JP2004144023A - 洗浄器用ポンプおよび頭皮洗浄器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリンダ3内を、樹脂製のピストン1が往復移動することによって用水を吸い込み・吐き出す洗浄器用ポンプにおいて、ピストン1の先端に形成され、外側がシリンダ3に接触する薄肉部1aと、薄肉部1aの内側に設けられ、先端形状がくし歯形状を成し、薄肉部1aをシリンダ3の内面側に付勢するくし状板ばね2と、を備えることにより、ピストン1の薄肉部1aとシリンダ3の内面との密着性を向上させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体の脈動付勢ポンプとして頭皮洗浄、口腔洗浄、ボディシャワーなどに利用される洗浄器用ポンプおよび頭皮洗浄器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、洗浄効率やマッサージ効果、およびその利便性、快適性などに優れた頭皮洗浄器が知られている。一般的に、このような頭皮洗浄器は、頭皮洗浄に使用する1回分の洗浄用水をタンクに貯水し、ポンプでタンク内に貯水されている洗浄用水を取り込んで加圧すると共に脈動を与えて脈動水流としてノズルヘッドへ送水し、ノズルヘッドから洗浄用水を吐出する構成がとられている。
【0003】
このような頭皮洗浄器では、脈動ジェット水流を吐き出すポンプ構造としてピストン型のコンパクトなポンプが搭載されている(たとえば、特許文献1参照)。この従来におけるポンプ構造を図7に示す。図において、符号25はコンロッド(連接棒)、符号30は樹脂製のピストン、符号30aは先端頂部、符号30bは薄肉部、符号30cは溝部、符号30dは本体、符号30eは貫通穴、符号31はOリングを用いたパッキン、符号32はシリンダ、符号33はピンである。
【0004】
図7において、本構成の特徴とするところは、ピストン30の薄肉部30bの内面にパッキン31をピストン30の先端頂部30aとの間に配設し、シリンダ32の内面にパッキン31の押圧力で押し当て、ピストン先端とシリンダ内壁との密着を行なっているものである。
【0005】
【特許文献1】
実開平2−6018号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記図7に示される従来のポンプ構造は、パッキンの弾性でシリンダ内面に押し当てて密着している。しかしながら、口腔洗浄器のシリンダ径が約8mm(D)ではパッキンの線径が2mm程度であり、押し当て面の長さが1mm(D/8)が限度であるため、シリンダ内面に対する押圧荷重が均一にならないという問題点があった。また、パッキンの圧縮も線径の30%が限度であり、線径2mmであれば0.6以下であるため、寸法のバラツキを考慮すると、シリンダ内面に対する押圧の適正化(均一化)が良好に得られないという問題点があった。
【0007】
さらには、パッキンの断面形状が略円形であるため、ピストンの先端部まで均一に押圧することが困難であった。また、圧縮による弾性疲労や接触する空気、液体による材質劣化によって押圧低下が進行することが考えられるため、経時において密着性(シール性)が確保されず、信頼性の面でも問題点があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ピストン先端の薄肉部分とシリンダ内面との押圧を均一にしてシール性を確保し、かつ信頼性の向上を図ることを第1の目的とする。
【0009】
また、ピストン先端の薄肉部分とシリンダ内面との押圧を均一にしてシール性を確保し、かつ信頼性の高いポンプ構造を搭載した頭皮洗浄器を提供することを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1にかかる洗浄器用ポンプにあっては、シリンダ内の樹脂製のピストンが往復移動することによって用水を吸い込み・吐き出す洗浄器用ポンプにおいて、ピストンの先端に形成され、外側が前記シリンダに接触する薄肉部と、前記薄肉部の内側に設けられ、先端形状がくし歯形状を成し、前記薄肉部を前記シリンダの内面側に付勢するくし状板ばねと、を備えたものである。
【0011】
この発明によれば、樹脂製のピストンの薄肉内面にくし状板ばねの押圧部材を挿入することにより、その材質、板圧、たわみ量などのパラメータによる適正化(シリンダに対するピストンの押圧の均一化)が従来のゴムパッキンに比べて確実に行なうことが可能になる。
【0012】
また、請求項2にかかる洗浄器用ポンプにあっては、前記ピストンは、ナイロン系樹脂の材質で形成されているものである。
【0013】
この発明によれば、請求項1において、樹脂製のピストンの材質をナイロン系樹脂(たとえば6ナイロン、66ナイロン)を用いることにより、その吸水特性を利用しピストンの軟化とシリンダとの密着性を向上させる。
【0014】
また、請求項3にかかる洗浄器用ポンプにあっては、前記シリンダ内面に対する前記くし状板ばねによる押圧荷重分布を、前記ピストンの先端から前記シリンダの内径の1/4以上としたものである。
【0015】
この発明によれば、請求項1において、押圧部材であるくし状板ばねの押圧荷重分布を、ピストン先端部からシリンダ内径Dの1/4以上が概略等分布荷重となるように、その材質、板厚、形状、たわみ量などのパラメータで適正化することが可能になる。
【0016】
また、請求項4にかかる洗浄器用ポンプにあっては、前記くし状板ばねは、先端部分に、前記ピストンの先端に対して突出する突出部を備えたものである。
【0017】
この発明によれば、請求項1において、押圧部材であるくし状板ばねの先端部分をピストンの先端部分より突出させたことにより、ピストンの先端部分とシリンダ内面との押圧荷重を適正化することが可能になる。
【0018】
また、請求項5にかかる洗浄器用ポンプにあっては、前記くし状板ばねは、先端に、少なくとも、一方に隣接するくし状分割片の端面鉛直線とオーバラップするオーバラップ部分を備えたものである。
【0019】
この発明によれば、請求項1において、押圧部材であるくし状板ばねの先端部分に、少なくとも、一方の隣のくし状分割片の端面鉛直線とオーバラップする形状を設けることにより、円周方向におけるばねの開口部分を少なくし、押圧荷重の均一化が可能になる。
【0020】
また、請求項6にかかる頭皮洗浄器にあっては、頭皮などを洗浄する場合に設けられ、洗浄用水を、ピストンがシリンダ内を移動するポンプを介して脈動ジェット水流を発生させ、吐き出す頭皮洗浄器において、前記ポンプは、前記ピストンの先端に形成され、外側が前記シリンダの内面に接触する薄肉部と、前記薄肉部の内側に設けられ、先端形状がくし歯形状を成し、前記薄肉部を前記シリンダの内面側に付勢するくし状板ばねと、を備えたものである。
【0021】
この発明によれば、ピストンの先端に形成され、外側が前記シリンダに接触する薄肉部と、薄肉部の内側に設けられ、先端形状がくし歯形状を成し、薄肉部をシリンダの内面側に付勢するくし状板ばねと、を備えたポンプとすることにより、ピストン部分のシール性が向上し、信頼性の高い頭皮洗浄器が実現する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる洗浄器用ポンプおよび頭皮洗浄器の好適な実施の形態について添付図面を参照し、詳細に説明する。なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0023】
本発明は、シリンダ内の樹脂製のピストンが往復移動することによって用水を吸い込み・吐き出す洗浄器用ポンプにおいて、ピストンの先端に形成された薄肉部の内面に、先端形状がくし歯形状を成し、薄肉部をシリンダの内面側に付勢するくし状板ばねを挿入し、上記くし状板ばねの複数片により薄肉部をシリンダ内面に平均的に加圧し、シリンダ内面とピストン先端の薄肉部とのシール性を確保すると共に、その部分の信頼性を向上させるものである。以下、具体的に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態にかかる洗浄器用ポンプのピストン部分の構成を示す断面図である。図において、符号1はシリンダ内を往復移動し、用水を吸い込み・吐き出すピストン、符号1aはピストン1の先端部分におけるシリンダ内壁に接触する薄肉部、符号1bはピストン1の中心軸上の先端部、符号1cはピストン1の薄肉部先端、符号2は薄肉部1aをシリンダ内壁側に付勢するくし状板ばね、符号3はシリンダ、符号4はクランクギア、偏心カム(不図示)に連接するコンロッドである。
【0025】
ピストン1は、たとえば、飽和吸水率1〜2%程度の6ナイロンまたは66ナイロンなどのナイロン系樹脂により成形されている。このような材質を用いることにより、その吸水性を利用し、ピストン1の軟化とシリンダ3との密着性を向上させ、シール性を強化している。
【0026】
また、くし状板ばね2は、ステンレス鋼鈑、黄銅板、リン青銅板など金属製の薄板、あるいは樹脂製であってもよい。また、ピストン1とくし状板ばね2とは、ピストン先端1bでカシメ固定(つぶしによる固定)されている。
【0027】
すなわち、樹脂製のピストン1の薄肉部1a内面にくし状板ばね2の押圧部材を配し、その内面押圧により、薄肉部1aをシリンダ3の内面に押し当てている。また、くし状板ばね2は、たわみ量を十分に確保することにより、各部の寸法のばらつきが吸収されるため、押圧力の設計上における余裕度が増し、その結果、ピストン1とシリンダ3とのシール性の向上を図ることができる。
【0028】
図2は、図1におけるくし状板ばね2の展開状態を示す説明図である。くし状板ばね2は、図示するように、ピストン1の薄肉部1aの内側に分割片としてくし状に分割されたばね先端2a,2bの形状を成し、さらに、ばね先端2aが薄肉部先端1cより突き出し、隣りのくし状分割片の端面鉛直線2cとオーバラップするオーバラップ部分2dが設けられている。
【0029】
このような形状にすることにより、図示のごとく、円周方向の荷重分布は、従来に比べて均一になる。また、鉛直方向においてもばね部の押圧面をシリンダ3の内径Dの1/4(D/4)以上に設定し、形状、たわみ量などにより、その範囲の押圧荷重を均一化することにより、シール性の強化を図っている。
【0030】
つぎに、くし状板ばねの他の形状例について説明する。図3は、図2とは異なる他のくし状板ばね20の形状例を示す説明図である。図3に示すように、このくし状板ばね20は、分割片20aに隣接する左右にオーバラップ形状20b,20cを設ける。これにより、円周方向における均一範囲Lを増加させることができる。特に、図3(a)に示す形状に対して、図3(b)に示す形状のほうが均一範囲Lを増加させることができる。
【0031】
ところで、図2あるいは図3に示したようなくし状板ばねの展開形状に対し、分割片先端に隣接する部分にオーバラップ形状を設けないと円周方向において、押圧荷重が不均一になる。この例を図4に示す。図示するように、このくし状板ばね21は、隣り合わせた分割片21a,21bにオーバラップする部分を設けていない形状となっている。このため、図4(b)に示すように、円周方向において押圧分布が不均一になる。
【0032】
(頭皮洗浄器の構成、動作)
つぎに、上述した図1のように構成された洗浄用ポンプを頭皮洗浄器に搭載した例について説明する。
【0033】
図5は、本発明の実施の形態にかかる頭皮洗浄器100の外観図を示し、図6は、図5における頭皮洗浄器100内部の概略構成を示すブロック図である。
【0034】
これらの図に示すように、この頭皮洗浄器100は、洗浄用水を貯水するタンク101と、タンク101から洗浄用水を取り込んで加圧すると共に脈動を与えて脈動水流として送水するポンプ部102と、ポンプ部102から送出された洗浄用水を導水する配管103と、配管103で導水された洗浄用水を導水するフレキシブルチューブ104と、フレキシブルチューブ104で導水された洗浄用水を吐出するノズルヘッド105と、ポンプ部102を駆動して洗浄用水の吐出制御を行なう吐出制御部106と、を備えている。なお、図6において、符号107はタンク101とポンプ部102との間の流路である配管を示し、符号110は装置全体へ電源を供給するバッテリである。ポンプ部102には、前述した図1のように構成されたポンプ構造を搭載する。
【0035】
配管103は、図6に示すように、フレキシブルチューブ104との結合部103aを有している。フレキシブルチューブ104は、配管103との結合部104aを有している。
【0036】
つぎに、以上のように構成された頭皮洗浄器100の動作について説明する。本発明の頭皮洗浄器100を用いて洗浄を行なう場合、ユーザは、電源スイッチ(図示せず)を操作して電源を投入する。電源が投入されると、吐出制御部106は、バッテリ110からポンプ部102へ電源を供給し、ポンプ部102を駆動する。ポンプ部102は、タンク101から給水された洗浄用水を所定の圧力で加圧し、フレキシブルチューブ104を経由してノズルヘッド105へ洗浄用水を送水する。ノズルヘッド105からは、洗浄用水がシャワー状に吐出され、ユーザは頭皮を洗浄する。
【0037】
特に、前述した図1のポンプ構造をポンプ部102に組み込むことにより、ピストンとシリンダとの密着性(シール性)が向上し、かつ高信頼性のポンプ構造が反映されるため、洗浄器としての信頼性も向上する。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる洗浄器用ポンプ(請求項1)によれば、樹脂製のピストンの薄肉内面にくし状板ばねの押圧部材を挿入することにより、その材質、板圧、たわみ量などのパラメータの適正化(押圧の均一化)が従来のゴムパッキンに比べて確実に行なうことが可能になるため、ピストン先端の薄肉部分とシリンダ内面との押圧を均一にすることができ、その結果、シール性が確保され、かつ信頼性の向上を図ることができる。
【0039】
また、本発明にかかる洗浄器用ポンプ(請求項2)によれば、請求項1において、樹脂製のピストンの材質をナイロン系樹脂(たとえば6ナイロン、66ナイロン)を用いるため、その吸水特性を利用しピストンの軟化とシリンダとの密着性を良好な状態にすることができる。
【0040】
また、本発明にかかる洗浄器用ポンプ(請求項3)によれば、請求項1において、押圧部材であるくし状板ばねの押圧荷重分布を、ピストン先端部からシリンダ内径Dの1/4以上が概略等分布荷重となるように、その材質、板厚、形状、たわみ量などのパラメータで適正化することが可能になるため、ピストン先端(薄肉部)とシリンダ内面とのシール性を向上させることができる。
【0041】
また、本発明にかかる洗浄器用ポンプ(請求項4)によれば、請求項1において、押圧部材であるくし状板ばねの先端部分をピストンの先端部分より突出させたことにより、ピストンの先端部分とシリンダ内面との押圧荷重を適正化することが可能になるため、ピストン先端(薄肉部)とシリンダ内面とのシール性を向上させることができる。
【0042】
また、本発明にかかる洗浄器用ポンプ(請求項5)によれば、請求項1において、押圧部材であるくし状板ばねの先端部分に、少なくとも、一方の隣のくし状分割片の端面鉛直線とオーバラップする形状を設けることにより、円周方向におけるばねの開口部分を少なくし、押圧荷重の均一化が可能になるため、ピストン先端(薄肉部)とシリンダ内面とのシール性を向上させることができる。
【0043】
また、本発明にかかる頭皮洗浄器(請求項6)によれば、ピストンの先端に形成され、外側が前記シリンダに接触する薄肉部と、薄肉部の内側に設けられ、先端形状がくし歯形状を成し、薄肉部をシリンダの内面側に付勢するくし状板ばねと、を備えたポンプとしたので、ピストン部分のシール性が向上した信頼性の高い頭皮洗浄器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる洗浄器用ポンプのピストン部分の構成を示す断面図である。
【図2】図1におけるくし状板ばねの展開状態を示す説明図である。
【図3】図2とは異なる他のくし状板ばねの形状例を示す説明図である。
【図4】くし状板ばねの分割片先端にオーバラップ部分を設けない例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる頭皮洗浄器の外観を示す説明図である。
【図6】図5における頭皮洗浄器内部の概略構成を示すブロック図である。
【図7】従来における洗浄器用ポンプのピストン部分の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ピストン
1a 薄肉部
1b ピストン先端
1c 薄肉部先端
2、20 くし状板ばね
2a,2b ばね先端
2c 端面鉛直線
2d オーバラップ部分
20a 分割片
20b,20c オーバラップ部分
Claims (6)
- シリンダ内の樹脂製のピストンが往復移動することによって用水を吸い込み・吐き出す洗浄器用ポンプにおいて、
前記ピストンの先端に形成され、外側が前記シリンダに接触する薄肉部と、
前記薄肉部の内側に設けられ、先端形状がくし歯形状を成し、前記薄肉部を前記シリンダの内面側に付勢するくし状板ばねと、
を備えたことを特徴とする洗浄器用ポンプ。 - 前記ピストンは、ナイロン系樹脂の材質で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄器用ポンプ。
- 前記シリンダ内面に対する前記くし状板ばねによる押圧荷重分布を、前記ピストンの先端から前記シリンダの内径の1/4以上としたことを特徴とする請求項1に記載の洗浄器用ポンプ。
- 前記くし状板ばねは、先端部分に、前記ピストンの先端に対して突出する突出部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の洗浄器用ポンプ。
- 前記くし状板ばねは、先端に、少なくとも、一方に隣接するくし状分割片の端面鉛直線とオーバラップするオーバラップ部分を備えたことを特徴とする請求項1に記載の洗浄器用ポンプ。
- 頭皮などを洗浄する場合に設けられ、洗浄用水を、ピストンがシリンダ内を移動するポンプを介して脈動ジェット水流を発生させ、吐き出す頭皮洗浄器において、
前記ポンプは、
前記ピストンの先端に形成され、外側が前記シリンダの内面に接触する薄肉部と、
前記薄肉部の内側に設けられ、先端形状がくし歯形状を成し、前記薄肉部を前記シリンダの内面側に付勢するくし状板ばねと、
を備えたことを特徴とする頭皮洗浄器。
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