空間への吹出し方向をコントロールしている。この時、熱交換器4、5によって除湿された結露水は熱交換器アルミニウムフィンをつたって、ドレンパン部9、10へと至る。ドレンパン部9は室内機台枠11に一体物として構成され、ドレンパン部10は吹出しグリル12に一体物として構成される。ドレンパン部9に溜まった結露水は台枠11を介してドレンパン部10側に流れて水受けされ、最終的にはドレン口(図示せず)を経由して外部へと排出される。熱交換器4、5のアルミニウムフィンには熱交換性能の高効率化を図るため、縦スリットが設けられた構造を有している。そのために結露した水はスリット部で表面張力によって水膜を形成して、ドレンパン部9、10へとすぐには滴下し難い構造のため、アルミニウムフィンが乾くスピードが遅くなってしまう。たとえば25℃、相対湿度90%の環境雰囲気では、熱交換器アルミニウムフィンが乾くのに数十時間を要してしまい、なかなか乾燥しない。この時室内機空間、特に熱交換器4,5で構成される送風回路内部は相対湿度95%以上の雰囲気に曝され、カビが非常に繁殖しやすい環境条件となっている。13は揮散性薬剤徐放部材であり、熱交換器5に近接した中位上流側に配置され、揮散性薬剤徐放部材13の湿度感受性膜側が熱交換器に向かい合う構成とし、熱交換器5アルミニウムフィンと揮散性薬剤徐放部材13の湿度感受性膜側との間隔は約3mm程度にした。
【0015】
図2は網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す正面図であり、図3は網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示すための図2におけるAライン断面図である。また図4は図3の要部α拡大図である。網目状プレフィルター3の下流側に部材Aとなるファスナー14が配置され、ファスナー14はベースシートがナイロン製で、片面に多数の支柱を配し、その先端にはボール状の突起部を有している。網目状プレフィルター3の目開きは0.6mmであり、プレフィルター繊維同士は交点溶着されていない。揮散性薬剤徐放部材13はファスナー14で片面接着され、ボール状突起部を有した側はボール状突起部から支柱にかけての部分が網目状プレフィルター3の網目部を貫通した状態となっている。ボール状突起部の大きさはφ0.7mmであり、支柱はφ0.3mmであり、ベースシートから突起部先端までの高さは2.5mmである。網目状プレフィルター3の上流側には部材Bとなる凹部を有するウレタンスポンジ製ファスナー15が配置され、厚みは1.3mmである。網目状プレフィルター3の網目部を貫通したファスナー14のボール状突起部がファスナー15の凹部へと挿入された状態となっている。これによってファスナー14の位置はずれることなく一定の場所に固定保持される。またボール状突起部がファスナー15の凹部へと挿入された状態となっているので網目状プレフィルター3からボール状突起部が外れることもない。さらに網目状プレフィルター3を2週間あるいは1ヵ月に1回の頻度で掃除する時にはファスナー15をファスナー14から分離し、その後網目状プレフィルター3からボール状突起部分を外すことで揮散性薬剤徐放部材13を分離できる。接着剤を利用したテープ等を使用しない方法なので、繰り返してファスナー15とファスナー14を組み合わせて揮散性薬剤徐放部材13を網目状プレフィルター3に位置固定できた。
【0016】
次に揮散性薬剤徐放部材13の具体的な構成について説明する。131は揮散性薬剤となるアリルイソチオシアネートであり、アリルイソチオシアネートとセルロースエチルエーテルを重量比5:1で混合することによって増粘化させた状態で約10g充填されている。132はアリルイソチオシアネートの揮散制御膜となるラミネートフィルムのピロー包装体であり、一次制御膜となる。ポリプロピレン 30μmとポリエチレン 70μmとのラミネートフィルムに対してポリエチレン側をヒートシールにてピロー包装化したものである。133は二次制御膜を備えた四方ヒートシール包装体である。四方ヒートシール包装体133は二次制御膜を備えた湿度感受性膜133aと非透過性フィルム133bを四方ヒートシールして構成されている。湿度感受性膜133aはポリエチレン 20μm/ポリプロピレンフィルム 40μm上にレーヨン/パルプ不織布を介してビスコース膜を7g/m2の塗布量で形成させたものを使用した。非透過性フィルム133bはポリエチレン 20μm/ナイロン 40μm/アルミニウム箔 7μm/ポリエチレン 40μmからなるラミネート構造である。四方ヒートシール包装体133は30×150×5mmで四方をヒートシール巾5mmにて熱溶着されている。
【0017】
アリルイソチオシアネート131は一次制御膜を透過して揮散し、まず一次制御膜と二次制御膜との空間部で高濃度状態に保持される。湿度感受性膜133aによって低湿度の場合にはアリルイソチオシアネートの蒸気放出が抑制されるため高濃度状態のままで保持される。しかし湿度が高くなるとアリルイソチオシアネート蒸気が湿度感受性膜133aを通過して外部へと放出される。湿度感受性膜133aは湿度変化によって膜組織が膨潤し、緩んだ構造となり、アリルイソチオシアネート分子が透過して外部へと放出されやすくなる。この放出量分を補充するためにアリルイソチオシアネートが一次制御膜を透過して揮散する。このような構成の揮散性薬剤徐放部材によって、30℃、相対湿度95%条件にて湿度感受性膜から薬剤を60mg/日レベルで継続して放出させることが可能となる。
【0018】
空気調和機は冷房、除湿運転停止後、上下偏向羽根8が閉状態になるとともに、高湿度状態となった空気が室内機全体に充満して湿度感受性膜133aに達すると、揮散性薬剤徐放部材13の内部からアリルイソチオシアネートが熱交換器5側へ拡散し、アルミニウムフィン間を通過しながら、上下偏向羽根8が閉状態となっているので熱交換器4、5で構成された空間部等へと徐々に拡散、堆積して充満する。この結果室内機内部は熱交換器4、5で構成された空間底部で3〜5ppm程度、上部低濃度の空間でも1ppm以上のアリルイソチオシアネート蒸気を滞留させることが可能となる。アリルイソチオシアネートの閾値は10ppm程度であるので匂いを感じないレベルの滞留濃度である。これによって室内空間に存在するCladosporium、Alternaria、Aspergillus、Penicillium、Rhizopusと言った一般的なカビには十分な防カビ効果を得ることができた。
【0019】
(実施例2)
図5に本実施例を示す網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図である。揮散性薬剤徐放部材としては実施例1と同じものを使用したので説明は省略する。網目状プレフィルター16の下流側に部材Aとなるファスナー17が配置され、ファスナー17はベースシートがポリエチレン製で、ベースシート上にステンレスの短線が植毛された状態となっている。網目状プレフィルター16の目開きは0.6mmであり、ファスナー17のベースシートから突起部までの高さは2.5mmであり、ステンレス短線の線径はφ0.3mmである。揮散性薬剤徐放部材18はファスナー17で片面接着され、ステンレス短線の植毛部を有した側は網目状プレフィルター16の網目部を貫通した状態となっている。網目状プレフィルター16の上流側には部材Bとなる厚み2mmのポリプロピレンスポンジ部材19が配置されている。網目状プレフィルター16の網目部を貫通したファスナー17のステンレス短線の植毛部がポリプロピレンスポンジ部材19へと圧入された状態となっている。これによってファスナー17の位置はずれることなく一定の場所に固定される。またステンレス短線の植毛部がポリプロピレンスポンジ部材19へと圧入された状態となっているので網目状プレフィルター16からファスナー17が外れることもない。さらに網目状プレフィルター16を2週間あるいは1ヵ月に1回の頻度で掃除する時にはポリプロピレンスポンジ部材19をファスナー17から分離し、その後網目状プレフィルター3からファスナー17を外すことで揮散性薬剤徐放部材18を分離できる。接着剤を利用したテープ等を使用しない方法なので、繰り返してファスナー17とポリプロピレンスポンジ部材19を組み合わせて揮散性薬剤徐放部材18を網目状プレフィルター16に位置固定できた。
【0020】
(実施例3)
図6に本実施例を示す網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図である。揮散性薬剤徐放部材としては実施例1と同じものを使用したので説明は省略する。網目状プレフィルター20の下流側に部材Aとなる凹部を有するウレタンスポンジ製ファスナー21が配置され、厚みは1.3mmである。網目状プレフィルター20の目開きは0.6mmである。揮散性薬剤徐放部材22はファスナー21で片面接着されている。網目状プレフィルター3の上流側には部材Bとなるファスナー23が配置され、ファスナー23はベースシートがナイロン製で、片面に多数の支柱を配し、その先端にはボール状突起部を有している。ボール状突起部を有した側はボール状突起部から支柱にかけての部分が網目状プレフィルター20の網目部を貫通した状態となっている。ボール状突起部の大きさはφ0.7mmであり、支柱はφ0.3mmであり、ベースシートから突起部先端までの高さは2.5mmである。網目状プレフィルター20の網目部を貫通したファスナー23のボール状突起部がファスナー21の凹部へと挿入された状態となっている。これによってファスナー23の位置はずれることなく一定の場所に固定される。またボール状突起部がファスナー21の凹部へと挿入された状態となっているので網目状プレフィルター20からボール状突起部が外れることもない。さらに網目状プレフィルター20を2週間あるいは1ヵ月に1回の頻度で掃除する時にはファスナー23をファスナー21から分離し、その後網目状プレフィルター20からボール状突起部分を外すことで揮散性薬剤徐放部材22を分離できる。接着剤を利用したテープ等を使用しない方法なので、繰り返してファスナー23とファスナー21を組み合わせて揮散性薬剤徐放部材22を網目状プレフィルター20に位置固定できた。
【0021】
(実施例4)
図7に本実施例を示す網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図である。揮散性薬剤徐放部材としては実施例1と同じものを使用したので説明は省略する。網目状プレフィルター24の下流側に部材Aとなるファスナー25が配置され、ファスナー25はベースシートがナイロン製で、片面に多数の支柱を配し、その先端にはボール状突起部を有している。網目状プレフィルター3の目開きは0.6mmである。ボール状突起部の大きさはφ0.9mmであり、支柱はφ0.4mmであり、ベースシートから突起部先端までの高さは2mmである。揮散性薬剤徐放部材26はファスナー25で片面接着され、ボール状突起部を有した側はボール状突起部が網目状プレフィルター24の網目部を貫通した状態となっている。これによってファスナー25の位置はずれることなく一定の場所に固定される。網目状プレフィルター24を2週間あるいは1ヵ月に1回の頻度で掃除する時には網目状プレフィルター24からファスナー25を外すことで揮散性薬剤徐放部材26を分離できる。
【0022】
(実施例5)
図8に本実施例を示す網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図である。揮散性薬剤徐放部材としては実施例1と同じものを使用したので説明は省略する。網目状プレフィルター27の下流側に部材Aとなるファスナー28が配置され、ファスナー28はポリプロピレン製で、片面に多数の支柱を配し、その先端にはきのこ状の突起部を有している。網目状プレフィルター27の目開きは0.6mmである。きのこ状突起部の大きさは0.9mmであり、支柱はφ0.4mmであり、ベースシートから突起部先端までの高さは2mmである。揮散性薬剤徐放部材29はファスナー28で片面接着され、きのこ状突起部を有した側はきのこ状突起部が網目状プレフィルター27の網目部を貫通した状態となっている。これによってファスナー28の位置はずれることなく一定の場所に固定される。網目状プレフィルター27を2週間あるいは1ヵ月に1回の頻度で掃除する時には網目状プレフィルター27からファスナー28を外すことで揮散性薬剤徐放部材29を分離できる。
【0023】
実施例では熱交換器アルミニウムフィンと揮散性薬剤徐放部材の湿度感受性膜側との間隔は約3mm程度にした。熱交換器と網目状プレフィルターとの位置関係は空気調和機の機種によって様々である。したがって、湿度感受性膜と熱交換器アルミニウムフィンとの間隔が2〜4mm程度になる場所に配置することが好ましい。また湿度は最後までドレンパン上に残留するので網目状プレフィルターに揮散性薬剤徐放部材を取りつける位置としては室内機の下側吹き出し口に近いほうが好ましい。
【0024】
実施例ではベースシートに支柱として配設する部材にナイロン、プロピレン等の樹脂あるいはステンレス線の金属を使用したが本発明に使用できるのはこれらの限りではない。樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が使用できる。また金属としてピアノ線、Ni−Ti合金線、チタン線等の曲げ弾性率の高いものが適している。支柱部を金属材とする場合には樹脂ベースシートとの複合化材料となる。
【0025】
実施例では弾性を有する発泡体としてウレタン、ポリプロピレンを使用したが本発明に使用できるのはこれらの限りではない。この他にポリエチレン、EPDMゴム等も使用できる。支柱部を金属材とする場合には発泡体の硬度はある程度広い範囲で許容できるが、突起部を樹脂材とする場合に突起部が弾性を有する凹部と嵌合後、再分離しない硬度とする必要がある。
【0026】
上記実施例では専らアリルイソチオシアネートを使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。ティーツリー油、ユーカリ油等が使用できる。また低濃度の揮散量にて抗菌、防カビ効果が得られるような薬剤であれば本発明の揮散性薬剤徐放部材の薬剤として利用可能である。
【0027】
実施例では非通気性フィルムとして、ポリエチレン/ナイロン/アルミニウム箔/ポリエチレン構造からなるもの使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。しかし一般的には非通気性フィルムとしてはアルミニウム箔が内層されたラミネート構造フィルムが使用される。
【0028】
空気調和機の網目状プレフィルターは一般的ににポリプロピレン製である。したがって接着剤等は着き難く、網目状プレフィルター自体が定期的に洗浄されることを義務付けられているので、繰り返して利用できる構成が要求される。本発明では網目状プレフィルターの構造および網目状プレフィルターを介した構成で揮散性薬剤徐放部材を繰り返して固定保持できることを主眼とした。
【0029】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、揮散性薬剤徐放部材は部材Aで接合されるとともに、突起部から支柱にかけての部分をフィルターへ挿入することで固定保持される。また、突起部分の大きさとフィルター部の目開きを最適化することで、定期的に揮散性薬剤徐放部材をフィルターから繰り返し外しても問題ない耐久性を示した。
【0030】
請求項2記載の発明によれば、部材Bと部材Aがフィルターをサンドイッチして嵌合させた状態とすることで揮散性薬剤徐放部材の位置が固定されるとともに十分な強度を持って保持させることができた。
【0031】
請求項3記載の発明によれば、部材Aあるいは部材Bのどちらか一方が弾性を有する発泡体とすることで、もう一方の部材が有する支柱部分を発泡体に簡単に圧入されることができ、定期的に揮散性薬剤徐放部材をフィルターから繰り返し外しても問題ない耐久性を示した。
【0032】
請求項4記載の発明によれば、突起部をきのこ状あるいはボール状とすることでフィルターに挿入したり、突起部をフィルターから外したりする繰り返し特性を十分なものとすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の空気調和機の室内機断面構成図
【図2】実施例1の網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す正面図
【図3】図2に示す網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示すためのAライン断面図
【図4】図3の要部α拡大図
【図5】実施例2の網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図
【図6】実施例3の網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図
【図7】実施例4の網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図
【図8】実施例5の網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図
【符号の説明】
1、2 吸い込みグリル
3、16、20、24、27 網目状プレフィルター
4、5 熱交換器
6 クロスフローファン
7 吹出し口
13、18、22、26、29 揮散性薬剤徐放部材
14、17、21、25、28 ファスナー(部材A)
15、23 ファスナー(部材B)
19 ポリプロピレンスポンジ部材(部材B)
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮散性の薬剤を湿度変化によって徐放させる揮散性薬剤徐放部材を備えた空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な空気調和機は、ケーシングの前面および上面に空気の吸い込み口を、底面に空気の吹き出し口をそれぞれ形成し、このケーシングの内部に、網目状プレフィルターと熱交換器と送風ファンとを収納し、送風ファンにより吸い込み口から吸い込んだ空気を熱交換器により熱交換させた後、吹き出し口より吹き出す構成になっている。そして、吸い込み口から吹き出し口に至る空気通路にはカビが繁殖し易いので、その繁殖を抑制する防カビ処理が施される。
【0003】
従来の防カビ処理技術としては、カビが繁殖しやすい網目状プレフィルターや送風ファンに直接防カビ処理をする方法や揮散性防カビ薬剤を充填した揮散性薬剤徐放部材を配設する技術が開示されている。網目状プレフィルターや送風ファンに直接防カビ処理をしてもほこり等が堆積することによってほこりの中からカビが繁殖してしまうこともあって、利用者には揮散性薬剤徐放部材のほうが好まれる傾向にある。したがって新製品の場合には揮散性薬剤徐放部材を最適な場所に固定保持できるような設計が当然されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−248852号公報(第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、既存の製品に対して揮散性薬剤徐放部材を後付けにて固定保持して揮散性薬剤を有効に作用させられるような方法がなかった。
【0006】
本発明は、このような従来から市場に出している製品に対して、揮散性薬剤徐放部材を有効な位置に配して使用するための固定方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により温度調節された風を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を前記熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記フィルターの上流方向からの部材Bとの組合せで前記フィルターに固定保持される空気調和機である。
【0008】
上記構成により、揮散性薬剤徐放部材は部材Aで接合されるとともに、部材Bと部材Aがフィルターをサンドイッチすることで、揮散性薬剤徐放部材の位置もずれることなく固定される。さらにフィルターを掃除する頻度は揮散性薬剤徐放部材の寿命期間よりも短いので定期的に、揮散性薬剤徐放部材をフィルターから外す必要がある。それに対しても部材Bと部材Aとの組合せ構造とすることで十分な掃除繰り返し回数を保証することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により熱交換された空気を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記部材Aはベースシート上に多数の支柱を配し、前記支柱の先端に前記支柱よりも巾が大きな突起部を有し、前記フィルターの下流方向から前記部材Aの突起部から支柱部分を前記フィルターの網目部へ挿入することで固定保持される空気調和機である。
【0010】
請求項2記載の発明は、少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により熱交換された空気を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を前記熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記フィルターの上流側に部材Bを配し、前記部材Aあるいは前記部材Bはベースシート上に多数の支柱を配し、前記支柱の先端に前記支柱よりも巾が大きな突起部を有し、前記フィルターの網目部へ前記部材Aあるいは前記部材Bの突起部から支柱部分を挿入後、突起部を前記部材Bあるいは前記部材Aと嵌合させた状態で固定保持される空気調和機である。
【0011】
請求項3記載の発明は、少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により熱交換された空気を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を前記熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記フィルターの上流側に部材Bを配し、前記部材Aあるいは前記部材Bはどちらか一方が弾性を有する発泡体であり、もう一方の前記部材Bあるいは前記部材Aはベースシート上に多数の支柱を有し、前記フィルターの網目部へ前記部材Aあるいは前記部材Bの支柱部を挿入後、前記弾性を有する発泡体に支柱部が圧入された状態で固定保持される空気調和機である。
【0012】
請求項4記載の発明は、突起部がきのこ状あるいはボール状である空気調和機である。
【0013】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施例1)
図1は、本実施例を示す空気調和機の室内機断面構成図である。吸い込みグリル1、2を通じて室内空気を吸い込み、吸い込んだ空気は網目状プレフィルター3を通過し、熱交換器4、5によって冷却、除湿された後、クロスフローファン6によって吸い込み送風されながら、最終吹出し口7から室内空間に冷風を提供する。吹出し口7には上下偏向羽根8が配設され、室内空間への吹出し方向をコントロールしている。この時、熱交換器4、5によって除湿された結露水は熱交換器アルミニウムフィンをつたって、ドレンパン部9、10へと至る。ドレンパン部9は室内機台枠11に一体物として構成され、ドレンパン部10は吹出しグリル12に一体物として構成される。ドレンパン部9に溜まった結露水は台枠11を介してドレンパン部10側に流れて水受けされ、最終的にはドレン口(図示せず)を経由して外部へと排出される。熱交換器4、5のアルミニウムフィンには熱交換性能の高効率化を図るため、縦スリットが設けられた構造を有している。そのために結露した水はスリット部で表面張力によって水膜を形成して、ドレンパン部9、10へとすぐには滴下し難い構造のため、アルミニウムフィンが乾くスピードが遅くなってしまう。たとえば25℃、相対湿度90%の環境雰囲気では、熱交換器アルミニウムフィンが乾くのに数十時間を要してしまい、なかなか乾燥しない。この時室内機空間、特に熱交換器4,5で構成される送風回路内部は相対湿度95%以上の雰囲気に曝され、カビが非常に繁殖しやすい環境条件となっている。13は揮散性薬剤徐放部材であり、熱交換器5に近接した中位上流側に配置され、揮散性薬剤徐放部材13の湿度感受性膜側が熱交換器に向かい合う構成とし、熱交換器5アルミニウムフィンと揮散性薬剤徐放部材13の湿度感受性膜側との間隔は約3mm程度にした。
【0015】
図2は網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す正面図であり、図3は網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示すための図2におけるAライン断面図である。また図4は図3の要部α拡大図である。網目状プレフィルター3の下流側に部材Aとなるファスナー14が配置され、ファスナー14はベースシートがナイロン製で、片面に多数の支柱を配し、その先端にはボール状の突起部を有している。網目状プレフィルター3の目開きは0.6mmであり、プレフィルター繊維同士は交点溶着されていない。揮散性薬剤徐放部材13はファスナー14で片面接着され、ボール状突起部を有した側はボール状突起部から支柱にかけての部分が網目状プレフィルター3の網目部を貫通した状態となっている。ボール状突起部の大きさはφ0.7mmであり、支柱はφ0.3mmであり、ベースシートから突起部先端までの高さは2.5mmである。網目状プレフィルター3の上流側には部材Bとなる凹部を有するウレタンスポンジ製ファスナー15が配置され、厚みは1.3mmである。網目状プレフィルター3の網目部を貫通したファスナー14のボール状突起部がファスナー15の凹部へと挿入された状態となっている。これによってファスナー14の位置はずれることなく一定の場所に固定保持される。またボール状突起部がファスナー15の凹部へと挿入された状態となっているので網目状プレフィルター3からボール状突起部が外れることもない。さらに網目状プレフィルター3を2週間あるいは1ヵ月に1回の頻度で掃除する時にはファスナー15をファスナー14から分離し、その後網目状プレフィルター3からボール状突起部分を外すことで揮散性薬剤徐放部材13を分離できる。接着剤を利用したテープ等を使用しない方法なので、繰り返してファスナー15とファスナー14を組み合わせて揮散性薬剤徐放部材13を網目状プレフィルター3に位置固定できた。
【0016】
次に揮散性薬剤徐放部材13の具体的な構成について説明する。131は揮散性薬剤となるアリルイソチオシアネートであり、アリルイソチオシアネートとセルロースエチルエーテルを重量比5:1で混合することによって増粘化させた状態で約10g充填されている。132はアリルイソチオシアネートの揮散制御膜となるラミネートフィルムのピロー包装体であり、一次制御膜となる。ポリプロピレン 30μmとポリエチレン 70μmとのラミネートフィルムに対してポリエチレン側をヒートシールにてピロー包装化したものである。133は二次制御膜を備えた四方ヒートシール包装体である。四方ヒートシール包装体133は二次制御膜を備えた湿度感受性膜133aと非透過性フィルム133bを四方ヒートシールして構成されている。湿度感受性膜133aはポリエチレン 20μm/ポリプロピレンフィルム 40μm上にレーヨン/パルプ不織布を介してビスコース膜を7g/m2の塗布量で形成させたものを使用した。非透過性フィルム133bはポリエチレン 20μm/ナイロン 40μm/アルミニウム箔 7μm/ポリエチレン 40μmからなるラミネート構造である。四方ヒートシール包装体133は30×150×5mmで四方をヒートシール巾5mmにて熱溶着されている。
【0017】
アリルイソチオシアネート131は一次制御膜を透過して揮散し、まず一次制御膜と二次制御膜との空間部で高濃度状態に保持される。湿度感受性膜133aによって低湿度の場合にはアリルイソチオシアネートの蒸気放出が抑制されるため高濃度状態のままで保持される。しかし湿度が高くなるとアリルイソチオシアネート蒸気が湿度感受性膜133aを通過して外部へと放出される。湿度感受性膜133aは湿度変化によって膜組織が膨潤し、緩んだ構造となり、アリルイソチオシアネート分子が透過して外部へと放出されやすくなる。この放出量分を補充するためにアリルイソチオシアネートが一次制御膜を透過して揮散する。このような構成の揮散性薬剤徐放部材によって、30℃、相対湿度95%条件にて湿度感受性膜から薬剤を60mg/日レベルで継続して放出させることが可能となる。
【0018】
空気調和機は冷房、除湿運転停止後、上下偏向羽根8が閉状態になるとともに、高湿度状態となった空気が室内機全体に充満して湿度感受性膜133aに達すると、揮散性薬剤徐放部材13の内部からアリルイソチオシアネートが熱交換器5側へ拡散し、アルミニウムフィン間を通過しながら、上下偏向羽根8が閉状態となっているので熱交換器4、5で構成された空間部等へと徐々に拡散、堆積して充満する。この結果室内機内部は熱交換器4、5で構成された空間底部で3〜5ppm程度、上部低濃度の空間でも1ppm以上のアリルイソチオシアネート蒸気を滞留させることが可能となる。アリルイソチオシアネートの閾値は10ppm程度であるので匂いを感じないレベルの滞留濃度である。これによって室内空間に存在するCladosporium、Alternaria、Aspergillus、Penicillium、Rhizopusと言った一般的なカビには十分な防カビ効果を得ることができた。
【0019】
(実施例2)
図5に本実施例を示す網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図である。揮散性薬剤徐放部材としては実施例1と同じものを使用したので説明は省略する。網目状プレフィルター16の下流側に部材Aとなるファスナー17が配置され、ファスナー17はベースシートがポリエチレン製で、ベースシート上にステンレスの短線が植毛された状態となっている。網目状プレフィルター16の目開きは0.6mmであり、ファスナー17のベースシートから突起部までの高さは2.5mmであり、ステンレス短線の線径はφ0.3mmである。揮散性薬剤徐放部材18はファスナー17で片面接着され、ステンレス短線の植毛部を有した側は網目状プレフィルター16の網目部を貫通した状態となっている。網目状プレフィルター16の上流側には部材Bとなる厚み2mmのポリプロピレンスポンジ部材19が配置されている。網目状プレフィルター16の網目部を貫通したファスナー17のステンレス短線の植毛部がポリプロピレンスポンジ部材19へと圧入された状態となっている。これによってファスナー17の位置はずれることなく一定の場所に固定される。またステンレス短線の植毛部がポリプロピレンスポンジ部材19へと圧入された状態となっているので網目状プレフィルター16からファスナー17が外れることもない。さらに網目状プレフィルター16を2週間あるいは1ヵ月に1回の頻度で掃除する時にはポリプロピレンスポンジ部材19をファスナー17から分離し、その後網目状プレフィルター3からファスナー17を外すことで揮散性薬剤徐放部材18を分離できる。接着剤を利用したテープ等を使用しない方法なので、繰り返してファスナー17とポリプロピレンスポンジ部材19を組み合わせて揮散性薬剤徐放部材18を網目状プレフィルター16に位置固定できた。
【0020】
(実施例3)
図6に本実施例を示す網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図である。揮散性薬剤徐放部材としては実施例1と同じものを使用したので説明は省略する。網目状プレフィルター20の下流側に部材Aとなる凹部を有するウレタンスポンジ製ファスナー21が配置され、厚みは1.3mmである。網目状プレフィルター20の目開きは0.6mmである。揮散性薬剤徐放部材22はファスナー21で片面接着されている。網目状プレフィルター3の上流側には部材Bとなるファスナー23が配置され、ファスナー23はベースシートがナイロン製で、片面に多数の支柱を配し、その先端にはボール状突起部を有している。ボール状突起部を有した側はボール状突起部から支柱にかけての部分が網目状プレフィルター20の網目部を貫通した状態となっている。ボール状突起部の大きさはφ0.7mmであり、支柱はφ0.3mmであり、ベースシートから突起部先端までの高さは2.5mmである。網目状プレフィルター20の網目部を貫通したファスナー23のボール状突起部がファスナー21の凹部へと挿入された状態となっている。これによってファスナー23の位置はずれることなく一定の場所に固定される。またボール状突起部がファスナー21の凹部へと挿入された状態となっているので網目状プレフィルター20からボール状突起部が外れることもない。さらに網目状プレフィルター20を2週間あるいは1ヵ月に1回の頻度で掃除する時にはファスナー23をファスナー21から分離し、その後網目状プレフィルター20からボール状突起部分を外すことで揮散性薬剤徐放部材22を分離できる。接着剤を利用したテープ等を使用しない方法なので、繰り返してファスナー23とファスナー21を組み合わせて揮散性薬剤徐放部材22を網目状プレフィルター20に位置固定できた。
【0021】
(実施例4)
図7に本実施例を示す網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図である。揮散性薬剤徐放部材としては実施例1と同じものを使用したので説明は省略する。網目状プレフィルター24の下流側に部材Aとなるファスナー25が配置され、ファスナー25はベースシートがナイロン製で、片面に多数の支柱を配し、その先端にはボール状突起部を有している。網目状プレフィルター3の目開きは0.6mmである。ボール状突起部の大きさはφ0.9mmであり、支柱はφ0.4mmであり、ベースシートから突起部先端までの高さは2mmである。揮散性薬剤徐放部材26はファスナー25で片面接着され、ボール状突起部を有した側はボール状突起部が網目状プレフィルター24の網目部を貫通した状態となっている。これによってファスナー25の位置はずれることなく一定の場所に固定される。網目状プレフィルター24を2週間あるいは1ヵ月に1回の頻度で掃除する時には網目状プレフィルター24からファスナー25を外すことで揮散性薬剤徐放部材26を分離できる。
【0022】
(実施例5)
図8に本実施例を示す網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図である。揮散性薬剤徐放部材としては実施例1と同じものを使用したので説明は省略する。網目状プレフィルター27の下流側に部材Aとなるファスナー28が配置され、ファスナー28はポリプロピレン製で、片面に多数の支柱を配し、その先端にはきのこ状の突起部を有している。網目状プレフィルター27の目開きは0.6mmである。きのこ状突起部の大きさは0.9mmであり、支柱はφ0.4mmであり、ベースシートから突起部先端までの高さは2mmである。揮散性薬剤徐放部材29はファスナー28で片面接着され、きのこ状突起部を有した側はきのこ状突起部が網目状プレフィルター27の網目部を貫通した状態となっている。これによってファスナー28の位置はずれることなく一定の場所に固定される。網目状プレフィルター27を2週間あるいは1ヵ月に1回の頻度で掃除する時には網目状プレフィルター27からファスナー28を外すことで揮散性薬剤徐放部材29を分離できる。
【0023】
実施例では熱交換器アルミニウムフィンと揮散性薬剤徐放部材の湿度感受性膜側との間隔は約3mm程度にした。熱交換器と網目状プレフィルターとの位置関係は空気調和機の機種によって様々である。したがって、湿度感受性膜と熱交換器アルミニウムフィンとの間隔が2〜4mm程度になる場所に配置することが好ましい。また湿度は最後までドレンパン上に残留するので網目状プレフィルターに揮散性薬剤徐放部材を取りつける位置としては室内機の下側吹き出し口に近いほうが好ましい。
【0024】
実施例ではベースシートに支柱として配設する部材にナイロン、プロピレン等の樹脂あるいはステンレス線の金属を使用したが本発明に使用できるのはこれらの限りではない。樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が使用できる。また金属としてピアノ線、Ni−Ti合金線、チタン線等の曲げ弾性率の高いものが適している。支柱部を金属材とする場合には樹脂ベースシートとの複合化材料となる。
【0025】
実施例では弾性を有する発泡体としてウレタン、ポリプロピレンを使用したが本発明に使用できるのはこれらの限りではない。この他にポリエチレン、EPDMゴム等も使用できる。支柱部を金属材とする場合には発泡体の硬度はある程度広い範囲で許容できるが、突起部を樹脂材とする場合に突起部が弾性を有する凹部と嵌合後、再分離しない硬度とする必要がある。
【0026】
上記実施例では専らアリルイソチオシアネートを使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。ティーツリー油、ユーカリ油等が使用できる。また低濃度の揮散量にて抗菌、防カビ効果が得られるような薬剤であれば本発明の揮散性薬剤徐放部材の薬剤として利用可能である。
【0027】
実施例では非通気性フィルムとして、ポリエチレン/ナイロン/アルミニウム箔/ポリエチレン構造からなるもの使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。しかし一般的には非通気性フィルムとしてはアルミニウム箔が内層されたラミネート構造フィルムが使用される。
【0028】
空気調和機の網目状プレフィルターは一般的ににポリプロピレン製である。したがって接着剤等は着き難く、網目状プレフィルター自体が定期的に洗浄されることを義務付けられているので、繰り返して利用できる構成が要求される。本発明では網目状プレフィルターの構造および網目状プレフィルターを介した構成で揮散性薬剤徐放部材を繰り返して固定保持できることを主眼とした。
【0029】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、揮散性薬剤徐放部材は部材Aで接合されるとともに、突起部から支柱にかけての部分をフィルターへ挿入することで固定保持される。また、突起部分の大きさとフィルター部の目開きを最適化することで、定期的に揮散性薬剤徐放部材をフィルターから繰り返し外しても問題ない耐久性を示した。
【0030】
請求項2記載の発明によれば、部材Bと部材Aがフィルターをサンドイッチして嵌合させた状態とすることで揮散性薬剤徐放部材の位置が固定されるとともに十分な強度を持って保持させることができた。
【0031】
請求項3記載の発明によれば、部材Aあるいは部材Bのどちらか一方が弾性を有する発泡体とすることで、もう一方の部材が有する支柱部分を発泡体に簡単に圧入されることができ、定期的に揮散性薬剤徐放部材をフィルターから繰り返し外しても問題ない耐久性を示した。
【0032】
請求項4記載の発明によれば、突起部をきのこ状あるいはボール状とすることでフィルターに挿入したり、突起部をフィルターから外したりする繰り返し特性を十分なものとすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の空気調和機の室内機断面構成図
【図2】実施例1の網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す正面図
【図3】図2に示す網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示すためのAライン断面図
【図4】図3の要部α拡大図
【図5】実施例2の網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図
【図6】実施例3の網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図
【図7】実施例4の網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図
【図8】実施例5の網目状プレフィルターと揮散性薬剤徐放部材との構成を示す要部拡大図
【符号の説明】
1、2 吸い込みグリル
3、16、20、24、27 網目状プレフィルター
4、5 熱交換器
6 クロスフローファン
7 吹出し口
13、18、22、26、29 揮散性薬剤徐放部材
14、17、21、25、28 ファスナー(部材A)
15、23 ファスナー(部材B)
19 ポリプロピレンスポンジ部材(部材B)
Claims (4)
- 少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により熱交換された空気を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記部材Aはベースシート上に多数の支柱を配し、前記支柱の先端に前記支柱よりも巾が大きな突起部を有し、前記フィルターの下流方向から前記部材Aの突起部から支柱部分を前記フィルターへ挿入することで固定保持されることを特徴とする空気調和機。
- 少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により熱交換された空気を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を前記熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記フィルターの上流側に部材Bを配し、前記部材Aあるいは前記部材Bはベースシート上に多数の支柱を配し、前記支柱の先端に前記支柱よりも巾が大きな突起部を有し、前記フィルターの網目部へ前記部材Aあるいは前記部材Bの突起部から支柱部分を挿入後、突起部を前記部材Bあるいは前記部材Aと嵌合させた状態で固定保持されることを特徴とする空気調和機。
- 少なくとも吸込み口から吹出し口に至る通風路内に熱交換器と、前記熱交換器により熱交換された空気を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、前記吸込み口と前記熱交換器との間にフィルターが配設され、前記フィルターと前記熱交換器との間に、揮散性薬剤が内部に充填され、湿度環境の変化によって前記揮散性薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を外装面に配設した揮散性薬剤徐放部材を備え、前記揮散性薬剤徐放部材は湿度感受性膜を前記熱交換器の上流面に配し、前記湿度感受性膜と反対面に部材Aで接合され、前記フィルターの上流側に部材Bを配し、前記部材Aあるいは前記部材Bはどちらか一方が弾性を有する発泡体であり、もう一方の前記部材Bあるいは前記部材Aはベースシート上に多数の支柱を有し、前記フィルターの網目部へ前記部材Aあるいは前記部材Bの支柱部を挿入後、前記弾性を有する発泡体に支柱部が圧入された状態で固定保持されることを特徴とする空気調和機。
- 前記突起部がきのこ状あるいはボール状であることを特徴とする請求項1または2記載の空気調和機。
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Cited By (1)
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JP2008116121A (ja) * | 2006-11-06 | 2008-05-22 | Hitachi Appliances Inc | 空気調和機 |
-
2002
- 2002-10-22 JP JP2002306924A patent/JP2004144332A/ja active Pending
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