JP2004144088A - 多段ピストン真空ポンプおよびその運転方法 - Google Patents

Abstract

【課題】排気過程の各段階において、ポンプ特性が改善され且つ有効な排気が可能となるように、全ての段が使用可能なように形成された多段ピストン真空ポンプを提供する。
【解決手段】本発明は多段ピストン真空ポンプおよびその運転方法に関するものである。ポンプはハウジング（１）および少なくとも２つの吸込空間（２）および（４）からなっている。吸込側（１６）と吸込空間との間、ないし吸込空間それ自身の間に結合配管および弁からなるシステムが形成され、この結合配管および弁を介して、個々のポンプ段を並列接続または直列接続で運転可能である。結合配管および弁はポンプ・ハウジング内に統合されているので、コンパクトで場所をとらない構造が達成される。結合配管それ自身の長さは最小に低減可能である。
【選択図】　図１

Description

　本発明は請求項１の上位概念に記載の多段ピストン真空ポンプおよびその運転方法に関するものである。

　容器を大気圧から例えば１０^−２ミリバールの希望の最終真空まで排気するピストン真空ポンプは一般に多段で形成されている（例えば米国特許第５９２１７５５号）。必要な圧力差を形成可能にするために、個々の段は直列に接続されている。体積流量は容器と直結されたポンプ段により決定される。通常の後続段を形成するポンプ段は、排出されるべきガスを大気圧までさらに圧縮する。段を形成することによりポンプの電力消費を軽減することができる。

　しかしながら、排気過程の開始時に、容器内の圧力がなお１０００ミリバールであるとき、第１のピストンにより吸い込まれたガスをさらに圧縮することは必要ではない。圧力制御バイパス弁により後続のポンプ段はバイパスされるので、この後続のポンプ段はもはや圧縮仕事を行う必要はない。しかしながら、この初期段階において、排気過程を加速するために、より高い体積流量が得られれば有利であろう。

　排気過程の各段階において、ポンプ特性が改善され且つ有効な排気が可能となるように、全ての段が使用可能なように形成された多段ピストン真空ポンプを提供することが本発明の課題である。この場合、結合配管が最小長さを有し、したがって流れ抵抗を小さく保持可能な、コンパクトで場所をとらない構造が求められる。このために、結合配管内における液体および固体の凝縮が阻止されまたは最小に低減されるべきである。

　この課題は請求項１および３の特徴項に記載の特徴により解決される。請求項２および４は本発明の他の実施態様を示す。
　多段ピストン真空ポンプの体積流量は、本発明の装置および本発明の方法により、上記の圧力範囲内で、排気過程のスタート時に、存在する全てのピストンが並列に吸い込むことにより明らかに上昇可能である。容器内の圧力が、１段のピストンの圧縮では、吸い込まれたガスをもはや大気圧まで圧縮することができない圧力に到達したときにはじめて、並列に接続されているピストンが直列に切り換えられる。このようにして全てのポンプ段が最適に使用され且つ最小の費用で有効な排気が達成される。必要な結合配管および弁を多段ポンプ内に統合することは、コンパクトな構造を与える。結合配管の長さは最小に制限されるので、流れ抵抗を小さく保持することができる。統合構造の他の利点は、ポンプ・ハウジング内に存在する結合配管および部品がハウジングの温度を受け取ることにある。この温度はハウジングの外部より高いので、凝縮による堆積が回避される。

　図１により、本発明を、２段ピストン・ポンプの例で詳細に説明する。図２は本発明の他の実施態様を示す。

　２つのポンプ段はハウジング１内に収容されている。２つのポンプ段は本質的にそれぞれ吸込空間２および４からなり、吸込空間２および４内においてピストン６および８が往復運動を実行する。即ち、弁１０および１１と協働してガス排出が行われる。第１の吸込空間２の吸込側１６において流入し且つ第１の吸込空間２内で圧縮されたガスは、ガス排出側１５および結合配管１４を介して吸込空間４の吸込側１７に供給され、且つさらに圧縮されたのちにガス排出側１９から排出される。吸込空間および付属のピストンは段をなして形成されている。即ち、運転時に、第１の吸込空間２内においてより大きい容積が圧縮され、したがって第２の吸込空間４はより少ない容積を排気し且つ圧縮すればよいので、第１の吸込空間２は第２の吸込空間４より大きくなっている。

　本発明により、結合配管１４内に遮断機構１８が設けられている。さらに、第１の吸込空間２の吸込側１６と第２の吸込空間４の吸込側１７との間に他の結合配管２０が存在している。この結合配管２０内に第２の遮断機構２１が存在する。他の遮断機構２３が第１のポンプ段の圧力ノズル１３に設けられている。これらの結合配管および遮断機構は、その全てまたは一部がポンプ・ハウジング１の内部に存在する。

　このように構成された多段ピストン・ポンプは、ポンプ段を並列接続または直列接続で運転させることに適し、この場合、各運転過程において、一方の運転状態から他方の運転状態への切換が可能である。

　排気運転の開始時に全てのポンプ段の全体積流量を利用することは有効である。このために、この例においては、最初に遮断機構１８が閉じられ且つ遮断機構２１および２３が開かれる。即ち、排気されるべきガスは、第１の吸込空間２の吸込側１６を介して第１の吸込空間２内に流入し、且つピストン６により圧縮されたのちに、弁１０およびガス排出側１５を介して排出可能である。これに平行して、ガスは、開かれている遮断機構２１および結合配管２０を介して第２の吸込空間４の吸込側１７に供給される。ピストン８により圧縮されたのちに、ガスは弁１１およびガス排出側１９を介して排出される。

　並列運転がある時間経過したのちに、第２のポンプ段が第１のポンプ段内で圧縮されたガスを全て受け取ることが可能な状態が達成されたとき、直列運転に切り換えられる。このために、遮断機構２１が閉じられ且つ遮断機構１８が開かれる。第１のポンプ段の圧力ノズル１３に設けられている他の遮断機構２３は閉じられる。ここで、第１の吸込空間２内で圧縮されたガスは、開かれている遮断機構１８および結合配管１４を介して第２の吸込空間４の吸込側１７に流入し、ここでさらに圧縮され且つガス排出側１９を介して排出される。並列運転から直列運転への切換またはその逆の切換は排気過程の各過程内で行うことができる。２つの遮断機構１８および２１は三方弁２５により置き換えられてもよい。

本発明による２段ピストン・ポンプの第１の実施態様を示す断面図である。 本発明による２段ピストン・ポンプの第２の実施態様を示す断面図である。

符号の説明

　１　　ハウジング
　２，４　　吸込空間
　６、８　　ピストン
　１０、１１　　弁
　１２、１３　　圧力ノズル
　１４、２０　　結合配管
　１５、１９　　ガス排出側
　１６、１７　　吸込側
　１８、２１、２３　　遮断機構
　２５　　三方弁

Claims (4)

1. 　ハウジング（１）と、および少なくとも第１の吸込空間（２）および第２の吸込空間（４）とからなり、第１の吸込空間（２）および第２の吸込空間（４）内においてそれぞれ、ピストン（６）および（８）が往復運動を実行し、且つ弁（１０）および（１１）と協働してガス排出を行い、第１の吸込空間（２）のガス排出側（１５）と第２の吸込空間（４）の吸込側（１７）との間に結合配管（１４）を備えた多段ピストン真空ポンプにおいて、
   　結合配管（１４）内に第１の遮断機構（１８）が存在することと、および
   　第１の吸込空間（２）の吸込側（１６）と第２の吸込空間（４）の吸込側（１７）との間に他の結合配管（２０）が形成され、およびこの結合配管（２０）内に第２の遮断機構（２１）が存在し、この場合、結合配管（１４）および（２０）並びに遮断機構（１８）および（２１）がポンプ・ハウジング（１）の内部に存在することと、
   を特徴とする多段ピストン真空ポンプ。
2. 　遮断機構（１８）および（２１）の代わりに三方弁（２５）が存在していることを特徴とする請求項１の多段ピストン真空ポンプ。
3. 　ハウジング（１）と、および少なくとも第１の吸込空間（２）および第２の吸込空間（４）とからなり、第１の吸込空間（２）および第２の吸込空間（４）内においてそれぞれ、ピストン（６）および（８）が往復運動を実行し、且つ弁（１０）および（１１）と協働してガス排出を行い、第１の吸込空間（２）のガス排出側（１５）と第２の吸込空間（４）の吸込側（１７）との間に結合配管（１４）を備えた多段ピストン真空ポンプの運転方法において、
   　第１のステップにおいて、結合配管（１４）内の遮断機構（１８）が閉じられ且つ第２の結合配管（２０）内の遮断機構（２１）が開かれ、これにより、吸込側（１６）において流入するガス流れが吸込空間（２）および（４）内に並列に移送され且つ弁（１０）および（１１）を介してガス流れをガス排出側（１５）および（１９）に供給可能であり、および第２のステップにおいて、結合配管（１４）内の遮断機構（１８）が開かれ、結合配管（２０）内の遮断機構（２１）が閉じられ、およびガス排出側（１５）の他の遮断機構（２３）が閉じられ、これにより、吸込側（１６）において流入したガスが、最初に吸込空間（２）内で圧縮され、次に結合配管（１４）を介して吸込空間（４）に供給されてさらに圧縮されることと、および
   　吸込側（１６）と吸込空間（２、４）との間、ないし吸込空間それ自身の間のガス移送がポンプ・ハウジング（１）の内部で行われることと、
   を特徴とする多段ピストン真空ポンプの運転方法。
4. 　遮断機構（１８）および（２１）の開閉が三方弁（２５）の切換により置き換えられることを特徴とする請求項３の多段ピストン真空ポンプの運転方法。

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